(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】トナー収納容器、画像形成装置、及び、シャッタユニット
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G03G15/08 348A
G03G15/08 348B
(21)【出願番号】P 2020191163
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】上杉 崇
(72)【発明者】
【氏名】北村 元
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 誠司
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120850(JP,A)
【文献】特開2014-199387(JP,A)
【文献】特開2003-202745(JP,A)
【文献】特開2012-234115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0129330(US,A1)
【文献】中国実用新案第207366938(CN,U)
【文献】特開2018-194706(JP,A)
【文献】特開2005-189423(JP,A)
【文献】特開2013-113945(JP,A)
【文献】特開2019-023727(JP,A)
【文献】特開2013-254170(JP,A)
【文献】特開2016-018003(JP,A)
【文献】特開2002-302169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー収納容器であって、
前記画像形成装置本体への所定の挿入方向への当該トナー収納容器の移動に連動して、前記画像形成装置本体に設置されたノズルに押動されて、前記ノズルを当該トナー収納容器の内部に挿入させて、前記ノズルの周面に形成された開口を介して前記ノズルと当該トナー収納容器とを連通させるシャッタ部材と、
前記シャッタ部材によって開閉される貫通穴部と、前記貫通穴部に対して前記挿入方向の上流側に開口するように形成されて前記貫通穴部に連通する開口部と、を具備して、前記シャッタ部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記ノズルに押動されていない閉鎖状態の前記シャッタ部材の周面を覆うように形成されて、前記ノズルに押動される開放動作時の前記シャッタ部材の周面と前記ノズルの周面とに摺接するように形成されたシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、
その前記挿入方向の長さが、前記ノズルの前記開口の前記挿入方向の長さよりも長くなるように形成され
るとともに、
前記保持部材において、前記貫通穴部の内部から前記開口部の側に突き出して、前記挿入方向の上流側の先端が前記開口部の空間内に位置することを特徴とするトナー収納容器。
【請求項2】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー収納容器であって、
前記画像形成装置本体への所定の挿入方向への当該トナー収納容器の移動に連動して、前記画像形成装置本体に設置されたノズルに押動されて、前記ノズルを当該トナー収納容器の内部に挿入させて、前記ノズルの周面に形成された開口を介して前記ノズルと当該トナー収納容器とを連通させるシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記ノズルに押動されていない閉鎖状態の前記シャッタ部材の周面を覆うように形成されて、前記ノズルに押動される開放動作時の前記シャッタ部材の周面と前記ノズルの周面とに摺接するように形成されたシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、
前記保持部材の内部において前記挿入方向の上流側に形成された上流側保持面と、前記保持部材の内部において前記挿入方向の下流側に形成された下流側保持面と、の間で、前記挿入方向に圧縮されていることを特徴とするトナー収納容器。
【請求項3】
前記シール部材は、その前記挿入方向の長さが、前記ノズルの前記開口の前記挿入方向の長さよりも長くなるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載のトナー収納容器。
【請求項4】
前記シール部材は、前記上流側保持面に貼着されたことを特徴とする
請求項2又は請求項3に記載のトナー収納容器。
【請求項5】
前記保持部材は、前記上流側保持面が形成された部材が着脱可能に設置されたことを特徴とする
請求項2~請求項4のいずれかに記載のトナー収納容器。
【請求項6】
前記保持部材の前記上流側保持面と、前記閉鎖状態における前記シャッタ部材の前記挿入方向の上流側の端面と、の前記挿入方向の位置が略一致することを特徴とする
請求項2~請求項5のいずれかに記載のトナー収納容器。
【請求項7】
前記保持部材は、前記シャッタ部材が前記挿入方向の上流側に露呈する量を制限する制限部材を具備したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載のトナー収納容器。
【請求項8】
前記保持部材は、前記制限部材を前記露呈する量を減ずる方向に付勢する付勢部材を具備し、
前記制限部材は、当該トナー収納容器への前記ノズルの前記挿入方向への挿入に連動して前記ノズルに押動されて、前記付勢部材の付勢に抗して前記露呈する量が増加する方向に移動することを特徴とする請求項7に記載のトナー収納容器。
【請求項9】
前記画像形成装置本体において前記挿入方向を回転軸方向として回転可能に保持される容器本体と、
前記シャッタ部材を前記回転軸方向に移動可能に保持して、前記容器本体に非回転で保持される保持部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載のトナー収納容器。
【請求項10】
前記保持部材は、前記挿入方向の上流側に、当該トナー収納容器への前記ノズルの前記挿入方向への挿入に連動して前記ノズルに押動されて破られるシート状部材を具備したことを特徴とする請求項9に記載のトナー収納容器。
【請求項11】
