(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/14 20060101AFI20241106BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20241106BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20241106BHJP
B65H 29/22 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65H45/14
B65H37/06
B65H43/04
B65H29/22 Z
(21)【出願番号】P 2020141867
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】深見 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】栗山 敦志
(72)【発明者】
【氏名】中川 友喜
(72)【発明者】
【氏名】望月 孝飛
(72)【発明者】
【氏名】日置 寿久
(72)【発明者】
【氏名】福原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-016975(JP,A)
【文献】特開2014-125312(JP,A)
【文献】特開2018-048028(JP,A)
【文献】特開2014-101164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/14
B65H 37/06
B65H 43/04
B65H 29/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを下流に搬送する第一搬送路と、
前記第一搬送路に沿って前記シートを搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段よりも前記シートの搬送方向の下流側に配置される第二搬送手段と、
前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間に配置され、前記シートに折り目を形成する第一折り手段と、
前記第一折り手段の通過により前記折り目が形成された前記シートを前記第一搬送路に循環させる第二搬送路と、を備え、
前記シートを前記第一搬送手段と前記第二搬送手段とにより保持した状態で、当該第一搬送手段により前記シートを下流側に搬送し、当該第二搬送手段により前記シートを上流側に逆走させて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間の前記シートを撓ませて、
撓んだ前記シートを前記第一折り手段に案内して第一の折り目を形成した後、前記第二搬送路によって前記第一搬送路に循環させて、
再度、前記シートを前記第一搬送手段と前記第二搬送手段とにより保持した状態で、当該第一搬送手段により前記シートを下流側に搬送し、当該第二搬送手段により前記シートを上流側に逆走させて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間の前記シートを撓ませて、
撓んだ前記シートを前記第一折り手段に案内して第二の折り目を形成した後、
前記第二搬送手段を正転させて、二つの折り目が形成されたシートを前記下流に搬送する
動作に関し、
前記第二の折り目を前記下流に対する先端となるように搬送する折り目先端搬送モードと、
当該第二の折り目を前記下流に対する後端となるように搬送する折り目後端搬送モードの、いずれかを選択可能とする、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
シートを下流に搬送する第一搬送路と、
前記第一搬送路に沿って前記シートを搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段よりも前記シートの搬送方向の下流側に配置される第二搬送手段と、
前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間に配置され、前記シートに折り目を形成する第一折り手段と、
前記第一折り手段を通過した前記シートを受け取る第三搬送手段と、
前記第一折り手段を構成するローラの一つを共有し、前記第一折り手段と前記第三搬送手段との間配置される第二折り手段と、
前記第一折り手段の通過により前記折り目が形成された前記シートを前記第三搬送手段により
前記第一搬送路に循環させる第二搬送路と、を備え、
前記シートを前記第一搬送手段と前記第二搬送手段とにより保持した状態で、当該第一搬送手段により前記シートを下流側に搬送し、当該第二搬送手段により前記シートを上流側に逆走させて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間の前記シートを撓ませて、
撓んだ前記シートを前記第一折り手段に案内して第一の折り目を形成した後、
前記第一の折り目が形成された前記シートを前記第一搬送手段と前記第三搬送手段とにより保持した状態で、当該第一搬送手段により前記シートを下流側に搬送し、当該第三搬送手段により前記シートを上流側に逆走させて、前記第一折り手段と前記第三搬送手段の間の前記シートを撓ませて、
撓んだ前記シートを前記第二折り手段に案内して第二の折り目を形成して、二つの折り目が形成された前記シートを前記下流に搬送する
動作に関し、
前記第二の折り目を前記下流に対する先端となるように搬送する折り目先端搬送モードと、
当該第二の折り目を前記下流に対する後端となるように搬送する折り目後端搬送モードの、いずれかを選択可能とする、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
前記第一の折り目を前記シートの搬送方向の長さに対して1/4に相当する搬送方向後端側の位置に形成し、
前記第二の折り目を前記シートの搬送方向の長さに対して1/2に相当する位置に形成する、請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記シートに前記折り目を形成している間に後続のシートが前記第一搬送路に進入したとき、
先行するシートを前記第一搬送路以外の搬送路に保持した状態で、前記後続のシートを前記下流に搬送する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記シートの排出単位に応じて前記折り目先端搬送モードと、前記折り目後端搬送モードを切り替え、
前記排出単位は部単位である、請求項
1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記シートの排出単位に応じて前記折り目先端搬送モードと、前記折り目後端搬送モードを切り替え、
前記排出単位はジョブ単位である、請求項
1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記シートの排出単位に応じて前記折り目先端搬送モードと、前記折り目後端搬送モードを切り替え、
前記排出単位はシート単位である、請求項
1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記二つの折り目が形成されたシートの排出先となる積載トレイと、
当該シートの積載量を検知するシート積載量検知手段と、を備え、
前記シート積載量検知手段による検知結果に基づいて、前記折り目先端搬送モードと、前記折り目後端搬送モードを切り替る、請求項
1乃至
7のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記シートの種類又は厚みに応じて、前記折り目先端搬送モードと、前記折り目後端搬送モードを切り替る、請求項
1乃至
8のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記シートに対し折り目を形成するシート処理部と、を備える画像形成装置であって、
前記シート処理部は、請求項1乃至
9のいずれか一項のシート処理装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成部は、前記シート処理部における前記シートの折り処理に応じて、前記画像の面付けを変更する、請求項
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部は、前記シート処理部における前記シートの折り処理に応じて前記画像の面付けを変更した後に、前記折り処理の対象ではない前記シートに画像を形成するときは、前記面付けを再度変更する、請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
シートに画像を形成する画像形成部としての請求項
10乃至
