(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】カート収納システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20240819BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240819BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240819BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240819BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
H02J50/40
H02J50/80
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2021021889
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】荻島 拓哉
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208730814(CN,U)
【文献】特開2020-66270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
B62B1/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カート収納位置にカートが進入することを阻止するためのゲートを動作させるゲート機構と、
前記カート収納位置に収納されたカートに取り付けられている受電器へ電力を送電する送電器と、
前記受電器を備えるカートが前記カート収納位置に接近したことを検知する検知器と、
前記検知器が前記受電器を備えるカートが前記カート収納位置に接近したことを検知した場合、前記カートが前記カート収納位置へ進入可能となるように前記ゲート機構に前記ゲートを動作させる制御回路と、
を備えるカート収納システム。
【請求項2】
前記検知器は、前記カート収納位置の入口近傍を検知範囲として前記受電器を備えるカートを示すタグを検知する、
請求項1に記載のカート収納システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記カートが前記カート収納位置に収納された場合、前記カート収納位置に前記カートとは異なる別のカートが進入することを阻止するように前記ゲート機構に前記ゲートを動作させる、
請求項1又は2の何れか1項に記載のカート収納システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記カート収納位置に収納されたカートが引き出された場合、前記カートが前記カート収納位置から取出可能となるように前記ゲート機構に前記ゲートを動作させる、
請求項1又は3の何れか1項に記載のカート収納システム。
【請求項5】
前記制御回路は、前記送電器から取得する検出信号に基づいて前記カート収納位置に収納された前記受電器を備えるカートが引き出されたことを検知する、
請求項4に記載のカート収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カート収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、買物カートには、買物中に種々情報を提供するためのタブレット端末などの電子装置が取り付けられたものがある。電子装置を取り付けた買物カートは、電子装置を駆動させるためのバッテリ等を充電するための電力を給電することが必要となる。従来、非接触充電技術を用いて買物カートに取り付けた受電器に電力を供給する送電システムが提案されている。従来の送電システムでは、カート収納位置に並べて収納される複数の買物カートに取り付けられた受電器に対応する位置に非接触で電力を送電(給電)する送電器が複数個並べて設置される。
【0003】
しかしながら、実際の運用では、電子装置を取り付けたバッテリ等の充電が必要な買物カート(以下、充電カートと称する)とそれ以外の充電不要な買物カートとが混在することが有り得る。充電カートと充電不要な買物カートとが混在する運用では、送電用の送電器を設けたカート収納位置に充電不要な買物カートが収納されてしまうことが想定される。充電可能な買物カートの収納位置に充電不要な買物カートが収納されると、送電システムの稼働率が低下してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、受電器を備えるカートに対する送電の稼働率を低下させることがないカート収納システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、カート収納システムは、ゲート機構と送電器と検知器と制御回路とを有する。ゲート機構は、カート収納位置にカートが進入することを阻止するためのゲートを動作させる。送電器は、カート収納位置に収納されたカートに取り付けられている受電器へ電力を送電する。検知器は、受電器を備えるカートがカート収納位置に接近したことを検知する。制御回路は、検知器が受電器を備えるカートがカート収納位置に接近したことを検知した場合、カートがカート収納位置へ進入可能となるようにゲート機構にゲートを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るカート収納システムの収納位置に充電が必要なバッテリを搭載する充電カートが収納された状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るカート収納システムにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るカート収納システムにおいてカートを収納する場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係るカート収納システムにおいてカートを収納位置から取り出す場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係るカート収納システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るカート収納システム3に受電器2を搭載したカート(以下、充電カートとも称する)1を収納した状態を示す斜視図である。
充電カート1は、非接触で電力を受電する受電器2を搭載したカート(非接触充電対応の買物カート)である。カート収納システム3は、充電カート1を収納するためのカート収納位置を備える。カート収納システム3は、収納位置に収納された充電カート1に取り付けられている受電器2に電力を送電(給電)する送電器4を有する。例えば、送電器4と受電器2とは、非接触(ワイヤレス)電力伝送の技術を用いて非接触で電力を伝送する。送電器4は、受電器2が非接触で受電可能な電力を送電する。充電カート1に取り付けられた受電器2は、送電器4から伝送された電力を非接触で受電する。
【0009】
