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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両底面撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20241112BHJP
   G01S 17/08 20060101ALI20241112BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20241112BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20241112BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
H04N23/50
G01S17/08
H04N23/45
H04N23/55
G03B15/00 V
G03B15/00 U
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021163661
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054672
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪内 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】古薮 孝充
(72)【発明者】
【氏名】須藤 尊久
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-537808(JP,A)
【文献】特開2003-348573(JP,A)
【文献】特表2019-528453(JP,A)
【文献】特開2008-059513(JP,A)
【文献】国際公開第2005/038506(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50-23/55
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の底面を撮像する車両底面撮像システムであって、
車両が上方を通過可能な筐体と、
前記筐体の内部に設けられるとともに、車両の通過方向に沿って順に配置された少なくとも第1反射部材及び第2反射部材と、
前記筐体の内部に設けられるとともに、前記車両の通過方向と直交する車幅方向において離れて配置された少なくとも第1撮像装置及び第2撮像装置と、
を備え、
前記第1反射部材は、前記筐体の上方から入射される光を前記第1撮像装置に反射し、
前記第2反射部材は、前記筐体の上方から入射される光を前記第2撮像装置に反射し、
前記第1反射部材は、前記筐体の上方から入射される光を前記第1撮像装置に反射する使用状態と、前記第2反射部材から前記第2撮像装置への反射光を遮らない折り畳み状態との間で切り替えられるように設けられていることを特徴とする車両底面撮像システム。
【請求項2】
前記筐体の上方を通過する車両の地上高を取得する地上高取得部と、
前記第1反射部材を前記使用状態と前記折り畳み状態との間で切り替える切替部と、
前記地上高取得部により取得された車両の地上高に基づいて前記切替部を制御する制御部と、
を更に備える請求項1に記載の車両底面撮像システム。
【請求項3】
前記切替部は、前記筐体の内部に設けられ、
前記筐体の平面視において、前記切替部は前記第1反射部材と重ならないように前記第1反射部材の付近に配置されている請求項2に記載の車両底面撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両底面撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような技術分野として、例えば特許文献1に記載されるものがある。特許文献1に記載の車両底面監視装置は、スロープと、スロープに設けられて上方に開口する溝部と、溝部の内部に配置された複数のカメラとを備えている。そして、車両がスロープを乗り上げて溝部の上方を通過する際に、カメラを用いて車両の底面を撮像することにより、車両底面の監視を簡単且つ確実に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-348573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の車両底面監視装置では以下の問題が生じている。まず、多数のカメラが必要であるため、コストがかかる問題がある。また、車両の地上高(すなわち、地面から車両の底面までの垂直距離)は車種によって異なり、車両底面監視装置のカメラはその距離の違いに対応できていないため、ピントがずれて撮像された画像の精度が低下してしまう(いわゆる、ピンボケ)問題がある。ピンボケの問題を解決するため、例えば広角レンズを用いて撮像することが考えられるが、光学処理を行う制御機構が複雑になる問題とそれに伴うコストアップの問題等が新たに生じてしまう。
