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特許7584382注意喚起システム、及び制御用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】注意喚起システム、及び制御用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021159822
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049833
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】樋口 実
(72)【発明者】
【氏名】岸本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 俊明
(72)【発明者】
【氏名】田中 培仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 一樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 英裕
(72)【発明者】
【氏名】小関 美咲
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-048562(JP,A)
【文献】特開2019-089394(JP,A)
【文献】特開2018-165098(JP,A)
【文献】特開2015-187806(JP,A)
【文献】特開2015-104930(JP,A)
【文献】特開2020-123143(JP,A)
【文献】特開平07-159190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0314783(US,A1)
【文献】特開2022-139951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60K 35/00 - 35/90
B60R 21/00 - 21/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のフロントガラスに、前記移動体の操縦者により視認可能な視覚表示を出力する表示装置と、
前記表示装置により、前記視覚表示として、所定の注意喚起表示を前記フロントガラスに出力させる表示制御部と、
前記移動体の周辺に存在する対象物を認識する対象物認識部と、
を備える注意喚起システムであって、
前記表示制御部は、
前記移動体を模した移動体アイコンと、前記移動体アイコンを囲む環状エリアの周方向に表示範囲が変更される周囲アイコンと、を含む前記注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、
前記対象物認識部により前記対象物が認識されているときに、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した部分を含む範囲を表示範囲として、前記周囲アイコンを前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、
前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が所定の上限個数以上である場合に、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、
前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が前記上限個数以上であって、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体としている状態で、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が増加した場合に、前記周囲アイコンのサイズを縮小させる
注意喚起システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときは、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、
前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されている状態に移行したときに、前記周囲アイコンの表示範囲を、前記環状エリア全体から、前記移動体から前記対象物への方向に対応した前記環状エリアの一部に向かって、漸減させる
請求項1に記載の注意喚起システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記対象物認識部により前記上限個数未満の前記対象物が認識されて、前記周囲アイコンの表示態様を、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した前記環状エリアの一部を表示範囲とした第1表示態様にしている状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態に移行したときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲とする第2表示態様に切り替える
請求項1又は請求項2に記載の注意喚起システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記周囲アイコンの表示態様を前記第1表示態様から前記第2表示態様に切り替える間に、前記移動体アイコンと前記周囲アイコンとの間隔を一旦拡大する処理を行う
請求項3に記載の注意喚起システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲とする第表示態様とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態が所定時間以上継続したときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲として前記第表示態様と異なる第表示態様とする
