(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】アンテナモジュールおよびそれを搭載した通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20240827BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/24
(21)【出願番号】P 2023503674
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2022005324
(87)【国際公開番号】W WO2022185874
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2021032805
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 良樹
(72)【発明者】
【氏名】小村 良
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-142786(JP,A)
【文献】特開平03-173203(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107706500(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層された誘電体基板と、
前記誘電体基板に形成された、平板形状の第1放射素子と、
前記誘電体基板において、前記第1放射素子に対向して配置された接地電極と、
前記第1放射素子と前記接地電極との間の層に形成され、前記接地電極と電気的に接続された第1周辺電極とを備え、
前記第1放射素子は、第1偏波方向に電波を放射可能であり、
前記接地電極の前記第1偏波方向の寸法は、前記接地電極の前記第1偏波方向に直交する特定方向の寸法よりも短く、
前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、前記第1周辺電極の少なくとも一部は、前記第1偏波方向における、前記接地電極の端部と前記第1放射素子の端部との間に配置される、アンテナモジュール。
【請求項2】
前記第1放射素子は、前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、前記第1偏波方向に沿った第1辺および前記特定方向に沿った第2辺を含む矩形形状を有しており、
前記第1辺の寸法は、前記第2辺の寸法よりも短い、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
前記第1周辺電極は、前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、前記誘電体基板の前記第1偏波方向の端部において前記第2辺に沿って延在する矩形形状を有しており、
前記第2辺に沿った前記第1周辺電極の寸法は、前記第2辺の寸法よりも短い、請求項2に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記第1放射素子は、前記特定方向である第2偏波方向にも電波を放射可能であり、
前記第1放射素子から放射される電波の波長をλ
1とすると、前記第1周辺電極は、前記第1辺と前記第1周辺電極との間の前記第2偏波方向に沿った距離が少なくともλ
1/8となる位置に配置される、請求項3に記載のアンテナモジュール。
【請求項5】
前記第1周辺電極は、前記接地電極において、前記第1偏波方向の端部に配置されており、前記特定方向の端部には配置されていない、請求項2に記載のアンテナモジュール。
【請求項6】
前記第1周辺電極は、前記誘電体基板の積層方向に積層され、前記接地電極に電気的に接続された複数の電極を含み、
前記複数の電極のうち、前記誘電体基板において前記第1放射素子に最も近い層に配置された第1電極の前記第1偏波方向の寸法は、前記第1電極以外の第2電極の前記第1偏波方向の寸法よりも長い、請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項7】
前記第1電極は、前記第1電極の前記第1放射素子側の端部が、前記第2電極の前記第1放射素子側の端部よりも前記第1放射素子に近くなるように配置されている、請求項6に記載のアンテナモジュール。
【請求項8】
前記第1周辺電極は、前記特定方向に沿って並列配置された複数の電極によって形成されている、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項9】
前記第1周辺電極は、前記特定方向に延在する矩形形状の第1部分と、前記第1部分から前記特定方向に向かって突出する第2部分とを含み、
前記第1部分における前記第1放射素子に面した辺の寸法は、前記第2部分を含む前記特定方向に沿った前記第1周辺電極の寸法よりも短い、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項10】
前記第1放射素子よりも高い周波数帯域の電波を放射することが可能な第2放射素子をさらに備え、
前記第1放射素子は、前記第2放射素子と前記接地電極との間に配置されており、
前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、前記第2放射素子は前記第1放射素子と重なっている、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項11】
前記第1放射素子と前記第2放射素子との間の層に形成され、前記第1放射素子に電気的に接続された第2周辺電極をさらに備え、