12のいずれか一項に記載の画像形成装置と、前記シートに対し折り目を形成するシート処理部としての請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のシート処理装置と、前記シートに後処理を実行する後処理装置と、を備える画像形成システムであって、
前記後処理が前記シートに対する穿孔処理のときは、前記第二の折り目を前記下流に対する後端となるように前記シート処理装置から前記後処理装置に搬送し、
前記後処理が前記シートを積載して束ねたシート束を綴る綴じ処理のときは、前記第二の折り目を前記下流に対する先端となるように前記シート処理装置から前記後処理装置に搬送する、ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
前記後処理が前記シートを積載して束ねたシート束を綴る綴じ処理のときは、前記画像形成装置における面付けの変更を行わない、請求項
13に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、シート処理装置を備える画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の記録媒体に対して折り処理を行うシート処理装置が知られている。また、記録媒体に画像を形成し、当該記録媒体に折り処理を行うシート処理装置を備える画像形成装置も知られている。そして、折り処理を行った記録媒体に所定の後処理を行う後処理装置と画像形成装置とを連結させた画像形成システムも知られている。
【0003】
シート処理装置が行う折り処理としては、複数種類の処理が知られている。例えば、一枚の記録媒体を二面に分割するように折る「二つ折り」や、三面に分割するように折る「三つ折り」が知られている。また、三つ折りには、二つの折りを同じ方向に行う内三折りと、それぞれを異なる方向に行う外三つ折りがある。そして、外三折りの一種として、第一の折りでは記録媒体の全長の3/4相当の位置で折り、第二の折りでは1/2相当の位置で外三つ折る、「Z折り」と称されるものも知られている。
【0004】
「Z折り」を行った記録媒体では、折り重なる部分がその他の部分よりも厚くなるので、一枚のZ折りの記録媒体は面方向において厚み差を有するものとなる。厚み差は、記録媒体が排出される排出トレイへの排出方向に対して生ずる。排出された記録媒体を積載するトレイは、記録媒体の排出方向に向けて上方に傾斜していることが多いので、Z折りが行われた記録媒体の厚みを有する方が排出トレイの下流側に位置することになる。そして、排出トレイの下流側で、厚みのある部分が重なり合うと排出トレイの傾斜よりも積載された記録媒体の傾斜が大きくなり、少ない枚数でも排出トレイの積載限界に到達する状態になる。
【0005】
すなわち、積載された記録媒体の枚数が排出トレイの積載上限よりも少ない状態であっても、Z折りの記録媒体は積載することができなくなるので、Z折りの記録媒体の場合は、排出トレイの最大積載量(積載部数)よりも、積載可能量が減少することになる。
【0006】
なお、Z折りの記録媒体(シート)の搬送方向に対する前後関係をシート反転手段によって逆転し、厚み部分の位置を入れ替えて積載可能量の減少を防ぐ技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の技術によれば、Z折りの折り重なり部分を積載トレイの基端側に向けるためにシート反転手段を必要とするので、装置全体が大型化するという課題がある。
【0008】
本発明は、シート反転手段を用いることなく、Z折りの記録媒体の積載部数の減少を防止するシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、シート処理装置に関し、シートを下流に搬送する第一搬送路と、前記第一搬送路に沿って前記シートを搬送する第一搬送手段と、前記第一搬送手段よりも前記シートの搬送方向の下流側に配置される第二搬送手段と、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間に配置され、前記シートに折り目を形成する第一折り手段と、前記第一折り手段の通過により前記折り目が形成された前記シートを前記第一搬送路に循環させる第二搬送路と、を備え、前記シートを前記第一搬送手段と前記第二搬送手段とにより保持した状態で、当該第一搬送手段により前記シートを下流側に搬送し、当該第二搬送手段により前記シートを上流側に逆走させて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間の前記シートを撓ませて、撓んだ前記シートを前記第一折り手段に案内して第一の折り目を形成した後、前記第二搬送路によって前記第一搬送路に循環させて、再度、前記シートを前記第一搬送手段と前記第二搬送手段とにより保持した状態で、当該第一搬送手段により前記シートを下流側に搬送し、当該第二搬送手段により前記シートを上流側に逆走させて、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段の間の前記シートを撓ませて、撓んだ前記シートを前記第一折り手段に案内して第二の折り目を形成した後、前記第二搬送手段を正転させて、二つの折り目が形成されたシートを前記下流に搬送する折り動作において、前記第二の折り目を前記下流に対する先端となるように搬送する折り目先端搬送モードと、当該第二の折り目を前記下流に対する後端となるように搬送する折り目後端搬送モードの、いずれかを選択可能とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シート反転手段を用いることなく、Z折りの記録媒体の積載部数の減少を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るシート処理装置を含む画像形成装置の実施形態を示す側面図。
【
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
【
図3】本発明に係るシート処理装置の実施形態としての折り装置の内部構成図。
【
図4】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図5】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図6】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図7】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図8】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図9】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図10】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図11】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図12】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図13】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図14】上記折り装置の第一実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図15】上記折り装置が実行する折り処理の流れを例示するフローチャート。
【
図16】上記折り装置が実行する折り処理の流れを例示するフローチャート。
【
図17】上記折り装置が実行する折り処理の流れを例示するフローチャート。
【
図18】上記折り装置の第二実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図19】上記折り装置の第二実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図20】上記折り装置の第二実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図21】上記折り装置の第二実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図22】上記折り装置の処理とシートに対する面付けの例を示す図。
【
図23】上記折り装置の処理とシートに対する面付けの別例を示す図。
【
図24】上記折り装置における折り済みシートの積載態様の例を示す図。
【
図25】上記折り装置における折り済みシートの積載態様の別例を示す図。
【
図26】上記折り装置における折り済みシートの積載態様の別例を示す図。
【
図27】上記折り装置における折り済みシートの積載態様の別例を示す図。
【
図28】上記折り装置における折り済みシートの積載態様の別例を示す図。
【
