(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】回転検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/22 20060101AFI20241114BHJP
H01H 19/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01B21/22
H01H19/20 Z
(21)【出願番号】P 2020177110
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-533495(JP,A)
【文献】実開昭55-027894(JP,U)
【文献】特開平02-056612(JP,A)
【文献】特開平06-225674(JP,A)
【文献】特開平02-221839(JP,A)
【文献】特開平09-123741(JP,A)
【文献】特開2008-051668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00 ー 21/32
G01B 5/00 ー 5/30
H01H 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、軸回りに回転操作可能に構成された回転体と、
回転することで前記回転体の回転を検出する複数の検出部と、
前記回転体に一体回転可能に設けられ、前記回転体の周方向に延在されると共に
、対向して配置され
る前記検出部
を前記回転体が回転することで回転させる作動部と、
を備え、
前記作動部が前記回転体の全周に亘って形成されておらず、前記回転体の全ての回転位置において、少なくとも1つの前記検出部と前記作動部とが対向して配置されている回転検出装置。
【請求項2】
前記作動部は、前記回転体の内周部又は外周部に形成された歯部であり、
前記検出部は、
前記歯部に噛合可能に構成された歯車と、
前記歯車に連結され、前記歯車の回転によって作動して前記歯車の回転を検出するエンコーダと、
を含んで構成されている請求項1に記載の回転検出装置。
【請求項3】
前記歯車の直径が、前記回転体の内周部の直径よりも小さい請求項2に記載の回転検出装置。
【請求項4】
筒状に形成され、軸回りに回転操作可能に構成された回転体と、
作動することで前記回転体の回転を検出する複数のスイッチと、
前記回転体に一体回転可能に設けられ、前記回転体の周方向に延在されると共に、前記スイッチと対向して配置されて前記スイッチを押圧することで前記スイッチを作動させる複数の作動突起を有するスイッチ作動部と、
前記回転体に一体回転可能に設けられ、前記回転体の周方向に延在されると共に、前記スイッチ作動部に対して前記周方向の一方側及び他方側に隣接して配置され、対向する前記スイッチと非接触に構成されたスイッチ非作動部と、
を備え、
複数の前記作動突起が回転体の周方向に等間隔毎に配置され、前記回転体の全ての回転位置において、少なくとも1つの前記スイッチが、前記スイッチ作動部と対向して配置される回転検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の回転検出装置は、筒状の回転ノブ操作部(回転体)と、回転ノブ操作部の外周部に形成された第1歯車部と、第1歯車部に噛合された第2歯車部と、第2歯車部に一体回転可能に固定された回転検出装置部と、を含んで構成されている。これにより、回転ノブ操作部が回転すると、回転検出装置部が第2歯車部と一体に回転する。したがって、回転検出装置部によって回転ノブ操作部の回転を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記回転検出装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記回転検出装置では、第2歯車部及び回転検出装置部が、回転ノブ操作部の回転操作に連動して、常に回転する。このため、例えば、第2歯車部や回転検出装置部の摩耗等によって、回転検出装置の耐久性が低下する可能性がある。