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特許7582537ロボット管理装置、ロボット、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ロボット管理装置、ロボット、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B66B1/14 L
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024037865
(22)【出願日】2024-03-12
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-092274(JP,A)
【文献】特開2020-111464(JP,A)
【文献】特許第7327627(JP,B1)
【文献】特開2020-128279(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第117657904(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータが設置された建物内で利用されるロボットを管理する装置であり、
前記ロボットが前記エレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、前記ロボットの現在階及び目的階と、前記利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、
(1)前記ロボットの現在階から当該ロボットの目的階へ向かう順方向が前記利用者の行先方向と同方向であるという条件と、
(2)前記利用者の出発階と前記ロボットの目的階との間に当該ロボットの現在階があるという条件と、
(3)前記乗りかごの現在位置が、前記ロボットの現在階に対して当該ロボットの目的階側の位置であるという条件と、
がそれぞれ満たされているか否かを判断し、
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、前記ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とする乗場呼びであって、その乗場呼びへの応答によって前記乗りかごを当該現在階から前記順方向とは逆方向へ移動させる乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ロボット管理装置。
【請求項2】
前記第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して前記順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項1に記載のロボット管理装置。
【請求項3】
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、更に、前記ロボットについての第2の乗場呼びとして、前記端階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項2に記載のロボット管理装置。
【請求項4】
前記第1の乗場呼びへの応答開始後に、更に、
前記ロボットについての第2の乗場呼びとして、前記端階を出発階とし、且つ、その端階とは反対側に位置する第2の端階を行先階とする乗場呼びの割当てと、
前記ロボットについての第3の乗場呼びとして、前記第2の端階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てと、
を、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項2に記載のロボット管理装置。
【請求項5】
エレベータが設置された建物内で利用されるロボットを管理する装置であり、
前記ロボットが前記エレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、前記ロボットの現在階及び目的階と、前記利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、
(1)前記ロボットの現在階から当該ロボットの目的階へ向かう順方向が前記利用者の行先方向と同方向であるという条件と、
(2)前記利用者の出発階と前記ロボットの目的階との間に当該ロボットの現在階があるという条件と、
(3)前記乗りかごの現在位置が、前記ロボットの現在階に対して当該ロボットの目的階側の位置であるという条件と、
がそれぞれ満たされているか否かを判断し、
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合、更に、
(4)前記利用者とは別の利用者についての呼びとして、前記乗りかごが前記順方向とは逆方向へ移動しているときに、その乗りかごを、前記ロボットの現在階に対して当該逆方向に位置する階にてそのまま逆方向で停止させる乗場呼びの割当てが、前記エレベータの制御装置にて行われているという条件、
が満たされているか否かを判断し、
前記条件(4)が満たされていると判断した場合に、前記ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、前記条件(4)を満たした乗場呼びが示す出発階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ロボット管理装置。
【請求項6】
前記条件(4)が満たされていると判断した場合に、更に、前記ロボットについての第2の乗場呼びとして、前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断したときに用いた前記利用者の出発階と同じ階を出発階とし、且つ、前記ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項5に記載のロボット管理装置。
【請求項7】
前記エレベータの制御装置は、前記ロボット管理装置からの依頼を受けて、前記ロボットについての前記第1の乗場呼び及び前記第2の乗場呼びの両方の割当てを前記乗りかごに対して行った場合において、それらの乗場呼びの何れかが示す行先階に当該乗りかごが到着した場合に、その乗りかごから前記ロボットを降車させるための降車開始信号を前記ロボット管理装置へ送信し、
その結果として前記エレベータの制御装置から前記降車開始信号を受信した場合に、その時点での前記乗りかごの停止階が前記ロボットの目的階に一致しているか否かを判断し、
前記ロボットの目的階に一致していると判断した場合には、前記乗りかごからの降車を当該ロボットに指令し、その後、そのロボットの降車が完了したときに降車完了信号を前記エレベータの制御装置へ返信し、
前記ロボットの目的階に一致していないと判断した場合には、前記乗りかごからの降車を当該ロボットに指令することなく、前記降車完了信号をダミー信号として前記エレベータの制御装置へ返信する、請求項3又は6に記載のロボット管理装置。
【請求項8】
前記第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、前記順方向とは逆方向を当該出発階からの行先方向とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項1に記載のロボット管理装置。
【請求項9】
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、更に、前記ロボットについての第2の乗場呼びとして、前記利用者の出発階と同じ階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項8に記載のロボット管理装置。
【請求項10】
前記第1の乗場呼びへの応答開始後に、更に、
前記ロボットについての第2の乗場呼びとして、前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断したときに用いた前記利用者の出発階と同じ階を出発階とし、且つ、当該ロボットの現在階に対して前記順方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てと、
前記ロボットについての第3の乗場呼びとして、前記端階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てと、
を、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項5又は8に記載のロボット管理装置。
【請求項11】
前記ロボットについての前記第1の乗場呼び及び前記第2の乗場呼びの両方の割当てを、前記エレベータの制御装置に対して同時に依頼する、請求項3、6、及び9の何れかに記載のロボット管理装置。
【請求項12】
前記エレベータの制御装置は、前記ロボット管理装置からの依頼を受けて、前記ロボットについての前記第1の乗場呼び及び前記第2の乗場呼びの両方の割当てを前記乗りかごに対して行った場合において、それらの乗場呼びの何れかが示す出発階に当該乗りかごが到着した場合に、その乗りかごへ前記ロボットを乗車させるための乗車開始信号を前記ロボット管理装置へ送信し、
その結果として前記エレベータの制御装置から前記乗車開始信号を受信した場合に、既に前記ロボットが前記乗りかごに乗車済みであるか否かを判断し、
前記乗りかごに乗車済みでないと判断した場合には、その乗りかごへの乗車を前記ロボットに指令し、その後、当該ロボットの乗車が完了したときに乗車完了信号を前記エレベータの制御装置へ返信し、
前記乗りかごに乗車済みであると判断した場合には、その乗りかごへの乗車を前記ロボットに指令することなく、前記乗車完了信号をダミー信号として前記エレベータの制御装置へ返信する、請求項3、6、及び9の何れかに記載のロボット管理装置。
【請求項13】
エレベータが設置された建物内で利用されるロボットであり、
自身が前記エレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、自身の現在階及び目的階と、前記利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、
(1)自身の前記現在階から前記目的階へ向かう順方向が前記利用者の行先方向と同方向であるという条件と、
(2)前記利用者の出発階と自身の前記目的階との間に前記現在階があるという条件と、
(3)前記乗りかごの現在位置が、自身の前記現在階に対して前記目的階側の位置であるという条件と、
がそれぞれ満たされているか否かを判断し、
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、自身についての第1の乗場呼びとして、自身の前記現在階を出発階とする乗場呼びであって、その乗場呼びへの応答によって前記乗りかごを当該現在階から前記順方向とは逆方向へ移動させる乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ロボット。
【請求項14】
前記第1の乗場呼びとして、自身の前記現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して前記順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項13に記載のロボット。
【請求項15】
エレベータが設置された建物内で利用されるロボットであり、
自身が前記エレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、自身の現在階及び目的階と、前記利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、
(1)自身の前記現在階から前記目的階へ向かう順方向が前記利用者の行先方向と同方向であるという条件と、
(2)前記利用者の出発階と自身の前記目的階との間に前記現在階があるという条件と、
(3)前記乗りかごの現在位置が、自身の前記現在階に対して前記目的階側の位置であるという条件と、
がそれぞれ満たされているか否かを判断し、
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合、更に、
(4)前記利用者とは別の利用者についての呼びとして、前記乗りかごが前記順方向とは逆方向へ移動しているときに、その乗りかごを、自身の前記現在階に対して当該逆方向に位置する階にてそのまま逆方向で停止させる乗場呼びの割当てが、前記エレベータの制御装置にて行われているという条件、
が満たされているか否かを判断し、
前記条件(4)が満たされていると判断した場合に、自身についての第1の乗場呼びとして、自身の前記現在階を出発階とし、且つ、前記条件(4)を満たした乗場呼びが示す出発階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ロボット。
【請求項16】
前記第1の乗場呼びとして、自身の前記現在階を出発階とし、且つ、前記順方向とは逆方向を当該出発階からの行先方向とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、請求項13に記載のロボット。
【請求項17】
エレベータが設置された建物内で利用されるロボット、又は、当該ロボットを管理するロボット管理装置に、判断ステップと、依頼ステップと、を実行させるプログラムであり、
前記判断ステップでは、
前記ロボットが前記エレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、前記ロボットの現在階及び前記目的階と、前記利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、
(1)前記ロボットの現在階から当該ロボットの目的階へ向かう順方向が前記利用者の行先方向と同方向であるという条件と、
(2)前記利用者の出発階と前記ロボットの目的階との間に当該ロボットの現在階があるという条件と、
(3)前記乗りかごの現在位置が、前記ロボットの現在階に対して当該ロボットの目的階側の位置であるという条件と、
がそれぞれ満たされているか否かを判断する、ということを実行させ、
前記依頼ステップでは、
前記判断ステップにて前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、前記ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とする乗場呼びであって、その乗場呼びへの応答によって前記乗りかごを当該現在階から前記順方向とは逆方向へ移動させる乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ということを実行させる、プログラム。
【請求項18】
前記依頼ステップでは、前記第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して前記順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ということを実行させる、請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
エレベータが設置された建物内で利用されるロボット、又は、当該ロボットを管理するロボット管理装置に、判断ステップと、依頼ステップと、を実行させるプログラムであり、
前記判断ステップでは、
前記ロボットが前記エレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、前記ロボットの現在階及び前記目的階と、前記利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、
(1)前記ロボットの現在階から当該ロボットの目的階へ向かう順方向が前記利用者の行先方向と同方向であるという条件と、
(2)前記利用者の出発階と前記ロボットの目的階との間に当該ロボットの現在階があるという条件と、
(3)前記乗りかごの現在位置が、前記ロボットの現在階に対して当該ロボットの目的階側の位置であるという条件と、
がそれぞれ満たされているか否かを判断し、
前記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合、更に、
(4)前記利用者とは別の利用者についての呼びとして、前記乗りかごが前記順方向とは逆方向へ移動しているときに、その乗りかごを、前記ロボットの現在階に対して当該逆方向に位置する階にてそのまま逆方向で停止させる乗場呼びの割当てが、前記エレベータの制御装置にて行われているという条件、
が満たされているか否かを判断する、ということを実行させ、
前記依頼ステップでは、
前記判断ステップにて前記条件(4)が満たされていると判断した場合に、前記ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、前記条件(4)を満たした乗場呼びが示す出発階を行先階とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ということを実行させる、プログラム。