【0005】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、車両の地上高が異なる車両であっても高精度の画像を撮像でき、且つコストを削減できる車両底面撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両底面撮像システムは、車両の底面を撮像する車両底面撮像システムであって、車両が上方を通過可能な筐体と、前記筐体の内部に設けられるとともに、車両の通過方向に沿って順に配置された少なくとも第1反射部材及び第2反射部材と、前記筐体の内部に設けられるとともに、前記車両の通過方向と直交する車幅方向において離れて配置された少なくとも第1撮像装置及び第2撮像装置と、を備え、前記第1反射部材は、前記筐体の上方から入射される光を前記第1撮像装置に反射し、前記第2反射部材は、前記筐体の上方から入射される光を前記第2撮像装置に反射し、前記第1反射部材は、前記筐体の上方から入射される光を前記第1撮像装置に反射する使用状態と、前記第2反射部材から前記第2撮像装置への反射光を遮らない折り畳み状態との間で切り替えられるように設けられていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る車両底面撮像システムでは、筐体の上方から入射される光を第1撮像装置に反射する第1反射部材と、筐体の上方から入射される光を第2撮像装置に反射する第2反射部材とは、車両の通過方向に沿って順に配置されている。このため、車両の地上高の違いに対応し、第1反射部材と第2反射部材を使い分けることにより、高精度の画像を撮像することができる。また、車両の底面を撮像する前に、第1反射部材に対する第1撮像装置の焦点合わせと、第2反射部材に対する第2撮像装置の焦点合わせとをそれぞれ行えば、撮像中にこれらの撮像装置の焦点合わせを行わずに高精度の画像を撮像することができる。更に、反射部材と撮像装置とを併用することで、従来と比べて撮像装置の数を少なくすることができるので、車両底面撮像システムのコストを削減することができる。
【0008】
本発明に係る車両底面撮像システムにおいて、前記筐体の上方を通過する車両の地上高を取得する地上高取得部と、前記第1反射部材を前記使用状態と前記折り畳み状態との間で切り替える切替部と、前記地上高取得部により取得された車両の地上高に基づいて前記切替部を制御する制御部と、を更に備えることが好ましい。このようにすれば、制御部は、車両の地上高に基づいて切替部を制御することにより、第1反射部材と第2反射部材を使い分けることができる。従って、車両の底面を自動的に撮像することができる。
【0009】
本発明に係る車両底面撮像システムにおいて、前記切替部は、前記筐体の内部に設けられ、前記筐体の平面視において、前記切替部は前記第1反射部材と重ならないように前記第1反射部材の付近に配置されていることが好ましい。このようにすれば、筐体の平面視において切替部と第1反射部材とが重なる場合と比べて、筐体の薄型化を図ることができる。その結果、車両底面撮像システム全体をコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の地上高が異なる車両であっても高精度の画像を撮像でき、且つコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る車両底面撮像システムの適用場面を示す模式図である。
図2】車両底面撮像システムの構造を示す模式平面図である。
図3】車両底面撮像システムの構造を示す模式断面図である。
図4】第1反射鏡の折り畳み状態を示す模式断面図である。
図5】車両底面撮像システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る車両底面撮像システムの実施形態について説明する。実施形態の説明に先立ち、本発明に至った経緯を説明する。
【0013】
上述した従来の車両底面監視装置の問題点を解決するため、本願発明者らは、鋭意研究を行ってきた。
【0014】
具体的には、車両の地上高の違いによって生じるピンボケを解決するため、本願発明者らは、車両の通過方向に沿って複数の反射鏡を所定の距離離れた状態で順に配置し、これらの異なる距離で配置された反射鏡をカメラと組み合わせて異なる画角を有する撮像ユニットを複数用意し、車両の地上高の違いに応じて用意した撮像ユニットを使い分けることで高精度の画像を撮像できることを見出した。
【0015】
例えば、車両の地上高が比較的に低い車両に対し、広い水平画角を有する撮像ユニットを用いてその底面を撮像する。一方、車両の地上高が比較的に高い車両に対し、狭い水平画角を有する撮像ユニットを用いてその底面を撮像する。このように車両の地上高の違いに対応し、広い水平画角を有する撮像ユニットと狭い水平画角を有する撮像ユニットとを使い分けることで、車両の地上高が異なる車両であっても高精度の画像を撮像することが可能になる。
【0016】
なお、本実施形態において、車両の地上高は、車両の「最低地上高」と異なる概念である。「最低地上高」は地面から車体の一番低い箇所までの垂直距離を指すが、車両の地上高は、地面から車両の底面までの垂直距離を指す。そして、車両底部に備え付けられた各部品の大きさや形状等の違いによって、地面から車両の底面までの垂直距離は均一ではないが、例えば車両の底面前部から底面後部にかけて数箇所までの垂直距離の平均値を車両の地上高としてもよく、あるいは車両の底面前部、底面中央及び底面後部のいずれかまでの垂直距離を車両の地上高としてもよい。
