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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】根菜類収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 33/10 20060101AFI20241112BHJP
   A01D 17/10 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A01D33/10
A01D17/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021011749
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115234
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118843(JP,A)
【文献】特開平9-140236(JP,A)
【文献】米国特許第4699218(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 33/10
A01D 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を走行させる走行部(A)と操縦部(B)と圃場から根菜類を収穫する収穫部(C)と収穫した根菜類を搬送する搬送部(D)と該搬送部(D)で搬送された根菜類を収容する収容部(E)を装備した根菜類収穫機において、該収容部(E)に根菜類を収納する収容部材(F)を載置する載置台(40)を設けると共に、収容部材(F)を吊って機体左右方向外側の圃場に降ろす作動アーム(24)を設け、
搬送部(D)の可動搬送コンベア(21b)は、左端基部から右端上部に向けて斜め上方に向かって設け、上下動用電動シリンダ(21c)により可動搬送コンベア(21b)の先端部が上昇又は下降し、
作動アーム(24)は、基部が可動搬送コンベア(21b)端部に基部が固着された支持アーム(24a)と、該支持アーム(24a)先端に設けた枢支縦軸に回動自在に設けた筒体(26)に枢支横軸(28)にて回動自在に設けた揺動アーム(24b)と、筒体(26)に基部が固着された支持体(26a)先端と枢支横軸(28)よりも上方に突出した揺動アーム(24b)に設けた揺動用電動シリンダ(29)と、支持アーム(24a)先端に設けた回転用電動モータ(30)を設け、
上下動用電動シリンダ(21c)と揺動用電動シリンダ(29)を操作する十字方向操作レバーを設け、
十字方向操作レバー(27)上部には、前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)と中央スイッチ(27C)を設け、前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)の操作により回転用電動モータ(30)が正逆転して筒体(26)を回動させて揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)を前後に移動させ、中央スイッチ(27C)を押すと回転用電動モータ(30)が作動して筒体(26)を回動させて揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)が側方位置に復帰し、
十字方向操作レバー(27)の操作時に、可動搬送コンベア(21b)が最上昇位置にないと十字方向操作レバー(27)を機体右に操作しても揺動用電動シリンダ(29)は作動せず揺動アーム(24b)が枢支軸回りに回動して外方に開くことを規制し、可動搬送コンベア(21b)が最上昇位置にある時のみ、十字方向操作レバー(27)を操作して揺動用電動シリンダ(29)を作動させて揺動アーム(24b)を枢支軸回りに回動して外方に開くことができ、
揺動アーム(24b)が枢支軸回りに回動して外方に開いた状態でないと十字方向操作レバー(27)の前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)を押し操作しても回転用電動モータ(30)は作動せず揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)が前方及び後方に移動することを規制し、揺動アーム(24b)が枢支軸回りに回動して外方に開いた状態の時のみ、十字方向操作レバー(27)の前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)を押し操作して回転用電動モータ(30)を作動させて揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)を前方及び後方に移動することができ、
作動アーム(24)の機体左右方向外側への作動に連携して搬送部(D)の駆動を停止することを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
