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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車載表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240910BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 662
G06F3/041 600
B60R16/02 630L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210960
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022097801
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢田 直人
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194886(JP,A)
【文献】特開2019-160026(JP,A)
【文献】特開2018-120298(JP,A)
【文献】特開2013-161384(JP,A)
【文献】特開2011-244427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載部品に不動状態に固定される固定部と、
所定情報を表示可能な表示部を収容するケース部材に弾性部材が取り付けられ、前記弾性部材が前記固定部に取り付けられることにより、前記固定部に振動可能に支持される振動表示部とを備え、
前記振動表示部には、前記表示部を覆うとともに使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサが前記タッチ操作を検出すると前記振動表示部を振動させる駆動部とが設けられ、
前記固定部と前記振動表示部との間には、使用者による振動表示部の押込操作を検出するフォースセンサが設けられ、
前記弾性部材は、前記固定部に平行に取り付けられる第1基部と、前記ケース部材に平行に取り付けられる第2基部と、前記第1基部と前記第2基部とを繋ぐとともに前記第1、第2基部の板面と直交する方向に延在する繋ぎ部とを備え、
前記第1基部と前記繋ぎ部との境界部分に対応する前記固定部箇所には前記押込操作の方向に刳り貫いた溝部が設けられることで、前記押込操作により前記境界部分が撓み変形可能に構成され、
前記ケース部材は、前記固定部に対応するように設けられる本体部を備え、
前記本体部には、前記固定部に向けて突出形成された突出部が設けられ、
前記本体部並びに前記突出部との間に空間部が形成されるように前記固定部に支持される緩衝部材をさらに備えることを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
車載部品に不動状態に固定される固定部と、
所定情報を表示可能な表示部を収容するケース部材に弾性部材が取り付けられ、前記弾性部材が前記固定部に取り付けられることにより、前記固定部に振動可能に支持される振動表示部とを備え、
前記振動表示部には、前記表示部を覆うとともに使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサが前記タッチ操作を検出すると前記振動表示部を振動させる駆動部とが設けられ、
前記固定部と前記振動表示部との間には、使用者による振動表示部の押込操作を検出するフォースセンサが設けられ、
前記弾性部材は、前記固定部に平行に取り付けられる第1基部と、前記ケース部材に平行に取り付けられる第2基部と、前記第1基部と前記第2基部とを繋ぐとともに前記第1、第2基部の板面と直交する方向に延在する繋ぎ部とを備え、
前記第2基部と前記繋ぎ部との境界部分に対応する前記ケース部材箇所には前記押込操作の方向とは逆方向に刳り貫いた溝部が設けられることで、前記押込操作により前記境界部分が撓み変形可能に構成され、
前記ケース部材は、前記固定部に対応するように設けられる本体部を備え、
前記本体部には、前記固定部に向けて突出形成された突出部が設けられ、
前記本体部並びに前記突出部との間に空間部が形成されるように前記固定部に支持される緩衝部材をさらに備えることを特徴とする車載表示装置。
【請求項3】