したがって、回転検出装置では、耐久性を向上できる構成にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、耐久性を向上することができる回転検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、軸回りに回転操作可能に構成された回転体と、回転することで前記回転体の回転を検出する複数の検出部と、前記回転体に一体回転可能に設けられ、前記回転体の周方向に延在されると共に、対向して配置される前記検出部を前記回転体が回転することで回転させる作動部と、を備え、前記作動部が前記回転体の全周に亘って形成されておらず、前記回転体の全ての回転位置において、少なくとも1つの前記検出部と前記作動部とが対向して配置されている回転検出装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記作動部は、前記回転体の内周部又は外周部に形成された歯部であり、前記検出部は、前記歯部に噛合可能に構成された歯車と、前記歯車に連結され、前記歯車の回転によって作動して前記歯車の回転を検出するエンコーダと、を含んで構成されている回転検出装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記歯車の直径が、前記回転体の内周部の直径よりも小さい回転検出装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、筒状に形成され、軸回りに回転操作可能に構成された回転体と、作動することで前記回転体の回転を検出する複数のスイッチと、前記回転体に一体回転可能に設けられ、前記回転体の周方向に延在されると共に、前記スイッチと対向して配置されて前記スイッチを押圧することで前記スイッチを作動させる複数の作動突起を有するスイッチ作動部と、前記回転体に一体回転可能に設けられ、前記回転体の周方向に延在されると共に、前記スイッチ作動部に対して前記周方向の一方側及び他方側に隣接して配置され、対向する前記スイッチと非接触に構成されたスイッチ非作動部と、を備え、複数の前記作動突起が回転体の周方向に等間隔毎に配置され、前記回転体の全ての回転位置において、少なくとも1つの前記スイッチが、前記スイッチ作動部と対向して配置される回転検出装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る回転検出装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される操作ノブ及び操作ノブ内に配置された検出機構を示す斜視図である。
【
図3】(A)は、
図2に示されるエンコーダを従動ギヤから取外した状態を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示される操作ノブ単体の斜視図である。
【
図4】
図2に示される操作ノブを回転方向一方側へ回転させたときの操作ノブと従動ギヤとの位置関係を説明するための説明図である。
【
図5】第2実施形態に係る回転検出装置を分解した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、
図1~4を用いて、第1実施形態に係る回転検出装置10について説明する。回転検出装置10は、例えば、車両(自動車)のインストルメントパネル等に設置されて、乗員によって操作される操作装置として構成されている。
図1及び
図2に示されるように、回転検出装置10は、回転検出装置10の外郭を構成するハウジング12と、ハウジング12に回転可能に連結された略円筒状の「回転体」としての操作ノブ20と、操作ノブ20の内部に設けられた検出機構30と、を含んで構成されている。なお、以下の説明では、操作ノブ20の軸方向一方側(
図1及び
図2の矢印A方向側)を回転検出装置10の上側とし、操作ノブ20の軸方向他方側(
図1及び
図2の矢印B方向側)を回転検出装置10の下側としている。以下、主として、回転検出装置10における操作ノブ20及び検出機構30について説明する。
【0013】
(操作ノブ20について)
図1~
図3に示されるように、操作ノブ20は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。操作ノブ20は、ハウジング12の上側に配置されると共に、ハウジング12の内部に設けられた軸部(図示省略)によって、自身の軸回りに回転可能にハウジング12に連結されている。操作ノブ20は、操作者に回転操作されるノブとして構成されて、車両のキャビン内に露出されている。
【0014】
操作ノブ20には、上側へ開放された溝部21が形成されており、溝部21は操作ノブ20の周方向全周に亘って形成されている。すなわち、操作ノブ20は、上側へ開放された断面略U字形状を成すリング状に形成されている。
【0015】
