(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】高結晶性ポリアミドフォーム粒子、フォーム成形品
(51)【国際特許分類】
C08J 9/18 20060101AFI20240920BHJP
C08L 77/02 20060101ALI20240920BHJP
C08L 77/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08J9/18 CFG
C08L77/02
C08L77/06
(21)【出願番号】P 2022517461
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2020075443
(87)【国際公開番号】W WO2021052881
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-09-08
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ロンゴ-シェデル,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ケイロス ダ フォンセカ,イサ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シュピース,パトリク
(72)【発明者】
【氏名】ホルシュー,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ビルリ,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,アンゲリカ
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-514139(JP,A)
【文献】特開昭59-059745(JP,A)
【文献】特開昭61-095066(JP,A)
【文献】特開昭59-078235(JP,A)
【文献】特表2021-530601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00- 9/42
B29C 44/00-44/60;67/20
C08G 69/00-69/50
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25~95質量%の、コポリアミド(B)とは異なる少なくとも1種のポリアミド、及び
(B)5~75質量%の、以下の成分
(B1)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
(B2)16~85質量%の、
(M1)少なくとも1種のC
32~C
40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC
4~C
12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造される少なくとも1種のコポリアミドであって、成分(B1)と(B2)の合計が100質量%である、少なくとも1種のコポリアミド
を含むポリマー混合物を含む、ポリアミドフォーム粒子。
【請求項2】
前記モノマー混合物(M)が、それぞれの場合に成分(M)の総モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(M1)及び45~55モル%の範囲の成分(M2)を含む、請求項1に記載のポリアミドフォーム粒子。
【請求項3】
成分(B1)が、3-アミノプロパノールラクタム、4-アミノブタノールラクタム、5-アミノペンタノールラクタム、6-アミノヘキサノールラクタム、7-アミノヘプタノールラクタム、8-アミノオクタノールラクタム、9-アミノノナノールラクタム、10-アミノデカノールラクタム、11-アミノウンデカノールラクタム及び12-アミノドデカノールラクタムからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のポリアミドフォーム粒子。
【請求項4】
成分(M2)が、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びドデカメチレンジアミンからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリアミドフォーム粒子。
【請求項5】
前記少なくとも1種のコポリアミド(B)が、150~210℃の範囲の、ISO 11357-2:2014に従って決定された融点T
mを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリアミドフォーム粒子。
【請求項6】
40~90質量%のポリアミド(A)、及び10~60質量%のコポリアミド(B)からなるポリマー混合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアミドフォーム粒子。
【請求項7】
かさ密度が100~500kg/m
3の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリアミドフォーム粒子。
【請求項8】
以下の工程、
a) (A)25~95質量%の少なくとも1種のポリアミド、
(B)5~75質量%の、以下の成分
(B1)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