前記空間部は、使用者による前記振動表示部の押込操作方向における、前記本体部と前記緩衝部材との間に設けられる第1空間部と、前記振動表示部の左右方向及び上下方向における、前記突出部の側壁と前記緩衝部材との間に設けられる第2空間部とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記第1空間部は、前記弾性部材が前記固定部と前記ケース部材との間で前記ケース部材を支持することで生成されることを特徴とする請求項記載の車載表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者によるタッチ操作を検出し、その検出を使用者に振動でフィードバックする車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者によるタッチ操作を検出し、その検出を使用者に振動でフィードバックするハプティクス機能を有する表示装置が知られている。例えば特許文献1に記載の表示装置では、携帯情報端末等の電子機器の表示部(ディスプレイ)を含むタッチ入力モジュールが、表示部のタッチ操作面に交差する弾性厚さを有する弾性ゴム材により筐体に支持され、振動アクチュエータによりタッチ操作面に沿った横振動をして触覚フィードバックを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-200533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の表示装置は、タッチ操作面に沿った一方向(横方向)の振動を許容する構成を有し、タッチ操作面を押し込む方向への力が加わっても機構的に変形しない。従って、表示装置がタッチ操作のみならず押込操作を受け付けようとしても、押込操作を検出することが困難であるという問題があり、更なる改良の余地が残されていた。
【0005】
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、使用者によるタッチ操作のみならず使用者による押込操作をも検出することが可能な車載表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車載部品に不動状態に固定される固定部と、所定情報を表示可能な表示部を収容するケース部材に弾性部材が取り付けられ、前記弾性部材が前記固定部に取り付けられることにより、前記固定部に振動可能に支持される振動表示部とを備え、前記振動表示部には、前記表示部を覆うとともに使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサが前記タッチ操作を検出すると前記振動表示部を振動させる駆動部とが設けられ、前記固定部と前記振動表示部との間には、使用者による振動表示部の押込操作を検出するフォースセンサが設けられ、前記弾性部材は、前記固定部に平行に取り付けられる第1基部と、前記ケース部材に平行に取り付けられる第2基部と、前記第1基部と前記第2基部とを繋ぐとともに前記第1、第2基部の板面と直交する方向に延在する繋ぎ部とを備え、前記第1基部と前記繋ぎ部との境界部分に対応する前記固定部箇所には前記押込操作の方向に刳り貫いた溝部が設けられることで、前記押込操作により前記境界部分が撓み変形可能に構成され、前記ケース部材は、前記固定部に対応するように設けられる本体部を備え、前記本体部には、前記固定部に向けて突出形成された突出部が設けられ、前記本体部並びに前記突出部との間に空間部が形成されるように前記固定部に支持される緩衝部材をさらに備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、車載部品に不動状態に固定される固定部と、所定情報を表示可能な表示部を収容するケース部材に弾性部材が取り付けられ、前記弾性部材が前記固定部に取り付けられることにより、前記固定部に振動可能に支持される振動表示部とを備え、前記振動表示部には、前記表示部を覆うとともに使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサが前記タッチ操作を検出すると前記振動表示部を振動させる駆動部とが設けられ、前記固定部と前記振動表示部との間には、使用者による振動表示部の押込操作を検出するフォースセンサが設けられ、前記弾性部材は、前記固定部に平行に取り付けられる第1基部と、前記ケース部材に平行に取り付けられる第2基部と、前記第1基部と前記第2基部とを繋ぐとともに前記第1、第2基部の板面と直交する方向に延在する繋ぎ部とを備え、前記第2基部と前記繋ぎ部との境界部分に対応する前記ケース部材箇所には前記押込操作の方向とは逆方向に刳り貫いた溝部が設けられることで、前記押込操作により前記境界部分が撓み変形可能に構成され、前記ケース部材は、前記固定部に対応するように設けられる本体部を備え、前記本体部には、前記固定部に向けて突出形成された突出部が設けられ、前記本体部並びに前記突出部との間に空間部が形成されるように前記固定部に支持される緩衝部材をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記ケース部材は、前記固定部に対応するように設けられる本体部を備え、前記本体部には、前記固定部に向けて突出形成された突出部が設けられ、前記本体部並びに前記突出部との間に空間部が形成されるように前記固定部に支持される緩衝部材をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記空間部は、使用者による前記振動表示部の押込操作方向における、前記本体部と前記緩衝部材との間に設けられる第1空間部と、前記振動表示部の左右方向及び上下方向における、前記突出部の側壁と前記緩衝部材との間に設けられる第2空間部とを含むことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第1空間部は、前記弾性部材が前記固定部と前記ケース部材との間で前記ケース部材を支持することで生成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、使用者によるタッチ操作のみならず使用者による押込操作をも検出することが可能な車載表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による車載表示装置の断面図。
