(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20240827BHJP
G01V 8/20 20060101ALI20240827BHJP
G01L 1/00 20060101ALI20240827BHJP
G01L 5/16 20200101ALN20240827BHJP
G01L 5/166 20200101ALN20240827BHJP
【FI】
G01C3/06 110B
G01V8/20 P
G01L1/00 B
G01L5/16
G01L5/166
(21)【出願番号】P 2023517136
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2022011714
(87)【国際公開番号】W WO2022230410
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2021076433
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 博
(72)【発明者】
【氏名】菅原 滉平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩一
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/166185(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/144767(WO,A1)
【文献】特開2020-201072(JP,A)
【文献】特開2015-105845(JP,A)
【文献】特開2011-053115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01V 8/20
G01B 11/26
G01L 5/167
G01L 5/166
G01L 5/1627
G01L 5/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた力センサと、
前記基板上に設けられた複数の発光素子、及び前記発光素子からの光を受光する複数の受光素子を含む近接センサとを備え、
前記近接センサにおける前記複数の発光素子と前記複数の受光素子との少なくとも一方は、前記基板上で前記力センサの周囲を取り囲む3箇所以上の位置に配置され、
前記3箇所以上の位置に対する重心位置は、前記基板上で前記力センサが位置する範囲内にある
センサ装置。
【請求項2】
前記近接センサは、前記3箇所以上に配置された3つ以上の受発光部を備え、
前記各受発光部は、それぞれ前記発光素子と前記受光素子とを含む
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記基板上で前記3つ以上の受発光部の間に設けられた遮光体をさらに備える
請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記遮光体は、前記発光素子が発光する光に対する透過率が、10%以下の材料で構成される
請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記基板からの前記遮光体の高さは、前記発光素子の高さ以上で且つ前記受光素子の高さ以上である
請求項3又は4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記基板からの前記力センサの高さは、前記発光素子の高さ以上で且つ前記受光素子の高さ以上であり、
前記遮光体の高さは、前記力センサの以下である
請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記受発光部は、前記発光素子及び前記受光素子を封止する封止体を含み、
前記基板からの前記遮光体の高さは、前記封止体の高さ以下である
請求項3~6の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記遮光体は、前記力センサの外装材料と同一の材料で構成され、前記力センサに接続されている
請求項3~7の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記3つ以上の受発光部の位置は、前記重心位置を中心として回転対称に配置される
請求項2~8の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記受発光部は、前記発光素子と前記受光素子との間に設けられ、前記発光素子からの光を遮光する遮光部を備える
請求項2~9の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記近接センサにおいて、前記発光素子は、前記受光素子よりも前記力センサ側に配置された
請求項1~9の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記近接センサにおいて、前記複数の発光素子と前記複数の受光素子とは、前記重心位置から放射状に配置された
請求項11に記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記近接センサにおいて、前記複数の受光素子が、前記複数の発光素子から発光した光の、物体からの反射光を受光した受光結果に基づいて、自装置からの前記物体の方位を検知する制御部をさらに備える
請求項1~12の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記複数の受光素子
が前記反射光をそれぞれ受光した複数の受光結果を合計した総和に基づいて、自装置から前記物体までの距離を検知
する
