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特許7584987無線通信を用いた通信システム、通信装置、制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】無線通信を用いた通信システム、通信装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20241111BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20241111BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20241111BHJP
   H04W 16/20 20090101ALI20241111BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W64/00 110
H04W64/00 130
H04W84/10 110
H04W16/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020176783
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2021111962
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2020003100
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020003099
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】羽田 学
(72)【発明者】
【氏名】中下 綱人
(72)【発明者】
【氏名】越谷 元樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】小川 達也
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050625(JP,A)
【文献】特開2016-152538(JP,A)
【文献】特開2004-364204(JP,A)
【文献】特開2013-207313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 48/16
H04W 64/00
H04W 84/10
H04W 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と通信端末が無線通信可能な通信システムにおいて、
前記通信端末は、Bluetooth規格に対応し、且つ、単一のアンテナを備える第1の無線通信インターフェースを備え、
前記通信装置は、
Bluetooth規格に対応し且つ複数のアンテナを備える第2の無線通信インターフェースと、
前記単一のアンテナから発信された電波を前記複数のアンテナで受信した結果に基づいて角度情報と電波強度情報を取得する手段と、
前記角度情報と前記電波強度情報が所定の条件を満たしたことにしたがって、Bluetooth規格に対応する無線通信の確立要求を前記第2の無線通信インターフェースを介して前記第1の無線通信インターフェースに送信する手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信インターフェースが発信する少なくとも1つの電波は、前記通信端末を判別するためのアドレスまたはUUIDのいずれかの情報を含むことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信装置は、
前記電波強度情報に基づいて距離情報を取得する手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信装置は、前記所定の条件を示す情報を予め備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記所定の条件を示す情報は、接続の確立を開始するエリアを示す情報であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信装置は、前記複数のアンテナの位置と接続の確立を開始するエリアの基準となる位置に関する位置情報を予め備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記電波強度情報と、前記角度情報と、前記位置情報に基づいて、前記基準となる位置からの距離情報と角度情報を取得する手段を有することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記複数のアンテナが並べて配置された基板の一方の面側にはシールド部材が配置されることを特徴とする請求項6または7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記一方の面側は前記基準となる位置とは反対の面側であることを特徴とする請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記基準となる位置の近傍にはターゲットマークを備える部材が配置されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信装置は、NFC通信をおこなうためのNFCユニットを備え、
前記NFCユニットは、前記ターゲットマークを備える部材の近傍に配置されることを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記通信端末は、前記確立要求に基づいて確立された前記無線通信を介して前記通信装置にユーザ認証情報を送信することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項13】
前記複数のアンテナは4本のアンテナであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項14】
前記通信装置は、Wi-Fi規格に対応した第3の無線通信インターフェースを備え、
前記通信端末は、Wi-Fi規格に対応した第4の無線通信インターフェースを備え、
前記通信端末は、前記第3の無線通信インターフェースと前記第4の無線通信インターフェースを接続するための情報を、前記確立要求に基づいて確立された前記無線通信を介して前記通信装置と前記通信端末の間で交換することを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項15】
前記通信端末は、前記第3の無線通信インターフェースと前記第4の無線通信インターフェースの接続が確立された後、前記通信装置に印刷データを送信することを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記通信装置は、原稿を読み取る読取デバイスを備え、
前記第3の無線通信インターフェースと前記第4の無線通信インターフェースの接続が確立された後、前記読取デバイスで読み取られた画像を前記通信端末に送信することを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【請求項17】
前記通信装置はキャリブレーション情報を保持することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項18】
Bluetooth規格に対応し且つ単一のアンテナを備える第1の無線通信インターフェースを備える通信端末と無線通信可能な通信装置であって
Bluetooth規格に対応し且つ複数のアンテナを備える第2の無線通信インターフェースと、
前記単一のアンテナから発信された電波を前記複数のアンテナで受信した結果に基づいて角度情報と電波強度情報を取得する手段と、
前記角度情報と前記電波強度情報が所定の条件を満たしたことにしたがって、Bluetooth規格に対応する無線通信の確立要求を前記第2の無線通信インターフェースを介して前記第1の無線通信インターフェースに送信する手段と、
を有することを特徴とする通信装置
【請求項19】
Bluetooth規格に対応し且つ単一のアンテナを備える第1の無線通信インターフェースを備える通信端末と無線通信するために、Bluetooth規格に対応し且つ複数のアンテナが配置された第2の無線通信インターフェースを備える通信装置の制御方法であって
前記単一のアンテナから発信された電波を前記複数のアンテナで受信した結果に基づいて角度情報と電波強度情報を取得する工程と、
前記角度情報と前記電波強度情報が所定の条件を満たしたことにしたがって、Bluetooth規格に対応する無線通信の確立要求を前記第2の無線通信インターフェースを介して前記第1の無線通信インターフェースに送信する工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末等の端末と無線通信可能な通信装置に関する。この通信装置は、プリンタ、スキャナ、FAX、複写機、これらの複合機等の事務機器の他、PC等の汎用の情報処理装置に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末などの携帯通信端末のビジネス用途での利用が拡大している。これにともない、プリンタ(画像形成装置)をはじめとする事務機器(情報処理装置)においても携帯通信端末との連携機能の拡充が求められている。
【0003】
連携機能の一例としては、Bluetooth(登録商標)通信、特にBluetooth Low Energy(以下BLEと記す)を用いて連携する機能が挙げられる。ここで、BLEは、Bluetooth規格の一つであり、従来のBluetoothに対して低消費電力化が図られた近接無線通信の規格である。
【0004】
特許文献1では、画像形成装置が発するBLEビーコンの電波強度を用いて画像形成装置と携帯端末(外部装置)の距離を特定し、この距離が十分に近い場合に両装置を連携すべき装置であると決定し、連携用の通信を開始するシステムについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-173189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、連携する装置の決定方法について改善の余地がある。なぜならば、特許文献1のシステムは、連携する装置を決定するにあたって両装置間の距離情報のみを利用しているため、距離は近いが連携すべきでない装置を連携させてしまう虞があるからである。例えば、特許文献1のシステムにおいて、画像形成装置の正面に近づいた携帯端末と連携できるよう、連携する距離を決定したとする。この場合、この距離の範囲内であれば、画像形成装置の背面側や側面側に位置する携帯端末であっても、連携が開始されてしまう。そのため、携帯端末を持ったユーザが画像形成装置の背面や側面を通り過ぎようとしただけで連携が開始されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、通信端末と通信装置が無線通信を介して誤って連携してしまう事態の発生を抑制可能な通信システムを提供することである。特に、通信端末と通信装置の距離に関する情報を用いてBluetooth無線通信を介する連携をおこなう場合に、通信端末と通信装置が誤って連携してしまう事態の発生を抑制可能な通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、通信装置と通信端末が無線通信可能な通信システムにおいて、前記通信端末は、Bluetooth規格に対応し、且つ、単一のアンテナを備える第1の無線通信インターフェースを備え、前記通信装置は、Bluetooth規格に対応し且つ複数のアンテナを備える第2の無線通信インターフェースと、前記単一のアンテナから発信された電波を前記複数のアンテナで受信した結果に基づいて角度情報と電波強度情報を取得する手段と、前記角度情報と前記電波強度情報が所定の条件を満たしたことにしたがって、Bluetooth規格に対応する無線通信の確立要求を前記第2の無線通信インターフェースを介して前記第1の無線通信インターフェースに送信する手段と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信端末と通信装置が無線通信を介して誤って連携してしまう事態の発生を抑制可能な通信システムを提供できる。特に、通信端末と通信装置の距離に関する情報を用いてBluetooth無線通信を介する連携をおこなう場合に、通信端末と通信装置が誤って連携してしまう事態の発生を抑制可能な通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像処理システムの構成を示す図である。
図2】携帯通信端末のハードウェア構成を示す図である。
図3】画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
図4図4(A)は画像形成装置が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。図4(B)は携帯通信端末が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。
図5図5(A)はBluetooth回路基板の表面を示す図である。図5(B)はBluetooth回路基板の上面を示す図である。図5(C)はBluetooth回路基板の背面を示す図である。図5(D)は電波とシールドの関係を説明する図である。
図6】BLEによる角度検出を説明する図である。
図7】BLEを用いた携帯通信端末と画像形成装置の通信確立の流れを示す図である。
図8図8(A)は実施例1における画像形成装置を右斜め前から見た図である。図8(B)は実施例1における画像形成装置を右側面から見た図である。
図9】実施例1における、ユーザ600、携帯通信端末10、画像形成装置20の各々の動作の全体の流れを表す図である。
図10】実施例1における画像形成装置の処理をあらわすフローチャートの図である。
図11】実施例1における携帯通信端末の処理をあらわすフローチャートの図である。
図12】変換に用いるLUTにおける電波強度と距離の関係を示す図である。
図13図13(A)は実施例1の通信確立領域を説明する図である。図13(B)は鏡写しの通信確立領域を説明する図である。
図14図14(A)は実施例2および実施例3における画像形成装置を右斜め前から見た図である。図14(B)は実施例2および実施例3における画像形成装置を右側面から見た図である。図14(C)は実施例2および実施例3における画像形成装置を俯瞰した図である。
図15図15(A)は実施例2の通信確立領域を説明する図である。図15(B)は実施例2の変形例における通信確立領域を説明する図である。
図16】実施例2における、ユーザ600、携帯通信端末10、画像形成装置20の各々の動作の全体の流れを表す図である。
図17】実施例2における画像形成装置20の処理をあらわすフローチャートの図である。
図18】実施例3における、ユーザ600、携帯通信端末10、画像形成装置20の各々の動作の全体の流れを表す図である。
図19】実施例3における画像形成装置20の処理をあらわらすフローチャートの図である。
図20図20(A)は実施例3における通信確立領域を説明する図である。図20(B)は実施例3における通信確立領域の算出方法を説明する図である。図20(C)は実施例3における通信確立領域の算出方法を説明する図である。
図21図21(A)~図21(F)は携帯通信端末の画面例を示す図である。
図22】その他の実施例における通信確立領域を説明する図である。
図23】画像形成装置の画面例を示す図である。
図24図24(A)は画像形成装置が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。図24(B)は携帯通信端末が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。
