(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】配線システム、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
G10L 15/00 20130101AFI20240920BHJP
G10L 15/28 20130101ALI20240920BHJP
【FI】
G10L15/00 200N
G10L15/28 500
(21)【出願番号】P 2020199766
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花園 正也
(72)【発明者】
【氏名】夏目 龍司
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 舜
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 淳平
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033545(JP,A)
【文献】特開2018-073832(JP,A)
【文献】特開2003-244517(JP,A)
【文献】特開2000-165967(JP,A)
【文献】特開2015-179932(JP,A)
【文献】特開2015-055835(JP,A)
【文献】特開2002-171351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 15/00-17/26
H02B 1/40- 1/44
H04M 1/02- 1/23
9/00- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電源に接続される電源側コネクタと、
外部の電気機器に接続され、前記電源側コネクタを介して前記電源から受け取った電力を前記電気機器に出力する負荷側コネクタと、
入力された音に基づく電気信号を出力するマイクロフォンと、
前記電気信号に基づいて前記音に含まれる音声を認識する音声認識を行い、認識した前記音声により示されるコマンドを認識するコマンド認識部と、
前記電気信号に基づいて、前記コマンドを示す前記音声の話者を認識する話者認識部と、
前記話者認識部で認識された前記話者の音声に関する話者音声情報が、登録音声情報に一致するか否かを判断する判断部と、
前記話者音声情報が前記登録音声情報に一致した場合に、前記コマンド認識部で認識された前記コマンドを含む指示信号を、外部の対象機器へ送信する通信部と、
対象者の音声に関する
前記登録音声情報を登録する登録処理部と、
を備え、
前記登録処理部は、前記マイクロフォンに入力された音に基づいて前記対象者の音声の情報を取得し、取得した前記対象者の音声の情報に基づいて前記登録音声情報を登録し、
前記通信部は、外部の通信装置と通信を行い、
前記登録処理部は、前記通信装置から送信される登録指示信号に応じて、前記対象者の音声の情報の取得を開始する、
配線システム。
【請求項2】
前記マイクロフォン、前記コマンド認識部、前記通信部、前記電源側コネクタ、及び前記負荷側コネクタを収容し、施設の造営面に設置される筐体を、更に備え、
前記筐体は、前記施設において、前記対象機器の下方の位置に配置される、
請求項1に記載の配線システム。
【請求項3】
前記通信部は、
第1通信プロトコルに従って前記対象機器と通信し、
前記第1通信プロトコルとは異なる第2通信プロトコルに従って前記通信装置と通信する、
請求項1又は2に記載の配線システム。
【請求項4】
複数のコマンド候補を記憶する記憶部を更に備え、
前記コマンド認識部は、前記複数のコマンド候補に基づいて、認識した前記音声により示される前記コマンドを認識し、
前記通信部は、前記通信装置から、前記複数のコマンド候補のうちの少なくとも一つのコマンド候補の設定に関する設定情報を受信する、
請求項3に記載の配線システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の配線システムと、
前記対象機器と、
を備える、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、配線システム、及び通信システムに関する。本開示は、より詳細には、外部の電源からの電力を外部の電気機器に供給するための配線システム、及び配線システムを備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通話装置が開示されている。この通話装置は、埋込モジュールと、露出モジュールと、を備える。埋込モジュールは、施工面に設けられた施工孔内に後部が挿入される器体を備える。露出モジュールは、埋込モジュールが備える被係合部と係合する係合部を備え埋込モジュールの前面に着脱自在に取着されるケースを備える。埋込モジュールと露出モジュールとは、互いの電気的接続を行う端子部をそれぞれ備える。
【0003】
埋込モジュールは、相手側通話装置との間で送受信される信号を伝送する伝送部と、露出モジュールに電源を供給する電源部とを備える。露出モジュールは、音声の入出力を行う音声入出力部と、音声入出力部および伝送部に接続され音声信号の入出力を行う信号処理部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の通話装置では、ユーザは、音声入出力部に入出力される音声によって、相手側通話装置のユーザと通話を行うことができるが、入出力される音声に基づいてその他の制御を行うことはできない。そのため、ユーザの利便性の向上が望まれることがある。
【0006】
