(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/04 20060101AFI20240925BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240925BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20240925BHJP
【FI】
G09B7/04
G09B19/00 H
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2020184756
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】菊地 秀文
(72)【発明者】
【氏名】坂本 早苗
(72)【発明者】
【氏名】北野 敬子
(72)【発明者】
【氏名】黒井 徳馬
(72)【発明者】
【氏名】島田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】杉原 弘祐
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-169457(JP,A)
【文献】特開2020-112929(JP,A)
【文献】特開2018-194647(JP,A)
【文献】特開2020-118892(JP,A)
【文献】特開2019-144504(JP,A)
【文献】特開2018-112673(JP,A)
【文献】特開2017-161784(JP,A)
【文献】特開2017-156509(JP,A)
【文献】特開2012-093691(JP,A)
【文献】国際公開第2002/019295(WO,A1)
【文献】特開2018-155871(JP,A)
【文献】FIT2007第6回情報科学技術フォーラム一般講演論文集,2007年08月22日,第3分冊,p.523,講演番号K-006
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-G09B 29/14
G06Q 10/00-G06Q 99/00
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習内容を細分化した学習要素毎に
、学習者による学習
に関する学習情報を取得する取得部と、
前記学習
情報に応じて推奨される推奨問題の取得先が埋め込まれたコード情報を学習要素毎に一覧表示する表示部と、
前記学習情報に基づいて、前記推奨問題の優先順位を算出する優先順位算出部と、
各学習要素に、学習者が当該学習要素を理解しているか評価するための判定項目を設定する設定部と、
前記学習情報に基づいて、各学習者の前記判定項目の達成度である個別達成度を判定する個別達成度判定部と、
前記個別達成度に基づいて、各学習者の前記学習要素の達成度である総合達成度を判定する総合達成度判定部と、を備え、
前記優先順位算出部は、前記個別達成度及び前記総合達成度に基づいて、前記優先順位を算出し、
前記表示部は、前記コード情報を前記優先順位に基づいて配置して表示する学習支援装置。
【請求項2】
前記コード情報を学習要素毎に一覧表示した問題一覧画面を印刷して出力する出力部を備える請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記推奨問題は、作成済みの複数のテストのいずれかである請求項
1又は2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記推奨問題は、前記学習
情報に応じて複数の問題を組み合わせて生成されたテスト問題である請求項
1又は2に記載の学習支援装置。
【請求項5】
コンピュータにより実行される学習支援方法であって、
学習内容を細分化した学習要素毎に
、学習者による学習
に関する学習情報を取得する取得工程と、
前記学習
情報に応じて推奨される推奨問題の取得先が埋め込まれたコード情報を学習要素毎に一覧表示する表示工程と、
前記学習情報に基づいて、前記推奨問題の優先順位を算出する優先順位算出工程と、
各学習要素に、学習者が当該学習要素を理解しているか評価するための判定項目を設定する設定工程と、
前記学習情報に基づいて、各学習者の前記判定項目の達成度である個別達成度を判定する個別達成度判定工程と、
前記個別達成度に基づいて、各学習者の前記学習要素の達成度である総合達成度を判定する総合達成度判定工程と、を備え、
前記優先順位算出工程により、前記個別達成度及び前記総合達成度に基づいて、前記優先順位を算出し、
