(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】調理材料用パックの包装方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240828BHJP
B65D 75/38 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D75/38
(21)【出願番号】P 2021026692
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】590006398
【氏名又は名称】マルトモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127579
【氏名又は名称】平野 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100203301
【氏名又は名称】都築 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】永井 正章
(72)【発明者】
【氏名】上野 真史
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-289386(JP,A)
【文献】特開2006-219175(JP,A)
【文献】特開2020-059534(JP,A)
【文献】特開2005-126661(JP,A)
【文献】特開2005-186968(JP,A)
【文献】特開2003-300555(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0057721(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 75/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋にパックを収納する包装方法において、
前記パックを複数個積み重ねる工程と、
複数個の前記パック相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧する工程とを含み、
前記アルコール含有水溶液のアルコール濃度が20~30重量%の範囲であり、
前記アルコール含有水溶液の容量が前記パックの単位面積当たり2.8×10-
4~9.3×10-
4ml/cm
2の範囲であることを特徴とする、調理材料用パックの包装方法。
【請求項2】
複数個の前記パック相互の間の接触面に曲面形状を有する、請求項1に記載の調理材料用パックの包装方法。
【請求項3】
前記パックが単独パックであり積み重ねる前記パックの個数が3~5個である、請求項1又は2のいずれかに記載の調理材料用パックの包装方法。
【請求項4】
前記パックに収納された調理材料が食塩、砂糖、胡椒、グルタミン酸ソーダ、だしの素、煮干し、魚粉、天かす、わかめ、青海苔、青さのり、素干しえび、乾燥野菜および削り節からなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1~3のいずれかに記載の調理材料用パックの包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理材料用パックの包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理材料用パックは鰹節等の削り節パックなどが知られているところ、前記調理材料用パックにおいては、前記調理材料は、風味の新鮮さを保つため、数グラム単位に小分けされ封緘された上で販売されている。
このような調理材料用パックは、
図1に示すとおり、例えば、2枚の樹脂フィルムの間に削り節等の調理材料3を入れ、その四辺が貼着されたタイプの単独パック1や、
図2に示すとおり、2つの前記単独パック1の一辺同士が共有された二連パック2等が挙げられる。
さらに、前記調理材料用パックは、樹脂フィルム製の外装包装材である外袋に収納されており、例えば、
図3に示すとおり、左右二列に複数個積み重ねて外袋4に収納されている。
前記調料用パックを前記外袋に収納するに際しては、周知のとおり、ピロー包装機のベルトコンベア上に前記調理材料用パックを複数個積み重ねて搬送し、前記外袋4の開口部から収納した後、前記開口部をシールすることにより、
図3に示すとおり、包装することができる(特許文献1、段落[0026])。
複数個積み重なった前記調理材料用パックは、
図4(a)に示すとおり、ピロー包装機のアタッチメント5により支えられているため、ベルトコンベアにより搬送されるに際しても、複数個積み重なった前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることが防止されている。
【0003】
しかしながら、前記調理材料用パックを前記外袋に収納するに際しては、