【請求項20】
前記依頼ステップでは、前記第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、前記順方向とは逆方向を当該出発階からの行先方向とする乗場呼びの割当てを、前記エレベータの制御装置に対して依頼する、ということを実行させる、請求項17に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータを利用するロボットの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物内での様々な作業(掃除、監視、搬送など)にロボットが活用されることが多くなってきている(例えば、特許文献1参照)。それに伴い、建物内におけるロボットの階間移動にエレベータが利用されることが増えてきており、利用者とロボットの両方がエレベータを利用するケースが増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7380793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ロボットは、利用者に比して乗降に時間を要する。このため、利用者と共にロボットがエレベータを利用する環境下において、利用者の搬送中に途中の階でロボットが乗車してくる場合や、利用者の搬送中に途中の階でロボットが降車していく場合には、利用者は、ロボットの乗降が完了するまで乗りかご内で待たされることになる。このように、利用者とロボットとが乗りかごに同乗する場合には、利用者は、自身の行先階に到着するまでの乗車時間が長期化することを強いられるおそれがある。
【0005】
そこで本発明の目的は、利用者とロボットとが乗りかごに同乗する場合に生じ得る利用者の乗車時間の長期化を緩和できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1のロボット管理装置は、エレベータが設置された建物内で利用されるロボットを管理する装置であり、次のような制御処理を行う(態様1)。ロボット管理装置は、ロボットがエレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、ロボットの現在階及び目的階と、利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、(1)ロボットの現在階から当該ロボットの目的階へ向かう順方向が利用者の行先方向と同方向であるという条件と、(2)利用者の出発階とロボットの目的階との間に当該ロボットの現在階があるという条件と、(3)乗りかごの現在位置が、ロボットの現在階に対して当該ロボットの目的階側の位置であるという条件と、がそれぞれ満たされているか否かを判断する。そして、ロボット管理装置は、条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とする乗場呼びであって、その乗場呼びへの応答によって乗りかごを当該現在階から順方向とは逆方向へ移動させる乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する。
【0007】
ロボットについての乗場呼びとして、当該ロボットの現在階及び目的階をそれぞれ出発階及び行先階とする1つの乗場呼びの割当てを依頼する、といった通常の割当依頼を行ったとすると、条件(1)及び(2)が満たされる場合には、利用者は、乗りかごへの乗車後、自身の降車階とロボットの乗車階(=現在階)との位置関係によっては、降車するまでの途中の階でロボットが乗車してくることを経験しなければならない、といった状況が生じ得る。そのような状況が生じ得る場合に、上記態様1によれば、乗りかごが、ロボットの現在階(乗車階)に順方向でやってくるよりも前の段階で逆方向へ移動しているときに、その逆方向へ向かう乗りかごに、ロボットを乗車させることができるようになる。具体的には、条件(3)が満たされていると判断された場合、乗りかごは、運行区間を周回する過程で、その判断の後に初めてロボットの現在階(出発階)に到達するときには、逆方向で当該現在階に到達することになる。従って、ロボットについての上記第1の乗場呼びの割当依頼をこのタイミングで行うことにより、乗りかごが運行区間を周回する過程で逆方向へ移動するときに、その逆方向へ向かう乗りかごにロボットを効率良く乗車させることが可能になる。これにより、利用者は、乗りかごでの移動中にロボットが乗車してくることを経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を緩和することが可能になる。
【0008】
上記態様1に係るロボット管理装置は、第1の乗場呼びとして、ロボットの現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様2)。
【0009】
上記態様2によれば、乗りかごの移動方向が必ず反転することになる端階を行先階として第1の乗場呼びを設定することにより、逆方向へ向かう乗りかごにロボットを乗車させるためだけに誰も乗降しない途中の階に乗りかごを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0010】
上記態様2に係るロボット管理装置は、上記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、更に、ロボットについての第2の乗場呼びとして、上記端階を出発階とし、且つ、ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様3)。
【0011】
上記態様3によれば、このようなロボットについての第2の乗場呼びの割当依頼を行うことにより、逆方向へ向かう乗りかごにロボットを現在階で乗車させた後、その乗りかごを、第2の乗場呼びが示すロボットの目的階まで移動させることができるようになり、その結果として、その目的階でロボットを降車させることが可能になる。
【0012】
上記態様2に係るロボット管理装置は、第1の乗場呼びへの応答開始後に、更に、ロボットについての第2の乗場呼びとして、上記端階を出発階とし、且つ、その端階とは反対側に位置する第2の端階を行先階とする乗場呼びの割当てと、ロボットについての第3の乗場呼びとして、その第2の端階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てとを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様4)。
【0013】
ロボットについての乗場呼びへの応答時に、ロボットの降車階(=目的階)にて乗りかごを順方向で停止させたとすると、利用者は、乗りかごへの乗車後、自身の降車階とロボットの降車階(=目的階)との位置関係によっては、降車するまでの途中の階でロボットが降車していくことを経験しなければならない、といった状況が生じ得る。そのような状況が生じ得る場合に、上記態様4によれば、乗りかごを、そこにロボットを乗車させたまま当該ロボットの目的階を通過させることが可能になる。従って、上記第2の端階までの間でロボットよりも先に利用者を降車させることが可能になる。これにより、利用者は、乗りかごでの移動中にロボットが降車していくことも経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を顕著に緩和することが可能になる。
【0014】
本発明に係る第2のロボット管理装置は、上記第1のロボット管理装置が行う判断と同じ判断(上記条件(1)~(3)がそれぞれ満たされているか否かの判断)を行い、条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合、更に、(4)上記利用者とは別の利用者についての呼びとして、乗りかごが順方向とは逆方向へ移動しているときに、その乗りかごを、ロボットの現在階に対して当該逆方向に位置する階にてそのまま逆方向で停止させる乗場呼びの割当てが、エレベータの制御装置にて行われているという条件、が満たされているか否かを判断し、この条件(4)が満たされていると判断した場合に、ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、上記条件(4)を満たした乗場呼びが示す出発階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する(態様5)。
【0015】
上記態様5によれば、態様1の場合と同じ理由で、利用者の乗車時間の長期化を緩和することが可能になる。また、上記態様5によれば、逆方向へ向かう別の利用者の出発階を行先階として第1の乗場呼びを設定することにより、逆方向へ向かう乗りかごにロボットを乗車させるためだけに誰も乗降しない階(端階を含む)に乗りかごを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0016】
上記態様5に係るロボット管理装置は、上記条件(4)が満たされていると判断した場合に、更に、ロボットについての第2の乗場呼びとして、上記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断したときに用いた利用者の出発階と同じ階を出発階とし、且つ、ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様6)。
【0017】
上記態様6によれば、このようなロボットについての第2の乗場呼びの割当依頼を行うことにより、逆方向へ向かう乗りかごにロボットを現在階で乗車させた後、その乗りかごを、第2の乗場呼びが示すロボットの目的階まで移動させることができるようになり、その結果として、その目的階でロボットを降車させることが可能になる。
【0018】
上記態様3又は6に係るロボット管理装置は、次のような構成を備えていてもよい(態様7)。先ず、そのロボット管理装置との関係で、エレベータの制御装置は、ロボット管理装置からの依頼を受けて、ロボットについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの両方の割当てを乗りかごに対して行った場合において、それらの乗場呼びの何れかが示す行先階に当該乗りかごが到着した場合に、その乗りかごからロボットを降車させるための降車開始信号をロボット管理装置へ送信してもよい。ロボット管理装置は、その結果としてエレベータの制御装置から降車開始信号を受信した場合に、その時点での乗りかごの停止階がロボットの目的階に一致しているか否かを判断してもよい。そして、ロボット管理装置は、ロボットの目的階に「一致している」と判断した場合には、乗りかごからの降車を当該ロボットに指令し、その後、そのロボットの降車が完了したときに降車完了信号をエレベータの制御装置へ返信してもよい。一方、ロボット管理装置は、ロボットの目的階に「一致していない」と判断した場合には、乗りかごからの降車を当該ロボットに指令することなく、降車完了信号をダミー信号としてエレベータの制御装置へ返信してもよい。
【0019】
上記態様7においては、ロボットについての2つの乗場呼び(第1の乗場呼びと第2の乗場呼び)に乗りかごを応答させるが故に、それらの乗場呼びが示す行先階に乗りかごが到着するごとに、降車開始信号がロボット管理装置に送信されてくることになる。一方、第1の乗場呼びが示す行先階に乗りかごが到着した場合、その行先階は、ロボットにとっては目的階へ行く途中の階であり、その乗りかごからのロボットの降車は不要である。そこで、上記態様7では、第1の乗場呼びへの応答時に送信されてくる降車開始信号に対しては、降車完了信号をダミー信号として返信する。これにより、エレベータの制御を停滞させることなく、ロボットを乗りかごに乗車させたままにしておくことが可能になる。
【0020】
上記態様1に係るロボット管理装置は、第1の乗場呼びとして、ロボットの現在階を出発階とし、且つ、順方向とは逆方向を当該出発階からの行先方向とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様8)。
【0021】
上記態様8によれば、行先階に代えて行先方向を用いて第1の乗場呼びを設定することにより、逆方向へ向かう乗りかごにロボットを乗車させるためだけに誰も乗降しない途中の階に乗りかごを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0022】
上記態様8に係るロボット管理装置は、上記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、更に、ロボットについての第2の乗場呼びとして、利用者の出発階と同じ階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様9)。
【0023】
上記態様9によれば、このようなロボットについての第2の乗場呼びの割当依頼を行うことにより、逆方向へ向かう乗りかごにロボットを現在階で乗車させた後、その乗りかごを、第2の乗場呼びが示すロボットの目的階まで移動させることができるようになり、その結果として、その目的階でロボットを降車させることが可能になる。
【0024】
上記態様5又は8に係るロボット管理装置は、第1の乗場呼びへの応答開始後に、更に、ロボットについての第2の乗場呼びとして、上記条件(1)~(3)が全て満たされていると判断したときに用いた利用者の出発階と同じ階を出発階とし、且つ、ロボットの現在階に対して順方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てと、ロボットについての第3の乗場呼びとして、その端階を出発階とし、且つ、当該ロボットの目的階を行先階とする乗場呼びの割当てとを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様10)。
【0025】
ロボットについての乗場呼びへの応答時に、ロボットの降車階(=目的階)にて乗りかごを順方向で停止させたとすると、利用者は、乗りかごへの乗車後、自身の降車階とロボットの降車階(=目的階)との位置関係によっては、降車するまでの途中の階でロボットが降車していくことを経験しなければならない、といった状況が生じ得る。そのような状況が生じ得る場合に、上記態様10によれば、乗りかごを、そこにロボットを乗車させたまま当該ロボットの目的階を通過させることが可能になる。従って、上記端階までの間でロボットよりも先に利用者を降車させることが可能になる。これにより、利用者は、乗りかごでの移動中にロボットが降車していくことも経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を顕著に緩和することが可能になる。
【0026】
上記態様3、6、7、及び9の何れかに係るロボット管理装置は、ロボットについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの両方の割当てを、エレベータの制御装置に対して同時に依頼してもよい(態様11)。
【0027】
上記態様11によれば、ロボットについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びが、乗りかごに対して、その乗りかごが運行区間を1周する間にそれらの乗場呼びに順に応答できるように(換言すれば、第1の乗場呼びに応答した後、すぐに第2の乗場呼びに応答できるように)割り当てられやすくなる。逆に、第1の乗場呼びの割当てを依頼したタイミングから遅れて第2の乗場呼びの割当てを依頼したとすると、そのときの乗りかごに対する他の乗場呼びの割当状況によっては、その乗りかごが1周する間に第1の乗場呼びと第2の乗場呼びとに順に応答できるようには割当てを実行できないといった事態が起こりやすくなってしまう。
【0028】
上記態様3、6、7、9、及び11の何れかに係るロボット管理装置は、次のような構成を備えていてもよい(態様12)。先ず、そのロボット管理装置との関係で、エレベータの制御装置は、ロボット管理装置からの依頼を受けて、ロボットについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの両方の割当てを乗りかごに対して行った場合において、それらの乗場呼びの何れかが示す出発階に当該乗りかごが到着した場合に、その乗りかごへロボットを乗車させるための乗車開始信号をロボット管理装置へ送信してもよい。ロボット管理装置は、その結果としてエレベータの制御装置から乗車開始信号を受信した場合に、既にロボットが乗りかごに乗車済みであるか否かを判断してもよい。そして、ロボット管理装置は、乗りかごに「乗車済みでない」と判断した場合には、その乗りかごへの乗車をロボットに指令し、その後、当該ロボットの乗車が完了したときに乗車完了信号をエレベータの制御装置へ返信してもよい。一方、ロボット管理装置は、乗りかごに「乗車済みである」と判断した場合には、その乗りかごへの乗車をロボットに指令することなく、乗車完了信号をダミー信号としてエレベータの制御装置へ返信してもよい。
【0029】