図25図25(A)はBluetooth回路基板の表面を示す図である。図25(B)はBluetooth回路基板の上面を示す図である。図25(C)はBluetooth回路基板の背面を示す図である。図25(D)は電波とシールドの関係を説明する図である。
図26】BLEによる方向検知を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について複数通りの具体例を挙げて図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明を実現するための構成は以降の説明で挙げられる構成のみに限定されるものではない。同様の効果を得られる範囲で記載された構成の一部を省略または均等物に置き換えてもよい。
【0012】
(実施例1)
実施例1では、画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに放射角度(AoA)方式を採用する構成について説明する。すなわち、携帯通信端末の単一のアンテナから発信される複数の電波を画像形成装置の複数のアンテナで受信し、これを用いて相対的な位置関係を求める構成について説明する。特に、実施例1では、画像形成装置20の前面側にBluetooth回路21が配置され、このBluetooth回路21を中心に、角度と距離が制限された検知エリアを利用する構成について説明する。
【0013】
<システム構成>
図1は、画像処理システムの構成を示す図である。図1に示すように、画像処理システム1(通信システム)は、携帯通信端末10、画像形成装置20、クライアント端末400、サーバ300を備える。画像形成装置20、クライアント端末400、サーバ300はネットワーク500を介して互いに通信可能に接続されている。
【0014】
画像形成装置20は、例えば、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、FAX機能、Eメール送信等の複数の機能を備える複合機(MFP)や、単体の機能を備えるプリンタ(SFP)やスキャナ等の通信装置である。本実施例の画像処理システムでは、画像形成装置20は、カラーレーザービーム複合機として説明する。
【0015】
クライアント端末400は、ユーザが使うパーソナル・コンピュータ(PC)等の情報処理装置である。クライアント端末400は、自身のストレージまたは外部のサーバ(不図示)に保存されている電子ファイルを画像形成装置20でプリントすべくプリントジョブを発行する。また、画像形成装置20でスキャンされた画像データの受信を行う。
【0016】
サーバ300は、画像形成装置に各種ネットワーサービスを提供する情報処理装置である。
【0017】
サーバ300は、例えば、画像形成装置20がダウンロードして印刷可能な印刷データを格納するサービスを提供する。サーバ300は、例えば、画像形成装置20で読み取られた画像のアップロードを受け付けて格納しておくサービスを提供する。サーバ300は、例えば、画像形成装置20が出力したEメールを宛先装置に送信したり、外部装置から画像形成装置20宛てに送られたEメールを画像形成装置に送信したりするEメールサービスを提供する。サーバ300は、例えば、画像形成装置20を操作するユーザをユーザIDやグループID等を用いて管理するユーザ認証サービスを提供する。
【0018】
なお、ジョブとは、画像形成装置20がスキャナ24及びプリンタ25を用いて実現する一連の画像処理(例えばコピー、スキャン、プリントなど)の単位を示す。
【0019】
ネットワーク500は、LAN/WAN(Local Area Network/Wide Area Network)などのインターネットをはじめとした情報通信網である。
【0020】
携帯通信端末10は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、PDA等の通信装置である。携帯通信端末10は、Bluetooth通信、無線LAN通信、NFC通信等を介して画像形成装置20と無線通信可能であり、無線通信を用いて連携する連携機能を備える。連携機能として、画像形成装置20との間でユーザの認証手続きをおこない、画像形成装置20の機能を制限したり解除したりする認証機能(ログイン機能)が挙げられる。また、連携機能として、画像形成装置20に印刷させる印刷データを携帯通信端末10から送信する印刷機能が挙げられる。また、連携機能として、画像形成装置20によって原稿から読み取られた画像を携帯通信端末10に送信する送信機能が挙げられる。また、連携機能として、画像形成装置20のステータス情報や設定情報、画面情報を携帯通信端末10取得して確認する確認機能が挙げられる。
【0021】
<携帯通信端末>
図2は、携帯通信端末のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、携帯通信端末10は、コントローラ100、操作パネル14、Bluetooth回路11、無線LAN回路12、NFC回路13、その他回路15、USB-IF16等を備える。また、操作パネル14、Bluetooth回路11、無線LAN回路12、NFC回路13、その他回路15、USB-IF16は、バス等の通信経路を介してコントローラ100に対して通信可能に接続されている。
【0022】
また、携帯通信端末10が備える各無線回路(Bluetooth、無線LAN、NFC)は、画像形成装置20が持つ、各無線回路と無線通信接続を行い、データのやり取りをすることができる。
【0023】
Bluetooth回路11は、Bluetooth規格に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。ここでは、IEEE802.15の規格(所謂、Bluetooth(登録商標))に従って通信を行うものとする。具体的には、Bluetooth規格の一部である低消費電力のBLE(Bluetooth Low Energy)を使用し、2.4GHz帯のISM(Industrial Scienctific and Medical)バンドを用いて無線通信を行うものとする。また、Bluetooth回路11は、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しており、BLE通信により携帯通信端末10の方向を検知する機能に対応しているものとする。角度検出の具体的な手法については、図6を用いて後述する。
【0024】
無線LAN回路12は、無線LAN規格(Wi-Fi規格、IEEE 802.11規格)に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。
【0025】
NFC回路13は、NFC規格(typeA,typeB,typeF等)に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。
【0026】
操作パネル14は、情報の表示と入力をおこなうことができるユーザインターフェースユニットである。操作パネル14は、情報を表示する表示部として機能するディスプレイ141と情報の入力を受け付ける入力部(受付部)として機能するタッチパネル142を備える。
【0027】
その他回路15は、携帯電話用電波の機能モジュールや、GPSの機能モジュール等、携帯通信端末10を構成するその他回路であり。その他回路の構成については製品により様々であるため詳細な説明を省略する。
【0028】
USB-IF16は、パソコン等の情報処理装置と接続してUSB規格の通信によってデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0029】
コントローラ100は、携帯通信端末の各種制御をおこなうための制御部である。コントローラ100は、CPU101、UIコントローラ102、RAM103、ROM104、ストレージ105を備える。
【0030】
CPU101は携帯端末全体を制御する中央演算ユニットであり、各機能部と接続してこれらを制御することで、携帯通信端末10の機能を実現している。
【0031】
UIコントローラ102は、ディスプレイ141とタッチパネル142をCPU101と連携して制御するUI制御部である。UIコントローラ102は、タッチパネル142でユーザから受けた操作を認識する処理をおこなう。また、携帯通信端末10上の動作状況やタッチパネル142の操作状況に応じて、ディスプレイ141の表示内容を変更する処理をおこなう。ユーザは操作パネル14を使用することで、後述するアプリケーションを操作することができる。
【0032】
RAM103は、CPU101が動作するためのワークメモリであり、CPU101の演算データや各種プログラムが記憶される。
【0033】
ROM104は、携帯通信端末10のCPU101が使用するプログラムや画像データ等、画像形成装置20と連携して動作するアプリケーション等が格納される。
【0034】
ストレージ105は、サイズの大きなプログラムやデータを保存しておくための不揮発の2次記憶装置である。保存されたプログラムやデータはRAM103に展開することで使用可能となる。ストレージ105は、例えば、SDカードやeMMC、SSDなどの規格のメモリーデバイス(記憶部、格納部)である。なお、ストレージ105の機能の一部をROM104で担ってもよい。
【0035】
<画像形成装置>
図3は、画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。画像形成装置20は、コントローラ200、スキャナ24、プリンタ25、操作パネル26、Bluetooth回路21、無線LAN回路22、NFC回路23(NFCユニット)、有線LAN-IF27、USB-IF28等を備えている。これらの各機能部がそれぞれ連動することで、印刷、スキャン、コピーなどの機能が実現される。また、各無線回路(Bluetooth、無線LAN、NFC)は、携帯通信端末10が持つ、各無線回路と無線通信接続を行い、データのやり取りをすることができる。
【0036】
Bluetooth回路21は、Bluetooth規格に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。携帯通信端末10と同様に、Bluetooth回路21は、IEEE802.15の規格に従って通信を行い、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しているものとする。携帯通信端末10のBluetooth回路11から送信される無線電波に対して、画像形成装置20で受信角度を認識させるために、Bluetooth回路21は複数のアンテナを持つ。具体的な構成および角度検出の具体的な手法については後述する。
【0037】
無線LAN回路22は、無線LAN規格(Wi-Fi規格、IEEE 802.11規格)に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。
【0038】
NFC回路23は、NFC規格(typeA,typeB,typeF等)に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。
【0039】
スキャナ24は、原稿上の画像や文字をCCDセンサやCISセンサで読み取り、画像データに変換するユニット(読取部、読取デバイス)である。読み取る原稿は、ガラス原稿台に載置されたものであっても、ADFによって搬送されたものであってもよい。
【0040】
プリンタ25は、画像データを用紙(シート)に印字するプリンタエンジン(画像形成部、画像形成デバイス)である。プリンタ25は、例えば、電子写真方式であり、レーザースキャナユニットや感光体ドラム、紙搬送ユニットなどを備える。なお、インクジェット方式等のその他の方式のプリンタエンジンを採用してもよい。
【0041】
操作パネル26は、ユーザが画像形成装置20を操作するために使用するUI部である。情報の表示と入力をおこなうことができるユーザインターフェースユニットである。操作パネル26は、情報を表示する表示部として機能するディスプレイ262と情報の入力を受け付ける入力部(受付部)として機能するタッチパネル263と、これらをコントロールするUIコントローラ261を備える。UIコントローラ261は、ディスプレイ262とタッチパネル263をメインSOC201と連携して制御する。UIコントローラ261は、タッチパネル263でユーザから受けた操作を認識する処理をおこなう。また、画像形成装置20上の動作状況やタッチパネル263の操作状況に応じて、ディスプレイ262の表示内容を変更する処理をおこなう。
【0042】
有線LAN-IF27は、LAN用コネクタを介しネットワーク通信を行うためのインターフェースである。
【0043】
USB-IF28は、パソコン等と接続してUSB規格の通信によってデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0044】
コントローラ200は、Bluetooth回路21、無線LAN回路22、NFC回路23、スキャナ24、プリンタ25、操作パネル26、と電気的に接続されており、それぞれの制御を司る。また、コントローラ200は、メインSOC201の他、RAM205、ROM206、ストレージ207等を備える。
【0045】
メインSOC201(System on a Chip)は集積回路部品であり、CPU202、画像処理ハードロジック203、各種IFコントローラ204を含んでいる。
【0046】
CPU202は画像形成装置20全体を制御する中央演算ユニットであり、各機能部と接続してこれらを制御することで画像形成装置20の各種機能を実現している。
【0047】
画像処理ハードロジック203は、スキャナ24や有線LAN-IF27等から受信した画像データに対して、補正、加工、編集等の画像処理を行う。また、プリンタ25へ出力するための画像データに対して、色変換、フィルタ処理、解像度変換等の処理を行う。
【0048】
各種インターフェースコントローラ204は、Bluetooth回路21、無線LAN回路22、NFC回路23、RAM205、ROM206、ストレージ207等との接続に用いられるインターフェース制御コントローラである。インターフェースの種類としては、USBインターフェース、SATAインターフェース、LVDSインターフェース等が挙げられる。これらの接続に用いられるシステムバスはメインSOC201内に含まれている。
【0049】
RAM205は、CPU202が動作するためのシステムワークメモリであり、CPU202の演算データや各種プログラムが記憶される。また、RAM205は、スキャン時やプリント時に画像処理ハードロジック203で様々な画像処理を施された画像データを保持する画像メモリとしても利用される。
【0050】
ROM206は、ブートROMであり、コントローラ200のブートプログラムが格納されている。
【0051】
ストレージ207は、サイズの大きなプログラムやデータを保存しておくための不揮発性の二次記憶装置であり、保存してあるプログラムやデータをRAM205に展開されて使用される。例えば、HDDやSSD等の規格のメモリーデバイス(記憶部、格納部)である。なお、ストレージ207の機能の一部をROM206で担ってもよい。
【0052】
<Bluetooth回路の構成>
Bluetooth回路21、Bluetooth回路11の構成について、図4を用いて詳細に説明する。図4(A)は画像形成装置が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。Bluetooth回路21は、画像形成装置20に搭載され、携帯通信端末10とBluetooth規格(主にBLEに関する)に従う無線通信を行って、メインSOC201との間におけるデータ入出力制御を行う。前述したように、Bluetooth回路21はBluetooth5.1のBLE通信方式に対応している。Bluetooth回路21は、ICチップ51およびBLEアンテナ45~48が基板49上に配設されている。なお、図4(A)において、アンテナを3つ股で表現しているが、これは図面上において実線と区別するための便宜上の表現であり、実際のアンテナ形状を3つ股にする必要はない。ICチップ51には、ホストI/F制御部41、BLEベースバンド部42、RF制御部43、RFスイッチ44の機能が集約されている。
