(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】インダクタ部品及びインダクタ構造体
(51)【国際特許分類】
H01F 17/06 20060101AFI20240903BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240903BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240903BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01F17/06 D
H01F17/00 C
H01F27/29 123
H01F27/32 140
(21)【出願番号】P 2023104057
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2020081295の分割
【原出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 達哉
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047316(WO,A1)
【文献】特開2015-082660(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139046(WO,A1)
【文献】特開2013-207006(JP,A)
【文献】国際公開第2017/134993(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0231085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 17/00
H01F 27/29
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料からなる磁性層を含み、第1端子面と、前記第1端子面に直交する高さ方向における前記第1端子面とは反対側の第2端子面と、を有する素体と、
前記素体の内部で前記高さ方向に線状に延びるインダクタ配線と、
前記インダクタ配線の第1端に設けられている第1外部端子と、
前記インダクタ配線の前記第1端とは反対側の第2端に設けられている第2外部端子と、を備え、
前記第1外部端子は、前記第1端子面からのみ露出しており、
前記第2外部端子は、前記第2端子面からのみ露出しており、
前記素体は、絶縁材料からなる第1絶縁膜及び絶縁材料からなる第2絶縁膜を含み、
前記インダクタ配線の外面のうち、前記第1外部端子が設けられている面及び前記第2外部端子が設けられている面を除いた面を側面としたとき、前記側面は、前記第1絶縁膜と接しており、
前記第1絶縁膜の外面のうち前記インダクタ配線とは反対側の面は、前記第2絶縁膜と接している
インダクタ部品。
【請求項2】
前記インダクタ配線の前記高さ方向の寸法は、前記高さ方向から前記インダクタ配線を視たときに前記インダクタ配線の占める範囲を包含する最小径の円の直径よりも大きい
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記インダクタ配線は、前記高さ方向に延びる柱状である
請求項1又は請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記高さ方向から視たときに、前記第1外部端子と前記第2外部端子との少なくとも一部は重複している
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記素体の前記高さ方向の最大寸法は、前記素体の前記高さ方向に直交する方向の最大寸法よりも小さい
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記第2絶縁膜の膜厚は、前記第1絶縁膜の膜厚よりも厚い
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記磁性層は、磁性粉を含んでおり、
前記第2絶縁膜の前記磁性層側の部分には、前記磁性粉の一部が介在している
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記第1絶縁膜と前記磁性層との間には、応力を緩和するための空間が区画されている
請求項1~請求項7のいずれか1項のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記インダクタ配線において、前記インダクタ配線の延び方向に直交する方向の断面の縁の少なくとも一部は、曲線状である
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記第1外部端子及び前記第2外部端子の少なくとも一方は、銅を含有する層、ニッケルを含有する層、錫を含有する層及び金を含有する層のうち少なくとも1つの層を含む積層構造となっている
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記インダクタ配線の前記第1端が、前記第1外部端子となっている
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記第1外部端子は、前記第1端子面に対して外側に突出した位置に配置されている
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記第1外部端子は、前記第1端子面に対して内側に凹んだ位置に配置されている
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記インダクタ配線が、複数備わっており、
前記複数のインダクタ配線は、前記第1端子面と平行な方向に並んでいる
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記インダクタ配線は、前記高さ方向に延びる柱状の第1配線部と前記高さ方向に延びる柱状の第2配線部とを備え、
前記第1配線部と前記第2配線部とは、前記高さ方向に並んで配置されており、
前記第1配線部の延び方向に直交する断面の面積は、前記第2配線部の延び方向に直交する断面の面積と異なる
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項16】
磁性材料からなる磁性層を含み、第1端子面と、前記第1端子面に直交する高さ方向における前記第1端子面とは反対側の第2端子面と、を有する素体と、
前記素体の内部で前記高さ方向に線状に延びるインダクタ配線と、
前記インダクタ配線の第1端に設けられている第1外部端子と、
前記インダクタ配線の前記第1端とは反対側の第2端に設けられている第2外部端子と、を備え、
前記第1外部端子は、前記第1端子面からのみ露出しており、
前記第2外部端子は、前記第2端子面からのみ露出している、
インダクタ部品と、
前記インダクタ部品の前記第1外部端子に入力電圧を印加する入力配線と、
前記インダクタ部品の前記第2外部端子から出力電圧が印加される出力配線と
を備え、
前記高さ方向から視たときに、前記入力配線の前記第1外部端子との接続端と、前記出力配線の前記第2外部端子との接続端と、の少なくとも一部は重複しており、
前記素体は、絶縁材料からなる第1絶縁膜及び絶縁材料からなる第2絶縁膜を含み、
前記インダクタ配線の外面のうち、前記第1外部端子が設けられている面及び前記第2外部端子が設けられている面を除いた面を側面としたとき、前記側面は、前記第1絶縁膜と接しており、
前記第1絶縁膜の外面のうち前記インダクタ配線とは反対側の面は、前記第2絶縁膜と接している