請求項1又は請求項2に記載の注意喚起システム。
【請求項6】
前記対象物認識部により認識されている前記対象物の前記移動体に対する影響度合を認識する影響度合認識部を備え、
前記表示制御部は、前記対象物の前記影響度合に応じて、前記周囲アイコンの表示態様を変更する
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の注意喚起システム。
【請求項7】
前記移動体に備えられた複数のスピーカーの出力態様を制御して、前記操縦者により知覚される所定の注意喚起音の音像の位置を変更する音像定位制御部を備え、
前記音像定位制御部は、
前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときは、前記注意喚起音の音像の位置を前記操縦者の周囲の所定範囲とし、
前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されている状態に移行したときに、前記注意喚起音の音像の位置の範囲を、前記所定範囲から、前記操縦者から前記対象物への方向に向かって漸減させる
請求項1から請求項6うちいずれか1項に記載の注意喚起システム。
【請求項8】
移動体の周辺に存在する対象物を認識する対象物認識部での認識結果を取得し、
前記移動体のフロントガラスに前記移動体の操縦者により視認可能な視覚表示を出力する表示装置の作動を制御するコントローラに、前記視覚表示として前記認識結果に応じた所定の注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させる処理を実行させる制御用プログラムであって、
前記コントローラに、
前記移動体を模した移動体アイコンと、前記移動体アイコンを囲む環状エリアの周方向に表示範囲が変更される周囲アイコンと、を含む前記注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、
前記対象物認識部により前記対象物が認識されているときに、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した部分を含む範囲を表示範囲として、前記周囲アイコンを前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、
前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が所定の上限個数以上である場合に、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、
前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が前記上限個数以上であって、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体としている状態で、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が増加した場合に、前記周囲アイコンのサイズを縮小させる
処理を実行させる制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意喚起システム、及び制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の周辺を走行する他車両をカメラ又はレーダーにより検出し、HUD(Head Up Display)により、他車両のマーキング画像を、運転者から視認される他車両と重なるようにフロントウインドウに表示させる車両用画像表示システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-021546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、自車両等の移動体の周辺に存在する他車両等の対象物が検出されたときには、操縦者の注意が速やかに対象物に向けられることが望まれる。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、対象物に対して、操縦者の注意が速やかに向けられることを支援する注意喚起システム、及び制御用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、移動体のフロントガラスに、前記移動体の操縦者により視認可能な視覚表示を出力する表示装置と、前記表示装置により、前記視覚表示として、所定の注意喚起表示を前記フロントガラスに出力させる表示制御部と、前記移動体の周辺に存在する対象物を認識する対象物認識部と、を備える注意喚起システムであって、前記表示制御部は、前記移動体を模した移動体アイコンと、前記移動体アイコンを囲む環状エリアの周方向に表示範囲が変更される周囲アイコンと、を含む前記注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により前記対象物が認識されているときに、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した部分を含む範囲を表示範囲として、前記周囲アイコンを前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が所定の上限個数以上である場合に、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が前記上限個数以上であって、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体としている状態で、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が増加した場合に、前記周囲アイコンのサイズを縮小させる注意喚起システムが挙げられる。
【0006】