前記第2放射素子は、前記第1偏波方向に電波を放射可能であり、
前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、
前記第2周辺電極の少なくとも一部は、前記第1偏波方向における、前記第1放射素子の端部と前記第2放射素子の端部との間に配置される、請求項10に記載のアンテナモジュール。
【請求項12】
前記特定方向に沿った前記第2周辺電極の寸法は、前記特定方向に沿った前記第2放射素子の寸法よりも短い、請求項11に記載のアンテナモジュール。
【請求項13】
前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、
前記第1放射素子は、前記第1偏波方向に沿った第1辺および前記特定方向に沿った第2辺を含む矩形形状を有しており、
前記第2周辺電極は、前記第1放射素子の前記第1偏波方向の端部において前記第2辺に沿って延在する矩形形状を有しており、
前記第2周辺電極の少なくとも一部は、前記第1偏波方向における、前記第2辺と前記第2放射素子の端部との間に配置される、請求項11または12に記載のアンテナモジュール。
【請求項14】
前記第2放射素子は、前記特定方向である第2偏波方向にも電波を放射可能であり、
前記第2放射素子から放射される電波の波長をλ
2とすると、前記第2周辺電極は、前記第2放射素子の前記第1偏波方向に沿った辺と前記第2周辺電極との間の前記第2偏波方向に沿った距離が少なくともλ
2/8となる位置に配置される、請求項13に記載のアンテナモジュール。
【請求項15】
前記第1放射素子および前記第2放射素子の各々は、給電素子である、請求項10~14のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項16】
平板形状の無給電素子をさらに備え、
前記第2放射素子は、前記第1放射素子と前記無給電素子との間に配置されており、
前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、前記無給電素子の少なくとも一部は前記第2放射素子と重なっている、請求項10~15のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項17】
前記第1放射素子から放射される電波の波長をλ
1とすると、
前記誘電体基板を積層方向から平面視した場合に
、前記第1偏波方向に沿った
、前記第1放射素子の中心から前記接地電極の
端部までの距離はλ
1/4よりも短い、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項18】
各放射素子に高周波信号を供給するように構成された給電回路をさらに備える、請求項1~17のいずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のアンテナモジュールを搭載した、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナモジュールおよびそれを搭載した通信装置に関し、より特定的には、アンテナ特性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6798657号公報(特許文献1)には、平板形状のパッチアンテナを有するアンテナモジュールにおいて、誘電体基板に対して放射素子の偏波方向を傾けて配置する構成が開示されている。特許第6798657号公報(特許文献1)に開示されたアンテナモジュールにおいては、接地電極の面積が制限された場合でも、偏波方向における放射素子と接地電極との距離を確保しやすくなるため、アンテナ特性の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話あるいはスマートフォンのような携帯端末に代表される通信装置においては、さらなる小型化および薄型化が望まれている。これに伴って、当該通信装置に搭載されるアンテナモジュールについても、小型化および低背化が必要とされている。また、通信装置の小型化により、装置内においてアンテナモジュールの配置場所が制限される場合もあり、そのような場合には、アンテナモジュール内の接地電極の面積を十分に確保できない状態となり得る可能性がある。
【0005】
一般的に、平板形状のパッチアンテナにおいては、周波数帯域幅の拡大および損失低減などのアンテナ特性の観点からは、放射素子に対して十分に広い面積の接地電極を有することが好ましい。しかしながら、上述のように小型化のために、接地電極の大きさが制限される場合には、所望のアンテナ特性が実現できない可能性がある。
【0006】
このような課題に対して、特許第6798657号公報(特許文献1)に開示されるように、接地電極に対して放射素子の偏波方向を傾斜させて配置することによって、アンテナ特性の低下を抑制することができる。しかしながら、アンテナモジュールの実装態様によっては、通信装置の筐体との相互作用などの影響で、偏波方向を傾斜させることができない場合があり、そのような場合には、所望のアンテナ特性が実現できない状態となり得る。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、アンテナモジュールにおいて、接地電極の面積が制限される場合のアンテナ特性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るアンテナモジュールは、複数の誘電体層が積層された誘電体基板と、第1放射素子と、接地電極と、第1周辺電極とを備える。第1放射素子は、誘電体基板に形成され、平板形状を有している。