(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241114BHJP
F24F 8/26 20210101ALI20241114BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G21/00 386
F24F8/26
A61L9/015
(21)【出願番号】P 2021009511
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】吉永 洋
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 洋
(72)【発明者】
【氏名】西川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】桑田 和美
(72)【発明者】
【氏名】加幡 利幸
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-314338(JP,A)
【文献】特開昭62-283357(JP,A)
【文献】特開2012-203251(JP,A)
【文献】特開2009-031403(JP,A)
【文献】特開2014-165531(JP,A)
【文献】特開2005-058463(JP,A)
【文献】特開2005-148660(JP,A)
【文献】特開平06-019264(JP,A)
【文献】特開平09-292804(JP,A)
【文献】特開平05-289466(JP,A)
【文献】特開昭57-200070(JP,A)
【文献】特開2008-268427(JP,A)
【文献】特開2019-209827(JP,A)
【文献】特開平02-297572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
F24F 7/003
F24F 8/26
A61L 9/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し
、
オゾン除去手段を有し、装置内のオゾンを含む空気を前記オゾン除去手段に通して機外へ排出する第一排気路と、
前記装置内のオゾンを含む空気を、前記オゾン除去手段を通さずに機外へ排出する第二排気路とを有し、
前記オゾン放出モードのときは、前記装置内のオゾンを含む空気を前記第二排気路へ流すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
オゾン除去手段と、
装置内の空気を排出する排気口と、
前記オゾン除去手段を、前記排気口に対向するオゾン除去位置と、前記排気口から退避した退避位置との間で移動させる移動手段とを備え、
前記オゾン放出モードのときは、前記オゾン除去手段を前記退避位置に位置させることを特徴とする画像形成装置
。
【請求項3】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
前記オゾン放出モードのときに、機外へオゾンが放出されている旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
前記オゾン放出モードを実行する時刻を設定する時刻設定手段を備えることを特徴とする画像形成装置
。
【請求項5】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
当該画像形成装置が設置された設置空間の
オゾン濃度を
設置空間の情報として受信する受信手段を備え、
前記受信手段が受信した
前記オゾン濃度に情報に基づいて、前記オゾン放出モードを制御
することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記オゾン放出モードは、画像形成動作以外で機外へオゾンを放出するモードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の画像形成装置において、
人感センサを備え、
前記人感センサの検知結果に基づいて、前記オゾン放出モードを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置が設置された設置空間を管理する管理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
前記管理装置は、前記設置空間の人の出入口を開閉する扉を施錠する施錠手段を有し、
前記管理装置は、オゾン放出モード実行中は、設置空間外部からの前記扉の解錠を禁止することを特徴とする画像形成システム
。
【請求項9】
請求項
8に記載の画像形成システムにおいて、
前記管理装置は、オゾン放出モード実行中に設置空間内部から前記扉の解錠が行われたときは、前記扉を解錠することを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置が設置された設置空間を管理する管理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
前記管理装置は、前記オゾン放出モードを実行するときは、前記設置空間に設置された換気装置による換気を停止することを特徴とする画像形成システム
。
【請求項11】
請求項
10に記載の画像形成システムにおいて、
前記管理装置は、オゾン放出モード終了後も所定時間前記換気装置による換気を停止した状態を維持することを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項
11に記載の画像形成システムにおいて、
前記管理装置は、オゾン放出モード終了後、前記所定時間経過後に前記換気装置により前記設置空間の換気を行うことを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置が設置された設置空間を管理する管理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、
前記管理装置は、オゾン放出モード実行中およびオゾン放出モード終了後から所定期間の間、前記設置空間に近づく人に対して警告を行うことを特徴する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、オゾンを発生させる装置としての帯電装置の感光体への放電によって発生したオゾンをオゾン除去手段で除去した後、機外へ排出するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置を画像形成以外の用途での有効利用が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有し、オゾン除去手段を有し、装置内のオゾンを含む空気を前記オゾン除去手段に通して機外へ排出する第一排気路と、前記装置内のオゾンを含む空気を、前記オゾン除去手段を通さずに機外へ排出する第二排気路とを有し、前記オゾン放出モードのときは、前記装置内のオゾンを含む空気を前記第二排気路へ流すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成以外の用途で有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【
