(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20240903BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240903BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240903BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240903BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20240903BHJP
C08K 5/548 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C08L9/00
B60C1/00 Z
C08K3/36
C08K3/04
C08K5/5415
C08K5/548
(21)【出願番号】P 2020120633
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】河地 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太郎
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065954(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143111(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/143380(WO,A1)
【文献】特開2019-182982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、
前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量が、20質量%以下であり、
前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物
であって、
以下の関係を満たすタイヤ用ゴム組成物。
1質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量≦40質量%
15質量%≦|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|≦50質量%
【請求項2】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が50質量%未満である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が
15質量%以下である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が80質量%未満である請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が50質量部を超える請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
平均一次粒子径18nm未満のシリカを含む請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
更にカーボンブラックを含み、
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの含有量、ゴム成分100質量部に対するシリカ及びカーボンブラックの含有量が、下記式(1)
及び(3)を満たす請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(1)イソプレン系ゴムの含有量<スチレンブタジエンゴムの含有
量
(3)|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|<|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|
【請求項8】
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴム及びイソプレン系ゴムの含有量が下記式を満たす請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
10質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-イソプレン系ゴムの含有量≦70質量%
【請求項9】
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの含有量が下記式を満たす請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
5質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量≦
30質量%
【請求項10】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの含有量が下記式を満たす請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
20質量%≦|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|≦
40質量%
【請求項11】
ゴム成分100質量部に対するシリカ及びカーボンブラックの含有量が下記式を満たす請求項1~10のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
15質量部≦|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|≦80質量部
【請求項12】
平均一次粒子径18nm未満のシリカと、カーボンブラックとを含む請求項1~11のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずかに記載のゴム組成物からなるタイヤ部材を有するタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主にSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル(多目的スポーツ車))、ピックアップ車輛は、北米市場のみならず、中近東、南アフリカ、アジア市場で人気があるモデルである。これらの地域では、車両は、不整地(荒れた路面)を高速度で長時間走行することが多いため、低燃費性能だけではなく、高速での耐チッピング性能に優れていることもタイヤに求められつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能を向上するタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0005】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が50質量%未満であることが好ましい。
【0006】
ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が50質量%未満であることが好ましい。
【0007】
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が80質量%未満であることが好ましい。
【0008】
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が50質量部を超えることが好ましい。
【0009】
平均一次粒子径18nm未満のシリカを含むことが好ましい。
【0010】
更にカーボンブラックを含み、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの含有量、ゴム成分100質量部に対するシリカ及びカーボンブラックの含有量が、下記式(1)~(3)を満たすことが好ましい。
(1)イソプレン系ゴムの含有量<スチレンブタジエンゴムの含有量
(2)ブタジエンゴムの含有量<スチレンブタジエンゴムの含有量
(3)|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|<|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|
【0011】
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴム及びイソプレン系ゴムの含有量が下記式を満たすことが好ましい。
10質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-イソプレン系ゴムの含有量≦70質量%
【0012】
ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの含有量が下記式を満たすことが好ましい。
