(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】映像記録装置
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20241115BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20241115BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 A
H04N7/18 J
(21)【出願番号】P 2021055711
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 尚
(72)【発明者】
【氏名】荒井 雅嗣
(72)【発明者】
【氏名】田中 正道
(72)【発明者】
【氏名】岡野 康雄
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-253609(JP,A)
【文献】特開2016-194237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
E02F 9/26
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント装置を備えた建設機械に搭載され、前記建設機械に取り付けられた複数のカメラにより撮像された映像を記録する映像記録装置であって、
前記複数のカメラは、前記フロント装置を含む前記建設機械の前方を撮像する前方カメラ
と、前記建設機械の右側方を撮像する第2カメラ、後方を撮像する第3カメラ、および左側方を撮像する第4カメラとを少なくとも有し、
前記映像記録装置は、
前記複数のカメラ
のうち、少なくとも前記第2カメラ、前記第3カメラおよび前記第4カメラにより撮像された映像に基づいて
前記建設機械の周囲の俯瞰映像を合成
する映像合成部と、合成した俯瞰映像と前記前方カメラにより撮像された
前記フロント装置を含む前方映像とを同じ時系列で1つの映像として記録する
映像記録部とを有し、前記映像記録部に前記1つの映像として記録される前記前方映像は、前記俯瞰映像における前方と一致するように配置されることを特徴とする映像記録装置。
【請求項2】
前記前方カメラにより撮像された前方映像には
、前記建設機械の下部走行体及び前記建設機械のオペレータの手元のうち少なくとも一方の映像が更に含まれている請求項1に記載の映像記録装置。
【請求項3】
前記俯瞰映像は、前記建設機械の前方を除いた前記建設機械の周囲の俯瞰映像、又は、前記建設機械の全周囲の俯瞰映像である請求項1又は2に記載の映像記録装置。
【請求項4】
前記俯瞰映像には、前記フロント装置の動きの映像が含まれている請求項1~3のいずれか一項に記載の映像記録装置。
【請求項5】
前記複数のカメラは、前記フロント装置を含まずに前記フロント装置よりも更に遠方の前記建設機械の前方を撮像する第1カメラを更に備え、
前記映像合成部は、前記第1カメラ、前記第2カメラ、前記第3カメラおよび前記第4カメラにより撮像された映像により俯瞰映像を合成することを特徴とする請求項1に記載の映像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に搭載される映像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の分野では、事故原因を調査する目的として、車両の前後にそれぞれ取り付けられたカメラで撮像した映像を記録するドライブレコーダが用いられている。事故が発生した場合は、ドライブレコーダに記録された映像を振り返ることで、事故発生時の状況を把握し、発生原因の究明に役立つ。最近では、建設機械の分野においても、事故やヒヤリハットといった危険事象の発生原因を調査するために、ドライブレコーダのような映像記録装置を搭載するニーズが高まっている。
【0003】
建設機械に搭載される映像記録装置として、例えば特許文献1に記載のように、油圧ショベルの前方に取り付けられ、バケットの掘削状況に関する情報をオペレータに提示するカメラが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のカメラは、建設機械の前方のみを撮像するものであるので、カメラにより撮像された前方映像だけでは、危険事象の発生状況を正確に把握できない問題があった。これに対し、上記自動車のドライブレコーダを建設機械に適用するのが検討されるが、主な目的が移動であり車両の前方及び後方の映像で事故の状況がつかめる自動車と異なり、建設機械はバケットによる掘削作業に加えて、旋回動作によって前後左右いずれの方向にも動くため、自動車のドライブレコーダをそのまま適用した場合依然として危険事象の発生状況を正確に把握できない。
【0006】
そこで、建設機械の前後左右にそれぞれ取り付けられたカメラの映像を用いて俯瞰映像を利用することが考えられる。しかし、建設機械の掘削作業においては地面に対して垂直な方向にバケットが動くため、俯瞰映像ではバケットの動きを把握し難く、危険事象の発生原因の調査に不十分であった。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明は、危険事象の発生状況を正確に把握できる映像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る映像記録装置は、フロント装置を備えた建設機械に搭載され、前記建設機械に取り付けられた複数のカメラにより撮像された映像を記録する映像記録装置であって、前記複数のカメラは、前記フロント装置を含む前記建設機械の前方を撮像する前方カメラを有し、前記映像記録装置は、前記複数のカメラにより撮像された映像に基づいて俯瞰映像を合成し、合成した俯瞰映像と前記前方カメラにより撮像された前方映像とを同じ時系列で1つの映像として記録することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る映像記録装置では、複数のカメラにより撮像された映像に基づいて俯瞰映像を合成し、合成した俯瞰映像と前方カメラにより撮像された前方映像とを同じ時系列で1つの映像として記録する。