図2】画像形成装置内の空気を排気する排気口付近の概略構成図。
【
図6】人感センサの検知結果に基づいて、オゾン放出モードを制御する制御フロー図。
【
図7】画像形成装置と室内管理装置とを備えた画像形成システムを示す概略構成図。
【
図9】オゾン濃度情報に基づいて、オゾン放出を行うオゾン放出モードの制御フロー図。
【
図10】在室情報に基づくオゾン放出モードの制御フロー図。
【
図11】
図10に示す制御に設置室への入室禁止を追加した制御フロー図。
【
図12】
図11の制御に換気装置の制御を追加した制御フロー図。
【
図13】排気切替機構の第一変形例を示す概略構成図。
【
図14】排気切替機構の第二変形例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。
装置本体の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
【0009】
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、除電部等が配設されている。そして、各感光体5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
【0010】
感光体5Y、5M、5C、5Kは、駆動モータによって
図1中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である)。その後、感光体5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である)。
【0011】
その後、感光体5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像部76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である)。
【0012】
その後、感光体5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達する。そして、この位置で感光体5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である)。このとき、感光体5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達する。そして、この位置で感光体5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である)。最後に、感光体5Y、5M、5C、5Kの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
【0013】
こうして、感光体5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる一連の作像プロセスが終了する。その後、現像工程を経て各感光体上に形成した各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて転写される。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
【0014】
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82を備えている。また、中間転写ユニット85は、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80等も備えている。
【0015】
中間転写ベルト78は、3つのローラ82~84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって
図1中の矢印方向に無端移動される。4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。
【0016】
1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。
【0017】
そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる一連の転写プロセスが終了する。ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、画像形成装置1の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98等を経由して搬送されたものである。
【0018】
給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置20の位置に搬送される。
【0019】
そして、この位置で、定着ベルト21及び加圧ローラ31による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0020】
以上の説明は、記録媒体P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y、4M、4C、4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成することも可能である。また、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0021】
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78を、感光体5Y,5M,5C,5Kに対して接離させる接離機構を備えている。モノクロ画像を形成するときは、接離機構により中間転写ベルト78をカラーの感光体5Y,5M,5Cから離間させて画像形成プロセスを実行する。
【0022】
また、画像形成装置の前面には、人感センサ62が設けられている。人感センサ62は、赤外線センサであり、人体の赤外線を受光することで人を検知する。人感センサ62により人を検知したときは、例えば、後述する操作表示部50のタッチパネル52(
図4参照)にホーム画像を表示したり、スリープ状態から印刷を待機する待機状態へと移行するようにしている。
【0023】
かかる画像形成装置においては、感光体の表面を帯電装置により一様帯電する際にオゾンが発生する。従来においては、高濃度のオゾンは人体に影響を及ぼすことを考慮し、この発生したオゾンをオゾン除去手段たるオゾンフィルターで除去した後装置内の空気を排気していた。
【0024】
近年、オゾンのウィルスの不活性化の効果が確かめられている。そこで、本実施形態では、この画像形成装置で発生するオゾンを機外へ放出するオゾン放出モードを設け、例えば、画像形成装置が設置された設置空間たる設置室が無人のときにオゾンを放出し、設置室内を除菌できるようにした。以下、本実施形態の特徴部について、図面を用いて具体的に説明する。