接地電極は、誘電体基板において第1放射素子に対向して配置されている。第1周辺電極は、第1放射素子と接地電極との間の層に形成され、接地電極と電気的に接続されている。第1放射素子は、第1偏波方向に電波を放射可能である。接地電極の第1偏波方向の寸法は、接地電極の第1偏波方向に直交する特定方向の寸法よりも短い。誘電体基板を積層方向から平面視した場合に、第1周辺電極の少なくとも一部は、第1偏波方向における、接地電極の端部と第1放射素子の端部との間に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るアンテナモジュールにおいては、周辺電極により放射素子と接地電極との間の容量成分が増加することによって、放射素子の寸法を短くしても所望の共振周波数を得ることができる。さらに、周辺電極によって、放射素子から接地電極に回り込む電気力線が減少する。したがって、接地電極の面積が制限される場合であっても、アンテナ特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に従うアンテナモジュールが適用される通信装置のブロック図である。
【
図2】
図1のアンテナモジュールの平面図および側面透視図である。
【
図3】周辺電極による効果を説明するための図である。
【
図4】実施の形態2に従うアンテナモジュールの平面図および側面透視図である。
【
図5】実施の形態3に従うアンテナモジュールの平面図および側面透視図である。
【
図6】実施の形態4に従うアンテナモジュールの側面透視図である。
【
図7】変形例1の周辺電極を備えたアンテナモジュールを示す平面図である。
【
図8】変形例2の周辺電極を備えたアンテナモジュールを示す平面図である。
【
図9】変形例3の第1例のアンテナモジュールの側面透視図である。
【
図10】変形例3の第2例のアンテナモジュールの側面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
[実施の形態1]
(通信装置の基本構成)
図1は
、実施の形態1に係るアンテナモジュール100が適用される通信装置10のブロック図の一例である。通信装置10は、たとえば、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどの携帯端末や、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどである。本実施の形態に係るアンテナモジュール100に用いられる電波の周波数帯域の一例は、たとえば28GHz、39GHzおよび60GHzなどを中心周波数とするミリ波帯の電波であるが、上記以外の周波数帯域の電波についても適用可能である。
【0013】
図1を参照して、通信装置10は、アンテナモジュール100と、ベースバンド信号処理回路を構成するBBIC200とを備える。アンテナモジュール100は、給電回路の一例であるRFIC110と、アンテナ装置120とを備える。通信装置10は、BBIC200からアンテナモジュール100へ伝達された信号を、RFIC110にて高周波信号にアップコンバートし、アンテナ装置120から放射する。また、通信装置10は、アンテナ装置120で受信した高周波信号をRFIC110へ送信し、ダウンコンバートしてBBIC200にて信号を処理する。
【0014】
図1では、説明を容易にするために、アンテナ装置120を構成する複数の放射素子(給電素子)のうち、4つの放射素子121A~
121D(以下、包括的に「放射素子121」とも称する。)に対応する構成のみ示され、同様の構成を有する他の放射素子に対応する構成については省略されている。なお、
図1においては、アンテナ装置120が二次元のアレイ状に配置された複数の放射素子121で形成される例を示しているが、複数の放射素子121が一列に配置された一次元アレイであってもよい。また、アンテナ装置120は、放射素子121が単独で設けられる構成であってもよい。本実施の形態においては、放射素子121は、平板形状を有するパッチアンテナである。
【0015】
アンテナ装置120は、1つの放射素子から偏波方向が異なる2種類の電波を放射可能な、いわゆるデュアル偏波タイプのアンテナ装置である。各放射素子121には、RFIC110から、第1偏波用の高周波信号および第2偏波用の高周波信号が供給される。
【0016】
RFIC110は、スイッチ111A~111H,113A~113H,117A,117Bと、パワーアンプ112AT~112HTと、ローノイズアンプ112AR~112HRと、減衰器114A~114Hと、移相器115A~115Hと、信号合成/分波器116A,116Bと、ミキサ118A,118Bと、増幅回路119A、119Bとを備える。このうち、スイッチ111A~111D,113A~113D,117A、パワーアンプ112AT~112DT、ローノイズアンプ112AR~112DR、減衰器114A~114D、移相器115A~115D、信号合成/分波器116A、ミキサ118A、および増幅回路119Aの構成が、第1偏波用の高周波信号のための回路である。また、スイッチ111E~111H,113E~113H,117B、パワーアンプ112ET~112HT、ローノイズアンプ112ER~112HR、減衰器114E~114H、移相器115E~115H、信号合成/分波器116B、ミキサ118B、および増幅回路119Bの構成が、第2偏波用の高周波信号のための回路である。
【0017】
