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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240827BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020186454
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076164
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】山口 宗太
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-294338(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020021(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0175631(US,A1)
【文献】特開2017-135144(JP,A)
【文献】実開昭58-166045(JP,U)
【文献】特開2010-010568(JP,A)
【文献】特開平10-242338(JP,A)
【文献】特開2012-134300(JP,A)
【文献】特開2010-098036(JP,A)
【文献】国際公開第2010/131679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板と、
前記ベース板の上面に配置された絶縁基板と、
前記絶縁基板の上面に配置された半導体素子と、
一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、他端が前記絶縁基板の回路層に接合材を介して接合された金属配線板と、
前記半導体素子及び前記絶縁基板を収容する空間を画定するケース部材と、を備え、
前記ケース部材は、平面視で所定方向に分割された一対の分割体を連結することで枠状に形成され、
前記主端子と前記ケース部材とは、接着剤を介して接合されている、半導体装置。
【請求項2】
前記金属配線板は、上面と下面を有する平板形状を有し、一端の下面が前記接着剤を介して前記ケース部材に接合され、他端の下面が前記接合材を介して前記回路層に接合されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記分割体は、前記主端子を収容可能な端子用凹部を有し、
前記主端子は、前記端子用凹部の内底面及び内側面に前記接着剤を介して接合されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ベース板は、前記絶縁基板の配置箇所に対応して厚み方向に突出した凸部を有し、
前記絶縁基板は、前記凸部の上面に接合材を介して配置され、
前記分割体は、前記凸部の側面に当接可能な当接部を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁基板の外周端は、前記分割体の分割方向に交差する方向からみて前記凸部よりも外周側に突出しており、
前記分割体は、前記凸部よりも外周側に突出した前記絶縁基板の前記外周端を受容可能な凹部を有し、
前記絶縁基板の前記外周端は、前記接着剤を介して前記凹部に接合されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
一方の前記分割体は、一体成型された制御端子を有し、
前記制御端子は、
外部接続用の外側端子部と、
前記半導体素子の上面電極に配線部材を介して接続された内側端子部と、を有し、
前記内側端子部は、前記絶縁基板の上方で前記分割体の内側面から内側に突出する突起部の上面に配置され、
前記凹部は、前記当接部と前記突起部との間に形成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記凸部と前記突起部は、平面視で重なるように配置されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記絶縁基板は、前記分割体の分割方向に交差する方向に並んで複数配置されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属配線板は、
一方の前記分割体に接合されている中間端子と、
他方の前記分割体に接合されている正極端子及び負極端子と、によって構成される、請求項1から請求項8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
ベース板と、
前記ベース板の上面に配置された絶縁基板と、
前記絶縁基板の上面に配置された半導体素子と、
一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、他端が前記絶縁基板の回路層に接合材を介して接合された金属配線板と、
前記半導体素子及び前記絶縁基板を収容する空間を画定するケース部材と、を備えた半導体装置の製造方法であって、
前記ベース板の上面に前記絶縁基板を配置する基板配置工程と、
前記絶縁基板の前記回路層に前記接合材を介して前記金属配線板の他端を接合する端子配置工程と、
平面視で所定方向に分割された一対の分割体を前記絶縁基板の側方から挟むように取り付け、前記分割体同士を連結することで枠状の前記ケース部材を形成するケース配置工程と、を備え、
