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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/027 20060101AFI20241022BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B60R16/027 T
B62D1/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021185104
(22)【出願日】2021-11-12
(65)【公開番号】P2023072506
(43)【公開日】2023-05-24
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】川嶌 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 美晴
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-055263(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0108161(US,A1)
【文献】特開2019-196041(JP,A)
【文献】登録実用新案第3088621(JP,U)
【文献】特開2007-69717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/027
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、
前記操舵中心軸側の中央部と、該中央部と連結されて、操舵時に運転者が把持する把持部を設けた操舵部と、を備えるハンドルであって、
前記把持部は、
前記中央部に対して左側に配置され、後方側から前方側に延びる第1左側把持部と、
前記第1左側把持部の前端部から右方に屈曲し、該前端部から右斜め前方に延びる第2左側把持部と、
前記中央部に対して右側に配置され、後方側から前方側に延びる第1右側把持部と、
前記第1右側把持部の前端部から左方に屈曲し、該前端部から左斜め前方に延びる第2右側把持部と、
を備え、
前記第2左側把持部と前記第2右側把持部の少なくもいずれか一方における前記中央部と逆側の側面には、運転者が操作する操作用スイッチが設けられていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
前記操舵部が、左右の前記把持部の前端部相互を離隔させて、該前端部相互の間に、前方視認用の空間を設けて、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記操作用スイッチが配設された前記把持部の上面側に、運転者が操作する第2の操作用スイッチが、配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記把持部の前記側面に配設された前記操作用スイッチの操作部、前記中央部側に接近する前記把持部の断面中心側に押下操作される構成であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハンドル。
【請求項5】
前記第2の操作用スイッチの操作部は、前記把持部断面の周方向に沿って移動させて操作する構成としていることを特徴とする請求項に記載のハンドル。
【請求項6】
前記操舵部における前記操舵中心軸回りの操舵角が、最大角度を、左右で、90°以上、かつ、150°以下の範囲内として、設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵するハンドルであって、特に、運転者が把持するハンドルの操舵部に、運転者が、ウインドウォシャー等の車載機器を操作する操作用スイッチを設けたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドルでは、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、操舵中心軸側の中央部と、中央部と連結されて、操舵時に運転者が把持する把持部を設けた操舵部と、を備えるとともに、操舵部に、運転者が操作する操作用スイッチを配設させて構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。このハンドルでは、運転者が操舵部の把持部を把持した状態で、操作用スイッチを操作できるように、把持部の前端側に設けた運転者の親指を載せるサムレスト部に、操作用スイッチが配設されていた。