(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】高圧受変電設備異常時対応システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2024076316
(22)【出願日】2024-05-09
(62)【分割の表示】P 2023159947の分割
【原出願日】2023-09-25
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2022171209
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507184096
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬本 英一
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184832(JP,A)
【文献】特開2021-179714(JP,A)
【文献】特開2009-015785(JP,A)
【文献】特開2019-003431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得部(A)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断部(B)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理部(C)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理部(D)と、
を有する高圧受変電設備異常時対応システム。
【請求項2】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得部(A)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断部(B)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をする技術者通知処理部(E)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理部(D)と、
高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する高圧受変電設備情報保持部(G)と、
を有する高圧受変電設備異常時対応システム。
【請求項3】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得部(A)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断部(B)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理部(C)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理である例外処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)をする例外処理部(D)と、
外的広域的要因が終息したか判断する外的広域的要因終息判断部(L)と、
を有する高圧受変電設備異常時対応システム。
【請求項4】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得ステップ(a)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断ステップ(b)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理ステップ(c)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理ステップ(d)とを有する、
計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法。
【請求項5】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得ステップ(a)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断ステップ(b)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をする技術者通知処理ステップ(e)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理ステップ(d)と、
高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する高圧受変電設備情報保持ステップ(g)とを有する、
計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法。
【請求項6】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得ステップ(a)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断ステップ(b)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理ステップ(c)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理ステップ(d)と、
外的広域的要因が終息したか判断する外的広域的要因終息判断ステップ(l)とを有する、計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法。
【請求項7】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得ステップ(a)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断ステップ(b)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理ステップ(c)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理ステップ(d)とを、
計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得ステップ(a)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断ステップ(b)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をする技術者通知処理ステップ(e)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理ステップ(d)と、
高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する高圧受変電設備情報保持ステップ(g)とを、
計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得ステップ(a)と、
所定時間内に複数の
近隣の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない個別の高圧受変電設備の漏電や、温度異常や、短絡や地絡による停電や、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備での異常への巻き込まれといった非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断ステップ(b)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理ステップ(c)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理
(前記異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備から異常情報を取得した旨の通知をしない処理を含む)である例外処理をする例外処理ステップ(d)と、
外的広域的要因が終息したか判断する外的広域的要因終息判断ステップ(l)とを、
計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧受変電設備に異常が発生した際に、当該高圧受変電設備固有の異常発生の場合と、当該高圧受変電設備固有でなく、複数の異なる事業場にまたがって複数の高圧受変電設備に共通する要因である外的広域的要因による異常発生の場合とで、異なった異常時対応を行うためのシステムに関する発明である。また、これに関連して、計算機である前記システムの動作方法と、計算機である前記システムに読み取り動作可能なプログラムに関する発明も含まれる。
【背景技術】
【0002】
ビルなどが受電する際には高圧受変電設備(例:キュービクル)を設置し、受電した6600Vの電力を高圧受変電設備内で100又は200Vに変換し工場や建物や施設内に配電する。高圧受変電設備が正常ではない状態となった場合には、場合により工場の設備が停止したり、建物や施設内が停電し照明や空調やエレベータなどビル内設備が停止したりして、建物や施設内にいる人員に不利益が生じるため、速やかな復旧が必要である。防災電源として非常用自家発電設備などを備えていても、消防法上規定されている防災設備の維持時間2時間程しかもたないと考えられる。早急に復旧すべくいち早く異常を把握するため、高圧受変電設備の状態(停電、漏電、温度異常など)を監視する監視装置が設置され24時間監視が行われている。異常が発生すると対応のための人員が出動する。
【0003】
特許文献1にはビル等に設置される高圧受変電設備に限定されない設備、例えばエレベータなどに故障が発生した際に、対応者を、故障発生場所との距離と移動手段と仕掛中の作業有無(中断可否含め)などから選定する対応者割付システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の発明は、監視センターへ報告があったすべての故障に対して対応しようとするものである。建物、施設において異常が発生した場合、当該建物や施設に設置された設備にのみ異常が起きた場合と、当該設備に異常はないが、建物や施設外の理由で異常となる場合がある(例えば変電所事故による停電など)。後者の場合、異常が発生した設備が設置された建物や施設外の原因によって異常が発生した場合には対応者を現場に派遣しても異常の事態を解決することはできない。つまり、出動した対応者の派遣が無駄になるという問題があった。
【0006】
そこで本発明では、建物や施設等に設置される設備のうち高圧受変電設備に異常が報告された場合に、当該高圧受変電設備固有の原因による異常ではなく、外的広域要因による異常であれば、技術者を緊急に派遣しない高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。固有の原因、すなわち当該高圧受変電設備を原因とする異常であれば対応する。例えばエレベータや、自動ドア、空調設備などは、停電によって異常となったのか、固有の原因、即ち機器自身の問題によって異常となったのかは峻別して監視装置に情報を送ることが出来るが、高圧受変電設備は、自身が電力を配電する機能を有するものであるために、これを峻別して監視センター等に情報を送ることはできない。すなわち、固有の原因で異常が発生しているのか、外的広域要因によって異常が発生しているのかの情報をインターネット等でつながる監視センター等に提供できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような高圧受変電設備異常時対応システムに関する課題を解決するために、本願では、第一の発明として、
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得部(A)と、
所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断部(B)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理部(C)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理である例外処理をする例外処理部(D)と、
を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。ここで特徴的な構成は、インターネットなどの通信網を介して多数の高圧受変電設備からの動作状態情報、特に異常を示す情報を本システムが受信し、高圧受変電設備とは別個に本システムでその異常が高圧受変電設備固有の原因によるものなのか、高圧受変電設備固有でなく、外的広域的要因によるものなのかを判断する点にある。
【0008】
第二の発明として、
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得部(A)と、
所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断部(B)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をする技術者通知処理部(E)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする例外処理部(D)と、
高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する高圧受変電設備情報保持部(G)と、
を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0009】
第三の発明として、第二の発明を基礎として、
技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する技術者所在地情報保持部(H1)と、
技術者所在地情報に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである技術者所在地依存応動者決定ルールを保持する技術者所在地依存応動者決定ルール保持部(J1)と、
を有し、
前記技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者所在地依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする所在地依存応動通知処理手段(K1)を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0010】
第四の発明として、第二の発明又は第三の発明のいずれか一を基礎として、
技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する技術者所在地情報保持部(H1)と、
技術者所在地情報から算出される異常高圧受変電設備への移動時間に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである移動時間依存応動者決定ルールを保持する移動時間依存応動者決定ルール保持部(J2)と、
を有し、
前記技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている移動時間依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする移動時間依存応動通知処理手段(K2)を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0011】
第五の発明として、第二の発明から第四の発明のいずれか一を基礎として、
技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持する技術者スケジュール情報保持部(H2)と、
技術者スケジュール情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールであるスケジュール依存応動者決定ルールを保持するスケジュール依存応動者決定ルール保持部(J3)と、
を有し、
前記技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されているスケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするスケジュール依存応動通知処理手段(K3)を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0012】
第六の発明として、第二の発明から第五の発明のいずれか一を基礎として、
技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する技術者所在地情報保持部(H1)と、
技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持する技術者スケジュール情報保持部(H2)と、
技術者所在地情報および技術者スケジュール情報と、に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである所在地スケジュール依存応動者決定ルールを保持する所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J4)と、
を有し、
前記技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されている所在地スケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする所在地スケジュール依存応動通知処理手段(K4)を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0013】
第七の発明として、第二の発明から第六の発明のいずれか一を基礎として、
技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の過去の応動履歴を示す情報である技術者応動履歴情報を関連付けて保持する技術者応動履歴情報保持部(H3)と、
技術者の応動履歴情報に基づいて後記する応動者を決定のためのルールである応動履歴依存応動者決定ルールを保持する応動履歴依存応動者決定ルール保持部(J5)と、
を有し、
前記技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている応動履歴情報と、保持されている応動履歴依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする応動履歴依存応動通知処理手段(K5)を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0014】
第八の発明として、
高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する異常情報取得部(A)と、
所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する外的非外的要因判断部(B)と、
異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするための個別処理部(C)と、
異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理である例外処理をする例外処理部(D)と、
外的広域的要因が終息したか判断する外的広域的要因終息判断部(L)と、
を有する高圧受変電設備異常時対応システムを提供する。
【0015】
さらに、第一の発明から第八の発明の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法と、計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させるためのプログラムも提供する。また、プログラムは記録媒体に記録されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成を有する本発明の高圧受変電設備異常時対応システムによって、異常情報が発信された当該高圧受変電設備固有の異常であるか否か、即ち、複数の異なる事業場にまたがって複数の高圧受変電設備に共通する要因である外的広域的要因による異常であるか否かに応じて対応のための処理を適切に選択するようにできる。すなわち、応動者の無駄な派遣をしなくて済む高圧受変電設備異常時対応システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の実施形態にかかる発明のハードウェア構成概略図
【
図3】本発明の実施形態1にかかる発明の機能ブロック図
【
図4】本発明の実施形態1にかかる発明の画面表示例:異常情報取得
【
図5】本発明の実施形態1にかかる発明の動作フローチャート図
【
図6】本発明の実施形態1にかかる発明のハードウェア図
【
図7】本発明の実施形態2にかかる発明の機能ブロック図
【
図8】本発明の実施形態1にかかる発明の画面表示例:応動候補者
【
図9】本発明の実施形態1にかかる発明の画面表示例:経路誘導
【
図10】本発明の実施形態2にかかる発明の動作フローチャート図
【
図11】本発明の実施形態2にかかる発明のハードウェア図
【
図12】本発明の実施形態3にかかる発明の機能ブロック図
【
図13】本発明の実施形態3にかかる発明の動作フローチャート図
【
図14】本発明の実施形態3にかかる発明のハードウェア図
【
図15】本発明の実施形態4にかかる発明の機能ブロック図
【
図16】本発明の実施形態4にかかる発明の動作フローチャート図
【
図17】本発明の実施形態4にかかる発明のハードウェア図
【
図18】本発明の実施形態5にかかる発明の機能ブロック図
【
図19】本発明の実施形態5にかかる発明の技術者の携帯端末画面例:スケジュール入力
【
図20】本発明の実施形態5にかかる発明の動作フローチャート図
【
図21】本発明の実施形態5にかかる発明のハードウェア図
【
図22】本発明の実施形態6にかかる発明の機能ブロック図
【
図23】本発明の実施形態6にかかる発明の動作フローチャート図
【
図24】本発明の実施形態6にかかる発明のハードウェア図
【
図25】本発明の実施形態7にかかる発明の機能ブロック図
【
図26】本発明の実施形態7にかかる発明の画面麗:技術者応動履歴
【
図27】本発明の実施形態7にかかる発明の動作フローチャート図
【
図28】本発明の実施形態7にかかる発明のハードウェア図
【
図29】本発明の実施形態8にかかる発明の機能ブロック図
【
図30】本発明の実施形態8にかかる発明の画面表示例:外的広域的要因による複数異常情報
【
図31】本発明の実施形態8にかかる発明の画面表示例:外的広域的要因の解消後異常情報
【
図32】本発明の実施形態8にかかる発明の動作フローチャート図
【
図33】本発明の実施形態8にかかる発明のハードウェア図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<全実施形態の説明の前提>
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本件発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、少なくとも一部はソフトウェアによって実現され、ハードウェアによっても実現され、ソフトウェアとハードウェアの協働によっても実現される。この場合に、ソフトウェアはハードウェア資源を利用して各種演算を行い求められるデータや情報を通じて諸機能を実現する。ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていると言える。
【0019】
本件発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウェアでは、計算機の基本的構成であるCPU、メモリ、バス、入出力装置、各種周辺機器、ユーザーインターフェイスなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置、インターネット等インターフェイス、インターネット等機器、LAN機器、Wifi(登録商標)機器、ディスプレイ、ディスプレイインターフェイス、キーボード、マウス、スピーカ、マイク、カメラ、ビデオ、テレビ、CD装置、DVD装置、ブルーレイ装置、USBメモリ、USBメモリインターフェイス、着脱可能タイプのハードディスク、一般的なハードディスク、プロジェクタ装置、SSD、電話、ファックス、コピー機、印刷装置、ムービー編集装置、各種センサ装置などが含まれうる。
【0020】
また、本システムは、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LANであってもWAN、Wifi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、超音波通信、携帯電話網であってもよく、さらに、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。
【0021】
<全実施形態における本願発明の自然法則の利用性の充足>
【0022】
本発明は、計算機とソフトウェアとの協働で機能するものである。本発明ではインターネット回線又は専用回線を介して、高圧受変電設備からの異常情報を取得し、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が共通の外的要因によって発信されたものか判断し、非外的広域的要因と判断された場合には個別処理を行い、外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には例外処理を行う。前記各種情報をデータとしてやり取りしたり、計算機上で検索したりといったICTならではの処理が含まれているのでいわゆるビジネスモデル特許として成立するものである。この観点からも本願発明は計算機などのリソースを請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は自然法則を利用したものであることとなる。
【0023】
<特許法で求められる自然法則の利用の意義についての出願人の理解>
【0024】
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する利用者に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を利用者がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、高圧受変電設備の施主者や、高圧受変電設備の異常に対応するための技術者や、本システムの管理運営に携わる者などが本高圧受変電設備異常時対応システムによって得る効果が心理的な効果(安心できる等)であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の有無を判断するための対象外の事象である。
【0025】
<ハードウェア構成>
【0026】
図1に本装置の全体構成の概略を示す。インターネット回線(0150)(他の商用回線や専用回線でもよい)を介して本システムのプログラムが動作するサーバ装置(0151)と本システムの管理運営者PC(0152)、高圧電力を受電する需要家Aが受電するときに使用する高圧受変電設備A(0154A)とその監視装置である高圧受変電設備監視装置A(0153A)(監視装置は高圧受変電設備と一体に構成されていてもよい)と需要家Aが利用するPC(0155A)、需要家Bが高圧電力を受変電する際に使用する高圧受変電設備B(0154B)とその監視装置である高圧受変電設備監視装置B(0153B)と需要家Bが利用するPC(0155B)、技術者Aの携帯端末(例:タブレットPC)(0156A)と技術者Bのスマートフォン(0157B)のスマートフォンが有線または無線(Wifi(登録商標)や携帯電話回線網など)で接続されている(スマートフォンではなくタブレットやノートPCなどでもよい)。
図1ではサーバ装置(0151)は1台のみ図示されているが、複数台から構成されていてもよい。
図1の例では、例えば異常情報取得部(A)と外的非外的要因判断部(B)をサーバ装置(0151)に構成し、別のサーバ装置Aに他を構成するといったことができる。図示していないが、ほかに本発明の高圧受変電設備異常時対応システムに接続する技術者や需要家と連絡を取ったり、高圧受変電設備監視装置との通信をやり取りしたりするために、高圧受変電設備を監視し異常時に対応するための監視センターを設け、前記監視センターや監視センターにて実際に連絡や通信を行うオペレーターが使用する情報端末(PCなど)も接続されることができる。
【0027】
図2は本実施形態1における高圧受変電設備異常時対応システムを構成するハードウェア構成の一例を示す図である。PCに準じた構成とした場合を例として、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図2を用いて説明する。なお、本システムにサーバを用いる場合には、高圧受変電設備異常時対応システムのサーバもPCに準じた構成としてもよく、以降のハードウェア構成の説明と同様であるため、説明を省略する。
【0028】
この図にあるように、計算機は、マザーボード上に構成されるチップセット、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、各種バス、BIOS(またはUEFI)、USBやLANなどの各種周辺機器や通信回線接続用インターフェイス、リアルタイムクロック等や、グラフィックカードなどの拡張カードからなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ(USBなどの各種インターフェイス、カメラ、マイク、スピーカ又はヘッドホン、ディスプレイなどの各種機器組込み用)、各種プログラムなどと協働して動作する。USB端子(またはPS/2ポート)経由で接続されるキーボードやマウスなどの入力信号も用いて、本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。LAN端子などを通じてインターネット回線へ接続される。インターネット回線への接続にWiFi(登録商標)を使用して接続したり、携帯電話回線網を介して接続したりしてもよい。
【0029】
以下ハードウェアとしてコンピュータを構成する主な部品について、例として説明する。なおこれらの例に本発明は限定されない。
≪チップセット≫
【0030】
「チップセット」は、計算機のマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、マザーボードに搭載された不揮発性メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまりブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。古くは、CPUと接続しメインメモリやグラフィックス処理用のチップ(GPU)を搭載したグラフィックスカードとの間のように高速性を求められる処理を行うノースブリッジと、ノースブリッジと接続し比較的低速なインターフェイスとの間の処理をするサウスブリッジの2チップ構成であった。近年は、CPUにノースブリッジ機能が統合され、以前のサウスブリッジのみとなったが、引き続きチップセットとも呼ばれる。本明細書ではCPUにノースブリッジの機能が内蔵されたサウスブリッジのみの1チップ構成で説明する。なお前記のようにノースブリッジとサウスブリッジの2チップ構成の場合でも、サウスブリッジの機能をもCPUに統合したチップセットなしの場合でも、本発明の効果は変わらない。
【0031】
(サウスブリッジ)
チップセットが1構成チップ時のサウスブリッジは、PCI Expressインターフェイス(スロット)、SATA(Serial ATA)またはeSATAインターフェイス、USBインターフェイス、LAN(Ethernet)インターフェイス、リアルタイムクロックなどとのI/O機能やサウンド機能を担う。1チップ構成時のチップセットは、ディスプレイや、USB/LAN端子などの外部接続や、HDDやSSDとの接続用のSATAなどや、PCI Expressなどのインターフェイスを制御する処理を行うチップであり、CPUとはポイント・ツー・ポイントのハードウェアインターフェイス(例えばDMI:Direct Media Interface)で接続される。チップによっては、不揮発性メモリ(HDDなど)のRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks:複数のHDDなどをひとつのドライブのように認識・表示させる技術)をサポートする。
また近年使われることが少なくなった、高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート、フロッピーディスクドライブ、RS-232Cなどのシリアルポート、プリンタ向けのIEEE1284などのパラレルポート、ISAバスなどをサポートする場合には、サウスブリッジにLow Pin Countバスで接続するスーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIが使われる。
【0032】
≪バス≫
バスにはパラレルバスとシリアルバスとがある。パラレルバスは、ビット数分の信号線を用意して、クロックに同期させて伝送する。クロック信号の専用線をデータ線と平行して設け、受信側でのデータ復調の同期を行う。シリアルバスは、1ビットずつデータを転送する。
マザーボード上の周辺機器や各種制御部と、CPU(MPU)と、を繋ぐためにバスが用いられる。CPU内部でCPUコアとキャッシュメモリなどを接続する内部バスに対し、CPUとCPU外のメモリ等を接続するためのバスは外部バスと呼ばれる。CPUに内蔵されたメモリコントローラとメインメモリとの間をつなぐ外部バスは、例えばDDR4-SDRAM(Double-Data-Rate4 Synchronous Dynamic Random Access Memory)を使用するDDR4規格対応の場合は64bit幅のパラレルバスである。DDR4規格の一例としてDDR4-3200メモリ規格対応であれば、メモリ最大動作周波数3200MHz×バス幅64(bit)÷8(bit→Byte変換)=25.6(GB/s)の帯域幅となる。CPUとサウスブリッジ間の接続には上記のようにDMI(Direct Media Interface)などのポイント・ツー・ポイント接続が使われる。