【0053】
ホストI/F制御部41は、図3のメインSOC201に対して有線のインターフェースを介してデータの入出力を行う。インターフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)のようなシリアル通信方式に対応するケーブル80(図8参照)で接続可能なものが挙げられる。BLEベースバンド部42は、BLE通信でのデジタル信号処理を行うために、ベースバンド信号処理を行うものである。RF制御部43は携帯通信端末10とBLE通信を行う際に、RF(Radio Frequency)通信のための電波の変調、復調処理を行うものである。RFスイッチ44は、接続されるBLEアンテナ45~48の各BLEアンテナを切り替えて、RF制御部43に接続するための切り替え制御を行う。RFスイッチ44の切り替えスイッチとしては、接点a、接点b、接点c、接点dの4個の接点があるものとする。BLEアンテナ45は、無線通信を行うために形成されたアンテナであり、これを用いることで携帯通信端末10と通信することができる。なお、BLEアンテナ45は、基板49上にパターン配線されたパターンアンテナであり、2.4GHz帯でBLE通信を行うためのアンテナ特性となるように調整されている。BLEアンテナ46~48は、BLEアンテナ45と同様に形成されたアンテナである。
【0054】
なお、BLEアンテナ45~48は、基板49上に形成されるパターンアンテナでなくてもよい。例えば、同等の特性を持つアンテナ部品(いわゆるチップアンテナ)を基板49上に実装して配列してもよい。また、これらのアンテナを基板49上に直接配置しなくてもよい。例えば、ICチップ51のアンテナ端子a、b、c、dに端子コネクタを設けて、このコネクタに接続可能な外付けのアンテナを用いてもよい。
【0055】
BLEアンテナ46~48は、BLEアンテナ45と同等のアンテナ特性が得られるように調整されている。すなわち、同等の特性を有する4本のBLEアンテナが基板49上に一様に配列されている。BLEアンテナ45は、RFスイッチ44の接点aに接続されおり、同様に、BLEアンテナ46~48はそれぞれRFスイッチ44の接点b、接点c、接点dに接続されている。すなわち、BLEアンテナ45~48の4本のBLEアンテナのうちのどのBLEアンテナをRF制御部43に接続するかをRFスイッチ44により切り替えることができるようになっている。
【0056】
図4(B)は携帯通信端末が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。Bluetooth回路11は、携帯通信端末10に搭載され、画像形成装置20とBluetooth規格(主にBLEに関する)に従う無線通信を行って、CPU101との間におけるデータ入出力制御を行う。Bluetooth回路21が複数のアンテナを搭載しているのに対して、Bluetooth回路11は単体のアンテナである。Bluetooth回路11は、ICチップ110およびBLEアンテナ115が基板119上に配設されている。ICチップ110には、ホストI/F制御部111、BLEベースバンド部112、RF制御部113、RFスイッチ114の機能が集約されている。
【0057】
ホストI/F制御部111は、CPU101に対して有線のインターフェースを介してデータの入出力を行う。
【0058】
BLEベースバンド部112は、通信でのデジタル信号処理を行うために、ベースバンド信号処理を行うものである。
【0059】
RF制御部113は、画像形成装置20とBLE通信を行う際に、RF(Radio Frequency)通信のための電波の変調、復調処理を行うものである。
【0060】
BLEアンテナ115は、無線通信を行うために形成されたアンテナであり、これを用いることで画像形成装置20と通信することができる。また、BLEアンテナ115は、基板119上にパターン配線されたパターンアンテナであり、2.4GHz帯でBLE通信を行うためにアンテナ特性となるように調整されている。
【0061】
Bluetooth回路11は、備えるアンテナは単体であるが、携帯通信端末10の方向を画像形成装置で検知できるように対応するため、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しているものとする。なお、Bluetooth回路11は、Bluetooth回路21と同様に複数のアンテナを備える構成であっても良い。
【0062】
<アンテナとシールド>
次に、Bluetooth回路21のアンテナとシールドの関係について説明する。上述したように、Bluetooth回路21は複数のアンテナを備える。図5(A)に示すように、BLEアンテナ45~48は基板49上にパターン配線により形成されている。図5(A)はBluetooth回路基板の表面を示す図である。このように、複数のアンテナを備えることで、Bluetooth規格に従った角度検知(詳細は後述)を行うことができる。BLEアンテナ45~48はICチップ51に接続されている。詳細には、BLEアンテナ45、46、47,48は、RFスイッチ44の接点a、接点b、接点c、接点dにそれぞれ対応して接続されている。また、Bluetooth回路21の基板49上には、コントローラ200とインターフェース接続を行うためにケーブル80(図8参照)で接続可能なコネクタ52が設けられている。このコネクタ52は、ICチップ51のホストI/F制御部41に接続されている。
【0063】
基板49上には、ビス穴53が設けられており、電気回路のGNDと導通している。一般的に、BLE等の高周波帯の電波を使用する無線通信回路は電気的に安定したGNDを得ることにより最大限のアンテナ特性を発揮することができる。そのため、基板49は、電気的に安定したGNDである画像形成装置20の金属板金に固定されることが望ましい。
【0064】
基板49の固定方法について図5(B)を用いて説明する。図5(B)はBluetooth回路基板の上面を示す図である。金属板金55は、基板49を取り付ける板金である。金属板金55は、画像形成装置20本体において電気回路のGNDをなしており、GND線などを介して接地される。金属スペーサ56は、基板49を金属板金55に固定するためのスペーサであり、基板49と金属板金55を物理的に接続して且つ電気回路的にGND接続する。ビス57は、基板49を金属スペーサ56に固定するための金属ビスであり、基板49のビス穴53を通して締結される。樹脂スペーサ58は、プラスチック樹脂で形成されており、基板49を金属板金55に固定するためのスペーサであり、金属板金55に固定されている。
【0065】
また、この金属板金55は、BLEアンテナ45~48に向かって到来する電波を遮蔽するシールド部材として機能している。
【0066】
図5(C)はBluetooth回路基板の背面を示す図である。図5(C)に示すように、基板49の背面側は、BLEアンテナ45~48が配置された領域を含む基板49の全体が金属板金55によって蔽われている。このような関係にある金属板金55は、BLEアンテナ45~48が受信する電波範囲に影響を及ぼす。図5(D)は電波とシールドの関係を説明する図である。図5(D)では、図5(B)と同様に、Bluetooth回路21を上面から見た様子を示している。また、図5(D)では、BLEアンテナ45~48を代表してBLEアンテナ46に向かって到来する電波の様子を示す。図5(D)からわかるように、基板49の背面側には金属板金55が配置されている。そのため、アンテナ46に向かって到来する電波のうち、基板49の背面側から到来する電波は金属板金55に遮られてしまう。遮られた電波は反射または吸収されるため、矢印60で示すような位置の電波はアンテナに伝わらない。厳密には、回折波や反射した電波によるマルチパスにより伝わる領域もあるが、電波強度が大きく減衰しているため、後述する距離検知や角度検知に影響しないものとして扱うことができる。
【0067】
こうした特性を利用して、BLEアンテナに到来する電波の伝搬エリアを同心円状のエリアから半円状のエリアに制限する。これにより、画像形成装置20の背面側から近づいてくる携帯通信端末10と連携を抑制する一方で、画像形成装置20の前面側から近づいてくる携帯通信端末10と適切に連携することができる。
【0068】
<通信確立処理>
次に、BLEの通信の確立(発見から接続までの通信確立処理)について説明する。図7は、BLEによる角度検知を説明する図である。画像形成装置20が携帯通信端末10を発見し、BLE通信の接続を確立するまでの状態遷移は次のようになる。
【0069】
図7に示すように、画像形成装置20と携帯通信端末10のリンク層はどちらも最初はスタンバイ状態である。スタンバイ状態とは、送受信が行われていない状態のことである。携帯通信端末10がプログラム(連携アプリ)のを実行すると、アドバタイジング状態に遷移し、一定周期でアドバタイジング・パケットを送信するようになる(S701)。なお、S701における処理は、BLEアンテナ45~48のそれぞれでパケット(計4つのパケット)を受信する1セットの処理を示している。これは、後述するS702、S705、S706、S707においても同様である。
【0070】
アドバタイジング・パケットはブロードキャストであり、宛先が指定された電波送信ではない。また、このときのパケットの種類(Protocol Data Unitタイプ)は、画像形成装置20からの接続要求の返信を想定しているため、ADV_INDである。アドバジング・パケットは、例えば、デバイス名、デバイスの機能を示すUUID,TX POWERレベル等の情報を含んでいる。
【0071】
画像形成装置20は、プログラム処理の進行に応じて、スキャニング状態に遷移する。スキャニング状態では、携帯通信端末10からのアドバタイジング・パケットの受信が行われる。このように、アドバタイジング・パケットを受信するスキャンステートのことを、パッシブ・スキャンと呼ぶ。プログラムの処理工程によっては、このスキャンステートに入ってない状態となり得る。その場合、パッシブ・スキャンにならず携帯通信端末10からのブロードキャストを受け取らない。ここでは、画像形成装置20が起動されており、且つ、画像形成装置20のBlutooth機能が有効であれば、スキャンステートに入っているものとして扱う。
【0072】
パッシブ・スキャンの状態において、携帯通信端末10(アドバタイザー)からアドバタイジング・パケットが届くと(S702)、プログラムの処理が進行する。画像形成装置20は、携帯通信端末10にスキャン・リクエスト(SCAN_REQ)を送り(S703)さらなる情報の取得を試みる。こうした情報の取得が行われるスキャンステートをアクティブ・スキャンと呼ぶ。画像形成装置20は、スキャン・レスポンスを受信するとスキャンして得た情報を自身のストレージに格納しておく。ここで得られる情報は、例えば携帯通信端末10のデバイス情報の他、無線電波の波長λ等、Bluetooth5.1の角度検出機能を実現させるための情報である。その後、画像形成装置20は、引き続き携帯通信端末10からのアドバタイジング・パケットを定期的に受信する(S705、S706)。画像形成装置20は、スキャニング状態のステート70のとき、携帯通信端末10からのアドバタイジング・パケットから受信角度θを取得することができる。また、受信した電波の電波強度から距離を取得することができる。
【0073】
また、携帯通信端末10は、画像形成装置20が算出した放射角度θを通信により取得してもよい。画像形成装置20は、携帯通信端末10からのアドバタイジング・パケットを受信し(S707)、これにより取得した角度情報と距離情報から特定の検知領域内であることが判明した場合、イニシエーティング状態に遷移する。そして、画像形成装置20は、コネクト・リクエスト(CONNECT_REQ)を送信して(S708)ネゴシエーションを行い、コネクション状態に遷移する。BLE通信の接続が完了すると、画像形成装置20はマスター、携帯通信端末10はスレーブの役割になり、データの送信と受信が可能となる(S709、S710)。以上がBLEの通信の確立の一連の手順である。
【0074】
<角度検出>
次に、複数のアンテナを使用した角度検出の方法について説明する。単一のアンテナを持つ送信側からBLE通信の無線電波を発信して、複数のアンテナ側で受信して方向を検知する方式について図6を用いて説明する。図6はBLEによる角度検出を説明する図である。図6において、電波の受信側が画像形成装置20のBluetooth回路21に相当し、電波の送信側が携帯通信端末10に相当する。本方式は、AoA(Angle of Arrival)または、DoA(Direction of Arrival)と呼ばれる受信角度の検出方式であり、両装置間の位置関係が受信角度θで表される。Bluetooth回路21では4つのアンテナが用いられるが、説明を簡単にするため、ここでは便宜的にアンテナ1、アンテナ2の2本を用いて説明をおこなう。
【0075】
まず前提として、送信側である携帯通信端末10は、アドバタイジング・パケット(アドバタイズメントパケット)を定期的に発信しているものとする。この際、受信側である画像形成装置20は、アンテナ1、アンテナ2を用いてアドバタイジング・パケットを受信する。すると、受信側の画像形成装置には、アンテナ1に届く電波と、アンテナ2に届く電波の2種類の電波が届くことになる。ここで、アンテナ1とアンテナ2の間には間隔が設けられていることから、アンテナ1と携帯通信端末10の間の距離は、アンテナ2と携帯通信端末10の間の距離と異なっている。従って、携帯通信端末10から発信された無線電波がアンテナ1に到達するまでの時間と、携帯通信端末10から発信された無線電波がアンテナ2に到達するまでの時間にはごくわずかな差が生じることになる。このごくわずかな時間の差は、画像形成装置20が電波を受信した際の位相差として検出することが可能である。ここで、アンテナ1とアンテナ2の間隔をd、アンテナ1、アンテナ2が受信する無線電波の受信角度(到来角度)をθ、無線電波の波長をλとする。この際の上記した位相差をψとすると、以下の関係が成立する。
ψ=(2πd*cos(θ))/λ
【0076】
従って、電波の受信角度は以下に示す通りとなる。
θ=arccos((ψλ)/(2πd))
【0077】
このように、単数のアンテナから発信される電波を複数のアンテナで受信し、受信した複数の電波の位相差を正確に検出することができれば、電波の発信側と受信側の位置関係を受信角度θとして求めることができる。なお、正確な位相差を求めるにあたり、アンテナ1とアンテナ2は同等の電波特性を備えていることが望ましい。そのため、上述した通り、BLEアンテナ45~48は同等の電波特性を有するように構成されている。また、正確な位相差を求めるにあたり、アンテナ1が受信する電波とアンテナ2が受信する電波は、同じ伝搬経路で直線的に受信側の複数アンテナに到来する直接波であることが望ましい。BLEアンテナ45~48が受信した複数の電波が同じ伝搬経路を通っているか(直接波か)否かを判断するには、例えば、両電波の受信強度を比較すればよい。
【0078】
ところで、上述した算出をおこなうには、送信側のアンテナ1とアンテナ2の間隔d、無線電波の波長λが必要である。したがって、受信角度を画像形成装置20で算出する場合、画像形成装置20は、間隔dのパラメータを予め記憶しておくとよい。また、波長λの情報は、画像形成装置20が発信するアドバタイジング・パケット(またはスキャン・リクエストに対するレスポンス)から取得するとよい。