操作ノブ20における内周部の上部には、後述する検出機構30を構成する「作動部」及び「歯部」としてのラック歯22が形成されている。ラック歯22は、操作ノブ20の周方向に延在されると共に、操作ノブ20の周方向に断続的に形成されている。すなわち、ラック歯22は、操作ノブ20の周方向に延在された、所謂間欠ギヤとして構成されている。具体的には、ラック歯22は、第1ラック歯22Aと第2ラック歯22Bとを含んで構成されており、第1ラック歯22A及び第2ラック歯22Bは、操作ノブ20の周方向に並ぶ複数の歯によって構成されている。
【0016】
また、操作ノブ20の内周部における第1ラック歯22Aに対して操作ノブ20の回転方向一方側(
図2の矢印C方向側)の部分は、第1歯欠け部23(広義には、「非作動部」として把握される要素である)として構成されており、第1歯欠け部23が、第1ラック歯22Aと第2ラック歯22Bとの間で延在されている。一方、操作ノブ20の内周部における第1ラック歯22Aに対して操作ノブ20の回転方向他方側(
図2の矢印D方向側)の部分は、第2歯欠け部24(広義には、「非作動部」として把握される要素である)として構成されており、第2歯欠け部24が、第1ラック歯22Aと第2ラック歯22Bとの間で延在されている。これにより、操作ノブ20の内周部には、第1ラック歯22A、第1歯欠け部23、第2ラック歯22B、第2歯欠け部24が、この順に操作ノブ20の回転方向一方側に並んで配置されている。
【0017】
第1ラック歯22A、第1歯欠け部23、及び第2歯欠け部24の延在長さは、操作ノブ20の全周長さの1/5に設定されており、第2ラック歯22Bの延在長さは、操作ノブ20の全周長さの2/5に設定されている。すなわち、操作ノブ20の周方向における第1ラック歯22A、第1歯欠け部23、及び第2歯欠け部24の範囲は、操作ノブ20の回転角度の72度に対応し、操作ノブ20の周方向における第2ラック歯22Bの範囲が、操作ノブ20の回転角度の144度に対応している。
【0018】
なお、操作ノブ20の上側には、ノブパネル14(
図1参照)が設けられている。ノブパネル14は、上下方向を板厚方向とする略円板状に形成されており、操作ノブ20の開口部が、ノブパネル14によって上側から閉塞されている。
【0019】
(検出機構30について)
図2及び
図3に示されるように、検出機構30は、前述した操作ノブ20に形成されたラック歯22(第1ラック歯22A及び第2ラック歯22B)と、一対の「検出部」及び「歯車」としての従動ギヤ32A、32Bと、一対の「検出部」としてのエンコーダ40A、40Bと、を含んで構成されている。
【0020】
従動ギヤ32A、32Bは、上下方向を厚み方向とする略円板状に形成されている。従動ギヤ32A、32Bの直径は、操作ノブ20の内周部の直径よりも小さく設定されており、従動ギヤ32A、32Bが操作ノブ20の径方向内側に配置されている。詳しくは、従動ギヤ32A、32Bは、第1ラック歯22A及び第2ラック歯22Bが形成された操作ノブ20の内周部の径方向内側に配置されて、操作ノブ20の径方向において第1ラック歯22A及び第2ラック歯22Bと対向配置可能に構成されている。従動ギヤ32A、32Bの中央部には、下側へ突出した支持軸(図示省略)が形成されており、支持軸が、操作ノブ20に連結された軸部に回転可能に支持されている。
【0021】
従動ギヤ32A、32Bの外周部には、ギヤ部33が形成されている。ギヤ部33は、複数の歯によって構成されており、当該歯が、従動ギヤ32A、32Bの周方向全周に亘って形成されている。そして、ギヤ部33が、従動ギヤ32A、32Bに対向配置された第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bに噛合するように構成されている。これにより、ギヤ部33が第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bに噛合した状態で操作ノブ20が回転することで、従動ギヤ32A、32Bが自身の軸回りに回転するようになっている。一方、従動ギヤ32A、32Bが操作ノブ20の第1歯欠け部23又は第2歯欠け部24と対向配置された状態では、従動ギヤ32A、32B及び操作ノブ20が非接触になっている。これにより、この状態で操作ノブ20が回転しても、従動ギヤ32A、32Bが作動しない構成になっている。
【0022】