PCI ExpressやSATA等の外部接続用の拡張バスはチップセットによって連結される。パラレルバスとしては、GPIB、IDE/(パラレル)ATA、SCSI、PCIなどがある。
シリアルバスは、1ビットずつデータを転送する。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI Expressでは、ポイント・ツー・ポイント配線とシリアル転送方式を採用している。USBや、SATAもデータ転送はシリアルである。
【0033】
≪CPU≫
【0034】
CPUはメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部にレジスタ、キャッシュメモリ(1次、2次、3次)や、キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス、メモリコントローラ、タイマー、サウスブリッジとの接続バスとのインターフェイスなどが含まれる。CPUにグラフィック機能(GPU)を統合している場合は、グラフィックスインターフェイスやCPUコアと接続する内部バスなども含まれる。GPUを内蔵したCPUで外付けグラフィックスボードを使用する場合は、CPUに内蔵されたグラフィックインターフェイス(PCI Expressなど)に接続される。
なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。実施形態での説明は2コアタイプのものであるが、これに限定されない。またCPUチップを複数備える構成であってもよい。CPU内にプログラムを内蔵することもできる。
【0035】
≪不揮発性メモリ≫
【0036】
(HDD)
【0037】
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェイスは、SATA(過去ではATA)やSAS(Serial Attached SCSI、過去ではSCSI)などを採用することができる。HDDのインターフェイスは大きくは前記のATA系とSCSI系に二分される。ATA系は物理的に接続された相手に一方的にデータを送る方式であり、マザーボード上のBIOS(またはUEFI)に依存するために、CPUの処理時間を常に要求する。SCSI系は接続された相手の状態を確認しながら正確にデータを送る方式であり、HDD内に制御用システムを備えるため、CPUの負荷を抑えられる。ATA系は廉価で大容量であるが、SCSI系はサーバ向けのシステムから発展し、高速性や拡張性の高さで優れ、SCSIコマンドをマルチスレッドで処理できるため、高負荷環境下でも高い信頼度をもつ。
HDDは容量単価に優れるが、上記のように可動部を含むためアクセスに時間を要することや機械的故障の懸念があることから、高い信頼性を要求されるサーバ装置向けなどでRAIDを使い、複数台のHDDに同時に分散して読み書きしたり、複数のHDDに同じファイルを書き込んだりといった構成をとることができる。
【0038】
(フラッシュメモリ)
現在、NAND型フラッシュメモリとNOR型フラッシュメモリの2種が一般に使われている。読み出し書き出し速度は一長一短あるが、NAND型の方が高集積化には有利であり、データストレージ用途に使われる。ハードディスクドライブと比較し、可動部がないため小型で、稼動時の振動や音が発生しない。但し容量単価はハードディスクドライブを置き換えるようなところまで下がってはいない。ハードディスクドライブよりも高価だが、装置が小型化でき、衝撃などにも強くなるという利点がある。スマートフォンや携帯情報端末では、搭載されるデータストレージ目的の記憶容量は通常64GB~256GB程度であるため、小型軽量化目的もあってフラッシュメモリが使われる。PCなどではOSやアプリケーションソフトを記憶するアクセス頻度の高いドライブにはフラッシュメモリからなるソリッドステートドライブ(SSD)が使用されるようになりつつある。
【0039】
≪メインメモリ≫
【0040】
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順に従ってCPUがプログラムを実行する。
【0041】
≪オペレーティングシステム(OS)≫
【0042】
オペレーティングシステムは計算機上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウェアである計算機自身を管理するために用いられる。小型の計算機ではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
【0043】
≪UEFI≫
【0044】
以前使用されていたBIOSを発展させた後継として同様の役割をするUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)が近年使われている。UEFIもBIOSと同様フラッシュROMに格納された状態でマザーボード上に搭載される。UEFIを収めたフラッシュROMチップは、計算機のハードウェアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的には計算機の起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウェアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたUEFIによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、UEFIは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにUEFIを構成してもよい。
【0045】
図に示すように、本発明は基本的に汎用計算機プログラム、各種デバイスで構成することが可能である。計算機の動作は基本的に不揮発性メモリに記録されているプログラムをメインメモリにロードして、メインメモリとCPUと各種デバイスとで処理を実行していく形態をとる。デバイスとの通信はバス線と繋がったインターフェイスを介して行われる。インターフェイスには、ディスプレイインターフェイス、USB、LAN端子、PCI Expressインターフェイス、通信バッファ等が考えられる。
【0046】
さらに、本願発明の高圧受変電設備を構成するハードウェアとして、電力需給用計器用変成器、断路器、高圧遮断器、変成器、計器用変流器、計器用変圧器、変流器、高圧負荷開閉器、高圧カットアウト、変圧器、リアクトル、コンデンサ、配線用遮断器、電流計、電圧計、変圧器などの油量計、フーリエ変換装置(コンピュータ)、避雷器、避雷針、進相用コンデンサ、直列リアクトル、カメラ(静止画像を取得するもの、動画像を取得するもの、両者を取得するもの、赤外線カメラ、サーモグラフィカメラのいずれであってもよい。)、マイク(集音器、集音帯域が広いもの、例えば超音波領域まで集音可能なもの、微小な音を集音できるもの、例えば錆の剥がれ落ちる音を集音できるようなもののいずれであってもよい。)、温度センサ(赤外線センサ、赤外線カメラ、熱電モジュール、その他温度をセンシングする各種検知器、部品である場合も含む)、臭気計(ガス検知器である場合もある。)、振動計(超音波振動を与えて自身で振動を検知する計器も含む)、打腱器、粉塵センサ、接地装置、原動機、始動装置、発電機、励磁装置、電話、赤外線カメラ、整流器、中性点抵抗器、光センサ、電流測定用クランプメーター、フーリエ変換器、ネットワークインターフェイス、通信設備、スマートフォン、PC、タブレット端末、等を挙げることができる。これらは、本願明細書の技術的効果を発揮させるために適宜組み合わせて利用される。
【0047】
以下に記載する高圧受変電設備異常時対応システムを構成する各機能ブロックは、いずれもハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアのいずれによっても実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、GPU、画像メモリ、グラフィックボード、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶媒体とそれらの媒体の読取ドライブなど)、情報入力に利用される操作ボタン等の入力デバイス、マウス、タッチパネル、専らタッチパネルをタッチする目的で利用する電子ペン、ジョイスティック又はジョイスティック類似のポインタ位置入力装置その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェイス、LAN端子などの通信用インターフェイス、GPS受信インターフェイス、GPS用演算装置、ジャイロセンサ、加速度センサ、回転検知センサ、これらセンサの信号の処理装置、カメラ、画像ファイル処理回路、スピーカ、マイク、音声ファイル処理回路、通信用インターフェイス、バーコードリーダー、電子カードリーダー、POS端末、顔認証装置、暗号化装置、指紋認証装置、掌紋認証装置、網膜認証装置などの生体認証装置や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。特にスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、スマートウォッチ、パーソナルコンピュータ、データセンターのサーバ装置、有線・無線ネットワーク及びインターフェイスなどを利用する。
【0048】
メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェイスなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、二以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0049】
また、本発明は、その一部をソフトウェアとして構成することも可能である。さらに、そのようなソフトウェアが記録された記憶媒体も当然に本発明の技術的な範囲に含まれる(本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。)。
【0050】
<本願発明において使う用語について>
【0051】
「識別情報」とは、何らかを識別するために用いられる記号、文字、符号などである。ただし、識別情報そのものが識別される情報そのものである場合があってもよい。例えば、例えば、文字列記録Aを識別する情報である識別情報が、文字列記録A自身である場合があってよい。従って高圧受変電設備識別情報の意味は単なる記号、文字、符号である場合とその記号、文字、符号などで識別される高圧受変電設備の型名や設置されている建物や施設の住所又は名称などである場合が同時に成立してもよい。
【0052】
「関連付け」とは、二以上の情報が直接的に関連付けられている場合の他、二以上の情報が他の一以上の情報を介して間接的に関連付けられている場合も含む意味で本願明細書においては用いられる。間接的な関連付けは、必ずしも一の装置(筐体が一の筐体である装置)内での関連付けに限定されず、複数の装置にわたって関連付けられている場合も含まれる。
【0053】
「技術者」とは、高圧受変電設備の保安点検を担当する電気主任技術者であり、または電気主任技術者を雇用する法人も含む。さらに高圧受変電設備の異常に対応するために工事が必要な場合には、高圧受変電設備の修理、改修などの工事を担当する電気工事士、または電気工事士を雇用する法人を含めることもできる。
【0054】
「応動」とは、異常情報を発した高圧受変電設備の異常に対応するため派遣すべく技術者に対して発せられる応動通知に「応」じて技術者が出「動」することをいう。
【0055】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0056】
<実施形態1 概要>主に請求項1、9、17
実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システムは、高圧受変電設備から発信された異常情報を取得し、所定時間内に複数の高圧受変電設備から異常情報が取得され、前記異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には例外処理を行うように構成される。
【0057】
<実施形態1 機能的構成>
図3に実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システム(0300)は、異常情報取得部(A)(0301)と、外的非外的要因判断部(B)(0302)と、個別処理部(C)(0303)と、例外処理部(D)(0304)と、を有する。
【0058】
なお、上記機能ブロックは本発明を実施するための一例であって、本発明が克服すべき課題及びその効果と矛盾しない範囲において適宜その機能を省略したり、新たな機能を付加したりしてよい。以下の実施形態1以降の説明でも同様である。
【0059】
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 異常情報取得部(A)(0301)>
「異常情報取得部(A)」(0301)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得するように構成される。異常発生から異常情報の出力までは遅滞なく、1秒遅くとも数秒以内に出力されるように構成されることが望ましい。
【0060】
「高圧受変電設備」とは、ビル等が送電線から受電して建物内へ給電するために、6600Vから100又は200Vへの降圧と配電を行うための高圧受変電設備である。引込施設・設備を含む受変電設備・蓄電設備・発電設備・配電設備・負荷設備のいずれか一以上から構成される受変電設備であり、キュービクル式と開放型がある。高圧受変電設備は上記のような各設備を含み、各設備はさらに機器を含む。機器の例としては、区分開閉器、引込線及び支持物、ケーブル、断路器、遮断機/高圧負荷開閉器、電力用ヒューズ、計器用変性器、変圧器、避雷器、進相用コンデンサ/直列リアクトル、受配電盤/制御回路、設置線、配電線及び配電用遮断器/漏電遮断器/ナイフスイッチ、分電盤、非常用発電機、蓄電池、受電室建物又はキュービクル式受変電設備の金属製外箱などである。
【0061】
「監視装置」は高圧受変電設備の状態を監視するために、後付けで高圧受変電設備に設置されたり、高圧受変電設備と一体として製造時に組み込まれたりした物である。本明細書中では、高圧受変電設備単体だけではなく、後付けで高圧受変電設備に設置された高圧受変電設備の状態を監視する監視装置をも含めて高圧受変電設備と呼称する。監視装置は高圧受変電設備の停電や漏電や温度異常などを監視する。トランス(変圧器)は電気の使いすぎやトランスオイル(絶縁油)の劣化などで温度異常を起こす場合があり、異常が頻発すると高圧受変電設備全体の故障や事故につながるためである。これらの異常に限定せずに以下のような監視を行うように構成するとよい。
【0062】
<実施形態1 監視装置:監視の目的>
高圧受変電設備が高圧電力を受電し低圧電力に変電して給配電するという動作を正常に行えていることは、所定の電圧で、所定の電流容量で、所定の波形(波形のひずみや周波数のみだれがない)の電力が途切れずに供給されることである。監視装置はこの高圧受変電設備の正常な動作を保証するために、いろいろな現象を監視する。直接的には出口側に当たる低圧電力の電圧値、電流値、電圧波形の監視だが、これらを出口側で監視するだけでは異常が発生したことを察知できるのみで、異常の前兆を察知しにくい。そのため、高圧受変電設備内でも監視を行う。
【0063】
<実施形態1 監視装置:構成>
監視装置は、高圧受変電装置の監視を行うため以下の各部を有するように構成することが好ましい。各種検知部と、取得した各種情報を出力する出力部とからなる各種センサユニット(各種センサユニットの内訳は後で説明する)と、各種センサから取得した各種情報から監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを判断する異常判断部と、監視対象の高圧受変電設備を識別する高圧受変電設備識別情報を保持する高圧受変電設備識別情報保持部と、判断結果を出力する判断結果出力部と、停電時に監視装置を稼働させ続けるための電源(例:蓄電池、発電機)を有する非常用電源部とを監視装置は備える。異常判断部が各種センサユニットから取得した各種情報に基づいて異常であると判断した場合は、判断結果出力部は高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を出力する(例:携帯電話網経由インターネット回線への出力)。正常であると判断した場合は正常情報を出力する。異常情報と正常情報は状態を示す状態識別情報を、異常と正常で異なる識別情報として各々の情報に含めて出力するように構成するとよい。
【0064】
<実施形態1 監視装置:構成:各種センサユニット>
高圧受変電設備内の各種センサユニットは、「音」、「温度」、「湿度」、「臭気」、「画像(静止画又は/及び動画)」、「振動」、「粉塵」、「電気関連」を監視する。その他、必要に応じ、「動体感知」、「漏水検知」、「煙検知」(粉塵監視で代用してもよい)などを追加することができる。
【0065】
<実施形態1 監視装置:構成:音センサユニット>
音センサユニットは、音を検出する一以上の集音マイクを有する音検出部と、集音した音の情報である音情報を出力する音情報出力部から構成される。
【0066】
<実施形態1 監視装置:構成:音センサユニット:音検出部>
「音」の監視のために、音検出部として集音マイクを設置する。可聴領域だけではなく超音波も含めるとよい。ステレオマイクを配置するか、複数配置した識別可能な集音マイクから集音した結果(音と、マイクの設置位置)から、音の発生個所のおおよその場所を絞り込むことができる(ステレオマイクも複数設置してもよい)。複数のマイクの位置から音の発生位置を特定するのではなく、例えば一つの機器に集音マイク一つを割り当てて配置したり、または集音マイク一つで高圧受変電設備を構成する一部の複数の機器を担当させたり、または一つの機器に対し複数のマイクを配置したりするように構成してもよい。複数の集音マイクを配置する場合には、集音マイクを識別する集音マイク識別情報を付け、集音マイクの配置場所と関連付けて保持しておき、集音マイク識別情報と集音した音とを関連付けた情報である音情報とするように構成するとよい。
【0067】
集音マイクは機器の邪魔にならないのであれば、できるだけ高圧受変電設備を構成する設備や機器の内部に設置した方がよい。例えばキュービクル式では金属製外箱内に機器が収納されるため、外側に設置してしまうと金属製外箱の金属板が機器と集音マイクの間に位置してしまい、集音の効率が落ちるからである。集音自体は24時間連続して行う。集音した音声データの保持に関しては、連続して集音し所定の時間分の音を保持し、異常発生なければ古い順に順次消去して新しい音を保持するように構成してもよい。正常状態の音と比較し異常音を検知したら異常音の直前からの音声を保持するように構成してもよい。
【0068】
<実施形態1 監視装置:構成:音センサユニット:音情報出力部>
音検出部が集音した音の情報である音情報を音情報出力部が出力する。出力された音情報は監視装置の異常判断部にて取得され、取得した音情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。音情報としてはその音情報を特定するために、音情報を生成した日時を示す情報、集音した集音マイクを識別する集音マイク識別情報と関連付けて出力する。
【0069】
集音された音は、バンドパスフィルターを通して不要な周波数帯を除去して、必要な周波数帯のみによって音情報を生成することが可能である。複数のバンドパスフィルターを用いて、様々な周波数帯のみの音情報を生成することで、微細な異常音も際立つように情報処理をすることが可能となる。このように構成することで、具体的な異常の態様と特定の周波数の異常音とが対となって履歴を保存することが可能となる。そのため、具体的な異常の態様と異常音との関連性を獲得することが可能となるので、どの周波数帯にどの程度の異常音が確認されたらどういった態様の異常であるかを予測しやすくなり、異常検知の精度を高めることが可能となる。また、音情報は、音声をフーリエ展開した結果を出力するように構成してもよい。フーリエ展開することで一つの集音マイクから集音された複数の音源を識別可能となり、高圧受変電設備内のどの装置や部品に異常が発生したか識別することが容易となる。この展開は異常判断部で行うように構成してもよい。
【0070】
装置稼働中の振動音などは、装置の経年変化、環境の変化により、初期のころから周波数が変化する可能性があるため、所定の周波数の閾値を異常判断の一つとして保持し、周波数がその閾値をまたいだ時点で、他のセンサユニットからの情報と組み合わせて異常と判断するように構成することができる。周波数の変動は、絶縁物の劣化、固定のゆるみ、塵埃の堆積、摩耗などによって生じる。
【0071】
<実施形態1 監視装置:構成:温度センサユニット>
温度センサユニットは、温度を測定する一以上の温度センサを有する温度測定部と、測定した温度の情報である温度情報を出力する温度情報出力部とから構成される。
【0072】
<実施形態1 監視装置:構成:温度センサユニット:温度測定部>
「温度」の監視のために、受変電設備(区分開閉器、断路器、電力用ヒューズ、遮断器、高圧負荷開閉器、母線、計器用変成器、変圧器、進相用コンデンサ、直列リアクトル、受・配電盤、制御回路など)、配電設備(配電線、配線用遮断器、漏電遮断器、ナイフスイッチなど)、備えている場合には発電機や蓄電池などに、温度センサを接触させたり近傍に複数配置したりする。そして各部の過熱有無の把握や、温度計測を行う。一の高圧受変電設備に対し複数の温度センサを配置する場合には、温度センサを識別する温度センサ識別情報を付け、設置場所の情報と関連付けて保持するように構成するとよい。温度監視は後記する画像監視も兼ねてサーモグラフィを取得して行うように構成してもよい。高圧受変電設備の温度監視は、トランス(変圧器)の異常監視などのためである。トランス(変圧器)は電気の使いすぎやトランスオイル(絶縁油)の劣化などで温度異常を起こす場合があり、異常が頻発すると高圧受変電設備全体の故障や事故につながる。
【0073】
高圧受変電設備内部の回路が過電流により温度上昇している場合に、前記設備の外部にまで異常が確認できるような状態になるには一定程度の異常の規模の拡大が必要となるため、前記設備の内部に配置した方が温度計測の確度が高まる。温度計測は具体的な高圧受変電設備内温度を測定する方法でもよいが、特定部位の上昇値・下降値のみを取得するように構成してもよい。また、あわせて上昇・下降の変化の加速度を測定しておき、急激な変化であるのか、経時的な変化であるのかの判断が可能なように構成しておくこととしても良い。例えば、一般的には朝の6時頃から15時にかけて外気は徐々に上昇し、18時頃から徐々に気温が低下していくため、異常がなくても外気の温度変化に応じて高圧受変電設備内の各種設備や機器の温度も変化する。したがって、温度変化の加速度を合わせて観察することによって、異常な上昇であるか通常の範囲の上昇であるかを判断することが可能となる。
【0074】
<実施形態1 監視装置:構成:温度センサユニット:温度情報出力部>
温度センサが測定した温度は、その温度センサを識別する温度センサ識別情報(温度センサ配置位置と関連付けられている)と関連付けた温度情報として、異常判断部に渡すように構成することが好ましい。温度情報を出力する際には、その温度情報を特定するために、温度情報を取得した日時を示す情報、温度を検知した温度センサの温度センサ識別情報と関連付けて出力する。出力された温度情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した温度情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。温度情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった温度情報を出力するように構成することも許容される。
【0075】
<実施形態1 監視装置:構成:湿度センサユニット>
湿度センサユニットは、湿度を測定する湿度センサを有する湿度測定部と、湿度の情報である湿度情報を出力する湿度情報出力部とから構成される。
【0076】
<実施形態1 監視装置:構成:湿度センサユニット:湿度測定部>
「湿度」の監視のために、湿度センサを設ける。板金等で囲われた区域についてはその内部の湿度が外部と異なる可能性があるため内外に湿度センサを備えた方がよい。しかし高圧受変電設備が開放型、又は一つの筐体や1つの室内に設置されている場合は湿度センサを1つとしてもよい。複数の湿度センサを配置する場合は、配置場所と関連付けて、湿度センサを識別する情報である湿度センサ識別情報を保持するように構成するとよい。
【0077】
<実施形態1 監視装置:構成:湿度センサユニット:湿度情報出力部>
湿度センサが測定した湿度は、その湿度センサを識別する湿度センサ識別情報(湿度センサ配置位置と関連付けられている)と関連付けた湿度情報として、異常判断部に渡すように構成することが好ましい。湿度情報を出力する際には、その湿度情報を特定するために、湿度情報を取得した日時を示す情報、湿度を検知した湿度センサの湿度センサ識別情報と関連付けて出力する。出力された湿度情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した湿度情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。湿度情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった湿度情報を出力するように構成することも許容される。
【0078】
<実施形態1 監視装置:構成:臭気センサユニット>
臭気センサユニットは、臭気を検出する臭気センサを有する臭気検出部と、臭気の情報である臭気情報を出力する臭気情報出力部とから構成される。
【0079】
<実施形態1 監視装置:構成:臭気センサユニット:臭気検出部>
臭気検出部は、臭気を検出する臭気センサを高圧受変電設備内に有するように構成される。複数の臭気センサを配置し、臭気センサを識別する情報である臭気センサ識別情報と、その配置位置とを関連付けて保持するように構成するとよい。臭気センサは、通常の高圧受変電設備の保安点検時に異臭点検を行う対象である設備や機器である、断路器、遮断器、高圧負荷開閉器、母線、変圧器、進相用コンデンサ、直列リアクトル、配電線、配線用遮断器、漏電遮断器、ナイフスイッチ、接地装置、低圧機器等の設備や機器から発生する臭気を検出することが目的である。
【0080】
臭気センサはこれらの設備や機器に接触するあるいは近接する位置に配置してもよいし、一定間隔や筐体又は高圧受変電設備が設置された部屋の四隅に配置する等対象を特定せずに広域的に臭気検出するように配置してもよい。機器の働きを阻害しないのであれば、高圧受変電設備を構成する設備や機器の内部に配置するようにしてもよい、設備内の回路の過電流による燃焼の場合には、設備の外に漏れ出るまでにある程度の時間と規模の拡大が必要になることから、設備の内部に配置した方が臭気検出の確度が高まる。また、前兆としての臭気発生予定部位には臭気を強くするために臭気の原因となっている熱で臭気を発生させる素材を配置、塗布等することとしても良い。例えば熱で蒸散する有機物などである。さらに熱で蒸散する有機物をその揮発温度別に複数種類配置して揮発している有機ガスの種別にてその臭気発生元の状態を知るように構成することも可能である。
【0081】
検出した臭気の測定値は、臭気センサを複数配置した場合には測定値は臭気センサを識別する臭気センサ識別情報と関連付けて、臭気情報出力部に送信されるように構成することが好ましい。臭気検出部による臭気の検出は、24時間継続して行われる。例えば、異臭が発生していない場合には臭気情報をデータ保存はせずに単にリアルタイムチェックをするだけとし、異臭が検出されると保存を開始するように構成することが考えられる。
【0082】
<実施形態1 監視装置:構成:臭気センサユニット:臭気情報出力部>
臭気情報出力部は、検出された臭気の情報である臭気情報を出力するように構成される。臭気を検出した臭気センサを識別する臭気センサ識別情報(臭気センサ配置位置と関連付けられている)と関連付けた臭気情報として、異常判断部に渡すように構成することが好ましい。臭気情報を出力する際には、その臭気情報を特定するために、臭気情報を取得した日時を示す情報、臭気を検出した臭気センサの臭気センサ識別情報と関連付けて出力する。例えば、高圧受変電設備内で使用されている物質を燃焼させてその臭気データを事前に集めておき、事前にそれらの臭気データの分布を記録しておくことが考えられる。そして、臭気データの分布の特徴点が一致するか否かを比較することで、異常臭気が発生しているか否かを判断することが可能である。さらに、外部から侵入した物体が燃焼した場合には、事前に記録した臭気データ内にない臭気データの分布が確認できることになるので、通常時の臭気データとも高圧受変電設備内の臭気データとも一致しない臭気データが確認された場合には、外部から侵入し物体が燃焼したことが推測される。
【0083】
出力された臭気情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した臭気情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。臭気情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった臭気情報を出力するように構成することも許容される。
【0084】
<実施形態1 監視装置:構成:画像センサユニット>
画像センサユニットは、高圧受変電設備の画像を取得する画像センサを有する画像取得部と、取得した画像の情報である画像情報を出力する画像情報出力部とから構成される。特に、変形、亀裂、損傷、腐食、発錆、汚損、油量、液量、変色、発煙、発火等の目視によって確認できる項目が監視項目となる。このほかに赤外線センサを有するサーモグラフィを含めて、温度情報を画像情報から取得するように構成してもよい。
【0085】
<実施形態1 監視装置:構成:画像センサユニット:画像取得部>
画像取得部は、高圧受変電設備の画像を取得する画像センサを有するように構成される。高圧受変電設備の内部に配置された設備や機器(区分開閉器、断路器、電力用ヒューズ、遮断器、高圧負荷開閉器、母線、計器用変成器、変圧器、進相用コンデンサ、直列リアクトル、受・配電盤、制御回路、接地線、保護管等、受電室建物、キュービクル式受変電設備の場合は金属製外箱、配電線、配線用遮断器、漏電遮断器、ナイフスイッチ、分電盤、常用/非常用発電設備を備えている場合は原動機、始動装置、付属装置、発電機、励磁装置、接地装置、蓄電池本体、付属装置等)の画像を取得する。高圧受変電設備内部の設備や機器の画像だけではなく、さらに高圧受変電設備の外側や周辺の画像をも取得するように構成してもよい。
【0086】
画像センサとしては、撮像機能を有する機器、例えばカメラ、ビデオカメラ、赤外線カメラ、サーモカメラ、内視鏡(例えばパイプ内の観察、装置内部観察、隙間の観察用)、高速カメラなどを用いる。これらは、上記具体例に示す各設備や機器に接触する、あるいは近接する位置に、各設備や機器を専門に監視対象とするように複数台配置するように構成してもよいし、一定間隔や部屋のキャビネットの四隅に配置する等、対象を特定せずに広域に内部画像を取得するように配置してもよい。機器の働きを阻害しないのであれば、高圧受変電設備を構成する設備や機器の内部に配置するようにしてもよい。設備内部の異常を直接画像情報として取得できれば、より早期に設備内部の異常を発見することができる。画像センサを複数台設置する場合には、画像センサを識別する画像センサ識別情報と関連付けて画像センサからの画像(動画又は/及び静止画像)を取得する。画像センサ識別情報は、高圧受変電設備内での配置位置に関連付けられていることが好ましい。
【0087】
画像の取得は、24時間継続して行われる。例えば、亀裂や変形などの所見が発生していない場合には画像センサが取得した画像を、画像を取得した日時や、画像センサ識別情報と関連付けた情報である画像情報をデータ保存はせずに単にリアルタイムチェックをするだけとし、亀裂や変形等の所見が検知されると保存を開始するように構成してもよい。また画像はサーモカメラによって取得するように構成してもよく、この場合には動物の侵入なども検知することができる。
【0088】
<実施形態1 監視装置:構成:画像センサユニット:画像情報出力部>
画像情報出力部は、画像の情報である画像情報を出力するように構成される。画像情報は、画像センサが取得した画像を、画像を取得した日時や、画像センサ識別情報と関連付けた情報である。出力された画像情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した画像情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。
【0089】
画像情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった画像情報を出力するように構成することも許容される。画像情報は、正常時の画像情報を保持しておき、その画像と差分が生じた場合にのみ画像情報を出力するように構成してもよい。
【0090】
<実施形態1 監視装置:構成:振動センサユニット>
振動センサユニットは、高圧受変電設備内部の振動を取得する振動取得部と、取得された振動の情報である振動情報を出力する振動情報出力部とから構成される。
【0091】
<実施形態1 監視装置:構成:振動センサユニット:振動取得部>
振動取得部は、高圧受変電設備の内部に配置され振動を取得する。振動を検知する振動センサは、振動や揺れを検知する(例:進相用コンデンサ、直列リアクトル、常用/非常用発電設備をゆする場合は発電機、励磁装置、接地装置等の設備や機器からの振動)。振動センサの種類としては、機械式振動計、電磁式振動計、圧電式振動計、光学式振動計、電磁波式振動計などがある。振動センサを複数台設置する場合には、振動センサを識別する振動センサ識別情報と関連付けて振動センサからの振動情報を取得する。振動センサ識別情報は、高圧受変電設備内での配置位置に関連付けられて保持されることが好ましい。
【0092】