請求項13に記載のセンサ装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記複数の発光素子の全てを同時には発光させず、各発光素子を順次、発光させる
請求項13又は14に記載のセンサ装置。
【請求項16】
前記力センサは、前記近接センサの発光素子とは別の発光素子、及び前記近接センサの受光素子とは別の受光素子を含み、
前記制御部は、
前記近接センサの発光素子及び前記力センサの発光素子を制御する発光制御回路と、
前記近接センサの受光素子及び前記力センサの受光素子を制御する受光制御回路とを備える
請求項13~15の何れか1項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の接触による力および近接を検知するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットハンド等に搭載され、物体の近接或いは接触といった多様なセンシングを可能とする各種センサが提案されている(例えば特許文献1から3)。
【0003】
特許文献1は、外部から作用する力を検知する光学式触覚近接センサを開示している。この光学式触覚近接センサは、複数の発光ダイオードと、発光モードと受光モードとの間で切換設定可能な複数の発光ダイオードと、発光モードにある発光ダイオードからの光を受光モードにある発光ダイオードへ伝播させ、外部から作用する力により圧縮変形して光伝播特性が変化する光伝播媒体と、受光モードにある発光ダイオードの受光量を測定する測定手段と、測定された受光量に基づいて、光伝播媒体に作用する力の大きさ又はその位置を算出する演算手段とを備えている。また、上記光学式触覚近接センサにおける光伝播層を取り除いた構成によって、対象物の近接検知を実現している。
【0004】
特許文献2は、6軸力の計測を可能とする光学式触覚センサを開示している。特許文献3は、可変フレームを用いてせん断力を検出する力センサを開示している。特許文献2,3では、弾性体の変形を利用した光学的な機構において、物体による各種の接触力のセンシングが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-071564号公報
【文献】特許第5825604号公報
【文献】国際公開第2014/045685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された触覚近接センサでは、触覚センサとして機能する個体と近接覚センサとして機能する個体とが、別個に構成されることとなる。こうした従来技術では、物体による力の検知と近接の検知とを一装置において両立するようなことは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、物体による力の検知と両立して、様々な方位において近接した物体を検知し易くすることができるセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るセンサ装置は、基板と、基板上に設けられた力センサと、基板上に設けられた複数の発光素子、及び発光素子からの光を受光する複数の受光素子を含む近接センサとを備える。近接センサにおける複数の発光素子と複数の受光素子との少なくとも一方は、基板上で力センサの周囲を取り囲む3箇所以上の位置に配置される。3箇所以上の位置に対する重心位置は、基板上で力センサが位置する範囲内にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るセンサ装置によると、物体による力の検知と両立して、様々な方位において近接した物体を検知し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係るセンサ装置の概要を示す斜視図
【
図4】実施形態1に係るセンサ装置の構成を例示する回路図
【
図5】実施形態1におけるセンサ装置の動作を例示するフローチャート
【
図8】実施形態2に係るセンサ装置の構成を例示する回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明に係るセンサ装置の実施の形態を説明する。
【0012】
各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では実施形態1と共通の事項についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0013】
(実施形態1)
1.構成
実施形態1に係るセンサ装置の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るセンサ装置1の概要を示す斜視図である。
【0014】
本実施形態のセンサ装置1は、光学式の検知方式において対象物5の近接を検知する近接センサ12と、対象物5が接触したときに作用する力(即ち接触力)を検知する力センサ13とが一体的に構成されたセンサモジュールである。センサ装置1は、例えばロボットハンドにおいて、把持する対象の各種物体を対象物5として検知する用途に適用可能である。また、ヒューマンマシンインタフェースにおいて、人間の多様な指示や意図を機械や機器に伝える入力インタフェースの用途にも適用可能である。
【0015】
本実施形態のセンサ装置1は、近接センサ12及び力センサ13により、対象物5が近接して接触に到り、力を作用させる等の一連の過程を連続的に検知可能である。センサ装置1は、例えば基板11上に近接センサ12と力センサ13とを組み付けて構成される。以下、基板11の主面に平行な2方向をそれぞれX方向及びY方向とし、当該主面の法線方向をZ方向とする。又、基板11から力センサ13が突出する+Z側を上側といい、反対側となる-Z側を下側という場合がある。
【0016】