前記シート状部材は、前記ノズルの押動による破れを促すための切込みが形成されたことを特徴とする請求項10に記載のトナー収納容器。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれかに記載のトナー収納容器が前記画像形成装置本体に着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置本体に対して着脱可能なトナー収納容器に設置されるシャッタユニットであって、
前記画像形成装置本体への所定の挿入方向への当該トナー収納容器の移動に連動して、前記画像形成装置本体に設置されたノズルに押動されて、前記ノズルを当該トナー収納容器の内部に挿入させて、前記ノズルの周面に形成された開口を介して前記ノズルと当該トナー収納容器とを連通させるシャッタ部材と、
前記シャッタ部材によって開閉される貫通穴部と、前記貫通穴部に対して前記挿入方向の上流側に開口するように形成されて前記貫通穴部に連通する開口部と、を具備して、前記シャッタ部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記ノズルに押動されていない閉鎖状態の前記シャッタ部材の周面を覆うように形成されて、前記ノズルに押動される開放動作時の前記シャッタ部材の周面と前記ノズルの周面とに摺接するように形成されたシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、
その前記挿入方向の長さが、前記ノズルの前記開口の前記挿入方向の長さよりも長くなるように形成され
るとともに、
前記保持部材において、前記貫通穴部の内部から前記開口部の側に突き出して、前記挿入方向の上流側の先端が前記開口部の空間内に位置することを特徴とするシャッタユニット。
【請求項14】
画像形成装置本体に対して着脱可能なトナー収納容器に設置されるシャッタユニットであって、
前記画像形成装置本体への所定の挿入方向への当該トナー収納容器の移動に連動して、前記画像形成装置本体に設置されたノズルに押動されて、前記ノズルを当該トナー収納容器の内部に挿入させて、前記ノズルの周面に形成された開口を介して前記ノズルと当該トナー収納容器とを連通させるシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記ノズルに押動されていない閉鎖状態の前記シャッタ部材の周面を覆うように形成されて、前記ノズルに押動される開放動作時の前記シャッタ部材の周面と前記ノズルの周面とに摺接するように形成されたシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、
前記保持部材の内部において前記挿入方向の上流側に形成された上流側保持面と、前記保持部材の内部において前記挿入方向の下流側に形成された下流側保持面と、の間で、前記挿入方向に圧縮されていることを特徴とするシャッタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーが収納されるトナー収納容器と、それを備えた画像形成装置と、トナー収納容器に設置されるシャッタユニットと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置において、円筒状のトナー収納容器(粉体収容容器)が着脱可能に設置されるものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1におけるトナー収納容器(粉体収容容器)は、画像形成装置本体への装着動作に連動して、画像形成装置本体に設置されたノズル(搬送管)に押動されるシャッタ部材(容器シャッタ)が設置されている。そして、シャッタ部材がノズルに押動されると、そのノズルがそのままトナー収納容器の内部に挿入されて、ノズルの周面に形成された開口(ノズル開口)を介してノズルとトナー収納容器とが連通する。このようにして、トナー収納容器の内部に収納されたトナーが、ノズルを介して外部に排出可能な状態になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトナー収納容器は、画像形成装置本体からトナー収納容器を取り出すときに、シャッタ部材の近傍からトナーが飛散する不具合が生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成装置本体からトナー収納容器を取り出すときにトナー飛散が生じにくい、トナー収納容器、画像形成装置、及び、シャッタユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるトナー収納容器は、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー収納容器であって、前記画像形成装置本体への所定の挿入方向への当該トナー収納容器の移動に連動して、前記画像形成装置本体に設置されたノズルに押動されて、前記ノズルを当該トナー収納容器の内部に挿入させて、前記ノズルの周面に形成された開口を介して前記ノズルと当該トナー収納容器とを連通させるシャッタ部材と、前記シャッタ部材によって開閉される貫通穴部と、前記貫通穴部に対して前記挿入方向の上流側に開口するように形成されて前記貫通穴部に連通する開口部と、を具備して、前記シャッタ部材を移動可能に保持する保持部材と、前記ノズルに押動されていない閉鎖状態の前記シャッタ部材の周面を覆うように形成されて、前記ノズルに押動される開放動作時の前記シャッタ部材の周面と前記ノズルの周面とに摺接するように形成されたシール部材と、を備え、前記シール部材は、その前記挿入方向の長さが、前記ノズルの前記開口の前記挿入方向の長さよりも長くなるように形成されるとともに、前記保持部材において、前記貫通穴部の内部から前記開口部の側に突き出して、前記挿入方向の上流側の先端が前記開口部の空間内に位置するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置本体からトナー収納容器を取り出すときにトナー飛散が生じにくい、トナー収納容器、画像形成装置、及び、シャッタユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】トナー補給装置とその近傍とを示す全体構成図である。
【
