(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0484 20220101AFI20241022BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20241022BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20241022BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
G06F3/0484
G06F3/04817
G06F30/12
G06F30/13
(21)【出願番号】P 2021007457
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】石 建信
(72)【発明者】
【氏名】神戸 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】木村 優里
(72)【発明者】
【氏名】安念 正人
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-171318(JP,A)
【文献】特許第5318218(JP,B2)
【文献】特許第6228681(JP,B2)
【文献】特開2000-80716(JP,A)
【文献】特開2005-50065(JP,A)
【文献】特開2012-38266(JP,A)
【文献】国際公開第2021/001973(WO,A1)
【文献】特許第3532529(JP,B2)
【文献】特開平9-288741(JP,A)
【文献】特開平11-73292(JP,A)
【文献】特許第4470776(JP,B2)
【文献】特開2000-268071(JP,A)
【文献】特許第6034878(JP,B2)
【文献】特許第5580173(JP,B2)
【文献】特許第3181956(JP,B2)
【文献】特開平5-143706(JP,A)
【文献】特許第4936641(JP,B2)
【文献】特許第6611434(JP,B2)
【文献】特許第5243452(JP,B2)
【文献】特開平8-286873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048 - 3/04895
G06F 30/00 - 30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示させる
要素群を含む対象図面に、登録済みの
前記要素群である登録要素群に適合する対象要素群が存在すると判定した場合、前記対象図面のうち、前記対象要素群の表示態様を前記対象図面の他の部分とは異なる表示態様に変更する処理を実行する制御部を備え、
前記対象図面は、要素を表す記号を含み、
前記要素群は、少なくとも1つの図面において用いられ
る要素
をそれぞれ表す少なくとも1つの前記記号で構成され
、
前記制御部は、前記登録要素群に含まれる前記要素が第1表記ルールにより規定された前記記号で表され、前記対象図面に含まれる前記要素が第2表記ルールにより規定された前記記号で表される場合、前記登録要素群に含まれる前記要素の各々の前記記号を前記第2表記ルールにより規定された前記記号に変換した上で前記対象図面に用いる、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記対象図面に
存在する
と判定された前記対象要素群以外の
前記要素群であって、ユーザにより選択された
前記要素群を登録する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記変更する処理として、前記対象要素群
を構成する前記記号の表示を
前記他の部分よりも目立たなくする処理を実行する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記制御部は、前記登録要素群
に含まれる前記要素の各々の
前記記号を前記第2表記ルール
により規定された前記記号に変換する前の前記登録要素群
を表す前記記号を前記表示部に表示させる、情報処理装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の情報処理装置において、前記制御部は、更に、前記登録要素群
に含まれる前記要素の各々の
前記記号を
前記第2表記ルール
により規定された前記記号に変換した後の前記登録要素群
を表す前記記号を前記表示部に表示させる、情報処理装置。
【請求項6】
制御部を備える情報処理装置の情報処理方法であって、
前記制御部が、表示部に表示させる
要素群を含む対象図面に、登録済みの
前記要素群である登録要素群に適合する対象要素群が存在すると判定した場合、前記対象図面のうち、前記対象要素群の表示態様を前記対象図面の他の部分とは異なる表示態様に変更する処理を実行することを含み、
前記対象図面は、要素を表す記号を含み、
前記要素群は、少なくとも1つの図面において用いられ
る要素
をそれぞれ表す少なくとも1つの前記記号で構成され
、
前記制御部は、前記登録要素群に含まれる前記要素が第1表記ルールにより規定された前記記号で表され、前記対象図面に含まれる前記要素が第2表記ルールにより規定された前記記号で表される場合、前記登録要素群に含まれる前記要素の各々の前記記号を前記第2表記ルールによる前記記号に変換した上で前記対象図面に用いる、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント等では、工業プロセスにおける各種の状態量を制御するプロセス制御システムが構築される。工業プロセスにおける各種の状態量は、例えば、圧力、温度又は流量等である。プラント等では、プロセス制御システムの構築、運用、保守及び改修等をするために、多種多様の図面が用いられる。これらの図面の例として、P&ID(配管計装図、Piping and Instrumentation Diagram)、PFD(Process Flow Diagram:プロセスフロー図)、機器リスト、機器設定情報、CAD(Computer Aided Design)図面、制御ロジック図、シミュレーションモデル及びグラフィック図面等が挙げられる。
【0003】
上記図面に関して、プラントを構成する複数の制御ユニットの配管情報に従って、複数の制御ユニットの配管図を画像表示させる装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の装置では、利便性の向上が求められている。例えば、P&ID等の図面には、少なくとも1つの要素で構成される複数の要素群が存在する。要素群に対して編集又は修正等を行うために、ユーザが図面から編集又は修正等の対象となる要素群を選択して登録することが求められる場合がある。この場合、図面において全ての要素群が同じ表示態様で表示されていると、ユーザが登録すべき要素群を把握しにくくなる。
【0006】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、利便性を向上させた情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る情報処理装置は、表示部に表示させる対象図面に、登録済みの登録要素群に適合する対象要素群が存在すると判定した場合、前記対象図面のうち、前記対象要素群の表示態様を前記対象図面の他の部分とは異なる表示態様に変更する処理を実行する制御部を備え、前記要素群は、少なくとも1つの図面において用いられる少なくとも1つの要素で構成される。このような構成により、ユーザは、登録すべき要素群をより容易に把握することができる。よって、利便性を向上させた情報処理装置が提供される。
【0008】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、前記対象図面において他の部分とは異なる態様で表示されている前記対象要素群以外の要素群であって、ユーザにより選択された要素群を登録する。したがって、ユーザは、登録済みの登録要素群に適合しない要素群については、手作業により登録することが可能である。
【0009】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、前記変更する処理として、前記対象要素群の表示を他の部分よりも目立たなくする処理を実行する、情報処理装置。このような構成により、ユーザは、登録すべき要素群がどこに存在するかを容易に把握することができる。
【0010】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、前記登録要素群が第1表記ルールで表され、前記対象図面が第2表記ルールで表される場合、前記登録要素群のデータを前記第2表記ルールに変換した上で前記対象図面に用いる。このように、登録要素群の表記ルールと対象図面の表記ルールが異なっていても、登録要素群の表記ルールを対象図面に合わせて変換した上で前述の処理を行うため、ユーザは表記ルールの違いを特段意識せずに登録すべき要素群をより容易に把握することができる。
【0011】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、前記登録要素群のデータを前記第2表記ルールに変換する前の前記登録要素群のデータを表示部に表示させる。このような構成により、ユーザは、変換する前の登録要素群のデータを把握することができる。
【0012】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、更に、前記登録要素群のデータを第2表記ルールに変換した後の前記登録要素群を表示部に表示させる。このような構成により、ユーザは、変換した後の登録要素群のデータと、変換する前の登録要素群のデータとを対比可能に把握することができる。
【0013】
幾つかの実施形態に係る情報処理方法は、表示部に表示させる対象図面に、登録済みの登録要素群に適合する対象要素群が存在すると判定した場合、前記対象図面のうち、前記対象要素群の表示態様を前記対象図面の他の部分とは異なる表示態様に変更する処理を実行することを含み、前記要素群は、少なくとも1つの図面において用いられる少なくとも1つの要素で構成される。このような構成により、ユーザは、登録すべき要素群をより容易に把握することができる。よって、利便性を向上させた情報処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、利便性を向上させた情報処理装置及び情報処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す表示部の画像の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示す表示部の画像の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す表示部の画像の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示す情報処理装置の要素群の登録処理及び要素群の検索処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】既存プラント及び対象プラントの基本情報の一例を示す図である。
【
図10】
図1に示す情報処理装置の新たな要素群リストの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】マスターライブラリの一例を示す図である。