(B2)16~85質量%の、
(M1)少なくとも1種のC
32~C
40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC
4~C
12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造される少なくとも1種のコポリアミドであって、成分(B1)と(B2)の合計が100質量%である、少なくとも1種のコポリアミド、
を含むポリマー混合物を提供する工程と、
b)前記ポリマー混合物を溶融し、溶融前又は溶融後に、100%の前記ポリマー混合物に基づいて0~5質量%の核剤を添加する工程と、
c)溶融したポリマー混合物に、100%の前記ポリマー混合物に基づいて0.1~4.0質量%の二酸化炭素、窒素又はそれらの混合物を含浸させて、含浸したポリマー溶融物を形成させる工程と、
d)含浸したポリマー溶融物を水中ペレタイザーで押し出し、造粒して、ポリアミドフォーム粒子を形成する工程と
を含む、ポリアミドフォーム粒子を製造する方法。
【請求項9】
核剤として0.1~1質量%のタルカムを添加する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
100~150℃の範囲の温度で、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリアミドフォーム粒子の蒸気箱成形によって、ポリアミド粒子フォーム成形品を製造する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により得ることができる、ポリアミド粒子フォーム成形品。
【請求項12】
請求項11に記載のポリアミド粒子フォーム成形品の、自動車、航空宇宙及び消費者産業における構造部品の補強のための使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(A)25~95質量%の、コポリアミド(B)とは異なる少なくとも1種のポリアミド、及び
(B)5~75質量%の、以下の成分
(B1)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
(B2)16~85質量%の、
(M1)少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC4~C12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造される少なくとも1種のコポリアミドであって、成分(B1)と(B2)の合計が100質量%である、少なくとも1種のコポリアミド
を含むポリマー混合物を含むポリアミドフォーム粒子、このようなポリアミドフォーム粒子の製造方法、及び蒸気箱成形(steam-chest molding)により得ることができるポリアミド粒子フォーム成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 2014/198779は、ポリマー溶融物にCO2及び/又はN2を含浸させ、含浸させた溶融物をダイプレートを通して水中ペレタイザーに押し出して、閉じたスキンを有する膨張造粒顆粒を得ることによって100%を超える破断伸度を有する熱可塑性エラストマーから膨張造粒顆粒を製造する方法に関するものである。
【0003】
WO 2017/013510は、50~90質量%の半結晶性樹脂及び10~50質量%のポリ(フェニレンエーテル)を含む発泡材料を開示している。半結晶性樹脂は、ポリアミド、ポリエステル、及びポリオレフィンのうちの1つ以上であることができる。この発泡材料は、40~700kg/m3の密度を有する。半結晶性樹脂及びポリ(フェニレンエーテル)を含有する溶融熱可塑性材料に発泡剤を添加し、それによって予備発泡した溶融熱可塑性材料を形成し、予備発泡した溶融熱可塑性材料を押し出して発泡材料を形成することにより製造することができる。この発泡材料は、耐溶剤性が要求される物品の形成に有用である。
【0004】
WO 2011/134996及びUS 2011/294910は、A)成分A1)少なくとも55質量%(成分A1)とA2)の合計に基づいて)の、30%以下の結晶化度、任意に100~340℃の範囲の融点及び0~150℃の範囲のガラス転移温度を有するポリアミド、及び成分A2)0~45質量%の成分A1)とは異なる1種以上の熱可塑性ポリマーからなるポリマーマトリックス;B)物理発泡剤成分、及び任意にさらなる添加剤を含有する膨張性顆粒に関し、ここで、前記膨張性顆粒は、自動車産業、航空産業、建築産業、包装産業、スポーツ及びレクリエーション産業、輸送及び/又は建設における使用のための微粒子フォームを製造するのに適している。低密度のフォーム粒子を得るために、この膨張性顆粒は予備発泡工程で膨張させなければならない。
【0005】
EP 3 272 798 A1は、ポリアミド樹脂を含有し、結晶化度Xが10~50%であり、X線回折プロファイルにおいて最小のピーク幅を有するピークに基づいて計算したときの結晶子サイズDが10nm以上であることを特徴とするポリアミド樹脂フォーム成形物品、及びその製造方法を開示している。二酸化炭素ガスを含有する基材樹脂を加熱して発泡させ、それによって密度が300kg/m3である予備膨張した粒子を得た。
【0006】
PCT/EP2019/068716は、85~100質量%の長鎖ポリアミドを含むポリアミドをベースとするフォーム粒子、及びその製造方法に関するものである。