図5】トナー収納容器にトナー搬送ノズルが装着される動作を示す概略図である。
【
図6】トナー収納容器におけるシャッタ部材が移動する状態を示す図である。
【
図7】変形例1としての、トナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図8】
図7のトナー収納容器におけるシャッタユニットを示す斜視図である。
【
図9】変形例1における別形態のトナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図10】変形例2としての、トナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図11】
図10のトナー収納容器におけるシャッタユニットを示す斜視図である。
【
図12】変形例2における別形態のトナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図13】変形例3としての、トナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図14】
図13のトナー収納容器におけるシャッタユニットを示す斜視図である。
【
図15】変形例4としての、トナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図16】
図15のトナー収納容器におけるシャッタユニットを示す斜視図である。
【
図17】変形例5としての、トナー収納容器の要部を示す断面図である。
【
図18】
図17のトナー収納容器におけるシャッタユニットを示す斜視図である。
【
図19】変形例5における別形態のトナー収納容器のシャッタユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1~
図3にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2は作像部を示す拡大図であり、
図3はそのトナー補給装置とその近傍とを示す構成図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にある設置部31(トナー容器受台)には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4色の略円筒状のトナー収納容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に載置されている。また、各トナー収納容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置のホッパ81Y、81M、81C、81Kが配設されている。
また、設置部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって
図2の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(書込み部)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置(不図示)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光装置7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、2次転写対向ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、中間転写クリーニング装置10等で構成される。中間転写ベルト8は、3つのローラ12~14によって張架・支持されるとともに、1つのローラ12の回転駆動によって
図1の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)の位置に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2にて、作像部における現像装置(被補給部)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51と、現像ローラ51に対向するドクターブレード52と、現像剤収容部53、54内に配設された2つの搬送スクリュ55と、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56と、等で構成される。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53、54内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0025】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51のスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー収納容器32Yに収容されているトナーが、補給装置としてのトナー補給装置90を介して現像剤収容部54内に補給される。
【0026】
その後、現像剤収容部54内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53、54を循環する(
図2の紙面垂直方向の長手方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
現像ローラ51上に担持された現像剤は、
図3中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0027】
次に、
図3にて、トナー補給装置90(補給装置)の構成・動作について、簡単に説明する。
トナー補給装置90は、設置部31に設置されたトナー収納容器32Y(粉体収納容器)の容器本体33を所定方向(
図3の矢印方向である。)に回転駆動して、トナー収納容器32Yの内部に収納された粉体としてのトナーを容器外に排出して、サブホッパ70を介して被補給部としての現像装置5Yに導くためのものであって、トナー補給経路(トナー搬送経路)を形成している。
なお、
図3は、理解を容易にするために、トナー収納容器32Y、トナー補給装置90、現像装置5Yの配置方向などを変えて図示している。実際には、
図3において、トナー収納容器32Yとトナー補給装置90の一部との長手方向が紙面垂直方向になるように配設されている(