【0017】
図1は実施形態に係る車両底面撮像システムの適用場面を示す模式図である。本実施形態の車両底面撮像システム1は、筐体10の内部に設けられたカメラを用いて筐体10の上方を通過する車両Vの底面を撮像し、撮像した画像に基づいて車両底部に配置された各部品の状態(例えば錆び状態)、又は車両底部に取り付けられた不審物の有無等を確認するためのシステムである。車両底面撮像システム1は、車両Vが上方を通過可能な筐体10と、車両の通過方向Xにおいて筐体10の前方に配置される測距センサ20とを備えている。なお、本実施形態でいう画像は、静止画像と動画像とを含む。
【0018】
図2は車両底面撮像システムの構造を示す模式平面図であり、図3は車両底面撮像システムの構造を示す模式断面図であり、図4は第1反射鏡の折り畳み状態を示す模式断面図である。例えば図2及び図3に示すように、筐体10は、上方に開口した扁平箱状を呈しおり、例えば金属材料又は硬い樹脂材料により形成されている。本実施形態の筐体10は、車両底面撮像システム1の可搬性及び使い勝手を高めるため、スロープなどの斜面部を設けずに地面に置くだけで使用できるように、その高さが車両の最低地上高(例えば50mm)よりも低く、且つ、その幅が車両の左右両車輪の間の距離よりも小さく形成されている。なお、図2及び図3では、蓋を有しない筐体10を示しているが、筐体10はその開口を覆う蓋を更に有してもよい。
【0019】
筐体10の内部には、2つの反射鏡(第1反射鏡11、第2反射鏡12)と、2つのカメラ(第1カメラ13、第2カメラ14)とが設けられている。第1反射鏡11は、特許請求の範囲に記載の「第1反射部材」に相当するものであって、筐体10の上方から入射される光を第1カメラ13に反射する。第2反射鏡12は、特許請求の範囲に記載の「第2反射部材」に相当するものであって、筐体10の上方から入射される光を第2カメラ14に反射する。第1反射鏡11及び第2反射鏡12は、車両の通過方向Xに沿って第1反射鏡11、第2反射鏡12の順で配置されている。すなわち、車両の通過方向Xにおいて、第1反射鏡11は第2反射鏡12の前方に配置されている。
【0020】
図2に示すように、車両の通過方向Xと直交する車幅方向Yにおいて、第1反射鏡11は、その幅が第2反射鏡12の幅よりも小さくなるように形成されている。一例として、例えば第1反射鏡11の幅は316mm、第2反射鏡12の幅は590mmである。そして、第1反射鏡11及び第2反射鏡12は、一端(図2では右端)が揃った状態で配置されている。
【0021】
また、図3に示すように、第1反射鏡11及び第2反射鏡12は、上下方向Zにおいて同じ高さを有するように配置されている。第1反射鏡11は、リンク機構110により車両の通過方向Xに対して45°の状態で配置されている。第2反射鏡12は、筐体10の斜面部17に固定されている。斜面部17は、車両の通過方向Xに対して45°の傾斜を有する。一例として、車両の通過方向Xに対しそれぞれ45°に配置された第1反射鏡11及び第2反射鏡12は、上下方向Zでの高さはともに40mmである。
【0022】
車両の通過方向Xにおいて第1反射鏡11が第2反射鏡12の前方に配置され、且つ第1反射鏡11と第2反射鏡12とが上下方向において同じ高さを有するため、第1反射鏡11は第2反射鏡12からの反射光の一部を遮ることになる。第2反射鏡12及び第2カメラ14を用いて撮像するとき、第2反射鏡12からの反射光を遮らないように、第1反射鏡11は折り畳み可能と構成されている。すなわち、本実施形態の第1反射鏡11は、筐体10の上方から入射される光を第1カメラ13に反射する使用状態と、第2反射鏡12から第2カメラ14への反射光を遮らない折り畳み状態とを有し、これらの状態の間で切り替えられるように構成されている。第1反射鏡11の使用状態及び折り畳み状態の切り替えについては後述する。
【0023】
第1カメラ13は特許請求の範囲に記載の「第1撮像装置」に相当するものであり、第2カメラ14は特許請求の範囲に記載の「第2撮像装置」に相当するものである。第1カメラ13と第2カメラ14は、例えばそれぞれCCD(Charge Coupled Devices)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等により形成され、車幅方向Yにおいて所定の距離離れて配置されている。
【0024】
第1カメラ13及び第2カメラ14は、筐体10の底部に対して同じ高さを有するように、カメラ固定部材18を介して筐体10の底部に固定されている。一例として、例えば第1カメラ13及び第2カメラ14は、それぞれのカメラの中心が地面から30mmになるように筐体10に固定されている。
【0025】
そして、第1カメラ13は、第1反射鏡11に対応しており、第1反射鏡11が収まる水平画角を有する。第2カメラ14は、第2反射鏡12に対応しており、第2反射鏡12が収まる水平画角を有する。そして、第1カメラ13及び第1反射鏡11は、比較的に広い水平画角(例えば165°)を有する撮像ユニットを構成し、比較的に低い地上高の車両の底面撮像に対応する。一方、第2カメラ14及び第2反射鏡12は、比較的に狭い水平画角(例えば150°)を有する撮像ユニットを構成し、比較的に高い地上高の車両の底面撮像に対応する。