【0025】
図2は、画像形成装置内の空気を排気する排気口103付近の概略構成図である。
図2に示すように、画像形成装置1は、オゾンを除去するオゾン除去手段としてのオゾンフィルター32を有している。オゾンフィルター32は、図中一点破線で示す排気口103と対向するオゾン除去位置と、オゾン除去位置から退避した退避位置との間を移動可能に構成されている。
【0026】
また、本画像形成装置1は、オゾンフィルター32をオゾン除去位置と退避位置との間で移動させる排気切替機構40を備えている。排気切替機構40は、駆動源であるモータ41とオゾンフィルター32に設けられたラックギヤに噛み合うピニオンギヤ42とを有している。ピニオンギヤ42は、モータ41のモータ軸に取り付けられている。
【0027】
画像形成動作時、オゾンフィルター32は、図中一点破線のオゾン除去位置に位置している。なお、画像形成動作には、パーソナルコンピュータ等を介してユーザーから受け取った画像データに基づいて作像を行う作像動作を含む。また、画像形成動作には、装置が規定のタイミングで行う画像の濃度などを調整する画像調整動作の際に装置が自動的に作像する画像調整パターンの作像動作なども含む。画像調整パターンの一例としては、互いに画像濃度の異なる複数のパッチからなる階調パターンなどが挙げられる。
【0028】
本画像形成装置1は、装置内に外気を取り込む吸気口と対向する位置に吸引ファン64(
図3参照)を備えている。画像形成動作時に帯電部75の感光体への放電によって発生したオゾンは、吸引ファン64により発生した気流によって排気口103へ運ばれる。吸引ファン64により発生した気流により排気口103へ移動してきたオゾンは、オゾンフィルター32により捕捉される。これにより、画像形成時では、排気口103からほとんどオゾンを含まない空気が排出され、排気口から高濃度のオゾンが排出されるのを防止でき、オゾンによる人的な影響を防止することができる。
【0029】
一方、後述するオゾン放出モードが実行されているときは、排気切替機構40のモータ41を駆動し、オゾン除去位置に位置するオゾンフィルター32を、退避位置へ移動させる。オゾンフィルター32を退避位置に移動させることで、オゾンが除去されずに、排気口103から排出される。このように、装置から高濃度のオゾンが放出されることで、画像形成装置が設置された設置室をオゾンにより除菌することができる。
【0030】
下記表1、表2は、オゾンフィルター32を介して排気した場合と、オゾンフィルター32を介さない場合との単位時間当たりのオゾン放出量を測定したデータである。なお、表1と表2は、帯電部75の構成が互いに異なっている。
【0031】
【0032】
【0033】
表1、表2に示すように、オゾンフィルター32の有無でオゾンの排出量が10倍以上異なることがわかる。
【0034】
図3は、オゾン放出モード制御の制御ブロックである。
図3に示す制御部60は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどから構成され、画像形成装置の各種の機器の駆動を制御したり、各種の演算処理をしたりするものである。この制御部60には、作像部4Y,4M,4C,4K、中間転写ユニット85、吸引ファン64が接続されている。また、制御部60には、排気切替機構40、操作表示部50、時計装置61、アラートランプ51、人感センサ62、外部通信インターフェイス63なども接続されている。外部通信インターフェイス63は、外部のプリンタドライバーがインストールされたパーソナルコンピュータなどの外部機器と通信するものである。
【0035】
図4は、操作表示部50の概略構成図である。
図4に示すように、操作表示部50は、タッチパネル52と、アラートランプ51とを備えている。ユーザーは、タッチパネル52を操作することで、オゾン放出モードの実行の有無や、オゾン放出モードの開始時刻などの設定を行うことができる。アラートランプ51は、紙詰まりなどの装置の異常時や、オゾン放出モード時に点灯させ、ユーザーに警告を行う。すなわち、本実施形態では、操作表示部50がオゾン放出モードを実行する時刻を設定する時刻設定手段として機能する。
【0036】
ユーザーが、オゾン放出モードの実行の時刻設定を行うときは、タッチパネル52に、例えば、「夜間などの設置室内に人がいない時間帯に設定してください」などの警告表示を行うようにするのが好ましい。また、オゾン放出モードの実行の有無およびオゾン放出モードの開始時刻の設定は、プリンタドライバーがインストールされたパーソナルコンピュータ等の外部装置により行えるようにしてもよい。このように、オゾン放出モードの実行の時刻設定を行うことで、夜間などの画像形成装置が設置された設置室内に人がいない時間帯に、自動でオゾン放出モードが実行され、オゾンにより設置室内を除菌することができる。これにより、オゾンによる人的影響を抑制することができる。
【0037】
タッチパネル52等により入力されたオゾン放出モードの実行の有無の情報や、オゾン放出モード開始時刻などは、制御部60の不揮発性メモリに記憶されている。そして、時計装置61が、オゾン放出モード開始時刻となったら、制御部60は、オゾン放出モードを実行する。
【0038】
図5は、オゾン放出モード制御の制御フロー図である。
上述したように、時計装置61が、オゾン放出モード開始時刻となり、オゾン放出モードが実行されると、制御部60は、排気切替機構40(
図2参照)を制御して、オゾンフィルター32をオゾン除去位置から退避位置へ移動させる(S1)。
【0039】
次に、制御部60は、画像形成動作以外でオゾンを発生させるオゾン発生動作を行う(S2)。オゾン発生動作は、作像部4Y、4M、4C、4Kの少なくとも1つを動作させてオゾンを発生させる。具体的には、制御部60は、まず、中間転写ユニット85の接離機構を制御して、動作を行う作像部の感光体から中間転写ベルト78を離間させる。次に、感光体を回転駆動させながら、帯電部75により感光体へ向けて放電し、オゾンを発生させる。また、このとき、現像部76を駆動して定期的に感光体にトナーを付着させ、クリーニング部77のクリーニングブレードと感光体との接触部にトナーを入力させる。このように、クリーニングブレードと感光体との接触部に定期的にトナーを入力することで、クリーニングブレードの先端を感光体に対して滑りやすくし、クリーニングブレードの捲れや摩耗を抑制することができる。また、感光体の表面が帯電した状態であると、帯電部75の放電で発生するオゾン量が低下するため、除電部により感光体の除電を行う。また、吸引ファンを回転駆動させ、帯電部75の放電により発生したオゾンを排気口103へ向けて移動させる。
【0040】
また、オゾン放出モードが実行されると、制御部60は、アラートランプ51(