充電カート1は、利用者の操作によって移動する。例えば、充電カート1は、買物客自身が操作して買物などに利用する買物カートである。充電カート1は、カート収納システム3における収納位置に収納(返却)される。受電器2は、充電カート1がカート収納位置に収納された状態においてカート収納システム3の送電器4から送電される電力を受電する。送電器4は、カート収納位置に収納された充電カート1に搭載される受電器2に対して非接触で電力を伝送するように構成される。
【0010】
本実施形態において、充電カート1は、受電器2を搭載していないカート(充電不要なカート)と混在して運用されることを想定するものとする。また、充電カート1と混在して運用される充電不要なカートには、充電カート1と同様なフレーム構造(本体構造)を有するカートが含まれるものとする。すなわち、本実施形態に係るカート収納システム3は、充電カート1と充電カート以外の充電不要なカートとが混在する店舗などに設置されるものとする。カート収納システム3は、充電カート1を収納位置に収納可能とし、充電不要なカートを収納位置に収納させないように作用する。
【0011】
なお、以下に説明する実施形態においては、非接触で電力を受電する受電器を搭載するカート(充電カート)が買物カートである場合を想定するものとする。しかしながら、受電器を搭載するカートは、買物カートに限るものではなく、例えば、倉庫などで使われるピッキングカートなどであっても構わない。
【0012】
次に、実施形態に係るカート収納システム3に収納される充電カート1の構成例について説明する。
図1に示す構成例において、充電カート1は、商品を収納して移動可能なカート本体11に電子機器21(211、212、213)、受電回路22および受電コイル23を取り付けて構成される。受電回路22および受電コイル23は、充電カート1に搭載される受電器2を構成する。電子機器21は、受電器(受電システム)2に接続される負荷であり、受電器(受電システム)2から供給される電力によって動作する。また、充電カート1には、電子機器21に電力を供給するバッテリも搭載される。
【0013】
受電器2は、非接触で受電する電力を充電カート1に取り付けられる負荷へ供給する。充電カート1は、受電器2によって受電する電力で電子機器21の電源装置としてのバッテリを充電されるように構成する。受電器2が受電する電力で充電されるバッテリは、電子機器21が具備する内蔵バッテリであっても良い。また、受電器2が受電する電力によって充電されるバッテリは、電子機器21とは別の装置としてカート1に搭載されるモバイルバッテリなどの外部バッテリであっても良い。
【0014】
カート本体11は、利用者の操作によって商品を載せて移動する構成を有する。電子機器21は、利用者に対して情報を提供したり、サービスを提供したりするための機器である。受電回路22は、収納箱(回路ボックス)に収納されてカート本体11に取り付けられる。受電回路22は、受電コイル23が受電する電力を電子機器21に供給する。受電コイル23は、送電器4から伝送される電力を非接触で受電する。受電コイル23は、受電した電力を受電回路22へ供給する。
【0015】
なお、受電回路22を収納する収納箱には、電子機器21の電源として使用可能なモバイルバッテリなどの外部バッテリなどを設けても良い。この場合、受電回路22は、バッテリを充電させるための充電回路を含むものとすれば良い。受電回路22に含まれる充電回路は、受電コイル23からの電力によってバッテリを充電する。受電回路22の充電回路によって充電されるバッテリは、充電された電力を電子機器21へ供給するように構成すれば良い。
【0016】
カート本体11は、商品を収納する収納カゴ12を有する。収納カゴ12は、4つのキャスタ15(1512、1511、1522、1521)を設けたフレームによって支持される。4つのキャスタ15は、フレームの下部の四隅に設けられる。各キャスタ15(1512、1511、1522、1521)は、それぞれ移動方向に回転する前輪1312および1311、後輪1322および1321を有する。カート本体11は、各キャスタ15の車輪13が床面上で回転することにより移動する。また、各キャスタ15は、車輪13の回転方向が自在に回動するように構成される。これにより、カート本体11は、移動方向を自在に変えることができる。
【0017】
カート本体11において収納カゴ12の手前側には、ハンドル16が設けられる。ハンドル16は、利用者が把持する。例えば、利用者は、ハンドル16を把持してカート本体11を移動させる。本実施形態では、利用者が把持するハンドル16から収納カゴ12を押す方向を前進方向とするものとする。前輪1312および1311は、後述するカート収納システム3におけるガイドベース32および左右のガイドレール311、312に案内される被案内輪となる。
【0018】
また、4つのキャスタ15が四隅に設けられるフレームの下部は、前進方向において前側が狭く、後方が広く形成される。このため、前輪を支持するキャスタ1512および1511は、後輪を支持するキャスタ1522および1521よりも左右の幅が狭くなる。複数のカートを前後に連ねて収納する場合、後ろのカートのフレームは、前のカートのフレームに沿って重なるように収納される。これにより、収納位置に連なって収納される複数のカートは、前後の間隔が一定となるように構成される。
【0019】
また、実施形態においては、
図1に示すような収納カゴ12に対してハンドル16側を手前側とし、その反対側を先端側と称するものとする。収納カゴ12は、手前側の面が下端を自由端として開閉可能な開閉面121を有する。また、収納カゴ12は、開閉面121とする手前側の面よりも先端側の面が小さく形成される。これにより、複数のカートを前後に連ねて収納する場合、後ろのカートは、前のカートの開閉面121を押し上げて前後のカートの収納カゴ12が重なるように収納される。
【0020】
電子機器21(211、212、213)は、カート本体11に取り付けられる。
図1に示す構成例において、電子機器21は、収納カゴ12のハンドル16に取り付けられている。各電子機器21は、何れかの電子機器21に内蔵されたバッテリ又は受電回路22に含まれる外部バッテリからの電力によって駆動する。例えば、電子機器21は、利用者に情報を提供するためのタブレット端末等の情報端末、利用者が選択した商品の情報を取得する商品リーダ、あるいはクレジットカードや会員カード等を読み取るためのカードリーダである。
【0021】
図1に示す構成例において、電子機器21としては、タブレット端末211、商品リーダ212、および、カードリーダ213を例示する。タブレット端末211は、内蔵されたバッテリを有する電子機器の一例である。タブレット端末211は、商品リーダ212およびカードリーダ213に接続される。
【0022】
タブレット端末211は、タッチパネルを設けた表示部を有するコンピュータである。タブレット端末211は、ハンドル16側に位置する利用者に表示部を向けて設置される。例えば、タブレット端末211は、商品リーダ212によって読み取った商品の情報を表示する。また、タブレット端末211は、商品リーダ212により読み取った商品に対する精算処理を行うものであっても良い。
