(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)アンタゴニスト及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/166 20060101AFI20241113BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241113BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241113BHJP
C07C 233/65 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
A61K31/166
A61P43/00 111
A61P25/04
C07C233/65
(21)【出願番号】P 2021544656
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020016200
(87)【国際公開番号】W WO2020160464
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-27
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519402166
【氏名又は名称】マーシャル ユニバーシティー リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MARSHALL UNIVERSITY RESEARCH CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One John Marshall Drive, Huntington, West Virginia 25755-8100, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ジョルニガン,ベルベット ブレア
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-509184(JP,A)
【文献】特表2009-526859(JP,A)
【文献】特表2012-500828(JP,A)
【文献】特表2014-503486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
C07C 1/00-409/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R
1は、
【化2】
からなる群より選択される)
を含むTRPM8アンタゴニスト。
【請求項2】
以下の式(VII):
【化3】
を有する請求項
1に記載のTRPM8アンタゴニスト。
【請求項3】
以下の式(IX):
【化4】
を有する請求項
1に記載のTRPM8アンタゴニスト。
【請求項4】
以下の式(XI):
【化5】
を有する請求項
1に記載のTRPM8アンタゴニスト。
【請求項5】
以下の式(XII):
【化6】
を有する請求項
1に記載のTRPM8アンタゴニスト。
【請求項6】
以下の式(XIV):
【化7】
を有する請求項
1に記載のTRPM8アンタゴニスト。
【請求項7】
以下の式(XV):
【化8】
を有する請求項
1に記載のTRPM8アンタゴニスト。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のTRPM8アンタゴニストと、薬学的に許容されるビヒクル、キャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
疼痛の処置のための請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記疼痛が神経障害性疼痛である、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記疼痛が異痛症である、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記疼痛が慢性神経障害性疼痛である、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記疼痛が化学療法誘導神経障害性疼痛である、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
静脈内、腹腔内、筋内又は皮下注射用の請求項
8~
13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ヒトを処置するための、請求項
8~
14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]
本出願は、2019年2月1日出願の米国仮特許出願第62/800,114号、2019年2月1日出願の米国仮特許出願第62/800,143号及び2019年12月13日出願の米国仮特許出願第62/947,742号からの優先権を主張し、これらのそれぞれの開示の全体は、本明細書にこの参照により組み込まれる。
【0002】
技術分野
[0002]
ここに開示する主題は、全般的に、一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)アンタゴニスト及び関連する方法に関する。特に、ここに開示する主題のあるいくつかの実施形態は、TRPM8アンタゴニスト及びこれらのアンタゴニストを疼痛の処置のために用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
「冷覚受容器」ともしばしば呼ばれるTRPM8は、体性感覚神経系のポリモーダルな侵害受容器であり、ヒトにおける冷覚侵害受容の主要な感知器である。他の温度感応性TRPチャネルであるTRPA1及びTRPV1とは異なって比較されるが、TRPM8は、後根神経節(DRG)及び三叉神経節(TG)の一次感覚ニューロン(Aδ及びC線維)、並びにいくつかの他の非神経組織において発現される。一次感覚ニューロン内で、TRPM8は、末梢及び中枢神経末端の両方に存在し、体性感覚及び中枢神経系における役割を支える。この冷覚感知侵害受容器は、少し冷たい温度(15~25℃)、化学物質、例えば(-)-メントール((1R,2S,5R)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)-シクロヘキサノール)、「スーパーアゴニスト」であるイシリン(3-(2-ヒドロキシフェニル)-6-(3-ニトロフェニル)-3,4-ジヒドロピリミジン-2(1H)-オン、(AG3-5としても知られる)及び内在性脂質PIP2による活性化の後に、感覚神経活動電位を開始する。メントールによるTRPM8の最大限の刺激は、1つの機能的TRPM8四量体のうちの単量体それぞれを占める4つのメントール分子のリガンド化学量論を介して発生する。
【0004】
[0004]
TRPM8は、複数の治療介入の有力な標的とみられている。TRPM8アゴニストは、良性前立腺肥大症及び前立腺癌について探求されているが、アンタゴニストは、なかでも神経障害性疼痛及び片頭痛における冷覚過敏症についての興味が大きくなっている。
【0005】
[0005]
いくつかの知的所有権下にあるTRPM8アンタゴニストがあり、多くが企業内での化学ライブラリーのハイスループットスクリーニングにより見いだされたものである。しかし、これらのアンタゴニストがどのようにしてヒトTRPM8と結合してそのゲーティング機構にその後影響するのか、またその基礎をなすファーマコフォアの正確な分子的詳細は、特に、クリオ電子顕微鏡観察(クリオEM)により明らかにされたTRPM8及びTRPチャネル構造生物学の近年の成功があった今、これから解明されるであろう。
【0006】
[0006]
TRPM8媒介Ca2+フラックスアッセイにおいて、公知のTRPM8アンタゴニストは、控えめな又は変動する効力を表すとみられる。例えば、キノリンベースのPF-05105679(Pfizer、第1相、NCT01393652)は、ヒトTRPM8での電位及びWS-12により媒介される活性化の影響を、103±9.4nM及び181±7.21nMのIC50値で阻害するが、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジンアナログAMG2850(Amgen)は、ラット及びヒトのTRPM8にてメントール、イシリン及び低温活性化に対して7~156nMの範囲のIC50値を示す。2-ベンジルオキシ-安息香酸アミド誘導体AMTB(Bayer)は、ヒトTRPM8にてイシリンにより媒介される応答に対して、pIC50:6.23±0.02でより弱く阻害する。現在までに、しかし、臨床使用まで進んだTRPM8アンタゴニストはない。例えば、PF-05105679は、そのIC50値より大きい非結合血漿濃度を達成するために必要な高用量(600mg及び900mg)での測定可能な治療指標を有さない。同様に、ニコチン酸アナログAMG333(Amgen、NCT02132429)の第1相研究は、開示されない理由により中止された。効力があり、ある程度特異的で、よって、成功した前臨床開発の後に臨床試験をうまく通過する可能性を維持できるTRPM8アンタゴニストをより多く導入する必要性がいまだに存在する。
【0007】
[0007]
さらに、広い化学的多様性を有する多様なアゴニスト及びアンタゴニスト両方の足場が、様々な疾患状態、例えば口腔顔面及び神経障害性疼痛、過活動膀胱(OAB)及び疼痛性膀胱症候群、温度調節に関与する疾患、口腔扁平上皮癌、ニコチン嗜癖行動並びに慢性閉塞性肺疾患におけるTRPM8の役割を解明するために用いられている。いくつかの場合では、TRPM8の薬理学をつきとめるためのツール分子としてのこれらのリガンドの使用は、特に慢性神経障害性疼痛におけるその役割の決定において、矛盾したデータを導いている。アンタゴニストプロフィールを有する同族リガンド(-)-メントールに基づく効力の高い化学プローブは、初期の薬物開発の背景からTRPM8分野に立ち戻るために必要であるが、この化学種のこのような小分子は、現在存在しない。
【0008】
[0008]
アポ体結合及びアゴニスト結合両方の鳥類TRPM8(TRPM8FA、PDBコード6BPQ(4.1Å)、6NR2(4Å)及び6NR3(3.4Å))の最近のクリオEM構造は、マウス、ラット、リス及びヒトのオルソログでのインビトロ及びインビボ突然変異誘発研究により支持されるように、冷覚感知から切り離されている可能性があるプロトタイプリガンドであるメントール及びイシリンについての決定的な結合部位を指し示している。突然変異誘発研究は、電位感知器様ドメイン(VSLD)の膜貫通S1ヘリックスの真ん中に位置する保存されたTyr745が、[3H]-メントールを用いる放射性リガンド置き換え研究により決定されるようにメントール結合と、有効性との両方に重要であることを示唆している。これらの研究は、メントールアナログWS-12と複合体形成した鳥類TRPM8(PDB 6NR2)の構造と一貫している。単離されたS1-S4感知ドメインの構築物も、マイクロスケール熱泳動及びNMRにより決定されるように、この領域がメントール認識のために重要であることを示唆する。他のメントール感応性残基は、Tyr1005及びLeu1009を含み、これらはともに、細胞質ゾルドメイン界面の近くのTRPヘリックス膜貫通ドメイン中にあり、保存されている。これらの2つの残基の位置的な等価物は、WS-12と結合した構造(TRPM8FA中のTyr1004及びLeu1008)において見ることができる。このポケットは、Tyr745及びLeu1009を含む類似の残基とともに、S3ヘリックス中のGly805、Asn799及びAsp802でイシリンとも結合する。イシリンと結合した鳥類TRPM8のクリオEM構造は、全てのTRPMサブタイプにわたって保存された残基であるTyr745が、メントール及びイシリンの両方の認識について、それらの化学種が異なることにもかかわらず、共通するTRPM8残基であるが、Asn799及びAsp802は、Gln782及びGlu785とともに、Ca2+依存性イシリン結合のために必要であるという概念を強化する。Phe838、Arg841、His844及びTyr1004(hTRPM8にてそれぞれPhe839、Arg842、His845及びTyr1005)を含むさらなるイシリン結合残基は整列して、VSLD及びTRPヘリックス内でオルソステリック部位を形成する。このリガンド結合部位は、重要な電位及び冷覚感応性残基、S4ヘリックス内の保存されたArg841(hTRPM8にてArg842)ともオーバーラップし、このことは、リガンド及び電位刺激の多重感知器として機能するTRPM8の能力が、部分的に、VSLD内のS1~S4ヘリックスに含まれるこの共通部位に由来することを示す。冬眠するジリス及びラットのトランスジェニックモデルは、ポアヘリックス(PH)とS6ヘリックスとを連結するループ内の726位(プレS1ドメイン)、762位(S1-S2ループ)、819位(S3-S4ループ)及び927、946、947位にてTMヘリックスをつなぐループ中でVSLD全体に散らばっているイシリン活性化に対して冷覚活性化を担う残基を関連させる。ラット、リス及びヒトのTRPM8オルソログの配列アラインメントから、ラットにおける6つの冷覚授与残基のうちの4つが、ヒトオルソログにおいて保存され(Tyr726、Ser762、Ser819及びAsn947)、このことは、ヒトにおけるリガンド対冷覚活性化が、トポグラフィー的に別個の領域で発生する可能性を生じさせる。一方、残りの2つのミスマッチ残基は、ヒト及び低温耐性ジリスにおいて保存され(Ala927、His946)、このことは、これらの残基が冷覚表現型を支持しないか、又はアロステリック調節によって冷覚応答に寄与することを示唆する。
【0009】
[0009]
したがって、上記の研究に鑑みて、疼痛の処置において有用なさらなるTRPM8アンタゴニストが、非常に望まれており、有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]
ここに開示する主題は、本書面で提供される情報を精査した後に当業者に明らかになるように、上記の必要性のいくつか又は全てを満たす。
【0011】
[0011]
この要旨は、ここに開示する主題のいくつかの実施形態について記載し、多くの場合、これらの実施形態の変形及び並べ替えを列挙する。この要旨は、多数の変動した実施形態の単なる例である。ある実施形態の1つ以上の代表的な特徴についての言及も、同様に例示である。このような実施形態は、言及される特徴とともに又はそれなしで典型的に存在できる。同様に、これらの特徴は、この要旨に列挙されていてもいなくてもここに開示する主題の他の実施形態に当てはめることができる。過剰な繰り返しを避けるために、この要旨は、このような特徴の全ての可能な組み合わせを列挙又は示唆しない。
【0012】
[0012]
ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、式(I):
【化1】
(式中、R
1は、各々5~12の炭素原子を有する、飽和であっても部分的に不飽和であってもよいシクロアルキル、ビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基であって、1~5の炭素原子を有するアルキル基又は4~12の炭素原子を有するシクロアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル、ビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基から選択される)を含むTRPM8アンタゴニストが提供される。いくつかの実施形態において、R
1は、ビシクロアルキル基であり、ビシクロアルキル基は、縮合、橋かけ又はスピロ連結ビシクロアルキル基である。いくつかの実施形態において、R
1は、シクロアルキル基、例えば、あるいくつかの実施形態において、分岐又は置換シクロアルキル基であるシクロアルキル基である。
【0013】
[0013]
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、R
1は、
【化2】
及びそれらのアナログからなる群より選択される。
【0014】
[0014]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化3】
及びそれらのアナログからなる群より選択される。
【0015】
[0015]
さらなる実施形態において、R
1は、
【化4】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基である。
【0016】
[0016]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化5】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるシクロアルキル基である。
【0017】
[0017]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化6】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるスピロ連結ビシクロアルキル基である。
【0018】
[0018]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化7】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるシクロアルキル基である。
【0019】
[0019]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化8】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基である。
【0020】
[0020]
ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、医薬組成物がさらに提供される。いくつかの実施形態において、ここに開示する主題のTRPM8アンタゴニスト(例えば式(I)のTRPM8アンタゴニストと、薬学的に許容されるビヒクル、キャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0021】
[0021]
ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、疼痛を処置する方法がさらに提供される。いくつかの実施形態において、必要とする対象に、有効量の上記の式(I)を含むTRPM8アンタゴニストを投与することを含む、疼痛を処置する方法が提供される。この治療方法のいくつかの実施形態において、疼痛は、神経障害性疼痛、例えば、あるいくつかの実施形態において、異痛症、慢性神経障害性疼痛又は化学療法誘発神経障害性疼痛である。いくつかの実施形態において、TRPM8アンタゴニストを投与することは、TRPM8アンタゴニストを静脈内、腹腔内、筋内又は皮下注射することを含み得る。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。
【0022】
[0022]
本発明のさらなる特徴及び利点は、本書面の説明、図面及び非限定的な実施例を精査した後に当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】[0023]
図1は、メントール及び/又はイシリン(イシリン:3-(2-ヒドロキシフェニル)-6-(3-ニトロフェニル)-3,4-ジヒドロピリミジン-2(1H)-オン)の効果に対するCa
2+フラックスアッセイにおいて決定されたアンタゴニストについてのIC
50値を含む、報告されたTRPM8アンタゴニストを示すチャートである。
【
図2】[0024]
図2A~2Dは、MDシミュレーション中の(-)-メンチル1及びhTRPM8の収束パラメータを示す図及びグラフを含み、以下を含む:(
図2A)hTRPM8中の化合物1のドッキングポーズ(プレMD)を示す図であり、ここで、(-)-メンチル化合物1は、マゼンタの棒として示し、重要な残基は、棒で示し、個別のヘリックスを示し(1(青)、S2(色褪せた緑)、S4(黄緑)、TRPヘリックス(赤))、Ca
2+イオン(緑)は、CPK表示中に示す;(
図2B)100ns MD後のhTRPM8中の化合物1の結合モード(ポストMD)を示す図であり、ここで、(-)-メンチル化合物1は、灰色の棒で示す;(
図2C)MDシミュレーション中の化合物1とhTRPM8の標準偏差(RMSD)を示すグラフであり、(
図2D)化合物1の結合に寄与するhTRPM8中の鍵となる残基のエネルギー分解を示すグラフであり、ここで、hTRPM8ホモロジーモデルを、鋳型としてTRPM8
FA(PDB 6BPQ)のクリオEM構造を用いて構築した。
【
図3】[0025]
図3A~3Dは、MDシミュレーション中のAMG2850及びhTRPM8の収束パラメータを示す図及び画像を含み、以下を含む:(
図3A)hTRPM8中のAMG2850のドッキングポーズ(プレMD)を示す図であり、ここで、AMG2850は、マゼンタの棒として示し、重要な残基は、棒で示し、個別のヘリックスを示し(S2(色褪せた緑)、S3(緑)、S4(黄緑)、TRPヘリックス(赤))、Ca
2+イオン(緑)は、CPK表示中に示す;(
図3B)100ns MD後のhTRPM8中のAMG2850の結合モード(ポストMD)を示す図であり、ここで、AMG2850は、灰色の棒で示す;(
図3C)MDシミュレーション中のAMG2850とhTRPM8のRMSDを示すグラフであり、(
図3D)AMG2850の結合に寄与するhTRPM8中の鍵となる残基のエネルギー分解を示すグラフであり、ここで、hTRPM8ホモロジーモデルを、鋳型としてTRPM8
FA(PDB 6BPQ)のクリオEM構造を用いて構築した。
【
図4】[0026]
図4は、MDポーズからのAMG2850及び(-)-メンチル化合物1の重ね合わせを示す図である(緑及びマゼンタ:TRPM8と(-)-メンチル化合物1のMDポーズ、青及び灰色:TRPM8とAMG2850のMDポーズ)。
【
図5】[0027]
図5は、ヒトTRPM8を安定的に発現するHEK-293細胞のfura-2ベースのCa
2+イメージングを用いた、イシリン誘導Ca
2+侵入シグナルに対するいずれかの影響についての試験化合物の評価を示すグラフであり、ここで、Ca
2+フリー細胞外溶液中に浸かったfura-2負荷細胞を、様々な濃度の合成化合物又は既知のTRPM8アンタゴニストRQ-00203078とともに又はなしでイシリン(500nM)に曝露し(この図について、全て3nMであったが、対応するヒストグラムを
図15に示す)、化合物を添加したおよそ4分後に、Ca
2+フリー浴液を、2mMのCa
2+を含むものに交換し、ここでCa
2+流入をfura-2蛍光比(F
355/F
380)としてモニタリングし、各データ点は、平均±SEMを表す(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧35細胞)。
【
図6】[0028]
図6A~6Bは、hTRPM8における化合物5(
図6A)及び化合物7(
図6B)の結合モードを示す画像を含み、ここで、化合物5及び7は、それぞれ黄色及びオレンジ色の棒として示し、重要な残基は、棒として示し、個別のヘリックスを示し(S1(青)、S2(色褪せた緑)、S4(黄緑)及びTRPヘリックス(赤))、Ca
2+イオン(緑)をCPK表示中に示し、hTRPM8ホモロジーモデルを、鋳型としてTRPM8
FA(PDB 6BPQ)のクリオ電子顕微鏡観察(クリオEM)構造を用いて構築した。
【
図7】[0029]
図7A~7Bは、化合物14によるメントール誘発TRPM8電流の阻害を示すグラフを含み、ここで、電流は、ヒトTRPM8で一過的にトランスフェクションしたHEK-293細胞のホールセルホールセルパッチクランプクランプ電気生理学により測定したが、以下を含む:(
図7A)500μMの飽和濃度のメントール及び様々な濃度の化合物14に曝露した際に+80mV電圧パルスにより測定した平均電流トレース(n=4)を示すグラフであり;(
図7B)1nMから1μMまでの濃度にて+80mVで500μMメントールの存在下で測定した、化合物14の用量応答を示すグラフであり、ここで、電流応答は、各細胞についてアンタゴニストなしで測定した最大電流規模に対して標準化し、データは、単一結合部位Hill等式を用いて適合し、IC
50は、64±2nM(n=6細胞)と計算され、誤差バーは、平均の標準誤差を示す。
【
図8】[0030]
図8A~8Dは、MDシミュレーション中の14及びhTRPM8の収束パラメータを示す図及びグラフを含み、以下を含む:(
図8A)hTRPM8中の化合物14の結合モード(プレMD)を示すグラフであり、ここで、化合物14は、マゼンタの棒として示し、重要な残基は、棒で示し、個別のヘリックスを示し(S1(青)、S2(色褪せた緑)、S3(緑)、S4(黄緑)、TRPヘリックス(赤))、Ca
2+イオン(緑)は、CPK表示中に示す;(
図8B)hTRPM8中の化合物14の結合モード(ポストMD)を示す図であり;(
図8C)化合物14及びhTRPM8のRMSDを示すグラフであり;(
図8D)化合物14の結合に寄与するhTRPM8中の鍵となる残基のエネルギー分解を示すグラフであり、ここで、hTRPM8ホモロジーモデルを、鋳型としてTRPM8
FA(PDB 6BPQ)のクリオEM構造を用いて構築した。
【
図9】[0031]
図9は、TRPM8、TRPA1及びTRPV1中の化合物14の結合ポケット並びにそれらの結合モードを示す関連する図を含み、以下を含む:(パネル(a))TRPM8、TRPA1及びTRPV1中の化合物14の結合ポケットの位置を示す図であり;(パネル(b));hTRPA1(PDB 3J9P)中の化合物14の結合モードを示す図であり;(パネル(c))hTRPM8中の化合物14の結合モードを示す図であり、ここで、hTRPM8ホモロジーモデルを、鋳型としてTRPM8
FA(PDB 6BPQ)のクリオ電子顕微鏡観察(クリオEM)構造を用いて構築し;(パネル(d))hTRPV1(PDB 3J5R)中の化合物14の結合モードを示す図である。
【
図10】[0032]
図10は、ICR(CD1)マウスにおけるイシリン誘導身震い行動(wet-dog shakes;WDS)に対する化合物14の影響を示すグラフであり、ここで、化合物又はビヒクルを、イシリン注射の30分前に投与し、ガバペンチン(25mg/kg)を、イシリン注射の1時間前に投与し、イシリン(10mg/kg)のi.p.注射の後に、WDSの数を30分間計数し、データは、平均±SEM(n=6)として示す(Bonferroni事後検定を用いる二元配置ANOVA、**P<0.01)。
【
図11】[0033]
図11は、雄性C57マウスにおけるオキサリプラチン(OXP)誘導冷覚異痛症に対する化合物14の影響を示すグラフであり、ここで、マウスに、OXP (6mg/kg)又はビヒクル(生理食塩水及び5%マンニトール溶液、黒線(対照))の3回のi.p.注射を1日おきに与え、投与後7日目に、アセトン試験により冷覚異痛症を評価し、化合物注射なし(緑線)又は0.1μg(青線)若しくは1.0μg(赤線)の化合物14の注射の冷覚異痛症の時間経過を示し、データは、平均±SEM n=6(Dunnettの事後検定を用いる一元配置ANOVA。*P<0.05;***P<0.001****P<0.0001)で示す。