本実施形態のセンサ装置1において、近接センサ12は、基板11上で力センサ13の周囲を取り囲むように配置された複数の受発光部2a~2dを含む。こうした近接センサ12における複数の受発光部2a~2dにより、本実施形態のセンサ装置1は、力センサ13による力検知と両立する近接検知として、例えばZ方向におけるセンサ装置1から対象物5までの距離だけでなく、XY平面におけるセンサ装置1から見た対象物5の方位を検知できる。
【0017】
以下、本実施形態に係るセンサ装置1の構成の詳細を説明する。本実施形態では、近接センサ12が4つの受発光部2a,2b,2c,2dで構成される例を説明する。
【0018】
1-1.センサ装置の構造
本実施形態のセンサ装置1は、例えば
図1に示すように、基板11と、近接センサ12と、力センサ13と、遮光体14とを備える。
図2は、センサ装置1をZ方向から見た平面図を示す。
図3は、センサ装置1をY方向から見た側面図を示す。
【0019】
本実施形態のセンサ装置1において、近接センサ12における第1~第4受発光部2a~2dは、
図2に示すように、それぞれ第1~第4発光素子21a~21dと、第1~第4受光素子22a~22dとを含む。以下では、第1~第4受発光部2a~2dの総称を受発光部2とし、第1~第4発光素子21a~21dの総称を発光素子21とし、第1~第4受光素子22a~22dの総称を受光素子22とする。
【0020】
近接センサ12の受発光部2は、本実施形態のセンサ装置1において、発光素子21と受光素子22とを1ユニットとして纏めて設けられる部分である。
【0021】
発光素子21は、例えばLED(発光ダイオード)等の光源素子を含む。例えば、発光素子21は、赤外領域などの所定の波長帯を有する光を発光する(以下「検知光」という)。発光素子21は、発光した検知光を出射する光出射面を有し、光出射面を上側に向けて配置される。
【0022】
発光素子21は、LEDに限らず、例えばLD(半導体レーザ)或いはVCSEL(面発光レーザ)など種々の固体光源素子を含んでもよい。発光素子21は、複数の光源素子を含んでもよい。発光素子21には、光源素子からの光をコリメートするレンズ及びミラー等の光学系が設けられてもよい。
【0023】
受光素子22は、PD(フォトダイオード)等の1つ又は複数の受光器を含み、受光器で構成される受光面を有する。受光素子22は、検知光が対象物5において反射した反射光等の光を受光面にて受光して、例えば受光された光量を受光結果として示す受光信号を生成する。
【0024】
受光素子22は、PDに限らず、例えばフォトトランジスタ、PSD(位置検出素子)、CIS(CMOSイメージセンサ)或いはCCDなど種々の受光器を含んでもよい。受光素子22は、受光器のリニアアレイ或いは2次元アレイで構成されてもよい。受光素子22には上記反射光を集光するためのレンズ等の光学系が設けられてもよい。また、受光素子22の受光面には、検知光の波長帯とは異なる波長帯の光を遮断するバンドパスフィルタ等が設けられてもよい。これにより、外部環境による外乱光の影響を抑制できる。
【0025】
本実施形態のセンサ装置1では、近接センサ12における複数の受発光部2a~2dが、基板11上で力センサ13が配置された中心位置p0を基準として、適宜許容誤差の範囲内で回転対称に配置される。この場合、複数の受発光部2a~2dが配置された位置に対する重心位置は、力センサ13の中心位置p0と合致する。例えば、第1受発光部2aの位置は+X側で且つ+Y側であり、第2受発光部2bの位置は-X側で且つ+Y側であり、第3受発光部2cの位置は-X側で且つ-Y側であり、第4受発光部2dの位置は+X側で且つ-Y側である。
【0026】
本実施形態において、力センサ13には、対象物5からの力を検知するために各種の力検知方式を採用可能である。各種の力検知方式は、例えば圧電式、光学式、ひずみ抵抗式及び静電容量式などを含む。力センサ13は、例えば3軸又は6軸といった多軸における力を検知する。
【0027】
力センサ13は、例えば
図3に示すように、基板11から上方に突出した上面を有する。力センサ13の上面は、例えば平面状である。特にこれに限らず、上面は曲面状であってもよい。力センサ13は、接触力に応じて変形可能な各種の外装部材の内部に、採用される力検知方式に応じたセンサ素子を適宜含む。力センサ13は、圧力センサであってもよい。力センサ13の上面の高さH3は、発光素子21の光出射面の高さよりも高く、且つ受光素子2の受光面の高さよりも高い。
【0028】
遮光体14は、例えば
図1~3に示すように、隣り合う2つの受発光部2の間をそれぞれ区切るように設けられる。遮光体14は、例えば力センサ13から延びて形成された弾性体で構成される。遮光体14は、例えば発光素子21からの検知光に対して10%以下の透過率を有する。遮光体14は、例えばシリコーンなど各種材料で構成できる。
【0029】
例えば、遮光体14は、力センサ13の外装材料と同じ材料で構成できる。力センサ13の外装と一体的に遮光体14を形成することにより、センサ装置1の製造を容易化することができる。例えば、遮光体14は、力センサ13の外装をインジェクション成形で構成する際にランナーとして機能する部分であってもよい。又、力センサ13の外装と遮光体14の一体形成は、特にインジェクション成形に限らず、例えばトランスファ成形やコンプレッション成形等であってもよい。
【0030】
近接センサ12の受発光部2は、例えば
図2,3に示すように、発光素子21と受光素子22とを封止する、透光性の樹脂等で構成された封止体23を更に備える。封止体23は、例えばインジェクション成形で構成され、こうした成形時にランナーとして機能する部分を有してもよい。本実施形態において、各受発光部2内部で発光素子21と受光素子22との間には、特に遮光部は設けられない。これにより、受発光部2の製造を容易化して、小型化し易くできる。
【0031】
本実施形態のセンサ装置1では、