図29】上記折り装置の第三実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図30】上記折り装置の第三実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図31】上記折り装置の第三実施形態に係る内部構成拡大図。
【
図32】本発明に係る画像形成システムの実施形態を示す構成図。
【
図33】上記実施形態に係る画像形成システムの概要を示す内部構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るシート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るシート処理装置は、後述のとおり、シート状の記録媒体に対しZ折りを行った「Z折り済みシート」の積載量が減少することを防止する。そのために、Z折り済みシートの搬送方向における「折り重なり部分」の位置を逆転させる構成として、装置全体を小型にできる構成を備える。すなわち、排出先となるトレイに積載できる量が減少させることなく、小型の構成で、折り済みシートの排出方向を反転可能にするものである。
【0013】
[画像形成装置の実施形態]
まず、本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタ1の外観図である。プリンタ1は、画像形成部としてのプリンタ本体100と、プリンタ本体100に接続可能なシート処理装置としての折り装置200と、を有している。プリンタ1は、
図1に示すように胴内排出型であるので、プリンタ本体100の一部分にシート処理部として折り装置200が組み込まれている。すなわち、プリンタ1において記録媒体が排出される胴内排出部が、折り装置200に相当する。折り装置200の構成については、後述する。
【0014】
[制御ブロックの機能構成]
次に、本実施形態に係るプリンタ本体100及び折り装置200の動作を制御する制御ブロックの実施形態について
図2を用いて説明する。
図2に示すように、プリンタ本体100は、制御ブロックとしてのプリンタ制御部10を備える。プリンタ制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、シリアルI/F14と、を備える。
【0015】
プリンタ制御部10には、画像作成部20、画像読取部30、及び操作表示部40が接続されている。画像作成部20、画像読取部30、及び操作表示部40には、それぞれの機能を発揮するための構成が含まれている。画像作成部20、画像読取部30、及び操作表示部40が備える各構成は、プリンタ制御部10からの制御信号に基づいて動作する。
【0016】
画像作成部20は、シート状の記録媒体としてのシートPに対して画像データに基づく画像形成処理を行う構成である。画像読取部30は、シートPに形成されている画像を読み取って画像データを取得する構成である。操作表示部40は、画像作成部20や画像読取部30における動作条件を入力する入力部と、動作結果等を表示する表示部を兼ねる構成である。
【0017】
画像作成部20、画像読取部30、及び操作表示部40を制御するための制御プログラムは、ROM12に格納されている。CPU11は、ROM12に格納された制御プログラムを読み出してRAM13に展開する。そして、CPU11は、制御に必要なデータをRAM13に記憶させて、当該RAM13をワークエリアとして使用しながら制御プログラムによって定義されている制御を実行する。
【0018】
また
図2に示すように、折り装置200は、制御ブロックとしての折り制御部50を備える。折り制御部50は、CPU51と、ROM52と、RAM53と、シリアルI/F54と、を備える。
【0019】
折り制御部50には、各種負荷60や各種センサ70が接続されいてる。各種負荷60は、後述する搬送ローラや折りローラ対などであって、記録媒体に対する折り処理を行う構成を含むものである。各種センサ70は、記録媒体を検知する複数のシート検知部であって、折り処理の対象となる記録媒体の位置を検知する構成である。各種負荷60は、折り制御部50からの制御信号に基づいて動作する。折り制御部50は、各種センサ70からの検出信号に基づいて制御プログラムによる処理を行い、各負荷60に対して制御信号を通知する。
【0020】
折り制御部50が所定の処理機能を実行するための制御プログラムは、ROM52に格納されている。CPU51は、ROM52に格納された制御プログラムを読み出してRAM53に展開する。そして、CPU51は、制御に必要なデータをRAM53に記憶させて、当該RAM53をワークエリアとして使用しながら制御プログラムによって定義されている折り動作の制御を実行する。
【0021】
プリンタ本体100が備えるプリンタ制御部10と折り装置200が備える折り制御部50は、シリアルI/F14とシリアルI/F54を介して通信可能に接続されている。この通信経路を利用して、記録媒体の搬送制御に必要な制御コマンドのやり取りが行われる。折り装置200は、プリンタ本体100から送られてくる制御コマンドと、各種センサ70から得られる記録媒体の位置に関する情報(媒体位置情報)に基づいて、記録媒体の搬送制御及び折り処理の有無と、折り処理の種類を切り替えることができる。
【0022】
[折り装置200の第一実施形態]
次に、折り装置200の第一実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係る折り装置200の内部の概略構成を示す図である。折り装置200は、複数の搬送路を備えている。本実施形態に係る折り装置200が備える搬送路は、大まかに五経路に区別される。例えば、折り装置200は、第一搬送路W1、第二搬送路W2、第四搬送路W4、第五搬送路W5、第六搬送路W6を備えている。
【0023】
図3に示すように、折り装置200に対して処理対象のシートPが搬入される搬入口21は、プリンタ本体100の排出口と連接している。搬入口21の近傍には、入口搬送手段R0が配置されている。入口搬送手段R0は、駆動モータによって回転駆動するローラ対によって構成されている。シートPは、入口搬送手段R0の回転駆動によって第一搬送路W1に沿って搬送される。
【0024】
折り装置200は、第一搬送路W1に沿って、第一搬送手段R1、第二搬送手段R2及び第一折り手段F1が配置されている。第一折り手段F1は、第一搬送路W1と第二搬送路W2の間に配置されている。第一折り手段F1は、第一搬送路W1に沿って搬送されて来たシートPを、所定の位置で折り、折り済みのシートPを第二搬送路W2へと受け渡す機能を有する。
【0025】
第一搬送手段R1は、第一搬送路W1を挟んで対向して配置された一対のローラによって構成されている。このローラ対がニップを形成している。第一折り手段F1は、第一搬送路W1と第二搬送路W2との間に対向して配置された一対のローラによって構成されている。このローラもニップを形成している。第一折り手段F1のニップによって案内される経路が、第一搬送路W1から第二搬送路W2にシートPを導く経路である。第二搬送路W2は、第一搬送路W1の第一搬送手段R1の上流側に合流するようになっている。したがって、第一搬送路W1、第一搬送手段R1、第一折り手段F1、第二搬送路W2が循環搬送路として機能する。
【0026】
第一搬送手段R1の下流側には第二搬送手段R2が配置されている。第二搬送手段R2は、一対のローラによって構成されている。第二搬送手段R2を構成するローラ対の一方のローラと、第一折り手段F1を構成するローラ対の一方のローラは、共通するローラである。この共通するローラは、同一の駆動モータによって回転駆動する。この駆動モータは、正方向と逆方向の両方向に回転可能なモータである。駆動モータの回転方向を変更することで、シートPの搬送または折り処理を切り替えることができる。
【0027】
また、第一搬送路W1には、第一シート検知センサSN1が配置されている。第一シート検知センサSN1は、第一搬送手段R1の直前(上流側)に配置されている。第二搬送手段R2の下流には第四搬送手段R4が配置されている。第二搬送手段R2と第四搬送手段R4の間には、第四搬送路W4が配置されている。第四搬送路W4には、第二シート検知センサSN2が配置されている。第二シート検知センサSN2は、第二搬送手段R2の直後(下流側)に配置されている。
【0028】
第四搬送手段R4の下流には、分岐爪23が配置されている。分岐爪23の下流には、第五搬送手段R5と、第六搬送手段R6がそれぞれの分岐先に配置されている。分岐爪23から第五搬送手段R5の間には第五搬送路W5が配置されている。また、分岐爪23から第六搬送手段R6の間には第六搬送路W6が配置されている。
【0029】
第五搬送路W5には、第四シート検知センサSN4が配置されている。第四シート検知センサSN4は、分岐爪23と第五搬送手段R5との間に配置されている。第六搬送路W6には、第五シート検知センサSN5が配置されている。第五シート検知センサSN5は、第六搬送手段R6の直後に配置されている。
【0030】
