(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】組成物、基板の処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240910BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20240910BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20240910BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20240910BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 647Z
H01L21/308 F
H01L21/308 G
C11D1/62
C11D3/395
C11D3/20
(21)【出願番号】P 2022546925
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2021031941
(87)【国際公開番号】W WO2022050273
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2020148417
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】成田 萌
(72)【発明者】
【氏名】杉村 宣明
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/166677(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/142788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/308
C11D 1/62
C11D 3/395
C11D 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つのオキソハロゲン酸化合物と、式(1)で表される化合物とを含み、
前記式(1)で表される化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、
3.0~25.0質量%である、組成物。
【化1】
式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい
、炭素数1~5のアルキル基を表す。ただし、R
1~R
4の全てが、同一の基を表すことはない。X
n-は、n価のアニオンを表す。nは、1~3の整数を表す。
【請求項2】
次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つのオキソハロゲン酸化合物と、式(1)で表される化合物とを含み、
前記式(1)で表される化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、3.0~25.0質量%である、組成物。
【化2】
式(1)中、R
1
~R
4
は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。ただし、R
1
~R
4
の全てが、同一の基を表すことはない。X
n-
は、n価のアニオンを表す。nは、1~3の整数を表す。
ただし、前記式(1)中、R
1
~R
4
の合計炭素数が、4~7である。
【請求項3】
前記式(1)中、R
1~R
4の合計炭素数が、4~15である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
R
1~R
4は、置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基、及び、置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基からなる群から選択されるアルキル基であり、R
1~R
4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基であり、R
1~R
4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記式(1)中、nが1である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つのオキソハロゲン酸化合物と、式(1)で表される化合物とを含み、
前記式(1)で表される化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、1.0~25.0質量%であり、
前記式(1)で表される化合物が、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ビスヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、イソプロピルトリメチルアンモニウム塩、ブチルトリメチルアンモニウム塩、トリエチルプロピルアンモニウム塩、イソプロピルトリエチルアンモニウム塩、ブチルトリエチルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、エチルトリプロピルアンモニウム塩、ブチルトリプロピルアンモニウム塩、エチルトリブチルアンモニウム塩、プロピルトリブチルアンモニウム塩、ジイソプロピルジメチルアンモニウム塩、ジブチルジメチルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、ジエチルジイソプロピルアンモニウム塩、ジエチルジブチルアンモニウム塩、エチルメチルプロピルブチルアンモニウム塩、エチルメチルイソプロピルブチルアンモニウム塩、エチルメチルジプロピルアンモニウム塩、エチルメチルジイソプロピルアンモニウム塩、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、及び、エチルメチルジブチルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、組成物。
【化3】
式(1)中、R
1
~R
4
は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。ただし、R
1
~R
4
の全てが、同一の基を表すことはない。X
n-
は、n価のアニオンを表す。nは、1~3の整数を表す。
【請求項7】
前記式(1)で表される化合物が、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、及び、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
更に、塩化物イオンを含む、請求項1
~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩化物イオンの含有量が、前記組成物の全質量に対して、0.001~1.00質量%である、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記塩化物イオンの含有量に対する前記式(1)で表される化合物の含有量の質量比が、100以下である、請求項
8又は
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記式(1)中、X
n-が、水酸化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、又は、臭化物イオンである、請求項1~
10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記オキソハロゲン酸化合物の含有量が、前記組成物の全質量に対して、0.05~28.0質量%である、請求項1~1
1のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物のpHが、4.0~14.0である、請求項1~1
2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物のpHが、7.0~12.0である、請求項1~1
3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
基板上のルテニウム含有物を除去するために用いられる、請求項1~1
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~1
5のいずれか1項に記載の組成物を用いて、基板上のルテニウム含有物を除去する工程Aを有する、基板の処理方法。
【請求項17】
前記工程Aが、前記組成物を用いて基板上に配置され、ルテニウム含有物からなる配線をリセスエッチング処理する工程A1、前記組成物を用いてルテニウム含有物からなる膜が配置された基板の外縁部の前記膜を除去する工程A2、前記組成物を用いてルテニウム含有物からなる膜が配置された基板の裏面に付着する金属含有物を除去する工程A3、前記組成物を用いてドライエッチング後の基板上のルテニウム含有物を除去する工程A4、又は、前記組成物を用いて化学的機械的研磨処理後の基板上のルテニウム含有物を除去する工程A5である、請求項1
6に記載の基板の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、及び、基板の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の微細化に伴って、半導体製品製造プロセスにおける、基板上の不要な遷移金属含有物を除去する工程を、高効率かつ精度よく実施する需要が高まっている。
【0003】
一般に、基板上の不要な遷移金属含有物を除去工程において、不要な遷移金属含有物を溶解する組成物(エッチング液)を用いて、エッチング又は固体表面に付着した異物を除去する方法が広く知られている。
例えば、特許文献1には、次亜塩素酸類と、所定量の第4級アンモニウム塩とを含む処理液が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、基板上の不要な遷移金属含有物を除去する際、組成物の不要な遷移金属含有物(特に、ルテニウム含有物(Ru含有物))に対する溶解能のより一層の向上が求められている。
【0006】