【0026】
第1カメラ13及び第2カメラ14は、それぞれ制御部16(後述する)と電気的に接続されており、それぞれの撮像開始時間及び撮像終了時間が制御部16に制御されている。また、第1カメラ13及び第2カメラ14は、それぞれ撮像した画像を制御部16に出力する。
【0027】
また、筐体10の内部には、電動シリンダ15及び制御部16が設けられている。電動シリンダ15は、特許請求の範囲に記載の「切替部」に相当するものであり、第1反射鏡11を支持するリンク機構110と協働して第1反射鏡11を使用状態(図3参照)と折り畳み状態(図4参照)との間で切り替える。より具体的には、例えば電動シリンダ15に備え付けられたモータの逆回転に伴ってロッド150が縮退すると、ロッド150と連結されたリンク機構110が引張られ、第1反射鏡11はその筐体10の底部と接触する接触点111を支点として徐々に倒れていき、最終的には、第1反射鏡11全体が筐体10の底部と接触する状態になる(図4参照)。図4に示す状態は第1反射鏡11の折り畳み状態である。一方、電動シリンダ15のモータの正回転に伴ってロッド150が伸長すると、リンク機構110が拡がっていく。これによって、第1反射鏡11は接触点111を支点として起立し、図3に示す使用状態になる。
【0028】
また、図2に示す筐体10の平面視において、電動シリンダ15は、第1反射鏡11と重ならないように第1反射鏡11の付近に配置されている。このようにすれば、筐体10の平面視において電動シリンダ15と第1反射鏡11とが重なる場合と比べて、筐体10の薄型化を図ることができるので、車両底面撮像システム1全体をコンパクトにすることができる。
【0029】
制御部16は、例えば、演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって車両底面撮像システム1の各制御を行う。
【0030】
制御部16は、カメラ制御部160、判定部161及び電動シリンダ制御部162を有する。
【0031】
判定部161は、測距センサ20により取得された車両の地上高に基づいて、取得された車両の地上高が予め設定された基準値以上であるか否かを判定する。また、判定部161は、その判定結果に基づいて第1反射鏡11及び第2反射鏡12のうちどの反射鏡を使用するかを決定する。より具体的には、判定部161は、測距センサ20により取得された車両の地上高を基準値と比較した結果、車両の地上高が基準値よりも低いと判定した場合、低い地上高の車両の底面撮像に対応する第1反射鏡11を使用することを決定する。第1反射鏡11を使用することを決定すると、判定部161は、第1反射鏡11を使用状態にさせる指令を電動シリンダ制御部162に出力する。
【0032】
一方、車両の地上高を基準値と比較した結果、車両の地上高が基準値以上であると判定した場合、判定部161は、高い地上高の車両の底面撮像に対応する第2反射鏡12を使用することを決定する。第2反射鏡12を使用することを決定すると、判定部161は、第1反射鏡11を折り畳み状態にさせる指令を電動シリンダ制御部162に出力する。
【0033】
カメラ制御部160は、判定部161の決定結果に基づいて第1カメラ13及び第2カメラ14の切り替え、各カメラの撮像開始時間及び撮像終了時間を制御する。例えば、第1反射鏡11を使用することが決定された場合、第1反射鏡11に対応する第1カメラ13を使って撮像するように、第1カメラ13の撮像開始時間及び撮像終了時間を制御する。一方、第2反射鏡12を使用することが決定された場合、第2反射鏡12に対応する第2カメラ14を使って撮像するように、第2カメラ14の撮像開始時間及び撮像終了時間を制御する。
【0034】
なお、各カメラの撮像開始時間は、例えば制御部16が測距センサ20から出力された車両の地上高を取得したタイミングで直ちに開始してもよく、あるいは車両の地上高を取得したタイミングから所定時間(例えば2秒)経過後に開始してもよい。また、各カメラの撮像終了時間は、例えば撮像開始から所定時間(例えば10秒)経過後とする。
【0035】
また、カメラ制御部160は、第1カメラ13及び第2カメラ14により撮像された画像を記憶する。
【0036】
電動シリンダ制御部162は、判定部161の指令に基づいて電動シリンダ15を正回転又は逆回転するように制御する。
【0037】
測距センサ20は、特許請求の範囲に記載の「地上高取得部」に相当するものであり、筐体10から所定距離離れた地面に配置され、筐体10の上方を通過しようとする車両の地上高を取得する。この測距センサ20は、例えば0~20cmの近距離測距に適したTOF(Time Of Flight)方式を採用するものであって、上方に投光されたレーザがセンサ内の受光素子に戻ってくるまでの時間を計測することにより車両の地上高さを測定する。
【0038】