図4参照)を点灯させるとともに、タッチパネル52にオゾン放出中である旨を表示し、ユーザーにオゾン放出中であることを報知する(S3)。本実施形態では、操作表示部50が、機外へオゾンが放出されている旨を報知する報知手段として機能する。このように、オゾン放出中であることをユーザーに報知することで、ユーザーに注意を促すことができる。
【0041】
吸引ファン64により気流とともに排気口103へと移動してきたオゾン発生動作で発生したオゾンは、そのまま機外へと放出され、画像形成装置が設置された設置室内を除菌することができる。これにより、画像形成装置1を印刷のみならず、室内を除菌する除菌装置として活用することが可能となり、画像形成装置の有効活用を図ることができる。
【0042】
オゾン放出モードの開始から規定時間経過したら(S4のYES)、制御部60は、排気切替機構40を制御し、退避位置に位置するオゾンフィルター32をオゾン除去位置へ移動させる(S5)。また、制御部60は、作像部の動作を停止して、オゾン発生動作を終了し(S6)、オゾンの生成を停止する。また、アラートランプ51を消灯させるとともにオゾン放出中である旨の表示を終了する(S7)。
【0043】
本画像形成装置のように、画像形成装置1に人感センサ62を備える場合は、人感センサ62の検知結果に基づいて、オゾン放出モードを制御してもよい。
図6は、人感センサ62の検知結果に基づいて、オゾン放出モードを制御する制御フロー図である。
【0044】
図6に示すように、オゾン放出モードの開始時刻となったときは、制御部60は、まず、人感センサ62が、人を検知していないOFF状態か否かを確認する(S11)。人感センサ62がOFFで、人を検知していないとき(S11のYES)は、制御部60は、上述と同様にオゾンフィルター32を退避位置へ位置させ、オゾン発生動作を開始して、機外からオゾンの放出を開始する(S12、S13)。また、上述と同様に、アラートランプ51を点灯させるとともに、タッチパネル52にオゾン放出中である旨を表示する(S14)。
【0045】
制御部60は、オゾン放出モード実行中も、人感センサ62の検知結果を監視している。そして、人感センサ62がONとなり、人を検知したとき(S15のNo)は、直ちに、オゾンフィルター32をオゾン除去位置へ移動させるとともにオゾン発生動作を終了し、機外からのオゾン放出を停止する(S17、S18)。
【0046】
このように、人感センサ62の検知結果に基づいて、オゾン放出モードを制御することで、オゾン放出モードの開始時刻となっても設置室内に人がいるときは、オゾン放出モードの実行を行わないようにできる。これにより、オゾンによる人的影響を抑制することができる。また、人感センサ62が人を検知したときは、直ちに、オゾン放出モードを終了し、オゾンの放出を停止することができ、オゾンによる人的影響を抑制することができる。
【0047】
上記では、人感センサ62が人を検知したときは、オゾン放出モードを終了しているが、例えば、アラート音を発生させたり、音声により室内から退出を促す案内を行ったりしてもよい。
【0048】
上述では、予め画像形成装置1に人感センサ62が備えられている場合について説明したが、オプションで人感センサ62を取り付けられる構成としてもよい。例えば、制御部60は、オゾン放出モードの開始時に、人感センサ62が取り付けられているか否かをチェックし、人感センサ62が取り付けられていない場合は、
図5に示した制御フローでオゾン放出モードを実行する。一方、人感センサ62が取り付けれている場合は、
図6に示す制御フローでオゾン放出モードを実行する。
【0049】
また、人感センサ62を画像形成装置1から離れた位置に設置し、無線通信等により人感センサ62から検知結果を受信し、その受信結果に基づいて、オゾン放出モードを制御するようにしてもよい。
【0050】
また、画像形成装置1が設置された室内を管理する室内管理装置から受信手段としての外部通信インターフェイス63により室内情報を受信し、その室内情報に基づいて、オゾン放出モードを制御してもよい。
【0051】
図7は、画像形成装置1と、設置された設置空間たる設置室160を管理する室内管理装置140とを備えた画像形成システム200を示す概略構成図である。
画像形成装置1が設置された設置室160には、室内管理装置140、換気装置170が設置されている。また、設置室内の3角には、オゾン濃度を計測するオゾン濃度検知手段たるオゾン濃度計180が配置されている。室内管理装置140は、無線または有線通信によりオゾン濃度計が計測したオゾン濃度を受信する。
【0052】
図8は、室内管理装置140のブロック図である。
室内管理装置140は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどから構成された制御部145を有している。室内管理装置140は、近距離無線通信装置141、室外監視装置143、警報装置142、施錠手段である電子錠144、外部通信インターフェイス146などを備えている。外部通信インターフェイス146は、換気装置170、画像形成装置1およびオゾン濃度計180などと有線または無線通信を行う。近距離無線通信装置141は、設置室160の出入口付近の室外側と室内側とにそれぞれ設けられている。
【0053】
設置室160に入室および退室するときは、ICカードを近距離無線通信装置141にかざしてICカードに記憶されているID情報を近距離無線通信装置141に読み取らせる。室内管理装置140は、近距離無線通信装置141により受信したID情報に基づいて、設置室160の出入口の扉161を施錠する電子錠144を解錠する。
【0054】
入室時、室内管理装置140は、受信したID情報を照合し、入室許可判断を行う。室内管理装置140は、入室を許可したときは、電子錠150を解除するとともに受信したID情報および入室時間を含む入室情報を不揮発性メモリに記憶する。
【0055】
退出時、室内管理装置140は、受信したID情報が、不揮発性メモリに記憶された入室情報にあるか否かを確認する。受信したID情報に合致する入室情報があるときは、電子錠150を解除するととも受信したID情報および退出時間を含む退出情報を不揮発性メモリに記憶する。一方、受信したID情報に合致する入室情報がないときは、扉161を解錠せずに、警備室等に通報したり、警報装置142により不審者が侵入している旨を警報したりする。
このように、室内管理装置140は、設置室160への人の入退室を管理する入退室管理手段としての機能している。
【0056】
また、室内管理装置140は、設置室160の扉161に近づく人を監視する監視カメラ等の室外監視装置143を有している。また、室内管理装置140は、室内の換気を行う換気装置170を制御し、室内の換気を制御している。
【0057】
図9は、室内管理装置140から室内情報として室内のオゾン濃度情報を受信し、受信したオゾン濃度情報に基づいて、オゾン放出を行うオゾン放出モードの制御フロー図である。