【0079】
以降は、受信角度θを取得できることを前提に説明をおこなう。また、受信角度の算出は、Bluetooth規格の仕様に基づいてICチップ51内のRF制御部43によっておこなわれるものとする。したがって、コントローラ200は、Bluetooth回路21から出力される受信角度情報を取得するだけでよい。なお、受信角度θをコントローラ200において算出してもよい。
【0080】
<距離検知>
次に、電波強度を用いた距離検知について説明する。図12は、変換に用いるLUTにおける電波強度と距離の関係を示す図である。電波の発信側と受信側の距離は、電波が発信されてから受信されるまでにどのくらい減衰しているかを示す情報に基づいて推定することができる。電波の減衰は、送信側が電波を送信する際の出力電波強度(第1の電波強度情報)と、受信側が電波を受信する際の受信電波強度(測定電波強度、第2の電波強度情報)に基づいて算出することができる。
【0081】
ここで自由空間における電波の伝搬損失Lの一般的な計算式を以下に示す。
L=P-RSSI 式(1)
L:伝搬損失
P:出力電波強度
RSSI:測定電波強度
【0082】
そして、この伝搬損失から、距離を計算する。伝搬損失の計算は、例えば、計算式(2)で定義される。この計算式(2)を変換すると距離を求める計算式(3)が得られる。
L=(4Πd/λ)^2 式(2)
d=(λ(√L))/(4Π) 式(3)
d:送信側と受信側間の距離
λ:電波の波長
Π:円周率
【0083】
したがって、電波の波長、出力電波強度、受信電波強度があれば距離を算出することができる。画像形成装置20で距離の算出をおこなう場合、受信電波強度は電波の受信時に測定されるため、電波の波長λと出力電波強度P、をアドバタイジング・パケット(またはスキャン・リクエストに対するレスポンス)として取得すればよい。
【0084】
ただし、上述した計算で得られる値は理想的な環境下における計算値であり、アンテナの配置や装置の形状等の個体差を含む各種使用環境の違いによって距離の値には誤差が発生し得る。そのため、装置の設計時に得られた距離と受信電波強度の関係からテーブル(LUT)を作成し通信確立領域の判定に用いてもよい。この方法では、画像形成装置20の機種固有の電波強度特性を計算式用の係数等で表さなくとも反映することができる。
【0085】
図12は、画像形成装置20で用いられる変換テーブルにおける受信電波強度と距離の関係を示す図である。図12の変換例1200に示すように、画像形成装置20で用いられる変換テーブルでは、RSSI値-65dBmの入力に対して距離100cmが出力される。図12からわかるように、-65dBmよりも大きなRSSI値が入力されると100cmよりも近い距離が出力される。一方で、-65dBmよりも小さいRSSI値が入力されると100cmよりも遠い距離が出力される。また、図12からわかるように、距離が離れているほど電波強度の変化量が小さくなっていく傾向がある。これは、遠い位置ほど距離の判定が困難であることを示している。そのため、遠い位置で距離を正確に判定したい場合は、携帯通信端末10側で出力電波強度を高く設定するとよい。出力電波強度を調整した場合は、アドバタイジング・パケットに、その値をTX POWER情報として含めるとよい。この情報を用いることで、画像形成装置20は、TX POWERに応じた距離の算出や変換をおこなうことができる。例えば、TX POWERが調整された場合、画像形成装置20では使用するLUTの切り替えや補正が行われる。
【0086】
なお、上述した変換テーブルは、理想的な携帯通信端末10(基準デバイス)を用いた場合を想定して作られている。そのため、機種固有の電波強度特性を持つユーザ環境の通信携帯端末(利用デバイス)が用いられた場合、出力される距離情報と実際の距離にずれが生じ得る。例えば、図12において破線で示すように、利用デバイスは、基準デバイスに対してRSSI値が低め(-5dBm程度)に出力される特性を持つことがある。そのため、精度の高い距離検知をおこなうためには、こうした特性情報(個体値情報)を保持しておき、上述変換テーブルでの変換を行う前に、RSSI値を補正することが望ましい。なお、こうした特性情報(キャリブレーション情報)はキャリブレーション処理によって得ることができる。キャリブレーション処理は、画像形成装置20に対して利用デバイスを特定の位置に配置し、その状態で受信された電波の受信電波強度を測定することで行われる。特定の位置とは、例えば、画像形成装置20が備えるタッチマークから0cmの位置や100cmの位置である。なお、キャリブレーション処理は、必ずしも行わなくてもよい。また、キャリブレーション処理は、用途に適した位置でおこなわれることが望ましい。また、複数の位置でキャリブレーション処理をおこない、より精度の高い補正を行えるようにしてもよい。また、受信電波強度は、取得タイミングによってばらつきを生じ得る。そのため、複数タイミングの受信電波強度を取得して、これを平均する等して用いるとよい。
【0087】
<アンテナ配置>
実施例1では、画像形成装置20の前面側にBluetooth回路21が配置され、このBluetooth回路21を中心に、角度と距離が制限された検知エリアを利用する点を特徴とする。
【0088】
図8(A)は実施例1における画像形成装置を右斜め前から見た図である。画像形成装置20を利用するユーザは、スキャナ24を使用する場合や、プリンタ25によって出力された印刷紙を取りにくる場合など、操作パネル26付近に近づく可能性が高い。そこで、本実施例では、この操作パネル26の近くの前面の領域にBluetooth回路21を配置することで、携帯通信端末10の検知精度を高める構成にしている。
【0089】
また、同様の理由で、Bluetooth回路21の近傍にはNFC回路23が配置されている。さらに、NFC回路23の近傍には、ターゲットマーク83が配置されている。
【0090】
ターゲットマーク83は、NFC回路23とNFC回路13を通信させる際に、携帯通信端末10をこの位置に近づける(接触させる)ように、ユーザを誘導する目印である。また、ターゲットマーク83は、Bluetooth回路21を中心とした検知エリアに、携帯通信端末を持ったユーザが近づいていく際の目安としても用いられる。
【0091】
図8(B)は実施例1における画像形成装置を右側面から見た図である。図8(B)に示すように、NFC回路23はケーブル81で操作パネル26に接続され、操作パネル26はケーブル82でコントローラ200と電気的に接続されている。一方で、Bluetooth回路21はケーブル80でコントローラ200と電気的に接続されている。それぞれの回路は、コントローラ200で実行されるプログラムにより制御されることで各機能を実現する。
【0092】
<検知エリア>
本実施例の検知エリア(通信確立領域)について説明する。図13(A)は実施例1の通信確立領域を説明する図である。従来のように、電波強度に基づく距離情報のみで通信確立領域を規定しようとした場合、Bluetooth回路21を中心とした円形状の範囲となる。この円形状の範囲を破線で書かれた円として示す。この破線で書かれた円は、Bluetooth回路21からおよそ距離100cm離れた位置に形成される。これに対し、本実施例の通信確立領域1300は、扇形の実線で囲われた領域となっている。この範囲の閾値は以下であらわされる。この閾値は、例えば画像形成装置20に予め登録されている。
R≦100cm、5°≦θ≦135°
【0093】
すなわち、本実施例では、電波強度に基づく距離情報だけでなく、複数アンテナで受信された電波に基づいて得られる角度情報を用いることで、通信確立領域を特定の方向に絞っている。このように通信確立領域を制限することで、意図しない通信確立の発生を抑制することができる。
【0094】
<利用シーケンス>
まず、実施例1で説明するシステムの利用の流れについて説明する。図9は、実施例1における、ユーザ600、携帯通信端末10、画像形成装置20の各々の動作の全体の流れを表す図である。ここでは全体の流れを説明して、処理の詳細については図9図10の処理フローチャートで述べる。図9では「近づいてログイン」の設定を行った場合の例として説明する。
【0095】
ユーザ600は事前に、画像形成装置20の操作パネル26上で、携帯通信端末10との連携モードの設定をあらかじめ行っておく(S900)。この設定は図23に示す設定画面においておこなわれる。図23は画像形成装置20が備える操作パネル26の表示の一例を示したものである。この設定画面は、アドバタイジング・パケットを受信した際に画像形成装置20がどのような動作を行うかを設定する画面である。
【0096】
「手動接続」は、BLE接続するデバイスを指定可能な画面を操作パネル26に表示させる機能である。BLE接続後、Bluetooth通信を介して無線LANの接続情報を交換することで無線LAN通信(Wi-Fiダイレクト通信)を確立することができる。
【0097】
「タッチしてログイン」は画像形成装置20のターゲットマークに携帯通信端末10をタッチ(近接)させて、Bluetoothの通信確立手続きをおこない、Bluetooth通信を介してユーザ認証情報を交換する機能であり。これにより画像形成装置20にログインすることができる。
【0098】
「近づいて接続」は画像形成装置20から100cm程度の距離に近づいて、Bluetoothの通信確立手続きをおこない、Bluetooth通信を介して無線LANの接続情報を交換する機能である。これにより、無線LAN通信(Wi-Fiダイレクト通信)を確立することができる。
【0099】
「近づいてログイン」は画像形成装置20から100cm程度の距離に近づいて、Bluetoothの通信確立手続きをおこない、Bluetooth通信を介してユーザ認証情報を交換することで画像形成装置20にログインする機能である。
【0100】
上述した設定をあらかじめおこなっておくと、連携モードに対応するLUTや閾値等の情報が画像形成装置20にロードされた状態となる。
【0101】
その後、携帯通信端末10を持ったユーザ600が画像形成装置20から離れた位置に立っているとする。この状態において、画像形成装置20と携帯通信端末10の連携を望むユーザ600は、携帯通信端末10を操作して、連携アプリの起動指示をおこなう(S901)。携帯通信端末10は、この指示にしたがって連携アプリを起動する。起動した連携アプリは、BLE通信の確立(通信確立)を実行するまで、アドバタイジング・パケットを定期的に発信し続ける(S902)。
【0102】
なお、連携アプリが起動した状態では、携帯通信端末10のディスプレイ141に連携アプリ用の画面が表示される。図21(A)~図21(F)は携帯通信端末の画面例を示す図である。図21(A)は、連携アプリのTOP画面であり、通知2108ようにビーコン発信中であることを示す情報や、リスト2100のように近くにあるプリンタの名称やステータスが表示されている。領域2017はグレーアウトされており、プリント機能やスキャン機能、キャプチャ機能が利用できない状態であることを示している。
【0103】
この状態で、携帯通信端末10のアドバタイジング・パケットを受信すると、画像形成装置20は、連携対象装置(連携アプリを実行する装置)からのパケットとして認識する(S903)。そして、画像形成装置20は、携帯通信端末10にスキャン・リクエストを発信し(S904)、携帯通信端末10からスキャン・レスポンスを受信する(S905)。その結果、画像形成装置20は携帯通信端末10の詳細なデバイス情報を取得する(S906)。その後、アドバタイジング・パケットを受信すると(S902)、画像形成装置20は、受信したアドバタイジング・パケットから、電波強度と受信角度を取得し、距離情報、角度情報として扱えるようにする(S907)。
【0104】
携帯通信端末10と画像形成装置20の連携設定として事前に「近づいてログイン」が設定されていた場合、画像形成装置20は、アドバタイジング・パケットから算出される距離情報、角度情報から、携帯通信端末10の位置判別を実行する。
【0105】
例えば、ユーザ600が、画像形成装置20から十分に離れた位置にいる場合、通信確立領域外(通信確立領域外)であると判別される(S909)。なお、通信確立領域とは、例えば、図13(A)の扇形の実線枠が示す領域1300である。また、ユーザ600が画像形成装置20の側面に移動した場合(S910)、通信確立領域外と判別される(S909)。ユーザ600が画像形成装置20前面に近づくと(S911)、通信確立領域内(通信確立領域内)と判別される(S912)。そして、画像形成装置20は、携帯通信端末10に対してコネクト・リクエストのパケットを発信する(S913)。その結果、両装置間でBLE通信の確立手続きが実行される(S914)。BLE通信が確立された後、携帯通信端末10は、近づいてログインするための認証情報を任意のデータ情報として送信する(S915)。画像形成装置20は認証データを照合してOKであればログイン手続きをおこなう(S916)。ログインしたユーザ600は、認証権限に応じて画像形成装置20の操作が許可される(S917)。以上が本実施例の全体の流れである。
【0106】
<携帯通信端末の制御フロー>
上述した全体の流れを実現するために、携帯通信端末10では、図11のフローチャートで示された制御がおこなわれる。図11は、携帯通信端末の処理をあらわすフローチャートの図である。なお、このフローチャートで示される制御は、コントローラ100によって実行される。詳細には、CPU101が、ROM104に格納されたプログラムをRAM103に展開して実行することで上述制御が実現される。
【0107】
まず、S1101において、コントローラ100は、携帯通信端末10のBluetooth回路11がコネクション状態にいるかどうか判別する。既に携帯通信端末10がBLE接続をしている場合、アドバタイジング・パケットを送信せずに、S1108に処理を進め、BLEコネクション状態を維持する。本実施例では、携帯通信端末10をSlaveとして接続する。そのため、ここではアドバタイジング・パケットのブロードキャスト送信をするべきではない。一方、BLE接続をしている携帯通信端末10がいない場合はS1102へ処理を進める。
【0108】
S1102において、Bluetooth回路11はアドバタイジング状態と呼ばれる状態になる。アドバタイジング状態は、画像形成装置からの接続要求を待機する待機状態である。アドバタイジング状態において、Bluetooth回路11は複数のBLEアンテナ115から一定周期で断続的にパケットを発信する(S1103)。
【0109】
S1104において、コントローラ100は、アドバタイジング・パケットに対する応答としてのSCAN_REQパケットが届いているか否かを判定する。SCAN_REQパケットがあった場合はS1105へと処理を進め、SCAN_REQがなかった場合はS1106へと処理を進める。
【0110】
S1105において、コントローラ100は、SCAN_REQに対してSCAN_RESPのデータを送信する。SCAN_RESPのデータは、機種名やセンサ情報などのデバイス情報を含む。また、SCAN_RESPのデータは、Bluetooth5.1の角度検出機能を実現させるための情報として無線電波の波長λ等の情報も含む。
【0111】
S1106において、コントローラ100は、CONNECT_REQパケットが届いているか否かを判定する。CONNECT_REQの返信がなければ、S1103へと処理を戻し、アドバタイジング・パケットの送信を継続する。CONNECT_REQの返信があった場合は、S1107へ処理を進める。
【0112】
S1107において、コントローラ100は、接続要求のあった画像形成装置20とネゴシエーション処理を行う。そして、コネクション状態に遷移してBLE通信を確立し、通信確立を完了する。
【0113】
S1108において、コントローラ100は、通信確立済みのBLE通信を維持する。S1109において、コントローラ100は、Bluetooth通信を用いて画像形成装置20との連携処理を行う。そして、一連の処理を終了する。
