(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】カメラ保持構造
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20241113BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241113BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20241113BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241113BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241113BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20241113BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241113BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G03B15/00 V
G03B11/04 C
G03B17/56 A
G03B17/02
H04N5/222 100
H04N23/55
(21)【出願番号】P 2021188654
(22)【出願日】2021-11-19
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 弘典
(72)【発明者】
【氏名】真取 忠弘
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-206079(JP,A)
【文献】特開2020-097331(JP,A)
【文献】特開2020-008814(JP,A)
【文献】特開2021-172155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0146853(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0283549(US,A1)
【文献】特開2017-030469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 11/00 - 11/06
G03B 11/00 - 11/06
G03B 15/00 - 15/16
G03B 17/02 ; 17/22
G03B 17/56 - 17/58
H04N 5/222; 5/225
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラを保持するためのカメラ保持構造であって、
車内空間と車外空間とを区画する窓と、
前記窓の内面に固定され、前記車載カメラを保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記窓の内面に固定される固定枠と、前記固定枠から車内側に向けて突出し、前記窓の車内側に前記車載カメラの視野空間を画定するフードと、を有し、
前記固定枠は、前記窓の前記内面に対向する対向面において前記窓の前記内面に接着されており、前記対向面には、車外側から目視可能な位置に目印部が設けられており、
前記視野空間は、前記窓の後側に設けられ、
前記フードは、前記視野空間の左右両側部を画定する左右の側壁部と、前記左右の側壁部の下端部を接続し、前記視野空間の下部を画定する底壁部と、を有し、
前記底壁部の上面には、前記車載カメラに入射する迷光を抑制するための迷光抑制構造が設けられ、前記迷光抑制構造は、前後方向に配列されて左右方向に延びる複数の突条を有し、
前記目印部は、前記複数の突条の前下方において左右方向に延びており、
前記目印部は、左右方向に直交する方向に間隔をおいて複数設けられ、
前記複数の目印部のピッチは、前記複数の突条のピッチと同一であるカメラ保持構造。
【請求項2】
前記窓は、透明性を有する基材層と、前記基材層の一部に重ね合わされ、前記基材層よりも透明性が低い遮光層と、を有し、前記遮光層には、前記視野空間に入射する光を通過させるための開口部が設けられ、
前記対向面は、車外側から見て前記遮光層に覆われる被覆部と、前記開口部に対応する位置に設けられ、車外側から見て前記遮光層から露出する露出部と、を有し、
前記目印部の少なくとも一部は、前記露出部に設けられている請求項1に記載のカメラ保持構造。
【請求項3】
前記露出部は、前記開口部の左縁部から右縁部まで左右方向に延びており、