インダクタ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品及びインダクタ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインダクタ部品においては、絶縁樹脂層内に、環状のコイルコアが配置されている。また、絶縁樹脂層内には、インダクタ配線が配置されている。インダクタ配線は、コイルコアにおける環状に延びる方向の周囲を螺旋状に巻回されている。インダクタ配線の第1端側に位置する第1外部端子は、絶縁樹脂層の外面のうち、基板に実装される側の端子面に露出している。インダクタ配線の第2端側に位置する第2外部端子は、第1外部端子と同じ端子面に露出している。そして、インダクタ配線の第1外部端子と第2外部端子は、はんだ等によって基板に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインダクタ部品では、インダクタ配線の両端が、同一の端子面に露出している。そのため、インダクタ部品を実装する基板側には、2つの電極が必要である。これら2つの電極同士は、インダクタ部品を実装するためのはんだによる短絡を防止するため、一定の間隔を空ける必要がある。また、はんだはフィレット形状等となるため、露出するインダクタ配線の両端の範囲よりも広がって付着する。したがって、基板側の電極の面積は、インダクタ配線の露出する両端の面積よりも大きく確保する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示の一態様は、磁性材料からなる磁性層を含み、第1端子面と、前記第1端子面に直交する高さ方向における前記第1端子面とは反対側の第2端子面と、を有する素体と、前記素体の内部で前記高さ方向に線状に延びるインダクタ配線と、前記インダクタ配線の第1端に設けられている第1外部端子と、前記インダクタ配線の前記第1端とは反対側の第2端に設けられている第2外部端子と、を備え、前記第1外部端子は、前記第1端子面からのみ露出しており、前記第2外部端子は、前記第2端子面からのみ露出しているインダクタ部品である。
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一態様は、磁性材料からなる磁性層を含み、第1端子面と、前記第1端子面に直交する高さ方向における前記第1端子面とは反対側の第2端子面と、を有する素体と、前記素体の内部で前記高さ方向に線状に延びるインダクタ配線と、前記インダクタ配線の第1端に設けられている第1外部端子と、前記インダクタ配線の前記第1端とは反対側の第2端に設けられている第2外部端子と、を備え、前記第1外部端子は、前記第1端子面からのみ露出しており、前記第2外部端子は、前記第2端子面からのみ露出している、インダクタ部品と、前記インダクタ部品の前記第1外部端子に入力電圧を印加する入力配線と、前記インダクタ部品の前記第2外部端子から出力電圧が印加される出力配線とを備え、前記高さ方向から視たときに、前記入力配線の前記第1外部端子との接続端と、前記出力配線の前記第2外部端子との接続端と、の少なくとも一部は重複しているインダクタ構造体である。
【0007】
上記各構成によれば、インダクタ配線の第1外部端子は第1端子面に露出している。また、インダクタ配線の第2外部端子は第2端子面に露出している。このように第1外部端子と第2外部端子とが、異なる面に露出しているため、同一面において第1外部端子と第2外部端子とが露出している場合のように、はんだによる短絡を防止するための間隔を設けなくてもよい。したがって、インダクタ配線の第1端子面及び第2端子面において、このようなはんだによる短絡を防止するための間隔を設けることによって、第1端子面及び第2端子面が過度に大型化することを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
基板に対するインダクタ部品の実装面積を小さくしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態のインダクタ部品の
図1におけるA-A線に沿う断面図。
【
図3】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図4】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図5】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図6】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図7】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図8】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図9】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図10】第1実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図12】第2実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図13】第2実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図14】第2実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図15】第2実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図16】第2実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図17】第2実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図19】第3実施形態のインダクタ部品の
図17における二点鎖線に囲われる範囲の拡大断面図。
【
図20】第3実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図21】第3実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図22】第3実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図24】第4実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図25】第4実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図26】第4実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図27】第4実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図28】第4実施形態のインダクタ部品の製造方法の説明図。
【
図29】インダクタ部品実装基板の実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、インダクタ部品及びインダクタ部品の製造方法の各実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。また、図の部材の一部にのみ符号を付している場合がある。
【0011】
<第1実施形態>
以下、インダクタ部品及びインダクタ部品の製造方法の第1実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、インダクタ部品10は、素体20と、4つのインダクタ配線30とで構成されている。
図2に示すように、素体20は、正四角柱の外観である。素体20の材質は、鉄などの磁性粉を含む樹脂である。すなわち、本実施形態において、素体20は、全体として磁性を有する磁性材料からなる磁性層で構成されている。素体20の外面のうちの1つの面は、第1端子面11となっている。また、素体20の外面のうち、第1端子面11と対向する面は、第2端子面12となっている。以下の説明では、第1端子面11及び第2端子面12に直交する方向を高さ方向Tdとする。そして、高さ方向Tdにおいて第1端子面11側を下側、高さ方向Tdにおいて第1端子面11とは反対側の第2端子面12側を上側とする。