振動取得部は、高圧受変電設備を構成する設備や機器に接触する、あるいは近接する位置に複数台配置するように構成する。機器の働きを阻害しないのであれば、高圧受変電設備を構成する設備や機器の内部に配置するようにしてもよい。モーター音や、固定具外れによる部品の微振動等は、前記設備や機器の内部に配置した方が振動取得の確度が高まる。振動取得部による振動の取得は、24時間継続して行われる。例えば、振動などの所見が発生していない場合には振動情報をデータ保存はせずに単にリアルタイムチェックをするだけとし、振動の所見が検知されると保存を開始するように構成することが考えられる。
【0093】
<実施形態1 監視装置:構成:振動センサユニット:振動情報出力部>
振動情報出力部は、取得した振動情報を出力するように構成される。振動情報は、振動センサが取得した振動を、振動を検知した日時や、振動センサ識別情報と関連付けた情報である。出力された振動情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した振動情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。振動情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった振動情報を出力するように構成することも許容される。
【0094】
キュービクル内の設備に起因して発生する振動と、キュービクルが配置される環境に依存して発生する振動を識別するために、キュービクルの外部にも振動センサを配置してその差分をキュービクル固有の振動であるとするような差分振動計を採用することとしても良い。
【0095】
<実施形態1 監視装置:構成:粉塵センサユニット>
粉塵センサユニットは、高圧受変電設備内の空気中の粉塵量を計測する粉塵量計測部と、計測した粉塵量を示す情報である粉塵量情報を出力する粉塵量情報出力部とから構成される。
【0096】
<実施形態1 監視装置:構成:粉塵センサユニット:粉塵量計測部>
粉塵量計測部は、高圧受変電設備内の空気中の粉塵量を計測するように構成される。粉塵量を計測する粉塵センサは、主に汚損点検や離間距離点検、開閉物の開閉状態、風雨の浸水孔、換気装置の動作状況等の確認に用いられる。
【0097】
粉塵を検出した場合の原因の例として、受電設備の断路器の受けと刃の接触状態が損なわれる可能性や、同じく断路器の場合に汚損の可能性や、計器用変成器の汚損や変圧器の汚損の可能性や、避雷器の汚損の可能性、進相用コンデンサ及び直列リアクトルの汚損の可能性や、受・配電盤制御回路の操作、切換開閉器などの異常の可能性や、接地工事においては接地線、保護管等の汚損の可能性があり、受電室建物やキュービクル式受・変電設備の金属製外箱などの風雨の浸水孔や小動物の侵入孔又は換気口又は換気扇の動作又は施錠及び鍵の破損の可能性や、設備の腐食や損傷や塗料の剥離の可能性などがある。これらを粉塵量計測部により検出することができる。
【0098】
粉塵量計測部は、粉塵センサによって粉塵量を計測する。粉塵センサは、特定の設備を対象としてその近傍に配置することに加え、一定間隔で配置して高圧受変電設備内部全体を観測できるように配置してもよい。機器の働きを阻害しないのであれば、高圧受変電設備を構成する設備や機器の内部に配置するようにしてもよい。モーター音や、固定具外れによる部品の微振動等によって舞う粉塵は、前記設備や機器の内部に配置した方が検知の確度が高まる。粉塵は、外部から高圧受変電設備内に埃、塵、砂、高圧受変電設備内の設備や機器の塗装の剥がれ、錆によって生じるもの、その他の微粉、例えばスギ花粉等が舞い込んできている場合にも検知されるし、すでに高圧受変電設備内に溜まったものが再度舞い上がる場合にも検知される。
【0099】
粉塵センサを複数台設置する場合には、粉塵センサを識別する粉塵センサ識別情報と関連付けて粉塵センサからの粉塵量情報を取得する。粉塵センサ識別情報は、高圧受変電設備内での配置位置に関連付けられ保持されていることが好ましい。なお、高圧受変電設備内の設備に起因して発生する粉塵と、高圧受変電設備が配置される環境に依存して発生する粉塵を識別するために、高圧受変電設備の外部にも粉塵センサを配置してその差分を高圧受変電設備固有の粉塵であるとするような差分粉塵計を採用することとしても良い。
【0100】
粉塵量計測部による粉塵量情報の取得は、24時間継続して行われる。例えば粉塵発生の所見が発生していない場合には粉塵量情報をデータ保存はせずに単にリアルタイムチェックをするだけとし、粉塵侵入・発生・舞い上がり、の所見が検知されると保存を開始するように構成してもよい。
【0101】
<実施形態1 監視装置:構成:粉塵センサユニット:粉塵量情報出力部>
粉塵量情報出力部が、計測した粉塵量の情報である粉塵量情報を出力するように構成される。粉塵量情報は、粉塵センサが取得した粉塵量を、粉塵量を計測した日時や、粉塵センサ識別情報と関連付けた情報である。出力された粉塵量情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した粉塵量情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。粉塵量情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった粉塵量情報を出力するように構成することも許容される。
【0102】
<実施形態1 監視装置:構成:電気関連ユニット>
電気関連ユニットは、高圧受変電設備内の各種電気に関連する値を取得する電気関連計測部と、計測された電気に関連する値を示す情報である電気関連値情報を出力する電気関連値情報出力部とから構成される。電気に関連する値としては、具体的には電流計、電圧計の測定値および、測定値を基に計算によって取得される、電位差、電流差、漏れ電流値、位相差、電圧値、電流値、周波数、絶縁抵抗値、抵抗値、電力値、及びこれらの経時履歴、時間変動等の各種の数値を電気関連値として電気関連計測部は取得する。
【0103】
<実施形態1 監視装置:構成:電気関連ユニット:電気関連計測部>
電気関連計測部は、高圧受変電設備内の各種電気に関連する値を取得するように構成される。具体的に取得する電気関連の値は前記に例示したような値であり、これらの値は特に、地絡、短絡、漏電、過電流等のキュービクル内の電流、電圧、ケーブル、変圧器等に関する監視に用いられる。高圧受変電設備を構成しているあらゆる設備、装置、電線、配線から取得される。機器の働きを阻害しないのであれば、高圧受変電設備を構成する設備や機器の内部に配置するようにしてもよい。前記設備内での電流値、電圧値の異変をより早期に発見することができる。電気関連値計測部を高圧受変電設備に複数台設置する場合には、電気関連値計測部を識別する電気関連値計測部識別情報と関連付けて電気関連値計測部からの電気関連値情報を取得する。電気関連値計測部識別情報は、高圧受変電設備内での配置位置に関連付けられて保持されることが好ましい。
【0104】
電気関連値計測部の具体的な種類としては、電圧計、電流計、マルチ計測器、CT計測器、周波数計測装置、スペクトラムアナライザ、オシロスコープ、抵抗測定器、電磁波測定器、電界測定器、蓄電量測定器、などである。
【0105】
電気関連値計測部による電気関連値の取得は、24時間継続して行われる。例えば、電圧低下や電流値上昇などの所見が発生していない場合には電気関連値をデータ保存はせずに単にリアルタイムチェックをするだけとし、電圧低下や電流値上昇等の所見が検知されると保存を開始するように構成してもよい。停電だけではなく電圧の瞬間的な低下や、電圧や電流の波形の乱れ、又は周波数のずれなども監視の対象であり、正常状態からずれるようであれば、後記する異常判断部によって異常と判断されうる現象である。
【0106】
電気関連値計測部は高圧受変電設備の内部の異常を検知するためだけではなく、高圧受変電設備に対し給電される高圧電力の受電部と、高圧受変電設備内で変圧され需要家が使用する仕様の100Vまたは200Vといった低圧の電力として出力される給配電部についても、電気に関連する値を取得するように構成することが望ましい。出口である給配電部から正常な仕様の低圧電力が出力されているか確認しなければ、高圧受変電設備内部までは正常であっても、出口が断線していたりノイズが乗ったりした場合には正常に出力されないからである。また入口側に当たる受電部の高圧電力が正常に受電できているかを計測していれば、停電が発生した際に高圧電力側に起因する停電か、高圧電力側には異常がなく高圧受変電設備自身に異常が発生したための停電かを容易に判別できる。また出口側の給配電部の低圧電力の周波数や波形に異常があったり、数秒以下の瞬間的な停電や瞬間的な電圧低下やなどが起きたりした時に、受電した高圧電力に異常があったのか、高圧受変電設備に問題があるのかの切り分けも容易になる。例えば給電される高圧電力が停電した場合、後記する監視装置の異常判断部にて、外的広域的要因による停電の可能性ありと判断し、外的広域的要因が原因の可能性のある停電に対応する異常識別情報を含んだ異常情報を監視装置の判断結果出力部から出力する様に構成することができる。給電されるべき高圧電力が停電したという情報を添えた異常情報を発信すれば、本システムの異常情報取得部(A)が取得した異常情報に対して、後記する外的非外的要因判断部(B)が外的広域的要因によって発信されたと判断する材料の一つとすることができる。
【0107】
<実施形態1 監視装置:構成:電気関連ユニット:電気関連情報出力部>
電気関連値情報出力部は、取得した電気関連値を示す情報である電気関連値情報を出力する様に構成される。電気関連値情報は、電気関連値計測部が取得した電気関連値を、電気関連値を計測した日時や、電気関連値計測部識別情報と関連付けた情報である。出力された電気関連値情報は、監視装置の異常判断部にて取得され、取得した電気関連値情報単独叉は他のセンサユニットの出力部から出力された情報と合わせて、監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを異常判断部が判断するために使われる。電気関連値情報の出力は、遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった電気関連値情報を出力するように構成することも許容される。
【0108】
<実施形態1 監視装置:構成:その他センサ>
その他センサとして例えば、漏水センサを設置することができる。特に建物の地下階に高圧受変電設備を設置している事業場や施設では、大雨の際に浸水の可能性があるため、漏水センサを設置することが好ましい。通常、下から上へ水位が上がってくるため、高圧受変電設備を構成する設備や機器の電気回路のうち最も低い物よりもさらに低い位置に漏水センサを配置する。漏水センサは直接雨水や漏れ出た水がかからないように構成する。高さを変えて2以上漏水センサを配置すると、漏水の有無と漏水の進行度を把握することができ好ましい。高圧受変電設備が水を浴びたり、浸水したりすると停電や故障する以外に、前記設備が接している水に触れると感電する恐れがあり危険である。さらに復旧作業時の妨げにもなる。高圧受変電設備に直接水が触れる懸念があるところまで漏水が進行する場合を検知できる場所にも漏水センサを配置し、前記センサが漏水を検知したら、開閉器(区分開閉器を含む)により高圧電力の受電を停止するように構成することが好ましい。
【0109】
その他に検知ユニットとしては、浮遊微粒子カウンター、放射線検知ユニット、紫外線検知ユニット、地面・床・床下電位計測ユニット、気圧計測ユニット、各ユニット稼働監視ユニット、電磁波測定ユニット、照度測定ユニット、圧電アクチュエータユニット( 設備に振動を与え、その反射振動を検知することで設備のゆるみ、がたつき、錆の発生などを検知することできる。反射振動も圧電アクチュエータで取得することができるし、マイクなどを取得するようにしてもよい。)、等を備えるように構成してもよい。これら各ユニットは、検知部と情報出力部をそれぞれ有するように構成する。
【0110】
<実施形態1 監視装置:構成:センサ関連のその他構成例>
各センサが検知する可能性のある異常状態を識別する情報であるセンサ毎異常状態識別情報(想定できない異常はその他異常として識別情報を割り振る)を、各センサを識別する情報であるセンサ識別情報と関連付けて保持するセンサ毎異常状態識別情報保持部と、各センサが監視対象を監視した結果であるセンサ毎監視結果情報をセンサ識別情報と関連付けて取得するセンサ毎監視結果情報取得部と、取得したセンサ毎監視結果情報を保持するセンサ毎監視結果情報保持部と、取得したセンサ毎監視結果情報が正常か異常かを判別するセンサ毎監視結果情報判別部と、センサ毎監視結果情報が異常であると判別された場合には、異常と判別されたセンサのセンサ識別情報とセンサ毎異常状態識別情報とセンサ毎監視結果情報とを関連付けた情報である異常情報を出力する異常情報出力部と、を高圧受変電設備(その監視装置を含む)に有することで達成できる。
【0111】
各センサが監視対象を監視した結果からセンサ自身が正常か異常かを判別するように構成してもよい。その場合は、各センサが監視対象を監視した結果からセンサ自身が正常か異常かを判別した結果であるセンサ毎異常状態識別情報をセンサ識別情報と関連付けて取得するセンサ毎異常状態判別結果取得部を、センサ毎監視結果情報判別部の代わりに設けることで達成できる。また、例えば平時には定期的に起動と停止を繰り返すビデオカメラを、動体センサが動体を検知した場合は臨時に起動させたり、監視センターのオペレーターが遠隔操作にてビデオカメラを起動して高圧受変電設備の外観を確認したりするように構成してもよい。監視センターのオペレーターが遠隔操作にて各センサを臨時に起動させたり、オペレーターが確認しようとした時点の現在の各センサの検知結果や測定器の測定結果を取得したり、過去に検知又は/及び測定された結果を高圧受変電設備又はその監視装置が保持している場合には履歴を取得したりするように構成することもできる。
【0112】
<実施形態1 監視装置:構成:異常判断部>
異常判断部は、前記各種センサユニットから取得した各種情報から監視対象の高圧受変電設備が正常状態か異常状態かを判断するように構成される。各種センサユニットから取得した情報を単独で用いて異常であると判断してもよいし、複数の情報を用いて異常であるか正常であるか判断してもよい。異常判断は遅滞なく異常検知を行うことができるように、24時間リアルタイムに行われるように構成されることが好ましいが、1秒おき、3秒おき、5秒おきのように、異常検知の遅滞として許容できる程度の間隔を置いて、ある程度まとまった各種情報を各種センサユニットから取得するたびに判断を行うように構成してもよい。
【0113】
また異常判断部は、各種センサユニットから出力される各種情報の正常状態である時の情報を参照例として保持するセンサ情報正常状態保持手段を、さらに有するように構成することができる。正常状態を保持し、適時取得する各種情報と比べることによって、異常か正常かを判断することができる。異常判断部が正常であると判断した場合には、判断時に根拠とした保持されている正常状態である時の情報を、正常であると判断した情報に更新するように構成することもできる。高圧受変電設備の経時変化等で、正常状態である時の情報が少しずつ変化していった場合、短期間の経時変化であれば許容範囲のずれであっても、例えば初期と耐用年数間近のような長期隔たった情報の比較では正常と判断されるべきであるにもかかわらず、変化が許容範囲からずれて異常と判断される可能性があるためである。
【0114】
また、時間帯や気象条件や季節などによっても、正常状態が変わる場合(例えば日中と夜間の気温、夏季と冬季の気温)には、それぞれに対応する正常状態である時の情報を保持するように構成することができる。
【0115】
異常判断部は、通常は正常か、それとも自身に異常があるかの判断しかせず、外的広域的要因による異常かは判断しない。しかし前記の振動センサが、高圧受変電設備自身の異常時に発生させると予想される振動よりも十分大きい所定値域以上の振動を検知した場合には、地震、地盤沈下、建物倒壊、土砂崩れ、等の大災害が発生している可能性があることから、外的広域的要因による異常として判断するように構成してもよい。後記する判断結果出力部が異常情報を出力する際に、異常の種別を識別する異常識別情報を含むように構成する場合には、地震等の外的広域的要因による異常という異常識別情報を含めて出力することが好ましい。本システムの異常情報取得部(A)が取得した前記異常情報が、外的広域的要因によって発信されたかを後記する外的非外的要因判断部(B)が判断する材料とすることができる。
【0116】
<実施形態1 監視装置:構成:高圧受変電設備識別情報保持部>
高圧受変電設備識別情報保持部は、監視対象の高圧受変電設備を識別する高圧受変電設備識別情報を保持するように構成される。後記する判断結果出力部が、判断結果を出力する際に含める高圧受変電設備識別情報を保持する。
【0117】
<実施形態1 監視装置:構成:判断結果出力部>
判断結果出力部は、異常判断部が判断した結果を出力するように構成される。前記結果が正常である場合には正常である(または異常ではない)という状態識別情報を含めて発信する。前記結果が異常であるという結果であれば、異常である旨の状態識別情報を含めて発信する(異常情報)判断結果は、監視対象である高圧受変電設備の高圧受変電設備識別情報を含めて出力する様に構成する。判断結果の出力は、災害や火災等の事故が起きた場合を考慮し、有線による光ファイバや電話線等を介した出力ではなく、高圧受変電設備の監視装置からは無線である携帯電話網を介したインターネット回線経由等で行うことが好ましい。
【0118】
そして判断結果は、1秒から10秒、好ましくは1秒から5秒といった時間間隔で出力を行う。正常という判断結果が継続する場合は、異常時の時間間隔よりも長い1秒から5分といった時間間隔で発信するように構成してもよい。正常という判断結果が継続する場合は、異常時の5秒よりも時間間隔をあけ1分から5分といったより長い周期での出力が好ましい。しかし異常という判断結果となり、その結果を出力(異常情報の出力)する場合は、判断後速やかに出力を行い、異常状態発生直後から異常状態が継続している間は、5秒以下の短周期、好ましくは3秒以下の周期で継続して異常であるという判断結果を異常情報として出力し続ける。なお異常状態が1時間以上継続する場合は、異常状態が数時間、または半日や日単位で継続する可能性があるため、後記する非常用電源部の電源を長時間保持し続けることを目的に、異常情報を出力する周期を、異常状態発生直後よりも長くし1分から10分といった周期(より好ましくは1分から5分)とするように構成してもよい。
【0119】
万一、異常状態が半日以上続くような場合には、異常状態の出力の間隔を少しあけて分単位の間隔で出力する(判断結果をまとめて出力する場合も含む)ように構成してもよい。後記する非常用電源の維持のためである。異常であるという判断が継続した後で正常であるという判断に変わった場合には、正常であるという判断後速やかに判断結果を出力する(異常の終息)。正常であるという判断結果が複数回、例えば1秒おきに3回得られたならば正常状態に復帰したとして、異常継続後初めての正常であるという判断結果を出力するように構成してもよい。
【0120】
判断結果出力部は、異常判断部が正常と判断した場合は高圧受変電設備識別情報を含む判断結果を出力し、異常判断部が異常と判断した場合は高圧受変電設備識別情報を含む判断結果を異常情報として出力し、異常との判断結果が継続する限り、正常との判断結果を受けて判断結果を出力する周期以下で出力を継続するように構成することが好ましい。
【0121】
<実施形態1 監視装置:構成:非常用電源部>
非常用電源部は、停電時に監視装置を稼働させ続けるための電源(例:蓄電池、発電機)を有するように構成される。監視装置を構成する、各種センサユニット(検出部と出力部)と、異常判断部と、高圧受変電設備識別情報保持部と、判断結果出力部との稼働を継続させ、異常状態の継続または終息(正常状態への復帰)の監視とその結果の出力を継続させるための電源である。そのため、高圧受変電設備を利用する需要家に対しての非常電源とは別系統として、設けることが好ましい。需要家向けの非常電源と一緒にした場合、需要家の必要とする電力需要によって電源が早く尽きてしまう可能性があるためである。
【0122】
非常用電源として発電機を備える場合でも、蓄電池を併用することが望ましい。停電発生した場合、非常用発電機が起動し給電を再開するまでに時間差が生じてしまい、異常情報出力が遅れるためである。非常用電源として蓄電池を備える場合、高圧受変電設備が正常稼働しているときには蓄電池は常に充電されているように構成することができる。停電発生時に、充電可能容量の例えば半分までしか充電されていなかったら、長時間の異常状態継続時に途中で高圧受変電設備内の監視(各種データの取得)と異常情報(または正常状態となったという判断結果)の出力ができなくなるためである。
【0123】
<実施形態1 異常情報取得部(A):高圧受変電設備識別情報>
「高圧受変電設備識別情報」は、高圧受変電設備を識別するための情報であって、例えば本システムに登録された順番に割り振られた数字や既に登録された高圧受変電設備とは重複しないランダムな文字列のように単なる文字列や記号でもよいし、地名や建物名の英語表記頭文字と数字の組み合わせや、高圧受変電設備の型名を含んだ表記などのように何らかの意味のある文字を含む情報であってもよい。検索のしやすさの観点からは、建物名や、住所の一部(または頭文字など)を含むようにするとよい。
【0124】
<実施形態1 異常情報取得部(A):高圧受変電設備識別情報:事業場識別情報>
高圧受変電設備が設置されている事業場を識別する情報である事業場識別情報と、高圧受変電設備識別情報を関連づけるように構成してもよい。事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう(労働事務次官通達(昭和47年9月18日発基第91号)第三 事業場の範囲より引用)。とくに1事業場に複数の高圧受変電設備が設置されている場合には、事業場識別情報と、その事業場識別情報で識別される事業場内に設置された高圧受変電設備を識別する情報(例:連続した番号など)を組み合わせて、高圧受変電設備識別情報としてもよい。
【0125】
<実施形態1 異常情報取得部(A):高圧受変電設備識別情報:高圧受変電設備属性情報>
高圧受変電設備識別情報と関連付けて、高圧受変電設備の製造会社や、型名、年式、製造番号、設置年月日、所有者、管理者、担当電気主任技術者、設置されている建物名、設置されている住所、設置されている経度・緯度(GPS情報など)、設置されている事業場の事業者名(または/及び事業場の所有者)、高圧受変電設備が受電している送電網を識別する情報、過去の保安点検履歴、修理履歴、高圧受変電設備の使用期間や耐用年数、高圧受変電設備を構成する設備や機器及び部品それぞれの使用期間や耐用年数などを示す情報である高圧受変電設備属性情報を保持するように構成することが好ましい(後記実施形態2の高圧受変電設備情報保持部(G))。
【0126】
<実施形態1 異常情報取得部(A):異常情報>
「異常情報」は高圧受変電設備識別情報を含む情報であり、高圧受変電設備の異常状態を示す情報を含むように構成することが好ましい。異常状態は例えば停電(瞬停を含む)、漏電、温度異常、瞬間的な電圧低下、電圧や電流波形の乱れ、周波数のずれなどがある。異常状態を示す情報は、異常状態自体の名称や異常の説明や監視装置の各種センサの異常値を示すデータ情報などでもよいし、異常状態を示す識別情報である異常状態識別情報(エラーコードなど)でもよい。異常が発生した時間を示す時間情報を含むことが望ましい。異常が複数生じた場合は、異常を示す情報及びその異常が発生した時間情報を複数異常情報に含むことができるように構成することが好ましい。異常情報の発信は、異常発生後からの所定時間内(例:1分)のみ発信するように構成してもよいが、異常が継続している場合は所定時間毎(例:1秒、3秒、5秒など。ただし連続発振することを妨げない)に継続発信するように構成することが好ましい。外的広域的要因による異常であって自身の異常ではない場合、時間の経過とともに異常が解消される場合があるため、異常が継続しているか否かを知らしめるためにも、異常が継続している間は所定時間毎に異常情報を発信するように構成することが好ましい。
【0127】
異常情報はインターネット回線などを経由し、本システムの異常情報取得部(A)に取得される。高圧受変電設備から異常情報が発せられる際に、高圧受変電設備が受電できていないことも想定されるため、異常情報の発信はバッテリー駆動によって携帯電話回線網を介してインターネット回線に接続しておこなうように構成することが好ましい。なお、異常情報は高圧受変電設備(または高圧受変電設備に設置された監視装置)から当該事業場内の別装置へ異常状態となったという高圧受変電設備識別情報を含む通知がなされ、前記装置から異常情報が発せられてもよい。
【0128】
異常として停電が発生した場合に、その停電の原因としては受電する高圧電力の異常や、高圧受変電設備の経時劣化などのほかにも、ムカデ等の虫類や、カラス等の鳥、蛇やヤモリなどの爬虫類などの小動物の侵入などによる絶縁部の短絡や地絡による停電が考えられる。小動物が高圧受変電設備筐体内に侵入した場合、高圧電力と接続された給電部に小動物が接触し短絡事故や地絡事故を起こす可能性がある。
【0129】
前記異常状態のなかで、最も緊急性の高い異常は停電である。建物や施設が停電すると、内部の照明や空調や揚水用のポンプやエレベータなどが停止し使用できなくなり、内部にいる人員に著しい不便を強いることとなる。停電時は防災電源に切り替わって防災設備の稼働が維持されるが、消防法の規定上2時間は維持されるだろうが、それ以上の動作は建物施設によって異なるため、停電の復旧は早急に行われるべきものである。
【0130】
高圧受変電設備の異常状態としては上述のような停電、漏電、温度異常が主だった異常であるが、そのほかの異常状態としては瞬時電圧低下や瞬断(ごく短時間、瞬間的に生じる停電)、漏水(高圧受変電設備を屋外や屋外高所設置の場合の雨漏りや、落雷、屋内の地下や屋外の地面上に設置した場合には下からの浸水などによる)などがある。異常情報には、異常状態の種類が含まれていることが好ましい。異常を起こした場所や部材に関する情報が含まれるように構成することもできる。異常の種類や異常を起こした場所や部材の情報は、そのものの名称でもよいし又は識別するための識別情報(部材識別情報など)であってもよい。
【0131】
<実施形態1 異常情報取得部(A):異常情報:高圧受変電設備稼働ステータス情報>
監視装置の判断結果出力部から発信された正常情報、または異常情報を取得したら、取得した情報に含まれる高圧受変電設備識別情報と、前記識別情報で識別される高圧受変電設備の稼働が正常か異常かを示す情報である高圧受変電設備稼働ステータス情報を関連付けて保持する高圧受変電設備稼働ステータス情報保持部をさらに有するように構成することができる。いわば高圧受変電設備稼働ステータス情報保持部は高圧受変電設備稼働ステータスデータベースであり、例えば縦列に高圧受変電設備(またはその高圧受変電設備識別情報)を並べ、隣の列に対応する稼働ステータス情報(正常、異常)を記載した表のようなものである。
【0132】
<実施形態1 外的非外的要因判断部(B)(0302)>
「外的非外的要因判断部(B)」(0302)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断するように構成される。
【0133】
「外的非広域的要因」は、異常情報を発信した当該高圧受変電設備に起因するものではなく、異常情報を発信した複数の異なる事業場にまたがって1事業場よりも広い地域内の複数の高圧受変電設備の異常状態に共通する要因である。
【0134】
例えば発電所からの送電を行う高圧送電線が、高圧送電線を支持する高圧鉄塔の倒壊(地震や設置場所の地崩れなど)による断線や、高圧送電線または高圧鉄塔近隣の火災の影響による高圧送電線の断線や、変電所の火災や、地震や洪水や津波といった災害による送電網や変電所の障害などのように、送電の上流部分での異常によって受電が停止する停電がある。高圧受変電設備自身も、地震による損壊や断線や、大雨で堤防が決壊したことによる浸水などによる広域的被害も考えられる。または、猛暑や広域火災による温度異常、周辺の複数ビルへの落雷多発による複数の高圧受変電設備異常の発生なども考えられる。
【0135】
その他には、ある高圧受変電設備での事故が電力会社の配電線を停止させたとき、配電線の給電している地域にもよるが、同系列の配電線から受電している数百から数千のビルなども停電が起きうる。そのため外的広域的要因によって発生する停電は、停電による異常情報を発した事業場を含む地域一帯といった広域の停電状態(以下、地域一帯停電と記す)となる。
【0136】
「非外的広域的要因」は、上記のように送電の上流部分での異常などではなく、個別の高圧受変電設備の異常によって発生する場合が主である。個別の高圧受変電設備の漏電、温度異常、短絡や地絡による停電などの異常が例として考えられる。その他事例としては、近隣の同一系統の配電線から受電される高圧受変電設備で異常があって巻き込まれた場合、影響範囲が2、3個(または近隣の2、3の事業場の高圧受変電設備)程度であれば外的広域的要因とは判断されない場合がある。
【0137】
外的広域的要因か否か判断するために、外的広域的要因の可能性がある停電の情報を得るべく、電力会社が提供する停電の情報を取得するように構成することが好ましい。電力会社のウエブサイトに掲載される停電情報を取得したり、電力会社が供給する送電線網の情報を入手したり、特に電力会社と契約し個別に最新の情報が掲載される停電情報データベースから情報を取得したりできるように構成するとよい。停電の情報以外にも、送電される高圧電力の電圧状態や波形や周波数仕様の変動などについても電力会社と契約を結び入手することが望ましい。そのほかに気象庁のサイトや民間の気象会社から、落雷や雨量データ、台風情報、アメダス情報や気象関連の注意報警報の情報や、地震情報を入手したり、地方自治体(県庁や市町村の役所など)から洪水時のハザードマップや、大雨時の雨量や洪水の発生有無や避難勧告や避難指示などの情報や、国土交通省他の設置した河川の水位監視用カメラや交通状況監視カメラや各地のライブカメラの映像などの情報や、警察からの災害時の道路状況に関する情報や、消防署からの火災の発生状況の情報を入手したりすることが好ましい。または人工知能を用い、インターネット上の書き込み(ツイッター(登録商標)など)を検索し停電やその他災害(地震や洪水等)に関する情報を収集することもできる。
【0138】
前記の電力会社や気象庁や気象会社や地方自治体や官公庁や警察や消防から外的広域的要因についての情報である外的広域的要因情報を取得したり、一般人などが外的広域的要因(停電やその他災害)についてインターネット上の掲示板などに書き込みした情報を検索して外的広域的要因情報を取得したりする外的広域的要因情報取得手段を外的非外的要因判断部(B)にさらに有するように構成することができる。
【0139】
例えば、本システムを利用している需要家の高圧受変電設備について、所定の地理的範囲(同じ市内の同じ町内や、さらに同じ町内の同じ番地内や、直径10kmの円内など)に存在する高圧受変電設備がほぼ同時に異常となっているような場合は前記のように、それぞれが固有の原因で異常発生した確率は非常に小さくなるので共通の外的要因によって異常が発生したと判断するように構成することもできる。別例として高圧受変電設備識別情報と関連付けられている送電網識別情報が共通の高圧受変電設備が複数同時に異常である旨の情報を送信してきたときには、前記送電網の異常であると判断するように構成してもよい。
【0140】
異常情報取得時に、前記の情報を入手するだけではなく、一旦外的広域的要因により異常情報が発信されたと判断されたあとも、異常情報が継続して発信され続けている場合は外的広域的要因が終息したか継続しているかを判断するために、前記のように停電やその他高圧電力の供給に関しての情報や、送電網の状況情報(停電していた送電部が復旧したか否かなど)、気象関連の情報、洪水が発生した場合は浸水地域の情報や水位、地震であれば余震情報や被害状況などをそれぞれの団体や法人から直接またはインターネット回線を介して、入手する。入手した情報に基づいて外的広域的要因が終息したか判断するように構成することもできる。
【0141】
外的広域的要因は、一つの要因ではなく複数の要因が重なって発生する場合がある。または外的広域的要因により非外的広域的要因を生じさせる場合がある。例えば大雨によって山間部の高圧電力送電用鉄塔が地滑りで崩れて送電線が断線したり、大雨による河川の堤防決壊によって変電所が浸水したりして送電停止した外的広域的要因による停電と、前記送電線や変電所から給電される一部地域の複数の高圧受変電設備も大雨による増水で堤防が決壊して浸水し停電した(または停電後に浸水したが、受電復活しても高圧受変電設備の異常は継続し停電が継続する)場合などである。高圧電力の給電が停電したことに加え、洪水による外的広域的要因によって高圧受変電設備自体が浸水して異常となったものなので、送電網が復旧し水が引いても(洪水という外的広域的要因が終息しても)高圧受変電設備の異常は終息しない。前記のように電力会社、気象庁、気象会社、地方自治体などから収集した情報に基づいて、外的広域的要因が終息したかを判断し、外的広域的要因が終息したが異常情報を発信し続けている複数の高圧受変電設備に対しては、非外的広域的要因による発信と判断し、個別処理をおこなうように処理を移行するように構成する。
【0142】
<実施形態1 個別処理部(C)(0303)>
「個別処理部(C)」(0303)は、異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合に、異常情報を発信した高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をするように構成される。
【0143】
「個別処理」は、高圧受変電設備の異常が外的広域的要因ではない場合に、当該高圧受変電設備の異常に対応するための処理であり、異常の確認や点検を行うために技術者へ連絡し、当該高圧受変電設備の設置場所へ向かわせる処理に加え、点検により異常を発見し異常個所の回復に修理や工事が必要だと判明された場合は電気工事士個人や、電気工事士が所属する(又は雇用関係になる)法人に連絡し、当該高圧受変電設備の設置場所へ向かわせ、修理が完了した場合に、修理の完了報告を入手する処理や、必要に応じて当該高圧受変電設備の施主者または高圧受変電設備が設置されたビル等の管理者へ連絡を行うなどといった処理が含まれる。
【0144】