これら各センサは、各種センサ70に相当する(
図2参照)。各種センサ70は、それぞれがシートPを検知し、検知信号を折り制御部50に通知する。すなわち、折り制御部50は、各種センサ70に含まれるセンサからの検知信号に基づいて、シートPの搬送位置を判定して、シートPの搬送制御を行う。また、折り制御部50は、各種センサ70からの検知信号に基づいて、上記にて説明した各搬送手段を構成するローラの回転開始及び回転停止、または回転方向の切り替えの制御を行う。
【0031】
また、第四搬送手段R4の直後に配置されている分岐爪23は、搬送されてきたシートPを第五搬送路W5へ導く場合と、第六搬送路W6へ導く場合と、において案内位置を切り替えるように動作する。分岐爪23は、例えばソレノイドによって位置を切り替えることができる。なお、ソレノイドに代えてモータ、ギヤ、カムなどを含む駆動機構を使用することもできる。
【0032】
第五搬送路W5に案内されたシートPは、折り装置200が備える排出トレイとしての積載トレイ24に排出される。積載トレイ24は、排出されたシートPを積載して保持するトレイである。積載トレイ24の詳細は、後述する。
【0033】
第六搬送路W6に案内されたシートPは、画像形成システムを構成する折り装置200の下流に後処理装置300を設けられているときには、後処理装置300へ受け渡される。すなわち、第六搬送路W6は、シートPを後処理装置300に受け渡すための経路である。後処理装置300は、折り処理されたシートPあるいは折り処理されていないシートPに対して、例えば整合処理、綴じ処理などの各種後処理を実行する。後処理装置300の構成は、後述する。
【0034】
[折り装置200の折り動作の概要]
次に、折り装置200の動作の概要について説明する。折り装置200は、プリンタ本体100から排出されたシートPを受け入れた後において、折り処理を行わず排出する処理の他、シートPに対する二つ折り、Z折り、内三つ折り、外三つ折りを行うことができる。以下、処理の種類に応じた折り装置200の動作の概要を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図4から
図7は、折り処理を行わず上流(プリンタ本体100)から受け取ったシートPをそのまま下流(積載トレイ24または後処理装置300)に受け渡す動作の例を示す動作説明図である。
【0036】
図4は、シートPがプリンタ本体100側から搬送される前の初期状態を示す。
図5は、シートPが折り装置200に搬入された状態を示す。
図4から
図5に示すようにプリンタ本体100側からシートPが搬入されて、その先端P01が第一シート検知センサSN1で検知される。折り制御部50は、第一シート検知センサSN1の検知結果に基づいて、第一搬送手段R1に対して回転駆動を指示する。このときの回転方向は、
図5中の円弧矢印の方向である。回転駆動している第一搬送手段R1のニップに先端P01が進入した時点で、シートPは、第二搬送手段R2側に搬送される。
【0037】
そして、
図6に示すように、シートPの先端P01が、第二搬送手段R2のニップの直前まで搬送された時点で、第二搬送手段R2は、折り制御部50からの制御信号によって回転駆動を開始する。これによって、第一搬送手段R1と第二搬送手段R2がいずれも同じ方向(図中の円弧矢印の方向)に回転する。
【0038】
続けて、
図7に示すように、シートPは、第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2の回転によって下流側へ搬送される。その結果、シートPは、第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2による搬送で、積載トレイ24か後処理装置300に向けて排出される。なお、シートPの先端P01が第二搬送手段R2のニップの直前まで搬送されたか否かの判定は、例えば、折り制御部50が第一搬送手段R1を回転駆動するモータの駆動ステップ数から判定できる。したがって、その判定結果に基づいて、折り制御部50が第二搬送手段R2の回転を開始するように制御する。
【0039】
[Z折りを行うときの動作の概要]
次に、シートPに「Z折り」を行うときの、折り装置200の動作について
図8から
図12を参照しながら説明する。折り装置200の初期動作は、Z折りを行うときであっても、すでに
図5及び
図6を用いて説明した動作と同様である。したがって、Z折りの場合、折り装置200は、
図6の動作のように、シートPの先端P01が第一搬送手段R1によって第二搬送手段R2のニップに至り、第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2が円弧矢印の方向に回転した後、
図8以降の動作をする。
【0040】
図8に示すように、シートPが第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2によって、第二搬送手段R2の下流に搬送される。このとき、折り制御部50は、第二シート検知センサSN2が先端P01を検出したタイミングを取得し、その後、第二搬送手段R2の回転量を取得する。そして、折り制御部50は、第一搬送手段R1若しくは第二搬送手段R2の回転量、又は第一搬送手段R1と第二搬送手段R2のいずれかの回転量に基づいて、先端P01が第二シート検知センサSN2の位置から突出した量(第一突出量Δ1)を算出する。第一突出量Δ1は、第一の折り位置を設定するために用いられる情報に相当する。
【0041】
Z折りの場合は、第一の折り位置を、シートPの先端P01からシートPの全長(シートPの搬送方向の長さ)の3/4の長さに相当する位置、すなわち、シートPの搬送方向の長さに対する1/4に相当する搬送方向後端側の位置とする。この第一の折り位置において第一の折り目は「外折り」とする。その後、第一の折り目が形成されたシートPに対して第二の折り目を形成するときは、第二の折り位置を、シートPの先端P01からシートPの全長の1/2に相当する位置とする。なお、第二の折り目は「内折り」である。
【0042】
したがって、第二シート検知センサSN2がシートPの先端P01を検知したときから、先端P01の位置が所定の第一突出量Δ1に相当する位置に至るまで、シートPは第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2によって下流に搬送される。
【0043】
なお、第一突出量Δ1は、折り制御部50が、シートPの全長及びシートPに対する折り方の設定によって決定する。また、第一突出量Δ1は、折り制御部50が処理する制御プログラムの機能ブロックによって判定する。
【0044】
折り制御部50は、シートPの先端P01が、所定の第一突出量Δ1に相当する位置に達したとき第二搬送手段R2の動作を一旦停止する。次いで、折り制御部50は、第一搬送手段R1の回転駆動を維持したまま、第二搬送手段R2の回転方向を逆方向に切り替える。すなわち、折り制御部50は、第一搬送手段R1を正転したまま第二搬送手段R2を逆転する。
【0045】
第二搬送手段R2を構成するローラ対の一方のローラは、第一折り手段F1を構成するローラと共通するので、
図8に示すように、一旦停止した後の第二搬送手段R2が逆転してシートPの先端P01側を逆方向(上流)に搬送する状態になる。一方で第一搬送手段R1は、
図6から継続されている回転方向にて回転を続けているので、シートPの後端側は下流に搬送され続けている。
【0046】
その結果、
図9に示すように、シートPが、第一折り手段F1のニップの手前で撓む。そして、そのシートPの撓み部分が、第一折り手段F1のニップに進入する。その結果、シートPが第一折り手段F1のニップに進入すると、その撓み部分には、ニップの通過によって折り目が形成される。
【0047】
以上のようなプロセスにより、シートPに対する第一折りが行われて、
図10に示すように、シートPには、第一折り目P03が形成される。そして、第一折り目P03を先頭とするシートPが、第二搬送路W2へと搬送される。
【0048】
第一折り目P03が形成されたシートPは、
図11に示すように、第二搬送路W2に沿って搬送される。この間、第二搬送手段R2は逆回転を継続している。したがって、シートPは、第一折り目P03を先頭とした状態で第二搬送路W2に沿って、第一搬送路W1の第一搬送手段R1の上流に至る。
【0049】
次いで、第一折りが行われたシートPが、
図5及び
図6に例示した状態になり、第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2によって下流側に搬送される。そして、折り制御部50は、シートPの先端(第一折り目P03)が第二搬送手段R2に至るタイミングで、第二搬送手段R2を逆転から正転に切り替えるので、シートPが第一搬送手段R1と第二搬送手段R2によって下流に搬送される。続いて、第一折り目P03が第二シート検知センサSN2に検知される位置に至る。
【0050】