このため、フロント装置の様子を示す前方映像と建設機械の周囲の俯瞰映像を1つの映像で振り返ることができるので、フロント装置の動きと建設機械周囲の状況を同時に確認でき、危険事象の発生状況を正確に把握することが可能になる。しかも前方映像と俯瞰映像とが同じ時系列で記録され、すなわち双方の時間的な関連性を保った状態で記録されるので、危険事象の発生状況を一層正確に把握することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、危険事象の発生状況を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】映像記録装置が搭載される建設機械を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る映像記録装置を示す構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る映像記録装置に記録される映像を示すイメージ図である。
【
図4】第2実施形態に係る映像記録装置を示す構成図である。
【
図5】第2実施形態に係る映像記録装置に記録される映像を示すイメージ図である。
【
図6】第3実施形態に係る映像記録装置に記録される映像を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る映像記録装置の実施形態について説明するが、その前に映像記録装置が搭載される建設機械を説明する。以下の説明において、建設機械として油圧ショベルの例を挙げるが、建設機械はクレーンなどであっても良い。
【0013】
図1は映像記録装置が搭載される建設機械を示す側面図である。
図1に示すように、建設機械1は、左右一対のクローラを駆動させて走行する下部走行体2と、下部走行体2の上部に旋回可能に設けられる上部旋回体3と、上部旋回体3に上下方向に回動可能に設けられるフロント装置4とを備えている。
【0014】
下部走行体2、上部旋回体3及びフロント装置4は、メインポンプ13によって送られた作動油によってそれぞれ独立して動作する。メインポンプ13は、原動機としてのエンジン17によって駆動される。
【0015】
上部旋回体3は、運転室5及び機械室6を有する。運転室5は、上部旋回体3の左側部に設けられている。機械室6は、運転室5の後方に設けられている。機械室6の内部には、上述のメインポンプ13及びエンジン17が配置されている。
【0016】
上部旋回体3は、下部走行体2に対して相対回転可能に接続され、旋回油圧モータ18が設けられている。そして、旋回油圧モータ18を駆動すると、上部旋回体3は下部走行体2に対して回転することになる。また、下部走行体2には、左右一対の走行油圧モータ19が配置されている。これらの走行油圧モータ19を駆動すると、左右のクローラがそれぞれ駆動される。これによって、下部走行体2は前進又は後進することができる。
【0017】
フロント装置4は、上部旋回体3の前部の中央、且つ運転室5の右側に設けられている。このフロント装置4は、ブーム7、アーム8、バケット9、ブーム7を駆動するためのブームシリンダ10、アーム8を駆動するためのアームシリンダ11、及びバケット9を駆動するためのバケットシリンダ12を有する。ブーム7は、回転軸14を介して上部旋回体3に回動可能に取り付けられている。アーム8は、回転軸15を介してブーム7の先端部に回動可能に取り付けられ、バケット9は、回転軸16を介してアーム8の先端部に回動可能に取り付けられている。
【0018】
ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12は、それぞれ油圧アクチュエータからなり、メインポンプ13から送られる作動油によって伸縮し、ブーム7、アーム8及びバケット9を駆動させることで掘削や整地等の作業を行う。
【0019】
[第1実施形態]
図2は第1実施形態に係る映像記録装置を示す構成図である。
図2に示すように、建設機械1は、複数のカメラ(第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23、第4カメラ24、及び前方カメラ25)と、これらのカメラにより撮像された映像を記録する映像記録装置20と、情報等を表示するためのモニタ26と、ネットワーク30と接続するための通信部29とを更に備えている。
【0020】
モニタ26は、運転室5内に配置され、各情報等を表示することによりオペレータに知らせる。通信部29は、例えばネットワーク30と接続するための無線機からなる。
【0021】
第1カメラ21は、例えば上部旋回体3の前部に取り付けられ、建設機械1の前方を撮像し、撮像した映像を映像記録装置20の映像合成部27(後述する)に出力する。第2カメラ22は、例えば上部旋回体3の右側部に取り付けられ、建設機械1の右側方を撮像し、撮像した映像を映像合成部27に出力する。第3カメラ23は、例えば上部旋回体3の後部に取り付けられ、建設機械1の後方を撮像し、撮像した映像を映像合成部27に出力する。第4カメラ24は、例えば上部旋回体3の左側部に取り付けられ、建設機械1の左側方を撮像し、撮像した映像を映像合成部27に出力する。
【0022】
一方、前方カメラ25は、運転室5の外部に取り付けられ、フロント装置4を含む建設機械1の前方を撮像し、撮像した映像を映像記録装置20の映像記録部28(後述する)に出力する。より具体的には、前方カメラ25は、運転室5のフロントガラスの外側に取り付けられ、フロント装置4のほかに、下部走行体2の一部を含む建設機械1の前方を撮像する(詳細は後述する)。