個別処理には、後記するように、異常の確認や点検を行うために連絡する技術者を選定する処理や、連絡した技術者が異常に対応できない場合に代わりの技術者を選定し連絡する処理や、当該高圧受変電設備の設置場所へ向かわせる処理に含む処理として前記設置場所までの経路を誘導する処理や、異常個所の回復に電気工事士が必要な場合に連絡する電気工事士または電気工事士が所属する法人を選定する処理や、電気工事士または電気工事士が所属する法人に対し当該高圧受変電設備の設置場所までの経路を誘導する処理なども含めることができる。
【0145】
<実施形態1 例外処理部(D)(0304)>
「例外処理部(D)」(0304)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記個別処理とは別の処理である例外処理をするように構成される。
【0146】
「例外処理」は、当該高圧受変電設備の異常情報が外的広域的要因によって発せられた場合に行われる処理であり、基本的には外的広域的要因が解消されない間は、個別処理とは違って、当該高圧受変電設備の異常に対応する処理(例:技術者を当該高圧受変電設備設置場所へ向かわせるための処理)を行わない処理である。当該高圧受変電設備を通常担当する技術者に対し、外的広域的要因による異常情報を受信したことと、外的広域的要因継続中は応動しないようにすることを通知する処理を含んでいてもよい。外的広域的要因が解消したと判断された場合には、さらに解消された旨を前記技術者へ通知してもよい。
【0147】
例外処理の中に、後記実施形態8のように外的広域的要因が継続しているか終息したかを、外的広域的要因が継続している間、監視する処理が含まれていてもよい。外的広域的要因の終息を判断する基準として前記のように各所からの情報の入手以外にも、当初異常情報が発せられた所定の地理的範囲内にある複数の高圧受変電設備のうち、正常状態へ復旧していく高圧受変電設備が所定数以上(又は一定割合以上)生じた場合に、外的広域的要因が終息したと判断するように構成してもよい。
【0148】
または、例外処理として、当該高圧受変電設備を通常担当する技術者に対し、外的広域的要因による異常情報を受信したことと、外的広域的要因継続中は応動しないようにすることを一度通知した場合は、処理を異常情報の取得に移行し、外的広域的要因の終息については、外的非外的要因判断部(B)にて、継続して発信されている異常情報が外的広域的要因に拠って発信されたという判断結果ではなく、ある時点をもって非外的広域的要因に拠って発信されたものであるという判断結果に変わったときに、外的広域的要因が終息したと判断してもよい。その場合は個別処理部(C)にて個別処理が行われる。
【0149】
<実施形態1 高圧受変電設備異常時対応システム(0300)>
「高圧受変電設備異常時対応システム」(0300)は、異常情報取得部(A)(0301)と、外的非外的要因判断部(B)(0302)と、個別処理部(C)(0303)と、例外処理部(D)(0304)と、を有し、高圧受変電設備から異常情報を取得し、外的広域的要因によって発信されたものか判断し、非外的広域的要因と判断されれば個別処理を行い、外的広域的要因と判断されれば例外処理を行うように構成される。
【0150】
なお、本発明の「高圧受変電設備異常時対応システム」は、高圧受変電設備を監視する監視装置と、監視装置から発信された異常情報が外的広域的要因によって発信されたか判断した結果により異なる処理をおこなう監視センターと、技術者が本システムに接続するための携帯端末から構成することもできる。
【0151】
<実施形態1 高圧受変電設備異常時対応システムの使用例>
図4を用いて本実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システムの使用例を説明する。
図4に示す異常情報では停電の場合を例として説明するが、停電以外の異常(漏電や、温度異常など)でも、同様である。
図4は、本システムの監視センターのオペレーターが使用する、本システムに接続されたPC端末の画面例である。前記PC端末は本システムとLAN回線またはインターネット回線を介して接続される。本システムを利用する需要家の施設(店舗やビル、事業場などを含む)に設置された高圧受変電設備の監視装置(高圧受変電設備と一体として構成されていてもよい)から、携帯電話網経由または直接インターネット回線経由で通信をやり取りする。前記監視装置からは高圧受変電設備の稼働状況や設置された各種センサの検出結果などが送信される。監視センターまたは、前記高圧受変電設備の保安担当の技術者から、検出結果の送信指示や、臨時の測定指示、カメラが設置されていて視野変更(カメラの首振り等)できるならば視野変更指示などを送信する。
【0152】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信>
図4は本システムの利用者である佐藤ビルに設置された高圧受変電設備(またはその監視装置)である高圧受変電設備識別情報S-12345678からの異常情報を受信した様子を示す監視センターにオペレーターが使用するPC端末画面例である。本システム使用例では、各高圧受変電設備の稼働が正常か異常かを示す稼働ステータス情報を、高圧受変電設備識別情報と関連付けて保持する高圧受変電設備稼働ステータス情報保持部を有する場合で説明する。なお高圧受変電設備稼働ステータス情報は、高圧受変電設備を監視する監視装置の判断結果出力部が周期的に出力する判断結果(異常情報も含む)を取得し、取得するたびに正常という結果であれば正常という稼働ステータス情報に、異常であるという判断結果であれば異常という稼働ステータス情報に更新して保持する。佐藤ビルの高圧受変電設備(S-12345678)からの異常情報を取得したことにより、高圧受変電設備稼働ステータス情報保持部に保持されていた佐藤ビルの稼働ステータス情報は正常から異常へ変更された。異常を示す稼働ステータス情報は、外的広域的要因か非外的広域的要因によるものかでさらに2分するように構成してもよい。
【0153】
図4に示すPC端末画面例では対応付けて左側に異常情報の種別として「停電」が表示され、高圧受変電設備識別情報と、設置場所名称である佐藤ビルと、その住所、停電発生時刻が表示されている。その下には、停電という異常情報を受けて、外的広域的要因によるものかを、佐藤ビルに電力を供給する電力会社の停電情報掲載ウェブページやインターネット検索にて調査し、外的広域的な要因ではなく、佐藤ビル単独の停電であるという結果が表示されている。もし高圧受変電設備に給電される高圧電力は正常であるが、高圧受変電設備内または変圧された出口側の低圧電力が停電しているような測定結果が監視装置から異常情報とともに出力されていれば、佐藤ビルの高圧受変電設備のみの異常の可能性が高いといえる。
【0154】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:発信元の表示>
図4の画面中央には、異常情報を受けた際に異常情報に含まれた高圧受変電設備識別情報に基づいて、保持されている高圧受変電設備属性情報を取得し、対象となる高圧受変電設備の設置場所の住所や、施設名(本例では佐藤ビル)や、担当電気主任技術者や、型名等の属性情報を
図4の画面に表示する。異常情報が発信された、佐藤ビルの名称、住所が上記のように画面左側に表示され、画面中央には住所から取得した地図情報に基づいて、佐藤ビル周囲の拡大地図が表示されている。
【0155】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:外的要因か否かの判断>
佐藤ビルの高圧受変電設備(又はその監視装置)から異常情報を受信後、本システムの外的非外的要因判断部(B)は当該異常情報によって報告された異常(本例では停電)が、所定時間内に佐藤ビル以外の複数の高圧受変電設備からも異常情報が発信されているかを確認する。本例では佐藤ビルのみから異常情報(停電)が発せられた場合について説明しているため、所定時間内に他からの異常情報がないことを確認し、単独発生案件であって外的広域的要因による発信ではないと判断されている。そのため個別処理を行う。なお所定時間内に他からの異常情報発信有無を確認することと並行して、電力会社の停電情報ウェブページやインターネット検索にて停電情報有無を調査してもよい。もし監視装置から異常情報とともに、高圧受変電設備に給電される高圧電力は正常であるが、高圧受変電設備内または変圧された出口側の低圧電力が停電しているような測定結果が出力されていれば、佐藤ビルの高圧受変電設備のみの異常の可能性が高く、外的広域的要因ではないと判断してもよい。
【0156】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:外的要因ではなかった場合>
外的広域的要因ではなかった場合には、異常情報を発信した高圧受変電設備の異常に対応するための個別処理をおこなう。主な個別処理は、前記異常に対応するために、向かうべき技術者の候補を選定し、候補の中から応動者を決定し、異常高圧受変電設備へ派遣することである。
【0157】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:非外的要因:個別処理>
個別処理をおこなう場合、異常高圧受変電設備へ派遣するための技術者の候補を選定する処理をおこない、候補の技術者へ応動依頼し、対応可否の返信を取得し、対応可の候補者が複数いた場合に応動者を決定する処理をおこなう。応動者を現地へ誘導する処理や、応動結果を応動者から取得する処理や、応動者を派遣することを異常高圧受変電設備の利用者である需要家または前記設備を管理する管理者などへ通知する処理、異常対応終了時に通知する処理なども個別処理に含めることができる。
【0158】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:非外的要因:技術者候補の選定>
取得した異常情報が非外的広域的要因により発信されたと判明後に、監視センターのオペレーターは、
図4の画面の右上の「選定」ボタンを押下する。押下時にどのようなルールで技術者を選定するか、ルールをプルダウンメニュウなどによって選択できるように構成してもよいし、あらかじめどのルールを使用するか設定しておいてもよい。複数のルールを組み合わせて使用するように指定することもできる。
図8は、佐藤ビルからの直線距離が短いほど優先順位が高くなるルールを用いた技術者候補を画面右側に表示した例である。
【0159】
図8の例では技術者の現在の所在地の情報は、あらかじめ技術者が本システムに登録したスケジュールに記載の所在予定や、技術者の携帯電話や技術者が本システムに接続するために使用する携帯端末に搭載された衛星測位システムまたは携帯電話網による測位システムから取得される位置情報に基づいている。または技術者が移動に利用する自動車にカーナビゲーションシステムが搭載されているならば、前記カーナビゲーションシステムに搭載された衛星測位システム又は/及び慣性測位システムから位置情報を取得するように構成するとよい。高圧受変電設備が屋外や屋上に設置されていればよいが、地下に設置されている場合は、保安点検中の技術者の携帯電話や携帯端末の位置情報を取得できない可能性が高いためである。
【0160】
技術者の位置情報は、定期的又は周期的に本システムへ送信されるように構成されることが好ましい。または異常情報を取得した時などのように、技術者の現在の所在地を確認したいときに監視センターの操作により本システムから所在地の送信指示を送信することにより、各携帯端末や技術者が移動に利用する自動車のカーナビゲーションシステムが本システムに対し位置情報を送信するように構成することもできる。そのため、技術者の位置情報を衛星測位システム又は/及びその他測位システム(携帯電話網、慣性測位システム)から定期的又は臨時に取得する測位システム技術者位置情報取得部をさらに有するように構成することができる。測位システム技術者位置情報取得部は本システムからの要求があった場合に臨時に、技術者の利用する本システムへ接続するための携帯端末に搭載された衛星測位システムなどから技術者の位置情報を取得する。異常情報取得部(A)が異常情報を取得した場合に自動的に取得するように構成してもよいし、個別処理に含まれる処理として行うように構成してもよい。
【0161】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:非外的要因:技術者候補への連絡>
図8右側に表示された技術者に対し一人ずつ、監視センターのオペレーターが電話をかけて応動可否を確認してもよい。ただし時間と労力を要するため、選定された候補者全員に対し、応動可否問い合わせを一斉に送信することが好ましい。本システムを利用する技術者全員が、本システムに接続するための携帯端末(例:タブレットPC)を有している場合には、例えばプッシュ通知により、異常高圧受変電設備についての型式や異常内容や発生日時や、設備の設置場所、非外的広域的要因による発生である旨を通知するとともに、応動依頼に対し応諾するか拒否するか返信を求める旨を送信する。なお、応動可否問い合わせの一斉通信については、受信後例えば5分以内に返信なければ拒否したとみなすなどの、事前取決めを周知しておくとよい。プッシュ通知のメッセージに含めてもよい。
【0162】
前記携帯端末は、スリープ状態または待機状態であれば、プッシュ通知を受信することができ、画面中央にポップアップ、または表示画面のいずれかの縁の端からのポップアップにより応動可否問い合わせのメッセージを表示させることができる(表示と同時に着信音又は/及び振動で技術者へ着信があった旨を知らしめることがより好ましい。)。応動可否は「応諾」または「拒否」の2つのボタンを設け、プッシュ通知を受けた技術者がどちらかを選択することで容易に返信できるように構成するとよい。応諾を選択した時には、何分後に移動開始できるかを、ダイヤル式入力等で簡易に回答入力できることが好ましい。
【0163】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:非外的要因:応動者の決定>
優先順位順に候補者一人ずつ応動可否確認した場合には、最初に応動可となった技術者を応動者に決定する。候補者全員へ一斉確認した場合は、回答期限内に回答あった候補者の中で優先順位の最も高い候補者を応動者に決定する。応動者を決定したら、異常高圧受変電設備に関する高圧受変電設備属性情報をより詳細に送付する。異常発生前と異常発生時、異常発生後の各種監視取得データや、直近の保安点検(月次、年次)の結果や、設備や部品の耐用年数の残りなどである。また監視センターのオペレーターは応動者の携帯端末へ異常高圧受変電設備への経路を送付する。現地までの誘導を行ってもよい。
【0164】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:外的要因だった場合>
上記例では佐藤ビルの高圧受変電設備での単独発生案件(停電)であったが、もし所定時間内(例:5分以内)に、同一市内など近隣の複数の高圧受変電設備から異常情報を取得した場合や、電力会社から該当地域(異常情報発信された高圧受変電設備設置場所を含む地域)に対しての停電情報を取得した場合、大雨という気象予報と実際の降水量データと自治体から入手したハザードマップに基づいて浸水や洪水発生と予想される場合、電力会社または気象会社からの落雷情報から付近地に落雷が多発していると判明した場合などには、外的広域的要因に拠ると判断する。外的広域的要因によって異常情報が発信されたと判断された場合には例外処理が行われる。
【0165】
送電網が異なるような地域(地理的距離が大きく離れた、例えば東京、北海道、関西、四国、九州など)で、所定時間内にそれぞれの地域につき1または2程度の高圧受変電設備が異常情報を発した結果、複数の異常情報を取得したような場合には、偶然の可能性があるため、電力会社の停電情報ウェブページやインターネット検索での停電情報調査を併用して、外的広域的要因かを調査し確認後に、判断するように構成してもよい。その場合は、インターネットを介して一般的に異常が発生しているかを検索するインターネット異常検索手段を外的非外的要因判断部にさらに有するように構成するとよい。外的広域的要因によると判断された場合は、例外処理をおこなう。
【0166】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:外的要因だった場合の例外処理>
外的広域的要因による異常情報発信であると外的非外的要因判断部(B)にて判断された場合、例外処理部(D)は例外処理をおこなう。例えば異常情報が停電であった場合、その停電が外的広域的要因によるものであれば、異常情報発信した高圧受変電設備(またはその監視装置)設置場所を含む近隣地域一帯が、同じ異常状態(停電)にあると考えられる。
【0167】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:例外処理の内容>
停電が外的広域的要因で起きた場合、応動者を選定して現地に向かわせて、異常に対応させるといった処理を行わない処理をおこなう。停電が外的広域的要因で起きた場合、異常情報を発信した高圧受変電設備を点検しても故障個所が見つからず、停電となった外的広域的要因が解消されるまでは、異常情報で示された当該高圧受変電設備の異常(停電)が解消するかが不明であり、派遣が無駄となるためである。高圧受変電設備への高圧電力供給が止まっている場合は、各部の電圧信号などを測定し確認することができないし、前記設備自体に異常を見いだせなかった場合に通電させて稼働状態を確認することもできない。そもそも高圧受変電設備に外観異常を伴わない故障などが生じていたとしても、異常を異常として検出できない。そのために外的広域的要因によると判断された異常情報を発した当該高圧受変電設備に対しては、応動者を選定して向かわせて当該設備を点検させるといった処理を行わないという例外処理をおこなう。
【0168】
<実施形態1 本システム使用例:異常情報の受信:例外処理の内容:技術者への通知>
例外処理としては、例えば異常情報に対し応動する場合の候補者となる技術者や、平時に当該設備の保安点検を担当している電気技術者に対し、異常情報を取得した旨も通知しないという処理をおこなう。外的広域的要因の場合、現地付近は平時とは異なり混乱して安全の確保が難しい可能性があるが、もし通知すれば、特に当該設備を平時担当する技術者は現地へ確認に行こうとしてしまうだろうからである。例外処理の別例としては、外的広域的要因による異常情報を受信したことと、該当高圧受変電設備属性情報と、外的広域的要因継続中は応動しないことを通知する処理である。後者の例の場合には、平時の担当技術者の利用する携帯端末へ、プッシュ通知にて担当する高圧受変電設備から異常情報があったこと、異常の種別、外的広域的要因による異常であること、外的広域的要因が終息するまで応動しないことを通知する。異常情報を取得した旨を通知した場合には、外的広域的要因が終息したと判断後に、終息した旨をさらに通知する処理をおこなってもよい。
【0169】
<実施形態1 本システム使用例:外的広域的要因が終息した場合:技術者への通知>
例えば、外的広域的要因が複合して起きた場合には外的広域的要因が終息した場合に、非外的広域的要因によって異常情報を発信する高圧受変電設備が複数残ることがありうる。大雨によって山間部の高圧電力送電用鉄塔が地滑りで崩れて送電線が断線したり、大雨による増水で河川の堤防が決壊して変電所が浸水したりして送電停止した外的広域的要因による停電と、前記送電線や変電所から給電される一部地域の複数の高圧受変電設備も大雨による増水で河川の堤防が決壊して浸水し停電した(または停電後に浸水したが、受電復活しても高圧受変電設備の異常は継続し停電が継続する)場合などである。洪水による外的広域的要因によって高圧受変電設備自体が浸水して異常となったものなので、水が引いても(洪水という外的広域的要因が終息しても)高圧受変電設備の異常は終息しない。前記のように電力会社、気象庁、気象会社、地方自治体などから収集した情報に基づいて、外的広域的要因が終息したかを判断し、外的広域的要因が終息したが異常情報を発信している高圧受変電設備に対しては個別処理をおこなうように処理を移行するように構成する。前記個別処理と同様に応動者を決定し、異常に対応する。
【0170】
<実施形態1 処理の流れ>
図5は、実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システムでは、異常情報取得ステップ(a)(S0501)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S0502)と、個別処理ステップ(c)(S0503)と、例外処理ステップ(d)(S0504)と、を有する。
【0171】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
異常情報取得ステップ(a)(S0501)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S0502)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S0502)での判断結果が異常情報は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
個別処理ステップ(c)(S0503)にて、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S0502)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S0504)は、前記個別処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0172】
<実施形態1 ハードウェアの説明>
【0173】
本実施形態に1おける高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図6を用いて説明する。
【0174】
<実施形態1 ハードウェア構成>
図6は、本実施形態1における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0175】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0176】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、個別処理プログラム(c)と、例外処理プログラム(d)と、である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報が格納されている。
【0177】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された個別処理プログラム(c)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記個別処理とは別の処理である例外処理をする。
【0178】
本実施形態により、本発明の高圧受変電設備異常時対応システムが高圧受変電設備からの異常情報を取得した際、所定時間内に複数の高圧受変電設備から取得された異常情報が外的広域的要因によるものと判断された場合には、技術者を異常に対応するために派遣しない例外処理をおこなう。異常へ応動する技術者の無駄な派遣をしなくて済む。
【0179】
<実施形態2 概要>主に請求項2、10、18
実施形態2の高圧受変電設備異常時対応システムは、非外的広域的要因により高圧受変電設備から異常情報が発信されたと判断した場合に、異常情報を発信した高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者へ、高圧受変電設備に向かうべきとの応動通知を含む処理をし、外的広域的要因により異常情報が発信されたと判断した場合には応動通知とは別の処理をする。
【0180】
<実施形態2 機能的構成>
図7に、実施形態2の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態2の高圧受変電設備異常時対応システム(0700)の構成は、異常情報取得部(A)(0701)と、外的非外的要因判断部(B)(0702)と、技術者通知処理部(E)(0705)と、例外処理部(D)(0704)と、高圧受変電設備情報保持部(G)(0707)と、を有するように構成される。異常情報取得部(A)(0701)は、実施形態1の説明と同様であるため説明を省略する。
【0181】
<実施形態2 構成の説明>
<実施形態2 外的非外的要因判断部(B)(0702)>
「外的非外的要因判断部(B)」(0702)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断するように構成される。
【0182】
実施形態2の外的非外的要因判断部(B)(0702)は、実施形態1での外的非外的要因判断部(B)についての説明に加え、後記する高圧受変電設備情報保持部(G)に保持された高圧受変電設備情報に関連付けられた高圧受変電設備属性情報に基づいて判断するように構成することができる。例えば高圧受変電設備属性情報として、修理または保安点検の履歴や、高圧受変電設備の使用年数や耐用年数、または高圧受変電設備を構成する設備や機器の使用年数や耐用年数が保持されていた場合には、外的非外的要因判断部(B)は高圧受変電設備または高圧受変電設備を構成する設備や機器の耐用年数又は/及び修理履歴や保安点検履歴を確認し、耐用年数を過ぎて使用しているような場合や耐用年数が間近な場合であれば、異常情報を発信した高圧受変電設備に起因する原因で異常が発生した可能性が高く、非外的広域要因による発信の可能性を高める根拠として用いるように構成することができる。
【0183】
使用年数や耐用年数だけでは断定できないため、その他に監視装置からの情報に耐用年数が過ぎている叉は耐用年数間近の機器に異常がある旨を示す情報が含まれていれば、非外的広域的要因による異常情報の発信である可能性が高いと判断する。前記のような情報(耐用年数経過又は間近の機器の異常を示す情報)ではなく、逆に耐用年数が十分(例:半分以上)残っている場合、非外的広域的要因により発信された可能性が高いと判断する。どちらの場合であっても、電力会社や気象会社や地方自治体などから入手した情報から外的広域的要因(送電線の異常や気象災害(大雨や洪水や強風など)や地震等の災害や、広域火災等)が発生していないことを確認したりして、外的広域的要因に拠る叉は非外的広域的要因に拠り異常情報が発信されたか最終的に判断する。
【0184】
または、まず保持されている修理や保安点検履歴を確認し、修理や保安点検したばかりの高圧受変電設備が異常情報発信した場合は、異常情報発信した高圧受変電設備に起因する原因で異常が発生した可能性が低く、外的広域的要因で異常情報を発信した可能性が高いとして、次に電力会社や気象会社や地方自治体などから外的広域的要因についての情報入手を開始するように構成することもできる。
【0185】
上記を達成するために、以下のような構成をさらに有することが好ましい。
高圧受変電設備情報保持部(G)には、高圧受変電設備及び前記設備を構成する設備や機器や部品の耐用年数又は/及び使用年数に関する情報である高圧受変電設備構成機器部品情報を、高圧受変電設備識別情報と関連付けて保持する高圧受変電設備構成機器部品情報保持手段をさらに有するように構成することができる。また、高圧受変電設備の修理(部品や機器の交換を含む)又は/及び保安点検の履歴を示す情報である高圧受変電設備修理点検履歴情報を保持する高圧受変電設備修理点検履歴情報保持手段をさらに有するように構成することができる。
【0186】
<実施形態2 技術者通知処理部(E)(0705)>
「技術者通知処理部(E)」(0705)は、異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合にその異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするように構成される。
【0187】
<実施形態2 技術者通知処理部(E)(0705):技術者>
「派遣する技術者」は、基本的には当該高圧受変電設備を平時に担当している保安点検担当である電気主任技術者を選定することが好ましい。もし異常に対応するために修理が必要な場合には電気工事士にも依頼する。過去に当該高圧受変電設備の工事を担当したことがある電気工事士を、対応に当たる技術者とするのがよい。平時に担当している電気主任技術者が、当該設備からの異常情報取得時に対応不可(他の案件に対応中、遠隔地にいる、休業日など)の場合には、代替の電気主任技術者を選定して異常に派遣する技術者として、応動通知を含む処理を行ってもよい。電気工事士も同じく過去に工事を担当した実績のある電気工事士(または法人)が対応できない場合は代替対応者(個人または法人)を選定する。
【0188】
<実施形態2 技術者通知処理部(E)(0705):応動通知>
「応動通知」は、取得した異常情報の発信元である高圧受変電設備へ派遣する技術者の候補となる者へ異常に対応するために当該高圧受変電設備へ応動するよう促すための通知である。当該高圧受変電設備から取得した異常情報(高圧受変電設備識別情報を含む)や、異常の種別や、異常が発生した時間情報や、当該高圧受変電設備の高圧受変電設備属性情報(所在地に関する情報、型式など)などを含むように構成できる。その他、前記設備や、前記設備を構成する設備や機器の使用年数や耐用年数、直近の保安点検結果(月次、年次)の情報や、異常高圧受変電設備への経路情報などを含めることができる。
【0189】
<実施形態2 技術者通知処理部(E)(0705):応動通知を含む処理>
「応動通知を含む処理」は、通知する前の処理と、通知自体を行う処理とを含む。または、応動結果や報告を取得する処理や、応動者への報酬や経費の支払いのための処理を含むこともできる。
【0190】
<実施形態2 技術者通知処理部(E)(0705):応動通知を含む処理:通知する前の処理>
「通知する前の処理」としては、通知を出すために取得した当該高圧受変電設備の異常状態の情報と当該高圧受変電設備の所在位置の情報を技術者へ通知するための形式(テキスト形式やCSV形式やPDF形式や音声データ、または本システム専用のデータ形式など)に変換する処理や、通知を出す先である技術者の氏名や連絡先(電話番号やメールアドレス等)を、技術者を識別する情報である技術者識別情報と関連付けてあらかじめ保持しておく処理や、通知を出す技術者の候補を検索し絞り込む処理などを含むことができる。
【0191】
通知を出す技術者の候補を検索し絞り込む処理には、検索し選定した複数の候補者に対し所定の条件(当該高圧受変電設備からの地理的距離又は/及び時間的距離(移動時間)や、過去に他の高圧受変電設備の異常に対する応動依頼を含めて応動依頼に対応した回数、当該異常情報の種別(例:停電、漏電、設備温度異常など)に対応した回数)によって優先順位付けする処理を含めることができる。
【0192】
<実施形態2 技術者通知処理部(E)(0705):応動通知を含む処理:通知自体を行う処理>
「通知自体を行う処理」は、候補者に対し一斉に又は個別に通知を発する処理や、通知した候補者と連絡を取り合い応動者として決定する処理を含むことができる。または前記のように優先順位を付けた候補者に対し、優先順位の高い順に順次連絡を取って応動対応可否を確認し、対応可となった技術者を、応動通知を発する宛先と決定する処理を含めることができる。
【0193】
さらには応動通知を含む処理として技術者への応動通知後の、応動した応動者からの中間報告や完了報告を受信応答などの処理も含めてもよい。また、当該高圧受変電設備を利用して受電する需要家、または当該高圧受変電設備の管理者に対し、応動者を決定し、異常に対し応動開始した旨を通知する処理を含めることもできる。
【0194】
<実施形態2 例外処理部(D)(0704)>
例外処理部(D)(0704)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をするように構成される。
【0195】
「例外処理」は、当該高圧受変電設備の異常情報が外的広域的要因によって発せられた場合に行われる処理であり、基本的には外的広域的要因が終息しない間は、技術者通知処理部(E)での応動通知を含む処理を行わない、すなわち当該高圧受変電設備の異常に対応する処理(例:技術者を当該高圧受変電設備設置場所へ向かわせる)を行わない処理である。当該高圧受変電設備を平時担当する技術者に対し、外的広域的要因による異常情報を受信したことと、外的広域的要因継続中は応動しないように通知する処理を含んでいてもよい。外的広域的要因が終息したと判断された場合には、さらに終息した旨を前記技術者へ通知してもよい。また、例外処理の中に、外的広域的要因が継続しているか終息したかを、外的広域的要因が継続している間、監視する処理が含まれていてもよい。
【0196】
外的広域的要因の終息を判断する基準として、当初異常情報が発せられた所定の地理的範囲内にある複数の高圧受変電設備のうち、正常状態へ復旧していく高圧受変電設備が所定数以上(又は一定割合以上)生じた場合に、外的広域的要因が終息したと判断するように構成してもよい。例外処理のなかに、外的広域的要因が終息したと判断された後でも、異常情報を発した複数の高圧受変電設備の中に、異常状態が継続している高圧受変電設備がある場合には、外的広域的要因ではない非外的広域的要因による当該高圧受変電設備の異常だと判断し、応動通知を含む処理を行うよう技術者通知処理部(E)へ処理を移行する処理が含まれていてもよい。
【0197】
<実施形態2 高圧受変電設備情報保持部(G)(0707)>
「高圧受変電設備情報保持部(G)」(0707)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持するように構成される。
【0198】
「地理的位置」は、地図上の位置であり、緯度経度などの水平方向の位置を示す情報と、高さ方向の位置(例:高度、海抜、深度、階数表示など)を示す情報とを併せ持つ情報である。該当場所への道路や、他の交通手段(鉄道、バスなどの公共交通機関や、自転車、徒歩などの移動手段)毎に通行可能な経路などの情報を含めて構成することができる。
【0199】
「高圧受変電設備位置情報」は高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である。高圧受変電設備の地理的位置を示す情報とは、前記高圧受変電設備の設置された事業場の住所や、事業場名称や、設置された建物や施設の敷地の住所情報や緯度経度情報や、道路または他の交通手段での経路情報や、前記建物や施設や事業場の敷地内での前記高圧受変電設備の設置場所の配置に関する情報(テキストや配置図や構内図など)である。
【0200】