搬送部(D)に収容部材(F)までの距離を検出するセンサを設けて、収容部材(F)が所定距離以上に搬送部(D)から離れたことをセンサが検出することにより搬送部(D)の駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場から作物を採ってフレコンバッグ等の収容部材に収容する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引抜搬送装置で圃場から根菜類を引抜き搬送し、選別搬送装置の搬送終端部に設けたフレコンバッグで根菜類を収容する根菜類収穫機がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-115069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、根菜類が満杯になったフレコンバッグを機体後方に向けて圃場に降ろすので、機体を旋回させて隣接条の作物を収穫する際に圃場に降ろされたフレコンバッグが進行する機体のすぐ側方にあり、フレコンバッグが傾いたり機体が少し蛇行したりすると、機体にフレコンバッグが接触してフレコンバッグが破れて根菜類が圃場に散乱して適正な収穫作業が行なえなくなるような事態が発生する恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圃場に降ろしたフレコンバッグ等の収容部材に機体が接触することを回避した根菜類収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、機体を走行させる走行部(A)と操縦部(B)と圃場から根菜類を収穫する収穫部(C)と収穫した根菜類を搬送する搬送部(D)と該搬送部(D)で搬送された根菜類を収容する収容部(E)を装備した根菜類収穫機において、該収容部(E)に根菜類を収納する収容部材(F)を載置する載置台(40)を設けると共に、収容部材(F)を吊って機体左右方向外側の圃場に降ろす作動アーム(24)を設け、
搬送部(D)の可動搬送コンベア(21b)は、左端基部から右端上部に向けて斜め上方に向かって設け、上下動用電動シリンダ(21c)により可動搬送コンベア(21b)の先端部が上昇又は下降し、
作動アーム(24)は、基部が可動搬送コンベア(21b)端部に基部が固着された支持アーム(24a)と、該支持アーム(24a)先端に設けた枢支縦軸に回動自在に設けた筒体(26)に枢支横軸(28)にて回動自在に設けた揺動アーム(24b)と、筒体(26)に基部が固着された支持体(26a)先端と枢支横軸(28)よりも上方に突出した揺動アーム(24b)に設けた揺動用電動シリンダ(29)と、支持アーム(24a)先端に設けた回転用電動モータ(30)を設け、
上下動用電動シリンダ(21c)と揺動用電動シリンダ(29)を操作する十字方向操作レバーを設け、
十字方向操作レバー(27)上部には、前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)と中央スイッチ(27C)を設け、前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)の操作により回転用電動モータ(30)が正逆転して筒体(26)を回動させて揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)を前後に移動させ、中央スイッチ(27C)を押すと回転用電動モータ(30)が作動して筒体(26)を回動させて揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)が側方位置に復帰し、
十字方向操作レバー(27)の操作時に、可動搬送コンベア(21b)が最上昇位置にないと十字方向操作レバー(27)を機体右に操作しても揺動用電動シリンダ(29)は作動せず揺動アーム(24b)が枢支軸回りに回動して外方に開くことを規制し、可動搬送コンベア(21b)が最上昇位置にある時のみ、十字方向操作レバー(27)を操作して揺動用電動シリンダ(29)を作動させて揺動アーム(24b)を枢支軸回りに回動して外方に開くことができ、
揺動アーム(24b)が枢支軸回りに回動して外方に開いた状態でないと十字方向操作レバー(27)の前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)を押し操作しても回転用電動モータ(30)は作動せず揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)が前方及び後方に移動することを規制し、揺動アーム(24b)が枢支軸回りに回動して外方に開いた状態の時のみ、十字方向操作レバー(27)の前スイッチ(27F)と後スイッチ(27R)を押し操作して回転用電動モータ(30)を作動させて揺動アーム(24b)及び吊り下げハンガー(25)を前方及び後方に移動することができ、
作動アーム(24)の機体左右方向外側への作動に連携して搬送部(D)の駆動を停止することを特徴とする根菜類収穫機である。