1質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量≦50質量%
【0013】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの含有量が下記式を満たすことが好ましい。
5質量%≦|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|≦50質量%
【0014】
ゴム成分100質量部に対するシリカ及びカーボンブラックの含有量が下記式を満たすことが好ましい。
15質量部≦|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|≦80質量部
【0015】
平均一次粒子径18nm未満のシリカと、カーボンブラックとを含むことが好ましい。
【0016】
本発明はまた、前記ゴム組成物からなるタイヤ部材を有するタイヤに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含み、前記シランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むタイヤ用ゴム組成物である。前記ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能を向上できる。
【0019】
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
ゴム組成物のカットや欠けの問題に対し、フィラーを高充填(ゴム成分100質量部に対して60質量部以上など)にし、補強性を高めることが有効となるが、ゴムが発熱しやすくなるという背反する問題がある。また、ゴム成分をイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムの3種混合にすることで、異なる硬さの相がミクロに混在することになり、衝撃や亀裂が伝わりにくくなるため、補強性と相まって、更にカットや欠けが生じにくくなる。低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能を向上するためには、シリカやゴムの均一性が重要になると考えられ、シリカの分散が不均一になると応力の集中によって、発熱が高まり、ゴムのカット、欠けが起きやすくなると考えられる。これに対し、シランカップリング剤としてアルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物、すなわち、長鎖シランカップリング剤を用いることで、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムの3成分中にシリカが均一に分散させることが可能となり、応力の集中を抑制し、発熱性が低減することで、高速での耐チッピング性能だけでなく、低燃費性能も改善されると考えられる。従って、前記ゴム組成物により、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が顕著に改善されると推察される。
【0020】
(ゴム成分)
ゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムとスチレンブタジエンゴム(SBR)とブタジエンゴム(BR)とを含む。
【0021】
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0023】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合SBR(E-SBR)、溶液重合SBR(S-SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
SBRの重量平均分子量(Mw)は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、好ましくは20万以上、より好ましくは60万以上、更に好ましくは70万以上、特に好ましくは75万以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは150万以下、より好ましくは130万以下、更に好ましくは110万以下、特に好ましくは100万以下である。
【0025】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは33質量%以上、特に好ましくは35質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、特に好ましくは43質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0026】
SBRのビニル結合量は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは33モル%以上、特に好ましくは35モル%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、更に好ましくは45モル%以下、特に好ましくは43モル%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0027】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。スチレン含有量は、1H-NMR測定によって測定できる。ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0028】
SBRとしては、油展スチレン-ブタジエン共重合体、非油展スチレン-ブタジエン共重合体のいずれも使用可能であるが、なかでも、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、油展スチレン-ブタジエン共重合体を好適に使用できる。
【0029】
油展スチレン-ブタジエン共重合体は、スチレン-ブタジエン共重合体に対して伸展油を用いて油展したものである。このように、予め伸展油によって油展した油展スチレン-ブタジエン共重合体を含有することにより、ゴム組成物の配合時に油を混練した配合ゴムと比較して、ゴム成分中の伸展油及びフィラーの分散性を向上できる。
【0030】
油展スチレン-ブタジエン共重合体は、分岐構造を導入したものが好ましい。分岐構造が導入されたスチレン-ブタジエン共重合体としては、例えば、その重合体末端がエポキシ化合物、ハロゲン含有ケイ素化合物、及びアルコキシシラン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の多官能性カップリング剤で変性されているものや、少量の分岐剤の存在下で重合したものを挙げることができる。これらの中でも、その重合体末端が多官能性カップリング剤で変性されているものが好ましい。
【0031】
スチレン-ブタジエン共重合体は、例えば、重合開始剤を用いて、スチレンとブタジエンを共重合させて調製できる。重合開始剤としては、リチウム系開始剤が好ましい。リチウム系開始剤としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム;1,4-ジリチウムブタン等のアルキレンジリチウム;フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ジイソプロペニルベンゼンリチウム、ブチルリチウム等のアルキルリチウムとジビニルベンゼン等の反応物等の芳香族炭化水素リチウム;リチウムナフタレン等の多核炭化水素リチウム;アミノリチウム、トリブチルスズリチウム等を挙げることができる。
【0032】
重合の際には、必要に応じて、共重合時のスチレンランダム化剤として、またビニル結合量の調節剤として、エーテル化合物又はアミン等を用いることができる。エーテル化合物又はアミン等としては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン等が挙げられる。また、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、リノレイン酸カリウム、安息香酸カリウム、フタール酸カリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム等の活性剤も同様の目的で使用できる。
【0033】
重合溶媒としては、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等を用いることができる。重合方式は、バッチ重合方式、連続重合方式のいずれでもよいが、前述の各種特性を有するスチレン-ブタジエン共重合体が好適に得られるという観点から、連続重合方式を用いることが好ましい。重合条件として、重合温度は、通常、0~130℃であり、好ましくは10~100℃である。重合時間は、通常、5分~24時間であり、好ましくは10分~10時間である。重合溶媒中の単量体濃度(単量体の合計/(単量体の合計+重合溶媒))は、通常、5~50質量%であり、好ましくは10~35質量%である。
