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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】印字ユニット、サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20241107BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20241107BHJP
   B65H 43/08 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J2/32 Z
B65H43/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020142564
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038197
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】村田 智大
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-178578(JP,A)
【文献】実開平5-46716(JP,U)
【文献】特開2018-15942(JP,A)
【文献】特開2003-136820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04
B41J 2/32
B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラの周面に圧接し、前記記録紙に印字するサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドによる印字エリアに向かって前記記録紙を案内するガイド斜面を有し、前記ガイド斜面が前記印字エリアを基準面としたときに鋭角となっている紙ガイド部と、
前記プラテンローラを回転させるモータと、
を備え
前記モータは、前記記録紙をガイドする周面を有しており、
前記ガイド斜面と前記基準面とがなす角度は、前記印字エリアから前記モータの周面に引いた接線と前記基準面とがなす角度より大きい、
ことを特徴とする印字ユニット。
【請求項2】
前記紙ガイド部は、前記印字エリアに向かって、57.5°以下の鋭角方向から前記記録紙を挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項3】
前記紙ガイド部は、開口部が形成されたガイド斜面を有し、
前記開口部に配置され、前記記録紙を検出するセンサと、
前記開口部に着脱可能に係合し、前記ガイド斜面に沿って前記センサを斜めに保持するセンサホルダと、を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の印字ユニット。
【請求項4】
前記センサは、フレキシブルプリント基板に設けられ、
前記センサホルダは、前記センサの両側の前記フレキシブルプリント基板を保持することで、前記フレキシブルプリント基板を介して前記センサを間接的に保持する第1斜面部及び第2斜面部を有する、ことを特徴とする請求項に記載の印字ユニット。
【請求項5】
前記第1斜面部及び前記第2斜面部のいずれか一方には、前記開口部の内壁面に対し、前記フレキシブルプリント基板の厚みに応じて凹んだ凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の印字ユニット。
【請求項6】
前記センサホルダは、前記第1斜面部及び前記第2斜面部の間の前記センサの背面側の空間に、前記開口部に対し着脱可能に係合する係合部を有する、ことを特徴とする請求項またはに記載の印字ユニット。
【請求項7】
前記記録紙は、剥離可能な複数のラベルを有する、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の印字ユニット。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の印字ユニットを備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ユニット、サーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載のサーマルプリンタが知られている。このサーマルプリンタの印字ユニットは、プラテンローラとサーマルヘッドとで記録紙を挟んだ状態でプラテンローラを回転させることで、記録紙を紙送りしながら記録紙の印字面をサーマルヘッドの発熱素子により加熱し、印字面を発色させて印字を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-159482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の印字ユニットにおいて、記録紙は、サーマルヘッドの手前側において、略直方体形状の支持部に紙ガイドされ、その向きを90°変更してサーマルヘッドの印字エリアに挿入されていた(特許文献1の図2等参照)。