上述と同様、予め設定された設定時刻となったら、画像形成装置1は、オゾン放出モードを実行する。オゾン放出モードが実行されると、上述と同様に、画像形成装置の制御部60は、オゾンフィルター32を退避位置へ位置させ、オゾン発生動作を開始して、機外からオゾンの放出を開始する(S21、S22)。また、上述と同様に、アラートランプ51を点灯させるとともに、タッチパネル52にオゾン放出中である旨を表示する(S23)。
【0058】
画像形成装置1の制御部60は、オゾン放出を開始したら、室内管理装置140へオゾン濃度情報取得要求を行う。室内管理装置140は、画像形成装置1からオゾン濃度情報取得要求を受信したら、3つのオゾン濃度計から測定オゾン濃度を受信する。これら3つのオゾン濃度計から受信した3つの測定オゾン濃度基づいて、室内オゾン濃度を求める。室内のオゾン濃度としては、3つの測定オゾン濃度の平均値であってもよいし、3つの測定オゾン濃度のうち、最小値または最大値を室内オゾン濃度としてもよい。
【0059】
室内管理装置140は、設置空間の情報として求めた室内オゾン濃度を画像形成装置1に送信する。画像形成装置1は、受信手段としての外部通信インターフェイス63により室内管理装置140から室内オゾン濃度を受信し(S24)、受信した室内オゾン濃度が、規定値以上か否かを確認する(S25)。そして、室内オゾン濃度が規定値以上となったら(S25のYES)、オゾンフィルター32をオゾン除去位置へ移動させるとともにオゾン発生動作を終了し、機外からのオゾン放出を停止する(S26、S27)。
【0060】
上記では、画像形成装置1で室内オゾン濃度が規定値以上か否かを確認しているが、室内管理装置140で室内オゾン濃度が規定値以上か否かを確認するようにしてもよい。室内管理装置140で行う場合は、室内管理装置140が室内オゾン濃度が規定値以上であることを確認したときは、室内管理装置140から画像形成装置へオゾン放出モード停止要求を送信する。画像形成装置1は、室内管理装置140からオゾン放出モード停止要求を受信したら、オゾン放出モードを終了する。
【0061】
このように、オゾン濃度計180を用いて室内オゾン濃度を求め、室内オゾン濃度に基づいて、オゾン放出モードを制御することで、精度よく室内を、ウィルスを不活性化可能なオゾン濃度にすることができ、良好に室内の除菌を行うことができる。
【0062】
また、画像形成装置1が各オゾン濃度計180から直接、設置空間の情報としての測定オゾン濃度を取得し、画像形成装置1で室内オゾン濃度を求めるようにしてもよい。
【0063】
また、所定時間、室内オゾン濃度がウィルス不活性化可能な所定濃度を維持できるように、画像形成装置1のオゾン放出を制御するようにしてもよい。この場合は、室内オゾン濃度が規定値以上となったら、オゾン発生動作を一時停止する。そして、所定時間が経過するまでの間に、室内オゾン濃度が下限値(規定値>下限値)を下回ったときは、オゾン発生動作を再開し、オゾンの放出を再開する。これにより、所定時間、室内を所定のオゾン濃度に維持でき、室内を良好に除菌することができる。
【0064】
また、規定値は、例えば、設置室160内に在室か不在かの情報、設置室160の広さに応じて適宜変更できるようにしてもよい。また、オゾン濃度計180は、既製品でもよいし、カスタマイズされた特注品を用いてもよい。また、上述では、オゾン濃度計180を設置室160の3角に設けているが、オゾン濃度計180の個数、設置箇所は、上述に限らず、室内環境に応じて適宜決定すればよい。
【0065】
また、室内管理装置140から室内情報として設置室160内の人の在室情報に基づいて、オゾン放出モードを制御してもよい。
【0066】
図10は、在室情報に基づくオゾン放出モードの制御フロー図である。
上述と同様、予め設定された設定時刻となったら、画像形成装置1は、オゾン放出モードを実行する。オゾン放出モードが実行されると、画像形成装置1は、室内管理装置140へ在室情報取得要求を行う。室内管理装置140は、画像形成装置1から在室情報取得要求を受信したら、不揮発性メモリに記憶されている入室情報と退避情報とに基づいて、設置室160内の在室状況を把握する。次に、室内管理装置140は、把握した在室状況を在室情報として画像形成装置1に送信する。画像形成装置1は、受信した在室情報が、在室者なしの場合(S31のYES)は、オゾンフィルター32を退避位置へ位置させ、オゾン発生動作を開始して機外からオゾンの放出を開始する(S32、S33)。なお、今回の制御では、室内管理装置140で設置室内に人がいないことが確認した状態で、オゾンの放出を行うため、ユーザーにオゾン放出中である旨を警告する動作は行っていない。もちろん、上述と同様に、アラートランプ51を点灯するとともに、タッチパネルにオゾン放出中である旨を表示してユーザーにオゾン放出中である旨を警告する動作を行ってもよい。
【0067】
本実施形態では、室内管理装置140は、ICカードによって人の入退室を管理することで、設置室160内の人の在室を把握しているが、例えば、室内を監視する監視カメラの映像に基づいて、設置室160内の人の在室を把握してもよい。また、最後の退出者が、室内管理装置140を操作して設置室160を警備モードにしたら、設置室160内に在室者がいないと判断するようにしてもよい。
【0068】
また、室内管理装置140が、設置室内が在室者なしと判断したら、画像形成装置1に設置空間の情報として在室者なしである旨を通知する。画像形成装置1は、受信手段である外部通信インターフェイス63が、室内管理装置140から在室者なしである旨の通知を受信したら、オゾン放出モードを開始してもよい。
【0069】
また、室内管理装置140から在室者なしである旨の通知を受信してオゾン放出モードを開始するときに画像形成動作中の場合は、画像形成動作をそのまま継続してオゾン放出モードを開始してもよい。このときのオゾン放出モードは、オゾンフィルター32をオゾン除去位置から退避位置へ移動させるだけの動作となる。オゾンフィルター32の退避位置に移動させることで画像形成動作で発生したオゾンが、オゾンフィルター32で除去されずにそのまま排気口103から排出される。これにより、オゾンフィルターを介して装置内の空気を排出する通常時の画像形成動作時よりも高濃度のオゾンが放出され、設置室160を良好に除菌できる。また、規定時間経過する前や、室内オゾン濃度が規定値以上となる前に、画像形成動作が終了したときは、引き続きオゾン発生動作を実行して、排気口103から高濃度のオゾンを排出する。
【0070】
オゾン放出中に、室内管理装置140が設置室内への入室を確認したときは、画像形成装置1へ設置室160に人が入室した旨を通知する。画像形成装置1は、室内管理装置140から入室通知を受信したら(S34のYES)、直ちにオゾンフィルター32をオゾン除去位置へ移動させる(S36)。また、制御部60は、オゾン発生動作を終了し、機外からのオゾン放出を停止する(S37)。
【0071】
この