敷地内における高圧受変電設備の設置場所とは、文字通り敷地内のどこに位置するかという水平的な位置情報と、地下か建物の屋上か、それとも建物の途中階かなど高さ方向の位置情報を含めた情報であることが好ましい。高圧受変電設備位置情報には、対象となる高圧受変電設備の設置された場所の配置に関する情報に加え、設置された事業場の入り口(外部業者が入場する際の通用口(入場受付なども含む)から設置場所までの経路情報や、設置場所へ向かう際にあらかじめ連絡すべき事業場内の担当者名と連絡先(電話番号等)や、途中通行に必要な鍵やIDカードの種別に関する情報と入手(または借出し)方法に関する情報、設置場所での作業に際して特に必要となる道具(保護具を含む)や表示(例:高所作業、片側通行などの表示)や、作業に際して通行や交通規制することが必要な場合にはその種別の情報なども含めることができる。高圧受変電設備までの経路情報としては、設置場所が建物内(地下階を含む)または建物の屋上であれば、そこに至るまでの建物入口からの経路情報があることが好ましく、建物内停電や災害時に移動可能な経路であることがより好ましい。
【0201】
「高圧受変電設備属性情報」は、高圧受変電設備の属性に関する情報であり、実施形態1にて例を説明している。繰り返しになるが、再掲する。「高圧受変電設備属性情報」は、高圧受変電設備の製造会社や、型名、年式、製造番号、設置年月日、所有者、管理者、担当電気主任技術者、設置されている建物名、設置されている住所、設置されている経度・緯度(衛星測位システムの位置情報など)、設置されている事業場の事業者名(または/及び事業場の所有者)、高圧受変電設備が受電している送電網を識別する情報、過去の保安点検履歴、修理履歴、高圧受変電設備の使用期間や耐用年数、高圧受変電設備を構成する設備や機器及び部品それぞれの使用期間や耐用年数などを示す情報といった、高圧受変電設備の属性を示す情報である。さらに高圧受変電設備の構造や点検方法、各部の開閉の仕方などの情報が含まれていてもよく、当該高圧受変電設備の取扱説明書や、設置マニュアルや、点検や修理のマニュアルが含まれていてもよい。保安点検履歴または修理履歴には、担当した技術者識別情報で識別される技術者名が含まれていることが好ましい。
【0202】
高圧受変電設備属性情報を登録する高圧受変電設備登録部と、保持された高圧受変電設備属性情報を編集(追加、削除、修正)する高圧受変電設備属性情報編集部とをさらに有するように構成することができる。本システムを利用しようとする需要家の新規の高圧受変電設備を登録しようとするときに使用できる。新たな需要家だけではなく、すでに本システムを利用している需要家が、高圧受変電設備を追加したり更新したりした時に高圧受変電設備属性情報を編集することができる。編集は需要家自身が行えるように構成してもよいし、本システムの管理運営者に対し需要家が登録を依頼して代行してもらうように構成してもよい。
【0203】
<実施形態2 高圧受変電設備異常時対応システムの使用例>
実施形態1では異常情報を受信し、異常情報が外的広域的要因に因るものか否かを判断し、判断結果によって応動通知を含む処理か、例外処理のどちらかを行うことを説明した。本実施形態2での説明でも同様に、
図4の佐藤ビルの例では異常情報が非外的広域的要因によって発信されたものと判断され、応動通知を含む処理が行われるものとする。
図4、
図8、
図9を用いて、応動通知を含む処理をおこなう際の本実施形態2の高圧受変電設備異常時対応システムの使用例(異常情報を発信した高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者に対し、該当する高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理)を説明する。前記と同様、
図4、
図8、
図9は、本システムの監視センターのオペレーターが使用する、本システムに接続されたPC端末の画面例である。
【0204】
<実施形態2 本システム使用例:応動候補者の表示:候補者の選定>
異常情報を取得した本システムの監視センターでは(
図4参照)、異常情報の発信が外的広域的要因ではないと判断されたため、派遣する技術者の選定を行う。
図4の画面上右上の「選定」ボタンを押下する。選定ボタンを押下した際に選定に用いるルールを選択できるように構成することもできる(例:技術者と異常高圧受変電装置間の距離、移動時間、技術者のスケジュール、応動履歴等に基づくルール、および前記ルールの組合せ。ルール組み合わせ時の重みづけ)。技術者のリストから佐藤ビルの異常に対する応動候補者を検索し選定することは前記のように応動通知を含む処理に含めることができる。選定のためのルールについては後記実施形態3から7で例を説明する。技術者の選定のため、技術者の位置を示す位置情報、技術者のスケジュールを示すスケジュール情報などと、異常情報を発信した異常高圧受変電設備の位置を示す高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備情報などを用いる。
【0205】
<実施形態2 本システム使用例:応動候補者の表示:優先順位付け方法>
図8に示す例では佐藤ビルに直線距離が近い順に、応動候補者である技術者へ優先順位付けするルールを用いた例で説明する。応動候補者の優先順位づけの方法としては、異常情報を発した高圧受変電設備(またはその監視装置)に近い順(直線距離、経路上距離、移動手段も考慮した時間的距離など)に優先順位付けする方法や、異常情報を発信した高圧受変電設備を平時に担当している技術者を第一優先とする優先順位付け(二位以降は他の優先順位付けと併用)する方法や、異常情報を発信した高圧受変電設備と同型の設備を平時に担当している技術者のうち近い順(直線距離、経路上距離、移動手段も考慮した時間的距離など)に優先順位付けする方法や、スケジュール的に対応可能な技術者に高い優先順位を付与する方法や、過去に他設備も含めて応動対応した回数の多い順に優先順位付けする方法や、高圧受変電設備の保安点検を担当する電気主任技術者としての経験年数が長い順に優先順位付けする方法や、これらの方法を組み合わせた方法(ルール間で適用する順番を定めて適用し優先順位付けする、ルール毎に順位に依存する点数付けを行い合計点によって優先順位付けする。点数付けに際しルールによって重みづけするなど)などが考えられる。
【0206】
<実施形態2 本システム使用例:応動候補者の表示:優先順位付けした候補者の表示>
図8に示すPC画面は、画面中央部には地図上に、異常情報を発信した高圧受変電設備が設置されている佐藤ビルからの直線距離を基準として、応動候補者となる技術者の位置を表示した例である。画面中央の地図は佐藤ビルを中心とした、距離を示す同心円が複数表示されており、距離が近い順に応動候補者が丸付き数字で表示されている。丸付き数字が表す応動候補者は画面右側に、数字に対応した順に表示されている。
【0207】
そして例えば10人など第一の所定の人数を直線距離の順で選定し画面表示させるように構成できる。候補となる技術者は、車を使用し2時間で移動できる距離を上限として選定し表示可能とするように構成してもよい。電気主任技術者が現場到着までに2時間以内というのは、電気事業法施行規則 第53条第2項第6号の「委託契約の相手方(委託契約の相手方が前条第二号の要件に該当する者の場合にあっては保安業務技術者)の主たる連絡場所が当該事業場に遅滞なく到達し得る場所にあること。」に対する経済産業省の主任技術者制度の解釈及び運用(内規)の記載「「遅滞なく到達」とは、2時間以内に到達することを要することとする。」による。
【0208】
技術者の現在位置はあらかじめ本システムに登録した連絡先や、行動予定(時間毎の居場所予定)から取得してもよいし、技術者が携帯する本システムに接続可能な携帯端末や携帯電話からの位置情報(衛星測位システムの位置情報や、携帯電話網の位置情報)または技術者が移動に用いる自動車に搭載されたカーナビゲーションシステムが用いる測位システム(衛星測位システム、慣性測位システムなど)からの位置情報を取得し利用してもよい。さらに後記実施形態のように、技術者の行動予定を本システムに入力させ保持しておき、異常発生時に休暇や代休を取っている者、または営業時間外であって対応困難な者を除いて候補者を表示させるように構成してもよい。
【0209】
技術者の位置情報を衛星測位システム又は/及びその他測位システム(携帯電話網、慣性測位システム)から定期的又は臨時に取得する測位システム技術者位置情報取得部をさらに有するように構成することができる。測位システム技術者位置情報取得部は本システムからの要求があった場合に臨時に、技術者の利用する本システムへ接続するための携帯端末に搭載された衛星測位システムなどから技術者の位置情報を取得する。異常情報取得部(A)が異常情報を取得した場合に自動的に取得するように構成してもよいし、技術者への応動通知を含む処理に含まれる処理として行うように構成してもよい。
【0210】
<実施形態2 本システム使用例:応動候補者の表示:候補者への応動通知>
選定した候補者に対し、該当する高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をおこなう。応動通知は、例えば選定した候補者全員に対し電子メール(ショートメッセージサービス(SMS)も含む)やプッシュ通知の一斉送信、または使用可能な電話回線数(固定または携帯電話)分の候補者に区切って順に自動発信通話をかけるなどの方法で行う。または監視センターのオペレーターが所定のルールに基づいて候補者に割り振られた優先順位の順に、一人ひとり直接電話をかけて応動を依頼するように構成してもよい。全員へ一斉にメールやプッシュ通信を送信したり、電話を自動発信したりする場合、メールやプッシュ通信の内容や自動発信音声の内容は、異常情報に含まれる高圧受変電設備識別情報で識別される高圧受変電設備の属性情報(型式、設置場所など)や、異常の種別(
図4の例では停電)や内容や、異常発生日時に加え応動対応要であることと、応動可であればできるだけ早く監視センターへ応動対応可否を返信するようにというメッセージを含ませることが好ましい。応動可否問い合わせの一斉通信(プッシュ通知含む)については、受信後例えば5分以内に返信なければ拒否したとみなすなどの、事前取決めを周知しておくとよい。
【0211】
プッシュ通知を技術者の利用する携帯端末へ送付する場合に、前記携帯端末がスリープ状態または待機状態であれば、プッシュ通知を受信した場合に、画面中央にポップアップ、または表示画面のいずれかの縁の端からのポップアップにより応動可否問い合わせのメッセージを表示させるように構成することができる(表示と同時に着信音又は/及び振動で技術者へ着信があった旨を知らしめることがより好ましい)。応動可否についてはプッシュ通知内に「応諾」または「拒否」の2つのボタンを設け、通知を受信した技術者がどちらかを選択することで容易に返信できるように構成するとよい。応諾を選択した時には、何分後に移動開始できるかを、ダイヤル式入力等で簡易に回答できることが好ましい。
【0212】
候補の技術者一人ずつに順に直接電話をかける場合にも、メールや電話の自動発信に盛り込まれる内容は技術者へ伝達されるように構成する。
【0213】
<実施形態2 本システム使用例:応動候補者の表示:応動者の決定>
優先順位順に候補者一人ずつ応動可否確認した場合には、最初に応動可となった技術者を応動者に決定する。候補者全員へ一斉確認した場合は、回答期限内に回答あった候補者の中で優先順位の最も高い候補者を応動者に決定する。応動者を決定したら、異常高圧受変電設備に関する高圧受変電設備属性情報をより詳細に送付する。異常発生前と異常発生時、異常発生後の各種監視取得データや、直近の保安点検(月次、年次)の結果や、設備や部品の耐用年数の残りなどである。また監視センターのオペレーターは応動者の携帯端末へ異常高圧受変電設備への経路を送付する。現地までの誘導を行ってもよい。
【0214】
<実施形態2 本システム使用例:異常情報の受信:外的要因だった場合>
上記例では佐藤ビルの高圧受変電設備での単独発生案件(停電)であったが、もし所定時間内(例:5分以内)に、同一市内など近隣の複数の高圧受変電設備から異常情報を取得した場合や、取得された異常情報に含まれる高圧受変電設備識別情報で識別される高圧受変電設備情報に関連付けられた高圧受変電設備属性情報に含まれた異常高圧受変電設備の耐用年数または異常高圧受変電設備を構成する設備や機器や部品の耐用年数がまだ十分に残っている場合や、前記異常高圧受変電設備が直近修理や保安点検を受けたばかりであった場合や、電力会社から該当地域(異常情報発信された高圧受変電設備設置場所を含む地域)に対しての停電情報を取得した場合には、外的広域的要因に拠ると判断するように構成してもよい。外的広域的要因によって異常情報が発信されたと判断された場合には例外処理が行われる。以下例外処理の実施例は実施形態1と同様のため説明を省略する。
【0215】
<実施形態2 処理の流れ>
図10は、実施形態2の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作処理のフローチャートである。この図で示すように実施形態2の高圧受変電設備異常時対応システムでは、高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S1001)と、異常情報取得ステップ(a)(S1002)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S1003)と、技術者通知処理ステップ(e)(S1004)と、例外処理ステップ(d)(S1005)と、を有する。
【0216】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S1001)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する処理をおこない、
異常情報取得ステップ(a)(S1002)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1003)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1003)での判断結果が異常情報は非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
技術者通知処理ステップ(e)(S1004)は、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をする処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1003)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
例外処理ステップ(d)(S1005)は、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0217】
<実施形態2 ハードウェアの説明>
【0218】
本実施形態2における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図11を用いて説明する。
【0219】
<実施形態2 ハードウェア構成>
図11は、本実施形態2における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0220】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0221】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、例外処理プログラム(d)と、技術者通知処理プログラム(e)と、高圧受変電設備情報保持プログラム(g)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報、高圧受変電設備属性情報、高圧受変電設備情報が格納されている。
【0222】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている高圧受変電設備情報保持プログラム(g)を実行して、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された技術者通知処理プログラム(e)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする。
【0223】
本実施形態により、取得した異常情報が非外的広域的要因によって発信された場合には高圧受変電設備に発生した異常に対して技術者に異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をおこない、外的広域的要因によって発信された異常情報であった場合には前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をすることができる。
【0224】
<実施形態3 概要>主に請求項3、11、19
実施形態3の高圧受変電設備異常時対応システムは実施形態2を基礎として、技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者所在地依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする所在地依存応動通知処理手段(K1)を有するように構成される。
【0225】
<実施形態3 機能的構成>
図12に実施形態2を基礎とする実施形態3の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態3の高圧受変電設備異常時対応システム(1200)は、実施形態2の構成に加えて、さらに技術者所在地情報保持部(H1)(1208)と、技術者所在地依存応動者決定ルール保持部(J1)(1211)と、技術者通知処理部(E)(1205)内に所在地依存応動通知処理手段(K1)(1216)と、を有する。そのため実施形態2で説明していない技術者所在地情報保持部(H1)(1208)と、技術者所在地依存応動者決定ルール保持部(J1)(1211)と、所在地依存応動通知処理手段(K1)(1216)とに関してのみ以下説明する。
【0226】
<実施形態3 構成の説明>
<実施形態3 技術者所在地情報保持部(H1)(1208)>
「技術者所在地情報保持部(H1)」(1208)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持するように構成される。
【0227】
「技術者識別情報」は、技術者を識別するための情報である。技術者識別情報は、技術者名や技術者の頭文字などでもよいし、単に数字や文字の組み合わせによる文字列であってもよく、技術者を一義的に識別できる情報であればよい。技術者が法人の場合、法人に所属する(又は雇用される)個人を識別するように法人を示す識別情報と、法人に属する個人を識別する識別情報を組み合わせて技術者識別情報としてもよい。
【0228】
技術者識別情報は、技術者の住所または通知すべき候補者を選定しようとしている時の所在地(又は所在予定地)、連絡先、技術者の資格や技能、経験を示す経歴、過去に他の高圧受変電設備対するものを含め応動通知に対し応動した履歴、所持している工具設備、移動手段などの技術者の属性を示す属性情報と関連付けられて保持されるように構成することもできる。技術者属性情報には、技術者の血液型、既往症、持病、緊急連絡先など、異常発生した高圧受変電設備への対応のための派遣時に、万一技術者が二次被害にあったときの処置に役立つ情報を含めてもよい。
【0229】
「技術者所在地情報」は、技術者の所在地を示す情報であり、技術者の自宅の住所や、技術者のスケジュール毎の地理的な所在予定を示す情報である。スケジュール毎の地理的な所在予定とは、例えば、例えば月曜日午前中はAビルにて点検を行い、午後は自宅兼事務所でデスクワーク、火曜日は午前がBビルで点検作業、午後がC病院で点検作業などのような地理的にどこにいるかといった情報である。午前午後の区分けだけではなく時間帯ごとに所在地が変わるようであれば、時間帯ごとにどの地理的位置にいるかという時間を示す時間情報と地理的位置を示す情報を関連付けた情報である。あらかじめ技術者が、日時と所在予定を本システムに登録しておくという構成でもよい。
【0230】
技術者が所持する携帯電話(含むスマートフォン)や本システムを利用するための携帯端末などに搭載された測位システムからの位置情報(衛星測位システムや、携帯電話網による位置情報)または技術者が移動に利用する自動車に搭載されたカーナビゲーションシステムからの位置情報(衛星測位システムや慣性測位システムによる位置情報)を本システムが取得するという構成が好ましい。または、場所を移動して作業を行うとき開始時と終了時に本システムへ所在地登録と作業終了(移動開始)の登録を行うように構成してもよい。または前記例の1以上の組合せでもよい。もっとも好ましい構成は測位システムからの位置情報を本システムが取得する構成であり、技術者の最新の位置情報をリアルタイムで取得できる。
【0231】
技術者の位置情報を衛星測位システム又は/及びその他測位システム(携帯電話網、慣性測位システム)から定期的又は臨時に取得する測位システム技術者位置情報取得部をさらに有するように構成することができる。測位システム技術者位置情報取得部は本システムからの要求があった場合に臨時に、技術者の利用する本システムへ接続するための携帯端末に搭載された衛星測位システムなどから技術者の位置情報を取得する。異常情報取得部(A)が異常情報を取得した場合に自動的に取得するように構成してもよいし、技術者への応動通知を含む処理に含まれる処理として行うように構成してもよい。
【0232】
<実施形態3 技術者所在地依存応動者決定ルール保持部(J1)(1211)>
「技術者所在地依存応動者決定ルール保持部(J1)」(1211)は、技術者所在地情報に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである技術者所在地依存応動者決定ルールを保持するように構成される。
【0233】
「技術者所在地依存応動者決定ルール」は、例えば非外的広域的要因により異常情報を発信した高電圧受変電設備に対しての直線距離が最も近い技術者を対応可否確認せずに応動者と決定するルールや、直線距離ではなく経路上の距離が最も近い技術者を対応可否確認せずに応動者と決定するルールや、直線距離が近い順に技術者へ優先順位をつけて対応可能な最も優先順位の高い技術者を応動者と決定するルールや、直線距離ではなく経路上の距離が近い順に技術者へ優先順位をつけて対応可能な最も優先順位の高い技術者を応動者と決定するルールなどである。
【0234】
経路上の距離とは、例えば前記高圧受変電設備へ前記技術者がたどり着くまでに技術者が通る経路(例:有料道路などの有料手段を使用しても最短となる経路、または有料手段をなるべく使用せず安価に利用可能な最短経路)の距離である。例えば格子状に道路が配置された場所で、高圧受変電設備と技術者が互いに道路で形成される四角形の対角に位置していた場合、直線距離では1kmだったとしても、実際に行き着くためには道路に沿って四角形の2辺分の長さに相当する距離を移動しなければたどり着けず、経路上の距離は1kmより大きくなる。
【0235】
または、異常情報を発信した高圧受変電設備が設置された自治体行政区分に所在する技術者を第一優先、前記自治体行政区分に直接接している隣接地域(例:東京都千代田区に対する中央区)に所在する技術者を第二優先、前記自治体行政区分には直接接してはいないが隣接地域に直接接している間接隣接地域(例:東京都千代田区に対する江東区や墨田区)を第三優先とするような所定地域単位で、優先順位付けし対応可能な最も優先順位の高い技術者を応動者と決定するルールとしてもよい。
【0236】
さらには、平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者へまず対応可否を確認し、対応不可の場合に応動を代行する技術者の候補を前記例示したルールなどにより選定し応動者を決定するルールとしてもよい。または、優先順位の高い(例:10位以内、1km以内、10km以内など)応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付し、最も早く応答可と返信があった技術者を応動者と決定するルールでもよい。平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者を優先順位にかかわらず加え、技術者所在地情報からの優先順位の高い(例:10位以内、1km以内、10km以内など)応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付し、対応可と返信があった中で最も優先順位の高い技術者を応動者と決定するルールとしてもよい。
【0237】
<実施形態3 技術者所在地依存応動者決定ルール保持部(J1):複数ルールの適用>
応動者を決定するルールは、本実施例では技術者所在地情報に基づくルールであるが、後記する実施形態のように技術者の所在地からの移動時間に基づくルールや、技術者のスケジュールに基づくルールや、技術者の所在地とスケジュールに基づくルールや、技術者が過去に応動対応した履歴に基づくルールなどがある。そのほかにも、平時に異常高圧受変電設備を担当している技術者を優先順位第一位とするルールや、異常高圧受変電設備と同型式の高圧受変電設備を平時担当している技術者の中から応動者を決定するルールや、異常高圧受変電設備と同型式の高圧受変電設備について応動対応したことがある技術者の中から応動者を決定するルールや、高圧受変電設備の保安点検を担当する電気主任技術者としての経験年数が長い順に優先順位付けし応動者を決定するルールなどが考えられる。さらに複数のルールを組み合わせて応動者を決定するというルールも考えられる。
【0238】
複数のルールの適用は、次のような場合が考えられる。
(1)ルールを順番に適用する。例えば技術者の所在地が近い(距離的又は移動時間的に)順に優先順位をつけ(近いほど優先順位が高い)、例えば上位20名を抽出する。次に技術者のスケジュールについて対応可能な時間帯か否か、対応可能性が高いほど優先順位が高くなるように順位付けする。優先順位の順に技術者へ応動可否問い合わせしたり、抽出した20名のうちスケジュールに依存した優先順位の上位(例えば上位10名)の技術者全員へプッシュ通知などで応動可否問い合わせしたりする。このように2つのルールを順に適用する。なお2つのルールに限定されず3以上のルールを順に重畳適用してもよい。複数のルールの適用順もルールとなりうる。
【0239】
(2)優先順位によって得点を付与し、ルール毎の合計点数で総合順位をつける。例えば技術者の所在地が近い順に得点を付与する。最も近い技術者が1位となる。1位の技術者が最も高い得点を得る構成でもよいし、逆に最も低い得点を得るように構成してもよい。1位が高い得点を得る構成であれば、総合順位は合計点数が高い順に決定し、1位が低い点数を得る構成であれば総合順位は合計点数が低い順に決定される。例えば一位が20点を付与され、順位が一つずつ落ちると1点ずつ下がる(2位は19点)。21位から下は0点とし点を付与しない(1位の点数を上げて、点を付与する人数を増やすことは適宜実施してよい)。次に技術者のスケジュールについて、対応可能性が高いほど高順位で高得点となるように優先順位付けする。これも1位を20点とし、21位以下は0点とする。2つのルール適用による得点の合計で、得点の高い順に技術者に総合順位付けする。総合順位の順に技術者へ応動可否問い合わせしたり、総合順位の上位(例20位)の技術者へプッシュ通知で応動可否問い合わせしたりする。
【0240】
上記の(2)の場合についても、2つのルールではなく3以上のルールを適用してもよい。2以上のルール適用する場合に、ルール毎に重みづけしてもよい。重みづけの方法は、ルール毎に付与する得点を一定比率増やしたり減らしたりすることで行うことができる。例えばスケジュールよりも所在地を優先し、はやく現地へ到着できることを優先するのであれば、所在地の近い順に付与する得点を2倍とする(1位に2倍の40点を付与する)か、スケジュール的に対応可能性が高い順に付与する得点を半分とし(1位に半分の10点を付与する)、合計点数が高い順に高い総合順位となるような方法である。
【0241】
上記の(1)の場合の複数のルールの組合せ順や、(2)の場合の複数のルールの組合せの種類や重みづけの仕方についても応動者決定ルールとして保持するように構成することが好ましい。複数の応動者決定ルールを適用する場合のルールである複数応動者決定ルール適用ルールを保持する複数応動者決定ルール適用ルール保持部をさらに有するように構成することが好ましい。
【0242】
<実施形態3 所在地依存応動通知処理手段(K1)(1216)>
「所在地依存応動通知処理手段(K1)」(1216)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者所在地依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするように、技術者通知処理部(E)(1205)内に構成される。
【0243】
「通知すべき技術者の決定」とは、例えば次に例を示すような技術者へ優先順位付けである。非外的広域的要因により異常情報を発信した高圧受変電設備の地理的位置を示す高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報と、技術者所在地依存応動者決定ルールとに基づいて、前記高圧受変電設備と技術者の所在地との地理的な位置関係に基づいて通知すべき技術者を決定する。例えば、前記のように高圧受変電設備と技術者の直線距離や、経路上距離や所在地域によって応動候補者となる技術者に優先順位をつけて、通知すべき技術者を決定する。
【0244】
「応動通知を含む処理」とは、例えば次に示すような、技術者へ応答可否を問い合わせし、問い合わせの結果により応動者を決定するといった処理である。優先順位の順に技術者一人ずつに応答可否を確認していったり、優先順位の高い技術者から所定の順位まで又は所定の移動時間内(例:2時間以内)で対象となる高圧受変電設備へ到着できるだろう距離にいる技術者にまで一斉に応答可否問い合わせを送信(例:メール、SMS、プッシュ通知、自動音声発信など)したりすることによって、対応可と応答が返ってきたうちで最も優先順位の高い技術者に決定する。さらに一斉に応答可否問い合わせを送信してから所定の待ち時間以内に応答可と返信あった技術者の中で最も優先順位の高い技術者を応動者として決定するように時間制限設けた構成としてもよい。
【0245】
以下に、本システムを用いて技術者を選定し応動者を決定する例を、図を用いて説明する。
【0246】
<実施形態3 本システム使用例:応動者>
図8は応動候補である技術者のなかから、本異常情報に対応できる応動者を決定するためのPC端末画面例である。右側の応動候補者は佐藤ビルに直線距離が近い順に掲載されている。中央の地図は、
図4の地図よりも低倍となり、佐藤ビルから2.0kmほど離れた第6位の渡邊六花氏までが表示できるような縮尺表示となっている。中央の地図は適宜オペレーターの手動操作により拡大縮小可能ではあるが、連絡を取ろうとする応動候補者に合わせて、佐藤ビルを表示内に入れながら自動的に縮尺が変わるように構成することができる。本説明例では、技術者の位置情報は、技術者が本システムに接続するために利用する携帯端末、または技術者が移動に利用する自動車のカーナビゲーションシステムの測位システムに対して、位置情報の送信を指示し、各技術者の位置情報を取得した。
【0247】
図8では異常情報を発信した高圧受変電設備設置場所から2kmまでの距離内の応動候補者である技術者の所在地を500m単位の同心円を併記して表示しているが、5km、10km、20kmといったより大きな範囲での応動候補者所在地表示としてもよい。技術者の数が少ない地域の場合、異常情報発信した場所のすぐ近くに技術者がいるとは限らないからである。保安点検を担当する技術者である電気主任技術者は、自家工作物である当該高圧受変電設備に2時間以内に到着できる必要があるが、2時間以内に到着できるならば20kmや30kmといった離れた場所にいる技術者に対し応動依頼する場合もある。
【0248】
図8では画面中央の地図は佐藤ビルから500m、1.0km、1.5km、2.0kmと500m刻みに複数の同心円を表示しているが、例えば最初に500mの円のみを表示し、円内に応動候補者がいなければ500mの円を消して次に1.0kmの円を表示するように構成してもよい。または最も近い候補者が含まれる所定刻みの半径の円から表示するように構成することもできる。
図8では1.0kmの円内に佐藤氏と鈴木氏の2名の技術者が位置している。1.0kmの円のみ表示している状態で前記2名の技術者に対し応動対応可否を問い合わせて2名とも応動対応不可の返答だった場合には、1.0kmの円を消し次に1.5kmの円を表示させて、1.0km以上1.5km以下の範囲に位置している3名の技術者に対し応動可否を問い合わせるといったように順次範囲を拡大して、応動通知を含む処理を行うように構成することができる。
【0249】
応動可否の問い合わせは、前記のように範囲内の応動候補者となる技術者全員へメール配信したり、自動音声発信による電話で行ったりすることができる。各技術者が携帯する携帯端末上で動作する本システム用アプリが本システムのサーバ装置に接続している場合、前記アプリを介して応動対応可否をテキストベースまたは音声通話にて問い合わせてもよい。
【0250】
<実施形態3 本システム使用例:応動者の選定例1:順次連絡>
一番佐藤ビルに近い技術者は佐藤 創氏であり、直線距離で800m離れた場所にいることを示している。2番目の鈴木健二氏は直線距離で1.0km離れた場所にいる。鈴木氏の氏名に下線が引かれているのは、佐藤ビルの高圧受変電設備の平時担当技術者であることを示している。平時とは異常情報が発信されておらず、該当高圧受変電設備が正常に稼働していると考えられる状態の時であり、平時担当技術者とは平時に自家工作物である前記設備の保安点検を担当する電気技術者として選任された電気主任技術者である。
【0251】
鈴木氏が該当設備の平時担当技術者であることと、現地から1.0kmの地点であり優先順位1番目の佐藤氏と大きな差がないことから、この例では鈴木氏を最も優先順位の高い候補として選定する。なお平時担当技術者を優先せず、単純に距離だけの判定としてもよい。鈴木氏の位置は地図上では右上の方に丸付き数字の2で表示されている。画面右側の鈴木氏の欄の右端の電話マークを、オペレーターがクリックすると、鈴木氏の携帯電話へ発信することができる。オペレーターが通話して、鈴木氏が対応可能であることが確認できれば、鈴木氏を応動者に選定する。もし鈴木氏が応動対応できなければ、直線距離に基づいた優先順位(鈴木氏を除く)の高い佐藤氏から近い順に各技術者の携帯電話へ発信し対応可否を確認していく。