折り制御部50は、第二シート検知センサSN2が第一折り目P03を検知してからも搬送を継続する。折り制御部50は、第一折り目P03の位置が第二シート検知センサSN2の位置からの第二突出量Δ2に相当する位置に至るまで、シートPを下流に搬送する。
【0051】
折り制御部50が、第二シート検知センサSN2の位置からの第二突出量Δ2に相当する位置に第一折り目P03の位置が至ったと判定したとき、
図9にて説明した状態と同様、
図12に示すように、第二搬送手段R2の動作を停止する。そして、その後、折り制御部50は、第二搬送手段R2を逆転する。なお、折り制御部50が第二搬送手段R2を逆転させるタイミングは、第二突出量Δ2がシートPの先端P01からシートPの全長の1/2に相当する長さになったときである。
【0052】
折り制御部50は、第二搬送手段R2を逆転させ、かつ、第一搬送手段R1の正転を継続させているので、第二搬送手段R2の逆転と第一搬送手段R1の正転によって、シートPが第一折り手段F1のニップの手前で撓む。その後、シートPの撓み部分が、第一折り手段F1のニップに進入する。その結果、シートPが第一折り手段F1のニップに進入すると、その撓み部分には、ニップの通過によって折り目が形成される。
【0053】
以上のようなプロセスにより、シートPに対する第二折りが行われて、
図13に示すように、シートPには、第一折り目P03と第二折り目P04の二つの折り目が形成される。lその結果、シートPは、Z折りが施された状態になる。
【0054】
なお、第二突出量Δ2は、第一突出量Δ1と同様であって、シートPの全長及びシートPに対する折り方の設定に基づいて決定される。そして、第二突出量Δ2は、折り制御部50が第二搬送手段R2の回転量(駆動モータの駆動ステップ数)に基づいて判断する。
【0055】
図13に示すように、第二折りを行った後、シートPは第二搬送路W2に沿って、第二搬送手段R2によって搬送される。そして、第二搬送路W2を経て第一搬送路W1に循環して戻った後に、再度、第一搬送手段R1と第二搬送手段R2によって、第二搬送手段R2の下流の第四搬送路W4へと搬送される。その後、分岐爪23によって第五搬送路に案内されれば、Z折り済みのシートPが、第二折り目P04を下流側にして積載トレイ24に排出される。
【0056】
[二折りを行うときの動作の概要]
シートPに二つ折りを施すときは、シートPの搬送方向における先端P01からシートPの全長の1/2に相当する位置において、
図9に示したように、第一折り手段F1のニップで外折り(第一折り)をする。その後、シートPは、循環搬送路である第二搬送路W2を通過して第一搬送路W1に戻り、第二折りは施さずに、第一搬送手段R1と第二搬送手段R2によって第四搬送路W4へと搬送される。
【0057】
[外折りを行うときの動作の概要]
シートPに外三つ折りを施すときは、シートPの搬送方向における先端P01からシートPの全長の2/3に相当する位置において、
図9に示したように、第一折り手段F1のニップで外折り(第一折り)をする。その後、シートPは、循環搬送路である第二搬送路W2を通過して第一搬送路W1に戻る。その後、第一折りが施された端部を先端として、第二シート検知センサSN2の位置からの第二突出量Δ2に相当する位置に先端が至ったと判定したときに、第二搬送手段R2を逆転させる。そして、シートPの搬送方向における先端(第一折り部分)からシートPの全長の2/3に相当する位置において、第一折り手段F1のニップで内折り(第二折り)をする。その後、第二搬送路W2、第一搬送路W1、第四搬送路W4を通じてシートPを下流へと搬送する。
【0058】
[内折りを行うときの動作の概要]
シートPに内三つ折りを施すときは、シートPの搬送方向における先端P01からシートPの全長の2/3に相当する位置において、
図9に示したように、第一折り手段F1のニップで内折り(第一折り)をする。その後、シートPは、循環搬送路である第二搬送路W2を通過して第一搬送路W1に戻る。その後、第一折りが施された端部を先端として、第二シート検知センサSN2の位置からの第二突出量Δ2に相当する位置に先端が至ったと判定したときに、第二搬送手段R2を逆転させる。そして、シートPの搬送方向における先端(第一折り部分)からシートPの全長の2/3に相当する位置において、第一折り手段F1のニップで内折り(第二折り)をする。その後、第二搬送路W2、第一搬送路W1、第四搬送路W4を通じてシートPを下流へと搬送する。
【0059】
[Z折りの動作の別例]
続いて、折り装置200がZ折り処理を行うときの別の実施形態について説明する。Z折りを実行するときのシートPの搬送制御において説明したとおり、第一折りが行われたシートPの第一折り目P03の位置が、シートPの全長の1/2に相当する位置に至ったときに、折り制御部50が、第二搬送手段R2の搬送を一旦停止してから逆転する。
そして、第一搬送手段R1の正転を継続させることで、シートPを第一折り手段F1のニップの手前で撓ませてニップに進入させる(
図12を参照)。これによって、第二折りが施されて、シートPに第二折り目P04が形成される。
【0060】
本実施形態では、
図12の状態の後であって
図13に示す状態になるまでの間において、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)の回転を一旦停止して逆転する。折り制御部50は、第二搬送手段R2の回転量(駆動モータの駆動ステップ数)に基づいて、シートPに対して第二折りを行った後に、第一折り手段F1のニップでのシートPの挟持状態を判定することができる。そして、折り制御部50は、シートPの後端が第一折り手段F1のニップを抜ける前に、第一折り手段F1を停止して逆転する。
【0061】
これによって、シートPの後端(第二折り目P04を先端とした場合の反対側の端)が、第二搬送手段R2のニップへ向かう。その後、第二搬送手段R2によって、シートPは第四搬送路W4へと搬送される。
【0062】
図14に示す状態から第二搬送手段R2(第一折り手段F1)を逆転すると、第一折り目P03と第二折り目P04が第一折り手段F1のニップを逆方向に通過していく。これによって、第一折り手段F1のニップが、第一折り目P03と第二折り目P04を増し折りすることができる。
【0063】
上記のように、折り制御部50が。Z折りを行ったシートPの搬送方向を、第二折りの後に第二搬送路W2を介して第一搬送路W1に循環させるのでなく、第二搬送路W2を逆走させる。その後、第二搬送手段R2によってシートPは、折り目が形成されていない方の端部を先頭にしながら第四搬送路W4を経由して、積載トレイ24に排出される。積載トレイ24に排出されたとき、第二折り目P04が積載トレイ24の基端側になるので、厚みを有する側が、積載トレイ24の傾斜の下方で積み重ねられる状態になる。
【0064】
なお、積載トレイ24は、
図3に例示したように、基端側に向かって下り傾斜になっている。Z折り済みのシートPを積載トレイ24に積載するときは、厚みがある第二折り目P04側が積載トレイ24の基端側で積み重ねられる状態になれば、重ねられたシートPの最上面は、積載トレイ24の傾斜度合いよりも緩い傾斜になり、略水平に近い状態になる。
【0065】
この状態になるようにZ折り済のシートPを積載できるので、積載トレイ24において、従来例に比べてより多くのシートPを積載することできるようになる。これによって、積載トレイ24の最大積載量に対して、実際に積載できるZ折りのシートPの量の減少を抑制できる。
【0066】
[折り装置200の動作の流れ]
次に、本実施形態に係る折り装置200の動作の流れについて、
図15から
図17のフローチャートを用いて説明する。まず、プリンタ本体100からのシートPの受け入れが開始されると、折り制御部50は、第一シート検知センサSN1がシートPを検知して「ON」になるまで処理を繰り返しながら待つ(S1501:NO)。第一シート検知センサSN1が「ON」になれば(S1501:YES)、折り制御部50は第一搬送手段R1の回転を開始する(S1502)。
【0067】
次いで、折り制御部50は、第一シート検知センサSN1が「ON」になってから経過時間に基づいてシートPの先端P01が第一搬送手段R1に到達したか否かを判定し(S1503)する。折り制御部50は、シートPの先端P01が第一搬送手段R1に到達したと判定とき(S1503:YES)、第二搬送手段(第一折り手段F1)の回転を開始する(S1504)。
【0068】
次いで、折り制御部50は、シートPの先端P01を第二シート検知センサSN2が検知してから第二搬送手段R2の回転量に基づいて、シートPの先端P01の第二シート検知センサSN2からの突出量を判定する(S1505)。第二シート検知センサSN2からの突出量が、第一突出量Δ1になったら(S1505:YES)、続いて、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)を逆転させる(S1506)。
【0069】