図10に示す制御においては、設置室160内への人の入退室を管理する室内管理装置140により設置室内に人が不在であることが確認された状態で、オゾン放出を行う。よって、人感センサ62を用いた場合に比べて、より確実に室内に人が不在な状態でオゾン放出を行うことができ、オゾンによる人的影響をより一層抑制することができる。また、室内管理装置140が人の入室を確認したら、直ちにオゾン放出モードを停止することで、オゾンによる人的影響を抑えることができる。
【0072】
また、オゾン放出モードを実施しているときは、設置室160への入室を禁止するようにしてもよい。
図11は、
図10に示す制御に設置室160への入室禁止を追加した制御フロー図である。
まず、上述と同様に、オゾン放出モード設定時刻となったら、室内管理装置140は、不揮発性メモリに記憶されている入室情報と退室情報、室内の監視カメラの映像などに基づいて、設置室内に在室者がいないことを確認する(S41)。
【0073】
設置室内に在室者がいないことを確認したら(S41のYES)、室内管理装置140は、室外からの解錠を禁止する施錠モードに移行する(S42)。この施錠モードは、室外のからの解錠は禁止するが、室内からの解除は許可するようにするのが好ましい。例えば、監視カメラの死角に人がいたり、室内管理装置140の入退室管理に誤りが生じたりして実際は室内に人がいるにも関わらず、室内管理装置140が在室者なしと間違った判断を下す事態が万が一生じるおそれがある。このような事態が生じ、設置室に人がいる状態でオゾン放出モードが開始された場合でも、室内から解錠して設置室160から退室できる。これにより、オゾン放出モードの安全性を高めることができる。
【0074】
次に、室内管理装置140が、施錠モードに移行したら、画像形成装置1は、オゾンを放出するオゾン放出モードを実行する(S43)。室内管理装置140は、画像形成装置1がオゾン放出モードを実行したら、室外監視装置143により設置室160の扉161に近づく人がいないか確認する(S44)。設置室160の扉161に近づく人がいた場合(S44のYES)、室内管理装置140は、警報装置142により、オゾン放出中であり入室できない旨を音声により接近者に報知するなどにして接近者に対して警告を行う(S45)。
【0075】
また、上述では、室外監視装置143により設置室160の扉161に近づく人がいたら警告を行うようにしている。しかし、例えば、ユーザーがICカードをかざして、近距離無線通信を行ってユーザーが扉161の解錠動作を行ったときに、ユーザーに対して警告を行ってもよい。このとき、例えば、室外の近距離無線通信装置の近傍に画像表示部を設け、この画像表示部に、オゾン放出中であり入室できない旨を警告する警告画像を表示するようにしてもよい。また、音声でオゾン放出中であり入室できない旨を警告するとともに、画像表示部に警告画像を表示するようにしてもよい。
【0076】
規定時間経過または、室内オゾン濃度が規定値以上(S46のYES)となり画像形成装置1がオゾン放出モードを終了(S47)した後も、室内管理装置140は、設置室160の扉161に近づく人の監視を行う(S48)。そして、上述同様、扉161に接近する人に対して室内管理装置140は、警報装置142により、室内のオゾン濃度が高いため入室できない旨を音声により接近者に報知するなどにして接近者に対して警告を行う(S49)。
【0077】
室内のオゾン濃度が安全な濃度以下に低下したら(S50のYES)、施錠モードを終了(S51)し、室外から解錠を解禁する。なお、室内のオゾン濃度が安全な濃度以下に低下したか否かの判断は、オゾン放出モード終了からの経過時間に基づいて判断したり、オゾン濃度計180の計測オゾン濃度から求めた室内オゾン濃度に基づいて判断したりする。
【0078】
このように、オゾン放出モード終了後、室内のオゾン濃度が安全な濃度になるまでは、施錠モードを継続し、室外からの入室を禁止することで、オゾンによる人的影響を良好に抑制できる。
【0079】
室内オゾン濃度が自然に安全なオゾン濃度に低下するまでは、ある程度の時間が必要であり、
図11に示す制御では、オゾン放出モード終了後もある程度の時間は、設置室160に入室できない。そこで、室内の除菌終了後、換気装置170を動作して室内の空気を排気し、短期間で室内のオゾン濃度を安全濃度以下にして、早期に施錠モードを終了できるようにしてもよい。
【0080】
図12は、
図11の制御に換気装置170の制御を追加した制御フロー図である。
図11と同様に、室内管理装置140が室内に在室者がいないことを確認し(S61のYES)、施錠モードを開始したら(S62)、室内管理装置140は、換気装置170の動作を停止する(S63)。
【0081】
そして、
図11と同様に、オゾン放出モードを実行し、室内のオゾン濃度を規定値以上にする。オゾン放出モード終了後、除菌規定時間経過し室内の除菌が完了したら(S64~S68)、室内管理装置140は、換気装置170の動作を開始して室内を換気し、室内のオゾンを排出する(S68)。そして、室内のオゾン濃度が安全な濃度にまで低下したら(S69のYES)、換気装置170の動作を停止し(S70)、施錠モードを終了する(S71)。
【0082】
図12に示す制御では、室内の除菌後に換気装置170を動作させて室内を換気することで、室外へオゾンを排出でき、短期間で室内のオゾン濃度を安全な濃度にまで低下させることができる。これにより、自然に室内のオゾン濃度を安全な濃度にまで低下させる場合に比べ、短期間で設置室160への入室が可能となる。
【0083】
また、オゾン放出モード実行中は、換気装置170を停止することで、オゾンが室外へ排気されるのを抑制することができ、短時間で室内のオゾン濃度を規定濃度以上にすることができる。また、オゾン放出モード終了後、除菌規定時間が経過するまでは、換気装置170の停止を維持することで、室内のオゾン濃度を規定値以上に長期間維持することができ、室内の除菌を良好に行うことができる。
【0084】
図13は、排気切替機構の第一変形例を示す概略構成図である。
図13に示すように、第一変形例の排気切替機構は、オゾンフィルター32を保持し、排気口103が設けられた排気キャップ47を備えている。排気キャップ47は、一端が回動軸47aに取り付けられている。この回動軸47aは、駆動モータ48に接続されている。
【0085】
画像形成動作のときは、排気キャップ47を図に示すオゾン除去位置させている。これにより、画像形成動作で発生したオゾンは、オゾンフィルター32に捕捉され、排気口103からほとんどオゾンを含まない空気が排出される。これにより、排気口103から高濃度のオゾンが排出されるのを防止でき、オゾンによる人的な影響を防止することができる。
【0086】
一方、オゾン放出モードのときは、排気キャップ47を図に示すオゾン除去位置から、図中矢印A方向に回動させ、排気キャップ47を退避位置に位置させる。これにより、装置内のオゾンは、上述したオゾン発生動作で発生したオゾンはオゾンフィルター32に捕捉されずに排出され、装置から高濃度のオゾンが放出される。
【0087】