このため、記録紙には、強い曲げが加わっており、例えば、ダイカットされたラベル紙を使用した場合には、特定の温度条件下(例えばラベルの粘着性が低下する5℃以下)において、ラベルの剥がれが生じる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、記録紙に強い曲げを加えずに印字を行うことができる印字ユニット、サーマルプリンタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る印字ユニットは、記録紙を搬送するプラテンローラと、前記プラテンローラの周面に圧接し、前記記録紙に印字するサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドによる印字エリアに向かって、鋭角方向から前記記録紙を挿入する紙ガイド部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記紙ガイド部は、前記印字エリアに向かって、57.5°以下の鋭角方向から前記記録紙を挿入する。
【0008】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記プラテンローラを回転させるモータを備え、前記モータは、前記記録紙をガイドする周面を有しており、前記紙ガイド部は、前記印字エリアに向かって、前記印字エリアから前記モータの周面に引いた接線以上の角度の鋭角方向から前記記録紙を挿入する。
【0009】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記紙ガイド部は、開口部が形成されたガイド斜面を有し、前記開口部に配置され、前記記録紙を検出するセンサと、前記開口部に着脱可能に係合し、前記ガイド斜面に沿って前記センサを斜めに保持するセンサホルダと、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記センサは、フレキシブルプリント基板に設けられ、前記センサホルダは、前記センサの両側の前記フレキシブルプリント基板を保持することで、前記フレキシブルプリント基板を介して前記センサを間接的に保持する第1斜面部及び第2斜面部を有する。
【0011】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記第1斜面部及び前記第2斜面部のいずれか一方には、前記開口部の内壁面に対し、前記フレキシブルプリント基板の厚みに応じて凹んだ凹部が形成されている。
【0012】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記センサホルダは、前記第1斜面部及び前記第2斜面部の間の前記センサの背面側の空間に、前記開口部に対し着脱可能に係合する係合部を有する。
【0013】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記記録紙は、剥離可能な複数のラベルを有する。
【0014】
本発明の一態様に係るサーマルプリンタは、先に記載の印字ユニットを備える。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明の一態様によれば、記録紙に強い曲げを加えずに印字を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図である。
図2】一実施形態に係る記録紙の平面図である。
図3】一実施形態に係る印字ユニットの正面側斜視図である。
図4】一実施形態に係る印字ユニットの正面側分解斜視図である。
図5】一実施形態に係る印字ユニットの背面側斜視図である。
図6】一実施形態に係る印字ユニットの正面図である。
図7図6に示す矢視VII-VII断面図である。
図8】一実施形態に係る印字ユニットの電装関係の正面側分解斜視図である。
図9】一実施形態に係るセンサホルダの正面側斜視図である。
図10】一実施形態に係るセンサホルダの正面図である。
図11】一実施形態に係るセンサホルダの平面図である。
図12】一実施形態に係るセンサホルダの底面図である。
図13】一実施形態に係るセンサホルダの左側面図である。
図14】一実施形態に係るセンサホルダの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(サーマルプリンタ)
図1は、一実施形態に係るサーマルプリンタ1の斜視図である。
図1に示すように、サーマルプリンタ1は、記録紙Pを印刷可能に構成されたものである。記録紙Pは、熱を加えると発色する感熱紙であり、各種ラベルやレシート、チケット等の印刷等に好適に使用される。記録紙Pは、中空孔を有するように巻回されたロール紙Rの状態でサーマルプリンタ1にセットされ、ロール紙Rから引き出された部分に対して印刷が行われる。
【0019】
