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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/25 20130101AFI20240919BHJP
   H04B 10/079 20130101ALI20240919BHJP
【FI】
H04B10/25
H04B10/079 150
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023552469
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2021036941
(87)【国際公開番号】W WO2023058146
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴章
(72)【発明者】
【氏名】河合 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】乾 哲郎
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/159938(WO,A1)
【文献】特表2021-513251(JP,A)
【文献】国際公開第2021/117163(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/181391(WO,A1)
【文献】特開2004-222240(JP,A)
【文献】TANAKA Takafumi, et al.,Intelligent Monitoring of Optical Fiber Bend Using Artificial Neural Networks Trained With Constella,IEEE Networking Letters,Volume: 1, Issue: 2,IEEE,2019年02月,pp.60-62
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/25
H04B 10/079
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得部と、
前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得部と、
前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成部と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記訓練データ生成部の生成した前記訓練データを用いて前記数理モデルの学習を行う学習部、
をさらに備える請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信システムは、光信号を送信する光送信器を備え、
前記基本コンスタレーション画像データが示すコンスタレーションは、前記光送信器の送信した光信号の特性が変更された光信号のコンスタレーションである、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
光信号を送信する光送信器を備える推定対象の通信システムの前記光送信器が送信した前記光信号を受信する信号受信部と、
前記学習部により所定の終了条件が満たされるまで行われた前記数理モデルの学習の結果として得られた学習済みの前記数理モデルを用いて、前記信号受信部の受信した前記光信号に基づき前記推定対象の状態を推定する推定部と、
をさらに備える請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
光信号を送信する光送信器を備える推定対象の通信システムの前記光送信器が送信した前記光信号を受信する信号受信部と、
入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得部と、前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得部と、前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成部と、前記訓練データ生成部の生成した前記訓練データを用いて前記数理モデルの学習を行う学習部と、を備える学習装置の得た学習済みの前記数理モデルを用いて、前記信号受信部の受信した前記光信号に基づき前記推定対象の状態を推定する推定部と、
を備える通信システム。
【請求項6】
入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得ステップと、
前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得ステップと、
前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成ステップと、
を有する通信方法。
【請求項7】
光信号を送信する光送信器を備える推定対象の通信システムの前記光送信器が送信した前記光信号を受信する信号受信ステップと、
入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得部と、前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得部と、前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成部と、前記訓練データ生成部の生成した前記訓練データを用いて前記数理モデルの学習を行う学習部と、を備える学習装置の得た学習済みの前記数理モデルを用いて、前記信号受信ステップで受信した前記光信号に基づき前記推定対象の状態を推定する推定ステップと、
を有する通信方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通信システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルコヒーレント光トランシーバの受信器で得られたデジタル変調信号について、機械学習や深層学習技術を光ファイバ通信の伝送特性モニタや異常発生検知等の通信システムの状態の推定に適用する試みが進められている。
【0003】
例えば非特許文献1では、デジタルコヒーレント光トランシーバの受信器で得られたデジタル変調信号を実軸/虚軸の2次元プロットによって可視化したコンスタレーションを入力パラメータとして用いたニューラルネットワークを用いることが提案されている。より具体的には、そのようなニューラルネットワークを用いて、光ファイバ上で加えられた曲げや圧力などによる状態変化によって発生したコンスタレーションの歪みを識別する方法が提案されている。
【0004】
また、コンスタレーションの形状を学習したニューラルネットワークを伝送特性のモニタに活用する試みもある。例えば非特許文献2では、コンスタレーションから算出した特徴量をニューラルネットワークに学習させることにより、未知の波長分散や光信号雑音比などの伝送特性を表す量を推定できることが示されている。
【0005】
ここで、デジタルコヒーレント光トランシーバの受信器で光信号雑音比(OSNR)および偏波モード分散(PMD)を推定することを目的としたニューラルネットワークの学習及び推定の例を、図17を用いて説明する。
【0006】
このようなニューラルネットワークの学習では、OSNR及びPMDが既知であるコンスタレーションがニューラルネットワークに入力される。このような学習では、ニューラルネットワークの出力結果と入力されたコンスタレーションにおけるOSNR及びPMDとに基づいてニューラルネットワークの重みをチューニングする処理が繰り替えされる。その結果、ニューラルネットワークはラベル毎の規則性を学習する。ラベルとは、OSNRとPMDとの組を意味する。
【0007】
学習が完了したニューラルネットワークにラベルが付与されてない未知のコンスタレーションが入力されると、ニューラルネットワークは過去の規則性に基づいて最も適切なラベルを出力する。
【0008】
コンスタレーションの形状の変化は、光ファイバに加えられた曲げや汚れ、あるいは送信器のレーザ劣化などの状態変化がもたらすものの場合、人間の視覚では識別できないほどの差異である。しかしながら、ニューラルネットワークを活用することにより、光ファイバの状態変化によって発生した信号形状の変化を検知することができる可能性があるため上述のように研究が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】T. Tanaka, S. Kuwabara, H. Nishizawa, T. Inui, S. Kobayashi, A. Hirano, “Field demonstration of real-time optical network diagnosis using deep neural network and telemetry”, OFC2019, Tu2E.5.