上記注意喚起システムにおいて、前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときは、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されている状態に移行したときに、前記周囲アイコンの表示範囲を、前記環状エリア全体から、前記移動体から前記対象物への方向に対応した前記環状エリアの一部に向かって、漸減させる構成としてもよい。
【0007】
上記注意喚起システムにおいて、前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記上限個数未満の前記対象物が認識されて、前記周囲アイコンの表示態様を、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した前記環状エリアの一部を表示範囲とした第1表示態様にしている状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態に移行したときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲とする第2表示態様に切り替える構成としてもよい。
【0008】
上記注意喚起システムにおいて、前記表示制御部は、前記周囲アイコンの表示態様を前記第1表示態様から前記第2表示態様に切り替える間に、前記移動体アイコンと前記周囲アイコンとの間隔を一旦拡大する処理を行う構成としてもよい。
【0009】
上記注意喚起システムにおいて、前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲とする第表示態様とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状況が所定時間以上継続したときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲として前記第表示態様と異なる第表示態様とする構成としてもよい。
【0010】
上記注意喚起システムにおいて、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の前記移動体に対する影響度合を認識する影響度合認識部を備え、前記表示制御部は、前記対象物の前記影響度合に応じて、前記周囲アイコンの表示態様を変更する構成としてもよい。
【0011】
上記注意喚起システムにおいて、前記移動体に備えられた複数のスピーカーの出力態様を制御して、前記操縦者により知覚される所定の注意喚起音の音像の位置を変更する音像定位制御部を備え、前記音像定位制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときは、前記注意喚起音の音像の位置を前記操縦者の周囲の所定範囲とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されている状態に移行したときに、前記注意喚起音の音像の位置の範囲を、前記所定範囲から、前記操縦者から前記対象物への方向に向かって漸減させる構成としてもよい。
【0012】
上記目的を達成するための第2態様として、移動体の周辺に存在する対象物を認識する対象物認識部での認識結果を取得し、前記移動体のフロントガラスに前記移動体の操縦者により視認可能な視覚表示を出力する表示装置の作動を制御するコントローラに、前記視覚表示として前記認識結果に応じた所定の注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させる処理を実行させる制御用プログラムであって、前記コントローラに、前記移動体を模した移動体アイコンと、前記移動体アイコンを囲む環状エリアの周方向に表示範囲が変更される周囲アイコンと、を含む前記注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により前記対象物が認識されているときに、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した部分を含む範囲を表示範囲として、前記周囲アイコンを前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が所定の上限個数以上である場合に、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が前記上限個数以上であって、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体としている状態で、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が増加した場合に、前記周囲アイコンのサイズを縮小させる処理を実行させる制御用プログラムが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
上記注意喚起システムによれば、対象物に対して、操縦者の注意が速やかに向けられることを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、注意喚起システム、及び注意喚起システムが搭載された車両の構成図である。
図2図2は、車両におけるHUDとスピーカーの配置態様の説明図である。
図3図3は、HUDによるフロントガラスへの注意喚起表示の出力態様の説明図である。
図4図4は、注意喚起処理の第1のフローチャートである。
図5図5は、注意喚起処理の第2のフローチャートである。
図6図6は、注意喚起処理の第3のフローチャートである。
図7図7は、車両の前方に存在する一つの対象物が認識された場合に、周囲アイコンの表示範囲を漸減させる処理の説明図である。
図8図8は、車両の前方に存在する対象物の個数が増加した場合に、周囲アイコンの表示範囲を広げる処理の説明図である。
図9図9は、注意喚起レベルの上昇に応じて、周囲アイコンの径を減少させる処理の説明図である。
図10図10は、対象物が認識されている状態から、対象物が認識されていない状態に移行したときに、周囲アイコンの表示態様を変更する処理の説明図である。
図11図11は、注意喚起音の音像の位置の範囲を、運転者から対象物への方向に向かって漸減させる処理の説明図である。