【
図12】マスターライブラリの一例を示す図である。
【
図13】
図1に示す情報処理装置のマスターライブラリの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図1に示す表示部の画像の一例を示す図である。
【
図15】
図1に示す表示部の画像の一例を示す図である。
【
図16】
図1に示す情報処理装置のデータの変換処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には、同じ符号を付す。
【0017】
(第1実施形態)
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、端末装置20と、端末装置30と、外部記憶装置40とを備える。
図1には、2つの端末装置すなわち端末装置20及び端末装置30を備える情報処理システム1が示されている。ただし、情報処理システム1が備える端末装置の数は、任意であってよい。
【0018】
情報処理装置10と、端末装置20と、端末装置30と、外部記憶装置40とは、ネットワーク2を介して通信可能である。ネットワーク2は、インターネット等の任意のネットワークであってよい。
【0019】
情報処理装置10は、例えば、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置である。ただし、情報処理装置10は、サーバ装置に限定されない。情報処理装置10は、WS(Work Station)又はPC(Personal Computer)等の任意の汎用の電子機器であってもよいし、専用の他の電子機器であってもよい。
【0020】
端末装置20及び端末装置30の各々は、ユーザによって使用される。端末装置20及び端末装置30の各々は、例えば、スマートフォン、又は、タブレット端末若しくはノートPC等の携帯端末である。ただし、端末装置20及び端末装置30の各々は、任意の電子機器であってよい。
【0021】
外部記憶装置40は、例えば、情報処理装置10の記憶容量を補う記憶装置である。外部記憶装置40は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の任意の記憶装置である。
【0022】
情報処理装置10は、多種多様な図面を取り扱う。情報処理装置10は、表示部11と、入力部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0023】
表示部11は、ディスプレイを含んで構成される。ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であってよい。表示部11は、外部の出力機器として情報処理装置10に接続される。表示部11と情報処理装置10との間の接続方式は、任意の接続方式であってよい。例えば、接続方式は、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)又はBluetooth(登録商標)等である。ただし、表示部11は、情報処理装置10に設けられてもよい。
【0024】
以下、情報処理装置10が生成した情報は、表示部11に表示されるものとして説明する。ただし、情報処理装置10が生成した情報は、端末装置20又は端末装置30等の他の端末装置の表示部に表示されてもよい。
【0025】
入力部12は、ユーザからの入力操作を受付可能な、少なくとも1つの入力用インタフェースを含んで構成される。入力用インタフェースは、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン又はマイク等であってよい。入力部12は、外部の入力機器として情報処理装置10に接続される。入力部12と情報処理装置10との接続方式は、任意の接続方式であってよい。例えば、接続方式は、USB、HDMI(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等である。ただし、入力部12は、情報処理装置10に設けられてもよい。
【0026】
以下、入力部12がユーザからの入力操作を受け付けるものとして説明する。ただし、ユーザからの入力操作は、端末装置20及び端末装置30等の他の端末装置が受け付けてもよい。
【0027】
通信部13は、少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の規格に対応したモジュールである。制御部15は、通信部13によって、ネットワーク2を介して端末装置20、端末装置30及び外部記憶装置40と通信する。
【0028】
記憶部14は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうちの少なくとも2種類の組み合わせを含んで構成される。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等である。RAMは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等である。記憶部14は、主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部14には、情報処理装置10の動作に用いられるデータと、情報処理装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0029】
記憶部14は、図面のデータ、表記ルール、要素群リスト及び意味モデル等を記憶する。記憶部14に記憶される情報の一部又は全てが外部記憶装置40に記憶されてもよい。
【0030】
図面は、例えば、プラント等におけるプロセス制御システムの構築、運用、保守及び改修等をするために用いられる。図面は、例えば、P&ID、PFD、機器リスト、機器設定情報、CAD図面、制御ロジック図、シミュレーションモデル又はグラフィック図面等である。以下、本実施形態に係る構成がプラントを示す図面に適用される例を説明するが、要素からなる図面であれば、これに限らず多様な図面で適用されてよい。
【0031】
図面は、複数の要素によって表される。要素は、例えば、ポンプ等の機器に対応する。図面では、要素の種類、要素の属性情報及び要素の配列が規定されている。要素の属性情報は、要素の性質及び要素の動作条件の少なくとも何れかを示す情報である。要素の性質を示す情報は、例えば、要素に対応する機器の型番を示す情報、要素に対応する機器に設定される設定値の情報及び要素の材質を示す情報等である。要素の材質を示す情報は、例えば、要素の種類がタンクである場合、ステンレス製等の情報である。要素の動作条件を示す情報は、要素に特定の動作を実行させる条件を示す情報である。要素の動作条件を示す情報は、例えば、要素の種類がタンクである場合、タンクの内容物の量が所定値(例えば、500リットル)を超えた際に何等かの制御を行うといった条件を示す情報である。図面において要素の各々には、属性情報が付与されている。また、図面では、図面上の要素の位置関係から、いずれが上流で、いずれが下流の関係であるかを判定できる。あるいは、要素の配列情報が予め定められている。要素の配列情報は、図面において互いに接続関係にある2つの要素のうちの何れの要素が上流又は下流に存在するかを示す情報である。要素の配列情報は、図面のデータとは別に、記憶部14に記憶されていてもよい。要素の配列情報は、例えば、デジタルP&IDにおけるFrom/Toの情報等である。
【0032】
図面のデータは、要素の記号データを含む。要素の記号は、例えば、図形によって表され、適宜、文字及び色の少なくとも何れかを組み合わせることによって表される。例えば、後に参照する
図2に示すように、要素Bの記号は、「B」との文字と円形の図形とによって表される。また、図面のデータは、少なくとも1つの要素からなる要素群のデータを含む。要素群は、少なくとも1つの図面において用いられる少なくとも1つの要素で構成される要素の集合である。要素群は、表示部11上では「グループ」とも表示される。
【0033】
表記ルールは、図面において要素を記号として表すときのルールを規定する。要素の記号は、規格、図面の種類、ツールの種類、図面のバージョン又はプラントの運営会社等に応じて異なる。異なる図面毎の表記ルールが記憶部14に記憶される。
【0034】
要素群リストは少なくとも1つの要素群を示す情報であり、後述のように、登録要素群の情報を含む。登録要素群の情報は、例えば、登録要素群の識別情報と、登録要素群に含まれる各要素の種類、登録要素群に含まれる要素の配列を示す配列情報、及び登録要素群に含まれる各要素の属性情報等を含む。
【0035】
意味モデルは、制御部15が図面から要素群を検索したり、制御部15が要素群を解析したりする際に用いられる。意味モデルは、プロセス制御システムで用いられる図面を、その図面に含まれる要素を示す第1情報と、要素同士の関係を示す第2情報とによって表したものである。意味モデルは、例えば、プロセス制御システムで用いられる図面を所定の変換ルールに従って変換することにより、生成される。所定の変換ルールは、図面の種別毎に設定されてよい。なお、制御部15は、パターンマッチング、画像認識、グラフ理論又はオントロジー等によって、要素群を構成する要素又は要素間の繋がりを適宜解析することにより、図面から要素群を検索したり、要素群を解析したりしてもよい。このような要素群の検索及び解析に用いられる情報は、記憶部14に記憶される。
【0036】
制御部15は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部15は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0037】
<登録処理>
制御部15は、表示部11に表示させる図面の一部を選択することにより要素群(グループ)を指定する等のユーザ操作を入力部12によって受け付ける。制御部15は、このユーザ操作を入力部12によって受け付けると、ユーザ操作によって指定された図面の一部である要素群のデータを、記憶部14から取得する。制御部15は、図面のデータを取得すると、その図面の画像を表示部11に表示させる。例えば、制御部15は、
図2に示すように表示部11の表示エリア11Aに、プラントの構成を示す図面の画像を表示させる。
【0038】
制御部15は、図面における要素群をユーザ操作により選択可能なモードへ移行する指示を、入力部12によって受け付けてもよい。制御部15は、この指示を受け付けると、情報処理装置10のモードを、図面における要素群をユーザ操作により選択可能なモードに移行させてもよい。
【0039】
制御部15は、図面において要素群を選択するユーザ操作を、入力部12によって受け付ける。例えば、
図2に示すように、ユーザは、タッチ操作3によって図面中の領域50を選択することにより、領域50に位置する要素群を選択する。ユーザにより選択される要素群は、例えば一定の機能を果たすひとまとまりの要素の集合となる。領域50に位置する要素群は、バルブ、要素A及び要素Bの要素で構成される。ユーザは、その後の処理で一括処理を実行する要素群を選択する。一括処理は、例えば、要素群の編集又は修正等を図面中に存在する複数の同じ要素群(グループ)に対して一括して実行する処理である。なお、図面から要素群を選択する操作は、タッチパネル操作に限定されない。図面から要素群を選択する操作は、マウス、トラックボール又はタッチパッド等のポインティングデバイスによってカーソル等を移動させる操作により行われてもよい。
