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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20240826BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240826BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240826BHJP
   B60L 53/302 20190101ALI20240826BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20240826BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240826BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/90
B60L53/302
B60L58/26
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020150674
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045152
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三松 隼太
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 裕太
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰史
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-193031(JP,A)
【文献】特開2016-226087(JP,A)
【文献】特開2014-093208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0158063(US,A1)
【文献】国際公開第2013/051150(WO,A1)
【文献】特開2013-208012(JP,A)
【文献】特開2016-135044(JP,A)
【文献】特開2013-118735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/10
H02J 50/90
B60L 53/302
B60L 58/26
B60M 7/00
B60L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
バッテリに電気的に接続され、前記車体の底面の下方に配置され、地面側に設置された送電コイルから送出される電力を非接触で受電可能な主受電コイルと、
前記主受電コイルの径方向の外側かつ前記底面の下方に配置され、前記バッテリには電気的に接続されておらず、前記送電コイルから送出される電力を非接触で受電可能な副受電コイルと、
前記副受電コイルと電気的に接続され、前記副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、前記底面の所定の部分に向けて送風するファンと、
を備え
前記所定の部分は、前記底面の前記副受電コイルの上方の領域を含む第1部分、および、前記底面の前記主受電コイルの上方に位置し、かつ前記主受電コイルの中心よりも前記副受電コイル寄りの領域を含む第2部分の一方または両方である、車両。
【請求項2】
前記ファンは、下方から見た場合に、前記主受電コイルの中心に対して、前記主受電コイルの中心から前記副受電コイルに向かう方向側に配置されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記底面と前記主受電コイルとの間において、下方から見た場合に前記主受電コイルの全体と重なるように配置されるシールドをさらに備え、
前記副受電コイルは、下方から見た場合に、前記シールドと重ならない位置に配置される、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサと、
前記主受電コイルの温度を検出するコイル温度センサと、
前記ファンを制御する制御部と、
をさらに備え
前記バッテリは、前記底面の上方において、下方から見た場合に前記主受電コイルの全体と重なるように配置され、
前記ファンは、送風方向を下方および上方のうちいずれか一方に切り替え可能に構成されており、かつ前記底面と前記バッテリとの間の空間内において、下方から見た場合に、前記主受電コイルの中心に対して、前記主受電コイルの中心から前記副受電コイルに向かう方向側に配置され、
前記制御部は、前記バッテリの温度および前記主受電コイルの温度に基づいて前記ファンの送風方向を制御する、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記ファンは、上方に向けて温風を送風可能であり、
前記制御部は、前記バッテリの温度に基づいて、前記温風の温度を制御する、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記副受電コイルは、下方から見た場合に、前記主受電コイルの周囲において周方向の異なる位置に複数配置されており、
前記複数の副受電コイルにそれぞれ対応する複数の前記ファンが配置されており、
前記複数のファンは、それぞれが対応する前記副受電コイルのみに電気的に接続される、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両。