【0114】
<画像形成装置の制御フロー>
上述した全体の流れを実現するために、画像形成装置20では、図10のフローチャートで示された制御がおこなわれる。図10は、実施例1における画像形成装置の処理をあらわすフローチャートの図である。なお、このフローチャートで示される制御は、コントローラ200によって実行される。詳細には、CPU202が、ROM206に格納されたプログラムをRAM205に展開して実行することで上述制御が実現される。
【0115】
プログラムが起動すると、S1001において、コントローラ200は、Bluetooth回路21をスキャンニング状態に設定する。
【0116】
S1002において、コントローラ200は、スキャニング状態になったBluetooth回路21によって、他のBLE対応デバイスから発信されたアドバタイジング・パケットが受信されるのを待機する。アドバタイジング・パケットは、図7で示したように携帯通信端末10からブロードキャストで発信されている。コントローラ200はアドバタイジング・パケットを受信するとS1003へと処理を進める。
【0117】
S1003において、コントローラ200は、受信したアドバタイジング・パケットの発信元が対応する装置か否かを判別する。アドバタイジング・パケットは、様々な装置で用いられ得る規格の無線電波であるので、対応していない装置からも届き得る。そのため、アドバタイジング・パケットの送信元を判別する処理をおこなうことが望ましい。
【0118】
判別には、アドバタイジング・パケットに含まれるデータが用いられる。アドバタイジング・パケットに含まれるデータは、アドバタイザーを判別するアドレスや、UUID、もしくは任意データとして埋め込まれた識別子が挙げられる。本実施例では、任意のデータとして連携アプリの識別子を用いる。このデータを用いることで、画像形成装置20は連携可能な装置である携帯通信端末10を判別することができる。
【0119】
S1004において、コントローラ200は、アドバタイジング・パケットの発信元から詳細なデバイス情報を入手済みか否か判別する。デバイス情報が未入手の場合はS1005へ処理を進め、既にデバイス情報を入手済みである場合は、S1006へ処理を進める。
【0120】
S1005において、コントローラ200は、受信したアドバタイジング・パケットに対してSCAN_REQパケットを返信し、携帯通信端末10の更なる詳細情報を要求する。これにより、SCAN_REQに対する応答としてSCAN_RESPが返信されるため、コントローラ200は、これを取得する。SCAN_RESPには、携帯通信端末10のデバイス情報が含まれている。デバイス情報は、携帯通信端末10の機能やステータスの他、無線電波の波長λ等の情報を含む。これらは、例えば、コード化された形式の任意データである。入手されたデバイス情報は、画像形成装置20上のRAM205に格納され、携帯通信端末10のBLE通信の受信角度の算出などで利用される。また、後に呼び出せるように、ストレージ207に保存してもよい。
【0121】
なお、任意データとして埋め込まれるコードは、携帯通信端末10と画像形成装置20で整合を取ることができればどのような方法で作成されていてもよい。また、新機種などが増え任意データとして対象コードを追加する場合は、プログラムのアップデートで判別できるように対応するか、ネットワークサーバーで照合するか等の仕組みを取り入れるとよい。
【0122】
S1006において、コントローラ200は、入手したデバイス情報からBluetooth5.1の角度検出機能が対応しているかどうかの判別結果を取得する。判別結果はデバイス情報を照合した結果から得てもよいし、パケット上に含まれるBluetooth対応バージョンをBluetooth回路21で判別した結果を取得しても良い。角度検出機能が使用できる場合は、S1007へ処理を進める。角度検出機能が使用できない場合は、S1014へ処理を進める。
【0123】
S1007において、コントローラ200は、受信したアドバタイジング・パケットの電波強度から距離を算出して、距離情報として保存する。具体的には、アドバタイジング・パケットを受信した際の受信電波強度であるRSSI(dBm)の値を電波強度情報として取得し、この値を実距離に置き換える変換テーブル(LUT)に入力することで距離情報R(cm)を取得する。取得された距離情報は、画像形成装置20上のRAM205に格納され、携帯通信端末10の位置情報の算出に利用される。
【0124】
S1008において、コントローラ200は、受信したアドバタイジング・パケットに基づき、図6で説明した方式で受信角度θを算出する。コントローラ200は、携帯通信端末10からの無線電波の受信角度θを、角度情報として保存する。取得した角度情報は、画像形成装置20上のRAM205に格納され、携帯通信端末10の位置情報の算出に利用される。
【0125】
S1009において、コントローラ200は、距離Rと受信角度θより、連携アプリを実行している携帯通信端末10が画像形成装置20に対してどの位置にいるかを算出する。S1010において、コントローラ200は、距離Rと受信角度θによって示される位置が、設定された所定の領域内に入ったかどうか判別する。例えば、図13(A)の位置Aに携帯通信端末10がある場合、距離Rと受信角度θで表される位置が、R=98cm、θ=33°となる。この位置は閾値内であるため、コントローラ200は、通信確立を実行すべくS1011へ処理を進める。また、図13(A)の位置Bの場合は、距離Rと受信角度θで表される位置が、R=130cm、θ=50°となる。この位置は閾値外であるため、通信確立を実行せずにS1002へ処理を戻す。
【0126】
S1006の分岐において角度検出非対応と判別された場合は、S1014以降のフローに移行する。以上で説明したように、画像形成装置20と携帯通信端末10がお互いにBluetooth5.1の角度検出機能に対応している場合は、距離情報に加えて角度情報に基づく位置情報を求めることができる。一方で、Bluetooth5.1の仕様に対応していないバージョンの通信を用いる場合は、距離情報と角度情報を組み合わせた位置情報を取得することができない。この場合は、従来の距離情報のみを用いた検知が行われる。
【0127】
S1014において、コントローラ200は、S1007と同様に、受信したアドバタイジング・パケットの電波強度から距離を算出して、距離情報として保存する。こちらのフローでは、角度情報を扱えないため、画像形成装置20のBluetooth回路21から同心円上に広がる距離情報を利用した処理がおこなわれる。S1015において、コントローラ200は距離情報が所定の範囲内に入ったかどうかを判別する。所定の範囲内に入っていない場合、コントローラ200は、スキャニング状態を継続してS1002へ処理を戻す。所定の範囲内に入っている場合は、S1011に移行する。
【0128】
S1011以降の処理は、携帯通信端末10が画像形成装置20に近づいて、BLE通信が確立可能となった後の処理である。ここでいうBLE通信確立とは通信確立されることを示す。画像形成装置20は、「手動接続(2301)」、「近づいて接続(2302)」、「近づいてログイン(2303)」「タッチしてログイン(2304)」等の複数のモードのなかから一つのモードを予め設定しておくことができる。そして、画像形成装置20は、モード設定に応じた処理をおこなう。
【0129】
S1011において、コントローラ200は、モード設定が「近づくことで自動的に接続を開始するタイプのモード」であるか否かを判定する。「近づくことで自動的に接続を開始するタイプのモード」には、「近づいて接続(2302)」、「近づいてログイン(2303)」、「タッチしてログイン(2304)」のモードが該当する。コントローラ200は、上記のいずれかのモードが設定されていると判断した場合、S1012へ処理を進める。コントローラ200は、上記のいずれのモードとも異なるモード、すなわち「手動接続(2301)」が設定されていると判断した場合、S1022へ処理を進める。
【0130】
S1012において、コントローラ200は、Bluetooth回路21を用いて、対象の携帯通信端末10にコネクト・リクエスト(CONNECT_REQ)を送信する。その後、S1013において、コントローラ200は、携帯通信端末10との間でネゴシエーション処理を行い、コネクション状態に遷移する。これによりBLE通信が可能となり通信確立が完了する。
【0131】
通信確立の完了後、S1016において、コントローラ200は、モード設定が「ログインするタイプのモード」であるか否かを判定する。「ログインするタイプのモード」は、「近づいてログイン(2303)」、「タッチしてログイン(2304)」のモードが該当する。
【0132】
コントローラ200は、上記のいずれかのモードが設定されていると判断した場合、S1017へ処理を進める。コントローラ200は、上記のいずれのモードとも異なるモードが設定されていると判断した場合、すなわち、「近づいて接続(2302)」が設定されていると判断した場合、S1019へ処理を進める。
【0133】
S1017において、コントローラ200は、画像形成装置20へのログイン処理を実行し、S1018へと処理を進める。
【0134】
S1018において、コントローラ200は、ログイン処理が完了した旨を携帯通信端末10に通知し(S1018)、一連の処理を終了。ここで、ログイン完了通知をうけとった携帯通信端末10は、ディスプレイ141に図21(C)のような機能設定画面を表示する。機能選択画面は、プリント機能、スキャン機能、キャプチャ機能の利用を開始するそれぞれのボタンの他、現在ログイン中であることを示す通知2102を備える。なお、図21では、単にログイン中である旨のみ通知しているが、図21(D)にしめすように、接続中の画像形成装置の名称が識別可能となるような通知2103を表示してもよい。
【0135】
また、S1019において、コントローラ200は、認証手続きを促す通知をおこなう(S1020)。この通知により、携帯通信端末10は、ディスプレイ141に図21(B)のようなユーザ認証のための画面を表示する。この画面は、認証情報(IDやパスワード)を入力可能な入力フォームを備える。図21(B)で入力された認証情報は、画像形成装置20に通知される。
【0136】
S1020において、コントローラ200は、携帯通信端末10から通知された認証情報を照合する。コントローラ200は、認証情報がOKであった場合はS1018へと処理を進め、認証情報がNGであった場合はS1021へと処理を進める。
【0137】
S1021において、コントローラ200は、携帯通信端末10との間のBLEのコネクションを断つ指示をBluetooth回路21に対しておこない、一連の処理を終了する。
【0138】
一方で、S1011において「手動接続(2301)」が設定されていた場合にはS1022以降の処理がおこなわれる。
【0139】
S1022において、コントローラ200は、ディスプレイ262に、BLE通信の確認画面(不図示)を表示させる。この確認画面には、BLE通信「する」ボタンとBLE通信「しない」ボタンが配置されており、いずれか一方を選択することができる。ここで、ユーザが「しない」ボタンを選択した場合はS1021へ処理を進め、「する」を選択した場合にはS1024へ処理を進める。
【0140】
S1024において、コントローラ200は、Bluetooth回路21を用いて、対象の携帯通信端末10にコネクト・リクエスト(CONNECT_REQ)を送信する。その後、S1025において、コントローラ200は、携帯通信端末10との間でネゴシエーション処理を行い、コネクション状態に遷移する。これによりBLE通信が可能となり通信確立が完了する。そして、S1019へと処理をすすめる。
【0141】
以上で説明したように、携帯通信端末10と画像形成装置20がお互いにBluetooth5.1の角度検知機能に対応している場合は、このようにして特定の領域に入ることでのBLE通信の通信確立を実現することが可能となる。
【0142】
<連携処理>
S1109における画像形成装置20と携帯通信端末10との連携処理につて説明する。図21(A)等に示すように、携帯通信端末10は連携アプリを用いて様々な連携機能を利用可能である。
【0143】
様々な機能に共通の機能として、画像形成装置20の電力復帰機能がある。画像形成装置20は、通常電力状態(スタンバイ状態)で所定時間の間、ユーザ操作や実行ジョブがないと省電力状態(スリープ状態)に移行する。省電力状態は、通常電力状態よりも消費電力が低い状態である。省電力状態では、例えば、ディスプレイ262のバックライトが消灯させるなど、操作パネル26への電力供給の一部または全部が停止される。ここでは、省電力状態において、Bluetooth回路21およびCPU202への電力供給は停止していないものとする。この省電力状態の画像形成装置20に対してBLE通信の通信確立が完了させると、画像形成装置20は省電力状態から通常電力状態に移行(復帰)する。
【0144】
様々な機能のうち「近づいてログイン」「タッチしてログイン」の機能を使用する場合、BLE通信を介して、認証情報のやりとりが行われる。詳細には、まず、予め登録されたユーザの認証情報(ユーザID,パスワード等)を携帯通信端末10が画像形成装置20にBLR通信で送信する。画像形成装置20は、受信した認証情報に対応する登録情報を確認すると、登録情報に紐づくユーザ情報をログインユーザ情報として管理し、ログイン中のユーザ情報に基づいて、画像形成装置20が備える一部または全部の機能を利用可能にする。例えば、ログインが成功すると、ログイン画面からメニュー画面に遷移し、メニュー画面の操作が可能となる。なお、認証処理は、サーバ300において行う形態であってもよい。
【0145】
様々な機能のうち「プリント」「スキャン」「近づいて接続」等の機能を使用する場合、BLE通信を介して、無線LAN接続情報のやりとりがおこなわれ、無線通信をBLE通信から無線LAN通信に切り替える処理(ハンドーオーバー処理)が行われる。なお、BLE通信の確立にあたり、画像形成装置20に近づける旨の通知がおこなわれるが、この通知は、各種機能の実行指示を受け付ける前におこなってもよいし、各種機能の実行指示を受け付けた後に行ってもよい。
【0146】
詳細には、まず、ハンドオーバー要求(無線通信の切り替え要求)を携帯通信端末10が画像形成装置20にBLE通信で送信する。要求を受けた画像形成装置20は無線LAN回路22と接続するための接続情報(IPアドレスやSSIDやパスワード等)を携帯通信端末10へ送信する。それを受けた携帯通信端末10は接続情報を基に設定の切り替えを実施して、無線LAN回路12から無線LAN回路22に接続の確立要求を送信する。これに無線LAN回路22が応答して手続きがおこなわれることで、無線LAN通信が確立される。
【0147】
無線LAN通信の確立後は、例えば、画像形成装置20に印刷させる印刷データを携帯通信端末10から送信するプリント機能(印刷機能)が実行される。なお、プリント機能として、クライアント端末400から画像形成装置20に送信され、画像形成装置20で保持された状態の印刷データの印刷開始を、携帯通信端末10から指示する機能を備えていてもよい。また、プリント機能として、サーバ300に保持された印刷データを画像形成装置20にダウンロードして印刷する処理の開始を、携帯通信端末10から指示する機能を備えていてもよい。
【0148】
また、無線LAN通信の確立後は、例えば、画像形成装置20によって原稿から読み取られた画像を携帯通信端末10に送信するスキャン機能(読取機能)が実行される。なお、スキャン機能として、画像形成装置20によって原稿から読み取られた画像をサーバ300やクライアント端末400にアップロードする処理の開始を、携帯通信端末10から指示する機能を備えていてもよい。
【0149】