【0040】
制御部15は、ユーザ操作により選択された要素群の情報を記憶部14に記憶させることにより、その選択された要素群を登録する。本実施形態では、制御部15は、要素群リストにその選択された要素群の情報を追加することにより、その選択された要素群を登録する。以下、登録された要素群は、「登録要素群」(「登録グループ」)とも記載される。制御部15は、選択された要素群の情報を要素群リストに追加する際、各登録要素群の識別情報を生成してよい。
【0041】
制御部15は、登録要素群の情報を表示部11に表示させてよい。例えば、制御部15は、
図2に示すような表示部11の表示エリア11Bに、登録要素群を示す画像60及び登録要素群を構成する各要素の情報すなわち構成要素情報を示す画像61を表示させてもよい。
図2では、登録要素群の識別情報は、「登録グループ No.002」と表示されている。表示エリア11Bは、ユーザが、要素群に関する情報を参照したり、編集、情報分析又は画面遷移等の操作をしたりするためのUI(User Interface)として用いられてよい。
図2に示すような表示エリア11Bに表示される情報は、領域50の近傍にポップアップウィンドウ等によって表示されてもよい。
【0042】
<検索処理>
制御部15は、ユーザ操作によって選択された要素群に適合する要素群を図面から検索する検索処理を実行する。制御部15は、ユーザが
図2に示すような領域50を選択することにより要素群を選択したことに応じて、検索処理を実行してよい。以下、ユーザ操作によって選択された要素群は、「検索要素群」(「検索グループ」)とも記載される。検索要素群は、登録処理が既に実行済みである場合、登録要素群となる。検索要素群に適合する要素群は、「適合要素群」(「適合グループ」)とも記載される。なお、制御部15は、既存の要素群リストに含まれる登録要素群のうち処理対象の図面に存在する要素群(ヒット要素群)を検索要素群として検索を行ってもよいが、この処理の詳細については第2実施形態で説明する。
【0043】
例えば、
図3に示す構成では、検索要素群は、領域50に位置する要素群となる。この検索要素群は、バルブ、要素A及び要素Bの3つの要素で構成される。この検索要素群では、最上流がバルブであり、バルブの下流側に要素Aが接続され、要素Aの下流側に要素Bが接続される。
【0044】
制御部15は、要素群の適合条件を満たす要素群を適合要素群として検出する。要素群の適合条件は、適宜設定されてよい。要素群の適合条件は、例えば、要素に付随する属性情報に関わらず、検索要素群を構成する各要素と同一の要素で構成される要素群であって、その要素群の要素の配列が検索要素群の要素の配列と同じであることとしてもよい。あるいは、要素群の適合条件は、例えば、要素群を構成する要素の種類及びその配列に加えて、要素に付随する属性情報(のうち必要なもの)が検索要素群の要素と一致(又は条件に合致)することとしてもよい。すなわち、要素群の適合条件には、要素群を構成する各要素に付随する属性情報が適合することが含まれてもよい。
【0045】
制御部15は、図面中のある要素が要素の適合条件を満たす場合、その要素を検索要素群の要素に適合する要素として検出する。要素の適合条件は、例えば、検索要素群の要素の種類と同じ種類の要素であって、検索要素群のその要素の属性情報と同じ属性情報が付与された要素であるとの条件である。制御部15は、記憶部14に記憶された要素群の適合条件の情報を取得してもよい。また、制御部15は、適合要素群の適合条件を入力部12から受け付けてもよい。必ずしも一致する必要のない属性情報も存在し得るので、いずれの属性情報が、どの程度一致していることを適合条件とするかは適宜指定されてよい。その条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、あるいは、事前に設定された条件であって、記憶部14内の図示しないルール記憶部等に記憶されたものでもよい。さらに、記憶部14に記憶されたルールをユーザが適宜変更して用いてもよい。
【0046】
具体的には、まず、制御部15は、検索要素群の要素のうちの第1要素に適合する要素を図面から検索する。第1要素は、例えば、検索要素群の要素のうちで最上流に位置する要素である。ただし、第1要素は、適宜設定されてよい。例えば、第1要素は、ユーザにより設定されてもよいし、図面又は検索要素群の要素のうちで重要な役割を果たす要素であってもよい。又は、第1要素は、記憶部14に記憶された所定規則(例えば、図面中のいずれの要素を優先して検索するか等を定めたルール等)に基づいて適宜設定されてもよい。例えば、
図3に示すような検索要素群では、第1要素は、バルブとなる。つまり、
図3に示す構成では、制御部15は、バルブを検索する。
【0047】
次に、制御部15は、検索要素群の第1要素に適合する要素を検索すると、検索要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が存在するか否かを判定する。具体的には、制御部15は、上記要素の配列情報に基づいて、第1要素に適合する要素に隣接する要素が検索要素群の第2要素に適合するか否かを判定する。第2要素は、検索要素群において第1要素に隣接する要素である。第2要素は、第1要素が最上流の要素である場合、第1要素の下流側に接続される要素である。例えば、第2要素は、
図3に示すような検索要素群では、要素Aである。制御部15は、第1要素に適合する要素に隣接する要素が第2要素に適合すると判定すると、上記要素の配列情報に基づいて、第2要素に適合する要素に隣接する要素が検索要素群の第3要素に適合するか否かを判定する。第3要素は、検索要素群において第2要素に隣接する要素のうち、第1要素とは異なる要素である。例えば、第3要素は、
図3に示すような検索要素群では、要素Bである。制御部15は、このような処理を順次繰り返すことにより、検索要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が存在するか否かを判定する。
【0048】
このように、制御部15は、検索要素群において第1要素に適合する要素を検索する。次に、制御部15は、第1要素を起点に、検索要素群の他の要素に適合する要素が存在するか否かを順に判定する。したがって、検索要素群の要素に適合しない要素が発見され次第、随時、その要素について検索要素群と照合する処理が中断される。その結果、処理を効率化することができる。
【0049】
制御部15は、検索要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が存在し、検索要素群と同様の配列で存在する(さらには、各要素に付随する必要な属性情報が合致している)と判定した場合、検索要素群の要素に適合する要素で構成される要素群を適合要素群として検出する。
図3に示す構成では、制御部15は、要素群51,52を適合要素群として検出する。なお、要素群53では、要素Aの下流側に要素Cが接続されている。その結果、制御部15は、要素群53を適合要素群として検出しない。
【0050】
なお、要素群の適合条件は、上述したものに限定されない。他の例として、要素群の適合条件は、要素群の要素の種類及び配列が検索要素群の要素の種類及び配列と同じであるとの条件であってもよい。この場合、制御部15は、要素群の要素の種類及び配列が検索要素群の要素の種類及び配列と同じであれば、その要素群の要素の属性情報がその検索要素群の要素の属性情報と同じでなくても、その要素群を適合要素群として検出する。このような適合条件は、適宜ユーザによる設定の変更や、選択によって変更されてよい。
【0051】
制御部15は、検出した適合要素群の情報を記憶部14に記憶させる。制御部15は、適合要素群の情報を、登録要素群の情報に対応付けて記憶部14に記憶させる。適合要素群の情報は、適合要素群の位置情報を含んでよい。要素群の位置情報は、例えば、分割される図面の頁又は図面の番号、レイヤー番号、要素群の場所を特定する座標並びに要素群がその上に存在する配管又は配線及び基準となる配管等から何番目にあるか等の情報の少なくとも何れかであってよい。レイヤー番号は、複数の図面が重畳される場合、図面が基準となる図面から何番目に重畳された図面であるかを示す。適合要素群の位置情報が記憶されることにより、情報処理装置10は、一度検索された要素群の情報を、再検索することなく利用することができる。
【0052】
制御部15は、検出した適合要素群を他の要素とは異なる表示態様で表示部11に表示させてよい。例えば、制御部15は、
図4に示すように表示部11の表示エリア11Aに、領域50の検索要素群とともに適合要素群である要素群51,52を、他とは異なる表示態様で表示させる。他とは異なる表示態様は、他とは異なる色で表示することであったり、特定のマークを付して表示させたりすることであってよい。制御部15は、適合要素群を、線種変更、記号付与、又は、要素群番号若しくは要素群名等の要素群を特定する情報の付与等により表示してもよい。このような構成により、ユーザは、表示部11に表示された図面において、検索された適合要素群を容易に認識することができる。
【0053】
制御部15は、表示部11に、検出した適合要素群の個数を表示させてよい。例えば、制御部15は、
図4に示すような表示部11の表示エリア11Cに、現在表示内として表示エリア11Aに表示された図面に、適合要素群が3箇所存在することを表示させる。また、制御部15は、表示エリア11Cに、全体図面内として表示エリア11Aに表示されていない他の頁も含めた図面全体に、適合要素群が45箇所存在することを表示させる。
【0054】
制御部15は、表示部11に、プラント全体の図面に存在する適合要素群の分布を示す画像を表示させてもよい。例えば、制御部15は、
図4に示すように表示部11の表示エリア11Dに、プラント全体の図面に存在する適合要素群の分布を示す画像として存在エリア分布を示す。枠62は、プラント全体の図面のうち、表示エリア11Aに表示された部分を示す。矩形63,64,65の各々は、プラント全体の図面において適合要素群が存在している部分に対応する。矩形63に対応する部分には、適合要素群が10箇所存在し、その10箇所のうちの3箇所が表示エリア11Aに表示されている。矩形64に対応する部分には、適合要素群が15箇所存在する。矩形65に対応する部分には、適合要素群が20箇所存在する。ユーザは、表示部11のプラント全体の図面に存在する適合要素群の分布を示す画像を参照することにより、図面においてどこに適合要素群が存在するかを容易に把握することができる。このような表示は、図面の設計及びメンテナンスにおいて、ある要素群に特化して作業を行いたい場合に有用である。このような作業は、例えば、要素の修正又は適合要素群の分布の確認等である。なお、制御部15は、プラント全体の図面ではなく、プラント全体の図面のうちでユーザにより選択された特定の範囲において検索処理を実行してもよい。
【0055】
なお、制御部15は、検索要素群が選択された場合、ユーザから明示的な検索又は検索結果の登録の指示がなくても、自動的に、その検索要素群に適合する適合要素群を図面から検索してよい。さらに、制御部15は、検索した適合要素群の位置情報等を記憶部14に記憶させてよい。このような構成により、ユーザは、必要に応じて、その検索結果を利用することができる。例えば、ユーザは、外出先等で