【請求項7】
前記複数の副受電コイルは、
前記主受電コイルの中心よりも左側に配置される第1副受電コイルと、
前記主受電コイルの中心よりも右側に配置される第2副受電コイルと、
前記主受電コイルの中心よりも前側に配置される第3副受電コイルと、
前記主受電コイルの中心よりも後側に配置される第4副受電コイルと、
を含み、
前記複数のファンは、
前記第1副受電コイルと電気的に接続され、前記主受電コイルの中心よりも左側に配置され、前記第1副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、前記底面の前記主受電コイルの中心よりも左側の部分に向けて送風する第1ファンと、
前記第2副受電コイルと電気的に接続され、前記主受電コイルの中心よりも右側に配置され、前記第2副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、前記底面の前記主受電コイルの中心よりも右側の部分に向けて送風する第2ファンと、
前記第3副受電コイルと電気的に接続され、前記主受電コイルの中心よりも前側に配置され、前記第3副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、前記底面の前記主受電コイルの中心よりも前側の部分に向けて送風する第3ファンと、
前記第4副受電コイルと電気的に接続され、前記主受電コイルの中心よりも後側に配置され、前記第4副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、前記底面の前記主受電コイルの中心よりも後側の部分に向けて送風する第4ファンと、
を含む、請求項6に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触充電が可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド車などの車両に搭載されるバッテリを、外部から非接触で充電する技術がある(例えば、特許文献1)。このような非接触充電では、地面側に設置された送電コイルから送出された電力が車両側の受電コイルで受電され、受電された電力によってバッテリが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-135572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、車両の停車位置によっては、送電コイルに対して受電コイルの相対位置がずれることがある。そうすると、送電コイルで発生した磁束の一部が受電コイルの周囲に漏れることがある。このような漏れ磁束が生じると、受電コイル付近の車体などが、意図せずに加熱されることがある。その結果、例えば、車体のボルトに意図しないヒートサイクルがかかりボルトの緩みなどが生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を抑制することが可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、車体と、バッテリに電気的に接続され、車体の底面の下方に配置され、地面側に設置された送電コイルから送出される電力を非接触で受電可能な主受電コイルと、主受電コイルの径方向の外側かつ底面の下方に配置され、バッテリには電気的に接続されておらず、送電コイルから送出される電力を非接触で受電可能な副受電コイルと、副受電コイルと電気的に接続され、副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、底面の所定の部分に向けて送風するファンと、を備え、所定の部分は、底面の副受電コイルの上方の領域を含む第1部分、および、底面の主受電コイルの上方に位置し、かつ主受電コイルの中心よりも副受電コイル寄りの領域を含む第2部分の一方または両方である
また、ファンは、下方から見た場合に、主受電コイルの中心に対して、主受電コイルの中心から副受電コイルに向かう方向側に配置されているようにしてもよい。
また、底面と主受電コイルとの間において、下方から見た場合に主受電コイルの全体と重なるように配置されるシールドをさらに備え、副受電コイルは、下方から見た場合に、シールドと重ならない位置に配置されるようにしてもよい。
【0007】
また、車両は、バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサと、主受電コイルの温度を検出するコイル温度センサと、ファンを制御する制御部と、をさらに備え、バッテリは、底面の上方において、下方から見た場合に主受電コイルの全体と重なるように配置され、ファンは、送風方向を下方および上方に切り替え可能に構成されており、かつ底面とバッテリとの間の空間内において、下方から見た場合に、主受電コイルの中心に対して、主受電コイルの中心から副受電コイルに向かう方向側に配置され、制御部は、バッテリの温度および主受電コイルの温度に基づいてファンの送風方向を制御するようにしてもよい
また、ファンは、上方に向けて温風を送風可能であり、制御部は、バッテリの温度に基づいて、温風の温度を制御するようにしてもよい。
【0008】
また、副受電コイルは、下方から見た場合に、主受電コイルの周囲において周方向の異なる位置に複数配置されており、複数の副受電コイルにそれぞれ対応する複数のファンが配置されており、複数のファンは、それぞれが対応する副受電コイルのみに電気的に接続されるようにしてもよい。