また、従動ギヤ32A、32Bは、操作ノブ20の回転方向に並んで配置されており、従動ギヤ32Aが、従動ギヤ32Bに対して操作ノブ20の回転方向一方側に離間して配置されている。そして、操作ノブ20の全ての回転位置において、従動ギヤ32A、32Bの少なくとも一方が、第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bと対向配置されて、第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bに噛合するように、操作ノブ20の回転方向における従動ギヤ32A、32Bの離間距離が設定されている。すなわち、操作ノブ20の回転方向における従動ギヤ32A、32Bの離間距離が、第1歯欠け部23及び第2歯欠け部24の延在長さ以上に設定されている。換言すると、操作ノブ20の全ての回転位置において、従動ギヤ32A、32Bが、同時に第1歯欠け部23又は第2歯欠け部24と対向配置しない設定になっている。
【0023】
また、従動ギヤ32A、32Bの中央部には、後述するエンコーダ40A、40Bに従動ギヤ32A、32Bを連結するための連結軸34が設けられている。連結軸34は、上側へ突出した柱状に形成されると共に、平面視で略H字形状に形成されている。
【0024】
図2に示されるように、エンコーダ40A、40Bは、それぞれの従動ギヤ32A、32Bの上側に隣接して配置される共に、図示しない制御基板に実装されている。エンコーダ40A、40Bは、従動ギヤ32A、32Bに連結されて従動ギヤ32A、32Bの回転位置を検出するロータリー形のエンコーダスイッチとして構成されている。エンコーダ40A、40Bは、連結孔41を有しており、それぞれの従動ギヤ32A、32Bの連結軸34が、上側に配置された連結孔41内に挿入されてエンコーダ40A、40Bに連結されている。そして、従動ギヤ32A、32Bが回転することで、エンコーダ40A、40Bが作動して従動ギヤ32A、32Bの回転を検出するように構成されている。また、エンコーダ40A、40Bは、制御部50に電気的に接続されて、検出信号を制御部50に出力するように構成されている。そして、操作ノブ20の全ての回転位置において、従動ギヤ32A及び従動ギヤ32Bの少なくとも一方が、第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bに噛合しているため、制御部50がエンコーダ40A、40Bからの検出信号に基づいて操作ノブ20の回転位置を検知するようになっている。
【0025】
(作用効果)
次に、
図4を用いて、本実施の形態の作用効果について説明する。なお、
図4では、操作ノブ20を回転方向一方側へ72度毎に回転操作した状態を時系列で示している。そして、
図4の(a)における操作ノブ20の位置を初期位置とし、(b)における操作ノブ20の位置を第1位置とし、(c)における操作ノブ20の位置を第2位置とし、(d)における操作ノブ20の位置を第3位置とし、(e)における操作ノブ20の位置を第4位置としている。
【0026】
図4の(a)に示されるように、操作ノブ20の初期位置では、従動ギヤ32Aのギヤ部33が、第1ラック歯22Aの長手方向中間部と噛合し、従動ギヤ32Bが第2歯欠け部24の長手方向中間部と対向配置されている。
【0027】
操作ノブ20が初期位置から回転方向一方側(
図4の矢印C方向側)へ回転すると、初期位置と第1位置との間において、従動ギヤ32Aのギヤ部33と第1ラック歯22Aとの噛合状態が解除される。そして、第1位置において、従動ギヤ32Aが、第2歯欠け部24の長手方向中間部と対向配置されて、従動ギヤ32Aと操作ノブ20とが非噛合状態になる。また、操作ノブ20の初期位置から第1位置への回転時には、従動ギヤ32Aのギヤ部33と第1ラック歯22Aとの噛合状態の解除前に、従動ギヤ32Bのギヤ部33が第2ラック歯22Bと噛合する。そして、第1位置において、従動ギヤ32Bのギヤ部33が第2ラック歯22Bの長手方向一方側部分と噛合する(
図4の(b)を参照)。したがって、操作ノブ20の初期位置から第1位置への回転では、エンコーダ40Aが作動状態から停止状態に切り替る。一方、エンコーダ40Bが、エンコーダ40Aの停止状態への切替前に、停止状態から作動状態に切り替る。
【0028】
操作ノブ20が第1位置から回転方向一方側へ回転すると、第1位置と第2位置との間において、従動ギヤ32Aのギヤ部33が第2ラック歯22Bと噛合すると共に、第2位置において、従動ギヤ32Aのギヤ部33が、第2ラック歯22Bの長手方向一方側部分と噛合する。また、操作ノブ20の第1位置から第2位置への回転時には、従動ギヤ32Bのギヤ部33と第2ラック歯22Bとの噛合状態が維持されると共に、第2位置において、従動ギヤ32Bのギヤ部33が第2ラック歯22Bの長手方向他方側部分と噛合する(