前記表示工程により、前記コード情報を前記優先順位に基づいて配置して表示する学習支援方法。
【請求項6】
コンピュータにより実行されるプログラムであって、
学習内容を細分化した学習要素毎に、
学習者による学習
に関する学習情報を取得する取得部、
前記学習
情報に応じて推奨される推奨問題の取得先が埋め込まれたコード情報を学習要素毎に一覧表示する表示部、
前記学習情報に基づいて、前記推奨問題の優先順位を算出する優先順位算出部、
各学習要素に、学習者が当該学習要素を理解しているか評価するための判定項目を設定する設定部、
前記学習情報に基づいて、各学習者の前記判定項目の達成度である個別達成度を判定する個別達成度判定部、
前記個別達成度に基づいて、各学習者の前記学習要素の達成度である総合達成度を判定する総合達成度判定部、としてコンピュータを機能させ、
前記優先順位算出部は、前記個別達成度及び前記総合達成度に基づいて、前記優先順位を算出し、
前記表示部は、前記コード情報を前記優先順位に基づいて配置して表示するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習者による学習内容の達成度を可視化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生徒に対して実施したテスト結果をデータベースに保存し、コンピュータ上で確認することが可能なシステムが知られている。特許文献1には、学習者のテストの成績を集計した成績集計データベースを有し、タブレット端末装置により当該データベースが参照可能に構成された教育支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
教師などの学習支援者は、テストの結果などに基づいて、各学習者の苦手分野を特定し、指導方法を改善することができる。また、生徒などの学習者は、自身の苦手分野を認識することで、効率的な学習をすることができる。
【0005】
本発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、各学習者に適した問題を提示する学習支援装置を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点は、学習支援装置は、学習内容を細分化した学習要素毎に、学習者による学習に関する学習情報を取得する取得部と、前記学習情報に応じて推奨される推奨問題の取得先が埋め込まれたコード情報を学習要素毎に一覧表示する表示部と、前記学習情報に基づいて、前記推奨問題の優先順位を算出する優先順位算出部と、各学習要素に、学習者が当該学習要素を理解しているか評価するための判定項目を設定する設定部と、前記学習情報に基づいて、各学習者の前記判定項目の達成度である個別達成度を判定する個別達成度判定部と、前記個別達成度に基づいて、各学習者の前記学習要素の達成度である総合達成度を判定する総合達成度判定部と、を備え、前記優先順位算出部は、前記個別達成度及び前記総合達成度に基づいて、前記優先順位を算出し、前記表示部は、前記コード情報を前記優先順位に基づいて配置して表示する。この学習支援装置によれば、学習者の学習の達成度に基づいて、推奨問題の優先順位を決定することができる。また、この学習支援装置によれば、学習要素毎に、優先順位とともに、適切な推奨問題を提示することができる。なお、前記推奨問題は、作成済みの複数のテストのいずれかとすることができる。また、前記推奨問題は、前記学習情報に応じて複数の問題を組み合わせて生成されたテスト問題とすることもできる。
【0007】
上記の学習支援装置の一態様は、前記コード情報を学習要素毎に一覧表示した問題一覧画面を印刷して出力する出力部を備える。これにより、推奨問題を取得するための情報を紙媒体で配布することができる。
【0011】
本発明の他の観点では、コンピュータにより実行される学習支援方法であって、学習内容を細分化した学習要素毎に、学習者による学習に関する学習情報を取得する取得工程と、前記学習情報に応じて推奨される推奨問題の取得先が埋め込まれたコード情報を学習要素毎に一覧表示する表示工程と、前記学習情報に基づいて、前記推奨問題の優先順位を算出する優先順位算出工程と、各学習要素に、学習者が当該学習要素を理解しているか評価するための判定項目を設定する設定工程と、前記学習情報に基づいて、各学習者の前記判定項目の達成度である個別達成度を判定する個別達成度判定工程と、前記個別達成度に基づいて、各学習者の前記学習要素の達成度である総合達成度を判定する総合達成度判定工程と、を備え、前記優先順位算出工程により、前記個別達成度及び前記総合達成度に基づいて、前記優先順位を算出し、前記表示工程により、前記コード情報を前記優先順位に基づいて配置して表示する。この学習支援方法によれば、学習者の学習の達成度に基づいて、推奨問題の優先順位を決定することができ、学習要素毎に、優先順位とともに、適切な推奨問題を提示することができる。