前記ケース配置工程において、前記主端子と前記分割体とを接着剤で接合する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の半導体素子が設けられた基板を有し、インバータ装置等に利用されている。
【0003】
この種の半導体装置において、例えば特許文献1、2では、放熱板の上面に積層基板が配置され、積層基板上の回路パターンに半田を介してリードフレームが配置されたものが開示されている。リードフレームは、半導体素子に対する主電流用の配線板として機能する。また、特許文献3では、金属板で形成されたアーチ状の主端子が、基板上の電子回路に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-139406号公報
【文献】特開2007-157863号公報
【文献】国際公開第2018/135176号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、主端子と基板とは、半田等の接合材を介して接続される。その他に、主端子と基板とを電気的に接続する方法として、レーザー溶接が用いられている。しかしながら、基板に直接レーザーを照射して溶接することは困難であるため、基板に半田付けされた銅ブロックと主端子とをレーザー溶接する方法が提案されている。この場合、レーザー溶接の接続不良や、接続箇所における剥離、更には熱サイクルによる不良の発生が問題となっている。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、製造工程を簡略化して特性を向上することが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体装置は、放熱板と、前記放熱板の上面に配置された絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に配置された半導体素子と、一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、他端が前記絶縁基板の回路層に接合材を介して接合された金属配線板と、前記半導体素子及び前記絶縁基板を収容する空間を画定するケース部材と、を備え、前記ケース部材は、平面視で所定方向に分割された一対の分割体を連結することで枠状に形成され、前記主端子と前記ケース部材とは、接着剤を介して接合されている。
【0008】
また、本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、ベース板と、前記ベース板の上面に配置された絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に配置された半導体素子と、一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、他端が前記絶縁基板の回路層に接合材を介して接合された金属配線板と、前記半導体素子及び前記絶縁基板を収容する空間を画定するケース部材と、を備えた半導体装置の製造方法であって、前記ベース板の上面に前記絶縁基板を配置する基板配置工程と、前記絶縁基板の前記回路層に前記接合材を介して前記金属配線板の他端を接合する端子配置工程と、平面視で所定方向に分割された一対の分割体を前記絶縁基板の側方から挟むように取り付け、前記分割体同士を連結することで枠状の前記ケース部材を形成するケース配置工程と、を備え、前記ケース配置工程において、前記主端子と前記分割体とを接着剤で接合する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、構成を簡略化して熱耐性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る半導体装置の平面図である。
図2図1のA-A線に沿って切断した断面図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4図1のB-B線に沿って切断した断面図である。
図5】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図6】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図7】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図8】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図9】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図10】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図11】本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。
図12】変形例に係る半導体装置の断面図である。
図13】他の変形例に係る半導体装置の断面図である。
図14】他の変形例に係る半導体装置の断面図である。
図15】本実施の形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用可能な半導体装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体装置の平面図である。図2は、図1のA-A線に沿って切断した断面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図1のB-B線に沿って切断した断面図である。なお、以下に示す半導体装置はあくまで一例にすぎず、これに限定されることなく適宜変更が可能である。