【
図12】[0034]
図12は、シロエリヒタキ(collared flycatcher)(鳥類)、ヒト及びラットのTRPM8についてのS1~S4ヘリックス(VSLD)、S5~S6ヘリックス(ポアドメイン)、ポアヘリックス(PH)及びTRPヘリックスの配列アラインメントを示す図であり、ここで、TRPM8
FA(U3JD03、1103残基)、hTRPM8(Q7Z2W7、1104残基)及びrTRPM8(Q8R455、1104残基)の全長配列からのVSLDドメイン(S1~S4)、ポアドメイン(S5~S6及びポアヘリックスPH)及びTRPヘリックスを、UniProtKB/Swiss-Protから取得し、3つのドメインを、Clustal Omegaプログラムを用いてアラインメントし、ここで、類似アミノ酸をハイライトし、TRPM8
FAは、上記の領域においてヒト及びラットのTRPM8との相同性が高いことが示され(それぞれ86%及び87%の配列同一性)、アステリスクは、メントール(緑)、イシリン(黄)、電位(金)及びCa
2+(マゼンタ)に感応性の残基を示す。
【
図13】[0035]
図13は、hTRPM8を安定的に発現するHEK293細胞におけるイシリンについての濃度応答曲線を示すグラフであり、ここで、応答は、記載するイシリン濃度での細胞内遊離Ca
2+濃度の最大の変化を示すピーク蛍光(Fura-2)比により報告し、各データ点は、平均±SEMとしてのピーク蛍光比を表す(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧30細胞)。
【
図14】[0036]
図14は、HEK-293-hTRPM8細胞における(-)メントール誘発Ca
2+侵入の濃度応答曲線を示すグラフであり、ここで、各データ点は、Fura-2ベースのCa
2+イメージングアッセイにおける最大Ca
2+侵入のパーセントとして表される同族濃度での平均応答を表し、誤差バーは、SEMを表し(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧35細胞)、線は、Prism7(Graphpad Inc.)を用いて行った四パラメータロジスティック曲線適合を表す。
【
図15】[0037]
図15は、ヒトTRPM8を安定的に発現するHEK-293細胞におけるイシリン誘発Ca
2+侵入に対する化合物の影響の評価を示すグラフを含み、ここで、各バーは、イシリン(500nM)応答のものに対して標準化され、平均±SEM(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧35細胞)で表されるピークFura-2比を表し、一元配置ANOVAの後にDunnett検定を用いて、対照(イシリン)のものに対する試験化合物の有効性を比較した(*P<0.001)。
【
図16】[0038]
図16は、RQ-00203078の濃度応答曲線を示すグラフであり、ここで、応答は、500nMのイシリン単独により引き起こしたピーク応答に対して標準化したピーク蛍光(Fura-2)比により報告し、各データ点は、平均±SEMを表す(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧30細胞)。
【
図17】[0039]
図17は、化合物14の濃度応答曲線を示すグラフであり、ここで、応答は、500nMのイシリン単独により引き起こしたピーク応答に対して標準化したピーク蛍光(Fura-2)比により報告し、各データ点は、平均±SEMを表す(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧30細胞)。
【
図18A】[0040]
図18Aは、HEK-293-hTRM8細胞のFura-2ベースのCa2+イメージングを用いた、(-)-メントール(100μM)誘発Ca
2+侵入シグナルに対する化合物14(3nM)の影響を表す典型的なトレースを示すグラフであり、ここで、各データ点は、平均±SEMを表す(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧35細胞)。
【
図18B】[0041]
図18Bは、HEK-293-hTRPM8における(-)メントール誘発Ca
2+侵入に対する3nMの化合物14の影響の評価を示すグラフであり、ここで、各バーは、メントール(100μM)応答のものに対して標準化し、平均±SEM(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧35細胞)として表すピークFura-2比を表し、2つの群の間の平均応答は、Studentの対応のない両側t検定を用いて比較した。
【
図19】[0042]
図19は、選択されたビフェニルアミドアナログの固有のhTRPM8活性を示すグラフであり、ここで、Fura-2ベースのレシオメトリックCa
2+イメージングを、Ca
2+(2mM)含有細胞外溶液を用いて行い、各データ点は、平均±SEMを表す(3日の異なる日に行った3つの独立した実験からのn≧20細胞)。
【
図20】[0043]
図20は、hTRPA1mのAITC活性化のアゴニスト用量応答を示すグラフであり、ここで、EC
50=7.62±0.89μMであり、各データ点は、平均±SEMを表し、n=5又は10の独立した実験である。
【
図21】[0044]
図21は、AITC活性化(10μM)hTRPA1応答のルテニウムレッド遮断を示すグラフであり、ここで、IC
50=162±33nMであり、各データ点は、平均±SEMを表し、n=5の独立した実験である。
【
図22】[0045]
図22は、hTRPV1のカプサイシン活性化のアゴニスト用量応答を示すグラフであり、ここで、EC
50=19±2.5nMであり、各データ点は、平均±SEMを表し、n=5又は10の独立した実験である。
【
図23】[0046]
図23は、カプサイシン活性化(100nM)hTRPV1応答のカプサゼピン遮断を示すグラフであり、ここで、IC
50=451±48nMであり、各データ点は、平均±SEMを表し、n=5の独立した実験である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0047]
ここに開示する主題の1つ以上の実施形態の詳細を、本書面に示す。本書面に記載する実施形態及びその他の実施形態に対する変更は、本書面で提供する情報を精査した後に当業者に明らかになる。本書面で提供する情報、特に記載する例示的な実施形態の具体的な詳細は、まず明確な理解のために提供され、不必要な限定はそこから理解されるべきでない。矛盾する場合は、定義を含む本書面の規定が支配する。
【0025】
[0048]
本明細書で用いる用語は、当業者によく理解されると考えるが、あるいくつかの定義を、ここに開示する主題の説明を容易にするために示す。
【0026】
[0049]
そうでないと定義しない限り、本明細で用いる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術における当業者により通常理解されるものと同じ意味である。
【0027】
[0050]
本開示全体を通して言及する全ての特許、特許出願、公開された出願及び出版物、GenBank配列、UniProt又はSwiss-Protデータベース、ウェブサイト並びにその他の出版物は、そうでないと記載しない限り、その全体が参照により組み込まれる。
【0028】
[0051]
URL又はその他のそのような識別子若しくはアドレスについて言及する場合、そのような識別子は、変わることができ、インターネット上の特定の情報は、変動できるが、等価な情報は、インターネット上を検索することにより見出すことができることが理解される。それについての言及は、そのような情報が入手可能であり、公に伝播していることを示す。
【0029】
[0052]
本明細書で用いる場合、任意の保護基、アミノ酸及びその他の化合物の略語は、そうでないと記載しない限り、それらの通常の使用、認識された略語又は生化学的命名法に対するIUPAC-IUB委員会(Biochem. 1972)11(9):1726~1732を参照されたい)に従う。
【0030】
[0053]
本明細書に記載するものと類似又は等価な任意の方法、装置及び材料をここに開示する主題の実施又は試験において用いることができるが、代表的な方法、装置及び材料を本明細書に記載する。
【0031】
[0054]
本出願は、ここに開示する主題の構成成分及び本明細書に記載するその他の材料又は要素「を含む」(オープンエンド)、「からなる」(クローズドエンド)又は「から本質的になる」ことができる。本明細書で用いる場合、「含む」はオープンエンドであり、記載する要素又は構造若しくは機能におけるその等価物と、記載していない任意のその他の1つ以上の要素を意味する。用語「有する」及び「含む」も、文脈がそうでないと示唆しない限り、オープンエンドと解釈される。
【0032】
[0055]
古くからの特許法の申し合わせに従って、用語「a」、「an」及び「the」は、特許請求の範囲を含む本出願において用いる場合「1つ以上」のことをいう。よって、例えば、「細胞(a cell)」についての言及は、複数のそのような細胞を含む、などである。
【0033】
[0056]
そうでないと示さない限り、明細書及び特許請求の範囲で用いる材料、特性、例えば反応条件などの量を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」で修飾されていると理解されるべきである。したがって、そうでないと示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載する数値パラメータは、ここに開示する主題が得ようとする所望の特性に依存して変動し得る近似値である。
【0034】
[0057]
本明細書で用いる場合、用語「約」は、質量、重量、時間、容量、濃度又はパーセンテージの価値又は量に言及する場合、特定する量の、いくつかの実施形態において±20%、いくつかの実施形態において±10%、いくつかの実施形態において±5%、いくつかの実施形態において±1%、いくつかの実施形態において±0.5%、いくつかの実施形態において±0.1%の変動を含むことを意味するが、これは、そのような変動が開示する方法を実施するために適切であるからである。
【0035】
[0058]
本明細書で用いる場合、範囲は、「約」一つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までと表すことができる。本明細書にはいくつかの値が開示され、それぞれの値が、その値自体とともに「約」その特定の値としても本明細書に開示されているとも理解される。例えば、値「10」が開示されているならば、「約10」も開示されている。2つの特定の単位の間のそれぞれの単位も開示されていると理解される。例えば、10及び15が開示されているならば、11、12、13及び14も開示されている。
【0036】
[0059]
本明細書で用いる場合、「任意の」又は「所望により」は、それに続いて記載される事象又は状況が生じるか又は生じず、その記載が、その事象又は状況が生じる場合及びそれが生じない場合を含むことを意味する。例えば、所望により変動する部分は、その部分が変動するか又は不変であることを意味する。
【0037】
[0060]
ここに開示する主題は、少なくとも部分的に、構造的類似性及び立体配座安定性の両方を有する小分子TRPM8アンタゴニストの開発に基づき、これらは、鳥類のクリオEM構造TRPM8
FA(PDB 6BPQ、約4.1Å)に基づくヒトTRPM8ホモロジーモデルにおける分子動力学(MD)シミュレーションからのポーズにより、リガンド認識についての類似の分子決定因子を明らかにするために用いられた。これらの洞察により、いくつかの実施形態では、現在知られているTRPM8アンタゴニスト、例えば2-ベンジルオキシ-安息香酸アミド誘導体AMTB並びに二官能性TRPM8アンタゴニスト活性を有するTRPV1 アンタゴニスト、例えばピリジルピペラジンカルボキサミドBCTC及び尿素SB-452533(
図1)よりも大きい効力を有するとして同定されたTRPM8媒介感覚性ニューロパチーのための新規なTRPM8化学プローブ及び治療化合物の設計が可能になった。
【0038】
[0061]
前臨床モデルでは、トリプトファンベースのTRPM8アンタゴニストが、C57/BL6マウスにおけるオキサリプラチン誘導冷覚異痛症を反転させることが認識されている。この点において、高いナノモル効力及び穏やかなTRPM8選択性を有するここに開示する化学的に新規なビフェニルアミドベースのTRPM8アンタゴニストは、化学療法(オキサリプラチン)誘導慢性神経障害性疼痛(化学療法誘導末梢神経障害又はCIPNとも呼ばれる)を有するC57/BL6マウスにおける冷覚異痛症を反転させることが見いだされた。さらに、本明細書に開示するTRPM8アンタゴニストは、その他の疼痛状態、例えば慢性神経障害性疼痛に関連する冷覚異痛症及び機械的異痛症においても有用であり得る。従来のTRPM8アンタゴニストであるDFL23448及びDFL23693は、神経障害性疼痛の慢性絞扼損傷(CCI)誘導冷覚異痛症及び機械的異痛症モデルにおける侵害受容反応を著しく減弱させる。同様に、従来のTRPM8アンタゴニストPBMCは、前臨床モデルにおけるCCI誘導冷覚異痛症を減少させる。これらの観察と一致して、TRPM8-/-マウスは、坐骨神経のCCI後の冷却誘導感応性(冷覚異痛症)の増加を示さず、同様に、TRPM8アンチセンスオリゴヌクレオチド(くも膜下腔内投与)を用いるCCI誘導神経損傷と同側のL5後根神経節(DRG)におけるTRPM8の下方制御は、冷痛覚過敏の減弱をもたらす。いずれの特定の理論又は機構と結び付けられることを望まないが、よって、本明細書に記載するTRPM8アンタゴニストは、慢性疼痛の処置のための新規でオピオイドでない療法をもたらす可能性を有して、慢性神経障害性疼痛状態における熱的及び機械的異痛症を緩和でき(alieve)、よって、オピオイド嗜癖に対する新しい処置を提供できると考えられた。本発明のいくつかの実施形態において、TRPM8は、末梢及び/又はCNSのレベルでの疼痛刺激に対する感覚性応答を制御する新規な疼痛薬物療法のための本明細書に記載するTRPM8アンタゴニストの標的である。いくつかの実施形態において、ここに記載するTRPM8アンタゴニストは、その他の疾患、例えば炎症性疼痛における冷覚過敏症、口腔顔面痛、過活動膀胱及び疼痛性膀胱症候群、低体温の誘導又は体温の減少が有利である疾患(例えば、心停止の間、新生児脳症、脳卒中など)を含む温度調節に関与する疾患、片頭痛、前立腺癌、経口扁平上皮癌、ニコチン嗜癖行動などにおいても利用性を見出すことができる。
【0039】
[0062]
ここに開示する主題は、よって、TRPM8アンタゴニスト及び関連する方法を含む。特に、ここに開示する主題のあるいくつかの実施形態は、TRPM8アンタゴニスト、及び疼痛の処置のためにこれらのアンタゴニストを用いる方法に関する。
【0040】
[0063]
ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、以下の式(I):
【化9】
(式中、R
1は、それぞれ炭素数4~12であり、それぞれ炭素数1~6のアルキル基又は炭素数4~12のシクロアルキル基により所望により置換されていてもよく、それぞれ所望により飽和又は部分的に不飽和であるシクロアルキル、ビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基から選択される)を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。以下に示すように、
【化10】
は、本明細書において、様々なR
1基についての結合点を示すために用いられる。
【0041】
[0064]
用語「シクロアルキル」は、炭素数約3から約12、例えば炭素数3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の非芳香族単環式環系のことを一般的に言うために用いるが、あるいくつかの実施形態において、このようなシクロアルキル基は、芳香環をさらに含む。代表的な単環式シクロアルキル環は、それらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含む。
【0042】
[0065]
いくつかの実施形態において、このようなシクロアルキル基を組み合わせて、多環式環系、例えばいくつかの実施形態において、2つの環系を含む「ビシクロアルキル」基又はその他の実施形態において3つの環系を含む「トリシクロアルキル」基を創出することもできる。いくつかの実施形態において、このようなビシクロアルキル基は、2つの環が互いに直接連結され、2つの隣り合う原子を共有する縮合ビシクロアルキル基であり得る。その他の実施形態において、ビシクロアルキル基は、2つの環が、2つの環に共有され、少なくとも1原子を含む橋により分けられている2つの橋頭原子と3つ以上の原子を共有する橋掛けビシクロアルキル基である。その他の実施形態において、ビシクロアルキル基は、2つの環が単一原子により連結されているスピロ連結ビシクロアルキル基である。
【0043】
[0066]
いくつかの実施形態において、本明細書に記載するシクロアルキル基は、所望により飽和又は部分的に不飽和であり得る。シクロアルキル基は、本明細書に定義するアルキル基又は別のシクロアルキル基で所望により置換され得る。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、シクロアルキル基が別の化学部分、例えばアルキル基に結合している分岐シクロアルキル基である。
【0044】
[0067]
本明細書に記載し、ここに開示する主題のシクロアルキル、ビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基を所望により置換し得るアルキル基に関して、用語「アルキル」は、本明細書において、C1-20(両端を含む)で線状(すなわち「直鎖」)、分岐、飽和又は少なくとも部分的、いくつかの場合において完全に不飽和の(すなわちアルケニル及びアルキニル)炭化水素鎖、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ブタジエニル、プロピニル、メチルプロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル及びアレニル基のことをいうために用いる。アルキル基に関して本明細書で用いる場合、「分岐」は、典型的に低級アルキル基、例えばメチル、エチル又はプロピルが線状アルキル鎖に結合しているアルキル基のことをいう。「低級アルキル」は、炭素数1から約8(すなわちC1-8アルキル)、例えば炭素数1、2、3、4、5、6、7又は8のアルキル基のことをいう。「高級アルキル」は、他方、炭素数約10から約20、例えば炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のアルキル基のことをいう。あるいくつかの実施形態において、「アルキル」は、特に、C1-8直鎖アルキルのことをいう。その他の実施形態において、「アルキル」は、特に、C1-8分岐鎖アルキルのことをいう。
【0045】
[0068]
ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、R
1が、
【化11】
及びそれらのアナログからなる群より選択される上記の式(I)の化合物が提供される。
【0046】
[0069]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化12】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基である。
【0047】
[0070]
その他の実施形態において、R
1は、
【化13】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるシクロアルキル基である。
【0048】
[0071]
さらなる実施形態において、R
1は、
【化14】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるスピロ連結ビシクロアルキル基である。
【0049】
[0072]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化15】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるシクロアルキル基である。
【0050】
[0073]
いくつかの実施形態において、R
1は、
【化16】
及びそれらのアナログからなる群より選択されるビシクロアルキル又はトリシクロアルキル基である。
【0051】
[0074]
ここに開示する主題の式(I)のまださらなる実施形態において、R
1は、
【化17】
からなる群より選択される。
【0052】
[0075]
例えば、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物1ともいう以下の式(II):
【化18】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0053】
[0076]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物2ともいう以下の式(III):
【化19】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0054】
[0077]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物3ともいう以下の式(IV):
【化20】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0055】
[0078]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物4ともいう以下の式(V):
【化21】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0056】
[0079]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物5ともいう以下の式(VI):
【化22】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0057】
[0080]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物6ともいう以下の式(VII):
【化23】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0058】
[0081]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物7ともいう以下の式(VIII):
【化24】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0059】
[0082]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物8ともいう以下の式(IX):
【化25】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0060】
[0083]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物9ともいう以下の式(X):
【化26】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0061】
[0084]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物10又は12ともいう以下の式(XI):
【化27】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0062】
[0085]
いくつかの実施形態において、上記の式(XI)を有するTRPM8アンタゴニストは、いくつかの異性体の形で提供でき、これらに限定されないが、以下を含む:
【化28】
【0063】
[0086]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物11ともいう以下の式(XII):
【化29】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0064】
[0087]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物15ともいう以下の式(XIII):
【化30】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0065】
[0088]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物13ともいう以下の式(XIV):
【化31】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0066】
[0089]
別の例として、いくつかの実施形態において、本明細書において化合物14ともいう以下の式(XV):
【化32】
を有するTRPM8アンタゴニストが提供される。
【0067】
[0090]
さらに、ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、本明細書に記載するTRPM8アンタゴニストと、薬学的に許容されるビヒクル、キャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。実際に、本明細書においてあるいくつかの実施形態に言及する場合に、用語「TRPM8アンタゴニスト」及び/又は「化合物」は、TRPM8アンタゴニストを含む医薬組成物に言及するために用いることもあるし、そうでないこともある。
【0068】
[0091]
用語「薬学的に許容されるキャリア」は、本明細書で用いる場合、滅菌された水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、及び使用直前の滅菌注射溶液又は分散液への再構築のための滅菌粉末のことをいう。適度な流動性は、例えば、コーティング物質、例えばレシチンの使用により分散液の場合に必要な粒子サイズを維持することにより、そして界面活性剤の使用により維持できる。これらの組成物は、補助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤も含み得る。微生物の活動は、様々な抗菌及び抗黴剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることにより確実に防止できる。等張化剤、例えば糖類、塩化ナトリウムなどを含めることも望ましいことがあり得る。
【0069】
[0092]