図2図1中、主にバネ部材と緩衝部材とを拡大して示す要部拡大断面図。
図3】同実施形態によるハウジングと回路基板と固定部とを取り除いたときの車載表示装置の背面図。
図4】同実施形態による弾性部材の斜視図。
図5】同実施形態による使用者による保護部材への押込操作が行われたときの車載表示装置の要部拡大断面図。
図6】同実施形態による振動表示部が横方向に振動したときの車載表示装置の要部拡大断面図。
図7】同実施形態によるオーディオの音量調整前の表示部の一部を示す図。
図8】同実施形態によるオーディオの音量調整後の表示部の一部を示す図。
図9】同実施形態の変形例による車載表示装置の要部拡大断面図。
図10】同実施形態の他の変形例による車載表示装置の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図7に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
本実施形態による車載表示装置Dは、例えばCID(Center Information Display)であり、車両の運転席に着座する運転者(以下、使用者とも言う)に各種の画像を表示するものである。車載表示装置Dは、図1図3に示すように固定部10と、回路基板20と、振動表示部30と、ハウジング40と、フォースセンサ50と、弾性部材60と、略円環状の緩衝部材70とを備えている。
【0015】
固定部10は、車体のフレームから延出する金属製の取付ステー(車載部品)に不動状態に固定された金属ベース板として構成されるものである。この固定部10は、フォースセンサ50及び弾性部材60を支持するベース部11と、緩衝部材70を包囲するようにベース部11から屹立する略円環状の屹立部12と、この屹立部12の上端部から内側に突出した略円板状の突起部13とを備え、この突起部13は緩衝部材70の後述する溝部に嵌め込まれる突起として構成される。
【0016】
なお、図2中、11aは、弾性部材60側を向くベース部11の前面の一部を刳り貫いて形成した溝部である。そして、弾性部材60がベース部11に取り付けられたとき、弾性部材60に形成される後述する所要部(非当接部)と溝部11aとの間には空間(間隙)が設けられる。
【0017】
回路基板20は、所定の配線パターンが施された硬質の配線基板であり、ベース部11の裏面に固定される。また、回路基板20の前記配線パターンには、車載表示装置Dの制御を行うマイクロコンピュータとしての制御部21や抵抗、コンデンサ等の各種回路部品等が導通接続される。
【0018】
振動表示部30は、所定情報を表示可能な表示部31と、この表示部31を覆う光透過性の保護部材32と、この保護部材32の表示部31側を向く裏面に貼り付けられ、使用者によるタッチ操作を検出する例えば静電容量型のタッチセンサ33と、表示部31及びタッチセンサ33を収容するケース部材34と、使用者の手指が表示部31に対応する保護部材32の前面箇所をタッチ操作(または押込操作)した際に使用者の手指に触覚フィードバックを与えるべくケース部材34の後述する本体部に取り付けられた駆動部としてのアクチュエータ35とを備えている。
【0019】
表示部31は、タッチセンサ33側を向く画面31aに前記所定情報を表示する平面ディスプレイを適用することができ、例えばTFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネルと、この液晶表示パネルを照明する光源とから主に構成される。表示部31は、制御部21による制御のもと、画面31aに情報を表示する。
【0020】
保護部材32は、透明もしくは暗色の合成樹脂材料によって形成された平板状の透視パネルであり、車載表示装置Dの最表面に位置する。この保護部材32は、その周縁部分がケース部材34の後述する鍔部上に載置されることで、ケース部材34に保持される。
【0021】
タッチセンサ33は、表示部31を覆うように設けられ、使用者が手指で画面31a(正確には保護部材32の前面)にタッチ操作したこと、並びに画面31aにおけるタッチ操作された位置を検出し、この検出結果を制御部21に出力する。
【0022】