図4(b)に示すとおり、前記調理材料用パックを支えていた前記アッタッチメントが降下し前記調理材料用パックから離れるため、前記アッタッチメントによりズレを防止することができない。そのため、前記外袋への収納時、バランスによっては、前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることになる。
前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じると、前記調理材料用パックを前記外袋への収納した後、シール部分に前記調理材料用パックが重なることがある。そうすると、前記外袋の開口部をシールする際、シール不良が生じたり、ピロー包装機のセンサーが異常を感知し前記外袋をカットしないため2連不良が生じたりするなど包装不良が発生する問題があった。
【0004】
一方、スライスチーズ等の食品をフィルム等で包装して形成した板状の個包装体を複数積層する際に、個包装体相互の滑りを抑制して、積層ズレを防止する技術が存在する。
具体的には、個包装体相互の滑りを抑制する手段として、第一の個包装体を第二の個包装体に積層する際に、前記第一の個包装体のうち前記第二の個包装体に接触する接触面等に液体を付着させる液体付着工程を含む方法が開示されている(特許文献2)。
しかし、この先行技術は、積層する個包装体として安定した積層に適した板状や直方体状の個包装体を開示するところ、個包装体相互の接触面に曲面形状を有し安定性に欠ける場合、ズレをどの程度防止できるかは不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-300555号公報
【文献】特開2020-059534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、複数個積み重ねた調理材料用パックを外袋に収納する際、前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることを防止し、包装不良の発生を防ぐことができる調理材料用パックの包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが上記問題を解決するため鋭意検討した結果、外袋にパックを収納する包装方法において、前記パックを複数個積み重ねる工程と、複数個の前記パック相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧する工程とを含み、前記アルコール含有水溶液のアルコール濃度が20~30重量%の範囲であり、前記アルコール含有水溶液の容量が前記パックの単位面積当たり2.8×10-4~9.3×10-4ml/cm2の範囲であることを特徴とする、調理材料用パックの包装方法が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]外袋にパックを収納する包装方法において、
前記パックを複数個積み重ねる工程と、
複数個の前記パック相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧する工程とを含み、
前記アルコール含有水溶液のアルコール濃度が20~30重量%の範囲であり、
前記アルコール含有水溶液の容量が前記パックの単位面積当たり2.8×10-4~9.3×10-4ml/cm2の範囲であることを特徴とする、調理材料用パックの包装方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明の一つは、
[2]複数個の前記パック相互の間の接触面に曲面形状を有する、上記[1]に記載の調理材料用パックの包装方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明の一つは、
[3]前記パックが単独パックであり積み重ねる前記パックの個数が3~5個である、上記[1]又は[2]のいずれかに記載の調理材料用パックの包装方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明の一つは、
[4]前記パックに収納された調理材料が食塩、砂糖、胡椒、グルタミン酸ソーダ、だしの素、煮干し、魚粉、天かす、わかめ、青海苔、青さのり、素干しえび、乾燥野菜および削り節からなる群より選ばれる少なくとも一つである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の調理材料用パックの包装方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の調理材料用パックの包装方法によれば、積み重ねた前記調理材料用パックの相互の間にアルコール含有水溶液が噴霧されるところ、前記アルコール含有水溶液の表面張力により前記調理材料用パックが相互に付着するため、前記調理材料用パックを外袋に収納する際においても、前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることを防止し、包装不良の発生を防ぐことができる。