注射用医薬剤形の持続吸収は、作用剤、例えば吸収を遅らせるモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによりもたらすことができる。注射用デポー剤形は、薬物のマイクロカプセルマトリクスを、生分解性高分子、例えばポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルソエステル)及びポリ(酸無水物)中に形成することにより作製される。生分解性高分子に対する化合物の割合及び用いる特定の生分解性高分子の性質に応じて、放出される化合物の速度を制御できる。デポー注射用製剤は、化合物を、体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に捕捉することにより調製することもできる。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通して濾過することにより、又は使用直前に滅菌水若しくはその他の注射用滅菌媒体に溶解若しくは分散できる滅菌固形組成物の形に滅菌剤を組み込むことにより、滅菌できる。適切な不活性キャリアは、糖類、例えばラクトースを含む。
【0070】
[0093]
適切な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、殺菌性抗生物質及び意図する受容者の体液と製剤を等張にする溶質を含み得る水性及び非水性の滅菌注射用液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液をさらに含み得る。
【0071】
[0094]
組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンの形をとることもでき、処方のための剤、例えば懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤を含むことができる。代わりに、化合物は、適切なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で使用前に構成するための粉末の形であり得る。
【0072】
[0095]
製剤は、単回用量又は複数回用量容器、例えば密閉アンプル及びバイアルに入れることができ、使用直前に滅菌液体キャリアの添加のみを必要とする凍結又は凍結乾燥(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilized))条件で貯蔵できる。
【0073】
[0096]
経口投与のために、組成物は、例えば、薬学的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えばラクトース、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ)、崩壊剤(例えばバレイショデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム)又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を用いる従来の技術により調製した錠剤又はカプセル剤の形をとり得る。錠剤は、当該技術において知られる方法によりコーティングされ得る。
【0074】
[0097]
経口投与のための液体調製物は、例えば、液剤、シロップ剤若しくは懸濁剤の形をとり得るか、又は使用前に水若しくは他の適切なビヒクルを用いる構成のための乾燥製品であり得る。このような液体製剤は薬学的に許容される添加剤、例えば懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素添加食用脂)、乳化剤(例えばレシチン又はアカシア)、非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分留植物油)及び保存剤(例えば、メチル若しくはプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸又はソルビン酸)を用いる従来の技術により調製できる。調製物は、緩衝塩、香味剤、着色剤及び甘味剤を適切であれば含むこともできる。経口投与用の調製物は、活性化合物の制御放出を与えるように適切に処方できる。頬側投与のために、組成物は、従来の様式で処方された錠剤又はロゼンジの形をとり得る。
【0075】
[0098]
組成物は、移植又は注射用の調製物として処方することもできる。よって、例えば、化合物は、適切な高分子又は疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)若しくはイオン交換樹脂とともに、又はやや溶けにくい誘導体(例えばやや溶けにくい塩)として処方できる。化合物は、直腸組成物、クリーム若しくはローション剤又は経皮パッチ中に処方することもできる。
【0076】
[0099]
ここに開示する主題のいくつかの実施形態において、本明細書に記載するTRPM8アンタゴニストを用いて疼痛を処置する方法がさらに提供される。本明細書で用いる場合、用語「処置」又は「処置する」は、それらに限定されないが、予防的処置及び治療的処置を含む興味対象の状態(例えば疼痛)のいずれの処置にも関する。よって、用語「処置」又は「処置する」は、それらに限定されないが、興味対象の状態の発生又は興味対象の状態の進展の低減、興味対象の状態の進行の阻害、興味対象の状態のさらなる進展の停止又は低減、興味対象の状態の重篤度の低減、興味対象の状態に関連する症状の改善又は軽減、及び興味対象の状態又は興味対象の状態に関連する1以上の症状の退行を引き起こすことを含む。
【0077】
[00100]
用語「疼痛」は、本明細書において、疾病又は損傷により引き起こされる身体的苦痛又は不快感であって、身体への実際の又は可能性のある損傷を合図で知らせるために感覚ニューロンにより対象者の脳に典型的に運ばれるものを一般的に記載するために用いられる。このような疼痛は、損傷及び疾病を含む任意の数の状況から生じ得るが、心理的状態、例えばうつ病に起因し得るか又は認識できるトリガーがないこともあり得る。疼痛は、急性疼痛及び慢性疼痛をともに含む。急性疼痛は、組織ダメージ、例えば皮膚熱傷、骨折、頭痛及び筋痙攣にの結果として生じることができ、損傷が治癒するか又は疼痛の原因(刺激)が取り除かれると通常なくなる。他方、慢性疼痛は、長期間にわたって持続又は進行し、医療処置に対してしばしば抵抗する。このような慢性疼痛は、それらに限定されないが、糖尿病、関節炎、片頭痛、線維筋痛症、がん、帯状疱疹、坐骨神経痛及び以前の外傷又は損傷を含むいくつかの異なる医療状態にしばしば起因し、環境及び/又は心理的因子に応答して悪化し得る。その他のタイプの慢性疼痛は、異痛症、痛覚過敏及び幻肢痛、並びに神経系への少なくともいくらかのダメージにより生じるか又はそれにより増悪される他のタイプの長期間持続する疼痛(すなわち神経障害性疼痛)を含む。本明細書に記載する方法のいくつかの実施形態において、本明細書に記載するTRPM8アンタゴニストにより処置される疼痛は、慢性神経障害性疼痛である。いくつかの実施形態において、処置される疼痛は、化学療法誘導神経障害性疼痛、慢性神経障害性疼痛における冷覚異痛症、慢性神経障害性疼痛における機械的異痛症、炎症性疼痛及び神経損傷における冷覚過敏症、口腔顔面痛、冷覚誘導疼痛、片頭痛、疼痛性膀胱症候群である。
【0078】
[00101]
いくつかの実施形態において、上記のタイプの疼痛のそれぞれは、そのようなタイプの疼痛の重篤度を含めて、当業者に既知の方法により評価できる。例えば、いくつかの実施形態において、化学療法(例えばオキシプラチン(oxiplatin))誘導末梢神経障害を評価するために用いる疼痛の標準的な臨床測定は、シリンダー試験、FACT/GOG-NTX-13又はFACT/GOG-NTX-4(神経毒性サブスケール)及びBPI-SF平均疼痛重篤度アイテムを含む。いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛の標準的な臨床測定は、冷覚疼痛試験、平均疼痛強度の変化の測定、特定期間中の疼痛強度スコアにおけるベースラインからの変化の測定、日平均疼痛評点の週平均におけるベースラインからの変化の測定、平均日疼痛強度スコアにおける変化の測定、バニオン切除術後の疼痛強度の低減の測定、日平均疼痛強度の測定、及び/又は数値評価スケール若しくは疼痛数値評価スケール(NRS又はNPRS)を用いる測定を含む。
【0079】
[00102]
本明細書に記載する治療組成物(例えばTRPM8アンタゴニスト)の投与のために、マウス動物モデルに投与した用量に基づいてヒト投与量を推定する従来の方法を、マウス投与量をヒト投与量に変換するための変換係数:1kg当たりのヒト用量=1kgあたりのマウス用量/12(Freireichら、(1966)Cancer Chemother Rep.50:219~244)を用いて行うことができる。用量は、体表面積1平方メートル当たりのミリグラムとしても表すことができる。なぜなら、この方法は、体重よりも、ある種の代謝及び排泄機能とよい相関を達成するからである。さらに、体表面積は、成人及び小児、並びにFreireichら(Freireichら、(1966)Cancer Chemother Rep.50:219~244)により記載されるように、異なる動物種における薬物投与量の共通分母として用いることができる。簡単に述べると、任意の種におけるmg/kg用量を等価なmg/sq-m用量として表すためには、用量に適切なkm係数を乗じる。ヒト成人では、100mg/kgは、100mg/kg×37kg/sq-m=3700mg/m2に等しい。
【0080】
[00103]
ここに開示する主題の方法に従って治療組成物を投与するための適切な方法は、それらに限定されないが、全身投与、非経口投与(血管内、筋内及び/又は動脈内投与を含む)、経口送達、頬側送達、直腸送達、皮下投与、腹腔内投与、くも膜下腔内投与、脳室内投与、吸入、気管内据え付け、外科的移植、経皮送達、局所注射、鼻内送達及び超高速注射/衝撃を含む。適切であれば、連続注入は、標的部位での薬物蓄積を増進できる(例えば米国特許第6,180,082号を参照されたい)。
【0081】
[00104]
投与経路にかかわらず、ここに開示する主題の組成物は、所望の応答を達成するために有効な量で典型的に投与される。よって、用語「有効量」は、本明細書において、測定可能な生物学的応答(例えば疼痛の減少)を生じるのに十分な治療組成物(例えばTRPM8アンタゴニスト及び薬学的に許容されるビヒクル、キャリア又は賦形剤)の量のことをいうために用いる。ここに開示する主題の治療組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の対象及び/又は施与について所望の治療応答を達成するために有効な活性化合物の量を投与するように変動し得る。もちろん、任意の特定の場合における有効量は、治療組成物の活性、製剤、投与経路、他の薬物又は処置との組み合わせ、処置される状態の重篤度、並びに処置される対象の身体状態及び以前の医療履歴を含む様々な要因に依存する。好ましくは、最少用量を投与し、用量制限毒性の非存在下での最低有効量まで用量を漸増させる。治療有効量の決定及び調節、並びにいつそしてどのようにそのような調節を行うかの評価は、当業者に知られている。
【0082】
[00105]
製剤及び用量についてのさらなる手引きについては、米国特許第5,326,902号、5,234,933号、国際特許出願公開第WO93/25521号、Berkowら、(1997)The Merck Manual of Medical Information、家庭版、Merck Research Laboratories、Whitehouse Station、New Jersey;Goodmanら、(1996)Goodman&Gilman's the Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版、McGraw-Hill Health Professions Division、New York;Ebadi、(1998)CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology.CRC Press、Boca Raton、Florida;Katzung、(2001)Basic&Clinical Pharmacology、第8版、Lange Medical Books/McGraw-Hill Medical Pub.Division、New York;Remingtonら、(1975)Remington’s Pharmaceutical Sciences、第15版、Mack Pub.Co.、Easton、Pennsylvania;及びSpeightら、(1997)Avery's Drug Treatment:A Guide to the Properties,Choice,Therapeutic Use and Economic Value of Drugs in Disease Management、第4版、Adis International、Auckland/Philadelphia;Duchら、(1998)Toxicol. Lett.100~101:255~263を参照されたい。
【0083】
[00106]
本明細書で用いる場合、用語「対象」は、ヒト及び動物対象を共に含む。よって、獣医学的な治療的使用が、ここに開示する主題により提供される。よって、ここに開示する主題は、哺乳動物、例えばヒト、並びに危険にさらされているために重要な哺乳動物、例えばシベリアトラ;経済的に重要なもの、例えばヒトによる消費のために飼育されている動物;及び/又はヒトに対して社会的に重要な動物、例えばペットとして又は動物園で保有される動物の処置を提供する。このような動物の例は、それらに限定されないが、肉食動物、例えばネコ及びイヌ;ブタ類、例えばブタ(pig)、雄豚(hog)及びイノシシ;反芻動物及び/又は有蹄動物、例えばウシ(cattle)、雄ウシ(oxen)、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン及びラクダ;並びにウマを含む。危険にさらされている、かつ/又は動物園で保有されている種類の鳥類、並びに家禽(fowl)、より具体的には家禽(domestic fowl)、すなわち家禽(poultry)、例えば七面鳥、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウなど(これらは、ヒトにとって経済的に重要であるので)の処置を含む、鳥類の処置も提供される。よって、それらに限定されないが、家畜のブタ類、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競技用ウマを含む)、家禽(poultry)などを含む家畜の処置も提供される。
【0084】
[00107]
ここに開示する主題を、以下の具体的であるが非限定的な実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0085】
[00108]
材料及び方法
[00109]
分子モデリング
[00110]
hTRPM8のホモロジーモデリング。ヒトTRPM8モデルは、シロエリヒタキ(Ficedula albicollis)のクリオEM構造(TRPM8FA、PDB:6BPQ、分解率:約4.1Å)に基づいて構築し、hTRPM8は、TRPM8FAと83%の配列同一性を有する。クリオEM構造は、プロテインデータバンク(Protein Data Bank)からダウンロードした。SYBYL-X1.3を用いて全ての残基を修復し、エネルギーを最小限にした。hTRPM8の全長配列(Q7Z2W7、1104残基)は、UniProtKB/Swiss-Protから得た。配列アラインメント及びホモロジーモデリングは、以前に報告されたプロトコールを用いた。
【0086】
[00111]
Modeller9.18を用いて、hTRPM8モデルを構築した。3Dモデルが一旦作製されると、SYBYL-X1.3を用いて、エネルギーを最小にした。簡単に述べると、SYBYLにおいて定義されたパラメータは、以下の通りであった:グラジエントは0.5kcal/molに設定し、最大反復は5000に設定し、力場はMMFF94sに設定し、電荷はMMFF94に設定した。これらの全ての設定は、以前に記載されたものと同じであった。次いで、proSA-web Z-スコア及びPROCHECK Ramachandranプロットを用いて、3Dモデル全体の質を確認した。
【0087】
[00112]
hTRPM8のリガンドへの分子ドッキング。SYBYL-X1.3において実行されるドッキングプログラムSurflex-Dock GeomX(SFXC)を用いて、TRPM8-リガンド複合体を構築したが、ここで、全体スコアは、-log10(Kd)で表した。次いで、SYBYL-X1.3においてMOLCADモジュールを当てはめて、hTRPM8の可能性のある結合ポケットを探索し、これは、以下の残基を含んだ:Phe738(S1)、Tyr745(S1)、Glu782(S2)、Glu785(S2)、Trp798(S3)、Asn799(S3)、Asp802(S3)、Ala805(S3)、Arg842(S4)、His845(S4)、Ile846(S4)、Val849(S4)、Glu1004(TRPヘリックス)、Tyr1005(TRPヘリックス)、Arg1008(TRPヘリックス)及びLeu1009(TRPヘリックス)。全てのパラメータ及び分子ドッキングのプロトコールは、以前の報告で見出すことができる。
【0088】
[00113]
分子動力学(MD)シミュレーション。MDシミュレーションを加速させるために、hTRPM8の膜貫通ドメイン(Gln671からAsn1010までの残基)を選択して、異なるリガンドとのTRPM8のシミュレーションを行った。TRPM8受容器の各単量体を1つのリガンドと複合体形成させたので、各シミュレーションについて4つの(同じ)リガンドがあった。次いで、系を、514 1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)脂質、51470 水分子及び156 Cl-及び140 Na+イオンを含む0.15mol/L NaCl溶液中に溶媒和化した。TRPM8とリガンドの初期の立体配座は、分子ドッキング研究から得た。初期シミュレーションボックスのサイズは、約151Å*151Å*119Åに設定した。AMBER ff14SB力場をTRPM8に印加し、AMBER Lipid14力場を脂質に印加した。水分子は、TIP3P水モデルを用いて処理した。
【0089】
[00114]
全てのMDシミュレーションを、次いで、AMBER16パッケージ中のPMEMD.mpi及びPMEMD.cudaモジュールを用いて行った。立体衝突の可能性を避けるために、各系について数回の最小化工程を行った。次いで、各系を、加熱段階において0Kから300Kまで徐々に加熱した後に、2fsの時間工程の平衡化及び生成段階(300K)を行った。周期的境界条件を採用して、一定温度及び圧力(NPT)の調和を維持した。圧力は1atmに設定し、1psの圧力緩和時間で異方性(x-、y-、z-)圧力スケーリングプロトコールにより制御した。温度は、2ps-1の衝突頻度でのLangevin動力学により拘束したままにした。長距離静電学は、Particle Mesh Ewald(PME)法により扱い、リアルスペース相互作用のカットオフ値は、10Åに設定した。水素原子が関与する全ての共有結合は、SHAKEアルゴリズムにより拘束した。各系は、100ns MDシミュレーションで行い、それぞれのシミュレートした系の軌道は、100psごとに保存した。
【0090】
[00115]
分子力学/一般化Born表面領域(molecular mechanics/generalized born surface area;MM/GBSA)計算。各MDシミュレーションの保存した軌道について、MM/GBSA法を当てはめて、異なるリガンドの処理の元でのTRPM8の結合エネルギーを計算した。平均結合エネルギーを計算するために、50のスナップショットを各軌道から200psごとに90から100nsまで、以下の式を用いて抽出した:
ΔEbind=ΔEMM+ΔESOL=ΔEMM+ΔEGB+ΔESA
ここで、ΔEbindは、結合エネルギーであり、ΔEMMは、真空中での分子力学的エネルギーの総計を表し、静電、ファンデルワールス力及び内部エネルギーからの寄与にさらに分割できる。この項は、分子力学的方法によりコンピュータで計算できる。ΔESOLは、一般化Born(GB)近似モデルを用いて計算される極性溶媒和エネルギー(ΔEGB)と、溶媒露出表面領域(SASA)をペアワイズオーバーラップの一次結合(linear combinations of pairwise overlaps;LCPO)モデルを用いて適合させることにより得られる非極性部分(ΔESA)とを含む溶媒和エネルギーである。さらに、各残基のエネルギーを、主鎖及び側鎖原子に分解した。エネルギー分解により、生物活性に対するカギとなる残基の寄与を分析することができた。
【0091】
[00116]
化学。薄層クロマトグラフィーを、AnaltechシリカゲルGF250ミクロンTLCプレートで行った。プレートを、254nM UV光とヨウ素での染色により視覚化した。フラッシュクロマトグラフィーを、F60シリカゲル、230~400メッシュ、60Å(Silicycle(登録商標)SiliaFlash(登録商標))で行った。自動化フラッシュクロマトグラフィーを、多変動波長(200~400nm)検出器(モデルISO-PSV)を有するBiotage Isolera Prime自動化フラッシュ精製システムで、Biotage HP-Sphere(商標)25ミクロン球状シリカを充填したBiotage SNAP Ultraカートリッジ(10g又は25g)を用いて、溶媒A(ジクロロメタン)/溶媒B(ジエチルエーテル)の二元勾配(2について:99/1→94/6、化合物4について:100/0→96:4、化合物5、6、9、10、12、14及び15について:100/0→98/2、化合物7について:96/4→94/6;化合物13について:100/0→94/6)を用いて、12又は25mL/分の流速で行った。溶出ピークは、254及び280nmにてモニタリングした。NMRは、Bruker Ascent 400MHz NMRで、CDCl3を用いて記録した。質量分析スペクトルは、Agilent 1290 Infinity及び6490 Triple Quad LC/MSで、エレクトロスプレーイオン化(ESI)モードを用いて得た。化合物2及びその異性体(2A、2B及び2C)並びに化合物10及び12のLC-UV-MSは、Accela 1250ポンプ、オープンオートサンプラー及びPDA検出器を含み、その後にThermo Q Exactive Orbitrap質量分析計に連結したAccela UHPLCシステム(Thermo Scientific、San Jose、CA、USA)を用いて行った。クロマトグラフィー分離は、Agilent Eclipse XDB C18カラム(1.8μm粒子及び2.1mm×100mmの寸法で、2.1mm×5mmのガードカラムを有する)で、A:LC-MSグレード水中の0.1%ギ酸(v/v)及びB:アセトニトリル中の0.1%ギ酸(v/v)からなる移動相、並びに2つの異なる溶出法を用いて行った。化合物2及びその異性体(2A、2B及び2C)について勾配溶出法を用いたが、これは、8分間での0%Bから95%Bまでの後に、合計20分間でのカラム洗浄及び平衡化時間からなった。定組成溶出法は、化合物10及び12について用い、これは、20分間一定に保った58%Bであった。両方のクロマトグラフィー法について、流速は、300μl/分であり、5μlの試料を注入した。UV検出は、200から600nmの範囲にわたってPDA検出器を用いて達成し、特定のチャネル波長をモニタリングした(280nm、254nm及び214nm)。質量分析計パラメータは、3.7kVエレクトロスプレー電圧でのフルMSモード、70,000の解像度設定、AGCターゲット1e6、最大IT 100ms及び走査範囲m/z 150~1000で走査するポジティブイオンモードでのエレクトロスプレーイオン化からなった。データプロセシングは、Thermo Xcaliburバージョン4.1.31.9でQual Browserを用いて行った。元素分析は、Atlantic Microlabs、Norcross、GAが行った。全ての最終化合物の純度は、99.6%を超えていた。
【0092】
[00117]
一般的なアミド化手順。THF中の[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸(1.00~1.5当量)(0.1M)の溶液に、撹拌しながら、EDCI(1.04~1.56当量)、HOBt(1.04~1.56当量)及びEt3N(1.2~3.3当量)を加え、反応物を室温にて1時間撹拌した。この混合物に、THF中の置換アミン(1.0~1.2当量)の溶液を加え、反応物を40℃にて2~3時間又は室温にて1~3日間撹拌した。反応物を、EtOAc及びH2Oで希釈した。合わせた有機層を飽和NaCl(aq)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、ろ過して濃縮した。
【0093】
[00118]
N-(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物2、LCMSにより30:21:49の比率で存在する3種の異性体の混合物)。5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-アミン(62mg、0.40mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗製残渣を、ヘキサン/ジエチルエーテル/NH4OH(100/0/0→95/5/0.5)を用いるフラッシュクロマトグラフィーと、その後の自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、83mgの標題物質を62%の収率で得た。1H NMR (混合物) (400 MHz, CDCl3) δ 7.87-7.78 (m, 6H), 7.69-7.63 (m, 7H), 7.63-7.58 (m, 6H), 7.51-7.35 (m, 8H), 6.22 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.16 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.82 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.63 4.55 (m, 2H), 4.39 (tt, J = 7.8, 3.9 Hz, 1H), 4.03 (qd, J = 10.9, 3.9 Hz, 1H), 2.15-2.07 (m, 1H), 2.06-1.91 (m, 4H), 1.90-1.60 (m, 4H), 1.56-1.23 (m, 3H), 1.22-1.11 (m, 6H), 1.09-0.82 (m, 27H). MS (ESI) (混合物) m/z 336.30 (M+H)+. LCMS (混合物), RT (ピーク1) = 8.76 min, m/z (M+H)+ = 336.2; LCMS RT (ピーク2) = 8.84 min, m/z (M+H)+ = 336.2; LCMS RT (ピーク3) = 9.05 min, m/z (M+H)+ = 336.2. C23H29NO (混合物)についての分析計算値: C, 82.34; H, 8.71; N, 4.18; 実測値: C, 82.07; H, 8.58; N, 4.29.