図8の画面では11人分表示されているが、応動候補者数が11より多ければ、下にスクロールし11人以上の候補者に対し順に対応可否を確認していく。
【0252】
<実施形態3 本システム使用例:応動者の選定例2:一斉連絡>
上記例では、監視センターのオペレーターが応動候補者に一人一人電話をかけて応動対応可否を確認する対応をとったが、一定の距離内に複数の応動候補者がいる場合にはその候補者全員に一度に応動可否確認用メール(プッシュ通知でもよい)を発信し、応動可と返信した応動候補者の中から選定するように構成してもよい。最初にメール発信した候補者の中に応動可と返信した者がいなかった、または返信自体が全くなかった場合は、前回の距離よりも遠い距離に広げて再度応動可否確認用メールを発信する。応動可の回答が得られるまで順次距離を拡大して選定を繰り返すようにしてもよい。上記の電話を掛ける例に比べ、一度に複数の候補者に対し確認できるため、応動者が決まるまでの時間を短くすることができる。
【0253】
<実施形態3 本システム使用例:応動者の誘導>
図9は、応動に対応する応動者に決まった鈴木健二氏を、監視センターのオペレーターが異常情報発した佐藤ビルまで誘導する画面表示例である。車で移動する鈴木氏が、現在いる場所から佐藤ビル最寄りの駐車場までの経路が太線で示されている。この情報を鈴木氏が利用する本システムに接続するための携帯端末または携帯電話(スマートフォンの方が好ましい)へ送信してもよいし、本システム経由で鈴木氏の前記携帯端末へ表示させて随時誘導してもよい。現地の佐藤ビルに駐車可能な駐車場がない場合には、現地までの案内ではなく、最寄りの「空車」の駐車場までの経路を案内することが好ましい。応動者が自転車や原動機付自転車または自動二輪で移動する場合は、対応する駐輪可能な場所までの経路を案内する。徒歩移動であれば、現地までの案内でよい。出入口が建物や敷地内の定まった場所にある場合は、その出入り口まで案内することが好ましい。
【0254】
<実施形態3 処理の流れ>
図13は、実施形態2を基礎とした実施形態3の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作処理のフローチャートである。この図で示すように実施形態3の高圧受変電設備異常時対応システムでは、高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S1301)と、技術者所在地依存応動者決定ルール保持ステップ(j1)(S1302)と、技術者所在地情報保持ステップ(h1)(S1303)と、異常情報取得ステップ(a)(S1304)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S1305)と、技術者通知処理ステップ(e)(S1306)と、技術者通知処理ステップ(e)(S1306)内の所在地依存応動通知処理サブステップ(k1)(S1307)と、例外処理ステップ(d)(S1308)と、を有する。
【0255】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S1301)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する処理を行い、
技術者所在地依存応動者決定ルール保持ステップ(j1)(S1302)は、技術者所在地情報に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである技術者所在地依存応動者決定ルールを保持する処理を行い、
技術者所在地情報保持ステップ(h1)(S1303)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する処理を行い、
異常情報取得ステップ(a)(S1304)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1305)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1305)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
技術者通知処理ステップ(e)(S1306)は、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、
技術者通知処理ステップ(e)(S1306)内の所在地依存応動通知処理サブステップ(k1)(S1307)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者所在地依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1305)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S1308)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0256】
<実施形態3 ハードウェアの説明>
【0257】
実施形態2を基礎とする本実施形態3における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図14を用いて説明する。
【0258】
<実施形態3 ハードウェア構成>
図14は、実施形態2を基礎とする本実施形態3における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0259】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0260】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、例外処理プログラム(d)と、技術者通知処理プログラム(e)と、高圧受変電設備情報保持プログラム(g)と、技術者所在地情報保持プログラム(h1)と、技術者所在地依存応動者決定ルール保持プログラム(j1)と、所在地依存応動通知処理サブプログラム(k1)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報、高圧受変電設備属性情報、高圧受変電設備情報、技術者識別情報、技術者所在地情報、技術者所在地依存応動者決定ルールが格納されている。
【0261】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている高圧受変電設備情報保持プログラム(g)を実行して、変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者所在地依存応動者決定ルール保持プログラム(j1)を実行して、技術者所在地情報に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである技術者所在地依存応動者決定ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者所在地情報保持プログラム(h1)を実行して、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する。または「メインメモリ」に格納されている技術者所在地情報保持プログラム(h1)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し技術者の所持する携帯電話または携帯端末から発信された技術者所在地情報を取得して、技術者識別情報と関連付けて保持してもよい。
そして、「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された技術者通知処理プログラム(e)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、さらに「メインメモリ」に格納された所在地依存応動通知処理サブプログラム(k1)を実行して、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者所在地依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする。
【0262】
本実施形態により、高圧受変電設備属性情報と技術者所在地依存応動者決定ルールと技術者所在地情報に基づいて、異常情報を取得した高圧受変電設備の異常へ対応するために派遣する技術者の中から前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知をすべき技術者を決定し、応動者を決定することができる。
【0263】
<実施形態4 概要>主に請求項4、12、20
実施形態2または3のいずれか一を基礎とする実施形態4は、技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている移動時間依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする移動時間依存応動通知処理手段(K2)を有するように構成される。
【0264】
<実施形態4 機能的構成>
図15に実施形態2を基礎とする実施形態4の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態4の高圧受変電設備異常時対応システム(1500)は、実施形態2の構成に加えて、さらに技術者所在地情報保持部(H1)(1508)と、移動時間依存応動者決定ルール保持部(J2)(1512)と、技術者通知処理部(E)(1505)内に移動時間依存応動通知処理手段(K2)(1517)と、を有する。そのため上記実施形態中で説明していない移動時間依存応動者決定ルール保持部(J2)(1512)と、移動時間依存応動通知処理手段(K2)(1517)とに関してのみ以下説明する。なお実施形態3を基礎としても同様の効果が得られる。
【0265】
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 移動時間依存応動者決定ルール保持部(J2)(1512)>
「移動時間依存応動者決定ルール保持部(J2)」(1512)は、技術者所在地情報から算出される異常高圧受変電設備への移動時間に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである移動時間依存応動者決定ルールを保持するように構成される。
【0266】
「移動時間依存応動者決定ルール」は、例えば非外的広域的要因により異常情報を発信した高電圧受変電設備に対しての距離ではなく移動時間が最も短い技術者を対応可否確認せずに応動者と決定するルールや、移動時間が短い順に技術者へ優先順位をつけて対応可能な最も優先順位の高い技術者を応動者と決定するルールや、移動手段毎に(例:徒歩、自転車、バイク、自動車、バス、電車、自動車の場合有料道路使用有無、電車の場合特急使用有無)移動時間の短い順に優先順位を付けて応動可能な最も優先順位の高い技術者を応動者と決定するルールなどである。
【0267】
なお、技術者が前記高圧受変電装置へ移動するのに要する移動時間は最大2時間以内とすることが望ましい。保安点検を担当する技術者である電気主任技術者は、自家工作物である当該高圧受変電設備に2時間以内に到着できなければならないためである。
【0268】
距離的には異常情報を発信した高圧受変電設備に近い技術者であっても、移動手段によっては、逆に遠い技術者の方が短い移時間である場合がある。例えば、5km離れた場所にいる移動手段が自転車の技術者と、10km離れた場所にいる移動手段が自動車の技術者では、道路が空いていれば自動車を移動手段として用いる技術者のほうが短い移動時間となる。逆に道路が渋滞している場合には、渋滞している自動車の脇を移動できる自転車又は自動二輪を利用する技術者の方が短い移動時間で到達できる。また、自動車で移動する技術者では、一般道を使用した場合と高速道路を使用した場合の時間差や、移動経路の速度規制や、車線数の情報や、工事や事故などによる交通規制や渋滞情報や、自然渋滞や、自動車専用道路の有無などによっても移動時間が変わる。例えば高速道が天候や事故により最高速度が制限された場合は、通常よりも余計に時間がかかる。
【0269】
そのため後記する移動時間依存応動通知処理手段(K2)にて移動時間依存応動者決定ルールに基づいて応動者を決定するためには、
道路を走行する自動車(自動2輪を含む)の速度規制(一般道や高速道の法定最高速度)を示す速度規制情報や、自動車以外の各種移動手段(徒歩、自転車、原動機付き自転車、電車、特急、新幹線、気動車、バス、路面電車など)の標準的速度を示す移動手段毎標準速度情報や、道路の交通規制(一方通行やチェーン着用や車線数)や事故発生や自然渋滞などによる道路の渋滞を示す道路交通情報や、電車の運行状況情報などの交通情報などを取得する交通情報取得部と、
技術者の移動手段を示す情報である技術者移動手段情報と技術者所在地情報と高圧受変電設備属性情報と移動時間を算出するための移動時間算出ルールとに基づいて、移動経路とその移動時間を算出する技術者移動時間算出部と、
をさらに本システムが有するように構成することが好ましい。
【0270】
応動者を決定する際に、平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者へまず対応可否を確認し、対応不可の場合に応動を代行する技術者を前記例示したルールなどにより選定し決定するルールとしてもよい。または、移動時間が短く優先順位の高い(例:5分以内、10分以内、2時間以内など)応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知でも可)などで対応可否問い合わせを送付し、最も早く応答可と返信があった技術者を応動者と決定するルールでもよい。平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者を第一優先とし、技術者所在地情報からの移動時間が短く優先順位の高い(例:5分以内、10分以内、2時間以内など)応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付するといったルールとしてもよい。
【0271】
<実施形態4 移動時間依存応動通知処理手段(K2)(1517)>
「移動時間依存応動通知処理手段(K2)」(1517)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている移動時間依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするように、技術者通知処理部(E)(1505)内に構成される。
【0272】
「通知すべき技術者の決定」とは、例えば次に例を示す技術者へ優先順位付けである。非外的広域的要因により異常情報を発信した高圧受変電設備の地理的位置を示す高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報と、移動時間依存応動者決定ルールとに基づいて、技術者の所在地から前記高圧受変電設備への移動時間を求め、通知すべき技術者を決定する。例えば、前記のように技術者の所在地から高圧受変電設備までの移動時間や、移動手段毎の移動時間によって応動候補者となる技術者に優先順位をつけて(移動時間が短いほど優先順位が高い)、通知すべき技術者を決定する。
【0273】
「応動通知を含む処理」とは、例えば次に示すような、技術者へ応答可否を問い合わせし、問い合わせの結果により応動者を決定するといった処理である。優先順位に応じて技術者一人ずつに応答可否を確認していったり、優先順位の高い技術者から所定の順位まで又は所定の距離や地域に所在する技術者まで一斉に応答可否問い合わせを送信(例:メール、SMS、プッシュ通知、自動音声発信など)したりすることによって、優先順位の高い方の技術者に決定する。さらに一斉に応答可否問い合わせを送信してから所定の待ち時間以内に応答可と返信あった技術者の中で最も優先順位の高い技術者を応動者として決定するように構成してもよい。
【0274】
応動対応した技術者に対し、応動対応の対価を算定して支払うための処理も応動通知を含む処理に含めることができる。そのためには、応動者に対し応動対応の対価を算定するための応動対価算定ルールを保持する応動対価算定ルール保持部と、異常情報と異常情報に含まれる高圧受変電設備識別情報に関連付けられる高圧受変電設備情報と応動対価算定ルールに基づいて応動対応の対価を算定する応動対価算定部と、応動対応の対価を応動者へ支払うための処理をする応動対価支払処理部とを、さらに有することで達成できる。
【0275】
移動手段として自動車を利用する技術者が、なるべく早く異常高圧受変電設備設置場所へ到着するように応動対応するために高速道などの有料道路を使用したり、電車又は特急等を技術者が利用したりした場合に、要したガソリン代や有料道路通行料金または高速道路料金や、電車代や特急料金などを、応動対応に対する対価とは別に必要経費として支払うように構成することができる。そのためには、応動者の移動手段を示す情報である応動者移動手段情報を登録する応動者移動手段情報登録部と、応動者の応動対応前所在地と異常高圧受変電設備の所在地までの経路を示す情報を登録する応動経路情報登録部と、応動者の移動手段と応動経路に基づいて応動時の移動に要した費用を算出する応動移動費用算出部とをさらに有し、応動対価支払処理部は応動移動費用を応動者へ支払うための処理をする応動移動費用支払処理手段をさらに有するように構成することで達成できる。
【0276】
応動経路情報については、応動者の応動前所在地と異常高圧受変電設備の高圧受変電設備情報(高圧受変電設備情報に含まれる高圧受変電設備位置情報)と応動者移動手段情報に基づいて、自動的に移動経路情報を取得し登録するように構成してもよい。
【0277】
応動者が移動に利用する自動車によって燃費が大きく変わることとガソリン単価が日々変動するために、応動移動手段を登録する際に燃費とガソリン単価を登録できるように構成するか、車種ごとに標準燃費を示す標準燃費情報を保持する標準燃費情報保持手段をさらに応動者移動手段情報登録部に有し、ガソリン単価情報を取得するガソリン単価取得手段をもさらに有するように構成することが好ましい。または登録された応動移動手段情報を編集する応動移動手段情報編集手段を応動者移動手段情報登録部に有するように構成することが好ましい。
【0278】
<実施形態4 >
以下に、本システムを用いて技術者を選定し応動者を決定する例を、図を用いて説明する。
【0279】
<実施形態4 本システム使用例:応動者>
図8は応動候補である技術者の中から、本異常情報に対応できる応動者を決定するためのPC端末画面例である。右側の応動候補者は佐藤ビルに移動時間が短い順に掲載されている(
図8の例では直線距離と予測移動時間が併記されている)。中央の地図には、佐藤ビルから2.0kmほど離れた第6位の渡邊六花氏までを表示している。移動時間は遠くても早い移動手段を持った者の方が、近いが遅い移動手段を持った者よりは短くなるため、地図上の移動時間長短の視覚的表現が難しい。そこで、
図8の地図では直線距離の同心円が参考表示されている。中央の地図は適宜拡大縮小可能ではあるが、連絡を取ろうとする応動候補者に合わせて、佐藤ビルを表示内に入れながら自動的に縮尺が変わるように構成することができる。なお地図を表示させずに、佐藤ビル(異常高圧受変電設備)を中心として、各技術者がいる方位と、移動時間の長さを用いて、候補となる技術者を表示するように
図8に示すPC画面の中央部分を別途構成することもできる
【0280】
図8では異常情報発信した高圧受変電設備設置場所から2kmまでの距離内の応動候補者である技術者の所在地を500m刻みの同心円で表示しているが、5km、10km、20kmといったより大きな範囲での応動候補者所在地表示でもよい。技術者の数が少ない地域の場合、異常情報発信した場所のすぐ近くに技術者がいるとは限らないからである。保安点検を担当する技術者である電気主任技術者は、自家工作物である当該高圧受変電設備に2時間以内に到着できればよいため、20kmや30kmといった離れた場所にいる技術者に対し応動依頼する場合もある。
【0281】
図8では直線距離1.0kmの円内に、移動時間10分の佐藤氏と同11分の鈴木氏の2名の技術者が位置している。1.0kmの円のみ表示している状態で前記2名の技術者に対し応動対応可否を問い合わせて2名とも応動対応不可の返答だった場合には、1.0kmの円を消し次に1.5kmの円を表示させて、1.0km以上1.5km以下の範囲に位置している3名の技術者(移動時間15分から17分)に対し応動可否を問い合わせるといったように順次範囲を拡大して、応動通知を含む処理を行うように構成することができる。ただし移動時間の最大は2時間として技術者の選定を行い、応動者を決定するように構成することが望ましい。上記のように保安点検を担当する電気主任技術者は対象となる高圧受変電設備へ2時間以内に到着できなければならないからである。応動可否の問い合わせは、前記実施形態のように移動時間範囲内の応動候補者となる技術者全員へメール配信やプッシュ通知したり、自動音声発信による電話で行ったりすることができる。各技術者が携帯する携帯端末上で動作する本システム用アプリが本システムのサーバ装置に接続している場合、前記アプリを介して応動対応可否をプッシュ通知または音声通話にて問い合わせてもよい。
【0282】
<実施形態4 本システム使用例:応動者の選定例1:順次連絡>
図8の例では佐藤ビルへの移動時間が最も短い技術者は佐藤 創氏であり、経路的に見て10分で到着可能見込みということを示している。2番目の鈴木健二氏は移動時間11分の場所にいる。鈴木氏の氏名に下線が引かれているのは、佐藤ビルの高圧受変電設備の平時の担当技術者であることを示している。平時とは異常情報が発信されておらず、該当高圧受変電設備が正常に稼働していると考えられる状態の時であり、平時担当技術者とは平時に自家工作物である前記設備の保安点検を担当する電気技術者として選任された電気主任技術者である。
【0283】
鈴木氏が該当設備の平時担当技術者であることと、現地から移動時間11分で到着できる見込みであることから、鈴木氏を候補として選定する。地図上では右上の方に丸付き数字の2で表示されている。11分という表記の右側の電話のマークを、オペレーターがクリックすると、鈴木氏の携帯電話へ発信することができる。オペレーターが通話して、鈴木氏が対応可能であることが確認できれば、鈴木氏を応動者に選定する。もし鈴木氏が応動対応できなければ、移動時間の短い順に各技術者の携帯電話へ発信し対応可否を確認していく。
図8の画面では11人分表示されているが、応動候補者数が11人より多ければ、下にスクロールし11人以上の候補者に対し順に対応可否を確認していく。
【0284】
<実施形態4 本システム使用例:応動者の選定例2:一斉連絡>
上記例では、監視センターのオペレーターが応動候補者に一人一人電話をかけて応動対応可否を確認する対応をとったが、一定の距離内に複数の応動候補者がいる場合にはその候補者全員に一度に応動可否確認用メールを発信し、応動可と返信した応動候補者の中から選定するように構成してもよい。最初にメール発信した候補者の中に応動可と返信した者がいなかった、または返信自体が全くなかった場合は、前回の距離よりも遠い距離に広げて再度応動可否確認用メールを発信する。応動可の回答がもらえるまで順次距離を拡大して選定を繰り返すようにしてもよい。上記の電話を掛ける例よりは、一度の複数の候補者に対し確認できるため、応動者が決まるまでの時間が少なく済ませることができる。
【0285】
応動者が決定した後は、前記実施形態3で説明したように応動者を、異常情報を発信した異常高圧受変電設備の設置場所まで誘導することもできる。
【0286】
本実施形態4では、技術者の所在地から異常高圧受変電設備までの移動時間に基づいて、異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者を決定したが、技術者の所在地から異常高圧受変電設備までの距離(例:直線距離、経路上距離)と、移動時間の両方に基づいて派遣する技術者を決定するように構成することもできる。その場合、例えば複数の技術者が、異常高圧受変電設備から同じ距離の異なる場所にいる場合に、移動時間が短い技術者を高い優先順位とするといった応動者決定ルールが考えられる。
【0287】
<実施形態4 処理の流れ>
図16は、実施形態2を基礎とした実施形態4の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作処理のフローチャートである。この図で示すように実施形態4の高圧受変電設備異常時対応システムでは、高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S1601)と、移動時間依存応動者決定ルール保持ステップ(j2)(S1602)と、技術者所在地情報保持ステップ(h1)(S1603)と、異常情報取得ステップ(a)(S1604)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S1605)と、技術者通知処理ステップ(e)(S1606)と、技術者通知処理ステップ(e)(S1606)内の移動時間依存応動通知処理サブステップ(k2)(S1607)と、例外処理ステップ(d)(S1608)と、を有する。なお実施形態3を基礎としても同様の効果が得られる。
【0288】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S1601)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する処理を行い、
移動時間依存応動者決定ルール保持ステップ(j2)(S1602)は、技術者所在地情報から算出される異常高圧受変電設備への移動時間に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである移動時間依存応動者決定ルールを保持する処理を行い、
技術者所在地情報保持ステップ(h1)(S1603)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する処理を行い、
異常情報取得ステップ(a)(S1604)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1605)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1605)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
技術者通知処理ステップ(e)(S1606)は、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、
技術者通知処理ステップ(e)(S1606)内の移動時間依存応動通知処理サブステップ(k2)(S1607)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている移動時間依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S1605)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S1608)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0289】
<実施形態4 ハードウェアの説明>
【0290】
実施形態2または3のいずれか一を基礎とする本実施形態4における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図17を用いて説明する。
【0291】
<実施形態4 ハードウェア構成>
図17は、実施形態2を基礎とする本実施形態4における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態3を基礎としても同様の効果が得られる。
【0292】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0293】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、例外処理プログラム(d)と、技術者通知処理プログラム(e)と、高圧受変電設備情報保持プログラム(g)と、技術者所在地情報保持プログラム(h1)と、移動時間依存応動者決定ルール保持プログラム(j2)と、移動時間依存応動通知処理サブプログラム(k2)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報、高圧受変電設備属性情報、高圧受変電設備情報、技術者識別情報、技術者所在地情報、移動時間依存依存応動者決定ルールが格納されている。
【0294】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている高圧受変電設備情報保持プログラム(g)を実行して、変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている移動時間依存応動者決定ルール保持プログラム(j2)を実行して、技術者所在地情報から算出される異常高圧受変電設備への移動時間に基づいて後記する応動者を決定するためのルールである移動時間依存応動者決定ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者所在地情報保持プログラム(h1)を実行して、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する。または「メインメモリ」に格納されている技術者所在地情報保持プログラム(h1)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し技術者の所持する携帯電話または携帯端末から発信された技術者所在地情報を取得して、技術者識別情報と関連付けて保持してもよい。
そして、「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された技術者通知処理プログラム(e)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、さらに「メインメモリ」に格納された移動時間依存応動通知処理サブプログラム(k2)を実行して、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている移動時間依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする。
【0295】
本実施形態により、高圧受変電設備属性情報と移動時間依存応動者決定ルールと技術者所在地情報に基づいて、移動時間に基づいて異常情報を取得した高圧受変電設備の異常へ対応するために派遣する技術者の中から前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知をすべき技術者を決定し、応動者を決定することができる。
【0296】
<実施形態5 概要>主に請求項5、13、21
実施形態2から4のいずれか一を基礎とする実施形態5では、技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されているスケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするスケジュール依存応動通知処理手段(K3)を有するように構成される。
【0297】
<実施形態5 機能的構成>
図18に実施形態2を基礎とする実施形態5の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態5の高圧受変電設備異常時対応システム(1800)は、実施形態2の構成に加えて、さらに技術者スケジュール情報保持部(H2)(1809)と、スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J3)(1813)と、技術者通知処理部(E)(1805)内にスケジュール依存応動通知処理手段(K3)(1818)と、を有する。そのため上記実施形態中で説明していない技術者スケジュール情報保持部(H2)(1809)と、スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J3)(1813)と、スケジュール依存応動通知処理手段(K3)(1818)とに関してのみ以下説明する。なお実施形態3又は4のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0298】
<実施形態5 構成の説明>
<実施形態5 技術者スケジュール情報保持部(H2)(1809)>
「技術者スケジュール情報保持部(H2)」(1809)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持するように構成される。
【0299】
「技術者スケジュール情報」は、応動通知を発する技術者の候補者を検索選定する際に、使用する情報であり、前記選定時の候補者が対応できる時間帯を把握できるように、時間的な所在予定を示す情報である。例えばある技術者のスケジュールとして、月曜日午前中はAビルにいて点検対応のため応動不可、午後は自宅兼事務所でデスクワークのため応動対応可、火曜日は午前がBビルの点検作業、午後がC病院で点検作業のため一日応動不可、水木は定休日のため対応不可、といった時間的な情報である。さらには、何月何日から何月何日までは休暇取得のため対応不可といった予定や、22時から5時までの深夜時間対応不可とか、上記例のように土日対応不可といった休暇情報を設定することもできる。もちろん、異常時に対応のため派遣する技術者を選定し決定するための情報であるため、対応不可の時間帯だけではなく、逆に深夜時間や土日対応可と登録申請しておくように構成することもできる。
【0300】
技術者が本システムへ接続するための携帯端末(例:タブレット、ノートPC等)を利用している場合に、自分の平時の保安点検業務予定や余暇の予定をスケジュールとして記載して、本システムに登録するように構成するとよい。そのためには、技術者自身又は技術者に代わる者が技術者スケジュール情報を技術者識別情報と関連付けて登録する技術者スケジュール情報登録部を本システムに有するように構成することで達成できる。技術者スケジュール情報登録部にて本システムに登録された技術者情報は、技術者スケジュール情報保持部(H2)に保持される。
【0301】
図19に、本システムに接続できる携帯端末を使用して、技術者が自身のスケジュールを入力した例を示す。