ケース部材34は、前面側が開口した略箱形形状となっており、表示部31等を収容する金属ケースとして構成される。このケース部材34は、ベース部11(固定部10)に対応(対峙)するように設けられる略平板状の本体部34aと、表示部31の側方を覆う側壁部34bと、この側壁部34bにおける上端部の周囲に張り出すように設けられ、保護部材32の周縁部分を保持する鍔部34cとを備えている。本体部34aは、固定部10のベース部11と略平行状態となるように形成される。
【0023】
本体部34aには、ベース部11(固定部10)側に向けて突出形成された脚部34dと突出部34eとが設けられる。脚部34dは、本体部34aの裏面中央付近に4つ設けられ、突出部34eは、脚部34dの形成位置よりも外側となる本体部34aの裏面端部付近に4つ設けられる。ここでの脚部34dは、アクチュエータ35を取り囲むように4つ設けられており、アクチュエータ35の周囲となる本体部34aの裏面部分からベース部11側に向けて垂下形成されたリブ形状となっている。
【0024】
また、ここでの突出部34eは、4つの緩衝部材70に対応する位置にそれぞれ設けられる。つまり、各突出部34eは、略円環状の緩衝部材70の内部に挿通するように本体部34aの裏面から垂下形成されたリブ形状となっている。
【0025】
アクチュエータ35は、本体部34aにおける裏面側の中心部Pに設けられる。ここでの中心部Pとは、図1の紙面と平行な面における振動表示部30の重心位置に相当する。
【0026】
アクチュエータ35は、タッチセンサ33が使用者による保護部材32前面へのタッチ操作を検出すると、制御部21による制御のもと振動表示部30を左右方向に振動させ、保護部材32前面に触れている使用者の手指に振動を与える。アクチュエータ35は、例えばリニア共振アクチュエータ方式の振動アクチュエータを適用することができる。以上のように、本例における振動表示部30には、その構成部品として表示部31と保護部材32とタッチセンサ33とケース部材34とアクチュエータ35とが設けられた構成となっている。
【0027】
ハウジング40は、例えば合成樹脂材料によって形成された樹脂ケースであり、回路基板20を裏側から覆う底壁部41と、側壁部34bの周囲を覆う周壁部42とを有し、周壁部42には、ベース部11の外縁部分を周壁部42の外部に延出させるための孔部42aが設けられている。
【0028】
フォースセンサ50は、使用者による振動表示部30の押込操作を検出するものであり、脚部34d(振動表示部30)とベース部11(固定部10)との間に設けられる。
【0029】
この場合、フォースセンサ50は、脚部34dの個数と同じ数だけ(つまり4つ)設置される。そして、これら4つのフォースセンサ50の位置関係について詳述すると、フォースセンサ50は、図3に示すように振動表示部30の中心部(重心位置)Pを通り左右方向に延びる仮想水平線Lの上下に2つずつ設けられるとともに当該仮想水平線Lから等距離の位置に上下対となって設けられる構成としている。
【0030】
弾性部材60は、図4に示すように略帯状の金属板が長手方向の2箇所で略直角に折り曲げられた板バネとして構成されるものであり、フォースセンサ50の周辺に4つ設けられる。弾性部材60は、ベース部11(固定部10)に取り付けられる第1基部61と、本体部34a(ケース部材34)に取り付けられる第2基部62と、第1基部61と第2基部62とを繋ぐ繋ぎ部63とを備える。
【0031】
また、各基部61、62には、ネジ80が貫通するネジ孔B1、B2が設けられている。そして、ネジ孔B1を貫通するネジ80がベース部11にネジ固定されることで、ベース部11に弾性部材60の第1基部61が取り付けられる。同様に、ネジ孔B2を貫通するネジ80が本体部34aにネジ固定されることで、本体部34aに弾性部材60の第2基部62が取り付けられる。このように本例の場合、本体部34a(ケース部材34)に弾性部材60が取り付けられ、ベース部11(固定部10)に弾性部材60が取り付けられることにより、振動表示部30は固定部10に振動可能に支持されることになる。
【0032】
また、上述のようにベース部11に弾性部材60の第1基部61がネジ80で取り付けられた際に、第1基部61は、その溝部11aに対応する所要部がベース部11(固定部10)と当接していない非当接部61aとして構成され、第1基部61の当該所要部を除いた箇所がベース部11(固定部10)と当接する当接部61bとして構成される。当接部61bは、第1基部61の自由端部側に設けられ、非当接部61aは、この自由端部側とは反対側となる第1基部61の根元部分(第1基部61と繋ぎ部63との境界付近)に設けられる。
【0033】
なお、本例における個々の弾性部材60は、各基部61、62及び繋ぎ部63の形成方向が同じであることから、振動表示部30の振動時に各弾性部材60が揃って同時に振動し、ある弾性部材60の変形動作が他の弾性部材60の変形動作を妨げて、ハプティクス振動にロスが生じる事態が防止されるという利点がある。
【0034】