【文献】J. A. Jargon, X. Wu, H. Y. Choi, Y. Chung, and A. E. Willner, “Optical performance monitoring of QPSK data channels by use of neural networks trained with parameters derived from asynchronous constellation diagrams,” Optics Express vol. 18, no. 5, March 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、ニューラルネットワークを画像の識別に利用する場合、学習させる画像は特徴が明確であればあるほど識別精度は向上する。しかしながら光ファイバに加えられた状態変化によるコンスタレーションの形状変化は機微である。そのため、光ファイバ曲げの有無だけでなく曲げ径までを推定したい場面や、曲げの他に端面汚れを識別したい場面等の、識別すべきラベルの数が多い場面では、コンスタレーションの形状変化のみによる学習では精度が低下する場合があった。
【0011】
そこで推定精度を向上させるためにより多くのデータが必要になる。しかしながら、必要十分なデータを得るには大きな労力を要する場合があった。その結果、通信システムの状態の推定に要する労力が大きい場合があった。
【0012】
上記事情に鑑み、本発明は、通信システムの状態の推定に要する労力を軽減させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得部と、前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得部と、前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成部と、を備える通信システムである。
【0014】
本発明の一態様は、光信号を送信する光送信器を備える推定対象の通信システムの前記光送信器が送信した前記光信号を受信する信号受信部と、入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得部と、前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得部と、前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成部と、前記訓練データ生成部の生成した前記訓練データを用いて前記数理モデルの学習を行う学習部と、を備える学習装置の得た学習済みの前記数理モデルを用いて、前記信号受信部の受信した前記光信号に基づき前記推定対象の状態を推定する推定部と、を備える通信システムである。
【0015】
本発明の一態様は、入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得ステップと、前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得ステップと、前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成ステップと、を有する通信方法である。
【0016】
本発明の一態様は、光信号を送信する光送信器を備える推定対象の通信システムの前記光送信器が送信した前記光信号を受信する信号受信ステップと、入力された光信号に基づき、前記光信号のコンスタレーションの画像の画像データである基本コンスタレーション画像データを取得する基本コンスタレーション画像データ取得部と、前記基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の予め用意されたコンスタレーションの画像の画像データそれぞれと、の違いを取得する違い取得部と、前記違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルの学習に用いる訓練データとして前記違いを含むデータを生成する訓練データ生成部と、前記訓練データ生成部の生成した前記訓練データを用いて前記数理モデルの学習を行う学習部と、を備える学習装置の得た学習済みの前記数理モデルを用いて、前記信号受信ステップで受信した前記光信号に基づき前記推定対象の状態を推定する推定ステップと、を有する通信方法である。
【0017】
本発明の一態様は、上記の通信装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、通信システムの状態の推定に要する労力を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の推定装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図2】実施形態の推定装置が備える制御部の構成の一例を示す図。
図3】実施形態の学習装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図4】実施形態における学習装置の制御部が実行する違いデータ取得処理を説明する説明図。
図5】実施形態における特性変更装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図6】実施形態における学習装置が備える制御部の構成の一例を示す図。
図7】実施形態の推定装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】実施形態の学習装置が実行する処理の流れの一例を示す第1のフローチャート。
図9】実施形態の学習装置が実行する処理の流れの一例を示す第2のフローチャート。
図10】実施形態における通信システムの一例を示す図。
図11】実施形態における統合学習装置が実行する処理の流れの一例を示す第1のフローチャート。
図12】実施形態における統合学習装置が実行する処理の流れの一例を示す第2のフローチャート。
図13】実施形態における通信システムが実行する処理の流れの一例を示す第1のフローチャート。
図14】実施形態における通信システムが実行する処理の流れの一例を示す第2のフローチャート。
図15】実施形態における通信システムの構成の一例を示す第1の図。
図16】実施形態における通信システムの構成の一例を示す第2の図。
図17】従来技術を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
図1は、実施形態の推定装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。推定装置1は、推定対象の通信システム内を伝搬する光信号を受信し、受信した光信号に基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する。推定対象の通信システムの状態は、例えば光ファイバの状態である。
【0021】
推定装置1は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。推定装置1は、プログラムの実行によって制御部11、通信部12、記憶部13、信号受信部14、出力部15及び光分岐部16を備える装置として機能する。
【0022】
より具体的には、プロセッサ91が記憶部13に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、推定装置1は、制御部11、通信部12、記憶部13、信号受信部14、出力部15及び光分岐部16を備える装置として機能する。
【0023】
制御部11は、推定装置1が備える各種機能部の動作を制御する。制御部11は、例えば各種情報を記憶部13に記録する。制御部11は、例えば信号受信部14の受信した光信号に対して、コンスタレーション画像取得処理を実行する。コンスタレーション画像取得処理は、処理対象の光信号のコンスタレーションの画像の画像データを取得する処理である。以下、コンスタレーションの画像をコンスタレーション画像という。また、以下、コンスタレーション画像の画像データを、コンスタレーション画像データという。
【0024】