図12図12は、周囲アイコンの表示態様の設定表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.注意喚起システムと車両の構成]
図1図3を参照して、車両100、及び車両100に搭載された注意喚起システム1の構成について説明する。車両100は、本開示の移動体に相当する。図1に示したように、注意喚起システム1は、コントローラ2とHUD(Head Up Display)30を備えている。HUD30は、本開示の表示装置に相当する。
【0016】
コントローラ2は、プロセッサ10、メモリ20、図示しないインターフェース回路等を備えた制御ユニットである。HUD30は、車両100のフロントガラス40に、図2に示した運転者(操縦者)Pが視認可能な視覚表示である注意喚起表示50を出力する。図2図3を参照して、HUD30は、フロントガラス40の下方のダッシュボード等に配置され、フロントガラス40に注意喚起表示50を投影(出力)することにより、運転者の前方に注意喚起表示50の虚像を映し出す。本実施形態のHUD30は、カラー表示が可能な構成となっている。
【0017】
注意喚起表示50は、図3に示したように、車両100を模した移動体アイコン51と、移動体アイコン51を囲む環状エリア52r内で、周方向に表示範囲が変更される周囲アイコン52とを含んでいる。周囲アイコン52の表示態様の詳細については、後述する。
【0018】
車両100には、注意喚起システム1の他に、複数のカメラ31a~31d、レーダー32、複数のソナー33a~33h、及び複数のスピーカー34a~34dが備えられている。図2に示したように、カメラ31aはフロントガラス40の上部等に設けられて、車両100の前方の撮影画像をコントローラ2に出力する。カメラ31bは右ドアミラー付近等に設けられて、車両100の右側方の撮影画像をコントローラ2に出力し、カメラ31cは左ドアミラー付近等に設けられて、車両100の左側方の撮影画像をコントローラ2に出力する。カメラ31dは、車両100の後部に設けられて、車両100の後方の撮影画像をコントローラ2に出力する。
【0019】
図2に示したように、レーダー32は、車両100の前部に設けられて、車両100の前方に存在する物体の位置を検出し、位置検出信号をコントローラ2に出力する。ソナー33a~33dは、車両100の前部に設けられて、車両100の前方付近に存在する物体の位置を検出し、位置検出信号をコントローラ2に出力する。ソナー33e~33hは、車両100の後部に設けられて、車両100の後方付近に存在する物体の位置を検出し、位置検出信号をコントローラ2に出力する。スピーカー34a~34dは、例えば、車両100の運転席ドア35a、助手席ドア35b、右後席ドア35c、及び左後席ドア35dに、それぞれ設けられている。
【0020】
プロセッサ10は、メモリ20に保存された注意喚起システム1の制御用プログラム21を読み込んで実行することにより、対象物認識部11、表示制御部12、音像定位制御部13、及び影響度合認識部14として機能する。制御用プログラム21は、記録媒体(磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ等)から読み出されてメモリ20に保存されてもよく、外部のサーバー等からダウンロードされてメモリ20に保存されてもよい。
【0021】
対象物認識部11は、カメラ31a~31dによる撮影画像、レーダー32による物体の位置検出信号、及びソナー33a~33hによる物体の位置検出信号に基づいて、車両100の前方に存在する対象物(歩行者、他車両等)を認識する。なお、本実施形態では、カメラ31a~31d、レーダー32、及びソナー33a~33hを用いて、車両100の周辺に存在する対象物を認識する構成を示したが、これらの全てではなく、いずれか一つ或いは二つ以上の組み合わせにより、対象物を認識する構成としてもよい。或いは、他の種類の検出デバイスにより、対象物を認識する構成としてもよい。
【0022】
表示制御部12は、HUD30の作動を制御して注意喚起表示50の出力を制御し、周囲アイコン52の表示態様を変更する。音像定位制御部13は、スピーカー34a~34dの出力態様(出力レベル、出力タイミング等)を制御して、運転者Pにより知覚される所定の注意喚起音の音像の位置を変更する。なお、スピーカーの数は複数であればよく、3個以下或いは5個以上であってもよい。
【0023】
影響度合認識部14は、対象物認識部11による対象物の認識状況に応じて、車両100に対する対象物の影響度合を、レベル0~レベル3の4段階で認識する。レベル0は、対象物認識部11により対象物が認識されていない状況である。レベル1~3は、対象物認識部11により対象物が認識されている状況に対応し、影響度合認識部14は、対象物と車両100との距離が短くなるに従って、影響度合をレベル1→レベル2→レベル3と切り替えて認識する。
【0024】
なお、影響度合認識部14が、対象物が車両100に接近する速度も考慮して、影響度合を認識するようにしてもよい。この場合は、対象物が車両100に接近する速度が速くなるに従って、影響度合認識部14は、影響度合をレベル1→レベル2→レベル3と切り替えて認識する。
【0025】
表示制御部12は、対象物認識部11により認識されている対象物の個数(対象物の認識結果)を取得し、対象物の個数及び影響度合認識部14により認識された影響度合に基づいて、周囲アイコン52及び注意喚起音による注意喚起レベルを、レベル0~レベル3の4段階で設定する。表示制御部12は、対象物認識部11により認識されている対象物がない場合は、注意喚起レベルをレベル0とする。
【0026】
また、対象物認識部11により認識されている対象物の個数が1(対象物が単数)であるときは、表示制御部12は、影響度合認識部14により認識された対象物の影響度合のレベルを注意喚起レベルとする。例えば、影響度合がレベル2であるときは、表示制御部12は、注意喚起レベルをレベル2に設定する。
【0027】