前記目印部は、前記露出部の左端部から右端部まで連続している請求項2に記載のカメラ保持構造。
【請求項4】
前記目印部は、前記対向面に設けられた凸部である請求項1~3のいずれか1項に記載のカメラ保持構造。
【請求項5】
車載カメラを保持するためのカメラ保持構造であって、
車内空間と車外空間とを区画する窓と、
前記窓の内面に固定され、前記車載カメラを保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記窓の内面に固定される固定枠と、前記固定枠から車内側に向けて突出し、前記窓の車内側に前記車載カメラの視野空間を画定するフードと、を有し、
前記固定枠は、前記窓の前記内面に対向する対向面において前記窓の前記内面に接着されており、前記対向面には、車外側から目視可能な位置に目印部が設けられており、
前記目印部は、前記対向面とは異なる色に塗装された塗装部であるカメラ保持構造。
【請求項6】
前記対向面は、透明性を有する接着剤を介して前記窓の前記内面に接着されている請求項1~
5のいずれか1項に記載のカメラ保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラを保持するためのカメラ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラを保持するためのカメラ保持構造が知られている。例えば、このカメラ保持構造は、車内空間と車外空間を区画する窓と、窓の内面に固定され、車載カメラを保持する保持部材と、を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外界検知カメラをフロントウインドウガラスの内面に固定するカメラブラケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような保持部材が窓の内面に接着剤等によって接着される場合に、窓の内面に対する保持部材の接着位置が目標位置からずれると、窓に対する保持部材の位置精度が低下し、保持部材に保持される車載カメラの位置精度も低下する虞がある。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、窓の内面に対する保持部材の接着位置が目標位置からずれることを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車載カメラ(11)を保持するためのカメラ保持構造(17)であって、車内空間(SP1)と車外空間(SP2)とを区画する窓(6)と、前記窓の内面(6A)に固定され、前記車載カメラを保持する保持部材(16)と、を備え、前記保持部材は、前記窓の内面に固定される固定枠(19)と、前記固定枠から車内側に向けて突出し、前記窓の車内側に前記車載カメラの視野空間(S)を画定するフード(20)と、を有し、前記固定枠は、前記窓の前記内面に対向する対向面(41)において前記窓の前記内面に接着されており、前記対向面には、車外側から目視可能な位置に目印部(47、51、61、71)が設けられている。
【0008】
この態様によれば、目印部の位置を目視で確認しながら対向面を窓の内面に接着することができるため、窓の内面に対する保持部材の接着位置が目標位置からずれることを抑制することができる。そのため、窓に対する保持部材及び車載カメラの位置精度を向上させることができる。
【0009】
上記の態様において、前記視野空間は、前記窓の後側に設けられ、前記フードは、前記視野空間の左右両側部を画定する左右の側壁部(26)と、前記左右の側壁部の下端部を接続し、前記視野空間の下部を画定する底壁部(27)と、を有し、前記底壁部の上面には、前記車載カメラに入射する迷光を抑制するための迷光抑制構造(30)が設けられ、前記迷光抑制構造は、前後方向に配列されて左右方向に延びる複数の突条(31)を有し、前記目印部は、前記複数の突条の前下方において左右方向に延びていても良い。
【0010】
この態様によれば、迷光抑制構造のデザインと対向面のデザインとの統一性を高めることができるため、車両の外観を向上させることができる。
【0011】
上記の態様において、前記目印部は、左右方向に直交する方向に間隔をおいて複数設けられ、前記複数の目印部のピッチは、前記複数の突条のピッチと同一であっても良い。
【0012】
この態様によれば、迷光抑制構造のデザインと対向面のデザインとの統一性を更に高めることで、車両の外観を更に向上させることができる。
【0013】
