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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20241112BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20241112BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20241112BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241112BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20241112BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
H04N23/50
H04N23/51
H04R1/40 320A
G03B15/00 W
G03B19/07
G03B37/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022199877
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2021075475の分割
【原出願日】2017-03-16
(65)【公開番号】P2023026477
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】加賀 良太
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027335(JP,A)
【文献】特開2016-046699(JP,A)
【文献】特開2010-145524(JP,A)
【文献】特開2012-195922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
H04N 23/51
H04R 1/40
H04R 5/027
G03B 15/00
G03B 19/07
G03B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全天球画像を構成する画像を撮像する、結像光学系と撮像素子を有する撮像光学系と、4つの収音装置とを筐体内に備える撮像装置であって、
前記筐体は、6つの面を有し、前記6つの面のうち向かい合う2つの面は、前記結像光学系の一部が露出する開口が設けられ、
前記4つの収音装置が、前記結像光学系の下端位置より下方に配置される2つの収音装置と、前記2つの収音装置より上方に配置される2つの収音装置と、を含み
一方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と平行な軸に沿って、前記開口が設けられた2つの面それぞれの側に配置され、
他方の対の2つの収音装置は、前記一方の対の2つの収音装置の配置方向と交差する方向に向かい合う面それぞれの側に配置される、
撮像装置。
【請求項2】
前記4つの収音装置は、前記結像光学系の光軸の上方および下方のそれぞれに1対ずつ配置される、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記4つの収音装置のうち前記結像光学系の下端位置より下方に配置される1対の収音装置に対して上方に配置される1対の収音装置は、前記結像光学系の上端位置より上方に配置される、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記開口が設けられた2つの面に配置された前記一方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と平行な軸に沿って配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記一方の対の2つの収音装置の配置方向と交差する方向に向かい合う面に配置された前記他方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と直交する軸に平行な軸に沿って配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記4つの収音装置は、前記結像光学系の前記筐体から突出している部分より内側に配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記開口が設けられた2つの面のうち1つの面の側に撮影指示手段を有し、
前記開口が設けられた2つの面に配置された前記一方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸の下方であって前記結像光学系と前記撮影指示手段の間となる位置に配置され、
前記一方の対の2つの収音装置の配置方向と交差する方向に向かう合う面に配置された前記他方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸の上方に配置される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
全天球画像を構成する画像を撮像する、結像光学系と撮像素子を有する撮像光学系と、4つの収音装置とを筐体内に備える撮像システムであって、