本開示は、ユーザの利便性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の配線システムは、電源側コネクタと、負荷側コネクタと、マイクロフォンと、コマンド認識部と、話者認識部と、判断部と、通信部と、登録処理部と、を備える。前記電源側コネクタは、外部の電源に接続される。前記負荷側コネクタは、外部の電気機器に接続され、前記電源側コネクタを介して前記電源から受け取った電力を前記電気機器に出力する。前記マイクロフォンは、入力された音に基づく電気信号を出力する。前記コマンド認識部は、前記電気信号に基づいて前記音に含まれる音声を認識する音声認識を行い、認識した前記音声により示されるコマンドを認識する。前記話者認識部は、前記電気信号に基づいて、前記コマンドを示す前記音声の話者を認識する。前記判断部は、前記話者認識部で認識された前記話者の音声に関する話者音声情報が、登録音声情報に一致するか否かを判断する。前記通信部は、前記話者音声情報が前記登録音声情報に一致した場合に、前記コマンド認識部で認識された前記コマンドを含む指示信号を、外部の対象機器へ送信する。前記登録処理部は、対象者の音声に関する前記登録音声情報を登録する。前記登録処理部は、前記マイクロフォンに入力された音に基づいて前記対象者の音声の情報を取得し、取得した前記対象者の音声の情報に基づいて前記登録音声情報を登録する。前記通信部は、外部の通信装置と通信を行う。前記登録処理部は、前記通信装置から送信される登録指示信号に応じて、前記対象者の音声の情報の取得を開始する。
【0008】
本開示の一態様の通信システムは、前記配線システムと、前記対象機器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る配線システムを備える通信システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の通信システムを示す概略システム構成図である。
【
図3】
図3は、同上の通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る配線システム、及び通信システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
(1)概要
本実施形態の配線システム1(配線器具)は、施設7に設置される。施設7は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、地下街、ホテル、駅、空港、学校、工場、図書館、美術館、博物館、病院若しくは介護施設等の非住宅施設等である。本実施形態では、配線システム1を施設7としての戸建住宅に用いる場合を例として説明する。
図1、
図2に示すように、本実施形態の配線システム1は、コンセント10である。
【0013】
図1に示すように、配線システム1は、電源側コネクタ17と、負荷側コネクタ18と、を備える。電源側コネクタ17は、商用電源、分散電源等の外部の電源90に接続される。負荷側コネクタ18は、外部の電気機器に接続される。負荷側コネクタ18は、電源側コネクタ17を介して電源90から受け取った電力を、電気機器に出力する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の配線システム1は、マイクロフォン11と、コマンド認識部121と、通信部13と、を更に備えている。
【0015】
マイクロフォン11は、入力された音に基づく電気信号を出力する。コマンド認識部121は、マイクロフォン11から出力される電気信号に基づいて上記の音に含まれる音声を認識する音声認識を行い、認識した音声により示されるコマンドを認識する。通信部13は、コマンド認識部121で認識されたコマンドを含む指示信号S1を、外部の対象機器2へ送信する。
【0016】
このように、本実施形態では、施設7に設置される配線システム1によって、対象機器2に指示信号S1を送信して対象機器2を制御することができる。そのため、本実施形態によれば、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
【0017】
(2)詳細
以下、本実施形態の配線システム1及びそれを備えた通信システム100について、図面を用いて説明する。上述のように、本実施形態の配線システム1は、コンセントである。そのため、以下では、配線システム1を「コンセント10」ということがある。
【0018】
(2.1)通信システム
図1は、コンセント10を含む通信システム100のブロック図である。
図2は、通信システム100が適用された施設7の一例を示す図である。
図1、
図2に示すように、通信システム100は、コンセント10(配線システム1)と、対象機器2と、通信装置3と、制御対象の電気機器80と、を備えている。ここでの制御対象の電気機器80とは、コンセント10の制御対象となる電気機器80である。通信装置3及び電気機器80は、通信システム100の構成要素に含まれなくてもよい。また、施設7には、コマンド認識部121等を備えていないコンセント、制御対象の電気機器80以外の電気機器等の、他の要素が適宜備えられていてもよい。また、
図2の例では、通信システム100は3つのコンセント10(配線システム1)を備えているが、これに限らず、通信システム100は1以上のコンセント10を備えていればよい。
【0019】
図1、
図2に示すように、コンセント10(配線システム1)は、マイクロフォン11と、処理部12と、通信部13と、記憶部14と、電源部15と、電源側コネクタ17と、負荷側コネクタ18と、筐体19と、を備えている。
【0020】
マイクロフォン11は、入力された音に基づく電気信号を出力する。具体的には、マイクロフォン11は、人の発する音声などの音を集音して電気信号に変換し、変換した電気信号を処理部12に出力する。本実施形態では、マイクロフォン11はアナログ-ディジタル変換部(A/D変換部)を有しており、アナログの電気信号をディジタルの電気信号に変換して出力する。
【0021】
処理部12は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。つまり、処理部12は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理部12として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。処理部12は、コンセント10の全体的な制御を行う。処理部12の詳細については、後述する。
【0022】
通信部13は、第1通信部131と第2通信部132とを備えている。
【0023】
第1通信部131は、対象機器2と通信する。第1通信部131は、例えば、無線局の免許が不要な小電力無線の規格に準拠した通信インタフェースを備えている。この種の小電力無線については、用途等に応じて使用する周波数帯域又は空中線電力等の仕様が各国で規定されている。日本国においては、920MHz帯又は420MHz帯の電波を使用する小電力無線(特定小電力無線)が規定されている。すなわち、第1通信部131は、第1通信プロトコル(特定小電力無線の通信プロトコル)に従って、対象機器2と通信する。