図4の(c)を参照)。したがって、操作ノブ20の第1位置から第2位置への回転では、エンコーダ40Aが停止状態から作動状態に切り替ると共に、エンコーダ40Bの作動状態が継続される。
【0029】
操作ノブ20が第2位置から回転方向一方側へ回転すると、第2位置と第3位置との間において、従動ギヤ32Bのギヤ部33と第2ラック歯22Bとの噛合状態が解除される。そして、第3位置において、従動ギヤ32Bが、第1歯欠け部23の長手方向中間部と対向配置されて、従動ギヤ32Bと操作ノブ20とが非噛合状態になる。また、操作ノブ20の第2位置から第3位置への回転時には、従動ギヤ32Aのギヤ部33と第2ラック歯22Bとの噛合状態が維持されると共に、第3位置において、従動ギヤ32Aのギヤ部33が第2ラック歯22Bの長手方向他方側部分と噛合する(
図4の(d)を参照)。したがって、操作ノブ20の第2位置から第3位置への回転では、エンコーダ40Bが作動状態から停止状態に切り替る。一方、エンコーダ40Aの作動状態が継続される。
【0030】
操作ノブ20が第3位置から回転方向一方側へ回転すると、第3位置と第4位置との間において、従動ギヤ32Aのギヤ部33と第2ラック歯22Bとの噛合状態が解除される。そして、第4位置において、従動ギヤ32Aが、第1歯欠け部23の長手方向中間部と対向配置されて、従動ギヤ32Aと操作ノブ20とが非噛合状態になる。また、操作ノブ20の第3位置から第4位置への回転時には、従動ギヤ32Aのギヤ部33と第2ラック歯22Bとの噛合状態の解除前において、従動ギヤ32Bのギヤ部33が第1ラック歯22Aに噛合すると共に、第4位置において、従動ギヤ32Bのギヤ部33が第1ラック歯22Aの長手方向中間部と噛合する(
図4の(e)を参照)。したがって、操作ノブ20の第3位置から第4位置への回転では、エンコーダ40Aが作動状態から停止状態に切り替る。一方、エンコーダ40Bが、エンコーダ40Aの停止状態への切替前に、停止状態から作動状態に切り替る。
【0031】
操作ノブ20が第4位置から回転方向一方側へ回転すると、第4位置と初期位置との間において、従動ギヤ32Bのギヤ部33と第1ラック歯22Aとの噛合状態が解除される。そして、初期位置において、従動ギヤ32Bが、第2歯欠け部24の長手方向中間部と対向配置されて、従動ギヤ32Bと操作ノブ20とが非噛合状態になる。また、操作ノブ20の第4位置から初期位置への回転時には、従動ギヤ32Bのギヤ部33と第1ラック歯22Aとの噛合状態の解除前において、従動ギヤ32Aのギヤ部33が第1ラック歯22Aに噛合すると共に、初期位置において、従動ギヤ32Aのギヤ部33が第1ラック歯22Aの長手方向中間部と噛合する(
図4の(a)を参照)。したがって、操作ノブ20の第4位置から初期位置への回転では、エンコーダ40Bが作動状態から停止状態に切り替る。一方、エンコーダ40Aが、エンコーダ40Bの停止状態への切替前に、停止状態から作動状態に切り替る。
【0032】
このように、操作ノブ20の回転操作では、操作ノブ20の全ての回転位置において、少なくともエンコーダ40A、40Bの一方が作動状態になる。これにより、エンコーダ40A、40Bから出力された検出信号に基づいて、操作ノブ20の回転位置を制御部50によって検知することができる。
【0033】
以上説明したように、第1実施形態の回転検出装置10では、ラック歯22が、操作ノブ20の内周部に形成されている。ラック歯22は、第1ラック歯22A及び第2ラック歯22Bを含んで構成されており、第1ラック歯22A及び第2ラック歯22Bは、操作ノブ20の周方向に延在されている。また、検出機構30の従動ギヤ32A、32Bが、操作ノブ20の内周部の径方向内側に配置されると共に、第1ラック歯22A及び第2ラック歯22Bに噛合可能に構成されている。そして、操作ノブ20の径方向において、従動ギヤ32A、32Bと第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bとが対向配置されて、従動ギヤ32A、32Bが第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bに噛合した状態で操作ノブ20が回転することで、検出機構30のエンコーダ40A、40Bが作動して、従動ギヤ32A、32Bの回転を検出することができる。
【0034】