図1に示すような端末装置20又は端末装置30を操作して手軽に検索要素群を選択しておき、その後、本格的に図面編集等の作業をする際に、自動的に記憶された検索結果の情報を利用することができる。
【0056】
図5は、
図1に示す情報処理装置10の要素群の登録処理及び要素群の検索処理の手順の一例を示すフローチャートである。制御部15は、図面を指定するユーザ操作を入力部12によって受け付けると、ユーザ操作によって指定された図面のデータを表示部11に表示させた後、
図5に示すような処理を開始する。
図5に示すような手順を含む情報処理方法は、情報処理装置10のプロセッサに実行させるプログラムとして実現されてもよい。このプログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0057】
制御部15は、図面における要素群(グループ)を選択するユーザ操作を、入力部12によって受け付ける(ステップS10)。制御部15は、ユーザ操作により選択された要素群を記憶部14に記憶させることにより、その選択された要素群を登録する(ステップS11)。
【0058】
制御部15は、ステップS11で登録された要素群を検索要素群(検索グループ)として、検索要素群の要素のうちの第1要素に適合する要素を図面から検索する(ステップS12)。
【0059】
制御部15は、検索要素群の第1要素に適合する要素を検索すると、検索要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が存在するか否かを判定する(ステップS13)。制御部15は、検索要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が存在すると判定する場合(ステップS13:YES)、ステップS14の処理に進む。一方、制御部15は、検索要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が存在しないと判定する場合(ステップS13:NO)、検索処理を終了する。
【0060】
ステップS14の処理において、制御部15は、検索要素群の要素に適合する要素で構成される要素群を適合要素群(適合グループ)として検出する。
【0061】
ステップS15の処理において、制御部15は、適合要素群の情報を記憶部14に記憶させる。
【0062】
ステップS16の処理において、制御部15は、適合要素群を他の要素とは異なる表示態様で表示部11に表示させる。
【0063】
ステップS17の処理において、制御部15は、表示部11に、プラント全体の図面に存在する適合要素群の分布を示す画像を表示させる。
【0064】
なお、適合要素群を検索する対象の図面は、1つの図面ではなく、複数の図面であってもよい。また、適合要素群を検索する対象の図面は、同一のプラントに関する図面であってもよいし、複数の別のプラントに関する図面であってもよい。
【0065】
このように第1実施形態に係る情報処理装置10では、制御部15は、図面における要素群を選択するユーザ操作を、入力部12によって受け付ける。さらに、制御部15は、ユーザによって選択された要素群を検索要素群として、適合要素群を検索する検索処理を実行する。このように情報処理装置10では、ユーザ操作によって選択された要素群に適合する適合要素群が自動的に検索される。その結果、ユーザは、少ない工数で図面から特定の要素群に適合する全ての要素群を容易に抽出することができる。さらに、情報処理装置10では、図面を表示させる表示部11から要素群の選択を受け付けることができる。このような構成により、ユーザは、要素群を容易に選択することができる。したがって、本実施形態によれば、複雑且つ膨大な図面における要素群の選択作業を効率化するとともに、作業時間及び人件コストを低減し、作業ミスを軽減することができる。
【0066】
(第2実施形態)
第1実施形態にて述べた登録処理等が実行されることにより、記憶部14には、既存プラントに関する図面に関して生成(既存の図面にて選択指定)された既存の要素群リストが格納されるようになる。第2実施形態では、このような既存の要素群リストを利用し、新たな要素群リストを生成する構成について説明する。新たな要素群リストは、例えば、現在処理を行おうとしているプラントの図面に関して、処理を行うべき要素群(グループ群)を指定することにより生成されるものである。以下、新たな要素群リストを生成するプラントは、「対象プラント」とも記載される。また、対象プラントのプロセス制御システムで用いられる図面は、「対象図面」とも記載される。
【0067】
<候補プラントの選択処理>
制御部15は、記憶部14に記憶された、対象図面と、既存の図面及び既存の図面について登録されている要素群リストに基づき、複数の既存プラントのうちから、少なくとも1つの候補プラントを選択する。候補プラントの選択は、例えば、新たなグループリストの作成指示を入力部12によって受け付けたことに応じて行われてもよい。「既存プラント」とは、既存の図面がそのプロセス制御システムで用いられるプラントである。「候補プラント」とは、既存プラントの中から選択されるプラントであって、対象図面についてその要素群リストを再利用する既存の図面により表されるプラントである。候補プラントには、後述するように、仮適用の処理が実行される。
【0068】
図6は、既存プラント及び対象プラントの基本情報の一例を示す図である。例えば、
図6に示すようなプラントP1~プラントP4を含む複数のプラントは、既存プラントである。
図6には既存プラント及び対象プラントに関する基本情報の一例として、プラント種別(例えば、製造物)、運営企業(あるいは設計事業者等、関与する企業・組織等)、設計された時期、及びプラントの規模等の情報が示されているが、多岐に亘る情報が存在しており、基本情報はこれらに限られない。また、
図6は一例であり、実際にはより多数のプラント、及びそれに関する図面のデータが存在してもよい。そのような多数のプラントについての多数の項目からなる基本情報からユーザが特定のプラントを情報の目視や判断により選出するのは一般に困難である。そこで、制御部15は、自動的に、現在処理を行おうとしている対象プラントの図面である対象図面と類似性の高いプラント(図面の類似性も高いもの)を、候補プラントとして選択する。
図6の例では、制御部15は、プラントP1~プラントP4を含む複数のプラントのうちから、少なくとも1つの候補プラントを選択する。
【0069】
制御部15は、既存プラントの基本情報と対象プラントの基本情報との比較結果に基づいて、候補プラントを選択する。プラントの基本情報は、プラントのプロセス制御システムの設計に関わる基本的な項目に関する情報である。プラントの基本情報の項目は、図面における要素群の構成及び要素に影響する可能性が高い項目である。つまり、既存プラントの基本情報と対象プラントの基本情報との比較結果は、既存プラントに関する図面にて登録された登録要素群のうち、いずれが対象図面に含まれる要素群により近いか(要素群の包含率が高いか)を判断する材料となり得る。制御部15は、記憶部14に記憶されたプラントの基本情報を取得してもよい。制御部15は、ネットワーク2を介して外部装置から、既存プラントの基本情報を通信部13によって受信して取得してもよい。制御部15は、対象プラントの基本情報を入力部12から受け付けてもよい。
【0070】
基本情報は、
図6に示すような、各プラントのプラント種別(例えば、プラントで製造される製造物)、プラントを運営する運営会社、プラントが設計された設計時期及びプラント規模等を含む。プラント規模は、複数段階で区分されてよい。プラント規模は、例えば、小規模、中規模及び大規模の三段階である。ここで、プラントの製造物の種類によって、プラントに用いられる要素群の構成及び要素の種類等が異なる。また、プラントの運営会社(設計した事業者や設計に利用したツール)等によって、図面における要素の記号データ等が異なる。また、プラントの設計時期によって新旧の表現の変化・差異等が生じる場合もあり、プラントにて用いられる要素の型番及び図面における要素の記号データ等が異なる可能性がある。また、プラント規模によって、プラントに用いられる要素群の構成及び要素等が異なる。よって、プラントの製造物、プラントの運営会社、プラントの設計時期及びプラントの規模等の一致は、図面における要素群の構成及び要素に影響する可能性が高い項目である。もちろん、
図6に示した基本情報の項目及びその内容は一例であり、これに限らない項目が使用されてもよい。
【0071】
プラントP1のプラント種別(例えば、製造物)は、石油である。プラントP1の運営会社は、X社である。プラントP1の設計時期は、2010年である。プラントP1の規模は、小規模である。なお、プラントP1の図面にて登録された登録要素群の数は、100個である。
【0072】
プラントP2のプラント種別は、石油である。プラントP2の運営会社は、Y社である。プラントP2の設計時期は、2015年である。プラントP2の規模は、大規模である。なお、プラントP2の図面にて登録された登録要素群の数は、310個である。
【0073】
プラントP3のプラント種別は、石油である。プラントP3の運営会社は、X社である。プラントP3の設計時期は、2018年である。プラントP3の規模は、大規模である。なお、プラントP3の図面にて登録された登録要素群の数は、290個である。
【0074】
プラントP4のプラント種別は、薬品である。プラントP4の運営会社は、X社である。プラントP4の設計時期は、2018年である。プラントP4の規模は、大規模である。なお、プラントP4の図面にて登録された登録要素群の数は、280個である。
【0075】
制御部15は、複数の既存プラントのうちで、対象プラントの基本情報と類似度が高い基本情報を有する既存プラントを候補プラントとして選択する。基本情報の類似度とは、プラントの基本情報の類似性の度合いを示す数値である。基本情報の類似度は、例えば、内容が一致する基本情報の項目の数、又は、内容が一致する基本情報の項目の数の全体の項目数に対する割合等としてもよい。あるいは、基本情報の類似度は、一致する項目数の多さ、各項目における合致度(乖離度)、それらを踏まえて点数化した数値等が適宜利用されてもよい。制御部15は、基本情報の類似度が予め定められた閾値以上の既存プラントを候補プラントとして選択してもよい。閾値は、基本情報の項目の数又は既存プラントの数等に基づいて、適宜設定されてよい。なお、基本情報の項目がプラントの設計時期である場合、制御部15は、既存プラントの設計時期が対象プラントの設計時期から所定年数以内である場合、既存プラントの設計時期と対象プラントの設計時期とが一致するとみなしてよい。所定年数は、図面の要素群が更新される頻度等に基づいて、適宜設定されてよい。例えば、
図6に示す構成において所定年数が5年である場合、制御部15は、プラントP2の設計時期の2015年と対象プラントの設計時期の2020年とが一致するとみなす。あるいは、ある時期をもって図面の規格や表現ルール等に変化があり、その時期を境に新旧(書式の違い)が発生する場合は、そのような時期で分けてもよい。基本情報の各項目の重要度は一律ではないため、重要度に応じて各項目に重みを設定して類似度を算定してもよい。例えば、プラント種別(例えば、製造物)が近いほど図面の一致傾向が高い場合には、類似度の算定において、プラント種別(製造物)の項目を重視して判定されるように重みづけを設定してよい。ある運営会社又は設計会社には独特な設計が多く、他の一般のプラントの参考になりにくいといった事情がある場合には、そのような会社が関与した既存プラントを避ける(例えば、優先順位を下げる)ようにしてもよい。、ある項目がある条件に一致する場合はそのプラントを候補プラントから除く、あるいはプラント比較時の類似度の数値(点数)が下がるようにしてもよい。