また、無線LAN通信の確立後は、例えば、画像形成装置20のステータス情報(トナー残量情報、エラー情報、印刷カウント情報、電力情報)や設定情報(印刷設定、スキャン設定)、画面情報を携帯通信端末10取得して確認する確認機能が実行される。確認機能は、画像形成装置20が提供するWEBサーバにアクセスしてWEBページ情報を取得し、これを連携アプリのブラウザ機能で表示する方法、あるいは携帯通信端末10が備えるブラウザアプリに通知する方法で実現してもよい。その場合、携帯通信端末10は、BLE通信または無線LAN通信のいずれかの工程で画像形成装置20が提供するWEBサーバのURL情報の取得処理をおこなう。
【0150】
<備考>
以上で説明したように、本実施例では、携帯通信端末10と画像形成装置20がBLE通信の通信確立の開始タイミングについて、画像形成装置20が受信するアドバタイジング・パケットの受信角度と電波強度に基づいて決定する。受信角度と電波強度を用いることで、通信確立領域1300のような特定の領域に入った携帯通信端末10に対して自動的に通信確立(BLEの通信確立)の手続きをすすめることができる。
【0151】
特に本実施例では、アドバタイジング・パケットの受信角度を用いることで通信確立を開始する領域を絞っている。そのため、アンテナからの距離が同じ距離であっても通信確立する領域としない領域を区別することができる。これにより、例えば、画像形成装置20の側面や背面から近づいたユーザの携帯通信端末と誤って通信確立せずに済む。
【0152】
なお、図9では、「近づいてログイン」を例に挙げているが、「近づいて接続」や「タッチしてログイン」に置き換えて読んでもよい。
【0153】
また、画像形成装置20への不用意な通信確立を抑制できるため、画像形成装置20が意図せずに省電力状態から復帰してしまい電力を浪費してしまうといった事態の発生を抑制できる。
【0154】
また、画像形成装置20への不用意な通信確立を抑制できるため、同時にBLE通信できる枠や同時に無線ダイレクト通信できる枠が不用意に埋められてしまうといった事態の発生を抑制することができる。
【0155】
また、画像形成装置20への不用意なログインを抑制できるため、あるユーザが画像形成装置20を操作中に、他のユーザが意図せずログインしてしまい、誤操作を発生させてしまうといった事態の発生を抑制できる。
【0156】
(実施例2)
実施例2では、画像形成装置20の背面側(前面の反対側)にBluetooth回路21が配置され、画像形成装置20の前面側の特定の位置を近傍とする、角度と距離が制限された検知エリア(通信確立領域)を利用する点を特徴とする。すなわち、実施例2では、Bluetooth回路21が検知エリアを決める近傍位置に配置されなくともよい方法について説明する。
【0157】
なお、実施例2の構成や処理は、実施例1で説明した構成や処理と一部が共通している。そのため、同様の構成や処理については同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0158】
<アンテナの配置>
Bluetooth回路21は、実現する機能の利用条件を満たすように、電波特性等を考慮して最適な位置に配置されることが望ましい。様々な条件を考慮した場合、実施例1のように、画像形成装置20の前面側の操作パネル26の近傍が最適な位置になるとは限らない。
【0159】
本実施例では、電波特性が良好な場所として、Bluetooth回路21を図14(A)、図14(B)、図14(C)で示す位置に配置する。図14(A)は実施例2および実施例3における画像形成装置を右斜め前から見た図である。図14(B)は実施例2および実施例3における画像形成装置を右側面から見た図である。図14(C)は実施例2および実施例3における画像形成装置を俯瞰した図である。図14(C)で示すようにBluetooth回路21の位置は画像形成装置20の背面側に配置されている。この位置を物理位置1400呼ぶ。これに対し、本実施例では、BLE通信の通信確立を行う特定の領域の中心が画像形成装置20の前面側となるように制御する。この位置を仮想位置1401と呼ぶ。物理位置1400と仮想位置1401は、対角距離1402の位置関係で配置されている。なお、NFC回路23については、図8(A)や図8(B)と同様の位置に配置されており、ターゲットマーク83も同様の位置に配置されているものとする。
【0160】
<検知エリア>
本実施例では、実施例1と同様に、画像形成装置20のBluetooth回路21の物理位置1400を中心に算出された、電波強度により検出された距離Rと、角度検出により検出された受信角度θを用いる。本実施例では、これらに加えて、仮想位置1401を中心とした通信確立領域に対応するLUT、閾値情報を用いて通信確立の判定をおこなう。
【0161】
本実施例おいて「タッチしてログイン」を選択した場合、図14(A)の領域1503が通信確立領域となる。なお、図14(A)において、破線で書かれた円は、Bluetooth回路21を中心とした距離であって電波強度により算出される距離を便宜的に示している。通信確立領域1503は、算出された距離Rと受信角度θが110cm≦R≦120cm、且つ、125°≦θ≦135°となる領域である。なお、この領域は、仮想位置1401を基準に定められた領域である。詳細には、仮想位置1401を基準に「+0cm~+10cm」且つ「-8°~+2°」となる領域として定義されている。ここでは、物理位置1400から仮想位置1401までの距離が110cmであり、物理位置1400に対しての仮想位置1401の角度が133°の位置にあるため図15(A)で示した領域となっている。図15(A)は実施例2の通信確立領域を説明する図である。この領域内に携帯通信端末10が入るとBLEによる通信が確立される。通信確立領域1503は、ターゲットマーク83の位置と重複する領域であるため、ユーザがターゲットマーク83の位置にタッチするように携帯通信端末10を近づけることで、BLEの通信が確立される。このように、距離情報Rと、角度情報θを利用して、特定の領域をターゲットマーク83の周辺になるように限定することで、NFC回路13のターゲットマーク83とタッチする位置を共用することが可能である。これにより、ユーザがBLEかNFCか何れかの規格の無線通信を使う場合であっても、同じ使用感で使うことが可能である。
【0162】
本実施例において「近づいてログイン」を選択した場合、図14(B)の領域1504が通信確立領域となる。なお、図14(B)において、破線で書かれた円は、Bluetooth回路21を中心とした距離であって電波強度により算出される距離を便宜的に示している。通信確立領域1504は、算出された距離Rと受信角度θが90cm≦R≦130cm、且つ、85°≦θ≦135°となる領域、または、算出された距離Rと受信角度θが130cm<R≦140cm、且つ、90°≦θ≦130°となる領域である。これは、仮想位置1401を基準として、定められた領域である。詳細には、仮想位置1401を基準に「-20cm~+20cm」且つ「-48°~+2°」となる領域、または、「+20cm~+30cm」且つ「-43°~-3°」となる領域として定義されている。こうした仮想位置基準の領域の情報は、画像形成装置20にあらかじめ格納されているものとする。ここでは、物理位置1400から仮想位置1401までの距離が110cmであり、物理位置1400に対して仮想位置1401が133°の角度位置にあるため、図15(B)で示した領域となっている。図15(B)は実施例2の変形例における通信確立領域を説明する図である。
【0163】
この領域に携帯通信端末10が入るとBLEによる通信が確立される。通信確立領域1504は、ターゲットマーク83の位置と重複する領域であるため、ユーザが携帯通信端末10を持った状態でターゲットマーク83に近づいていくと、BLEの通信が確立される。
【0164】
このように、距離情報Rと、角度情報θを利用して、特定の領域をターゲットマーク83の周辺になるように限定することで、NFC回路13のターゲットマーク83をBLE通信確立位置の目印にすることができる。
【0165】
ところで、図12で説明したように、ユーザ環境で利用される携帯通信端末10は電波特性に個体差を生じ得る。そのため、予め定められた仮想位置の情報(距離110cmに対応する電波強度、角度133°)を基準に通信確立領域を定義した場合、ターゲットマーク83に携帯通信端末10を近づけても正常に検知されない虞がある。このような場合に備え、連携アプリにおいて、キャリブレーション処理で補正できるように構成してもよい。「タッチしてログイン」の距離を補正する画面の一例として図21(E)に示す。本キャリブレーションでは、携帯通信端末10を仮想位置1401の周辺にあるターゲットマーク83に近づけるように促し、そこでユーザにOKボタン2104を押させることで、その場所での電波強度と角度を計測する。そして、予め定められた仮想位置の情報(距離110cmに対応する電波強度、角度133°)と差分がある場合には、その差分情報(キャリブレーション情報)を画像形成装置20に記憶しておく。そして、位置の計測タイミングにおいて、この差分情報を用いて誤差の補正をおこなう。なお、キャリブレーションで得られた仮想位置の情報そのものを記憶し、これを用いて位置の計測をおこなってもよい。本実施例では、キャリブレーションで取得する情報として電波強度の情報に加え、角度の情報を含む。
【0166】
また、「近づいてログイン」の場合は、基準位置のキャリブレーションだけでなく、距離毎のキャリブレーションをおこなってもよい。本キャリブレーションでは、ラインスケールを本体に付属するなどして設けて、所定の距離でユーザにOKボタン2105を押させることで、その場所での電波強度を計測する。画像形成装置20の配置スペースによっては、距離が取れない場合もあるので、ユーザが入れる領域のみで電波強度が計測できれば良い。そのため不要の計測をスキップするスキップボタン2106を設けている。距離と受信電波強度の変換に用いるLUTに対して差分がある場合は、その差分情報を記憶しておく。そして、位置の計測タイミングにおいて、この差分情報を用いて誤差の補正をおこなう。なお、キャリブレーションで得られた仮想位置の情報そのものを記憶し、これを用いて位置の計測をおこなってもよい。
【0167】
<利用シーケンスとフローの差分>
実施例2の利用シーケンスと画像形成装置20および携帯通信端末10の制御フローは、特徴部分を除き実施例1のものと同内容となっている。そのため、ここでは差分についてのみ詳細に記載し、その他の重複部分については詳細な説明を省略する。図16は実施例2における、ユーザ600、携帯通信端末10、画像形成装置20の各々の動作の全体の流れを表す図である。
【0168】
ユーザ600は事前に、画像形成装置20の操作パネル26上で、携帯通信端末10が特定領域に入ってきた場合の動作モードの設定を行っておく(S900)。このとき、設定されたモードに応じて仮想位置基準のLUT、閾値情報がROM206等から読み出される(S1600)。例えば、設定されたモードが「タッチしてログイン」であれば、図15(A)で示すような仮想位置基準のLUTが読み出される。また、設定されたモードが「近づいてログイン」であれば、図15(B)で示すような仮想位置基準のLUTが読み出される。
【0169】
その後、携帯通信端末10を持ったユーザ600は、画像形成装置20から離れた位置に立っているとする。この状態において、画像形成装置20と携帯通信端末10を望むユーザ600は、携帯通信端末10を操作して、連携アプリの起動指示をおこなう(S901)。携帯通信端末10は、この指示にしたがって連携アプリを起動する。起動した連携アプリは、BLE通信の確立(通信確立)を実行するまで、アドバタイジング・パケットを定期的に発信し続ける(S902)。この状態で、携帯通信端末10のアドバタイジング・パケットを受信すると、画像形成装置20は、連携対象装置(連携アプリを実行する装置)からのパケットとして認識する(S903)。そして、画像形成装置20は、携帯通信端末10にスキャン・リクエストを発信し(S904)、携帯通信端末10からスキャン・レスポンスを受信する(S905)。その結果、画像形成装置20は携帯通信端末10の詳細なデバイス情報を取得する(S906)。その後、アドバタイジング・パケットを受信すると(S902)、画像形成装置20は、受信したアドバタイジング・パケットから、電波強度と受信角度を取得して、距離情報、角度情報として扱う(S907)。
【0170】
その後、これらの情報と仮想位置基準のLUTを用いて、携帯通信端末10が通信確立領域内にいるか否かの判定(S1601、1602)をおこなう。
【0171】
S1601、S1602の処理は、図17におけるS1701、S1702の処理に相当する。図17は、実施例3における画像形成装置20の処理をあらわすフローチャートの図である。画像形成装置20のコントローラ200は、携帯通信端末10から詳細なデバイス情報を取得する際に、携帯通信端末10の識別子を取得する。画像形成装置20と携帯通信端末10のキャリブレーションがすでに行われている場合、この識別子に紐づけて、携帯通信端末10のキャリブレーション情報がストレージ207等に格納されている。
【0172】
そして、コントローラ200は、予め保持していた範囲情報(例えば「+0cm~+10cm」且つ「-8°~+2°」)と物理位置の情報と仮想位置の情報に基づいて、仮想位置基準のLUTを作成する。このとき、携帯通信端末10の識別子に紐づくキャリブレーション情報が格納されていれば、仮想位置基準の補正が行われる。コントローラ200は、作成されたLUTを携帯通信端末10上のRAM205に格納し、画像形成装置20と携帯通信端末10のBLE通信の通信確立実行の判別(S1701、S1702)に利用する。また、コントローラ200は、後の起動タイミングでも利用できるように、ストレージ207に仮想位置基準のLUTを保存してもよい。
【0173】
<備考>
以上で説明したように、本実施例では、携帯通信端末10と画像形成装置20がBLE通信の通信確立開始タイミングについて、画像形成装置20が受信するアドバタイジング・パケットの受信角度と電波強度、および仮想位置基準のLUTに基づいて決定する。このように、本実施例では、仮想位置基準の通信確立領域を利用するため、Bluetooth回路21に近すぎると通信確立をしないといった、特殊な通信確立領域を利用することができる。
【0174】
なお、図16では、「近づいてログイン」を例に挙げているが、「近づいて接続」や「タッチしてログイン」に置き換えてもよい。
【0175】
(実施例3)
実施例3では、画像形成装置20の背面側にBluetooth回路21が配置され、画像形成装置20の前面側の特定の位置を中心とする角度と距離が制限された検知エリア(通信確立領域)を利用する点を特徴とする。すなわち、実施例3では、Bluetooth回路21が検知エリアの基準位置に配置されていなくてもよい方法について説明する。
【0176】
なお、実施例3の構成や処理は、実施例2で説明した構成や処理と一部が共通している。そのため、同様の構成や処理については同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0177】
<検知エリア>
実施例3では、実施例2と同様に、Bluetooth回路21を図14(A)、図14(B)、図14(C)で示す位置に配置されている。また、実施例2と同様に、Bluetooth回路21から離れた位置に通信確立領域が形成される。一方で、実施例3は、検知エリアの形状について、実施例2とは異なる特徴を持っている。
【0178】
図20(A)は実施例3における通信確立領域を説明する図である。このときのBluetooth回路21の位置を図14と同様に物理位置1400とし、この物理位置から離れた位置を仮想位置1401とする。本実施例では、この仮想位置1401を中心に、扇形で表す実線で囲った領域が通信確立領域2000となっている。通信確立領域2000は、図13(A)で説明した通信確立領域1300に類似した形状の領域である。