【0024】
第2通信部132は、通信装置3と通信する。第2通信部132は、例えば、Bluetooth(登録商標)の規格に準拠した通信インタフェースを備えている。すなわち、第2通信部132は、第2通信プロトコル(Bluetoothの通信プロトコル)に従って、通信装置3と通信する。
【0025】
このように、第1通信プロトコル(通信部13が対象機器2と通信する際に従う通信プロトコル)と第2通信プロトコル(通信部13が通信装置3と通信する際に従う通信プロトコル)とは、互いに異なっている。
【0026】
記憶部14は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含んでいる。記憶部14には、処理部12の処理に利用される種々の情報が記憶される。記憶部14は、処理部12のメモリと兼用されてもよい。
【0027】
電源側コネクタ17は、例えば一対の電源側接続端子を備える。各電源側接続端子は、例えば速結端子である。一対の電源側接続端子は、電源90に接続されている電力線の一対の電線に(
図2の例では分電盤70を介して)、それぞれ接続される。
【0028】
負荷側コネクタ18は、例えば一対の負荷側接続端子を備える。各負荷側接続端子は、例えば刃受けである。一対の負荷側接続端子は、電気機器80に接続されているプラグの一対の栓刃に、それぞれ接続される。
【0029】
電源部15は、処理部12等の、コンセント10内の各部の動作電力を生成する。電源部15は、電源側コネクタ17と負荷側コネクタ18との間をつなぐ電路に接続される。電源部15は、例えばAC/DCコンバータを備えている。AC/DCコンバータは、電源側コネクタ17を介して電源90から受け取った交流電力を直流電力に変換し、得られた直流電力を動作電力として処理部12等に供給する。
【0030】
筐体19は、マイクロフォン11、コマンド認識部121、通信部13、電源側コネクタ17、及び負荷側コネクタ18を収容する。
図2に示すように、筐体19は、施設7の壁等の造営物に設置(固定)される。さらに一例として、コンセント10は、筐体19の後部が造営物の施工孔内に埋め込まれる埋込型であることを想定する。この場合、コンセント10は、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材を用いて造営物(ここでは壁)に取り付けられる。例えば、造営物には施工孔が形成されており、造営物の背面側(壁裏)に配置されたスイッチボックス等の取付部材に対して、筐体19が施工孔を通して取り付けられる。ただし、筐体19は、壁以外にも、例えば天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等に固定されてもよい。また、コンセント10は、筐体19が造営物71の表面に直付けされる露出型であってもよいし、テーブルタップ等の据置型であってもよい。
【0031】
図1、
図2に示すように、本実施形態の通信システム100では、対象機器2はスイッチ(壁スイッチ)である。そのため、以下では、対象機器2を「スイッチ20」ということがある。スイッチ20は、制御対象の電気機器80の動作を(直接又は間接的に)制御する。
【0032】
ここでは、スイッチ20は、照明器具制御用の照明スイッチである。スイッチ20は、電力線を介して照明器具81と接続されている。本実施形態では、制御対象の電気機器80は、スイッチ20(対象機器2)と電力線を介して接続されている照明器具81を含む。
【0033】
図1、
図2に示すように、スイッチ20は、タッチパネル21と、通信部22と、処理部23と、記憶部24と、位相制御部25と、電源部26と、これらを収容又は保持する器体27と、を備えている。
図2に示すように、スイッチ20(器体27)は、施設7の壁等の造営物に設置(固定)される。
【0034】
タッチパネル21は、器体27の前面に配置される。タッチパネル21は、表示部211として機能する。表示部211は、例えば、白及び黒の2色表示が可能な電子ペーパーの画面を有する。電子ペーパーは、自己保持型の表示器(ディスプレイ)である。また、タッチパネル21は、抵抗膜方式、静電容量方式、又は電磁誘導方式等の周知の方式のタッチパネルで構成され、ユーザの指又はペン等によるタッチ操作(タップ)が可能である。すなわち、タッチパネル21は、ユーザによる操作を受け付ける操作部212としての機能を兼ね備えている。
【0035】
タッチパネル21の表示部211には、例えば、制御対象の電気機器80を示す画像(アイコン)が表示される。制御対象の電気機器80は、上述の照明器具81に加えて、空調装置、テレビ受像機、電動カーテン等の、照明器具81以外の電気機器82を含み得る。制御対象の電気機器80の画像が表示部211に表示された状態で、操作部212は、ユーザから適宜のタッチ操作を受け付ける。
【0036】
通信部22は、コンセント10(より詳細には、第1通信部131)と通信する。通信部22は、ここでは、無線局の免許が不要な小電力無線の規格に準拠した通信インタフェースを備えている。通信部22は、第1通信プロトコル(特定小電力無線の通信プロトコル)に従って、コンセント10と通信する。通信部22は、コンセント10と通信することにより、通信部13から指示信号S1を受信する。
【0037】
また、通信部22は、制御対象の電気機器80(照明器具81以外の電気機器82)と通信する。ここでは、通信部22が外部の制御装置と通信し、制御装置が電気機器82と通信することで、通信部22は電気機器82と間接的に通信する。通信部22が制御装置と通信する際に従う通信プロトコルは、第1通信プロトコル(特定小電力無線の通信プロトコル)であってもよいし、別の通信プロトコル(例えば、Bluetoothの通信プロトコル)であってもよい。制御装置は、適宜の通信プロトコル(例えば赤外線通信の通信プロトコル)に従って、電気機器82と通信する。通信部22は、電気機器82と通信することにより、電気機器82(制御装置)へ指示信号S1を送信する。具体的には、通信部22は、コンセント10から受け取った指示信号S1を、電気機器82へ転送する。なお、通信部22は、電気機器82と直接的に通信可能な通信インタフェースを備え、制御装置を介さず電気機器82と直接的に通信してもよい。
【0038】