その後、シートPの後端が第一搬送手段R1のニップを抜けたか否かを判定し(S1507)、第一搬送手段R1のニップを抜けたときは(S1507:YES)、第一搬送手段R1の回転を停止する(S1508)。その後、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)の回転によってシートPは第二搬送路W2に沿って搬送される。その結果、シートPが第一折り手段F1のニップを通過しきったとき(S1509:YES)、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)の回転を停止する。
【0070】
その後、折り制御部50は、指定されている折り処理の種類が「二つ折り」であるか否かを判定し(S1511)、「二つ折り」であれば(S1511:YES)、二つ折り処理に移行する(S1512)。S1511において「二つ折り」でなければ、三つ折り処理に移行する(S1513)。
【0071】
続いて、二つ折り処理(S1512)の詳細について、
図16を用いて説明する。まず、第二搬送路W2を介して第一搬送路W1に戻ったシートPの第一折り目P03を、第一シート検知センサSN1が検知したか否かを判定する(S1601)。第一シート検知センサSN1が第一折り目P03を検知したとき(S1601:YES)、第一搬送手段R1の回転を開始する(S1602)。
【0072】
続いて、第一折り目P03が第一搬送手段R1に送達したときに(S1603:YES)、第二搬送手段(第一折り手段F1)の回転を開始する(S1604)。その後、シートPの後端が第二搬送手段R2のニップを抜けたか否かを判定し(S1605)、第二搬送手段R2のニップを抜けたときは(S1605:YES)、第二搬送手段(第一折り手段F1)の回転を停止し(S1606),終了する。
【0073】
続いて、三つ折り処理(S1513)の詳細について、
図17を用いて説明する。まず、第二搬送路W2を介して第一搬送路W1に戻ったシートPの第一折り目P03を、第一シート検知センサSN1が検知したか否かを判定する(S1601)。第一シート検知センサSN1が第一折り目P03を検知したとき(S1701:YES)、第一搬送手段R1の回転を開始する(S1702)。
【0074】
続いて、第一折り目P03が第一搬送手段R1に送達したときに(S1703:YES)、第二搬送手段(第一折り手段F1)の回転を開始する(S1704)。
【0075】
次いで、折り制御部50は、シートPの先端P01を第二シート検知センサSN2が検知してから第二搬送手段R2の回転量に基づいて、シートPの先端P01の第二シート検知センサSN2からの突出量を判定する(S1705)。第二シート検知センサSN2からの突出量が、第二突出量Δ2になったら(S1705:YES)、続いて、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)を逆転させる(S1706)。
【0076】
その後、シートPの後端が第一搬送手段R1のニップを抜けたか否かを判定し(S1707)、第一搬送手段R1のニップを抜けたときは(S1707:YES)、第一搬送手段R1の回転を停止する(S1708)。その後、第二折り目P04も形成されたシートPを規定距離だけ搬送したら(S1709)、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)の回転を停止し、その後逆転する(S1710)。
【0077】
その後、第二搬送手段R2のニップをシートPが抜けたとき(S1711:YES)、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)の回転を停止して(S1712)、処理を終了する。
【0078】
[折り装置200の第二実施形態]
次に、折り装置200の第二実施形態について説明する。
図18は、本実施形態に係る折り装置200aの内部の概略構成を示す図である。折り装置200aは、第二実施形態に係る折り装置200と同様に、複数の搬送路を備えている。そして折り装置200が備える搬送路に加えて、第三搬送路W3を備えている。
【0079】
折り装置200aは、第一折り手段F1の下流の第二搬送路W2に続いて、第三搬送手段R3を挟んで第三搬送路W3が配置されている。そして、第三搬送路W3が、第一搬送手段R1の上流側で第一搬送路W1に合流している。
【0080】
第三搬送手段R3は、第二搬送路W2と第三搬送路W3との間に対向して配置されるローラ対である。そして、第三搬送手段R3は、ローラ間にニップを形成している。第三搬送路W3には、第三搬送手段R3の直後に第三シート検知センサSN3が配置されている。第三シート検知センサSN3は、第三搬送路W3を通過するシートPを検知して、折り制御部50に検知信号を通知する。
【0081】
また、折り装置200aは、折り装置200にさらに第二折り手段F2およびその下流の第四搬送路W4bを備えている。なお、折り装置200における第四搬送路W4は、便宜上、第四搬送路W4aとしている。第四搬送路W4aと第四搬送路W4bは、下流側で合流して、折り装置200と同様に第四搬送路W4を構成する。折り装置200aでは、循環搬送路を利用せずに折り目が先端となるZ折りが可能となる。
【0082】
以下、折り装置200aの動作の流れを説明する。なお、第一折りが行われるまでは、折り装置200の場合と同様である。
【0083】
第一折りを行ったシートPは、
図18に示すように第二搬送路W2に搬送される。シートPは、第二搬送路W2の下り勾配の傾斜に沿って搬送される。そして、
図19に示すように円弧矢印方向への回転を開始した第三搬送手段R3のニップに挟持されて、第三搬送路W3に向けて搬送される。
【0084】
そして、シートPの搬送方向の先端としての第一折り目P03が、第三シート検知センサSN3に検知されたとき、折り制御部50に第三シート検知センサSN3から検知信号が通知される。折り制御部50は、第三シート検知センサSN3から検知信号の通知の後、第三搬送手段R3の回転を継続してシートPを、さらに第三搬送路W3へと搬送する。そして、折り制御部50は、シートPの第一折り目P03が、第三シート検知センサSN3から第三突出量Δ3に相当する位置に至ったか否かを判定する。
【0085】
第三突出量Δ3は、第一突出量Δ1と同様に、シートPの全長及びシートPに設定された折り方に基づいて決定される。折り制御部50は、第一折り目P03の突出量が第三突出量Δ3に至ったか否かの判定を、第三搬送手段R3の回転量(駆動モータの駆動ステップ数)によって行う。
【0086】
図20に示すように、折り制御部50は、第一折り目P03の第三シート検知センサSN3からの突出量が第三突出量Δ3になったとき、第三搬送手段R3を一旦停止した後、逆転させる。また、折り制御部50は、第二搬送手段R2(第一折り手段F1)の回転方向を
図18及び
図19に示す回転方向を維持した状態で第三搬送手段R3の逆転を実行する。これにより、
図21に示すように第一折り手段F1のニップ下流側の第二搬送路W2でシートPに撓みが形成される。
【0087】
そして、折り制御部50が、
図21に示す第二搬送手段R2及び第三搬送手段R3の回転方向の駆動を継続すると、撓みが第二折り手段F2のニップに進入する。そして、シートPは、第二折り手段F2のニップによって第二折り目P04が形成されて、第二搬送路W2から第四搬送路W4bへと搬送される。第二折りが行われたシートPはさらに、第四搬送路W4b及び第五搬送路W5を経て積載トレイ24に排出される。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る折り装置200aでは、循環搬送路を利用せずに折り目が先端となるZ折りを行うことができるので、生産性を向上させることができる。
【0089】
[面付けと折り方法の関係]
次に、折り装置200及び折り装置200aにおける、シートPの面付けと折り方法との関係について、説明する。折り装置200(2a)とプリンタ本体100は、通信手段によってデータ送受信が可能である。折り装置200(2a)の折り制御部50は、折り目を先端側とするか、又は後端側とするかを設定する情報をプリンタ本体100から受信する。
【0090】
折り制御部50は、プリンタ本体100から搬入されてくるシートPに対して、Z折りを行うときの先端の方向の設定を、折り目先端側設定とするか、折り目後端側設定とするかを切り替える。例えば、後述する後処理装置300において、シートPを束ねて綴るステイプル処理を行う場合は、折り目先端側設定にする。また、積載トレイ24に排出するならば、折り目後端側設定にする。
【0091】
また、折り装置200(2a)とプリンタ本体100は、シートPに対する画像の面付けを切り替えることで、画像に対する折り目の位置を一定にできる。Z折りの折り目を先端側にして積載する場合は、
図22に例示するように、画像「ABCD」が搬送方向において下方に向く状態にし、搬送方向の先頭側に画像「D」が形成されるように面付けをする。一方、Z折の折り目を後端側にして積載する場合であれば、