【0094】
[00119]
化合物2(50mg)の異性体分離は、分取薄層クロマトグラフィー(TLC)(2000ミクロン、20×20cm、Analtech)により、ヘキサン:EtOAc:NH4OH(79.6:20.0:0.4)を用いて行った。プレートを、上記の溶媒系に2回曝露して、異性体2A(15mg)及び異性体2B及び2Cの混合物(33mg)を得た。異性体2B及び2C混合物のさらなる分取TLCは、ヘキサン:EtOAc:NH4OHの勾配(89.6:9.9:0.5→84.6/14.9/0.5)を用いて行って、異性体2B(2.3mg)及び異性体2B及び2C(16.6mg)を得た。
【0095】
[00120]
異性体2A、単離:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.86-7.84 (m, 2H), 7.70-7.67 (m, 2H), 7.65-7.62 (m, 2H), 7.51-7.48 (m, 2H), 7.44-7.39 (m, 1H), 6.24 (d, J = 8 Hz, 1H), 4.64-4.59 (m, 1H), 2.08-2.03 (m, 1H), 1.99-1.95 (m, 1H), 1.85-1.81 (m, 1H), 1.54 (br s, 1H), 1.48-1.41 (m, 1H), 1.28 (s, 1H), 1.22-1.04 (m, 3H), 1.00-0.92 (m, 9H). LCMS RT = 9.26 min, m/z (M+H)+ = 336.2. TLC (SiO2) Rf 0.37 (8:2ヘキサン:ジエチルエーテル+2滴のNH4OH)。
【0096】
[00121]
異性体2B、単離:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.85-7.82 (m, 2H), 7.67-7.60 (m, 4H), 7.49-7.36 (m, 3H), 5.79 (d, J = 8 Hz, 1H), 4.03 (qd, J = 10.9, 3.8 Hz, 1H), 2.16-2.12 (m, 1H), 2.05-1.85 (m, 1H), 1.79-1.70 (m, 1H), 1.25-1.15 (m, 5H), 1.04-1.00 (m, 1H), 0.95-0.85 (m, 9H). LCMS RT = 8.85 min, m/z (M+H)+ = 336.2. TLC (SiO2) Rf 0.31 (8:2ヘキサン:ジエチルエーテル+2滴のNH4OH)。
【0097】
[00122]
異性体2C(70:30の比率の2B:2Cとして得られた):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.87-7.83 (m, 2H), 7.69-7.67 (m, 2H), 7.64-7.62 (m, 2H), 7.51-7.47 (m, 2H), 7.43-7.39 (m, 1H), 6.18 (2C, d, J = 8 Hz, 0.5H), 5.84 (2B, J = 12 Hz, 1H), 4.39 (2C, tt, J = 7.8, 3.9 Hz, 1H), 4.05 (2B, qd, J = 10.9, 3.8 Hz, 1H), 2.16-2.12 (m, 1H), 2.05-1.99 (m, 1H), 1.89 (br s, 1H), 1.81-1.61 (m, 4H), 1.57-1.54 (m, 1H), 1.48-1.15 (m, 4H), 1.06-0.98 (2C, m, 4H), 0.96-0.88 (2B, m, 9H). LCMS RT (異性体B) = 8.93 min, m/z (M+H)+ = 336.2. LCMS RT (異性体C) = 9.00 min, m/z (M+H)+ = 336.2. TLC (異性体C) (SiO2) Rf 0.28 (8:2ヘキサン:ジエチルエーテル+2滴のNH4OH)。
【0098】
[00123]
N-シクロヘキシル-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物3)。シクロヘキシルアミンHCl(342mg、2.52mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。。粗製残渣を、30mLヘキサン/エーテル(90/10)を用いる粉砕の後に,15mL MeOHを用いる粉砕により精製して、536mgの標題物質を76%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.86-7.79 (m, 2H), 7.68-7.57 (m, 4H), 7.51-7.42 (m, 2H), 7.42-7.34 (m, 1H), 6.00 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.01 (dddd, J = 14.7, 10.7, 8.0, 4.0 Hz, 1H), 2.07-2.04 (m, 2H), 1.77 (dt, J = 13.7, 3.7 Hz, 2H), 1.67 (dt, J = 12.7, 3.7 Hz, 1H), 1.52-1.37 (m, 2H), 1.33-1.14 (m, 3H). MS (ESI) m/z 280.3 (M+H)+. C19H21NO.0.3H2Oについての分析計算値: C, 80.13; H, 7.65; N, 4.92; 実測値: C, 80.15; H, 7.37; N, 4.99.
【0099】
[00124]
N-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物4、単一異性体)。ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-アミンHCl(106mg、0.72mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、80mgの標題物質を38%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.88-7.77 (m, 2H), 7.69-7.58 (m, 4H), 7.51-7.42 (m, 2H), 7.47-7.34 (m, 1H), 6.17 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.35 (dddd, J = 11.3, 6.8, 4.4, 1.6 Hz, 1H), 2.59 (br s, 1H), 2.39-2.14 (m, 2H), 1.71-1.44 (m, 2H), 1.39 (ddt, J = 9.9, 3.2, 1.7 Hz, 1H), 1.34-1.23 (m, 1H), 0.86 (ddd, J = 12.9, 4.7, 3.0 Hz, 1H). MS (ESI) m/z 292.4 (M+H)+. C20H21NOについての分析計算値: C, 82.44; H, 7.26; N, 4.81; 実測値: C, 82.05; H, 7.10; N, 4.84.
【0100】
[00125]
N-シクロヘプチル-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物5)。シクロヘプチルアミン(100mg、0.88mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、200mgの標題物質を、77%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.86-7.78 (m, 2H), 7.69-7.57 (m, 4H), 7.50-7.43 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 1H), 6.07 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.18 (ddt, J = 12.8, 8.4, 3.6 Hz, 1H), 2.17-1.98 (m, 3H), 1.73-1.60 (m, 4H), 1.58-1.49 (m, 5H). MS (ESI) m/z 294.3 (M+H)+. C20H23NOについての分析計算値: C, 81.87; H, 7.90; N, 4.77; 実測値: C, 81.84; H, 7.76; N, 4.67.
【0101】
[00126]
N-(ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物6)。ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-アミンHCl(90mg、0.55mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、54mgの標題物質を、32%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.84-7.77 (m, 2H), 7.70-7.56 (m, 4H), 7.51-7.42 (m, 2H), 7.42-7.34 (m, 1H), 5.86 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.33 (tdt, J = 11.5, 8.4, 5.8 Hz, 1H), 2.31 (br s, 2H), 2.06-1.97 (m, 2H), 1.69 (br s, 4H), 1.54-1.44 (m, 1H), 1.40 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 1.33-1.23 (m, 2H). MS (ESI) m/z 306.3 (M+H)+. C21H23NOについての分析計算値: C, 82.58; H, 7.59; N, 4.59; 実測値: C, 82.35; H, 7.68; N, 4.58.
【0102】
[00127]
N-シクロオクチル-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物7)。シクロオクチルアミン(500mg、3.93mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、ヘキサン/EtOAc(95/5→30/70)を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した後に、自動化フラッシュクロマトグラフィーを行って、605mgの標題物質を、50%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.86-7.78 (m, 2H), 7.68-7.56 (m, 4H), 7.51-7.42 (m, 2H), 7.42-7.34 (m, 1H), 6.08 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.23 (ddq, J = 12.0, 8.0, 3.7 Hz, 1H), 2.01-1.89 (m, 2H), 1.78-1.60 (m, 12H). MS (ESI) m/z 308.3 (M+H)+. C21H25NOについての分析計算値: C, 82.04; H, 8.20; N, 4.56; 実測値: C, 81.93; H, 8.10; N, 4.58.
【0103】
[00128]
N-(デカヒドロナフタレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物8、3つの異性体の混合物)。デカヒドロナフタレン-1-アミンHCl(91mg、0.483mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、15mL MeOHを用いる粉砕により精製して、136mgの標題物質を、84%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.87-7.79 (m, 6H), 7.72-7.57 (m, 12H), 7.51-7.42 (m, 6H), 7.42-7.35 (m, 3H), 6.05 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.82 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 4.15 (ddt, J = 11.8, 7.9, 4.0 Hz, 1H), 3.89-3.75 (m, 2H), 2.16-2.06 (m, 3H), 1.97-0.81 (m, 45H). MS (ESI) m/z 334.30 (M+H)+. C23H27NO.0.3 H2Oについての分析計算値: C, 81.52; H, 8.21; N, 4.13; 実測値: C, 81.44; H, 7.94; N, 4.16.
【0104】
[00129]
N-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物9).1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチルアミン(250mg、1.70mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、384mgの標題物質を、69%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.90-7.82 (m, 2H), 7.69-7.57 (m, 4H), 7.51-7.43 (m, 2H), 7.42-7.34 (m, 2H), 7.24-7.12 (m, 3H), 6.37 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.48-5.38 (m, 1H), 2.94-2.75 (m, 2H), 2.24-2.12 (m, 1H), 2.03-1.86 (m, 3H). MS (ESI) m/z 328.20 (M+H)+. C23H21NOについての分析計算値: C, 84.37; H, 6.46; N, 4.28; 実測値: C, 84.14; H, 6.37; N, 4.17.
【0105】
[00130]
N-(デカヒドロナフタレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物10、LCMSにより86:13の比率で存在する2つの異性体の混合物)及びN-((2SR,9RS,10SR)-デカヒドロナフタレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物12、単一異性体)。デカヒドロナフタレン-2-アミン(63mg、0.41mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、10(111mg、80%)及び12(28mg、20%)を得た。1H NMR (混合物) (400 MHz, CDCl3, 10) δ7.87-7.78 (m, 3H), 7.69-7.57 (m, 6H), 7.50-7.42 (m, 3H), 7.42-7.35 (m, 1H), 6.00 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.94 (d, J = 8.4 Hz, 0.31H), 4.20 (s, 0.26H), 4.00 (tdt, J = 11.9, 8.2, 4.2 Hz, 1H), 2.18-1.59 (m, 9H), 1.57-0.84 (m, 8H). MS (ESI) (混合物) m/z 334.3 (M+H)+. LCMS (混合物) RT (ピーク1 (主異性体)、12に相当する) = 7.91 min, m/z (M+H)+ = 334.2; LCMS RT (ピーク2 (副異性体)) = 8.70 min, m/z (M+H)+ = 334.2. C23H27NO(混合物)についての分析計算値: C, 82.84; H, 8.16; N, 4.20; 実測値: C, 82.57; H, 7.97; N, 4.20. TLC (主異性体、12に相当) (SiO2) Rf 0.54 (8:2ヘキサン: EtOAc). TLC (副異性体) (SiO2) Rf 0.59 (8:2ヘキサン: EtOAc).
【0106】
[00131]
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 化合物12, 単一異性体) δ7.87-7.79 (m, 2H), 7.70-7.57 (m, 4H), 7.51-7.43 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 1H), 6.00 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.01 (tdt, J = 12.0, 8.4, 4.3 Hz, 1H), 1.96-1.58 (m, 8H), 1.56-1.20 (m, 8H). MS (ESI) (単一異性体) m/z 334.3 (M+H)+. LCMS (単一異性体) RT = 8.04 min, m/z (M+H)+ = 334.2. C23H27NO (単一異性体)についての分析計算値: C, 82.84; H, 8.16; N, 4.20; 実測値: C, 82.73; H, 8.13; N, 4.14. TLC (SiO2) Rf 0.54 (8:2ヘキサン: EtOAc).
【0107】
[00132]
化合物12の1H、13C、gCOSY、NOESY、gHSQCAD、gHMBCAD、gH2BC。全ての実験は、1H及び13C共鳴周波数についてそれぞれ499.90MHz及び125.71MHzで運転するOneNMRプローブを備えたAgilent DDR2 500MHz分光計で行った。実験は、室温にて、CDCl3を溶媒として用いて行った。1Hスペクトルは、残存プロトン化溶媒(7.26ppm)に対して、13Cは77ppmに対して参照した。スペクトルは、MestReNova(12.0.3)NMR処理プログラムを用いて処理した。
【0108】
[00133]
1H NMR:10秒の待ち時間、8013Hzのスペクトルウィンドウ、2.04秒の収集時間、8スキャン、ベースライン補正は、Whittakerスムーザ(自動検出)を用いて適用した。
【0109】
[00134]
13C NMR:広帯域1H-デカップリング、1秒の待ち時間、512スキャン、31250Hzのスペクトルウィンドウ、1.05秒の収集時間。ベースライン補正は、Whittakerスムーザ(自動検出)を用いて適用し、0.5Hzの指数関数的増倍を適用した。
【0110】
[00135]
gCOSY:1秒の待ち時間、増分当たり4スキャン、200増分、4882Hzのスペクトルウィンドウ、0.15秒の収集時間。F1及びF2は、MestReNovaにより実行されるように、正弦二乗II関数(50%)を乗じた後に、フーリエ変換した。F1において1024点まで線形予測(Zhu-Bax)を適用した。ベースライン補正は、Whittakerスムーザ(自動検出)を用いて両方の次元に適用した。
【0111】
[00136]
gH2BC:1秒の待ち時間、増分当たり8スキャン、200増分、8013、25141Hzスペクトルウィンドウ(それぞれ1H及び13C)、0.15秒の収集時間。MestReNovaにより実行されるように、F1にはガウスを、F2には正弦二乗II関数(50%)を乗じた後に、フーリエ変換した。ベースライン補正は、Whittakerスムーザ(自動検出)を用いて両方の次元に適用した。F1において2048点まで線形予測(Zhu-Bax)を適用した。
【0112】
[00137]
gHMBCAD:1秒の待ち時間、増分当たり8スキャン、320増分;8013、30166Hzスペクトルウィンドウ(それぞれ1H及び13C)、0.15秒の収集時間。MestReNovaにより実行されるように、F2にはガウスを、F1には正弦二乗II関数(50%)を乗じた後に、フーリエ変換した。ベースライン補正は、Whittakerスムーザ(自動検出)を用いて両方の次元に適用した。F1において2048点まで線形予測(Zhu-Bax)を適用した。
【0113】
[00138]
gHSQCAD:1秒の待ち時間、増分当たり4スキャン、200増分;8013、25141Hzスペクトルウィンドウ(それぞれ1H及び13C)、0.15秒の収集時間。F1及びF2にガウスを乗じた後に、フーリエ変換した。ベースライン補正は、Whittakerスムーザ(自動検出)を用いて両方の次元に適用した。F1において2048点まで線形予測(Zhu-Bax)を適用した。
【0114】
[00139]
N-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物11)。1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-アミンHCl(197mg、1.34mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、15mL MeOHを用いる粉砕により精製して、328mgの標題物質を、75%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.95-7.93 (m, 2H), 7.77-7.71 (m, 4H), 7.57-7.50 (m, 3H), 7.37 (s, 1H), 7.23-7.26 (m, 3H), 6.29 (d, J = 4 Hz, 1H), 4.65 (br s, 1H), 3.39 (d, J = 20 Hz, 1H), 3.07 (br s, 1H), 2.88-2.94 (m, 1H), 2.33-2.30 (m, 1H), 2.09-2.00 (m, 1H), 1.70 (s, 1H). MS (ESI) m/z 328.2 (M+H)+. C23H21NOについての析計算値: C, 84.37; H, 6.46; N, 4.28; 実測値: C, 84.10; H, 6.42; N, 4.25.