【0179】
<補正距離と補正角度の算出>
本実施例では、画像形成装置20のBluetooth回路21の物理位置1400を中心とする距離Rと受信角度θを、仮想位置1401を中心とした補正距離R´と補正角度θ´に変換する計算をおこなう。この変換は、画像形成装置20が実行するプログラム上で行われるものとする。
【0180】
補正された距離をR´、補正された受信角度をθ´とする。そして、検出された受信角度θにより場合分けされ、以下の補正変換が実施される。
【0181】
【数1】
【0182】
上記したように距離R´、補正された受信角度θ´が表すことができる。この算出に使用される距離R、受信角度θ、辺a、辺c、角度Bなどの変数は全て、後述する処理フローにより取得される値である。
【0183】
なお、ここでは、距離Rと受信角度θを、補正距離R´と補正角度θ´に変換する方法として三角関数を用いたが、三角関数はあくまでも一例であり、上述変換をおこなう方法として別の方式を採用してもよい。
【0184】
<利用シーケンスと制御フローの差分>
実施例2の利用シーケンスと画像形成装置20および携帯通信端末10の制御フローは、特徴部分をのぞき実施例2のもの同内容となっている。そのため、ここでは差分についてのみ詳細に記載し、その他の重複部分については詳細な説明を省略する。図18は、実施例2における、ユーザ600、携帯通信端末10、画像形成装置20の各々の動作の全体の流れを表す図である。
【0185】
ユーザ600は事前に、画像形成装置20の操作パネル26上で、携帯通信端末10が特定領域に入ってきた場合の動作モードの設定を行っておく(S900)。このとき、設定されたモードに応じた閾値情報、物理位置1400の位置および仮想位置1401の位置等の補正情報がROM206等から読み出される(S1800)。
【0186】
その後、携帯通信端末10を持ったユーザ600は、画像形成装置20から離れた位置に立っているとする。この状態において、画像形成装置20と携帯通信端末10の連携を望むユーザ600は、携帯通信端末10を操作して、連携アプリの起動指示をおこなう(S901)。携帯通信端末10は、この指示にしたがって連携アプリを起動する。起動した連携アプリは、BLE通信の確立(通信確立)を実行するまで、アドバタイジング・パケットを定期的に発信し続ける(S902)。この状態で、携帯通信端末10のアドバタイジング・パケットを受信すると、画像形成装置20は、連携対象装置(連携アプリを実行する装置)からのパケットとして認識する(S903)。そして、画像形成装置20は、携帯通信端末10にスキャン・リクエストを発信し(S904)、携帯通信端末10からスキャン・レスポンスを受信する(S905)。その結果、画像形成装置20は携帯通信端末10の詳細なデバイス情報を取得する(S906)。その後、アドバタイジング・パケットを受信すると(S902)、画像形成装置20は、受信したアドバタイジング・パケットから取得した電波強度と受信角度を取得する。そして、これらの情報に加え、読み出しておいた補正情報を用いて計算をおこなうことで、補正距離情報、補正角度情報を取得する(S1801)。S1801の処理は、図19におけるS1901の処理に対応する。図19は、実施例3における画像形成装置20の処理をあらわすフローチャートの図である。S1901において、コントローラ200は、S1007で算出した距離R、S1008で算出された受信角度θに対して補正情報を用いて補正距離情報、補正角度情報を算出する。
【0187】
その後、これらの情報とLUTを用いて、携帯通信端末10が通信確立領域内にいるか否かの判定(S1802、S1803)をおこなう。S1802、S1803の処理は、図19におけるS1902の処理に対応する。S1902において、コントローラ200は、の補正された数値を利用することで、携帯通信端末10が所定の領域内に入ったかどうか判別する。判別の閾値となる領域は図20(A)に示した通りである。このとき、通信確立を実行する判断をする閾値は、以下となる。この閾値情報は、画像形成装置20に予め保持されているものとする。
R´≦100cm、5°≦θ´≦135°
【0188】
例えば、図20(A)位置Cである場合は、上記の補正により補正位置が、R´=100cm、θ´=3°となるため条件を満たさず、通信確立する特定領域外と判別される(S1802)。算出された補正値が条件の範囲外の場合は、S1002に戻り、スキャニング状態を継続して引き続き位置判定を繰り返す。
【0189】
S910を経て、S911において、ユーザ600が携帯通信端末10を画像形成装置20の前面、例えば、図20(A)の位置A(図13(A)と同様)に移動させたとする。この場合は、Bluetooth回路21が物理位置1400にあるので、距離Rと受信角度θで表される位置が、R=135cm、θ=90°となる。これを、上記の補正変換に基づき算出すると、R´=98cm、θ´=33°が導き出される。この値は、図13(A)の位置Aで取得される値と同様の値である。
【0190】
図20において、位置Aでは、補正値がR´=98cm、θ´=33°を示す。すなわち、位置Aでは、条件のR´≦100cm、5°≦θ´≦135°を満たしている。そのため、通信確立する通信確立領域内である判定される(S1803)。そして、通信確立を実行するため図19の処理S1011に移行する。以降は図9と同等の処理である。以上が本実施例の全体の流れである。
【0191】
<備考>
以上で説明したように、本実施例では、携帯通信端末10と画像形成装置20がBLE通信の通信確立開始タイミングを次のように決定する。すなわち、携帯通信端末10が発信するアドバタイジング・パケットの受信角度と電波強度と、計算によって求められる補正距離と補正角度に基づいて決定する。このように、本実施例では、仮想位置を基準とする計算によって導き出される領域を通信確立領域として利用することができる。したがって、例えば、Bluetooth回路21が画像形成装置20の前面側に配置されない場合であっても、あたかも画像形成装置20の前面側に配置されているように、携帯通信端末10と画像形成装置20の位置関係を検知することができる。
【0192】
本実施例では、物理位置を基準とする距離でなく、仮想位置を基準とする距離で通信確立するか否かの判定が行われる。そのため、図20(A)の位置Aに携帯通信端末10が位置する場合であっても通信確立をおこなうことができる。図20(A)の位置Aは、BLUETOOTH回路21の物理位置を基準とした距離の場合、通信確立が行われない距離である。しかしながら、仮想位置を基準とする補正をおこなうことで、通信確立する対象として扱うことができる。また、図20(A)の位置Cに携帯通信端末10が位置する場合には通信確立がおこなわれない。図20(A)の位置Cは、BLUETOOTH回路21の物理位置を基準とした距離の場合は通信確立が行われる距離である。しかしながら、仮想位置を基準とする補正をおこなうことで、通信確立しない対象として扱うことができる。
【0193】
なお、図18では、「近づいてログイン」を例に挙げているが、「近づいて接続」や「タッチしてログイン」に置き換えて読んでもよい。
【0194】
また、物理位置1400と仮想位置1401からなる三角形の位置関係で表したが、連携アプリで取り扱い可能なデータ形式であれば、座標やベクトル等、または三次元的に応用されるなど、考えられる構成は限定されない。
【0195】
また、閾値情報(例えば「R´≦100cm、5°≦θ´≦135°」)等の情報は、装置に予め登録された情報ではなく、ユーザが後から設定した情報であってもよい。この設定は、操作パネル26からおこなってもよいし、携帯通信端末10から設定を受信してもよい。
【0196】
(実施例4)
実施例1では、画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに受信角度(AoA)方式を採用した。これに対し、実施例4では画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに放射角度(AoD)方式を採用する。すなわち、携帯端末の複数のアンテナから発信される電波を画像形成装置の単一のアンテナで受信し、これを用いて相対的な位置関係を求める。
【0197】
なお、実施例4の構成や処理は、上述した方式に関わる点を除き、実施例1で説明した構成や処理と同様である。そのため、同様の構成や処理については同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0198】
<携帯通信端末のBluetooth回路>
Bluetooth回路10011は、Bluetooth規格に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。Bluetooth回路10011は、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しており、BLE通信により画像形成装置20の方向を検知する機能に対応しているものとする。また、Bluetooth回路10011は、画像形成装置から発信される電波の放射角度(方向)を検知できるように複数のアンテナを持つ。
【0199】
図24(B)は携帯通信端末が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。Bluetooth回路10011は、携帯通信端末10に搭載され、画像形成装置20とBluetooth規格(主にBLEに関する)に従う無線通信を行って、CPU101との間におけるデータ入出力制御を行う。Bluetooth回路10021が単体のアンテナを搭載しているのに対して、Bluetooth回路10011は複数のアンテナを搭載している。Bluetooth回路10011は、ICチップ10110およびBLEアンテナ115、116、117、118が基板119上に配設されている。ICチップ10110には、ホストI/F制御部111、BLEベースバンド部112、RF制御部113、RFスイッチ114の機能が集約されている。
【0200】
RF制御部113は画像形成装置20とBLE通信を行う際に、RF(Radio Frequency)通信のための電波の変調、復調処理を行うものである。
【0201】
BLEアンテナ115、116、117、118は、無線通信を行うために形成されたアンテナであり、これを用いることで画像形成装置20と通信することができる。また、BLEアンテナ115、116、117、118は、基板119上にパターン配線されたパターンアンテナであり、2.4GHz帯でBLE通信を行うアンテナ特性となるように調整されている。
【0202】
Bluetooth回路10011は、画像形成装置20の方向を検知する機能に対応するため、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しているものとする。
【0203】
<画像形成装置のBluetooth回路>
Bluetooth回路10021は、Bluetooth規格に基づくコントローラを搭載したアンテナモジュール部(無線通信インターフェース)である。Bluetooth回路10021は、IEEE802.15の規格に従って通信を行い、Bluetooth5.1のBLE通信方式に対応しているものとする。Bluetooth回路10021は1つのアンテナを持つ。
【0204】
図24(A)は画像形成装置が備えるBluetooth回路の構成を示す図である。Bluetooth回路10021は、画像形成装置20に搭載され、携帯通信端末10とBluetooth規格(主にBLEに関する)に従う無線通信を行って、メインSOC201との間におけるデータ入出力制御を行う。前述したように、Bluetooth回路10021はBluetooth5.1のBLE通信方式に対応している。Bluetooth回路10021は、ICチップ10051およびBLEアンテナ46が基板49上に配設されている。なお、図24(A)において、アンテナを3つ股で表現しているが、これは図面上において実線と区別するための便宜上の表現であり、実際のアンテナ形状を3つ股にする必要はない。ICチップ10051には、ホストI/F制御部41、BLEベースバンド部42、RF制御部43の機能が集約されている。
【0205】
<アンテナとシールド>
次に、Bluetooth回路10021のアンテナとシールドの関係について説明する。上述したように、Bluetooth回路10021は単体のアンテナを備える。図25(A)に示すように、BLEアンテナ46は基板49上にパターン配線により形成されている。図25(A)はBluetooth回路基板の表面を示す図である。図25(B)はBluetooth回路基板の上面を示す図である。図25(C)はBluetooth回路基板の背面を示す図である。図25(D)は電波とシールドの関係を説明する図である。
【0206】
このように、単体のアンテナを用いて、Bluetooth規格に従った方向検知(詳細は後述)を行う仕組みを提供する。BLEアンテナ46はICチップ10051に接続されている。また、Bluetooth回路10021の基板49上には、コントローラ200とインターフェース接続を行うためにケーブル80(図8参照)で接続可能なコネクタ52が設けられている。このコネクタ52は、ICチップ10051のホストI/F制御部41に接続されている。
【0207】
また、この金属板金55は、BLEアンテナ46から発信される電波を遮蔽するシールド部材として機能している。
【0208】
<通信確立処理>
通信確立処理は図7を用いて実施例1で説明した内容と略同一である。ただし、実施例4においてS701における処理は、BLEアンテナ115、116、117、118のそれぞれがパケットを送信する1セットの処理を示す。これは、後述するS702、S705、S706、S707においても同様である。
【0209】
また、実施例4では、S703において、スキャン・レスポンスとして複数のアンテナの間隔を受信されない。
【0210】
画像形成装置20は、スキャニング状態のステート70のとき、携帯通信端末10からのアドバタイジング・パケットから方向を算出して放射角度θを取得することができる。
【0211】
また、携帯通信端末10は、画像形成装置20が算出した放射角度θを通信により取得してもよい。
【0212】
<方向検知>
次に、複数のアンテナを使用した方向検知の方法について説明する。複数のアンテナを持つ送信側からBLE通信の無線電波を発信して、単一のアンテナ側で受信して方向を検知する方式について図6を用いて説明する。図26はBLEによる方向検知を説明する図である。図26において、電波の送信側が携帯通信端末10のBluetooth回路10021に相当し、電波の受信側が携帯通信端末10に相当する。本方式は、AoD(Angle of Departure)または、DoD(Direction of Departure)と呼ばれる放射角度の検出方式であり、両装置間の位置関係が放射角度θで表される。Bluetooth回路10011では4つのアンテナが用いられるが、説明を簡単にするため、ここでは便宜的にアンテナ1、アンテナ2の2本を用いて説明をおこなう。
【0213】
まず前提として、送信側である携帯通信端末10は、アドバタイジング・パケット(アドバタイズメントパケット)を定期的に発信しているものとする。この際、送信側である携帯通信端末10は、アンテナ1、アンテナ2を順次切り替えてアドバタイジング・パケットを発信する。すると、受信側の画像形成装置20には、アンテナ1から発信された電波と、アンテナ2から発信された電波の2種類の電波が届くことになる。ここで、アンテナ1とアンテナ2の間には間隔が設けられていることから、アンテナ1と画像形成装置20の間の距離は、アンテナ2と画像形成装置20の間の距離と異なっている。従って、アンテナ1から発信された無線電波が画像形成装置20に到達するまでの時間と、アンテナ2から発信された無線電波が画像形成装置20に到達するまでの時間にはごくわずかな差が生じることになる。このごくわずかな時間の差は、携帯通信端末10が電波を受信した際の位相差として検出することが可能である。ここで、アンテナ1とアンテナ2の間隔をd、アンテナ1、アンテナ2から発信される無線電波の放射角度をθ、無線電波の波長をλとする。この際の上記した位相差をψとすると、以下の関係が成立する。