サムレスト部は、把持部の前端で、上面を略平らにして突出させた突出部を設けて構成されており、その突出部の上面側に、前方に延ばした親指を載せることができる形状に、形成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-125092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のハンドルでは、サムレスト部の一部、特に、サムレスト部の中央の突起部の周囲に、操作部を配設する構成であり、サムレスト部に親指を載せていれば、親指と他の4指とを使用して、把持部を強く握り難くなってしまい、把持部の把持の安定性と操作用スイッチの操作性とを両立させる点で、改善の余地があり、把持部の把持安定性と操作用スイッチの良好な操作性とを両立可能なハンドルが望まれる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、把持部の把持安定性と操作用スイッチの良好な操作性とを両立可能なハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハンドルは、車両を操舵するために、操舵中心軸回りで回転操舵する構成として、
前記操舵中心軸側の中央部と、該中央部と連結されて、操舵時に運転者が把持する把持部を設けた操舵部と、を備えるとともに、
前記操舵部に、運転者が操作する操作用スイッチを配設させて構成されるハンドルであって、
前記操舵部が、前記中央部の左右両側に、後方側から前方側に延びる棒状の前記把持部を配設させ、
左右の前記把持部の前端部の少なくも一方の外周面側における前記中央部と逆側の側面に、操作部を配置させて、前記操作用スイッチが、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るハンドルでは、操作用スイッチが配設されている把持部を把持する際、親指を把持部の内側に配置させ、他の4指を把持部の外側に配置させて、把持部を握ることができる。そして、操作用スイッチの操作部を操作する際は、親指と、人差し指以外の中指、薬指、及び、小指と、で把持部を握った状態で、人差し指を伸ばして、操作部を覆うように配置させれば、人指し指で操作部を操作することができる。この操作時は、人差し指の指先を、曲げたり、上下にずらしたり等して、操作部を、簡単に操作でき、かつ、この操作時、親指と、人差し指以外の中指、薬指、及び、小指と、により、把持部を握った状態、を維持できることから、把持部を安定して把持することができる。
【0008】
したがって、本発明に係るハンドルでは、把持部の把持安定性と操作用スイッチの良好な操作性とを両立することができる。
【0009】
そして、本発明に係るハンドルでは、左右の前記把持部が、前記前端部を相互に接近させるように、後方側から前方側に棒状に延びるように配設され、
前記操作用スイッチが、前記把持部の前端部の斜め前方を向いた側面に、前記操作部を配置させて、配設されていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、左右の把持部が、前後方向に沿って相互に平行でなく、前端部側にかけて相互に接近する形状となることから、操舵中心軸を中心とした円の接線に近似した配置位置となって、操舵中心軸を中心として操舵する際の操舵性が良好となる。また、操作用スイッチも、把持部の前端部の斜め前方を向いた側面に、操作部を配置させることから、操舵時に把持する手の人指し指の指先が左右方向の中央部側に接近して配置され、その状態から、操作用スイッチを操作する際、人差し指を大きく伸ばすこと無く、小さく伸ばすだけで、操作部を覆えることから、操作部の操作が容易となる。
【0011】
さらに、本発明に係るハンドルでは、前記操舵部が、左右の前記把持部の前端部相互を離隔させて、前記前端部相互の間に、前方視認用の空間を設けて、配設されていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、操舵部の前部側の前方視認用の空間により、ハンドル前方のメータ等の視認性が向上する。
【0013】
そして、本発明に係るハンドルでは、前記操作用スイッチが配設された前記把持部の前端部の上面側に、操作部を配置させて、第2の前記操作用スイッチが、配設されていてもよい。
【0014】
このような構成では、人差し指の操作による第1の操作用スイッチに隣接して、把持部の前端部の上面側に操作部を設けた第2の操作用スイッチが配設されており、運転者が操作する操作用スイッチの種類を増やすことができる。そして、把持部を握っていた状態の親指の指先を伸ばせば、第2操作用スイッチの操作部を親指の指先で覆うことができることから、把持部の把持力の低下を抑制して、第2操作用スイッチを操作できる。
【0015】
そして、本発明に係るハンドルでは、前記把持部の前端部の外周面側における側面に配設された前記操作用スイッチが、前記操作部を、前記中央部側に接近する前記把持部の断面中心側に押下操作する構成としていることが望ましい。
【0016】
このような構成では、操作用スイッチの操作時、把持部を握っていた状態から、人差し指の指先を、操作部を覆うように伸ばして配置させた後、人差し指を単に曲げるだけで、人指し指の指先で、操作部を簡単に押下操作できることから、操作部を容易に操作することができる。