第2の本発明は、搬送部(D)に収容部材(F)までの距離を検出するセンサを設けて、収容部材(F)が所定距離以上に搬送部(D)から離れたことをセンサが検出することにより搬送部(D)の駆動を停止することを特徴とする第1の本発明の根菜類収穫機である。
本発明に関連する第1の発明は、機体を走行させる走行部Aと操縦部Bと圃場から根菜類を収穫する収穫部Cと収穫した根菜類を搬送する搬送部Dと該搬送部Dで搬送された根菜類を収容する収容部Eを装備した根菜類収穫機において、該収容部Eに根菜類を収納する収容部材Fを載置する載置台40を設けると共に、収容部材Fを吊って機体左右方向外側の圃場に降ろす作動アーム24を設け、該作動アーム24の機体左右方向外側への作動に連携して搬送部Dの駆動を停止する根菜類収穫機である。
【0007】
本発明に関連する第1の発明によれば、収容部Eに根菜類を収納する収容部材Fを載置する載置台40を設けると共に、収容部材Fを吊って機体左右方向外側の圃場に降ろす作動アーム24を設け、該作動アーム24の機体左右方向外側への作動に連携して搬送部Dの駆動を停止するので、載置台40に載置された収容部材Fを作動アーム24にて吊り上げて、機体左右方向外側の位置で圃場に降ろすことができ、圃場に降ろされた収容部材Fが傾いたり機体が多少蛇行したりしても、機体に収容部材Fが接触することを回避でき、良好で適切な収穫作業を行なうことができる。また、作動アーム24の機体左右方向外側への作動に連携して搬送部Dの駆動を停止するので、搬送部D端部から人参が放出されてしまうことを未然に防止できる。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、操作装置27の作動アーム24を機体左右方向外側へ作動させる操作に基づいて搬送部Dの駆動を停止する本発明に関連する第1の発明の根菜類収穫機である。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、作動アーム24を機体左右方向外側へ作動させるアクチュエータ29の作動検出により搬送部Dの駆動を停止する本発明に関連する第1の発明の根菜類収穫機である。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、搬送部Dに収容部材Fまでの距離を検出するセンサを設けて、収容部材Fが所定距離以上に搬送部Dから離れたことをセンサが検出することにより搬送部Dの駆動を停止する本発明に関連する第1の発明の根菜類収穫機である。
【0011】
本発明に関連する第5の発明は、作動アーム24が収容部材Fを吊って載置台40の前方及び/または後方の圃場に降ろすことが出来る本発明に関連する第1~第4のいずれかの発明の根菜類収穫機である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例の人参収穫機の平面図である。
図2】同人参収穫機の作用説明用背面図である。
図3】同人参収穫機の側面図である。
図4】同人参収穫機における十字方向操作レバー27の操作説明用平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態の一実施例として示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機を説明する。以下においては、機体の前進方向を基準に、前後、左右と謂う。
【0014】
<全体構成>
人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで茎葉切断部にて機体後方に搬送しながら茎葉部を切断し、茎葉切断部から落下する人参を受けて残葉処理部にて人参に残った茎葉部を処理し、残葉処理部から人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する搬送部としての選別搬送部Dと、該選別搬送部Dから排出される人参の収容部材を配置する収容部Eから構成される。
【0015】
<走行部A>
機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジンの動力が伝動されるミッションケースから左右両側に延出させた左右ドライブシャフトに取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0016】
<操縦部B>
前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム7を取り付け、該操縦部フレーム7には操縦座席8を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル9を取り付ける。そして、該操縦パネル9に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー10を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー11を取り付ける。
【0017】