図1参照)。また、搬送管95、96の向きや配置も簡略化して図示している。
【0028】
画像形成装置本体100の設置部31に設置された各トナー収納容器32Y、32M、32C、32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置を経て適宜に各現像装置内に補給される。4つのトナー補給装置は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。
詳しくは、
図3(及び
図5)を参照して、トナー収納容器32Yが装置本体100の設置部31にセットされると、トナー収納容器32Yのシャッタ部材35が装置本体100のトナー搬送ノズル91(ノズル)に押動されて、トナー搬送ノズル91が貫通穴部34a1を介してトナー収納容器32Y(容器本体33)の内部に挿入される。これにより、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーの排出(トナー搬送ノズル91を介した排出である。)が可能になる。
なお、トナー収納容器32Yの底部(
図3の左方である。)には、トナー収納容器32Yの設置部31への装着操作を容易にするための把持部33d(容器本体33の外径よりも小さな外径で形成されている。)が形成されている。ユーザーは、把持部33dを把持しながら、トナー収納容器32Yを設置部31にセットしたり、設置部31からトナー収納容器32Yを取り出したりすることになる。
【0029】
ここで、
図3を参照して、トナー収納容器32Yには、長手方向(
図3の左右方向であって、容器本体33の回転軸方向である。)に螺旋状の溝33aが形成された容器本体33が設けられている。具体的に、この螺旋状の溝33aは、容器本体33の外周面から内周面にかけて形成されていて、容器本体33を回転駆動して容器本体33内のトナーを
図3の左方から右方に搬送するためのものである。容器本体33の内部において
図3の左方から右方に搬送されたトナーは、トナー搬送ノズル91を介して容器外部に排出されることになる。なお、本実施の形態では、螺旋状の溝33aが形成された容器本体33を回転駆動してトナーを搬送するように構成したが、トナー収納容器32Yへの回転駆動により容器本体33の内部を
図3の左方から右方に搬送するように構成することもできる(例えば、回転駆動により右方にトナーを搬送するように形成された傾斜面等が容器本体33の内部や容器本体33の内周面に設けられたものである。)。
また、容器本体33の頭部側(
図3の右方である。)の外周面には、画像形成装置本体100の駆動ギア110に噛合するギア部37が形成されている。トナー収納容器32Yが設置部31に装着されると、容器本体33のギア部37が画像形成装置本体100の駆動ギア110に噛合することになる。そして、駆動モータ115が駆動されると、そのモータ軸に設置された駆動ギア110からギア部37に駆動が伝達されて、容器本体33が回転駆動されることになる。すなわち、駆動モータ115と駆動ギア110とが、容器本体33を回転駆動する駆動機構として機能することになる。
なお、トナー収納容器32Yの構成・動作については、後でさらに詳しく説明する。
【0030】
一方、
図3を参照して、トナー搬送ノズル91には、搬送スクリュ92が内設されている。そして、搬送スクリュ92がモータ93によって回転駆動されることで、トナー収納容器32Yの内部において開口91a(流入口であって、
図5参照)からトナー搬送ノズル91内に流入されたトナーが、搬送スクリュ92によって
図3の左方から右方に搬送される。そして、トナー搬送ノズル91の流出口からホッパ81に向けてトナーが排出される。
ここで、トナー搬送ノズル91の流出口の下方には、落下経路部82を介してホッパ81が設けられている。ホッパ81内に貯留されたトナーは、搬送手段によって下流にある現像装置に搬送される。
図3における搬送手段による搬送構成を以下に示す。
ホッパ81の底部には吸引口83が設けられていて、この吸引口83が搬送管95(チューブ)の一端に接続されている。搬送管95は、親トナー性の低いフレキシブルなゴム材料からなり、その他端が現像剤ポンプ60(ダイヤフラムポンプ)に接続されている。現像剤ポンプ60は、サブホッパ70、搬送管96を介して現像装置5Yに接続されている。 このように構成されたトナー補給装置90において、駆動モータ115(駆動機構)によってトナー収納容器32Yの容器本体33が回転駆動されて、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーがトナー搬送ノズル91を介して容器外に排出される。トナー収納容器32Yから排出されたトナーは、落下経路部82を落下してホッパ81に貯留される。ホッパ81に貯留されたトナーは、現像剤ポンプ60が稼働することで、空気とともに吸引口83から吸引されて搬送管95を介して現像剤ポンプ60からサブホッパ70に向けて搬送される。そして、サブホッパ70に搬送されて貯留されたトナーは、搬送管96を介して現像装置5Y内に適宜に補給される。すなわち、トナー収納容器32Y内のトナーは、
図3中の破線矢印方向に搬送されることになる。
なお、搬送手段は上記のものに限られず、例えば、ホッパ81内に貯留されたトナーをホッパ81に設けられたスクリュ等で直接的に現像装置5Yに搬送するように構成されたものであってもよい。
【0031】
トナー残量検知センサ86は、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーが空になった状態(トナーエンド状態)、又は、それに近い状態(トナーニアエンド状態)を間接的に検知するためのものであって、吸引口83に近い位置に設置されている。そして、トナー残量検知センサ86の検知結果に基づいて、トナー収納容器32Yからトナーを排出している。
詳しくは、トナー残量検知センサ86としては、圧電センサ、透過光センサなどを用いることができる。トナー残量検知センサ86の検知面の高さは、吸引口83の上方に堆積されるトナー量(堆積高さ)が狙いの値になるように設定されている。