ψ=(2πd*cos(θ))/λ
【0214】
従って、電波の放射角度は以下に示す通りとなる。
θ=arccos((ψλ)/(2πd))
【0215】
このように、複数のアンテナから発信される電波を1つのアンテナで受信し、受信した複数の電波の位相差を正確に検出することができれば、電波の発信側と受信側の位置関係を放射角度θとして求めることができる。なお、正確な位相差を求めるあたり、アンテナ1とアンテナ2は同等の電波特性を備えていることが望ましい。そのため、上述した通り、BLEアンテナ115~118は同等の電波特性を有するように構成されている。また、正確な位相差を求めるにあたり、アンテナ1から発信される電波とアンテナ2から発信される電波は、同じ伝搬経路で直線的に受信側の単一アンテナに到来する直接波であることが望ましい。画像形成装置20が受信した複数の電波が同じ伝搬経路を通っているか(直接波か)否かを判断するには、例えば、両電波の受信強度を比較すればよい。
【0216】
ところで、上述した算出をおこなうには、送信側のアンテナ1とアンテナ2の間隔d、無線電波の波長λが必要である。したがって、放射角度を画像形成装置20で算出する場合、これらのパラメータを事前に取得しておく必要がある。そのため、これら間隔d、波長λの情報は、携帯通信端末10が発信するアドバタイジング・パケット(またはスキャン・リクエストに対するレスポンス)に含めるよい。
【0217】
以降は、放射角度θを取得できることを前提に説明をおこなう。また、放射角度の算出は、Bluetooth規格の仕様に基づいてICチップ10051内のRF制御部113によっておこなわれるものとする。したがって、コントローラ100は、Bluetooth回路10011から出力される放射角度情報を取得するだけでよい。なお、放射角度θをコントローラ100において算出してもよい。
【0218】
<アンテナ配置>
実施例4では、実施例1において図8で示したのと同様に、操作パネル26の近くの前面の領域にBluetooth回路10021を配置する。
【0219】
<検知エリア>
実施例4では、実施例1と同様に、図13(A)に示す通信確立領域1300を利用する。
【0220】
<利用シーケンス>
実施例4では、実施例1と同様に、画像形成装置20と携帯通信端末10の相対位置関係に基づいて、「近づいてログイン」「近づいて接続」「タッチしてログイン」通信確立の要否が決定される。ただし、実施例4で利用する角度情報は、AoA(Angle of Departure)方式に基づくものとする。
【0221】
<画像形成装置の制御フロー>
実施例4では、実施例1において図11で示したのと同様に、携帯通信端末10が制御される。ただし、SCAN_RESPのデータは複数のアンテナの間隔dは含まれない。
【0222】
<携帯通信端末の制御フロー>
実施例4では、実施例1において図10で示したのと同様に、画像形成装置20が制御される。ただし、実施例4で利用する角度情報は、AoA(Angle of Departure)方式に基づくものとする。そのため、実施例1では、S1008において「画像形成装置の複数のアンテナで受信したAdv Pkt の位相データとアンテナ情報から算出された”角度情報”を入手して保存」するが、実施例4では、「画像形成装置の単一のアンテナで同時期に複数受信したタイミングが前後するAdv Pktの位相データとアンテナ情報から算出された”角度情報”を入手して保存」する。
【0223】
(実施例5)
実施例2では、画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに受信角度(AoA)方式を採用した。これに対し、実施例5では画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに放射角度(AoD)方式を採用する。すなわち、携帯通信端末の複数のアンテナから発信される電波を画像形成装置の単一のアンテナで受信し、これを用いて相対的な位置関係を求める。
【0224】
なお、実施例5の構成や処理は、基本的な処理および構成は実施例2で説明した構成や処理と同様であり、上述した方式に関わる処理および構成は実施例4と同様である。そのため、同様の構成や処理については同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0225】
<アンテナの配置>
実施例5では、実施例2と同様にBluetooth回路10021を図14(A)、図14(B)、図14(C)で示す位置に配置する。すなわち、Bluetooth回路10021は画像形成装置20の背面側に配置されている。この位置を物理位置1400呼ぶ。これに対し、本実施例では、BLE通信のペアリングを行う特定の領域の中心が画像形成装置20の前面側となるように制御する。この位置を仮想位置1401と呼ぶ。物理位置1400と仮想位置1401は、対角距離1402の位置関係で配置されている。
【0226】
<検知エリア>
実施例5では、実施例2と同様に、画像形成装置20のBluetooth回路10021の物理位置1400を中心に算出された、電波強度により検出された距離Rと、方向検知により検出された放射角度θを用いる。また、仮想位置1401を中心とした通信確立領域に対応するLUT、閾値情報を用いて通信確立の判定をおこなう。
【0227】
<利用シーケンス>
実施例5では、実施例2と同様に、画像形成装置20と携帯通信端末10の相対位置関係に基づいて、「近づいてログイン」「近づいて接続」「タッチしてログイン」等のための通信確立の要否が決定される。ただし、実施例5で利用する角度情報は、AoD(Angle of Departure)方式に基づくものとする。
【0228】
<携帯通信端末の制御フロー>
実施例5では、実施例2において図17で示したのと同様に、通信携帯端末10が制御される。ただし、実施例5で利用する角度情報は、AoA(Angle of Departure)方式に基づくものとする。そのため、実施例2では、S1008において「画像形成装置の複数のアンテナで受信したAdv Pkt の位相データとアンテナ情報から算出された”角度情報”を入手して保存」するが、実施例5では、「画像形成装置の単一のアンテナで同時期に複数受信したタイミングが前後するAdv Pktの位相データとアンテナ情報から算出された”角度情報”を入手して保存」する。
【0229】
(実施例6)
実施例3では、画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに受信角度(AoA)方式を採用した。これに対し、実施例6では画像形成装置と携帯端末の相対的な位置関係を求めるのに放射角度(AoD)方式を採用する。すなわち、携帯通信端末の複数の単一のアンテナから発信される電波を画像形成装置の単一のアンテナで受信し、これを用いて相対的な位置関係を求める。
【0230】
なお、実施例6の構成や処理は、基本的な処理および構成は実施例3で説明した構成や処理と同様であり、上述した方式に関わる処理および構成は実施例4と同様である。そのため、同様の構成や処理については同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0231】
<検知エリア>
実施例6では、実施例3で説明したように、図20(A)で示す通信確立領域2000を用いて通信確立の判定をおこなう。
【0232】
<補正距離と補正角度の算出>
本実施例では、画像形成装置20のBluetooth回路10021の物理位置1400を中心とする距離Rと放射角度θを、仮想位置1401を中心とした補正距離R´と補正角度θ´に変換する計算をおこなう。この変換は、携帯通信端末10が実行する連携アプリ上で行われるものとする。補正された距離をR´、補正された放射角度をθ´とする。ただし、実施例6で利用する角度情報は、AoD(Angle of Departure)方式に基づくものとする。
【0233】
<利用シーケンス>
実施例6では、実施例3と同様に、画像形成装置20と携帯通信端末10の相対位置関係に基づいて、「近づいてログイン」「近づいて接続」「タッチしてログイン」等のための通信確立の要否が決定される。ただし、実施例6で利用する角度情報は、AoD(Angle of Departure)方式に基づくものとする。
【0234】
<携帯通信端末の制御フロー>
実施例6では、実施例3において図19で示したのと同様に、通信携帯端末10が制御される。ただし、実施例6で利用する角度情報は、AoD(Angle of Departure)方式に基づくものとする。そのため、実施例3では、S1008において「画像形成装置の複数のアンテナで受信したAdv Pkt の位相データとアンテナ情報から算出された”角度情報”を入手して保存」するが、実施例4では、「画像形成装置の単一のアンテナで同時期に複数受信したタイミングが前後するAdv Pktの位相データとアンテナ情報から算出された”角度情報”を入手して保存」する。
【0235】
(その他の実施例)
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0236】
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0237】
実施例1~3では、図5(C)を用いて説明したように、基板49の背面を金属板金55で覆う構成を前提としている。仮に、金属板金55がアンテナの並び範囲を蔽わない構成である場合、異なる通信確立領域が形成されることになる。異なる通信確立領域が形成される様子を図13(B)に示す。図13(B)は鏡写しの通信確立領域を説明する図である。図13(B)では、通信確立領域1300に加えて、斜線で示す扇型の通信確立領域1301が形成されている。通信確立領域1301は、アンテナの並び方向に沿った仮想線Xを基準として、通信確立領域1300と鏡写しとなる位置(-135°≦θ≦-5°)に形成される。これは、図5(D)の矢印60で示した電波を含む基板49の背面側から到来する電波がアンテナに届いた結果である。実施例1~3では、このような鏡写しの通信確立領域の発生を抑制することで、検知エリアに基づく通信確立を精度よく実現していた。しかしながら、このような構成は必須ではない。例えば、通信確立領域1301は、そのほとんどが画像形成装置20の本体上にあり、ユーザが立ち入るような領域ではない。そのため、これを無視できると考えられるのであれば、基板49の背面側を金属板金55で覆わなくてもよい。
【0238】
実施例1~3では、スキャン・レスポンスに無線電波の波長λを含める例を記載したが、この値は、アドバタイジング・パケットの周波数情報から取得することができるため、必ずしもスキャン・レスポンスに含めなくてもよい。
【0239】
実施例1~3では、携帯通信端末10が通信確立領域に入ったとする判定結果が一度でも得られたら、BLE通信の通信確立処理を進めるケースについて説明した。しかしながら、複数の判定結果に基づいてBLE通信の通信確立処理を進めてもよい。例えば、複数の判定結果から、携帯通信端末10を持つユーザの進行方向を判定し、この進行方向が画像形成装置20に向いていることに基づいてBLE通信の通信確立処理を進める構成としてもよい。
【0240】
実施例3では、仮想位置を基準とした計算によって求まる通信確立領域を利用する例を説明した。この計算によって求まる通信確立領域を、Bluetooth回路21の物理位置を基準とするエリアに適用してもよい。例えば、図22でしめすように、通信確立領域が四角い領域2202となるように条件を設定してもよい。図22は、その他の実施例における通信確立領域を説明する図である。このような、前方に四角い通信確立領域は、例えば、画像形成装置が複数横に並べて配置されている環境下で有効である。
【0241】
実施例1~3では、画像形成装置20のデバイス情報について、スキャン・レスポンスに含まれる情報として扱った。例えば、アドバタイジング・パケットには、デバイス情報(簡易)、アドレス/UUID等のデバイスを判別するデータ、RSSI、TX POWER LEVELが含まれており。スキャン・レスポンスには、デバイス情報(詳細)、機種モデル詳細、アプリでサポートする機能、アプリ固有データ、無線電波の波長λ、アドバタイズ送信間隔、が含まれているとした。しかしながら、転送容量の問題がないのであれば、スキャン・レスポンスで送信するデバイス情報の一部または全部を、アドバタイジング・パケットに盛り込んでもよい。
【0242】
なお、明細書中に記載の略称の意味は次の通りである。
【0243】
AoAとは、Angle of Arrivalのことである。
AoDとは、Angle of Departureのことである。
ASICとは、Application Specific Integrated Circuitのことである。
BLEとは、Bluetooth Low Energyのことである。
CCDとは、Charge-Coupled Deviceのことである。
CISとは、Contact Image Sensorのことである。
CPUとは、Central Processing Unitのことである。
DoDとは、Direction of Departureのことである。
DoAとは、Direction of Arrivalのことである。FAXとは、facsimileのことである。
GPSとは、Global Positioning Systemのことである。
HDDとはHard Disk Driveのことである。
ICとは、Integrated Circuitのことである。
IFとは、Interfaceのことである。
IPとは、Internet Protocolのことである。
ISMとは、Industrial Scienctific and Medicalのことである。
LANとは、Local Area Networkのことである。
LCDとは、Liquid Crystal Displayのことである。
LEDとは、Light Emitting Diodeのことである。
LVDSとは、Low voltage differential signalinのことである。
LUTとは、Lookup tableのことである。
MFPとは、Multi Function Peripheralのことである。
MP3とは、MPEG-1 Audio Layer-3のことである。
NFCとは、Near Field Communicationのことである。
OCRとは、Optical Character Recognitionのことである。
PCとは、Personal Computerのことである。
PDAとは、Personal Digital Assistantのことである。
RAMとは、Random‐Access Memoryのことである。
RFとは、Radio Frequencyのことである。
ROMとは、Read Only Memoryのことである。
RSSIとは、Received Signal Strength Indicatorのことである。
SFPとは、Single Function Printerのことである。
SSDとは、Solid State Driveのことである。
UIとは、User Interfaceのことである。
USBとは、Universal Serial Busのことである。
WANとは、Wide Area Networkのことである。
【符号の説明】
【0244】
10 携帯通信端末
20 画像形成装置
11 携帯通信端末のBluetooth回路
21 画像形成装置のBluetooth回路
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