【0012】
また、以下の図において、半導体装置(冷却器)の長手方向をX方向、半導体装置(冷却器)の短手方向をY方向、高さ方向(基板の厚み方向)をZ方向と定義することにする。また、半導体装置の長手方向は、複数の半導体モジュールが並ぶ方向を示している。図示されたX、Y、Zの各軸は互いに直交し、右手系を成している。また、場合によっては、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向と呼ぶことがある。これらの方向(前後左右上下方向)は、説明の便宜上用いる文言であり、半導体装置の取付姿勢によっては、XYZ方向のそれぞれとの対応関係が変わることがある。例えば、半導体装置の放熱面側(冷却器側)を下面側とし、その反対側を上面側と呼ぶことにする。また、本明細書において、平面視は、半導体装置の上面又は下面をZ方向からみた場合を意味する。
【0013】
本実施の形態に係る半導体装置1は、例えばパワーコントロールユニット等の電力変換装置に適用されるものであり、インバータ回路を構成するパワー半導体モジュールである。図1から図4に示すように、半導体装置1は、複数(本実施の形態では3つ)の半導体組立体2と、この半導体組立体2を冷却する冷却器3と、複数の半導体組立体2を収容するケース部材4と、ケース部材4内に注入される封止樹脂5と、を含んで構成される。
【0014】
半導体組立体2は、複数の絶縁基板6と、各絶縁基板6上に配置される半導体素子7と、を含んで構成される。本実施の形態では、3つの半導体組立体2がX方向に並んで配置されている。3つの半導体組立体2は、例えばX方向正側からU相、V相、W相を構成し、全体として三相インバータ回路を形成する。なお、半導体組立体2は、パワーセルあるいはユニットと呼ばれてもよい。
【0015】
冷却器3は、平面視矩形状に形成されたベース板9を備えている。ベース板9は、平面視矩形状を有し、所定厚みの板状体で形成される。ベース板9は、その長手方向が半導体装置1の左右方向(X方向)に延び、その短手方向が半導体装置1の前後方向(Y方向)に延びている。ベース板9は、一方の面(下面)と他方の面(上面)とを有している。一方の面は、半導体組立体2の放熱面を形成している。他方の面は、半導体組立体2の接合面を形成している。
【0016】
ベース板9は、放熱性のよい、例えばアルミニウムや銅の合金によって形成される。また、ベース板9の表面には、所定厚みのメッキ層が形成されている。メッキ層は、ニッケル等の金属メッキで形成されることが好ましい。ベース板9の上面には、半田等の接合材Sを介して絶縁基板6が配置される。また、ベース板9の下面には、複数のフィンが設けられてもよい。
【0017】
また、詳細は後述するが、ベース板9は、中央に絶縁基板6の配置箇所に対応して厚み方向(Z方向)に突出した凸部90を有している。絶縁基板6は、凸部90の上面に接合材Sを介して配置される。
【0018】
絶縁基板6は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板、あるいは金属ベース基板で構成される。具体的に絶縁基板6は、絶縁板と、絶縁板の下面に配置された放熱板(不図示)と、絶縁板の上面に配置された複数の回路板60と、を有する。絶縁基板6は、例えば平面視矩形状に形成される。なお、図2以降において、放熱板及び回路板は、説明の便宜上、図示を省略している。
【0019】
絶縁板は、例えば、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)等のセラミックス材料、エポキシ等の樹脂材料、又はセラミックス材料をフィラーとして用いたエポキシ樹脂材料等の絶縁材料によって形成される。なお、絶縁板は、絶縁層又は絶縁フィルムと呼ばれてもよい。
【0020】
放熱板は、Z方向に所定の厚みを有し、絶縁板の下面を覆うように形成される。放熱板は、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導性の良好な金属板によって形成される。
【0021】
絶縁板の上面には、複数の回路板60が形成される。図2では、便宜上、1つの絶縁基板6につき3つの回路板60が形成されているが、絶縁板の上面には、1つ又はより多くの回路板60が形成されてもよい。これらの回路板は、銅箔等の金属層であり、絶縁板上に電気的に互いに絶縁された状態で島状に形成される。なお、回路板60は、回路層と呼ばれてもよい。なお、詳細な説明は省略するが、上記の回路板60及び半導体素子7により、図15に示すようなインバータ回路が構成されてよい。この場合、Pは正極端子、Nは負極端子、Mは中間端子を表しており、2つの半導体素子7が直列接続された例を示している。
【0022】
絶縁基板6(回路板)の上面には、半田等の接合材Sを介して半導体素子7が配置されている。図1では、便宜上、1つの絶縁基板6につき2つの半導体素子7を示すが、より多くの半導体素子7が絶縁基板6に配置されてもよい。半導体素子7は、例えばシリコン(Si)、炭化けい素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、及びダイヤモンド等の半導体基板によって平面視方形状又は矩形状に形成される。
【0023】
なお、半導体素子7としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子、FWD(Free Wheeling Diode)等のダイオードが用いられる。スイッチング素子とダイオードは逆並列接続されてよい。また、半導体素子7として、IGBTとFWDを一体化したRC(Reverse Conducting)-IGBT素子、又はパワーMOSFET素子、逆バイアスに対して十分な耐圧を有するRB(Reverse Blocking)-IGBT等が用いられてもよい。