【0013】
また、素体20を高さ方向Tdから視たときに、正方形状の第1端子面11の向かい合う一対の辺の延びる方向を長さ方向Ldとする。さらに、素体20を高さ方向Tdから視たときに、長さ方向Ldと直交する方向を幅方向Wdとする。この実施形態では、素体20の高さ方向Tdの最大寸法は、素体20の長さ方向Ldの最大寸法及び素体20の幅方向Wdの最大寸法よりも小さくなっている。
【0014】
素体20の内部には、インダクタ配線30が設けられている。インダクタ配線30は、導電性材料からなっており、本実施形態において、インダクタ配線30の組成は、銅の比率が99wt%以上となっている。
【0015】
インダクタ配線30は、高さ方向Tdの下側から、高さ方向Tdの上側に向かって高さ方向Tdに延びる円柱状となっている。すなわち、インダクタ配線30は、高さ方向Tdに直線状に延びている。また、
図1に示すように、インダクタ配線30の長さ方向Ld及び幅方向Wdに沿う断面の縁は、全て曲線である。
図2に示すように、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tは、素体20の高さ方向Tdの寸法と同一となっている。また、インダクタ配線30の高さ方向Tdから視たときの円の直径Dは、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tよりも小さくなっている。
【0016】
インダクタ配線30の延び方向の第1端側の端面は、素体20の第1端子面11から露出している。したがって、インダクタ配線30の第1端側の端面は、第1外部端子32となっている。第1外部端子32は、第1端子面11と面一となっている。そして、第1外部端子32は、素体20の外面のうち、第1端子面11のみから露出している。
【0017】
インダクタ配線30の延び方向の第2端側の端面は、素体20の第2端子面12から露出している。したがって、インダクタ配線30における第1端とは反対側の第2端側の端面は、第2外部端子33となっている。第2外部端子33は、第2端子面12と面一となっている。そして、第2外部端子33は、素体20の外面のうち、第2端子面12のみから露出している。
【0018】
そして、インダクタ配線30を高さ方向Tdから視たときに、第1外部端子32と第2外部端子33の位置は、一致している。すなわち、インダクタ配線30を高さ方向Tdから視たときに、第1外部端子32と第2外部端子33との全てが重複している。
【0019】
インダクタ配線30の外面のうち、第1外部端子32を構成する面、及び第2外部端子33を構成する面を除く部分を側面35としたとき、側面35の全てが素体20で覆われている。
【0020】
図1に示すように、インダクタ配線30は、幅方向Wdに沿って、1列あたり2つのインダクタ配線30が配置されている。そして、インダクタ配線30の列は、長さ方向Ldに2列設けられている。すなわち、インダクタ配線30は、第1端子面11と平行な幅方向Wd及び長さ方向Ldに並んでおり、合計で4つ設けられている。
【0021】
次に、第1実施形態におけるインダクタ部品10の製造方法について説明する。
インダクタ部品10を製造するにあたっては、
図3に示すように、先ず銅箔付きベース基板80を準備する。銅箔付きベース基板80のベース基板81は、板状となっている。ベース基板81の積層方向上側の面には、銅箔82が積層されている。
【0022】
次に、第1レジスト層90を形成する。
図4に示すように、銅箔付きベース基板80の銅箔82の上側の面のうち、インダクタ配線30を形成しない部分を被覆する第1レジスト層90をパターニングする。具体的には、先ず、銅箔82の上側の面全体に感光性のドライフィルムレジストを塗布する。次に、銅箔82の上側の面のうち、インダクタ配線30を形成しない部分に対して露光する。その結果、塗布されたドライフィルムレジストのうち、露光された部分が硬化される。その後、塗布したドライフィルムレジストのうち、硬化していない部分を、薬液により剥離除去する。これにより、塗布したドライフィルムレジストのうち、硬化されている部分が、第1レジスト層90として形成される。一方で、塗布したドライフィルムレジストのうち、薬液に除去されて第1レジスト層によって被覆されていない部分には、銅箔82が露出している。
【0023】
次に、インダクタ配線30を形成する。
図5に示すように、銅箔付きベース基板80の銅箔82の上側の面のうち、第1レジスト層90が形成されていない部分にインダクタ配線30を形成する。具体的には、銅箔82の上側の面を電解銅めっき液に浸すことで電解銅めっきを行い、銅箔82の上側の面に、銅の比率が99wt%以上のインダクタ配線30が形成される。
【0024】
次に、第1レジスト層90を剥離する。
図6に示すように、第1レジスト層90の一部を物理的に掴み、第1レジスト層90と銅箔付きベース基板80とを引き離すように剥離する。
【0025】
次に、インダクタ配線30の周囲にはみ出している銅箔82を除去する。具体的には、銅箔82についてエッチングを行うことで、インダクタ配線30から露出している銅箔82を除去する。
【0026】
次に、素体20の材料である磁性粉を含む樹脂を塗布する。
図7に示すように、磁性粉を含む樹脂を、インダクタ配線30の上面も覆うように塗布する。次に、プレス加工で磁性粉を含む樹脂を固めて第1磁性層21を形成する。この第1磁性層21が、素体20を構成する。
【0027】
次に、第1磁性層21の上側部分を切削する。
図8に示すように、インダクタ配線30の上面、すなわち第2外部端子33が露出するまで、第1磁性層21の上側部分を削る。
次に、銅箔付きベース基板80を除去する。
図9に示すように、インダクタ配線30の下面、すなわち第1外部端子32が露出するまで、銅箔付きベース基板80を削り取る。この際、本実施形態においては、銅箔82も全て切削することで、インダクタ配線30の下面が露出する。
【0028】
次に、個片化する。
図10に示すように、第1磁性層21中の破断線DLにてダイシングにより個片化する。これにより、素体20の内部に4つのインダクタ配線30を備えたインダクタ部品10を得ることができる。
【0029】
次に、上記第1実施形態の作用及び効果を説明する。
(1-1)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30は、高さ方向Tdに線状に延びている。また、第1外部端子32は、第1端子面11からのみ露出している。さらに、第2外部端子33は、第2端子面12からのみ露出している。このように、第1外部端子32と第2外部端子33とが、異なる面に露出している。そのため、同一面において、第1外部端子32や第2外部端子33が露出している場合のように、第1外部端子32のはんだと第2外部端子33のはんだとの短絡を防止するための間隔を設けなくてもよい。したがって、インダクタ部品10の第1端子面11及び第2端子面12において、このようなはんだによる短絡を防止するための間隔を設けることによって、第1端子面11及び第2端子面12が過度に大型化することを抑制できる。
【0030】
(1-2)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tは、インダクタ配線30を高さ方向Tdから視たときのインダクタ配線30の直径Dよりも大きい。すなわち、インダクタ配線30は、全体として高さ方向Tdに長く延びている。そのため、インダクタ配線30によって得られるインダクタンスに比して、第1外部端子32及び第2外部端子33の面積を小さくできる。
【0031】
(1-3)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、高さ方向Tdから視たときに、第1外部端子32と第2外部端子33との全ては重複している。そのため、インダクタ部品10を基板に実装する際に、1つのインダクタ配線30あたりに必要な実装面積は、最小で、第1外部端子32の面積分に、はんだ分を加味した領域だけで済む。