【0076】
例えば、
図6の例では、制御部15は、プラントP1~P4を含む複数の既存プラントの中から、プラントP2、プラントP3及びプラントP4を候補プラントとして選択している。
【0077】
このように、候補プラントは、既存プラントの基本情報と対象プラントの基本情報との比較結果に基づいて選択される。このような構成により、多数のプラントの中から、より対象プラントと類似性の近いものとして抽出された候補プラントに関する図面にて登録された登録要素群は、対象図面に存在する要素群と同じであるか、又は類似している可能性が高いものとなる。よって、候補プラントの既存の要素群リストからは、後述のヒット要素群を効率よく検出することができる。
【0078】
<仮適用の処理>
制御部15は、複数の候補プラントの既存の要素群リストの登録要素群からヒット要素群を検出する仮適用の処理を実行する。ヒット要素群は、対象プラントの対象図面に存在する要素群に適合する要素群である。
【0079】
制御部15は、既存の要素群リストの登録要素群のうち、要素群の適合条件を満たす要素群をヒット要素群として検出する。要素群の適合条件は、適宜設定されてよい。要素群の適合条件は、第1実施形態の検索処理で使用する適合条件と同様に設定してもよい。要素群の適合条件は、例えば、要素に付随する属性情報に関わらず、対象図面に存在する要素群の各要素と同一の要素で構成される登録要素群であって、その登録要素群の要素の配列が対象図面のその要素群の要素の配列と同じであることとしてもよい。あるいは、要素群の適合条件は、例えば、要素群を構成する各要素の種類及びその配列が同じであることに加えて、要素に付随する属性情報(のうち必要なもの)が検索要素群の要素と一致(又は条件に合致)することとしてもよい。すなわち、要素群の適合条件には、要素群を構成する各要素に付随する属性情報の全部又は一部が適合することが含まれてもよい。制御部15は、記憶部14に記憶された要素群の適合条件の情報を取得してもよい。また、制御部15は、要素群の適合条件を入力部12から受け付けてもよい。
【0080】
具体的には、制御部15は、候補プラントの登録要素群(候補プラントの図面において過去に指定済の要素群)が対象プラントの図面に存在するか否かを判定する。この処理は、上記検索処理と同様に、実行可能である。制御部15は、例えば、候補プラントの登録要素群を上記検索要素群とし、候補プラントのその登録要素群の第1要素に適合する要素を、対象プラントの対象図面から検索する。制御部15は、候補プラントの登録要素群の第1要素に適合する要素が対象図面に存在しない場合、その登録要素群に適合する要素群が対象図面に存在しないと判定する。一方、制御部15は、候補プラントの登録要素群の第1要素に適合する要素を検索すると、その登録要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が対象図面に存在するか否かを判定する。制御部15は、その登録要素群の第1要素以外の他の要素に適合する要素が対象図面に存在すると判定した場合、その登録要素群をヒット要素群として検出する。制御部15は、検出したヒット要素群をカウントしていくことにより、ヒット要素群の数(ヒット数)を検出する。なお、制御部15は、ヒット数を検出するとともに、検出したヒット要素群の情報を記憶部14に記憶させておいてよい。
【0081】
仮適用の処理では、ヒット要素群が対象図面中に存在することが検出されればよい。したがって、制御部15は、対象プラントの図面においてヒット要素群に適合する全ての要素群を探索しなくてよい。このような構成により、既存図面の登録済要素群の対象図面中での利用の判定の処理を効率よく実行することができる。
【0082】
例えば、仮適用の処理結果として、制御部15は、
図7に示すような処理結果を取得する。プラントP2では、ヒット数が160個である。プラントP3では、ヒット数が250個である。プラントP4では、ヒット数が90個である。
【0083】
なお、要素群の適合条件は、上述したものに限定されない。他の例として、要素群の適合条件は、登録要素群の要素の種類及び配列が対象図面に存在する要素群の要素の種類及び配列と同じであるとの条件であってもよい。この場合、制御部15は、登録要素群の要素の種類及び配列が対象図面の要素群の要素の種類及び配列と同じであれば、その登録要素群の要素の属性情報が対象図面のその要素群の要素の属性情報と同じでなくても、その登録要素群をヒット要素群として検出する。
【0084】
このように仮適用の処理を実行してヒット数を検出することにより、後述の本適用の処理を実行する後述の適用プラントを効率よく選択することができる。
【0085】
<本適用の処理>
制御部15は、複数の候補プラントのうちでヒット数が最も多い候補プラントを「適用プラント」として選択する。制御部15は、適用プラントのヒット要素群を用いて本適用の処理を実行する。本適用の処理は、対象図面からヒット要素群に適合する要素群を検索する処理である。本適用の処理において、制御部15は、対象図面からヒット要素群に適合する全ての要素群を検索する。例えば、
図7に示す構成では、制御部15は、ヒット数が最も多かったプラントP3を適用プラントとして選択し、プラントP3のヒット要素群を用いて本適用の処理を実行する。
【0086】
制御部15は、第1実施形態における検索処理と同様にして、本適用の処理を実行する。つまり、制御部15は、適用プラントのヒット要素群を検索要素群として、対象プラントの対象図面から、その検索要素群に適合する要素群を適合要素群として検索する。このような構成により、ヒット要素群に適合する適合要素群が、ユーザが要素群の指定を行うことなく、対象図面において自動的に検索される。制御部15は、検索した適合要素群の情報を記憶部14に記憶させる。制御部15は、第1実施形態にて上述したように、検索した適合要素群の位置情報を記憶部14に記憶させてよい。
【0087】
制御部15は、ヒット要素群に基づいて、対象プラントの新たな要素群リストを生成する。制御部15は、適用プラントのヒット要素群を対象プラントの対象図面の登録要素群の一部または全部とすることにより、対象プラントの要素群リストを生成する。
【0088】
ところで、適用プラントのヒット要素群を用いて本適用の処理を実行しても、対象図面において登録すべき要素群が残る場合がある。対象プラントが既存プラントのコピープラント等で全く、あるいはほぼ同じプラントであったり、対象プラントの方が規模が小さい場合は、ヒット要素群のみで対象プラントの対象図面から検出すべき全ての要素群が網羅される可能性もある。そうではない場合には、ユーザは図面上から指定すること等により、差分要素群を補う。「差分要素群」とは、対象図面に含まれる登録すべき要素群であって、適用プラントのヒット要素群によって網羅されないものである。例えば、後述の
図9の例では、対象図面において登録すべき登録要素群の数である登録要素群数(登録グループ数)は350個である。登録要素群数は、実際には対象図面から要素群を選択してみないとわからないが、実際に選択した結果として計上されるべき要素群の個数である。適用プラントのヒット要素群を適用している段階では、対象プラントから抽出すべき全要素群の登録は未完了なので、登録要素数はわからない。
【0089】
この場合、
図9のように、適用プラントであるプラントP3のヒット要素群が250個であるすると、適用プラントのヒット要素群を用いて本適用の処理を実行しても、対象図面において登録すべき登録要素群が100個(=350個-250個)残ることになる。既存図面のヒット要素群を再利用することにより、この再利用がなければ、ユーザが350個の要素群を手動で選択しなければならなかったであろうところ、250個の選択が不要となり、ユーザは差分の100個の要素群を選択するだけでよくなる。しかし、以下に説明するように、既存プラントの登録要素群を際利用して、ユーザが手動で選択すべき要素群数を更に削減してもよい。
【0090】
制御部15は、適合プラント以外の既存プラント中から、対象プラントにおけるヒット要素群以外の要素群(差分要素群)を含む既存プラントを抽出し、これを第2、第3の適用プラント(補助適用プラント)として、適用処理を実行してよい。具体的には、制御部15は、補助適用プラントを対象プラントに仮適用して抽出したヒット要素群のうち、適用プラントのヒット要素群と重複しないものを用いてもよい。例えば、
図7に示す構成において、制御部15は、プラントP2を新たな補助適用プラントとして選択する。また、新たな適用プラントであるプラントP2のヒット要素群の160個のうちの80個が、前回の適用プラントであるプラントP3のヒット要素群と重複しないものとする。この場合、制御部15は、プラントP2のヒット要素群の160個のうちのその80個を用いて本適用の処理を再度実行する。制御部15は、再度の本適用の処理に用いたヒット要素群を登録要素群として対象プラントの要素群リストに追加する。このように本適用の処理を再度実行することにより、ユーザが手動で指定すべき要素群数を更に低減し、作業を効率化することができる。
【0091】
例えば、本適用の処理を実行することにより、
図8に示すような対象プラントの要素群リストが生成される。
図8は、プラントP2、プラントP3及び対象プラントの要素群リストの一部を示す。プラントP2の要素群リスト(要素群101,102を含む)及びプラントP3の要素群リスト(要素群103~105を含む)において、ヒット要素群に対応する要素群(要素群101,103,104)には、網掛けが施されている。
図8に示すプラントP2の要素群リストの部分からは、5個のヒット要素群101が対象プラントの要素群リストに追加される(要素群106)。また、
図8に示すプラントP3の要素群リストの部分からは、要素群101との重複分(要素群103)を除く2個のヒット要素群104が対象プラントの要素群リストに追加される(要素群107)。プラントP2用の要素群リストのみの場合、5つの要素群101のみが対象図面にて再利用されるところ、プラントP3用の要素群リストを組み合わせて利用することで、7つの要素群106,107を対象図面にて再利用できる。このように、単数の図面に限らず、複数の既存図面の要素群リストを組み合わせて利用してよい。
【0092】
なお、制御部15は、候補プラントを選択せずに、全ての既存プラントに対して仮適用の処理を実行してもよい。あるいは、仮適用を行わずに全ての既存プラントに対して本適用の処理を実行してもよい。この場合、制御部15は、抽出したヒット要素群を用いて本適用の処理を実行する。
【0093】
また、ユーザが適用プラントを選択してもよい。この場合、制御部15は、
図7に示すような仮適用の処理結果を表示部11に表示させる。ユーザは、仮適用の処理結果を視認して適用プラントを選択し、選択した適用プラントの情報を入力部12から入力する。制御部15は、入力部12によってユーザからの入力を受け付けた適用プラントに対して本適用の処理を実行する。
【0094】