サーマルプリンタ1は、ケーシング3と、表示部4と、制御部5と、印字ユニット10と、を有する。ケーシング3は、ABSやABSとポリカーボネートとの複合材等のプラスチックや金属材料により中空箱状に形成されている。ケーシング3は、直方体状の本体部6と、本体部6の長手方向の一端部において、本体部6の厚み方向の一方側に突出したロール紙収容部7と、を有する。
【0020】
本体部6の長手方向の一端部には、印字ユニット10が収容されている。また、本体部6の長手方向の一端部の端面には、排出口3aが形成されている。排出口3aは、印字ユニット10を通って印刷された記録紙Pが排出される。本体部6の厚み方向においてロール紙収容部7と反対側の主面には、表示部4が配置されている。表示部4は、例えば液晶パネルであって、制御部5に接続されて各種の情報を表示する。ロール紙収容部7には、ロール紙Rが収容されている。
【0021】
(記録紙)
図2は、一実施形態に係る記録紙Pの平面図である。
図2に示すように、記録紙Pは、剥離可能な複数のラベルP1を有する。ラベルP1は、記録紙Pの印字面と反対側の剥離紙P3(ベース紙)に接着された感熱層を矩形にダイカットしたものであり、記録紙Pの長手方向に間隔をあけて複数形成されている。ラベルP1の周囲には、枠状のライナーP2が形成されている。ラベルP1は、ライナーP2を残して剥離紙P3から剥離可能とされている。このように、本実施形態の記録紙Pは、ライナーP2有りのラベル剥離紙である。
【0022】
(印字ユニット)
図3は、一実施形態に係る印字ユニット10の正面側斜視図である。図4は、一実施形態に係る印字ユニット10の正面側分解斜視図である。図3は、一実施形態に係る印字ユニット10の背面側斜視図である。
図3に示すように、印字ユニット10は、従動ギヤ56を有するプラテンローラ51と、プラテンローラ51を回転させるモータ61と、プラテンローラ51を回転可能に支持するとともにモータ61が組み付けられる本体フレーム11と、モータ61の駆動力を減速して従動ギヤ56に伝達する第1減速ギヤ65および第2減速ギヤ66と、プラテンローラ51の周面に圧接されるサーマルヘッド41と、を有する。
【0023】
印字ユニット10は、プラテンローラ51とサーマルヘッド41との間を通った記録紙Pを矢印Aが指向する方向に向かって排出する。以下、主に印字ユニット10の説明では、矢印Aに沿う方向を上下方向L1と定義する。また、プラテンローラ51の回転軸が延びる軸方向であって、上下方向L1と直交する方向を左右方向L2と定義する。さらに、上下方向L1および左右方向L2に直交する方向を前後方向L3と定義する。
【0024】
なお、上下方向L1において、記録紙Pが排出される側(矢印Aが指す側)を上と定義し、その反対側を下と定義する。また、左右方向L2において、モータ61が配置されている側を右と定義し、その反対側を左と定義する。また、前後方向L3において、プラテンローラ51が配置されている側を前と定義し、その反対のサーマルヘッド41が配置されている側を後と定義する。
【0025】
本体フレーム11は、例えばガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂等の板材により形成されている。本体フレーム11は、上下方向L1から見て前方に向けて開放されたU字状に形成されている。具体的に、本体フレーム11は、左右方向L2に延在する背板部12と、背板部12の左右方向L2における一方側(左側)の端部から前方に向けて立設された第1側壁部13と、背板部12の左右方向L2における他方側(右側)の端部から前方および下方に向けて立設された第2側壁部14と、第1側壁部13と第2側壁部14との間に設けられた紙ガイド部20と、を有する。
【0026】
背板部12は、前後方向L3に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部13は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部13の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第1ローラ挿入溝16Aが形成されている。第2側壁部14は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第2側壁部14の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第2ローラ挿入溝16Bが形成されている。
【0027】
第2ローラ挿入溝16Bは、左右方向L2から見た形状および形成位置が第1ローラ挿入溝16Aと一致するように形成されている。第1ローラ挿入溝16Aおよび第2ローラ挿入溝16Bには、プラテンローラ51が着脱可能に挿入される。第2側壁部14は、背板部12の左右方向L2における他方側(右側)の端部から前方に向かって延び、さらに下方に向かって延びている。
【0028】