上記態様12においては、ロボットについての2つの乗場呼び(第1の乗場呼びと第2の乗場呼び)に乗りかごを応答させるが故に、それらの乗場呼びが示す出発階に乗りかごが到着するごとに、乗車開始信号がロボット管理装置に送信されてくることになる。一方、第2の乗場呼びが示す出発階には、ロボットが既に乗車した状態で乗りかごが到着することになるため、その乗りかごへのロボットの乗車を改めて行う必要はない。そこで、上記態様12では、第2の乗場呼びへの応答時に送信されてくる乗車開始信号に対しては、乗車完了信号をダミー信号として返信する。これにより、エレベータの制御を停滞させることなく、ロボットを乗りかごに乗車させたままにしておくことが可能になる。
【0030】
本発明に係る第1のロボットは、エレベータが設置された建物内で利用されるロボットであり、次のような制御処理を行う(態様13)。ロボットは、自身がエレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、自身の現在階及び目的階と、利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、(1)自身の現在階から目的階へ向かう順方向が利用者の行先方向と同方向であるという条件と、(2)利用者の出発階と自身の目的階との間に現在階があるという条件と、(3)乗りかごの現在位置が、自身の現在階に対して目的階側の位置であるという条件と、がそれぞれ満たされているか否かを判断する。そして、ロボットは、条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、自身についての第1の乗場呼びとして、自身の現在階を出発階とする乗場呼びであって、その乗場呼びへの応答によって乗りかごを当該現在階から順方向とは逆方向へ移動させる乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する。
【0031】
態様13に係るロボットは、第1の乗場呼びとして、自身の現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様14)。
【0032】
本発明に係る第2のロボットは、上記第1のロボットが行う判断と同じ判断(上記条件(1)~(3)がそれぞれ満たされているか否かの判断)を行い、条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合、更に、(4)上記利用者とは別の利用者についての呼びとして、乗りかごが順方向とは逆方向へ移動しているときに、その乗りかごを、自身の現在階に対して当該逆方向に位置する階にてそのまま逆方向で停止させる乗場呼びの割当てが、エレベータの制御装置にて行われているという条件、が満たされているか否かを判断し、この条件(4)が満たされていると判断した場合に、自身についての第1の乗場呼びとして、自身の現在階を出発階とし、且つ、上記条件(4)を満たした乗場呼びが示す出発階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する(態様15)。
【0033】
態様13に係るロボットは、第1の乗場呼びとして、自身の現在階を出発階とし、且つ、順方向とは逆方向を当該出発階からの行先方向とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼してもよい(態様16)。
【0034】
本発明に係る第1のプログラムは、エレベータが設置された建物内で利用されるロボット、又は、当該ロボットを管理するロボット管理装置に、判断ステップと、依頼ステップと、を実行させるプログラムである(態様17)。判断ステップでは、第1のプログラムは、ロボットがエレベータの乗りかごを利用して現在階から目的階まで移動する場合において、そのエレベータの制御装置にて利用者についての乗場呼びの割当てが行われている場合に、ロボットの現在階及び目的階と、利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、(1)ロボットの現在階から当該ロボットの目的階へ向かう順方向が利用者の行先方向と同方向であるという条件と、(2)利用者の出発階とロボットの目的階との間に当該ロボットの現在階があるという条件と、(3)乗りかごの現在位置が、ロボットの現在階に対して当該ロボットの目的階側の位置であるという条件と、がそれぞれ満たされているか否かを判断する、ということをロボット又はロボット管理装置に実行させる。依頼ステップでは、第1のプログラムは、判断ステップにて条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とする乗場呼びであって、その乗場呼びへの応答によって乗りかごを当該現在階から順方向とは逆方向へ移動させる乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する、ということをロボット又はロボット管理装置に実行させる。
【0035】
態様17に係るプログラムは、依頼ステップでは、第1の乗場呼びとして、ロボットの現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する、ということをロボット又はロボット管理装置に実行させてもよい(態様18)。
【0036】
本発明に係る第2のプログラムは、上記第1のプログラムと同様、ロボット又はロボット管理装置に判断ステップと依頼ステップとを実行させるプログラムである一方で、それらのステップでは次のようなことをロボット又はロボット管理装置に実行させる(態様19)。判断ステップでは、第2のプログラムは、上記第1のプログラムが判断ステップで実行させる判断と同じ判断(上記条件(1)~(3)がそれぞれ満たされているか否かの判断)をロボット又はロボット管理装置に実行させ、条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合、更に、(4)上記利用者とは別の利用者についての呼びとして、乗りかごが順方向とは逆方向へ移動しているときに、その乗りかごを、ロボットの現在階に対して当該逆方向に位置する階にてそのまま逆方向で停止させる乗場呼びの割当てが、エレベータの制御装置にて行われているという条件、が満たされているか否かを判断する、ということをロボット又はロボット管理装置に実行させる。依頼ステップでは、第2のプログラムは、この条件(4)が満たされていると判断した場合に、ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、上記条件(4)を満たした乗場呼びが示す出発階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する、ということをロボット又はロボット管理装置に実行させる。
【0037】
態様17に係るプログラムは、依頼ステップでは、第1の乗場呼びとして、ロボットの現在階を出発階とし、且つ、順方向とは逆方向を当該出発階からの行先方向とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する、ということをロボット又はロボット管理装置に実行させもよい(態様20)。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、利用者とロボットとが乗りかごに同乗する場合に生じ得る利用者の乗車時間の長期化を緩和できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施形態に係るエレベータの全体構成を示した概念図である。
図2】実施形態で用いられる(A)装置管理データ、(B)利用者用の乗場呼び管理データ及びかご呼び管理データ、並びに(C)ロボット用の乗場呼び管理データ及びかご呼び管理データをそれぞれ例示した概念図である。
図3】実施形態で用いられるロボット管理データを例示した概念図である。
図4】実施形態で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。
図5】実施形態で実行される割当処理を示したフローチャートである。
図6】実施形態で実行される応答処理を示したフローチャートである。
図7】実施形態で実行される第1応答処理を示したフローチャートである。
図8】実施形態で実行される第2応答処理を示したフローチャートである。
図9】実施形態で実行される第3応答処理を示したフローチャートである。
図10】第3応答処理内の一部の処理を示したフローチャートである。
図11】実施形態で実行される乗車指令処理を示したフローチャートである。
図12】実施形態で実行される降車指令処理を示したフローチャートである。
図13】第1変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。
図14】第2変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。
図15】第2変形例で実行される割当処理を示したフローチャートである。
図16】第2変形例で実行される第1応答処理を示したフローチャートである。
図17】第2変形例で実行される第3応答処理内の一部の処理を示したフローチャートである。
図18】第3変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。
図19】第4変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係るエレベータの全体構成を示した概念図である。本実施形態では、エレベータは、乗りかごGを1つ備えたものであり、その乗りかごGが、利用者だけでなく、そのエレベータが設置された建物内で様々な作業(掃除、監視、搬送など)を行うロボットHにも利用される。また、このエレベータでは、各階の乗場に、利用者が行先方向Kcを指定するための行先方向ボタン1が設置されており、且つ、乗りかごG内に、利用者が行先階Fdを指定するための行先階ボタン2が設置されている。そして、本実施形態のエレベータは、これらの構成に加えて、エレベータ制御装置3と、ロボット管理装置4と、を更に備える。以下、各部の構成について具体的に説明する。
【0041】
<行先方向ボタン>
行先方向ボタン1は、最上階又は最下階である端階Fy以外の階では、行先方向Kcとして上方向を指定するための上方向ボタンと、行先方向Kcとして下方向を指定するための下方向ボタンとを含む。一方、最上階では、行先方向ボタン1は下方向ボタンだけを含み、最下階では、行先方向ボタン1は上方向ボタンだけを含む。
【0042】
利用者が乗場で行先方向ボタン1を押して行先方向Kcを指定した場合、その行先方向Kcはエレベータ制御装置3へ送信される。これにより、利用者についての乗場呼びRgの割当て(乗りかごGへの乗場呼びRgの割当て)が、エレベータ制御装置3に対して依頼される(利用者からの割当依頼)。このとき、行先方向ボタン1は、行先方向Kcの送信元が、どの行先方向ボタン1であるのかをエレベータ制御装置3に認識させるべく、その行先方向Kcと共に、自身を他のボタンや装置などと識別するための装置情報Pdもエレベータ制御装置3へ送信する。
【0043】
<行先階ボタン>
行先階ボタン2は、乗りかごGで案内可能な停止階ごとに設けられ、その停止階を行先階Fdとして登録するためのボタンである。
【0044】
利用者が乗りかごG内で行先階ボタン2を押して行先階Fdを登録した場合、その行先階Fdはエレベータ制御装置3へ送信される。これにより、利用者についてのかご呼びVgの登録(乗りかごGへのかご呼びVgの登録)が、エレベータ制御装置3に対して依頼される。
【0045】
<エレベータ制御装置>
エレベータ制御装置3は、乗りかごGの動作を制御する装置である。具体的には、エレベータ制御装置3は、乗場にいる利用者からの割当依頼(利用者が行先方向Kcを指定した行先方向ボタン1からの割当依頼)に応じて、乗りかごGへの乗場呼びRgの割当てを行い(割当処理。図5参照)、その乗場呼びRgに応答させるための動作を乗りかごGに実行させる(応答処理。図6図10参照)。そして本実施形態では、エレベータ制御装置3は、乗場にいる利用者からの割当依頼に応じて乗りかごGへの割当てを実行するだけでなく、後述するロボット管理装置4からの割当依頼にも応じて乗りかごGへの乗場呼びRhの割当てを行い(割当処理。図5参照)、その乗場呼びRhに応答させるための動作を乗りかごGに実行させる(応答処理。図6図10参照)。尚、これらの処理の詳細については後述する。
【0046】
具体的な構成として、エレベータ制御装置3は、記憶部31と制御部32とを備える(図1参照)。
【0047】
記憶部31は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成される部分であり、記憶部31には、エレベータ制御装置3が行う制御処理に必要な情報が保存される。本実施形態では、そのような情報として、装置管理データDpと、利用者用の乗場呼び管理データDq1G及びかご呼び管理データDq2Gと、ロボットH用の乗場呼び管理データDq1H及びかご呼び管理データDq2Hと、が記憶部31に保存される。
【0048】
ここで、装置管理データDpは、行先方向ボタン1ごとに、当該行先方向ボタン1に関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータベースである。乗場呼び管理データDq1G及びかご呼び管理データDq2Gは、利用者についての乗場呼びRg及びかご呼びVgの情報をそれぞれ管理するためのデータである。乗場呼び管理データDq1H及びかご呼び管理データDq2Hは、ロボットHについての乗場呼びRh及びかご呼びVhの情報をそれぞれ管理するためのデータである。具体的には、以下のとおりである。
【0049】
図2(A)は、本実施形態で用いられる装置管理データDpを例示した概念図である。この図に例示された装置管理データDpでは、行先方向ボタン1ごとに、その装置情報Pd及び設置階Fsが互いに対応付けられた状態で記録される。
【0050】
これにより、エレベータ制御装置3は、各行先方向ボタン1から行先方向Kcと共に装置情報Pdを受信した場合に、その装置情報Pdから、当該行先方向ボタン1(利用者による行先方向Kcの指定があった行先方向ボタン1)の設置階Fsを特定することが可能になる。そして本実施形態では、その行先方向ボタン1の設置階Fsが、当該行先方向ボタン1にて行先方向Kcを指定した利用者の出発階Fc(乗車階)として利用される。
【0051】
図2(B)は、本実施形態で用いられる利用者用の乗場呼び管理データDq1G及びかご呼び管理データDq2Gをそれぞれ例示した概念図である。
【0052】
乗場呼び管理データDq1Gでは、乗りかごGで案内可能な停止階ごと、更にはその停止階からの移動が可能な方向ごとに、当該停止階を出発階Fcとし、且つ、当該方向を行先方向Kcとする利用者についての乗場呼びRgの割当てが乗りかごGに対して行われているか否か(換言すれば、その停止階に設けられている行先方向ボタン1において当該方向を行先方向Kcとして指定するためのボタン(上方向ボタン又は下方向ボタン)が押されているか否か)を示す割当状況が対応付けられる。そして、図2(B)の例では、各停止階からの方向ごとの割当状況が、その停止階を出発階Fcとし、且つ、当該方向を行先方向Kcとする乗場呼びRgの割当てが行われた場合に「ON」に更新され、その乗場呼びRgが削除された場合に「OFF」に更新される場合が示されている。
【0053】
また、かご呼び管理データDq2Gでは、乗りかごGで案内可能な停止階ごとに、その停止階を行先階Fdとする利用者についてのかご呼びVgが乗りかごGに登録されているか否か(換言すれば、その停止階を行先階Fdとして登録するための行先階ボタン2が押されているか否か)を示す登録状況が対応付けられる。そして、図2(B)の例では、停止階ごとの登録状況が、その停止階を行先階Fdとするかご呼びVgが登録された場合に「ON」に更新され、そのかご呼びVgが削除された場合に「OFF」に更新される場合が示されている。
【0054】
図2(C)は、本実施形態で用いられるロボットH用の乗場呼び管理データDq1H及びかご呼び管理データDq2Hをそれぞれ例示した概念図である。
【0055】
乗場呼び管理データDq1Hでは、各ロボットHについての乗場呼びRhの割当てが乗りかごGに対して行われるごとに、そのロボットHのロボット情報Phと、当該乗場呼びRgが示す出発階Fc及び行先階Fdと、が互いに対応付けられた状態で記録される。そして、それらの情報は、その乗場呼びRhが削除された場合に、乗場呼び管理データDq1Hから削除される。
【0056】
また、かご呼び管理データDq2Hでは、各ロボットHについてのかご呼びVhの登録が乗りかごGに対して行われるごとに、そのロボットHのロボット情報Phと、当該かご呼びVhが示す行先階Fdと、が互いに対応付けられた状態で記録される。そして、それらの情報は、そのかご呼びVhが削除された場合に、かご呼び管理データDq2Hから削除される。
【0057】