前記筐体は、6つの面を有し、前記6つの面のうち向かい合う2つの面は、前記結像光学系の一部が露出する開口が設けられ、
前記4つの収音装置が、前記結像光学系の下端位置より下方に配置される2つの収音装置と、前記2つの収音装置より上方に配置される2つの収音装置と、を含み
一方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と平行な軸に沿って、前記開口が設けられた2つの面それぞれの側に配置され、
他方の対の2つの収音装置は、前記一方の対の2つの収音装置の配置方向と交差する方向に向かい合う面それぞれの側に配置される、
撮像システム。
【請求項9】
前記4つの収音装置は、前記結像光学系の光軸の上方および下方のそれぞれに1対ずつ配置される、請求項8に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記4つの収音装置のうち前記結像光学系の下端位置より下方に配置される1対の収音装置に対して上方に配置される1対の収音装置は、前記結像光学系の上端位置より上方に配置される、請求項8または9に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記開口が設けられた2つの面に配置された前記一方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と平行な軸に沿って配置される、請求項8~10のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記一方の対の2つの収音装置の配置方向と交差する方向に向かい合う面に配置された前記他方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と直交する軸に平行な軸に沿って配置される、請求項8~11のいずれか1項に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラで撮影した画像に基づいて、全天球画像や全天球動画を生成する技術が知られている。
【0003】
特に全天球動画を再生する場合、臨場感を再現することが望まれている。
【0004】
例えば、特開2001-298733号公報(特許文献1)では、レンズで半天球および全天球を平面変換したものを、カメラで撮影し、投影機でスクリーンに投影すると共に、音響に関しては立体配置の少なくとも5個のマイクロフォン11で収音する技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、カメラに対するマイクロフォンの具体的な配置が開示されていないので、臨場感を再現するために簡便な構成が明らかになっていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、簡便に臨場感を再現可能な撮像装置、撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、
全天球画像を構成する画像を撮像する、結像光学系と撮像素子を有する撮像光学系と、4つの収音装置とを筐体内に備える撮像装置であって、
前記筐体は、6つの面を有し、前記6つの面のうち向かい合う2つの面は、前記結像光学系の一部が露出する開口が設けられ、
前記4つの収音装置が、前記結像光学系の下端位置より下方に配置される2つの収音装置と、前記2つの収音装置より上方に配置される2つの収音装置と、を含み
一方の対の2つの収音装置は、前記結像光学系の光軸と平行な軸に沿って、前記開口が設けられた2つの面それぞれの側に配置され、
他方の対の2つの収音装置は、前記一方の対の2つの収音装置の配置方向と交差する方向に向かい合う面それぞれの側に配置されることを特徴とする撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明によれば、簡便に臨場感を再現可能な撮像装置、撮像システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の全天球カメラの内部構造を例示する断面図。
図2】本実施形態の全天球カメラによって撮影される画像の例を示す図。
図3】本実施形態の全天球カメラのハードウェア構成図。
図4】マイクロフォンの数と配置を説明する図。
図5】本実施形態の全天球カメラのマイクロフォンの配置の例を示す図。
図6】第1の実施例において立体音響を取得するマイクロフォンの配置の例を示す図。
図7】第2の実施例において立体音響を取得するマイクロフォンの配置の例を示す図。
図8】5つのマイクロフォンで立体音響を取得する配置例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。また、以下の明細書において、音声とは、人が発する声に限らず、音楽、機械音、動作音、その他空気の振動によって伝搬する音を総称したものとして参照する。
【0011】
図1は本実施形態の撮像装置の一例として全天球カメラ100の内部構造を例示する断面図である。図1に示す全天球カメラ100は、少なくとも撮像体12と、筐体14と、シャッター・ボタン16およびマイクロフォン142A~Dを備える。
【0012】