なお、制御部15は、例えば後述の第4実施形態に係る処理のために、適用プラントの図面のデータからヒット要素群のデータを取得しておいてもよい。この場合、制御部15は、取得したヒット要素群のデータを対象図面の登録要素群のデータとして用いてもよい。ここで、表記ルールは、上述のように、図面の規格、バージョンや設計企業等に応じて異なる。そこで、制御部15は、適用プラントの図面のデータからヒット要素群のデータを取得するとともに、適用プラントの図面に適用される表記ルールを取得してもよい。さらに、制御部15は、ヒット要素群のデータを適用プラントの図面に採用される表記ルールに従って変換し、変換した後のヒット要素群のデータを対象図面の登録要素群として用いてもよい。
【0095】
ここで、候補プラントのヒット要素群に本適用の処理を実行しても、対象図面において登録すべき要素群が残る場合がある。この場合、制御部15は、ユーザ操作に基づいて、後述の
図14等に示すような画面を表示部11に表示させてよい。さらに、第1実施形態にて上述したように、ユーザは、タッチ操作3により図面中の領域を選択することにより、登録したい要素群を選択してもよい。
【0096】
制御部15は、
図9に示すような本適用の処理結果の情報を表示部11に表示させてよい。
図9では、対象図面において、ユーザによる不足分の指定による追加要素群の登録も含め、最終的に登録された登録要素群の数(登録グループ数)は、350個である。この350個のうち、「登録グループ数(自動)」の330個は、既存図面において選択済の、既存要素群のデータの再利用によって自動的に登録されたものである。「既存要素群」とは、既存プラントについて登録されている登録要素群である。この350個のうち、「登録グループ数(手動)」の20個は、適用した範囲の既存プラントの登録要素群を示す要素群リストには含まれず、ユーザがタッチ操作すなわち手動で要素群を選択することにより、登録された要素群である。このような処理結果の情報が表示部11に表示されることにより、情報処理装置10を利用した場合の作業効率(効果)を可視化することができる。さらに、制御部15は、既存要素群のデータの再利用によって自動的に登録された登録要素群の数を、対象図面において最終的に登録された登録要素群の数で除算することにより、カバー率を算出してもよい。この場合、制御部15は、カバー率を表示部11に表示させてもよい。
【0097】
図10は、
図1に示す情報処理装置10の新たな要素群リストの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。制御部15は、
図10に示すような処理を実行する。
図10に示すような手順を含む情報処理方法は、情報処理装置10のプロセッサに実行させるプログラムとして実現されてもよい。このプログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。情報処理装置10の処理は、本質的には、既存図面から抽出済の既存要素群のデータのうち、作業対象となる対象図面に適用可能なものを再利用し、対象図面中からの検索を実行することである。そこで、一連の処理として
図10の処理が実行されてもよいし、あるいは、他の手順を追加して
図10のような処理として実行されてもよい。
【0098】
ステップS20の処理において、制御部15は、記憶部14に記憶されたプラントの基本情報を取得する。ステップS20の処理において、制御部15は、複数の既存プラントのうちで、対象プラントの基本情報と所定数以上の項目が一致する基本情報を有する既存プラントを候補プラントとして選択する。
【0099】
ステップS21の処理において、制御部15は、記憶部14に記憶された複数の候補プラントの既存の要素群リストを取得する。ステップS21の処理において、制御部15は、複数の候補プラントの既存の要素群リストからヒット要素群を検出する仮適用の処理を実行する。
【0100】
制御部15は、複数の候補プラントのうちでヒット数が最も多い候補プラントを適用プラントとして選択する(ステップS22)。
【0101】
制御部15は、対象図面から適用プラントのヒット要素群に適合する要素群を検索する本適用の処理を実行する(ステップS23)。この処理は、第1実施形態の検索処理と同様の手順により実行される。
【0102】
制御部15は、ステップS22で適用プラントとして選択された既存プラント以外の他の既存プラントのうちで適用プラントのヒット要素群と重複しないヒット要素群を有する既存プラントが存在するか否かを判定する(ステップS24)。すなわち、制御部15は、他の既存プラントの要素群リスト(グループリスト)に差分グループ(差分要素群)を含むものがあるか否かを判定する。
【0103】
制御部15は、他の既存プラントのうちで適用プラントのヒット要素群と重複しないヒット要素群を有する既存プラントが存在しない、すなわち、他の既存プラントの要素群リストに差分要素群を含むものが存在しないと判定する場合(ステップS24:NO)、要素群リストの生成処理を終了する。
【0104】
制御部15は、他の既存プラントのうちで適用プラントのヒット要素群と重複しないヒット要素群を有する既存プラントが存在する、すなわち、他の既存プラントの要素群リストに差分要素群を含むものが存在すると判定する場合(ステップS24:YES)、その既存プラントを新たな適用プラント(補助適用プラント)に選択する(ステップS25)。制御部15は、新たな適用プラント(補助適用プラント)のヒット要素群によって本適用の処理を再度実行する(ステップS23)。再度のステップS23の処理では、制御部15は、新たな適用プラントのヒット要素群のうちの前回の適用プラントのヒット要素群と重複しないヒット要素群を用いる。
【0105】
制御部15は、ステップS20~S25の処理をバックグランドで実行してもよい。
【0106】
このように第2実施形態に係る情報処理装置10では、制御部15は、既存の要素群リストの登録要素群のうちから、新たな要素群リストを生成する対象となる対象図面に存在する要素群に適合するヒット要素群を検出する。さらに、制御部15は、ヒット要素群に基づいて新たな要素群リストを生成する。このような構成により、ユーザが対象図面から手動で編集又は修正等の対象となる要素群を登録要素群として選択する手間が軽減される。よって、第2実施形態によれば、利便性を向上させた情報処理装置10及び情報処理方法が提供される。
【0107】
(第3実施形態)
第3実施形態では、要素群(グループ)のマスターライブラリを作成する構成について説明する。マスターライブラリは、前述の構成のように、対象図面に適用可能な要素群(に相当する図面、その元となるプラント等の対象物)を選択するのではなく、過去の対象物の図面において抽出された要素群を重複のないデータの集合体としてまとめ、後発のいずれの図面にも適用できるように汎用化したものである。マスターライブラリは、記憶部14等に記憶され、随時更新されてよい。後述のように、マスターライブラリによって、対象プラントの新たな要素群リスト等を作成することができる。
【0108】
制御部15は、既存プラントにて生成された既存の要素群リストを用い、マスターライブラリを生成する。既存の要素群リストの登録要素群は、既存の図面において使用された実績がある要素群である。既存の要素群リストを用いることにより、汎用性が高いマスターライブラリを生成することができる。
【0109】
具体的には、制御部15は、記憶部14から、既存の要素群リストを取得する。制御部15は、ネットワーク2を介して外部装置から、既存の要素群リストを通信部13によって受信して取得してもよい。制御部15は、複数の既存の要素群リストを取得すると、複数の既存の要素群リストの登録要素群から、互いに重複しないように登録要素群を抽出する。制御部15は、抽出した登録要素群で構成されるマスターライブラリを生成する。
【0110】
<登録グループデータの格納処理>
制御部15は、既存プラントの既存の要素群リストから登録要素群を抽出する際、その既存プラントの図面のデータから登録要素群のデータ(登録グループデータ)を取得してもよい。制御部15は、その既存プラントの図面のデータから登録要素群のデータを取得するとともに、記憶部14からその既存プラントの図面に採用される表記ルールに関する情報を取得してよい。制御部15は、マスターライブラリにおいて、表記ルール毎に登録要素群のデータを格納してよい。マスターライブラリに格納された登録要素群のデータは、対象図面の要素群のデータとして用いることができる。マスターライブラリにて表記ルール毎に登録要素群のデータが格納されることにより、マスターライブラリは、より汎用性が高いものとなる。
【0111】
例えば、制御部15は、
図11に示すように、異なる表記ルールα及び表記ルールβ毎に、登録要素群70,71,72のデータを格納する。
【0112】
実際の図面で利用される記号ではなく、概念的に例示するが、表記ルールαでは、要素Aの記号は、「A」との文字と円形の図形とによって表される。表記ルールαでは、要素Bの記号は、「B」との文字と円形の図形とによって表される。表記ルールαでは、要素Cの記号は、「C」との文字と円形の図形とによって表される。
【0113】
表記ルールβでは、要素Aの記号は、表記ルールαと同じく、「A」との文字と円形の図形とによって表される。表記ルールβでは、要素Bの記号は、表記ルールαとは異なり、「B」との文字と矩形の図形とによって表される。表記ルールβでは、要素Cの記号は、表記ルールαと同じく、「C」との文字と円形の図形とによって表される。つまり、この例では、3つの要素のうち要素Bのみ、2つの表記ルールα、β間で記号が異なっている。
【0114】
登録要素群(登録グループ)70~72の各々は、要素A~要素Cの少なくとも何れかで構成される。登録要素群70~72のデータの各々は、登録要素群70~72の各々を構成する要素A~要素Cの各々の記号データによって表される。
【0115】
<登録グループデータの生成処理>
ここで、
図11に示すような、既存図面で実際に使用されていた要素群の集合からなるマスターライブラリでは、表記ルールβの登録要素群71のデータと、表記ルールαの登録要素群72のデータが存在しない。その理由は、既存プラントの図面のデータ内に、表記ルールβの登録要素群71のデータ及び表記ルールαの登録要素群72のデータが存在しなかったためである。一方で、過去の図面において、登録要素群71、72、73いずれも使用された実績があり、ルールα、ルールβの2種類の表記にも使用された実績があることから、空欄となっている部分の要素群についても、登録要素群のデータが将来的な図面で使用される可能性がある。
【0116】
そこで、制御部15は、マスターライブラリに存在しない表記の登録要素群のデータを生成する。一例として、制御部15は、マスターライブラリに所定の表記ルールの登録要素群のデータが存在しない場合、その登録要素群の既存のデータと所定の表記ルールとによって、所定の表記ルールの登録要素群のデータを生成する。制御部15は、生成した登録要素群のデータをマスターライブラリに追加する。このような構成により、マスターライブラリは、より汎用性が高いものとなる。
【0117】
例えば、
図12に示すように、制御部15は、表記ルールβの登録要素群71のデータを生成してマスターライブラリに格納する。制御部15は、表記ルールβと、既存のデータとしての表記ルールαの登録要素群71のデータとによって、表記ルールβの登録要素群71のデータを生成する。制御部15は、表記ルールαで表された要素Bの記号(円形)を表記ルールβで用いられる記号(矩形)に変換することにより、表記ルールβの登録要素群71のデータを生成する。
【0118】
例えば、