制御部32は、エレベータ制御装置3が行う制御処理(割当処理及び応答処理を含む)の実行を担う部分である。具体的には、制御部32は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成され、エレベータ制御装置3にインストールされている制御用プログラムを実行することにより、自身が担う制御処理の実行をソフトウェアで実現する。尚、この制御用プログラムは、エレベータ制御装置3へのインストール前においては、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存されていてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能な状態で保存されていてもよい。また、エレベータ制御装置3が行う制御処理は、プログラムの実行によってソフトウェアで実現される場合に限らず、エレベータ制御装置3に構築された処理回路(制御部32)によってハードウェアで実現されてもよい。
【0058】
<ロボット管理装置>
ロボット管理装置4は、本実施形態のエレベータが設置された建物内で利用されるロボットHを一元的に管理する装置である。
【0059】
本実施形態では、各ロボットHは、階間移動が必要になった場合、移動先となる目的階Fxをロボット管理装置4へ送信する。このとき、そのロボットHは、目的階Fxの送信元がどのロボットHであるのかをロボット管理装置4に認識させるべく、その目的階Fxと共に、自身を他のロボットHと識別するためのロボット情報Phもロボット管理装置4へ送信する。
【0060】
そして、ロボット管理装置4は、各ロボットHから目的階Fx及びロボット情報Phを受信した場合、当該ロボットHを階間移動させるための制御処理として、利用者とロボットHとが乗りかごGに同乗する場合に生じ得る利用者の乗車時間の長期化を緩和できるようにするべく、それを可能にするための制御処理を実行する。具体的には、ロボット管理装置4は、割当依頼処理(図4参照)と、乗車指令処理(図11参照)と、降車指令処理(図12参照)とを実行する。尚、これらの処理の詳細については後述する。
【0061】
具体的な構成として、ロボット管理装置4は、記憶部41と制御部42とを備える(図1参照)。
【0062】
記憶部41は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成される部分であり、記憶部41には、ロボット管理装置4が行う制御処理に必要な情報が保存される。本実施形態では、そのような情報として、ロボット管理データDrが記憶部41に保存される。ここで、ロボット管理データDrは、ロボットHごとに、当該ロボットHに関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータベースである。具体的には、以下のとおりである。
【0063】
図3は、本実施形態で用いられるロボット管理データDrを例示した概念図である。この図に例示されたロボット管理データDrでは、ロボットHごとに、そのロボット情報Ph及び現在階Ftと、当該ロボットHが階間移動するときの移動先及び乗りかごGの利用状況と、が互いに対応付けられた状態で記録される。ここで、ロボットHごとに対応付けられる現在階Ftは、そのロボットHが配されている階であり、当該ロボットHが階間移動するごとに更新される。また、ロボットHごとに対応付けられる移動先には、そのロボットHが階間移動のために送信してきた目的階Fxが記録され、当該目的階Fxは、その階での当該ロボットHの降車が完了したときに消去される。更に、図3の例では、ロボットHごとに対応付けられる利用状況が、乗りかごGへの当該ロボットHの乗車が完了したときに「乗車中」に更新され、乗りかごGからの当該ロボットHの降車が完了したときに「利用なし」に更新される場合が示されている。
【0064】
これにより、ロボット管理装置4は、各ロボットHから目的階Fxと共にロボット情報Phを受信した場合に、そのロボット情報Phから、当該ロボットHの現在階Ftを特定することが可能になる。そして本実施形態では、そのロボットHの現在階Ftが、当該ロボットHがエレベータの乗りかごGを利用して階間移動するときの出発階Fc(乗車階)として利用される。また、ロボット管理装置4は、各ロボットHのロボット情報Phに対応付けられている利用状況を参照することにより、そのロボットHが乗りかごGに「乗車中」であるか否かを判断できる。
【0065】
制御部42は、ロボット管理装置4が行う制御処理(割当依頼処理、乗車指令処理、及び降車指令処理を含む)の実行を担う部分である。具体的には、制御部42は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成され、ロボット管理装置4にインストールされている制御用プログラムを実行することにより、自身が担う制御処理の実行をソフトウェアで実現する。尚、この制御用プログラムは、ロボット管理装置4へのインストール前においては、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存されていてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能な状態で保存されていてもよい。また、ロボット管理装置4が行う制御処理は、プログラムの実行によってソフトウェアで実現される場合に限らず、ロボット管理装置4に構築された処理回路(制御部42)によってハードウェアで実現されてもよい。
【0066】
[1-2]エレベータで実行される制御処理
[1-2-1]ロボット管理装置が行う割当依頼処理
図4は、本実施形態で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。この割当依頼処理は、ロボット管理装置4が何れかのロボットHから目的階Fx及びロボット情報Phを受信するごとに開始される。割当依頼処理では、それらの情報を送信してきたロボットHを「対象ロボットHk」と呼ぶことにする。また、そのときにロボット管理装置4が受信する情報(目的階Fx及びロボット情報Phを含む)を纏めて「受信情報Pr1」と呼ぶことにする。
【0067】
割当依頼処理が開始されると、ロボット管理装置4は、受信情報Pr1内の目的階Fxを、ロボット管理データDrにおいて受信情報Pr1内のロボット情報Phに対応付けられている移動先に記録する(ステップS100)。これにより、ロボット管理装置4は、後述する降車指令処理においても対象ロボットHkの移動先を把握することが可能になる。
【0068】
そして、この割当依頼処理では、ロボット管理装置4は、現時点でのエレベータ情報Pe(乗りかごGの動作状況や利用者の利用状況などを示した情報を含む)を用いて、対象ロボットHkと利用者とが乗りかごGに同乗するかどうかや、同乗する場合に生じ得る利用者の乗車時間の長期化を緩和できるかどうかなどの判断を行い、且つ、その結果に応じた乗場呼びRhの割当て(対象ロボットHkについての乗場呼びRhの割当て)をエレベータ制御装置3に対して依頼する。
【0069】
そこでロボット管理装置4は、先ず、現時点でのエレベータ情報Peをエレベータ制御装置3から取得する(ステップS101)。具体的には、ロボット管理装置4は、エレベータ制御装置3に対し、その時点でのエレベータ情報Peを返信するように要求する。そして、ロボット管理装置4は、自身の要求に応じてエレベータ制御装置3から返信されてきたエレベータ情報Peを受信することで、必要な情報を取得する。このとき、ロボット管理装置4は、乗りかごGの動作状況を示す情報として、乗りかごGの現在位置Qtや移動方向の情報を取得し、利用者の利用状況を示す情報として、乗りかごGに割り当てられている利用者についての乗場呼びRgの情報を取得する。
【0070】
次に、ロボット管理装置4は、ステップS101で取得したエレベータ情報Peを用いて、以下のような判断を行う。
【0071】
ロボット管理装置4は、先ず、利用者についての乗場呼びRgの情報がエレベータ情報Pe内に含まれているか否かを判断する(ステップS102)。そして、ロボット管理装置4は、ステップS102にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、乗りかごGに乗車する利用者がいると判断でき、更には、その時点で対象ロボットHkを乗りかごGに乗車させると、その利用者は、対象ロボットHkと同乗することになるおそれがあると判断できる。
【0072】
この場合、ロボット管理装置4は、ロボット管理データDrを用いて、受信情報Pr1内のロボット情報Phに対応付けられている現在階Ftを抽出する。そして、ロボット管理装置4は、その現在階Ft及び受信情報Pr1内の目的階Fx(対象ロボットHkの現在階Ft及び目的階Fx)と、対象ロボットHkと同乗するおそれのある利用者についての乗場呼びRgの情報(当該乗場呼びRgが示す利用者の出発階Fc及び行先方向Kc)とについて、以下の条件(1)~(3)が全て満たされているか否かを判断する(ステップS103)。
【0073】
条件(1):対象ロボットHkの現在階Ftから当該対象ロボットHkの目的階Fxへ向かう順方向Ksが利用者の行先方向Kcと同方向であるという条件、
条件(2):利用者の出発階Fcと対象ロボットHkの目的階Fxとの間に当該対象ロボットHkの現在階Ftがあるという条件、
条件(3):乗りかごGの現在位置Qtが、対象ロボットHkの現在階Ftに対して当該対象ロボットHkの目的階Fx側の位置であるという条件。
【0074】
条件(1)及び(2)が満たされている場合には、対象ロボットHkについての乗場呼びRhとして通常の乗場呼び(その対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする乗場呼び)の割当てが行われたとすると、利用者は、乗りかごGへの乗車後、自身の降車階と対象ロボットHkの乗車階(=現在階Ft)との位置関係によっては、降車するまでの途中の階で対象ロボットHkが乗車してくることを経験しなければならない、といった状況が生じ得る。そのような状況が生じた場合、利用者は、途中の階で対象ロボットHkの乗車が完了するまで乗りかごG内で待たされることになる。このように、利用者と対象ロボットHkとが乗りかごGに同乗する場合には、利用者は、途中の階での対象ロボットHkの乗車により、自身が降車するまでの乗車時間が長期化することを強いられてしまうおそれがある。
【0075】
一方、条件(3)が更に満たされている場合には、乗りかごGは、運行区間を周回する過程で、同乗する利用者の出発階Fcよりも前に対象ロボットHkの現在階Ftに到達することになる。具体的には、乗りかごGは、運行区間を周回する過程で、条件(3)が満たされている状態から更に移動することによって初めて対象ロボットHkの現在階Ftに到達するときには、逆方向Kt(対象ロボットHkの現在階Ftから当該対象ロボットHkの目的階Fxへ向かう順方向Ksとは逆向きの方向)で当該現在階Ftに到達することになる。
【0076】
そこで、ロボット管理装置4は、ステップS103にて条件(1)~(3)が全て「満たされている(Yes)」と判断した場合には、利用者と対象ロボットHkとが乗りかごGに同乗する場合に生じ得る利用者の乗車時間の長期化を、乗りかごGが対象ロボットHkの現在階Ftに逆方向Ktで到達する機会を利用して緩和できるようにするべく、通常とは異なる以下のような2つの割当依頼を行う(ステップS110A及び110B)。
【0077】
1つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての1つ目の乗場呼びRh(第1の乗場呼び)として、当該対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、その現在階Ftに対して逆方向Ktに位置する端階Fy(対象ロボットHkの目的階Fxとは反対側に位置する端階)を行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS110A)。具体的には、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、上記端階Fyを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。このような割当依頼により、第1の乗場呼びとして、対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとする乗場呼びRhであって、その乗場呼びRhへの応答によって乗りかごGを当該現在階Ftから逆方向Ktへ移動させる乗場呼びRhの割当てが、エレベータ制御装置3に対して依頼されることになる。
【0078】
このような1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼)をこのタイミングで行うことにより、乗りかごGが運行区間を周回する過程で逆方向Ktへ移動するときに、その逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを効率良く乗車させることが可能になる。また、乗りかごGの移動方向が必ず反転することになる端階Fyを行先階Fdとして第1の乗場呼びを設定することにより、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを乗車させるためだけに誰も乗降しない途中の階に乗りかごGを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0079】
2つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての2つ目の乗場呼びRh(第2の乗場呼び)として、上記端階Fyを出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS110B)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記端階Fyを出発階Fcとし、且つ、対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。ステップS110Bの後、ロボット管理装置4は、割当依頼処理を終了させる。
【0080】
このような2つ目の割当依頼(第2の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを現在階Ftで乗車させた後、その乗りかごGを、第2の乗場呼びが示す対象ロボットHkの目的階Fxまで移動させることができるようになり、その結果として、その目的階Fxで対象ロボットHkを降車させることが可能になる。
【0081】
そして本実施形態では、ロボット管理装置4は、ステップS110A及びS110Bを同時に行う(ステップS110Aの後、ほとんど同じタイミングですぐにステップS110Bを行う場合を含む)。換言すれば、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの両方の割当てを、エレベータ制御装置3に対して同時に依頼する。
【0082】
このようにステップS110A及びS110Bが同時に行われることにより、後述するエレベータ制御装置3が行う割当処理において、対象ロボットHkについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びが、乗りかごGに対して、その乗りかごGが運行区間を1周する間にそれらの乗場呼びに順に応答できるように(換言すれば、第1の乗場呼びに応答した後、すぐに第2の乗場呼びに応答できるように)割り当てられやすくなる。尚、そのような割当てを確実に行うことができるのであれば、ステップS110Bは、ステップS110Aから遅れて実行されてもよい。
【0083】
上述した条件(1)~(3)について、条件(1)及び(2)のうちの少なくとも何れか一方の条件が満たされていない場合には、対象ロボットHkについての乗場呼びRhとして通常の乗場呼びの割当てが行われたとしても、利用者が出発階Fcで乗りかごGに乗車した後、その利用者が行先方向Kcへ移動して降車するまでの間は、対象ロボットHkが乗車してくることがなく、当該利用者は、途中の階で対象ロボットHkが乗車してくることを経験しなくてよいことになる。
【0084】
一方、条件(3)が満たされていない場合には、乗りかごGは、運行区間を周回する過程で、対象ロボットHkの現在階Ftよりも前に利用者の出発階Fcに到達することになる。従って、そのような場合には、利用者よりも後に対象ロボットHkを乗りかごGに乗車させざるを得ず、対象ロボットHkについての乗場呼びRhとして通常の乗場呼びの割当てを行わざるを得なくなる。
【0085】
また、利用者についての乗場呼びRgの情報がエレベータ情報Pe内に含まれていない場合には、その時点では対象ロボットHkと同乗するおそれのある利用者はいないことになる。この場合は、利用者に何ら影響を与えることなく、対象ロボットHkについての乗場呼びRhとして通常の乗場呼びの割当てを行うことができる。
【0086】