また、ここでの各弾性部材60は、図3に示すように振動表示部30の重心位置Pを通り左右方向に延びる仮想水平線Lの上下に2つずつ設けられるとともに当該仮想水平線Lから等距離の位置に上下対となって設けられる構成としたことで、各弾性部材60の仮想水平線Lからの距離に差がある場合に生じる回転方向の力が振動表示部30に作用しにくくなり、振動表示部30を効率的に振動させることができるという利点がある。
【0035】
緩衝部材70は、柔軟性を有する略円環状のクッション材等を適用することができ、その外表面にはベース部11の突起部13が嵌め込まれる円環溝形状からなる窪み部71が設けられている。また、略円環状の緩衝部材70の内部空間には本体部34aから垂下形成された突出部34eが入り込むようになっており、中央に孔が形成された平座金91を緩衝部材70及び突出部34eの裏面に当てた状態で当該孔を貫通するネジ90を突出部34eにネジ固定することで、緩衝部材70の固定部10への支持を確実に行うことができる。また、ここでの緩衝部材70は、フォースセンサ50や弾性部材60と同様に、振動表示部30の重心位置Pを通り左右方向に延びる仮想水平線Lの上下に2つずつ設けられるとともに当該仮想水平線Lから等距離の位置に上下対となって設けられる。
【0036】
なお、図2は、使用者が保護部材32前面をタッチ操作していないとき(もしくは車両に急ブレーキがかかり、この急ブレーキに伴う反作用の力が振動表示部30に作用しているとき)の通常状態を示す図である。
【0037】
このとき緩衝部材70と突出部34eを有する本体部34aとの位置関係に着目すると、緩衝部材70の本体部34aに対応する対応部72と本体部34aとの間には微少なクリアランスからなる第1空間部S1が設けられ、緩衝部材70の突出部34eに対応する対応部73と突出部34eとの間には微少なクリアランスからなる第2空間部S2が設けられる。なお、例えば第1空間部S1は、弾性部材60が固定部10とケース部材34(振動表示部30)との間でケース部材34(振動表示部30)を支持することで生成されるものである。緩衝部材70の対応部72とは緩衝部材70の前面に相当する部位であり、緩衝部材70の対応部73とは緩衝部材70の内周面に相当する部位である。以下の説明では第1空間部S1と第2空間部S2とで構成される部位を総称して空間部Sとも言う。
【0038】
このように本例の場合、緩衝部材70は、本体部34a並びに突出部34eとの間に空間部Sが形成されるように突起部13(固定部10)に支持される構成とし、さらに第1空間部S1は使用者による振動表示部30の押込操作方向における、本体部34aと対応部72(緩衝部材70)との間に設けられ、第2空間部S2は、振動表示部30の左右方向及び上下方向における、突出部34eの側壁Tと緩衝部材70との間に設けられる。
【0039】
この通常状態から使用者が保護部材32前面を押込操作したときの状態を図5に示す。この図5に示す押込操作状態では、使用者による保護部材32前面への押込操作に伴い、弾性部材60の非当接部61aが溝部11aの内部に撓み変形すると同時に本体部34aが空間部S1(固定部10)側に変位し、緩衝部材70の対応部72と本体部34aとが当接する。なお、この押込操作状態では、制御部21による制御のもとアクチュエータ35が駆動し、保護部材32前面を押込操作している使用者の手指に振動を与えるようになっている。
【0040】
また、通常状態から使用者が保護部材32前面をタッチ操作したときの状態を図6に示す。この図6に示すタッチ操作状態では、使用者による保護部材32前面へのタッチ操作に伴い、制御部21による制御のもと一体化されたユニットとなっている振動表示部30を左右方向に振動させ、保護部材32前面に触れている使用者の手指に振動を与える。この図6では、振動表示部30が左右方向のうち右方向に振動して突出部34eと緩衝部材70の対応部73とが当接した状態を示している。
【0041】
ところで、図7は、表示部31にオーディオ音量調整用のアイコン100が表示され、使用者がオーディオの音量調整を行う際の操作の一例(例えばここでは使用者がオーディオ音量を最大の半分の状態から最大の3/4の状態に変更する場合)を示すものである。
【0042】
例えば使用者がアイコン100に対応する保護部材32の前面箇所をタッチ操作すると、前記タッチ操作状態となり保護部材32の前面箇所に触れている使用者の手指に振動を与える。また、このとき、制御部21による制御のもと、表示部31には、バーグラフ形式の音量調整表示部101がアイコン100に隣接するように表示される。音量調整表示部101は、現在の音量設定値が最大の半分の状態であることを示す設定前音量表示102と、最大の音量設定値から最小の音量設定値まで間を示すバー表示103とで構成される。
【0043】
そして、使用者は、手指をバー表示103に対応する保護部材32の前面箇所を設定前音量表示102から上側になぞり図8に示すように最大の3/4の状態の位置である設定後音量表示104まで移動させ、当該設定後音量表示104に対応する保護部材32の前面箇所を押込操作することで、前記押込操作状態となり当該保護部材32の前面箇所を押込操作している使用者の手指に振動を与えつつ、最大の3/4の状態の音量がオーディオ機器から出力されるようになっている。