また、複数の副受電コイルは、主受電コイルの中心よりも左側に配置される第1副受電コイルと、主受電コイルの中心よりも右側に配置される第2副受電コイルと、主受電コイルの中心よりも前側に配置される第3副受電コイルと、主受電コイルの中心よりも後側に配置される第4副受電コイルと、を含み、複数のファンは、第1副受電コイルと電気的に接続され、主受電コイルの中心よりも左側に配置され、第1副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、底面の主受電コイルの中心よりも左側の部分に向けて送風する第1ファンと、第2副受電コイルと電気的に接続され、主受電コイルの中心よりも右側に配置され、第2副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、底面の主受電コイルの中心よりも右側の部分に向けて送風する第2ファンと、第3副受電コイルと電気的に接続され、主受電コイルの中心よりも前側に配置され、第3副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、底面の主受電コイルの中心よりも前側の部分に向けて送風する第3ファンと、第4副受電コイルと電気的に接続され、主受電コイルの中心よりも後側に配置され、第4副受電コイルを通じた電力によって駆動することにより、底面の主受電コイルの中心よりも後側の部分に向けて送風する第4ファンと、を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る非接触充電システムの構成を示す概略図である。
図2】主受電コイルを拡大して示す概略的な部分拡大図である。
図3】主受電コイルを車両の下方から示す概略的な底面図である。
図4】非接触充電の動作を説明する概略図である。
図5】送電コイルに対する主受電コイルの相対位置が右方向にずれた場合の動作を説明する概略図である。
図6】送電コイルに対する主受電コイルの相対位置が左方向にずれた場合の動作を説明する概略図である。
図7】第2実施形態に係る車両の主受電コイル付近の概略的な部分拡大図である。
図8】第2実施形態に係る車両の主受電コイル付近の概略的は底面図である。
図9】風向制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る車両の主受電コイル付近の概略的な部分拡大図である。
図11】第4実施形態に係る車両の主受電コイル付近の概略的な部分拡大図である。
図12】風温制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る非接触充電システム1の構成を示す概略図である。非接触充電システム1は、電気自動車またはハイブリッド車などの車両10に適用される。
【0013】
非接触充電システム1は、送電コイル20、電力変換部22および電源24を含む。送電コイル20および電力変換部22は、地上に設置されてもよいし、地中に埋設されてもよく、少なくとも地面26側に設けられる。
【0014】
電力変換部22は、商用電源などの電源24に接続されている。電力変換部22は、例えば、インバータである。電力変換部22は、電源24の交流電力を商用周波数よりも高い周波数の交流電力に変換する。電力変換部22には、送電コイル20が接続されている。電力変換部22は、電力変換後の交流電力を送電コイル20に供給する。
【0015】
非接触充電システム1は、主受電コイル30、充電部32、バッテリ34、充電制御部36、副受電コイル40およびファン42を含む。主受電コイル30、充電部32、バッテリ34、充電制御部36、副受電コイル40およびファン42は、車両10に設けられる。
【0016】
主受電コイル30は、例えば、車両10の底部に搭載されている。主受電コイル30の直径(または半径)は、例えば、送電コイル20の直径(または半径)と同程度とされる。非接触充電が行われる際、主受電コイル30が送電コイル20に対向配置される。
【0017】
送電コイル20は、交流電力が供給されると、電流の変化に従った磁界を周囲に発生させる。主受電コイル30が送電コイル20に対向配置されていると、送電コイル20によって発生された磁界の変化に従って主受電コイル30に電圧が誘起される。このような電磁誘導によって、主受電コイル30に交流電力が発生する。つまり、主受電コイル30は、送電コイル20から送出される電力を非接触で受電可能である。
【0018】
主受電コイル30は、充電部32を通じてバッテリ34に電気的に接続される。充電部32は、例えば、不図示の整流回路および充電スイッチを含む。充電部32の整流回路は、主受電コイル30で受電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ34に供給する。充電部32の充電スイッチは、主受電コイル30とバッテリ34との間の電気的な接続をオンオフする。バッテリ34は、主受電コイル30および充電部32を通じて供給される電力によって充電される。また、バッテリ34は、車両10の駆動源として機能する不図示のモータに電力を供給することができる。
【0019】
充電制御部36は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。充電制御部36は、プログラムを実行することで充電部32の動作を制御する。例えば、充電制御部36は、非接触充電の開始指示に応じて充電スイッチをオンさせ、非接触充電の終了指示に応じて充電スイッチをオフさせる。
【0020】