この第一変形例の排気切替機構においても、オゾン放出モードのときは、装置から高濃度のオゾンを放出することができ、短時間で画像形成装置が設置された設置室をウィルスが不活性化するオゾン濃度にすることができる。
【0088】
図14は、排気切替機構の第二変形例を示す概略構成図である。
図14の(a-1)、(b-1)は、概略側面図であり、
図14の(a-2)、(b-2)は、概略正面図である。また、
図14の(a-1)、(a-2)は、第一排気口103aから排気する場合を示しており、
図14の(b-1)、(b-2)は、第二排気口103bから排気する場合を示している。
【0089】
図14に示す第二変形例は、排気ダクト43が第一排気口103aに連通する第一排気路43aと第二排気口103bに連通する第二排気路43bとに分岐している。第一排気路43aには、防塵フィルター44とオゾンフィルター32とが配設されている。一方、第二排気路43bには、防塵フィルター44およびオゾンフィルター32は配設されていない。
【0090】
また、この第二変形例は、第一排気路43aと第二排気路43bとの間で流路を切り替える流路切替板191を備えている。この流路切替板191は、切替板移動機構190により第一排気路43aと第二排気路43bの並び方向に移動するように構成されている。
【0091】
切替板移動機構190は、駆動手段であるモータ194と、このモータ194のモータ軸に取り付けられ、流路切替板191のラックギヤ192に噛み合うピニオンギヤ193とを有している。
【0092】
画像形成動作時は、
図14の(a-1),(a-2)に示すように、流路切替板191は、第二排気路43bを塞いでいる。そのため、排気ダクト43に流れ込んできた装置内のオゾンを含んだ空気は、第一排気路43aへ流れる。そして、第一排気路43aに配設された防塵フィルター44でトナーなどが除去され、オゾンフィルター32で画像形成動作により発生したオゾンが除去された後、第一排気口103aから排出される。これにより、第一排気口103aからは、ほとんどオゾンを含まない空気が排出され、オゾンによる人的な影響を防止することができる。
【0093】
一方、オゾン放出モードのときは、切替板移動機構190により流路切替板191を第一排気路43aへ移動させ、
図14の(b-1),(b-2)に示すように、流路切替板191で第一排気路43aを塞ぐ。その結果、オゾン放出モードのときは、オゾン発生動作で発生したオゾンを含んだ装置内の空気は、第二排気路43bを通って第二排気口103bから排出される。第二排気路43bには、オゾンフィルター32が配設されていないため、第二排気口103bからは、高濃度のオゾンが放出される。これにより、短時間で画像形成装置が設置された設置室をウィルスが不活性化するオゾン濃度にすることができる。
【0094】
上述では、画像形成装置を、設置室内を除菌する除菌装置として利用する例について説明したが、オゾンには消臭効果もある。従って、画像形成装置を、設置室内を消臭する消臭装置として利用してもよい。
【0095】
また、上述では画像形成動作以外で機外へオゾンを放出するオゾン放出モード時のオゾン放出量を、画像形成動作時のオゾン放出量よりも多くしているが、オゾン放出モード時のオゾン放出量を、画像形成動作時のオゾン放出量と同量にしてもよい。例えば、設置室160が狭く、設置室160の気密度が高い場合は、多少時間を要するが、オゾン放出モードのオゾン放出量が、画像形成動作時のオゾン放出量(0.2~1.0[mg/h])と同量であっても、室内のオゾン濃度を、ウィルスを不活性化するオゾン濃度にすることが可能である。夜間などの人の出入りが無く、室内の気密性が長時間維持される環境化で、オゾン放出モードを実行することで、オゾン放出モードのオゾン放出量が、画像形成動作時のオゾン放出量と同量であっても、室内のオゾン濃度を、ウィルスを不活性化するオゾン濃度にできる。
【0096】
オゾン放出モード時のオゾン放出量を画像形成動作時と同量にする場合は、オゾン発生動作で発生したオゾンを画像形成動作時と同様に、オゾンフィルターを介して機外へ放出する。これにより、オゾン放出モードのときのオゾン放出量を、画像形成動作時のオゾン放出量と同量にできる。よって、オゾン放出モード時のオゾン放出量を画像形成動作時と同量にする場合は、オゾンを含む空気を、オゾンフィルターを介して排出するか、オゾンフィルターを介さずに排出するかに切り替える排気切替機構を無くすことができる。これにより、装置のコストダウンを図ることが可能となる。
【0097】
また、上述では、帯電部75の感光体への放電でオゾンを発生させているが、帯電部75とは別にオゾン発生部を設け、オゾン放出モードのときは、このオゾン発生部でオゾンを発生するようにしてもよい。
【0098】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
帯電部75などのオゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、機外へ放出されるオゾン量が、画像形成動作時に機外へ放出されるオゾン量よりも多いオゾン放出モードを有する。
オゾン放出モードを実行することで、機外から放出されたオゾンにより、画像形成装置が設置された設置空間の除菌、消臭などを行うことができ、画像形成装置を画像形成以外の用途での有効利用が可能となる。
【0099】
(態様2)
態様1において、オゾンフィルター32などのオゾン除去手段を有し、装置内のオゾンを含む空気をオゾン除去手段に通して機外へ排出する第一排気路43aと、装置内のオゾンを含む空気を、オゾン除去手段を通さずに機外へ排出する第二排気路43bとを有し、オゾン放出モードのときは、装置内のオゾンを含む空気を第二排気路43bへ流す。
これによれば、
図14を用いて説明したように、オゾン放出モードのときは、高濃度のオゾンを機外へ放出することができ、短時間で室内を規定のオゾン濃度にすることができる。
【0100】
(態様3)
態様1において、オゾンフィルター32などのオゾン除去手段と、装置内の空気を排出する排気口103と、オゾン除去手段を、排気口103に対向するオゾン除去位置と、排気口103から退避した退避位置との間で移動させる排気切替機構40などの移動手段とを備え、オゾン放出モードのときは、オゾン除去手段を退避位置に位置させる。
これによれば、
図2を用いて説明したように、オゾン放出モードのときは、高濃度のオゾンを機外へ放出することができ、短時間で室内を規定のオゾン濃度にすることができる。
【0101】
(態様4)
オゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置において、画像形成動作以外で機外へオゾンを放出するオゾン放出モードを有する。
これによれば、オゾン放出モードを実行することで、機外から放出されたオゾンにより、画像形成装置が設置された設置空間の除菌、消臭などを行うことができ、画像形成装置を画像形成以外の用途での有効利用が可能となる。