【0007】
WO 2018/050487は、少なくとも1種のコポリアミドを含むポリマーフィルムであって、このコポリアミドが、少なくとも1種のラクタムと、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸及びC4~C12ジアミンを含むモノマー混合物とを重合することによって製造されるポリマーフィルム、このポリマーフィルムの製造方法、及び包装フィルムとしてのこのポリマーフィルムの使用方法に関する。
【0008】
US 4 212 777は、成形、押出又は紡糸用の、ダイマー脂肪酸、ヘキサメチレンジアミン及びカプロラクタムから得られる、直鎖で柔軟な高引張強度のコポリアミドに関するものである。
【0009】
自動車産業では、軽量な構造部品に使用し、電着塗装プロセスをパスすることができる、高温安定性及び十分な機械的安定性を備えた構造及び半構造フォームが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO 2014/198779
【文献】WO 2017/013510
【文献】WO 2011/134996
【文献】US 2011/294910
【文献】EP 3 272 798 A1
【文献】PCT/EP2019/068716
【文献】WO 2018/050487
【文献】US 4 212 777
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に電着塗装プロセスのような高温条件をパスするのに適した、高温安定性を有する粒子フォーム成形品の製造のためのフォーム粒子、そのようなフォーム粒子の製造方法、及び粒子フォーム成形品を提供することにある。特に、このフォーム粒子は、高い結晶化度を有し、連続的なワンステッププロセスによって低いかさ密度で得ることができ、高温での高い貯蔵弾性率E’及び高い熱変形温度を有する粒子フォーム成形品に変換可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、
(A)25~95質量%の、コポリアミド(B)とは異なる少なくとも1種のポリアミド、及び
(B)5~75質量%の、以下の成分
(B1)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
(B2)16~85質量%の、
(M1)少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC4~C12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造される少なくとも1種のコポリアミドであって、成分(B1)と(B2)の合計が100質量%である、少なくとも1種のコポリアミド
を含むポリマー混合物を含むポリアミドフォーム粒子によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、ポリアミドフォーム粒子は、100~500kg/m3の範囲、最も好ましくは150~280kg/m3の範囲のかさ密度を有する。
【0014】
ポリマー混合物はフォーム粒子のマトリックスを形成する。ポリアミドフォーム粒子は、好ましくは80~100質量%のポリマー混合物及び0~20質量%の添加剤(C)、より好ましくは85~99.9質量%のポリマー混合物及び0.1~15質量%の添加剤(C)を含む。好ましくは、ポリマー混合物は成分(A)及び(B)からなる。より好ましくは、ポリアミドフォーム粒子は、40~90質量%のポリアミド(A)及び10~60質量%のコポリアミド(B)からなるポリマー混合物を含む。
【0015】
ポリアミドフォーム粒子は、さらなる添加剤(C)、例えば核剤、発泡剤、染料、顔料、難燃剤、IR吸収剤及び/又は無機フィラーを含んでもよい。全ての添加剤(C)の総量は、好ましくは、100%のポリマー混合物に基づいて、0~20質量%の範囲である。より好ましくは、添加剤(C)の総量は、100%のポリマー混合物に基づいて、最も好ましくは100%の成分(A)及び(B)の合計に基づいて、0.1~15質量%の範囲である。ポリアミド粒子は、成分(A)及び(B)の合計に基づいて、(C)好ましくは0~5質量%、より好ましくは0.1~1質量%の核剤を含む。好ましくは、核剤はタルカム(滑石、talcum)である。成分(A)及び(B)の合計は、ポリアミドフォーム粒子のすべてのポリマー成分に基づいて、好ましくは100%である。
【0016】
好ましくは、ポリアミドフォーム粒子は、
(A)25~95質量%の、コポリアミド(B)とは異なる少なくとも1種のポリアミド、及び
(B)5~75質量%の、以下の成分
(B1)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
(B2)16~85質量%の、
(M1)少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC4~C12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造される少なくとも1種のコポリアミドであって、成分(B1)と(B2)の合計が100質量%である、少なくとも1種のコポリアミド、
(C) (A)及び(B)の合計に基づいて0.1~1質量%の核剤
を含む。
【0017】
成分(A)