上述したように、車両の地上高には、車両の底面前部から底面後部にかけて数箇所までの垂直距離の平均値を用いてもよく、あるいは車両の底面前部、底面中央及び底面後部のいずれかまでの垂直距離を用いてもよい。ここでは、測距センサ20は、取得した車両の地上高をより早く制御部16に出力するため、車両のフロントバンパの底面から地面の垂直距離を車両の地上高として取得する。
【0039】
測距センサ20は、ケーブル21を介して筐体10内に設けられた制御部16と電気的に接続され、検出した車両の地上高を制御部16に出力する。
【0040】
以下、図5を基に車両底面撮像システム1の動作を説明する。なお、車両底面撮像システム1の初期状態では、第1反射鏡11が使用状態になっている。
【0041】
まずステップS1では、測距センサ20は、これから筐体10の上方を通過しようとする車両の地上高を取得する。測距センサ20は、取得した車両の地上高をケーブル21を介し制御部16に出力する。
【0042】
ステップS1に続くステップS2では、制御部16の判定部161は、測距センサ20により取得された車両の地上高が基準値以上であるか否かを判定する。基準値は、例えば各車種の地上高さの実測値に基づいて予め設定されたものである。そして、車両の地上高が基準値より小さいと判定された場合、制御処理はステップS3に進む。ステップS3では、判定部161は、第1反射鏡11の使用を決定する。
【0043】
ステップS3に続くステップS4では、制御部16のカメラ制御部160は、第1カメラ13に撮像する指令を出力する。第1カメラ13は、その指令に基づいて筐体10の上方を通過する車両の底面を撮像し、撮像した画像を制御部16に出力する。なお、第1カメラ13の撮像開始時間及び撮像終了時間は、カメラ制御部160によって制御されている。
【0044】
一方、ステップS2において車両の地上高が基準値以上であると判定された場合、制御処理はステップS5に進む。ステップS5では、判定部161は、第2反射鏡12の使用を決定する。
【0045】
ステップS5に続くステップS6では、制御部16の電動シリンダ制御部162は、第1反射鏡11を折り畳み状態にさせるように電動シリンダ15を制御する。そして、電動シリンダ15に備え付けられたモータが逆回転してロッド150が縮退し、これによって、ロッド150と連結されたリンク機構110が引張られ、第1反射鏡11がその筐体10の底部と接触する接触点111を支点として徐々に倒れていき、筐体10の底部と接触する状態になる(図4参照)。
【0046】
ステップS6に続くステップS7では、カメラ制御部160は、第2カメラ14に撮像する指令を出力する。第2カメラ14は、その指令に基づいて筐体10の上方を通過する車両の底面を撮像し、撮像した画像を制御部16に出力する。第2カメラ14の撮像開始時間及び撮像終了時間は、カメラ制御部160によって制御されている。
【0047】
ステップS4又はステップS7が終わると、一連の制御処理が終了する。
【0048】
以上のように構成された車両底面撮像システム1では、筐体10の上方から入射される光を第1カメラ13に反射する第1反射鏡11と、筐体10の上方から入射される光を第2カメラ14に反射する第2反射鏡12とは、車両の通過方向Xに沿って順に配置されている。従って、車両の地上高の違いに対応し、第1反射鏡11と第2反射鏡12を使い分けることにより、高精度の画像を撮像することができる。そして、車両の底面を撮像する前に、第1反射鏡11に対する第1カメラ13の焦点合わせと、第2反射鏡12に対する第2カメラ14の焦点合わせとをそれぞれ行えば、撮像中にこれらのカメラの焦点合わせを行わずに高精度の画像を撮像することができる。また、このように反射鏡とカメラとを併用することで、従来と比べてカメラの数を少なくすることができるので、車両底面撮像システム1のコストを削減することができる。
【0049】
更に、制御部16は、測距センサ20により取得された車両の地上高に基づいて、電動シリンダ15の制御を介して第1反射鏡11を使用状態と折り畳み状態との間で切り替えることにより、第1反射鏡11と第2反射鏡12を使い分けることができる。その結果、車両の地上高に基づいて車両の底面を自動的に撮像することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0051】
例えば、上述の実施形態において車両の通過方向Xに沿って順に配置された2つの反射鏡(第1反射鏡11及び第2反射鏡12)とそれに対応する2つのカメラ(第1カメラ13及び第2カメラ14)の例を挙げて説明したが、本発明は、車両の通過方向Xに沿って順に配置された3つ以上の反射鏡と各反射鏡に対応するカメラとを有するケースにも適用される。
【0052】
また、第1反射鏡11を使用状態及び折り畳み状態を切り替えるための切替部は、電動シリンダ15のほか、エアシリンダ、油圧シリンダ、アクチュエータ等であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:車両底面撮像システム、10:筐体、11:第1反射鏡、12:第2反射鏡、13:第1カメラ、14:第2カメラ、15:電動シリンダ、16:制御部、17:斜面部、18:カメラ固定部材、20:測距センサ、21:ケーブル、110:リンク機構、150:ロッド、160:カメラ制御部、161:判定部、162:電動シリンダ制御部
図1
図2
図3
図4
図5