ここで、ラック歯22は、操作ノブ20の全周に亘って形成されていない。具体的には、ラック歯22は、操作ノブ20の周方向に断続的に形成されており、ラック歯22を構成する第1ラック歯22Aと第2ラック歯22Bとの間には、第1歯欠け部23及び第2歯欠け部24が形成されている。このため、操作ノブ20が1回転するときには、従動ギヤ32A、32Bが、連続的に回転せずに、断続的に回転する。すなわち、従動ギヤ32A、32Bが、第1歯欠け部23又は第2歯欠け部24に対向配置されるときには、従動ギヤ32A、32Bと操作ノブ20とが非噛合状態となり、操作ノブ20の回転に連動して従動ギヤ32A、32Bが回転しない。これにより、従動ギヤ32A、32Bが常に操作ノブ20の回転に連動する構成と比べて、従動ギヤ32A、32Bの摩耗等を低減することができる。また、上記構成と比べて、エンコーダ40A、40Bの作動時間を短くすることができる。したがって、従動ギヤ32A、32B及びエンコーダ40A、40Bの耐久性を向上することができる。
【0035】
さらに、操作ノブ20の全ての回転位置において、従動ギヤ32A、32Bの少なくとも一方が、操作ノブ20の第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bと対向配置される。すなわち、従動ギヤ32A、32Bの少なくとも一方が、第1ラック歯22A又は第2ラック歯22Bに噛合されている。これにより、ラック歯22が操作ノブ20の内周部の全周に亘って形成されていなくても、従動ギヤ32A、32Bの少なくとも一方が、操作ノブ20の回転に連動して回転するため、回転する従動ギヤ32A、32Bをエンコーダ40A、40Bによって検出することで操作ノブ20の回転を検出することができる。以上により、回転検出装置10の耐久性を向上することができる。
【0036】
また、ラック歯22が操作ノブ20の内周部に形成されており、従動ギヤ32A、32B及びエンコーダ40A、40Bが操作ノブ20の径方向内側に配置されている。これにより、操作ノブ20の操作性を確保しつつ、操作ノブ20の回転を検出機構30によって検出することができる。
【0037】
また、従動ギヤ32A、32Bの直径が操作ノブ20の内周部の直径よりも小さく設定されている。これにより、操作ノブ20を回転操作したときに、従動ギヤ32A、32Bを増速させることができる。すなわち、操作ノブ20の回転操作時における、従動ギヤ32A、32Bの回転数を操作ノブ20の回転数よりも大きくすることができる。したがって、エンコーダ40A、40Bによって、従動ギヤ32A、32Bの回転位置を精度よく検出することができると共に、ひいては操作ノブ20の回転位置を精度よく検出することができる。
【0038】
(第2実施形態)
以下、
図5を用いて、第2実施形態に係る回転検出装置100について説明する。回転検出装置100は、全体として略円柱状に形成されている。以下の説明では、回転検出装置100の軸方向一方側(
図5の矢印A方向側)を上側とし、回転検出装置100の軸方向他方側(
図5の矢印B方向側)を下側としている。
【0039】
回転検出装置100は、上下方向を軸方向とする略円筒状のベース102と、下側へ開放された略有底円筒状のプッシュノブ104と、「回転体」としてのロータ110と、を含んで構成されている。プッシュノブ104は、ベース102の内部に挿入されて、下側へ押圧操作可能にベース102に連結されている。
【0040】
ロータ110は、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、プッシュノブ104の径方向外側において、ベース102に回転可能に連結されている。また、ロータ110の径方向外側には、ダイヤルノブ106が設けられており、ダイヤルノブ106がロータ110と一体回転可能に連結されている。ダイヤルノブ106は、操作者に操作されるノブとして構成されている。
【0041】
ロータ110の下端面には、「作動部」としてのスイッチ作動部112が形成されている。スイッチ作動部112は、ロータ110の周方向に延在されると共に、ロータ110の全周に亘って形成されていない(
図5における矢印Eにて示される範囲を参照)。具体的には、ロータ110の周方向におけるスイッチ作動部112の延在長さが、ロータ110の全周の略1/2に設定されている。そして、ロータ110の下端面におけるスイッチ作動部112の形成されていない部分が、スイッチ非作動部114として構成されている。これにより、ロータ110の下端面が、スイッチ作動部112と、スイッチ非作動部114と、によって構成されている。
【0042】
スイッチ作動部112には、下側へ突出された複数の作動突起112Aが形成されており、複数の作動突起112Aが、ロータ110の周方向に等間隔毎に配置されている。
【0043】