【0032】
(1-4)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30の第1端が第1外部端子32となっている。そのため、第1端子面11に直交する方向からインダクタ配線30を視たときに、第1外部端子32及び第2外部端子33の面積全体に、インダクタ配線30が配置されている。よって、インダクタ配線30における第1外部端子32及び第2外部端子33の面積を小さくしつつも、第1外部端子32及び第2外部端子33の面積が同一の範囲内では、インダクタ配線30の高さ方向Tdから視たときの円の直径Dは最大となっているため、インダクタンス値の最大化を図れる。
【0033】
(1-5)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、素体20の高さ方向Tdの最大寸法は、素体20の長さ方向Ld及び幅方向Wdの最大寸法のいずれよりも大きい。そのため、素体20の重心は、素体20の高さ方向Tdの最大寸法が素体20の長さ方向Ld及び幅方向Wdの最大寸法よりも小さい場合と比べて低くなる。その結果、インダクタ部品10を基板等に実装した際の安定性が増す。
【0034】
(1-6)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30の側面35全てが、素体20すなわち磁性層に覆われている。そのため、インダクタ配線30を電流が流れたときの磁路は、磁性材料を通る。よって、漏れ磁束を低減できる。
【0035】
(1-7)上記第1実施形態のインダクタ部品10の製造方法では、第1磁性層21の材質である磁性粉を含む樹脂を塗布する際に、インダクタ配線30とインダクタ配線30との間に磁性粉を含む樹脂を塗布する。仮に、インダクタ配線30の高さ方向Tdに直交する断面の縁が複数の直線状であり、直線状の縁と直線状の縁との間が狭くなっていると、その狭い箇所に樹脂を押し込み切れずに、磁性層を含む樹脂が充分に充填できない虞がある。上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30の高さ方向Tdに直交な断面は、円形状である。そのため、当該断面の縁は全て曲線状である。よって、インダクタ部品10を製造するうえで、上記第1実施形態では、磁性粉を含む樹脂が充填されやすい。
【0036】
(1-8)上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30が複数備わっている。仮に、1つのインダクタ配線30を備えるインダクタ部品を実装する場合には、4つのインダクタ配線30を実装する際に4個のインダクタ部品を実装する必要があるが、本実施形態においては、1つのインダクタ部品10を実装することで済む。
【0037】
(1-9)仮に、インダクタ配線30が、第1端子面11に沿って延びる部分を有していると、インダクタ部品10の長さ方向Ldや幅方向Wdの寸法が第1外部端子32の長さ方向Ldや幅方向Wdの寸法よりも大きくなる。上記第1実施形態のインダクタ部品10によれば、インダクタ配線30は、直線状に延びている。そのため、第1端子面11は、最低限、第1外部端子32の面積に加えて、インダクタ配線30を覆う素体20の分だけで済む。すなわち、第1端子面11の寸法として、インダクタ配線30を第1端子面11に沿って延びる部分を確保する必要がない。よって、第1端子面11の大きさが過度に大きくなることを抑制できる。
【0038】
<第2実施形態>
以下、インダクタ部品及びインダクタ部品の製造方法の第2実施形態について説明する。
【0039】
第2実施形態におけるインダクタ部品110においては、第1実施形態と比べて、主に、素体20が、第1磁性層21、及びインダクタ配線30を覆う第1絶縁膜40を含む点で異なる。なお、第1磁性層21は、第1実施形態のインダクタ部品10における素体20と同一の構成である。また、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、符号を同一とし、説明を省略又は簡略化する。
【0040】
図11に示すように、インダクタ部品110において、インダクタ配線30の側面35は、全て第1絶縁膜40に覆われている。第1絶縁膜40は、絶縁材料からなっており、本実施形態では、エポキシ樹脂となっている。第1絶縁膜40の膜厚は、略均一となっている。
【0041】
また、第1絶縁膜40のインダクタ配線30とは反対側の面には、第1磁性層21が接している。そのため、インダクタ配線30の側面35の全てが、磁性材料からなる第1磁性層21に覆われている。
【0042】
次に、第2実施形態におけるインダクタ部品110の製造方法について説明する。
インダクタ部品110を製造するにあたっては、
図12に示すように、先ずベース基板181を準備する。ベース基板181は、板状となっている。
【0043】
次に、ベース基板181の上側の面に、接着層182を張り付ける。
図13に示すように、接着層182は、本実施形態では、張り付けた後に、ベース基板181から剥離が可能なシールとなっている。さらに、接着層182のベース基板181とは反対側の面も接着が可能となっている。すなわち、接着層182は両側の面が接着面となっている。
【0044】
次に、接着層182の上側の面に、金属柱状部材Pを接着する。
図14に示すように、金属柱状部材Pは、円柱状となっており、剛性を有する金属部P1と絶縁部P2とで構成されている。金属部P1は、円柱状となっている。金属部P1の材質は銅となっている。絶縁部P2は、金属部P1の接着する側の面に直交する面である側面を全て覆っている。絶縁部P2の厚さは略均一となっている。絶縁部P2の材質は、エポキシ樹脂となっている。後述するように、本実施形態においては、金属部P1がインダクタ配線30となり、絶縁部P2が第1絶縁膜40となる。
【0045】
次に、
図15に示すように、焼結された磁性材料からなる第1磁性層21を張り付ける。本実施形態においては、第1磁性層21には、複数の穴が凹んでいる。そして、複数の穴に、金属柱状部材Pがおさまるように、第1磁性層21を張り付ける。
【0046】
次に、第1磁性層21の上側の部分を切削する。
図16に示すように、金属柱状部材Pの上面が露出するまで第1磁性層21の上側部分を削る。これにより、金属柱状部材Pの上面が露出することで、インダクタ配線30の第2外部端子33が形成される。
【0047】
次に、ベース基板181と接着層182とを除去する。
図17に示すように、接着層182とベース基板181を物理的に掴んで、接着層182の上側の面と第1磁性層21の下側の面とを剥離するように引き離す。これにより、第1磁性層21の下側の面には、金属柱状部材Pの下側の面が露出することで、インダクタ配線30の第1外部端子32が形成される。そのため、金属部P1はインダクタ配線30として構成されるとともに、金属部P1を覆っている絶縁部P2は第1絶縁膜40として構成される。そして、個片化することにより、素体20内に、第1絶縁膜40で覆われたインダクタ配線30を備えたインダクタ部品110を得ることができる。
【0048】
次に、上記第2実施形態の作用及び効果を説明する。上記第2実施形態によれば、上述した(1-1)~(1-6)、(1-8)、(1-9)の効果に加え、さらに以下の効果を奏する。
【0049】
(2-1)上記第2実施形態のインダクタ部品110によれば、インダクタ配線30と第1磁性層21との間に、第1絶縁膜40が介在されている。そのため、インダクタ配線30と第1磁性層21との絶縁性を、より確実に確保できる。
【0050】
(2-2)上記第2実施形態のインダクタ部品110の製造方法によれば、金属柱状部材Pを用いて、インダクタ配線30及び第1絶縁膜40を形成している。そのため、金属柱状部材Pを準備することで、第1実施形態と比べて、めっきなどの工程を省ける。
【0051】