高周波信号を送信する場合には、スイッチ111A~111H,113A~113Hがパワーアンプ112AT~112HT側へ切換えられるとともに、スイッチ117A,117Bが増幅回路119A,119Bの送信側アンプに接続される。高周波信号を受信する場合には、スイッチ111A~111H,113A~113Hがローノイズアンプ112AR~112HR側へ切換えられるとともに、スイッチ117A,117Bが増幅回路119A,119Bの受信側アンプに接続される。
【0018】
BBIC200から伝達された信号は、増幅回路119A,119Bで増幅され、ミキサ118A,118Bでアップコンバートされる。アップコンバートされた高周波信号である送信信号は、信号合成/分波器116A,116Bで4分波され、対応する信号経路を通過して、それぞれ異なる放射素子121に給電される。このとき、各信号経路に配置された移相器115A~115Hの移相度が個別に調整されることにより、アンテナ装置120の指向性を調整することができる。
【0019】
スイッチ111A,111Eからの高周波信号は、放射素子121Aに供給される。同様に、スイッチ111B,111Fからの高周波信号は、放射素子121Bに供給される。スイッチ111C,111Gからの高周波信号は、放射素子121Cに供給される。スイッチ111D,111Hからの高周波信号は、放射素子121Dに供給される。
【0020】
各放射素子121で受信された高周波信号である受信信号は、RFIC110に伝達され、それぞれ異なる4つの信号経路を経由して信号合成/分波器116A,116Bにおいて合波される。合波された受信信号は、ミキサ118A,118Bでダウンコンバートされ、増幅回路119A,119Bで増幅されてBBIC200へ伝達される。
【0021】
(アンテナモジュールの構造)
次に、
図2を用いて、実施の形態1におけるアンテナモジュール100の構成の詳細を説明する。
図2は、実施の形態1の係るアンテナモジュール100を示す図である。
図2においては、上段にアンテナモジュール100の平面図(
図2(A))が示されており、下段に側面透視図(
図2(B))が示されている。
【0022】
アンテナモジュール100は、放射素子121およびRFIC110に加えて、誘電体基板130と、給電配線141,142と、周辺電極150と、接地電極GNDとを含む。なお、以降の説明において、誘電体基板130の法線方向(電波の放射方向)をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面をX軸およびY軸で規定する。また、各図におけるZ軸の正方向を上方側、負方向を下方側と称する場合がある。
【0023】
誘電体基板130は、たとえば、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)多層基板、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、より低い誘電率を有する液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、フッ素系樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、PET(Polyethylene Terephthalate)材から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、あるいは、LTCC以外のセラミックス多層基板である。なお、誘電体基板130は必ずしも多層構造でなくてもよく、単層の基板であってもよい。
【0024】
誘電体基板130は、法線方向(Z軸方向)から平面視すると矩形形状を有している。誘電体基板130のX軸に沿った寸法は、Y軸に沿った寸法よりも短い。誘電体基板130の上面131(Z軸の正方向の面)に近い層(上方側の層)に放射素子121が配置されている。放射素子121は、誘電体基板130表面に露出する態様で配置されてもよいし、
図2(B)の例のように誘電体基板130の内部に配置されてもよい。
【0025】
誘電体基板130の下面132に近い位置において、誘電体基板130の全面にわたって接地電極GNDが配置される。また、誘電体基板130の下面132には、はんだバンプ160を介してRFIC110が実装されている。なお、RFIC110は、はんだ接続に代えて、多極コネクタを用いて誘電体基板130に接続されてもよい。
【0026】
放射素子121は、矩形形状を有する平板状の電極である。放射素子121のX軸方向に沿った辺(第1辺)の寸法L1は、放射素子121のY軸方向に沿った辺(第2辺)の寸法L2よりも短い(L1<L2)。これは、誘電体基板130のX軸方向の寸法がY軸方向の寸法に比べて制限されているためである。アンテナモジュール100においては、放射素子121から放射される電波の波長をλ1とした場合に、放射素子121の中心から誘電体基板130のY軸に沿った辺までの距離は、λ1/4以下である。放射素子121には、給電配線141,142を介して、RFIC110から個別に高周波信号が供給される。なお、放射素子121は、必ずしも矩形形状に限られず、たとえば、円形状、楕円形状、あるいは、他の多角形であってもよい。
【0027】
給電配線141は、RFIC110から接地電極GNDを貫通して、放射素子121の給電点SP1に接続される。また、給電配線142は、RFIC110から接地電極GNDを貫通して、放射素子121の給電点SP2に接続される。給電点SP1は放射素子121の中心からX軸の正方向にオフセットしており、給電点SP2は放射素子121の中心からY軸の負方向にオフセットしている。これにより、放射素子121からは、X軸方向を偏波方向とする電波およびY軸方向を偏波方向とする電波が放射される。すなわち、アンテナモジュール100は、デュアル偏波タイプのアンテナモジュールである。