処理部23は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。つまり、処理部23は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理部23として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。処理部23は、スイッチ20の全体的な制御を行う。
【0039】
処理部23は、電源部26の動作を制御する。電源部26は、タッチパネル21、通信部22、及び位相制御部25等がそれぞれ動作するための動作電力を生成して、生成した動作電力をそれらに供給する。電源部26は、例えば、電源90に接続されている電力線からの入力電圧を整流する整流器と、整流器の出力電圧を直流電圧に変換するスイッチング電源又はリニア電源と、を有している。
【0040】
処理部23は、位相制御部25の動作を制御する。位相制御部25は、例えば、トライアック、サイリスタ、FET(Field effect transistor)、バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子等を備えている。位相制御部25は、電源90及び照明器具81と直列に接続される。処理部23は、位相制御部25の半導体スイッチング素子のオン期間を制御することで、交流電力の一周期のうちで電源90から照明器具81へ電力が供給される期間(導通角)を調整する機能を有している。処理部23は、導通角を調整することによって、照明器具81の点灯及び消灯の切り換え、及び照明器具81の調光及び調色を行うことができる。このように、スイッチ20(対象機器2)は、制御対象の電気機器80としての照明器具81の動作を直接的に制御する。処理部23は、表示部211に照明器具81の画像が表示された状態で、操作部212にてユーザから適宜のタッチ操作を受け付けると、照明器具81の点灯状態を適宜変更する(点灯と消灯との切り換え、調光、調色等を行う)。
【0041】
また、処理部23は、照明器具81以外の電気機器82に、通信部22から制御装置を介して指示信号S1を送信することで、この電気機器82の動作を制御する。処理部23は、表示部211に電気機器82の画像が表示された状態で、操作部212にてユーザから適宜のタッチ操作を受け付けると、受け付けたタッチ操作に応じた指示内容を含む指示信号S1を、制御装置を介して電気機器82へ送信させる。このように、スイッチ20(対象機器2)は、制御対象の電気機器80としての電気機器82の動作を間接的に制御する。
【0042】
さらに、処理部23は、コンセント10からコマンドを含む指示信号S1を受け取ると、コマンドに従って、制御対象の電気機器80(照明器具81及び電気機器82)の動作を制御する。
【0043】
記憶部24は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリのような書き換え可能な不揮発性メモリを含んでいる。記憶部24には、処理部23の処理に利用される種々の情報が記憶される。記憶部24は、処理部23のメモリと兼用されてもよい。
【0044】
器体27は、タッチパネル21、通信部22、処理部23、記憶部24、位相制御部25、及び電源部26を収容する。
図2に示すように、器体27は、施設7の壁等の造営物に設置(固定)される。特に、器体27は、施設7において、コンセント10の筐体19の上方の位置に設置されてもよい。ここでの「上方」は、厳密な意味での筐体19の真上に限られず、許容範囲内の誤差を含み得る。このように、コンセント10(配線システム1)の筐体19は、施設7において、スイッチ20(対象機器2)の下方の位置に配置される。この場合、コンセント10とスイッチ20との間の配線長の増加を抑制することが可能となり、また、施工者による配線作業の簡略化を図ることが可能となる。器体27と筐体19とは、施設7において同一の壁に設置されていてもよい。
【0045】
通信装置3は、ここではユーザによって所持される携帯型の情報端末30である。情報端末30は、例えば、スマートフォンである。ただし、情報端末30は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ等)等であってもよい。
【0046】
図1に示すように、情報端末30は、操作部31と、表示部32と、通信部33と、処理部34と、を備える。
【0047】
操作部31は、情報端末30に情報を入力するために用いられる。操作部31は、情報端末30を操作するための入力装置を備える。入力装置は、例えば、タッチパッド及び/又は1以上のボタンを有する。入力装置は、タッチパッドに限定されず、キーボード又はポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ等であってもよい。入力装置は、音声入力装置を備えていてもよい。操作部31は、複数の入力装置を備えていてもよい。
【0048】
表示部32は、情報端末30から情報を出力するために用いられる。表示部32は、情報を表示するための画像表示装置を備える。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。なお、操作部31のタッチパッドと表示部32の画像表示装置とでタッチパネルが構成されてもよい。また、情報端末30は、情報を音で出力する音声出力装置を備えていてもよい。
【0049】
通信部33は、コンセント10の通信部13(より詳細には、第2通信部132)と通信する。通信部33は、例えば、Bluetoothの規格に準拠した通信インタフェースを備えている。すなわち、通信部33は、第2通信プロトコル(Bluetoothの通信プロトコル)に従って、コンセント10と通信する。
【0050】
処理部34は、例えばプロセッサ及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。つまり、処理部34は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理部34として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0051】
処理部34は、情報端末30の全体的な制御を行う、すなわち、操作部31、表示部32、及び通信部33を制御するように構成される。処理部34の機能は、処理部34の1以上のプロセッサが、プログラムを実行することで実現される。