成分(A)は、コポリアミド(B)とは異なる少なくとも1種のポリアミドを含む。好ましくは、成分(A)は、
(M1)少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC4~C12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)により製造されるコポリアミドを含まない。
【0018】
好ましくは、成分(A)は、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリブチレンアジパミド(PA 4.6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA 6.6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA 6.10)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(PA 6.12)、ポリ-11-アミノウンデカンアミド(PA 11)、ポリラウロラクタム(PA 12)、ポリ-mキシリレンアジポアミド(PAMXD 6)、ポリペンタメチレンセバカミド(PA 510)、6T/Z(Z=ラクタム)、6T/6I、6T/6I/XY、6T/XT(X=直鎖又は分岐状C4~C18-ジアミン)、XT(X=C4~C18-ジアミン)、6.12.PA PACM 12(PACM=p-ジアミノジシクロヘキシルメタン)、PA MACM 12(MACM=3,3-ジメチル-pジアミノジシクロヘキシルメタン)、PA MPMD 6(MPMD=2-メチルペンタメチレンジアミン)、PA MPMD T、PA MPMD 12、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(PA 6I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコヘキサメチレンテレフタルアミド(PA 6I/6T)、PA 6-3-T(テレフタル酸ポリアミド、及び2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの混合物)、ポリブチレンセバカミド(PA 4.10)、ポリデカメチレンセバカミド(PA 10.10)、ポリペンタメチレンアジパミド(PA 5.6)、PA 6/66及びPA 66/6、PA 6Y(Y=C4~C18-二酸)、及びそれらのアミド交換生成物からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含む。
【0019】
最も好ましくは、成分(A)は、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA 6.6)及びポリヘキサメチレンセバカミド(PA 6.10)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコヘキサメチレンテレフタルアミド(PA 6I/6T)、又はこれらの混合物、特にポリカプロラクタム(PA6)と(PA 6I/6T)からの混合物からなる群から選択される。
【0020】
また、特に好ましいのは、20%を超える結晶化度、任意に100~340℃の範囲の融点Tm(DIN EN ISO 11357-3:2014)及び40~135℃の範囲のガラス転移温度(DIN EN ISO 11357-2:2014)を有するポリアミド(A)である。本発明によれば、結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)DIN EN ISO 11357_3_2018を使用して、溶融信号の積分によって決定され、100%の結晶化度は230J/gに相当する(Journal of Polymer Science Part B Polymer Physics 35(1997) 2219-2231)。
【0021】
成分(B)
本発明によれば、少なくとも1種のコポリアミドは、15~84質量%の成分(B1)及び16~85質量%の成分(B2)を重合することにより製造された。好ましくは、このコポリアミドは、40~83質量%の成分(B1)及び17~60質量%の成分(B2)を重合することにより製造された。特に好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドは、60~80質量%の成分(B1)及び20~40質量%の成分(B2)を重合することにより製造された。ここでは、成分(B1)と(B2)の合計は100%である。
【0022】
成分(B1)及び(B2)の重合は、触媒の存在下で行われてもよい。好適な触媒は、当業者に知られており、成分(B1)及び(B2)の重合を触媒する全ての触媒である。この種の触媒は、当業者に知られている。好ましい触媒は、リン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィン又はトリフェニルホスファイトである。
【0023】
成分(B1)及び(B2)の重合は、コポリアミドを形成し、そのため、成分(B1)に由来する構造単位及び成分(B2)に由来する構造単位を受け取る。成分(B2)に由来する構造単位は、成分(M1)及び(M2)に由来する構造単位を含む。
【0024】
好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドは、ランダムコポリマーである。