【0023】
電子機器21としての商品リーダ212は、商品の情報を読み取る装置である。商品リーダ212は、読み取った商品の情報を表示する表示部を有するものであっても良い。例えば、商品リーダ212は、収納カゴ12に出し入れする商品に添付されたバーコード等の商品識別情報を読み取るスキャナである。また、商品リーダ212は、商品に添付されたIDタグ等を読み取るIDタグリーダであっても良い。
電子機器21としての商品リーダ213は、利用者が所有するクレジットカードや会員カード等を読み取るためのカードリーダである。
【0024】
なお、電子機器21としては、タブレット端末211に代えて利用者が所持する携帯端末(スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末等)を接続するためのインターフェース機器を設けても良い。電子機器21としてのインターフェース機器に接続する携帯端末は、上述したタブレット端末211と同様な処理を行うようにしても良い。また、電子機器21としてのインターフェース機器は、携帯端末が具備するバッテリを充電するものであっても良い。なお、電子機器21としてのインターフェース機器は、バッテリを内蔵するものであっても良いし、別途設けたバッテリに接続するものであっても良い。
【0025】
図1に示す構成において、受電コイル23は、カート本体11を手前側から見て(前進方向に対して)、カート本体11の左の側面に取り付けられる。受電コイル23は、例えば、スパイラルコイルで構成され、受電面がカート本体11の左側に向くように設置される。これにより、受電コイル23は、カート収納システム3の収納位置に停止するカート本体11の側方に配置される送電器4(送電器4の送電コイル43)から送電される電力を非接触で受電する。
【0026】
なお、受電コイル23は、受電面が電力を送電する側の送電器4の送電面(送電器4の送電コイル43)に所定の間隔で対向するように配置される。すなわち、受電コイル23は、充電カート1をカート収納位置に収納した状態において、カート収納システム3の送電器4の送電面に対向する。
【0027】
例えば、受電コイル23は、送電器4(送電器4の送電コイル43)がカート本体11の右側に配置される場合、送電器4と対向するようにカート本体11の右側面に配置する。また、受電コイル23は、送電器4(送電器4の送電コイル43)が左右の両側に配置される場合、左右の送電器4と対向するようにカート本体11の両側面に配置する。
【0028】
また、送電器4(送電器4の送電コイル43)が収納位置の床面に設置される場合、受電コイル23は、床面の送電器4に対向するようにカート本体11を形成するフレームの下部に設ける。これにより、受電コイル23は、床面に設置した送電器4から送電される電力を受電するようにもできる。
【0029】
受電回路22は、充電カート1の操作などの妨害にならない箇所に設けられる収納箱の中に設けられる。受電回路22は、収納箱に収納された状態で受電コイル23に接続される。また、受電回路22を収納する収納箱には、バッテリも収納される。受電回路22は、充電回路を介してバッテリに接続される。また、受電回路22は、電子機器21に直接接続するようにしても良い。
【0030】
次に、実施形態に係るカート収納システム3の構成について説明する。
図1に示すように、カート収納システム3は、収納ベース30を有する。カート収納システム3は、収納ベース30上において充電カート1を収納するためのカート収納位置を形成する。カート収納位置は、複数の充電カート1がそれぞれ所定の停止位置に収納されるように構成される。
【0031】
収納ベース30には、充電カート1における4つの車輪13(1311、1312、1321、1322)を導くガイドレール311、312およびガイドベース32が設けられる。ガイドベース32は、左ガイドレール311と右ガイドレール312との間に設けられる。
【0032】
ガイドベース32は、左ガイドレール311との間に左の前輪1311を通過させる通路33を形成する。また、ガイドベース32は、右ガイドレール312との間に、右の前輪1312を通過させる通路34を形成する。通路33、34は、収納ベース30を掘り下げて形成した溝であっても良い。
【0033】
通路33および34は、収納ベース30上における充電カート1の移動方向を前進方向(進入方向)又は前進方向の逆方向である後進方向(取出方向)に規制しながら車輪1311および1312を通過させる。また、ガイドレール311は、前進方向又は後進方向に対する左の後輪1321を導くためのガイドとしても機能する。ガイドレール312は、前進方向又は後進方向に対する右の後輪1322を導くためのガイドとしても機能する。
【0034】
通路33および34の前端には、車輪を停止させるストッパ35が設けられる。ストッパ35は、収納ベース30上に最初に収納される充電カート1の前輪の停止位置を規定する。カート収納システム3に収納される1台目の充電カート1は、前進方向における位置がストッパ35によって決められる。カート収納システム3には、2台目以降の充電カート1が通路等で規制される移動方向に沿って移動し、先に収納されている充電カート1に重なり合った状態で収納される。これにより、カート収納システム3に収納される2台目以降の充電カート1は、停止位置(収納位置)が1台目の充電カート1の位置によって決められることとなる。
【0035】
また、収納ベース30には、フレームガイド36が設けられる。フレームガイド36は、充電カート1を収納する収納エリア(カート収納位置)であることを示すフレームである。利用者は、フレームガイド36が示す収納エリアにカートを収納するように、充電カート1をガイドレール311、312およびガイドベース32に沿って移動させる。
【0036】
図1に示す構成例において、フレームガイド36は、充電カート1を進入させる手前側を開放し、フレーム361、362、363でカート収納位置を囲むように形成する。フレーム(左側フレーム)361は、充電カート1のカート収納位置への進入方向に対して(手前側から見て)カート収納位置の左側に設けられる。フレーム(右側フレーム)362は、充電カート1のカート収納位置への進入方向に対して(手前側から見て)、カート収納位置の右側に設けられる。フレーム(前方フレーム)363は、充電カート1のカート収納位置への進入方向に対して(手前側から見て)カート収納位置の奥側(前方)に設けられる。
【0037】
なお、
図1に示す構成例では、充電カート1の移動方向をガイドする構成としてガイドレール311、312およびガイドベース32を設けた。ただし、カート収納システム3は、複数の充電カート1を収納ベース30上におけるカート収納位置に停止させるものであればよい。例えば、カート収納システム3は、ガイドレール311、312およびガイドベース32の何れか1つ又は2つを設置するようにしても良い。
【0038】
また、カート収納システム3は、車輪を通行させる通路を設けずに、充電カート1をカート収納位置に収納させるものであっても良い。例えば、収納ベース30に最初の1台目となるカート(あるいはカートに相当するもの)を固定しておき、固定されたカートに連ねて充電カート1を収納するようにしても良い。