【0102】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、オゾン放出モードのときに、機外へオゾンが放出されている旨を報知する操作表示部50などの報知手段を備える。
これによれば、オゾン放出モードのときに、室内に人がいた場合は、その人に注意を促すことができる。
【0103】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、オゾン放出モードを実行する時刻を設定する操作表示部50などの時刻設定手段を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、夜間などの室内に人がいない時間帯に、自動でオゾン放出モードを実行でき、オゾンによる人的影響が出るのを抑制することができる。
【0104】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、人感センサ62を備え、人感センサ62の検知結果に基づいて、オゾン放出モードを実行する。
これによれば、
図6を用いて説明したように、人感センサ62が人を感知してないときにオゾン放出モードを実行することができ、オゾンによる人的影響が出るのを抑制することができる。
【0105】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、当該画像形成装置が設置された設置室160などの設置空間の情報を受信する外部通信インターフェイス63などの受信手段を備え、受信手段が受信した設置空間の情報に基づいて、オゾン放出モードを制御する。
これによれば、実施形態で説明したように、受信手段が受信した設置室160などの設置空間の情報に基づいて、オゾン放出モードをコントールすることができる。これにより、オゾンの人的影響の抑制、および、良好な設置空間の除菌を行うことができる。
【0106】
(態様9)
態様8において、外部通信インターフェイス63などの受信手段は、設置室160などの設置空間のオゾン濃度を設置空間の情報として受信し、受信手段が受信したオゾン濃度に基づいて、オゾン放出モードを制御する。
これによれば、
図9を用いて説明したように、設置室160などの設置空間が規定のオゾン濃度となるように、オゾン放出モードを制御することができ、設置空間を良好に除菌することができる。
【0107】
(態様10)
帯電部75などのオゾンを発生させる装置を備えた画像形成装置1と、画像形成装置1が設置された設置室160などの設置空間を管理する室内管理装置140などの管理装置とを備えた画像形成システム200において、画像形成装置1として、態様1乃至9いずれかの画像形成装置を用いた。
これによれば、実施形態で説明したように、室内管理装置140などの管理装置で設置室160などの設置空間が管理された状態でオゾンの放出を行うことができ、オゾンの人的影響の抑制、および、設置空間の良好な除菌を行うことができる。
【0108】
(態様11)
態様10において、室内管理装置140などの管理装置は、設置室160などの設置空間の人の出入口を開閉する扉161を施錠する電子錠144などの施錠手段を有し、管理装置は、オゾン放出モード実行中は、設置空間外部からの扉161の解錠を禁止する。
これによれば、
図11を用いて説明したように、オゾン放出中に設置室160などの設置空間内部への人の進入を防止することができ、オゾンの人的影響を防止できる。また、扉が開けられて、設置空間内のオゾンが排出されるのを防止でき、良好に設置空間の除菌を行うことができる。
【0109】
(態様12)
態様11において、室内管理装置140などの管理装置は、オゾン放出モード実行中に設置空間内部から扉161の解錠(本実施形態では、ICカードを近距離無線通信装置にかざす動作)が行われたときは、扉161を解錠する。
これによれば、
図11を用いて説明したように、オゾン放出中に、人が設置室160などの設置空間に閉じ込められるのを防止でき、設置空間除菌時の安全性を高めることができる。
【0110】
(態様13)
態様10乃至12いずれかにおいて、室内管理装置140などの管理装置は、オゾン放出モードを実行するときは、設置室160などの設置空間に設置された換気装置170による換気を停止する。
これによれば、設置室160などの設置空間に放出されたオゾンが換気装置170によって設置空間外へ排出されるのを防止することができる。これにより、短時間で設置空間のオゾン濃度を規定の濃度にすることができる。
【0111】
(態様14)
態様13において、室内管理装置140などの管理装置は、オゾン放出モード終了後も所定時間換気装置170による換気を停止した状態を維持する。
これによれば、
図12を用いて説明したように、所定時間設置室160などの設置空間を規定のオゾン濃度に維持することができ、設置空間を良好に除菌することができる。
【0112】
(態様15)
態様14において、室内管理装置140などの管理装置は、オゾン放出モード終了後所定時間経過後に換気装置170により設置室160などの設置空間の換気を行う。
これによれば、
図12を用いて説明したように、自然に設置室160などの設置空間のオゾン濃度を安全な濃度に下げる場合に比べて、短時間で設置空間のオゾン濃度を安全な濃度に下げることができる。
【0113】
(態様16)
態様9乃至15いずれかにおいて、室内管理装置140などの管理装置は、オゾン放出モード実行中およびオゾン放出モード終了後から所定期間の間、設置室160などの設置空間に近づく人に対して警告を行う。
これによれば、
図11を用いて説明したように、オゾン濃度が高い状態の設置室160などの設置空間に人が進入するのを防止することができ、オゾンの人的影響を防止することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 :画像形成装置
4 :作像部
5 :感光体
32 :オゾンフィルター
40 :排気切替機構
41 :モータ
42 :ピニオンギヤ
43 :排気ダクト
43a :第一排気路
43b :第二排気路
44 :防塵フィルター
47 :排気キャップ
47a :回動軸
48 :駆動モータ
50 :操作表示部
51 :アラートランプ
52 :タッチパネル
60 :制御部
61 :時計装置
62 :人感センサ
63 :外部通信インターフェイス
64 :吸引ファン
75 :帯電部
85 :中間転写ユニット
103 :排気口
103a :第一排気口
103b :第二排気口
140 :室内管理装置
141 :近距離無線通信装置
142 :警報装置
143 :室外監視装置
144 :電子錠
145 :制御部
146 :外部通信インターフェイス
150 :電子錠
160 :設置室
161 :扉
170 :換気装置
180 :オゾン濃度計
190 :切替板移動機構
191 :流路切替板
192 :ラックギヤ
193 :ピニオンギヤ
194 :モータ
200 :画像形成システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】