副受電コイル40は、主受電コイル30の近傍に配置される。副受電コイル40は、バッテリ34には接続されていない。副受電コイル40は、送電コイル20から送出される電力を非接触で受電可能となっている。ファン42は、副受電コイル40と電気的に接続されている。ファン42は、副受電コイル40の近傍に配置される。ファン42は、副受電コイル40を通じて供給される交流電力によって駆動し送風することができる。副受電コイル40およびファン42については、後に詳述する。
【0021】
図2は、主受電コイル30を拡大して示す概略的な部分拡大図である。図3は、主受電コイル30を車両10の下方から示す概略的な底面図である。図2および図3において、X方向は車両10の前後方向を示し、Y方向は車両10の左右方向(車幅方向)を示し、Z方向は車両10の上下方向を示す。
【0022】
図2に示すように、送電コイル20は、中空の送電ケース50に収容されている。送電ケース50は、例えば、地面26から突出しないように埋設されている。
【0023】
主受電コイル30は、中空の主受電ケース52に収容されている。主受電ケース52は、例えば、四角形の扁平した箱状に形成されている。主受電ケース52は、車両10の車体54の底面に外側から取り付けられている。主受電ケース52と車体54との間には、アルミシールド56が配置されている。アルミシールド56は、矩形の板状に形成される。アルミシールド56は、主受電ケース52の上面よりも少し広くなっている。
【0024】
バッテリ34は、車体54の内側において底面の近傍に配置される。バッテリ34は、少なくとも一部が主受電コイル30の上方に位置する。
【0025】
副受電コイル40の直径(または半径)は、主受電コイル30の直径(または半径)より小さくなっている。つまり、副受電コイル40は、主受電コイル30を縮小したものに相当する。副受電コイル40は、中空の副受電ケース58に収容されている。副受電ケース58は、主受電ケース52よりも小さい。
【0026】
副受電ケース58は、アルミシールド56の周囲に位置し、車体54の底面に外側から取り付けられる。副受電ケース58と車体54との間には、アルミシールド56が配置されていない。なお、副受電ケース58と車体54との間にアルミシールド56が配置されてもよい。
【0027】
ファン42は、車体54の内側から車体54に支持される。ファン42は、副受電ケース58の近傍に配置される。ファン42は、副受電ケース58を基準として主受電コイル30とは反対側に位置する。ファン42は、リード線などによって副受電コイル40に接続されている。ファン42は、車体54に向けて送風されるように送風方向が設定されている。具体的には、ファン42は、車体54における副受電コイル40の上方付近に送風できるように設定されている。
【0028】
図3に示すように、主受電ケース52およびアルミシールド56は、その4つの側面が車両10の前後左右にそれぞれ向くように配置されている。また、車両10には、副受電コイル40、副受電ケース58およびファン42が、それぞれ4個ずつ設けられる。
【0029】
副受電コイル40、副受電ケース58およびファン42は、それぞれ、主受電コイル30の径方向の外側に配置される。副受電コイル40、副受電ケース58およびファン42は、主受電ケース52およびアルミシールド56の4つの側面に対応するように、主受電コイル30の周囲に前後左右に分散して配置される。
【0030】
副受電コイル40、副受電ケース58およびファン42は、主受電コイル30を基準とする配置方向ごとに対応付けられている。具体的には、主受電コイル30の前方向に位置する副受電ケース58に収容される副受電コイル40は、主受電コイル30の前方向に位置するファン42に接続される。主受電コイル30の後方向に位置する副受電ケース58に収容される副受電コイル40は、主受電コイル30の後方向に位置するファン42に接続される。主受電コイル30の左方向に位置する副受電ケース58に収容される副受電コイル40は、主受電コイル30の左方向に位置するファン42に接続される。主受電コイル30の右方向に位置する副受電ケース58に収容される副受電コイル40は、主受電コイル30の右方向に位置するファン42に接続される。
【0031】
図4は、非接触充電の動作を説明する概略図である。上述のように、送電コイル20は、交流電力が供給されると、供給された交流電力に従って磁界を発生する。図4では、発生した磁界による磁束を矢印で例示している。図4に示すように、主受電コイル30が送電コイル20上に適切に対向配置されている場合、送電コイル20から延びる磁束の大部分が主受電コイル30を貫く。これにより、主受電コイル30は、送電コイル20から送出される電力を適切に受電することができる。
【0032】
図5は、送電コイル20に対する主受電コイル30の相対位置が右方向にずれた場合の動作を説明する概略図である。そして、図5では、主受電コイル30がずれた状態で非接触充電が行われたとする。
【0033】
図5に示すように、主受電コイル30が相対的に右方向にずれると、送電コイル20から延びる磁束のうち、矢印A12で示すように、送電コイル20の左縁付近から延びる磁束が主受電コイル30の外側に漏れる。この漏れ磁束は、主受電コイル30より左側において、車体54を加熱させる。
【0034】
しかし、主受電コイル30の左側に漏れた漏れ磁束は、主受電コイル30の左側に位置する副受電コイル40を貫通する。そうすると、漏れ磁束によって副受電コイル40に電圧が誘起される。このような電磁誘導によって、副受電コイル40に交流電力が発生する。つまり、送電コイル20から送出される電力の一部が、主受電コイル30の左側に位置する副受電コイル40で受電される。
【0035】