そして、トナー残量検知センサ86の検知結果に基づいて、トナー収納容器32Y(容器本体33)を回転駆動する駆動モータ115の駆動タイミングや駆動時間が制御される。具体的に、トナー残量検知センサ86によってその位置にトナーがないものと判別された場合には駆動モータ115が所定時間だけ駆動されて、トナー残量検知センサ86によってその位置にトナーがあるものと判別された場合には駆動モータ115の駆動が停止されることになる。そして、そのような制御が繰り返しおこなわれても、トナー残量検知センサ86によってその位置にトナーがない状態が連続的に検知された場合には、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーが空になった状態(トナーエンド状態)、又は、それに近い状態(トナーニアエンド状態)であるものと判別されることになる。
【0032】
以下、
図4、
図5等を用いて、トナー収納容器32Y(32M、32C、32K)について、さらに詳しく説明する。
なお、
図4、
図5はトナー収納容器32Yの側断面図であるが、
図3におけるトナー収納容器32Yの図示方向とは逆方向から図示したものである(左右反転した図になっている)。
【0033】
先に
図1~
図3等を用いて説明したように、トナー収納容器32Yは、その内部にトナーを収納して、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるものである。
図4、
図5等を参照して、トナー収納容器32Yは、容器本体33と、シャッタユニット34~36、38と、で構成されている。また、シャッタユニットは、保持部材34、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38、などで構成されている。保持部材34には、キャップ部として機能する立設部34aが形成されている。容器本体33は、立設部34a(保持部材34)に対して固定されるとともに、内周面(内周部)に螺旋状の溝33a(
図3参照)が形成されたボトル状部材である。
そして、トナー収納容器32Yが画像形成装置本体100(設置部31)に装着された状態で、立設部34aが形成された保持部材34(及び、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38)と容器本体33は画像形成装置本体100に設置された駆動モータ115(駆動機構)によって回転駆動されて、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーがトナー搬送ノズル91を介して排出されることになる。
【0034】
図4、
図5等を参照して、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100へのトナー収納容器32Yの装着動作に連動して、トナー搬送ノズル91(画像形成装置本体100に設置されている。)が挿入される貫通穴部34a1を開閉するものである。シャッタ部材35は、樹脂材料からなり、後述するロッド部材36とともに一体成型によって形成されたものである。シャッタ部材35は、貫通穴部34a1に対して容器の内側から嵌合して係止されて、容器外には外れないように構成されている。シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態ではトナー収納容器32Yから外部にトナーは排出されず、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を開放した状態でトナー収納容器32Yから外部へのトナーの排出が可能になる。
なお、貫通穴部34a1は、容器本体33の回転中心を中心とする略円柱状の穴部である。シャッタ部材35は、そのような形状の貫通穴部34a1に嵌合するように形成された栓状部材である。
【0035】
ここで、トナー収納容器32Yには、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態で、シャッタ部材35と貫通穴部34a1との間を封止するシール部材40が設けられている。
詳しくは、シール部材40は、発泡ポリウレタンやフエルトなどの弾性材料で形成されていて、貫通穴部34a1の周面全域に沿うように立設部34aに貼着されている。そして、シール部材40は、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態ではシャッタ部材35と貫通穴部34a1との間を封止して、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を開放した状態ではトナー搬送ノズル91と貫通穴部34a1との間を封止して、容器本体33内のトナーが貫通穴部34a1から漏出しないようにしている。
なお、本実施の形態では、シール部材40の長手方向の長さMが、トナー搬送ノズル91の開口91aの挿入方向の長さNよりも長くなるように構成されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0036】
ロッド部材36は、シャッタ部材35に対して一体的に設置されている。ロッド部材36は、トナー収納容器32Yの内部においてシャッタ部材35の開閉方向(
図4、
図5の左右方向である。)に延在するように形成されている。
また、
図4に示すように、ロッド部材36は、その軸中心が、容器本体33の回転中心に略一致するように配置されている。これにより、容器本体33が回転駆動されるときに、シャッタ部材35の位置がズレてしまう不具合などが生じにくくなる。
【0037】
図4、
図5を参照して、保持部材34は、立設部34a(キャップ部)、延在部34b、等で構成され、容器本体33に固定される部材であり、装置本体100からの回転駆動力を受けて容器本体33とともにトナー搬送ノズル91の周りを回転する。
【0038】
保持部材34の立設部34a(キャップ部)は、貫通穴部34a1が形成されていて、トナー搬送ノズル91が挿入される方向(挿入方向であって、
図4、
図5の左右方向である。)に立設されている。
立設部34aには、トナー搬送ノズル91が挿入される方向の手前側(挿入方向上流側であって、
図4、
図5の左方である。)に開口する開口部34a2(空洞部)が形成されている。開口部34a2は、容器本体33の回転中心を中心とする略円柱状の凹部である。
【0039】
保持部材34の延在部34bは、トナー収納容器32Yの内部においてシャッタ部材35が設置された側に対して反対側(
図4、