撮像体12は、少なくとも2つの結像光学系20A,20Bと、2つの撮像素子22A,22Bを含み構成される。結像光学系20A,20Bは、光学素子として、前群レンズ、プリズム、後群レンズ、フィルタおよび開口絞りなどが含まれる。例えば、光学素子として構成される広角レンズや魚眼レンズは、180度(=360度/n;光学系数n=2)より大きい全画角を有し、好適には、185度以上の画角を有し、より好適には、190度以上の画角を有する。撮像素子22A,22Bは、結像光学系20A,20Bにより集光された光を画像信号に変換する。撮像素子22A,22Bは、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを含む。広角な結像光学系と撮像素子とを1個ずつ組み合わせたものを広角撮像光学系と参照する。
【0013】
結像光学系20A,20Bの光学素子は、撮像素子22A,22Bに対して位置関係が定められる。より具体的には、結像光学系20A,20Bの光学素子の光軸が、対応する撮像素子22の受光領域の中心部に直交して位置するように、かつ、受光領域が、対応する魚眼レンズの結像面となるように位置決めが行われる。
【0014】
結像光学系20A,20Bは、同一仕様のものであり、それぞれの光軸が合致するようにして、互いに逆向きに組み合わせられる。撮像素子22A,22Bは、結像光学系20A,20Bからそれぞれ受光した光分布を画像信号に変換し、コントローラ上の画像処理手段に順次、画像フレームを出力する。
【0015】
結像光学系20A,20Bにより撮像される画像は、それぞれ撮像素子22A,22Bの受光領域上に結像する。撮像素子22A,22Bでそれぞれ撮像された画像を合成処理することにより、全天球画像が生成される。例えば図2に示す半球画像を合成することにより、全天球画像が生成される。全天球画像は、全天球カメラ100の全周囲の立体角4πステラジアンの画像を撮影した画像である。また、全天球画像の連続するフレームに基づいて、全天球動画が生成される。
【0016】
筐体14は、撮像体12、コントローラおよびバッテリなどの部品を保持する。筐体14は、結像光学系20A,20Bのレンズを露出する開口が設けられ、筐体14の一部の面から結像光学系20A,20Bのレンズが突出している。また、筐体14は、シャッター・ボタン16が備えられている。シャッター・ボタン16は、全天球カメラ100に撮影開始を指示するボタンである。
【0017】
マイクロフォン142A~Dは、全天球カメラ100の周囲の音を取得し、音の信号を出力する。マイクロフォン142A~Dは、指向性マイクロフォンであってもよいし、無指向性マイクロフォンであってもよい。指向性マイクロフォンを用いた場合には、特定の方向の音を取得することができる。無指向性マイクロフォンを用いた場合には、各マイクロフォンのキャリブレーションを容易に行うことができる。さらに、マイクロフォン142A~Dは、指向性マイクロフォンと無指向性マイクロフォンとを組み合わせて用いてもよい。マイクロフォン142A~Dのうち少なくとも1つが無指向性であると、キャリブレーションを容易に行うことができると共に、安価で、個体ばらつきが少なくなる。
【0018】
次に、全天球カメラ100のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施形態の全天球カメラ100のハードウェア構成図である。全天球カメラ100は、CPU(Central Processing Unit)112と、ROM(Read Only Memory)114と、動画圧縮ブロック116と、画像処理ブロック120と、音声信号処理ブロック122と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)インタフェース124とを含み構成される。
【0019】
CPU112は、全天球カメラ100の各部の動作および全体動作を制御する。ROM114は、CPU112が解読可能なコードで記述された制御プログラムや各種パラメータを格納する。動画圧縮ブロック116は、MPEG-4 AVC/H.264などの動画圧縮および伸張を行うコーデック・ブロックである。
【0020】
画像処理ブロック120は、2つの撮像素子140A,140B(図1における撮像素子22A,22Bに対応する。)と接続され、それぞれで撮像された画像の画像信号が入力される。画像処理ブロック120は、ISP(Image Signal Processor)などを含み構成され、2つの撮像素子140A,140Bから入力された画像信号に対し、シェーディング補正、ベイヤー補間、ホワイト・バランス補正、ガンマ補正などを行う。
【0021】
音声信号処理ブロック122は、マイクロフォンなどの収音装置が取得する音声信号に対して各種処理を行う。音声信号処理ブロック122は、筐体14内に収められた少なくとも4つのマイクロフォン142A~Dと接続され、マイクロフォン142A~Dが取得した音声信号がそれぞれ入力される。音声信号処理ブロック122は、プリアンプ、ADC(Analog to Digital Converter)、各種フィルタ、コンプレッサなどを含み構成され、マイクロフォン142A~Dから入力された音声信号に対して、信号増幅、AD変換、周波数分離などの各種処理を行う。また、音声信号処理ブロック122では、取得した音声を立体音響として再生可能なデータを出力できる。立体音響は、4以上のマイクロフォンで取得した音声を、音源に対する3次元的な方向を反映した音声として複数のスピーカから再生でき、視聴者に臨場感を与えることができる。