【0034】
なお、一般にリチウム系開始剤を用いた場合、スチレンの重合反応速度とブタジエンの重合反応速度は異なる。また、それぞれの重合反応速度は重合温度や単量体濃度の影響を受ける。そのため、単純な反応を行うと、重合温度が高まる反応後半において、重合温度の影響及びスチレン単量体の濃度が高いことにより、スチレンが多く反応して、スチレン長連鎖が多く発生し、スチレン長連鎖の含有割合が増加してしまう場合がある。そこで、スチレン単連鎖及びスチレン長連鎖の含有割合を適切な値とするための方法として、重合温度を、スチレン及びブタジエンの反応速度が同値となるところで制御する方法や、反応前のブタジエン仕込み量を減らした状態で反応を開始することにより、重合初期のスチレン取り込み量を上げ、次に減らした量のブタジエンを連続的に導入する方法等がある。
【0035】
スチレン-ブタジエン共重合体に分岐構造を導入する具体的な方法として、多官能性カップリング剤によって変性する場合、回分重合法や連続重合法によって得られるリチウム活性末端を有する活性重合体を、四塩化ケイ素等のハロゲン含有ケイ素化合物、アルコキシシラン化合物、アルコキシシランサルファイド化合物、(ポリ)エポキシ化合物、尿素化合物、アミド化合物、イミド化合物、チオカルボニル化合物、ラクタム化合物、エステル化合物、及びケトン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の多官能性カップリング剤と反応させる方法を挙げることができる。これらの中でも、四塩化ケイ素等のハロゲン含有ケイ素化合物、アルコキシシラン化合物、アルコキシシランサルファイド化合物、(ポリ)エポキシ化合物が好ましく、ハロゲン含有ケイ素化合物、アルコキシシラン化合物、(ポリ)エポキシ化合物が更に好ましい。また、少量の分岐剤の存在下で重合する場合、分岐剤の具体例としては、ジビニルベンゼンを挙げることができる。導入量は、スチレン-ブタジエン共重合体100質量%に対し、10質量%以下とすることが好ましい。
【0036】
スチレン-ブタジエン共重合体の油展に用いる伸展油としては、例えば、ナフテン系、パラフィン系、芳香族油展系等が挙げられる。油展の方法としては、例えば、重合終了後、伸展油を加え、従来公知の方法により脱溶媒及び乾燥する方法等が挙げられる。
【0037】
伸展油の使用量は、スチレン-ブタジエン共重合体100質量部に対し、5~50質量部が好ましく、10~40質量部がより好ましい。
【0038】
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。また、SBRは、水素添加スチレンブタジエン共重合体(水添SBR)も使用可能である。
【0039】
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)、アミド基が好ましい。
【0041】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用することができる。
【0042】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%未満、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0043】
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0044】
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性SBRと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。また、BRは、水素添加ブタジエン重合体(水添BR)も使用可能である。
【0045】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0046】
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0047】
イソプレン系ゴム、SBR、BR以外に使用可能なゴム成分としては、例えば、他のジエン系ゴムを使用できる。他のジエン系ゴムとしては、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
(シリカ)
前記ゴム組成物には、充填材としてシリカが配合される。使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは150m2/g以上、更に好ましくは160m2/g以上、特に好ましくは180m2/g以上であり、210m2/g以上でもよい。シリカのN2SAの上限は特に限定されないが、好ましくは600m2/g以下、より好ましくは350m2/g以下、更に好ましくは260m2/g以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
【0050】
シリカの平均一次粒子径は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、好ましくは25nm未満、より好ましくは18nm未満、更に好ましくは16nm以下、特に好ましくは15nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは7nm以上である。特に、平均一次粒子径18nm未満のシリカ、カーボンブラックを併用することで、顕著に効果が得られる傾向がある。なお、平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
【0051】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部を超え、更に好ましくは60質量部以上、特に好ましくは65質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは90質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0052】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物に使用されるシランカップリング剤は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むものである。このような有機珪素化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記有機珪素化合物のなかでも、下記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物が好ましい。
【化1】
(式中、xは、硫黄原子の平均個数を表し、3.5以上である。mは、6以上の整数を表す。R
1~R
6は、同一若しくは異なって炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、R
1~R
3の少なくとも1つ及びR
4~R
6の少なくとも1つが前記アルコキシ基である。なお、R
1~R
6は、前記アルキル基又は前記アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。)
【0053】
xは、前記有機珪素化合物の硫黄原子の平均個数を表す。xは、3.5以上12以下が好ましい。ここで、硫黄原子の平均個数、珪素原子の個数は、蛍光X線により組成物中の硫黄量、珪素量を測定しそれぞれの分子量より換算した値である。
【0054】
mは、6以上の整数を表し、好ましくは6以上14以下である。
【0055】
アルキル基(R1~R6)の炭素数に関し、好ましくは炭素数1以上5以下である。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0056】
アルコキシ基(R1~R6)は、好ましくは炭素数1以上5以下である。アルコキシ基中の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基等が挙げられる。
【0057】
R1~R3の少なくとも1つ及びR4~R6の少なくとも1つが炭素数1~6のアルコキシ基であり、好ましくは、R1~R3、R4~R6のそれぞれ2つ以上が炭素数1~6のアルコキシ基である。
【0058】
なお、R1~R6は、炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基が結合した環構造を形成したものでもよい。例えば、(i)R1がエトキシ基、R2がメチル基が結合した環構造、(ii)R1がエチル基、R2がメチル基が結合した環構造、を形成する場合、それぞれ、R1及びR2で「-O-C2H4-CH2-」、「-C2H4-CH2-」という2価の基が形成され、Siに結合した構造が挙げられる。
【0059】