図5の右方である。)でロッド部材36を開閉方向に移動可能に保持するように形成されている。延在部34bは、トナー収納容器32Y(容器本体33)の内部において
図4、
図5の左右方向に延在するように略コの字状に形成されている。
付勢手段としての圧縮スプリング38は、シャッタ部材35と延在部34bの壁部との間でロッド部材36に巻装されている。圧縮スプリング38は、貫通穴部34a1が閉鎖される方向(
図4、
図5の左方である。)にシャッタ部材35を付勢するものである。
【0040】
このような構成により、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100(設置部31)への装着動作に連動して、トナー搬送ノズル91に押動されて、圧縮スプリング38(付勢手段)の付勢力に抗するように、ロッド部材36とともにトナー収納容器32Yの内部に移動して、貫通穴部34a1を開放することになる。具体的に、シャッタ部材35(及び、ロッド部材36)は、開放時に
図5(A)、(B)の順番で動作することになる。
これに対して、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100(設置部31)からの離脱動作に連動して、トナー搬送ノズル91の押動が解除されて、圧縮スプリング38の付勢力によって、ロッド部材36とともに貫通穴部34a1の側に移動して貫通穴部34a1を閉鎖することになる。具体的に、シャッタ部材35(及び、ロッド部材36)は、閉鎖時に
図5(B)、(A)の順番で動作することになる。
なお、
図5(B)に示すように、装置本体100へのトナー収納容器32Yのセットが完了した状態のとき、シャッタ部材35は延在部34bの壁部に当接した状態になり、圧縮スプリング38はシャッタ部材35の凹部に収納された状態になる。これにより、装置本体100にトナー収納容器32Yがセットされた状態のとき、圧縮スプリング38に容器内のトナーが付着する不具合を防止することができる。
【0041】
また、
図5を参照して、本実施の形態において、トナー搬送ノズル91には、貫通穴部34a1への挿入動作に連動して開口部34a2に嵌合する嵌合部94が設けられている。
詳しくは、嵌合部94は、トナー搬送ノズル91の主部の外径よりも大きな外径で形成されていて、立設部34aの開口部34a2に嵌合可能に略円柱状に形成されている。また、嵌合部94は、トナー搬送ノズル91の主部に対して装着方向にスライド移動可能に設置されている。また、トナー搬送ノズル91には、嵌合部94を挿入方向下流側(
図5の右方である。)に付勢する圧縮スプリング97が設置されている。嵌合部94は、トナー搬送ノズル91の開口91aをカバーするカバー部材としても機能する。トナー収納容器32Yがセットされていない状態では
図5(A)に示すように開口91aを覆い、トナー収容容器32Yがセットされることで
図5(B)に示すように嵌合部94がスライド移動してトナー搬送ノズル91の主部が容器本体33の内部に挿入される。なお、
図5(A′)は、嵌合部94をスライド移動させて開口91aが露出した状態を示している。
このような構成により、嵌合部94は、トナー収納容器32Yの装着動作に連動して、トナー搬送ノズル91がトナー収納容器32Y内に挿入されると、圧縮スプリング97に付勢されて開口部34a2に嵌合することになる。これに対して、嵌合部94は、トナー収納容器32Yの離脱動作に連動して、トナー搬送ノズル91がトナー収納容器32Yから引き抜かれると、開口部34a2から引出されることになる。
【0042】
以下、
図4~
図6等を用いて、本実施の形態におけるトナー収納容器32Y(シャッタユニット34~36、38)において、特徴的な構成・動作について説明する。
先に
図1~
図5等を用いて説明したように、トナー収納容器32Yは、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるものであって、容器本体33と、36、34~38と、で構成されている。また、シャッタユニットは、保持部材34、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38、などで構成されている。
保持部材34は、シャッタ部材35をスライド移動可能に保持しており、容器本体33に固定されるものである。
また、容器本体33は、保持部材34とともに、画像形成装置本体100において挿入方向(
図4~
図6の左右方向である。)を回転軸方向として回転可能に保持されるものである。
【0043】
そして、トナー収納容器32Yには、略円柱状のシャッタ部材35や、略円筒状のシール部材40が設けられている。
シャッタ部材35は、画像形成装置本100体への所定の挿入方向への当該トナー収納容器32Yの移動(
図4~
図6の左方への移動である。)に連動して、画像形成装置本体100に設置されたノズルとしてのトナー搬送ノズル91に押動されて、トナー搬送ノズル91をトナー収納容器32Yの内部に挿入させて、トナー搬送ノズル91の周面に形成された開口91a(流入口)を介してトナー搬送ノズル91とトナー収納容器32Yとを連通させる部材である。
シール部材40は、トナー搬送ノズル91(ノズル)に押動されていない閉鎖状態のシャッタ部材35の周面を覆うように形成されて、トナー搬送ノズル91に押動される開放動作時のシャッタ部材35の周面とトナー搬送ノズル91の周面とに摺接するように形成されている。具体的に、本実施の形態において、シール部材40は、
図6に示すように、保持部材34の内壁面に両面テープ41を介して貼着されている。
【0044】
ここで、
図5を参照して、本実施の形態において、シール部材40は、その挿入方向の長さMが、トナー搬送ノズル91(ノズル)の開口91aの挿入方向の長さNよりも長くなるように形成されている(M>N)。
このように構成することにより、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときに、シャッタ部材35の近傍からトナーが飛散する不具合を生じにくくすることができる。