【0115】
[00140]
N-(スピロ[5.5]ウンデカン-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物13)。スピロ[5.5]ウンデカン-3-アミンHCl(90mg、0.44mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、130mgの標題物質を、84%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.86-7.79 (m, 2H), 7.69-7.57 (m, 4H), 7.51-7.43 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 1H), 6.02 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.97 (dddd, J = 14.9, 10.7, 8.3, 4.2 Hz, 1H), 1.88 (ddd, J = 13.1, 6.2, 3.8 Hz, 3H), 1.67 (d, J = 13.6 Hz, 3H), 1.42 (br s, 8H), 1.25 (td, J = 12.7, 4.4 Hz, 4H). MS (ESI) m/z 348.4 (M+H)+. C24H29NOについての分析計算値: C, 82.95; H, 8.41; N, 4.03; 実測値: C, 82.99; H, 8.42; N, 3.99.
【0116】
[00141]
N-(スピロ[4.5]デカン-8-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物14)。スピロ[4.5]デカン-8-アミンHCl(91mg、0.48mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、110mgの標題物質を、68%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.87-7.79 (m, 2H), 7.69-7.57 (m, 4H), 7.51-7.43 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 1H), 6.01 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.05-3.93 (m, 1H), 2.00-1.91 (m, 2H), 1.67-1.60 (m, 3H), 1.58-1.31 (m, 11H). MS (ESI) m/z 334.3 (M+H)+. C23H27NOについての分析計算値: C, 82.84; H, 8.16; N, 4.20; 実測値: C, 82.57; H, 8.16; N, 4.22.
【0117】
[00142]
N-(アダマンタン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物15).1-アダマンタンアミンHCl(100mg、0.54mmol)を用いて一般的な手順に従って調製。粗精残渣を、自動化フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、110mgの標題物質を、62%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.83-7.75 (m, 2H), 7.67-7.57 (m, 4H), 7.51-7.42 (m, 2H), 7.42-7.34 (m, 1H), 5.84 (s, 1H), 2.15 (br s, 9H), 1.73 (br s, 6H). MS (ESI) m/z 332.3 (M+H)+. C23H25NO.0.1H2Oについての分析計算値: C, 82.89; H, 7.62; N, 4.20; 実測値: C, 82.87; H, 7.47; N, 4.18.
【0118】
[00143]
インビトロ薬理学
[00144]
Ca2+イメージングを用いるTRPM8アゴニスト及びアンタゴニスト活性の評価。Fura-2ベースのCa2+イメージングを用いて、イシリン誘発Ca2+シグナルに対する合成化合物の影響を評価した。ヒトTRPM8を安定的に発現するHEK-293細胞(Thomas Voets教授、Laboratory of Ion Channels Research、KU Leuven、Belgiumからの進物)に、まず、Fura-2 AMを45分間負荷し、次いで、さらに40分かけて色素を脱エステル化した。細胞を、次いで、Ca2+フリーHBSS緩衝液に浸し、試験化合物とともに5分間インキュベートし、次いで、公知のTRPM8アゴニストであるイシリン(500nM、Tocrisから)を浴液に加えた。イシリン添加の1分後に、2mM Ca2+を浴液に加えた。
【0119】
[00145]
レシオ蛍光画像は、Nikon Eclipse Ti-S顕微鏡に搭載したQIClick(商標)デジタルCCDカメラ(QImaging、BC、Canada)を用いて取得した。連続的励起を、355nm(F355)及び380nm(F380)波長LEDの間で交替するDual OptoLED電源(Cairn)によりもたらした。発光蛍光は、510nm(470nm~550nm)にて収集した。12ビット画像を5秒ごとに、MetaFluor(登録商標)(Molecular Devices、USA)で取得した。各時点での蛍光は、355nm及び380nmの両方の波長で抽出し、自己蛍光について補正し、355nm/380nm比(F355/F380)を、次いで、計算して、Ca2+流入を表した。全てのCa2+イメージング実験は、室温(22℃)で行った。比較のために、各化合物についてのピークCa2+応答を、イシリン(500nM)のものに対して標準化した。RQ-00203078は、Tocrisから購入した。
【0120】
[00146]
イシリンの濃度応答プロフィールを得るために、異なるペトリ皿中の、ヒトTRPM8を安定的に発現する、Fura-2を負荷したHEK-293細胞を、Ca2+フリーHBSSに浸し、まず、勾配濃度のイシリンとインキュベートした(10-9から10-6M)。イシリン添加の1分後に、2mM Ca2+を浴液に加え、得られたCa2+流入(Fura-2蛍光比として)を記録した。EC50は、対応する濃度応答曲線から得た。
【0121】
[00147]
設計した化合物(例えば以下の表1)のアンタゴニスト活性を決定するために、Ca2+フリーハンクス平衡塩類溶液(Ca2+フリーHBSS)中に浸した細胞を、まず、異なる濃度(1nM、3nM、10nM、30nM、100nM、300nM、1μM、3μM、10μM、30μM及び100μM)の化合物2~15と3分間インキュベートした。次いで、500nMのイシリンを加え、さらに1分後に、Ca2+フリーHBSSを、2mM遊離Ca2+を含むHBSSに置き換え、得られたCa2+シグナルを測定した。TRPM8アンタゴニストRQ-00203078を陽性対照として、そして文献において報告された他のアンタゴニストに対するhTRPM8での高いナノモル効力(<10nM)を理由として、比較のために用いた。IC50値≦100nMを有する化合物は、Ca2+流入を誘導するその固有の(アゴニスト)能力について、10μMの単一濃度にて単独で試験し、500nMイシリンの影響と比較した。
【0122】
[00148]
TRPA1及びTRPV1選択性アッセイ。Fluo-8 Ca2+色素及び蛍光を用いるCa2+フラックスアッセイを、470~495nmの励起波長及び515~575nmの発光波長にて、FLIPRTETRAプレートリーダ(Molecular Devices)を用いて測定した。合計8の化合物を、アゴニスト(固有)及びアンタゴニスト活性の両方について、TRPM8に対してほぼIC90及び10×IC90に対応する濃度にて試験して、10倍の選択性を証明した。ヒトTRPA1を安定的に発現する組換えHEK293株化細胞(Eurofins Cat #CYL3066)及びヒトTRPV1(Eurofins Cat#CYL3063)を研究のために用いた。細胞は、10%FBS、1%非必須アミノ酸及び400μg/ml Geneticinを補ったDMEM-F12培地で培養及び維持した。アリルイソチオシアネート(AITC、Millipore Sigma)及びカプサイシン(Tocris)を参照アゴニストとして用い、ルテニウムレッド(Tocris)及びカプサゼピン(Millipore Sigma)を、それぞれTRPA1及びTRPV1に対する参照アンタゴニストとして用いた。実験のために、細胞を、平底コラーゲンコーティング384ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2にてインキュベートした。24時間のインキュベーションの後に、培地を吸引し、Fluo-8 Ca2+色素を5μg/mlで含む40μlのダイローディング緩衝液(改変ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、HBSSが、pH7.4にて20mM HEPES及び2.5mMプロベネシドを含むように補ったもの)を各ウェル中の細胞に加え、30℃(5%CO2)にて、湿潤チャンバー中で80分間インキュベートした後に、FLIPR Tetraプロトコールを開始した。試験化合物は、まず、DMSO中に溶解して300×最終アッセイ濃度にし、次いで、アッセイ緩衝液(改変ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、HBSSが、pH7.4にて20mM HEPESを含むように補ったもの)で、最終希釈倍率まで希釈した。アゴニストアッセイについて、試験化合物、ビヒクル対照及び参照アゴニスト(Emax=300μM(AITC)及び3μM(カプサイシン))を、アッセイプレートに、蛍光ベースラインを確立した後に、180秒間加えた。アンタゴニストアッセイについて、細胞を、試験化合物又は陽性対照(既知アンタゴニスト)と5分間室温にてプレインキュベーションし、次いで、EC80濃度の参照アゴニスト(AITC EC80=10μM、カプサイシンEC80=0.1μM)で、蛍光ベースライン確立の後に、180秒間負荷した。アゴニスト:Emaxに標準化した場合に25%の活性化。アンタゴニスト:EC80に標準化した場合に25%の阻害。
【0123】
[00149]
ホールセルパッチクランプ電気生理学
[00150]
HEK-293細胞培養。ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞(ATCC CRL-1573)を、90%ダルベッコ改変イーグル培地、10%ウシ胎児血清、100U・mL-1ペニシリン-ストレプトマイシン及び2mM L-グルタミン(Gibco)を含む成長培地で培養した。細胞を、35mmポリスチレンディッシュ(Falcon)で37℃にて5%CO2の存在下で培養した。細胞を、EGFPをレポータとして含むpIRES2プラスミド中のヒトTRPM8で一過的にトランスフェクションした。このプラスミドは、バイシストロニックmRNAを、TRPM8遺伝子と蛍光タンパク質レポーター遺伝子との間の配列内リボソーム進入部位(IRES)とともに、レポーターがTRPM8と共有的に融合しないように発現する。一過性トランスフェクションは、35mmディッシュ(Falcon)中のFugene6トランスフェクション試薬(Promega)及び0.5μgのプラスミドを用いて、製造業者のプロトコールに従ってプラスミド1μg当たり3μLのトランスフェクション試薬の比率で行った。HEK-293細胞は、多型遺伝子マーカ試験(DNA Diagnostics Center Medical)により立証された。
【0124】
[00151]
ホールセルパッチクランプ電気生理学。トランスフェクションの48時間後に、細胞を、0.25%トリプシン/EDTA(Gibco)に短時間曝露することにより培養ディッシュから遊離させ、補充DulDMEMに再懸濁し、カバーガラス上に播種し、1~2時間37℃にて5%CO2に回復させた。トランスフェクションの成功を示す緑色蛍光を示す細胞を、電気生理学的測定のために選択した。NaOHでpHを7.4に調整し、ショ糖を用いて浸透圧を310mOsmに調整した、(mMで)NaCl 132、KCl 4.8、MgCl2 1.2、CaCl2 2、HEPES 10及びグルコース5を含む細胞外溶液を含むチャンバーに細胞を入れた。KOHでpHを7.2に調整し、ショ糖で浸透圧を300mOsmに調整した、(mMで)グルコン酸K+ 135、KCl 5、MgCl2 1、EGTA 5及びHEPES 10を含む溶液でピペットを満たした。化学物質は、Sigma-Aldrichから得た。浸透圧は、Vapro 5600蒸気圧浸透圧計(Wescor)を用いて測定した。ホールセル電位-クランプ電流測定は、Axopatch 200B増幅器(Axon Instruments)及びpClamp10.3ソフトウェア(Axon Instruments)を用いて行った。データは、2kHzで取得し、1kHzでフィルタリングした。P-2000レーザプラー(Sutter Instruments)を用いてホウケイ酸ガラスキャピラリー(World Precision Instruments)からパッチピペットを引っ張り、MF-830マイクロフォージ(Narishige)を用いて熱ポリッシュした。ピペットは、細胞外溶液中で測定して、2~5MΩの抵抗を有した。参照電極を、グルコースを加えずに細胞外溶液と同様の組成を有する2%寒天ブリッジ中に置いた。実験は、23±1℃にて行った。メントール及び化合物14ストック溶液は、DMSO中でそれぞれ1M及び3.6mMで調製した。細胞外溶液中で、メントールを500μMメントールに、そして化合物14を様々な濃度(1から1000nMまで)に希釈することにより、一連の灌流溶液を調製した。灌流キャピラリーを細胞の近くに置き、記録している間溶液を灌流させた。各細胞からの電流応答を、各濃度の化合物14の下で測定した。カバーガラス当たり1つの細胞のみを測定して、メントール及び化合物14への以前の曝露の交絡する影響を防いだ。
【0125】
[00152]
データ分析。各細胞について、各濃度の化合物14での電流の大きさを、500μMメントールあり、アンタゴニストなしで測定した最大電流で除することにより標準化した。6つの細胞からの標準化した電流を、各濃度のアンタゴニストにて平均し、平均の標準誤差を各点にて計算した。データは、SigmaPlotにプロットし、以下の等式
【数1】
を用いて単一部位競合モデルに適合させた。式中、Iは、電流強度であり、[アンタゴニスト]は、特定のIの値での化合物14の濃度である。
【0126】
[00153]
肝臓代謝安定性
[00154]
肝臓ミクロソームでの安定性。雄性CD-1マウス肝臓ミクロソーム(Lot#1710069)を、XenoTechから購入した。反応混合物マイナスNADPHを、以下に記載するようにして調製した。化合物14を、1μMの最終濃度にて反応混合物に加えた。対照化合物であるテストステロンを、別反応において化合物14と同時に行った。反応混合物の分割量(補因子なし)を、37℃の振とう水浴中で3分間平衡化した。反応を、補因子の添加により開始し、混合物を、37℃の振とう水浴中でインキュベートした。分割量(100μL)を、0、10、20、30及び60分にて取り出した。化合物14及びテストステロン試料を、0.1%ギ酸及び内部標準を含む400μLの氷冷50/50アセトニトリル(ACN)/H2Oと直ちに併せて、反応を停止した。試料を、次いで、混合し、遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。全ての試料を、エレクトロスプレーイオン化を用いるLC-MS/MSによりアッセイした。分析条件を、時間0にてPARRと比較して、各時点にて残存するパーセンテージを決定した。半減期及び固有クリアランスを、単一相指数関数的減衰等式に適合させるGraphPadソフトウェアを用いて計算した。
【0127】
反応組成。
肝臓ミクロソーム 0.5mg/mL
NADPH(補因子) 1mM
リン酸カリウム、pH7.4 100mM
塩化マグネシウム 5mM
アナログ14 1μM
【0128】
【0129】
【0130】
[00155]
インビトロアッセイ。C57マウス(約30g)(Harlam、Holland)を研究のために用いた。全ての実験は、実験を行ったUniversidad Miguel Hernandezの施設動物倫理員会により承認され、欧州経済共同体及び国際疼痛学会の研究及び倫理問題に関する委員会のガイドラインに従っていた。動物の保護に関する研究の全ての部分は、獣医師の管理のもとに行った。
【0131】
[00156]
身震い行動アッセイ。TRPM8アゴニストであるイシリンを、蒸留水中の20%DMSO及び1%Tween80に溶解し、10mg/kgの容量で腹腔内注射(i.p.)した。各動物は、2日連続で30分間馴化させた後にイシリンを投与した。化合物14ストックは、DMSO中で調製し、注射のために生理食塩水で希釈した。ガバペンチンを生理食塩水に溶解し、25mg/kgの用量でs.c.投与し、60分後にイシリンを注射した。対照動物は、ビヒクル注射を受けた。
【0132】
[00157]
冷覚異痛症。オキサリプラチン(Tocris)を、緩やかに温めながら水に溶解し、6mg/kgの用量で第1、3及び5日に皮下注射した(s.c.)。投与の第7日後に、実験を行った。オキサリプラチン注射とともに、生理食塩水及び5%マンニトール溶液を腹腔内注射して、腎臓損傷及び脱水を防止した。化合物14ストックは、DMSO(Sigma-Aldrich)中で調製し、注射のために生理食塩水で希釈した。異なる用量(0.1から1μg)の化合物を、マウスの右後脚の足底表面(25μL)に注射した。冷感化学物質熱的感応性を、アセトン滴下法を用いて評価した。マウスを、金属メッシュの檻に入れ、およそ30分間慣らして、順応させた。新しく調製したアセトン滴(10μL)を、後脚の足底中部表面に静かに施与した。脚をなめることに関する冷感化学物質感応性反応を、正の応答(侵害受容応答)として記録した。応答は、デジタルストップウォッチを用いて20秒間測定した。各測定について、脚を2回試料として抜き出し、平均を計算した。アセトンの施与の間の間隔は、およそ5分であった。
【0133】
[00158]
薬理学的評価
[00159]
Ca2+イメージングを用いるTRPM8アゴニスト及びアンタゴニスト活性の評価。化合物2~15を、hTRPM8を安定的に発現するHEK-293細胞におけるFura-2ベースのCa2+イメージングを用いて、TRPM8機能を改変するその能力について評価した。後者は、Thomas Voets(Laboratory of Ion Channels Research、KU Leuven、Belgium)からの進物であった。細胞内遊離Ca2+([Ca2+]i)の濃度を、Fura-2蛍光比(F355/F380)として測定した。
【0134】
[00160]
化合物を、イシリン(AG-3-5)により誘発されるCa
2+流入([Ca
2+]
i)に対して評価した。イシリンは、500nMで用い、最大Ca
2+侵入は、我々の用量応用研究においてこの濃度で生じることが見いだされた。イシリンを、このアッセイにおいてTRPM8を刺激するために選択した。なぜなら、これは、初期の濃度応答研究(
図13~14)において、(-)-メントールよりも著しく効力があり(EC
50:およそ70nM対6μM)、以前の報告ともほぼ一致していたからである。
【0135】
[00161]
TRPV1及びTRPA1アゴニスト及びアンタゴニストCa2+フラックスアッセイ(選択性プロファイリング)。hTRPM8 IC5値≦100nMの化合物を、Eurofins Pharma Discovery Services(St. Charles, MO)にてハイスループットFLIPRベースのCa2+フラックスアッセイを用いて、2つの関連する温度感応性サブタイプであるhTRPA1及びhTRPV1でのオフターゲット効果について評価した。化合物は、TRPM8でのおよそ90%のターゲットカバー範囲に相当する単一濃度にて評価した後に、>10倍選択性を証明するために、10倍高い濃度にて単独点アッセイを行った。アゴニスト(固有)活性を、ヒトTRPA1又はTRPV1のいずれかを安定的に発現する組換えHEK293株化細胞で評価し、アゴニストであるそれぞれアリルイソチオシアネート又はカプサイシンの最大効果(Emax)に対して標準化した。アンタゴニスト活性は、これらの株化細胞においてCa2+流入を阻害することにより、AITC又はカプサイシンが誘導するサイトゾルの[Ca2+]における増加を阻害するアナログの能力を測定することにより評価し、参照アンタゴニストとして用いたルテニウムレッド(TRPA1)及びカプサゼピン(TRPV1)の効果と比較した。