図19は、高圧受変電設備の保安点検を担当する電気主任技術者である鈴木健二氏の、2023年7月第3週のスケジュールをしめす。薄灰色のスケジュールが年次点検、濃灰色のスケジュール月次点検である。高圧受変電設備の月次点検は通常設備を止めず稼働状態で、漏電の有無や機器温度や外観などを確認するであり、検査自体の所要時間は短い。年次点検は、事業場や施設や建物内全体を停電させ、高圧部の絶縁良否や高圧ブレーカーの動作良否や、その他各機器の詳細点検行うものであり、停電開始から復帰までを行うため長時間を要する。
【0302】
7月11日(火)は佐藤ビルの年次点検であり、規模が小さいビルであるため1日で完了する予定として記入されている。7月14日(金)から翌15日(土)は墨東製作所の年次点検であり、前記佐藤ビルよりも事業場が大きく点検箇所が多いため、24時間以上年次点検に要する予定となっている。また、7月15日(土)の15時以降と翌16日は休みとされている。点検作業等の予定は移動時間込みで記入するように構成してもよいし、移動時間は別枠で点検作業の前後に移動時間として記入するように構成してもよい。
図19に示す例では移動時間も点検作業に含めて記入している。
【0303】
図19に示した鈴木氏のスケジュールを示す技術者スケジュール情報は、携帯端末を介して本システムの技術者スケジュール情報登録部に登録され、鈴木氏の技術者識別情報と関連付けて技術者スケジュール情報保持部(H2)に保持される。
【0304】
図19に示した鈴木氏のスケジュールからは、もし異常情報を本システムが取得した場合に鈴木氏が応動候補者に選定されるのは、各事業場の月次点検及び年次点検に当たっておらず、休み(7月15日15時から7月16日全日)でもない時間帯となる。例えば7月10日の16時以降、12日の12時以降、13日の12時以降、15日の12時から14時が異常情報受信に対応して応動可能な時間帯である。その他に事務所での作業時間帯もスケジュール依存応動者決定ルールによっては応動可能な時間帯としてもよい。
【0305】
図19には図示していないが、他に、対応不可時間帯や対応不可曜日や対応不可日を別途登録できるように構成することが好ましい。例えば、対応不可時間帯として22時から翌日5時の深夜時間帯を登録したり、対応不可曜日として土日または定休日を登録したり、対応不可日として毎月の月末や年末年始や盆などの特定の日を登録したりするとよい。
【0306】
<実施形態5 スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J3)(1813)>
「スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J3)」(1813)は、技術者スケジュール情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールであるスケジュール依存応動者決定ルールを保持するように構成される。
【0307】
「スケジュール依存応動者決定ルール」は、例えば非外的広域的要因により異常情報を発信した高電圧受変電設備の異常に対応するために通知すべき技術者の候補を選定する際に、技術者スケジュール情報に基づいて優先順位付けをするためのルールである。異常情報に異常の内容を示す情報(または異常を識別する情報)を含むように構成し、異常の対応に要する標準的な対応時間の概算を見積もったうえで、見積もった概算対応時間以上に対応可能時間を有する技術者を候補と選定するルールとすることが好ましい。優先順位の例としては、高い順に、記載および対応不可指定のない日中時間帯(例:9時から17時)、事務所でのデスクワーク時間、他事業所の点検作業後に事務所へ戻る移動時間、夕方の点検作業又はデスクワーク等の終了時刻から対応不可時間帯までの時間である。別例として、緊急性の高い異常の場合には、優先順位としては下の方に「休み」と記入のある時間帯を加えてもよい。
【0308】
図19に示した鈴木氏のスケジュールを例とすると、鈴木氏が19時から翌8時までが対応不可時間帯であり、日曜日を対応不可曜日に設定していた場合には、7月10日16時―19時、7月11日18時―19時、7月12日18時―19時、7月13日18時―19時の優先順位が最も高く、次に7月12日12-18時、7月13日12-18時、7月15日13時―15時である。緊急性の高い異常の場合、7月15日15時―19時も候補になりうる。
【0309】
応動者を決定する際に、平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者へまず対応可否を確認し、対応不可の場合に応動を代行する技術者を前記例示したルールなどにより選定し、優先順位の順に応答可否を確認し決定するルールとしてもよい。または、優先順位の高い応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付し、最も早く応答可と返信があった技術者を応動者と決定するルールでもよい。平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者を第一優先とし、技術者スケジュール情報からの優先順位の高い応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付するといったルールとしてもよい。
【0310】
<実施形態5 スケジュール依存応動通知処理手段(K3)(1818)>
「スケジュール依存応動通知処理手段(K3)」(1818)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されているスケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするように、技術者通知処理部(E)(1805)内に構成される。
【0311】
「通知すべき技術者の決定」とは、例えば次に例を示す技術者へ優先順位付けである。非外的広域的要因により異常情報を発信した高圧受変電設備の地理的位置を示す高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報と、スケジュール依存応動者決定ルールとに基づいて、技術者のスケジュールから対応可能な状態にあると考えられる技術者を候補として優先順位を付けて選定し、通知すべき技術者を決定する。
【0312】
「応動通知を含む処理」とは、例えば次に示すような、技術者へ応答可否問い合わせし、問い合わせの結果応動者を決定するといった処理である。優先順位に応じて技術者一人ずつに応答可否を確認していったり、優先順位の高い技術者から所定の順位まで又は所定の距離や地域に所在する技術者まで一斉に応答可否問い合わせを送信(例:メール、SMS、プッシュ通知、自動音声発信など)したりすることによって、優先順位の高い方の技術者に決定する。さらに一斉に応答可否問い合わせを送信してから所定の待ち時間以内に応答可と返信あった技術者の中で最も優先順位の高い技術者を応動者として決定するように構成してもよい。応動者の決定については、実施形態3または4と同様に優先順位にそって行うことができる。
【0313】
候補となる技術者の選定に際して、後記実施形態6のように技術者所在地情報と技術者スケジュール情報の両方を使用するように構成することもできる。技術者のスケジュール的に対応可能性があり、かつなるべく早く現地に到着できる技術者に決定することができる。
【0314】
<実施形態5 処理の流れ>
図20は、実施形態2を基礎とした実施形態5の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作処理のフローチャートである。この図で示すように実施形態5の高圧受変電設備異常時対応システムでは、高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S2001)と、スケジュール依存応動者決定ルール保持ステップ(j3)(S2002)と、技術者スケジュール情報保持ステップ(h2)(S2003)と、異常情報取得ステップ(a)(S2004)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S2005)と、技術者通知処理ステップ(e)(S2006)と、技術者通知処理ステップ(e)(S2006)内のスケジュール依存応動通知処理サブステップ(k3)(S2007)と、例外処理ステップ(d)(S2008)と、を有する。なお実施形態3または4のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0315】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S2001)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する処理を行い、
スケジュール依存応動者決定ルール保持ステップ(j3)(S2002)は、技術者スケジュール情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールであるスケジュール依存応動者決定ルールを保持する処理を行い、
技術者スケジュール情報保持ステップ(h2)(S2003)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持する処理を行い、
異常情報取得ステップ(a)(S2004)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2005)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2005)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
技術者通知処理ステップ(e)(S2006)は、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、
技術者通知処理ステップ(e)(S2006)内のスケジュール依存応動通知処理サブステップ(k3)(S2007)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されているスケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2005)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S2008)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0316】
<実施形態5 ハードウェアの説明>
【0317】
実施形態2から4のいずれか一を基礎とする本実施形態5における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図21を用いて説明する。
【0318】
<実施形態5 ハードウェア構成>
図21は、実施形態2を基礎とする本実施形態5における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態3を基礎としても同様の効果が得られる。なお、実施形態3又は4のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0319】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0320】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、例外処理プログラム(d)と、技術者通知処理プログラム(e)と、高圧受変電設備情報保持プログラム(g)と、技術者スケジュール情報保持プログラム(h2)と、スケジュール依存応動者決定ルール保持プログラム(j3)と、スケジュール依存応動通知処理サブプログラム(k3)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報、高圧受変電設備属性情報、高圧受変電設備情報、技術者識別情報、技術者スケジュール情報、スケジュール依存依存応動者決定ルールが格納されている。
【0321】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている高圧受変電設備情報保持プログラム(g)を実行して、変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されているスケジュール依存応動者決定ルール保持プログラム(j3)を実行して、技術者スケジュール情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールであるスケジュール依存応動者決定ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者スケジュール情報保持プログラム(h2)を実行して、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された技術者通知処理プログラム(e)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、さらに「メインメモリ」に格納されたスケジュール依存応動通知処理サブプログラム(k3)を実行して、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されているスケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする。
【0322】
本実施形態5により、高圧受変電設備属性情報とスケジュール依存応動者決定ルールと技術者スケジュール情報に基づいて、技術者のスケジュールに基づいて対応可能性の高い技術者を選定し、異常情報を取得した高圧受変電設備の異常へ対応するため前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知をすべき技術者を決定し、応動者を決定することができる。
【0323】
<実施形態6 概要>主に請求項6、14、22
実施形態2から5のいずれか一を基礎とする実施形態6では、技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されている所在地スケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする所在地スケジュール依存応動通知処理手段(K4)を有するように構成される。
【0324】
<実施形態6 機能的構成>
図22に実施形態2を基礎とする実施形態6の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態6の高圧受変電設備異常時対応システム(2200)は、実施形態2の構成に加えて、さらに技術所在地情報保持部(H1)(2208)と、技術者スケジュール情報保持部(H2)(2209)と、所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J4)(2214)と、技術者通知処理部(E)(2205)内に所在地スケジュール依存応動通知処理手段(K4)(2219)と、を有する。そのため上記実施形態中で説明していない所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J4)(2214)と、所在地スケジュール依存応動通知処理手段(K4)(2219)に関してのみ以下説明する。なお実施形態3から5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0325】
<実施形態6 構成の説明>
<実施形態6 所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J4)(2214)>
「所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持部(J4)」(2214)は、技術者所在地情報および技術者スケジュール情報と、に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである所在地スケジュール依存応動者決定ルールを保持するように構成される。
【0326】
「所在地スケジュール依存応動者決定ルール」は、例えば非外的広域的要因により異常情報を発信した高電圧受変電設備の異常に対応するために通知すべき技術者の候補を選定する際に、技術者所在地情報と技術者スケジュール情報に基づいて優先順位付けをするためのルールである。例えば、異常高圧受変電設備から10km以内に居て、スケジュールに対応できる可能性の高い技術者を優先順位付けしたうえで候補として選定し、対応可否を確認したうえで応動者を決定する。技術者所在地情報と技術者スケジュール情報に基づく優先順位の付け方のルールとしては、所在地をスケジュールよりも優先する順位の付け方のルールや、スケジュールを所在地より優先する優先順位の付け方のルールや、両方同じ重みづけで順位をつけるルールが考えられる。
【0327】
所在地を優先する場合には、例えばまず所在地で優先順位をつけ、直線距離や経路上距離が同等の技術者であって優先順位が同じ技術者については、空き時間や事務作業などより対応の可能性が高いスケジュールの技術者を高い優先順位とする優先順位の付け方のルールである。または例えば、優先順位が高いほどより多くの得点を与えた場合、所在地の得点に対し、スケジュールの得点を1/2倍したうえで足し合わせ、その合計値の大きい順に改めて順位付けするというルールである。
【0328】
スケジュールを優先する場合には、例えば空き時間や事務作業などより異常情報への対応の可能性が高いスケジュールの技術者を高い順位とする優先順位を付け、順位が同じ場合には距離の近い技術者を高い優先順位とするといった優先順位付けルールが考えられる。または例えば、優先順位が高いほどより多くの得点を与えた場合、スケジュールの得点に対し、所在地の得点を1/2倍したうえで足し合わせ、その合計値の大きい順に改めて順位付けするというルールである。
【0329】
所在地とスケジュールの重みづけを均等にする場合の例は、例えば、優先順位が高いほどより多くの得点を与える場合、スケジュールの得点と、所在地の得点を重みづけせずに足し合わせ、その合計値の大きい順に改めて順位付けするというルールである。
【0330】
応動者を決定する際に、平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者へまず対応可否を確認し、対応不可の場合に応動を代行する技術者を前記例示したルールなどにより選定し、優先順位の順に応答可否を確認し決定するルールとしてもよい。または、優先順位の高い応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付し、最も早く応答可と返信があった技術者を応動者と決定するルールでもよい。平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者を第一優先とし、技術者スケジュール情報からの優先順位の高い応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付するといったルールとしてもよい。
【0331】
<実施形態6 所在地スケジュール依存応動通知処理手段(K4)(2219)>
「所在地スケジュール依存応動通知処理手段(K4)」(2219)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されている所在地スケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするように、技術者通知処理部(E)(2205)内に構成される。
【0332】
「通知すべき技術者の決定」とは、例えば次に例を示す技術者へ優先順位付けである。非外的広域的要因により異常情報を発信した高圧受変電設備の地理的位置を示す高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、技術者所在地情報と、技術者スケジュール情報と、所在地スケジュール依存応動者決定ルールとに基づいて、技術者の所在地とスケジュールから対応可能な状態にあると考えられる技術者を候補として優先順位を付けて選定し、通知すべき技術者を決定する。
【0333】
「応動通知を含む処理」とは、例えば次に示すような、技術者へ応答可否問い合わせし、問い合わせの結果応動者を決定するといった処理である。優先順位に応じて技術者一人ずつに応答可否を確認していったり、優先順位の高い技術者から所定の順位まで又は所定の距離や地域に所在する技術者まで一斉に応答可否問い合わせを送信(例:メール、SMS、プッシュ通知、自動音声発信など)したりすることによって、優先順位の高い方の技術者に決定する。さらに一斉に応答可否問い合わせを送信してから所定の待ち時間以内に応答可と返信あった技術者の中で最も優先順位の高い技術者を応動者として決定するように構成してもよい。応動者の決定については、前記実施形態3から5と同様に優先順位にそって行うことができる。
【0334】
候補となる技術者の選定に際して、技術者所在地情報から見積もった技術者が異常高圧受変電設備へ到着するまでに要する移動時間を示す情報である技術者移動時間情報と、技術者スケジュール情報の両方を使用するように構成することもできる。技術者のスケジュール的に対応可能性があり、かつなるべく早く現地に到着できる技術者に決定することができる。
【0335】
<実施形態6 処理の流れ>
図23は、実施形態2を基礎とした実施形態6の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作処理のフローチャートである。この図で示すように実施形態6の高圧受変電設備異常時対応システムでは、高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S2301)と、所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持ステップ(j4)(S2302)と、技術者所在地情報保持ステップ(h1)(S2303)と、技術者スケジュール情報保持ステップ(h2)(S2304)と、異常情報取得ステップ(a)(S2305)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S2306)と、技術者通知処理ステップ(e)(S2307)と、技術者通知処理ステップ(e)(S2307)内の所在地スケジュール依存応動通知処理サブステップ(k4)(S2308)と、例外処理ステップ(d)(S2309)と、を有する。なお実施形態3から5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0336】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S2301)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する処理を行い、
所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持ステップ(j4)(S2302)は、技術者所在地情報および技術者スケジュール情報と、に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである所在地スケジュール依存応動者決定ルールを保持する処理を行い、
技術者所在地情報保持ステップ(h1)(S2303)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する処理を行い、
技術者スケジュール情報保持ステップ(h2)(S2304)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持する処理を行い、
異常情報取得ステップ(a)(S2305)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2306)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2306)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
技術者通知処理ステップ(e)(S2307)は、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、
技術者通知処理ステップ(e)(S2307)内の所在地スケジュール依存応動通知処理サブステップ(k4)(S2308)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されている所在地スケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2306)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S2309)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0337】
<実施形態6 ハードウェアの説明>
【0338】
実施形態2から5のいずれか一を基礎とする本実施形態6における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図24を用いて説明する。
【0339】
<実施形態6 ハードウェア構成>
図24は、実施形態2を基礎とする本実施形態6における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態3を基礎としても同様の効果が得られる。なお、実施形態3から5のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0340】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0341】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、例外処理プログラム(d)と、技術者通知処理プログラム(e)と、高圧受変電設備情報保持プログラム(g)と、技術者所在地情報保持プログラム(h1)と、技術者スケジュール情報保持プログラム(h2)と、所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持プログラム(4)と、所在地スケジュール依存応動通知処理サブプログラム(k4)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報、高圧受変電設備属性情報、高圧受変電設備情報、技術者識別情報、技術者所在地情報、技術者スケジュール情報、所在地スケジュール依存依存応動者決定ルールが格納されている。
【0342】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている高圧受変電設備情報保持プログラム(g)を実行して、変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている所在地スケジュール依存応動者決定ルール保持プログラム(j4)を実行して、技術者所在地情報および技術者スケジュール情報と、に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである所在地スケジュール依存応動者決定ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者所在地情報保持プログラム(h1)を実行して、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の所在地を示す情報である技術者所在地情報を関連付けて保持する。または「メインメモリ」に格納されている技術者所在地情報保持プログラム(h1)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し技術者の所持する携帯電話または携帯端末から発信された技術者所在地情報を取得して、技術者識別情報と関連付けて保持してもよい。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者スケジュール情報保持プログラム(h2)を実行して、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者のスケジュールを示す情報である技術者スケジュール情報を関連付けて保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された技術者通知処理プログラム(e)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、さらに「メインメモリ」に格納された所在地スケジュール依存応動通知処理サブプログラム(k4)を実行して、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者所在地情報と、保持されている技術者スケジュール情報と、保持されている所在地スケジュール依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする。
【0343】
本実施形態6により、高圧受変電設備属性情報と所在地スケジュール依存応動者決定ルールと技術者所在地情報と技術者スケジュール情報に基づいて、技術者の所在地(異常高圧受変電設備までの距離を含む)とスケジュールに基づいて対応可能性の高い技術者を選定し、異常情報を取得した高圧受変電設備の異常へ対応するため前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知をすべき技術者を決定し、応動者を決定することができる。
【0344】
<実施形態7 概要>主に請求項7、15、23
実施形態2から6のいずれか一を基礎とする実施形態7では、技術者通知処理部(E)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている技術者の応動履歴(応動通知を受けて異常対応した回数を含む履歴)を示す情報である技術者応動履歴情報と、保持されている応動履歴依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする応動履歴依存応動通知処理手段(K5)を有するように構成される。
【0345】
<実施形態7 機能的構成>
図25に実施形態2を基礎とする実施形態7の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態7の高圧受変電設備異常時対応システム(2500)は、実施形態2の構成に加えて、さらに技術者応動履歴情報保持部(H3)(2510)と、応動履歴依存応動者決定ルール保持部(J5)(2515)と、技術者通知処理部(E)(2505)内に応動履歴依存応動通知処理手段(K5(2520)と、を有する。そのため上記実施形態中で説明していない技術者応動履歴情報保持部(H3)(2510)と、応動履歴依存応動者決定ルール保持部(J5)(2515)と、応動履歴依存応動通知処理手段(K5)(2520)とに関してのみ以下説明する。なお実施形態3から6のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0346】
<実施形態7 構成の説明>
<実施形態7 技術者応動履歴情報保持部(H3)(2510)>
「技術者応動履歴情報保持部(H3)」(2510)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の過去の応動履歴を示す情報である技術者応動履歴情報を関連付けて保持するように構成される。
【0347】
「技術者応動履歴情報」は、過去にその技術者が応動通知に対応して応動した履歴を示す情報である。技術者応動履歴情報は、例えば応動した年月日と、異常対応した高圧受変電設備の高圧受変電設備識別情報、その高圧受変電設備の属性を示す情報である高圧受変電設備属性情報、異常の概要(例:停電、漏電、設備温度異常など)、応動対応した技術者の作業時間や応動対応時の作業コストなどを含む。少なくとも応動履歴に基づいて応動回数を取得できるような情報である。技術者応動履歴情報には、上記のほかに、応動した対象である高圧受変電設備が応動後長く正常状態が保たれたか叉は短期で異常状態(同じ異常状態、異なる異常状態の両方の場合を含む)になったかという応動結果を示す情報である応動結果情報をも含めることができる。
【0348】
技術者応動履歴情報には、技術者が応動対応した時の作業時間や作業コスト、応動結果情報を含めることができることは上述した。それらの情報に対し正負の点数付けを行いその合計値をも前記技術者応動履歴情報に含めて保持するように構成することができる。例えば標準的な作業時間や作業コストに対して上回ったかまたは下回ったかによって、上回った場合は「-」、下回った場合は「+」の符号で、標準との差異の大きさによって点数の大きさを変えるように構成する。例えば標準作業時間1時間に対して5分刻みで1点ずつ点数付けするならば、10分短く50分の作業時間であれば+2点、逆に15分上回れば-3点を付ける。作業コストも同様に標準作業コストを上回ったら金額に応じて-点を付与する。応動結果情報として、応動後長期的に正常状態が維持されたならば+点を付与する。応動結果情報としては例えば次の月次点検まで異常が発生しなければ、+1点付与し、発生したら-1点を付与する。次の年次点検まで月ごとに+1点を付与する(点数付与は年次点検まで)ように構成してもよい。そして作業時間、作業コスト、応動結果情報など+-の点数付け対象の合計点数を技術者応動履歴情報に含める。
【0349】
なお点数付け対象項目は上記3種に限定されない。異常への対応の難易度に応じて+の点数付けをしてもよいし、構成が複雑な高圧受変電設備に対し応動した場合には+の点数付けを行ってもよい。また経験年数、応動回数に応じて点数を付与するように構成してもよい。後記するように技術者応動履歴情報に基づいて技術者に優先順位付けを行い、応動候補者を選定し、対応可否確認後応動者を決定することができる。
【0350】
応動履歴を使用するのは、応動通知を発する技術者の候補者を検索選定する際に、過去に応動通知に応じて応動した回数の多い技術者ほど、応動通知に応じてくれる可能性が高いと考えられるからである。そのため、異常高圧受変電設備に2時間以内に到着できる技術者のうち、過去の応動履歴を参照し、応動通知に対応して応動した回数の多い技術者の方へ優先して通知を発するように構成することができる。または技術者所在地情報と技術者応動履歴情報を利用して、同じような距離(直線距離又は経路上距離)または同じような移動時間にいる技術者であれば、過去の応動履歴を参照し、応動通知に対応して応動した回数の多い技術者の方へ優先して通知を発するように構成することもできる。