図12に示すように、制御部15は、表記ルールαの登録要素群72のデータを生成してマスターライブラリに格納する。制御部15は、表記ルールαと、既存のデータである表記ルールβの登録要素群72のデータとによって、表記ルールαの登録要素群72のデータを生成する。制御部15は、表記ルールβで表された要素Bの記号(矩形)を表記ルールαで用いられる記号(円形)に変換することにより、表記ルールαの登録要素群72のデータを生成する。ここでは、表記ルール毎の記号の差異(要素B)を、記号の外形が円形か矩形かで例示しているが、あくまでも例示であり、記号の差異はこれに限られない。例えば、情報処理装置10は、同じ円形でありながら組み合わせる幾何学図形が異なる、組み合わされる文字が異なる、用いられる色が異なる等、多様な表記違いに対応し得る。
【0119】
制御部15は、マスターライブラリに存在しない登録要素群のデータのうち、使用頻度が閾値以上の登録要素群のデータを生成してもよい。このような構成により、マスターライブラリに汎用性の高い登録要素群のデータを追加しつつ、マスターライブラリのデータ量の増加を抑制することができる。使用頻度は、登録要素群が既存のプラントの図面において使用された度合いである。あるいは、使用頻度が高い書式(ルール)に特化して網羅性を高めてもよい。制御部15は、既存プラントの図面を適宜解析することにより、登録要素群のデータの使用頻度を適宜算出してよい。閾値は、マスターライブラリのデータ量に応じて適宜設定されてよい。
【0120】
<更新処理>
制御部15は、マスターライブラリの生成後、マスターライブラリの更新処理を実行してもよい。マスターライブラリが更新されることにより、マスターライブラリは、より汎用性が高いものとなる。
【0121】
更新処理の一例として、制御部15は、マスターライブラリの生成後、図面においてユーザ操作により選択された要素群を登録要素群として新たに登録した場合、マスターライブラリを更新する。制御部15は、ユーザ操作により登録した登録要素群がマスターライブラリの登録要素群と重複しない場合、ユーザ操作により登録した登録要素群をマスターライブラリに追加することにより、マスターライブラリを更新する。ユーザ操作により登録された登録要素群によってマスターライブラリを更新することにより、更新後のマスターライブラリは、より汎用性の高いものとなる。
【0122】
更新処理の他の例として、制御部15は、マスターライブラリの生成後、ネットワーク2を介して外部装置から新たな要素群リストを通信部13によって受信して取得した場合、マスターライブラリを更新する。制御部15は、新たな要素群リストの登録要素群から、マスターライブラリの登録要素群と重複しない登録要素群を抽出し、抽出した登録要素群をマスターライブラリに追加することにより、マスターライブラリを更新する。マスターライブラリを更新することにより、更新後のマスターライブラリは、より汎用性の高いものとなる。
【0123】
制御部15は、マスターライブラリの更新処理において、登録要素群のデータの格納処理及び生成処理を適宜実行してよい。
【0124】
<新たな要素群リストの生成処理>
制御部15は、マスターライブラリを用いて対象プラントの要素群リストを生成する。以下、マスターライブラリを用いた対象プラントの要素群リストの生成方法について、簡単に説明する。なお、マスターライブラリを用いて新たな要素群リストを作成する処理は、ユーザの指示に応じて行われてもよいが、対象図面と既存要素群等のデータをシステムが取得した時点で、情報処理装置10が自動的に行ってもよい。例えば、情報処理装置10は、ユーザが作業していない時間帯(夜間等)に自動的に処理を実行し、ユーザが対象図面について作業をしようとした際には、必要な要素群データが利用できるようにしてよい。これにより、ユーザが意識することなく、過去のデータを適宜再利用して、図面に対する変更等の処理を行うことが容易になる。
【0125】
まず、制御部15は、仮適用の処理と同様にして、マスターライブラリの登録要素群からヒット要素群を検出する。制御部15は、検出したヒット要素群を対象プラントの要素群リストの登録要素群とすることにより、対象プラントの要素群リストを生成する。このような構成により、ユーザが対象図面から手動で編集又は修正等の対象となる要素群を登録要素群として選択する手間が軽減される。
【0126】
制御部15は、マスターライブラリに格納される登録要素群のデータから、ヒット要素群として検出した登録要素群のデータを取得しておいてもよい。この場合、制御部15は、取得したデータを対象図面の登録要素群のデータとして用いてもよい。制御部15は、マスターライブラリの登録要素群のデータのうち、ヒット要素群として検出した登録要素群のデータであって、対象図面に採用される表記ルールに対応付けられた登録要素群のデータを取得しておいてよい。
【0127】
次に、制御部15は、検出したヒット要素群を用いて本適用の処理を実行する。このような構成により、ヒット要素群に適合する適合要素群が対象図面において自動的に検索される。
【0128】
図13は、
図1に示す情報処理装置10のマスターライブラリの生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。制御部15は、
図13に示すような処理を開始する。
図13に示すような手順を含む情報処理方法は、情報処理装置10のプロセッサに実行させるプログラムとして実現されてもよい。このプログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0129】
制御部15は、記憶部14から、複数の既存の要素群リスト(グループリスト)を取得する(ステップS30)。
【0130】
制御部15は、ステップS30の処理で取得した複数の既存の要素群リストの登録要素群から、互いに重複しないように登録要素群(登録グループ)を抽出する(ステップS31)。
【0131】
制御部15は、ステップS31の処理で抽出した登録要素群で構成されるマスターライブラリを生成する(ステップS32)。
【0132】
制御部15は、マスターライブラリにおいて、登録要素群のデータを格納する(ステップS33)。
【0133】
制御部15は、マスターライブラリに所定の表記ルールの登録要素群のデータが存在しない場合、所定の表記ルールと、その表記ルールで用いられる表記方法(要素群データ、又は線等、記号の使い方等のルール)とによって、所定の表記ルールの登録要素群のデータを生成する(ステップS34)。制御部15は、生成した登録要素群のデータをマスターライブラリに追加する。
【0134】
制御部15は、マスターライブラリを更新する(ステップS35)。例えば、制御部15は、図面においてユーザ操作により選択された要素群を登録要素群として新たに登録した場合又はネットワーク2を介して外部装置から新たな要素群リストを通信部13によって受信して取得した場合、マスターライブラリを更新する。それが既にマスターライブラリに存在する登録要素群であれば更新は不要であり、それまでに存在しない新たな登録要素群であれば、制御部15は追加登録する。
【0135】
制御部15は、マスターライブラリの登録要素群から対象図面に存在する要素群に適合する要素群であるヒット要素群を検出する(ステップS36)。制御部15は、検出したヒット要素群を用いて本適用の処理を実行する(ステップS37)。
【0136】
前述のように、制御部15は、ステップS30~S35の処理をバックグランドで実行してもよい。
【0137】
このように第3実施形態に係る情報処理装置10では、制御部15は、複数の既存の要素群リストの登録要素群から、重複しないように登録要素群を抽出し、抽出した登録要素群で構成されるマスターライブラリを生成する。マスターライブラリは、対象図面における新たな要素群リストの生成に用いることができる。このような構成により、ユーザが対象図面から手動で編集又は修正等の対象となる要素群を登録要素群として選択する手間が軽減される。よって、第3実施形態によれば、利便性を向上させた情報処理装置10及び情報処理方法が提供される。
【0138】
(第4実施形態)
第4実施形態では、対象図面から要素群を選択して登録する作業において、表示部11に対象図面を表示させる表示処理について説明する。本実施形態において、制御部15は、対象図面内の既存の登録要素群を検索し、存在した場合は、対象図面内の該当箇所を他とは異なる態様で表示する。制御部15は、対象図面内で、既存の登録要素群が検索され異なる態様で表示された以外の箇所で、新規登録すべき要素群があれば、ユーザ指定により新規の登録要素群として登録する。制御部15は、既存の登録要素群と対象図面の記載ルール(書式)が異なる場合は、既存の登録要素群の記載ルールを対象図面の記載ルールに合わせた上で、対象図面中での検索を行う。これらの処理により、対象図面において既存の登録要素群に適合する箇所、及び新規に登録すべき要素群が他と異なる態様で表示される。したがって、ユーザは、既存図面及び対象図面の記載ルールの相違を意識せずに、対象図面における既存の登録要素群に適合する箇所、及び新規に登録すべき要素群を容易に認識することができ、登録要素群の選択の手間が軽減される。
【0139】
例えば、ユーザは、現在設計中のプラント図面の修正、変更を行ったり、過去に設計したプラントの改良変更等を実行するために、そのプラントの図面を対象図面として表示部11に表示させる場合がある。この場合、制御部15は、既存の登録要素群として、別のプラントを過去に設計したときに用いた図面において第1実施形態に係る処理によって登録された登録要素群を使用してもよい。制御部15は、表示部11に表示させる対象図面を指定するユーザ操作を入力部12によって受け付けると、既存の登録要素群を用いた上記検索処理を実行する。つまり、制御部15は、既存の登録要素群を検索要素群とし、対象図面からその検索要素群に適合する適合要素群を検索する。ここで、制御部15は、既存の登録要素群と対象図面の記載ルール(書式)が異なる場合は、既存の登録要素群の記載ルールを対象図面の記載ルールに合わせた上で、対象図面中での検索を行う。
【0140】
制御部15は、対象図面に検索処理によって検索された適合要素群が存在する場合、対象図面において適合要素群の表示態様を対象図面他の部分とは異なる表示態様に変更する処理を実行する。このような構成により、ユーザは、登録すべき要素群を容易に把握することができる。また、ユーザは、登録すべき要素群がどの程度存在するかを容易に把握することができる。
【0141】
対象図面の画像の表示態様を変更する処理として、制御部15は、既存の登録済み要素群に適合する適合要素群の画像の視認性を下げて他の部分よりも目立たなくする処理を実行してもよい。制御部15は、適合要素群の画像の視認性を下げる処理として、例えば、画像の明度又彩度を下げる処理を実行する。このような構成により、ユーザは、登録すべき適合要素群をより容易に把握することができる。
【0142】
例えば、制御部15は、
図14に示すような対象図面の画像を、表示部11の表示エリア11Aに表示させる。
図14では、対象図面の画像は、画像80,81,82を含む。画像80~82は、既存の登録要素群に適合する適合要素群を示す画像である。画像80~82は、制御部15によって視認性を下げる処理が施されている。領域83に位置する要素群は、未登録の要素群の画像である。ユーザは、領域83に位置する要素群を登録要素群として要素群リストに追加するために、タッチ操作3により領域83に位置する要素群を選択する。
【0143】