また、前記操縦部フレーム7の機体左右他側(機体右側)にエンジンを冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバー12を着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0018】
上記構成により、変速操作レバー10や昇降操作レバー11のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0019】
<収穫部C>
左右引抜フレーム13,13の機体前側に左右従動プーリを回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリを装着し、該左右従動プーリと左右駆動プーリとの間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルトを巻き掛けると共に、複数のテンションローラによって該左右挟持搬送ベルトを張圧し、左右挟持搬送ベルトの機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレームを取り付け、該回動フレームの後端部に前記左右駆動プーリに駆動力を伝動する伝動ケースを、回動支点を中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレームとを昇降シリンダで連結し、該昇降シリンダを操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置14を構成する。
【0020】
また、該引抜搬送装置14の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置15と、該縦引起し装置15が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置16と、該横引起し装置16の前部に設ける分草杆17と、引抜搬送装置14の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪と、前記エンジンの駆動力で往復振動して土中の人参の左右の土を解す左右振動ソイラ18とを設ける。
【0021】
そして、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置14で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置を取り付けて、収穫部Cを構成する。
【0022】
上記構成により、機体前側に分草杆17を備える横引起し装置16と、縦引起し装置15を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0023】
また、人参に左右振動ソイラ18等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0024】
そして、機体フレーム1と左右横軸を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレームとを昇降シリンダで連結し、昇降シリンダを操縦部Bの昇降操作レバー11を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー11の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0025】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
【0026】
<選別搬送部D>
選別搬送部Dの選別作業用の選別搬送装置21は、収穫部Cの引抜搬送装置14の後部下方から人参を収容する収容部材であるフレコンバッグFのある収容部Eに向けて機体左右方向に配置され、エンジンからの駆動力にて周回動する一定間隔の桟を備えるチェーンコンベアにて構成されている。なお、引抜搬送装置14にて茎葉部が挟持されて搬送してきた人参は、その茎葉部下端(人参の頭部の少し上)が茎葉切断部にて切断されて人参が下方に落下するが、該落下する人参を残葉処理部が受けて人参に残った茎葉部を処理して選別搬送部Dに搬送する。そして、選別搬送部Dの選別搬送装置21は、人参をその左端から右方(収容部E)に搬送する。
【0027】
また、選別搬送装置21は、収穫部Cの引抜搬送装置14の後部下方から機体右側に水平に設けられた水平搬送コンベア21aと該水平搬送コンベア21a右端部から収穫作物を引き継いで収容部Eに斜め右上方に向けて搬送する可動搬送コンベア21bから構成される。
【0028】
可動搬送コンベア21bは、電動モータ22で駆動され、水平搬送コンベア21a右端部から収穫作物を引き継ぐ左端部が枢支軸で回動自在に支持されており、上下動用電動シリンダ21cの伸縮作動により収容部E側の右端部側が上下動して傾斜角度が変更できるようになっている。
【0029】
そして、該可動搬送コンベア21bの機体後方側に補助作業座席23が設けられており、該補助作業座席23に着座した作業者が可動搬送コンベア21bにて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や異形の人参)を取り出して、適正な商品価値のある人参のみを収容部Eに送るようにする。