ロータ110の下側には、制御基板120が設けられており、制御基板120の上面には、一対の「検出部」及び「スイッチ」としての検出スイッチ122A、122Bが実装されている。検出スイッチ122A、122Bは、ロータ110の下端面と上下方向に対向して配置されている。また、検出スイッチ122A、122Bは、ロータ110の周方向において180度離間して配置されている。
【0044】
検出スイッチ122A、122Bは、スイッチ本体123と、スイッチ部124と、を含んで構成されている。スイッチ部124は、スイッチ本体123に傾倒可能に連結されている。また、検出スイッチ122A、122Bは、制御部130と電気的に接続されており、スイッチ部124が押圧されることで、制御部130にオン信号を出力するように構成されている。また、検出スイッチ122A、122Bがスイッチ作動部112と対向配置された状態で、ロータ110が回転すると、作動突起112Aによってスイッチ部124が押圧される構成になっている。一方、検出スイッチ122A、122Bがスイッチ非作動部114と対向配置された状態では、スイッチ部124とスイッチ非作動部114とが非接触となっており、検出スイッチ122A、122Bが非作動状態になる構成になっている。
【0045】
さらに、ロータ110の全ての回転位置においても、検出スイッチ122A、122Bの少なくも一方が、ロータ110のスイッチ作動部112と対向配置されるように、スイッチ作動部112の延在長さが設定されている。換言すると、ロータ110の全ての回転位置において、検出スイッチ122A、122Bが、同時にロータ110のスイッチ非作動部114と対向配置されない設定になっている。これにより、ロータ110の回転時には、検出スイッチ122A、122Bの少なくも一方から、制御部130にオンオフ信号が出力されるため、制御部130によってロータ110の回転位置を検知することができる。
【0046】
また、第2実施形態の回転検出装置100においても、ロータ110のスイッチ作動部112が、ロータ110の全周に亘って形成されていない。このため、ロータ110が1回転するときには、検出スイッチ122A、122Bの一方が非作動状態になる区間が発生する。すなわち、検出スイッチ122A、122Bの両方が、連続的に作動しない。以上により、第2の実施の形態においても、回転検出装置100の耐久性を向上することができる。
【0047】
なお、第1実施形態の回転検出装置10では、ラック歯22が操作ノブ20の内周部に形成されており、従動ギヤ32A、32B及びエンコーダ40A、40Bが操作ノブ20の径方向内側に配置されている。これに代えて、ラック歯22を操作ノブ20の外周部に形成し、従動ギヤ32A、32B及びエンコーダ40A、40Bを操作ノブ20の径方向外側に配置してもよい。この場合には、例えば、ハウジング12によってラック歯22及び検出機構30を覆って、ラック歯22及び検出機構30を外部に視認不能に構成してもよい。また、この場合には、検出機構30が操作ノブ20の径方向外側に配置されるため、操作ノブ20の径方向内側に、照明機構等の他の機構部を配置することができる。
【0048】
また、第1実施形態の回転検出装置10では、ラック歯22が、2箇所の第1ラック歯22Aと第2ラック歯とで構成されているが、ラック歯22を、1箇所のラック歯で構成してもよいし、3箇所以上のラック歯で構成してもよい。
【0049】
また、第2実施形態の回転検出装置100では、ロータ110の下端面に、1箇所のスイッチ作動部112が形成されているが、ロータ110の下端面に2箇所以上のスイッチ作動部を形成してもよい。
【0050】
また、第1実施形態では、回転検出装置10が、一対の従動ギヤ32A、32B及びエンコーダ40A、40Bを有しており、第2実施形態では、回転検出装置100が一対の検出スイッチ122A、122Bを有している。これに代えて、第1実施形態の回転検出装置10において、3個以上の従動ギヤ及びエンコーダを設けてもよいし、第2実施形態の回転検出装置100において、3個以上の検出スイッチを設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 回転検出装置
20 操作ノブ(回転体)
22 ラック歯(作動部)(歯部)
32A 従動ギヤ(検出部)(歯車)
32B 従動ギヤ(検出部)(歯車)
40A エンコーダ(検出部)
40B エンコーダ(検出部)
100 回転検出装置
110 ロータ(回転体)
112 スイッチ作動部(作動部)
122A 検出スイッチ(検出部)(スイッチ)
122B 検出スイッチ(検出部)(スイッチ)