第2側壁部14のうち、第2側壁部14と背板部12との接続部よりも下側には、モータ61が取り付けられている。モータ61は、第2側壁部14に対して左右方向L2の内側から取り付けられるとともに、モータ61の出力軸61Aが第2側壁部14を貫通して第2側壁部14の左右方向L2の外側に突出している。モータ61は、図示しない配線パターンがプリント配線されたフレキシブルプリント基板71を介して、制御部5(図1参照)に接続されている。モータ61は、制御部5からの信号に基づいて駆動する。
【0029】
第2側壁部14の外側には、ギヤボックス部17が形成されている。ギヤボックス部17は、第2側壁部14の周縁から左右方向L2の外側に向かって立設された周壁部18を有する。周壁部18は、左右方向L2から見て上方に向けて開放されたU字状に形成されている。ギヤボックス部17は、左右方向L2の外側に向かって開口している。
【0030】
周壁部18の前側の上端縁、および後側の上端縁には、下方に向かって凹む凹部19がそれぞれ形成されている。一対の凹部19は、前後方向L3から見て互いに形状および位置が一致するように形成されている。また、周壁部18の下部には、孔部18aが形成されている。これら一対の凹部19及び孔部18aには、ギヤボックス部17を覆う図示しないカバー部材が係合する。
【0031】
ギヤボックス部17の内部には、第1減速ギヤ65および第2減速ギヤ66が組み付けられている。図4に示すように、第1減速ギヤ65は、第2側壁部14から立設された第1回転軸67により回転自在に支持されている。第1減速ギヤ65は、モータ61の出力軸61Aに噛合している。第2減速ギヤ66は、第1回転軸67よりも上方において第2側壁部14から立設された第2回転軸68により回転自在に支持されている。第2減速ギヤ66は、第1減速ギヤ65に噛合している。
【0032】
紙ガイド部20は、左右方向L2に沿って延びる略直角三角形の柱状に形成されている。紙ガイド部20は、左右方向L2の一方側(左側)の端部が第1側壁部13の内側面に接続するとともに、左右方向L2の他方側(右側)の端部が第2側壁部14の内側面に接続している。紙ガイド部20には、前後方向L3から見て下方に向かって凹む一対の取付部20aが形成されている。
【0033】
一対の取付部20aは、左右方向L2に間隔をあけて形成されている。取付部20aの底部には、取付部20aの底部を上下方向に貫通する貫通孔20bが設けられている。本体フレーム11は、紙ガイド部20の貫通孔20bにボルト等の締結部材を挿通させて、ケーシング3(図1参照)に対して取り付けられている。
【0034】
サーマルヘッド41は、記録紙P(図3参照)に対して印刷を行うものである。サーマルヘッド41は、前後方向L3から見て左右方向L2を長手方向とした矩形状に形成されている。サーマルヘッド41は、その長手方向と記録紙Pの幅方向とが一致した状態で配置されている。サーマルヘッド41のヘッド面41aには、左右方向L2に多数の発熱素子42が配列されている。
【0035】
ヘッド面41aは、記録紙Pの印字面と対向しており、プラテンローラ51の外周面との間で記録紙Pを挟持し得るようになっている。サーマルヘッド41は、フレキシブルプリント基板71を介して、制御部5(図1参照)に接続され、サーマルヘッド41上に搭載されたドライバーIC(不図示)が、制御部5からの信号に基づいて、発熱素子42の発熱を制御している。サーマルヘッド41は、発熱素子42の発熱が制御されて、各種の文字や図形等を記録紙Pの印字面へ印刷する。
【0036】
サーマルヘッド41は、本体フレーム11に支持されたヘッド支持体45に貼り付け固定されている。ヘッド支持体45は、左右方向L2を長手方向とした板状の部材であり、前面にサーマルヘッド41が貼り付け固定されている。ヘッド支持体45は、第1側壁部13と第2側壁部14との間に配置されているとともに、背板部12と紙ガイド部20との間(後述する図7参照)に配置されている。
【0037】
図5に示すように、ヘッド支持体45と背板部12との間には、ヘッド支持体45と背板部12とを互いに離間させる方向に向けて付勢する弾性部材46が介装されている。すわなち、弾性部材46は、ヘッド支持体45を前方に向けて常に押圧するように構成されている。弾性部材46は、左右方向L2に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)配列されている。
【0038】
図4に示すように、ヘッド支持体45の上端部には、ヘッド支持体45の回動範囲を規制するための一対のストッパ45aが形成されている。一対のストッパ45aは、略四角柱状に形成され、ヘッド支持体45における左右方向L2の外側に向けて延出している。一対のストッパ45aは、本体フレーム11の第1側壁部13の上部に形成された矩形状の孔部13a、および第2側壁部14の上部に形成された矩形状の孔部14a内に挿入されている。ストッパ45aは、ヘッド支持体45の回動に伴って孔部13a,14a内を移動し、孔部13a,14aの内壁面に接触可能に構成されている。ストッパ45aは、孔部13a,14aの内壁面に接触することにより、ヘッド支持体45の回動量を規制している。
【0039】