(2-3)上記第2実施形態のインダクタ部品110によれば、インダクタ配線30は、高さ方向Tdに延びる円柱状である。そのため、インダクタ配線30の延び方向における断面の縁が曲線状となっている。したがって、インダクタ配線30の断面の縁に角が生じている場合に比較して、第1絶縁膜40を設ける際に厚みのばらつきを抑制しやすい。
【0052】
<第3実施形態>
以下、インダクタ部品及びインダクタ部品の製造方法の第3実施形態について説明する。
【0053】
第3実施形態におけるインダクタ部品210においては、第2実施形態と比べて、主に、素体20が、第1磁性層21及び第1絶縁膜40に加え、第1絶縁膜40を覆う第2絶縁膜50を含む点で異なる。なお、以下の説明において、第2実施形態と同様の構成については、符号を同一とし、説明を省略又は簡略化する。
【0054】
図18に示すように、インダクタ部品210において、インダクタ配線30の側面35は、全て第1絶縁膜40に覆われている。そして、第1絶縁膜40の外面は、第2絶縁膜50に覆われている。すなわち、第1絶縁膜40の外面のうち、インダクタ配線30と反対側の面は、第2絶縁膜50と接している。第2絶縁膜50は、絶縁材料からなっており、本実施形態では、エポキシ樹脂となっている。
図19に示すように、第2絶縁膜50の膜厚T50は、略均一となっている。第2絶縁膜50の膜厚T50は、第1絶縁膜40の膜厚T40よりも大きくなっている。
【0055】
図19に示すように、インダクタ部品210において、素体20の第1磁性層21は、無機フィラー20Aと、磁性粉20Bと、樹脂20Cとで構成されている。磁性粉20Bは、鉄や鉄の合金などの金属磁性体またはフェライトなどの金属酸化物の磁性体であり、略針状の粒子となっている。無機フィラー20Aは、磁性粉20Bと同じ磁性体又はシリカやアルミナ、硫酸バリウムなどの非磁性体の無機物からなり、略球状となっている。
【0056】
そして、第1磁性層21における無機フィラー20A及び磁性粉20Bの一部は、第2絶縁膜50側に一部突出している。すなわち、第2絶縁膜50において、第1磁性層21側の部分には、無機フィラー20A及び磁性粉20Bの一部が介在している。具体的には、一部の無機フィラー20A及び一部の磁性粉20Bの表面には、第1磁性層21と接触する部分と第2絶縁膜50と接触する部分とがある。一方、第2絶縁膜50において、第1絶縁膜40側の部分には、無機フィラー20A及び磁性粉20Bが介在していない。
【0057】
次に、第3実施形態におけるインダクタ部品210の製造方法について説明する。
インダクタ部品210を製造するにあたっては、上記第2実施形態と同様に、ベース基板181の上側の面に、接着層182を張り付ける。
【0058】
次に、
図20に示すように、接着層182の上側の面に、磁性粉を含む樹脂で形成された磁性シート190を張り付ける。磁性シート190は、後述するように、第1磁性層21を構成するものである。磁性シート190は、全体として板状となっており、金属柱状部材Pの外径よりも大きい穴191が複数貫通している。
【0059】
次に、
図21に示すように、剛性を有する金属柱状部材Pを磁性シート190の穴191内に配置する。金属柱状部材Pの下側の面を、接着層182と接着する。この際、穴191の直径は、金属柱状部材Pの外径よりも大きいため、穴191の内面と金属柱状部材Pの外面との間には、隙間がある。この隙間は、金属柱状部材Pの絶縁部P2の厚さよりも大きくなっている。
【0060】
次に、
図22に示すように、磁性シート190の上側から、絶縁樹脂を流し込む。具体的には、磁性シート190の穴191の内面と金属柱状部材Pの外面との隙間に絶縁樹脂を流し込み、磁性シート190の上面を覆うまで絶縁樹脂を塗布する。次に、プレス加工で絶縁樹脂を固めて第2絶縁膜50を形成する。
【0061】
そして、絶縁樹脂の上側の部分を金属柱状部材Pの上面が露出するまで切削することで、インダクタ配線30の第2外部端子33を形成する。また、ベース基板181及び接着層182を剥離することで、インダクタ配線30の第1外部端子32を形成する。さらに、個片化し、磁性シート190が分割され素体20を形成する。これにより、素体20の内部に、第1絶縁膜40及び第2絶縁膜50に覆われたインダクタ配線30を備えたインダクタ部品210を得ることができる。
【0062】
次に、上記第3実施形態の作用及び効果を説明する。上記第3実施形態によれば、上述した(1-1)~(2-3)の効果に加え、さらに以下の効果を奏する。
(3-1)上記第3実施形態のインダクタ部品210によれば、第1絶縁膜40の外面は、第2絶縁膜50で覆われている。例えば、第1絶縁膜40はインダクタ配線30との密着性を確保するために、材料に制限がある場合がある。また例えば、第2絶縁膜50は、その製造過程において、流し込みやすさを確保するために、材料に制限がある場合がある。これらのような場合であっても、本実施形態においては、第1絶縁膜40と第2絶縁膜50とがあることで、一方の絶縁膜に材料等の制限がある場合であっても、他方の絶縁膜によって絶縁性を確実に確保できる。
【0063】
(3-2)上記第3実施形態のインダクタ部品210によれば、第2絶縁膜50の膜厚T50は、第1絶縁膜40の膜厚T40よりも大きい。そのため、第2絶縁膜50を製造するうえで、絶縁材料を第1絶縁膜40と磁性シート190との隙間に流し込みやすい。
【0064】
(3-3)上記第3実施形態のインダクタ部品210によれば、第2絶縁膜50の第1磁性層21側の部分には、無機フィラー20A及び磁性粉20Bの一部が介在している。そのため、第2絶縁膜50と第1磁性層21とが強固に密着できる。一方で、第2絶縁膜50の第1絶縁膜40側の部分には、無機フィラー20A及び磁性粉20Bが介在していないため、第1絶縁膜40が無機フィラー20Aや磁性粉20Bによって損傷し、インダクタ配線30の絶縁性が低下することを抑制できる。
【0065】
(3-4)上記第3実施形態のインダクタ部品210によれば、インダクタ配線30は、高さ方向Tdに延びる円柱状である。そのため、インダクタ配線30の延び方向における断面の縁が曲線状となっている。したがって、インダクタ配線30の断面の縁に角が生じている場合に比較して、第1絶縁膜40や第2絶縁膜50を設ける際に厚みのばらつきを抑制しやすい。
【0066】
<第4実施形態>
以下、インダクタ部品及びインダクタ部品の製造方法の第4実施形態について説明する。
【0067】
第4実施形態におけるインダクタ部品310においては、第1実施形態と比べて、主に、インダクタ配線30が、高さ方向Tdに第1配線部31Aと第2配線部31Bとを備える点で異なる。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、符号を同一とし、説明を省略又は簡略化する。
【0068】
図23に示すように、インダクタ部品310において、インダクタ配線30は、第1配線部31Aと、第2配線部31Bと、接続部31Cと、によって構成されている。
インダクタ配線30の第1配線部31Aは、円柱状となっており、第1配線部31Aの下側の面は、第1端子面11に露出しており、第1外部端子32となっている。
【0069】
第1配線部31Aの上側の面には、接続部31Cが接続されている。接続部31Cは、高さ方向Tdに延びる円柱状となっている。接続部31Cはテーパ状となっており、第1配線部31A側ほど径が小さくなっている。接続部31Cの下側の面は、第1配線部31Aの上側の面よりも小さい円となっている。接続部31Cの上側の面は、第1配線部31Aの上側の面と同じ大きさの円となっている。なお、接続部31Cには、後述するシード層380が含まれているが、シード層380は極めて薄いため、
図23においては、図示を省略する。
【0070】
接続部31Cの上側の面には、第2配線部31Bが接続されている。第2配線部31Bは、高さ方向Tdに延びる円柱状となっている。本実施形態では、第2配線部31Bは、第1配線部31Aと同じ形状且つ同じ大きさとなっている。第2配線部31Bの上側の面は、第2端子面12に露出しており、第2外部端子33となっている。本実施形態においては、第2配線部31Bの中心軸線は、第1配線部31Aの中心軸線と一致している。そのため、第1配線部31Aと第2配線部31Bとは、高さ方向Tdに並んで配置されている。