【0028】
アンテナモジュール100においては、誘電体基板130におけるX軸方向の端部において、放射素子121と接地電極GNDとの間の誘電体層に周辺電極150が形成される。周辺電極150は、誘電体基板130の法線方向(Z軸の正方向)から平面視した場合に、矩形形状を有しており、誘電体基板130のX軸方向の端部においてY軸方向に沿って延在している。周辺電極150は、放射される電波の対称性を確保するために、放射素子121のY軸方向の辺の中央部に配置されている。なお、周辺電極150は、必ずしも矩形形状には限られず、たとえば、楕円形状、角に丸みを有する四角形、あるいは他の多角形であってもよい。
【0029】
周辺電極150のY軸方向の寸法は、放射素子121のY軸方向の寸法よりも短い。放射素子121のY軸方向に沿った辺の寸法L2はλ1/2である。周辺電極150は、放射素子121のX軸に沿った辺と周辺電極150との間のY軸方向に沿った距離が少なくともλ1/8となる位置に配置されている。周辺電極150のY軸に沿った寸法が、対向する放射素子121の辺の寸法と同程度の場合、Y軸方向を偏波方向とする電波の周波数帯域幅および/またはアンテナゲインなどのアンテナ特性が低下するおそれがある。そのため、アンテナモジュール100においては、周辺電極150が放射素子121の端部に近づきすぎないように、放射素子121のX軸に沿った各辺とのY軸に沿った距離が少なくともλ1/8となる位置に配置されている。これによって、X軸方向を偏波方向とする電波とY軸方向を偏波方向とする電波のアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0030】
誘電体基板130の積層方向(Z軸方向)においては、周辺電極150は、放射素子121に最も近い層に配置された平板電極151(第1電極)と、平板電極151および接地電極GNDとの間の層に配置された複数の平板電極152(第2電極)とを含む。平板電極151および複数の平板電極152は、ビア153により互いに接続されている。ビア153は、接地電極GNDに接続されている。したがって、周辺電極150の電位は接地電位となる。
【0031】
(周辺電極の機能)
次に、
図3を用いて周辺電極150の機能について説明する。
図3においては、アンテナモジュールのX軸方向に沿った模式的な断面が記載されており、放射素子121に高周波信号が供給されたときの、放射素子121と接地電極GNDとの間に形成される電気力線が描かれている。
【0032】
図3において、上段の
図3(A)は、誘電体基板130のサイズに制限がなく、接地電極GNDの面積を十分に広くすることができる場合を示している。中段の
図3(B)は、誘電体基板130のサイズが制限され、X軸方向の接地電極GNDの寸法を十分に確保できない場合を示している。下段の
図3(C)は、本実施の形態1のアンテナモジュール100のような周辺電極150が形成された構成の場合を示している。
【0033】
図3を参照して、放射素子121にX軸方向を偏波方向とする電波の高周波信号が供給された場合、放射素子121のX軸方向の端部(すなわち、Y軸に沿った辺)の電圧の大きさが最大となり、当該Y軸に沿った辺と接地電極GNDとの間で電気力線が生じる。
図3(A)のように、放射素子121に対して接地電極GNDの面積が十分に広い場合、放射素子121の端部からの電界は、接地電極GNDに向かって下向きに生じる。これによって、アンテナモジュールにおいては、矢印AR1で示すような、X軸方向に向かうフリンジング電界が生じる。パッチアンテナにおいては、このフリンジング電界によって、放射素子の法線方向へ電波が放射される。
【0034】
しかしながら、
図3(B)のように、誘電体基板130のX軸方向の寸法が制限される場合には、放射素子121の端部からは、接地電極GNDの端部に向かって回り込むような電界が部分的に生じる。このような回り込む電界によって、矢印AR2の示すような、矢印AR1とは逆方向のフリンジング電界が生じる。これにより、矢印AR1のフリンジング電界と矢印AR2のフリンジング電界とが互いに相殺されて、アンテナモジュール全体のフリンジング電界の大きさが小さくなる。そうすると、
図3(A)の場合に比べて、放射素子から電波が放射されにくくなりアンテナ特性が低減し得る。
【0035】
このような逆向きのフリンジング電界の発生は、偏波方向における放射素子121の端部と接地電極GNDの端部との距離が小さくなるほど顕著になる傾向にある。そのため、
図2のアンテナモジュール100におけるX軸方向のように、放射素子121に対して誘電体基板130(すなわち、接地電極GND)のサイズが制限される場合には、X軸方向を偏波方向とする電波についての特性が、Y軸方向を偏波方向とする電波の特性に比べて劣ってしまうことになる。
【0036】
一方で、
図3(C)に示されるように、放射素子121と接地電極GNDとの間に、接地電極GNDに接続された周辺電極150を配置した場合、放射素子121と接地電位(周辺電極150)との距離が短くなるため、放射素子121と周辺電極150との間において電気力線が優先的に発生する。これより、
図3(B)のような、接地電極GNDに向かって回り込むような電界の発生が低減される。そのため、
図3(B)の矢印AR2のような逆向きのフリンジング電界の発生が抑制されるので、結果としてアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0037】
なお、周辺電極150は、接地電極GNDよりも優先的に放射素子121と結合するようにすることが必要である。そのため、周辺電極150は、誘電体基板130を平面視した場合に、全体が放射素子121と重なっている状態ではなく、少なくとも一部が放射素子121よりも外側(偏波方向)にはみ出して配置されることが好ましい。