図2,3に示すように、各受発光部2において発光素子21が、受光素子22よりも内周側、即ち力センサ13に近い側に配置される。これにより、別々の受発光部2の発光素子2から出射する光のプロファイルを互いに近付けて、光プロファイルのピークを概ね1つに集約することができる。又、受光素子22は相対的に外周側、即ち力センサ13から遠い側に配置されることとなる。これにより、受光素子22から力センサ13の上面を見上げる仰角を低減でき、受光素子22が受光可能な画角を確保し易くすることができる。
【0032】
以上より、本実施形態のセンサ装置1では、近接検知、特に方位検知を高精度にし易くできる。対象物5の方位検知は、例えば
図2に示すように、力センサ13の中心位置p0等の重心位置を基準として、XY平面における方位を示す方位角φを検知することで行われる。こうした検知精度を向上する観点から、センサ装置1において、複数の発光素子21及び複数の受光素子22は、
図2に示すように、中心位置p0から放射する放射方向に沿ってそれぞれ配置されてもよい。
【0033】
センサ装置1においては、例えば
図3に示すように、遮光体14の高さH1が、発光素子21及び受光素子22の高さH2以上である。
図3では、発光素子21と受光素子22とが同じ高さH2を有する例を図示しているが、特にこれに限定されない。発光素子21の高さと受光素子22の高さとが異なる場合、遮光体14の高さH1は、各素子21,22の高さの内のより高い一方以上であればよい。
【0034】
又、遮光体14の高さH1は、力センサ13の高さH3以下である。これにより、力センサ13の外力に応じた弾性変形が、遮光体14によって阻害されるような事態を回避し易い。さらに、遮光体14の高さH1は、受発光部2の封止体23の高さH4以下であってもよい。
【0035】
なお、本実施形態のセンサ装置1において、複数の受発光部2a~2dが配置された位置に対する重心位置は、必ずしも力センサ13の中心位置p0(
図2)でなくてもよく、基板11上で力センサ13が配置された範囲内にあってもよい。上記の重心位置は、例えば、基板11上のXY平面において第1~第4発光素子21a~21dの位置、及び/又は第1~第4受光素子22a~22dの位置に対する重心として規定できる。
【0036】
1-2.センサ装置の制御部
図4は、本実施形態に係るセンサ装置1の電気的な構成を例示する回路図である。本実施形態のセンサ装置1は、上述した構造的な構成に加えて、
図4に示すように、制御部15をさらに備えてもよい。
【0037】
センサ装置1の制御部15は、例えば
図4に示すように、発光制御回路51と、受光制御回路52と、力センサ制御回路53と、インタフェース回路54とを備える。制御部15は、MCUなどの演算処理回路(不図示)をさらに備えてもよい。
【0038】
発光制御回路51は、例えば、各発光素子21に接続されたスイッチマトリクス、及び当該スイッチマトリクスを介して各発光素子21に接続される光源駆動部を含む。光源駆動部は、検知光を発光させる駆動信号を発光素子21に供給する。発光制御回路51は、例えばAM変調などの変調器を含んでもよい。例えば、発光制御回路51は、10Hzから1MHz等における特定の周波数を、光の振幅を周期的に変動させる変調周波数に用いて、検知光を変調してもよい。検知光の変調により、外乱光から検知光及びその反射光を区別し易くなる。
【0039】
受光制御回路52は、例えば各受光素子22に接続されたスイッチマトリクス、当該スイッチマトリクスを介して各受光素子22に接続される増幅器、及び増幅器に接続されるA/D(アナログ/デジタル)変換器を含む。受光制御回路52は、各々の受光素子22a~22dから出力される受光信号Pa~Pdに各種の信号処理を行って、例えばインタフェース回路54に出力する。
【0040】
受光制御回路52は、例えば検知光の変調周波数を含む信号成分を通過させるバンドパスフィルタ等のフィルタ処理を行ってもよいし、発光制御回路51と同期して同期検波を行ってもよい。例えば、受光制御回路52において、定常的なDC成分を遮断することにより、外乱光から分離して上記反射光の解析を行うことができる。検知光の変調周波数は、例えば赤外線リモコンのキャリアとして利用される38kHzなど、既存の外部システムにおいて利用される周波数を避けて適宜、設定可能である。これにより、外部システムに起因するようなセンサ装置1の誤動作を抑制することができる。
【0041】
力センサ制御回路53は、力センサ13中のセンサ素子を駆動制御する制御回路、及び当該センサ素子からの出力信号の増幅器などを含む。力センサ制御回路53は、例えば上記の出力信号に基づき多軸における力の検知結果を示す力検知信号を生成する回路構成を含んでもよい。力センサ制御回路53は、多軸に限らず、一軸の力の検知結果の力検知信号を出力してもよい。
【0042】
例えば力検知方式が圧電式であれば、力センサ13内の基板上に配置された1つ以上の圧電素子の圧電効果を利用し、対象物5(
図1)が接触したことによる力センサ13内に生じる応力を圧電素子にて電荷に換算し、その変化から力をセンシングする。光学式の場合は、力センサ13内の基板上に配置された1つ以上の発光素子と1つ以上の受光素子を利用し、対象物5が接触したことによる変形によって生じる力センサ13内の反射光分布の変化を受光素子によって読み取り力センシングする。ひずみ抵抗式は、力センサ13内の基板上に配置された1つ以上のひずみゲージを利用し、対象物5が接触したことによる変形によって、力センサ13内を経由しひずみゲージに伝わるひずみを抵抗変化として捉え、その変化を利用し力センシングをする。静電容量式は、力センサ13内の基板上に配置された1つ以上の静電容量検知電極を利用し、対象物5が接触したことによる力センサ13の変形によって、変化する静電容量検知電極と基準電位との結合容量変化から力センシングをする。なお、各方式において、力センサ13内に配置する圧電素子や受発光素子、ひずみゲージ、静電容量検知電極といった各種センサ素子を複数用いることで、力センシングの多軸化が可能となる。