主受電コイル30の左側に位置する副受電コイル40は、受電した交流電力を、主受電コイル30の左側に位置するファン42に供給する。これにより、主受電コイル30の左側に位置するファン42は、矢印A14で示すように、車体54における主受電コイル30より左側の部分に送風する。これにより、車体54における漏れ磁束によって加熱される部分がファン42によって冷却される。その結果、漏れ磁束による車体54の加熱が抑制される。
【0036】
なお、図5の場合、主受電コイル30の右側には漏れ磁束が生じない。このため、主受電コイル30の右側に位置する副受電コイル40には電圧が誘起されない。この場合、主受電コイル30の右側に位置するファン42は、電力が供給されず、送風を行わない。
【0037】
また、主受電コイル30を貫いた磁束は、主受電コイル30の上方向に位置するアルミシールド56によって遮蔽される。このため、主受電コイル30を適切に貫く磁束によって車体54が加熱されることはない。
【0038】
このように、車両10では、主受電コイル30が送電コイル20に対して相対的にずれた方向(右方向)とは反対方向(左方向)に位置するファン42によって車体54が冷却される。
【0039】
図6は、送電コイル20に対する主受電コイル30の相対位置が左方向にずれた場合の動作を説明する概略図である。そして、図6では、主受電コイル30がずれた状態で非接触充電が行われたとする。
【0040】
図6に示すように、主受電コイル30が相対的に左方向にずれると、送電コイル20から延びる磁束のうち、矢印A22で示すように、送電コイル20の右縁付近から延びる磁束が主受電コイル30の外側に漏れる。この漏れ磁束は、主受電コイル30より右側において、車体54を加熱される。
【0041】
しかし、主受電コイル30の右側に漏れた磁束は、主受電コイル30の右側に位置する副受電コイル40を貫通する。そうすると、結果的に、送電コイル20から送出される電力の一部が、主受電コイル30の右側に位置する副受電コイル40で受電される。主受電コイル30の右側に位置する副受電コイル40は、受電した電力を、主受電コイル30の右側に位置するファン42に供給する。これにより、主受電コイル30の右側に位置するファン42は、矢印A24で示すように、車体54における主受電コイル30より右側の部分に送風する。その結果、漏れ磁束による車体54の加熱が抑制される。
【0042】
なお、図5および図6では、主受電コイル30が左右方向にずれた場合について説明していた。しかし、主受電コイル30が前後方向にずれた場合も同様の動作が行われる。つまり、主受電コイル30のずれた方向とは反対方向のファン42から送風され、漏れ磁束による車体54の加熱が抑制される。
【0043】
以上のように、第1実施形態の車両10では、主受電コイル30の径方向の外側に副受電コイル40が設けられ、副受電コイル40にファン42が接続されている。このため、主受電コイル30の送電コイル20に対する相対位置が水平方向にずれて車体54が加熱されるとしても、ファン42によって冷却することができる。
【0044】
したがって、第1実施形態の車両10では、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を抑制することが可能となる。
【0045】
また、第1実施形態の車両10では、副受電コイル40で受電された電力によってファン42が駆動されている。このため、第1実施形態の車両10では、バッテリ34の電力を消費することなく車体54の加熱を抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態の車両10では、副受電コイル40と、その副受電コイル40に接続されるファン42とが、主受電コイル30を基準として同方向(例えば、左方向など)に配置される。このため、第1実施形態の車両10では、漏れ磁束によって加熱される部分を、的確かつ集中的に冷却することができる。
【0047】
また、第1実施形態の車両10では、漏れ磁束による電力をファン42で消費している。このため、第1実施形態の車両10では、漏れ磁束に起因する電磁ノイズの電力を抑制することができる。その結果、車両10で利用される無線通信(例えば、ラジオまたはスマートキーなど)における電磁ノイズの影響を低減することができる。
【0048】
なお、第1実施形態の車両10では、副受電コイル40およびファン42が、4個ずつ設けられていた。しかし、副受電コイル40およびファン42の数は、4個ずつに限らず、少なくとも1個ずつ設けられてもよい。これは、副受電コイル40が設けられている位置に漏れ磁束が生じれば、その漏れ磁束による車両10の加熱をファン42の送風によって抑制することができるからである。
【0049】
また、例えば、前後方向に比べ、左右方向の位置ずれの頻度が高いようであれば、副受電コイル40およびファン42を主受電コイル30の左右側に配置し、副受電コイル40およびファン42の前後側の配置を省略してもよい。また、例えば、左右方向に比べ、前後方向の位置ずれの頻度が高いようであれば、副受電コイル40およびファン42を主受電コイル30の前後側に配置し、副受電コイル40およびファン42の左右側の配置を省略してもよい。
【0050】
(第2実施形態)
ところで、漏れ磁束によって車体54が加熱されると、その加熱された位置に近いバッテリ34に、車体54の熱が伝達されることがある。そうすると、バッテリ34の温度が上昇する。そして、バッテリ34の温度が過度に高くなると、バッテリ34が劣化するおそれがある。
【0051】
また、漏れ磁束によって車体54が加熱されると、車体54の熱が主受電ケース52を介して主受電コイル30に伝達されることがある。そうすると、主受電コイル30の温度が上昇する。そして、主受電コイル30の温度が過度に高くなると、主受電コイル30の抵抗値が高くなって受電性能が低下するおそれがある。