図3に示すように、プラテンローラ51は、サーマルヘッド41に対向配置され、サーマルヘッド41との間に記録紙Pを挟んだ状態で回転することで、記録紙Pを矢印Aの指向する方向に送り出す。プラテンローラ51は、ローラシャフト52と、ローラシャフト52に外装されたローラ本体53と、ローラシャフト52の両端に装着された一対の軸受54と、を有する。ローラシャフト52は、本体フレーム11の第1側壁部13と第2側壁部14との離間距離よりやや長く形成されている。ローラ本体53は、例えばゴム等により形成され、左右方向L2に沿って、ローラシャフト52の両端を除く全体に亘って一様に配置されている。
【0040】
プラテンローラ51は、両端に装着された一対の軸受54が本体フレーム11の第1ローラ挿入溝16Aおよび第2ローラ挿入溝16Bに挿入される。これによりプラテンローラ51は、本体フレーム11に対して回転可能に、かつ着脱可能に保持される。プラテンローラ51は、第1ローラ挿入溝16Aおよび第2ローラ挿入溝16Bに挿入された状態において、ロール紙R(図1参照)から引き出された記録紙Pを間に挟み、ローラ本体53がサーマルヘッド41に対して接触するように設けられている。
【0041】
図3に示すように、プラテンローラ51の左右方向L2における他方側(右側)の端部には、従動ギヤ56が固定されている。従動ギヤ56は、プラテンローラ51が第1側壁部13および第2側壁部14に保持されたときに、ギヤボックス部17の上部に組み付けられる。この際、従動ギヤ56は、左右方向L2から見て第2減速ギヤ66と重なるとともに第2減速ギヤ66よりも内側に配置され、第2減速ギヤ66に噛合している。これにより、モータ61からの回転駆動力は、第1減速ギヤ65および第2減速ギヤ66を介して従動ギヤ56に伝達される。プラテンローラ51は、第1側壁部13および第2側壁部14に保持された状態で回転し、記録紙P(図2参照)を送り出すことができる。
【0042】
図6は、一実施形態に係る印字ユニット10の正面図である。図7は、図6に示す矢視VII-VII断面図である。図8は、一実施形態に係る印字ユニット10の電装関係の正面側分解斜視図である。
図7に示すように、紙ガイド部20は、サーマルヘッド41による印字エリア100に向かって、鋭角方向から記録紙Pを挿入するガイド斜面21を有している。
【0043】
ここで印字エリア100とは、発熱素子42が設けられたサーマルヘッド41のヘッド面41aであって、プラテンローラ51に対向する領域を言う。印字エリア100は、狭義にはヘッド面41aのうち、プラテンローラ51の周面に圧接している領域を言う。本実施形態の印字エリア100は、上下方向L1及び左右方向L2に延びる平面領域となっている。
【0044】
ガイド斜面21は、印字エリア100に対して角度θ1で傾斜している。角度θ1は、印字エリア100を基準面の0°としたときに、90°未満の鋭角となっている。角度θ1は、57.5°以下の鋭角であるとよい。これにより、記録紙Pに強い曲げを加えずに、ラベルP1(図2参照)の剥離を防止して、記録紙Pを印字エリア100に挿入することができる。つまり、角度θ1の上限は、57.5°であるとよい。
【0045】
一方、角度θ1の下限は、角度θ2であるとよい。角度θ2は、印字エリア100からモータ61の周面61aに引いた接線101が、印字エリア100に対してなす角度である。モータ61の周面61aは、図3に示すように、記録紙Pの通紙経路内に配置されており、記録紙Pをガイドしている。角度θ1が角度θ2未満である場合、ガイド斜面21に対して記録紙Pが浮くため好ましくない。つまり、ガイド斜面21は、印字エリア100に対して角度θ2以上の角度で傾斜しているとよい。
【0046】
本実施形態のガイド斜面21は、印字エリア100に対して37.5°の鋭角で傾斜している。ガイド斜面21を37.5°にすることで、後述するセンサ81をガイド斜面21にレイアウトするために必要な最小限の内部スペースを紙ガイド部20に確保することができる。このように、角度θ1は、角度θ2以上且つ57.5°以下、より好ましくは37.5°以上且つ57.5°以下であるとよい。
【0047】
図6に示すように、ガイド斜面21には、センサ81を配置する開口部22が形成されている。開口部22は、正面視でT字状に形成されている。開口部22は、ガイド斜面21の左右方向において、一対の取付部20aの間に配置されている。開口部22は、一対の取付部20aの間において、左右方向の一方側(左側)の取付部20a寄りに配置されている。
【0048】
開口部22には、記録紙Pを検出するセンサ81が配置されている。本実施形態のセンサ81は、フォトリフレクタである。なお、センサ81は、フォトリフレクタ以外の非接触式のセンサであってもよい。また、センサ81は、接触式のセンサであっても構わない。センサ81は、図8に示すように、フレキシブルプリント基板71に設けられている。
【0049】