【0052】
処理部34は、コンセント10に設定情報を登録させる処理(設定処理)を行わせる機能を有している。設定処理については、後述する。
【0053】
電気機器80は、施設7内の適宜の場所に配置(設置)される。電気機器80は、スイッチ20に接続されてスイッチ20により動作状態(点灯状態)が制御される照明器具81を含む。また、電気機器80は、照明器具81以外の電気機器82を含む。電気機器82の例は、空調装置、テレビ受像機、電動カーテンを含み得る。電気機器82は、制御装置を介してスイッチ20と通信する通信部を備えている。
【0054】
(2.2)配線システムの処理部
以下、コンセント10(配線システム1)の処理部12の機能について、より詳細に説明する。
【0055】
図1に示すように、処理部12は、音声認識部120と、設定処理部124と、を備えている。なお、音声認識部120及び設定処理部124は、実体のある構成ではなく、処理部12により実現される機能を示している。
【0056】
音声認識部120は、マイクロフォン11から出力される電気信号に基づいて音声認識(Speech recognition)を行う。ここでいう「音声認識」は、人の発する音声を文字列に変換する処理だけではなく、意味解析及び文脈解析等の自然言語処理を含んでいる。具体的には、音声認識部120は、電気信号と、記憶部14に予め記憶されている複数の音声モデルとを比較する。音声認識部120は、電気信号と一致する音声モデルが存在すれば、マイクロフォン11に入力された音に指示音声が含まれていると認識する。ここでいう指示音声は、制御対象の電気機器80に対して特定の機能の実行を指示する命令を示す音声を意味する。以下では、「電気機器80に対して特定の機能の実行を指示する命令」を、単に「コマンド」ということがある。また、記憶部14に記憶されている音声モデルを「コマンド候補」ということがある。また、本開示でいう「一致」とは、比較対象同士が完全に一致する場合に限らず、所定の類似度以上で類似していることも含む。
【0057】
本実施形態の「コマンド(コマンド候補)」は、制御対象の電気機器80を示す第1レイヤーと、電気機器80に対する命令の内容(制御内容)を示す第2レイヤーと、を含んでいる。第1レイヤーは、電気機器80の種類と、電気機器80の設置場所と、を含み得る。すなわち、「コマンド」は、第1レイヤーで示される電気機器80に対して、第2レイヤーで示される制御内容の実行を指示する命令であり得る。以下の表1に、記憶部14に記憶されている音声モデル(コマンド候補)の一例を示す。
【0058】
【0059】
表1の例では、第1レイヤーにおける「リビングエアコン」、「リビング照明」、「リビングテレビ」、「リビングカーテン」は、施設7のリビングに設置されている空調装置、照明器具、テレビ受像機、電動カーテンをそれぞれ示す。同様に、第1レイヤーにおける「寝室エアコン」、「寝室照明」、「寝室テレビ」、「寝室カーテン」は、施設7の寝室に設置されている空調装置、照明器具、テレビ受像機、電動カーテンをそれぞれ示す。
【0060】
第2レイヤーのうちで、空調装置に関連づけられた「冷房」、「暖房」、「送風」、「除湿」、「自動」はそれぞれ、空調装置の動作モードを「冷房」、「暖房」、「送風」、「除湿」、「自動」に切り換えることを指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、空調装置に関連づけられた「消して」は、空調装置の運転停止を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、空調装置に関連づけられた「温度上げて」、「温度下げて」はそれぞれ、空調装置の設定温度の増加、設定温度の減少を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、空調装置に関連づけられた「風強くして」、「風弱くして」はそれぞれ、空調装置の設定風量の増加、設定風量の減少を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、空調装置に関連づけられた「お休みモード」、「内部清浄」はそれぞれ、空調装置の動作モードのお休みモードへの切り換え、内部清浄モードへの切り換えを指示する制御内容を示す。
【0061】
第2レイヤーのうちで、照明器具に関連づけられた「つけて」、「消して」はそれぞれ、照明器具の点灯、消灯を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、照明器具に関連づけられた「明るくして」、「暗くして」はそれぞれ、照明器具の調光(調光レベルの増加及び減少)を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、照明器具に関連づけられた「全灯」は、照明器具の調光(調光レベルの100%への増加)を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、照明器具に関連づけられた「暖か色」、「白い色」はそれぞれ、照明器具の調色(暖色系への変更、寒色系への変更)を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、照明器具に関連づけられた「常夜灯」は、照明器具の常夜灯の点灯を指示する制御内容を示す。
【0062】
第2レイヤーのうちで、テレビ受像機に関連づけられた「つけて」、「消して」はそれぞれ、テレビ受像機の電源のオン、オフを指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、テレビ受像機に関連づけられた「チャンネルアップ」、「チャンネルダウン」はそれぞれ、テレビ受像機の選局の変更を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、テレビ受像機に関連づけられた「音量上げて」、「音量下げて」はそれぞれ、テレビ受像機の音量の増加、音量の減少を指示する制御内容を示す。
【0063】
第2レイヤーのうちで、電動カーテンに関連づけられた「開けて」、「閉めて」はそれぞれ、電動カーテンの開閉を指示する制御内容を示す。第2レイヤーのうちで、電動カーテンに関連づけられた「止めて」は、電動カーテンの開閉動作の停止を指示する制御内容を示す。
【0064】