また、積み重ねた前記調理材料用パックの相互の間に噴霧される前記アルコール含有水溶液は所定の範囲のアルコール濃度と容量であるため、本発明の調理材料用パックの包装方法によれば、噴霧後、速やかに蒸発しカビの発生を抑えることができる他、アルコール臭の程度も極めて軽微である。そのため、本発明の調理材料用パックの包装方法は、高い衛生性が求められる食品の包装方法として好適に用いることができる他、アルコール臭の残留により一般消費者に不快な印象を与えることも防ぐことができる。
【0013】
また、積み重ねた前記調理材料用パック相互の間の接触面に曲面形状を有する場合、前記調理材料用パックの四辺が互いに遊離するところ、接触面が平面的で調理材料用パックの四辺が互いに密着している場合と比較して安定性に欠け、前後のズレが生じやすくなる。
さらに、前記調理材料用パックが単独パックであり積み重ねる前記調理材料用パックの個数が3~5個である場合、前記単独パック相互の間の接触面が小さい上、重心が上がることになる。そのため、安定性に欠けることになり、二連パックを積み重ねる場合や積み重ねる前記調理材料用パックの個数が2個の場合に比べて、前後のズレが生じやすくなる。
本発明の調理材料用パックの包装方法は、こうした場合であっても、前記調理材料用パックを外袋に収納する際、前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることを防止し、包装不良の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3は、調理材料用パックが左右二列に複数個積み重ねて収納された樹脂フィルム製の外袋の模式断面図である。
図3では前記調理材料用パックと前記外袋の断面が描かれている。
【
図4】
図4は、複数個積み重なった調理材料用パックを支えるピロー包装機のアタッチメントが、前記調理材料用パックを外袋に収納するに際し、降下し前記調理材料用パックから離れる様子を示した模式図である。
【
図5】
図5は、アルコール含有水溶液を調理材料用パックの上側表面の噴霧する箇所を示した模式斜視図である。
【
図6】
図6は、調理材料用パックを積み重ねながらアルコール含有水溶液を噴霧する工程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の調理材料用パックの包装方法を説明する。
まず、調理材料用パックは、対向する2枚のフィルムを貼着することにより形成することができ、袋部を備えている。
【0016】
前記フィルムとしては、バリア性を有する素材を使用することができ、例えば、樹脂フィルム等を挙げることができる。
前記樹脂フィルムとしては、例えば、具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピ
レンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリイソプレンフィルム
等の炭化水素系フィルム類、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等の
ハロゲン化炭化水素系フィルム類、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレン
テレフタレートフィルム等のエステル系フィルム類等が挙げられる。
【0017】
これらの中でも、価格や焼却後に有害成分が発生しないことに鑑みると、炭化水素系フィルム類であればより好ましく、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムであればさらに好ましい。
【0018】
前記フィルムは一種もしくは二種以上を使用することができる。
また前記フィルムは、ラミネートフィルムを使用することが好ましい。
【0019】
2枚の前記フィルムを貼着する方法としては、特に限定はなく、接着剤により貼着する方法、熱溶融させて貼着する方法等を挙げることができる。
中でも、内容物の風味の保存面から、熱溶融させて貼着する方法が好ましい。
熱溶融させて貼着する方法としては、例えば、加熱した金属プレスにより前記フィルム同士を加熱する方法、電流により前記フィルム同士を加熱する方法、高周波により前記フィルム同士を加熱する方法等を挙げることができる。
【0020】
前記調理材料用パックは袋部を備えている。
例えば、
図1に例示されるとおり、単独パックでは2枚のフィルムを貼着して形成された貼着部6に囲まれて袋部7が1つ備えられている。
2個の単独パックの一辺同士が共有された二連パックでは、
図2に例示されるとおり、袋部7が2つ備えられている。袋部を2つ備える二連パックでは、袋部7と袋部7の境界の貼着部に切断線8を設けることが必要である。
3個以上の単独パックの辺同士が共有されたパックでも、同様に、袋部が単独パックの個数に応じ備えられており、袋部と袋部の境界の貼着部に切断線を設けることが必要である(図示せず)。