本発明者は、特許文献1に開示された組成物を用いて遷移金属含有物(特に、Ru含有物)について検討したところ、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)に対する溶解能が十分ではなく、更なる改善の余地があることを知見した。
【0007】
そこで、本発明は、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)に対する溶解能に優れる組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、組成物を用いた基板の処理方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0009】
〔1〕 次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つのオキソハロゲン酸化合物と、後述する式(1)で表される化合物とを含み、式(1)で表される化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、1.0~25.0質量%である、組成物。
〔2〕 更に、塩化物イオンを含む、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕 塩化物イオンの含有量が、組成物の全質量に対して、0.001~1.00質量%である、〔2〕に記載の組成物。
〔4〕 塩化物イオンの含有量に対する式(1)で表される化合物の含有量の質量比が、100以下である、〔2〕又は〔3〕に記載の組成物。
〔5〕 アルキル基の炭素数が1~10である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔6〕 式(1)中、R1~R4の合計炭素数が、4~15である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔7〕 R1~R4は、置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基、及び、置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基からなる群から選択されるアルキル基であり、R1~R4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基であり、R1~R4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基である、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔8〕 式(1)で表される化合物が、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、及び、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔9〕 式(1)中、nが1である、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔10〕 式(1)中、Xn-が、水酸化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、又は、臭化物イオンである、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔11〕 オキソハロゲン酸化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、0.05~28.0質量%である、〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔12〕 組成物のpHが、4.0~14.0である、〔1〕~〔11〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔13〕 組成物のpHが、7.0~12.0である、〔1〕~〔12〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔14〕 基板上のルテニウム含有物を除去するために用いられる、〔1〕~〔13〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔15〕 〔1〕~〔14〕のいずれか1つに記載の組成物を用いて、基板上のルテニウム含有物を除去する工程Aを有する、基板の処理方法。
〔16〕 工程Aが、組成物を用いて基板上に配置され、ルテニウム含有物からなる配線をリセスエッチング処理する工程A1、組成物を用いてルテニウム含有物からなる膜が配置された基板の外縁部の膜を除去する工程A2、組成物を用いてルテニウム含有物からなる膜が配置された基板の裏面に付着する金属含有物を除去する工程A3、組成物を用いてドライエッチング後の基板上のルテニウム含有物を除去する工程A4、又は、組成物を用いて化学的機械的研磨処理後の基板上のルテニウム含有物を除去する工程A5である、〔15〕に記載の基板の処理方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)に対する溶解能に優れる組成物を提供できる。
また、本発明によれば、組成物を用いた基板の処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】工程A1で用いられる被処理物の一例を示す断面上部の模式図である。
【
図2】工程A1を実施した後の被処理物の一例を示す断面上部の模式図である。
【
図3】工程A2で用いられる被処理物の一例を示す模式図である。
【
図4】工程A4で用いられる被処理物の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様であり、本発明はそのような実施態様に制限されるものではない。
【0013】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、ある成分が2種以上存在する場合、その成分の「含有量」は、それら2種以上の成分の合計含有量を意味する。
本明細書において、「露光」とは、特に制限がない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、及び、EUV(Extreme ultraviolet)光等による露光、並びに、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画を含む。
本明細書において、記載の化合物は、特に制限がない限り、構造異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)、光学異性体、及び、同位体を含んでいてもよい。また、異性体及び同位体は、1種又は複数種を含んでいてもよい。
本明細書において、ドライエッチング残渣とは、ドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)を行うことで生じた副生成物のことであり、例えば、フォトレジスト由来の有機物残渣物、Si含有残渣物、及び、金属含有残渣物(例えば、遷移金属含有残渣物)をいう。
【0014】
[組成物]
本発明の組成物は、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つのオキソハロゲン酸化合物(以下、単に「オキソハロゲン酸化合物」ともいう。)と、式(1)で表される化合物(以下「特定化合物」ともいう。)とを含み、式(1)で表される化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、1.0~25.0質量%である。
【0015】
本発明の組成物を用いることで本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、以下のように推測している。
組成物が、オキソハロゲン酸化合物と、所定量の特定化合物とを含むことによって、それらの化合物の相乗効果によって、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)に対する優れた溶解能を実現できると推測される。
以下、組成物の遷移金属含有物(特に、Ru含有物)に対する溶解能がより優れることを、本発明の効果がより優れるともいう。
【0016】
<オキソハロゲン酸化合物>
組成物は、オキソハロゲン酸化合物を含む。
オキソハロゲン酸化合物とは、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を意味する。
次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸及び臭素酸のいずれかの塩としては、例えば、アルカリ金属元素(ナトリウム及びカリウム等)の塩、アルカリ土類金属元素(マグネシウム及びカルシウム等)の塩、その他の金属元素の塩、及び、第4級アンモニウム塩が挙げられ、アルカリ金属元素の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
オキソハロゲン酸化合物としては、本発明の効果が優れる点から、次亜塩素酸、亜塩素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つが好ましく、次亜塩素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つがより好ましい。
【0017】
オキソハロゲン酸化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オキソハロゲン酸化合物の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全質量に対して、0.001~50.0質量%の場合が多く、0.01~30.0質量%が好ましく、0.05~30.0質量%がより好ましく、0.05~28.0質量%が更に好ましく、0.5~28.0質量%が特に好ましく、1.0~10.0が最も好ましい。
【0018】
<式(1)で表される化合物>
組成物は、式(1)で表される化合物(特定化合物)を含む。
特定化合物の含有量は、組成物の全質量に対して、1.0~25.0質量%であり、3.0~25.0質量%が好ましく、1.0~10.0質量%がより好ましく、3.0~10.0質量%が更に好ましい。
【0019】
【0020】
式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