【0039】
カート収納システム3は、複数の送電器4(401、402、403、404、405)を有する。各送電器4は、充電カート1に設けられた受電器2が非接触で受電可能な電力を送電する。各送電器4は、送電コイル43(
図2参照)と送電回路42(
図2参照)とを有する。送電コイル43は、送電用のアンテナとして機能する。送電器4において、送電コイル43は、送電回路42の動作によって非接触で受電コイル23が受電可能な電力を出力する。送電器4は、送電コイル43が収納ベース30におけるカート収納位置に停止した充電カート1に設けられた受電コイル23と対向するように設ける。
【0040】
図1に示す構成例において、複数の送電器4(401、402、403、404、405)は、支持部材としての支持パイプに取り付けられる。支持パイプは、カート収納位置における充電カート1の移動方向に沿うように、フレームガイド36の左側フレーム361に固定される。各送電器4は、カート収納位置に連ねて停止(収納)した状態の各充電カート1に取り付けられた受電コイル23に対応する位置に設ける。例えば、各送電器4は、移動方向において送電コイル43が所定間隔(収納される充電カートの間隔)で並ぶように充電カート1の受電コイル23の高さに合わせて支持パイプに取り付けられる。
【0041】
カート収納システム3は、収納ベース30上における収納位置への充電カート1の進入を阻止するためのゲート機構50を有する。ゲート機構50は、ガイドベース32に設けられる。ゲート機構50は、移動ブロック51、52、モータおよび駆動回路などを有する。ゲート機構50は、後述する制御回路55からの制御信号に応じて駆動回路によりモータを駆動させることにより、カート収納位置の出入口に設けるゲートとしての移動ブロック51、52を動作させる。
【0042】
移動ブロック51、52は、モータの動作によってカートの進入を阻止する位置(閉鎖位置)、あるいは、カートの進入又は取出しを許可する位置(開放位置)に移動する。閉鎖位置は、カートがカート収納位置に進入することを阻止するために、通路上においてカートの車輪の通過を阻止する位置となる。移動ブロック51、52が閉鎖位置にあると、カートがカート収納位置に進入できなくなる。また、開放位置は、移動ブロック51、52がカートの進入又は取出しを阻害しないようにする位置である。移動ブロックが開放位置にあると、カートのカート収納位置への進入又はカート収納位置からのカートの取出しができるようになる。
【0043】
ゲート機構50は、制御回路55からカートの通過禁止(ゲート閉鎖)を指示する制御信号を受けると、モータを動作させて移動ブロック51、52を閉鎖位置へ移動させる。これにより、ゲート機構50は、カートがカート収納位置に進入することを禁止した状態とする。また、ゲート機構50は、制御回路55からカートの通過許可(ゲート開放)を指示する制御信号を受けると、移動ブロック51、52を開放位置に移動させる。これにより、ゲート機構50は、カートをカート収納位置に進入させたりカートをカート収納位置から取出させたりすることを許可した状態とする。
【0044】
図1に示す構成例において、ゲート機構50は、ガイドベース32におけるカート収納位置への出入口となる位置に設けられる。ゲート機構50は、モータの動作により収納ベース30におけるカートの移動方向とは垂直な方向(左右方向)に移動する左右の移動ブロック51、52で構成される。左右の移動ブロック51、52は、カート収納位置の出入口でカートの通過を阻止するためのゲートである。ゲート機構50は、移動ブロック51、52を通路33、34上に突き出ることによりカートの車輪が通路33、34を通過することを阻止する。また、ゲート機構50は、移動ブロック51、52を通路上から取り除くことにより通路33、34をカートの車輪が通過できるようにしてカート収納位置へのカートの進入および取出しを許可する。
【0045】
図1に示す構成例において、ゲート機構50は、モータ動作により移動ブロック51、52を通路33、34上に突き出したり、通路33、34から引っ込めたりする。移動ブロック51、52は、
図1に示すように、通路33、34上に突き出ることによりカートの車輪(前輪)が通路33、34を通過することを阻止する。移動ブロック51、52が通路33、34上に突き出た状態がカートの車輪の通過を阻止するロック状態(ゲート閉鎖)である。すなわち、ゲート機構50は、ゲートとしての移動ブロック51、52を閉鎖位置に移動させることにより、ゲート閉鎖としてカート収納位置の出入口をカートが通過することを禁止する。ゲート機構50がゲート閉鎖すると、カート収納位置への進入およびカート収納位置からの取出しが不可となる。
【0046】
また、移動ブロック51、52は、モータ動作によりガイドベース32内に収納されることによりカートの車輪(前輪)が通路33、34を通行できるようにする。移動ブロック51、52が通路33、34上から取り除かれてガイドベース32内に収納された状態がカートの通過を許可するロック解除状態(ゲート開放)である。すなわち、ゲート機構50は、ゲートとしての移動ブロック51、52をガイドベース32に収納することにより、ゲート開放としてカート収納位置の出入口をカートが通過することを許可する。ゲート機構50がゲート開放すると、カート収納位置への進入およびカート収納位置からの取出しが可能となる。
【0047】
さらに、カート収納システム3は、制御回路55およびタグ検知器56を有する。
図1に示す構成例において、制御回路55およびタグ検知器56は、ガイドベース32に設置される。また、制御回路55は、ゲート機構50のモータを動作させて移動ブロック51、52を移動させる。制御回路55は、カート収納位置へのカートの進入を禁止する場合、ゲート機構50により移動ブロック51、52を閉鎖位置へ移動させることでロック状態とする。制御回路55は、カート収納位置への進入又はカート収納位置からの取出しを許可する場合、ゲート機構50に移動ブロック51、52を収納させることでロック解除状態とする。
【0048】
なお、通路33、34を設けない構成とする場合、ゲート機構50に代えて、カート収納位置へのカートの進入を阻止するゲートを設けるようにすれば良い。このようなゲートは、上述したゲート機構50と同様な動作制御によって閉鎖(ロック)と開放(ロック解除)とが制御されるように構成すれば良い。
【0049】
タグ検知器56は、充電カート1が収納位置に進入(接近)してきたことを検知する進入検知器の一例である。タグ検知器56は、充電カート1を示すタグを検知する。タグ検知器56が検知するタグは、例えば、RFIDタグである。運用の一例として、充電カート1を示すタグは、充電カート1に取り付けるものとする。タグ検知器56は、カート収納位置に接近する充電カート1の前輪が移動ブロック51、52の閉鎖位置に至る手前で充電カート1に取り付けたタグを検知するように配置する。
【0050】