【0038】
また、実施の形態1のアンテナモジュール100においては、放射素子121が下層側の平板電極152と結合することを抑制するために、放射素子121に最も近い平板電極151の面積が平板電極152の面積よりも大きくされている。言い換えれば、平板電極151における偏波方向(X軸方向)の寸法は、平板電極152における偏波方向の寸法よりも長い。さらに、平板電極151における放射素子121側の端部が、平板電極152における放射素子121側の端部よりも放射素子121に近くなるように配置されている。
【0039】
以上のように、実施の形態1のアンテナモジュール100においては、放射素子121に対して、接地電極GNDの寸法が制限される方向(X軸方向)について、放射素子121と接地電極GNDとの間の層に、放射素子121からはみ出すように周辺電極を設けることにより、放射素子121と接地電極GNDとの間において回り込みむような電界の発生を抑制することができる。これによって、フリンジング電界の相殺が抑制されるので、接地電極GNDの面積が制限される場合であっても、アンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0040】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、アンテナモジュールが単一の周波数帯域の電波を放射する構成について説明した。実施の形態2においては、異なる2つの周波数帯域の電波を放射するように構成されたアンテナモジュールに、周辺電極を適用する構成について説明する。
【0041】
図4は、実施の形態2に従うアンテナモジュール100Aの平面図および側面透視図である。
図4のアンテナモジュール100Aは、
図2で示した実施の形態1のアンテナモジュール100の構成に加えて、放射素子122および給電配線141A,142Aが設けられた構成を有している。なお、以下の説明において、アンテナモジュール100と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0042】
図4を参照して、アンテナモジュール100Aにおいては、誘電体基板130において、放射素子121よりも上面131側に放射素子122が配置されている。言い換えれば、放射素子121は、放射素子122と接地電極GNDとの間に配置されている。放射素子122は矩形形状を有しており、誘電体基板
130を積層方向(Z軸方向)から平面視した場合に、放射素子121と放射素子122とは、互いに中心が一致するように重なっている。なお、放射素子122は、必ずしも矩形形状に限られず、たとえば、円形状、楕円形状、あるいは、他の多角形であってもよい。
【0043】
放射素子122のサイズは、放射素子121のサイズよりも小さい。そのため、放射素子122からは、放射素子121から放射される電波よりも高い周波数帯域の電波が放射される。すなわち、アンテナモジュール100Aは、異なる2つの周波数帯域の電波が放射可能な、いわゆるスタック型のデュアルバンドタイプのアンテナモジュールである。
【0044】
放射素子122には、給電配線141A,142Aを介して、RFIC110から個別に高周波信号が供給される。給電配線141Aは、RFIC110から接地電極GNDおよび放射素子121を貫通して、放射素子122の給電点SP1Aに接続される。また、給電配線142Aは、RFIC110から接地電極GNDおよび放射素子121を貫通して、放射素子122の給電点SP2Aに接続される。給電点SP1Aは放射素子121の中心からX軸の負方向にオフセットしており、給電点SP2Aは放射素子121の中心からY軸の正方向にオフセットしている。これにより、放射素子122からは、X軸方向を偏波方向とする電波およびY軸方向を偏波方向とする電波が放射される。
【0045】
アンテナモジュール100Aにおいても、実施の形態1のアンテナモジュール100と同様に、接地電極GNDの面積が制限される偏波方向(X軸方向)については、放射素子121と接地電極GNDとの間の層に周辺電極150が配置されている。これによって、相対的に低い周波数帯域の電波を放射する放射素子121について、接地電極GNDの面積の制限に伴うアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0046】
なお、アンテナモジュール100Aにおいては、2つの放射素子121,122の各々が給電素子であり、RFIC110から高周波信号が個別に供給される構成について説明したが、低周波数側の放射素子121を無給電素子とする構成としてもよい。この場合、給電配線141A,142Aは、放射素子121を貫通して放射素子122に接続される。放射素子121に適合した高周波信号を給電配線141A,142Aに供給すると、給電配線141A,142Aと放射素子121とが電磁界結合により結合することによって、放射素子121に高周波信号が伝達される。
【0047】
[実施の形態3]
実施の形態2においては、デュアルバンドタイプのアンテナモジュールにおいて、放射素子と接地電極との間の層に設けられた周辺電極を用いて、低周波数側の放射素子のアンテナ特性の低下を抑制する構成について説明した。
【0048】
実施の形態3においては、デュアルバンドタイプのアンテナモジュールにおいて、高周波数側の電波を放射する放射素子についてのアンテナ特性の低下を抑制する構成について説明する。
【0049】
図5は、実施の形態3に従うアンテナモジュール100Bの平面図および側面透視図である。