また、対象物認識部11により認識されている対象物の個数が複数であるときは、表示制御部12は、対象物の個数が増加するに従って注意喚起レベルを高くする。本実施形態では、表示制御部12は、対象物の個数が2であるときは注意喚起レベルをレベル1に設定し、対象物の個数が3であるときは注意喚起レベルをレベル2に設定し、対象物の個数が4以上であるときは注意喚起レベルをレベル3に設定する。この場合の個数2は、本開示の上限個数に相当する。
【0028】
なお、対象物認識部11により認識されている対象物の個数が複数であって、いずれかの対象物の影響度合が高まった場合に、注意喚起レベルを上げるようにしてもよい。例えば、対象物の個数が2個であって、注意喚起レベルがレベル1に設定されている状態で、いずれかの対象物の影響度合がレベル2に上がった場合に、注意喚起レベルをレベル1からレベル2に引き上げるようにしてもよい。
【0029】
表示制御部12は、図12に示した設定表に従って、周囲アイコン52の表示態様(表示範囲、径、色)を、注意喚起レベルに応じて設定する。周囲アイコン52は、径によってサイズが規定される。例えば、対象物認識部11により2個の対象物が認識されている場合、表示制御部12は、注意喚起レベルをレベル1に決定する。そして、対象物認識部11は、周囲アイコン52の表示態様を、対象物の個数が複数である場合のレベル1に応じた、環状エリア全域、径中、黄色とする。
【0030】
[2.注意喚起処理]
図7図11に示した説明図を参照しつつ、図4図6に示したフローチャートに従って、対象物認識部11、表示制御部12、音像定位制御部13、及び影響度合認識部14により実行される注意喚起処理について説明する。
【0031】
図4のステップS1で、音像定位制御部13は、注意喚起音の音像の位置が運転者Pの全周囲(本開示の操縦者の周囲の所定範囲に相当する)となるように、スピーカー34a~34dの出力態様を制御して、注意喚起音を出力する。これにより、図11のB1に示したように、注意喚起音の音像の位置60が運転者Pの全周囲となり、運転者Pが全周囲からの注意喚起音を知覚する状況となる。この場合の注意喚起音は、注意喚起レベル0に対応した、安心感を醸成させる穏やかな音に設定される。
【0032】
続くステップS2で、表示制御部12は、HUD30により、周囲アイコン52を、表示範囲を環状エリアの全域として表示させる。これにより、図7のA11に示したように、移動体アイコン51の全周囲を囲む環状の周囲アイコン52の虚像が、フロントガラス40越しに運転者Pによって視認される状態となる。この場合の周囲アイコン52は、図12の設定表により、注意喚起レベル0に対応した白色の表示となり、運転者Pに対して、広範囲に注意を向けることを促すことができる。A11で示した周囲アイコン52の表示態様は、本開示の第表示態様に相当する。
【0033】
次のステップS3で、対象物認識部11は、車両100の周辺に存在する対象物を探索する。続くステップS4で、対象物認識部11は、車両100の周辺に存在する対象物を認識したときは図5のステップS20に処理を進める。一方、車両100の周辺に存在する対象物を認識しなかったときには、対象物認識部11は、ステップS5に処理を進める。
【0034】
ステップS5で、表示制御部12は、車両100の周辺に存在する対象物が認識されない状態の継続を確認するためのタイマをスタートさせる。タイマの設定時間は、例えば3秒に設定される。続くステップS6~S8のループ処理により、対象物認識部11は、ステップS8でタイマがタイムアップするまで、ステップS6で車両100の周辺に存在する対象物を探索する。そして、ステップS7で、対象物認識部11は、車両100の周辺に存在する対象物を認識したときは図5のステップS20に処理を進め、車両100の周辺に存在する対象物を認識しなかったときにはステップS8に処理を進める。
【0035】
ステップS9で、表示制御部12は、周囲アイコン52を点滅表示に切り替える。この場合の周囲アイコン52の点灯態様は、本開示の第表示態様に相当する。表示制御部12は、例えば、数秒に1回のペースで周囲アイコン52を点滅させる。これにより、対象物認識部11により対象物が認識されていない状況であっても、安全とは見なさずに、運転者Pに対して注意範囲を広げることを促すことができる。次のステップS10で、対象物認識部11は、車両100の周辺に存在する対象物を探索する。続くステップS11で、対象物認識部11は、車両100の周辺に存在する対象物を認識したときは図5のステップS20に処理を進め、車両100の周辺に存在する対象物を認識しなかったときにはステップS10に処理を進める。
【0036】
図5のステップS20で、対象物認識部11は、認識している対象物が複数であるときは図6のステップS40に処理を進め、認識している対象物が単数であるときにはステップS21に処理を進める。ステップS40で、表示制御部12は、上述したように、対象物の個数に応じて注意喚起レベルを決定する。
【0037】
続くステップS41で、表示制御部12は、周囲アイコン52の表示範囲を環状エリア52r(図3参照)全域とし、注意喚起レベルに応じて、周囲アイコン52の径と色を図12の設定表に従って変更し、図5のステップS25に処理を進める。例えば、注意喚起レベルがレベル2であるときには、表示制御部12は、図12に設定表に従って、周囲アイコン52の径を「小」、色を「オレンジ色」とする。
【0038】
音像定位制御部13は、表示制御部12によるステップS41の処理と並行して、ステップS50の処理を実行する。ステップS50で、音像定位制御部13は、注意喚起レベルに応じた注意喚起音を、音像の位置を運転者Pの全周囲として出力する。この場合、音像定位制御部13は、注意喚起レベルが高いほど、運転者Pに対する注意喚起の効果が高くなるように、注意喚起音の音量を上げる、注意喚起音のトーンを変更する等の処理を行う。また、図4のステップS1で出力した注意喚起音に、対象物の属性(四輪車両、二輪車両、歩行者等)をイメージさせる効果音を重畳させて、注意喚起音を変更してもよい。
【0039】
一方、認識している対象物が単数であるときには、対象物認識部11は、ステップS20からステップS21に処理を進める。ステップS21で、影響度合認識部14は、対象物の影響度合を認識する。続くステップS22で、表示制御部12は、上述したように、対象物の影響度合に応じて注意喚起レベルを決定する。