図1に示す構成例において、タグ検知器56は、ガイドベース32におけるゲート機構50の近傍に設置される。また、タグ検知器56は、ゲート機構50よりも手前側に配置しても良い。これに対して、タグは、例えば、充電カート1を形成するフレーム下部の前方(先端側)に取り付ける。これにより、タグ検知器56は、収納位置に進入(接近)してくる充電カート1の車輪が移動ブロック51、52に達するまでの位置で当該充電カート1に取り付けられたタグを検知できる。
【0051】
ただし、タグは、充電カート1の使用者が所持するようにしても良い。例えば、充電カート1の使用を希望する利用者に店舗が充電カート1に対応づけたタグを貸し出すような運用としても良い。利用者は、店舗から渡されたタグを所持しながら充電カート1を使用する。この場合、タグ検知器56は、充電カート1を使用する利用者が所持するタグを検知するように構成する。例えば、タグ検知器56は、収納位置へ充電カート1を進入させる操作を行う利用者が所持するタグを検知するように設置するようにすれば良い。
【0052】
なお、充電カート1がカート収納位置へ接近することを検知する進入検知器は、タグを検知するタグ検知器56に限定されない。進入検知器は、収納位置に進入してくるカートが充電カートであるか充電カート以外のカートであるかを検知できるものであれば良い。例えば、進入検知器は、収納位置に進入してくる充電カート1の前方位置に表示されたバーコード又はマークを読み取るためのスキャナやカメラであっても良い。この場合、進入検知器としてのスキャナ又はカメラは、収納位置に接近してくる充電カート1を撮像した画像から充電カートであることを示すバーコード又はマークを認識するようにしてすれば良い。
【0053】
次に、実施形態に係るカート収納システム3および充電カート1に搭載される受電器2を含む受電システムの制御系の構成について説明する。
図2は、実施形態に係るカート収納システム3と充電カート1に搭載される受電器2を含む受電システムとの制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、カート収納システム3は、制御回路55に、送電器4(401、…、405)、ゲート機構50およびタグ検知器56が接続される構成を備える。また、複数の送電器4(401、…、405)には、それぞれACアダプタ60(601、…、605)が接続される。
【0054】
ACアダプタ60は、商用の交流電源などに接続される。ACアダプタ60は、AC/DC変換回路を備える。ACアダプタ60は、商用の交流電源からの交流電力を直流電力に変換する。ACアダプタ60は、交流電力から変換した直流電流を接続される送電回路42へ供給する。
図2に示す例では、各ACアダプタ60は、対応する送電器4の送電回路42へ直流電流を供給する。ただし、1つのACアダプタ60が複数の送電器4に接続されるように構成しても良い。
【0055】
また、
図2に示す例において、制御回路55は、送電器405の送電回路42を介してACアダプタ605からの動作用の電力(動作電源)を取得するように接続される。さらに、制御回路55は、ACアダプタ605から送電器405の送電回路42を経由して供給される動作用の電力をゲート機構50およびタグ検知器56へ供給する。これにより、制御回路55、ゲート機構50およびタグ検知器56にも動作用の電源が供給されるように構成される。ただし、制御回路55、ゲート機構50、タグ検知器56には、それぞれ独立したACアダプタから動作電源が供給されるように構成しても良い。
【0056】
各送電器4(401、…、405)は、それぞれ送電回路42および送電コイル43を有する。送電回路42は、ACアダプタ(AC/DC変換回路)から直流電力が供給される。送電回路42は、送電コイル43に共振電流を供給する。例えば、送電回路42は、DC/DC変換回路、駆動回路、および、共振用コンデンサなどを備える。
【0057】
送電回路42のDC/DC変換回路は、ACアダプタ60からの直流電圧を駆動回路の動作に適した電圧に変換する。また、DC/DC変換回路は、制御回路55を動作させるための電力を生成し、制御回路55に供給するようにしても良い。
図2に示す構成例では、送電器405の送電回路42におけるDC/DC変換回路が制御回路55を動作させるための電力を制御回路55へ供給する。
【0058】
送電回路42の駆動回路は、送電コイル43から送電するための送電電力を生成し、生成した送電電力を送電コイル43に供給する。例えば、駆動回路は、制御回路の制御に基づいてスイッチングすることにより直流電力から送電電力としての交流電力を生成する。 送電コイル43は、送電回路42から供給される送電電力に応じて受電コイル23が受電可能な電力を出力する。送電コイル43は、電力を送電する送電面が平面状に形成される。送電コイル43の送電面は、
図1に示すように、カート1の取り付けられる受電コイル231の受電面に対向するように配置される。
【0059】
送電コイル43は、接続される送電回路42の共振用コンデンサと接続されることにより共振回路(送電共振回路)を構成する。送電共振回路としての送電コイル43は、駆動回路から交流電力が供給されると、供給された交流電力に応じた磁界を発生させる。送電コイル43は、複数本の絶縁された電線から成るリッツ線による巻線構造として構成されていても良いし、プリント基板上にコイルパターンが形成されて構成されていても良い。
【0060】
制御回路55は、各送電器4の送電回路42、ゲート機構50およびタグ検知器56を制御する。例えば、制御回路は、プロセッサとメモリとを備えたもので実現しても良い。制御回路55は、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムおよび制御データに基づいて種々の処理を行うことができる。
【0061】
例えば、制御回路55は、各送電器4から受電器2が非接触で受電可能な電力を出力させる制御を行う。制御回路55は、送電回路42により送電コイル43に流れる電流を制御することにより発生する磁界によって電力の送電を制御する。また、制御回路55は、送電回路42における送電コイル43に間欠的に磁界を発生させるようにしても良い。
【0062】
また、制御回路55は、送電回路42の動作状態を検出することにより送電器4と受電器2との位置関係を検出する。例えば、制御回路55は、送電コイル43間の電圧と流れる電流を検出することにより当該送電コイル43が対向する受電コイル23との位置関係を判定する。例えば、制御回路55は、充電カート1がカート収納位置から引き出された場合、送電コイル43間の電圧と流れる電流に基づいて充電カートが引き出されたことを判断する。また、制御回路55は、送電コイル43と受電コイル23との結合計数を算出することにより送電コイル43と受電コイル23との位置関係を判断するようにしても良い。
【0063】
また、制御回路55は、ゲート機構50の駆動を制御する。例えば、制御回路55は、カート収納位置へのカートの進入を阻止(禁止)する場合、ゲート機構50にゲートを閉鎖させる。制御回路55は、ゲート機構50に移動ブロック51、52を通路33、34上に突き出させて閉鎖位置に移動させる。これにより、カートの車輪が通路33、34を通行できなくなり、カート収納位置の出入口をカートが通過することが禁止される。
【0064】