第1レイヤーにおける「一括制御」、「全部」は、制御対象の電気機器80の全てを示す。第2レイヤーのうちで、複数機器に関連づけられた「つけて」、「消して」はそれぞれ、制御対象の電気機器80の全ての電源のオン、オフを指示する制御内容を示す。
【0065】
また、表1における「お休みモード」、「おはようモード」、「お出かけモード」、「在宅モード」はそれぞれ、対象のモードに対応付けられた一以上の電気機器80それぞれに対して、予め設定された制御内容を一括して指示するためのコマンド候補である。例えば、「お休みモード」は、リビング照明、寝室照明、リビングテレビ、寝室テレビ及びリビングエアコンの電源をオフし、寝室エアコンをお休みモードで動作させ、リビングカーテン及び寝室カーテンを閉めるためのコマンド候補である。これらのコマンド候補については、第1レイヤー及び第2レイヤーの区別はなく、一続きの文字列に対応する一つの音声モデルによって、一つのコマンド候補が構成されている。
【0066】
音声認識部120は、例えば、マイクロフォン11に入力された音の中に、第1レイヤーに含まれる音声モデルと第2レイヤーに含まれる音声モデルとが所定時間内に続けて認識された場合、マイクロフォン11に入力された音に指示音声が含まれている、と認識する。音声認識部120は、マイクロフォン11に入力された音に含まれる指示音声に基づいて、コマンドを認識する。
【0067】
このように、音声認識部120は、コマンド認識部121を備えている。コマンド認識部121は、電気信号に基づいて、マイクロフォン11に入力された音に含まれる音声を認識する音声認識を行い、認識した音声により示されるコマンドを認識する。コマンド認識部121は、記憶部14に記憶されている複数のコマンド候補に基づいて、認識した音声により示されるコマンドを認識する。
【0068】
なお、コマンド(コマンド候補)は、表1に示したものに限らず、適宜に変更/追加/削除されてよい。
【0069】
本実施形態の音声認識部120は、更に、マイクロフォン11に入力された音に基づく電気信号に基づいて話者認識(Speaker recognition)を行う機能を有している。話者認識とは、音声から話者を認識するコンピュータ上の処理である。ここでは、音声認識部120は、話者識別(Speaker identification)の技術を用いて、音声の話者を認識する。例えば、記憶部14には、一以上の対象者の音声の特徴量を示す情報が、登録音声情報として記憶されている。音声認識部120は、マイクロフォン11に入力された音声の特徴量を、記憶部14に記憶されている登録音声情報(対象者の音声の特徴量)と比較することで、話者を認識する。音声認識部120は、特に、マイクロフォン11に入力された音のうちで指示音声を示す音声について、その話者を認識する。
【0070】
このように、音声認識部120は、話者認識部122を備えている。話者認識部122は、コマンドを示す音声(指示音声)の話者を認識する。
【0071】
また、処理部12(音声認識部120)は、判断部123を備えている。判断部123は、話者認識部122で認識された話者の音声に関する話者音声情報(音声の特徴量)が、予め登録された対象者の音声に関する登録音声情報に一致するか否かを判断する。すなわち、判断部123は、話者認識部122で認識された話者が、対象者として登録されているか否かを判断する。なお、判断部123の処理は、上述の話者認識部122の処理と同時に並行して行われてもよい。また、話者認識部122の処理及び判断部123の処理は、上述のコマンド認識部121の処理と同時に並行して行われてもよい。
【0072】
処理部12は、判断部123にて、話者音声情報が登録音声情報に一致すると判断された場合にのみ、指示音声にて指示されたコマンドを含む指示信号S1を、通信部13(第1通信部131)から送信させる。言い換えれば、通信部13(第1通信部131)は、話者音声情報が登録音声情報に一致した場合に、指示信号S1を送信する。
【0073】
このように、本実施形態のコンセント10では、指示音声(コマンドを示す音声)の話者が、対象者として登録されている場合にのみ、コマンドを含む指示信号S1が送信される。そのため、対象者が意図していない指示信号S1がスイッチ20に送信されて電気機器80が誤動作してしまう可能性が、低減される。例えば、テレビジョン受像機が発する音声、電気機器が発する人工音等の生活音によって、電気機器80が誤動作する可能性が低減される。
【0074】
設定処理部124は、設定情報を登録する設定処理を行う。設定情報は、音声認識部120で利用される種々の情報を含む。設定処理部124は、情報端末30から送信される設定指示信号S2に応じて、設定情報を登録する。設定処理部124は、設定情報を記憶部14に記憶させる。
【0075】
設定情報は、例えば、複数のコマンド候補の各々について、有効と無効とのいずれかを示す情報を含み得る。設定情報は、例えば、新たに追加されるコマンド候補を示す情報を含み得る。設定情報は、例えば、コマンド候補のうちの制御内容(第2レイヤー)を変更する場合の、変更後の制御内容を示す情報を含み得る。設定情報は、例えば、コマンド候補を削除する場合の、削除されるコマンド候補を示す情報を含み得る。このように、通信部13(第2通信部132)は、情報端末30(通信装置3)から、複数のコマンド候補のうちの少なくとも一つのコマンド候補の設定に関する設定情報を受信する。
【0076】
また、本実施形態の設定処理部124は、登録処理部125を含む。登録処理部125は、登録音声情報を登録する。登録音声情報は、記憶部14に記憶(登録)される対象者の音声に関する情報であり、具体的には、対象者の音声の特徴量を示す情報である。登録音声情報は、例えば、対象者毎に、対象者の識別情報と紐付けて記憶部14に記憶(登録)される。対象者は、施設7としての戸建住宅の居住者を含み得る。また、対象者は、居住者の親族、友人、関係者等を含み得る。
【0077】
本実施形態のコンセント10では、登録処理部125は、情報端末30から送信される登録指示信号S20に応じて、登録音声情報の登録処理を行う。
【0078】
より詳細には、情報端末30は、操作部31によりユーザから適宜の入力操作を受け付けると、コンセント10に対して、登録指示信号S20を送信する。登録指示信号S20は、登録対象となる対象者を示す情報(対象者の識別情報)と、音声(音声を示す電気信号)の取得処理をコンセント10に開始させるための指示と、を含み得る。