前記有機珪素化合物は、例えば、特開2018-65954号公報に記載の製造方法で調製できる。具体的には、特開2018-65954号公報に記載の式(I-1)のハロゲン基含有有機珪素化合物、及びNa2Sで表される無水硫化ソーダ、更に必要により硫黄を反応させることにより、前記有機珪素化合物を製造することが可能である。上記反応を行う際、スルフィド鎖の調整のため、硫黄の添加は任意であり、所望の平均組成式(I)の化合物となるように、平均組成式(I-1)の化合物と無水硫化ソーダと必要により硫黄との配合量から決定すればよい。例えば、平均組成式(I)の化合物のxを3.5にしたい場合、無水硫化ソーダ1.0molと、硫黄2.5molと、式(I-1)の化合物2.0molとを反応させればよい。
【0060】
そして、前記のとおり、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能を向上するためには、シリカやゴムの均一性が重要になるが、シランカップリング剤としてアルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物、すなわち、長鎖シランカップリング剤を用いると、化合物中のアルコキシ基がシリカ表面の水酸基と反応することで、シリカ表面を疎水化し、かつ該化合物の炭素鎖が長いことに起因して従来のシランカップリング剤よりも疎水化の影響が大きくなるため、シリカの分散性が顕著に向上する。そのため、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムの3成分中にシリカが均一に分散し、応力の集中を抑制し、発熱性が低減することで、高速での耐チッピング性能だけでなく、低燃費性能も改善される。従って、このような長鎖シランカップリング剤を用いることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能を顕著に改善できる。
【0061】
前記ゴム組成物において、前記有機珪素化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。なお、前記平均組成式(I)で表される有機珪素化合物の含有量も同様の範囲が望ましい。
【0062】
前記ゴム組成物は、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物以外の他のシランカップリング剤を含んでもよい。
他のシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量(前記有機珪素化合物、他のシランカップリング剤の総量)は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0064】
(他の充填材)
シリカ以外の他の充填材としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー等が挙げられる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
【0065】
前記ゴム組成物において、充填材の含有量(充填材の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは80質量部以上、特に好ましくは90質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは130質量部以下、特に好ましくは110質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0066】
ゴム組成物において、充填材100質量%中のシリカ含有率は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、50質量%以上が好ましく、65質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましく、75質量%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
【0067】
前記ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、50m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましく、120m2/g以上が更に好ましく、135m2/g以上が特に好ましくい。また、上記N2SAは、250m2/g以下が好ましく、200m2/g以下がより好ましく、160m2/g以下が更に好ましく、150m2/g以下が特に好ましい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
【0069】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは35質量部以下、特に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0070】
ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)、スチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)、ブタジエンゴムの含有量(質量%)が、下記式(1)、(2)を満たすことが望ましい。
(1)イソプレン系ゴムの含有量<スチレンブタジエンゴムの含有量
(2)ブタジエンゴムの含有量<スチレンブタジエンゴムの含有量
【0071】
ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)、イソプレン系ゴムの含有量(質量%)が、下記式を満たすことが望ましい。
10質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-イソプレン系ゴムの含有量≦70質量%
スチレンブタジエンゴムの含有量-イソプレン系ゴムの含有量は、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
【0072】
ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)、ブタジエンゴムの含有量(質量%)が、下記式を満たすことが望ましい。
1質量%≦スチレンブタジエンゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量≦50質量%
スチレンブタジエンゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。
【0073】
ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)及びブタジエンゴムの含有量(質量%)、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)及びカーボンブラックの含有量(質量部)が、下記式(3)を満たすことが望ましい。
(3)|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|<|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|
【0074】
ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%)及びブタジエンゴムの含有量(質量%)が、下記式を満たすことが望ましい。
5質量%≦|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|≦50質量%
|イソプレン系ゴムの含有量-ブタジエンゴムの含有量|は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、22質量%以上が更に好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。なお、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、イソプレン系ゴムの含有量<ブタジエンゴムの含有量が望ましい。
【0075】
ゴム組成物は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)及びカーボンブラックの含有量(質量部)が、下記式を満たすことが望ましい。
15質量部≦|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|≦80質量部
|シリカの含有量-カーボンブラックの含有量|は、25質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上が更に好ましい。上限は、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、55質量部以下が更に好ましい。なお、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の観点から、カーボンブラックの含有量<シリカの含有量が望ましい。
【0076】
(可塑剤)