【0017】
また、本発明に係るハンドルでは、前記把持部の前端部の上面側に配設された第2の前記操作用スイッチが、前記操作部を、前記把持部断面の周方向に沿って移動させて操作する構成としていてもよい。
【0018】
このような構成では、第2操作用スイッチの操作時、把持部を握っていた状態から、親指の指先を、第2操作用スイッチの操作部を覆うように伸ばして配置させた後、親指を左右に単に揺動させるだけで、親指の指先で、操作部を容易に操作することができる。
【0019】
また、本発明に係るハンドルでは、前記操舵部における前記操舵中心軸回りの操舵角が、最大角度を、左右で、90°以上、かつ、150°以下の範囲内として、設定されていることが望ましい。
【0020】
このような構成では、ハンドルの操作時の操舵角の最大角度を、半回転以上でなく、左右で、90°以上、かつ、150°以下の範囲内としていることから、把持部の前端部に、操作用スイッチの操作部が配設されていても、ハンドルの操舵時、運転者が、ハンドルの操舵部の把持部位を握り直すことなく、最大操舵角度まで操舵できて、握り直しによる操作用スイッチの操作部を握る虞れが生じず、操作用スイッチの誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態のハンドルを示す平面図である。
図2】実施形態のハンドルの斜視図である。
図3】実施形態のハンドルの側面図である。
図4】実施形態のハンドルの前方側から見た図である。
図5】実施形態のハンドルの操舵時を示す平面図である。
図6】実施形態のハンドルの操舵部における操作用スイッチの配設エリアの概略断面図であり、図1のVI-VI部位を示す。
図7】実施形態のハンドルの操舵部における操作用スイッチの配設エリアの概略断面図であり、図1のVII-VII部位を示す。
図8】実施形態のハンドルの操作用スイッチの操作時を説明する概略部分平面図と概略部分断面図である。
図9】実施形態のハンドルの第2の操作用スイッチの操作時を説明する概略部分平面図と概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のハンドル10は、図1~4に示すように、車両を操舵するために、操舵中心軸11回りで回転操舵する構成として、操舵中心軸11側の中央部12と、中央部12と連結されるとともに、操舵時に運転者が把持する把持部16(L,R)を設けた操舵部14と、を備えて構成されている。操舵中心軸11は、水平方向からの角度(コラム角)θcを約25.3°として、中央部12には、図示しないステアリング軸が締結される構成としている。
【0023】
なお、このハンドル10が使用される操舵システムは、ハンドル10の操舵時、機械式でなく、ハンドル10の操舵角が電気信号に変形され、その電気信号を入力した図示しない転舵装置が、車両のタイヤ(操行輪)を、所定転舵角分、転舵する構成としたステア・バイ・ワイヤ・システム、としている。
【0024】
ちなみに、本明細書での上下・左右・前後の方向は、車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、ハンドル10の操舵中心軸11に沿った上下方向に対応し、左右方向は、その操舵中心軸11の軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、その操舵中心軸11の軸直交方向の車両の前後方向に対応している。
【0025】
そして、ハンドル10の操舵できる操舵角θsは、最大角度を、左右で、90°以上、かつ、150°以下の範囲内として、実施形態の場合、150°、としている(図5参照)。実施形態の場合、最大操舵角までハンドル10を操舵すると、操舵した方向に対応して、タイヤは30°分、転舵される構成としている。
【0026】
実施形態の操舵部14は、平面視として、中央部12の後側を囲うような略U字状として、中央部12の左右両側に、前端側を相互に接近させるように、後方側から前方側に延びる棒状の把持部16(L,R)を配設させている。把持部16(L,R)は、運転者の左右の手DH(L,R)が、親指F0を把持部16の内側面16b側に配置させ、他の4指、すなわち、人差し指F1、中指F2、薬指F3、及び、小指F4を、把持部16の外側面16a側に配置させて、握れる太さの棒状として形成されている(図1参照)。
【0027】
操舵部14は、左右の把持部16L,16Rの後端部25側では、中央部12の後縁側から左右方向に延びる棒状の後側連結部29,29により、中央部12と連結されている。また、把持部16L,16Rの前端部17側では、前端面17a側から中央部12側の下方内側に延びる前側連結部27により、中央部12と連結されている。把持部16L,16Rの前端部17相互は離隔されて、把持部16L,16Rの前端部17相互の間には、ハンドル10の前方の図示しないメータ等の良好な視認性を確保できるように、空間SFが、配設されている。