制御部11は、例えば違いデータ取得処理を実行する。違いデータ取得処理は、違いデータを取得する処理である。違いデータは、コンスタレーション画像取得処理によって得られたコンスタレーション画像データと、参照コンスタレーション画像データとの違いを示す情報である。参照コンスタレーション画像データは、予め所定の記憶装置に記憶済みの画像データであって、コンスタレーション画像の画像データである。制御部11の実行する違いデータ取得処理における所定の記憶装置は、例えば記憶部13である。
【0025】
違い取得処理の実行により得られる違い情報は、例えばコンスタレーション画像取得処理によって得られたコンスタレーション画像データと、予め記憶部13に記憶済みの参照コンスタレーション画像データとの差分を示す情報である。差分を示す情報はより具体的には、例えばコンスタレーション画像データを表現するテンソルと参照コンスタレーション画像データを表現するテンソルとの差分を示す情報である。
【0026】
制御部11は、例えば取得した違いデータに対して、予め得られた学習済み推定モデルを実行する。学習済み推定モデルは、違いデータに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルであって、学習によって得られた数理モデルである。したがって、制御部11は、違いデータに対する学習済み推定モデルの実行により、推定対象の通信システムの状態を推定する。
【0027】
なお、数理モデルは、実行される条件と順番と(以下「実行規則」という。)が予め定められた1又は複数の処理を含む集合である。学習とは、機械学習の方法による数理モデルの更新を意味する。数理モデルの更新とは、数理モデルにおけるパラメータの値を好適に調整することを意味する。また、数理モデルの実行とは、数理モデルが含む各処理を実行規則にしたがって実行すること意味する。
【0028】
学習による数理モデルの更新は、学習に関する所定の終了条件(以下「学習終了条件」という。)が満たされるまで行われる。学習終了条件は、例えば所定の回数の学習が行われた、という条件である。
【0029】
通信部12は、推定装置1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部12は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えばユーザの操作するコンピュータと通信可能に接続され、推定装置1に対するユーザの操作を受け付ける。
【0030】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部13は推定装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部13は、例えば予め学習済み推定モデルを記憶する。記憶部13は、例えば予め1又は複数の参照コンスタレーション画像データを記憶する。信号受信部14は、光信号を受信する。
【0031】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置を推定装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば制御部11による学習済み推定モデルの実行の結果を表示等の予め定められた出力方法で出力する。
【0032】
光分岐部16は、光信号を分岐する。光分岐部16は、例えば光カプラである。光分岐部16によって分岐された光信号の1つは信号受信部14に入射し、他の1つは、推定装置1から出射されて所定の伝搬先に向けて伝搬する。なお、推定装置1は必ずしも光分岐部16を備える必要は無い。このような場合、推定装置1に入射した光信号は推定装置1から出射されない。
【0033】
図2は、実施形態の推定装置1が備える制御部11の構成の一例を示す図である。制御部11は、コンスタレーション画像データ取得部111、違い取得部112、推定部113及び出力制御部114を備える。
【0034】
コンスタレーション画像データ取得部111は、信号受信部14の受信した光信号に対して、コンスタレーション画像取得処理を実行する。その結果、コンスタレーション画像データ取得部111は、信号受信部14の受信した光信号のコンスタレーション画像データを取得する。
【0035】
違い取得部112は、コンスタレーション画像データ取得部111の取得したコンスタレーション画像データに対して違いデータ取得処理を実行する。違い取得部112は、コンスタレーション画像データ取得部111の取得したコンスタレーション画像データに対する違いデータ取得処理の実行により、違いデータを取得する。
【0036】
推定部113は、違い取得部112の取得した違いデータに対して、学習済み推定モデルを実行する。推定部113は、違いデータに対する学習済み推定モデルの実行により、推定対象の通信システムの状態を推定する。
【0037】
出力制御部114は、出力部15の動作を制御する。出力制御部114は、出力部15の動作を制御して、出力部15に推定部113の推定の結果を出力させる。
【0038】
<学習済み推定モデルについて>
学習済み推定モデルは、上述したように、学習により得られた数理モデルである。より具体的には、学習済み推定モデルは、学習終了条件が満たされるまで推定モデルが更新された数理モデルである。推定モデルは、違いデータに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルである。したがって、学習済み推定モデルは、学習終了条件が満たされた時点の推定モデルである。
【0039】
推定モデルは学習による更新が可能な数理モデルであればどのように表現された数理モデルであってもよい。推定モデルは、例えばニューラルネットワークで表現される。ニューラルネットワークのパラメータは、目的関数の値(すなわち損失)に基づいて好適に調整される。ニューラルネットワークのパラメータは、表現する数理モデルのパラメータである。
【0040】
ここで、推定モデルの学習を行う装置について説明する。図3は、実施形態の学習装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。学習装置2は、推定モデルを学習により更新することで学習済み推定モデルを得る装置である。
【0041】
学習装置2は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。学習装置2は、プログラムの実行によって制御部21、通信部22、記憶部23、信号受信部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0042】
より具体的には、プロセッサ93が記憶部23に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、学習装置2は、制御部21、通信部22、記憶部23、信号受信部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0043】
制御部21は、学習装置2が備える各種機能部の動作を制御する。制御部21は、例えば各種情報を記憶部23に記録する。制御部21は、例えば信号受信部24の受信した光信号に対して、コンスタレーション画像取得処理を実行する。以下、制御部21によるコンスタレーション画像取得処理の実行により得られたコンスタレーション画像データを、基本コンスタレーション画像データという。
【0044】
制御部21は、例えば、得られた基本コンスタレーション画像データを記憶部23に記録する。制御部21は、基本コンスタレーション画像データの記憶部23からの読み出しに関する所定の条件(以下「読み出し条件」という。)が満たされたタイミングで、記憶部23の記憶する基本コンスタレーション画像データを読み出す。読み出し条件は例えば、情報量が所定の量以上である基本コンスタレーション画像データを所定の数以上、記憶部23が記憶した、という条件である。
【0045】
こうして、読み出し条件が満たされるまで記憶部23に基本コンスタレーション画像データが記憶されることで、記憶部23には1又は複数の基本コンスタレーション画像データが記憶される。
【0046】
制御部21は、読み出した各基本コンスタレーション画像データに対して違いデータ取得処理を実行する。制御部21の実行する違いデータ取得処理における参照コンスタレーション画像データは、例えば記憶部23に記憶済みである。