上記の態様において、前記窓は、透明性を有する基材層(8)と、前記基材層の一部に重ね合わされ、前記基材層よりも透明性が低い遮光層(9)と、を有し、前記遮光層には、前記視野空間に入射する光を通過させるための開口部(10)が設けられ、前記対向面は、車外側から見て前記遮光層に覆われる被覆部(43)と、前記開口部に対応する位置に設けられ、車外側から見て前記遮光層から露出する露出部(44)と、を有し、前記目印部の少なくとも一部は、前記露出部に設けられていても良い。
【0014】
この態様によれば、遮光層の開口部に対する目印部の位置を目視で確認しながら、対向面を窓の内面に接着することができる。そのため、窓の内面に対する保持部材の接着位置が目標位置からずれることをより効果的に抑制することができる。
【0015】
上記の態様において、前記露出部は、前記開口部の左縁部から右縁部まで左右方向に延びており、前記目印部は、前記露出部の左端部から右端部まで連続していても良い。
【0016】
この態様によれば、目印部の長さを十分に確保することができるため、目印部の位置を目視で確認しやすくなる。
【0017】
上記の態様において、前記目印部は、前記対向面に設けられた凹部(47、51)であっても良い。
【0018】
この態様によれば、保持部材が熱膨張した場合に、保持部材の熱膨張による応力を凹部によって吸収することができる。そのため、保持部材の熱膨張に伴って対向面と窓の内面との接着強度が低下することを抑制することができる。
【0019】
上記の態様において、前記目印部は、前記対向面に設けられた凸部(61)であっても良い。
【0020】
この態様によれば、凸部によって固定枠を補強することができるため、固定枠の剛性を高めることができる。そのため、固定枠の変形を抑制することができる。
【0021】
上記の態様において、前記目印部は、前記対向面とは異なる色に塗装された塗装部(71)であっても良い。
【0022】
この態様によれば、対向面自体に凹凸を設けることなく目印部を形成することができる。そのため、目印部の形成に伴う保持部材の構成の複雑化を抑制することができる。
【0023】
上記の態様において、前記対向面は、透明性を有する接着剤を介して前記窓の前記内面に接着されていても良い。
【0024】
この態様によれば、接着剤が目印部と重なる位置に設けられていても、車外側から接着剤を介して目印部の位置を目視で十分に確認することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の態様によれば、窓の内面に対する保持部材の接着位置が目標位置からずれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両の前部を示す側面図
【
図2】上記実施形態に係るブラケット及びその周辺部を示す断面図
【
図3】上記実施形態に係るブラケット及びその周辺部を示す車外側からの斜視図
【
図4】上記実施形態の第1変形例に係るブラケット及びその周辺部を示す断面図
【
図5】上記実施形態の第2変形例に係るブラケット及びその周辺部を示す断面図
【
図6】上記実施形態の第3変形例に係るブラケット及びその周辺部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<車両1>
以下、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る車両1について説明する。各図に付される矢印Frは、車両1の前方を示している。
【0028】
図1を参照して、車両1は、4輪自動車である。車両1は、前後方向に長い車体2を有する。車体2の内部には車内空間SP1が形成されており、車内空間SP1の前後方向中央部には複数の座席4が設けられている。
【0029】
車両1の前部には、複数の座席4の前方に、フロントウィンドウ6(窓の一例)が設けられている。フロントウィンドウ6は、車内空間SP1と車外空間SP2(本実施形態では、車両1の前方の空間)を区画している。フロントウィンドウ6は、上方に向けて後方に傾斜している。
【0030】
図2、
図3を参照して、フロントウィンドウ6は、基材層8と、基材層8の上部中央に車内側から重ね合わせられる遮光層9と、を有する。基材層8は、ガラスによって形成されており、透明性を有している。なお、他の実施形態では、基材層8がガラス以外の透明性材料(例えば、透明性樹脂)によって形成されていても良い。遮光層9は、基材層8の内面にプリントされた黒セラミックによって形成されており、透明性を有していない。なお、他の実施形態では、遮光層9は、基材層8よりも透明性が低い黒セラミック以外の材料によって形成されていても良い。遮光層9の中央部には、略台形状の開口部10が設けられている。
【0031】