【0136】
[00162]
化合物14のホールセルパッチクランプ電気生理学。カルシウムフラックスアッセイにおける化合物14の機能的活性を、ホールセルパッチクランプ電気生理学を用いて確認した。ヒトTRPM8ホールセルパッチクランプ電気生理学は、23±1℃にて、以前に記載したようにして、多型遺伝子マーカ試験(DNA Diagnostics Center Medical)により立証されたヒト胚性腎臓(HEK)293細胞(ATCC CRL-1573)に対して行った。500μMメントールと様々な濃度(0から1μM)の化合物14の一連の溶液を用いた。細胞電流応答を、各濃度の化合物14にて測定した。IC50を決定するために、6つの細胞からの標準化した電流を、各濃度のアンタゴニストにて平均し、平均の標準誤差を各点にて計算した。データを、単一部位競合モデルに適合させて、IC50を得た。IC50ホールセルパッチクランプ実験を、飽和(500μM)メントール濃度に対して故意に行った。なぜなら、メントール電流は、Ca2+依存性でなく、再現可能な堅固な電流を与えるからである。同様に、飽和メントールに対する化合物14の阻害効果を研究することにより、ホールセルパッチクランプ測定においてこれらの条件を用いたその他の公開されたTRPM8拮抗作用研究と直接比較ができる。
【0137】
[00163]
インビトロ代謝安定性。化合物14をAbsorption Systems(Exton、PA)により、NADPHの存在下でマウス肝臓ミクロソームとインキュベートした場合に、0、10、20、30及び60分にて残存パーセントを決定することにより、マウス肝臓ミクロソームにおける代謝安定性について評価した。化合物14の半減期(t1/2)及びインビトロ固有クリアランス(CLint)を、対照(テストステロン)に加えて、計算した。
【0138】
[00164]
結果及び考察
[00165]
(-)-メンチル化合物1及びAMG2850を含む既知のTRPM8アンタゴニストについての入手可能な機能的データは、ラット及びヒトTRPM8からであり、これについては、まだ解明されていない構造の問題があるが、鳥類のオルソログの構造は、最近、クリオEMを用いて解明された。まずこれらの種にわたって配列保存の程度を評価するために、鳥類、ヒト及びラットのTRPM8の膜貫通S1~S4ヘリックス(VSLD)、S5~S6ヘリックス(ポアドメイン)、ポアヘリックス(PH)及びTRPヘリックスの配列アラインメントを行った(
図12)。上で詳述したように、VSLD及びTRPヘリックス内の残基は、アゴニスト(メントール)結合、アゴニスト(メントール、イシリン)応答又は有効性及び電位感応性のために重要であることが報告されている。興味深いことに、全長鳥類及びヒトTRPM8間の高い相同性(83%)が、リガンド結合部位(86%)を含むこの膜貫通領域内で保持され、さらに、この同じ領域において鳥類及びラットのオルソログ間で比較的高い配列同一性(87%)がある(
図12)。鳥類TRPM8構造は、よって、既知のTRPM8アンタゴニストである(-)-メンチル化合物1及びAMG2850のもっともらしい結合様式をまず予測し、適当な構造-機能相関を確立する観点から、hTRPM8のホモロジーモデルを構築するための信頼できる鋳型であると考えられた。後者は、次いで、新規なTRPM8アンタゴニストプローブを設計するために構造ベースの方策を与えることができる。
【0139】
[00166]
実施例1-MDシミュレーション。
[00167]
hTRPM8の構造は、入手可能でなかった。よって、hTRPM8のホモロジーモデルをまず、シロエリヒタキ(Ficedula albicollis)のクリオEM構造(TRPM8FA、PDB:6BPQ)に基づいて構築し、これは、hTRPM8と全長TRPM8FAについて83%と、リガンド結合部位を含む領域において86%の配列同一性とを有する。VSLD(S1~S4ヘリックス、感知ドメイン、SDともいう)及びポアドメイン並びにTRPヘリックスで構成されるTRPM8の膜貫通領域に主に焦点を当てて、hTRPM8のホモロジーモデルを、Gln671からAsn1010まで(340残基)の配列を用いて構築した。VSLD及びTRPヘリックスは、上で論じたように、小分子アゴニストと結合するが、単離VSLD(プレS1ドメインを含む)は、全長hTRPM8(1104残基)の機能的活性化に一致する結合表現型を反復することが報告されている。
【0140】
[00168]
Ca2+イオンを、Glu782、Gln785、Asn799及びAsp802に配位させてVLSD中に置いて、ヒトモデルが、関連するヒトメラスタチンサブタイプM2(PDB 6MJ2)及びM4(PDB 6BQV)のクリオEM構造により類似し、かつ活性化剤としてTRPM8アゴニストであるイシリンを用いる我々のCa2+フラックス研究の構造上の関係を与えるようにした(表1)。これらの構造は、VLSDにおいて同様に配向している4つの側鎖(このうち3つはTRPM8、TRPM2及びTRPM4の間で保存されている)に配位結合するCa2+イオンをつかむ:Glu782(TRPM8、S2ヘリックス)/Glu843(TRPM2、S2)/Glu828(TRPM4、S2);Gln785(TRPM8、S2)/Gln846(TRPM2、S2)/Gln831(TRPM4、S2);及びAsn799(TRPM8、S3)/Asn869(TRPM2、S3)/Asn865(TRPM4、S3)。残りの非保存Ca2+結合残基を考慮して、Asp802(S3)を、M4サブタイプにおけるAsp868(S3ヘリックス)に対応する、四面体複合体を満足する最終キレートアミノ酸として選択した。特に、Asn799及びAsp802はともに、公知のイシリン感応性残基である。最近報告されたTRPM8のイシリン結合構造(PDB 6NR3、3.4Å)により、本ホモロジーモデルと一致して、今ではよく定義されたCa2+結合部位内でこれらの4残基と結合するCa2+イオンが明らかになっている。。
【0141】
[00169]
続いて、(-)-メンチル化合物1、AMG2850及び化合物14を、hTRPM8のリガンド結合部位にドッキングさせ、hTRPM8内で各化合物について100ns分子動力学(MD)シミュレーションを行い、以下に詳述するようにして結果を分析した。Ca2+フラックスアッセイにおいてラットTRPM8にて効力が高く選択的なTRPM8アンタゴニストと記載された(-)-メンチル1(IC50対20μMメントール、20±2nM;IC50対0.25μMイシリン、50±10nM)は、AMG2850とともに、TRPM8ツール分子(OMDM233とも記載する)として文献で現在用いられている。
【0142】
[00170]
実施例2-(-)-メンチル化合物1及びhTRPM8。
[00171]
図2Cに示すように、結果は、hTRPM8(約3.9Å)及び(-)-メンチル化合物1(1.8Å)の標準偏差(RMSD)がともに、シミュレーション中の50ns後に安定に保持されたことを示し、このことは、100nsの時間尺度が適切であることを示した。
【0143】
[00172]
拡張立体配座中の結合キャビティの底へTRPヘリックスに向かって突き出る化合物1のビフェニルは、MDシミュレーション中安定に保持されたが、これは、
図2Bに示すように、Asn741(S1、約4.0Å、示さず)及びVal849(S4、4.4Å)と強い疎水性相互作用を形成し、WS-12の対応するメトキシフェニルと同様の空間を占める。このポーズは、この足場についてのSAR研究と一貫しており、ここで、ビフェニル置換は、研究した全てのアナログのうちで最高のTRPM8効力をもたらす。
【0144】
[00173]
ビフェニル部分とは対照的に、化合物1の可動性部分である、(-)-メンチル部分は、その結合様式をプレMD(
図2A)とポストMD(
図2B)の間で比較した場合に、MDシミュレーション中の立体配座の変化に耐えることが見いだされた。しかし、化合物1といくらかの残基との間の相互作用は、MD中に観察できる。例えば、化合物1の(-)-メンチルは、保存されたArg1008(TRPヘリックス、3.5Å、示さず)(
図2B)と相互作用し、このことから、WS-12が結合した構造で見られるものと同様の折り畳まれた立体配座が想定され、小分子リガンドについての一般的なTRPM8結合残基を表し得る。化合物1の結合に対するこれらの残基の寄与を探索するために、MM/GBSA法を用いて、
図2Dに示すようにして、自由エネルギーを分解した。エネルギー分解から、Arg1008が、化合物1の結合に大きく寄与したことが見いだされた。化合物1とArg842(S4)との間の距離は約3.9Åであったが、(-)-メンチル部分は、MDシミュレーション中に、保存されたLeu778(S2、約3.8Å、示さず)に近づき(
図2B)、それぞれWS-12及びイシリンの(-)-メンチル及びニトロフェニル結合領域と重複し、結合自由エネルギーへのArg842の寄与が、Leu778よりも小さくなる。結果は、MM/GBSA法を用いた自由エネルギー分解のものと一貫している(
図2D)。興味深いことに、(-)-メンチル基は、放射性リガンド置換研究により(-)-メントールについて示唆されたように、おそらくビフェニルの係留する性質のために、オルソステリック部位の底と広い疎水性相互作用を形成するWS-12結合構造と同様に、Tyr745(S1)と接触しない。ここでの研究は、現在までに記載されたTRPM8構造生物学を用いるメントールベースのアンタゴニスト媒介分子事象の研究に向けて最初の進出をもたらす。
【0145】
[00174]
実施例3-AMG2850及びhTRPM8。
[00175]
100ns MDシミュレーションを、AMG2850とhTRPM8に対しても行った。
図3Cに示すように、hTRPM8のRMSDは60ns後に平衡に達する(約4.4Å)ことが見いだされた。AMG2850のRMSDは、1.6Åにて一定に保持された(
図3C)。AMG2850の安定性のために、その可能性のある結合様式を探索するために100nsの時間尺度は妥当であった。AMG2850の結合様式をプレMD(
図3A)とポストMD(
図3B)との間で比較すると、AMG2850とhTRPM8との間のいくつかの重要な相互作用が安定に保持されたことがわかった。例えば、保存されたArg842(S4)は、WS-12アミドカルボニル及びイシリンのジヒドロピリミジノンカルボニルと同様に、AMG2850の尿素カルボニル(3.1/3.0Å)と強い水素結合を形成し、このことは、この共通残基によるTRPM8リガンド認識についての共通のH結合アクセプターの特徴を示唆する。この予測される相互作用と一貫して、テトラヒドロチエノピリジンコアを含むAMG2850前駆体シリーズのSAR研究は、尿素部分の重要性を強調し、この基を欠失させると、TRPM8活性が打ち消される(Tamayoらにより報告される誘導体24~26)。MDの結果は、保存されたTrp798(S3)が、テトラヒドロチエノピリジン前駆体シリーズのSAR研究と一致して、AMG2850のトリフルオロフェニルCF
3基と3.2Åの距離で水素結合を形成することも示し、ここで、4-CF
3は、最適な機能的及び薬物動態学的特性を与える。興味深いことに、AMG2850の関連するテトラヒドロイソキノリンアナログの不活性Sエナンチオマーは、このトリフルオロフェニルをTrp798から遠ざかる反対の方向に位置させるが、対応するRエナンチオマーは、TRPM8 IC
50:56±24nMを有することが報告されている(Tamayoらにより報告される誘導体87~88)。さらに、Leu841(S4)(距離:4.2Å、示さず)及びArg842の主鎖(距離:3.3Å、示さず)は、AMG2850のトリフルオロフェニルCF
3基と疎水性相互作用により相互作用する。Tyr1005(保存された残基、TRPヘリックス)は、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジンと、4.4Åの距離で強い疎水性相互作用を形成する。この残基(TRPM8
FA中のTyr1004)は、イシリンニトロ基及びWS-12アミド窒素と水素結合し、このことは、メントールの機能的研究と一致して、別の共通TRPM8結合残基を示唆する。ここでもまた、この相互作用は、このシリーズのSARデータと一貫しており、このことは、イオンチャネルとアザテトラヒドロキノリンとの間の疎水性相互作用の重要性を示唆する。芳香環の除去、ピペリジンを1炭素延長すること(アゼピンへ)及び8位でのメチル置換による立体配座拘束を含む改変は、TRPM8活性の著しい喪失又は打ち消しをもたらし(Horneら及びTamayoらにより報告される誘導体32、72及び86)、これは、この疎水性相互作用を妨げる可能性がある。あるいは、これらのアナログは、AMG2850のArg842と尿素カルボニルとの間の水素結合を破壊する可能性があり、TRPM8活性の劇的な喪失をもたらし得る。
【0146】
[00176]
分子の反対側では、Asp781(S2)が、トリフルオロプロパニルCF
3と3.4Åの距離で水素結合により相互作用することが観察された。以前に論じた相互作用と同様に、この相互作用は、アザテトラヒドロキノリノン及びテトラヒドロイソキノリン足場に対するこの領域のSAR研究と一貫しており、ここでは、トリフルオロプロパニル基が、高いTRPM8効力をもたらす。Arg842及びTrp798との水素結合相互作用と一緒に、これらは、AMG2850をT形の立体配座に配向させ、分子の両端は、VSLDポケットの上部にまたがり、これは、(-)-メンチル化合物1で見られる広い立体配座と対照的である。他方、AMG2850のアザテトラヒドロキノリン環は、化合物1のビフェニルと同様に、TRPヘリックスに向かってキャビティに深く貫通する。さらに、Leu778が、化合物1の(-)-メンチルと同様に、トリフルオロプロパニルCF
3と3.6Åの距離で(示さず)強い疎水性相互作用を形成することが観察された。これらの結果は、MM/GBSA法(
図3D)を用いる自由エネルギー分解のものと一貫していた。
【0147】
[00177]
特に、MD研究から、研究した2つのアンタゴニストとCa2+結合残基との間の直接の相互作用は見いだされず、このことは、これらがアンタゴニストとして機能する能力の構造に基づく説明の可能性を指し示し得る。相互作用は、AMG2850とArg842との間で観察され、このことは、ヒトTRPM4構造において観察されたこと(対応するTRPM4残基は、Arg905及びAsp868である)と同様に、ヒトTRPM8におけるAsp802による四面体Ca2+複合体を理論的に補強し得る。Arg842とのこのような相互作用は、結合したCa2+を不安定化するために働く可能性があり、チャネル阻害がもたらされる。他方、TRPM8FA(鳥類)構造は、対応する残基Arg841がCa2+結合残基と相互作用することを示さず、代わりに、イシリンカルボニルと直接相互作用を形成する。
【0148】
[00178]
実施例4-構造ベースの設計。
[00179]
MDシミュレーションからのAMG2850及び(-)-メンチル化合物1の予測結合様式を重ね合わせることにより、S2及びTRPヘリックス中のVSLD内で疎水性ポケットを形成するいくつかの重要な残基を観察した(
図4)。Leu778(S2)は、化合物1及びAMG2850の(-)-メンチル及びトリフルオロプロパニル基の両方と相互作用する。同じ近傍で、Arg1008(TRPヘリックス)は()-メンチル基と鍵となる疎水性相互作用を形成する。これらの相互作用は、上記の基がVSLD中で重なり合うことを可能にし、化合物1足場を他の親油性基、例えばコアシクロヘキシル環、二及び三環式環、芳香族含有基及びスピロ置換二環の環拡大アナログで置換できることを示唆する。
【0149】
[00180]
これらの置換は、レシオメトリックCa
2+イメージング(代表的な実験を
図5に示し、対応するヒストグラムを
図15に示す)によりヒトTRPM8にて化合物1足場に対して、ビフェニルを維持しながら(なぜならこれは、以前のSAR研究から、効力のあるTRPM8アンタゴニスト活性のための最適置換であったからである)、探索した。このために、化合物1の(-)-メンチル部分の様々な親油性置換を、以下のスキーム1に示すように、商業的に入手可能な置換アミン及び[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸I-1の標準的EDCI/HOBt媒介アミド化により調製した。
【0150】
【化33】
スキーム1.化合物2~15の合成。試薬及び条件:(a)R
1-NH
2、EDCI、HOBt、Et
3N。
【0151】
[00181]
実施例5-(-)-メンチル化合物1の構造活性相関(SAR)分析。
[00182]
このアッセイにおけるプロトタイプイシリンの用量応答研究は、Ca
2+流入を74±3nMのEC
50にて誘導し(
図13)、120~200nMの範囲内にある以前に報告された値よりも効力があるように見受けられるが、これは、細胞種(CHO対HEK細胞)又はイシリン感応性における種依存性変動(ヒト対マウス)における違いによる可能性が大きい。本研究において、イシリン誘発Ca
2+シグナルは、500nMにてプラトーに達し始めた。RQ-00203078を、その効力のあるTRPM8アンタゴニスト活性のために、SAR研究のための陽性対照及び参照標準物質として用いた。アッセイにおいて、RQ-00203078は、イシリン誘発Ca
2+シグナルを、2.96±0.99nMのIC
50にて阻害し(
図16)、これは、hTRPM8を発現するHEK細胞における30μMメントール誘発Ca
2+流入に対して以前に報告された値(約8nM)よりも低い。
【0152】
[00183]
ここで合成した化合物について、IC50値を表1に示し、イシリンで刺激されたCa2+流入の最大阻害の半分を生じるために必要な濃度として表した。(-)-メンチル化合物1も、以前に報告された方法を用いて再合成して、カルシウムフラックスアッセイにおけるrTRPM8での効力のあるアンタゴニスト活性(20μMメントールに対するIC50、20±2nM;0.25μMメントールに対するIC50、50±10nM)並びにhTRPV1及びrTRPA1での弱い固有(アゴニスト)活性のために、hTRPM8での生化学的アッセイについての追加の標準物質として用いた。興味深いことに、化合物1は、ヒトTRPM8でトランスフェクションしたHEK-293細胞におけるアッセイにおいて、効力が劇的に低減した(16±1μMのIC50)(表1)。ヒト対ラットのTRPM8でのカルシウムフラックスアッセイにおいて観察されたIC50値の違いは、この化合物についてのTRPM8オルソログのうちでの種の違いを示唆する。高い配列保存にもかかわらず、異なるTRPM8オルソログ間で種の違いが存在することが知られている。rTRPM8での追加の研究を、このシリーズの全てのアナログに対して行って、同様の効力のシフトが観察されるかを決定することができるであろう。ヒトTRPM8は、ラットオルソログと、VSLDドメイン、ポアドメイン及びTRPヘリックス(残基734~1009、Clustal Omegaにより計算、データは示さず)における96%配列同一性を有して、相同性が高いが,少数の異なるアミノ酸残基があり、カルシウムフラックスアッセイにおけるこれらのオルソログ間で見られる不一致の原因である可能性がある。TRPヘリックス中の1007位のこのような残基の一つは、結合ポケット中にある(hTRPM8にてセリン、rTRPM8にてアスパラギン)。1をさらに特徴決定するための研究が進んでおり、そのうち報告される。
【0153】
[00184]
化合物1のキラリティーを除いて異性体混合物化合物2を得ることにより、化合物1に比べてここに記載するアッセイ(hTRPM8 IC50:468±1nM)におけるhTRPM8活性が30倍増加し(表1)、このことは、混合物が、C1、C2及びC5位にて化合物1よりも最適な立体化学的配置を有する異性体を含むことを示す。メントール異性体混合物化合物2に比べて、C5メチル及びC2イソプロピル基の除去(化合物3でのような)並びにコアシクロヘキシル環の立体配座拘束(化合物4でのような)は、μM範囲でのTRPM8効力の低減をもたらし、このことは、(-)-メンチル足場全体及びシクロヘキシル間の立体配座の可動性を強調し、我々のMD研究により示唆されるように、Leu778及びArg1008との疎水性相互作用を置き換える可能性がある。
【0154】
表1.hTRPM8を安定的に発現するHEK-293細胞での細胞Ca
2+フラックスアッセイにより決定し、3つの独立した実験からの平均±SEMとして表す、nMでの化合物のIC
50値。IC
50は、イシリン誘発Ca