【0012】
本発明の他の観点では、コンピュータにより実行されるプログラムは、学習内容を細分化した学習要素毎に、学習者による学習に関する学習情報を取得する取得部、前記学習情報に応じて推奨される推奨問題の取得先が埋め込まれたコード情報を学習要素毎に一覧表示する表示部、前記学習情報に基づいて、前記推奨問題の優先順位を算出する優先順位算出部、各学習要素に、学習者が当該学習要素を理解しているか評価するための判定項目を設定する設定部、前記学習情報に基づいて、各学習者の前記判定項目の達成度である個別達成度を判定する個別達成度判定部、前記個別達成度に基づいて、各学習者の前記学習要素の達成度である総合達成度を判定する総合達成度判定部、としてコンピュータを機能させ、前記優先順位算出部は、前記個別達成度及び前記総合達成度に基づいて、前記優先順位を算出し、前記表示部は、前記コード情報を前記優先順位に基づいて配置して表示する。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の学習支援装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る学習支援装置によれば、各学習者に適した問題を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
【
図4】推奨問題を表示する達成度確認画面の一例である。
【
図8】第3変形例に係る学習システムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、本発明の学習支援装置を適用した学習システムの構成を示す。学習システム100は、複数の端末装置10と、管理サーバ20とをネットワーク5を介して通信可能に構成したものである。
【0016】
端末装置10は、学習支援者であるユーザが使用するものであって、例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレットPCなどである。端末装置10は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示部を備えており、各学習者の学習内容に対する達成度を表示する達成度確認画面を出力するために使用される。ここで、達成度とは、あらかじめ想定した学習内容をどの程度理解したかを表す度合いである。本実施形態では、おおむね80%以上理解した場合の達成度を「達成」、おおむね50%以上理解した場合の達成度を「注意」、おおむね50%未満しか理解できなかった場合の達成度を「未達成」と設定している。達成度の設定は、これに限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0017】
なお、本実施形態では、学習支援者を教師、学習者を生徒として説明する。
【0018】
管理サーバ20は、学習要素データベース(以下、「データベース」を「DB」と記す。)31と、生徒DB32と、判定項目DB33と、学習情報DB34と、推奨問題DB35とに接続されており、端末装置10からの画面要求に応じて、達成度確認画面を作成し、当該端末装置10へ送信する。これにより、端末装置10は、達成度確認画面を表示部に表示したり、印刷したりすることができる。
【0019】
なお、ネットワーク5を通じた管理サーバ20と端末装置10との通信は有線であっても無線であってもよい。
【0020】
[管理サーバの構成]
図2は、管理サーバ20の内部構成を示すブロック図である。管理サーバ20は、通信部21と、設定部22と、学習情報取得部23と、個別達成度判定部24と、総合達成度判定部25と、画面作成部26と、分析部27と、優先順位算出部28と、推奨問題表示部29と、出力部30とを備える。なお、これらの構成要素と、学習要素DB31と、生徒DB32と、判定項目DB33と、学習情報DB34、推奨問題DB35とは、バス39を介して相互に接続されている。
【0021】
通信部21は、ネットワーク5を通じて端末装置10と通信を行うための通信ユニットである。具体的に、通信部21は、ユーザが使用する端末装置10から画面要求や問題要求を受信したり、作成した達成度確認画面や推奨問題一覧を端末装置10へ送信したりする。
【0022】