【0052】
そこで、第2実施形態では、漏れ磁束に従って駆動するファン42の送風対象をバッテリ34または主受電コイル30とする。
【0053】
図7は、第2実施形態に係る車両100の主受電コイル30付近の概略的な部分拡大図である。図8は、第2実施形態に係る車両100の主受電コイル30付近の概略的は底面図である。
【0054】
図7に示すように、バッテリ34は、車体54の底面との間に所定の空間160が形成されるように車体54から離隔して設けられる。空間160には、空気が流通される。ファン42は、バッテリ34と車体54との間の空間160に配置される。ファン42は、主受電コイル30の上方に位置する。
【0055】
第2実施形態の車両100は、バッテリ温度センサ162、コイル温度センサ164、風向切替部166およびファン制御部168をさらに含む。
【0056】
バッテリ温度センサ162は、バッテリ34の底面に設けられる。バッテリ温度センサ162は、ファン42の上方に位置する。バッテリ温度センサ162は、バッテリ34の温度(バッテリ温度)を検出する。
【0057】
コイル温度センサ164は、主受電ケース52内に収容される。コイル温度センサ164は、主受電コイル30の内側領域に配置され、ファン42の下方に位置する。コイル温度センサ164は、主受電コイル30の温度(コイル温度)を検出する。
【0058】
風向切替部166は、車体54の底面に支持されるとともに、ファン42に接続されている。風向切替部166は、例えば、ステッピングモータなどである。風向切替部166は、ファン42の送風口の向き、すなわち、送風方向(風向)を機械的に切り替える。具体的には、風向切替部166は、バッテリ34に向かう方向(上方向)と、主受電コイル30に向かう方向(下方向)とを切り替える。ファン42は、送風口の向きが上方向とされると、矢印A34で示すように、バッテリ34に向けて送風することができる。また、ファン42は、送風口の向きが下方向とされると、矢印A36で示すように、主受電コイル30に向けて送風することができる。
【0059】
図8に示すように、ファン42は、主受電コイル30の径方向の内側において、前後左右に分散して配置される。主受電コイル30の前方向に位置する副受電コイル40は、主受電コイル30の内側における前寄りに位置するファン42に接続される。主受電コイル30の後方向に位置する副受電コイル40は、主受電コイル30の内側における後寄りに位置するファン42に接続される。主受電コイル30の左方向に位置する副受電コイル40は、主受電コイル30の内側における左寄りに位置するファン42に接続される。主受電コイル30の右方向に位置する副受電コイル40は、主受電コイル30の内側における右寄りに位置するファン42に接続される。
【0060】
また、コイル温度センサ164は、ファン42に対応するように、前後左右に分散して配置される。なお、バッテリ温度センサ162もコイル温度センサ164と同様に前後左右に分散して配置される。
【0061】
図7に戻って、ファン制御部168は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。ファン制御部は、プログラムを実行することで風向制御部170として機能する。
【0062】
風向制御部170は、バッテリ温度センサ162から取得されるバッテリ34の温度(バッテリ温度)、および、コイル温度センサ164から取得される主受電コイル30の温度(コイル温度)に基づいて、ファン42の送風方向(風向)を制御する。
【0063】
図9は、風向制御部170の動作の流れを説明するフローチャートである。風向制御部170は、所定制御周期で訪れる割込みタイミングごとに図9の一連の処理を繰り返す。なお、風向制御部170による制御は、ファン42ごとに行われる。以後、制御対象となるファン42を対象ファンと呼ぶ場合がある。
【0064】
まず、風向制御部170は、対象ファンの上方に位置するバッテリ温度センサ162からバッテリ温度を取得する(S100)。次に、風向制御部170は、対象ファンの下方に位置するコイル温度センサ164からコイル温度を取得する(S110)。
【0065】
次に、風向制御部170は、所定のバッテリ側上限閾値からバッテリ温度を減算してバッテリ側裕度を導出する(S120)。所定のバッテリ側上限閾値は、充電可能なバッテリ温度の上限閾値を示し、予め設定される。バッテリ側裕度は、バッテリ温度がバッテリ側上限閾値に到達するまでの温度上昇の許容量を示す。
【0066】
次に、風向制御部170は、所定のコイル側上限閾値からコイル温度を減算してコイル側裕度を導出する(S130)。所定のコイル側上限閾値は、適切な受電性能を発揮できるコイル温度の上限閾値を示し、予め設定される。コイル側裕度は、コイル温度がコイル側上限閾値に到達するまでの温度上昇の許容量を示す。なお、バッテリ側上限閾値とコイル側上限閾値は、異なる値とされる。
【0067】
次に、風向制御部170は、バッテリ側裕度がコイル側裕度以上であるか否かを判断する(S140)。バッテリ側裕度がコイル側裕度以上である場合(S140におけるYES)、風向制御部170は、対象ファンの送風方向が主受電コイル30側となるように風向切替部166に指示する(S150)。風向切替部166は、この指示に応じて対象ファンの送風口を下に向ける。これにより、対象ファンは、副受電コイル40から電力が供給されると、主受電コイル30に向けて(下方向に)送風する。
【0068】