【0071】
本実施形態では、インダクタ部品310の高さ方向Tdの寸法は、第1実施形態におけるインダクタ部品10の高さ方向Tdの寸法の約2倍となっている。
次に、第4実施形態におけるインダクタ部品310の製造方法について説明する。
【0072】
インダクタ部品310を製造するにあたっては、先ず、第1実施形態と同様に、銅箔付きベース基板80に第1レジスト層90を形成する。そして、電解銅めっきを行い、インダクタ配線30の第1配線部31Aを形成する。
【0073】
次に、第1レジスト層90を剥離し、銅箔82を除去した後、第1磁性層21を形成する。そして、第1配線部31Aの上面が露出するまで、第1磁性層21の上側部分を切削する。
【0074】
次に、
図24に示すように、第1磁性層21の上側に、絶縁層60を形成する。具体的には、第1磁性層21及び第1配線部31Aの上面の全てに、絶縁樹脂を塗布し、プレス加工で絶縁樹脂を固めて、絶縁層60を形成する。そして、第1配線部31Aの上面の中央部分が露出するように、レーザー加工によって、絶縁層60のうち第1配線部31Aの上側にテーパ状の穴61を貫通させる。なお、絶縁層60の厚さは、インダクタ配線30の直径Dの20分の1以下であると好ましい。
【0075】
次に、
図25に示すように、絶縁層60の上面及び第1配線部31Aの上面にシード層380を形成する。具体的には、絶縁層60の上側から、スパッタリングによって、銅のシード層380を形成する。
【0076】
次に、
図26に示すように、第1レジスト層90を形成する際と同様に、フォトリソグラフィによって、第2レジスト層91をシード層380の上側の面に形成する。第2レジスト層91は、第2配線部31Bを形成しない部分に形成される。
【0077】
次に、第2配線部31B及び接続部31Cを形成する。シード層380の上側の面のうち、第2レジスト層91が形成されていない部分に、第2配線部31B及び接続部31Cを形成する。具体的には、シード層380の上側の面を電解銅めっきで浸すことで電解銅めっきを行い、シード層380の上側の面に、銅の比率が99wt%以上の第2配線部31B及び接続部31Cが形成される。
【0078】
次に、第2レジスト層91を剥離する。第2レジスト層91の一部を物理的に掴み、第2レジスト層91と銅箔付きベース基板80とを引き離すように剥離する。
次に、第2配線部31Bの周囲にはみ出しているシード層380を除去する。具体的には、シード層380についてエッチングを行うことで、第2配線部31Bから露出しているシード層380を除去する。
【0079】
次に、第2磁性層22の材料である磁性粉を含む樹脂を塗布する。磁性粉を含む樹脂を第2配線部31Bの上面も覆うように塗布する。次に、プレス加工で磁性粉を含む樹脂を固めて第2磁性層22を形成する。
【0080】
次に、第2磁性層22の上側部分を切削する。
図27に示すように、第2配線部31Bの上面、すなわち第2外部端子33が露出するまで、第2磁性層22の上側部分を削る。この第2磁性層22及び上述した第1磁性層21によって、素体20が構成される。
【0081】
次に、銅箔付きベース基板80を除去する。
図28に示すように、第1配線部31Aの下面、すなわち第1外部端子32が露出するまで、銅箔付きベース基板80を削り取る。この際、本実施形態においては、銅箔82も全て切削することで、第1配線部31Aの下面が露出する。なお、
図25~
図28においては、シード層380を誇張して図示している。また、シード層380と第1配線部31Aとの境界、及びシード層380と接続部31Cとの境界は、本実施形態では、全て銅からなっており、一体化していて判別できない場合もある。
【0082】
次に、上記第4実施形態の作用及び効果を説明する。上記第4実施形態によれば、上述した(1-1)~(1-9)の効果に加え、さらに以下の効果を奏する。
(4-1)上記第4実施形態のインダクタ部品310によれば、インダクタ配線30を2回の電解銅めっきによって形成している。例えば、第1実施形態のインダクタ部品10では、インダクタ配線30を1回の電解銅めっきによって形成していたが、第1実施形態のインダクタ部品10におけるインダクタ配線30を形成するためのドライフィルムレジストの形成条件をそのままに、2回の形成をすることで、高さ方向Tdの寸法が略2倍とできる。そのため、インダクタ配線30の高さ方向Tdの寸法の調整を製造過程の形成条件を変更せずに実現できる。
【0083】
<第5実施形態>
以下、第1実施形態~第4実施形態で例示したインダクタ部品を、一部品として含むインダクタ構造体の実施形態を説明する。なお、以下では、第1実施形態で説明したインダクタ部品10を電気的に接続したインダクタ構造体の例として、インダクタ部品実装基板を説明する。なお、この実施形態において、第1実施形態と同一の符号は、第1実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0084】
図29に示すように、インダクタ部品実装基板400は、インダクタ部品10と、インダクタ部品10が電気的に接続される基板410と、によって構成されている。本実施形態においては、インダクタ部品10は、基板410の内部に内蔵されている。
【0085】
本実施形態において、基板410は、第1基板層411と、第2基板層412と、第3基板層413とに、大別される。
第1基板層411は、板状であり、第1基板層411の内部には、複数の入力配線420が配置されている。各入力配線420の第1端は、図示は省略するが、直流電源の高電位側端子に接続される。各入力配線420の第2端は、第1基板層411の上側の面に露出している。
【0086】
第1基板層411の上側の面には、第2基板層412が積層されている。第2基板層412は、全体として板状となっており、コア材430などが配置されている。そして、第2基板層412内には、インダクタ部品10が配置されている。本実施形態においては、3つのインダクタ部品10が配置されている。そして、各入力配線420の第1端と、インダクタ部品10の各第1外部端子32が接するように、インダクタ部品10は並んでいる。したがって、入力配線420の数は、第1外部端子32の数と等しい。また、入力配線420は、インダクタ部品10の第1外部端子32に入力電圧を印加する。
【0087】
第2基板層412の上側の面には、第3基板層413が積層されている。第3基板層413は、全体として板状となっている。第3基板層413の内部には、複数の出力配線440が配置されている。各出力配線440の第1端は、インダクタ配線30の各第2外部端子33に接している。したがって、出力配線440の数は、第2外部端子33の数と等しい。また、図示は省略するが、各出力配線440の第2端は、直流電源の低電位側端子に接続されている。そして、出力配線440は、インダクタ部品10の第2外部端子33から出力電圧が印加される。
【0088】
ここで、インダクタ配線30は、高さ方向Tdに延びる円柱状となっている。そして、高さ方向Tdから視たときに、インダクタ配線30の第1外部端子32と第2外部端子33との位置及び大きさは一致している。そのため、高さ方向Tdから視たときに、入力配線420の第1外部端子32との接続端と、出力配線440の第2外部端子33との接続端とは、全て重複している。
【0089】
次に、上記インダクタ構造体の実施形態の作用及び効果を説明する。上記インダクタ構造体の実施形態によれば、上述した(1-1)~(1-9)の効果に加え、さらに以下の効果を奏する。
【0090】
(5-1)上記インダクタ部品実装基板400によれば、インダクタ部品10の第1端子面11は、基板410の第1基板層411に積層されているとともに、インダクタ部品10の第2端子面12は、基板410の第3基板層413に積層されている。そのため、インダクタ部品10に直交する方向に延びる配線や端子などの導通部分がない。さらに、インダクタ部品10を基板410に実装するうえで、第1外部端子32と第2外部端子33との短絡を考慮せずに済む。よって、高さ方向Tdから視たときに、第1外部端子32と第2外部端子33とが同じ面に配置されている場合と比べて、基板410に必要な面積を小さくできる。