【0043】
インタフェース回路54は、発光制御回路51、受光制御回路52及び力センサ制御回路53に接続する。インタフェース回路54は、センサ装置1を外部機器に接続して各種信号の入出力を行う。
【0044】
なお、以上に説明した構成は一例であり、センサ装置1は、特に上記の構成に限定されない。例えば、本実施形態のセンサ装置1は、制御部15の各回路51~54の何れかを外部構成としてもよいし、制御部15の各回路51~54とは別体のモジュールとして提供されてもよい。
【0045】
2.動作
以上のように構成されるセンサ装置1の動作について、以下説明する。
【0046】
センサ装置1は、以上のように構成される近接センサ12及び力センサ13により、対象物5の近接検知と力検知との双方を同時に行う。本実施形態のセンサ装置1は、近接センサ12における複数の受発光部2a~2dにおいて、発光素子21が発光中の受発光部2とは別の受発光部2内の受光素子22の受光結果を順次用いることで、対象物5が近接した距離及び方位角φ(
図2参照)の検知を実現する。こうしたセンサ装置1の動作の一例を、
図5を用いて説明する。
【0047】
図5は、本実施形態におけるセンサ装置1の近接検知の動作を例示するフローチャートである。以下では、近接センサ12の第1~第4受発光部2a~2dにおける各発光素子21a~21dを1つずつ順番に点灯制御する動作例を説明する。
【0048】
例えば、センサ装置1の制御部15は、まず、第1受発光部2aにおける第1発光素子21aを点灯させ、他の受発光部2b~2dを消灯するように、発光制御回路51にて各発光素子2を制御する(S1)。この際、制御部15は、受光制御回路52において、第1受発光部21aに隣り合った第2及び第4受発光部2b,2dの各受光素子22b,22dから受光結果の受光信号Pb,Pdを取得する(S1)。
【0049】
上記と同様に、制御部15は、次に第2発光素子21bのみを点灯させて、第1及び第3受光素子22a,22cから受光信号Pa,Pcを取得する(S2)。次に、制御部15は、第3発光素子21cのみを点灯させて、第2及び第4受光素子22b,22dから受光信号Pb,Pdを取得する(S3)。次に、制御部15は、第4発光素子21dのみを点灯させて、第1及び第3受光素子22a,22cから受光信号Pb,Pdを取得する(S4)。
【0050】
次に、制御部15は、各ステップS1~S4で取得した受光信号Pa~Pdに基づいて、次式(1)を演算することにより、対象物5の近接距離の検出結果を示す距離情報Prを算出する(S5)。
Pr=(P1+P2+P3+P4)1/2 …(1)
【0051】
上式(1)において、第1受光データP1は、第1受光素子22aによる、第2発光素子21bの発光時の受光信号Pa(S2)と、第4発光素子21dの発光時の受光信号Pa(S4)との合計値を示す。第2受光データP2は、第2受光素子22bによる、第1発光素子21aの発光時の受光信号Pb(S1)と、第3発光素子21cの発光時の受光信号Pb(S3)との合計値を示す。第3受光データP3は、第3受光素子22cによる、第2発光素子21bの発光時の受光信号Pc(S2)と、第4発光素子21dの発光時の受光信号Pc(S4)との合計値を示す。第4受光データP4は、第4受光素子22dによる、第1発光素子21aの発光時の受光信号Pd(S1)と、第3発光素子21cの発光時の受光信号Pd(S3)との合計値を示す。上式(1)のような受光データP1~P4の総和に基づく演算式により、対象物5の近接距離が検知できる。
【0052】
さらに、制御部15は、上記の第1~第4受光データP1~P4に基づいた次式(2)を演算することにより、対象物5の方位角φを示す方位情報Pφを算出する(S6)。
Pφ=arctan(Py/Px) …(2)
【0053】
上式(2)において、arctan()はtan関数の逆関数であり、Py,Pxはそれぞれ次式のように規定される。
Py=(P1+P4)-(P2+P3)
Px=(P1+P2)-(P3+P4)
上式のような受光データP1~P4の差分に基づく演算式(2)により、対象物5の方位角φが検知できる。
【0054】
制御部15は、方位情報Pφ等を算出して(S6)、本フローチャートに示す処理を終了する。例えば、制御部15は、所定の検出周期で本フローの処理を繰り返し実行する。
【0055】
以上の処理によると、センサ装置1は、複数の受発光部2a~2dにおいて、発光素子21が発光中の受発光部2に隣り合う受発光部2内の受光素子22による受光結果を用いて(S1~S4)、対象物5の近接検知を実行する(S5,S6)。すなわち、発光素子21が発光中の受発光部2内の受光素子22の受光結果を用いずに、近接検知のための受光データP1~P4が再定義される。これにより、受発光部2内部の発光素子21と受光素子22とによる直接光カップリングによって当該受光素子22の受光結果が飽和したとしても、その飽和の影響を回避して近接検知を精度良く行うことができる。
【0056】
また、隣り合う受発光部2における発光素子21と受光素子22との間の直接光カップリングは、遮光体14により抑制できる。こうした遮光体14により、受光信号Pa~Pd(ひいては受光データP1~P4)におけるベースノイズを低減して、近接距離及び方位角φの検知(S5,S6)におけるダイナミックレンジを確保し、近接検知を精度良くすることができる。
【0057】
又、複数の受発光部2a~2dにおいて、発光素子21が発光中の受発光部2から力センサ13を介して対向する位置関係にある受発光部2の受光素子22の受光結果には、力センサ13の影の影響が生じることが想定される。そこで、当該位置関係の受光結果は、式(1),(2)を演算するための再定義の受光データP1~P4に含めないようにしている。なお、力センサ13の影となる場合を積極的に検知する場合には、上記位置関係の受光結果が用いられてもよい。
【0058】