一方、バッテリ側裕度がコイル側裕度未満である場合(S140におけるNO)、風向制御部170は、対象ファンの送風方向がバッテリ34側となるように風向切替部166に指示する(S160)。風向切替部166は、この指示に応じて対象ファンの送風口を上に向ける。これにより、対象ファンは、副受電コイル40から電力が供給されると、バッテリ34に向けて(上方向に)送風する。
【0069】
以上のように、第2実施形態の車両100では、バッテリ温度およびコイル温度に基づいてファン42の送風方向が制御される。そして、第2実施形態の車両100では、制御された送風方向に、漏れ磁束に従って送風される。このため、第2実施形態の車両100では、漏れ磁束に起因するバッテリ34または主受電コイル30の温度上昇を抑制することができる。その結果、第2実施形態の車両100では、バッテリ34の劣化または主受電コイル30の受電性能の低下を抑制することができる。
【0070】
したがって、第2実施形態の車両100は、第1実施形態と同様に、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を抑制することができる。
【0071】
また、第2実施形態の車両100では、バッテリ34および主受電コイル30のうち、温度がそれぞれの上限閾値に近い方(裕度が少ない方)を優先して空冷する。このため、第2実施形態の車両100では、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を、少ないファン42で的確に抑制することができる。
【0072】
(第3実施形態)
第2実施形態では、ファン42の送風方向を、風向切替部166で機械的に切り替えていた。これに対し、第3実施形態では、ファン42の回転方向を反転させることで、送風方向を切り替える。
【0073】
図10は、第3実施形態に係る車両200の主受電コイル30付近の概略的な部分拡大図である。第3実施形態の車両200は、風向切替部166に代えて整流部280および正逆切替スイッチ282を有する点、および、ファン42が直流電力で駆動される点において第2実施形態の車両100と異なる。
【0074】
ファン42は、上下の両方に送風口を有している。ファン42の上側送風口は、バッテリ34に向けられており、ファン42の下側の送風口は、主受電コイル30に向けられている。
【0075】
整流部280および正逆切替スイッチ282は、副受電コイル40とファン42との間に電気的に直列に挿入されている。整流部280は、副受電コイル40で受電された交流電力を直流電力に変換する。変換された直流電力は、正逆切替スイッチ282を通じてファン42に供給される。
【0076】
ファン42には、2つの入力端子が設けられている。正逆切替スイッチ282は、ファン42の入力端子間の電圧の方向を切り替える。ファン42は、入力端子間の電圧の方向によって、正転または逆転される。例えば、ファン42は、正方向の電圧が与えられると正転し、上側送風口から送風する。また、ファン42は、逆方向の電圧が与えられると逆転し、下側送風口から送風する。
【0077】
風向制御部170は、バッテリ側裕度がコイル側裕度以上である場合、対象ファンの入力端子間の電圧が逆方向となるように正逆切替スイッチ282を制御する。これにより、対象ファンは、直流電力の供給に従って逆転し、下側送風口から主受電コイル30に送風する。一方、風向制御部170は、バッテリ側裕度がコイル側裕度未満である場合、対象ファンの入力端子間の電圧が正方向となるように正逆切替スイッチ282を制御する。これにより、対象ファンは、直流電力の供給に従って正転し、上側送風口からバッテリ34に送風する。
【0078】
第3実施形態の車両200は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を抑制することができる。また、第3実施形態の車両200は、第2実施形態と同様に、非接触充電時のコイル間の位置ずれの影響を、少ないファン42で的確に抑制することができる。
【0079】
また、第3実施形態の車両200では、ファン42の姿勢を維持したまま送風方向を切り替えることができる。このため、第3の実施形態の車両200では、バッテリ34と車体54との間の空間160を狭くすることができ、車内レイアウトの設計自由度を向上させることができる。
【0080】
(第4実施形態)
非接触充電は、車両が停止してから即座に開始されることもあれば、車両が停止してから時間が経過してから開始されることもある。例えば、寒冷地などでは、車両が停止してから時間が経過すると、バッテリ温度が、充電可能な下限閾値未満まで低下することがある。このような場合、ヒータなどでバッテリ温度を下限閾値以上に上昇させてから非接触充電が行われる。しかし、バッテリ34を加熱するために、バッテリ34の電力が消費されてしまう。
【0081】
そこで、第3実施形態では、コイル間の位置ずれによって生じる漏れ磁束の電力を利用して、バッテリ温度が下限閾値以上となるように、温風を送風してバッテリ34を加熱する。
【0082】
図11は、第4実施形態に係る車両300の主受電コイル30付近の概略的な部分拡大図である。第4実施形態に係る車両300は、正逆切替スイッチ282が削除され、温冷切替スイッチ392および電熱線394を有し、ファン制御部168が風温制御部396として機能する点において第3実施形態の車両200と異なる。
【0083】
車両300において、ファン42は、正逆切替スイッチ282を介することなく整流部280に接続されている。電熱線394は、ファン42の上側送風口の前面に配置される。つまり、電熱線394は、ファン42とバッテリ34との間に位置する。ファン42は、矢印A44で示すように、電熱線394の周囲の空気をバッテリ34側に送風することができる。