図23に例示するように、搬送方向の先頭側に画像「A」が形成されるように面付けをする。
【0092】
上記のように、Z折りを行ったシートPを積載トレイ24において、どのように積載させせるのか、その積載方向に応じて、プリンタ本体100がシートPに画像を形成するときの面付けを変更すれば、画像に対する折り目の位置を一定にできる。
【0093】
上記の面付けの設定は、プリンタ制御部10において設定される「折り方」と「排出方向」に基づいて、プリンタ制御部10が画像作成部20を制御して実現できる。また、折り制御部50においてシートPの折り方法と積載方向を設定するならば、その設定データをプリンタ制御部10に通知すればよい。
【0094】
したがって、折り装置200(2a)とプリンタ本体100は、Z折りを行うときのシートPの積載方向を折り目先端とするか折り目後端とするかの指示を一方の装置から他方の装置へ、行うことができる。すなわち、プリンタ本体100から折り装置200(2a)への「折り目先端側」あるいは「折り目後端側」の指示に応じて、折り制御部50は制御を切り替えることができる。また、折り制御部50からからプリンタ本体100のプリンタ制御部10に対して「折り目先端側」あるいは「折り目後端側」の設定情報を通知し、プリンタ制御部10は、通知された設定情報に基づいて画像面の面付けを切り替える制御を行うことができる。
【0095】
プリンタ制御部10は、Z折りで画像の面付けが変更された後において、折り処理が行われないシートPに画像を形成するときは、その面付けを変更する。これによって、平紙の画像の上下が逆となることを防ぐことができる。
【0096】
[シートPの積載態様]
次に、シートPに対してZ折りを行ったときの排出単位に応じて切り替えるシートPの搬送モードについて説明する。まず、積載トレイ24に積載されるシートPの積載態様について説明する。積載トレイ24の基端側に折り目が来るように搬送する搬送モードを「折り目後端搬送モード」とする。また、積載トレイ24の基端側に折り目が来ないように搬送する搬送モードを「折り目先端搬送モード」とする。折り装置200は、所定の処理単位で搬送モードを切り替えることができる。
【0097】
ここで、処理単位とは、Z折りが行われたシートPの積載トレイ24における積載方向を、「折り目先端側」とするか「折り目後端側」とするかを切り替える単位を意味する。したがって、処理単位に応じて搬送モードを切り替えることになる。
【0098】
[積載態様の第一例]
例えば、
図24に示すように、一定の「部単位」でシートPの積載方向を切り替えることができる。複数枚に亘って画像が形成された画像形成物を一部として、複数の部数を作成するときに、Z折りを行う場合、一部を構成するシートPの積載方向は同一でなければならない。また、複数の部の積載方向を同一にすると、厚みを有する部分が重ね合わさって、積載トレイ24の上で不安定な状態になる。そこで、一部ごとに積載方向を切り替えることで、積載トレイ24の上での積載姿勢を安定させることができる。なお、
図24の例は、一部当たり三枚のシートPで構成されている例である。
【0099】
なお、折り装置200とプリンタ本体100との間は、通信手段によってデータ送受信が可能であり、折り装置200はプリンタ本体100から、部の切り替わりに関する情報を受信することにより、折り目を先端側か後端側か制御を切り替えることができる。通信手段によって送受信する情報としては、各部の折り目位置を決める方法や、部の切り替わりを示す情報によって前の部と異なる折り目位置に切り替える方法などがある。
【0100】
[積載態様の第二例]
また、
図25に示すように、ジョブごとにシートPの積載方向を切り替えることができる。複数のジョブを実行している途中において、各ジョブで画像が形成されたシートPに対してZ折りを行う場合、すべてのシートPの積載方向を同一にすると、厚みを有する部分が重ね合わさって、積載トレイ24の上で不安定な状態になる。そこで、ジョブごとに積載方向を切り替えることで、積載トレイ24の上での積載姿勢を安定させることができる。なお、
図25の例は、1ジョブ目のシートPは四枚、2ジョブ目は二枚、3ジョブ目は6枚のシートPが積載されている例である。
【0101】
なお、折り装置200とプリンタ本体100との間は、通信手段によってデータ送受信が可能である。したがって、折り装置200はプリンタ本体100から、ジョブの切り替わりに関する情報を受信することができる。この情報の受信によって、折り目を先端側か後端側か制御を切り替えることができる。また、通信手段によって送受信する情報としては、各ジョブの折り目位置を決める方法や、ジョブの切り替わりを示す情報によって前のジョブと異なる折り目位置に切り替える方法などがある。
【0102】
[積載態様の第三例]
また、
図26に示すように、シートPの一枚ごとに(シート単位で)、積載方向を切り替えてもよい。この場合、折り装置200はプリンタ本体100から、Z折りのシートPに切り替わる情報を受信して、折り制御部50がその情報に応じて、折り目を先端側とするか後端側とするかを判定する。そして、判定結果に基づいて、シートPに対するZ折りを行う。なお、通信手段によって送受信する情報としては、各シートの折り目位置を決める方法や、シートの切り替わりを示す情報によって前のシートと異なる折り目位置に切り替える方法などがある。
【0103】
[積載態様の第四例]
なお、部単位やジョブ単位、または、折り方の切り替え単位によらず、プリンタ本体100において積載方向に対する設定を行うときは、その設定に基づいて、折り制御部50はシートPの積載方向を切り替えればよい。例えば、
図27に示すように、設定に基づいて適宜、積載方向を切り替えて、積載トレイ24にZ折り済みのシートPを積載すればよい。なお、通信手段によって送受信する情報としては、各シートの折り目位置を決める方法や、シートの切り替わりを示す情報によって前のシートと異なる折り目位置に切り替える方法などがある。
【0104】
[積載態様の第五例]
また、
図28に示すように、積載トレイ24に積載されたシートPの量(枚数)に応じて、積載方向を切り替えるようにしてもよい。
図28に示すように、積載トレイ24の基端近傍であって、シートPの積載方向にシート積載量検知手段としての複数のセンサが配置されている。
図28に示すように、積載トレイ24に積載されたシートPの後端側の積載状態を検出する後端積載検知センサSN6と先端側の積載状態を検出する先端積載検知センサSN7と、シート面検知センサSN8が配置されている。
【0105】
後端積載検知センサSN6と先端積載検知センサSN7がシートPを検知する状態に基づいて、折り制御部50は、シートPの積載トレイ24での積載方向を折り目側先端とするか、折り目側後端とするかを切り替える。後端積載検知センサSN6は、積載トレイ24の基端近傍に配置されていて、積載トレイ24の傾斜面の最下位置においてシートPを検知する。先端積載検知センサSN7は、積載トレイ24の傾斜面と平行する方向にシートPの有無を検知するように配置されている。
【0106】
シート面検知センサSN8は、積載されたシートPの面の位置を検知するために使用される。これによって、シートPの面の位置が一定の高さに保たれる。
【0107】
最初は、
図28(a)に示すように、折り目側後端の状態でZ折り済みのシートPを積載トレイ24に排出する。この状態においては、後端積載検知センサSN6がシートPを検知しているが先端積載検知センサSN7はシートPを検知していない状態である。そこで、Z折りのシートPの折り目側を先端にして積載を継続する。
【0108】
その後、
図28(b)の状態のように、
図28(a)の状態からシートPの積載が進むことで、先端積載検知センサSN7がシートPを検知した状態になる。この状態になったとき、折り制御部50は、折り目を先端側にする積載における積載量が所定量上になったと判定し、Z折り済みのシートPの積載方向を折り目側後端に切り替える。そして、積載トレイ24の位置を下降させて先端積載検知センサSN7がシートPを検知しない状態にする。
【0109】
Z折り済みシートPの積載方向が折り目側後端に切り替えられてから、シートPの積載が進むと、
図28(c)の状態に至る。このときZ折り済みのシートPの積載量は、後端積載検知センサSN6によって検知する。
図28(c)では、後端積載検知センサSN6によってシートPが検知されている。そこで、積載トレイ28を下降させて、
図28(d)の状態にして、折り目側後端の状態でのシートPの積載を継続する。
【0110】
その後、シートPの積載が進むと、後端積載検知センサSN6によってシートPが検知される状態になるので、シートPの積載方向を折り目側先端に切り替える。その状態を
図28(e)に例示する。その後、積載トレイ24が最下方に移動しきるまで、
図28(a)~(e)を繰り返しながらZ折り済みのシートを積載する。
【0111】