この切断線を設けることにより、前記切断線に沿って前記調理材料用パックから各部を切り離すことができる。
前記切断線としては、例えば、ミシン目が挙げられる。
前記袋部7を備えることにより、前記調理材料用パックは削り節等の調理材料を収納することができる。
【0021】
前記調理材料用パックの形状は略長方形である。
前記調理材料用パックが単独パックであれば、長辺の長さが10~14cmであり短辺の長さが7~11cmの範囲であり、長辺の長さが11~13cmであり短辺の長さが8~10cmの範囲であればより好ましい。
前記調理材料用パックが単独パックの短辺同士が共有された二連パックであれば、長辺の長さが20~28cmであり短辺の長さが7~11cmの範囲であり、長辺の長さが22~26cmであり短辺の長さが8~10cmの範囲であればより好ましい。前記調理材料用パックが単独パックの長辺同士が共有された二連パックであれば、長辺の長さが14~22cmであり短辺の長さが10~14cmの範囲であり、長辺の長さが16~20cmであり短辺の長さが11~13cmの範囲であればより好ましい。
前記調理材料用パックが3個以上の単独パックの辺同士が共有されたパックである場合も、同様に、単独パックの個数、その長辺と短辺の長さ、連結の仕方に応じ、前記調理材料用パックの長辺の長さと短辺の長さが定まる。
前記調理材料用パックの貼着部の幅は0.5~1.5cmの範囲であり、0.5~1cmの範囲であればより好ましい。
【0022】
前記調理材料用パックは前記袋部に収納された調理材料を備える。
この様な調理材料としては、例えば、食塩、砂糖、胡椒、グルタミン酸ソーダ、だしの
素、煮干し、素干しえび、魚粉、天かす、削り節等の調味料類、わかめ、青海苔、青さの
り等の海草類、切り干し大根等の乾燥野菜類等を挙げることができる。
前記削り節としては、例えば、具体的には鰹節、鮪節、宗田節、鯖節、鯵節、鰯節等を挙げることができる。
前記調理材料の形状に特に限定はないが、例えば、粉体状、薄片状、繊維状等適宜目的
に応じて決定することができる。
削り節の形状は、内容物が短時間で溶出することから、薄片のものが好ましい。
前記調理材料としては、削り節、煮干し、だしの素等が好ましく、鰹節であればさらに好ましい。
【0023】
前記調理材料は1種もしくは2種以上を使用することができる。
【0024】
本発明に使用する調理材料は、袋部1つ当たり0.5~5gの範囲であることが好ましく、1~3gの範囲であればさらに好ましい。
【0025】
前記調理材料を前記袋部に収納する際には、不活性ガスにより袋部内部にある空気を置
換することが、前記調味材料の保存性を改善する上で好ましい。
かかる不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム等が挙げられる。不活性ガスは
1種もしくは2種以上を使用することができる。
【0026】
前記調理材料用パックは、前記調理材料用パックの袋部に調理材料が収納された後、封緘される。前記調理材料用パックは四辺が貼着される一方、前記袋部には調理材料が収納されるため、前記調理材料用パックの立体的形状は貼着部が平面状である一方、前記袋部はゆるやかな曲面状を形成している。
【0027】
前記調理材料用パックを複数個積み重ねる方法としては特に限定はなく、包装装置の上流側において、積替装置を使用するなど公知の方法により前記調理材料用パックを複数個積み重ねることができる。
前記積替装置によれば、例えば、前記積替装置のアームが前記調理材料用パックを掴んだ上、前記包装装置のベルトコンベアに上下に積み重なるように載置することができる。
【0028】
積み重ねる前記調理材料用パックの個数は、2~6個であれば好ましく、2~5個であれば更に好ましい。
特に、前記調理材料用パックが単独パックである場合には、前記単独パック相互の間の接触面が小さいことから、重心が上がると安定性に欠けるため、積み重ねる前記調理材料用パックの個数は2~5個であることが好ましい。
【0029】
前記調理材料用パックを複数個積み重ねるに際しては、前記調理材料用パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧する。
アルコール含有水溶液を噴霧する方法としては特に限定はなく、例えば、噴霧器などで発生させた微細な霧を前記調理材料用パックの上側表面に噴霧する方法が挙げられる。
アルコール含有水溶液を噴霧する箇所は、より具体的には、
図5に示すとおり、前記調理材料用パックの袋部の上側表面の略中央部である。
【0030】
前記調理材料用パックを積み重ねる工程とアルコール含有水溶液を噴霧する工程とは交互に繰り返される。
図6は前記調理材料用パックを積み重ねながらアルコール含有水溶液を噴霧する工程を説明するための模式図である。