フロントウィンドウ6の上部後方には、フロントカメラ11(車載カメラの一例)が設けられている。フロントカメラ11は、車内空間SP1からフロントウィンドウ6を介して車外空間SP2を撮影する装置である。フロントカメラ11は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。フロントカメラ11は、制御装置12(
図1参照)に接続されている。制御装置12は、フロントカメラ11から送信される画像データに基づいて、車両1の先進運転支援制御(例えば、車線維持制御や前走車追従制御)を実行するように構成されている。
図2を参照して、フロントカメラ11は、前方から入射する光を収束させるレンズ13と、レンズ13を保持するカメラ本体14と、を有する。カメラ本体14の下部は、カメラ本体14の上部よりも前方に延びている。
【0032】
図2、
図3を参照して、フロントウィンドウ6の基材層8及び遮光層9の内面(以下、「フロントウィンドウ6の内面6A」と称する)には、フロントカメラ11を保持するブラケット16(保持部材の一例)が固定されている。ブラケット16は、フロントウィンドウ6と共に、カメラ保持構造17を構成している。
【0033】
ブラケット16は、フロントウィンドウ6の内面6Aに固定される固定枠19と、固定枠19から後下側(車内側)に向けて突出するフード20と、を有する。
【0034】
ブラケット16の固定枠19は、フロントウィンドウ6の内面6Aに沿って配置されており、フロントウィンドウ6の内面6Aに接着されている。なお、フロントウィンドウ6の内面6Aに対する固定枠19の接着構造については、後述する。
【0035】
固定枠19は、方形枠状を成している。固定枠19は、左右方向に延びる前板部22と、前板部22から後上方に向けて延びる左右の側板部23(
図2において右側板部23のみを表示)と、左右方向に延びて左右の側板部23の後端部を接続する後板部24と、を有する。
【0036】
ブラケット16のフード20は、フロントカメラ11の視野空間S(以下、単に「視野空間S」と称する)を画定している。視野空間Sは、車外空間SP2からの光をフロントカメラ11のレンズ13に入射させるための空間であり、フロントウィンドウ6の後側(車内側)に設けられている。視野空間Sは、フロントウィンドウ6の遮光層9の開口部10に対応する位置に設けられており、車外空間SP2からの光が開口部10を通過して視野空間Sに入射するようになっている。
【0037】
フード20は、固定枠19の左右の側板部23から下方に向けて延びる左右の側壁部26と、左右の側壁部26の下端部を接続する底壁部27と、固定枠19の後板部24から後下方に向けて延びて左右の側壁部26の後上端部を接続する後壁部28と、を含む。
【0038】
フード20の左右の側壁部26は、視野空間Sの左右両側部を画定している。左右の側壁部26は、固定枠19と一体的に設けられている。左右の側壁部26の対向間隔は、後方から前方に向けて次第に広くなっている。
【0039】
フード20の底壁部27は、視野空間Sの下部を画定している。底壁部27の前部は、上下方向に間隔をおいてフロントウィンドウ6と対向している。底壁部27の前部とフロントウィンドウ6との対向間隔は、前方から後方に向けて次第に広くなっている。底壁部27には、取付機構(図示せず)を介してフロントカメラ11のカメラ本体14の下部が取り付けられている。
【0040】
底壁部27の上面には、フロントカメラ11のレンズ13に入射する迷光(反射光)を抑制するための迷光抑制構造30(SLS:Stray Light Shield)が設けられている。例えば、迷光抑制構造30は、前後方向に連続的に配列された複数の突条31によって構成されている。各突条31は、左右の側壁部26の下端部まで左右方向に直線状に延びている。例えば、各突条31は、断面逆V字状を成している。
【0041】
底壁部27の左右両側部27Aは、左右の側壁部26と一体的に設けられている。底壁部27の左右中央部27Bは、底壁部27の左右両側部27Aに着脱可能に嵌め込まれている。底壁部27の左右中央部27Bの下面には、フロントウィンドウ6を加熱するヒーター33が取り付けられている。ヒーター33は、複数本の電熱線(図示せず)によって構成されている。ヒーター33は、フロントカメラ11のカメラ本体14の下部の真上に位置している。
【0042】
フード20の後壁部28は、視野空間Sの後上部を画定している。後壁部28は、固定枠19と一体的に設けられている。後壁部28は、上下方向に間隔をおいて底壁部27の後部と対向している。後壁部28と底壁部27の後部との対向間隔は、前方から後方に向けて次第に狭くなっている。後壁部28の後端部と底壁部27の後端部との間には入射開口35が設けられており、この入射開口35を介して視野空間Sからの光がフロントカメラ11のレンズ13へと入射するようになっている。