【0030】
また、補助作業座席23に着座した作業者は、足踏み式の上昇スイッチ及び下降スイッチにて前記上下動用電動シリンダ21cを伸縮作動させて可動搬送コンベア21bの右端部側を上下動させる。
【0031】
<収容部E>
収容部Eは、選別搬送装置21の右側方に配置され、該選別搬送装置21の可動搬送コンベア21b右端部に設けた作動アーム24により上下動、左右動及び前後動する吊り下げハンガー25と、該吊り下げハンガー25に吊り下げられたフレコンバッグFを載置する載置台40により構成されている。
【0032】
可動搬送コンベア21bは、左端基部から右端上部に向けて斜め上方に向かって設けられている。即ち、電動モータ22の駆動力にて周回動して人参を斜め上方に搬送し、上端部から下方に放出する。また、可動搬送コンベア21bの基部は、枢支軸にて回動自在に設けられており、中途部には、機体フレーム1に基部が枢支された上下動用電動シリンダ21cのピストン先端が連結されている。
【0033】
即ち、該可動搬送コンベア21bは、補助作業座席23に着座した作業者が踏み操作する上昇スイッチを踏み込み操作している間、上下動用電動シリンダ21cが伸長して枢支軸回りに回動して上昇し、下降スイッチを踏み込み操作している間、上下動用電動シリンダ21cが縮小して枢支軸回りに回動して下降する。また、可動搬送コンベア21bは、後述の操縦パネル9右端に設けた操作装置としての十字方向操作レバー27を作業者が前方に操作すると上下動用電動シリンダ21cが伸長して枢支軸回りに回動して上昇し、後方に操作すると上下動用電動シリンダ21cが縮小して枢支軸回りに回動して下降する。
【0034】
吊り下げハンガー25は、可動搬送コンベア21b右端部に設けた作動アーム24により上下動、左右動及び前後動する。
【0035】
作動アーム24は、基部が可動搬送コンベア21b右端部に基部が固着された支持アーム24aと、該支持アーム24a先端に設けた枢支縦軸25に回動自在に設けた筒体26に枢支横軸28にて回動自在に設けた揺動アーム24bと、筒体26に基部が固着された支持体26a先端と枢支横軸28よりも上方に突出した揺動アーム24b上端間に設けたアクチュエータとしての揺動用電動シリンダ29と、支持アーム24a先端に設けた回転用電動モータ30と、該回転用電動モータ30にて駆動される駆動ギア30aと噛合する筒体26表面に設けた従動ギア30bから構成される。
【0036】
吊り下げハンガー25は、揺動アーム24bの先端に設けられている。載置台40上方で、吊り下げハンガー25の4つのフック25aをフレコンバッグFの上端縁部の係止孔に各々引っ掛けてフレコンバッグFを吊下げ支持する。
【0037】
操縦パネル9右端には、十字方向操作レバー27が設けられており、作業者が前方に操作すると上下動用電動シリンダ21cが伸長して可動搬送コンベア21bが枢支軸回りに回動して上昇し、後方に操作すると上下動用電動シリンダ21cが縮小して可動搬送コンベア21bが枢支軸回りに回動して下降し、機体右に操作すると揺動用電動シリンダ29が伸長して揺動アーム24bが枢支横軸28回りに回動して外方に開き、機体左に操作すると揺動用電動シリンダ29が縮小して揺動アーム24bが枢支横軸28回りに回動して内側に閉じる。
【0038】
また、十字方向操作レバー27上部には、前スイッチ27Fと後スイッチ27Rと中央スイッチ27Cが設けられており、前スイッチ27Fを押すと回転用電動モータ30が正転して筒体26を矢印(イ)方向に回動し、揺動アーム24b及び吊り下げハンガー25が前方に移動する。後スイッチ27Rを押すと回転用電動モータ30が逆転して筒体26を矢印(ロ)方向に回動し、揺動アーム24b及び吊り下げハンガー25が後方に移動する。中央スイッチ27Cを押すと回転用電動モータ30が作動して筒体26を矢印(イ)または(ロ)方向に回動し、揺動アーム24b及び吊り下げハンガー25が側方位置に復帰する。
【0039】
この十字方向操作レバー27の操作時に、可動搬送コンベア21bが最上昇位置にないと十字方向操作レバー27を機体右に操作しても揺動用電動シリンダ29は作動せず揺動アーム24bが枢支軸回りに回動して外方に開くことはない。即ち、可動搬送コンベア21bが最上昇位置にある時のみ、十字方向操作レバー27を機体右に操作して揺動用電動シリンダ29を作動させて揺動アーム24bを枢支軸回りに回動して外方に開くことができる。
【0040】
また、揺動アーム24bが枢支軸回りに回動して外方に開いた状態でないと十字方向操作レバー27の前スイッチ27Fと後スイッチ27Rを押し操作しても回転用電動モータ30は作動せず揺動アーム24b及び吊り下げハンガー25が前方及び後方に移動することはない。即ち、揺動アーム24bが枢支軸回りに回動して外方に開いた状態の時のみ、十字方向操作レバー27の前スイッチ27Fと後スイッチ27Rを押し操作して回転用電動モータ30を作動させて揺動アーム24b及び吊り下げハンガー25を前方及び後方に移動することができる。
【0041】