そこで、ロボット管理装置4は、ステップS103にて少なくとも何れか1つの条件が「満たされていない(No)」と判断した場合、又は、ステップS102にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、エレベータ制御装置3に対して通常の割当依頼を行う(ステップS120)。具体的には、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての乗場呼びRhとして、その対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする通常の乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する。より具体的には、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkの現在階Ft及び目的階Fxをそれぞれ当該対象ロボットHkの出発階Fc及び行先階Fdとして、これらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。ステップS120の後、ロボット管理装置4は、割当依頼処理を終了させる。
【0087】
[1-2-2]エレベータ制御装置が行う割当処理
図5は、本実施形態で実行される割当処理を示したフローチャートである。この割当処理は、行先方向ボタン1又はロボット管理装置4からエレベータ制御装置3に対して乗場呼びの割当依頼があった場合に開始される。そして本実施形態では、ロボットHについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの割当依頼(図4のステップS110A及びS110B)が同時に行われた場合でも、それらに対しては個々に図5の割当処理が実行されるものとする。
【0088】
以下では、割当依頼があるごとにエレベータ制御装置3が受信する情報を纏めて「受信情報Pr2」と呼ぶことにする。具体的には、この受信情報Pr2は、割当依頼が行先方向ボタン1からの依頼(利用者についての乗場呼びRgの割当依頼)であった場合には、行先方向Kc及び装置情報Pdを含んだ一組の情報になり、割当依頼がロボット管理装置4からの依頼(ロボットHについての乗場呼びRhの割当依頼)であった場合には、出発階Fc、行先階Fd、及びロボット情報Phを含んだ一組の情報になる。
【0089】
割当処理が開始されると、エレベータ制御装置3は、受信した割当依頼が行先方向ボタン1とロボット管理装置4のどちらからの依頼であるのかを判断するべく、装置情報Pdとロボット情報Phのどちらの情報が受信情報Pr2内に含まれているのかを判断する(ステップS200)。
【0090】
エレベータ制御装置3は、ステップS200にて「装置情報Pd」が含まれていると判断した場合には、その判断を以て、受信した割当依頼は行先方向ボタン1からの依頼であると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、装置管理データDpを用いて、受信情報Pr2内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fsを抽出し、それを利用者の出発階Fcとする。その上で、エレベータ制御装置3は、当該出発階Fcと受信情報Pr2内の行先方向Kc(利用者の行先方向Kc)を1つの乗場呼びRgとして、乗りかごGへの割当てを実行する(利用者についての割当て。ステップS201)。その後、エレベータ制御装置3は、割当処理を終了させる。
【0091】
一方、エレベータ制御装置3は、ステップS200にて「ロボット情報Ph」が含まれていると判断した場合には、その判断を以て、受信した割当依頼はロボット管理装置4からの依頼であると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、受信情報Pr2内の出発階Fc及び行先階Fdを1つの乗場呼びRhとして、乗りかごGへの割当てを実行する(ロボットHについての割当て。ステップS202)。その後、エレベータ制御装置3は、割当処理を終了させる。
【0092】
[1-2-3]エレベータ制御装置が行う応答処理
図6は、本実施形態で実行される応答処理を示したフローチャートである。この応答処理は、エレベータ制御装置3で実行される通常の応答処理であり、応答対象となる乗場呼び及びかご呼びには、上述した割当依頼処理(図4参照)のステップS103にて条件(1)~(3)が全て「満たされている(Yes)」と判断されたときの判断対象になった利用者及びロボットHについての乗場呼び及びかご呼びに限らず、他の利用者及びロボットHの乗場呼び及びかご呼びも含まれる。そして、この応答処理は、乗りかごGの次の停止階が決まったタイミングで開始される。
【0093】
応答処理が開始されると、エレベータ制御装置3は、その応答処理で応答すべき応答対象にどのような呼びが含まれているのかを判断する(ステップS30X)。具体的には、エレベータ制御装置3は、応答対象に乗場呼び(利用者の乗場呼びRg及びロボットHの乗場呼びRhの何れか一方又は両方)だけが含まれているのか、或いはかご呼び(利用者のかご呼びVg及びロボットHのかご呼びVhの何れか一方又は両方)だけが含まれているのか、それとも乗場呼びとかご呼びの両方が含まれているのか、を判断する。
【0094】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS30Xにて「乗場呼びのみ」であると判断した場合には第1応答処理を実行し、ステップS30Xにて「かご呼びのみ」であると判断した場合には第2応答処理を実行し、ステップS30Xにて「乗場呼びとかご呼びの両方」であると判断した場合には第3応答処理を実行する。以下、これらの処理について具体的に説明する。
【0095】
<第1応答処理>
図7は、本実施形態で実行される第1応答処理を示したフローチャートである。この第1応答処理では、エレベータ制御装置3は、先ず、応答対象にロボットHの乗場呼びRhが含まれているか否かを判断する(ステップS300)。
【0096】
エレベータ制御装置3は、ステップS300にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、応答対象には利用者の乗場呼びRgだけが含まれていると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、その乗場呼びRgが示す出発階Fc(利用者の出発階Fc)に、乗りかごGを、当該乗場呼びRgが示す行先方向Kcと同方向で停止させるべく、そのための指令を乗りかごGへ送信する(ステップS301)。
【0097】
ステップS301の後、エレベータ制御装置3は、乗場呼びRgが示す出発階Fcに乗りかごGが到着したか否かを判断する(ステップS302)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS302にて「到着した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS302を繰り返し実行する。
【0098】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS302にて「到着した(Yes)」と判断した場合には、その到着を以て役目を終えた乗場呼びRgを削除する(ステップS303)。
【0099】
その後、利用者は、到着した乗りかごGに乗車し、それから乗りかごG内の行先階ボタン2を押すことで自身の行先階Fdを登録する。このとき、利用者は、自身の行先階Fdに対応する行先階ボタン2が別の利用者によって押されて既に登録されていた場合には、乗りかごGへの乗車だけを行う。
【0100】
そこで、エレベータ制御装置3は、ステップS303の後、乗りかごG内の行先階ボタン2で未登録の行先階Fdが押されたか否かを判断する(ステップS304)。
【0101】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS304にて「押された(Yes)」と判断した場合には、押された行先階Fdを、利用者についてのかご呼びVgとして乗りかごGに登録する(ステップS305)。これにより、利用者が乗りかごG内で登録した行先階Fdに乗りかごGを停止させることが可能になる。その後、エレベータ制御装置3は、第1応答処理を終了させる。
【0102】
一方、エレベータ制御装置3は、ステップS304にて「押されなかった(No)」と判断した場合には、ステップS305を行うことなく第1応答処理を終了させる。
【0103】
エレベータ制御装置3は、ステップS300にて応答対象にロボットHの乗場呼びRhが「含まれている(Yes)」と判断した場合、その乗場呼びRhへの応答を実行し、また、その応答対象に利用者の乗場呼びRgが更に含まれている場合には、当該利用者の乗場呼びRgに対する処理も行う。具体的には、以下のとおりである。
【0104】
エレベータ制御装置3は、乗場呼びRhが示す出発階Fc(ロボットHの出発階Fc)に、乗りかごGを、当該乗場呼びRhが示す行先階Fdへ向かう方向で停止させるべく、そのための指令を乗りかごGへ送信する(ステップS401)。
【0105】
ステップS401の後、エレベータ制御装置3は、乗場呼びRhが示す出発階Fcに乗りかごGが到着したか否かを判断する(ステップS402)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS402にて「到着した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS402を繰り返し実行する。
【0106】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS402にて「到着した(Yes)」と判断した場合、乗りかごGへの乗車をロボットHに開始させるべく、乗車開始信号Sx1をロボット管理装置4へ送信する(ステップS403)。このとき、エレベータ制御装置3は、乗車させるべきロボットHがどのロボットHであるのかをロボット管理装置4に認識させるべく、応答中の乗場呼びRhに対応するロボット情報Phを乗場呼び管理データDq1Hから抽出し、そのロボット情報Phを、乗車開始信号Sx1と共にロボット管理装置4へ送信する。
【0107】
ここで、応答対象になっている乗場呼びRhが、ロボット管理装置4からの1つ目の割当依頼(図4のステップS110A)に応じて乗りかごGへの割当てが行われたもの(第1の乗場呼び)、又は、通常の割当依頼(図4のステップS120)に応じて乗りかごGへの割当てが行われたものである場合には、ステップS403の実行時点では、ロボットHは、未だ乗りかごGには乗車しておらず、乗りかごGへの乗車の指令を現在階Ftで待っている状態である。従って、この場合のステップS403では、ロボットHが乗車すべきときに、乗車開始信号Sx1がロボット管理装置4へ送信されることになる。
【0108】
一方、応答対象になっている乗場呼びRhが、ロボット管理装置4からの2つ目の割当依頼(図4のステップS110B)に応じて乗りかごGへの割当てが行われたもの(第2の乗場呼び)である場合には、エレベータ制御装置3は、第1の乗場呼びを応答対象とする応答処理を終えた後(換言すれば、ロボットHが乗りかごGに乗車した後)に、更に第2の乗場呼びを応答対象とする応答処理を実行している状態である。この場合、ステップS403の実行時点では、ロボットHは、既に乗りかごGに乗車した状態である。従って、この場合のステップS403では、ロボットHの乗車が必要でないにも拘わらず、乗車開始信号Sx1がロボット管理装置4へ送信されることになる。
【0109】
そこで、ロボット管理装置4は、エレベータ制御装置3から乗車開始信号Sx1を受信した場合、それと共に受信したロボット情報Phで特定されるロボットHに対し、図11に示した乗車指令処理を実行する。尚、乗車指令処理の詳細については後述する。
【0110】
ステップS403の後、エレベータ制御装置3は、ロボット管理装置4から乗車完了信号Sx2を受信したか否かを判断する(ステップS404)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS404にて「受信した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS404を繰り返し実行する。
【0111】
尚、ロボットHが乗りかごGに乗車する際には、何らかのトラブル(動力系の故障やバッテリの電力不足など)が発生して、そのロボットHが乗りかごGへの乗車を完了することができないといった事態が生じ得る。そこで、エレベータ制御装置3は、乗車完了信号Sx2を受信できずに(ステップS404で「受信した(Yes)」と判断できずに)所定時間が経過した場合には、乗場呼びRhを削除してステップS406へ移行してもよい。
【0112】
エレベータ制御装置3は、ステップS404にて「受信した(Yes)」と判断した場合、乗場呼びRhが示す行先階Fd(ロボットHの行先階Fd)を、ロボットHについてのかご呼びVhとして乗りかごGに登録する(ステップS405)。これにより、乗場呼びRhが示す行先階Fdに乗りかごGを停止させることが可能になる。一方、このような乗りかごGへのかご呼びVhの登録により、乗場呼びRhは、その役目を終えることになる。そこで、エレベータ制御装置3は、役目を終えた乗場呼びRhを削除する。
【0113】
その後、エレベータ制御装置3は、この第1応答処理での応答対象に利用者の乗場呼びRgが更に含まれているか否かを判断する(ステップS406)。そして、エレベータ制御装置3は、ステップS406にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、その乗場呼びRgに対する処理としてステップS303~S305の処理(乗場呼びRgの削除~かご呼びVgの登録)を実行する。その後、エレベータ制御装置3は、第1応答処理を終了させる。一方、エレベータ制御装置3は、ステップS406にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、ステップS303~S305の処理を行うことなく、第1応答処理を終了させる。
【0114】
<第2応答処理>
図8は、本実施形態で実行される第2応答処理を示したフローチャートである。この第2応答処理では、エレベータ制御装置3は、先ず、応答対象にロボットHのかご呼びVhが含まれているか否かを判断する(ステップS310)。
【0115】
エレベータ制御装置3は、ステップS310にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、応答対象には利用者のかご呼びVgだけが含まれていると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、そのかご呼びVgが示す行先階Fd(利用者の行先階Fd)に乗りかごGを停止させるべく、そのための指令を乗りかごGへ送信する(ステップS311)。
【0116】
ステップS311の後、エレベータ制御装置3は、かご呼びVgが示す行先階Fdに乗りかごGが到着したか否かを判断する(ステップS312)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS312にて「到着した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS312を繰り返し実行する。
【0117】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS312にて「到着した(Yes)」と判断した場合には、その到着を以て役目を終えたかご呼びVgを削除する(ステップS313)。その後、エレベータ制御装置3は、第2応答処理を終了させる。
【0118】
エレベータ制御装置3は、ステップS310にて応答対象にロボットHのかご呼びVhが「含まれている(Yes)」と判断した場合には、そのかご呼びVhへの応答を実行し、また、その応答対象に利用者のかご呼びVgが更に含まれている場合には、当該利用者のかご呼びVgに対する処理も行う。具体的には、以下のとおりである。
【0119】
エレベータ制御装置3は、かご呼びVhが示す行先階Fd(ロボットHの行先階Fd)に乗りかごGを停止させるべく、そのための指令を乗りかごGへ送信する(ステップS411)。
【0120】
ステップS411の後、エレベータ制御装置3は、かご呼びVhが示す行先階Fdに乗りかごGが到着したか否かを判断する(ステップS412)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS412にて「到着した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS412を繰り返し実行する。
【0121】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS412にて「到着した(Yes)」と判断した場合、その到着を以て役目を終えたかご呼びVhを削除する(ステップS413)。また、エレベータ制御装置3は、乗りかごGからの降車をロボットHに開始させるべく、降車開始信号Sy1をロボット管理装置4へ送信する(ステップS414)。このとき、エレベータ制御装置3は、降車させるべきロボットHがどのロボットHであるのかをロボット管理装置4に認識させるべく、応答中のかご呼びVhに対応するロボット情報Phをかご呼び管理データDq2Hから抽出し、そのロボット情報Phを、降車開始信号Sy1と共にロボット管理装置4へ送信する。