【0047】
ここで、制御部21が実行する違いデータ取得処理を、図を用いて説明する。図4は、実施形態における学習装置2の制御部21が実行する違いデータ取得処理を説明する説明図である。
【0048】
図4において“基本コンスタレーションデータ群”は、基本コンスタレーション画像データの集合を意味する。基本コンスタレーション画像データの示す画像は、所定の基準の元で有限個の集合に分類され得る。図4の“Label1”及び“Label2”はそれぞれ、所定の基準の元で分類された各基本コンスタレーション画像データの画像が属する集合の識別子である。図4における、“S ”等の下付きの数字と上付きの数字とを有する文字Sはそれぞれ1つの基本コンスタレーション画像データを示す。
【0049】
集合G1は、参照コンスタレーション画像データの集合を意味する。図4において“差分コンスタレーションデータ群”は、違いデータの集合を意味する。図4が示すように、制御部21が実行する違いデータ取得処理では、1又は複数の基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の参照コンスタレーション画像データとの違いがそれぞれ取得される。
【0050】
このように、制御部21は、基本コンスタレーション画像データと参照コンスタレーション画像データとの組ごとに違いデータを取得する。したがって制御部21は、基本コンスタレーション画像データの数と参照コンスタレーション画像データの数との積の数の違いデータを生成する。
【0051】
なお図4が示すように、基本コンスタレーション画像データの少なくとも一部は参照コンスタレーション画像データと同一であってもよい。
【0052】
図3の説明に戻る。制御部21は、例えば取得した違いデータに対して推定モデルを実行する。制御部21は、例えば推定モデルの実行の結果に基づき推定モデルを更新する。
【0053】
通信部22は、学習装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部22は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えばユーザの操作するコンピュータと通信可能に接続され、学習装置2に対するユーザの操作を受け付ける。
【0054】
記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部23は学習装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部23は、例えば予め推定モデルを記憶する。記憶部23は、例えば予め1又は複数の参照コンスタレーション画像データを記憶する。信号受信部24は、光信号を受信する。
【0055】
出力部25は、各種情報を出力する。出力部25は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部25は、これらの表示装置を学習装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部25は、例えば制御部21による推定モデルの実行の結果を表示等の予め定められた出力方法で出力する。
【0056】
<信号受信部24の受信する光信号>
ここで信号受信部24の受信する光信号について説明する。信号受信部24の受信する光信号は、推定対象の通信システム内を伝搬する光信号に対して特性変更処理が実行された結果の光信号である。特性変更処理は、光信号の対象特性を変える処理である。対象特性は、光信号の予め定められた所定の特性である。特性は、例えば波長分散であってもよいし、偏波モード分散であってもよいし、信号雑音比であってもよい。対象特性は、例えば、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal-to-Noise Ratio)及び偏波モード分散である。
【0057】
対象特性の変更は、全ての光信号に対して同一なのではない。対象特性の変更は、ランダムに近い変更であるほど望ましい。対象特性の変更は、ユーザが指示した条件を満たす変更であってもよい。したがって、学習装置2は複数の種類の基本コンスタレーション画像データを用いて推定モデルを更新することができる。
【0058】
特性変更処理による特性の変更の内容を示す情報(以下「変更内容情報」という。)は、推定モデルの学習に用いられる。そこで通信部22は、特性変更処理を実行する装置との通信を行い、変更内容情報を取得する。以下、特性変更処理を実行する装置を、特性変更装置という。
【0059】
図5は、実施形態における特性変更装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。特性変更装置3は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ95とメモリ96とを備える制御部31を備え、プログラムを実行する。特性変更装置3は、プログラムの実行によって制御部31、通信部32、記憶部33、光特性変更部34及び光スペクトラムアナライザ35を備える装置として機能する。
【0060】
より具体的には、プロセッサ95が記憶部33に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ96に記憶させる。プロセッサ95が、メモリ96に記憶させたプログラムを実行することによって、特性変更装置3は、制御部31、通信部32、記憶部33、光特性変更部34及び光スペクトラムアナライザ35を備える装置として機能する。
【0061】
制御部31は、特性変更装置3が備える各種機能部の動作を制御する。制御部31は、例えば光特性変更部34の動作を制御する。制御部31は、例えば光スペクトラムアナライザ35の動作を制御して、光スペクトログラムアナライザの分析の結果を取得する。制御部31は、例えば各種情報を記憶部33に記録する。
【0062】
通信部32は、特性変更装置3を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部32は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば学習装置2である。通信部32は、光特性変更部34による変更の内容を示す情報を、学習装置2に送信する。光特性変更部34による変更の内容を示す情報が、変更内容情報である。また、通信部32は、ユーザの操作するコンピュータと通信可能に接続され、特性変更装置3に対するユーザの操作を受け付けてもよい。
【0063】
記憶部33は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部33は特性変更装置3に関する各種情報を記憶する。記憶部33は、例えば変更内容情報を記憶してもよい。
【0064】
光特性変更部34には、推定対象の通信システム内を伝搬する光信号が入射する。光特性変更部34は、入射した光信号に対して特性変更処理を実行する。すなわち、光特性変更部34は、入射した光信号の特性を変える。
【0065】
図5の例において光特性変更部34は、波長分散発生器36、偏波モード分散発生器37及びASE(Amplified Spontaneous Emission)光源38を備える。波長分散発生器36は、波長分散を変える。偏波モード分散発生器37は偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion)を変える。ASE光源38は、信号にノイズを付与する。
【0066】
なお、図5の光特性変更部34の構成は一例であり、光特性変更部34は光信号の所望の特性を変更可能であればどのような構成であってもよい。したがって、光特性変更部34は、例えば、波長分散発生器36、偏波モード分散発生器37又はASE光源38のいずれか1つだけを備えてもよいし、いずれか2つだけを備えてもよい。また、光特性変更部34は、例えば、波長分散発生器36、偏波モード分散発生器37及びASE光源38以外の他の光信号の特性を変える装置を備えてもよい。
【0067】
特性変更装置3は、光特性変更部34による変換後の光信号を出力する。特性変更装置3の出力した光信号が学習装置2に入射する。