【0024】
また、半導体素子7の形状、配置数、配置箇所等は適宜変更が可能である。なお、本実施の形態における半導体素子7は、半導体基板にトランジスタなどの機能素子を形成した、縦型のスイッチング素子であるが、これに限らず、横型のスイッチング素子であってもよい。
【0025】
ベース板9の上面外周には、ケース部材4が配置される。ケース部材4は、例えば接着剤Bを介してベース板9に接合される。ケース部材4は、ベース板9の外形に沿った形状を有している。より具体的にケース部材4は、中央が開口された矩形枠状に形成される。中央開口には、上記した3つの半導体組立体2が収容される。すなわち、3つの半導体組立体2は、枠状のケース部材4によって画定される空間に収容される。
【0026】
また、詳細は後述するが、ケース部材4は、平面視でY方向(前後方向)に分割された一対の分割体40、41を連結することで枠状に形成される。一対の分割体40、41は、Y方向中央を境界に前後に分割されている。一対の分割体40、41は、それぞれ平面視でU字状に形成されており、U字状の開放部分をY方向で対向させて連結することにより、全体として枠状のケース部材4を形成する。一対の分割体40、41が連結されることにより、複数の半導体組立体2(絶縁基板6、半導体素子7)や封止樹脂5を収容する空間を画定する枠状のケース部材4が形成される。
【0027】
また、詳細は後述するが、一対の分割体40、41のうち、一方の分割体41には、制御端子19が一体成型されている。制御端子19は、例えば銅素材、銅合金系素材、アルミニウム合金系素材、鉄合金系素材等の金属素材により形成される。制御端子19は、分割体41の上面から上方に突出した外部接続用の外側端子部19aと、分割体41の内側に配置された内側端子部19bと、を有している。内側端子部19bは、配線部材W1(制御配線と呼ばれてもよい)を介して半導体素子7の上面電極に接続される。また、所定の回路板60と半導体素子7の主電極は、配線部材W2(主電流配線と呼ばれてもよい)によって電気的に接続される。
【0028】
配線部材W1、W2には、導体ワイヤ(ボンディングワイヤ)が用いられる。導体ワイヤの材質は、金、銅、アルミニウム、金合金、銅合金、アルミニウム合金のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。また、配線部材として導体ワイヤ以外の部材を用いることも可能である。例えば、配線部材としてリボンを用いることができる。
【0029】
また、ケース部材4の内側空間には、封止樹脂5が充填される。すなわち、ケース部材4は、複数の半導体組立体2(絶縁基板6、半導体素子7)や封止樹脂5を収容する空間を画定する。このようなケース部材4は、熱可塑性樹脂により形成されている。ケース部材4は、例えば、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)等により形成される。
【0030】
また、ケース部材4には、外部接続用の主端子(P端子16、N端子17、M端子18)と、制御用の制御端子19が設けられている。具体的に、ケース部材4の短手方向(Y方向)で対向する一対の壁部のうち、Y方向負側に位置する壁部(分割体40)には、平面視四角形状の凹部42、43が形成されている。凹部42には、P端子16(後述するナット部16a)が接着剤Bを介して配置されている。凹部42の深さは、ナット部16aが完全に収まる深さであることが好ましい。凹部43には、N端子17(後述するナット部17a)が接着剤Bを介して配置されている。凹部43の深さは、ナット部17aが完全に収容可能であることが好ましい。P端子16及びN端子17は、1つの半導体組立体2につき、1つずつ配置されている。P端子16及びN端子17の端部(後述する板状部16b、17b)は、半田等の接合材Sを介して絶縁基板6(所定の回路板)に接続される。
【0031】
また、ケース部材4の短手方向(Y方向)で対向する一対の壁部のうち、Y方向正側の壁部(分割体41)には、平面視四角形状の凹部44が形成されている。凹部44には、M端子18(後述するナット部18a)が接着剤Bを介して配置されている。凹部44の深さは、ナット部18aが完全に収容可能であることが好ましい。M端子18は、1つの半導体組立体2につき、1つずつ配置されている。M端子18の端部(板状部18b)は、半田等の接合材Sを介して絶縁基板6(所定の回路板)に接続される。上記したように、制御端子19は、分割体41に一体成型されている。制御端子19は、1つの半導体組立体2につき、例えば10個ずつ配置されている。
【0032】
これらの端子は、例えば銅素材、銅合金系素材、アルミニウム合金系素材、鉄合金系素材等の金属材料によって形成される。なお、これらの端子の形状、配置箇所、個数等は、上記に限らず適宜変更が可能である。
【0033】
上記したP端子16は正極端子、N端子17は負極端子、M端子18は中間端子と呼ばれてもよい。これらの端子は、主電流が流れる金属配線板を構成する。詳細は後述するが、P端子16、N端子17及びM端子18の一端は外部導体に接続可能な主端子を構成し、P端子16、N端子17及びM端子18の一端は絶縁基板6の所定の回路層に接合材Sを介して接合される。
【0034】