図5のアンテナモジュール100Bは、
図4で示した実施の形態2のアンテナモジュール100Aの構成に加えて、放射素子122用の周辺電極170が設けられた構成を有している。なお、以下の説明において、アンテナモジュール100,100Aと重複する要素の説明は繰り返さない。
【0050】
図5を参照して、アンテナモジュール100Bにおいては、低周波数側の放射素子121上において、放射素子121のY軸方向の辺に沿って、矩形形状の周辺電極170が配置されている。周辺電極170は、放射素子122のY軸にそった辺の中央部に配置されている。
【0051】
周辺電極170のY軸方向の寸法は、放射素子122のY軸方向の寸法よりも短い。放射素子122から放射される電波の波長をλ2とすると、放射素子122のY軸方向に沿った辺の寸法L3はλ2/2であり、周辺電極170は、放射素子122のX軸方向に沿った辺と周辺電極170との間のY軸方向に沿った距離が少なくともλ2/8となる位置に配置されている。
【0052】
スタック型のデュアルバンドタイプのアンテナモジュールにおいては、低周波数側の放射素子121は、高周波数側の放射素子122に対する接地電極として機能する。そのため、放射素子122に対して放射素子121の面積を十分に確保できない場合には、放射素子122から放射される高周波数側の電波について、
図3で説明したような特性の劣化が生じ得る。そのため、接地電極として機能する放射素子121の寸法が制限される偏波方向(X軸方向)について、放射素子121と放射素子122との間の層に、放射素子121に接続された周辺電極170を配置することによって、放射素子122についてのアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0053】
なお、周辺電極150の場合と同様に、誘電体基板130を平面視した場合に、周辺電極170の少なくとも一部が、放射素子122から偏波方向にはみ出すように配置することが好ましい。言い換えれば、周辺電極170の少なくとも一部は、X軸方向における、放射素子121の端部と放射素子122の端部との間に配置することが好ましい。また、
図5においては、X軸方向を偏波方向とする電波に対して周辺電極170が配置される構成について示されているが、Y軸方向を偏波方向とする電波について、放射素子122に対して放射素子121の面積が十分に確保できない場合には、Y軸方向についても周辺電極170を配置するようにしてもよい。また、周辺電極170は、必ずしも矩形形状には限られず、たとえば、楕円形状、角に丸みを有する四角形、あるいは他の多角形であってもよい。
【0054】
以上のように、低周波数側の放射素子に加えて、高周波数側の放射素子に対しても周辺電極を配置することによって、デュアルバンドタイプのアンテナモジュールにおいて、各周波数帯域の電波について、接地電極として機能する電極の面積の制限に伴うアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0055】
[実施の形態4]
実施の形態4においては、実施の形態3のアンテナモジュール100Bの構成に加えて、周波数帯域幅を拡大するための無給電素子がさらに設けられた構成について説明する。
【0056】
図6は、実施の形態4に従うアンテナモジュール100Cの側面透視図である。アンテナモジュール100Cにおいては、実施の形態3のアンテナモジュール100Bの構成に加えて、放射素子122よりも上面131側に、無給電素子123が配置されている。図には示していないが、誘電体基板130を平面視した場合に、無給電素子123は、放射素子121,122と少なくとも一部が重なるように配置されている。なお、以下の説明において、実施の形態1~3で説明したアンテナモジュール100,100A,100Bと重複する要素の説明は繰り返さない。
【0057】
無給電素子123のサイズは、放射素子122とほぼ同じサイズに形成されている。これにより、放射素子122から電波が放射されると、放射された電波によって、当該電波に近接した振動モードで無給電素子123が励振される。これにより、放射素子122の周波数帯域に近接した周波数帯域の電波が放射される。したがって、放射素子122から放射される高周波数側の電波について、周波数帯域幅を拡大することができる。
【0058】
[変形例]
以下の変形例においては、放射素子121に対して設けられる周辺電極150の形状についてのバリエーションについて説明する。なお、以下の変形例の形状は、実施の形態3で説明した放射素子122についての周辺電極170についても適用可能である。
【0059】
(変形例1)
図7は、変形例1の周辺電極150Aを備えたアンテナモジュール100Dを示す平面図である。
【0060】
図7を参照して、アンテナモジュール100Dにおける周辺電極150Aは、誘電体基板130を平面視した場合に、各層の電極が分割された複数の平板電極により形成された構成を有している。
図7の例においては、周辺電極150Aは、Y軸方向に並列配置された2つの電極で構成されている。
【0061】
放射素子121から放射される電波の波長をλ1とした場合に、周辺電極150AのうちY軸の正方向に配置された電極は、放射素子121のY軸の正方向側の辺と当該電極との間のY軸方向に沿った距離が少なくともλ1/8となる位置に配置されている。また、周辺電極150AのうちY軸の負方向に配置された電極は、放射素子121のY軸の負方向側の辺と当該電極との間のY軸方向に沿った距離が少なくともλ1/8となる位置に配置されている。
【0062】