前記ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
【0077】
前記ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0078】
前記ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0080】
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
【0081】
ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
なお、オイルの含有量には、油展オイルに含まれるオイルも含まれる。
【0082】
液状樹脂としては、25℃で液体状態のテルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
【0083】
ゴム組成物において、液状樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0084】
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
【0085】
ゴム組成物において、液状ジエン系ポリマーの含有量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0086】
液状ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在するが、以下の構造を有する(E)-β-ファルネセンが好ましい。
【化2】
【0087】
液状ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)でもよい。
【0088】
ビニルモノマーとしては、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレンなどの芳香族ビニル化合物や、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ブタジエンが好ましい。すなわち、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体としては、ファルネセンとブタジエンとの共重合体(ファルネセン-ブタジエン共重合体)が好ましい。
【0089】
ファルネセン-ビニルモノマー共重合体において、ファルネセンとビニルモノマーとの質量基準の共重合比(ファルネセン/ビニルモノマー)は、40/60~90/10が好ましい。
【0090】
液状ファルネセン系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が3000~30万のものを好適に使用できる。液状ファルネセン系ポリマーのMwは、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上であり、また、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である。
【0091】
ゴム組成物において、液状ファルネセン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。
【0092】
前記ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能の耐久性の観点から、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
【0093】
前記ゴム組成物が上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下であり、10質量部以下でもよい。上記範囲内にすることで、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が向上する傾向がある。なお、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂の含有量も同様の範囲が好ましい。
【0094】
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能が得られる傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0095】
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
【0096】
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0097】
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
【0098】
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
【0099】
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
【0100】
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
【0101】
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。
【0102】
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり、例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
【0103】
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(C5H8)nの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C10H16)、セスキテルペン(C15H24)、ジテルペン(C20H32)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
【0104】
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
【0105】
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
【0106】
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
【0107】
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
【0108】
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
【0109】
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
【0110】
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
【0111】
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
【0112】
(他の材料)
前記ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
【0113】
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
【0114】
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
【0115】
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
【0116】
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0117】
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
【0118】
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0119】
前記ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
【0120】
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0121】
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
【0122】
前記ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
【0123】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは4.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。
【0124】