【0025】
少なくとも1種のコポリアミドは、典型的に20~50℃の範囲、好ましくは23~47℃の範囲、特に好ましくは25~45℃の範囲の、DIN EN ISO 11357-2:2014に従って決定されたガラス転移温度(Tg)を有する。
【0026】
少なくとも1種のコポリアミドは、典型的に150~210℃の範囲、好ましくは160~205℃の範囲、特に好ましくは160~200℃の範囲の、DIN EN ISO 11357-3:2014に従って決定された融点(Tm)を有する。
【0027】
少なくとも1種のコポリアミドは、一般に、1:1の質量比のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中の少なくとも1種のコポリアミドの0.5質量%溶液で決定される粘度数(VN)が150~300mL/gの範囲である。好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドの粘度数(VN)は、1:1の質量比のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中の少なくとも1種のコポリアミドの0.5質量%溶液で決定され、160~290mL/gの範囲であり、より好ましくは170~280mL/gの範囲である。
【0028】
成分(B1)
成分(B1)は、少なくとも1種のラクタムである。本発明の文脈では、ラクタムは、環内に好ましくは4~12個、より好ましくは5~8個の炭素原子を有する環状アミドを意味すると理解される。
【0029】
好適なラクタムは、例えば、3-アミノプロパノールラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム;β-プロピオラクタム)、4-アミノブタノールラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、5-アミノペンタノールラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサノールラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノールラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノールラクタム)、8-アミノオクタノールラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノールラクタム)、9-アミノノナノールラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノールラクタム)、10-アミノデカノールラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノールラクタム)、11-アミノウンデカノールラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノールラクタム)、及び12-アミノドデカノールラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノールラクタム)からなる群から選択される。
【0030】
ラクタムは、非置換であっても、少なくとも一置換であってもよい。少なくとも一置換のラクタムが使用される場合、これらは、窒素原子上及び/又は環の炭素原子上に、C1~C10-アルキル、C5~C6-シクロアルキル及びC5~C10-アリールからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基を有してもよい。
【0031】
好適なC1~C10-アルキル置換基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルである。好適なC5~C6-シクロアルキル置換基の例は、シクロヘキシルである。好ましいC5~C10-アリール置換基は、フェニル及びアントラニルである。
【0032】
非置換のラクタム、好ましくはγ-ラクタム(γ-ブチロラクタム)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)及びε-ラクタム(ε-カプロラクタム)を使用することが好ましい。δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)及びε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が特に好ましく、ε-カプロラクタムが特に好ましい。
【0033】
モノマー混合物(M)
本発明によれば、成分(B2)はモノマー混合物(M)である。モノマー混合物(M)は、成分(M1)少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、及び(M2)少なくとも1種のC4~C12ジアミンを含む。
【0034】
モノマー混合物(M)は、それぞれの場合にモノマー混合物(M)の総モル量に基づいて、例えば45~55モル%の範囲の成分(M1)及び45~55モル%の範囲の成分(M2)、好ましくは47~53モル%の範囲の成分(M1)及び47~53モル%の範囲の成分(M2)、より好ましくは49~51モル%の範囲の成分(M1)及び49~51モル%の範囲の成分(M2)を含む。
【0035】