【0043】
<固定枠19の接着構造>
次に、フロントウィンドウ6の内面6Aに対する固定枠19の接着構造について詳細に説明する。
【0044】
図2、
図3を参照して、固定枠19は、フロントウィンドウ6の内面6Aに略平行な対向面41を有している。なお、他の実施形態では、対向面41は、フロントウィンドウ6の内面6Aに略平行でなくても良い。対向面41は、平面であっても良いし、一部又は全部が湾曲していても良い。対向面41は、接着剤42を介してフロントウィンドウ6の内面6Aに接着されている。接着剤42は、車外側から見てフロントウィンドウ6の遮光層9に覆われている。つまり、接着剤42は、車外側から視認できない位置に設けられている。
【0045】
固定枠19の対向面41は、被覆部43と露出部44とを有する。被覆部43は、前板部22の前部の外面、左右の側板部23の外面、及び後板部24の外面によって構成されている。被覆部43は、車外側から見てフロントウィンドウ6の遮光層9に覆われている。つまり、被覆部43は、車外側から視認できない位置に設けられている。露出部44は、前板部22の後部の外面によって構成されている。露出部44は、フロントウィンドウ6の遮光層9の開口部10に対応する位置に設けられており、車外側から見て遮光層9から露出している。つまり、露出部44は、車外側から視認可能な位置に設けられている。露出部44は、開口部10の左縁部から右縁部まで左右方向に延びている。
【0046】
固定枠19の対向面41の前部(前板部22に対応する部分)には、1個の凹部47が設けられている。凹部47は、迷光抑制構造30の複数の突条31の前下方において左右方向に直線状に延びている。凹部47の幅Wは、複数の突条31のピッチPと同一である。但し、他の実施形態では、凹部47の幅Wは、複数の突条31のピッチPよりも広くても良いし、複数の突条31のピッチPよりも狭くても良い。
【0047】
凹部47の左右中央部は、対向面41の露出部44に設けられている。つまり、凹部47の左右中央部は、車外側から視認可能な位置に設けられている。凹部47の左右両端部は、対向面41の被覆部43まで延びている。つまり、凹部47は、露出部44の左端部から右端部まで連続している。なお、他の実施形態では、凹部47の全体が露出部44の範囲内に収まっていても良い。
【0048】
固定枠19には、対向面41の露出部44とフード20の底壁部27の上面(即ち、迷光抑制構造30が設けられている面)とを接続する接続面48が設けられている。接続面48には、凹部47が設けられていない。そのため、前端の突条31と凹部47との間隔は、複数の突条31のピッチPよりも広くなっている。
【0049】
<効果>
本実施形態では、固定枠19の対向面41には、車外側から目視可能な位置に凹部47が設けられている。これにより、凹部47の位置を目視で確認しながら対向面41をフロントウィンドウ6の内面6Aに接着することができるため、フロントウィンドウ6の内面6Aに対するブラケット16の接着位置が目標位置からずれることを抑制することができる。そのため、フロントウィンドウ6に対するブラケット16及びフロントカメラ11の位置精度を向上させることができる。
【0050】
また、迷光抑制構造30は、前後方向に配列されて左右方向に延びる複数の突条31を有し、凹部47は、複数の突条31の前下方において左右方向に延びている。これにより、迷光抑制構造30のデザインと対向面41のデザインとの統一性を高めることができるため、車両1の外観を向上させることができる。
【0051】
また、対向面41は、遮光層9の開口部10に対応する位置に設けられた露出部44を有し、凹部47の左右中央部は、露出部44に設けられている。これにより、遮光層9の開口部10に対する凹部47の位置を目視で確認しながら、対向面41をフロントウィンドウ6の内面6Aに接着することができる。そのため、フロントウィンドウ6の内面6Aに対するブラケット16の接着位置が目標位置からずれることをより効果的に抑制することができる。
【0052】
また、上記のように露出部44に凹部47を設けることで、迷光抑制構造30のデザインと露出部44のデザインとの統一性を高めることができる。本実施形態では特に、フード20の底壁部27の下面にヒーター33が取り付けられ、ヒーター33は、フロントカメラ11のカメラ本体14の下部の真上に位置している。その関係で、フード20の底壁部27の位置を下方にずらすことが困難であり、フード20の底壁部27の前端部が比較的高い位置に設けられることになる。その結果、露出部44の上下方向の幅が大きくなり、露出部44が車外側から目立ちやすくなる。そのため、上記のように迷光抑制構造30のデザインと露出部44のデザインとの統一性を高める効果が高い。