上記アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は、環状であってもよく、直鎖状が好ましい。
上記アルキル基の炭素数としては、本発明の効果がより優れる点で、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~10が更に好ましく、1~5が特に好ましく、1~2が最も好ましい。
R1~R4の合計炭素数としては、本発明の効果がより優れる点で、4~20が好ましく、4~15がより好ましく、4~7が更に好ましい。なお、R1~R4の合計炭素数とは、R1、R2、R3、及び、R4の炭素数の合計の値を意味する。
【0021】
上記アルキル基が有する置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、オキソ基、ホスホン酸基、スルホ基、アリール基、ヘテロアリール基、及び、メルカプト基が挙げられる。なかでも、上記置換基としては、ヒドロキシ基、又は、アリール基が好ましい。
上記アルキル基が有する置換基の数としては、0~5が好ましく、0~3がより好ましく、0~1が更に好ましい。
【0022】
nは、1~3の整数を表す。
nとしては、1~2の整数が好ましく、1がより好ましい。
【0023】
ただし、R1~R4の全てが、同一の基を表すことはない。例えば、R1~R4がいずれもメチル基を表す場合は、これらの基は同一の基であるため、上記「R1~R4の全てが、同一の基を表すことはない」という要件を満たしていない。それに対して、R1~R3がいずれもメチル基で、R4がエチル基である場合、R1~R4の全てが同一の基ではないため、上記「R1~R4の全てが、同一の基を表すことはない」という要件を満たしている。なお、置換基の種類、及び、アルキル基の種類の少なくとも一方が異なっていれば、同一の基には該当しない。つまり、2つの基を比較した際に、置換基の種類、及び、アルキル基の種類の少なくとも一方が異なっていれば、両者は異なる基に該当するといえる。例えば、エチル基と、ヒドロキシエチル基とは、基全体としては構造が異なるため、両者は同一の基には該当しない。
上記「R1~R4の全てが、同一の基を表すことはない。」とは、言い換えれば、R1~R4で表される4つの基が、少なくとも2種の基を表すことを意味する。例えば、上述した、R1~R3がいずれもメチル基で、R4がエチル基である場合、R1~R4で表される4つの基が、メチル基とエチル基という2種の基を表している。
R1~R4が取り得る態様としては、例えば、R1~R4で表される4つの基のうち、R1~R3で表される3つの基が同一の基であり、R4で表される1つの基が上記3つ基とは異なる基である態様が挙げられる。また、R1~R4で表される4つの基のうち、R1~R2で表される2つの基同士は同一の基であり、R3~R4で表される2つの基同士は同一の基であるが、R1~R2で表される基とR3~R4で表される基とが異なる基である態様が挙げられる。また、R1~R4で表される4つの基が全て異なる基であってもよい。
【0024】
R1~R4は、置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基、及び、置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基からなる群から選択されるアルキル基であり、R1~R4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基であり、R1~R4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基であることが好ましい。
【0025】
R1~R4としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ドデシル基、及び、テトラドデシル基等のアルキル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及び、ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基を有するアルキル基);ベンジル基、及び、フェネチル基等のアリールアルキル基(アリール基を有するアルキル基)が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、R1~R4としては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は、アリールアルキル基が好ましく、アルキル基、又は、ヒドロキシアルキル基がより好ましい。
【0026】
Xn-は、n価のアニオンを表す。
nは、上述したnと同義であり、好適態様も同じである。
n価のアニオンとしては、特に制限されないが、例えば、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、スルホン酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸水素イオン、及び、リン酸イオンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、Xn-としては、水酸化物イオン、又は、ハロゲン化物イオンが好ましく、水酸化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、又は、臭化物イオンがより好ましく、水酸化物イオン、又は、塩化物イオンが更に好ましい。
【0027】
特定化合物としては、例えば、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ビスヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、イソプロピルトリメチルアンモニウム塩、ブチルトリメチルアンモニウム塩、トリエチルプロピルアンモニウム塩、イソプロピルトリエチルアンモニウム塩、ブチルトリエチルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、エチルトリプロピルアンモニウム塩、ブチルトリプロピルアンモニウム塩、エチルトリブチルアンモニウム塩、プロピルトリブチルアンモニウム塩、ジイソプロピルジメチルアンモニウム塩、ジブチルジメチルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、ジエチルジイソプロピルアンモニウム塩、ジエチルジブチルアンモニウム塩、エチルメチルプロピルブチルアンモニウム塩、エチルメチルイソプロピルブチルアンモニウム塩、エチルメチルジプロピルアンモニウム塩、エチルメチルジイソプロピルアンモニウム塩、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、及び、エチルメチルジブチルアンモニウム塩が挙げられる。
なかでも、特定化合物は、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、及び、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、及び、メチルトリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましく、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、及び、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが更に好ましい。
上記塩としては、上述したXn-との塩が挙げられる。
【0028】
特定化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<任意成分>
組成物は、上記組成物に含まれる成分以外に、任意成分を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば、塩化物イオン、溶媒、pH調整剤、及び、界面活性剤が挙げられる。
以下、任意成分について説明する。
【0030】
(塩化物イオン)
組成物は、塩化物イオンを含んでいてもよい。
組成物が塩化物イオンを含む場合、組成物の金属残渣物除去能を向上できる。
塩化物イオンの含有量は、金属残渣物除去能が向上する点で、組成物の全質量に対して、0.0001~20.00質量%が好ましく、0.0001~10.00質量%がより好ましく、0.001~5.00質量%が更に好ましく、0.001~1.00質量%が特に好ましい。
塩化物イオンの含有量に対する特定化合物の含有量の質量比(特定化合物の含有量/塩化物イオンの含有量)は、金属残渣物除去能が優れる点で、10000以下が好ましく、1000以下がより好ましく、500以下が更に好ましく、100以下が特に好ましい。下限は特に制限されず、0.1以上が好ましく、1以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。
【0031】
組成物の塩化物イオンの含有量は、イオンクロマトグラフ法で求められる。具体的には、サーモフィッシャー社のDionex ICS-2100が挙げられる。また、塩化物イオンの含有量が低い場合、濃縮カラムを用いて濃縮した後、塩化物イオンの含有量を測定してもよい。また、原料の組成が既知である場合、原料の添加量から塩化物イオンの含有量を計算して求めてもよい。
【0032】
塩化物イオンを含ませる方法としては、例えば、組成物の調製又は基板の処理直前等に、塩化物イオンを含む化合物を組成物に添加してもよい。また、不純物として微量に含む原料を組成物の調製に用いて、塩化物イオンを組成物に含ませてもよい。
塩化物イオンを含む化合物としては、例えば、組成物中で解離して塩化物イオンとカチオンとを生じる化合物が挙げられる。
上記塩化物イオンとカチオンとを生じる化合物としては、例えば、特定化合物、及び、塩酸又はその塩(例えば、アルカリ金属との塩、及び、アルカリ土類金属との塩)が挙げられる。
【0033】
(溶媒)
組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、例えば、水、及び、有機溶媒が挙げられ、水が好ましい。
【0034】
水としては、蒸留水、イオン交換水、及び、超純水等の浄化処理を施された水が好ましく、半導体製造に使用される超純水がより好ましい。組成物に含まれる水は、不可避的な微量混合成分を含んでいてもよい。