【0122】
ここで、応答対象になっているかご呼びVhが、ロボット管理装置4からの2つ目の割当依頼(図4のステップS110B)に対応する乗場呼びRh(第2の乗場呼び)を通じて乗りかごGへの登録が行われたもの、又は、通常の割当依頼(図4のステップS120)に対応する乗場呼びRhを通じて乗りかごGへの登録が行われたものであった場合には、かご呼びVhが示す行先階FdはロボットHの目的階Fxであり、ステップS414の実行時点では、乗りかごGは、そのロボットHの目的階Fx(換言すれば、ロボットHが降車すべき階)に到着していることになる。従って、この場合のステップS414では、ロボットHが降車すべきときに、降車開始信号Sy1がロボット管理装置4へ送信されることになる。
【0123】
一方、応答対象になっているかご呼びVhが、ロボット管理装置4からの1つ目の割当依頼(図4のステップS110A)に対応する乗場呼びRh(第1の乗場呼び)を通じて乗りかごGへの登録が行われたものであった場合には、かご呼びVhが示す行先階Fdは、ロボットHの目的階Fxへ乗りかごGが周回移動するまでの途中の階(ここでは端階Fy)であり、ステップS414の実行時点では、乗りかごGは、その途中の階(換言すれば、ロボットHが降車する必要のない階)に到着したに過ぎないことになる。従って、この場合のステップS414では、ロボットHの降車が必要でないにも拘わらず、降車開始信号Sy1がロボット管理装置4へ送信されることになる。
【0124】
そこで、ロボット管理装置4は、エレベータ制御装置3から降車開始信号Sy1を受信した場合、それと共に受信したロボット情報Phで特定されるロボットHに対し、図12に示した降車指令処理を実行する。尚、降車指令処理の詳細については後述する。
【0125】
ステップS414の後、エレベータ制御装置3は、ロボット管理装置4から降車完了信号Sy2を受信したか否かを判断する(ステップS415)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS415にて「受信した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS415を繰り返し実行する。
【0126】
エレベータ制御装置3は、ステップS415にて「受信した(Yes)」と判断した場合、この第2応答処理での応答対象に利用者のかご呼びVgが更に含まれているか否かを判断する(ステップS416)。そして、エレベータ制御装置3は、ステップS416にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、そのかご呼びVgに対する処理としてステップS313の処理(かご呼びVgの削除)を実行する。その後、エレベータ制御装置3は、第2応答処理を終了させる。一方、エレベータ制御装置3は、ステップS416にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、ステップS313の処理を行うことなく、第2応答処理を終了させる。
【0127】
<第3応答処理>
図9及び図10は、本実施形態で実行される第3応答処理を示したフローチャートである。この第3応答処理では、エレベータ制御装置3は、先ず、応答対象にロボットHの乗場呼びRhが含まれているか否かを判断する(ステップS320)。
【0128】
エレベータ制御装置3は、ステップS320にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、応答対象には利用者の乗場呼びRgが含まれていると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、第1応答処理で説明したステップS301~S305と同じ処理を実行する(ステップS321~S325)。
【0129】
一方、エレベータ制御装置3は、ステップS320にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、第1応答処理で説明したステップS401及びS402と同じ処理を実行する(ステップS421及びS422。図10参照)。
【0130】
ここで、別のロボットHが乗りかごGに乗車中であって、且つ、その乗りかごGが到着した停止階が当該別のロボットHの目的階Fxであった場合には、そのロボットHを乗りかごGから降車させる必要がある。また、乗場からのロボットHの乗車と、乗りかごGからの別のロボットHの降車とをスムーズに行うためには、先に乗りかごG内のロボットHを降車させ、その後に乗場のロボットHを乗車させる必要がある。
【0131】
そこで、エレベータ制御装置3は、先ず、この第3応答処理での応答対象に別のロボットHのかご呼びVhが更に含まれているか否かを判断する(ステップS423)。
【0132】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS423にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、乗りかごGが到着した停止階にて当該乗りかごG内の別のロボットHを降車させる必要があると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、当該別のロボットHを降車させるための処理として、第2応答処理で説明したステップS413~S415(かご呼びVhの削除~降車完了信号Sy2を受信したか否かの判断)と同じ処理を実行する(ステップS431~S433)。
【0133】
エレベータ制御装置3は、ステップS433で「受信した(Yes)」と判断した場合、又は、ステップS423で「含まれていない(No)」と判断した場合には、乗場のロボットHを乗りかごGに乗車させるための処理として、第1応答処理で説明したステップS403~S405(乗車開始信号Sx1の送信~かご呼びVhの登録)と同じ処理を実行する(ステップS441~S443)。
【0134】
その後、エレベータ制御装置3は、この第3応答処理での応答対象に利用者の乗場呼びRgが更に含まれているか否かを判断する(ステップS451。図9参照)。そして、エレベータ制御装置3は、ステップS451にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、その乗場呼びRgに対する処理としてステップS323~S325(乗場呼びRgの削除~かご呼びVgの登録)を実行する。その後、エレベータ制御装置3は、ステップS452へ移行する。一方、エレベータ制御装置3は、ステップS451にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、ステップS323~S325の処理を行うことなく、ステップS452へ移行する。
【0135】
ステップS452では、エレベータ制御装置3は、この第3応答処理での応答対象に利用者のかご呼びVgが更に含まれているか否かを判断する。ここで、応答対象に利用者のかご呼びVgが含まれている場合には、乗りかごGの到着により、そのかご呼びVgも役目も終えることになる。そこで、エレベータ制御装置3は、ステップS452にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、その役目を終えたかご呼びVgも削除する(ステップS453)。その後、エレベータ制御装置3は、第3応答処理を終了させる。一方、エレベータ制御装置3は、ステップS452にて「含まれていない(No)」と判断した場合にはステップS453の処理を行うことなく、第3応答処理を終了させる。
【0136】
[1-2-4]ロボット管理装置が行う乗車指令処理
図11は、本実施形態で実行される乗車指令処理を示したフローチャートである。この乗車指令処理は、ロボット管理装置4がエレベータ制御装置3から乗車開始信号Sx1及びロボット情報Phを受信するごとに開始される。以下では、そのときにロボット管理装置4が受信する情報(乗車開始信号Sx1及びロボット情報Phを含む)を纏めて「受信情報Pr3」と呼ぶことにする。
【0137】
乗車指令処理が開始されると、ロボット管理装置4は、受信情報Pr3内のロボット情報Phで特定されるロボットH(乗車指令処理では、このロボットHを「対象ロボットHk」と呼ぶことにする)が既に乗りかごGに乗車済みであるか否かを判断する(ステップS500)。具体的には、ロボット管理装置4は、ロボット管理データDrにおいて受信情報Pr4内のロボット情報Phに対応付けられている利用状況を参照した上で、その利用状況が「乗車中」であるか否かを判断し、その結果に基づいて乗車済みであるか否かを判断する。
【0138】
ロボット管理装置4は、ステップS500にて「乗車済みでない(No)」と判断した場合には、乗りかごGに対象ロボットHkを乗車させるべく、そのための指令を対象ロボットHkへ送信する(ステップS501)。これにより、対象ロボットHkは、ロボット管理装置4からの指令に応じて乗りかごGへの乗車を開始し、乗車が完了したときに、乗車完了をロボット管理装置4へ通知する。
【0139】
そこで、ロボット管理装置4は、ステップS501の後、対象ロボットHkから乗車完了の通知を受けたか否かを判断することにより、乗りかごGへの対象ロボットHkの乗車が完了したか否かを判断する(ステップS502)。また、ロボット管理装置4は、ステップS502にて「完了した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS502を繰り返し実行する。
【0140】
ロボット管理装置4は、ステップS502にて「完了した(Yes)」と判断した場合、対象ロボットHkのロボット情報Phと共に、その対象ロボットHkの乗車完了を知らせるための乗車完了信号Sx2をエレベータ制御装置3へ返信する(ステップS510)。
【0141】
そして、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについてロボット管理データDrに記録されている利用状況を、「利用なし」から「乗車中」へ更新する(ステップS511)。その後、ロボット管理装置4は、乗車指令処理を終了させる。
【0142】
一方、ロボット管理装置4は、ステップS500にて「乗車済みである(Yes)」と判断した場合には、乗りかごGへの乗車を対象ロボットHkに指令することなく、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共に、乗車完了信号Sx2をダミー信号としてエレベータ制御装置3へ返信する(ステップS520)。その後、ロボット管理装置4は、乗車指令処理を終了させる。
【0143】
本実施形態においては、上述した条件(1)~(3)が全て満たされた場合には、対象ロボットHkについて割当てが行われた2つの乗場呼びRh(第1の乗場呼びと第2の乗場呼び)に乗りかごGを応答させる必要があり、それが故に、それらの乗場呼びRhが示す出発階Fcに乗りかごGが到着するごとに、乗車開始信号Sx1がロボット管理装置4に送信されてくることになる。一方、第2の乗場呼びが示す出発階Fcには、対象ロボットHkが既に乗車した状態で乗りかごGが到着することになるため、その乗りかごGへの対象ロボットHkの乗車を改めて行う必要はない。そこで、上記乗車指令処理では、第2の乗場呼びへの応答時に送信されてくる乗車開始信号Sx1に対しては、乗車完了信号Sx2をダミー信号として返信する。これにより、上述したエレベータ制御装置3での応答処理(図6図10参照)の実行を停滞させることなく、対象ロボットHkを乗りかごGに乗車させたままにしておくことが可能になる。
【0144】
[1-2-5]ロボット管理装置が行う降車指令処理
図12は、本実施形態で実行される降車指令処理を示したフローチャートである。この降車指令処理は、ロボット管理装置4がエレベータ制御装置3から降車開始信号Sy1及びロボット情報Phを受信するごとに開始される。以下では、そのときにロボット管理装置4が受信する情報(降車開始信号Sy1及びロボット情報Phを含む)を纏めて「受信情報Pr4」と呼ぶことにする。
【0145】
降車指令処理が開始されると、ロボット管理装置4は、先ず、乗りかごGの現在位置Qtをエレベータ制御装置3から取得する(ステップS600A)。具体的には、ロボット管理装置4は、エレベータ制御装置3に対し、乗りかごGの現在位置Qtを返信するように要求する。そして、ロボット管理装置4は、自身の要求に応じてエレベータ制御装置3から返信されてきた乗りかごGの現在位置Qtを受信することで、必要な情報を取得する。
【0146】
次に、ロボット管理装置4は、ステップS600Aで取得した乗りかごGの現在位置Qtと、ロボット管理データDrにおいて受信情報Pr4内のロボット情報Phに対応付けられている移動先(そのロボット情報Phで特定されるロボットHの目的階Fx)とを用いて、その時点での乗りかごGの停止階が、受信情報Pr4内のロボット情報Phで特定されるロボットH(降車指令処理では、このロボットHを「対象ロボットHk」と呼ぶことにする)の目的階Fxに一致しているか否かを判断する(ステップS600B)。
【0147】
ロボット管理装置4は、ステップS600Bにて「一致している(Yes)」と判断した場合には、乗りかごGから対象ロボットHkを降車させるべく、そのための指令を対象ロボットHkへ送信する(ステップS601)。これにより、対象ロボットHkは、ロボット管理装置4からの指令に応じて乗りかごGからの降車を開始し、降車が完了したときに、降車完了をロボット管理装置4へ通知する。
【0148】
そこで、ロボット管理装置4は、ステップS601の後、対象ロボットHkから降車完了の通知を受けたか否かを判断することにより、乗りかごGからの対象ロボットHkの降車が完了したか否かを判断する(ステップS602)。また、ロボット管理装置4は、ステップS602にて「完了した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS602を繰り返し実行する。
【0149】
ロボット管理装置4は、ステップS602にて「完了した(Yes)」と判断した場合、対象ロボットHkのロボット情報Phと共に、その対象ロボットHkの降車完了を知らせるための降車完了信号Sy2をエレベータ制御装置3へ返信する(ステップS610)。
【0150】
そして、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについてロボット管理データDrに記録されている現在階Ftを、ステップS600Bでの判断に用いた乗りかごGの停止階(対象ロボットHkの降車階)へ更新する(ステップS611)。また、ロボット管理装置4は、その対象ロボットHkについてロボット管理データDrに記録されている利用状況を、「乗車中」から「利用なし」へ更新する。更に、ロボット管理装置4は、ロボット管理データDrにて当該対象ロボットHkの移動先に記録されている目的階Fxを消去する。その後、ロボット管理装置4は、降車指令処理を終了させる。
【0151】
一方、ロボット管理装置4は、ステップS600Bにて「一致していない(No)」と判断した場合には、乗りかごGからの降車を対象ロボットHkに指令することなく、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共に、降車完了信号Sy2をダミー信号としてエレベータ制御装置3へ返信する(ステップS620)。その後、ロボット管理装置4は、降車指令処理を終了させる。
【0152】
本実施形態においては、上述した条件(1)~(3)が全て満たされた場合には、対象ロボットHkについて割当てが行われた2つの乗場呼びRh(第1の乗場呼びと第2の乗場呼び)に乗りかごGを応答させる必要があり、それが故に、それらの乗場呼びRhが示す行先階Fd(具体的には、それらに対応するかご呼びVhが示す行先階Fd)に乗りかごGが到着するごとに、降車開始信号Sy1がロボット管理装置4に送信されてくることになる。一方、第1の乗場呼びが示す行先階Fdに乗りかごGが到着した場合、その行先階Fdは、対象ロボットHkにとっては目的階Fxへ行く途中の階であり、その乗りかごGからの対象ロボットHkの降車は不要である。そこで、上記降車指令処理では、第1の乗場呼びへの応答時に送信されてくる降車開始信号Sy1に対しては、降車完了信号Sy2をダミー信号として返信する。これにより、上述したエレベータ制御装置3での応答処理(図6図10参照)の実行を停滞させることなく、対象ロボットHkを乗りかごGに乗車させたままにしておくことが可能になる。
【0153】
このような制御処理によれば、対象ロボットHkについて通常の割当依頼を行ったとすると、利用者が、降車するまでの間に対象ロボットHkの乗車を経験しなければならない、といった状況が生じ得る場合(対象ロボットHkの乗車によって利用者の乗車時間が長くなるような場合)において、乗りかごGが、対象ロボットHkの現在階Ft(乗車階)に順方向Ksでやってくるよりも前の段階で逆方向Ktへ移動しているときに、その逆方向Ktへ向かう乗りかごGに、対象ロボットHkを乗車させることができるようになる。これにより、利用者は、乗りかごGでの移動中に対象ロボットHkが乗車してくることを経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を緩和することが可能になる。