【0091】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態において、インダクタ配線30とは、電流が流れた場合に磁性層に磁束を発生させることによって、インダクタ部品にインダクタンスを付与できるものであればよい。
【0092】
・上記各実施形態において、インダクタ配線30の数は、上記各実施形態の例に限られない。1つのインダクタ部品に対して、3つ未満のインダクタ配線30が含まれていてもよいし、5つ以上のインダクタ配線30が含まれていてもよい。この場合、個片化する際のダイシングの位置を調整することでも、インダクタ配線30の数を変更できる。
【0093】
・上記各実施形態において、インダクタ配線30の延び方向に広がる面は、全て素体20に覆われていなくてもよい。例えば、インダクタ配線30の延び方向に広がる面の一部が素体20の外面に露出していてもよい。
【0094】
・上記各実施形態において、インダクタ配線30の形状は、円柱状でなくてもよい。例えば、四角柱状や、他の多角柱状、楕円柱状、錐台形状であってもよい。この場合、インダクタ配線30において、インダクタ配線30の延び方向における断面の縁は、複数の直線で構成される。また例えば、インダクタ配線30において、インダクタ配線30の延び方向における断面の縁は、曲線と直線との組み合わせから構成されていてもよい。インダクタ配線30の延び方向における断面の縁が曲線状である場合、磁性材料を埋め込む際に均一に埋め込みやすく、また、第1絶縁膜40や第2絶縁膜50を設ける際には、厚みのばらつきを抑制しやすい。
【0095】
・上記各実施形態において、インダクタ配線30の形状は、柱状でなくてもよい。例えば、インダクタ配線30の形状が、正四角柱状である場合に、インダクタ配線30において高さ方向Tdから視たときのインダクタ配線30が収容される最小径の円は、正方形の外接円になる。このような場合に、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tは、このような外接円の直径より大きいと、インダクタ部品全体として小型化するうえで望ましい。同様に、インダクタ配線30が、第1端子面11から第2端子面12に向かって線状に延びるうえでは、柱状であることが好ましいが、部分的に曲線や螺旋があっても、全体として線状に延びていればよい。例えば、インダクタ配線30は、全体として線状に延びていれば、部分的に螺旋状に巻回されていてもよいし、部分的にミアンダ形状であってもよい。例えば、インダクタ配線30の形状が、高さ方向Tdを巻中心として巻回される場合に、インダクタ配線30において高さ方向Tdから視たときにインダクタ配線30の占める範囲を包含する最小径の円は、インダクタ配線30の回転によって描かれる円以上になる。このような場合に、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tは、インダクタ配線30において高さ方向Tdから視たときにインダクタ配線30の占める範囲を包含する最小径の円の直径より大きいと、インダクタ部品全体として小型化するうえで望ましい。
【0096】
・上記各実施形態において、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tは、インダクタ配線30において高さ方向Tdから視たときの円の直径Dや、高さ方向Tdから視たときにインダクタ配線30の占める範囲を包含する最小径の円より小さくてもよい。なお、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tは、インダクタ配線30において高さ方向Tdから視たときの円の直径Dの5倍よりも大きいと、インダクタ配線30の高さ方向Tdの高さ寸法Tを相応に大きいと、インダクタンスを大きくできるため好ましい。また、インダクタ配線30において高さ方向Tdから視たときの円の直径Dは、200μm以上であると相応に大きい電流を流すことができるため好ましい。
【0097】
・上記各実施形態において、高さ方向Tdから視たときの第1外部端子32と第2外部端子33との位置は、完全に一致していなくてもよい。高さ方向Tdから視たときに、第1外部端子32と第2外部端子33との一部が重複していてもよいし、第1外部端子32と第2外部端子33とが、全く重複していなくてもよい。高さ方向Tdから視たときに、第1外部端子32と第2外部端子33との少なくとも一部が重複していると、基板の端子側に占める面積を低減できる。
【0098】
・上記各実施形態において、第1外部端子32及び第2外部端子33の構成は、上記各実施形態の例に限られない。例えば、
図30に示す変更例のインダクタ部品510では、インダクタ配線30が、配線本体31と、第1外部端子32と、第2外部端子33とで構成されている。配線本体31の第1端側の端面は、素体20の第1端子面から露出している。また、配線本体31の第1端側の端面には、第1外部端子32が積層されている。第1外部端子32は、配線本体31側から順にニッケルからなる防腐層71及び金からなるはんだ用層72の2層構造となっている。配線本体31の第2端側の端面にも、防腐層71及びはんだ用層72の2層を含む積層構造の第2外部端子33が積層されている。このように、外部端子にニッケルからなる防腐層71があることで、エレクトロマイグレーションを抑制できる。また、外部端子に金からなるはんだ用層72があることで、はんだで基板側と接続する際には、はんだ濡れ性を確保しやすい。
【0099】
また、第1外部端子32及び第2外部端子33のいずれか一方が、インダクタ配線30とは別部材のめっき層となっており、第1外部端子32及び第2外部端子33のいずれか他方は、インダクタ配線30の延び方向の端の端面が端子面から露出して構成されていてもよい。
【0100】
なお、外部端子を積層構造とする場合、上述した防腐層71及びはんだ用層72のうち少なくとも1つの層を含むと、上述した各層によって、エレクトロマイグレーションの抑制や、はんだ濡れ性を確保しやすい点で好ましい。
【0101】
第1外部端子32や第2外部端子33がインダクタ配線30と別部材である場合には、第1外部端子32や第2外部端子33は、インダクタ配線30と直接接触していることが好ましい。第1外部端子32や第2外部端子33が、インダクタ配線30と直接接触していると、インダクタ配線30からさらに追加で引出配線が必要ないため、インダクタ部品全体として、低電気抵抗化や低背化が可能である。
【0102】
・上記各実施形態において、素体20の外面が絶縁性の層で覆われていてもよい。例えば、
図30に示す変更例では、第1端子面11において、絶縁材料からなるソルダーレジスト73が、素体20の上側の面及び下側の面を覆っている。ソルダーレジスト73によって、第1外部端子32同士、第2外部端子33同士の短絡を効果的に防ぐことができる。
【0103】
・上記各実施形態において、第1外部端子32は、第1端子面11と面一でなくてもよい。例えば、
図31に示す変更例のインダクタ部品610では、第1実施形態のインダクタ部品10と比べて、第1外部端子32が、第1端子面11よりも内側に凹んだ位置に配置されている。また、第2外部端子33が、第2端子面12よりも内側に凹んだ位置に配置されている。これにより、インダクタ部品610を基板に実装する際に、凹んでいる空間を基板の突出している部分に当てることで、位置決めをしやすくなる。
【0104】
また、
図30の変更例に示すように、第1外部端子32が、第1端子面11よりも外側に突出した位置に配置されていてもよい。同様に、第2外部端子33が、第2端子面12よりも外側に突出した位置に配置されていてもよい。これにより、インダクタ部品510を基板に実装する際に、突出している位置を基板の凹んだ部分に嵌め込むことで、位置決めをしやすくなる。この場合に、第1外部端子32として、配線本体31の第1端に、銅からなる層を積層して第1外部端子32の厚さを調整してもよい。