【0040】
次のステップS23、表示制御部12は、注意喚起レベルに応じて、図12の設定表に従って周囲アイコン52の色と径を設定する。例えば、注意喚起レベルがレベル1であるときは、表示制御部12は、周囲アイコン52の色を「黄色」、径を「大に」に設定する。続くステップS24で、表示制御部12は、図7に示したように、周囲アイコン52の表示範囲を、車両100から対象物への方向に対応した部分52aに向かって漸減させ、ステップS25に処理を進める。
【0041】
図7は、対象物認識部11により、車両100の右前方に存在する対象物が認識された場合を例示している。表示制御部12は、周囲アイコン52の表示態様を、A11で示した、環状エリアの全域を表示範囲とした状態から、A12,A13に示したように、表示範囲を部分52aに向かって漸減させる。これにより、運転者Pに対して、車両100の右前方に注意を向けることを促すことができる。
【0042】
音像定位制御部13は、ステップS22、S24の処理と並行して、ステップS30、ステップS31の処理を実行する。音像定位制御部13は、ステップS30で、注意喚起レベル応じた注意喚起音を出力する。この場合、音像定位制御部13は、対象物の影響度合のレベルが高いほど、より報知効果が高い注意喚起音を出力する。例えば、音像定位制御部13は、図4のステップS1で出力を開始した注意喚起音に、対象物の属性(四輪車両、二輪車両、歩行者等)をイメージさせる効果音(エンジンの擬音等)を重畳させた注意喚起音を出力してもよい。
【0043】
次のステップS31で、音像定位制御部13は、図11のB2、B3に示したように、注意喚起音の音像の位置60の範囲を、B1に示した運転者Pの全周囲とした状態から、運転者Pから対象物Tへの方向Gに向かって漸減させ、ステップS24に処理を進める。これにより、運転者Pが、対象物の方向からのみの注意喚起音を知覚する状況となり、運転者Pの注意が対象物に向けられることが期待できる。
【0044】
ステップS25で、対象物認識部11は、車両100の周辺に存在する対象物を探索する。続くステップS26で、対象物認識部11は、対象物を認識したときはステップS26に処理を進め、対象物を認識しなかったときには図4のステップS1に処理を進める。
【0045】
ステップS27で、影響度合認識部14は、対象物の影響度合を認識する。続くステップS28で、表示制御部12は、対象物認識部11により認識されている対象物の個数、及び影響度合認識部14により認識された対象物の影響度合に応じて、注意喚起レベルを決定する。そして、表示制御部12は、注意喚起レベルの変化に応じて周囲アイコン52の表示態様を変更する。また、音像定位制御部13は、注意喚起レベルに応じて、注意喚起音の出力態様を変更する。表示制御部12は、具体的には、以下のように周囲アイコン52の表示態様を変更する。
【0046】
(1)対象物の個数が単数から複数に変化した場合。
表示制御部12は、図8に示したように、周囲アイコン52の表示範囲を、A21→A22→A23→A24と、環状エリアの全範囲まで広げる。図8のA21は、対象物認識部11により、車両100右前方に存在する一つの対象物が認識されている状況を示しており、表示制御部12は、車両100から対象物への方向に対応した部分52bを、周囲アイコン52の表示範囲とする。また、図8のA22は、車両100の左前方に存在する対象物も認識されている状況を示しており、表示制御部12は、車両100から左前方の対象物への方向に対応した部分52cを、周囲アイコン52の表示範囲に追加する。
【0047】
そして、表示制御部12は、A23で示したように、二つの対象物の方向に対応した部分52a、52bを周方向に広げて、A24に示したように、周囲アイコン52の表示範囲を環状エリアの全域とする。このように、対象物認識部11により認識されている対象物の個数が単数から複数に移行したときに、周囲アイコン52の表示範囲を、対象物の方向に応じた部分から環状エリア全域に広げることにより、運転者Pに対して、複数の対象物に注意を向けることを促すことができる。
【0048】
(2)対象物の個数が増加した場合。
表示制御部12は、対象物認識部11により認識されている対象物の個数が増加した場合に、周囲アイコン52の表示態様を、図12に示した設定表に従って変更する。図9は、対象物認識部11により複数の対象物が認識され、表示制御部12により環状エリア全域を表示範囲とする周囲アイコン52が表示されている状態を例示している。
【0049】
図9に示したように、表示制御部12は、対象物の個数の増加(2個→3個→4個)に応じて、図12に示した設定表に従って、注意喚起レベルのレベル1に対応したA31の「径中、黄色」から、レベル2に対応したA32の「径小、オレンジ色」、レベル3に対応した「径極小、赤色点滅」へと変更する。このように、周囲アイコン52の径を減少させて移動体アイコン51と周囲アイコン52の間隔を短くすると共に、周囲アイコン52の色と点灯態様を変更することによって、運転者Pに対して、対象物へのより強い注意喚起を促すことができる。
【0050】
また、対象物の個数が減少した場合も、表示制御部12は、図12に示した設定表に従って、周囲アイコン52の表示態様を変更する。例えば、対象物認識部11により4個の対象物が認識されている状態から、対象物の個数が減少(4個→3個→2個)した場合、表示制御部12は、図9のA33→A32→A31と、周囲アイコン52の表示態様を変更する。
【0051】
(3)対象物が認識されている状態から対象物が認識されていない状態に移行した場合。
表示制御部12は、対象物認識部11により対象物が認識されている状態から、対象物認識部11により対象物が認識されていない状態に移行した場合に、図10に示したように、周囲アイコン52を、移動体アイコン51から一旦遠ざける処理を行う。
【0052】
図10のA41は、車両100の右前方に存在する対象物に対応した周囲アイコン52が表示されている状態を示している。A41で示した周囲アイコン52の表示態様は、本開示の第1表示態様に相当する。この状態で、対象物認識部11により対象物が認識されていない状態に移行すると、表示制御部12は、A42に示したように、周囲アイコン52を、移動体アイコン51から遠ざけると共に、表示範囲を周方向に拡大して表示する。