【0154】
また、上記の制御処理によれば、乗りかごGの移動方向が必ず反転することになる端階Fyを行先階Fdとして第1の乗場呼びを設定することにより、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを乗車させるためだけに誰も乗降しない途中の階に乗りかごGを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0155】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
第1変形例は、上述した実施形態の変形例である。上述した実施形態において、ロボット管理装置4が実行する割当依頼処理は、以下のような処理に適宜変形されてもよい。
【0156】
図13は、第1変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。本変形例の割当依頼処理では、ロボット管理装置4は、ステップS103にて条件(1)~(3)が全て「満たされている(Yes)」と判断した場合、更に、ステップS101で取得したエレベータ情報Peを用いて、以下の条件(4)が満たされているか否かを判断する(ステップS130)。
【0157】
条件(4):別の利用者についての乗場呼びRgとして、乗りかごGが逆方向Ktへ移動しているときに、その乗りかごGを、対象ロボットHkの現在階Ftに対して逆方向Ktに位置する階にてそのまま逆方向Ktで停止させる乗場呼びの割当てが、当該乗りかごGに対して行われているという条件。
【0158】
そして、ロボット管理装置4は、ステップS130にて「満たされていない(No)」と判断した場合には、通常とは異なる割当依頼として、上記実施形態と同じ2つの割当依頼を行う(ステップS110A及びS110B)。一方、ステップS130にて「満たされている(Yes)」と判断した場合には、通常とは異なる割当依頼として、以下のような2つの割当依頼を行う(ステップS140A及び140B)。
【0159】
1つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての1つ目の乗場呼びRh(第1の乗場呼び)として、当該対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、上記条件(4)を満たした別の利用者についての乗場呼びRgが示す出発階Fc(以下、「別の利用者の出発階Fc」と呼ぶことにする)を行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS140A)。具体的には、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、上記別の利用者の出発階Fcを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。
【0160】
このような1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼)をこのタイミングで行うことにより、乗りかごGが運行区間を周回する過程で逆方向Ktへ移動するときに、その逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを効率良く乗車させることが可能になる。また、このように逆方向Ktへ向かう別の利用者の出発階Fcを行先階Fdとして第1の乗場呼びを設定することにより、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを乗車させるためだけに誰も乗降しない階(端階Fyを含む)に乗りかごGを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0161】
2つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての2つ目の乗場呼びRh(第2の乗場呼び)として、ステップS103での判断で用いた利用者の出発階Fc(ステップS103で条件(1)~(3)が全て「満たされている(Yes)」と判断したときに用いた利用者の出発階Fc)と同じ階を出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS140B)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記利用者の出発階Fcと同じ階を出発階Fcとし、且つ、対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。ステップS140Bの後、ロボット管理装置4は、割当依頼処理を終了させる。
【0162】
このような2つ目の割当依頼(第2の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、本変形例においても、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを現在階Ftで乗車させた後、その乗りかごGを、第2の乗場呼びが示す対象ロボットHkの目的階Fxまで移動させることができるようになり、その結果として、その目的階Fxで対象ロボットHkを降車させることが可能になる。
【0163】
[2-2]第2変形例
第2変形例は、上述した実施形態の変形例である。上述した実施形態において、ロボット管理装置4が実行する割当依頼処理、並びに、エレベータ制御装置3が実行する割当処理及び応答処理は、以下のような処理に適宜変形されてもよい。
【0164】
図14は、第2変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。本変形例の割当依頼処理では、ロボット管理装置4は、ステップS103にて条件(1)~(3)が全て「満たされている(Yes)」と判断した場合には、通常とは異なる割当依頼として、以下のような2つの割当依頼を行う(ステップS150A及びS150B)。
【0165】
1つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての1つ目の乗場呼びRh(第1の乗場呼び)として、当該対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、順方向Ks(その対象ロボットHkの現在階Ftから当該対象ロボットHkの目的階Fxへ向かう方向)とは逆方向Ktを当該出発階Fcからの行先方向Kcとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS150A)。具体的には、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとし、且つ、上記逆方向Ktを行先方向Kcとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。このような割当依頼により、第1の乗場呼びとして、対象ロボットHkの現在階Ftを出発階Fcとする乗場呼びRhであって、その乗場呼びRhへの応答によって乗りかごGを当該現在階Ftから逆方向Ktへ移動させる乗場呼びRhの割当てが、エレベータ制御装置3に対して依頼されることになる。
【0166】
本変形例のような1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼)であっても、それをこのタイミングで行うことにより、乗りかごGが運行区間を周回する過程で逆方向Ktへ移動するときに、その逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを効率良く乗車させることが可能になる。
【0167】
2つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての2つ目の乗場呼びRh(第2の乗場呼び)として、ステップS103での判断で用いた利用者の出発階Fcと同じ階を出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS150B)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記利用者の出発階Fcと同じ階を出発階Fcとし、且つ、対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。ステップS150Bの後、ロボット管理装置4は、割当依頼処理を終了させる。
【0168】
このような2つ目の割当依頼(第2の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、本変形例においても、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを現在階Ftで乗車させた後、その乗りかごGを、第2の乗場呼びが示す対象ロボットHkの目的階Fxまで移動させることができるようになり、その結果として、その目的階Fxで対象ロボットHkを降車させることが可能になる。
【0169】
そして本変形例においても、ロボット管理装置4は、ステップS150A及びS150Bを同時に行う(ステップS150Aの後、ほとんど同じタイミングですぐにステップS150Bを行う場合を含む)。換言すれば、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの両方の割当てを、エレベータ制御装置3に対して同時に依頼する。
【0170】
このようにステップS150A及びS150Bが同時に行われることにより、後述するエレベータ制御装置3が行う割当処理において、対象ロボットHkについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びが、乗りかごGに対して、その乗りかごGが運行区間を1周する間にそれらの乗場呼びに順に応答できるように(換言すれば、第1の乗場呼びに応答した後、すぐに第2の乗場呼びに応答できるように)割り当てられやすくなる。尚、そのような割当てを確実に行うことができるのであれば、ステップS150Bは、ステップS150Aから遅れて実行されてもよい。
【0171】
図15は、第2変形例で実行される割当処理を示したフローチャートである。本変形例でも、この割当処理は、行先方向ボタン1又はロボット管理装置4からエレベータ制御装置3に対して乗場呼びの割当依頼があった場合に開始される。また、ロボットHについての第1の乗場呼び及び第2の乗場呼びの割当依頼(図14のステップS150A及びS150B)が同時に行われた場合でも、それらに対しては個々に図15の割当処理が実行されるものとする。
【0172】
本変形例では、割当依頼があるごとにエレベータ制御装置3が受信する情報(受信情報Pr2)は、その割当依頼がロボット管理装置4からの依頼(ロボットHについての乗場呼びRhの割当依頼)であった場合には、出発階Fc、行先方向Kc、及びロボット情報Phを含んだ一組の情報になるか、又は、出発階Fc、行先階Fd、及びロボット情報Phを含んだ一組の情報になる。
【0173】
そして、エレベータ制御装置3は、ステップS200にて「ロボット情報Ph」が含まれていると判断した場合には、受信した割当依頼について更に、その割当依頼が、ロボットHについての1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼)と2つ目の割当依頼(第2の乗場呼びの割当依頼)のどちらであるのかを判断するべく、行先方向Kcと行先階Fdのどちらの情報が受信情報Pr2内に含まれているのかを判断する(ステップS210)。
【0174】
エレベータ制御装置3は、ステップS210にて「行先方向Kc」が含まれていると判断した場合には、その判断を以て、受信した割当依頼は1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼)であると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、受信情報Pr2内の出発階Fc及び行先方向Kcを1つの乗場呼びRhとして、乗りかごGへの割当てを実行する(ロボットHについての割当て。ステップS211)。その後、エレベータ制御装置3は、割当処理を終了させる。
【0175】
一方、エレベータ制御装置3は、ステップS210にて「行先階Fd」が含まれていると判断した場合には、その判断を以て、受信した割当依頼は2つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼)であると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、受信情報Pr2内の出発階Fc及び行先階Fdを1つの乗場呼びRhとして、乗りかごGへの割当てを実行する(ロボットHについての割当て。ステップS212)。その後、エレベータ制御装置3は、割当処理を終了させる。
【0176】
図16は、第2変形例で実行される第1応答処理を示したフローチャートである。本変形例の第1応答処理では、エレベータ制御装置3は、ステップS300にて応答対象にロボットHの乗場呼びRhが「含まれている(Yes)」と判断した場合、その乗場呼びRhが第1の乗場呼びと第2の乗場呼びのどちらであるのかを判断するべく、当該乗場呼びRhが行先方向Kcと行先階Fdのどちらを示しているのかを判断する(ステップS460)。
【0177】
エレベータ制御装置3は、ステップS460にて「行先方向Kc」を示していると判断した場合には、その判断を以て、乗場呼びRhは第1の乗場呼びであると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、乗場呼びRhが示す出発階Fc(ロボットHの出発階Fc)に、乗りかごGを、当該乗場呼びRhが示す行先方向Kcと同方向で停止させるべく、そのための指令を乗りかごGへ送信する(ステップS461)。
【0178】
ステップS461の後、エレベータ制御装置3は、乗場呼びRhが示す出発階Fcに乗りかごGが到着したか否かを判断する(ステップS462)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS462にて「到着した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS462を繰り返し実行する。
【0179】
エレベータ制御装置3は、ステップS462にて「到着した(Yes)」と判断した場合、その到着を以て役目を終えた乗場呼びRh(第1の乗場呼び)を削除する(ステップS463)。このとき、乗場呼びRh(第1の乗場呼び)には行先階Fdが含まれておらず、且つ、ロボット管理装置4から行先階Fdが指定されることもないため、エレベータ制御装置3は、乗場呼びRh(第1の乗場呼び)への応答ではかご呼びVhを登録することがない。
【0180】
そして、エレベータ制御装置3は、乗りかごGへの乗車をロボットHに開始させるべく、乗車開始信号Sx1を、そのロボットHのロボット情報Phと共にロボット管理装置4へ送信する(ステップS464)。ロボット管理装置4は、この乗車開始信号Sx1を受信した場合、図11の乗車指令処理を実行する。
【0181】
その後、エレベータ制御装置3は、ロボット管理装置4から乗車完了信号Sx2を受信したか否かを判断する(ステップS465)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS465にて「受信した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS465を繰り返し実行する。そして、エレベータ制御装置3は、ステップS465にて「受信した(Yes)」と判断した場合に、ステップS406へ移行する。
【0182】
尚、ロボットHが乗りかごGに乗車する際には、何らかのトラブル(動力系の故障やバッテリの電力不足など)が発生して、そのロボットHが乗りかごGへの乗車を完了することができないといった事態が生じ得る。そこで、エレベータ制御装置3は、乗車完了信号Sx2を受信できずに(ステップS465で「受信した(Yes)」と判断できずに)所定時間が経過した場合には、乗場呼びRhを削除してステップS406へ移行してもよい。
【0183】
エレベータ制御装置3は、ステップS460にて「行先階Fd」を示していると判断した場合には、その判断を以て、乗場呼びRhは第2の乗場呼びであると判断できる。この場合、エレベータ制御装置3は、上記実施形態の第1応答処理(図7参照)で説明したステップS401~S405を実行し、その後、ステップS406へ移行する。
【0184】
図17は、第2変形例で実行される第3応答処理内の一部の処理Xを示したフローチャートである。本変形例の第3応答処理では、エレベータ制御装置3は、ステップS320(図9参照)にて応答対象にロボットHの乗場呼びRhが「含まれている(Yes)」と判断した場合、上記第1応答処理で説明したステップS460と同じ処理を実行する(ステップS470)。