水の含有量は、組成物の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されず、組成物の全質量に対して、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましい。
【0035】
有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、含硫黄系溶媒、及び、ラクトン系溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、水と任意の割合で混合できる有機溶媒が好ましい。
【0036】
エーテル系溶媒としては、エーテル結合(-O-)を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、アルキレングリコールジアルキルエーテル(ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及び、トリエチレングリコールジメチルエーテル)が挙げられる。
エーテル系溶媒の炭素数としては、3~16が好ましく、4~14がより好ましく、6~12が更に好ましい。
【0037】
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、及び、1,4-ブタンジオールが挙げられる。
アルコール系溶媒の炭素数としては、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
【0038】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び、シクロヘキサノンが挙げられる。
【0039】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、モノメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、モノエチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、及び、N-メチルピロリドンが挙げられる。
【0040】
含硫黄系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、及び、スルホランが挙げられる。
【0041】
ラクトン系溶媒としては、例えば、γ-ブチロラクトン、及び、δ-バレロラクトンが挙げられる。
【0042】
有機溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を使用してもよい。2種以上の有機溶媒を使用する場合、2種以上の有機溶媒の合計含有量が下記範囲内であることが好ましい。
有機溶媒の含有量は、組成物の全質量に対して、0.1~10質量%が好ましい。
【0043】
(pH調整剤)
組成物は、pH調整剤を含んでいてもよい。
pH調整剤としては、塩基性化合物及び酸性化合物が挙げられ、目的とする組成物のpHに応じて適宜選択される。
【0044】
-塩基性化合物-
塩基性化合物とは、水溶液中でアルカリ性(pHが7.0超)を示す化合物である。
塩基性化合物としては、例えば、有機塩基、無機塩基、及び、それらの塩が挙げられる。
【0045】
有機塩基としては、例えば、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン化合物及びその誘導体の塩、アルカノールアミン化合物及びその塩、アミンオキシド化合物、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、オキシム化合物、ケトオキシム化合物、アルドオキシム化合物、ラクタム化合物、並びに、イソシアニド化合物が挙げられる。
pH調整剤としての上記第4級アンモニウム塩は、特定化合物とは異なる化合物である。
上記第4級アンモニウム塩は、窒素原子に、同一の炭化水素基(アルキル基が好ましい)が4つ置換してなる第4級アンモニウムカチオンを有する塩である。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、水酸化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、及び、炭酸塩が挙げられる。
【0046】
第4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、又は、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物が好ましく、TMAH、TEAH、TPAH、又は、TBAHがより好ましい。
【0047】
無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、及び、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、並びに、アンモニア又はその塩が挙げられる。
【0048】
なかでも、塩基性化合物としては、使用後の金属残留の少なさ、経済性、及び、組成物の安定性等の点で、第4級アンモニウム水酸化物が好ましく、TMAH、又は、TEAHがより好ましく、TEAHが更に好ましい。
【0049】
-酸性化合物-
酸性化合物とは、水溶液中で酸性(pHが7.0未満)を示す酸性化合物である。
酸性化合物としては、無機酸、有機酸、及び、それらの塩が挙げられる。
【0050】
無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、フッ酸、過塩素酸、及び、それらの塩が挙げられ、硫酸、塩酸、リン酸、又は、硝酸が好ましく、硝酸、硫酸、又は、塩酸がより好ましい。
【0051】
有機酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、及び、それらの塩が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び、酪酸等の低級(炭素数1~4)脂肪族モノカルボン酸、並びに、それらの塩が挙げられる。
スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸(MSA)、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(トシル酸)、及び、それらの塩が挙げられる。
【0052】
酸性化合物としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、スルホン酸、又は、それらの塩が好ましく、硫酸、塩酸、リン酸、メタンスルホン酸、又は、p-トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0053】
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
pH調整剤の含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、組成物の全質量に対して、20.0質量%以下が好ましい。
pH調整剤の含有量を、上記の好適な範囲内において、後述する組成物の好適なpHの範囲になるように調整することも好ましい。
【0054】
(界面活性剤)
組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、1分子中に親水基と疎水基(親油基)とを有する化合物であれば特に制限されず、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としての第4級アンモニウム塩は、特定化合物とは異なる化合物である。
【0055】
界面活性剤が有する疎水基としては特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び、それらの組合せが挙げられる。
疎水基が芳香族炭化水素基を含む場合、疎水基の炭素数は、6以上が好ましく、10以上がより好ましい。
疎水基が芳香族炭化水素基を含まず、脂肪族炭化水素基のみから構成される場合、疎水基の炭素数は、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。疎水基の炭素数の上限は特に制限されないが、24以下が好ましく、20以下がより好ましい。
【0056】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、分子内に、スルホン酸基、カルボキシ基、硫酸エステル基、及び、ホスホン酸基からなる群より選択される少なくとも1種の親水基を有するアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0057】
スルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、脂肪酸アミドスルホン酸、及び、それらの塩が挙げられる。
カルボキシ基を有するアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルプロピオン酸、脂肪酸、及び、それらの塩が挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤の塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、及び、テトラメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0058】
カチオン性界面活性剤としては、カチオン性の親水基、及び、上記の疎水基を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、第4級アンモニウム塩系界面活性剤、及び、アルキルピリジウム系界面活性剤が挙げられる。
【0059】
界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を使用してもよい。
界面活性剤の含有量は、組成物の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、組成物の泡立ちを抑制する点で、組成物の全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0060】
(研磨粒子)
組成物は、研磨粒子を実質的に含まないことが好ましい。
研磨粒子とは、半導体基板の研磨処理に使用する研磨液に含まれる粒子であって、その平均一次粒子径が5nm以上である粒子を意味する。