【0053】
続いて、表示制御部12は、A43に示したように、周囲アイコン52を注意喚起レベルのレベル0に対応した「径大」のサイズとして、周囲アイコン52を移動体アイコン51に近づける。そして、表示制御部12は、A44に示したように、周囲アイコン52の表示範囲を周囲方向に拡大して、レベル0に対応した「径大、白色」の表示態様とする。A44で示した周囲アイコン52の表示態様は、本開示の第2表示態様に相当する。このように、周囲アイコン52を移動体アイコンから一旦遠ざける表示を行ってから、レベル0に対応した表示態様とすることにより、運転者Pに対して、対象物に対する注意の必要性が減少したことを、直感的に知覚させることができる。
【0054】
[3.他の実施形態]
上記実施形態では、運転者Pに対する注意喚起処理として、表示制御部12による注意喚起表示50の表示態様を変更する処理と、音像定位制御部13による注意喚起音の音像の位置の範囲を変更する処理とを行った。他の実施形態として、音像定位制御部13を省略して、表示制御部12による注意喚起表示50の表示態様を変更する処理のみを行うようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、本開示の移動体として四輪の車両100を示したが、本開示の移動体は、操縦者により操縦される移動体であればよく、例えば、二輪車両、飛行体、船舶等であってもよい。
【0056】
上記実施形態において、表示制御部12は、図12に示した注意喚起表示の設定表により、対象物認識部11により認識されている対象物が一つである場合に、影響度合認識部14により認識される対象物の影響度合に応じた注意喚起レベルを設定して、注意喚起表示の表示態様を変更した。他の実施形態として、影響度合認識部14を省略して、対象物の影響度合に応じて注意喚起表示の表示態様を変更する処理を行わない構成としてもよい。
【0057】
上記実施形態において、表示制御部12は、図4のステップS5~S9の処理により、対象物認識部11により対象物が認識されない状況が所定時間以上継続したときに、注意喚起表示50を点灯表示(第表示態様)から点滅表示(第表示態様)に切り替えた。他の構成として、第表示態様を点滅表示以外の表示態様としてもよい。例えば、明るさを変更する、色を変更する等により、注意喚起表示50の表示態様を、第表示態様と異なる第表示態様に切り替えてもよい。また、図4のステップS5~S9の処理を省略してもよい。
【0058】
上記実施形態では、本開示の表示装置としてHUD30を示したが、本開示の表示装置は、移動体のフロントガラスに、操縦者により視認可能な視覚表示を出力する構成を有していればよく、HUD以外の表示装置であってもよい。
【0059】
上記実施形態では、周囲アイコン52のサイズを周囲アイコン52の径によって規定したが、周囲アイコン52のサイズを周囲アイコン52の周長等によって規定してもよい。また、上記実施形態では、周囲アイコン52を円形状としたが、周囲アイコン52は、移動体アイコン51を囲む形状であればよく、楕円、矩形等の形状であってもよい。
【0060】
なお、図1は、本願発明の理解を容易にするために、注意喚起システム1の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、注意喚起システム1の構成を他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図4図6に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0061】
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0062】
(構成1)移動体のフロントガラスに、前記移動体の操縦者により視認可能な視覚表示を出力する表示装置と、前記表示装置により、前記視覚表示として、所定の注意喚起表示を前記フロントガラスに出力させる表示制御部と、前記移動体の周辺に存在する対象物を認識する対象物認識部と、を備える注意喚起システムであって、前記表示制御部は、前記移動体を模した移動体アイコンと、前記移動体アイコンを囲む環状エリアの周方向に表示範囲が変更される周囲アイコンと、を含む前記注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により前記対象物が認識されているときに、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した部分を含む範囲を表示範囲として、前記周囲アイコンを前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が所定の上限個数以上である場合に、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が前記上限個数以上であって、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体としている状態で、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が増加した場合に、前記周囲アイコンのサイズを縮小させる注意喚起システム。
構成1の注意喚起システムによれば、対象物に対して、操縦者の注意が速やかに向けられることを支援することができる。
【0063】
(構成2)前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときは、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されている状態に移行したときに、前記周囲アイコンの表示範囲を、前記環状エリア全体から、前記移動体から前記対象物への方向に対応した前記環状エリアの一部に向かって、漸減させる構成1に記載の注意喚起システム。
構成2の注意喚起システムによれば、操縦者に対して、対象物が存在する方向に注意を向けることを促すことができる。
【0064】