成分(B2)は、成分(M3)少なくとも1種のC4~C20二酸をさらに含んでもよい。好ましくは、成分(B2)は、成分(M1)及び(M2)からなる。
【0036】
成分(M1)
本発明によれば、成分(M1)は少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸である。本発明の文脈において、「少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸」は、正確に1種のC32~C40ダイマー酸、又は2種以上のC32~C40ダイマー酸の混合物のいずれかを意味する。少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸の製造に適した不飽和脂肪酸は、当業者に知られており、例えば、不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸及び不飽和C20脂肪酸である。
【0037】
特に好ましくは、成分(M1)は少なくとも1種のC36ダイマー酸である。少なくとも1種のC36ダイマー酸は、好ましくは、不飽和C18脂肪酸から進行して製造される。より好ましくは、C36ダイマー酸は、ペトロセル酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)及びリノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択されるC18脂肪酸から進行して製造される。不飽和脂肪酸からの成分(M1)の製造において、トリマー酸がさらに生成される場合があり、未反応の不飽和脂肪酸の残留が残る可能性もある。
【0038】
本発明によれば、成分(M1)は、それぞれの場合に成分(M1)の総質量に基づいて、好ましくは0.5質量%以下の未反応の不飽和脂肪酸及び0.5質量%以下のトリマー酸、より好ましくは0.2質量%以下の未反応の不飽和脂肪酸及び0.2質量%以下のトリマー酸を含む。
【0039】
使用するダイマー酸は市販品として入手可能である。これらの例には、Oleon社のRadiacid 0970、Radiacid 0971、Radiacid 0972、Radiacid 0975、Radiacid 0976及びRadiacid 0977、Croda社のPripol 1006、Pripol 1009、Pripol 1012及びPripol 1013、BASF SE社のEmpol 1008、Empol 1012、Empol 1061及びEmpol 1062、並びに、Arizona Chemical社のUnidyme 10及びUnidyme Tlが含まれる。
【0040】
成分(M1)は、例えば190~200mg KOH/gの範囲の酸価を有する。
【0041】
成分(M2)
本発明によれば、成分(M2)は少なくとも1種のC4~C12ジアミンである。本発明の文脈において、「少なくとも1種のC4~C12ジアミン」は、正確に1種のC4~C12ジアミン又は2種以上のC4~C12ジアミンの混合物のいずれかを意味する。
【0042】
好適な成分(M2)は、例えば、1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(ウンデカメチレンジアミン)及び1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される。
【0043】
好ましくは、成分(M2)は、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びドデカメチレンジアミンからなる群から選択される。
【0044】
成分(M3)
本発明によれば、成分(B2)に存在する任意の成分(M3)は、少なくとも1種のC4~C20二酸である。本発明の文脈において、「少なくとも1種のC4~C20二酸」は、正確に1種のC4~C20二酸又は2種以上のC4~C20二酸の混合物のいずれかを意味する。
【0045】
好適な成分(M3)は、例えば、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼラン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸及びヘキサデカン二酸からなる群から選択される。
【0046】
好ましくは、成分(M3)は、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、デカン二酸(セバシン酸)及びドデカン二酸からなる群から選択される。
【0047】
成分(C)
ポリアミドフォーム粒子は、ポリマー混合物に加えて、核剤、残留発泡剤、染料、顔料、難燃剤、IR吸収剤及び/又は無機フィラーなどのさらなる添加剤を含んでもよい。最も好ましくは、タルカムが成分(C)として使用される。
【0048】
本発明は、上記のポリアミドフォーム粒子の製造方法にも関し、この方法は、以下の工程、
a) (A)25~95質量%の少なくとも1種のポリアミド、
(B)5~75質量%の、以下の成分
(B1)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
(B2)16~85質量%の、
(M1)少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、及び
(M2)少なくとも1種のC4~C12ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造される少なくとも1種のコポリアミドであって、成分(B1)と(B2)の合計が100質量%である、少なくとも1種のコポリアミド、