学習要素DB31は、学習要素に関する情報を記憶している。具体的に、学習要素DB31は、学習内容を段階的に細分化した大区分、中区分、小区分、学習要素などの情報を記憶している。学習要素とは、学習内容を、教科書や教材の連携、学習進度の把握、指導計画の作成などの目的のために最適な粒度で細分化したものである。
【0023】
生徒DB32は、生徒に関する情報を記憶している。具体的に、生徒DB32は、生徒の識別情報である生徒ID、生徒の氏名、学年、組、番号などの生徒情報を記憶している。
【0024】
判定項目DB33は、判定項目に関する情報を記憶している。判定項目とは、生徒が学習内容をどの程度理解しているかを判定する単位項目であって、例えば、ミニテストやドリルの設問などが挙げられる。本実施形態では、1つの学習要素に対して複数の判定項目が設定されている。具体的に、判定項目DB33は、判定項目であるミニテストやドリルの設問、判定項目に紐付けられた学習要素、判定項目に着手する順序に関する順序情報、判定項目の達成度を算出するための基準点などの情報を記憶している。
【0025】
学習情報DB34は、各生徒の学習に関する情報を記憶している。具体的に、学習情報DB34は、生徒ID、着手した判定項目、判定項目に対応する解答データ、得点及び偏差値などの学習情報を記憶している。学習情報DB34は、生徒が着手した判定項目の採点が終了し、生徒の得点などが確定されると更新される。
【0026】
推奨問題DB35は、各学習要素に紐付けられた推奨問題に関する情報を記憶している。具体的に、推奨問題DB35は、推奨問題の識別情報、推奨問題に紐付けられた学習要素、推奨問題を示すテキスト情報、推奨問題を取得するためのコード情報、推奨問題が表示されたPDF(Portable Document Format)などの情報を記憶している。例えば、推奨問題は、作成済みの複数のテストのいずれかとすることができる。また、推奨問題は、学習結果に応じて複数の問題を組み合わせて生成されたテスト問題とすることもできる。
【0027】
設定部22は、各学習要素に、学習の経緯において生徒がどの程度理解しているかを判定するための判定項目を複数設定する。設定された判定項目に関する情報は、判定項目DB33に記憶される。
【0028】
学習情報取得部23は、端末装置10から画面要求を受信すると、学習情報DB34から、当該画面要求に含まれる生徒IDに対応する学習情報を取得する。
【0029】
個別達成度判定部24は、学習情報に基づいて、各生徒の判定項目の達成度である個別達成度を判定する。具体的に、個別達成度判定部24は、まず、判定項目DB33から、学習情報に含まれる各判定項目の基準点を抽出する。そして、個別達成度判定部24は、学習情報に含まれる各判定項目の得点と、基準点とを比較し、対象となる生徒の各判定項目の個別達成度を判定する。例えば、判定項目が複数の設問から構成される100点満点のミニテストであって、達成度が上述したとおり「達成」、「注意」、「未達成」の3段階であり、基準点がそれぞれ「80点以上」、「50点以上」、「50点未満」であるとする。この場合、判定項目の得点が65点であれば、個別達成度判定部24は、生徒の判定項目の達成度を「注意」と判定する。
【0030】
総合達成度判定部25は、少なくとも2つ以上の個別達成度に基づいて、各生徒の学習要素の達成度である総合達成度を判定する。このとき、総合達成度判定部25は、順序情報に基づいて、着手された順序が遅い、即ち現在に近いものから少なくとも2つ以上の判定項目の個別達成度に基づいて、学習要素の総合達成度を判定することとしてもよい。総合達成度の判定方法は、例えば、1つでも「未達成」の個別達成度があれば「未達成」とする、「達成」の個別達成度が2つ以上あれば「達成」とするなど任意に設定することができる。
【0031】
画面作成部26は、端末装置10から画面要求を受信した場合に、達成度確認画面を作成する。ユーザは、端末装置10を使用して、学習要素の達成度を確認したい生徒の生徒IDを含む画面要求を管理サーバ20へ送信する。画面作成部26は、画面要求に基づいて、生徒の達成度確認画面を作成する。
【0032】
ここで、達成度確認画面について説明する。
図3は、達成度確認画面の一例である。達成度確認画面は、ヒートマップ機能などを用いて、生徒の学習内容の達成度を可視化したグラフを有する画面であって、学習内容40と、判定項目一覧41と、総合達成度項目42とから構成されている。学習内容40は、学習内容を段階的に細分化した大区分、中区分、小区分、学習要素を有する。判定項目一覧41は、判定項目44a、判定項目44bなど複数の判定項目44の集まりである。判定項目44は、順序情報に基づいて時系列に並んでおり、図示のように、設問を有するテストやドリルの名称と、着手日(又は着手予定日)とを表示してもよい。