(構成3)前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記上限個数未満の前記対象物が認識されて、前記周囲アイコンの表示態様を、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した前記環状エリアの一部を表示範囲とした第1表示態様にしている状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態に移行したときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲とする第2表示態様に切り替える構成1又は構成2に記載の注意喚起システム。
構成3の注意喚起システムによれば、対象物が認識されていない状況になったときに、操縦者に対して、移動体周辺に広く注意を向けるように促すことができる。
【0065】
(構成4)前記表示制御部は、前記周囲アイコンの表示態様を前記第1表示態様から前記第2表示態様に切り替える間に、前記移動体アイコンと前記周囲アイコンとの間隔を一旦拡大する処理を行う構成3に記載の注意喚起システム。
構成4の注意喚起システムによれば、操縦者に対して、対象物に対する注意の必要性が低下したことを直感的に知覚させることができる。
【0066】
(構成5)前記表示制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲とする第表示態様とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状況が所定時間以上継続したときに、前記周囲アイコンの表示態様を、前記環状エリア全体を表示範囲として前記第表示態様と異なる第表示態様とする構成1から構成4のうちいずれか一つの構成に記載の注意喚起システム。
構成5の注意喚起システムによれば、対象物認識部により対象物が認識されていない状態が所定時間以上継続したときに、安全な状態と見なさずに、操縦者に対して注意範囲を広げるように促すことができる。
【0067】
(構成6)前記対象物認識部により認識されている前記対象物の前記移動体に対する影響度合を認識する影響度合認識部を備え、前記表示制御部は、前記対象物の前記影響度合に応じて、前記周囲アイコンの表示態様を変更する構成1から構成5のうちいずれか一つの構成に記載の注意喚起システム。
構成6の注意喚起システムによれば、移動体に対する対象物の影響度合を、注意喚起表示の表示態様の違いによって、操縦者に報知することができる。
【0068】
(構成7)前記移動体に備えられた複数のスピーカーの出力態様を制御して、前記操縦者により知覚される所定の注意喚起音の音像の位置を変更する音像定位制御部を備え、前記音像定位制御部は、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていないときは、前記注意喚起音の音像の位置を前記操縦者の周囲の所定範囲とし、前記対象物認識部により前記対象物が認識されていない状態から、前記対象物認識部により前記対象物が認識されている状態に移行したときに、前記注意喚起音の音像の位置の範囲を、前記所定範囲から、前記操縦者から前記対象物への方向に向かって漸減させる構成1から構成6のうちいずれか一つの構成に記載の注意喚起システム。
構成7の注意喚起システムによれば、注意喚起音の音像の位置の範囲を、操縦者から対象物への方向に向かって漸減させることにより、操縦者の注意を対象物に向けさせる効果を高めることができる。
【0069】
(構成8)移動体の周辺に存在する対象物を認識する対象物認識部での認識結果を取得し、前記移動体のフロントガラスに前記移動体の操縦者により視認可能な視覚表示を出力する表示装置の作動を制御するコントローラに、前記視覚表示として前記認識結果に応じた所定の注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させる処理を実行させる制御用プログラムであって、前記コントローラに、前記移動体を模した移動体アイコンと、前記移動体アイコンを囲む環状エリアの周方向に表示範囲が変更される周囲アイコンと、を含む前記注意喚起表示を、前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により前記対象物が認識されているときに、前記移動体に対する前記対象物の方向に対応した部分を含む範囲を表示範囲として、前記周囲アイコンを前記表示装置により前記フロントガラスに表示させ、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が所定の上限個数以上である場合に、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体とし、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が前記上限個数以上であって、前記周囲アイコンの表示範囲を前記環状エリア全体としている状態で、前記対象物認識部により認識されている前記対象物の個数が増加した場合に、前記周囲アイコンのサイズを縮小させる処理を実行させる制御用プログラム。
構成8の制御用プログラムをコントローラにより実行させることによって、構成1の注意喚起システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1…注意喚起システム、2…コントローラ、10…プロセッサ、11…対象物認識部、12…表示制御部、13…音像定位制御部、14…影響度合認識部、20…メモリ、21…制御用プログラム、30…HUD(表示装置)、31a~31d…カメラ、32…レーダー、33a~33h…ソナー、34a~34d…スピーカー、40…フロントガラス、50…注意喚起表示、51…移動体アイコン、52…周囲アイコン、60…注意喚起音の音像の位置、P…運転者(操縦者)、T…対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11
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