また、組成物が研磨粒子を実質的に含まないとは、光散乱式液中粒子測定方式における市販の測定装置を用いて組成物を測定した際に、組成物1mLに含まれる平均一次粒子径が5nm以上である研磨粒子が10個以下であることを意味する。
研磨粒子としては、例えば、シリカ(コロイダルシリカ及びヒュームドシリカを含む)、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニア、酸化マンガン、及び、炭化珪素等の無機物砥粒;ポリスチレン、ポリアクリル、及び、ポリ塩化ビニル等の有機物砥粒が挙げられる。
【0061】
研磨粒子の含有量は、レーザを光源とした光散乱式液中粒子測定方式における市販の測定装置を利用して測定される。
また、研磨粒子等の粒子の平均一次粒子径は、日本電子(株)社製の透過型電子顕微鏡TEM2010(加圧電圧200kV)を用いて撮影された画像から任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(円相当径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、円相当径とは、観察時の粒子の投影面積と同じ投影面積をもつ真円を想定したときの当該円の直径である。
組成物から研磨粒子を除去する方法としては、例えば、フィルタリング等の精製処理が挙げられる。
【0062】
<pH>
組成物のpHは、特に制限されず、例えば、1.0~14.0の範囲内が挙げられる。
組成物のpHとしては、本発明の効果がより優れる点で、4.0~14.0が好ましく、7.0~12.0がより好ましい。
本明細書において、組成物のpHは、25℃において、pHメーター(株式会社堀場製作所製、F-51(商品名))を用いて測定することにより得られる。
【0063】
<容器>
組成物は、任意の容器に充填して保管、運搬、及び、使用することができる。
容器としては、容器のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。組成物が充填される容器としては、例えば、アイセロ化学社製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業社製の「ピュアボトル」が挙げられる。
【0064】
<製造方法>
組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、上記の各成分を混合することにより、組成物を製造できる。
上記の各成分を混合する順序及び/又はタイミングは特に制限されない。例えば、精製した純水を入れた混合ミキサー等の攪拌機に、オキソハロゲン酸化合物、特定化合物、及び、必要な任意成分を順次添加した後、十分に攪拌することにより、各成分を混合して、組成物を製造する方法が挙げられる。
組成物の製造方法としては、pH調整剤を用いて洗浄液のpHを予め調整した後に各成分を混合する方法、及び、各成分の混合後にpH調整剤を用いて設定したpHに調整する方法も挙げられる。
【0065】
また、使用時よりも水の含有量が少ない濃縮液を製造して、使用時に希釈液(好ましくは水)により希釈して各成分の含有量を所定の含有量に調整することにより、組成物を製造してもよい。上記濃縮液を希釈液により希釈した後、pH調整剤を用いて設定したpHに調整することにより、組成物を製造してもよい。濃縮液を希釈する際は、濃縮液に対して所定量の希釈液を添加してもよく、希釈液に所定量の濃縮液を添加してもよい。
【0066】
[被処理物]
組成物は、基板上の遷移金属含有物(特に、Ru含有物)を除去するために用いられる。
なお、本明細書における「基板上」とは、例えば、基板の表裏、側面、及び、溝内等のいずれも含む。また、基板上の遷移金属含有物とは、基板の表面上に直接遷移金属含有物がある場合のみならず、基板上に他の層を介して遷移金属含有物がある場合も含む。
【0067】
遷移金属含有物は、遷移金属(遷移金属原子)を含む物質であれば特に制限されない。
遷移金属としては、例えば、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Hf(ハフニウム)、Os(オスミウム)、Pt(白金)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Mo(モリブデン)、La(ランタン)、W(タングステン)、及び、Ir(イリジウム)から選択される金属Mが挙げられる。
なかでも、遷移金属含有物としては、Ru(ルテニウム)含有物が好ましい。
Ru含有物中のRu原子の含有量は、Ru含有物の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されず、Ru含有物の全質量に対して、100質量%以下が好ましい。
【0068】
Ru含有物としては、Ru(Ru原子)を含む物質であれば特に制限されず、例えば、Ruの単体、Ruを含む合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、及び、Ruの酸窒化物が挙げられる。
なお、上記酸化物、窒化物、及び、酸窒化物は、Ruを含む、複合酸化物、複合窒化物、及び、複合酸窒化物であってもよい。
【0069】
被処理物は、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)を有する基板である。
つまり、被処理物は、基板と、基板上にある遷移金属含有物(特に、Ru含有物)とを少なくとも含む。
基板の種類は特に制限はないが、半導体基板が好ましい。
上記基板には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び、光磁気ディスク用基板が挙げられる。
半導体基板を構成する材料としては、ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、及び、GaAs等の第III-V族化合物、並びに、それらの組合せが挙げられる。
【0070】
本発明の組成物による処理がなされた被処理物の用途は、特に制限されず、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、及び、PRAM(Phase change Random Access Memory)に使用してもよいし、ロジック回路、及び、プロセッサ等に使用してもよい。
【0071】
基板上の遷移金属含有物(特に、Ru含有物)の形態は、特に制限されず、例えば、膜状に配置された形態(特に、Ru含有膜)、配線状に配置された形態(特に、Ru含有配線)、及び、粒子状に配置された形態のいずれであってもよい。
上述したように、遷移金属としては、Ruを含むことが好ましく、被処理物としては、基板と、基板上に配置されたRu含有膜、Ru含有配線、又は、粒子状のRu含有物とを含む被処理物が好ましい。
なお、Ru含有物が粒子状に配置された形態としては、例えば、後述するように、Ru含有膜が配置された基板に対してドライエッチングを施した後に、残渣として粒子状のRu含有物が付着している基板、及び、Ru含有膜に対してCMP(chemical mechanical polishing、化学的機械的研磨処理)を施した後に、残渣として粒子状のRu含有物が付着している基板が挙げられる。
【0072】
Ru含有膜の厚みは、特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。下限は特に制限されず、0.1nm以上が好ましい。
Ru含有膜は、基板の片側の主面上にのみに配置されていてもよいし、両側の主面上に配置されていてもよい。また、Ru含有膜は、基板の主面全面に配置されていてもよいし、基板の主面の一部に配置されていてもよい。
【0073】
また、上記被処理物は、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)以外に、所望に応じた種々の層、及び/又は、構造を含んでいてもよい。例えば、基板上には、金属配線、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、絶縁層、強磁性層、及び/又は、非磁性層等が配置されていてもよい。
基板は、曝露された集積回路構造を含んでいてもよい。上記集積回路構造としては、例えば、金属配線及び誘電材料等の相互接続機構が挙げられる。相互接続機構に使用する金属及び合金としては、例えば、アルミニウム、銅アルミニウム合金、銅、チタン、タンタル、コバルト、ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、及び、タングステンが挙げられる。基板は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び/又は、炭素ドープ酸化ケイ素の層を含んでいてもよい。
【0074】
基板の大きさ、厚さ、形状、及び、層構造等は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択できる。
【0075】
<被処理物の製造方法>
被処理物の製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法を用いることができる。
被処理物の製造方法としては、例えば、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、及び、原子層堆積法(ALD:Atomic layer deposition)を用いて、基板上に遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)を形成できる。なお、スパッタリング法及びCVD法により遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)を形成した場合、遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)が配置された基板の裏面(遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)側とは反対側の表面)にも、遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)が付着する場合がある。
また、所定のマスクを介して上記方法を実施して、基板上に遷移金属含有配線(特に、Ru含有配線)を形成してもよい。