【0033】
達成度確認画面において、縦軸方向に示す各学習要素と、横軸方向に示す各判定項目とは予め紐付けられており、縦軸方向と横軸方向とが交わる位置のブロックは、縦軸方向各学習要素に対して設定された横軸方向の各判定項目の個別達成度を表している。図示のように、斜線のブロックは「達成」、チェック柄のブロックは「注意」、黒塗りのブロックは「未達成」をそれぞれ表す。学習要素と、当該学習要素に対して設定されていない判定項目とが交わる位置のブロックは「判定対象外」でありグレーで表示される。また、「未着手」のブロックも同様にグレーで表示される。具体的に、
図3に示す達成度確認画面によると、学習要素「反対の方向や性質を数で表す」に対して設定された判定項目44a「7/1に着手した単元テストの設問」の個別達成度は、斜線のブロック45であるため、「達成」であることが分かる。
【0034】
達成度確認画面において、縦軸方向に示す各学習要素と、横軸方向に示す総合達成度項目42とが交わる位置のブロックは、縦軸方向に示す各学習要素の総合達成度を表している。個別達成度と同様に、斜線のブロックは「達成」、チェック柄のブロックは「注意」、黒塗りのブロックは「未達成」をそれぞれ表す。具体的に、図示のような達成度確認画面によると、学習要素「目標値からの増減を正負の数で示す」の総合達成度は、黒塗りのブロック46であるため、「未達成」であることが分かる。
【0035】
達成度確認画面は、さらに、ポインター47と、スクロールボタン48a及び48bと、ボックス49とを有する。ユーザがポインター47で小区分や中区分を指し示すと、詳細情報がボックス49に表示される。また、ユーザがポインター47でスクロールボタン48aをクリックすると、表示される判定項目一覧41及びその個別達成度を古い方又は新しい方に移動させることができる。
【0036】
図2に戻り、分析部27は、学習情報を分析する。ここで、学習情報の分析には、IRT(Item Response Theory)分析やLRT(Latent Rank Theory)分析が適用される。IRT分析とは、評価項目群への応答に基づいて、被験者の特性(認識能力、知識等)や、評価項目の難易度を測定するためのテスト理論である。また、LRT分析とは、潜在特性を順序尺度にしたIRT分析であって、段階的で順序的な評価を行うことが可能なテスト理論である。IRT分析やLRT分析によれば、例えば、テストを実施した生徒の解答データを活用し、当該テストを構成する設問の難易度や、当該設問に対する生徒の認識能力などを算出することができる。分析部27は、学習情報の分析結果に基づいて、判定項目である設問の難易度や生徒の能力を測定し、生徒が優先して学習するべき学習要素を特定する。
【0037】
優先順位算出部28は、学習情報の分析結果に基づいて、各学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を算出する。生徒が優先して学習するべき学習要素の考え方は様々であるが、例えば、設問の難易度と生徒の能力との乖離が大きい場合に、当該設問を優先して学習するという考え方が挙げられる。この場合、生徒は、判定項目の設問を理解していない可能性が高いため、できるだけ早く学習した方がよいといえる。よって、優先順位算出部28は、当該判定項目が設定された学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を高くする。
【0038】
一方、設問の難易度と生徒の能力との乖離が小さい場合に、当該設問を優先して学習するという考え方もある。この場合、生徒は、判定項目の設問を理解しているにもかかわらず、ケアレスミスにより誤答した可能性が高く、直ちに得点アップにつながることから、できるだけ早く学習した方がよいといえる。よって、優先順位算出部28は、当該判定項目が設定された学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を高くする。
【0039】
教師は、理解していない学習要素と、直ちに得点アップにつがなる学習要素のどちらを優先して学習するか、各生徒に応じて戦略的に指導する必要がある。そのため、教師が予め理解度と得点アップのどちらを優先するか設定しておき、優先順位算出部28は、その設定に応じて推奨問題の優先順位を算出することとしてもよい。
【0040】
推奨問題表示部29は、端末装置10から問題要求を受信した場合に、推奨問題DB35を参照し、優先順位に基づいて推奨問題を表示する達成度確認画面を作成する。ユーザが達成度確認画面において、所定の操作により問題要求を管理サーバ20へ送信すると、推奨問題表示部29は、推奨問題を表示する達成度確認画面を作成する。