【0028】
なお、左右の把持部16L,16Rは、前端部17と後端部25との間の中間部23のエリアを、通常の操舵時に把持する部位となる。
【0029】
そして、左右の把持部16L,16Rには、それぞれ、前端部17における外周面19側における中央部12と逆側の斜め前方を向いた側面20に、操作部42を配置させて、第1操作用スイッチ40(L,R)が、配設されている(図1,6,7参照)。
【0030】
左方側の第1操作用スイッチ40Lは、押しボタンタイプとして、車両のライトのハイビーム操作用のものであり、操作部42を、把持部16Lの断面中心C側に、長押しするように押下操作すれば、車両のライトをハイビームに維持することができ、短く押せば、パッシングとして使用できるものである。操作用スイッチ40Lは、図6,8に示すように、把持部16Lの前端部17の外周面19の側面20側(外側面16a側)に配設されており、芯材31の周囲の被覆層32に設けられた収納凹部33内に収納されている。操作用スイッチ40Lは、スイッチ本体部41が復元可能に下方移動可能(把持部16Lの断面中心C方法への押し下げ移動可能)な作動片43を突設させ、そして、作動片43が、受圧パネル44を固定させて、撓み可能なカバー45に覆われて構成されており、運転者の左手DHLの人差し指F1を接触させて操作する操作部42としては、カバー45で覆われて、受圧パネル44を固定させた作動片43、から構成されている。なお、符号36は、前端部17の外周を覆う加飾パネルである。
【0031】
この操作用スイッチ40Lの配置位置は、運転者の左手DHLが把持部16Lの中間部23を握っていた状態から、人差し指F1を伸ばせば、その指先F1tの指腹F1bが、操作部42を押下操作可能に、操作部42の斜め左前方を覆える位置としている。
【0032】
右方側の第1操作用スイッチ40Rは、図7に示すように、左方側の操作用スイッチ40Lと同様な構造の押しボタンタイプとしている。但し、操作用スイッチ40Rは、車両のウインドウォッシャ操作用のものであり、操作部42を、把持部16Rの断面中心C側に、長押しとして押下操作すれば、ウインドウォッシャをフロントガラスに噴射し続け、短く押せば、ミスト用として、1回、ウインドウォッシャをフロントガラスに噴射するように、使用できるものである。この操作用スイッチ40Rは、図7に示すように、把持部16Rの前端部17の外周面19の側面20側(外側面16a側)に配設されており、芯材31の周囲の被覆層32に設けられた収納凹部33内に収納されている。操作用スイッチ40Rも、操作用スイッチ40Lと同様に、スイッチ本体部41が復元可能に下方移動可能(把持部16Rの断面中心C方法への押し下げ移動可能)な作動片43を突設させ、そして、作動片43が、受圧パネル44を固定させて、撓み可能なカバー45に覆われて構成されており、運転者の右手DHRの人差し指F1を接触させて操作する操作部42としては、カバー45で覆われて、受圧パネル44を固定させた作動片43、から構成されている。
【0033】
この操作用スイッチ40Rの配置位置も、操作用スイッチ40Lと同様に、運転者の右手DHRが把持部16Rの中間部23を握っていた状態から、人差し指F1を伸ばせば、その指先F1tの指腹F1bが、操作部42を押下操作可能に、操作部42の斜め右前方を覆える位置としている。
【0034】
また、実施形態の場合、操作用スイッチ40Lが配設された把持部16Lの前端部17の上面21側には、操作部52を配置させて、第2の操作用スイッチ50Lが、配設されている(図6,9)。この操作用スイッチ50Lは、操作部52を、把持部16Lの断面の周方向RDに沿って移動させて操作するものであり、実施形態の場合、トグルスイッチタイプとして、操作部52を周方向RDに沿って移動させて、移動させた方向のウインカーを点灯させる方向指示スイッチとしている。
【0035】
この操作用スイッチ50Lは、把持部16Lの前端部17の外周面19の上面21側に配設されており、芯材31の周囲の被覆層32に設けられた収納凹部34内に収納されている。操作用スイッチ50Lは、スイッチ本体部41が復元可能に周方向RDに移動可能な作動片53を突設させ、そして、作動片53が、カバー54に覆われて構成されており、運転者の親指F0の指先F0tの指腹F0bで、作動片53を所定方向に揺動させるように、操作する。操作部52は、カバー54で覆われた作動片53、から構成されている。
【0036】
前端部17の操作用スイッチ50Lの配置位置は、手DHLが把持部16Lの中間部23を握っていた状態から、親指F0を伸ばせば、その指先F0tの指腹F0b付近が、操作部52を揺動操作可能に、操作部52の上方側を覆える位置としている。
【0037】