【0022】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)インタフェース124には、DRAM144が接続される。DRAM144は、各種信号処理および画像処理を施す際にデータを一時的に保存する記憶領域を提供する。
【0023】
全天球カメラ100は、さらに、外部ストレージインタフェース126と、外部センサインタフェース128と、USB(Universal Serial Bus)インタフェース130と、シリアルブロック132とを含み構成されてもよい。
【0024】
外部ストレージインタフェース126は、外部ストレージ146が接続される。外部ストレージインタフェース126は、メモリカードスロットに挿入されたメモリカードなどの外部ストレージ146に対する読み書きを制御する。外部センサインタフェース128には、加速度センサ148が接続される。加速度センサ148は、3軸の加速度成分を検出し、検出された加速度成分は、鉛直方向を検出して全天球画像の天頂補正を施すために用いられる。
【0025】
USBインタフェース130は、USBコネクタ150が接続される。USBインタフェース130は、USBコネクタ150を介して接続されるパーソナル・コンピュータなどの外部機器とのUSB通信を制御する。シリアルブロック132は、パーソナル・コンピュータなどの外部機器とのシリアル通信を制御し、無線NIC(Network Interface Card)154が接続される。
【0026】
電源スイッチの操作によって電源がオン状態になると、ROM114に格納されている制御プログラムがメインメモリにロードされる。CPU112は、メインメモリに読み込まれたプログラムに従って、装置各部の動作を制御すると共に、制御に必要なデータをメモリ上に一時的に保存する。その後、シャッター・ボタン16の押下によって、2つの撮像素子140A,140Bおよびマイクロフォン142A~Dを制御し、画像および音声を取得する。各種ハードウェアが、取得した画像および音声を合わせる処理を行うことで、立体音響の再生が可能な全天球動画を生成する。全天球動画は、映像出力インタフェース118を介して、再生装置に出力される。なお、全天球動画は、USBコネクタ150や無線NIC154などを介して接続される外部機器に出力されてもよい。
【0027】
ここまで、本実施形態の少なくとも4つのマイクロフォンが含まれる全天球カメラ100の構成について説明した。もちろん、撮像装置、マイクロフォンおよび各種処理部がそれぞれ分離した撮像システムであってもよい。
【0028】
次に、マイクロフォンの数に応じた音響について説明する。図4(a)~(d)は、マイクロフォンの数と配置を説明する図である。図4(a)~(d)に示される黒丸は、マイクロフォンを示す。図4(a)~(d)は、それぞれマイクロフォンの数が1~4つの場合について、それぞれ示している。
【0029】
まず、図4(a)について説明する。マイクロフォンが1つの場合、全周囲からの音声または特定の方向の音源からの音声を取得することができる。しかしながら、マイクロフォンが1つの場合では、音源の方向を反映して音声を再生することはできず、モノラル再生となる。
【0030】
次に、図4(b)について説明する。マイクロフォンが2つの場合、1次元の差異を反映した音声を取得でき、音源の方向を判別できる音声として再生できる。すなわち、各マイクロフォンが取得した音声を、各マイクロフォンに対応する2つのスピーカで再生することで、音源の方向を再現したステレオ音声として再生できる。
【0031】
次に、図4(c)について説明する。3つのマイクロフォン全てが同一直線上にないように配置されている場合には、3つのマイクロフォンによって平面を定義できる。例えば、図4(c)では、3つのマイクロフォンによってx-y平面を定義でき、3つのマイクロフォンがそれぞれ三角形の各頂点に配置されている。このように配置されている場合には、2次元の差異を反映した音声を取得でき、x-y平面上における音源に対する方向を判別できる音声として再生できる。例えば、2つのスピーカで再生する場合には、音量の強弱が加味され、平面上における音源に対する方向を再現した音声を合成できる。
【0032】
最後に、図4(d)について説明する。4つのマイクロフォンがxyz空間内に配置されている場合には、4つのマイクロフォンによって空間を定義できる。例えば、図4(d)では、4つのマイクロフォン全てが同一平面上になく、4つのマイクロフォンが三角錐の各頂点に配置されている。このように配置されている場合には、3次元の差異を反映した音声を取得でき、空間内における音源に対する方向を判別できる音声として再生できる。したがって、立体音響として再生できる。例えば、ヘッドマウントディスプレイのような装置で映像を再生する場合には、ユーザの視線の方向に合わせた音声を再生できる。
【0033】
なお、本実施形態の全天球カメラ100は、臨場感を再現するために、マイクロフォンを5つ以上含んでいてもよい。マイクロフォンが5つ以上ある場合でも、マイクロフォンが4つの場合と同様に、臨場感を再現できる。
【0034】