具体的に、P端子16は、ナット部16aと、板状部16bとを一体成型して形成されている。ナット部16aは、所定厚みの四角ナットで形成されている。ナット部16aは、中央に厚み方向へ貫通するネジ穴16cが形成されている。ナット部16aは、板状部16bの一端側に設けられている。
【0035】
板状部16bは、上面と下面を有する平板形状を有している。板状部16bは、平面視でY方向に長い長尺形状を有している。板状部16bの厚みは、ナット部16aの厚みよりも小さくなっている。ナット部16aは、外部導体に接続される主端子を構成する。また、板状部16bの他端は、絶縁基板6の回路層に接合材Sを介して接合される。
【0036】
同様に、N端子17は、ナット部17aと、板状部17bとを一体成型して形成されている。ナット部17aは、所定厚みの四角ナットで形成されている。ナット部17aは、中央に厚み方向へ貫通するネジ穴17cが形成されている。ナット部17aは、板状部17bの一端側に設けられている。
【0037】
板状部17bは、上面と下面を有する平板形状を有している。板状部17bは、平面視でY方向に長い長尺形状を有している。板状部17bの厚みは、ナット部17aの厚みよりも小さくなっている。ナット部17aは、外部導体に接続される主端子を構成する。また、板状部17bの他端は、絶縁基板6の回路層に接合材Sを介して接合される。
【0038】
また、M端子18は、ナット部18aと、板状部18bとを一体成型して形成されている。ナット部18aは、所定厚みの四角ナットで形成されている。ナット部18aは、中央に厚み方向へ貫通するネジ穴18cが形成されている。ナット部18aは、板状部18b一端側に設けられている。
【0039】
板状部18bは、上面と下面を有する平板形状を有している。板状部18bは、平面視でY方向に長い長尺形状を有している。板状部18bの厚みは、ナット部18aの厚みよりも小さくなっている。ナット部18aは、外部導体に接続される主端子を構成する。また、板状部18bの他端は、絶縁基板6の回路層に接合材Sを介して接合される。
【0040】
また、ケース部材4には、外周縁に沿って複数の貫通穴20が形成されている。貫通穴20は、半導体装置1の固定用のネジ(不図示)を挿通するための穴である。貫通穴20は、冷却器3のベース板9まで貫通している。
【0041】
上記したように、封止樹脂5は、枠状のケース部材4により規定される内部空間に充填される。これにより、絶縁基板6、及びこれに実装された半導体素子7、金属配線板8が上記の空間内に封止される。封止樹脂5は、熱硬化性の樹脂により構成される。封止樹脂5は、エポキシ、シリコーン、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド、及びポリアミドイミドのいずれかを少なくとも含むことが好ましい。封止樹脂5には、例えば、フィラーを混入したエポキシ樹脂が、絶縁性、耐熱性及び放熱性の点から好適である。
【0042】
ところで、半導体装置においては、金属配線板と絶縁基板とは、半田等の接合材を介して接続される。その他に、金属配線板と絶縁基板とを電気的に接続する方法として、レーザー溶接が用いられている。しかしながら、基板に直接レーザーを照射して溶接することは困難であるため、基板に半田付けされた銅ブロックと主端子とをレーザー溶接する方法が提案されている。この場合、レーザー溶接の接続不良や、接続箇所における剥離、更には熱サイクルによる不良の発生が問題となっている。また、レーザー溶接では、配線抵抗が高くなって装置の特性が劣化するおそれがあった。
【0043】
そこで、本件発明者は、金属配線板と絶縁基板との接続方法、接続タイミング、更には周囲を囲うケース部材の取り付け構造に着目し、本発明に想到した。例えば、本実施の形態では、金属配線板(P端子16、N端子17、及びM端子18)の一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、その他端が絶縁基板6の回路層に接合材Sを介して接合されている。すなわち、金属配線板が、絶縁基板6に半田等の接合材Sを介して直接接合されるため、上記したレーザー溶接をなくすことが可能である。これにより、装置の配線抵抗を低減することができ、特性向上だけでなく、特性評価のための測定精度も高められる。更には、レーザー溶接のための開先に凹凸を設ける必要がなくなるため、封止樹脂5との密着性も向上することが可能である。このように、製造工程を簡略化して特性を向上することが可能である。
【0044】
ところが、金属配線板と絶縁基板6を半田で接合する場合、その近傍に位置する樹脂製のケース部材が熱の影響を受けて溶解してしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、金属配線板と絶縁基板6を半田で接合した後に、ケース部材4を取り付ける構成とした。これを実現するため、具体的にはケース部材4を一対の分割体40、41で形成し、一対の分割体40、41をモジュールの側方から挿入して接着剤Bで接着する構成とした。この場合、主端子(ナット部)とケース部材4とは、接着剤Bを介して接合される。
【0045】
ここで、図1から図4を参照して、金属配線板、絶縁基板6、及びケース部材4の接続構成の詳細について説明する。なお、図2図3では、主端子としてN端子17とM端子18の断面のみ示しているが、P端子16も同様の構成を有しているものとする。また、図3、4のケース部材内面において直線矢印で示す範囲は、接着剤Bの塗布範囲を示している。
【0046】