詳しくは、シール部材40の挿入方向の長さMが、トナー搬送ノズル91の開口91aの挿入方向の長さN以下になるように形成されている場合(M≦N)には、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを引き出すときに気流が生じやすく、シャッタ部材35に付着したトナーが巻き上げられて周囲に飛散してしまう。また、M≦Nなる関係がある場合には、トナー搬送ノズル91が挿脱される過程において、シール部材40が開口91aの真ん中に位置したときに、トナー収納容器32Yの内部と外部との連通経路ができてしまい、トナー飛散が生じやすくなる。
これに対して、本実施の形態では、シール部材40の挿入方向の長さMを、トナー搬送ノズル91の開口91aの挿入方向の長さNよりも長くしているため、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを引き出すときに気流が生じにくくなり、さらにトナー搬送ノズル91が挿脱される過程においてトナー収納容器32Yの内部と外部との連通経路が形成されにくくなり、そのようなトナー飛散の発生が軽減される。
【0045】
なお、本実施の形態では、トナー搬送ノズル91に1つの開口91aを設けたが、トナー搬送ノズル91に複数の開口91aを挿入方向に間隔をあけて並設することもできる。そのような場合、「開口91aの挿入方向の長さN」は、複数の開口91aが並設された挿入方向の範囲となる。
【0046】
<変形例1>
図7、
図8に示すように、変形例1におけるトナー収納容器32Y(シャッタユニット34~36、38)において、シール部材40は、挿入方向(
図7の左右方向である。)に圧縮されている。
詳しくは、シール部材40は、保持部材34の内部において挿入方向の上流側に形成された上流側保持面34cと、保持部材34の内部において挿入方向の下流側に形成された下流側保持面34dと、の間で、挿入方向に圧縮されている。
さらに具体的に、保持部材34の開口部34a2(内部に形成された空洞であって、
図4参照)の底部には、挿入方向に対して略直交する平面としての環状の下流側保持面34dが形成されていて、下流側保持面34dに両面テープ41を介して円筒状のシール部材40が貼着されている。また、保持部材34において、下流側保持面34dに対向する位置には、環状の押え部42が形成されている。そして、この押え部42の端面が上流側保持面34cとして機能して、下流側保持面34dとの間に、シール部材40が
図7の左右方向に押し潰された状態で設置される。
このように構成することにより、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときに、シャッタ部材35の近傍からトナーが飛散する不具合を生じにくくすることができる。
これは、シール部材40が挿入方向に圧縮されていない場合に比べて、保持部材34におけるシール部材40による密閉性が高められて、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを引き出すときに気流が生じにくくなるためである。
また、変形例1においても、シール部材40の挿入方向の長さMを、トナー搬送ノズル91の開口91aの挿入方向の長さNよりも長く設定することで、トナー飛散を軽減する効果がさらに発揮されることになる。
【0047】
ここで、
図7に示すように、変形例1では、保持部材34の上流側保持面34cと、閉鎖状態(
図5(A)、
図7の状態である。)におけるシャッタ部材35の挿入方向の上流側の端面と、の挿入方向の位置が略一致するように構成している。
これにより、トナー搬送ノズル91が挿脱される過程においても、保持部材34におけるシール部材40による密閉性が高められることになる。
なお、変形例1では、シール部材40を保持部材34の下流側保持面34dに両面テープ41を介して貼着するように構成したが、
図9(A)に示すように、シール部材40を保持部材34の上流側保持面34cに両面テープ41を介して貼着するように構成しても良いし、
図9(B)に示すように、シール部材40を保持部材34に貼着せずに上流側保持面34cと下流側保持面34dとの間に挟み込むように構成しても良い。
【0048】
<変形例2>
図10、
図11に示すように、変形例2におけるトナー収納容器32Y(シャッタユニット34~36、38)においても、変形例1のものと同様に、シール部材40が、上流側保持面34cと下流側保持面34dとの間で挿入方向(
図10の左右方向である。)に圧縮されている。
ここで、変形例2における保持部材34は、上流側保持面34cが形成された部材としての押え板43が、着脱可能に設置されている。
このように構成することにより、新品製造時やリサイクル製造時などにおいて保持部材34にシール部材40を組み付ける作業が容易になるとともに、シール部材40の交換やメンテナンスをおこなうときの作業が容易になる。
特に、変形例2では、シール部材40が押え板43(上流側保持面34c)に貼着されているため、そのような作業を効率的におこなうことができる。
そして、変形例2のように構成した場合であっても、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときに、シャッタ部材35の近傍からトナーが飛散する不具合を生じにくくすることができる。
なお、変形例2においても、
図12(A)に示すように、シール部材40を保持部材34の下流側保持面34dに両面テープ41を介して貼着するように構成しても良いし、
図12(B)に示すように、シール部材40を保持部材34に貼着せずに上流側保持面34cと下流側保持面34dとの間に挟み込むように構成しても良い。
【0049】
<変形例3>
図13、
図14に示すように、変形例3におけるトナー収納容器32Y(シャッタユニット34~36、38)においても、変形例1、2のものと同様に、シール部材40が、上流側保持面34cと下流側保持面34dとの間で挿入方向(
図13の左右方向である。)に圧縮されている。
ここで、変形例3における保持部材34は、上流側保持面34cが形成された部材としての蓋部材44が、着脱可能に設置されている。また、その蓋部材44によって、シャッタ部材35が露呈する量が少なくなるように開口部34a2(
図4参照)が狭められている。
このように構成することにより、ユーザーなどの操作者が、トナー収納容器32Yを手にしたときに、誤ってシャッタ部材35を指で押し込んで開放してしまう不具合を軽減することができる。