また、制御回路55は、カート収納位置への充電カートの進入又はカート収納位置からの受電カートの取出しを許可する場合、ゲート機構50にゲートを開放させる(移動ブロックを開放位置に移動させる)。制御回路55は、ゲートを開放する場合、ゲート機構50に対して移動ブロック51、52を通路33、34から取り除いてガイドベース32内に収納させる。これにより、カートの車輪が通路33、34を通行できるようになり、カート収納位置の出入口をカートが通過することが許可される。
【0065】
また、制御回路55は、タグ検知器56からタグの検知結果を示す情報を取得する。制御回路55は、進入検知器としてのタグ検知器56が充電カート1を示すタグを検知した場合に充電カート1がカート収納位置へ進入(接近)してきたことを検知する。
【0066】
次に、カート収納システム3からの電力を受電する充電カート1に搭載される受電器(受電システム)2の構成について説明する。
図2に示すように、個々の充電カート1に搭載される受電器2は、受電回路22と受電コイル23とを有する。受電器2において、受電回路22は、受電コイル23に接続される。
図1に示す構成例では、カート本体11の左側の側面に取り付けられる受電コイル23が収納箱内に設置される受電回路22に接続される。さらに、受電回路22は、負荷としての電子機器21又は電子機器21の電源となるバッテリに接続される。
【0067】
受電コイル23は、送電コイル43からの送電電力を受電し、受電した電力を受電回路22へ供給する。受電コイル23は、電力を受電する受電面が平面状に形成される。カート収納位置における所定の停止位置した各充電カート1の受電コイル23は、受電面がカート収納システム3の収納ベース30に設置された送電器4の送電コイル43に対向するように、カート本体11における左側面に設置される。
【0068】
受電回路22は、例えば、共振用コンデンサ、整流平滑回路、制御回路、および、DC/DC変換回路などにより構成される。受電コイル23は、受電回路22の受電用の共振用コンデンサと接続されることにより、共振回路(受電共振回路)を構成する。受電共振回路としての受電コイル23は、近接する送電コイル43と電磁結合する。受電コイル23では、送電コイル43から出力された磁界によって誘導電流が発生する。受電コイル23は、複数本の絶縁された電線から成るリッツ線による巻線構造として構成されていても良いし、プリント基板上にコイルパターンが形成されて構成されていても良い。
【0069】
受電共振回路としての受電コイル23は、受電した交流電力を整流平滑回路に供給することにより、送電コイル43からの交流電力を受電している間、交流電源として機能する。受電回路22は、受電コイル23が受電した受電電力を整流平滑回路により電子機器21などの負荷へ供給可能な電力に変換する。受電回路22は、整流平滑回路により得た電力を負荷に与えるべき電力に変換し、電子機器21などの負荷に出力する。
【0070】
また、受電回路22は、負荷として接続されるバッテリを受電するための充電回路を含むものとしても良い。この場合、受電コイル23が受電する電力は、受電回路22において充電用の電力(充電電力)に変換され、バッテリへ供給される。例えば、受電回路22に含まれる充電回路は、受電コイル23が受電した電力をバッテリの充電に用いる直流電流(充電電力)に変換する。これにより、受電回路22に含まれる充電回路は、非接触で受電した電力をバッテリ充電用となる所定の電流値および電圧値の充電電力に変換してバッテリへ供給する。
【0071】
次に、実施形態に係るカート収納システム3にカートが収納される場合の動作について説明する。
図3は、実施形態に係るカート収納システム3においてカートが収納される場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
ここで、充電カート1と充電不要なカートとが混在する店舗にカート収納システム3が設置されている場合を想定する。店舗において、充電カート1の使用者は、カート収納システム3におけるカート収納位置に充電カート1を収納することで当該充電カート1を返却する。
【0072】
まず、カート収納システム3の制御回路55は、供給される動作用の電力により起動し(ACT11)、各部を動作可能な状態とする。制御回路55は、進入検知器としてのタグ検知器56によるタグの検知結果に基づいてカート収納位置への充電カート1の接近を検出する(ACT12)。タグ検知器56は、制御回路55を経由して供給される動作用の電力によって動作する。タグ検知器56は、カート収納位置への進入口の近傍を検知範囲として充電カート1を示すタグを検知する。タグ検知器56は、タグを検知すると、タグを検知したことを制御回路55へ通知する。制御回路55は、タグ検知器56が検知範囲にあるタグを検知した場合に充電カート1が接近したものと判断する。
【0073】
例えば、タグ検知器56は、充電カート1に取り付けられたタグとしてのRFIDタグを読み取る。この場合、タグ検知器56は、検知範囲となる通信範囲にあるタグからの応答としてタグIDを取得する。制御回路55は、タグ検知器56がタグから取得したタグIDが充電カート1を示すタグIDである場合に充電カート1が接近したものと判定するようにしても良い。
【0074】
なお、進入検知器は、RFIDタグを読み取るタグ検知器でなくても良く、収納位置に接近するカートが充電カート1であることを検知できるものであれば良い。例えば、進入検知器は、充電カート1であることを示すバーコート又はマークを読み取る読取装置(スキャナ又はカメラ)であっても良い。この場合、進入検知器としての読取装置は、収納位置に接近するカートを撮影した撮影画像から充電カート1であることを示すバーコート又はマークを検知する。制御回路55は、進入検知器としての読取装置が検知するバーコート又はマークなどに基づいて充電カート1が接近したことを検知する。
【0075】
制御回路55は、カート収納位置への充電カート1の接近を検出しなければ(ACT12、NO)、カートがカート収納位置へ進入することを禁止する(ACT17)。すなわち、制御回路55は、タグ検知器56が充電カート1を示すタグを検知しなければ、ゲート機構50により移動ブロック51、52を通路33、34に突き出した状態(ゲート閉鎖)とする。これにより、カートの車輪が通路33、34を通過できなくなるため、カート収納位置に充電カート1以外のカートが進入することを阻止できる。
【0076】
制御回路55は、カート収納位置への充電カート1の接近を検出した場合(ACT12、YES)、カートがカート収納位置へ進入することを許可する(ACT13)。制御回路55は、タグ検知器56が充電カート1を示すタグを検知した場合、ゲート機構50により移動ブロック51、52を通路33、34上から取り除いた状態(ゲート開放)とする。これにより、接近してきた充電カート1は、車輪が通路33、34を通行できるようになりカート収納位置へ進入することが可能となる。
【0077】
カート収納位置への進入を許可した場合、制御回路55は、送電器4を間欠的に動作(間欠通電)させる(ACT14)。制御回路55は、間欠通電として送電器4から間欠的に電力を送電させ、カート収納位置における所定の停止位置に充電カート1が収納されたかを判断する(ACT15)。