上記したように、金属配線板は、上面と下面を有する平板形状を有し、一端の下面が接着剤Bを介してケース部材に接合され、他端の下面が接合材Sを介して回路層に接合されている。具体的にM端子18は、接着剤Bを介して凹部44に接合されるナット部18aと、接合材Sを介して回路層に接合される板状部18bと、を有している。
【0047】
上記したように、分割体41は、主端子(ナット部18a)を収容可能な凹部44(端子用凹部)を有している。ナット部18aは、凹部44の内底面及び内側面に接着剤Bを介して接合されている。このように、金属配線板とケース部材4とは、一体成型でなくとも接着剤Bによって接合可能である。したがって、一対の分割体40、41で形成されたケース部材4を後付けすることが可能になっている。
【0048】
また、本実施の形態では、ベース板9が、絶縁基板6の配置箇所に対応して厚み方向に突出した凸部90を有している。凸部90は、X方向に長い平面視矩形状を有している。絶縁基板6のX方向の端部は、凸部90のX方向の端部よりも内側に位置している。また、絶縁基板6のY方向の端部は、凸部90のY方向の端部よりも外側に位置している。すなわち、絶縁基板6の外周端は、一対の分割体40、41の分割方向(Y方向)に交差する方向(X方向)からみて凸部90よりも外周側に突出している。
【0049】
これに対し、分割体40、41のY方向における内側面には、絶縁基板6の外周端を受容可能な凹部が形成されている。分割体40には凹部40aが形成され、分割体41には凹部41aが形成されている。凹部40aは、分割体40の内側面からX方向正側に突出する第1突起部40b及び第2突起部40cとの間に形成されている。第1突起部40bは、凹部40aよりも下方に位置し、第2突起部40cは、凹部40aよりも上方に位置している。
【0050】
詳細は後述するが、第1突起部40bは、凸部90に当接可能な当接部を構成する。すなわち、凸部90は、分割体40の挿入位置を規制する位置決め部を構成する。絶縁基板6の外周縁は、凹部40a内に受容され、接着剤Bを介して分割体40に接合される。このとき、絶縁基板6の外周縁は、第1突起部40b及び第2突起部40cの間に挟まれた状態となっている。
【0051】
同様に、凹部41aは、分割体41の内側面からX方向負側に突出する第1突起部41b及び第2突起部41cとの間に形成されている。第1突起部41bは、凹部41aよりも下方に位置し、第2突起部41cは、凹部41aよりも上方に位置している。
【0052】
詳細は後述するが、第1突起部41bは、凸部90に当接可能な当接部を構成する。すなわち、凸部90は、分割体41の挿入位置を規制する位置決め部を構成する。絶縁基板6の外周縁は、凹部41a内に受容され、接着剤Bを介して分割体41に接合される。このとき、絶縁基板6の外周縁は、第1突起部41b及び第2突起部41cの間に挟まれた状態となっている。
【0053】
また、分割体41において、第2突起部41cの上面には、制御端子19の一部を構成する内側端子部19bが表出している。すなわち、内側端子部19bは、絶縁基板6の外周縁の真上に位置している。
【0054】
図3及び図4に示すように、ケース部材4とベース板9、絶縁基板6、及び金属配線板(P端子16、N端子17、M端子18)が直接接触する箇所には接着剤Bが塗布され、互いに接合されている。
【0055】
次に、図5から図11を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図5から図11は、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程例を示す平面図である。なお、以下に示す半導体装置の製造方法は、あくまで一例であり、この構成に限定されず、適宜変更が可能である。また、半導体装置の製造方法を構成する各工程の順序は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜変更が可能である。また、半導体装置の製造方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでもよい。
【0056】
図5から図11に示すように、半導体装置1の製造方法は、ベース板準備工程(図5参照)と、基板配置工程(図6参照)と、チップ配置工程(図7参照)と、端子配置工程と(図8参照)と、ケース配置工程(図9及び図10参照)と、配線工程(図2参照)と、封止工程(図11参照)と、を含んで構成される。これらの工程において、例えばチップ配置工程と端子配置工程の順序は逆であってもよい。また、予め、絶縁基板6と、半導体素子7で構成された半導体組立体2をベース板に配置してもよい。
【0057】
先ず、ベース板準備工程が実施される。図5に示すように、ベース板準備工程では、ベース板9は、凸部90が上面を向くように配置される。
【0058】
次に、基板配置工程が実施される。図6に示すように、基板配置工程では、凸部90の上面に接合材Sを介して3つの絶縁基板6が配置される。絶縁基板6は、回路層が上面を向くように配置される。上記したように、Y方向において、絶縁基板6の外周縁は、凸部90の外周縁よりも外側に位置している。接合材Sは、例えば所定温度の炉内に投入されることで加熱され、絶縁基板6とベース板9とを接合する。
【0059】
次に、チップ配置工程が実施される。図7に示すように、チップ配置工程では、絶縁基板6(所定の回路板)の上面に半田等の接合材Sを介して半導体素子7が配置される。接合材Sは、半田に限らず、焼結材を用いることも可能である。接合材Sは、例えば所定温度の炉内に投入されることで加熱され、絶縁基板6と半導体素子7とを接合する。
【0060】