図4は、推奨問題を表示する達成度確認画面の一例である。達成度確認画面には、推奨問題のボックス51が追加され、学習する優先順位の高い学習要素に対応する第1優先ボックス52a、第2優先ボックス52b、第3優先ボックス52cなどが表示される。
【0041】
具体的に、ユーザがポインター47で第1優先ボックス52aをクリックすると、学習要素「負の数を用いても減法が可能になる」に紐付けられた推奨問題に関する情報が表示される。推奨問題に関する情報は、例えば、教材名、ページ数、設問番号といった推奨問題を示すテキスト情報、推奨問題を取得するためのコード情報、推奨問題が表示されたPDFなどである。
【0042】
また、ユーザがポインター47で推奨問題のボックス51をクリックすると、第1優先、第2優先及び第3優先の学習要素に紐付けられた全ての推奨問題に関する推奨問題一覧が表示される。
図5は、推奨問題一覧の一例である。推奨問題一覧は、学習内容を段階的に細分化した大区分、中区分、小区分及び学習要素と、各学習要素に紐づいた推奨問題とから構成されており、推奨問題はQR(Quick Response)コード(登録商標)で表示されている。このとき、推奨問題一覧は、優先順位に基づいてQRコードを並べてもよいし、優先順位を併せて表示してもよい。ユーザは、スマートフォンなどで当該QRコードを読み取ると、当該スマートフォンは、推奨問題に関する情報の表示や印刷が可能となる。
【0043】
推奨問題一覧の使用方法の一例として、教師は、推奨問題一覧を紙媒体に印刷し、生徒に配布することができる。生徒や生徒の保護者は、自身が保有するスマートフォンやタブレットでQRコードを読み取り、容易に推奨問題に関する情報の確認や出力をすることができる。具体的に、生徒は、配布された推奨問題一覧のQRコードをスマートフォンなどで読み取り、推奨問題をスマートフォンやタブレットに表示させたり、を自宅で印刷したりして学習することが可能となる。なお、上記の例では、推奨問題を取得するためのコード情報としてQRコードを使用しているが、QRコード以外の二次元コードや、バーコードなどの1次元コードを使用してもよい。
【0044】
なお、
図4に示す達成度確認画面では、推奨問題として第1優先~第3優先の3個を表示しているが、表示する個数の閾値は任意に設定することができる。また、
図4の例では達成度確認画面において第1優先~第3優先のボックス52a~52cのみを表示しているが、全ての学習要素に対応する推奨問題のボックスを表示した上で、各推奨問題の優先順位を併せて表示してもよい。つまり、達成度確認画面における推奨問題の表示方法は、任意に設定することができる。
【0045】
出力部30は、達成度確認画面や推奨問題一覧を出力する。具体的に、出力部30は、達成度確認画面や推奨問題一覧を表示、印刷したり、通信部21を介して端末装置10へ送信したりする。
【0046】
なお、本実施形態では、端末装置10から問題要求を受信した場合に達成度確認画面において推奨問題を表示することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、問題要求の有無にかかわらず、達成度確認画面に推奨問題を表示してもよい。
【0047】
上記の構成において、管理サーバ20の通信部21は、本発明の出力部の一例である。また、管理サーバ20の設定部22、学習情報取得部23、個別達成度判定部24、総合達成度判定部25及び画面作成部26は、それぞれ本発明の設定部、取得部、個別達成度判定部、総合達成度判定部及び画面作成部の一例である。
【0048】
[画面作成処理]
図6は、本実施形態による画面作成処理のフローチャートである。この処理は、各生徒の学習内容に対する達成度を表示する達成度確認画面を作成する処理である。なお、具体的に、この処理は、管理サーバ20を構成するコンピュータが予め用意したプログラムを実行することにより実現される。
【0049】
ユーザは、端末装置10を使用して、学習内容の達成度を確認したい生徒の生徒IDを含む画面要求を管理サーバ20へ送信する。画面要求を受信すると、管理サーバ20は、生徒IDに対応する学習情報を取得する(ステップS11)。次に、管理サーバ20は、学習情報に基づいて、各学習要素に設定された各判定項目の個別達成度を判定する(ステップS12)。次に、管理サーバ20は、各学習要素に設定された少なくとも2つ以上の判定項目の個別達成度に基づいて、各学習要素の総合達成度を判定する(ステップS13)。そして、管理サーバ20は、生徒IDに対応する生徒の学習内容の達成度を確認する達成度確認画面を作成し、画面要求を行った端末装置10へ送信する(ステップS14)。端末装置10は、受信した達成度確認画面の表示や印刷を行うことができる。これにより、画面作成処理は終了する。