【0084】
電熱線394は、整流部280に電気的に接続される。温冷切替スイッチ392は、整流部280と電熱線394との間に電気的に直列に挿入されている。温冷切替スイッチ392は、整流部280と電熱線394との間の電気的な接続のオンオフを切り替える。整流部280は、副受電コイル40で受電された交流電力を直流電力に変換する。整流部280は、直流電力を、ファン42に供給するとともに、温冷切替スイッチ392を通じて電熱線394にも供給することができる。
【0085】
風温制御部396は、バッテリ温度センサ162から取得されるバッテリ温度に基づいてファン42の送風温度(風温)を制御する。具体的には、風温制御部396は、バッテリ温度に基づいて温冷切替スイッチ392のオンオフを制御する。
【0086】
図12は、風温制御部396の動作の流れを説明するフローチャートである。風温制御部396は、所定制御周期で訪れる割込みタイミングごとに図12の一連の処理を繰り返す。なお、風温制御部396による制御は、ファン42ごとに行われる。
【0087】
風温制御部396は、対象ファンの上方に位置するバッテリ温度センサ162からバッテリ温度を取得する(S200)。次に、風温制御部396は、取得されたバッテリ温度が所定の下限閾値未満であるか否かを判断する(S210)。所定の下限閾値は、充電可能なバッテリ温度の下限閾値であり、予め設定される。
【0088】
バッテリ温度が下限閾値未満である場合(S210におけるYES)、風温制御部396は、温冷切替スイッチ392をオンさせる(S220)。これにより、副受電コイル40が受電すると、その電力を変換した直流電力が、電熱線394とファン42との両方に供給される。電熱線394は、供給された電力によって周囲の空気を加熱する。ファン42は、電熱線394で加熱された空気、すなわち、温風をバッテリ34に送風する。
【0089】
バッテリ温度が下限閾値以上である場合(S210におけるNO)、風温制御部396は、温冷切替スイッチ392をオフさせる(S230)。これにより、副受電コイル40が受電すると、ファン42には電力が供給されるものの、電熱線394には電力が供給されないようになる。電熱線394の周囲の空気が加熱されないため、ファン42は、加熱されていない空気、すなわち、冷風をバッテリ34に送風する。
【0090】
以上のように、第4実施形態の車両300では、バッテリ温度に基づいてファン42の送風温度が制御される。例えば、バッテリ温度が下限閾値以上であれば、冷風とされ、バッテリ温度が下限閾値未満であれば、温風とされる。
【0091】
このため、第4実施形態の車両300では、バッテリ温度が高ければバッテリ34に冷風が送風されるため、漏れ磁束に起因するバッテリ34の温度上昇を抑制することができる。
【0092】
また、第4実施形態の車両300では、漏れ磁束に起因して受電される副受電コイル40の電力を利用して冷風がバッテリ34に送風される。このため、第4実施形態の車両300では、バッテリ34の電力を消費することなく、漏れ磁束に起因するバッテリ34の温度上昇を抑制することができる。
【0093】
また、第4実施形態の車両300では、バッテリ温度が低ければバッテリ34に温風が送風されるため、バッテリ温度を充電可能な温度まで早期に上昇させることができる。その結果、第4実施形態の車両300では、寒冷地などでも非接触充電を早期に開始させることができる。
【0094】
また、第4実施形態の車両300では、漏れ磁束に起因して受電される副受電コイル40の電力を利用して温風がバッテリ34に送風される。このため、第4実施形態の車両300では、バッテリ34の電力を消費するヒータのみでバッテリ温度を下限値以上に上昇させる態様と比べ、バッテリ34の電力を抑制しつつ、バッテリ温度を下限値以上に上昇させることができる。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0096】
例えば、各実施形態の特徴を適宜組み合わせた構成としてもよい。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、車体54に向けて送風するファン42と、バッテリ34または主受電コイル30に向けて送風するファン42との両方を設けてもよい。
【0097】
また、第1実施形態のファン42の態様と第2実施形態のファン42の態様との両方を共通のファン42で実現してもよい。例えば、風向制御部170は、バッテリ側裕度が所定の第1裕度以上であり、かつ、コイル側裕度が所定の第2裕度以上である場合、対象ファンの送風方向を、車体54における副受電コイル40の上方付近としてもよい。そして、風向制御部170は、バッテリ側裕度が第1裕度未満であるか、または、コイル側裕度が第2裕度未満である場合、バッテリ側裕度とコイル側裕度との比較によって、対象ファンの送風方向をコイル側またはバッテリ側のいずれかとしてもよい。
【0098】
また、例えば、第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせて、ファン42の送風方向を切り替え可能としつつ、ファン42の送風温度を切り替え可能としてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10、100、200、300 車両
20 送電コイル
26 地面
30 主受電コイル
34 バッテリ
40 副受電コイル
162 バッテリ温度センサ
164 コイル温度センサ
170 風向制御部
396 風温制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12