【0068】
制御部31は、光特性変更部34が光信号をどのように変換したかを示す情報(すなわち変更内容情報)を光特性変更部34から取得する。制御部31は、取得した変更内容情報を、通信部32を介して学習装置2に送信する。送信された変更内容情報を、学習装置2は通信部22によって受信する。
【0069】
光スペクトラムアナライザ35は、光特性変更部34による変更後の光信号の特性を解析する。
【0070】
図6は、実施形態における学習装置2が備える制御部21の構成の一例を示す図である。制御部21は、変更内容情報取得部210、基本コンスタレーション画像データ取得部211、記憶制御部212、違い取得部213、訓練データ生成部214及び数理モデル学習部215を備える。
【0071】
変更内容情報取得部210は、通信部32の受信した変更内容情報を取得する。
【0072】
基本コンスタレーション画像データ取得部211は、信号受信部24の受信した光信号に対して、コンスタレーション画像取得処理を実行する。記憶制御部212は、コンスタレーション画像取得処理の実行により得られた基本コンスタレーション画像データを記憶部23に記録する。
【0073】
記憶制御部212は、基本コンスタレーション画像データの記録に際して、対応する変更内容情報を基本コンスタレーション画像データに対応付けて記憶部23に記録する。対応する変更内容情報とは、基本コンスタレーション画像データの示すコンスタレーションを特性として有する光信号を生成した際の特性変更処理の内容を示す変更内容情報、を意味する。
【0074】
一例として光信号Pと光信号Pに対する特性変更処理の実行により得られた光信号Qとを用いて、基本コンスタレーション画像データとその基本コンスタレーション画像データに対応付けて記憶部23に記録される変更内容情報とについて説明する。このような場合、記憶部23に記録される基本コンスタレーション画像データは光信号Qのコンスタレーション画像データRであり、記憶部23に記録される変更内容情報は光信号Pから光信号Qへの変更の内容を示す情報Rである。コンスタレーション画像データRと情報Rとが対応付けて記憶部23に記録される。
【0075】
記憶制御部212は、読み出し条件が満たされたタイミングで、記憶部23の記憶する基本コンスタレーション画像データを読み出す。
【0076】
違い取得部213は、違いデータ取得処理を実行する。違いデータ取得処理の実行により違い取得部213は、記憶制御部212の読み出した各基本コンスタレーション画像データと予め記憶部23に記憶済みの各参照コンスタレーション画像データとの各違いをそれぞれ違いデータとして取得する。
【0077】
訓練データ生成部214は、得られた各違いデータを、その違いデータを得る際に用いられた基本コンスタレーション画像データに対応する変更内容情報に対応付けて、記憶部23に記録する。すなわち、訓練データ生成部214は、違いデータと違いデータに対応する変更内容情報との対を1対含む各情報をそれぞれ記憶部23に記録する。
【0078】
違いデータに対応する変更内容情報とは、違いデータを得る際に用いられた基本コンスタレーション画像データに対応する変更内容情報の意味である。以下、違いデータと違いデータに対応する変更内容情報との対を1対含む情報を訓練データという。訓練データは推定モデルの学習に用いられる。
【0079】
訓練データ生成部214の処理を、具体例を用いて説明する。一例として基本コンスタレーション画像データAと参照コンスタレーション画像データBとから生成された違いデータCを用いて説明する。このような場合、訓練データ生成部214は、違いデータCを基本コンスタレーション画像データAに対応する変更内容情報Dに対応付けて記憶部23に記録する。したがってこの例において訓練データは、違いデータCと変更内容情報Dとの対を含む情報である。
【0080】
このように訓練データ生成部214は、違い取得部213の取得した違いデータとその違いデータを得る際に用いられた基本コンスタレーション画像データに対応する変更内容情報とを用いて、訓練データを生成する。
【0081】
数理モデル学習部215は、訓練データを用いて、推定モデルの学習を行う。より具体的には、数理モデル学習部215は、訓練データの含む違いデータに対して推定モデルを実行し、実行の結果と訓練データの含む変更内容情報との違いを小さくするように推定モデルを更新する。
【0082】
数理モデル学習部215は、訓練データ取得部216、数理モデル実行部217及び更新部218を備える。訓練データ取得部216は、訓練データを取得する。数理モデル実行部217は、訓練データ取得部216の取得した訓練データの含む違いデータに対して推定モデルを実行する。更新部218は、推定モデルの実行対象の違いデータに対応付けられた変更内容情報と、推定モデルの実行結果との違いを小さくするように、推定モデルを更新する。
【0083】
図7は、実施形態の推定装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。信号受信部14が光信号を受信する(ステップS101)。次にコンスタレーション画像データ取得部111が、ステップS101で受信された光信号に対して、コンスタレーション画像取得処理を実行する(ステップS102)。ステップS102の実行によりコンスタレーション画像データ取得部111は、ステップS101で受信された光信号のコンスタレーション画像データを取得する。
【0084】
次に違い取得部112が違いデータ取得処理を実行する(ステップS103)。違いデータ取得処理の実行により違い取得部112は、ステップS102で取得されたコンスタレーション画像データと参照コンスタレーション画像データとの違いを違いデータとして取得する。次に推定部113が学習済みの推定モデル(すなわち学習済み推定モデル)をステップS103で取得された違いデータに対して実行する(ステップS104)。なお学習済みの推定モデルについては、例えば予め学習装置2から得たうえで予め記憶部13に記憶済みである。ステップS104の次に出力制御部114が出力部15の動作を制御して、ステップS104の実行の結果を出力させる(ステップS105)。
【0085】
図8は、実施形態の学習装置2が実行する処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。より具体的には、図8は、学習装置2が訓練データを取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。信号受信部24が、特性変更処理による変更後の光信号を受信する(ステップS201)。特性変更処理は、例えば特性変更装置3が実行する。
【0086】
次に、変更内容情報取得部210が、ステップS201の光信号を生成した特性変更処理の内容を示す変更内容情報を取得する(ステップS202)。次に基本コンスタレーション画像データ取得部211が、ステップS201で受信した光信号に対してコンスタレーション画像取得処理を実行する(ステップS203)。ステップS201で受信した光信号に対するコンスタレーション画像取得処理の実行により基本コンスタレーション画像データ取得部211は、ステップS201で受信した光信号の基本コンスタレーション画像データを取得する。
【0087】
次に記憶制御部212が、ステップS203で得られた基本コンスタレーション画像データとステップS202で得られた変更内容情報とを対応付けて記憶部23に記録する(ステップS204)。次に記憶制御部212は、読み出し条件が満たされたか否かを判定する(ステップS205)。読み出し条件が満たされない場合(ステップS205:NO)、ステップS201の処理に戻る。一方、読み出し条件が満たされた場合(ステップS205:YES)、記憶制御部212は記憶部23から、記憶部23の記憶する各基本コンスタレーション画像データと、記憶部23の記憶する各参照コンスタレーション画像データと、を読み出す(ステップS206)。
【0088】