さらに、実施形態の場合には、操作用スイッチ40Rの配設されている側にも、方向指示スイッチとしての操作用スイッチ50Rが配設されている。操作用スイッチ50Rは、操作用スイッチ50Rと左右対称的に配置されており、把持部16Rの前端部17の外周面19の上面21側に配設されている。この操作用スイッチ50Rも、スイッチ本体部41が復元可能に周方向RDに移動可能な作動片53を突設させ、そして、作動片53が、カバー54に覆われて構成されており、運転者の右手DHRにおける親指F0の指先F0tの指腹F0bで、作動片53を所定方向に揺動させるように、操作する。操作部52は、カバー54で覆われた作動片53、から構成されている。
【0038】
この操作用スイッチ50Rの配置位置も、手DHRが把持部16Rの中間部23を握っていた状態から、親指F0を伸ばせば、その指先F0tの指腹F0b付近が、操作部52を揺動操作可能に、操作部52の上方側を覆える位置としている。
【0039】
そして、実施形態のハンドル10では、操作用スイッチ40(L,R)、50(L,R)が配設されている把持部16(L,R)を把持する際、親指F0を把持部16(L,R)の内側面16b側に配置させ、他の4指(人差し指F1,中指F2,薬指F3,小指F4)を把持部16(L,R)の外側面16a側に配置させて、把持部16(L,R)を握ることができる。そして、例えば、操作用スイッチ40Lの操作部42を操作する際は、図8に示すように、親指F0と、人差し指F1以外の中指F2、薬指F3、及び、小指F4と、で把持部16Lを握った状態で、人差し指F1を伸ばして、操作部42を覆うように配置させれば、人指し指F1で操作部42を操作することができる。この操作時には、人差し指F1の指先F1tを曲げて、操作部42を、簡単に押下操作でき、かつ、この操作時、親指F0と、人差し指F1以外の中指F2、薬指F3、及び、小指F4と、により、把持部16Lを握った状態、を維持できることから、把持部16Lを安定して把持することができる。
【0040】
勿論、把持部16R側の操作用スイッチ40Rの操作時にも、右手DHRの親指F0と、人差し指F1以外の中指F2、薬指F3、及び、小指F4と、で把持部16Rを握った状態で、人差し指F1を伸ばして、操作部42を覆うように配置させれば、人指し指F1で操作部42を操作することができて、そして、この操作時でも、人差し指F1の指先F1tを曲げて、操作部42を、簡単に押下操作でき、かつ、この操作時、親指F0と、人差し指F1以外の中指F2、薬指F3、及び、小指F4と、により、把持部16Lを握った状態、を維持できることから、把持部16Rを安定して把持することができる。
【0041】
したがって、実施形態に係るハンドル10では、把持部16(L,R)の把持安定性と操作用スイッチ40(L,R)の良好な操作性とを両立することができる。
【0042】
また、実施形態のハンドル10では、左右の把持部16L,16Rが、前端部17を相互に接近させるように、後方側から前方側に棒状に延びるように配設され、操作用スイッチ40(L,R)が、把持部16(L,R)の前端部17の斜め前方を向いた側面20に、操作部42を配置させて、配設されている。
【0043】
そのため、実施形態では、左右の把持部16(L,R)が、前後方向に沿って相互に平行でなく、前端部17,17側にかけて相互に接近する形状となることから、操舵中心軸11を中心とした円の接線に近似した配置位置となって、操舵中心軸11を中心として操舵する際の操舵性が良好となる。また、操作用スイッチ40(L,R)も、把持部16(L,R)の前端部17の斜め前方を向いた側面20に、操作部42を配置させることから、操舵時に把持する手DHL,DHRの人指し指F1の指先F1tが左右方向の中央部12側に接近して配置され、その状態から、操作用スイッチ40(L,R)を操作する際、人差し指F1を大きく伸ばすこと無く、小さく伸ばすだけで、操作部42を覆えることから、操作部の操作が容易となる。
【0044】
ちなみに、上記の点を考慮しなければ、左右の把持部16(L,R)を、相互に略平行として、前方側に延ばすように、構成してもよい。
【0045】
なお、実施形態では、左右両側の把持部16L,16Rに、共に操作用スイッチ40L,40Rを配設したが、どちらか一方側だけの配置でもよい。
【0046】
さらに、実施形態のハンドル10では、操舵部14が、左右の把持部16L,16Rの前端部17相互を離隔させて、前端部17,17相互の間に、前方視認用の空間SFを設けて、配設されている。
【0047】
そのため、実施形態では、操舵部14の前部側の前方視認用の空間SFにより、ハンドル10の前方の図示しないメータ等の視認性が向上する。
【0048】
ちなみに、上記の点を考慮しなければ、左右の把持部16L,16Rの前端部17,17相互を連結する連結部位を配設させて、操舵部14を構成してもよい。
【0049】
また、実施形態のハンドル10では、操作用スイッチ40L,40Rのそれぞれ配設された把持部16L,16Rの前端部17の上面21側に、操作部52を配置させて、第2の操作用スイッチ50(L,R)が、配設されている。
【0050】