また、遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)又は遷移金属含有配線(特に、Ru含有配線)が配置された基板に対して所定の処理を施して、本発明の処理方法の被処理物として用いてもよい。
例えば、遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)、又は、遷移金属含有配線(特に、Ru含有配線)が配置された基板をドライエッチングに供して、遷移金属(特に、Ru)を含むドライエッチング残渣を有する基板を製造してもよい。また、遷移金属含有膜(特に、Ru含有膜)又は遷移金属含有配線(特に、Ru含有配線)が配置された基板をCMPに供して、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)を有する基板を製造してもよい。
【0076】
[基板の処理方法]
本発明の基板の処理方法(以下「本処理方法」ともいう。)は、上述した組成物を用いて、基板上の遷移金属含有物(特に、Ru含有物)を除去する工程Aを有する。
また、本処理方法の被処理物である、遷移金属含有物(特に、Ru含有物)が配置された基板に関しても、上述した通りである。
【0077】
工程Aの具体的な方法としては、組成物と、被処理物である遷移金属含有物(特に、Ru含有物)が配置された基板とを接触させる方法が挙げられる。
接触させる方法は特に制限されず、例えば、タンクに入れた組成物中に被処理物を浸漬する方法、被処理物上に組成物を噴霧する方法、被処理物上に組成物を流す方法、及び、それらの組み合わせが挙げられる。なかでも、被処理物を組成物に浸漬する方法が好ましい。
【0078】
更に、組成物の洗浄能力をより増進するために、機械式撹拌方法を用いてもよい。
機械式撹拌方法としては、例えば、被処理物上で組成物を循環させる方法、被処理物上で組成物を流過又は噴霧させる方法、及び、超音波又はメガソニックにて組成物を撹拌する方法が挙げられる。
【0079】
工程Aの処理時間は、適宜調整できる。処理時間(組成物と被処理物との接触時間)は特に制限されないが、0.25~10分間が好ましく、0.5~2分間がより好ましい。
処理の際の組成物の温度は特に制限されないが、20~75℃が好ましく、20~65℃がより好ましく、40~65℃が更に好ましく、50~65℃が特に好ましい。
【0080】
工程Aにおいては、組成物中のオキソハロゲン酸化合物、及び/又は、特定化合物の濃度を測定しながら、必要に応じて、組成物中に溶媒(水が好ましい)を添加する処理を実施してもよい。本処理を実施することにより、組成物中の成分濃度を所定の範囲に安定的に保つことができる。
【0081】
工程Aの具体的な好適態様としては、例えば、組成物を用いて基板上に配置されたRu含有配線をリセスエッチング処理する工程A1、組成物を用いてRu含有膜が配置された基板の外縁部のRu含有膜を除去する工程A2、組成物を用いてRu含有膜が配置された基板の裏面に付着するRu含有物を除去する工程A3、組成物を用いてドライエッチング後の基板上のRu含有物を除去する工程A4、及び、組成物を用いて化学的機械的研磨処理後の基板上のRu含有物を除去する工程A5が挙げられる。
なかでも、工程Aとしては、工程A2、又は、工程A3が好ましい。
以下、上記各処理に用いられる本処理方法について説明する。
【0082】
<工程A1>
工程Aとしては、組成物を用いて基板上に配置されたRu有配線をリセスエッチング処理する工程A1が挙げられる。
図1に、工程A1のリセスエッチング処理の被処理物であるRu含有配線を有する基板(以下「配線基板」ともいう。)の一例を示す断面上部の模式図を示す。
図1に示す配線基板10aは、図示しない基板と、基板上に配置された溝を有する絶縁膜12と、溝の内壁に沿って配置されたバリアメタル層14と、溝内部に充填されたRu含有配線16とを有する。
【0083】
配線基板中の基板、及び、Ru含有配線は、上述した通りである。
Ru含有配線は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含むことが好ましい。
配線基板中のバリアメタル層を構成する材料は特に制限されず、例えば、TiN、及び、TaNが挙げられる。
なお、
図1においては、配線基板がバリアメタル層を有する態様について述べたが、バリアメタル層を有さない配線基板であってもよい。
【0084】
配線基板の製造方法は、特に制限されず、例えば、基板上に絶縁膜を形成する工程と、上記絶縁膜に溝を形成する工程と、絶縁膜上にバリアメタル層を形成する工程と、上記溝を充填するようにRu含有膜を形成する工程と、Ru含有膜に対して平坦化処理を施す工程と、を有する方法が挙げられる。
【0085】
工程A1においては、上述した組成物を用いて、配線基板中のRu含有配線に対してリセスエッチング処理を行うことで、Ru含有配線の一部を除去して、凹部を形成することができる。
より具体的には、工程A1を実施すると、
図2の配線基板10bに示すように、バリアメタル層14、及び、Ru含有配線16の一部が除去されて、凹部18が形成される。
【0086】
工程A1の具体的な方法としては、組成物と、配線基板とを接触させる方法が挙げられる。
組成物と配線基板との接触方法は、上述した通りである。
組成物と配線基板との接触時間、及び、組成物の温度の好適範囲は、上述した通りである。
【0087】
(工程B)
なお、工程A1の前、又は、工程A1の後に、必要に応じて、所定の溶液(以下「特定溶液」ともいう。)を用いて、工程A1で得られた基板を処理する工程Bを実施してもよい。
特に、上述したように、基板上にバリアメタル層が配置されている場合、Ru含有配線を構成する成分とバリアメタル層を構成する成分とでは、その種類によって本発明の組成物に対する溶解能が異なる場合がある。そのような場合、バリアメタル層に対してより溶解能が優れる溶液を用いて、Ru含有配線とバリアメタル層との溶解の程度を調整することが好ましい。
このような点から、特定溶液は、Ru含有配線に対する溶解能が乏しく、バリアメタル層を構成する物質に対して溶解能が優れる溶液が好ましい。
【0088】
特定溶液としては、例えば、フッ酸と過酸化水素水との混合液(FPM)、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニア水と過酸化水素水との混合液(APM)、及び、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPM)からなる群から選択される溶液が挙げられる。
FPMの組成は、例えば、「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:1」~「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:200」の範囲内(体積比)が好ましい。
SPMの組成は、例えば、「硫酸:過酸化水素水:水=3:1:0」~「硫酸:過酸化水素水:水=1:1:10」の範囲内(体積比)が好ましい。
APMの組成は、例えば、「アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:1」~「アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30」の範囲内(体積比)が好ましい。
HPMの組成は、例えば、「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:1」~「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:30」の範囲内(体積比)が好ましい。
なお、これらの好ましい組成比の記載は、フッ酸は49質量%フッ酸、硫酸は98質量%硫酸、アンモニア水は28質量%アンモニア水、塩酸は37質量%塩酸、過酸化水素水は31質量%過酸化水素水である場合における組成比を意図する。
なかでも、特定溶液としては、バリアメタル層の溶解能の点から、SPM、APM、又は、HPMが好ましい。
特定溶液としては、ラフネスの低減の点から、APM、HPM、又は、FPMが好ましく、APMがより好ましい。
特定溶液としては、性能バランスが優れる点から、APM、又は、HPMが好ましい。
【0089】
工程Bにおいて、特定溶液を用いて、工程A1で得られた基板を処理する方法としては、特定溶液と工程A1で得られた基板とを接触させる方法が好ましい。
特定溶液と工程A1で得られた基板とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、組成物を基板に接触させるのと同様の方法が挙げられる。
特定溶液と工程A1で得られた基板との接触時間は、例えば、0.25~10分間が好ましく、0.5~5分間がより好ましい。
【0090】
本処理方法においては、工程A1と工程Bとを交互に繰り返し実施してもよい。
交互に繰り返し行う場合は、工程A1及び工程Bはそれぞれ1~10回実施されることが好ましい。また、工程A1と工程Bとを交互に繰り返し行う場合、最初に行う工程及び最後に行う工程は、工程A1及び工程Bのいずれであってもよい。
【0091】
<工程A2>
工程Aとしては、組成物を用いてRu含有膜が配置された基板の外縁部のRu含有膜を除去する工程A2が挙げられる。
図3に、工程A2の被処理物であるRu含有膜が配置された基板の一例を示す模式図(上面図)を示す。
図3に示す、工程A2の被処理物20は、基板22と、基板22の片側の主面上(実線で囲まれた全域)に配置されたRu含有膜24とを有する積層体である。後述するように、工程A2では、被処理物20の外縁部26(破線の外側の領域)に位置するRu含有膜24が除去される。
【0092】
被処理物中の基板、及び、Ru含有膜は、上述した通りである。
なお、Ru含有膜は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含むことが好ましい。
【0093】
工程A2の具体的な方法は、特に制限されず、例えば、上記基板の外縁部のRu含有膜にのみ組成物が接触するように、ノズルから組成物を供給する方法が挙げられる。
工程A2の処理の際には、特開2010-267690号公報、特開2008-080288号公報、特開2006-100368号公報、及び、特開2002-299305号公報に記載の基板処理装置及び基板処理方法を好ましく適用できる。
【0094】
組成物と被処理物との接触方法は、上述した通りである。
組成物と被処理物との接触時間、及び、組成物の温度の好適範囲は、上述した通りである。
【0095】
<工程A3>