次に違い取得部213が、ステップS206で取得された各基本コンスタレーション画像データと各参照コンスタレーション画像データとの各違いをそれぞれ違いデータとして取得する(ステップS207)。次に訓練データ生成部214がステップS207で取得された違いデータごとに、各違いデータとその違いデータを得る際に用いられた基本コンスタレーション画像データに対応する変更内容情報との対を1対含む訓練データを生成する(ステップS208)。具体的には、訓練データ生成部214は、各違いデータを、各違いデータを得る際に用いられた基本コンスタレーション画像データに対応する変更内容情報に対応付けて記憶部23に記録する。
【0089】
このようにして、推定モデルの学習に用いられる訓練データが生成される。なお、ステップS201からステップS203の処理は必ずしも図8の処理の流れである必要は無く、ステップS204の処理の前にステップS201からステップS203までの処理が実行されればどのような順番で実行されてもよい。なお、ステップS203の処理はステップS201の処理の実行後に実行される必要はある。
【0090】
図9は、実施形態の学習装置2が実行する処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。より具体的には、図9は、学習装置2が推定モデルの学習を行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。訓練データ取得部216が、記憶部23に記憶済みの訓練データの1つを取得する(ステップS301)。次に数理モデル実行部217が、訓練データ取得部216の取得した訓練データが含む違いデータに対して推定モデルを実行する(ステップS302)。推定モデルの実行により数理モデル実行部217は、実行対象の違いデータに対応する変更内容情報を推定する。
【0091】
次に、更新部218は、推定モデルの推定結果と、訓練データ取得部216の取得した訓練データが含む変更内容情報と、の違いを小さくするように推定モデルを更新する(ステップS303)。推定モデルの推定結果は、具体的には、ステップS302で推定された変更内容情報である。次に更新部218は、学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS304)。
【0092】
学習終了条件が満たされた場合(ステップS304:YES)、処理が終了する。学習終了条件の満たされた時点の推定モデルが、学習済みの推定モデルである。一方、学習終了条件が満たされない場合(ステップS304:NO)、訓練データ取得部216は、記憶部23の記憶する訓練データのうちの未使用の訓練データを1つ取得する(ステップS305)。ステップS305の次にステップS302の処理が実行される。なお、未使用の訓練データとは、未だ推定モデルの学習に用いられていない訓練データを意味する。より具体的には、未使用の訓練データとは、推定モデルの実行対象になっていない訓練データを意味する。
【0093】
このように構成された実施形態の学習装置2は、予め記憶済みの1又は複数の参照コンスタレーション画像データを用いて、1又は複数の基本コンスタレーション画像データと、1又は複数の参照コンスタレーション画像データとの違いをそれぞれ取得する。そのため、1つの基本コンスタレーション画像データが得られれば、参照コンスタレーション画像データの数だけの訓練データを生成することができる。すなわち、学習装置2は、推定モデルの学習に用いられる訓練データの用意に要する労力を軽減することができる。
【0094】
そして訓練データの数が多いほど、学習により推定モデルの推定の精度を向上させることができる。上述したように学習済み推定モデルは、学習終了条件が満たされた時点の推定モデルである。また上述したように推定モデルは、違いデータに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルであり違いデータを用いて更新される数理モデルである。
【0095】
また上述したように違いデータは光信号のコンスタレーション画像データと参照コンスタレーション画像データとの違いを示す情報であるので、違いデータはコンスタレーションの画像の違いを示す情報である。したがって、推定モデルは、コンスタレーションの画像の違いに基づいて推定対象の通信システムの状態を推定する数理モデルである。このため、推定モデルの更新により、推定モデルによるコンスタレーションの画像の識別の精度は向上する。
【0096】
そのため、このように構成された実施形態の学習装置2は、推定モデルの学習に用いられる訓練データの用意に要する労力を軽減することができるため、コンスタレーションの画像の識別の精度の向上に要する労力を軽減することができる。また、学習装置2は、コンスタレーションの画像の識別の精度の向上に要する労力を軽減することができるため、通信システムの状態の推定に要する労力を軽減することができる。
【0097】
また、このように構成された実施形態の推定装置1は、学習装置2の得た学習済みの推定モデルを用いるため、推定対象の通信システムの構築から運用までに要する労力であって通信システムの状態の推定に要する労力を軽減することができる。
【0098】
<第1の適用場面>
推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3の適用場面の一例を説明する。図10は、実施形態における通信システム100の一例を示す図である。以下説明の簡単のため図1図3図5及び図6に記載の機能部と同様の機能を有するものについては図1図3図5及び図6と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0099】
通信システム100は、通信と自装置の管理に要する負担の軽減とを両立させる通信システムである。通信システム100は、例えば光ファイバ通信を行う通信システムである。通信システム100は、送信側光ノード装置5、統合学習装置6及び推定装置1を備える。通信システム100の備える推定装置1は光分岐部16を備える。そのため通信システム100の備える推定装置1は入射した光信号を伝搬先に向けて出射する。
【0100】
送信側光ノード装置5は光信号を送信する。統合学習装置6は、光信号を受信し、受信した光信号に基づき、推定モデルを学習により更新する。
【0101】
送信側光ノード装置5と統合学習装置6とは光ファイバ4で接続されており、送信側光ノード装置5から統合学習装置6へ光ファイバ4を通って光信号が伝搬する。送信側光ノード装置5と推定装置1とは光ファイバ4で接続されており、送信側光ノード装置5から推定装置1へ光ファイバ4を通って光信号が伝搬する。光ファイバ4は、光信号が伝搬する伝送路(すなわち光ファイバ)である。
【0102】
送信側光ノード装置5は、光送信器51と光分岐部52とを備える。光送信器51は光信号を送信する。光分岐部52は、光信号を分岐する。光分岐部52は、例えば光カプラである。
【0103】
統合学習装置6は、光分岐部52により分岐された分岐後の光信号を受信する。より具体的には、統合学習装置6は光分岐部52により複数に分岐された光信号の1つを受信する。統合学習装置6は、特性変更装置3及び学習装置2を備える。
【0104】
なお、特性変更装置3による光信号の特性の変更は、全ての光信号に対して同一なのではない。特性の変更は、ランダムに近い変更であるほど望ましい。特性変更装置3による光信号の特性の変更は、ユーザが指示した条件を満たす変更であってもよい。このように特性変更装置3は、複数の種類の光信号を生成する。
【0105】
統合学習装置6による推定モデルの更新は、学習終了条件が満たされるまで更新されることが、所定のタイミングごとに行われる。以下、所定のタイミングを、学習タイミングという。学習タイミングは、例えば予め定められた周期ごとに訪れる周期的なタイミングである。すなわち、統合学習装置6は、学習の開始から学習終了条件が満たされるまで推定モデルを更新する一連の処理を、学習タイミングごとに行う。したがって、少なくとも2回目以降の学習タイミングで更新される推定モデルは、直前の学習タイミングにおいて学習終了条件が満たされた学習済みの推定モデルである。
【0106】
推定装置1は、光分岐部52により分岐された分岐後の光信号を受信する。より具体的には、受信側光ノード装置7は光分岐部52により複数に分岐された光信号の1つであって統合学習装置6に伝搬する光信号とは異なる光信号を受信する。
【0107】