また、揺動用電動シリンダ29を作動させて揺動アーム24bを枢支軸回りに回動して外方に開く為に十字方向操作レバー27を機体右に操作すると、周回動して人参を斜め上方に搬送し上端部から下方に放出する可動搬送コンベア21bを駆動する電動モータ22を停止する。
【0042】
そして、揺動用電動シリンダ29が作動して揺動アーム24bが枢支軸回りに回動して外方に開いている間は、電動モータ22は停止しており、十字方向操作レバー27を機体左に操作して揺動アーム24bが枢支軸回りに回動して内方に閉じた時に電動モータ22は作動して可動搬送コンベア21bを駆動し周回動する。
【0043】
載置台40は、水平面で前部外側部のコーナ部を切り欠いた形状とし、該切り欠いた部位に載置台40と同一水平面をなす可動台40aを設けている。該可動台40aは、内側部を載置台40に前後方向軸にて枢支し、外側が下方に向けて回動する構成とし、前後方向軸部にコイルバネを設けて、水平を保持し、所定以上の荷重が掛かると外側が下方に向けて回動する構成としている。
【0044】
<人参の収穫作業>
先ず、十字方向操作レバー27を操作して、揺動アーム24bが左機体内側に閉じた状態で可動搬送コンベア21bを最下降位置にする。
【0045】
吊り下げハンガー25の各フック25aにフレコンバッグFの上端縁部の係止孔を各々引っ掛けてフレコンバッグFを吊下げ、フレコンバッグFの底が載置台40に受けられた状態とする。
【0046】
そして、操縦座席8に着座した操縦者が人参収穫機を進行させて、収穫部Cの引抜搬送装置14の引抜搬送経路R前端を圃場の人参条に合わせた後に昇降操作レバー11を操作して収穫部Cを下降させ、掘取りクラッチを「入」にして各部を駆動させて前進する。すると、分草杆17や縦引起し装置15や横引起し装置16にて人参の茎葉を掻き上げて引抜搬送装置14の引抜搬送経路Rに人参の茎葉が挟持され、左右振動ソイラ18にて人参の側方及び下方の土をほぐして、人参は引抜搬送装置14にて挟持されて引き抜かれて、後方上方に搬送される。
【0047】
そして、引抜搬送装置14にて茎葉部が挟持されて搬送してきた人参は、その茎葉部下端(人参の頭部の少し上)が茎葉切断部にて切断されて人参が下方に落下するが、該落下する人参は残葉処理部が受けて人参に残った茎葉部を処理して選別搬送部Dに搬送される。そして、人参は、選別搬送部Dの可動搬送コンベア21bにてその左端から右方(収容部E)に搬送される。
【0048】
そして、可動搬送コンベア21bの機体後方側の補助作業座席23に着座した作業者が可動搬送コンベア21bにて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や異形の人参)を取り出し、商品価値のある人参のみが収容部Eに送られる。
【0049】
可動搬送コンベア21bにて右端に送られてきた人参は、可動搬送コンベア21b右端の吊り下げハンガー25の各フック25aに吊下げられたフレコンバッグF内に落下して収納される。
【0050】
そして、フレコンバッグF内に収納された人参の量が多くなるにつれて、補助作業座席23に着座した作業者が上昇スイッチを踏み込み操作して上下動用電動シリンダ21cを伸長させて可動搬送コンベア21bを枢支軸回りに回動して順次上昇させる。
【0051】
そして、フレコンバッグF内に人参が満杯になるまで可動搬送コンベア21bを枢支軸回りに回動して上昇させると、操縦者は機体の駆動を停止して停車する。
【0052】
そして、十字方向操作レバー27を前方に操作して、上下動用電動シリンダ21cを伸長させて可動搬送コンベア21bを最上昇位置まで上昇させて、フレコンバッグFを載置台40上方に持ち上げる。
【0053】
そして、十字方向操作レバー27を機体右に操作して、揺動用電動シリンダ29を伸長させて揺動アーム24bを枢支軸回りに回動して右外側方に開いて、フレコンバッグFを載置台40の右外側方まで移動させる。
【0054】
この時、十字方向操作レバー27の右操作に連動して、電動モータ22が停止し、可動搬送コンベア21bが周回動して人参を斜め上方に搬送し上端部から下方に放出するのを止める。
【0055】
そして、十字方向操作レバー27を後方に操作して、上下動用電動シリンダ21cを縮小させて可動搬送コンベア21bを最下降位置まで下降させて、フレコンバッグFを圃場に降ろす。
【0056】
そして、吊り下げハンガー25の各フック25aをフレコンバッグFの上端縁部の係止孔から外して、十字方向操作レバー27を操作して最初の揺動アーム24bが左機体内側に閉じた状態で可動搬送コンベア21bを最下降位置に戻して、吊り下げハンガー25の各フック25aに空のフレコンバッグFの上端縁部の係止孔を各々引っ掛けてフレコンバッグFを吊下げてフレコンバッグFの底が載置台40に受けられた状態とした後に、各部を駆動して機体を進行させて収穫作業を再開する。
【0057】
また、圃場端の畝で側方に畦や壁等の障害物があって機体側方にフレコンバッグFを降ろせない場合は、十字方向操作レバー27を前方に操作して、上下動用電動シリンダ21cを伸長させて可動搬送コンベア21bを最上昇位置まで上昇させて、フレコンバッグFを載置台40上方に持ち上げる。