を含むポリマー混合物を提供する工程と、
b)ポリマー混合物を溶融し、溶融前又は溶融後に、100%のポリマー混合物に基づいて0~5質量%、好ましくは0.1~1質量%の核剤を添加する工程と、
c)溶融したポリマー混合物に、100%のポリマー混合物に基づいて0.1~4.0質量%、好ましくは0.2~2.5質量%の二酸化炭素、窒素又はそれらの混合物を含浸させて、含浸したポリマー溶融物を形成させる工程と、
d)含浸したポリマー溶融物を水中ペレタイザーで押し出し、造粒して、ポリアミドフォーム粒子を形成する工程と
を含む。
【0049】
好ましくは、タルカムは、工程b)における核剤(成分(C)として使用される。
【0050】
好ましいポリアミドフォーム粒子の製造方法の工程a)では、上記のように成分(A)及び(B)を含むポリマー混合物が提供される。
【0051】
発泡剤として二酸化炭素、窒素又はそれらの混合物、及び任意に核剤及び他の補助添加剤を含むポリマー溶融物は、好ましくは150℃~350℃の間の温度に制御された有孔ディスク(perforated disk)を通してペレット化チャンバー中に押し出され、切断装置を使用して温度制御された有孔ディスクを通して押し出されたポリマー溶融物を個々の膨張ペレットに粉砕し、液体流を用いてペレットをペレット化チャンバーから排出する。
【0052】
ポリマー溶融物、発泡剤、及び任意にさらなる補助剤、例えばIR吸収剤(すなわち、グラファイト、カーボンブラック)又はエタノール、水、アセトンなどの共発泡剤を含むポリアミド粒子フォームの製造には、一般的に、押出機及び/又はメルトポンプが使用される。これらの装置は、ポリマー溶融物を有孔ディスクに通して押し出すのに必要な圧力を発生させるためにも使用される。本発明の方法では、溶融物をその後のペレット化に必要な温度まで上昇させる。ペレット化に必要な圧力及び溶融物に必要な温度は、ポリマー、補助剤、発泡剤、及び成分間の混合比に依存する。ポリマー溶融物は、温度制御された有孔ディスクを通ってペレット化チャンバー中に入る。ペレット化チャンバーは、圧力が常圧より0.1バール~20バール、好ましくは0.5バール~15バール高い、温度制御された液体の流れによって横断される。
【0053】
ペレット化チャンバーでは、温度制御された有孔ディスクを通過したポリマーがストランドに成形され、切断装置によって個々の膨張ペレットに粉砕される。切断装置は、例えば高速回転するブレードとして具体化することができる。得られるペレットの形状は、有孔ディスクの開口部の形状及びサイズ、及び溶融物が有孔ディスクの孔から押し出される圧力、及び切断装置の速度に依存する。ペレットの形状が実質的に球形又は楕円形になるように、押し出し圧力、切断装置の速度及び有孔ディスクの孔の大きさを選択することが好ましい。
【0054】
ペレットは、ペレット化チャンバーを通して流れる温度制御された液体によって、ペレット化チャンバーから排出される。温度制御された液体の圧力と温度は、ポリマーストランド/ペレットが、それらが含有する発泡剤によって制御された方法で膨張し、ペレットの表面に途切れのないスキンが生成されるように選択される。ペレットが制御された膨張を受け、途切れのない発泡スキンが形成されるために、ペレット化チャンバー内の液体の温度は、好ましくは5℃~90℃の間である。液体の温度は、好ましくは10℃~90℃の間、より好ましくは50℃~80℃の間である。本発明によれば、温度制御された有孔ディスクの温度は、好ましくは150℃~350℃の間、より好ましくは250℃~320℃の間である。
【0055】
ペレットは、温度制御された液体とともに乾燥機に流れ込み、そこでペレットと液体が分離される。最終的に膨張したペレットは容器に集められ、液体は濾過され、ポンプによってペレット化チャンバーに戻される。
【0056】
フォーム粒子のより低いかさ密度は、加圧空気又は蒸気、IR-又はマイクロ波放射によるさらなる膨張によって達成される。
【0057】
本発明のさらなる主題は、100~150℃の範囲の温度で本発明によるポリアミドフォーム粒子の蒸気箱成形によってポリアミド粒子フォーム成形品を製造する方法、及びこの方法により得ることができるポリアミド粒子フォーム成形品である。他の溶着技術、例えば無線周波数及びバリオサーム(変温管理、variotherm)(Fox Velution)、Artecamaも好適である。
【0058】
ポリアミド粒子フォーム成形品は、車体部品(carrosserie parts)の構造補強のために使用することができる。
【0059】
本発明による粒子フォーム成形品は、高い熱変形温度を示し、120~200℃の範囲の温度において良好な衝突吸収のような良好な機械的特性を有する。この粒子フォーム成形品のさらなる利点は、等方性挙動、対称フォーム構造、複雑な3D形状の可能性及び調整可能な密度プロファイルである。この粒子フォーム成形品は、好ましくは、自動車、航空宇宙及び消費者産業における構造部品、例えば車体部品、風力発電所のブレードインレイ、スポーツ又はレジャー用の機器、輸送又は包装の補強に使用される。
【実施例】
【0060】
原料:
Ultramid(登録商標)B 40:ポリアミド6、BASF SE社、密度が1120~1150kg/m3、粘度数(VN)が240~260ml/g、融点が220℃、