【0105】
図30の変更例において、第2外部端子33が、第2端子面12よりも内側に凹んでいてもよい。すなわち、第1外部端子32及び第2外部端子33のいずれか一方が、素体20の外面から突出しており、且つ、第1外部端子32及び第2外部端子33のいずれか他方が、素体20の外面から凹んでいてもよい。
【0106】
・上記各実施形態において、素体20の形状は、上記各実施形態の例に限られない。例えば、円柱状であってもよいし、多角形状であってもよい。
・上記各実施形態において、素体20の外形の寸法について、素体20の高さ方向Tdの最大寸法は、素体20の長さ方向Ld及び幅方向Wdの寸法以上の寸法となっていてもよい。
【0107】
・上記各実施形態において、磁性層の材質は、上記各実施形態の例に限られない。例えば、磁性粉20Bとしては、鉄、ニッケル、クロム、銅及びアルミニウム、並びに鉄合金などこれらを含む合金であってもよい。また、磁性粉20Bを含む樹脂20Cとしては、絶縁性や成形性を考慮すると、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂が好ましいが、これらに限られず、エポキシ樹脂などでもよい。なお、磁性粉20Bを含む樹脂20Cで磁性層を構成する場合に、磁性層にあっては、その全重量に対して磁性粉20Bが60wt%以上含まれることが好ましい。また、磁性粉20Bを含む樹脂20Cの充填性を高くするために、重度分布の異なる2種類又は3種類の磁性粉20Bを樹脂20Cに含ませることがされに好ましい。さらに、磁性層の材質は、磁性粉20Bの代わりにフェライト粉を含む樹脂20Cで構成されるものであってもよいし、磁性粉20B及びフェライト粉の双方を含む樹脂20Cで構成されるものであってもよい。
【0108】
・上記第2実施形態及び第3実施形態において、第1絶縁膜40及び絶縁部P2の材質は、上記各実施形態の例に限られない。例えば、第1絶縁膜40は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、これらの樹脂の組み合わせであってもよい。また、これらの樹脂にシリカや硫酸バリウムなどの無機フィラーを混合してもよい。この点、第3実施形態における第2絶縁膜50においても同様である。
【0109】
・上記第3実施形態において、第2絶縁膜50の膜厚T50は、第1絶縁膜40の膜厚T40以下であってもよい。この場合であっても、第2絶縁膜50の膜厚T50を相応に大きくなるように設定すると、製造する際に絶縁樹脂を流し込みやすい。一方で、第2絶縁膜50の膜厚T50を小さくするほど、素体20のうちで第1磁性層21の体積を増やせるため、インダクタ部品の特性を上げることができる。
【0110】
・上記第3実施形態において、第2絶縁膜50には、無機フィラー20A及び磁性粉20Bの一部が介在していなくてもよい。無機フィラー20A及び磁性粉20Bのいずれか一方の一部が介在していてもよいし、いずれも介在していなくてもよい。
【0111】
・上記第3実施形態において、第1絶縁膜40と第1磁性層21との間は、全て第2絶縁膜50で埋められていなくてもよい。例えば、第1絶縁膜40と第1磁性層21との間には、応力を緩和するための空間が区画されていてもよい。インダクタ部品210が基板に実装された際に、熱応力が加わることがあるが、応力を緩和するための空間が区画されている場合には、このような熱応力によってインダクタ部品210が損傷することを抑制できる。このような応力を緩和するための空間は、プラズマ処理や塗布処理によって、第1絶縁膜40の表面のうちの一部に濡れ性が異なる部分をつくることで、絶縁樹脂が流れやすい部分と流れにくい部分とを設けることで、形成できる。
【0112】
また、第1絶縁膜40と第1磁性層21との間の応力を緩和するための空間は、中空以外であってもよい。応力を緩和するための空間は、第1絶縁膜40や第1磁性層21とは線膨張係数が異なる物資で充填されていればよく、例えば、無機フィラーや樹脂などで充填されていてもよい。無機フィラーや樹脂などを、第1絶縁膜40と第1磁性層21との間の空間に充填することで、無機フィラーや樹脂などで応力を緩和するための空間を形成できる。
【0113】
・上記第4実施形態において、第1配線部31Aと第2配線部31Bとは、同一形状でなくてもよい。例えば、第1配線部31Aが円柱状である一方で、第2配線部31Bが角柱状であってもよい。
【0114】
・上記第4実施形態において、第1配線部31Aと第2配線部31Bとは、同一の大きさでなくてもよい。
図32に示す例では、第1配線部31Aの延び方向に対する断面の面積は、第2配線部31Bの延び方向に対する断面の面積と異なっている。これにより、例えば、インダクタ部品10の周囲の配線との距離を担保しつつ、インダクタ配線30の長さを伸ばすことができる。
【0115】
・上記第4実施形態において、第1配線部31Aの延び方向の中心軸線と第2配線部31Bの延び方向の中心軸線とは、ずれていてもよい。
図33に示す例では、第1配線部31Aの延び方向の中心軸線CA1と、第2配線部31Bの延び方向の中心軸線CA2とは、ずれている。この場合、インダクタ部品10の周囲の配線との距離を担保しつつ、インダクタ配線30の長さを伸ばすことができる。また、入力配線の接続端と出力配線の接続端の位置が少しずれている場合に、無駄な配線を引き回す必要がなくなるため、柔軟な設計をすることができる。
【0116】
・上記第4実施形態において、接続部31Cの形状は、上記実施形態の例に限られない。接続部31Cは円柱状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
・上記第4実施形態において、接続部31Cの材質は、第1配線部31A及び第2配線部31Bの材質と異なっていてもよい。例えば、第1配線部31A及び第2配線部31Bをはんだで接続する場合には、鉛と錫とになる。
【0117】
・上記第4実施形態において、インダクタ部品310の製造方法は、上記実施形態の例に限られない。第2実施形態のように、金属柱状部材Pを、高さ方向Tdに配置して、各金属柱状部材Pをはんだ等によって接続してもよい。また、第1配線部31A及び第2配線部31Bのいずれか一方を電解めっきで形成し、第1配線部31A及び第2配線部31Bのいずれか他方を、金属柱状部材Pを用いて形成してもよい。
【0118】
・インダクタ構造体の形態としては、上記インダクタ部品実装基板の実施形態の例に限られない。例えば、
図34に示すインダクタ構造体の例では、インダクタ部品10は、基板710の上側の面にインダクタ部品10の第1端子面11が接続されている。基板710には、図示を省略する入力電圧を印加する入力配線が設けられており、入力配線は、インダクタ部品10の第1外部端子32に接続されている。また、インダクタ部品10の第2端子面12は、サブモジュールなどの別の電子部品720に接続されている。電子部品720には、図示を省略する出力電圧が印加される出力配線が設けられており、出力配線は、インダクタ部品10の第2外部端子33に接続されている。このように、入力配線と出力配線とが、基板710と電子部品720とのように、異なる部品に備わっていてもよい。
【0119】
また
図34に示す例において、インダクタ部品10が実装される面は、基板710上だけでなく、電子部品720の実装面側やサブストレート上であってもよい。さらに、基板710とインダクタ部品10との間に、さらに別の電子部品が介在していてもよい。
【符号の説明】
【0120】
10…インダクタ部品
11…第1端子面
12…第2端子面
20…素体
20B…磁性粉
21…第1磁性層
22…第2磁性層
30…インダクタ配線
31…配線本体
32…第1外部端子
33…第2外部端子
40…第1絶縁膜
50…第2絶縁膜
60…絶縁層
400…インダクタ部品実装基板
410…基板
420…入力配線
440…出力配線