【0050】
[推奨問題表示処理]
図7は、本実施形態による推奨問題表示処理のフローチャートである。この処理は、各学習要素に紐付けられた推奨問題を達成度確認画面に表示する処理である。なお、具体的に、この処理は、管理サーバ20を構成するコンピュータが予め用意したプログラムを実行することにより実現される。
【0051】
ユーザは、端末装置10を使用して達成度確認画面上で所定の操作を行うことにより、問題要求を管理サーバ20へ送信する。問題要求を受信すると、管理サーバ20は、達成度確認画面の対象である生徒の学習情報を分析する(ステップS21)。次に、管理サーバ20は、学習情報の分析結果に基づいて、各学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を算出する(ステップS22)。そして、管理サーバ20は、優先順位に基づいて、推奨問題を表示する達成度確認画面を作成し、問題要求を行った端末装置10へ送信する(ステップS23)。端末装置10は、受信した達成度確認画面の表示や印刷が可能となる。また、端末装置10は、達成度確認画面の推奨問題のボックスをクリックすることで、推奨問題一覧の表示や印刷が可能となる。これにより、推奨問題表示処理は終了する。
【0052】
なお、本実施形態では、画面作成処理と推奨問題表示処理を別の処理としているが、問題要求の有無にかかわらず推奨問題を表示する場合は、推奨問題表示処理のステップS21及びステップS22の処理を画面作成処理のステップS13とS14の間に追加してもよい。この場合、管理サーバ20は、画面作成処理により、各生徒の学習内容の達成度と、各学習要素に紐づく推奨問題とを表示する達成度確認画面を作成する。
【0053】
また、本実施形態では、管理サーバ20は、画面要求を受信したタイミングで達成度確認画面を作成しているが、予め達成度確認画面を作成しておき、画面要求を受信したタイミングで端末装置10へ送信することとしてもよい。
【0054】
このように、達成度確認画面を作成することで、生徒の学習内容の総合達成度と、その学習内容を学習する経過における判定項目の個別達成度とを可視化することができる。また、管理サーバ20は、学習内容の総合達成度を、最後の判定項目の個別達成度のみではなく、少なくとも2つ以上の判定項目の個別達成度に基づいて判定している。そのため、教師は、各生徒の達成度確認画面を閲覧することで、学習の経過における生徒の弱点や克服状況を容易に確認することができる。
【0055】
さらに、達成度確認画面は、学習内容を細分化した学習要素毎に、個別達成度、総合達成度及び推奨問題を表示する。そのため、教師は、各生徒の学習要素毎の理解度を把握できるとともに、優先順位を参考に各生徒の能力に合わせた推奨問題を宿題とするなど効果的な学習指導を行うことができる。また、学習要素は、所定の教科書メーカーなどが独自で細分化した学習内容の単位ではなく、全ての教科書メーカーや教材メーカーが使用する標準的な学習内容の単位であるため、生徒の学習内容の達成度を学習要素単位で管理及び共有することで、多くの学校で学習分析の共有が可能となる。
【0056】
<変形例>
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて第1実施形態に適用することができる。
【0057】
(第1変形例)
上記の第1実施形態では、学習情報を分析して推奨問題の優先順位を算出しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各判定項目の個別達成度や各学習要素の総合達成度に基づいて推奨問題の優先順位を算出してもよい。優先順位の算出方法としては、例えば、個別達成度が「未達成」の判定項目が多い学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を高くする、総合達成度が「未達成」である学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を低くするなどが挙げられる。
【0058】
(第2変形例)
上記の第1実施形態では、端末装置10を使用するユーザを教師としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、学習者である生徒やその保護者も端末装置10を使用することとしてもよい。これによれば、生徒は、端末装置10を使用して自身の達成度確認画面を閲覧することができる。また、生徒は、端末装置10に推奨問題を表示させ、学習することもできる。