図11及び図12を用いて、統合学習装置6が実行する処理の流れの一例を説明する。図11は、実施形態における統合学習装置6が実行する処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。図12は、実施形態における統合学習装置6が実行する処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。以下、図7図9と同様の処理には、図7図9と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0108】
統合学習装置6が、学習タイミングか否かを判定する(ステップS401)。学習タイミングか否かの判定は、統合学習装置6の備える各機能部のいずれが行ってもよいが、例えば特性変更装置3の備える制御部31が行う。学習タイミングか否かの判定は、学習装置2の備える制御部21が行ってもよい。
【0109】
学習タイミングでは無い場合(ステップS401:NO)、ステップS101の処理が繰り返される。一方、学習タイミングである場合(ステップS401:YES)、特性変更装置3が光分岐部52で分岐された光信号を受信する(ステップS402)。次に、特性変更装置3が受信した光信号の特性を変更する(ステップS403)。次に、学習装置2がステップS201からステップS204の処理を実行する。
【0110】
ステップS204の処理に次に学習装置2は読み出し条件が満たされたか否かを判定する(ステップS205a)。読み出し条件が満たされない場合(ステップS205a:NO)、ステップS402の処理に戻る。一方、読み出し条件が満たされる場合(ステップS205a:YES)、ステップS206からステップS208の処理が実行される。ステップS208の処理の次に、ステップ301~ステップS305の処理が実行される。
【0111】
図13は、実施形態における通信システム100が実行する処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。より具体的には、図13は学習タイミングにおいて、通信システム100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0112】
光送信器51が光信号を送信する(ステップS501)。次に、光分岐部52で光信号が分岐される(ステップS502)。光分岐部52で分岐された光信号の1つは統合学習装置6に伝搬し、分岐された光信号の他の1つは推定装置1まで伝搬する。(ステップS503)。統合学習装置6は、伝搬してきた光信号を用いて推定モデルを学習終了条件が満たされるまで更新する(ステップS504)。統合学習装置6は、得られた学習済みの推定モデルを通信部22によって推定装置1に送信する(ステップS505)。なお、ステップS504では、例えば図11及び図12に記載の一連の処理が実行される。
【0113】
図14は、実施形態における通信システム100が実行する処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。より具体的には、図14は学習タイミングでは無いタイミングにおいて、通信システム100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0114】
光送信器51が光信号を送信する(ステップS601)。次に、光分岐部52で光信号が分岐される(ステップS602)。光分岐部52で分岐された光信号の1つは統合学習装置6に伝搬し、分岐された光信号の他の1つは推定装置1まで伝搬する。(ステップS603)。信号受信部14が推定装置1に伝搬してきた光信号を受信する(ステップS604)。推定装置1が受信した光信号を用いて通信システム100の状態を推定する(ステップS605)。ステップS605の処理は、具体的には、ステップS102からステップS104の処理の実行である。次に出力制御部114が出力部15の動作を制御して、ステップS605の実行の結果を出力部15に出力させる(ステップS606)。
【0115】
<統合学習装置6と光分岐部52と推定モデルとの関係と役割>
通信システム100に限らず通信システムは長期間の使用が想定されることが多く、長い使用期間の間に経年劣化する。そのため、経年劣化の影響を考慮して通信システムの状態を推定することが通信システムの管理には望ましい。通信システムの状態とは、例えば光送信器51の状態である。こうした経時的な変化を組み込んだシステムの管理には、システムの経時的な変化に応じて検知の基準やシステムの状態の判断のルールを変化させることが望ましい。そこで、通信システム100では、光分岐部52と統合学習装置6とを備える。
【0116】
上述したように統合学習装置6は、光分岐部52で分岐された光信号を変化させ、光分岐部52における光信号の変化の様子を、学習タイミングに学習する。変化は特性変更装置3によって引き起こされる。
【0117】
光分岐部52と特性変更装置3との役割を順に説明する。通信システムのようなインフラ設備では、サービスの開始後に装置の取り付け及び取り外しを行うことは難しい。サービスの開始とは具体的には通信の開始である。そのため、統合学習装置6は通信システム100から取り外される必要の無い状態で、通信システム100に備えられていることが望ましい。
【0118】
そこで通信システム100は光分岐部52を備える。通信システム100が光分岐部52を備えるため、光送信器51の送信する光信号は光分岐部52で分岐され、通信の実現とともに、統合学習装置6への光信号の伝送が実現される。その結果、通信システム100では、通信の実現とともに、数理モデルを光送信器51の経時的な変化に応じて更新することも実現される。
【0119】
次に特性変更装置3の役割について説明する。特性変更装置3による光信号の変化は、通信システム100内で生じる事象によって光信号に生じ得る変化を疑似的に引き起こすことに相当する。したがって、特性変更装置3によって特性が変化させられた後の光信号を用いた学習により、推定モデルによる推定の精度は高まる。
【0120】
ところで、対象特性は主に、時間スケールの異なる2つの要因で変化する。1つは、通信システム100の状態の経時的な変化である。以下、通信システム100の状態の経時的な変化を第1要因という。他の1つは、ハイゼンベルグの不確定性原理やノイズに代表される自然現象が包含するランダム性である。以下、ハイゼンベルグの不確定性原理やノイズに代表される自然現象が包含するランダム性を第2要因という。
【0121】
第1要因による変化は第2要因による変化に比べて時間スケールの長い変化である。通信システム100のような長期間の使用が想定されるシステムの管理では、通信システム100の状態を把握するために、この両者の変化が考慮される必要がある。
【0122】
統合学習装置6は、光分岐部52から分岐された光信号を受信するので、通信システム100が通信を行っている状態でも、推定モデルの更新が可能である。仮に第1要因の変化を無視するのであれば、入力された光信号の対象特性を用いて通信システムの状態を推定する数理モデルが、機械学習により一度得られれば良い。こうして得られる数理モデルは、第1要因による通信システムの変化が無視できる状態であれば、高い精度で通信システムの状態を推定可能である。
【0123】
しかしながら、第1要因による通信システムの変化がある場合、通信システムの経時的な変化に応じて学習を行わなければ、通信システムの経時的な変化とともに推定の精度も下がってしまう。
【0124】
上述したように通信システム100の統合学習装置6は、通信システム100が通信を行っている状態でも推定モデルの更新が可能である。したがって、統合学習装置6は、一度きりでなく、通信システム100の経時的な変化に応じた複数回の学習の実行が可能である。そのため、統合学習装置6は、第1要因と第2要因とが存在するという条件の元で、通信システム100の状態を推定する数理モデルを得ることができる。
【0125】
より具体的にどのようにして、第1要因と第2要因とが存在するという条件の元での学習が可能なのか説明する。上述したように特性変更装置3は光分岐部52で分岐された光信号を変化させる。すなわち、特性変更装置3は光分岐部52で分岐された光信号を変化させた光信号を生成する。