以上に説明した動作例は一例であり、本実施形態におけるセンサ装置1の近接検知の動作は特にこれに限定されない。例えば、以上の説明では、第1~第4発光素子21a~21dを1つずつ順番に発光制御する例を説明したが、各発光素子21a~21dが点灯される順番は、
図5のステップS1~S4とは別の順番であってもよい。
【0059】
また、発光素子2の点灯制御は、1つずつに限らず、例えば2つずつであってもよい。例えば、センサ装置1は、上述したステップS1,S3を同時に行い、ステップS2,S4を同時に行うようにしてもよい。この場合であっても、複数の発光素子21a~21dの全てを同時に発光させずに順次、各発光素子2を点灯させて、上述した受光データP1~P4と同様の情報を得ることができる。
【0060】
また、ステップS1~S4のような各受発光部2a~2dの制御は、必ずしも時分割に限らない。上述した受光データP1~P4と同様の情報が得られる種々の制御を適用可能であり、例えば周波数変調など、各発光素子21a~21dからの検知光の受光結果を分離可能な制御が適宜、適用されてもよい。
【0061】
3.まとめ
以上のように、本実施形態のセンサ装置1は、基板11と、基板11上に設けられた力センサ13と、近接センサ12とを備える。近接センサ12は、基板11上に設けられた複数の発光素子21、及び発光素子21からの光を受光する複数の受光素子22を含む。近接センサ12における複数の発光素子21と複数の受光素子22との少なくとも一方は、基板11上で力センサ13の周囲を取り囲む3箇所以上の位置に配置される。3箇所以上の位置に対する重心位置は、基板11上で力センサ13が位置する範囲内にある(
図2参照)。
【0062】
以上のセンサ装置1によると、力センサ13の周囲の3箇所以上に設けられた発光素子21及び/又は受光素子22により、対象物5が様々な方位からセンサ装置1に近接して接触に到るまでの過程をシームレスに検知可能である。これにより、センサ装置1において、対象物5などの物体による力の検知と両立して、様々な方位において近接した物体を検知し易くすることができる。
【0063】
本実施形態のセンサ装置1において、近接センサ12は、3箇所以上に配置された3つ以上の受発光部2を備える。各受発光部2は、それぞれ発光素子21と受光素子22とを含む。これにより、例えば力センサ13の周囲に配置された受発光部2間で光を発光/受光して、各種方位における対象物5の近接検知を行い易い。又、発光素子21と受光素子22とを受発光部2に纏めて設けることにより、センサ装置1の製造を容易化できる。
【0064】
本実施形態のセンサ装置1は、基板11上で3つ以上の受発光部2の間に設けられた遮光体14をさらに備える。遮光体14により、受発光部2の間で、対象物5における光の反射を介さない直接光カップリングを抑制できる。これにより、近接センサ12の各種検知においてダイナミックレンジを確保して、検知精度を向上することができる。
【0065】
本実施形態のセンサ装置1において、遮光体14は、発光素子21が発光する光に対する透過率が、10%以下の材料で構成される。こうした遮光体14により、受発光部2間の直接光カップリングを抑制して、センサ装置1の検知精度を向上できる。
【0066】
本実施形態のセンサ装置1において、基板11からの遮光体14の高さは、発光素子21の高さ以上で且つ受光素子22の高さ以上である。こうした遮光体14により、別々の受発光部2の発光素子21と受光素子22間の直接光カップリングを抑制して、センサ装置1の検知精度を向上できる。
【0067】
本実施形態のセンサ装置1において、基板11からの力センサ13の高さは、発光素子21の高さ以上で且つ受光素子22の高さ以上であり、遮光体14の高さは、力センサ13の以下である。これにより、遮光体14が、力センサ13の弾性変形等による力検知を阻害するような事態を回避して、対象物5の近接検知と力検知とを両立し易くすることができる。
【0068】
本実施形態のセンサ装置1において、受発光部2は、発光素子21及び受光素子22を封止する封止体23を含む。基板11からの遮光体14の高さは、封止体23の高さ以下であってもよい。これにより、遮光体14の高さを高くし過ぎず、対象物5の近接検知と力検知とを両立し易くすることができる。
【0069】
本実施形態のセンサ装置1において、遮光体14は、力センサ13の外装材料と同一の材料で構成され、力センサ13に接続されている。こうした遮光体14によると、例えば力センサ13の外装と一体的に形成でき、センサ装置1の製造を容易化することができる。
【0070】
本実施形態のセンサ装置1において、3つ以上の受発光部2の位置は、重心位置を中心として回転対称に配置される。こうした受発光部2によると、対象物5の方位角φを精度良く検知することができる。
【0071】
本実施形態のセンサ装置1における近接センサ12において、発光素子21は、受光素子22よりも力センサ13側に配置される。これにより、発光素子21及び受光素子22が力センサ13の周囲に配置された状況でありながら、発光素子21の光プロファイルをまとめつつ受光素子22の画角を確保して、対象物5の近接検知を行い易くすることができる。
【0072】
本実施形態のセンサ装置1における近接センサ12において、複数の発光素子21と複数の受光素子22とは、重心位置から放射状に配置される。これにより、近接センサ12において対象物5の方位角φを精度良く検知することができる。
【0073】
本実施形態のセンサ装置1は、近接センサ12において、複数の受光素子22が、複数の発光素子21から発光した光の、対象物5からの反射光を受光した受光結果に基づいて、自装置からの対象物5の方位を検知する制御部15をさらに備える。これにより、センサ装置1の制御部15において対象物5の方位検知を行うことができる。
【0074】