【0044】
以上のように本実施形態では、固定部10と振動表示部30との間には、使用者による保護部材32(振動表示部30)の押込操作を検出するフォースセンサ50が設けられ、弾性部材60はベース部11(固定部10)に取り付けられる第1基部61と、本体部34a(ケース部材34)に取り付けられる第2基部62と、第1基部61と第2基部62とを繋ぐ繋ぎ部63とを備え、第1基部61は、その所要部がベース部11(固定部10)に当接していない非当接部61aとなっているものである。
【0045】
従って、前記タッチ操作状態により使用者による保護部材32前面へのタッチ操作を検出できるとともに非当接部61aが溝部11a内部に撓み変形することによる前記押込操作状態により使用者による保護部材32前面への押込操作を検出でき、使用者によるタッチ操作のみならず使用者による押込操作をも検出することが可能な車載表示装置Dを提供することができる。
【0046】
また、ケース部材34は、ベース部11(固定部10)に対応するように設けられる本体部34aを備え、本体部34aには、ベース部11(固定部10)に向けて突出形成された突出部34eが設けられ、本体部34a並びに突出部34eとの間に空間部S1、S2が形成されるように突起部13(固定部10)に支持される緩衝部材70をさらに備えるものである。
【0047】
従って、前記押込操作状態や前記タッチ操作状態、並びに上述した急ブレーキに伴う反作用の力が振動表示部30に作用している状態の何れかの状態にて、振動表示部30が上下左右の何れかの方向に移動した場合であっても、緩衝部材70の移動量を微小なクリアランスからなる空間部S1、S2で規定された所定範囲内とすることが可能となるため、弾性部材60に作用する応力が低減され、弾性部材60の塑性変形を抑制することができるという利点がある。
【0048】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0049】
例えば上述した実施形態では、ベース部11(固定部10)の溝部11aに対応させて第1基部61の非当接部61aが設けられたものであったが、本実施形態の変形例として図9に示すように溝部を固定部10側ではなく本体部34a(ケース部材34)側に設けるとともに非当接部を第1基部61側ではなく第2基部62側に設けてもよい。ここで、図9中、34fは、弾性部材60側を向く本体部34aの裏面の一部を刳り貫いて形成した溝部であり、弾性部材60が本体部34aに取り付けられたとき、弾性部材60に形成される後述する所要部(非当接部)と溝部34fとの間には空間(間隙)が設けられる。
【0050】
そして、この変形例においては、第2基部62は、その溝部34fに対応する所要部が本体部34a(ケース部材34)と当接しない非当接部62aとして構成され、第2基部62の当該所要部を除いた箇所が本体部34a(ケース部材34)と当接する当接部62bとして構成される。当接部62bは、第2基部62の自由端部側に設けられ、非当接部62aは、この自由端部側とは反対側となる第2基部62の根元部分(第2基部62と繋ぎ部63との境界付近)に設けられる。このように構成した場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、弾性部材60の繋ぎ部63が表示部31の厚み方向(突出部34eの突出方向)に延びる単一の連結片として構成されたものであったが、例えば本実施形態の他の変形例として図10に示すように弾性部材60を略S字形状(数字の5を模した形状)の板バネにより構成し、上述した実施形態(または変形例)と同様に溝部11a(溝部34f)に対応させて非当接部61a(非当接部62a)を形成してもよい。このように構成した場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
なお、表示部31の数や配置、表示内容、アクチュエータ35の仕様や数、配置、フォースセンサ50の仕様や数、配置、弾性部材60の仕様(形状を含む)や数、配置、緩衝部材70の仕様(形状を含む)や数、配置等は任意であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
10 固定部
11 ベース部
11a 溝部
12 屹立部
13 突起部
30 振動表示部
31 表示部
31a 画面
32 保護部材
33 タッチセンサ
34 ケース部材
34a 本体部
34d 脚部
34e 突出部
35 アクチュエータ(駆動部)
40 ハウジング
50 フォースセンサ
60 弾性部材
61 第1基部
61a、62a 非当接部
61b、62b 当接部
62 第2基部
63 繋ぎ部
70 緩衝部材
71 溝部
P 中心部(重心位置)
S 空間部
S1 第1空間部
S2 第2空間部
T 側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10