【0126】
光分岐部52で分岐された光信号は、通信システム100の状態の経時的な変化がある場合に、その変化に相関を有する変化をする。したがって、特性変更装置3は、通信システム100の状態の経時的な変化の情報を含む光信号を生成する。
【0127】
一方で、特性変更装置3は、上述したように通信システム100内で生じる事象によって光信号に生じ得る変化を疑似的に与える。この疑似的な変化は、第2要因による変化を模したものである。すなわち、特性変更装置3は、自然現象が包含するランダム性に起因する光信号の変化を、統合学習装置6の受信した光信号に与える。
【0128】
このように特性変更装置3は、第1要因に起因する変化の情報と第2要因に起因する変化の情報とを含む光信号を生成する。特性変更装置3で生成された光信号の対象特性が訓練データの一部として学習に用いられるので、統合学習装置6は、第1要因と第2要因とが存在するという条件の元での学習を行うことができる。
【0129】
統合学習装置6による学習は推定モデルに対して実行される。そして、上述したように特性変更装置3で生成された光信号の対象特性が訓練データの一部として学習に用いられる。したがって、推定モデルは、対象特性について推定対象の光信号と光分岐部52における光信号との違いを推定する数理モデルであるが、その違いは、通信システム100の状態の推定結果を示す情報である。すなわち、推定モデルは、入力された光信号の対象特性に基づいて通信システム100の状態を推定する数理モデルである。
【0130】
上述したように統合学習装置6で得られた学習済みの数理モデルは推定装置1で用いられて、通信システム100の状態が推定される。学習済みの推定モデルは、学習タイミングでさらに更新され、新たな学習済みの推定モデルが生成される。推定装置1は、統合学習装置6で得られた推定モデルを用いるので、推定装置1で用いられる学習済みの推定モデルは、学習終了条件が満たされるたびに学習終了条件が満たされた時点の学習済みの推定モデルに更新される。したがって、通信システム100は、第2要因だけでなく第1要因も考慮した通信システムの管理を可能とする。
【0131】
このように構成された通信システム100は、光送信器51の送信する光信号を分岐する光分岐部52と、光分岐部52による分岐後の光信号に基づいて推定モデルを更新する統合学習装置6とを備える。そのため光送信器51から送信された光信号は光分岐部52によって分岐されて、統合学習装置6と推定装置1とに伝搬する。
【0132】
その結果、通信システム100では、光送信器51から推定装置1への光信号の伝送を実現しつつ、通信システム100の状態の推定を行う数理モデル(すなわち推定モデル)を更新することができる。したがって、通信システム100は、自システムの管理に要する負担を軽減することができる。
【0133】
また、通信システム100は学習装置2を備えるため、通信システムの状態の推定に要する労力を軽減することができる。また、通信システム100は、学習装置2の得た学習済みの推定モデルを用いて通信システム100の状態の推定を行う推定装置1を備える。そのため、通信システム100は、自システムの状態の推定に要する労力を軽減することができる。
【0134】
<第2の適用場面>
推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3の適用場面の他の一例を説明する。推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3は、光分岐部52を備えない通信システムに適用されてもよい。このような場合、学習装置2及び特性変更装置3は、推定モデルの学習時には通信システムに備え付けられるが、それ以外のタイミングでは通信システムから取り外された状態にある。以下、このような光分岐部52を備えない通信システムを通信システム100aという。
【0135】
以下説明の簡単のため図1図3図5図6及び図10に記載の機能部と同様の機能を有するものについては図1図3図5図6及び図10と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0136】
図15は、実施形態における通信システム100aの構成の一例を示す第1の図である。より具体的には図15は、推定モデルの学習時ではないタイミングにおける通信システム100aの構成の一例を示す図である。通信システム100aは、光送信器51及び推定装置1を備える。通信システム100aの備える推定装置1は光分岐部16を備える。そのため通信システム100aの備える推定装置1は入射した光信号を伝搬先に向けて出射する。
【0137】
図16は、実施形態における通信システム100aの構成の一例を示す第2の図である。より具体的には図16は、推定モデルの学習時における通信システム100aの構成の一例を示す図である。通信システム100aは、光送信器51及び統合学習装置6を備える。
【0138】
このように、通信システム100aは学習装置2を備えるため、自システムの状態の推定に要する労力を軽減することができる。また、通信システム100aは、学習装置2の得た学習済みの推定モデルを用いて通信システム100aの状態の推定を行う推定装置1を備える。そのため、通信システム100aは、自システムの状態の推定に要する労力を軽減することができる。
【0139】
(変形例)
なお、通信システム100は必ずしも、光送信器51及び受信側光ノード装置7をそれぞれ1つだけ備える必要は無い。通信システム100は、光送信器51及び受信側光ノード装置7をどちらも複数備えてもよい。
【0140】
なお光分岐部52は、必ずしも送信側光ノード装置5が備える必要は無く、送信側光ノード装置5と光分岐部52とは異なる筐体に実装されてもよい。
【0141】
なお、推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3のそれぞれは、必ずしも異なる筐体に実装される必要は無く、3つ全てが同一の筐体に実装されてもよい。なお、推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3のうちの3つ全てでは無く、2つが同一の筐体に実装されてもよい。
【0142】
変更内容情報は、特性変更処理による特性の変更の内容を示す情報であるので、言い換えれば、光送信器51の送信した光信号がどのように変更されたかを示す情報である。
【0143】
なお、推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3のそれぞれは、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。なお、推定装置1、学習装置2及び特性変更装置3のそれぞれの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0144】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0145】
100、100a…通信システム、 1…推定装置、 11…制御部、 12…通信部、 13…記憶部、 14…信号受信部、 15…出力部、 16…光分岐部、 111…コンスタレーション画像データ取得部、 112…違い取得部、 113…推定部、 114…出力制御部、 2…学習装置、 21…制御部、 22…通信部、 23…記憶部、 24…信号受信部、 25…出力部、 3…特性変更装置、 31…制御部、 32…通信部、 33…記憶部、 34…光特性変更部、 35…光スペクトラムアナライザ、 36…波長分散発生器、 37…偏波モード分散発生器、 38…ASE光源、 21…制御部、 210…変更内容情報取得部、 211…基本コンスタレーション画像データ取得部、 212…記憶制御部、 213…違い取得部、 214…訓練データ生成部、 215…数理モデル学習部、 216…訓練データ取得部、 217…数理モデル実行部、 218…更新部、 送信側光ノード装置、 51…光送信器、 52…光分岐部、 6…統合学習装置、 4…光ファイバ、 91、93、95…プロセッサ、 92、94、96…メモリ
図1
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