【0053】
また、露出部44は、開口部10の左縁部から右縁部まで左右方向に延びており、凹部47は、露出部44の左端部から右端部まで連続している。これにより、凹部47の長さを十分に確保することができるため、凹部47の位置を目視で確認しやすくなる。
【0054】
また、ブラケット16の熱膨張による応力を凹部47によって吸収することができる。そのため、ブラケット16の熱膨張に伴って対向面41とフロントウィンドウ6の内面6Aとの接着強度が低下することを抑制することができる。また、凹部47を目印部として利用することで、目印部を比較的安価に形成することができる。
【0055】
<変形例>
図4を参照して、上記実施形態の第1変形例では、対向面41の露出部44に複数の凹部51(目印部の一例)が設けられている。複数の凹部51は、左右方向に直交する方向に間隔をおいて設けられている。複数の凹部51のピッチP1は、迷光抑制構造30の複数の突条31のピッチP2と同一である。このような構成を採用することで、迷光抑制構造30のデザインと対向面41のデザインとの統一性を更に高めることができるため、車両1の外観を更に向上させることができる。
【0056】
また、
図4を参照して、上記実施形態の第1変形例では、対向面41の露出部44に複数の凹部51が設けられているだけでなく、対向面41の露出部44とフード20の底壁部27の上面とを接続する接続面48に複数の凹部52が設けられている。このような構成を採用することで、迷光抑制構造30のデザインと対向面41及び接続面48のデザインとの統一性を高めることができるため、車両1の外観を更に向上させることができる。
【0057】
また、
図4を参照して、上記実施形態の第1変形例では、接着剤42の一部は、車外側から見て遮光層9から露出している。つまり、接着剤42の一部は、車外側から視認可能な位置に設けられている。このような場合には、接着剤42は、透明性を有することが好ましい。これにより、接着剤42が複数の凹部51と重なる位置に設けられていても、車外側から接着剤42を介して複数の凹部51の位置を目視で十分に確認することができる。また、接着剤42が車外側から視認されても車両1の外観が損なわれにくいため、接着剤42のレイアウトの管理が容易になる。
【0058】
図5を参照して、上記実施形態の第2変形例では、凹部47の代わりに一又は複数の凸部61(目印部の一例)が対向面41の露出部44に設けられている。凸部61は、左右方向に延びており、露出部44の左端部から右端部まで連続している。このような構成を採用することで、凸部61によって固定枠19を補強することができるため、固定枠19の剛性を高めることができる。そのため、固定枠19の変形(特に、夏場等に固定枠19が高温化した際の固定枠19のたわみ)を抑制することができる。これに伴って、ブラケット16の材料として比較的剛性の低い安価な樹脂材料を選択することができ、ブラケット16の材料費を削減することができる。また、凸部61を目印部として利用することで、目印部を比較的安価に形成することができる。
【0059】
図6を参照して、上記実施形態の第3変形例では、凹部47の代わりに一又は複数の塗装部71(目印部の一例)が対向面41の露出部44に設けられている。塗装部71は、対向面41とは異なる色に塗装されている。塗装部71は、左右方向に延びており、露出部44の左端部から右端部まで連続している。このような構成を採用することで、対向面41自体に凹凸を設けることなく目印部を形成することができる。そのため、目印部の形成に伴うブラケット16の構成の複雑化を抑制することができる。また、塗装部71を目印部として利用することで、目印部を比較的安価に形成することができる。
【0060】
本実施形態では、フロントカメラ11を車載カメラの一例としているが、他の実施形態では、リアカメラやサイドカメラ(いずれも図示せず)を車載カメラの一例としても良い。
【0061】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
6 :フロントウィンドウ(窓の一例)
6A :内面
8 :基材層
9 :遮光層
10 :開口部
11 :フロントカメラ(車載カメラの一例)
16 :ブラケット(保持部材の一例)
17 :カメラ保持構造
19 :固定枠
20 :フード
26 :側壁部
27 :底壁部
30 :迷光抑制構造
31 :突条
41 :対向面
42 :接着剤
43 :被覆部
44 :露出部
47 :凹部(目印部の一例)
51 :凹部(目印部の一例)
61 :凸部(目印部の一例)
71 :塗装部(目印部の一例)
S :視野空間
SP1 :車内空間
SP2 :車外空間