そして、変形例3のように構成した場合であっても、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときに、シャッタ部材35の近傍からトナーが飛散する不具合を生じにくくすることができる。
【0050】
<変形例4>
図15、
図16に示すように、変形例4におけるトナー収納容器32Y(シャッタユニット34~36、38)において、保持部材34は、シャッタ部材35が挿入方向の上流側に露呈する量を制限する制限部材としての爪部材45が設けられている。
詳しくは、爪部材45(制限部材)は、シャッタ部材35の露呈量D(開口部34a2に露呈する量である。)が、シャッタ部材35の外径よりも小さくなるように、シャッタ部材35の端面を覆っている。
また、保持部材34には、爪部材45(制限部材)を上述した露呈する量を減ずる方向に付勢する付勢部材46(例えば、スポンジなどの弾性体や、板バネ、スプリングなどである。)が設けられている。
そして、爪部材45(制限部材)は、トナー収納容器32Yへのトナー搬送ノズル91(ノズル)の挿入方向への挿入に連動してトナー搬送ノズル91に押動されて、付勢部材46の付勢に抗して上述した露呈する量が増加する方向に移動する(
図15の白矢印方向の移動である)。
このように構成することにより、ユーザーなどの操作者が、トナー収納容器32Yを手にしたときに、爪部材45が邪魔して、誤ってシャッタ部材35を指で押し込んで開放してしまう不具合を軽減することができる。また、爪部材45は、トナー搬送ノズル91の挿入を妨げないように移動するため、トナー搬送ノズル91の挿脱が正常におこなわれることになる。
そして、変形例4のように構成した場合であっても、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときに、シャッタ部材35の近傍からトナーが飛散する不具合を生じにくくすることができる。
【0051】
<変形例5>
図17、
図18に示すように、変形例5におけるトナー収納容器32Y(シャッタユニット34~36、38)において、保持部材34は、挿入方向の上流側(
図17の左方である。)に、トナー収納容器32Yへのトナー搬送ノズル91(ノズル)の挿入方向への挿入に連動してトナー搬送ノズル91に押動されて破られるシート状部材47が設けられている。
詳しくは、シート状部材47は、シャッタ部材35が露呈しないように、保持部材34の開口部34a2(
図4参照)を覆っている。そして、先に
図5を用いて説明したように、トナー収納容器32Yのセット時に、トナー搬送ノズル91によってシート状部材47が突き破られて、そのままトナー搬送ノズル91がトナー収納容器32Y内に挿入されることになる。このようなシート状部材47としては、例えば、薄い紙や樹脂などで形成したものを用いることができる。
このように構成することにより、ユーザーなどの操作者が、トナー収納容器32Yを手にしたときに、シート状部材47が邪魔して、誤ってシャッタ部材35を指で押し込んで開放してしまう不具合を軽減することができる。
そして、変形例5のように構成した場合であっても、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときに、シャッタ部材35の近傍からトナーが飛散する不具合を生じにくくすることができる。また、シート状部材47は、トナー搬送ノズル91の挿入を妨げないように破られるため、トナー搬送ノズル91の挿脱が正常におこなわれることになる。
なお、
図19に示すように、シート状部材47に、トナー搬送ノズル91の押動による破れを促すための切込み47aを形成することもできる。このような場合、トナー搬送ノズル91の押動によって破られたシート状部材47に破片が生じにくくなるため、そのような破片がトナー収納器32Y内に紛れ込んでしまう不具合などを軽減することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー収納容器32Yは、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー収納容器32Yであって、画像形成装置本体100への所定の挿入方向へのトナー収納容器32Yの移動に連動して、画像形成装置本体100に設置されたトナー搬送ノズル91(ノズル)に押動されて、トナー搬送ノズル91をトナー収納容器32Yの内部に挿入させて、トナー搬送ノズル91の周面に形成された開口91aを介してトナー搬送ノズル91とトナー収納容器32Yとを連通させるシャッタ部材35が設けられている。また、トナー搬送ノズル91に押動されていない閉鎖状態のシャッタ部材35の周面を覆うように形成されて、トナー搬送ノズル91に押動される開放動作時のシャッタ部材35の周面とトナー搬送ノズル91の周面とに摺接するように形成されたシール部材40が設けられている。そして、シール部材40は、その挿入方向の長さMが、トナー搬送ノズル91の開口91aの挿入方向の長さNよりも長くなるように形成されている。
これにより、画像形成装置本体100からトナー収納容器32Yを取り出すときにトナー飛散を生じにくくすることができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、トナー(1成分現像剤)が収納されるトナー収納容器32Yに対して本発明を適用したが、本発明が適用されるトナー収納容器はこれに限定されることなく、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤が収容されるトナー収納容器に対しても本発明を適用することもできる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0055】
5Y 現像装置(被補給部)、
32Y、32M、32C、32K トナー収納容器(粉体収納容器)、
33 容器本体、
34 保持部材、
34c 上流側保持面、 34d 下流側保持面、
35 シャッタ部材、
40 シール部材、
41 両面テープ、
42 押え部、
43 押え板、
44 蓋部材、
45 爪部材(制限部材)、
46 付勢部材、
47 シート状部材、
47a 切込み、
90 トナー補給装置(補給装置)、
91 トナー搬送ノズル(ノズル)、
91a 開口、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】