次に、端子配置工程が実施される。図8に示すように、絶縁基板6の所定の回路板上に接合材Sを介して金属配線板が配置される。具体的に、P端子16及びN端子17が絶縁基板6のY方向負側の上面に配置され、M端子18が絶縁基板6のY方向正側の上面に配置される。接合材Sは、半田に限らず、焼結材を用いることも可能である。接合材Sは、例えば所定温度の炉内に投入されることで加熱され、絶縁基板6と金属配線板とを接合する。
【0061】
次に、ケース配置工程が実施される。図9及び図10に示すように、ケース配置工程では、絶縁基板6のY方向外側から一対の分割体40、41で絶縁基板6を挟み込むように配置する。このとき、分割体40、41、絶縁基板6、ベース板9、及び金属配線板(P端子、N端子17、M端子18)がそれぞれ接触する箇所に接着剤Bを塗布しておくことが好ましい。また、平面視U字状の分割体40、41のそれぞれの開放端が対向するように配置され、それぞれの分割体は、対応する凹部40a、41aが絶縁基板6の外周縁に係合するように挿入される。このとき、第1突起部40b、41bがそれぞれ凸部90の側面に当接するまで挿入されるため、分割体40、41の位置決めが容易となって組付け性が向上されている。そして、接着剤Bは、硬化することで分割体40、41、絶縁基板6、ベース板9、及び金属配線板を接合する。
【0062】
次に、配線工程が実施される。図2に示すように、配線工程では、ワイヤ等の配線部材W1を介して制御端子19と半導体素子7の上面電極とが電気的に接続される。例えば、半導体素子7の上面に形成された制御電極と内側端子部19bとがボンディングワイヤで接続される。また、所定の回路板60と半導体素子7は、配線部材W2を介して電気的に接続される。
【0063】
次に、封止工程が実施される。図11に示すように、封止工程では、ケース部材4によって画定された空間(内側空間)に封止樹脂5が充填される。封止樹脂5は、例えばケース部材の上端の高さまで充填される。封止樹脂5は、液状樹脂を所定温度で硬化させることによって形成される。この結果、少なくとも絶縁基板6、半導体素子7、金属配線板の板状部16b、17b、18b、及び配線部材W1、W2が封止樹脂5によって覆われる(封止される)。封止樹脂5により、ベース板9とケース部材4との接合力が高められる。このようにして、半導体装置1が製造される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、金属配線板を絶縁基板6に半田で接合した後、一対の分割体40、41で形成されたケース部材4を絶縁基板6の左右から挟み込んで接着したことにより、製造工程を簡略化して装置の特性を向上することが可能である。
【0065】
次に、図12から図14を参照して、変形例について説明する。
例えば、上記実施の形態では、金属配線板(M端子18)が、平板形状の板状部18bを有する構成したがこの構成に限定されない。図12に示すように、板状部18bは、Y方向の途中にZ方向で高さが異なる段部18dを備えてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、平面視で第2突起部41cと凸部90が重ならないように配置される場合について説明したが、この構成に限定されない。例えば、図13に示すように、第2突起部41cと凸部90は、平面視で少なくとも一部が重なるように配置されてもよい。この構成によれば、内側端子部19bの下方に高剛性のベース板9が介在することになる。この結果、内側端子部19bにボンディングした際の第2突起部41cの変形を抑制することが可能である。
【0067】
また、上記実施の形態において、ケース部材4のZ方向の厚みは、一様に限らず、部分的に薄くしてもよい。例えば、図14に示すように、3相の境界部分(二点鎖線部分参照)又は、その近傍の所定範囲において、ケース部材4の厚みを薄くすることが好ましい。Y方向に長いベース板9は、基板配置工程等のプロセスにおいて、長手方向に反りやすくなっている。このため、ケース部材4が部分的に薄肉部を有することで、ベース板9の反り方向に応じて変形しやすくすることが可能である。その結果、ケース部材を配置する際の取り付け性を向上することが可能である。
【0068】
また、上記実施の形態において、半導体素子7の個数及び配置箇所は、上記構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0069】
また、上記実施の形態において、回路板の個数及びレイアウトは、上記構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0070】
また、上記実施の形態では、絶縁基板6、半導体素子7が平面視矩形状又は方形状に形成される構成としたが、この構成に限定されない。これらの構成は、上記以外の多角形状に形成されてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、半導体組立体2が、単位モジュールをU相、V相、W相の順にX方向に3つ並んで配置して構成される場合について説明したが、この構成に限定されない。単位モジュールの配列数、配列方向は適宜変更が可能である。また、ケース部材4がU相、V相、W相の三相分を一体化して形成されているが、これに限定されず、適宜変更が可能である。ケース部材4は、単位モジュール毎に分割して設けられてもよい。
【0072】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0073】
また、本実施の形態は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0074】