工程Aとしては、組成物を用いてRu含有膜が配置された基板の裏面に付着するRu含有物を除去する工程A3が挙げられる。
工程A3の被処理物としては、工程A2で用いられた被処理物が挙げられる。工程A2で用いられる、基板と、基板の片側の主面上にRu含有膜が配置された被処理物を形成する際には、スパッタリング及びCVD等でRu含有膜を形成される。その際、基板のRu含有膜側とは反対側の表面上(裏面上)には、Ru含有物が付着する場合がある。このような被処理物中のRu含有物を除去するために、工程A3が実施される。
【0096】
工程A3の具体的な方法は、特に制限されず、例えば、上記基板の裏面にのみ組成物が接触するように、組成物を吹き付ける方法が挙げられる。
【0097】
組成物と被処理物との接触方法は、上述した通りである。
組成物と被処理物との接触時間、及び、組成物の温度の好適範囲は、上述した通りである。
【0098】
<工程A4>
工程Aとしては、組成物を用いてドライエッチング後の基板上のRu含有物を除去する工程A4が挙げられる。
図4に、工程A4の被処理物の一例を示す模式図を示す。
図4に示す被処理物30は、基板32上に、Ru含有膜34、エッチング停止層36、層間絶縁膜38、メタルハードマスク40をこの順に備え、ドライエッチング工程等を経たことで所定位置にRu含有膜34が露出するホール42が形成されている。つまり、
図4に示す被処理物は、基板32と、Ru含有膜34と、エッチング停止層36と、層間絶縁膜38と、メタルハードマスク40とをこの順で備え、メタルハードマスク40の開口部の位置において、その表面からRu含有膜34の表面まで貫通するホール42を備える積層物である。ホール42の内壁44は、エッチング停止層36、層間絶縁膜38、及び、メタルハードマスク40からなる断面壁44aと、露出されたRu含有膜34からなる底壁44bとで構成され、ドライエッチング残渣46が付着している。
ドライエッチング残渣は、Ru含有物を含む。
【0099】
Ru含有膜は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含むことが好ましい。
Ru含有物は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含むことが好ましい。
層間絶縁膜及びメタルハードマスクとしては、公知の材料が選択される。
なお、
図4においては、メタルハードマスクを用いる態様について述べたが、公知のフォトレジスト材料を用いて形成されるレジストマスクを用いてもよい。
【0100】
工程A4の具体的な方法としては、組成物と、上記被処理物とを接触させる方法が挙げられる。
組成物と配線基板との接触方法は、上述した通りである。
組成物と配線基板との接触時間、及び、組成物の温度の好適範囲は、上述した通りである。
【0101】
<工程A5>
工程Aとしては、組成物を用いて化学的機械的研磨処理(CMP:chemical mechanical polishing)後の基板上のRu含有物を除去する工程A5が挙げられる。
絶縁膜の平坦化、接続孔の平坦化、及び、ダマシン配線等の製造工程にCMP技術が導入されている。CMP後の基板は、多量に研磨粒子に用いられる粒子、及び、金属不純物等により汚染される場合がある。そのため、次の加工段階に入る前にこれらの汚染物を除去し、洗浄する必要がある。そこで、工程A5を実施することにより、CMPの被処理物がRu含有配線を有する場合、又は、Ru含有膜を有する場合に発生して基板上に付着するRu含有物を除去できる。
【0102】
工程A5の被処理物は、上述したように、CMP後の、Ru含有物を有する基板が挙げられる。
Ru含有物は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含むことが好ましい。
工程A5の具体的な方法としては、組成物と、上記被処理物とを接触させる方法が挙げられる。
組成物と配線基板との接触方法は、上述した通りである。
組成物と配線基板との接触時間、及び、組成物の温度の好適範囲は、上述した通りである。
【0103】
<工程C>
本処理工程は、上記工程Aの後に、必要に応じて、リンス液を用いて、工程Aで得られた基板に対してリンス処理を行う工程Cを有していてもよい。
【0104】
リンス液としては、例えば、フッ酸(0.001~1質量%フッ酸が好ましい)、塩酸(0.001~1質量%塩酸が好ましい)、過酸化水素水(0.5~31質量%過酸化水素水が好ましく、3~15質量%過酸化水素水がより好ましい)、フッ酸と過酸化水素水との混合液(FPM)、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニア水と過酸化水素水との混合液(APM)、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPM)、二酸化炭素水(10~60質量ppm二酸化炭素水が好ましい)、オゾン水(10~60質量ppmオゾン水が好ましい)、水素水(10~20質量ppm水素水が好ましい)、クエン酸水溶液(0.01~10質量%クエン酸水溶液が好ましい)、酢酸(酢酸原液、又は、0.01~10質量%酢酸水溶液が好ましい)、硫酸(1~10質量%硫酸水溶液が好ましい)、アンモニア水(0.01~10質量%アンモニア水が好ましい)、イソプロピルアルコール(IPA)、次亜塩素酸水溶液(1~10質量%次亜塩素酸水溶液が好ましい)、王水(「37質量%塩酸:60質量%硝酸」の体積比として「2.6:1.4」~「3.4:0.6」の配合に相当する王水が好ましい)、超純水、硝酸(0.001~1質量%硝酸が好ましい)、過塩素酸(0.001~1質量%過塩素酸が好ましい)、シュウ酸水溶液(0.01~10質量%水溶液が好ましい)、又は、過ヨウ素酸水溶液(0.5~10質量%過ヨウ素酸水溶液が好ましく、過ヨウ素酸としては、オルト過ヨウ素酸及びメタ過ヨウ素酸が挙げられる)が好ましい。
FPM、SPM、APM、及び、HPMとして好ましい条件は、例えば、上述の特定溶液として使用される、FPM、SPM、APM、及び、HPMとしての好適態様と同様である。
なお、フッ酸、硝酸、過塩素酸、及び、塩酸は、それぞれ、HF、HNO3、HClO4、及び、HClが、水に溶解した水溶液を意図する。
オゾン水、二酸化炭素水、及び、水素水は、それぞれ、O3、CO2、及び、H2を水に溶解させた水溶液を意図する。
リンス工程の目的を損なわない範囲で、これらのリンス液を混合して使用してもよい。
【0105】
なかでも、リンス液としては、リンス工程後の基板表面における残存塩素をより減少させる点から、二酸化炭素水、オゾン水、水素水、フッ酸、クエン酸水溶液、塩酸、硫酸、アンモニア水、過酸化水素水、SPM、APM、HPM、IPA、次亜塩素酸水溶液、王水、又は、FPMが好ましく、フッ酸、塩酸、過酸化水素水、SPM、APM、HPM、又は、FPMがより好ましい。
【0106】
工程Cの具体的な方法としては、例えば、リンス液と、被処理物である工程Aで得られた基板とを接触させる方法が挙げられる。
接触させる方法としては、例えば、タンクに入れたリンス液中に基板を浸漬する方法、基板上にリンス液を噴霧する方法、基板上にリンス液を流す方法、及び、それらの任意の組み合わせた方法が挙げられる。
【0107】
処理時間(リンス液と被処理物との接触時間)は、特に制限されず、例えば、5秒間~5分間である。
処理の際のリンス液の温度は、特に制限されないが、一般に、16~60℃が好ましく、18~40℃がより好ましい。リンス液として、SPMを用いる場合、その温度は90~250℃が好ましい。
【0108】
本処理方法は、工程Cの後に、必要に応じて、乾燥処理を実施する工程Dを有していてもよい。乾燥処理の方法は、特に制限されず、例えば、スピン乾燥、基板上での乾燥ガスの流動、基板の加熱手段(例えば、ホットプレート又は赤外線ランプによる加熱)、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、及び、それらの組合せが挙げられる。
乾燥時間は、用いる特定の方法に応じて適宜変更でき、例えば、30秒~数分程度である。
【0109】
<工程D>
本処理方法は、工程Cの後に、必要に応じて、乾燥処理を実施する工程Dを有していてもよい。
乾燥処理の方法は特に制限されないが、スピン乾燥、基板上での乾燥ガスの流動、基板の加熱手段(例えば、ホットプレート又は赤外線ランプによる加熱)、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、及び、それらの組合せが挙げられる。
乾燥時間は、用いる特定の方法に応じて適宜変更でき、例えば、30秒~数分程度である。
【0110】
<その他工程>
本処理方法は、基板について行われるその他の工程の前又は後に組み合わせて実施してもよい。本処理方法を実施する中にその他の工程に組み込んでもよいし、その他の工程の中に本発明の処理方法を組み込んで実施してもよい。
その他の工程としては、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層、及び/又は、非磁性層等の各構造の形成工程(例えば、層形成、エッチング、化学機械研磨、及び、変成等)、レジストの形成工程、露光工程及び除去工程、熱処理工程、洗浄工程、並びに、検査工程が挙げられる。
本処理方法は、バックエンドプロセス(BEOL:Back end of the line)、ミドルプロセス(MOL:Middle of the line)、及び、フロントエンドプロセス(FEOL:Front end of the line)中のいずれの段階で行ってもよく、フロントエンドプロセス又はミドルプロセス中で行うことが好ましい。
【実施例】
【0111】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により制限的に解釈されるべきものではない。
【0112】
[組成物の調製]
後述する表に記載の組成を有する組成物を調製し、調製した組成物を使用して以下の試験を行った。
なお、組成物の調製に使用した以下の成分はいずれも、市場から入手した製品であって、かつ、半導体グレードに分類されるもの、又は、それに準ずる高純度グレードに分類されるものであった。
【0113】
<オキソハロゲン酸化合物>
・次亜塩素酸
・次亜塩素酸ナトリウム
・亜塩素酸
・亜塩素酸ナトリウム
・塩素酸
・塩素酸ナトリウム
・臭素酸
・臭素酸ナトリウム
<特定化合物>
・D-1:エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