本実施形態のセンサ装置1において、制御部15は、複数の受光素子22による受光結果の総和に基づく演算式(1)により、自装置から対象物5までの距離を検知する(S5)。制御部15は、複数の受光素子22による受光結果の差異に基づく演算式(2)により、自装置からの対象物5の方位を検知する(S6)。制御部15は、上述した演算式(1),(2)に限らず、複数の受光結果の総和又は差異に基づく各種演算処理によって、対象物5までの距離又は方位を検知可能である。
【0075】
本実施形態のセンサ装置1において、制御部15は、複数の発光素子21の全てを同時には発光させず、各発光素子21を順次、発光させる(S1~S4)。こうした発光制御により、少なくとも1つの受光素子22の飽和を抑制し、当該受光素子22の受光結果を用いて対象物5の近接検知を行い易くすることができる。
【0076】
(実施形態2)
実施形態2では、力検知方式として光学式を採用する例について、
図6~8を用いて説明する。
【0077】
図6は、実施形態2に係るセンサ装置1Aの平面図を示す。
図7は、
図6のA-A’断面におけるセンサ装置1Aの断面図を示す。A-A‘断面は、XZ平面に沿って力センサ13Aの中心位置p0を通る断面である。
【0078】
本実施形態のセンサ装置1Aでは、例えば実施形態1のセンサ装置1と同様の構成において、力センサ13Aが光学式で構成される。光学式の力センサ13Aは、例えば
図6に示すように、発光素子31と、受光素子32とを含む。さらに、力センサ13Aは、
図7に示すように、弾性体33,34と、反射体35と、外装部材30とを含む。
【0079】
光学式の力センサ13Aにおいて、発光素子31は、例えばシングル又はマルチエミッタのVCSEL等の発光光源を含む。例えば、発光素子31は、赤外領域などの所定の波長帯を有する光を発光し、検知光として出射する。発光素子31は、VCSELに限らず、例えばLD或いはLEDなど種々の固体光源素子を含んでもよい。発光素子31は、複数の光源素子を含んでもよい。発光素子31には、発光素子からの光をコリメートするレンズ及びミラー等の光学系が設けられてもよい。
【0080】
受光素子32は、PD等の受光器を含み、例えば発光素子31の周囲を取り囲むように複数の受光器を配置して構成される。受光素子32は、受光器において検知光の反射光等の光を受光して、例えば受光された光量を受光結果として示す受光信号を生成する。受光素子32は、PDに限らず、例えばフォトトランジスタ、PSD、CIS或いはCCDなど種々の受光器を含んでもよい。
【0081】
弾性体33,34は、例えば2層構造を有する。1層目の弾性体33は、例えば比較的に硬質の樹脂で構成され、発光素子31及び受光素子32を封止する。2層目の弾性体34は、例えば1層目の弾性体33よりも軟質の樹脂で構成され、1層目の弾性体34を封止する。各弾性体33,34は、発光素子31による検知光の周波数帯について透光性を有する樹脂等で構成される。なお、力センサ13Aにおける弾性体はこうした2層構造に限らず、1層又は3層以上であってもよい。
【0082】
反射体35は、発光素子31による検知光の周波数帯について反射特性を有する樹脂等で構成される。反射体35は、例えば2層目の弾性体34の上に設けられる。なお、外装部材30が上記の反射特性を有する場合などには、反射体35は省略されてもよい。
【0083】
外装部材30は、例えば発光素子31による検知光の周波数帯について遮光特性を有する弾性部材で構成される。本実施形態において、力センサ13Aの外装部材30は、実施形態1と同様に遮光体14と一体的に形成できる。
【0084】
以上のように構成される光学式の力センサ13Aは、接触する対象物5からの力に応じて、発光素子31から発光する検知光が、反射体35において反射された反射光の受光素子32による受光状態が変化することを利用して、対象物5の接触力を検知する。光学式における接触力の測定方法としては適宜、公知技術を適用可能である(例えば特許文献1~3参照)。
【0085】
こうした光学式の力センサ13Aによると、近接センサ12と同じ製造プロセスを採用して、一括して作り込みを行えることから、センサ装置1Aの製造を容易化することができる。例えば、近接センサ12における受発光部2の封止体23と、力センサ13で発光素子31及び受光素子32を封止する弾性体33とが、同じプロセスで形成されてもよい。
【0086】
図8は、実施形態2に係るセンサ装置1Aの電気的な構成を例示する回路図である。実施形態1では、センサ装置1の制御部15において、力センサ制御回路53が、近接センサ12を制御するための発光制御回路51及び受光制御回路52とは別個に構成された。本実施形態のセンサ装置1Aの制御部15Aは、実施形態1と同様の構成において、別個の力センサ制御回路53(
図4)の代わりに、力センサ13Aの制御機能を近接センサ12の発光制御回路51A及び受光制御回路52Aに持たせる。
【0087】
例えば
図8に示すように、本実施形態の発光制御回路51Aは、近接センサ12の発光素子21と共に、力センサ13Aの発光素子31を制御するように構成される。又、本実施形態の受光制御回路52Aは、近接センサ12の受光素子22と共に、力センサ13Aの受光素子32を制御するように構成される。これにより、近接センサ12と力センサ13Aとの双方の制御機能が、同じ回路テクノロジで構成でき、センサ装置1Aの部品点数を削減したり、回路の集積化を容易化したりできる。
【0088】
例えば、本実施形態のセンサ装置1Aの制御部15Aは、近接センサ12の制御機能と力センサ13Aの制御機能とで共通化された単一のIC等で構成できる。このように、本実施形態のセンサ装置1Aは、小型化及びコスト低減を図ることができる。
【0089】