【0078】
例えば、制御回路55は、送電器4から間欠的に電力を送電させるとともに、送電回路42から送電コイル43間の電圧と流れる電流を示す情報を取得する。制御回路55は、送電回路42から取得する情報により受電器2への電力の送電状態を判断する。充電カート1が所定の停止位置に収納されると、当該充電カート1の受電コイル23は、所定位置に配置されている送電コイル43と対向する位置になる。カート収納システム3は、受電コイル23と送電コイル43とが対向すると、送電器4が受電器2へ送電する電力が規定値となるように設計されている。このため、制御回路55は、送電コイル43を流れる電流が所定の閾値以上となると、受電コイル23を取り付けた充電カート1が所定の停止位置に収納されたものと判断する。
【0079】
充電カート1が所定の停止位置に収納されたと判断した場合(ACT15、YES)、制御回路55は、カートがカート収納位置へ進入することを禁止する(ACT17)。すなわち、制御回路55は、充電カート1が所定位置に収納されると、ゲート機構50により移動ブロック51、52を通路33、34に突き出した状態(ゲート閉鎖)とする。これにより、カートの車輪が通路33、34を通過できないようにでき、充電カート1以外のカートがカート収納位置に進入することを阻止できる。この状態で所定の停止位置に収納された充電カート1が充電される。
【0080】
充電カート1が所定位置に収納されていないと判断した場合(ACT15、NO)、制御回路55は、当該充電カート1の接近を検知(充電カート1を示すタグを検知)してからの経過時間が所定時間経過したかを判断する(ACT17)。経過時間が所定時間内であれば(ACT16、NO)、制御回路55は、ACT13へ戻り、通路を開放した状態のままとして上述の処理を再度実行する。
【0081】
また、経過時間が所定時間を超えた場合(ACT18、YES)、制御回路55は、カートのカート収納位置への進入を禁止した状態とする(ACT17)。すなわち、制御回路55は、接近する充電カート1を検知した後に充電カート1がカート収納位置に収納されたことを確認できない場合、ゲート機構50により移動ブロック51、52を通路33、34に突き出した状態(ゲート閉鎖)とする。これにより、接近する充電カート1を検知した場合であっても、所定時間が経過すれば、カートがカート収納位置に進入することを阻止するようにできる。
【0082】
以上のように、カート収納システムは、充電カートを示すタグをカート収納位置の入口の近傍で検出された場合に充電カートが接近したことを検出する。カート収納システムは、充電カートの接近を検出した場合に、カートが収納される迄、又は、所定時間が経過する間、カート収納位置への進入を許可する。カート収納システムは、充電カートの接近を検出していない場合、カート収納位置への進入を禁止する。これにより、カート収納システムは、充電カートがカート収納位置へ進入すること許可し、充電カート以外が接近してもカート収納位置へ進入させないようにできる。
【0083】
次に、実施形態に係るカート収納システム3においてカート収納位置からカートが取り出される場合の動作について説明する。
図4は、実施形態に係るカート収納システム3においてカート収納位置からカートを取り出す場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
カート収納システム3の制御回路55は、充電カート1の接近がなければ、カート収納位置への進入を禁止した状態のままとする(ACT21)。制御回路55は、移動ブロック51、52を通路33、34に突き出したままとすることによりカート収納位置へのカートの進入を禁止する。
【0084】
カート収納位置へのカートの進入を禁止した状態において、制御回路55は、カート収納位置に収納された充電カート1が引き出されたことを検知する(ACT22)。例えば、制御回路55は、カート収納位置に収納された充電カート1を所定位置から引き出した場合に対応する送電器4における送電コイルの電力が減少することを検知する。
【0085】
すなわち、制御回路55は、カート収納位置に収納された充電カート1の受電器2に対して送電器4から電力を給電(送電)する。充電カート1の受電器2は、送電器4から送電される電力を受電し、受電した電力によりバッテリを充電する。制御回路55は、送電器4から電力を送電している場合、送電コイル43間の電圧と流れる電流とを示す検出信号を送電回路42から取得する。
【0086】
また、制御回路55は、充電カート1に搭載する受電器2がバッテリの充電を完了した場合、間欠的に送電器4に通電(間欠通電)させる。制御回路55は、間欠通電によって送電器4から送電コイル間の電圧と流れる電流とを検出する。これにより、制御回路55は、充電中および充電完了後である所定の停止位置に収納された充電カート1に対応する位置に設置された送電器4における送電コイルの電力を常時検出する。
【0087】
制御回路55は、各送電器4から取得する送電コイル間の電圧と流れる電流とにより送電器4に対応する位置の充電カート1が引き出されたことを検出する。すなわち、充電カート1を所定位置から引き出すと、当該充電カート1に対向する送電器4における送電コイルの電力が減少する。このような現象を検出することにより、制御回路55は、充電カート1が引き出されたことを検出する。例えば、制御回路55は、送電器4における送電コイルを流れる電流があらかじめ定めた閾値電流未満に減少した場合、当該送電器4に対応する位置の充電カート1が移動させられた(引き出された)ものと判断する。
【0088】
ここで、制御回路55は、送電器4の送電コイル43と対向する受電コイル23との結合計数を算出するようにしても良い。この場合、制御回路55は、結合計数の変化によって受電コイルが取り付けられた充電カート1が所定の停止位置から移動させられた(引き出された)ものと判断するようにしても良い。
【0089】
なお、カート収納システム3は、カート収納位置に収納された充電カート1が引き出されたことを検知する検知センサを設けるようにしても良い。このような構成の場合、制御回路55は、検知センサによる検知結果に基づいてカート収納位置に収納された充電カート1が引き出されたことを検出するようにすれば良い。
【0090】
制御回路55は、カート収納位置に収納された充電カート1の引出を検出した場合(ACT22、YES)、充電カート1をカート収納位置から取り出すことを許可する(ACT23)。制御回路55は、充電カート1の引出を検出した場合、ゲート機構50により移動ブロック51、52を通路33、34上から取り除いた状態(ゲート開放)とする。これにより、カート収納位置に収納されている充電カート1は、車輪が通路33、34を通行できるようになりカート収納位置から取り出すことが可能となる。
【0091】
また、充電カート1の引出を検出した場合、制御回路55は、当該充電カート1の取出しを許可してからの経過時間が所定時間経過したかを判断する(ACT24)。経過時間が所定時間内であれば(ACT24、NO)、制御回路55は、ACT23へ戻り、通路を開放した状態のままとする。
【0092】