【0058】
そして、十字方向操作レバー27を機体右に操作して、揺動用電動シリンダ29を伸長させて揺動アーム24bを枢支軸回りに回動して右外側方に開いて、フレコンバッグFを載置台40の右外側方まで移動させる。
【0059】
そして、十字方向操作レバー27の前スイッチ27Fまたは後スイッチ27Rを押し操作して回転用電動モータ30を作動させて揺動アーム24b及び吊り下げハンガー25を前方または後方に移動する。
【0060】
そして、十字方向操作レバー27を後方に操作して、上下動用電動シリンダ21cを縮小させて可動搬送コンベア21bを最下降位置まで下降させて、フレコンバッグFを圃場に降ろす。すると、フレコンバッグFは、載置台40の前方または後方に降ろされる。
【0061】
フレコンバッグFを載置台40の前方に降ろす場合に、フレコンバッグFの底が載置台40の可動台40aに接当して、可動台40aに所定以上の荷重が掛かるので、可動台40aは外側が下方に向けて回動し、フレコンバッグFを載置台40の前方近くに降ろすことができる。
【0062】
そして、吊り下げハンガー25の各フック25aをフレコンバッグFの上端縁部の係止孔から外して、十字方向操作レバー27を操作して最初の揺動アーム24bが左機体内側に閉じた状態で可動搬送コンベア21bを最下降位置に戻して、吊り下げハンガー25の各フック25aに空のフレコンバッグFの上端縁部の係止孔を各々引っ掛けてフレコンバッグFを吊下げてフレコンバッグFの底が載置台40に受けられた状態とした後に、各部を駆動して機体を進行させて収穫作業を再開する。
【0063】
以上要するに、吊り下げハンガー25は、可動搬送コンベア21b右端部に設けた作動アーム24により上下動及び左右動するので、吊り下げハンガー25に吊り下げられた状態で載置台40に載置されたフレコンバッグFを作動アーム24により載置台40上方に吊り上げて、載置台40の右外側方の位置で圃場に降ろすことができ、圃場に降ろされたフレコンバッグFが傾いたり機体が多少蛇行したりしても、機体にフレコンバッグFが接触することを回避でき、良好で適切な収穫作業を行なうことができる。
【0064】
また、十字方向操作レバー27を機体右に操作して、揺動用電動シリンダ29を伸長させて揺動アーム24bを枢支軸回りに回動して右外側方に開いて、フレコンバッグFを載置台40の右外側方まで移動させる時に、十字方向操作レバー27の右操作に連動して、電動モータ22が停止して可動搬送コンベア21bが停止するので、可動搬送コンベア21b上端部から人参が下方に放出されてしまうことを未然に防止できる。
<他の実施形態>
【0065】
(1)第1実施形態では、操作装置の一例としての十字方向操作レバー27の右操作に連動して、電動モータ22を停止したが、アクチュエータの一例としての揺動用電動シリンダ29に伸縮検出ポテンショメータを設けて、揺動用電動シリンダ29が揺動アーム24bを枢支軸回りに回動して右外側方に開く作動を伸縮検出ポテンショメータにて検出して、電動モータ22を停止しても良い。
【0066】
また、可動搬送コンベア21bにフレコンバッグFまでの距離を検出する超音波センサを設けて、フレコンバッグFが所定距離以上に可動搬送コンベア21bから離れたことを超音波センサにて検出して、電動モータ22を停止しても良い。
【0067】
また、揺動アーム24bが内側方に位置することを検出するセンサを設けて、該センサが揺動アーム24bが内側方に位置することを検出している場合のみ、電動モータ22を駆動するようにしても良い。
【0068】
(2)走行部Aに設けた駐車ブレーキを制動操作する駐車ブレーキ操作装置を操縦部Bに設け、該駐車ブレーキ操作装置を制動操作したことを検出するセンサを設けて、該センサにて駐車ブレーキ操作装置が制動操作されていることを検出した時のみ、十字方向操作レバー27の操作にて揺動用電動シリンダ29が作動するようにしても良い。
【0069】
(3)第1実施形態では、載置台40の可動台40aが所定以上の荷重が掛かると外側が下方に向けて回動する構成としたが、可動台40aの外側端部にフレコンバッグFが外側方から接触すると検出する接触センサを設けて、該接触センサのフレコンバッグF検出により、電動シリンダにより可動台40aを外側が下方に向けて回動するように作動しても良い。
【0070】
(4)第1実施形態では、載置台40の前部外側部に可動台40aを設けたが、載置台40の後部外側部もコーナ部を切り欠いた形状として同様に可動台40aを設けても良い。
【0071】
また、載置台40の前部外側部のコーナ部を単に切り欠いた形状とし、可動台40aを設けなくてもよい。
【0072】
また、載置台40の後部外側部のコーナ部を単に切り欠いた形状とし、可動台40aを設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0073】
24 作動アーム
27 操作装置(十字方向操作レバー)
29 アクチュエータ(揺動用電動シリンダ)
40 載置台
A 走行部
B 操縦部
C 収穫部
D 搬送部(選別搬送部)
E 収容部
F 収容部材(フレコンバッグ)
図1
図2
図3
図4