下記に、上記の実施の形態における特徴点を整理する。
上記実施の形態に係る半導体装置は、放熱板と、前記放熱板の上面に配置された絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に配置された半導体素子と、一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、他端が前記絶縁基板の回路層に接合材を介して接合された金属配線板と、前記半導体素子及び前記絶縁基板を収容する空間を画定するケース部材と、を備え、前記ケース部材は、平面視で所定方向に分割された一対の分割体を連結することで枠状に形成され、前記主端子と前記ケース部材とは、接着剤を介して接合されている。
【0075】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記金属配線板は、上面と下面を有する平板形状を有し、一端の下面が前記接着剤を介して前記ケース部材に接合され、他端の下面が前記接合材を介して前記回路層に接合されている。
【0076】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記分割体は、前記主端子を収容可能な端子用凹部を有し、前記主端子は、前記端子用凹部の内底面及び内側面に前記接着剤を介して接合されている。
【0077】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記ベース板は、前記絶縁基板の配置箇所に対応して厚み方向に突出した凸部を有し、前記絶縁基板は、前記凸部の上面に接合材を介して配置され、前記分割体は、前記凸部の側面に当接可能な当接部を有する。
【0078】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記絶縁基板の外周端は、前記分割体の分割方向に交差する方向からみて前記凸部よりも外周側に突出しており、前記分割体は、前記凸部よりも外周側に突出した前記絶縁基板の前記外周端を受容可能な凹部を有し、前記絶縁基板の前記外周端は、前記接着剤を介して前記凹部に接合されている。
【0079】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、一方の前記分割体は、一体成型された制御端子を有し、前記制御端子は、外部接続用の外側端子部と、前記半導体素子の上面電極に配線部材を介して接続された内側端子部と、を有し、前記内側端子部は、前記絶縁基板の上方で前記分割体の内側面から内側に突出する突起部の上面に配置され、前記凹部は、前記当接部と前記突起部との間に形成されている。
【0080】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記凸部と前記突起部は、平面視で重なるように配置されている。
【0081】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記絶縁基板は、前記分割体の分割方向に交差する方向に並んで複数配置されている。
【0082】
また、上記実施の形態に係る半導体装置において、前記金属配線板は、一方の前記分割体に接合されている中間端子と、他方の前記分割体に接合されている正極端子及び負極端子と、によって構成される。
【0083】
また、上記実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、ベース板と、前記ベース板の上面に配置された絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に配置された半導体素子と、一端が外部導体に接続可能な主端子を構成し、他端が前記絶縁基板の回路層に接合材を介して接合された金属配線板と、前記半導体素子及び前記絶縁基板を収容する空間を画定するケース部材と、を備えた半導体装置の製造方法であって、前記ベース板の上面に前記絶縁基板を配置する基板配置工程と、前記絶縁基板の前記回路層に前記接合材を介して前記金属配線板の他端を接合する端子配置工程と、平面視で所定方向に分割された一対の分割体で構成された前記ケース部材を前記絶縁基板の側方から挟むように取り付け、前記分割体同士を連結することで枠状の前記ケース部材を形成するケース配置工程と、を備え、前記ケース配置工程において、前記主端子と前記分割体とを接着剤で接合する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、製造工程を簡略化して特性を向上することができるという効果を有し、特に、冷却器一体型の半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 半導体装置
2 半導体組立体
3 冷却器
4 ケース部材
5 封止樹脂
6 絶縁基板
7 半導体素子
9 ベース板
16 P端子
16a ナット部
16b 板状部
16c ネジ穴
17 N端子
17a ナット部
17b 板状部
17c ネジ穴
18 M端子
18a ナット部
18b 板状部
18c ネジ穴
18d 段部
19 制御端子
19a 外側端子部
19b 内側端子部
20 貫通穴
40 分割体
40a 凹部
40b 第1突起部
40c 第2突起部
41 分割体
41a 凹部
41b 第1突起部
41c 第2突起部
42 凹部
43 凹部
44 凹部
60 回路板
90 凸部
B 接着剤
S 接合材
W1 配線部材
W2 配線部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15