上記のように、シート処理装置2(2a)は、Z折り済みのシートPは、排出方向において厚み差を有するので、これを可能な限り均すように、積載されるシートPにおける折り目の位置を先端側と後端側で切り替える。
【0112】
なお、シートの種類(シート種)とシート厚によって、Z折り済のシートPの積載方向を切り替えるようにしてもよい。その場合、プリンタ制御部10から折り制御部50に通知される情報に含まれる「シート種情報」や「シート厚情報」に基づいて切り替えればよい。これら情報に基づいて、積載トレイ24で積み上がる寸法を枚数当たりで算出し、その寸法に基づいて、折り目を先端側とするか後端側かの制御を切り替えればよい。
【0113】
また、プリンタ制御部10から折り制御部50に通知される情報としては、各ジョブの折り目位置を決める方法や、ジョブの切り替わりを示す情報によって前のジョブと異なる折り目位置に切り替える方法などもある。
【0114】
[折り装置200の第三実施形態]
次に、折り装置200の第三実施形態について説明する。
図29、
図30、
図31は、折り装置200の動作の別例を例示している。本実施形態では、すでに、シートPの折り処理を実行中であって、当該シートPを排出前に、次のシートPが折り装置200に搬入されてくる「割り込み処理」を特徴とする。
【0115】
プリンタ本体100の操作表示部40において、先行するシートP(先行シートP1)に対する処理実行中に、プリンタ本体100に対する外部装置から割り込みで画像形成処理が指示された場合、割込み画像形成処理が発生する。そうすると、後続のシートP(後行シートP2)を、折り処理中の折り装置200は受け入れることになる。
【0116】
なお、「割り込み」については、プリンタ本体100に複数の画像形成指示がされた場合に、プリンタ本体100の動作制御の都合によって割り込み処理が発生することもある。
【0117】
後行シートP2が折り装置200にて折り処理を行わない場合、先行シートP1が折り装置200の機内(搬送経路の途中)で停止した状態で、後行シートP2の受け入れを行うようにする。例えば、
図29のように、先行シートP1に第一折りが行われた後、第二搬送路W2又は第三搬送路W3において、先行シートP1が一旦停止するタイミングがある。
【0118】
このタイミングにおいて、後行シートP2がプリンタ本体100から搬入されてきた場合、先行シートP1の処理を一旦停止したままで、
図30のように第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2を回転させる。なお、後行シートP2の先端P01が第一シート検知センサSN1で検知されたときに、第一搬送手段R1及び第二搬送手段R2を回転させればよい。このように折り制御部50が動作を制御することで、後行シートP2が、第一搬送路W1と第四搬送路W4を通過して、先行シートP1よりも先に排出される。
【0119】
なお、後行シートP2が折り装置200にて折り処理を行う場合、先行シートP1は停止を行わず、先行シートP1の折り処理後に後行シートP2の受け入れを行う。その場合、先行シートP1の停止タイミングと搬送再開タイミング、また、後行シートP2の受け入れタイミングは次のようになる。
【0120】
図31に示すように、先行シートP1に対する第一折りが行われた後において、折り装置200の機内で先行シートP1の搬送を停止した状態で後行シートP2の受け入れを行う。このとき、先行シートP1の後端が、第一折り手段F1のニップを抜け、先行シートP1の先端が第三搬送路W3内にある状態で停止させる。この状態になったら、後行シートP2の受け入れを行う。
【0121】
そして、後行シートP2の後端が第一搬送路W1と第三搬送路W3の接続点を抜けた後に、先行シートP1の搬送を再開する。
【0122】
以上のように制御することで、連続してZ折りを行うときの処理効率を向上できる。また、Z折りをするシートPと、折り処理をしないシートPを混在して受け入れるときには、折り処理をしないシートPを先に排出できるので、処理効率を向上できる。
【0123】
[画像形成システムの実施形態]
本発明に係る画像形成システムの実施形態について説明する。本実施形態に係るプリントシステム3は、
図32に示すよう、折り装置200の下流側に後処理装置300が接続されて構成される。そして、
図33に示すように、後処理装置300が備える後処理搬送路W301と折り装置200の第六搬送路W6が接続する。この経路に沿って、折り装置200から後処理装置300にシートPの受け渡しが行われる。
【0124】
後処理装置300は、後処理ユニットとしての穿孔ユニット301において、シートPに孔を開ける穿孔処理としての「パンチ穿孔動作」を行う前に、後処理搬送ローラR301を停止した状態または逆転した状態でシートPを突き当てて傾きを補正する。仮に、折り目が形成されたシートPにパンチ穿孔動作を行う場合、折り目を搬送方向の先端側にすると、折り目を後処理搬送ローラR301に突き当てることとなる。この場合、折り目が後処理搬送ローラR301に噛んだ状態で「折りズレ」が生ずることがある。
【0125】
そこで、パンチ穿孔動作を行うときは、折り目を先端側にせずに後端側にするように反転させた状態で折り装置200から排出するように制御する。これによって、折り目を後処理搬送ローラR301に突き当ることなく、シートPの傾きの補正を行うことができる。なお、シートPの反転は、第一実施形態上記にて説明したとおりである。
【0126】
後処理装置300においてパンチ穿孔動作を行うシートPであるか否かは、プリンタ制御部10から折り制御部50に対して通知される。したがって、折り装置200はパンチ穿孔動作の対象となっているシートPに対して、さらに折り処理も設定されているときは、折り目を後端側にするように処理をして、後処理装置300に排出する。
【0127】
また、後処理として、ステイプル処理が設定されている場合であり、Z折りの対象とされるシートPの場合は、シートPの排出方移行を切り替えずに、折り目側が先端になる状態で、折り装置200から排出する。
【0128】
この場合、後処理装置300は、第二後処理搬送ローラR302にてシートPをステイプルトレイ303に排出し、シートPをスタックする。ステイプルトレイ303にスタックしたシートPの束(シート束Pb)の後端をステイプラ302によってステイプル処理を行う。ステイプル処理の後、後処理排出ローラR303を用いて後処理排出トレイ304にシート束Pbを排出する。Z折り済みのシートPを反転すると、折り目が後端側になる。そうすると、折り目にステイプル処理を行うことになる。そこで、ステイプル処理機能を備えた後処理装置300が接続されたプリントシステム3の場合、ステイプル処理が設定されたtきは、Z折りを行うシートPに対して折り目の位置を先端側のままにし、かつ、面付けの変更は行わないように制御する。
【0129】
なお、ステイプル処理の有無は、プリンタ制御部10から折り制御部50に通知されるので、折り制御部50は通知に基づいて折り動作を制御すれば、折り目を先端側のままで排出することができる。
【0130】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1 :プリンタ
2 :シート処理装置
3 :プリントシステム
10 :プリンタ制御部
11 :CPU
12 :ROM
13 :RAM
14 :シリアルI/F
20 :画像作成部
21 :搬入口
23 :分岐爪
24 :積載トレイ
28 :積載トレイ
30 :画像読取部
40 :操作表示部
50 :折り制御部
51 :CPU
52 :ROM
53 :RAM
54 :シリアルI/F
60 :負荷
70 :センサ
100 :プリンタ本体
200 :折り装置
200a :折り装置
300 :後処理装置
301 :穿孔ユニット
302 :ステイプラ
303 :ステイプルトレイ
304 :後処理排出トレイ
F1 :第一折り手段
F2 :第二折り手段
P :シート
P01 :先端
P03 :第一折り目
P04 :第二折り目
P1 :先行シート
P2 :後行シート
Pb :シート束
R0 :入口搬送手段
R1 :第一搬送手段
R2 :第二搬送手段
R3 :第三搬送手段
R301 :後処理搬送ローラ
R302 :第二後処理搬送ローラ
R303 :後処理排出ローラ
R4 :第四搬送手段
R5 :第五搬送手段
R6 :第六搬送手段
SN1 :第一シート検知センサ
SN2 :第二シート検知センサ
SN3 :第三シート検知センサ
SN4 :第四シート検知センサ
SN5 :第五シート検知センサ
SN6 :後端積載検知センサ
SN7 :先端積載検知センサ
SN8 :シート面検知センサ
W1 :第一搬送路
W2 :第二搬送路
W3 :第三搬送路
W301 :後処理搬送路
W4 :第四搬送路
W4a :第四搬送路
W4b :第四搬送路
W5 :第五搬送路
W6 :第六搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0132】