【0079】
コンセント10(処理部12)は、通信部13(第2通信部132)にて登録指示信号S20を受信すると、マイクロフォン11にて音声の取得処理を開始する。コンセント10(処理部12)は、取得処理を開始してから所定の期間の間、マイクロフォン11にて音声の取得処理を実行する。処理部12は、取得された音声に基づく電気信号に基づいて、マイクロフォン11に入力された音声の特徴量を抽出し、抽出した特徴量を、対象者の識別情報と紐付けて登録音声情報として登録する(記憶部14に記憶させる)。
【0080】
このように、本実施形態のコンセント10では、登録処理部125は、情報端末30(通信装置3)から送信される登録指示信号S20に応じて、対象者の音声の情報の取得を開始する。そのため、例えば、コンセント10に設けられたスイッチ等への押し操作に応じて対象者の音声の情報の取得を開始する場合に比べて、コンセント10の構造の簡略化を図ることが可能となる。
【0081】
また、本実施形態のコンセント10では、登録処理部125は、コンセント10(配線システム1)のマイクロフォン11に入力された音に基づいて対象者の音声の情報を取得し、取得した対象者の音声の情報に基づいて登録音声情報を登録する。言い換えれば、登録処理部125は、音声認識部120が音声認識に利用する音を取得するためのマイクロフォン11にて取得された音声に基づいて、対象者の音声の情報を取得する。そのため、マイクロフォン11以外に入力された音声、例えば情報端末30の音声入力部に入力された音声に基づいて、対象者の音声の情報を取得する場合に比べて、音声認識部120による音声認識の精度の向上を図ることが可能となる。
【0082】
(2.3)動作
以下、ユーザが発する音声を認識して指示信号S1を送信する場合の通信システム100の動作について、
図3を参照して説明する。
【0083】
まず、マイクロフォン11に音が入力されると、マイクロフォン11は、入力された音に基づく電気信号を出力する。また、処理部12は、マイクロフォン11からの電気信号に基づいて音声認識処理を行う。具体的には、処理部12は、電気信号と音声モデル(第1レイヤーに含まれる音声モデル)とを比較し、電気信号と一致する音声モデルが存在するか否かを判断する。音声認識の結果、マイクロフォン11に入力された音に音声が含まれていなかったり(ST1:No)、電気信号と一致する音声モデルがなければ(ST2:No)、処理部12は、ステップST1へ戻ってマイクロフォン11からの電気信号の入力を待ち受ける。
【0084】
一方、音声認識の結果、マイクロフォン11に入力された音に音声が含まれており(ST1:Yes)、電気信号が第1レイヤーに含まれるいずれかの音声モデルと一致していれば(ST2:Yes)、処理部12は、音声の話者が、登録音声情報に登録されている対象者であるかを判断する。
【0085】
話者が対象者でない場合(ST3:No)、処理部12は、処理を終了する。話者が対象者の場合(ST3:Yes)、処理部12は、引き続いて受け取る電気信号が、音声モデル(第2レイヤーに含まれるいずれかの音声モデル)と一致するか否かを判断する。電気信号が第2レイヤーに含まれるいずれかの音声モデルと一致していれば(ST4:Yes)、処理部12は、音声で指示されるコマンドの内容を確定し(ST6)、コマンドを含む指示信号S1を出力する(ST7)。一方、第1レイヤーの音声モデルと一致する音声を検出してから、所定時間が経過しても、第2レイヤーの音声モデルと一致する音声が検出されなければ(ST5:Yes)、処理部12は処理を終了する。
【0086】
次に、登録処理を行う場合の通信システム100の動作について、
図4を参照して説明する。
【0087】
まず、操作部31を介してユーザから適宜の操作入力を受け付けると(ST11)、情報端末30は、コンセント10に登録処理を開始させるために、コンセント10へ登録指示信号S20を送信する(ST12)。また、情報端末30は、表示部32に、ユーザにコンセント10のマイクロフォン11へ向けて発声を促す適宜のメッセージ(例えば、「コンセントの前で、○○としゃべってください」)を表示させる。
【0088】
コンセント10は、登録指示信号S20を受信してから所定の期間の間、マイクロフォン11にて音声の取得処理を実行する(ST13)。
【0089】
音声を取得すると、コンセント10の処理部12は、取得した音声の特徴量を抽出し(ST14)、抽出した特徴量を、登録指示信号S20に含まれる識別情報と紐付けて登録音声情報として登録する(ST15)。
【0090】
以上説明したように、本実施形態では、負荷側コネクタ18を備えて施設7に設置される配線システム1(コンセント10)によって、対象機器2(スイッチ20)に指示信号S1を送信して対象機器2を制御することができる。そのため、本実施形態によれば、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
【0091】
また、本実施形態では、音声認識部120を備える配線システム1(コンセント10)が施設7の造営物に設置されているため、施設7内のスペースを有効に利用することが可能となる。
【0092】
(3)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0093】
本開示における通信システム100は、例えば配線システム1の処理部12、対象機器2の処理部23、通信装置3の処理部34等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理部12,23,34としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0094】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0095】
一変形例において、配線システム1はコンセント10に限らず、例えば引掛シーリングローゼット、USBコンセント等であってもよいし、スイッチ20(壁スイッチ)等であってもよい。
【0096】
一変形例において、通信部13は、スイッチ20を介さずに電気機器80と直接通信してもよい。つまり、対象機器2は電気機器80であってもよい。
【0097】
一変形例において、処理部12は、設定処理部124(登録処理部125を含む)を備えていなくてもよい。例えば、音声認識部120は、予め記憶部14に記憶されている音声モデルのみに基づいて、音声認識を行ってもよい。