図6に示すとおり、前記調理材料用パックを5個積み重ねる場合には、1個目の調理材料用パックを置いた後、前記調理材料用パックの袋部の上側表面の略中央部にアルコール含有水溶液を噴霧し(
図6(a))、その上に2個目の調理材料用パックを積み重ね、同様に2個目の前記調理材料用パックの袋部の上側表面の略中央部にアルコール含有水溶液を噴霧する(
図6(b))。以降、同様にして、
図6(c)~(e)に示すとおり、調理材料用パックを積み重ねる工程とアルコール含有水溶液を噴霧する工程とを繰り返すことにより、前記調理材料用パックを積み重ねながら前記調理材料用パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧することができる。
【0031】
次に、本発明に使用するアルコール含有水溶液について説明する。
前記アルコール含有水溶液としては、アルコールを含有した水溶液であればよい。
アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノールなどが挙げられるが、中でもエタノールが好ましい。
【0032】
前記アルコール含有水溶液は、アルコール濃度が20~30重量%の範囲であり、22~28重量%の範囲であればより好ましい。
【0033】
前記アルコール含有水溶液は前記調理材料用パックの相互の間に噴霧されるところ、前記アルコール含有水溶液の容量は、前記調理材料用パックの相互の間ごとに、前記調理材料用パックの単位面積当たり、2.8×10-4~9.3×10-4ml/cm2の範囲であり、3.0×10-4~9.0×10-4ml/cm2の範囲であればより好ましい。
前記調理材料用パックが単独パックである場合、前記単独パックの長辺の長さと短辺の長さから面積が導かれる。
前記調理材料用パックが二連パックである場合、同様に、前記二連パックの長辺の長さと短辺の長さから面積が導かれ、アルコール含有水溶液の容量は前記二連パックの各袋部に均等に割り当てられる。前記調理材料用パックが3個以上の単独パックの辺同士が共有されたパックである場合も同様である。
【0034】
前記アルコール含有水溶液の容量が 2.8×10-4ml未満である場合、前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることを防止することができないおそれがある。
他方、前記アルコール含有水溶液の容量が9.3×10-4mlを超える場合、前記アルコール含有水溶液が蒸発するまで時間を要するため、アルコール臭の程度が強くなりアルコール臭の残留により一般消費者に不快な印象を与えるおそれも生じる他、前記アルコール含有水溶液が垂れて包装装置のベルトコンベアに落下し前記調理材料用パックの搬送を妨げるおそれも生じる。
また、前記調理材料用パックを工場から出荷するまでの日数が2日間未満である場合、工場から出荷する段階になっても前記アルコール含有水溶液が蒸発しきらず湿り気が残ったりするなどする。
【0035】
上述した工程によりアルコール含有水溶液を噴霧され積み重ねられた調理材料用パックは包装装置を使用して樹脂フィルム製の外装包装材である外袋に収納される。
前記調理材料用パックが単独パックである場合、積み重ねられた前記調理材料用パックは、前記包装装置のベルトコンベアの進行方向に対して平行に二列に並べられる。
他方、前記調理材料用パックが単独パックの一辺同士が共有された二連パックである場合、前記二連パックの長辺が前記包装装置のベルトコンベアの進行方向に対して平行となるよう置かれる。前記調理材料用パックが3個以上の単独パックの辺同士が共有されたパックである場合も同様である。
【0036】
前記包装装置は前記調理材料用パックを横ピロー包装するものであれば特に限定されず、正ピロー包装のものでも逆ピロー包装のものでもいずれでもよい。
例えば、前記包装装置によれば、前記調理材料用パックがベルトコンベアにより順次搬送されるのに合わせて、樹脂フィルム製の外装包装材が連続して供給され筒状に形成される。前記外装包装材が筒状に形成されるに際し、前記外装包装材に前記調理材料用パックが順次供給される。そして、前記外装包装材の縦の合わせ目がセンターシールローラーにより熱シールされる。それから、前記外装包装材の前後の合わせ目を横シールバーにより熱シールした後、カットすることにより、前記調理材料用パックを前記外袋に収納することができる。
【0037】
前記調理材料用パックを収納した前記外袋は常温放置して、前記外袋内の前記アルコール含有水溶液を蒸発させる。
常温放置する日数は、1~2日間が好ましく、2日間以上であればさらに好ましい。
【実施例1】
【0038】
以下に本発明の包装方法について実施例に基づき説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1においては調理材料用パックとしてポリエチレンフィルム製の単独パックを使用した。
前記単独パックの長辺の長さは12cmであり短辺の長さは9cmであり、その四辺が貼着されている。前記単独パックの袋部には削り節が2g収納されている。