2+侵入の50%を阻害する化合物の濃度と定義される。
【表3-1】
【0155】
【0156】
[00185]
他方、環拡大アナログ(シクロヘプチル化合物5及びシクロオクチル化合物7)は、hTRPM8効力を化合物2に対して8~9倍改善し、IC
50値はそれぞれ52±1nM及び62±1nMであり、このことは、ポケット中に追加の相互作用を捕捉する能力を示唆する。これらの結果を合理的に解釈するために、化合物5と7をhTRPM8ホモロジーモデルにおいてドッキングした(
図6)。両方の化合物について、ビフェニル環は、化合物1と同様に、S1及びS4ヘリックスとTRPヘリックスとの間にあった。両方のアナログのビフェニル環は、Phe738(保存された、S1、3.5/3.7Å)、Leu1001(保存された、TRPヘリックス、3.7/3.7Å)並びにメントール-及びイシリン感応性Tyr1005(保存された、TRPヘリックス、4.0/4.0Å)に加えて、Val849(保存された、S4、3.8/3.8Å)と強い疎水性相互作用を形成し、これは、化合物1ビフェニルについて見られるのと同じ相互作用である。1-フェニル基は、Phe738及びTyr1005の両方とT型(edge-to-face)π-πスタッキングを形成する。これらの追加の相互作用は、化合物1に対して、Ca
2+フラックスアッセイにおけるこれらのアナログの効力の増進に寄与している可能性がある。興味深いことに、AMG2850の5,6,7,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジンは、化合物1の1-フェニルと同じ近傍(
図4)において、Tyr1005と疎水性接触を形成する(
図3)。このことは、共通の小分子結合残基としてのTyr1005の概念を補強する。化合物5及び7のアミドNH及びカルボニルOはともに、Arg1008(保存された、TRPヘリックス)と強い水素結合相互作用で相互作用し、この残基が、(-)-メンチル部分と疎水性接触を形成しているだけの化合物1において見られるものに対して、その効力のある機能的活性を駆動している可能性がある。これらの結果は、Arg1008が、化合物1及びそのアナログの両方の認識のための鍵となる残基であることを示唆する。さらに、両方のリガンドのシクロヘプチル及びシクロオクチル部分は、類似の疎水性相互作用で、Leu778及びArg1008に対してVSLDの反対側にある電位及びイシリン感応性Arg842(保存された、S4、4.2/4.0Å)、イシリン感応性His845(保存された、S4、3.7/4.0Å)及びIle846(保存された、S4、3.6/3.5Å)を含む3つの残基に近づいた。まとめて、これらの結果は、オルソステリック部位が、化合物1において見られるものよりも大きい疎水性置換を、上記のいくつかの他の親油性残基で、受け入れることができるが、ビフェニルは、キャビティの床に向かって係留相互作用を提供することを示唆する。
【0157】
[00186]
化合物3及び4と同様に、(ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル、化合物6への)化合物5の立体配座拘束は、効力の急な減少をもたらし、これは、おそらくArg1008への複数のH結合接触の喪失による。二環及び三環式環置き換えを用いる探求を行って、我々のシリーズの周辺での親油性空間をさらに調べた。
【0158】
[00187]
デカヒドロナフタレン-1-イル、化合物8は、化合物5及び7に対して、μM範囲でのhTRPM8効力の著しい下落をもたらし、このことは、ポケットが容量を識別するものであることを示す。同様に、テトラヒドロナフタレン-1-イル(化合物9)は、化合物8に対して3倍の効力の喪失に苦しみ、これもまた、足場のこの領域にて可動性が必要であることを示唆する。著しく対照的に、2つの異性体混合物であるデカヒドロナフタレン-2-イル(化合物10)は、化合物8に対してTRPM8効力が3,500倍増進され(IC50:6±1nM)、シクロヘプチル(化合物5)及びシクロオクチル(化合物7)アナログの両方よりも10倍高い効力を有し、このことは、デカヒドロナフタレン-2-イル環が、親油性ポケットを占めて、利用可能な疎水性相互作用を最大にしたことを示唆する。化合物8及び9で見られたSARでの傾向と一貫して、テトラヒドロナフタレン-2-イル基での置換(化合物11)は、hTRPM8効力を9倍減少させるが、hTRPM8でのnM効力はIC50:52±1nMで保持する。クロマトグラフィーにより化合物10の異性体の一方を分離して化合物12を得ることにより、1桁のnM範囲の効力が良好に得られ、IC50は、ジアステレオマー混合物よりも4倍高い1.4±1.0nMであった。化合物10が、単一異性体化合物12と同様に、VSLD内の残基と複数の接触を形成して高いhTRPM8効力を与える可能性がある。化合物10及び12のLC-MS分析は、2つのジアステレオマーの混合物である化合物10が>85%の化合物12異性体から成り立ち、よってその効力のあるIC50値をもたらすことが示された。
【0159】
[00188]
化合物12の相対的立体化学的構造を、1H、13C、gCOSY、NOESY、gHSQCAD、gHMBCAD及びgH2BCにより確立した(表2)。デカリン環プロトン及び炭素化学シフトの文献値との比較を含むNMRデータの分析は、この化合物が、2位にビフェニルアミド部分を有するシス-デカリンであることを示す。NOESYデータの分析は、アミド基が、デカリンブリッジプロトンに対してトランスであることを示す(以下の構造を参照されたい、絶対的立体化学は確立できない)。
【0160】
表2.N-((2SR,9RS,10SR)-デカヒドロナフタレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物12)の
1H-及び
13C-NMR化学シフトの割り当て。
【表4】
【0161】
[00189]
構造はシス-デカリンと決定した。なぜなら、炭素及びプロトン化学シフトがこの構造と矛盾しにくいからである(Dodziukらを参照されたい)。シス-デカリンブリッジ炭素(C9、10)は、36.1ppmにて共鳴するが、トランス-デカリン中のものは42.5ppmにて共鳴する。さらに、橋頭プロトンは、この構造で観察されるよりもトランス-デカリンにおいてより低いppmで共鳴する(1.91、1.68ppmをトランス-デカリンについての0.87ppmと比較されたい)。また、Browneらを参照されたい。
【0162】
[00190]
アミド部分の相対的立体化学は、突き止めるのがより困難であった。NOESYデータは、提案された構造と一貫していた。しかし、特にH10及びH1との化学シフトの重なりがひどく、はっきりした割り当てを不可能にした。NOESYデータは、H9(1.91ppm)及びH2(4.01ppm)が同じ面上にあったことを確立した。化学シフトデータと組み合わせたこの結果は、トランス-2位においてビフェニルカルボキサミドで置換されたシス-デカリンと一貫していた。
【0163】
[00191]
化合物1の(-)-メンチル基のスピロ置換二環での置き換えについて、次いで調べた。スピロ[5.5]-ウンデカン-3-イル(化合物13)は、化合物5及び7と類似の効力を保持し、IC50は、40±1nMであったが、デカヒドロナフタレン-1-イル(化合物10及び12)ほど高いnM範囲にはなく、このことは、受容器キャビティの相補領域の容量が固定されており、2つのシクロヘキシル環のスピロ配置に耐えることができないことを示唆する。
【0164】
[00192]
(スピロ[4.5]デカン-8-イル、化合物14への)化合物13の1炭素の環収縮は、デカヒドロナフタレン-1-イル異性体(化合物12)の効力のある活性を反復し(IC50:2.4±1.0nM)、アッセイにおいて効力が高いTRPM8アンタゴニストRQ-00203078に匹敵する活性である。スピロ[4.5]デカン-8-イル(化合物14)は、化合物12と類似の効力であり、このことは、ポケットの性質が拘束的であるか又は識別可能であることをさらに示唆する。このシリーズについての結合部位は、構造生物学の技術、例えばクリオEM又はX線結晶学を用いて明確に決定して、突然変異誘発研究と結び付けたヒトTRPM8のリガンド結合構造を得ることができた。現在、ヒトTRPM8の構造は、知られていない。特に、化合物14は、科学文献及び特許文献で報告されている他の効力のあるTRPM8アンタゴニストと共通の構造的特徴をいくつか有している。スピロ基(スピロ-イソキサゾリン)及びビフェニル芳香族配置もともに、効力が高いベンズイミダゾールベースのTRPM8アンタゴニストJNJ41876666/TC-I2014(cTRPM8 IC50(イシリン):0.8nM)で見られている。Glenmark Pharmaceuticalsにより報告された別のTRPM8アンタゴニスト、(R)-(-)-10e(hTRPM8 IC50(45Ca2+取り込み):8.9nM)は、3,4-ジヒドロスピロ[クロメン-2,4’-ピペリジンを含む。同様に、Raqualia Pharmaは、芳香環及びヘテロ環でパラ置換されたフェニル環にケトンを介して連結された環系、例えば1-オキサ-3-アザスピロ[4.5]デカン-2-オン、1,3-ジアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン及び1-オキサ-3-アザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオンを含む一連のアザスピロTRPM8アンタゴニストを報告した。
【0165】
[00193]
化合物14の用量応答曲線を、次いで、
図15に示すデータから構築した。化合物14は、化合物12とは異なってキラル中心を有さないことに鑑みて、さらなる特徴決定のために選択した。
図17に示すように、化合物14は、イシリン誘導Ca
2+流入をIC
50=2.4±1.0nMで用量依存的に阻害し、より高い濃度では、Ca
2+流入をほぼ廃止する(
図15及び17)。
【0166】
[00194]
Ca
2+フラックスアッセイにおいてメントールを阻害する化合物14の能力を決定するために、メントール応答を、まず、hTRPM8を安定的に発現するHEK-293細胞において評価し、約6μMのEC
50を見出した(
図14)。観察されたメントール効力は、HEK293細胞の類似のカルシウムイメージングにおいてhTRPM8について以前に報告された値に匹敵した。化合物14がまだイシリン誘発TRPM8媒介Ca
2+侵入の著しい低減を引き起こすことができる最低濃度は、3nMであった(
図17)。化合物14を、同じ最低(すなわち3nM)濃度にて、最大(100μM)メントール誘発TRPM8媒介Ca
2+侵入に対して試験した(
図S6a)。
図18Bからわかるように、3nMの化合物14も、メントールにより引き起こされたTRPM8媒介Ca
2+侵入を有意に(P<0.01)低減できた。これらの研究は、イシリンを用いて行った我々のSAR研究に加えて、メントールをアゴニストとして用いるこのアッセイにおける化合物14の効果を探求するための追加の裏付けを提供する。
【0167】
[00195]
アダマンチル(化合物15)は、IC
50:16±1nMで、化合物14よりもわずかに低い効力をもたらし、このことは、三環式環が、二環(化合物10~14)と同様に、耐えたことを示す。まとめて、Ca
2+フラックスアッセイにおける化合物10、12、14及び15のアンタゴニスト活性は、ヒトTRPM8でトランスフェクションされた細胞における≦10nM範囲でのIC
50値とともに、PF-05105679(Pfizer、第1相、hTRPM8 IC
50=181nM)、AMG333(Amgen、第1相、hTRPM8 IC
50=13±4nM)、AMG2850(Amgen)、RQ-00203078(RaQualia Pharma)、AMTB(Bayer)、アリールグリシン誘導体12及びビニルシクロアルキル置換ベンズイミダゾール25(Janssen)、DFL23448及びDFL23693、M8-B、M8-An、トリプトファン誘導体14などを含む、インビボ活性を有する報告されたTRPM8アンタゴニストのCa
2+フラックス活性を超えるか又は匹敵する。Ca
2+フラックスアッセイにおけるhTRPM8 IC
50値が≦100nMの化合物(化合物5、7、10~15)はいずれも、10μMの単一の高い濃度ではチャネル単独を刺激できず(
図19)、このことは、我々のアンタゴニストアッセイで得られた結果と一致する。
【0168】
[00196]
実施例6-TRPA1及びTRPV1でのインビトロ選択性プロファイリング。
[00197]
新規化合物5、7及び10~15の選択性プロフィールを、次いで、2つの温度関連TRPサブタイプであるhTRPA1及びhTRPV1に対して決定した。多くのTRPリガンドが逆の挙動を有し、例えば、TRPM8アゴニストメントールは、TRPV1及びTRPA1を遮断するが、低濃度にてTRPA1を活性化する。同様に、TRPV1アゴニストカプサイシンは、TRPM8媒介応答を阻害できる。他方、TRPV1アンタゴニストであるカプサゼピン、BCTC及びSB-452533などは、TRPM8を用量依存的に遮断する。これらの研究は、TRPM8、TRPA1及びTRPV1の間でリガンド認識が重複していることを示唆する。TRPM8と同様に、TRPA1は、わずかにより低い温度であるが、インビトロ及びインビボで低温により活性化される。イシリンも、TRPA1をμM濃度にてCa2+フラックスアッセイにおいて活性化する。
【0169】
[00198]
このTRPA1 Ca
2+フラックスアッセイにおいて、TRPA1アゴニストAITCの用量応答研究により、7.62±0.89μMのEC
50が得られ(
図20)、以前の研究と一致する。アッセイにおいて標準物質及び陽性対照として用いたTRPA1アンタゴニストルテニウムレッドは、AITC(10μM)活性化[Ca
2+]
i放出を、80μM AITCの影響に対して29±6nMのIC
50を報告したKlionskyらと同じ範囲において162±33nMのIC
50にて用量依存的に遮断した(
図21に示す用量応答曲線)。TRPV1にて、TRPV1アゴニストカプサイシン(EC
50 19±2.5nM、
図22)及びアンタゴニストカプサゼピン(IC
50 451±48nM、
図23)についてのEC
50及びIC
50は、El Kouhenらにより報告された値と同様である。
図20~23に含める曲線は、±95%信頼区間で列挙している。
【0170】
表S1.TRPA1アゴニストデータ(E
max対照に対して標準化したパーセンテージ活性化)。全てのデータは、参照アゴニストAITCについてのE
maxに対して標準化している。
【表5】
【0171】
表S2.TRPA1アンタゴニストデータ(EC
80対照に対して標準化したパーセンテージ阻害)。全てのデータは、参照アゴニストAITCについてのEC
80に対して標準化している。
【表6】
【0172】
表S3.TRPV1アゴニストデータ(E
max対照に対して標準化したパーセンテージ活性化)。全てのデータは、参照アゴニストカプサイシンについてのE
maxに対して標準化している。
【表7】
【0173】
表S4.TRPV1アンタゴニストデータ(EC
80対照に対して標準化したパーセンテージ阻害)。全てのデータは、参照アゴニストカプサイシンについてのEC
80に対して標準化している。
【表8】
【0174】
[00199]
著しいTRPM8アンタゴニスト活性を有する化合物のうち、化合物5、7及び11以外の全てのアナログは、それらのhTRPM8 IC50値のおよそ2倍に相当する濃度、かつ以前の値の10倍を超える濃度にてhTRPV1及びhTRPA1の両方でのCa2+フラックスアッセイにおいて無視できる程度の固有(アゴニスト)及びアンタゴニスト活性を有した。特に、どの化合物も、参照アゴニストであるAITC(300μM)及びカプサイシン(3μM)のEmax濃度に対して標準化した場合に、試験した両方の濃度で、hTRPA1及びhTRPV1にて25%を超える活性化を示さなかった。同様に、これらのアナログのいずれも、EC80濃度のAITC及びカプサイシン(それぞれ10μM及び0.1μM)を負荷した場合に25%を超えてどちらのサブタイプも阻害できなかった。例えば、そのhTRPM8 IC50値6±1nMの17倍高い濃度でさえ、化合物10は、hTRPA1又はhTRPV1を活性化又は阻害しなかった。同様に、化合物12、13、14及び15は、それぞれそのhTRPM8 IC50値1.4±1nM、40±1nM、2.4±1.0nM及び16±1nMより21、25、13及び19倍高い濃度にてhTRPA1及びhTRPV1媒介応答に影響しない。よって、本シリーズ中の多くの化合物は、関連する熱的TRPであるTRPA1及びTRPV1に対して、TRPM8について少なくとも10倍選択的である。
【0175】
表3.Ca
2+フラックスアッセイにおいて決定した、TRPA1及びTRPV1受容器での選択されたビフェニルアミドの固有及びアンタゴニスト機能的活性。
【表9】
【0176】
[00200]
実施例7-化合物14のホールセルパッチクランプ電気生理学。
[00201]
ホールセルパッチクランプ電気生理学を用いて、チャネルを刺激する同族リガンドメントールを用いて、hTRPM8での化合物14のアンタゴニスト活性をさらに探求及び確認した(
図7)。パッチクランプ実験では、トランスフェクションされたHEK-293細胞又はTRPM8発現アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞におけるイシリンによるTRPM8の活性化は、細胞外Ca
2+の存在に依存し、さらに、イシリンは、高度に変動する潜伏期及び著しい脱感作を有してチャネルを活性化し、この効果は、メントールでは見られない。これらのことを考慮して、我々は、以前の出版物に詳細に記載されているようにして、化合物14がhTRPM8にてメントール媒介応答を阻害する能力についてさらに探求した。ホールセル記録におけるCa
2+及びpH依存性イシリン誘発応答とは対照的に、メントールは、電位クランプアッセイにおいて堅固なTRPM8活性化を誘導して、よりよい比較研究が可能になる。これらのことを考慮して、アゴニストメントールにより誘導される電流に影響する化合物14の能力を評価した。
【0177】
[00202]
イシリンを用いるCa2+フラックス研究と一致して、この化合物は、メントール誘導TRPM8応答を、64±4nMのIC50で、濃度依存的様式で阻害し、このことは、化合物14が、異なる化学的刺激により誘導されるTRPM8応答をnM濃度で阻害する能力を有する、真の、機能的に堅固なTRPM8アンタゴニストであることを証明する。化合物14のアンタゴニスト活性は、トリプタミンベースのアンタゴニストより同じアッセイにおいて6倍多く、3つの不安定なエステル基を含むβ-ラクタムアンタゴニストと類似の効力を有する。化合物14のIC50値は、このアッセイにおいて、公知のTRPM8アンタゴニストPBMCのものには近づかないが(IC50:0.4~0.6nM)、不安定なエステル及びカルバメート基を有するこのAMTBのベンジルオキシ-フェニルメチルカルバメートアナログは、化学プローブとしては有用性が制限されるとみられる。PBMCは、神経障害性疼痛の異なる行動モデルにおいて様々な応答を与え、CIPNモデルにおいて冷覚感作を遮断できない。まとめると、化合物14は、異なる化学活性化因子に関するアッセイ特異的なニュアンスを克服でき、このことは、イシリン及びメントールの両方を負荷した場合の、Ca2+フラックス及びホールセルパッチクランプアッセイの両方において堅固で高い効力のアンタゴニスト活性を証明する。化合物14は、薬理学的によく特徴決定されており、他の小分子TRPM8リガンドと比べていくつかのアッセイにおいてTRPM8活性を有し、このことは、TRPM8媒介薬理学をつきとめるための化学ツールとしてのその可能性を証明する。以下に論じるように、化合物14は、イシリン及びメントールアナログWS-12と結合することも示されているArg842及びTyr1005と相互作用する。これらの残基と結合することは、それぞれCa2+フラックス及び電気生理学的アッセイにおいてなぜ化合物14がイシリン及びメントールの両方により媒介される応答を阻害できるのかを示唆するかもしれない。しかし、部位特異的突然変異誘発研究が、さらなる見識を与え得る。
【0178】
[00203]
実施例8-化合物14及びhTRPM8。
[00204]
ヒトTRPM8ホモロジーモデルの関係における化合物14の効力のあるアンタゴニスト活性を合理的に説明するために、100ns MDシミュレーションを行うことにより、実験を次いで行った。簡単に述べると、100ns MDシミュレーションを、効力が高いアンタゴニスト、スピロ[4.5]デカン-8-イル化合物14についてhTRPM8において行った。hTRPM8(約3.9Å)及び化合物14のRMSD(1.9Å)は、