Ultramid(登録商標)Flex F 38:コポリアミド6/6.36、BASF SE社、密度が1060~1090kg/m3、相対粘度(RV)が3.7~3.9、融点が199℃、
Selar(登録商標)PA3426:ポリアミド6I/6T、DuPont社、密度が1.19g/cm3、アモルファスナイロン(ポリアミド)樹脂、ガラス転移温度が125℃、
タルク:Talc microtalk IT extra、モンドミネラル、平均粒径d50%<2μm、
発泡剤:Carbon dioxide 4.6(CO2)、Praxair社、純度99.999%、Nitrogen 5.0(N2)、Praxair社、純度99.999%。
【0061】
方法:
DIN ISO 697:1982に従って、膨張性又は膨張した顆粒の粒子かさ密度を決定した。
【0062】
DIN EN ISO 845--10:2009に従って、部品密度を測定した。
【0063】
DIN EN ISO 11357-2:2014に従って、20K/分の加熱速度で、DSCによりガラス転移温度Tgを決定した。
【0064】
DIN EN ISO 11357-3:2014に従って、DSCにより融点Tmを決定した。
【0065】
示差走査熱量測定(DSC)により、融解信号の積分によって、相対結晶化度を決定し、100%の結晶化度は230J/gに相当する(Journal of Polymer Science Part B Polymer Physics 35(1997)2219~2231)。DIN EN ISO 11357_3:2018に従って、本発明による測定を実施した。
【0066】
20~230℃の範囲でDIN 53424:1978に従って、Gabo Eplexor 500及び1Hzの周波数を用いて、熱変形温度を測定した。乾燥したサンプル(7d/80℃/真空)を使用した。
【0067】
-50~230℃の範囲でISO 6721-1:2019に従って、Gabo Eplexor 500及び1Hzの周波数を用いて、DMTAにより貯蔵弾性率E’を決定した。乾燥したサンプル(7d/80℃/真空)を使用した。
【0068】
実施例1~11及び比較例C1~C4:
18mmのスクリュー径及び40の長さ対直径の比を有するLeistritz社の、長さが等しい8つのゾーン(Z1~Z8)に分割された二軸押出機、メルトポンプ(MP)、起動バルブ(SV)、メルトフィルター、有孔ダイプレート(DP)及び水中ペレタイザー(UWP)からなる装置で、溶融含浸を行った。
【0069】
ポリアミドをポリエチレン袋中のタルクと一緒に混合し、投与ユニットを介して二軸押出機に供給した。押出機の1/3において、ポリアミドを溶融した。押出機の長さの約1/3の後、iscoポンプ(Axel Semrau社のピストンポンプ)の助けを借りて推進剤(propellant)を送り込み、押出機内に注入した。押出機の残りの部分において、二軸押出機の温度制御によってポリマー溶融物を冷却した。ポリマー溶融物の温度は、有孔プレートを通過するとき、ゾーン8で設定された温度に対応した。メルトポンプ(MP)により、押出機内の圧力プロファイルを、発泡剤がポリマー溶融物に完全に混合されるように設定した(圧力速度制御)。二軸押出機の圧力プロファイルを設定することに加えて、メルトポンプは発泡剤を搬送する役割も果たし、ポリマー溶融物を次の装置(起動バルブ、メルトスクリーン、及び有孔プレート)を通して押し出した。有孔プレート(1mmの直径を有する穴1個)を通って出てきた溶融ストランドを、圧力で水中ペレタイザー(UWP)に導入し、約3.5mgの顆粒質量を有する膨張したポリアミン顆粒を得た。押出機の総スループットを約4kg/hで一定に維持した。ウォーターボックス内のストランドを、ブレードリングに取り付けられた6枚のブレードによって切断した。ブレードリングは約3500upmで回転し、それにより、3.5mgの顆粒質量を有する膨張した顆粒を製造し、この顆粒を水回路によって有孔プレートから乾燥機に輸送し、収集容器中で分離した。
【0070】
使用した原料の質量割合及び膨張性又は膨張したフォーム粒子の特性を表1にまとめた。添加した発泡剤の割合は、100質量%のポリマーに基づくものである。各実施例のプロセスパラメータを表2にまとめた。温度は、各装置部位で設定、測定した温度値に基づいている。
【0071】
粒子フォーム成形品
圧縮空気で射出することにより、予備膨張した粒子を鋳型のキャビティ(キャビティ寸法:長さ300mm、幅200mm、高さ25mm)に装填した。高圧縮粒子には12mmの亀裂充填(crack filling)を適用した。この鋳型を成形機に取り付けた。その後、128℃の飽和蒸気をキャビティ内に8秒間供給し(クロス蒸気加熱)、その後に128℃の飽和蒸気をキャビティ内に10秒間供給する(オートクレーブ蒸気加熱)ことにより、予備膨張した粒子の熱融着によって、予備膨張した粒子を成形した。鋳型のキャビティ中に冷却水を20秒間供給して、得られた成形及び溶着した生成物を冷却した。プロセス条件及び粒子フォーム成形品の特性を表3及び4にまとめた。
【0072】
比較例C3及び実施例2は、非晶質ポリアミド6I/6T(Selar(登録商標)PA3426)をポリアミド6/6.36(Ultramid(登録商標)Flex 38)に置き換えることにより、160℃超の温度で高い結晶化度及び高い貯蔵弾性率E’が得られることを示している(表4参照)。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】