フレキシブルプリント基板71は、発熱素子42に接続されたヘッド接続部72と、モータ61に接続されたモータ接続部73と、センサ81に接続されたセンサ接続部74と、を備えている。センサ接続部74及びセンサ81は、センサホルダ91とともに、紙ガイド部20の開口部22に対し、紙ガイド部20の底面側から挿入されている。センサホルダ91は、樹脂成形部品であり、紙ガイド部20の開口部22に対し着脱可能に係合している。
【0050】
図9は、一実施形態に係るセンサホルダ91の正面側斜視図である。図10は、一実施形態に係るセンサホルダ91の正面図である。図11は、一実施形態に係るセンサホルダ91の平面図である。図12は、一実施形態に係るセンサホルダ91の底面図である。図13は、一実施形態に係るセンサホルダ91の左側面図である。図14は、一実施形態に係るセンサホルダ91の右側面図である。
図9に示すように、センサホルダ91は、ベース部92と、第1斜面部93Aと、第2斜面部93Bと、係合部94と、を備えている。
【0051】
ベース部92は、図9及び図10に示すように、上下方向L1に厚みを有する板状に形成されている。ベース部92は、図11に示すように、第1斜面部93Aと第2斜面部93Bの左右方向L2の内側面同士を接続している。ベース部92の上面には、ベース部92の曲げ剛性を高めるリブ92aが立設している。リブ92aもまた、左右方向L2に延在し、第1斜面部93Aと第2斜面部93Bの左右方向L2の内側面同士を接続している。
【0052】
第1斜面部93Aは、図13に示す左側面視で略直角三角形状に形成されている。また、第2斜面部93Bもまた、図14に示す右側面視で略直角三角形状に形成されている。第1斜面部93A及び第2斜面部93Bは、同じ角度で傾斜している。なお、第1斜面部93A及び第2斜面部93Bの底面には、図12に示すように、樹脂成形時の肉盗み97が形成されている。第1斜面部93A及び第2斜面部93Bは、図9に示すように、左右方向L2において空間をあけて配置されている。当該空間は、センサ81を配置できる左右方向L2の寸法を有する。
【0053】
第1斜面部93A及び第2斜面部93Bは、フレキシブルプリント基板71におけるセンサ81の両側のセンサ接続部74を保持することで、フレキシブルプリント基板71を介してセンサ81を間接的に保持している。なお、紙ガイド部20には、図8に示すように、第1斜面部93A及び第2斜面部93Bとの間で、フレキシブルプリント基板71(センサ接続部74)を挟み込む一対の挟持部23が形成されている。一対の挟持部23は、紙ガイド部20の開口部22の上端開口縁から開口部22の内側に向かって張り出している。
【0054】
センサ接続部74の左右方向L2における両側の上端部には、一対の切欠部74bが形成されている。第1斜面部93A及び第2斜面部93Bには、一対の切欠部74bに対応する位置に、センサホルダ91の頂部から一段下がった一対の肩部95が形成されている。一対の肩部95は、ガイド斜面21の裏面側に配置され、その上面が紙ガイド部20の内部の天井面に当接することで、センサホルダ91の上下方向L1における位置決めを行っている。
【0055】
係合部94は、開口部22の後側の内壁面に形成された被係合部24に対し、着脱可能に係合している。係合部94は、図9及び図11に示すように、左右方向L2において第1斜面部93Aと第2斜面部93Bとの間に配置されるとともに、ベース部92の後側に連設されている。係合部94は、ベース部92から後方に延びた後、上方に屈曲し、その上端部には、後方に向かって突出した突起(フック)を備えている。係合部94は、第1斜面部93Aと第2斜面部93Bとの間の空間において、前後に弾性変形可能とされている。
【0056】
係合部94は、図7に示すように、被係合部24に係合する。これにより、センサホルダ91が紙ガイド部20に組み付けられる。センサホルダ91には、開口部22の前側の内壁面22aに対し、フレキシブルプリント基板71の厚みに応じて凹んだ凹部96が形成されている。凹部96は、図9に示すように、第2斜面部93Bの前側下端部に形成されている。凹部96には、図8に示す、センサ接続部74の帯部74aが配設される。これにより、センサホルダ91と開口部22の内壁面22aの間の挟み込みによって、帯部74aに形成された配線パターンに損傷を与えないようにすることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の印字ユニット10は、記録紙Pを搬送するプラテンローラ51と、プラテンローラ51の周面に圧接し、記録紙Pに印字するサーマルヘッド41と、サーマルヘッド41による印字エリア100に向かって、鋭角方向から記録紙Pを挿入する紙ガイド部20と、を備える。これにより、記録紙Pに強い曲げを加えずに、記録紙Pを印字エリア100に挿入することができる。したがって、記録紙PのラベルP1の剥離を防止することができる。また、紙ガイド部20は、従来の四角柱状の紙ガイド部よりもスリム化されるため、装置の小型化、省スペース化に寄与することができる。
【0058】