【0098】
一変形例において、音声認識部120は、話者認識部122及び判断部123を備えていなくてもよい。
【0099】
一変形例において、第1通信プロトコルは、特定小電力無線の通信プロトコルに限らず、Bluetoothの通信プロトコル、Wi-Fi(登録商標)の通信プロトコル等の他の無線通信のプロトコルであってもよいし、有線通信の通信プロトコルであってもよいし、PLCの通信プロトコルであってもよい。
【0100】
一変形例において、第2通信プロトコルは、Bluetoothの通信プロトコルに限らず、特定小電力無線の通信プロトコル、Wi-Fi(登録商標)の通信プロトコル等の他の無線通信のプロトコルであってもよいし、有線通信の通信プロトコルであってもよい。第2通信部132は、USBコネクタ等のコネクタであってもよい。
【0101】
一変形例において、第1通信プロトコルと第2通信プロトコルとは同じであってもよい。通信部13は、通信インタフェースを一つのみ備えていてもよい。
【0102】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0103】
第1の態様の配線システム(1)は、電源側コネクタ(17)と、負荷側コネクタ(18)と、マイクロフォン(11)と、コマンド認識部(121)と、通信部(13)と、を備える。電源側コネクタ(17)は、外部の電源(90)に接続される。負荷側コネクタ(18)は、外部の電気機器に接続され、電源側コネクタ(17)を介して電源(90)から受け取った電力を電気機器に出力する。マイクロフォン(11)は、入力された音に基づく電気信号を出力する。コマンド認識部(121)は、電気信号に基づいて音声認識を行い、認識した音声により示されるコマンドを認識する。通信部(13)は、コマンド認識部(121)で認識されたコマンドを含む指示信号(S1)を、外部の対象機器(2)へ送信する。
【0104】
この態様によれば、負荷側コネクタ(18)を備えて施設(7)に設置される配線システム(1)によって、対象機器(2)に指示信号(S1)を送信して対象機器(2)を制御することができる。そのため、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
【0105】
第2の態様の配線システム(1)は、第1の態様において、筐体(19)を更に備える。筐体(19)は、マイクロフォン(11)、コマンド認識部(121)、通信部(13)、電源側コネクタ(17)、及び負荷側コネクタ(18)を収容する。筐体(19)は、施設(7)の造営面に設置される。筐体(19)は、施設(7)において、対象機器(2)の下方の位置に配置される。
【0106】
この態様によれば、施工者による配線作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0107】
第3の態様の配線システム(1)は、第1又は第2の態様において、話者認識部(122)と判断部(123)とを更に備える。話者認識部(122)は、電気信号に基づいて、コマンドを示す音声の話者を認識する。判断部(123)は、話者認識部(122)で認識された話者の音声に関する話者音声情報が、予め登録された対象者の音声に関する登録音声情報に一致するか否かを判断する。通信部(13)は、話者音声情報が登録音声情報に一致した場合に、指示信号(S1)を送信する。
【0108】
この態様によれば、ユーザが意図していない指示信号(S1)が対象機器(2)に送信される可能性が、低減される。
【0109】
第4の態様の配線システム(1)は、第3の態様において、登録音声情報を登録する登録処理部(125)を、更に備える。登録処理部(125)は、配線システム(1)のマイクロフォン(11)に入力された音に基づいて対象者の音声の情報を取得し、取得した対象者の音声の情報に基づいて登録音声情報を登録する。
【0110】
この態様によれば、マイクロフォン(11)以外に入力された音声、例えば通信装置(3)の音声入力部に入力された音声に基づいて、対象者の音声の情報を取得する場合に比べて、音声認識の精度の向上を図ることが可能となる。
【0111】
第5の態様の配線システム(1)では、第4の態様において、通信部(13)は、外部の通信装置(3)と通信を行う。登録処理部(125)は、通信装置(3)から送信される登録指示信号(S20)に応じて、対象者の音声の情報の取得を開始する。
【0112】
この態様によれば、配線システム(1)の構造の簡略化を図ることが可能となる。
【0113】
第6の態様の配線システム(1)では、第1~第5のいずれか1つの態様において、通信部(13)は、更に、外部の通信装置(3)と通信を行う。通信部(13)は、第1通信プロトコルに従って対象機器(2)と通信する。通信部(13)は、第1通信プロトコルとは異なる第2通信プロトコルに従って通信装置(3)と通信する。
【0114】
この態様によれば、対象機器(2)との通信及び通信装置(3)との通信それぞれに対して、適した通信プロトコルを採用することが可能となる。
【0115】
第7の態様の配線システム(1)は、第6の態様において、複数のコマンド候補を記憶する記憶部(14)を更に備える。コマンド認識部(121)は、複数のコマンド候補に基づいて、認識した音声により示されるコマンドを認識する。通信部(13)は、通信装置(3)から、複数のコマンド候補のうちの少なくとも一つのコマンド候補の設定に関する設定情報を受信する。
【0116】
この態様によれば、通信装置(3)を用いてコマンド候補の設定を行うことが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0117】
第8の態様の通信システムは、第1~第7のいずれか1つの態様の配線システム(1)と、対象機器(2)と、を備える。
【0118】
この態様によれば、ユーザの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0119】
1 配線システム
11 マイクロフォン
121 コマンド認識部
122 話者認識部
123 判断部
125 登録処理部
13 通信部
14 記憶部
17 電源側コネクタ
18 負荷側コネクタ
19 筐体
2 対象機器
3 通信装置
7 施設
90 電源
S1 指示信号
S20 登録指示信号