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0125】
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上限は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
【0126】
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
【0127】
前記ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
【0128】
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
【0129】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
【0130】
前記ゴム組成物を適用できる部材としては、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング、トレッド等、空気入りタイヤの各部材に好適に使用できる。なかでも、トレッド(キャップトレッド)に好適に使用できる。
【0131】
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を未加硫の段階でトレッド等の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、タイヤが得られる。
【0132】
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、SUV(多目的スポーツ車)用タイヤ、ピックアップ車両用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪車用タイヤ、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤ)、オールシーズンタイヤ、ランフラットタイヤ、航空機用タイヤ、鉱山用タイヤ、競技用タイヤなどとして好適に用いられる。なかでも、乗用車用、SUV(多目的スポーツ車)用、ピックアップ車両用のタイヤが好ましい。例えば、これらの車両用のサマータイヤ、オールシーズンタイヤとして実現することができる。
【実施例】
【0133】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0134】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR1:JSR(株)製のJSR1502(E-SBR、スチレン含有量23.5質量%)
SBR2:下記製造例1で製造した変性溶液重合SBR(スチレン含有量38質量%、ビニル結合量39モル%、Mw80万、SBR100質量部にオイル25質量部を添加した油展品)
BR:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(コバルト系触媒の存在下でブタジエンを重合させて得られたBR、シス1,4結合含有率96%、Tg-105℃、Mw46万)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のVULCAN10H(N134、N2SA144m2/g)
シリカ1:エボニックデグサ社製のウルトラシル9100GR(N2SA230m2/g、平均一次粒子径15nm)
シリカ2:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA175m2/g、平均一次粒子径18nm)
有機珪素化合物1:下記製造例2で合成したシランカップリング剤
有機珪素化合物2:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:H&R社製のVivaTec400(TDAEオイル)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
【0135】
(製造例1:SBR2の合成)
底部に入口、頭部に出口を有し、攪拌機およびジャケットを付けたオートクレーブを反応器(内容積10L)として2基直列に連結し、窒素雰囲気下で、ブタジエン、スチレン、シクロヘキサンを各々所定の比率で混合した。この混合溶液を、活性アルミナを充填した脱水カラムを経由し、不純物を除去するためにn-ブチルリチウムをスタティックミキサー中で混合した後、1基目の反応器底部より連続的に供給し、さらに極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを所定の速度でそれぞれ1基目の反応器底部より連続的に供給し、反応器内温を95℃に保持した。反応器頭部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。2基目の反応器の温度を95℃に保ち、変性剤としてテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)とオリゴマー成分との混合物を、所定の速度でシクロヘキサン1000倍希釈液として連続的に加え、変性反応を行なった。この重合体溶液を反応器から連続的に抜き出し、スタティックミキサーで連続的に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、重合体100質量部に対し伸展油(JX日鉱日石エネルギー(株)製のNC-140)を25質量部加えた後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR2を得た。
【0136】
(製造例2:有機珪素化合物1の合成)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに、無水硫化ソーダ78.0g(1.0モル)、硫黄80.3g(2.5モル)およびエタノール480gを仕込み、80℃に加熱した。その中に、6-クロロヘキシルトリエトキシシラン566g(2.0モル)を滴下投入し、80℃にて10時間加熱撹拌した。この反応液を、濾過板を用いて加圧濾過することで、反応の進行とともに生成した塩が除去された濾液を得た。得られた濾液を100℃まで加熱し、10mmHg以下の減圧下でエタノールを留去することで、反応生成物として有機珪素化合物1(シランカップリング剤)を得た。得られた有機珪素化合物1は、化合物中に含まれる硫黄量が18.5質量%であり、有機珪素化合物1分子中に含まれる平均の硫黄の原子数Xは3.5であり、mの値は6であった。
【0137】
<実施例及び比較例>
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を5分間、排出温度170℃になるまで混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、二軸オープンロールを用いて、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(多目的スポーツ車用タイヤ(SUV用タイヤ)、サイズP265/65R17 110S)を製造した。
【0138】
得られた試験用タイヤについて、以下の評価を行った。評価結果を表に示した。なお、表1は、比較例3を基準比較例とした。
【0139】
<低燃費性能>
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム15×6JJ、内圧230kPa、荷重3.43kN、速度80km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定し、その逆数を、基準比較例を100として指数表示した。数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性能に優れることを示す。
【0140】
<高速での耐チッピング性能>
各試験用タイヤをそれぞれ正規リムに組み込み、正規内圧にまで空気を充填した後、車両に装着して不整地を速度70km/時で4時間走行させた。走行後、タイヤ表面に発生した2mm以上のゴム欠けをカウントし、各タイヤについてチッピング数を求め、下記式にて、高速での耐チッピング性能指数を算出した。数値が大きいほど、ゴム欠けが少なく、高速での耐チッピング性能に優れることを示す。
(高速での耐チッピング性能指数)=(基準比較例のチッピング数)/(各試験用タイヤのチッピング数)×100
【0141】
【0142】
表より、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカと、アルコキシシリル基及び硫黄原子を含み、かつアルコキシシリル基及び硫黄原子を連結する炭素原子の数が6個以上である有機珪素化合物を含むシランカップリング剤とを含む実施例は、低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の総合性能(低燃費性能及び高速での耐チッピング性能の2つの指数の総和で表す)に優れていた。