図8Cに示すように30ns後に安定に維持され、このことは、100nsの時間尺度が適当であることを示す。
【0179】
[00205]
図8Aに示すように、化合物14のシクロペンチルは、化合物5及び7のシクロヘプチル及びシクロオクチルと同様に、下部のS4ヘリックス内の保存されたArg842(S4、側鎖、3.4Å)及びIle846(S4、4.0Å)残基と強い疎水性相互作用を形成する(
図6)。ビフェニルは、MDシミュレーション前に、TRPヘリックス中の保存されたLeu1001(約3.1Å、示さず)及びTyr1005(メントール感応性、3.8Å)残基と接触する。
図8Bに示すように、MDシミュレーション後のTRPM8内の化合物14の結合ポーズを示す。化合物14のビフェニルと、Ile846(3.6Å)/Leu1001(3.3A、示さず)/Tyr1005(3.4Å)との間の相互作用は、
図8Bに示すように、MD中安定に維持されたことが観察された。Ile846は、むしろ、Leu1001及びTyr1005と同様に、ビフェニル基と疎水性接触するようにシフトする。Leu1001及びTyr1005との相互作用は、ここでもまた、以前に論じたように、化合物5及び7のドッキングポーズと一貫している。
【0180】
[00206]
Ile846、Leu1001及びTyr1005は、ビフェニルをVSLDの底に係留し、ここでは、化合物1のビフェニルよりも深く埋め込まれ、ここでもまた、このことが、これらの化学種についてのアゴニスト対アンタゴニスト媒介挙動についてのもっともらしい理論的解釈であることが示唆される。重要なことに、Tyr1005とビフェニルとの間で観察される疎水性相互作用は、AMG2850のポストMDポーズでも見られる。この残基は、以前に論じたように、極性相互作用によりWS-12及びイシリンと接触し、リガンド認識のための共通TRPM8残基としてのTyr1005の概念を補強する。化合物1及びWS-12と違って、芳香族含有基は、VSLDにおいて重複しない。
【0181】
[00207]
驚くべきことに、スピロ[4.5]デカン-8-イル基は、シクロヘキシル環を介してArg842との疎水性接触を維持することが見いだされた。Ile846、Leu1001及びTyr1005と一緒に、鍵となる残基のエネルギー分解は、
図8Dに示すように、TRPM8における化合物14の認識に、これらの4残基が他の残基よりも大きい程度に寄与し得るという概念をさらに支持する。Arg842は、メントール結合部位に対してVSLDの反対側にあり、結合したCa
2+イオン及びS2~S3ヘリックス中の配位結合残基に近づく、AMG2850についての以前のクリオEM研究及びMD研究から示唆される小分子結合のための別の共通残基である。このことにより、分子は、広いコンフォメーションに押し込められる。VSLDオルソステリック部位のこの領域(下部S2ヘリックス、及びS3~S4ヘリックス)は、いくつかの疎水性かつ極性残基を含み、我々のビフェニルアミドシリーズに対してより大きい疎水性置換、例えば、我々の実験的に観察されたSARの傾向についての構造的関係をもたらす、S1及び上部S2ヘリックス中のメントール結合領域に対して、我々の効力のあるナノモルアンタゴニスト/化合物5、7及び10~15において見られるもののようなものを優先的に受け入れることができる。この近傍の残基(なかでもGlu782、Arg842(TRPM8
FAにおいてArg841)及びHis845(TRPM8
FAにおいてHis844))は、複数の立体配座を採用して、TRPM8がWS-12及びイシリンの両方と結合できるようにすることが報告されている。
【0182】
[00208]
スピロシクロヘキシル基から3.6及び3.8Å離れた嵩高い残基、例えばTrp798(S3)及びHis845(S4)の存在は、化合物8及び9のデカヒドロナフタレン-1-イル及びテトラヒドロナフタレン-1-イル環を立体的に反発させるように働くことがあり、この領域にてより大きい程度の立体配座的可動性(化合物5及び7におけるような)又はより最適な二環式配置(化合物10~14)を有する我々のシリーズの他のアナログに対して、それらのTRPM8効力をμM範囲まで効率的に減少させる。
【0183】
[00209]
興味深いことに、化合物14は、Arg1008と相互作用しないし(化合物1、5及び7の場合のように)、水素結合も形成しないが、代わりに、Parus major(オウム)のTRPM8(pmTRPM8)と結合した、アンタゴニストであるAMTB及びJNJ41876666/TC-I2014の最近報告された構造(それぞれPDB 6O6R及び6O72)で見られるものと同様に、結合キャビティ内で広い疎水性接触を形成する。JNJ41876666/TC-I2014複合体構造との化合物14のポストMDポーズの比較により、両方のアンタゴニストのビフェニルが、VSLD内で重なり合うことが明らかになり、このことは、我々のMDの結果を支持するが、スピロ含有部分は、ポケット中で反対向きに配向する。JNJ41876666/TC-I2014のスピロ-イソキサゾリンに対して、化合物14のスピロ[4.5]デカン-8-イルについて見られる反対向きの配向は、立体配座的に堅いベンズイミダゾールに対して、アミド(三角平面幾何学的配置、120°)から離れて突出するいずれかの基に起因する。
【0184】
[00210]
実施例9-TRPA1及びTRPV1でのインシリコ選択性プロファイリング
[00211]
化合物14の選択性プロフィールを合理的に説明するために、この化合物を、rTRPV1(PDB 3J5R)及びhTRPA1(PDB 3J9P)のクリオEM構造にドッキングさせ、これらのポーズを、hTRPM8ホモロジーモデルにおけるプレMD(ドッキング済み)ポーズと比較した。興味深いことに、TRPM8、TRPV1及びTRPA1の結合ポケットは、VLSD(S1~S4)、S5~S6により形成されるポアドメイン、及びポアヘリックスの異なる領域を占める(
図9)。バニロイドリガンド、レシニフェラトキシン(RTX)、カプサイシン様ホモバニリルエステルアンタゴニストである及び競合アンタゴニストカプサゼピンは、TRPV1残基と、S3及びS4ヘリックス、並びにS4~S5リンカー中で、2.9Å及び3.4Åで結合する。S1~S4ヘリックス及びTRPヘリックス内に結合ポケットが規定される鳥類TRPM8のリガンドを有する(liganded)クリオEM構造と一緒にすると、これらの構造は、両方のTRPサブタイプについての構造的に共通点のない天然生成物リガンド、すなわちそれぞれメントール及びカプサイシンについて、中心的結合部位がないことを示唆した。むしろ、これらの分子は、各チャネルのVSLD内の異なる領域と結合する。TRPA1の構造はリガンドを有さないが(約4Å)、鍵となるPhe909残基の突然変異誘発研究とともにクリオEMは、天然生成物アゴニストアリルイソチオシアネート(AITC)及びアンタゴニストA-967079が、S5、S6及びポアヘリックス中の残基により規定される部位に結合することを示唆し、このことは、また、天然からのプロトタイプのTRPチャネルアゴニストが、それらのそれぞれのサブタイプに対して異なるポケットに結合することを示唆した。
【0185】
[00212]
化合物の選択性を合理的に説明するために、化合物14をTRPA1及びTRPV1にドッキングさせ、これらの結果を、TRPM8にドッキングした化合物14のポーズ(プレMD)(TRPM8でのドッキングエネルギー-9.9kcal/mol)と比較した。
図9Cに示すように、ドッキングポーズは、化合物14が、TRPM8と広い相互作用を形成することを示す。Trp798、Arg842、His845、Ile846、Leu1001及びTyr1005を含むいくつかの重要な残基が、化合物14の結合に寄与した。
図9Bは、化合物14とTRPA1との間の相互作用を示す。TRPA1の結合ポケットは、Phe909(ポアヘリックス1)、Leu881(S5)、Ile878(S5)、Phe877(S5)及びThr874(S5)(これは、報告された結合部位と一貫している)を含むS5、S6及び第一ポアヘリックスで形成されるポケット内の独特の密度を明らかにした。相互作用を分析することにより、Thr874が化合物14と水素結合を形成するが、Phe909、Leu881、Ile878及びLeu871は、疎水性相互作用に寄与することが見いだされた。
図9Dは、TRPV1における化合物14の結合ポーズを示す。TRPV1におけるポケットは、S3、S4、S4-S5リンカー、S5及びS6を含む2つの隣接する単量体からの5つの膜貫通ドメインにより形成された。Tyr511(S3)、Leu515(S3)、Leu574(S4)、Thr550(S4)、Arg557(S4-S5リンカー)、Glu570(第一単量体のS5)及びLeu672(第二単量体のS6)を含む、結合ポケット内のいくつかの重要な残基を、
図9Dに示す。Thr550が化合物14と強い水素結合を形成するが、Leu515及びLeu574は、化合物14と疎水性接触を形成することが見いだされた。TRPM8、TRPA1及びTRPV1での化合物14のドッキングエネルギーは、-9.9kcal/mol、-7.1kcal/mol及び-8.3kcal/molであり、化合物14が優先的にTRPM8と結合するはずであることを示した。表3におけるハイスループットFLIPRアッセイから、化合物14は、TRPA1及びTRPV1と比べて、TRPM8に緩やかに選択的(13倍)であった。
【0186】
[00213]
化合物14の代謝安定性試験を、マウス肝臓ミクロソームにおいて行って、インビボでのTRPM8化学プローブとしてのその適格性を決定した。化合物14は、マウス肝臓ミクロソームにおいて30分の半減期(t1/2)及び0.0455mL/分/mgの固有クリアランス(CLint)を有し、行動アッセイを行うための十分な代謝安定性を示す(表S5)。化合物14は、スピロ又は芳香族環のCYP450ヒドロキシル化を受け、t1/2=30分を導き得る。
【0187】
表S5.マウス肝臓ミクロソームにおける化合物14の安定性。
【表10】
【0188】
[00214]
実施例10-インビボ分析。
[00215]
身震い行動(WDS)アッセイ。インビトロでTRPM8を有効に阻害する化合物14の観察された能力が、インビボでのTRPM8依存性の抗侵害受容性活性とも解釈できるかを決定するために、「身震い行動」(WDS)アッセイを行った。このアッセイでは、イシリン(10mg/kg腹腔内i.p.)を、化合物14又はビヒクルで処理したマウスに注射した。マウスにおいて、TRPM8は、インビトロアッセイにおいて用いていたラットTRPM8と高いホモロジーを有することが知られている。マウスにおけるイシリン注射は鮮明で定量可能なTRPM8媒介身震い行動を生じる。化合物14(1、30及び50mg/kg)又はそのビヒクルを、皮下投与(s.c.)した30分後にイシリンを注射した。
【0189】
[00216]
冷覚異痛症。化学療法誘発末梢神経障害(CIPN)により引き起こされる冷覚過敏症を模倣する状態である、オキサリプラチン(OXP)により誘発される化学療法誘発神経障害性疼痛のマウスモデルにおいて、TRPM8が役割を演じることを示唆する証拠が増えてきている。急性及び慢性の両方のOXP誘導冷覚過敏症は、ラットにおいて再現され、TRPM8発現及び機能と関連づけられている。Mizoguchiらは、げっ歯類モデルにおいて、OXP注射後の急性冷覚異痛症が、TRPM8遮断薬であるN-(2-アミノエチル)-N-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシベンジル]-N’-(1S)-1-(フェニル)エチル]尿素及びTC-I2014により改善されたことを報告した。これらの知見に従って、アセトンを冷感刺激として用いるOXP誘導冷覚異痛症モデルにおける化合物14の影響を調べた。冷覚疼痛閾値がOXP処置患者においておよそ12℃からおよそ26℃に増加することを考慮して、アセトン刺激は、OXP処理マウスにおいて疼痛を誘発すると考えれる。
【0190】
[00217]
図10に示すように、化合物14は、著しい、用量応答性の抗侵害受容性行動を生じる。50mg/kgの最高の用量にて、化合物14は、マウスにおけるWDS様冷覚過敏症を、標準的な鎮痛性用量のガバペンチン(25mg/kg、s.c.)で観察されるものに匹敵する有効性で阻害する。
【0191】
[00218]
これらの結果は、Ca2+フラックスアッセイ及びパッチクランプアッセイの両方における化合物14のアンタゴニスト活性を、動物全体モデルにおいて、機械論的にTRPM8に結び付ける。なぜなら、イシリン誘導WDS行動は、TRPM8ヌルマウスにおいて再現可能でないからである。このデータは、化学的又は薬理学的プローブ分子のための鍵となる属性を証明する。
【0192】
[00219]
TRPM8、TRPA1、TRPV1、TRPV2及びTRPV4を含む熱的TRPは、化学療法誘発末梢神経障害(CIPN)を処置するための可能性のある新しい標的として文献に記載されている。冷覚に対する感覚による認識における欠陥は、なかでも、通常は無痛性の冷覚刺激から経験する疼痛と定義される冷覚異痛症、及び有痛性の冷覚刺激からの疼痛応答の高まりである冷覚痛覚過敏として現れる。このような冷覚障害は、化学療法誘発異痛症、神経障害性疼痛、複合性局所疼痛症候群及び疼痛性膀胱症候群において臨床的にみられる。冷覚曝露に対する異常な急性の感覚応答は、結腸直腸癌などに最も一般的に用いられる抗腫瘍処置である化学治療剤オキサリプラチンでの1回目の処置の後に発生する。さらに、オキサリプラチンは、おそらくTRPM8の過剰発現又は活性により、メントールに対する感応性の増加を促進する。特に、結腸直腸癌は、がん死亡率の第2位の原因であり、最も一般的な悪性疾患の第4位である。嚥下障害に導く冷覚感応性知覚異常及び咽頭攣縮は、オキサリプラチン処置の結果として発生し、オキサリプラチンに関連する感覚神経毒性(sNT)である。さらに、肺癌、精巣癌及び卵巣癌を処置するために用いられるシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンを含むすべての白金薬剤は、感覚神経障害を誘導することが知られている。
【0193】
[00220]
熱痛覚過敏は、初期の発症におけるオキサリプラチン神経毒性の臨床マーカーであり、重篤な神経障害を予測できる。冷覚過敏症は、オキサリプラチン誘導神経障害の特徴である。前臨床的に、無害及び有害の冷覚刺激に対するオキサリプラチン誘導過敏症は、ノックアウト研究により確認されたように、TRPM8依存性機構により前進する。二機能性TRPM8/TRPV1アンタゴニストカプサゼピンでのTRPM8遮断は、オキサリプラチン誘導冷覚異痛症をインビボにて用量依存的に阻害し、これは、TRPV1アンタゴニスト5’-ヨードレシニフェラトキシンを用いては見られない効果である。同様に、DRGにおけるTRPM8 mRNA発現は、オキサリプラチンの単回注射により誘導される冷覚異痛症の後に著しく増加し、これは、インビボでのTRPM8刺激に対する応答の増加と機能的に結び付く効果である。これらの研究は、オキサリプラチン処置及びオキサリプラチン代謝産物オキサレートでの処置による冷覚痛覚過敏の誘導後の、L4-L6 DRGにおけるTRPM8 mRNA発現の同様の増加を報告する以前の文献と一致している。インビトロでは、TRPM8 mRNAレベルは、オキサリプラチン処置DRGニューロンにおいても著しく増加した。化合物14を、オキサリプラチンにより誘発される末梢神経障害性疼痛モデルにおける冷覚に対する感覚応答を遮断する能力について評価した。なぜなら、冷覚過敏症は、オキサリプラチン誘導神経障害の特徴であるからである。新しくより標的化した化学療法でのがん処置の発展にもかかわらず、現在、CIPNの薬物療法はない。糖尿病性神経障害のために用いられるデュロキセチンは、オキサリプラチンにより誘導されるCIPNの患者において穏やかな鎮痛性の効果を有するのみである。
【0194】
[00221]
化合物14の活性を、冷覚異痛症が発生した時である、C57/BL6マウスにおける3回のOXPの腹腔内注射(6mg/kg)の7日後に評価した。化合物14(0.1及び1μg)の単回皮下投与の後に、減弱した冷覚異痛症が15分に明白になり、用量依存的な様式で、投与の30分後に最大阻害に達する(
図11)。このデータは、化合物14が、CIPNの処置のための能力のある治療的足場であり得ることを示唆する。
【0195】
[00222]
化合物14の抗侵害受容性活性は、同じアッセイにおいて、他の報告されている効力のあるTRPM8アンタゴニスト(R)-(-)-10eを越える。(R)-(-)-10eは、p.o.投与された場合に>10,000倍高い用量であるが、オキサリプラチン誘導侵害防御機構の脚なめ行動を阻害する。同様に、トリプトファンベースのTRPM8アンタゴニストは、化合物14と同じ用量でC57/BL6マウスにおけるオキサリプラチン誘導冷覚異痛症を逆にするが、この効果は、おそらく不安定なエステル基のために長続きしない。化合物14は、OXPの影響を、2つのt1/2値に等しい60分にて著しく抑制し、このことは、さらなる現象が間近にあることを示唆する。例えば、化合物14は、その親油性により与えられた薬物デポー効果によりインビボで機能する可能性がある。等しい重要性で、化合物14及び本明細書に報告するその他のメントール様アンタゴニストは、他の疼痛状態、例えばインビボの慢性神経障害性疼痛(これについてのこのイオンチャネルの役割は、議論の余地がある)におけるTRPM8の役割を探求するための有用な化学ツールであり得る。このような小分子足場は、よって、感覚性ニューロパチーのための薬物療法を提供できる。
【0196】
[00223]
手短に言えば、化合物1の(-)-メンチル環の親油性部分での置き換えをつきとめることは、ここに記載し、上記のヒトTRPM8ホモロジーモデルにおいて行われるようなTRPM8アンタゴニスト足場のコンピュータ研究により示されるように、Ca2+フラックスアッセイにおいて高い効力のhTRPM8アンタゴニスト活性を有し、TRPV1及びTRPA1に対して>10倍の選択性を有する新しいシリーズの小分子リガンドの発見を可能にする。これらのメントール最適化アナログは、ヒトTRPM8にてナノモルアゴニスト活性を有する、Dendreon(D-3263など)及びProctor&Gambleにより報告されたメントールベースのアゴニストとともに、TRPM8薬理学、構造機能研究及び構造生物学研究を調べるための化学プローブとしての使用を見出すことができる。このシリーズは、オキサリプラチンにより誘導されるCIPN及び他のTRPM8関連感覚性ニューロパチーのための薬物療法への可能性も提供できる。なぜなら、化合物14は、オキサリプラチン誘導冷感異痛症をインビボにて減弱できるからである。さらに、これらの化合物は、小分子リガンド及び治療足場の合理的設計のためのTRPM8ファーマコフォアの同定を支援することもできる。同定された最も効力のあるアナログの1つ(化合物14)は、Ca2+フラックス及びパッチクランプアッセイの両方において優れたアンタゴニスト活性を有し、一連のインビトロ及びインビボアッセイにわたって複数のTRPM8活性化因子(イシリン、メントール及び冷覚)の影響を用量依存的に阻害できる。化合物14は、アミド化反応から合成により容易に入手可能であり、キラル中心を有さず、よって、その魅力が増進される。化合物14は、現在までに記載された最も効力の高いTRPM8アンタゴニストの1つである。上記のSAR研究は、そのスピロ[4.5]デカン-8-イル部分が、同族リガンド(-)-メントールに対して、TRPM8認識についての好ましい足場であり、最適なメントール代用物であることを示唆する。分野は、特に天然生成物ベースの足場の関係において、チャネル活性化対不活性化を取り囲む巧妙さに対処するために、メントール由来アンタゴニストと複合体を形成したTRPM8構造を待っている。アンタゴニスト化合物14は、メントールアナログWS-12とともに、TRPM8でのアンタゴニスト対アゴニスト媒介分子事象を説明するために、これらの研究のための能力のある選択肢である。
【0197】
[00224]
本明細書で言及する全ての出版物、特許及び特許出願は、以下のリストで述べる参考文献を含めて、参照により本明細書に組込まれている。
【0198】
参考文献
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ここに開示する主題の様々な詳細は、ここに開示する主題の範囲を逸脱せずに変更できることが理解される。さらに、上記の記載は、説明のためだけであり、限定を目的としない。