・D-2:エチルトリメチルアンモニウムクロリド
・D-3:エチルトリメチルアンモニウムブロミド
・D-4:エチルトリメチルアンモニウムフロリド
・E-1:ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド
・E-2:ジエチルジメチルアンモニウムクロリド
・E-3:ジエチルジメチルアンモニウムブロミド
・E-4:ジエチルジメチルアンモニウムフロリド
・F-1:メチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド
・F-2:メチルトリエチルアンモニウムクロリド
・F-3:メチルトリエチルアンモニウムブロミド
・F-4:メチルトリエチルアンモニウムフロリド
・G-1:トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド
・H-1:メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド
・I-1:ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド
・J-1:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
・K-1:ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド
・L-1:トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド
・N-1:テトラデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
・M-1:ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
<比較用化合物>
・A-2:テトラメチルアンモニウムクロリド
・B-1:テトラエチルアンモニウムヒドロキシド
<水>
・超純水
【0114】
[実施例及び比較例]
超純水に、次亜塩素酸、特定化合物、及び、塩化物イオンを後述する表に記載の含有量で、それぞれを添加して、混合液を調製した後、混合液を攪拌機によって十分に攪拌することにより、実施例1の組成物を得た。
後述する表に従って各成分等を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、実施例1以外の実施例及び比較例の組成物を調製した。
なお、塩化物イオン濃度が低い組成物中における塩化物イオン濃度の測定は、必要に応じて、濃縮カラムを用いて実施した。組成物に含まれる塩化物イオンは、塩酸又はその塩由来、特定化合物由来、オキソハロゲン酸化合物の分解物由来、及び、特定化合物の合成過程において混入する不純物由来である。
【0115】
[試験]
<Ru溶解能>
市販のシリコンウエハ(直径:12インチ)の一方の表面上に、PVD法によりRu層(Ru単体で構成された層)を形成した基板を準備した。
得られた基板を、各実施例又は各比較例の組成物を満たした容器に入れ、組成物を撹拌してRu層の除去処理を1分間実施した。組成物の温度は25℃であった。
処理前と処理後のRu層の厚みを薄膜評価用蛍光X線分析装置(XRF AZX-400、リガク社製)で測定し、処理前後のRu層の厚みの差から、Ru層のエッチングレート(Å/min)を算出した。算出されたRu層のエッチングレートを、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
5:エッチングレートが250Å/min以上
4:エッチングレートが200Å/min以上、250Å/min未満
3:エッチングレートが150Å/min以上、200Å/min未満
2:エッチングレートが100Å/min以上、150Å/min未満
1:エッチングレートが100Å/min未満
【0116】
<金属残渣物除去能>
上述した<Ru溶解能>後の基板表面上の金属残渣量(Ru層を構成するRu以外の金属残渣)を全反射蛍光X線分析装置(TXRF-V310、リガク社製)で定量した。組成物での処理前と処理後と比較して、金属残渣率(%)=100×〔処理後の金属残渣量(atoms/cm2)〕/〔処理前の金属残渣量(atoms/cm2)〕を算出し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
5:金属残渣率が25%以下
4:金属残渣率が25%超、50%以下
3:金属残渣率が50%超、75%以下
2:金属残渣率が75%超
【0117】
表1~2に評価結果を示す。
表中、各記載は、以下を示す。
「特定化合物」欄の「合計炭素数」は、特定化合物が有する炭素数の合計数を示す。
「(A)/(B)」欄は、塩化物イオンの含有量に対する特定化合物の含有量の質量比を示す。
「pH」の欄は、組成物が25℃時に、公知のpHメーターを用いて、JIS Z8802-1984に準拠した方法により測定した値を示す。
「水」欄の「残部」は、組成物に含まれるオキソハロゲン酸化合物、特定化合物、及び、塩化物イオン以外の残部が、水であることを意味する。
【0118】
【0119】
【0120】
表に示す結果から、本発明の組成物を用いた場合、所望の効果が得られることが確認された。
実施例1~4、12及び15~20と、実施例21~22及び41~43との比較から、オキソハロゲン酸化合物が、次亜塩素酸、亜塩素酸、及び、それらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
実施例1~4等と、実施例35~36との比較から、特定化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、1.0~10.0質量%である場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
また、実施例2~3と、実施例1及び4との比較、実施例15及び18と、実施例16~17との比較、実施例21と、実施例22との比較、実施例24及び26と、実施例25及び27~28との比較、並びに、実施例38と、実施例37及び40との比較から、特定化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、3.0~25.0質量%である場合、金属残渣物除去能がより優れることが確認された。
実施例1等と、実施例43との比較から、組成物が更に、塩化物イオンを含む場合、金属残渣物除去能がより優れることが確認された。
実施例1等と、実施例39~40との比較から、塩化物イオンの含有量が、組成物の全質量に対して、0.001~5.00質量%である場合、金属残渣物除去能がより優れることが確認された。
また、実施例1等と、実施例37~40との比較から、塩化物イオンの含有量が、組成物の全質量に対して、0.001~1.00質量%である場合、更に金属残渣物除去能が優れることが確認された。
実施例2~3、6~11、15、18、21、24、26、29~32及び41と、実施例4~5、23、33、35~36、40及び42との比較から、塩化物イオンの含有量に対する、特定化合物の含有量の質量比〔(A)/(B)〕が、100以下である場合、金属残渣物除去能がより優れることが確認された。
実施例1~4及び23~26と、実施例27~28との比較から、組成物のpHが4.0~14.0である場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
また、実施例2~3等と、実施例23~28との比較から、組成物のpHが7.0~12.0である場合、Ru溶解性が更に優れることが確認された。
実施例1~9と、実施例10~11との比較から、特定化合物が、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、メチルトリブチルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、及び、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
また、実施例2~3と、実施例5~9との比較から、特定化合物が、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、及び、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む場合、本発明の効果が更に優れることが確認された。
実施例1~9と、実施例10~11との比較から、R1~R4で表されるアルキル基の炭素数が1~10である場合、本発明の効果がより効果が優れることが確認された。
また、同様の比較から、R1~R4は、置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基、及び、置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基からなる群から選択されるアルキル基であり、R1~R4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1のアルキル基であり、R1~R4の少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数2のアルキル基である場合、本発明の効果がより効果が優れることが確認された。
実施例1~4、29~31及び33と、実施例32及び34との比較から、オキソハロゲン酸化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、0.05~28.0質量%である場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
実施例1~10と、実施例11との比較から、式(1)中、R1~R4の合計炭素数が、4~15である場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
【符号の説明】
【0121】
10a 配線のリセスエッチング処理前の配線基板
10b 配線のリセスエッチング処理後の配線基板
12 層間絶縁膜
14 バリアメタル層
16 除去対象配線
18 凹部
20,30 被処理物
22 基板
24 除去対象膜
26 外縁部
32 基板
34 除去対象膜
36 エッチング停止層
38 層間絶縁膜
40 メタルハードマスク
42 ホール
44 内壁
44a 断面壁
44b 底壁
46 ドライエッチング残渣