【0059】
(第3変形例)
上記の第1実施形態において、教師は端末装置10を使用することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、教師は管理サーバ20の機能を有する教師用端末を使用することとしてもよい。この場合、端末装置10は、生徒やその保護者などが使用する。教師用端末は、端末装置10と同様に、例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレットPCなどである。
【0060】
図8は、この場合の学習システム200の構成例を示す。図示のように、学習システム200は、複数の端末装置10と、教師用端末80とをネットワーク5を介して通信可能に構成したものである。教師用端末80には学習要素DB91、生徒DB92、判定項目DB93、学習情報DB94及び推奨問題DB95が接続されており、教師用端末80は管理サーバ20が行っていた処理(
図6のステップS11~S14及び
図7のステップS21~S23に対応)を実行して達成度確認画面を作成することができる。また、教師用端末80は、達成度確認画面及び推奨問題一覧の表示及び印刷、端末装置10への達成度確認画面及び推奨問題一覧の送信といった出力を行うことができる。この場合、教師用端末80は、本発明の学習支援装置の一例である。
【0061】
<第2実施形態>
上記の第1実施形態では、管理サーバ20は、各生徒の達成度確認画面を作成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、生徒が所属するクラスや学年といった集団単位で達成度確認画面を作成してもよい。この場合、管理サーバ20は、集団達成度判定部と集団優先順位算出部とをさらに備える。なお、説明の便宜上、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0062】
集団達成度判定部は、例えば、所定のクラスに在籍している全ての生徒の個別達成度及び総合達成度に基づいて、クラス単位における、各判定項目の個別達成度と、各学習要素の総合達成度とを判定する。例えば、クラス単位における各判定項目の個別達成度は、所定のクラスに在籍している全ての生徒の各判定項目の個別達成度の平均とすることができる。また、クラス単位における各学習要素の総合達成度は、所定のクラスに在籍している全ての生徒の各学習要素の総合達成度の平均としてもよいし、クラス単位における個別達成度に基づいて判定してもよい。画面作成部26は、クラス単位における各判定項目の個別達成度と、各学習要素の総合達成度とに基づいて、クラス単位の達成度確認画面を作成する。
【0063】
集団優先順位算出部は、クラス単位における各判定項目の個別達成度と、クラス単位における各学習要素の総合達成度とに基づいて、所定のクラスへの推奨問題の優先順位である集団優先順位を算出する。集団優先順位の算出方法としては、例えば、個別達成度が「未達成」の判定項目が多い学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を高くする、総合達成度が「未達成」である学習要素に紐付けられた推奨問題の優先順位を低くするなどが挙げられる。推奨問題表示部29は、集団優先順位に基づいて推奨問題を表示する、クラス単位の達成度確認画面を作成する。
【0064】
このように、集団単位の達成度確認画面を作成することで、例えば、クラス全体の学習内容の総合達成度と、その学習内容を学習する経過における判定項目の個別達成度とを可視化することができる。また、集団単位の達成度確認画面は、学習内容を細分化した学習要素毎に、個別達成度、総合達成度及び推奨問題を表示する。そのため、教師は、クラス全体の学習要素毎の理解度を把握できるとともに、優先順位を参考にクラス全体の能力を高めるために優先順位の高い推奨問題を授業で取り扱うなど効果的な学習指導を行うことができる。
【0065】
なお、第1実施形態における第3変形例は、第2実施形態についても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
5 ネットワーク
10 端末装置
20 管理サーバ
31、91 学習要素DB
32、92 生徒DB
33、93 判定項目DB
34、94 学習情報DB
35、95 推奨問題DB
80 教師用端末
100、200 学習システム