制御部15は、既存の登録要素群に適合する適合要素群を示す画像のうち、要素群に含まれる各要素を示す記号部分の視認性を下げずに、記号部分以外の部分の視認性のみを下げてもよい。このような処理により、ユーザは、既存の登録済みの要素群の各要素の構成を把握することができる。
【0144】
<変換処理の例>
制御部15は、対象図面において、登録すべき要素群を検索するために、既存の登録要素群のデータを利用してよい。その際、既存の登録要素群が第1表記ルールで表され、対象図面が第2表記ルールで表される場合、制御部15は、既存の登録要素群のデータを第2表記ルールに変換した上で対象図面に用いる。表記ルールの変換は、例えば、以下のようなものである。
【0145】
例えば、既存の登録要素群が第2実施形態に係る処理によって検出されたヒット要素群である場合、既存の登録要素群のデータは、上記適用プラントの図面のデータから取得されたヒット要素群のデータとなる。また、第1表記ルールは、適用プラントの図面に適用される表記ルールである。なお、制御部15は、ヒット要素群のデータを適用プラントの図面に採用される表記ルールに従って変換した場合、変換した後のヒット要素群のデータを登録済みの要素群のデータとして用いてもよい。
【0146】
例えば、既存の登録要素群が第3実施形態に係る処理によってマスターライブラリから検出されたヒット要素群である場合、登録要素群のデータは、マスターライブラリから取得された、ヒット要素群として検出された登録要素群のデータである。第1表記ルールは、マスターライブラリにおいて、その登録要素群のデータに対応付けられた表記ルールである。
【0147】
例えば、ユーザが過去に設計したプラントの改良変更を実行するためにそのプラントの図面を対象図面として表示部11に表示させる場合、既存の登録要素群のデータは、そのプラントを過去に設計したときに用いた図面のデータから取得されたものとなる。また、第1表記ルールは、そのプラントを過去に設計したときに用いた図面に採用される表記ルールである。
【0148】
例えば、ユーザが対象図面とは別の図面において抽出した情報を再利用する場合、既存の登録要素群のデータは、その別の図面から取得されたものとなる。また、第1表記ルールは、その別の図面に採用される表記ルールである。
【0149】
例えば、
図15に示すような対象図面には、要素群90,91が存在する。要素群90は、バルブ、要素A及び要素Bで構成される。要素群91は、2つのバルブと要素Aで構成される。
図15に示す構成では、対象図面に採用される第2表記ルールは、上記表記ルールβである。また、第1表記ルールは、上記表記ルールαである。なお、表記ルールαと表記ルールβとにおいて、バルブの記号は、同じである。要素群90の表記ルールβで表されたデータは、要素群90が要素Bを含むことにより、要素群90の表記ルールαで表されたデータとは異なる。また、表記ルールβで表された要素群91のデータは、要素群91がバルブと要素Aで構成されることにより、表記ルールαで表された要素群91のデータと同じになる。
【0150】
制御部15は、第1表記ルールと第2表記ルールとに基づいて、既存の登録要素群のデータと対象図面のデータとが異なるか否か判定する。例えば、制御部15は、既存の登録要素群のデータの第1表記ルールが、対象図面の第2表記ルールと異なる場合、既存の登録要素群のデータと対象図面の要素群のデータとが異なると判定する。
【0151】
制御部15は、第1表記ルールと第2表記ルールとが異なると判定した場合、既存の登録要素群のデータを第2表記ルールに変換する。制御部15は、対象図面において、変換した後の登録要素群のデータを検索要素群などとして利用する。このような構成により、対象図面では、第2表記ルールに応じた要素群のデータが自動的に表示される。第2表記ルールに応じた要素群のデータが自動的に表示されることにより、利便性が向上される。
【0152】
一方、制御部15は、第1表記ルールと第2表記ルールとが同じであると判定した場合、対象図面において、既存の登録要素群のデータをそのまま検索要素群などとして用いる。
【0153】
例えば、
図15に示す構成では、制御部15は、対象図面における要素群90のデータとして、要素群90の表記ルールαで表されたデータを、表記ルールβに従って変換した後のデータを用いる。このような構成により、要素群90の画像92では、要素Bは、「B」との文字と、矩形の図形とによって表される。また、制御部15は、対象図面における要素群91のデータとして、既存の登録要素群のデータすなわち要素群91の表記ルールαで表された要素群のデータをそのまま対象図面における登録要素群の検索に用いる。
【0154】
制御部15は、変換した後の既存の登録要素群のデータを対象図面において用いた場合、対象図面の画像のうち、既存の登録要素群を示す画像の表示態様を他の部分とは異なる表示態様に変更する処理を実行する。制御部15は、対象図面の画像の表示態様を変更する処理として、上述したように既存の登録要素群の画像の視認性を下げる処理を実行してもよいし、画像の色を他の部分とは異なる色で表示する処理を実行してもよい。このような構成により、ユーザは、データが変換された要素群を容易に把握することができる。例えば、制御部15は、
図15に示すような要素群90を示す画像92を対象図面の他の部分とは表示態様で表示する。
【0155】
制御部15は、既存の登録要素群のデータを対象図面のデータとしてそのまま用いた場合、対象図面の画像のうち、既存の登録要素群を示す画像の表示態様を対象図面の画像の他の部分とは異なる表示態様に変更する。このような構成により、ユーザは、データが変換されない要素群を容易に把握することができる。制御部15は、上述したように既存の登録要素群の画像の視認性を下げる処理を実行してもよいし、既存の要素群の画像の色を他の部分とは異なる色で表示する処理を実行してもよい。例えば、制御部15は、
図15に示すような要素群91を示す画像93を対象図面の他の部分とは異なる表示態様で表示する。
【0156】
制御部15は、変換した後の既存の要素群のデータを用いた場合、変換する前のデータすなわち既存の要素群のデータを表示部11に表示させてもよい。このような構成により、ユーザは、変換する前のデータを把握することができる。例えば、
図15に示すように、制御部15は、表示エリア11Bに、要素群No.003との識別情報とともに表記ルールαで表された要素群90のデータを表示させる。要素群No.003との識別情報は、要素群90の識別情報である。さらに、制御部15は、変換する前のデータすなわち第2要素群のデータとともに、第1表記ルールに従って変換した後の第2要素群のデータとを表示部11に表示させてもよい。このような構成により、ユーザは、変換した後のデータと、変換する前のデータとを把握することができる。例えば、
図15に示すように、制御部15は、表示エリア11Bに、表記ルールαで表された要素群90のデータと、表記ルールβで表された要素群90のデータとを表示させる。
【0157】
図16は、
図1に示す情報処理装置10のデータの変換処理の手順の一例を示すフローチャートである。制御部15は、例えば、図面における要素群をユーザ操作により選択可能なモードに情報処理装置10のモードを移行させると、
図16に示すような処理を開始する。
図16に示すような手順を含む情報処理方法は、情報処理装置10のプロセッサに実行させるプログラムとして実現されてもよい。このプログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0158】
制御部15は、既存の登録要素群(登録グループ)の記載ルール(第1表記ルール)と対象図面の記載ルール(第2表記ルール)が異なるか否かを判定する(ステップS40)。この既存の登録要素群は、例えば、マスターライブラリの各要素群としてもよい。制御部15は、記載ルールが異なると判定した場合(ステップS40:YES)、ステップS41の処理に進む。一方、制御部15は、記載ルールが同一であると判定した場合(ステップS40:NO)、ステップS42の処理に進む。
【0159】
ステップS41の処理において、制御部15は、既存の登録要素群(登録グループ)の記載ルール(第1表記ルール)を対象図面の記載ルール(第2表記ルール)に合わせる処理を行う。例えば、既存の登録要素群の記載ルール(第1表記ルール)が表記ルールαであり、対象図面の記載ルール(第2表記ルール)が表記ルールβの場合、制御部15は、既存の登録要素群の表記ルールを表記ルールαから表記ルールβへ変換する。
【0160】
ステップS42の処理において、制御部15は、既存の登録要素群(登録グループ)を検索要素群として対象図面を検索し、既存の登録要素群が対象図面内に存在するか否かを判定する。制御部15は、既存の登録要素群が対象図面内に存在すると判定した場合(ステップS42:YES)はステップ43へ進み、そうでない場合(ステップS42:NO)は処理を終了する。なお、制御部15は、対象図面内において登録要素群を検索したときは、その登録要素群の位置情報を記憶部14に記憶して登録することで、対象図面内の各登録要素群の情報を再利用することができる。
【0161】
ステップS43の処理において、制御部15は、対象図面内の既存の登録要素群に適合する箇所を他とは異なる態様で表示部11に表示させる。例えば、制御部15は、既存の登録要素群に適合する箇所を他の部分よりも目立たなくして表示させる。
【0162】
ステップS44の処理において、制御部15は、新規に登録すべき未登録の要素群(グループ)が対象図面内に存在するか否かを判定する。制御部15は、存在する場合(ステップS44:YES)はステップ45へ進み、そうでない場合(ステップS44:NO)は処理を終了する。
【0163】
ステップS45の処理において、制御部15は、未登録の要素群を登録する処理を行う。具体的には、制御部15は、入力部12を介して該当箇所の選択をユーザから受け付け、選択された要素群を登録してもよい。そして、制御部は処理を終了する。
【0164】
このように第4実施形態に係る情報処理装置10では、制御部15は、表示部11に表示させる対象図面に既存の登録要素群が存在するか否かを判定する。制御部15は、対象図面に登録要素群が存在すると判定した場合、対象図面の画像のうち、登録要素群の画像の表示態様を対象図面の画像の他の部分と比べて目立たなくするなど、異なる表示態様に変更する処理を実行する。このような構成により、ユーザは、登録すべき要素群をより容易に把握することができる。よって、第4実施形態によれば、利便性を向上させた情報処理装置10及び情報処理方法が提供される。
【0165】
さらに、第4実施形態によれば、制御部15は、既存の登録要素群が第1表記ルールで表され、対象図面が第2表記ルールで表される場合、既存の登録要素群のデータを第2表記ルールに変換した上で対象図面に用いる。したがって、制御部15は、仮に既存の登録要素群の表記ルールが対象図面と異なる場合であっても、対象図面の表記ルールに変換した上で、既存の登録要素群に適合する要素群を対象図面から検索して自動的に登録することができる。よって、ユーザが対象図面から手動で編集又は修正等の対象となる要素群を登録要素群として選択する手間を軽減することが可能である。
【0166】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 情報処理システム
2 ネットワーク
3 タッチ操作
10 情報処理装置
11 表示部
12 入力部
13 通信部
14 記憶部
15 制御部
20,30 端末装置
40 外部記憶装置