前記単独パックは積替装置を使用して包装装置のベルトコンベアに上下に複数個積み重ねられ、実施例1においては前記単独パックが3個積み重ねられ、3段となっている。また、3個積み重ねられた単独パックは前記包装装置のベルトコンベアの進行方向に対して平行に二列に並べられ、前記単独パックの集積体が形成される。
前記単独パックを積み重ねるに際しては、前記単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧する。前記アルコール含有水溶液は噴霧器(株式会社いけうち製、型番BIMV8002SS303+SNBS303)を使用し前記単独パックの相互の間に1ショット(0.03~0.1ml)噴霧される。前記アルコール含有水溶液としてはエタノールを水で希釈したアルコール濃度が25重量%のものを使用した。
前記単独パックの集積体は前記包装装置のベルトコンベアにより搬送された上、横ピロー包装され外袋に収納される。
以上の工程により調理材料用パックを包装することができる。
【0039】
実施例1の包装方法により単独パックを包装した場合において、前記単独パックの相互の間に前後のズレが生じ、包装不良が生じる確率を計算した。
実施例1の包装方法によれば包装不良は生じなかった。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0040】
実施例2は前記単独パックが4個積み重ねられ4段となっている他は実施例1の場合と同様である。
実施例2の包装方法によれば包装不良は生じなかった。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0041】
実施例3は前記単独パックが5個積み重ねられ5段となっている他は実施例1の場合と同様である。
実施例3の包装方法によれば包装不良は生じなかった。結果を表1に示す。
【0042】
【0043】
実施例3の包装方法により単独パックを包装した場合において、前記単独パックを包装した外袋はシールされた状態で常温放置されるところ、時間の経過に伴うアルコール臭の程度とアルコール含有水溶液の湿り気の程度の変化をパネラーから聞き取り調査した。
結果を表2に示す。なお、前記外袋の内側に汚れは一切観察されなかった。
【0044】
【0045】
実施例3の包装方法により単独パックを包装した場合において、食品衛生検査指針微生物編(改定第2版 2018年)記載の方法に準拠し微生物検査を行い、前記単独パックを包装した外袋の一般生菌数と大腸菌群についても検査した。
結果を表3に示す。
【0046】
【0047】
[比較例1]
実施例1の場合で、単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧しなかった他は、実施例1の場合と同様である場合において、前記単独パックの相互の間に前後のズレが生じ、包装不良が生じる確率を計算した。
結果を表1に示す。表1から分かるとおり、前記単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧しなかった場合、約2%の包装不良が発生した。
【0048】
[比較例2]
実施例2の場合で、単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧しなかった他は、実施例2の場合と同様である場合において、前記単独パックの相互の間に前後のズレが生じ、包装不良が生じる確率を計算した。
結果を表1に示す。表1から分かるとおり、前記単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧しなかった場合、約3%の包装不良が発生した。
【0049】
[比較例3]
実施例3の場合で、単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧しなかった他は、実施例3の場合と同様である場合において、前記単独パックの相互の間に前後のズレが生じ、包装不良が生じる確率を計算した。
結果を表1に示す。表1から分かるとおり、前記単独パックの相互の間にアルコール含有水溶液を噴霧しなかった場合、約5%の包装不良が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の調理材料用パックの包装方法によれば、複数個積み重ねた調理材料用パックを外袋に収納する際、前記調理材料用パックの相互の間に前後のズレが生じることを防止し、包装不良の発生を防ぐことができる。包装不良のため従来効率的な包装が難しかった前記調理材料用パックを5個積み重ねるといったことも可能となり、調理材料用パックを外袋に収納する包装において、大容量の包装を効率的に実現することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 単独パック
2 二連パック
3 調理材料
4 外袋
5 アタッチメント
6 貼着部
7 袋部
8 切断線
9 噴霧箇所