【0351】
または前記のような応動結果情報の合計点数が高い技術者ほど、良好な応動結果となることが期待されるため、合計点数の高い技術者へ優先して通知を発するように構成することもできる。
【0352】
<実施形態7 応動履歴依存応動者決定ルール保持部(J5)(2515)>
「応動履歴依存応動者決定ルール保持部(J5)」(2515)は、技術者の応動履歴情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである応動履歴依存応動者決定ルールを保持するように構成される。
【0353】
「応動履歴依存応動者決定ルール」は、例えば非外的広域的要因により異常情報を発信した高電圧受変電設備の異常に対応するために通知すべき技術者の候補を選定する際に、技術者応動履歴情報に基づいて優先順位付けをするためのルールである。過去に、高圧受変電設備の異常発生に対する応動通知に応じて応動いた回数の多い技術者ほど、応動通知に応じてくれる可能性が高いと考えられるからである。そのためほぼ同じような距離にいる技術者であれば、過去の応動履歴を参照し、応動通知に対応して応動した回数の多い技術者の方へ優先して通知を発するように構成することができる。
【0354】
同じ応動回数、同じような距離の技術者が複数いた場合、異常高圧受変電設備と同型の設備の保安点検又は/及び異常に対する応動対応をしたことがある技術者の方を高い順位とするルールとしてもよい。または、異常高圧受変電設備と同じような異常(例:停電、漏電、設備温度異常など)に応動した回数の多い技術者の方を高い優先順位とするルールとしてもよい。
【0355】
<実施形態7 本システム使用例:応動候補者の表示:応動履歴(回数)による順位付>
図26は、本システムの監視センターのオペレーターが応動候補者を応動履歴に基づいて選定し、これから応動者を決定しようとするところを示す、前記オペレーターのPC画面例である。画面中央には異常情報を発信し、その異常情報が外的広域的要因による発信ではないと判明した佐藤ビルが地図上に表示されている。画面右には応動履歴に基づいた応動候補者が、過去の応動回数の多い順に表示されている。一番応動回数が多いのは伊藤大悟氏で10回である。佐藤ビルの平時の保安点検担当者である鈴木健二氏(下線付で表示)は応動回数5回で6位である。
図26の例では、応動回数と合わせ佐藤ビルからの直線距離も併記されている。例えば2位の渡邊六花氏と3位の中村平八氏は同じ応動回数(9回)であるため、応動回数という条件一つだけでは同順位であるが、渡邊氏の方が佐藤ビルとの距離が短いため上位の2位に順位付けされている。
【0356】
応動者を決定する際に、平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者へまず対応可否を確認し、対応不可の場合に応動を代行する技術者を前記例示したルールなどにより選定し、優先順位の順に応答可否を確認し決定するルールとしてもよい。または、優先順位の高い応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付し、最も早く応答可と返信があった技術者を応動者と決定するルールでもよい。平時に前記高圧受変電設備を担当している技術者を第一優先とし、技術者スケジュール情報からの優先順位の高い応動候補者へ一斉配信メール(プッシュ通知などでも可)などで対応可否問い合わせを送付するといったルールとしてもよい。
【0357】
<実施形態7 応動履歴依存応動通知処理手段(K5)(2520)>
「応動履歴依存応動通知処理手段(K5)」(2520)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている応動履歴情報と、保持されている応動履歴依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をするように、技術者通知処理部(E)(1805)内に構成される。
【0358】
「通知すべき技術者の決定」とは、例えば次に例を示す技術者へ優先順位付けである。非外的広域的要因により異常情報を発信した高圧受変電設備の地理的位置を示す高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、技術者応動履歴情報と、応動履歴依存応動者決定ルールとに基づいて、優先順位を付けて選定し、通知すべき技術者を決定する。
【0359】
「応動通知を含む処理」とは、例えば次に示すような、技術者へ応答可否問い合わせし、問い合わせの結果応動者を決定するといった処理である。優先順位に応じて技術者一人ずつに応答可否を確認していったり、優先順位の高い技術者から所定の順位まで一斉に応答可否問い合わせを送信(例:メール、SMS、プッシュ通知、自動音声発信など)したりすることによって、優先順位の高い方の技術者に決定する。さらに一斉に応答可否問い合わせを送信してから所定の待ち時間以内に応答可と返信あった技術者の中で最も優先順位の高い技術者を応動者として決定するように構成してもよい。応動者の決定については、実施形態3から6と同様に優先順位にそって行うことができる。
【0360】
候補となる技術者の選定に際して、前記実施形態3から6のように技術者所在地情報又は/及び技術者スケジュール情報を使用するように構成することもできる。技術者のスケジュール的に対応可能性があり、かつなるべく早く現地に到着できる技術者に決定することができる。
【0361】
<実施形態7 処理の流れ>
図27は、実施形態2を基礎とした実施形態7の計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作処理のフローチャートである。この図で示すように実施形態7の高圧受変電設備異常時対応システムでは、高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S2701)と、応動履歴依存応動者決定ルール保持ステップ(j5)(S2702)と、技術者応動履歴情報保持ステップ(h3)(S2703)と、異常情報取得ステップ(a)(S2704)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S2705)と、技術者通知処理ステップ(e)(S2706)と、技術者通知処理ステップ(e)(S2706)内の応動履歴依存応動通知処理サブステップ(k5)(S2707)と、例外処理ステップ(d)(S2708)と、を有する。なお実施形態3から6のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0362】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
高圧受変電設備情報保持ステップ(g)(S2701)は、高圧受変電設備識別情報と、その高圧受変電設備の地理的位置を示す情報である高圧受変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する処理を行い、
応動履歴依存応動者決定ルール保持ステップ(j4)(S2702)は、技術者の応動履歴情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである応動履歴依存応動者決定ルールを保持する処理を行い、
技術者応動履歴情報保持ステップ(h3)(S2703)は、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の過去の応動履歴を示す情報である技術者応動履歴情報を関連付けて保持する処理を行い、
異常情報取得ステップ(a)(S2704)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2705)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2705)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、
技術者通知処理ステップ(e)(S2706)は、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、
技術者通知処理ステップ(e)(S2706)内の応動履歴依存応動通知処理サブステップ(k5)(S2707)は、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている応動履歴情報と、保持されている応動履歴依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S2705)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S2708)は、異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理を行う。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0363】
<実施形態7 ハードウェアの説明>
【0364】
実施形態2から6のいずれか一を基礎とする本実施形態7における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図28を用いて説明する。
【0365】
<実施形態7ハードウェア構成>
図28は、実施形態2を基礎とする本実施形態7における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお実施形態3を基礎としても同様の効果が得られる。なお、実施形態3から6のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0366】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0367】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、例外処理プログラム(d)と、技術者通知処理プログラム(e)と、高圧受変電設備情報保持プログラム(g)と、技術者応動履歴情報保持プログラム(h3)と、応動履歴依存応動者決定ルール保持プログラム(j4)と、応動履歴依存応動通知処理サブプログラム(k4)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報、高圧受変電設備属性情報、高圧受変電設備情報、技術者識別情報、技術者応動履歴情報、応動履歴ル依存依存応動者決定ルールが格納されている。
【0368】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている高圧受変電設備情報保持プログラム(g)を実行して、変電設備位置情報を含む高圧受変電設備属性情報と、を関連付けた高圧受変電設備情報を保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている応動履歴依存応動者決定ルール保持プログラム(j4)を実行して、技術者の応動履歴情報に基づいて後記する応動者の決定のためのルールである応動履歴依存応動者決定ルールを保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている技術者応動履歴情報保持プログラム(h3)を実行して、技術者を識別する情報である技術者識別情報と、技術者の過去の応動履歴を示す情報である技術者応動履歴情報を関連付けて保持する。
そして、「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された技術者通知処理プログラム(e)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するために派遣する技術者(人であるか、法人であるか、組織であるかを問わない。以下同じ)に前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知である応動通知を含む処理をするために、さらに「メインメモリ」に格納された応動履歴依存応動通知処理サブプログラム(k5)を実行して、保持されている高圧受変電設備属性情報と、保持されている応動履歴情報と、保持されている応動履歴依存応動者決定ルールと、に基づいて通知すべき技術者を決定し応動通知を含む処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記応動通知を含む処理とは別の処理である例外処理をする。
【0369】
本実施形態5により、高圧受変電設備属性情報と応動履歴依存応動者決定ルールと技術者応動履歴情報に基づいて、応動通知へ対応しやすい技術者選定し、異常情報を取得した高圧受変電設備の異常へ対応するため前記異常高圧受変電設備に向かうべきとの通知をすべき技術者を決定し、応動者を決定することができる。
【0370】
<実施形態8 概要>主に請求項8、16、24
実施形態8の高圧受変電設備異常時対応システムは、非外的広域的要因により高圧受変電設備から異常情報が発信されたと判断した場合に、異常情報を発信した高圧受変電設備の異常に対応するための個別処理をおこない、外的広域的要因により異常情報が発信されたと判断した場合には個別処理とは別の処理をし、前記外的広域的要因が終息したか判断する。
【0371】
<実施形態8 機能的構成>
図29に実施形態8の高圧受変電設備異常時対応システムの機能ブロック図を示す。実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システム(2900)は、異常情報取得部(A)(2901)と、外的非外的要因判断部(B)(2902)と、個別処理部(C)(2903)と、例外処理部(D)(2904)と、外的広域的要因終息判断部(L)(2921)を有する。
【0372】
なお、外的広域的要因終息判断部(L)(2921)以外は他の実施形態での説明と同様のため、説明を省略する。
【0373】
<実施形態8 構成の説明>
<実施形態8 外的広域的要因終息判断部(L)(2921)>
「外的広域的要因終息判断部(L)」(2921)は、外的広域的要因が終息したか判断するように構成される。外的非外的要因判断部(B)にて異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、個別処理とは別の処理である例外処理が例外処理部(D)によって行われる。例外処理後に、外的広域的要因終息判断部(L)が、外的広域的要因が終息したか判断する。
【0374】
<実施形態8 外的広域的要因終息判断部(L):判断根拠となる情報の収集>
外的広域的要因が継続しているか終息したか判断するために、外的広域的要因の情報として、電力会社から取得できる停電情報や、送電線網の情報や、送電される高圧電力の電圧状態や波形や周波数仕様の変動に関する情報などの給電される高圧電力に関する情報や、気象庁のサイトや民間の気象会社から取得できる落雷や雨量データ、台風情報、アメダス情報や気象関連の注意報警報の情報や地震情報などの気象に関する情報や、地方自治体(県庁や市町村の役所など)から取得できる洪水時に浸水しやすい地域を示したハザードマップや、地方自治体から取得できる大雨時の雨量や洪水の発生有無や避難勧告や避難指示などの情報や、国土交通省他の設置した河川の水位監視用カメラや交通状況監視カメラや各地のライブカメラの映像などの情報や、警察からの災害時の道路状況に関する情報や、消防署からの火災の発生状況の情報を取得して用いることが好ましい。または人工知能を用い、外的広域的要因に関して一般人などがインターネット上の掲示板などに書き込みした情報を検索し停電やその他災害(地震や洪水等)に関する情報を収集することもできる。外的広域的要因情報を取得する外的広域的要因情報取得手段をさらに有するように構成するとよい。
【0375】
<実施形態8 外的広域的要因終息判断部(L):判断結果の種類>
外的広域的要因終息判断部(L)(2921)では、外的広域的要因が終息したか判断の結果は、つぎのような3つの判断結果になると考えられる。なお、異常情報は異常が継続している場合には所定時間毎に発信が継続されるように構成されているとする。また本システムの通常状態とは、例えば異常状態が全く発信されておらず状態であり、本システムを利用する高圧受変電設備が発信するだろう異常情報を受信するまでの待機状態である。
【0376】
(1)外的広域的要因が終息したか判断した結果として、例えばまだ終息していないという判断結果であれば監視を継続して所定時間経過後(または連続監視)に再び外的広域的要因と再度終息したかの判断を行う。例:1秒、3秒、5秒、5分後、または継続的に発信され取得される複数の異常情報が一つでも減って、正常状態に復帰したという復帰情報が一以上入ったときなどに再度外的広域的要因の終息判断を行う。終息判断の間隔は、外的広域的要因の種別により変えてもよい。落雷などの原因により瞬断(瞬間的な停電)や瞬低(瞬間的な電圧低下)が発生した際などは、2秒から1分程度で復旧することが多いため、1から10秒の時間間隔で終息判断するように構成することが好ましい。強風や飛来物や倒木などによる送電線の断線による停電の場合は、復旧までに数時間から1日程度を要する場合があるため、1分から10分の時間間隔で終息判断するように構成することが好ましい。洪水による浸水などの場合、水が引くまでに1日から数日を要する場合があるため、0.5時間から1時間ごとに終息判断するように構成することができる。
(2)外的広域的要因が終息したが、一部にまだ異常があって、非外的広域的要因による異常情報が発信されているという判断結果であれば、個別処理部(C)へ処理を移す。
(3)外的広域的要因が終息し、異常がすべて終息したという判断であれば、通常状態へ復帰する。
【0377】
<実施形態8 外的広域的要因終息判断部(L):終息判断の基準1>
外的広域的要因によって異常情報が発信されたと外的非外的要因判断部(B)が判断し例外処理が行われた際には、前記「判断根拠となる情報の収集」にて説明したような外的広域的要因の情報を収集する。
【0378】
入手した情報によって外的広域的要因が継続している(終息していない)と判断した場合、取得した外的広域的要因の情報の情報源に継続的にアクセスして情報を入手することにより、その外的広域的要因が継続しているか終息したかを判断することができる。前記一つの情報源そのもの以外に、情報源と類似の情報源(例:気象庁と気象会社または外国の気象庁、自治体と隣接する自治体または市町村と県など)からも情報を取得し、比較して同じ内容の情報か否かを確認することにより、情報の確からしさを高めることができる。
【0379】
<実施形態8 外的広域的要因終息判断部(L):終息判断の基準2>
外的広域的要因の終息を判断する基準として、当初異常情報が発せられた所定の地理的範囲内にある複数の高圧受変電設備のうち、正常状態へ復旧していく高圧受変電設備が所定数以上(又は一定割合以上)生じた場合に、外的広域的要因が終息したと判断するように構成してもよい。例えば外的広域的要因として送電線起因の停電発生によって当初異常情報を発した高圧受変電設備の2/3以上が正常状態へ復帰した場合などである。上記(2)のように外的広域的要因が終息したと判断された後でも、異常情報を発した複数の高圧受変電設備の中に、異常状態が継続している高圧受変電設備がある場合には、外的広域的要因ではない非外的広域的要因による当該高圧受変電設備の異常だと判断し、個別処理を行うよう個別処理部(C)へ処理を移行するように構成することが好ましい。
【0380】
<実施形態8 外的広域的要因終息判断部(L):終息判断の基準3:複数要因>
複数の外的広域的要因によって異常情報が発信された場合には、外的広域的要因が終息しても、多数の高圧受変電設備が異常情報の発信を継続する場合がありうる。例えば大雨が繰り返し特定の地方や県に降って線状降水帯も発生したような場合に、山間の高圧送電線用鉄塔が地滑りで倒壊し停電が発生し、同時に本システムを利用する需要家の所在する地域に内水氾濫が発生し、ビルの地下や工場の敷地内の地表上に設置された高圧受変電設備が浸水したような複合的な災害である。または台風による強風によって高圧送電用鉄塔が倒壊し大雨によって内水反乱が発生した場合も同様の現象が起こりうる。
【0381】
前記のような現象が発生した場合、最初に高圧送電用鉄塔の倒壊が起きた場合には外的広域的要因による停電が発生し異常情報が発信される。次に内水氾濫が起きて高圧受変電設備に浸水した場合には、最初の停電による異常情報が継続発信される。監視装置に画像センサユニットが搭載されていた場合は浸水の様子をとらえた画像を送付することにより、浸水による異常情報として更新し発信するように構成してもよい。異常の状態を示す情報を異常情報が含む構成としている場合は、先に発生した停電を示す情報と、後に発生した浸水を示す情報の両方を含めて異常情報を発信するように構成することが好ましい。なお、浸水については画像センサユニットからの画像で把握するほかに、漏水センサユニットを監視装置が備えていれば、漏水センサユニットからの漏水検知結果によっても浸水を把握できる。
【0382】
高圧送電用鉄塔倒壊による停電は、別系統の送電網から迂回給電するように接続を変更することで送電を仮復旧できる。内水氾濫についても大雨が収まり下水のつながる河川の水位が低下すれば浸水が解消される。したがって少なくとも1日か2日程度でどちらの異常も終息することが予想される。外的広域的要因の終息は、停電については電力会社が発表する停電情報から判断できる。内水氾濫については。気象庁や気象会社の提供する気象情報(降水量や気象予報)や自治体の出す避難警報や避難指示(浸水の有無)により判断できる。しかし、停電や浸水が終息しても浸水にあった高圧受変電設備は絶縁不良状態となっているため、前記設備に対し高圧電力の給電が再開されても、前記設備の絶縁不良起因の停電が発生するために異常状態は継続し、異常情報も継続的に発信される。浸水があった地域に位置する高圧受変電設備のほぼすべて(ビルの屋上等高所に設置された高圧受変電設備は除く)が異常情報を継続発信することとなり、前記の終息の判断基準2では外的広域的要因の終息を判断できない。複数の高圧受変電設備からの異常情報が発信される場合であっても(または異常情報を発信後に異常情報を継続発信せず、かつ正常状態に復帰したという復帰情報も発信していない場合)、前記高圧受変電設備設置場所が直近外的広域的要因発生対象地域であるならば、外的広域的要因が終息の判断は前記判断基準1記載のように、外的広域的要因の情報の収集結果によって判断することが好ましい。
【0383】
<実施形態8 本システム使用例:異常情報の受信:外的広域的要因の場合>
図30に複数の高圧受変電設備からの異常情報(停電)を取得し、外的広域的要因によると判断した例を示す。
図30は監視センターのオペレーターのPC端末の画面例である。この例では〇×市△町の一帯で停電したビルが複数異常情報を発信している。中央の地図上では異常情報発信した高圧受変電設備(またはその監視装置)が黒丸付き数字で表示され、右側欄に建物・施設名称が表示され、その右側に状態を示す丸印(異常であれば黒丸)が表示されている。
【0384】
なお
図30の例では、本システムを利用する需要家の高圧受変電設備が
図30の例で表示された一帯に11あることが表示されているのに過ぎず、この一帯で11のビルや施設のみが停電していることには限定されない。
図30の一帯のすべてのビルや施設が停電している可能性が高い。なお、
図30の画面では、本システムを利用する需要家の高圧受変電設備(またはその監視装置)をすべて表示してもよいし(異常情報を発信した高圧受変電設備と、正常であって異常情報を発信していない高圧受変電設備の両方)、異常情報を発信した高圧受変電設備(またはその監視装置)のみを表示してもよい。
図30では外的広域的要因による停電のため、本システムを利用する需要家の高圧受変電設備のうち地図の範囲にある物がすべて異常情報を発信したとして表示されている。
【0385】
送電網が異なるような地域(地理的距離が大きく離れた、例えば東京、北海道、関西、四国、九州など)で、所定時間内にそれぞれの地域につき1または2程度の高圧受変電設備が異常情報を発した結果、複数の異常情報を取得したような場合には、偶然の可能性があるため、電力会社の停電情報ウェブページやインターネット検索での停電情報調査を併用して、外的広域的要因かを調査し確認後に、判断するように構成してもよい。その場合は、インターネットを介して一般的に異常が発生しているかを検索するインターネット異常検索手段を外的非外的要因判断部にさらに有するように構成するとよい。外的広域的要因によると判断された場合は、図示しないが、実施形態1または2で説明した例外処理をおこなう。
【0386】
<実施形態8 本システム使用例:外的広域的要因終息の判断基準2>
例外処理後に、外的広域的要因が継続しているか終息したかを外的広域的要因終息判断部(L)が判断する。外的広域的要因が終息したかを把握する方法として、異常情報を発信した複数の高圧受変電設備(またはその監視装置)が正常に戻ったか否かを監視する方法がある(前記「終息判断の基準2」)。
【0387】
図31に例を示す。前記のように
図30は、外的広域要因により異常情報(停電)が複数の高圧受変電設備(またはその監視装置)から発信され本システムが取得した状態の例であった。
図31では、異常状態だった複数の高圧受変電設備の一部が正常状態に戻った物が白丸付き数字で地図中に示されている。
図31の右側欄には、当初異常情報を発信した建物・施設名称が表示され、その右側には状態を示す丸印が表示されている。異常状態にある場合に黒丸、正常であれば白丸が表示されている。
図30では異常情報発信した高圧受変電設備が設置された建物・施設名称の右側に異常である旨を示す黒丸が表示されていた。
図31では、1番の佐藤ビルに設置された高圧受変電設備以外はすべて正常復帰したことにより、地図上では白丸付き数字、画面右側の建物・施設名称右の印は白丸となっている。
【0388】
<実施形態8 本システム使用例:外的広域的要因終息>
佐藤ビル以外が異常から正常状態に復帰していっても佐藤ビルはなお異常状態(異常情報の発信)が継続しているため、佐藤ビルに設置された高圧受変電設備は、外的広域的要因に拠らず異常となっていると判断される。佐藤ビルの継続している異常は、当初の外的広域的要因による異常状態発生がきっかけとなって、非外的広域的要因による異常(例:外的広域的要因による停電発生時の急激な電力遮断がきっかけとなり、個別の高圧受変電設備のどこかが短絡又は断線等が生じ停電に至った)が発生した場合も含む。外的広域的要因の継続の監視(解消の把握)は、異常情報が発信された高圧受変電設備の異常状態の監視と並行して、電力会社の停電情報ウェブページやインターネット検索にて○×市△町の停電が解消したかを調べるように構成することがより好ましい。佐藤ビルから発信され続ける異常情報が、非外的広域的要因によるものと判断されれば、上記実施形態で説明してきたように個別処理部または技術者通知処理部へ処理を移行する。
【0389】
<実施形態8 本システム使用例:外的広域的要因終息の判断基準1、3>
前記終息の判断基準1または3を用いて外的広域的要因の終息を判断する場合、本システムの外的広域的要因終息判断部(L)はインターネット回線を介して、電力会社からの停電情報や送電に関するトラブル情報(瞬停、周波数変動、波形ひずみ等)や、送電網の状況に関する情報や、気象庁や気象会社からの雨量や風速風向、落雷(落雷は電力会社から取得してもよい)などの気象データに関する情報や、地震に関する情報や、大雨警報や竜巻警報などの注意報又は/及び警報の発砲状況に関する情報や、地方自治体からの避難勧告や避難指示の発令状況を示す情報やハザードマップや、国土交通省他の設置した河川の水位監視用カメラや交通状況監視カメラや各地のライブカメラからの映像などや、警察からの災害時の道路状況に関する情報や、消防署からの火災の発生状況の情報を継続的に取得して、異常情報が発信された高圧受変電設備が設置されている地域に関し、外的広域的要因が継続しているか終息したかを判断する。
【0390】
<実施形態8 処理の流れ>
図32は、実施形態8の高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態1の高圧受変電設備異常時対応システムでは、異常情報取得ステップ(a)(S3201)と、外的非外的要因判断ステップ(b)(S3202)と、個別処理ステップ(c)(S3203)と、例外処理ステップ(d)(S3204)と、外的広域的要因終息判断ステップ(l)(S3205)と、を有する。
【0391】
ここで計算機である高圧受変電設備異常時対応システムの動作方法は、
異常情報取得ステップ(a)(S3201)は、高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S3202)は、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S3202)での判断結果が異常情報は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
個別処理ステップ(c)(S3203)にて、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理を行い、
外的非外的要因判断ステップ(b)(S3202)での判断結果が異常情報は外的広域的要因によって発信されたものとの時には、
例外処理ステップ(d)(S3204)は、前記個別処理とは別の処理である例外処理を行い、
外的広域的要因終息判断ステップ(l)(S3205)は、外的広域的要因が終息したか判断する処理を行い、
外的広域的要因が終息していないという判断結果であれば、外的広域的要因終息判断ステップ(l)(S3205)の前に戻し、
外的広域的要因が終息したが、非外的広域的要因による異常情報が発信されたという判断結果であれば、個別処理ステップ(c)(S3203)の前に処理を移す。
このような一連の処理を計算機である高圧受変電設備異常時対応システムに実行させる動作方法である。
【0392】
<実施形態8 ハードウェアの説明>
【0393】
本実施形態に8おける高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成について、
図33を用いて説明する。
【0394】
<実施形態8 ハードウェア構成>
図33は、本実施形態8における高圧受変電設備異常時対応システムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施形態における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」と拡張基板として「グラフィックカード」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0395】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0396】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、異常情報取得プログラム(a)と、外的非外的要因判断プログラム(b)と、個別処理プログラム(c)と、例外処理プログラム(d)と、外的広域的要因終息判断プログラム(l)と、である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、異常情報と、高圧受変電設備識別情報が格納されている。
【0397】
「CPU」は、以下の処理を実行する。
「メインメモリ」に格納されている異常情報取得プログラム(a)を実行して、「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し高圧受変電設備から発信されその高圧受変電設備を特定する情報である高圧受変電設備識別情報を含む異常情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている外的非外的要因判断プログラム(b)を実行して、所定時間内に複数の高圧受変電設備からの異常情報が取得された場合に、その複数の高圧受変電設備からの異常情報が広域的な外的要因である外的広域的要因によって発信されたものか、又は外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものか、判断する。
そして異常情報が外的広域的要因ではない非外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納された個別処理プログラム(c)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をする。
または異常情報が外的広域的要因によって発信されたものと判断された場合には、「メインメモリ」に格納した例外処理プログラム(d)を実行して、前記個別処理とは別の処理である例外処理をする。
例外処理プログラム(d)を実行後、「メインメモリ」に格納した外的広域的要因終息判断プログラム(l)を実行して、外的広域的要因が終息したか判断する。
判断結果が、未終息という結果であれば、外的広域的要因終息判断プログラム(l)を再実行する。
判断結果が、外的広域的要因は終息したが非外的広域的要因による異常情報が発信されたという結果であれば、「メインメモリ」に格納された個別処理プログラム(c)を実行して、その異常情報を発信した高圧受変電設備である異常高圧受変電設備の異常に対応するための処理である個別処理をする。
【0398】
本実施形態により、本発明の高圧受変電設備異常時対応システムが高圧受変電設備からの外的広域的要因による異常情報を取得したと判断された場合に例外処理後、外的広域的要因の終息後に、非外的広域的要因による異常が見つかったとしても対応することができる。
【0399】
<5.効果>
以上の構成を有する高圧受変電設備異常時対応システムによって、異常が報告された当該高圧受変電設備のみの異常ではなく、外的広域的要因による異常であれば、技術者を緊急に派遣しない高圧受変電設備異常時対応システムを提供できる。非外的広域的要因、すなわち当該高圧受変電設備のみの異常であれば移動経路を考慮した移動時間などに基づいて速やかに対応可能な応動者を決定し、応動通知するための処理を行う高圧受変電設備異常時対応システムを提供できる。
【符号の説明】
【0400】
高圧受変電設備異常時対応システム・・・0100
異常情報取得部(A)・・・0101
外的非外的要因判断部(B)・・・0102
個別処理部(C)・・・0103
例外処理部(D)・・・0104