次に、図4(d)に関するマイクロフォン142A~Dの具体的な配置について、図5~7を以て説明する。図5は、本実施形態の全天球カメラ100のマイクロフォン142A~Dの配置の例を示す図である。図5(a)は、全天球カメラ100の軸の定義を説明する図である。x軸は、全天球カメラ100の結像光学系20A,20Bの光学素子の前群の光軸と平行な軸とする。z軸は、全天球カメラ100の結像光学系20A,20Bの光学素子の後群の光軸と平行な軸とする。y軸は、x軸およびz軸に垂直な軸とする。
【0035】
図5(b)には、4つのマイクロフォン142A~Dが、座標a,b,c,dに配置されている。一例として、各座標は次のように示される。
座標a=(α,0,0)
座標b=(-α,0,0)
座標c=(0,α,β)
座標d=(0,-α,β)
但し、αおよびβは0より大きい実数。
座標aおよびbは、x軸上の点であり、座標cおよびdは、y-z平面上のy軸に平行となる位置に配置された点である。したがって、座標a,b,c,dの4つは全てが同一平面上には存在せず、三角錐形状を形成する。
【0036】
すなわち、図5(b)に示す座標a,b,c,dにマイクロフォン142を配置することで空間を定義できる。これによって、3次元の差異を反映した立体音響を取得し、再生することができる。
【0037】
図5(c)には、4つのマイクロフォン142A~Dが、座標e,f,g,hに配置されている。一例として、各座標は次のように示される。
座標e=(0,0,α)
座標f=(-β,-γ,0)
座標g=(α’,0,0)
座標h=(-β’,γ’,0)
但し、α、β、γ、α’、β’およびγ’は0より大きい実数。
座標eは、z軸上の点である。座標f,g,hの3つは、x-y平面上において全てが同一直線上にならない位置に配置された点である。したがって、座標e,f,g,hも、図5(b)の配置と同様に、三角錐形状を形成する。
【0038】
すなわち、図5(c)に示す座標e,f,g,hにマイクロフォン142を配置することで空間を定義できる。これによって、3次元の差異を反映した立体音響を取得し、再生することができる。
【0039】
次に、各マイクロフォン間の距離については特に制限はないが、隣接するマイクロフォン間の距離が与える影響について説明する。
【0040】
例えば、マイクロフォン間の距離が極端に小さい場合には、各マイクロフォンが取得する低域の音声信号に差異が出にくいため、立体音響の合成時に低域のノイズが発生する場合がある。また、マイクロフォン間の距離が極端に大きい場合には、高域側で位相が回り、音声信号に差異が出ないことから、立体音響の指向性を好適に形成できない。
【0041】
さらに、マイクロフォンの特性の個体差を考慮して配置する場合には、隣接するマイクロフォン間の距離は等距離であることが好ましい。したがって、4つのマイクロフォン142A~Dの理想的な配置は、4つのマイクロフォン142A~Dを頂点とした正四面体形状となる。
【0042】
次に、全天球カメラ100に含まれる撮像体12とマイクロフォン142A~Dの配置の例を説明する。第1の実施例として、図5(b)の座標a,b,c,dのようにマイクロフォンが配置される構成について、図6を用いて説明する。図6(a)、(b)、(c)には、撮像体12とマイクロフォン142A~Dの配置の斜視図、正面図、側面図がそれぞれ示されている。
【0043】
図6(a)、(b)、(c)では、撮像体12を構成する結像光学系20A,20Bの上下に、4つのマイクロフォン142A~Dが基板に配置されている。なお、基板だけでなく、筐体14に固定させる、筐体14にケーブルを接続させるなどの配置がある。より具体的には、結像光学系20A,20Bの下部に、それぞれ2つのマイクロフォン142A,142Bがそれぞれ全天球カメラ100のx軸に沿って配置されている。マイクロフォン142A及び142Bは、結像光学系20A,20Bの光学素子の前群の光軸と平行になるように配置されている。また、結像光学系20A,20Bの上部には、2つのマイクロフォン142C,142Dがそれぞれ全天球カメラ100のy軸に沿って配置されている。マイクロフォン142C及び142Dは、結像光学系20A,20Bの光学素子の前群の光軸及び後群の光軸に対して垂直になるように配置されている。すなわち、マイクロフォン142A~Dは4つ全てが同一平面上には存在していない。マイクロフォン142A~Dは、三角錐形状の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0044】
なお、マイクロフォン142Aと142Cの間の距離、マイクロフォン142Aと142Dの間の距離、マイクロフォン142Bと142Cの間の距離およびマイクロフォン142Bと142Dの間の距離は、それぞれ等しいことが好ましい。また、マイクロフォン142Aと142Bの間の距離およびマイクロフォン142Cと142Dの間の距離は等しいことが好ましい。
【0045】
図6(b)に示されるようにマイクロフォン142Aは、結像光学系20Aの後群の光軸を通るz軸と平行な軸上に配置されていることが好ましい。同様に、マイクロフォン142Bは、結像光学系20Bの後群の光軸を通るz軸と平行な軸上に配置されていることが好ましい。さらに、マイクロフォン142Cおよびマイクロフォン142Dは、結像光学系20A、20Bの前群の光軸を通るz軸上を境とした場合のy軸方向の距離が等距離になるように配置されていることが好ましい。
【0046】