【0185】
エレベータ制御装置3は、ステップS470にて「行先方向Kc」を示していると判断した場合には、その判断を以て、乗場呼びRhは第1の乗場呼びであると判断し、本変形例の第1応答処理で説明したステップS461~S465と同じ処理を実行する(ステップS471~S475)。その後、エレベータ制御装置3は、ステップS451(図9参照)へ移行する。
【0186】
エレベータ制御装置3は、ステップS470にて「行先階Fd」を示していると判断した場合には、その判断を以て、乗場呼びRhは第2の乗場呼びであると判断し、上記実施形態の第3応答処理(図10参照)で説明したステップS421~S443を実行する。その後、エレベータ制御装置3は、ステップS451(図9参照)へ移行する。
【0187】
このような第1応答処理及び第3応答処理によれば、第1の乗場呼びへの応答時(ステップS460又はS470にて「行先方向Kc」を示していると判断された場合)には、かご呼びVhを発生させずに対象ロボットHkを乗りかごGに乗車させることができるようになる。従って、逆方向Ktへ向かう乗りかごGに対象ロボットHkを乗車させるためだけに誰も乗降しない途中の階に乗りかごGを停止させる、といった無駄な制御を発生させなくて済むようになる。
【0188】
このような本変形例の制御処理によっても、対象ロボットHkについて通常の割当依頼を行ったとすると、利用者が、降車するまでの間に対象ロボットHkの乗車を経験しなければならない、といった状況が生じ得る場合(対象ロボットHkの乗車によって利用者の乗車時間が長くなるような場合)において、乗りかごGが、対象ロボットHkの現在階Ft(乗車階)に順方向Ksでやってくるよりも前の段階で逆方向Ktへ移動しているときに、その逆方向Ktへ向かう乗りかごGに、対象ロボットHkを乗車させることができるようになる。これにより、利用者は、乗りかごGでの移動中に対象ロボットHkが乗車してくることを経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を緩和することが可能になる。
【0189】
[2-3]第3変形例
第3変形例は、上述した実施形態の変形例である。上述した実施形態では、ロボットHについての乗場呼びRhへの応答時に、ロボットHの降車階(=目的階Fx)にて乗りかごGを順方向Ksで停止させたとすると、利用者は、乗りかごGへの乗車後、自身の降車階とロボットHの降車階(=目的階Fx)との位置関係によっては、降車するまでの途中の階でロボットHが降車していくことを経験しなければならない、といった状況が生じ得る。そこで、そのような経験を利用者がしなくてよくなるように、上記実施形態で説明した割当依頼処理は、以下のような処理に適宜変形されてもよい。
【0190】
図18は、第3変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。本変形例の割当依頼処理では、ロボット管理装置4は、1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼。ステップS110A)の後、現時点でのエレベータ情報Pe(乗りかごGの動作状況や利用者の利用状況などを示した情報を含む)をエレベータ制御装置3から取得する(ステップS111)。そして、ロボット管理装置4は、そのエレベータ情報Peを用いて、エレベータ制御装置3にて第1の乗場呼びへの応答が開始されたか否かを判断する(ステップS112)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS112にて「開始された(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS112を繰り返し実行する。
【0191】
ロボット管理装置4は、ステップS112にて「開始された(Yes)」と判断した場合、更に、以下のような2つ目及び3つ目の割当依頼を行う(ステップS113A及びS113B)。
【0192】
2つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての2つ目の乗場呼びRh(第2の乗場呼び)として、当該対象ロボットHkの現在階Ftに対して逆方向Ktに位置する端階Fy(本変形例では、「第1の端階Fy1」と呼ぶことにする)を出発階Fcとし、且つ、その端階Fyとは反対側に位置する端階Fy(本変形例では、「第2の端階Fy2」と呼ぶことにする)を行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS113A)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記第1の端階Fy1を出発階Fcとし、且つ、上記第2の端階Fy2を行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。
【0193】
このような2つ目の割当依頼(第2の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、乗りかごGを、そこにロボットHを乗車させたまま当該ロボットHの目的階Fxを通過させることが可能になる。従って、第2の端階Fy2までの間でロボットHよりも先に利用者を降車させることが可能になる。これにより、利用者は、乗りかごGでの移動中にロボットHが降車していくことも経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を顕著に緩和することが可能になる。
【0194】
3つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての3つ目の乗場呼びRh(第3の乗場呼び)として、上記第2の端階Fy2を出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS113B)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記第2の端階Fy2を出発階Fcとし、且つ、対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。
【0195】
このような3つ目の割当依頼(第3の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、対象ロボットHkの目的階Fxを乗りかごGが通過した後であっても、その乗りかごGが第2の端階Fy2から逆方向Ktへ移動するときに、当該乗りかごGを対象ロボットHkの目的階Fxに逆方向Ktで停止させることができるようになり、その結果として、その目的階Fxで対象ロボットHkを降車させることが可能になる。
【0196】
尚、このように第1の乗場呼びの割当依頼の後に第2及び第3の乗場呼びの割当依頼(ステップS113A及びS113B)を行う構成については、上述した第1変形例にて第1の乗場呼びの割当依頼(図13のステップS110A)を行った後にも適用できる(図19参照)。
【0197】
[2-4]第4変形例
第4変形例は、上述した第1変形例についての更なる変形例である。上述した第1変形例においても、ロボットHの降車階(=目的階Fx)にて乗りかごGを順方向Ksで停止させたとすると、利用者は、乗りかごGへの乗車後、自身の降車階とロボットHの降車階(=目的階Fx)との位置関係によっては、降車するまでの途中の階でロボットHが降車していくことを経験しなければならない、といった状況が生じ得る。そこで、そのような経験を利用者がしなくてよくなるように、上記第1変形例で説明した割当依頼処理は、以下のような処理に適宜変形されてもよい。
【0198】
図19は、第4変形例で実行される割当依頼処理を示したフローチャートである。本変形例の割当依頼処理では、ロボット管理装置4は、1つ目の割当依頼(第1の乗場呼びの割当依頼。ステップS140A)の後、第3変形例と同様、現時点でのエレベータ情報Pe(乗りかごGの動作状況や利用者の利用状況などを示した情報を含む)をエレベータ制御装置3から取得する(ステップS141)。そして、ロボット管理装置4は、そのエレベータ情報Peを用いて、エレベータ制御装置3にて第1の乗場呼びへの応答が開始されたか否かを判断する(ステップS142)。また、エレベータ制御装置3は、ステップS142にて「開始された(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS142を繰り返し実行する。
【0199】
そして本変形例では、ロボット管理装置4は、ステップS142にて「開始された(Yes)」と判断した場合、更に、以下のような2つ目及び3つ目の割当依頼を行う(ステップS143A及びS143B)。
【0200】
2つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての2つ目の乗場呼びRh(第2の乗場呼び)として、ステップS103での判断で用いた利用者の出発階Fc(ステップS103で条件(1)~(3)が全て「満たされている(Yes)」と判断したときに用いた利用者の出発階Fc)と同じ階を出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの現在階Ftに対して順方向Ksに位置する端階Fy(=Fy2)を行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS143A)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記利用者の出発階Fcと同じ階を出発階Fcとし、且つ、上記端階Fy(=Fy2)を行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。
【0201】
このような2つ目の割当依頼(第2の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、乗りかごGを、そこにロボットHを乗車させたまま当該ロボットHの目的階Fxを通過させることが可能になる。従って、上記端階Fy(=Fy2)までの間でロボットHよりも先に利用者を降車させることが可能になる。これにより、利用者は、乗りかごGでの移動中にロボットHが降車していくことも経験しなくてよくなる。その結果として、利用者の乗車時間の長期化を顕著に緩和することが可能になる。
【0202】
3つ目の割当依頼では、ロボット管理装置4は、対象ロボットHkについての3つ目の乗場呼びRh(第3の乗場呼び)として、上記端階Fy(=Fy2)を出発階Fcとし、且つ、当該対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとする乗場呼びの割当てを、エレベータ制御装置3に対して依頼する(ステップS143B)。具体的には、ロボット管理装置4は、上記端階Fy(=Fy2)を出発階Fcとし、且つ、対象ロボットHkの目的階Fxを行先階Fdとして、それらの情報を、その対象ロボットHkのロボット情報Phと共にエレベータ制御装置3へ送信する。
【0203】
このような3つ目の割当依頼(第3の乗場呼びの割当依頼)を行うことにより、対象ロボットHkの目的階Fxを乗りかごGが通過した後であっても、その乗りかごGが端階Fy(=Fy2)から逆方向Ktへ移動するときに、当該乗りかごGを対象ロボットHkの目的階Fxに逆方向Ktで停止させることができるようになり、その結果として、その目的階Fxで対象ロボットHkを降車させることが可能になる。
【0204】
尚、このように第1の乗場呼びの割当依頼の後に第2及び第3の乗場呼びの割当依頼(ステップS143A及びS143B)を行う構成については、上述した第2変形例にて第1の乗場呼びの割当依頼(図14のステップS150A)を行った後にも適用できる。
【0205】
[2-5]第5変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、利用者についての乗場呼びRgの割当依頼は、各階に設置された行先階登録装置にて利用者が行先階Fdを登録することによって当該行先階登録装置から依頼されるものに適宜変更されてもよい。この場合、行先階登録装置は、利用者についての乗場呼びRgの割当依頼として、当該利用者が登録した行先階Fdと自身の装置情報Pdとをエレベータ制御装置3へ送信することになる。
【0206】
そして、エレベータ制御装置3は、行先階登録装置から割当依頼を受信した場合、図5又は図15のステップS200にて「装置情報Pd」であると判断し、その後のステップS201において、その行先階登録装置(受信した装置情報Pdで特定される行先階登録装置。図2(A)参照)の設置階を出発階Fcとした上で、当該出発階Fcと受信した行先階Fd(当該行先階登録装置で利用者が登録した行先階Fd)を1つの乗場呼びRgとして、乗りかごGへの割当てを実行することになる。
【0207】
このような構成においては、ステップS103で判断される条件(1)は、対象ロボットHkの現在階Ftから当該対象ロボットHkの目的階Fxへ向かう順方向Ksが、利用者の出発階Fcから当該利用者の行先階Fdへ向かう方向と同方向であるという条件に変更されることになる。また、ステップS103で判断される条件(2)は、利用者の出発階Fcと当該利用者の行先階Fdとの間にロボットHの現在階Ftがあるという条件に変更されることになる。
【0208】
また、図7又は図16の第1応答処理での利用者についての乗場呼びRgへの応答時には、エレベータ制御装置3は、ステップS304及びS305の実行に代えて、ステップS303において、乗場呼びRgが示す行先階Fd(利用者の行先階Fd)を、利用者についてのかご呼びVgとして乗りかごGに登録することになる。その上で、エレベータ制御装置3は、役目を終えた乗場呼びRgを削除し、その後、第1応答処理を終了させることになる。更に、図9の第3応答処理での利用者についての乗場呼びRgへの応答時にも、エレベータ制御装置3は、ステップS324及びS325の実行に代えて、同様の処理を行うことになる。
【0209】
[2-6]第6変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、各ロボットHは、ロボット管理装置4が行う制御処理(割当依頼処理、乗車指令処理、降車指令処理を含む)を当該ロボット管理装置4に代わって実行するものに適宜変形されてもよい。この場合、各ロボットHは、ロボット管理装置4を介さずにエレベータ制御装置3と通信することになる。これにより、各ロボットHは、自律してエレベータの乗りかごGを利用できるようになる。
【0210】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0211】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、ロボット管理装置4やロボットHに限らず、当該ロボット管理装置4やロボットHで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。また、ロボット管理装置4やロボットHを備えたエレベータの一部又は全部が、発明の対象として抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0212】
1 行先方向ボタン
2 行先階ボタン
3 エレベータ制御装置
4 ロボット管理装置
G 乗りかご
H ロボット
31、41 記憶部
32、42 制御部
Dp 装置管理データ
Dr ロボット管理データ
Fc 出発階
Fd 行先階
Fs 設置階
Ft 現在階
Fx 目的階
Fy 端階
Hk 対象ロボット
Kc 行先方向
Ks 順方向
Kt 逆方向
Pd 装置情報
Pe エレベータ情報
Ph ロボット情報
Qt 現在位置
Rg、Rh 乗場呼び
Vg、Vh かご呼び
Dq1G、Dq1H 乗場呼び管理データ
Dq2G、Dq2H かご呼び管理データ
Fy1 第1の端階
Fy2 第2の端階
Pr1、Pr2、Pr3、Pr4 受信情報
Sx1 乗車開始信号
Sx2 乗車完了信号
Sy1 降車開始信号
Sy2 降車完了信号
【要約】
【課題】利用者とロボットとが乗りかごに同乗する場合に生じ得る利用者の乗車時間の長期化を緩和できるようにする。
【解決手段】ロボット管理装置は、ロボットの現在階及び目的階と、利用者についての乗場呼びが示す出発階及び行先方向とについて、(1)ロボットの現在階から目的階へ向かう順方向が利用者の行先方向と同方向であるという条件と、(2)利用者の出発階とロボットの目的階との間に現在階があるという条件と、(3)乗りかごの現在位置が、ロボットの現在階に対して目的階側の位置であるという条件と、がそれぞれ満たされているか否かを判断する。ロボット管理装置は、条件(1)~(3)が全て満たされていると判断した場合に、ロボットについての第1の乗場呼びとして、当該ロボットの現在階を出発階とし、且つ、その現在階に対して順方向とは逆方向に位置する端階を行先階とする乗場呼びの割当てを、エレベータの制御装置に対して依頼する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19