そのため、実施形態では、人差し指F1の操作による第1の操作用スイッチ40(L,R)に隣接して、把持部16(L,R)の前端部17の上面21側に操作部52を設けた第2の操作用スイッチ50(L,R)が配設されており、運転者が操作する操作用スイッチ40(L,R)、50(L,R)の種類を増やすことができる。そして、把持部16(L,R)を握っていた状態の親指F0の指先F0tを伸ばせば、第2操作用スイッチ50(L,R)の操作部52を親指F0の指先F0tで覆うことができることから、把持部16(L,R)の把持力の低下を抑制して、第2操作用スイッチ50(L,R)を操作できる。
【0051】
なお、実施形態では、左右両側の把持部16L,16Rに、共に操作用スイッチ50L,50Rを配設したが、どちらか一方側だけの配置でもよい。
【0052】
また、実施形態のハンドル10の第1操作用スイッチ40(L,R)は、運転者が左右の手(DHL,DHR)で把持部16(L,R)を握っている状態で、人差し指F1を伸ばして操作できる人差し指用操作スイッチとして使用でき、第2操作用スイッチ50(L,R)は、運転者が左右の手(DHL,DHR)で把持部16(L,R)を握っている状態で、親指F0を伸ばして操作できる親指用操作スイッチとして使用できることとなる。
【0053】
そしてさらに、実施形態のハンドル10では、把持部16(L,R)の前端部17の外周面19側に配設された操作用スイッチ40(L,R)が、押しボタンスイッチタイプとして、操作部42を、中央部12側に接近する把持部16(L,R)の断面中心C側に押下操作する構成としている。
【0054】
そのため、実施形態では、操作用スイッチ40(L,R)の操作時、把持部16(L,R)を握っていた状態から、人差し指F1の指先F1tを、操作部42を覆うように伸ばして配置させた後、人差し指F1を単に曲げるだけで、人指し指F1の指先F1tの指腹F1b側で、操作部42を簡単に押下操作できることから、操作部42を容易に操作することができる。
【0055】
この点を考慮しなければ、把持部16(L,R)の前端部17の側面20側に配置される操作用スイッチ40(L,R)として、操作部42を人差し指F1の指先F1tで操作できれば、他のロータリスイッチ、トグルスイッチ、シーソースイッチ、静電スイッチ等を使用できる。
【0056】
また、実施形態のハンドル10では、把持部16(L,R)の前端部17の上面21側に配設された第2の操作用スイッチ50(L,R)が、トグルスイッチタイプとして、操作部52を、把持部16(L,R)の断面周方向RDに沿って移動させて操作する構成としていている。
【0057】
そのため、実施形態では、第2操作用スイッチ50(L,R)の操作時、把持部16(L,R)を握っていた状態から、親指F0の指先F0tを、第2操作用スイッチ50(L,R)の操作部52を覆うように伸ばして配置させた後、親指F0を左右に単に揺動させるだけで、親指F0の指先F0tで、操作部52を容易に操作することができる。
【0058】
この点を考慮しなければ、把持部16(L,R)の前端部17の上面21側に配置される操作用スイッチ40(L,R)として、操作部52を親指F0の指先F0tで操作できれば、他の押しボタンスイッチ、ロータリスイッチ、シーソースイッチ、静電スイッチ等を使用できる。
【0059】
また、実施形態のハンドル10では、操舵部14における操舵中心軸11回りの操舵角θsが、最大角度を、左右で、90°以上、かつ、150°以下の範囲内の150°として、設定されている。
【0060】
そのため、実施形態では、ハンドル10の操作時の操舵角θsの最大角度を、半回転以上でなく、左右で、90°以上、かつ、150°以下の範囲内としていることから、把持部16(L,R)の前端部17に、操作用スイッチ40,50の操作部42,52が配設されていても、ハンドル10の操舵時、運転者が、ハンドル10の操舵部14の把持部位を握り直すことなく、最大操舵角度まで操舵できて、握り直しによる操作用スイッチ40,50の操作部42,52を握る虞れが生じず、操作用スイッチ40,50の誤操作を防止することができる。
【0061】
なお、実施形態の場合、操作用スイッチ40,50として、ハイビーム、ウインドウォッシャ、及び、方向指示の操作用のスイッチを例示したが、他の車載機器の操作用スイッチを使用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…ハンドル、11…操舵中心軸、12…中央部、14…操舵部、16(L,R)…把持部、17…前端部、19…外周面、20…側面、21…上面、40(L,R)…(第1)操作用スイッチ、42…操作部、50(L,R)…第2操作用スイッチ、52…操作部、
DH(L,R)…(運転者の)手、F0…親指、F0t…指先、F0p…指腹、F1…人差し指、F1t…指先、F1p…指腹、F2…中指、F3…薬指、F4…小指、SF…空間、C…断面中心、RD…周方向、θs…操舵角。
図1
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図9