また、本実施形態において、図7に示すように、紙ガイド部20は、印字エリア100に向かって、57.5°以下の鋭角方向から記録紙Pを挿入する。この構成によれば、特定の温度条件下(例えばラベルの粘着性が低下する5℃以下)においても、記録紙PのラベルP1の剥離を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態において、プラテンローラ51を回転させるモータ61を備え、モータ61は、記録紙Pをガイドする周面61aを有しており、紙ガイド部20は、印字エリア100に向かって、印字エリア100からモータ61の周面61aに引いた接線101以上の角度θ1の鋭角方向から記録紙Pを挿入する。この構成によれば、記録紙Pの浮きを防止し、印字された記録紙Pに皺などが生じないようにすることができる。
【0060】
また、本実施形態において、紙ガイド部20は、開口部22が形成されたガイド斜面21を有し、開口部22に配置され、記録紙Pを検出するセンサ81と、開口部22に着脱可能に係合し、ガイド斜面21に沿ってセンサ81を斜めに保持するセンサホルダ91と、を備える。この構成によれば、印字エリア100に対し斜めになったガイド斜面21に沿ってセンサ81を容易に配置することができる。
【0061】
また、本実施形態において、図8に示すように、センサ81は、フレキシブルプリント基板71に設けられ、センサホルダ91は、センサ81の両側のフレキシブルプリント基板71を保持することで、フレキシブルプリント基板71を介してセンサ81を間接的に保持する第1斜面部93A及び第2斜面部93Bを有する。この構成によれば、センサ81の端子などの凹凸の影響で、センサホルダ91がセンサ81を傾いた状態で保持しないようにすることができる。
【0062】
また、本実施形態において、第1斜面部93A及び第2斜面部93Bのいずれか一方(本実施形態では第2斜面部93B)には、図7に示すように、開口部22の内壁面22aに対し、フレキシブルプリント基板71の厚みに応じて凹んだ凹部96が形成されている。この構成によれば、センサホルダ91と共に開口部22に挿入されるフレキシブルプリント基板71の帯部74aに損傷を与えないようにすることができる。
【0063】
また、本実施形態において、センサホルダ91は、第1斜面部93A及び第2斜面部93Bの間のセンサ81の背面側の空間Sに、開口部22に対し着脱可能に係合する係合部94を有する。この構成によれば、第1斜面部93A及び第2斜面部93Bの間のセンサ81の背面側の空間Sを利用して、係合部94を前後方向に弾性変形させることができ、開口部22に対するセンサホルダ91の着脱が容易になる、
【0064】
また、本実施形態において、記録紙Pは、図2に示すように、剥離可能な複数のラベルP1を有する。この構成によれば、記録紙Pの通紙経路でのラベルP1の剥離を防止できる。
【0065】
また、本実施形態のサーマルプリンタ1は、上記印字ユニット10を備える。この構成によれば、記録紙Pに強い曲げを加えずに印字を行うことができる。
【0066】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、記録紙Pとしてラベル剥離紙を例示したが、記録紙Pはレシートやチケットであっても構わない。また、記録紙Pは、ライナーP2無しのラベル剥離紙であっても構わない。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…サーマルプリンタ、3…ケーシング、3a…排出口、4…表示部、5…制御部、6…本体部、7…ロール紙収容部、10…印字ユニット、11…本体フレーム、12…背板部、13…第1側壁部、13a…孔部、14…第2側壁部、14a…孔部、16A…第1ローラ挿入溝、16B…第2ローラ挿入溝、17…ギヤボックス部、18…周壁部、18a…孔部、19…凹部、20…紙ガイド部、20a…取付部、20b…貫通孔、21…ガイド斜面、22…開口部、22a…内壁面、23…挟持部、24…被係合部、41…サーマルヘッド、41a…ヘッド面、42…発熱素子、45…ヘッド支持体、45a…ストッパ、46…弾性部材、51…プラテンローラ、52…ローラシャフト、53…ローラ本体、54…軸受、56…従動ギヤ、61…モータ、61a…周面、61A…出力軸、65…第1減速ギヤ、66…第2減速ギヤ、67…第1回転軸、68…第2回転軸、71…フレキシブルプリント基板、72…ヘッド接続部、73…モータ接続部、74…センサ接続部、74a…帯部、74b…切欠部、81…センサ、91…センサホルダ、92…ベース部、92a…リブ、93A…第1斜面部、93B…第2斜面部、94…係合部、95…肩部、96…凹部、100…印字エリア、101…接線、A…矢印、IC…ドライバー、L1…上下方向、L2…左右方向、L3…前後方向、P…記録紙、P1…ラベル、P2…ライナー、P3…剥離紙、R…ロール紙、S…空間、θ1…角度、θ2…角度
図1
図2
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図10
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