経過時間が所定時間を超えた場合(ACT24、YES)、制御回路55は、ACT21へ戻り、カート収納位置へのカートの進入を禁止する状態(ゲート閉鎖)とする。すなわち、制御回路55は、充電カート1が所定位置から引き出されたことを検知した後に所定時間が経過すると、ゲート機構50により移動ブロック51、52を通路33、34に突き出した状態(ゲート閉鎖)とする。これにより、充電カート1が所定位置から引き出された場合、所定時間が経過後に移動ブロック(ゲート)が通路上にセットされ、カートがカート収納位置に進入できない状態とすることができる。
【0093】
なお、タグ検知器56によるタグの検知範囲がカート収納位置の進入口手前に限定される場合、制御回路55は、充電カート1がカート収納位置から完全に取り出されたことを検知するようにしても良い。制御回路55は、タグ検知器56がカート収納位置に収納されていた充電カート1のタグを検知した場合に、当該充電カート1がカート収納位置から完全に取り出されたと判断することができる。
【0094】
すなわち、制御回路55は、タグ検知器56がカート収納位置から取り出された充電カート1のタグを検知した場合(進入検知器が進入口手前でカート収納位置から取り出された充電カート1を検知した場合)、移動ブロック51、52を通路33、34上に突き出して通過禁止状態(ゲート閉鎖)とする。これにより、カート収納システムは、充電カート1がカート収納位置から完全に取り出されたことを検知した場合にカート収納位置へのカートの進入を禁止する状態にできる。
【0095】
以上のように、カート収納システムは、カート収納位置における充電カートの引出を検出した場合に、カート収納位置から充電カートを取出すことを許可する。カート収納システムは、充電カートの引出を検出した場合、所定時間が経過する間、カート収納位置からの充電カートの取出しを許可する。また、カート収納システムは、充電カートの引出を検出していない場合、カート収納位置への進入を禁止する。これにより、カート収納システムは、カート収納位置から取り出されること許可し、充電カート以外が接近してもカート収納位置へ進入させないようにできる。
【0096】
(変形例)
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
図5は、実施形態の変形例に係るカート収納システム303に充電カート1を収納した状態を示す斜視図である。
図5に示す変形例において、カート収納システム303は、
図1に示すカート収納システム3に人感センサ70を設けた構成を有する。人感センサ70は、カート収納位置の入口の手前側に設置される。人感センサ70は、充電カート1をカート収納位置に収納しようとする利用者、又は、カート収納位置に収納された充電カート1を取り出そうとする利用者を検知する。制御回路55は、人感センサ70で人物を検知したことを条件として上述した
図3又は
図4に示す動作を実行するようにしても良い。
【0097】
これにより、変形例に係るカート収納システムは、カートの収納(返却)又はカートの取出(貸出)を行う利用者が実在する場合に上述した処理を実行するようにできる。この結果、収納又は取出しの対象とする充電カート1に対応づけるタグは別のタグをタグ検知器が検出することによる誤動作を防ぐことができる。
【0098】
以上のように、実施形態に係るカート収納システムは、充電カートの進入又は充電カートの取出しを待っている場合、カート収納位置の出入口をカートが通過できない状態とする。すなわち、カート収納システムは、カート収納位置の入口に接近する充電カートを検知していない場合、又は、カート収納位置に収納した充電カートが引き出されたことを検知していない場合、カートの車輪の通過を阻止するゲートとしての移動ブロックをゲート機構により通路上にセットする。
【0099】
これにより、カート収納システムは、カート収納位置の出入口をカートが通過できないようにできる。仮に利用者が充電カート以外のカートをカート収納位置に収納しようとしても、通路上にセットされた移動ブロックに妨害されてカートの車輪は通過できない。このため、充電カート以外のカートがカート収納位置に進入することを阻止できる。
【0100】
また、実施形態に係るカート収納システムは、カート収納位置の接近する充電カートを検知した場合、カート収納位置の入口をカートが通過できる状態とする。実施形態に係るカート収納システムは、タグ検知器が入口付近で充電カートを示すタグを検知した場合、ゲート機構によりカートの車輪の通過を阻止するゲートとしての移動ブロックを通路上から排除する。
【0101】
これにより、カート収納システムは、充電カートがカート収納位置に接近する場合にカート収納位置の入口を開放するようにできる。言い換えると、カート収納システムは、タグを伴わない充電カート以外のカートがカート収納位置の入口にあっても当該カートをカート収納位置へ進入できないようにできる。この結果、カート収納システムは、充電カートをカート収納位置へ収納させ、充電カート以外のカートをカート収納位置へ収納させないようにすることができる。
【0102】
また、実施形態に係るカート収納システムは、カート収納位置に収納した充電カートが引き出されたことを検知した場合、カート収納位置の入口をカートが通過できるようにする。実施形態に係るカート収納システムは、送電器から取得する充電カートに取り付けられた受電コイルとの位置関係の変化を示す検知信号に基づいて充電カートが引き出されたことを検出する。実施形態に係るカート収納システムは、充電カートが引き出されたことを検知すると、ゲート機構によりカートの車輪の通過を阻止するゲートとしての移動ブロックを通路上から排除する。
【0103】
これにより、カート収納システムは、カート収納位置に収納した充電カートが引き出されたことを検知した場合、カート収納位置の出口を開放することができ、充電カートをカート収納位置から取り出せるようにできる。この結果、カート収納システムは、充電カート以外のカートをカート収納位置へ進入させないようにしつつ、カート収納位置に収納した充電カートが引き出された場合に充電カートをカート収納位置から取り出せるようにできる。
【0104】
以上のように、実施形態に係るカート収納ユニットは、充電カート以外のカートをカート収納位置に進入させることなく、充電カートをカート収納位置に収納させることができる。この結果、実施形態に係るカート収納ユニットによれば、カート収納位置に充電カートと充電カート以外のカートとが混在して収納されることを無くすことができる。また、実施形態に係るカート収納ユニットによれば、カート収納位置に充電カート以外のカートが収納されないため、カート収納位置における個々の充電カートの停止位置(所定位置)に対応して設置した複数の送電器からの各受電器への給電効率が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1…充電カート(カート)、2…受電器、3…カート収納システム、4…送電器、21…電子機器(負荷)、22…受電回路、23…受電コイル、33、34…通路、42…送電回路、43…送電コイル、50…ゲート機構、51、52…移動ブロック(ゲート)、55…制御回路、56…タグ検知器(進入検知器)。