図6(c)に示されるようにマイクロフォン142A~Dは、レンズを露出するための筐体14の開口面上の直線A-A’、直線B-B’よりも内側に配置されていることが好ましい。マイクロフォン142A~Dは、結像光学系20A,20Bよりも内側である基板の側面上に配置されていることが好ましい。マイクロフォン142A~Dは、結像光学系20A,20Bの筐体14から突出している部分より内側に配置されていることが好ましい。マイクロフォン142A~Dは、結像光学系20A,20Bの筐体14から突出している部分より外側に配置されている場合、142A~Dが画像に映りこんでしまうからである。
【0047】
次に、第2の実施例として、図5(c)の座標e,f,g,hのようにマイクロフォンが配置される構成について、図7を用いて説明する。図7(a)、(b)、(c)は、撮像体12とマイクロフォン142A~Dの配置の斜視図、正面図、側面図がそれぞれ示されている。
【0048】
図7(a)、(b)、(c)では、撮像体12を構成する結像光学系20A,20Bの上部に4つのマイクロフォン142A~Dが配置されている。より具体的には、2つのマイクロフォン142A,142Bは、全天球カメラ100のx軸に沿って結像光学系20A,20Bの上部に配置されている。2つのマイクロフォン142C,142Dは、全天球カメラ100のy軸に沿って結像光学系20A,20Bの上部に配置されている。すなわち、マイクロフォン142A~Dは4つ全てが同一平面上には存在していない。マイクロフォン142A~Dは、三角錐形状の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。また、第2の実施例では、マイクロフォン142A~Dの各マイクロフォン間の距離は、等距離で配置されている。したがって、マイクロフォン142A~Dは正四面体形状を形成している。
【0049】
第1の実施例と同様に、第2の実施例もマイクロフォン142A~Dは、結像光学系20A,20Bの筐体14から突出している部分より内側に配置されていることが好ましい。マイクロフォン142A~Dは、結像光学系20A,20Bの筐体14から突出している部分より外側に配置されている場合、142A~Dが画像に映りこんでしまうからである。
【0050】
次にマイクロフォン数が5以上の場合について説明する。図8は、5つのマイクロフォンが配置される例を説明する図である。図8(a)は、四角錐形状(いわゆるピラミッド形状)にマイクロフォンが配置された例である。図8(b)は、双三角錐形状にマイクロフォンが配置された例である。なお、マイクロフォンの数が5より多い場合であっても同様である。
【0051】
図8(a)では、x-y平面上の座標a,b,c,dと、z軸上の座標eにそれぞれマイクロフォンが配置されている。座標a~dに配置されたマイクロフォンは、同一平面上に配置されている。
【0052】
図8(b)では、x-y平面上の座標a,b,cと、z軸上の座標d,eにそれぞれマイクロフォンが配置されている。図8(b)に示す配置では、5つのマイクロフォンのうち、4つを任意に選択した場合には、いずれの組み合わせであっても同一平面上の配置にはなっていない。
【0053】
また、マイクロフォン数が4の場合では、隣接するマイクロフォン間の距離を等距離として、正四面体形状の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置することで、4つのマイクロフォンからの音を処理することが単純化できる。
【0054】
本実施形態では、各マイクロフォンの特性の個体差の影響をさらに軽減するために、マイクロフォンを仮想的な球体の表面に配置することができる。具体的には、マイクロフォンが成す多面体が外接球を持つように配置することで、個体差による影響を軽減できる。なお、マイクロフォン数が4の場合には、マイクロフォン間の距離が等距離であれば正四面体形状となることから、必然的に外接球を持つ多面体となる。マイクロフォン数が5以上の場合には、外接球を持つ多面体形状であって、各辺の長さが等しくなるように配置することで、個体差による影響を効果的に軽減できる。
【0055】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、臨場感を再現可能な撮像装置、撮像システムを提供することができる。
【0056】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
12…撮像体、14…筐体、16…シャッター・ボタン、20…結像光学系、22…撮像素子、100…全天球カメラ、112…CPU、114…ROM、116…動画圧縮ブロック、118…映像出力インタフェース、120…画像処理ブロック、122…音声信号処理ブロック、124…DRAMインタフェース、126…外部ストレージインタフェース、128…外部センサインタフェース、130…USBインタフェース、132…シリアルブロック、140…撮像素子、142…マイクロフォン、144…DRAM、146…外部ストレージ、148…加速度センサ、150…USBコネクタ、152…無線NIC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【文献】特開2001-298733号公報
図1
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図4
図5
図6
図7
図8