なお、周辺電極150Aは、下層のすべての平板電極についても分割された構成であってもよいし、下層の一部の平板電極については周辺電極150のように一体化された1つの電極で形成されていてもよい。また、周辺電極は3以上に分割された平板電極を並列配置した構成としてもよい。
【0063】
(変形例2)
図8は、変形例2の周辺電極150Bを備えたアンテナモジュール100Eを示す平面図である。
【0064】
図8を参照して、アンテナモジュール100Eにおける周辺電極150Bは、Y軸方向に延在する矩形形状の第1部分155と、当該第1部分155からY軸の正方向および負方向に向かって突出した矩形形状の第2部分156とを含んだ形状を有している。
【0065】
第1部分155は、第1部分155のY軸方向の端部と、放射素子121のY軸方向の端部との距離がλ1/8となる位置に配置されている。第2部分156は、第1部分155において、放射素子121から遠い側の辺に沿って形成されている。すなわち、周辺電極150Bにおいて、第1部分155における放射素子121に面した辺の寸法は、第2部分156を含むY軸方向に沿った周辺電極150Bの寸法よりも短い。
【0066】
このような形状の周辺電極とすることによって、放射素子121のX軸方向に発生する電界については、第2部分156によって放射素子121と周辺電極150Bとの結合が強められることで、アンテナ特性の低下を抑制することができる。一方で、放射素子121のY軸方向に発生する電界に対しては、放射素子121と周辺電極150BとのY軸に沿った距離がλ1/8以上確保できるので、放射素子121と周辺電極150Bとの結合を抑制することができる。したがって、X軸方向を偏波方向とする電波とY軸方向を偏波方向とする電波のアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0067】
(変形例3)
上述の実施の形態および各変形例においては、放射素子および接地電極が共通の誘電基板内に配置される構成について説明した。変形例3においては、放射素子および接地電極がそれぞれ異なる誘電体基板に配置される構成について説明する。
【0068】
図9は、変形例3の第1例のアンテナモジュール100Fの側面透視図である。アンテナモジュール100Fにおいては、
図2に示したアンテナモジュール100の誘電体基板130が、誘電体基板130Aに置き換わった構成となっている。なお、
図9において、
図2と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0069】
アンテナモジュール100Fにおいて、誘電体基板130Aは、放射素子121が配置された第1基板130A1と、接地電極GNDおよび周辺電極150が配置された第2基板130A2とから構成されている。そして、第1基板130A1と第2基板130A2との間において、給電配線141,142の各々は、はんだバンプ165によって接続されている。
【0070】
また、
図10は、変形例3の第2例のアンテナモジュール100Gの側面透視図である。アンテナモジュール100Gにおいては、
図2に示したアンテナモジュール100の誘電体基板130が、誘電体基板130Bに置き換わった構成となっている。なお、
図10においても、
図2と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0071】
アンテナモジュール100Gにおいて、誘電体基板130Bは、放射素子121および周辺電極150が配置された第1基板130B1と、接地電極GNDが配置された第2基板130B2とから構成されている。そして、第1基板130B1と第2基板130B2との間において、給電配線141,142および周辺電極150を接地電極GNDに接続するビア153の各々は、はんだバンプ166によって接続されている。
【0072】
アンテナモジュール100F,100Gのように、誘電体基板を、放射素子および接地電極が個別の基板に配置されるように構成することによって、フレキシブルな配置が可能になる。
【0073】
なお、誘電体基板を、放射素子が配置された第1基板、接地電極が配置された第2基板、および、周辺電極が配置された第3基板の3つの異なる基板で構成してもよい。
【0074】
なお、上記の実施の形態における「放射素子121」および「放射素子122」は、本開示における「第1放射素子」および「第2放射素子」にそれぞれ対応する。実施の形態における「周辺電極150」および「周辺電極170」は、本開示における「第1周辺電極」および「第2周辺電極」にそれぞれ対応する。実施の形態における「X軸方向」および「Y軸方向」は、本開示における「第1偏波方向」および「第2偏波方向」にそれぞれ対応する。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
10 通信装置、100,100A~100G アンテナモジュール、110 RFIC、111A~111H,113A~113H,117A,117B スイッチ、112AR~112HR ローノイズアンプ、112AT~112HT パワーアンプ、114A~114H 減衰器、115A~115H 移相器、116A,116B 信号合成/分波器、118A,118B ミキサ、119A,119B 増幅回路、120 アンテナ装置、121,121A~121D,122 放射素子、123 無給電素子、130,130A,130B 誘電体基板、130A1,130B1 第1基板、130A2,130B2 第2基板、141,141A,142,142A 給電配線、150,150A,150B,170 周辺電極、151,152 平板電極、153 ビア、160,165,166 はんだバンプ、200 BBIC、GND 接地電極、SP1,SP1A,SP2,SP2A 給電点。