以上のように、本実施形態のセンサ装置1Aにおいて、光学式の力センサ13Aは、近接センサ12の発光素子21とは別の発光素子31、及び近接センサ12の受光素子22とは別の受光素子32を含む。制御部15Aは、近接センサ12の発光素子21及び力センサ13の発光素子31を制御する発光制御回路51Aと、近接センサ12の受光素子22及び力センサ13の受光素子32を制御する受光制御回路52Aとを備える。センサ装置1Aの近接センサ12と力センサ13Aとを光学式で構成することで、センサ構造の製造を容易化することに加えて、回路構成も簡単化でき、センサ装置1Aを製造し易くすることができる。
【0090】
(他の実施形態)
上記の実施形態1,2では、センサ装置1の近接センサ12において受発光部2の個数が4個の例を説明したが、センサ装置1はこれに限定されない。こうした変形例について、
図9を用いて説明する。
【0091】
図9は、変形例1に係るセンサ装置1Bの平面図を示す。本実施形態において、センサ装置1Bにおける受発光部2の個数は、3個以上であってもよい。本変形例のセンサ装置1Bは、実施形態1と同様の構成において、
図9に示すように、3個の受発光部2a,2b,2cを備える。各受発光部2a~2cは、それぞれ実施形態1の受発光部2と同様に構成される。各発光素子21a~21c及び各受光素子22a~22cは、
図9に示すように、適宜許容誤差の範囲内で、回転対称かつ放射状の位置に配置される。
【0092】
本変形例のセンサ装置1Bにおいては、実施形態1の距離情報Prの演算式(1)の代わりに、次式(11)を用いることで、距離情報Prが得られる。
Pr=(P1’+P2’+P3’)1/2 …(11)
【0093】
上式(1)において、第1受光データP1’は、第1受光素子22aによる、第2発光素子21bの発光時の受光信号Paと、第3発光素子21cの発光時の受光信号Paとの合計値を示す。第2受光データP2’は、第2受光素子22bによる、第1発光素子21aの発光時の受光信号Pbと、第3発光素子21cの発光時の受光信号Pb(S3)との合計値を示す。第3受光データP3’は、第3受光素子22cによる、第2発光素子21bの発光時の受光信号Pcと、第1発光素子21aの発光時の受光信号Pcとの合計値を示す。
【0094】
さらに、本変形例のセンサ装置1Bでは、実施形態1の方位情報Pφの演算式(1)の代わりに、上記の第1~第3受光データP1’~P3’に基づいた次式(12)を演算することにより、方位情報Pφが得られる。
Pφ=arctan(Py’/Px’) …(12)
【0095】
上式(12)において、Py’,Px’はそれぞれ次式のような受光データP1’~P3’間の差分で規定される。
Py’=P1’-(P2’+P3’)/2
Px’=P2’-P3’
【0096】
また、上記各実施形態において、近接センサ12が、発光素子21及び受光素子22を含む受発光部2を備えたセンサ装置1について説明した。本実施形態において、センサ装置1の近接センサ12は、必ずしも受発光部2を備えなくてもよい。例えば、基板11上で、近接センサ12の発光素子21と受光素子22とが別個に配置されてもよい。この場合であっても、発光素子21と受光素子22との少なくとも一方が、力センサ13の周囲を取り囲む3箇所以上に配置されていれば、力センサ13の位置を基準として対象物5の方位角検知を行うことができる。
【0097】
以上のように、本実施形態におけるセンサ装置では、近接センサ12における複数の発光素子21と複数の受光素子22との少なくとも一方が、基板11上で力センサ13の周囲を取り囲む3箇所以上の位置であって。3箇所以上の位置に対する重心位置が基板11上で力センサ13が位置する範囲内に各種位置に配置されてもよい。こうしたセンサ装置によっても、実施形態1と同様に、対象物5などの物体による力の検知と両立して、様々な方位において近接した物体を検知し易くすることができる。
【0098】
また、上記各実施形態において、受発光部2の内部に遮光部が特に設けられないセンサ装置1を例示したが、受発光部2は特にこれに限定されない。こうした変形例について、
図10を用いて説明する。
【0099】
図10は、変形例2に係るセンサ装置1Cの平面図を示す。本変形例のセンサ装置1Cでは、例えば実施形態1と同様の構成において、受発光部2Cの内部に発光素子21と受光素子22との間に、例えば壁状の遮光部24が設けられる。遮光部24は適宜、遮光性を有する部材で構成できる。本変形例のセンサ装置1Cによると、遮光部24が、受発光部2C内で発光素子21と受光素子22間で直接光を遮光することから、発光素子21が発光中の受発光部2C内の受光素子22の受光結果を用いても、対象物5の近接検知を精度良くすることが可能である。
【0100】
以上のように、本実施形態のセンサ装置1Cにおいて、受発光部2Cは、発光素子21と受光素子22との間に設けられ、発光素子21からの光を遮光する遮光部24を備えてもよい。これによっても、上記各実施形態と同様に、物体による力の検知と両立して、様々な方位において近接した物体を検知し易くすることができる。
【0101】
また、上記の各実施形態では、センサ装置1における遮光体14の形状の一例を説明したが、遮光体14の形状は特に限定されず、種々の形状を採用可能である。こうした変形例について、
図11を用いて説明する。
【0102】
図11は、変形例3に係るセンサ装置1Dの平面図を示す。本変形例のセンサ装置1Dでは、例えば実施形態1と同様の構成において、遮光体14Dが、基板11の前面を覆うように設けられている。こうした遮光体14Dによっても、隣接する受発光部2間の直接光カップリングを遮断でき、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0103】
1,1A~1D センサ装置
11 基板
12 近接センサ
13,13A 力センサ
14,14D 遮光体
15,15A 制御部
2,2a~2d 受発光部
21,21a~21d 発光素子
22,22a~22d 受光素子
23 封止体
24 遮光部
31 発光素子
32 受光素子
51,51A 発光制御回路
52,52A 受光制御回路