【0023】
なお、前方カメラ25及び第1カメラ21がともに建設機械1の前方を撮像するが、前方カメラ25はフロント装置4を含む比較的近い範囲を撮像し、第1カメラ21は比較的遠い範囲を撮像する。本実施形態では、第1カメラ21は、フロント装置4よりも更に遠い範囲を撮像する。このため、前方カメラ25により撮像された映像にはフロント装置4が含まれるが、第1カメラ21により撮像された映像にはフロント装置4が含まれていない。
【0024】
映像記録装置20は、モニタ26を含む建設機械1の各機器とCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク33で相互に接続されている。映像記録装置20は、例えば、演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の記録や一時的な制御変数を記録する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって映像の合成、加工及び記録等の処理を行う。
【0025】
映像記録装置20は、映像合成部27と映像記録部28とを備えている。映像合成部27は、第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23及び第4カメラ24により撮像された映像を用いて俯瞰映像を合成する。具体的には、映像合成部27は、第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23及び第4カメラ24により撮像されて出力された映像を建設機械1の全周囲の俯瞰映像(すなわち、周囲360°を確認できるサラウンドビュー)に合成する。カメラにより撮像された映像を用いて俯瞰映像を合成する方法については、既に周知されて技術を用いても良く、その詳細説明を省略する。そして、映像合成部27は、合成した俯瞰映像を映像伝送ケーブル31を介して映像記録部28、映像伝送ケーブル32を介してモニタ26にそれぞれ出力する。
【0026】
映像記録部28は、前方カメラ25により撮像された前方映像と、映像合成部27により合成された俯瞰映像とを同じ時系列で1つの映像として記録する。また、映像記録部28は、その1つの映像を通信部29を介してネットワーク30にアップロードする。
【0027】
図3は第1実施形態に係る映像記録装置に記録される映像を示すイメージ図である。
図3に示すように、映像記録部28に記録された1つの映像において、上部には前方カメラ25により撮像された前方映像34、下部には映像合成部27により合成された俯瞰映像35がそれぞれ配置されている。前方映像34には、フロント装置4のほかに、下部走行体2としてのクローラの一部、及び作業対象としての掘削箇所36とが含まれている。一方、俯瞰映像35には、建設機械1の全周囲の俯瞰映像が含まれている。なお、俯瞰映像35に表示された線は、隣接する映像同士のつなぎ目である。
【0028】
なお、映像記録部28に記録された映像は、必ずしも
図3に示すイメージ図に限定されず、例えば映像の上部に俯瞰映像35、下部に前方映像34をそれぞれ配置しても良く、あるいは前方映像34及び俯瞰映像35を左右方向に並べて配置するようにしても良い。
【0029】
なお、前方映像34及び俯瞰映像35を配置する際に映像の向きを統一することが好ましい。すなわち
図3に示す前方映像34は、オペレータの視線に合わせて配置された場合、俯瞰映像35中の前方も前方映像34と一致するように該俯瞰映像35を配置する。
図3では、オペレータの視線に合わせて、上が建設機械1の前方、下が建設機械1の後方、左が建設機械1の左側、右が建設機械1の右側になるように前方映像34及び俯瞰映像35は配置されている。このようにすれば、建設機械1の向きを直感的に把握することができる。
【0030】
本実施形態の映像記録装置20によれば、映像合成部27は第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23及び第4カメラ24により撮像された映像に基づいて俯瞰映像35を合成し、映像記録部28は前方カメラ25により撮像された前方映像と映像合成部27により合成された俯瞰映像とを同じ時系列で1つの映像として記録する。このため、フロント装置4の作業の様子を示す前方映像34と、建設機械1の全周囲の俯瞰映像35を1つの映像で振り返ることができるので、フロント装置4の動き、下部走行体2の走行状態、上部旋回体3の旋回具合、及び建設機械1の周囲の状況を同時に確認でき、危険事象の発生状況を正確に把握することが可能になる。しかも前方映像34と俯瞰映像35とが同じ時系列で記録され、すなわち前方映像34及び俯瞰映像の時間的な関連性を保った状態で記録されるので、危険事象の発生状況を一層正確に把握することができる。その結果、危険事象の発生原因が究明し易くなる。
【0031】
[第2実施形態]
以下、
図4及び
図5を参照して映像記録装置の第2実施形態を説明する。本実施形態の映像記録装置20Aは、第2カメラ22、第3カメラ23、第4カメラ24及び前方カメラ25により撮像された映像を用いて俯瞰映像を合成する点において、上述した第1実施形態と異なっている。その他の構造等は第1実施形態と同様であるので、重複説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、本実施形態の映像記録装置20Aが搭載される建設機械1には、建設機械1の前方を撮像する第1カメラ21が取り付けられておらず、俯瞰映像を合成する際に、映像合成部27は、第2カメラ22、第3カメラ23及び第4カメラ24により撮像された映像に加えて、前方カメラ25により撮像された前方映像を用いる。このため、映像合成部27及び前方カメラ25は映像伝送ケーブル37によって接続されている。そして、前方カメラ25は、撮像した前方映像を映像記録部28に出力するとともに、映像伝送ケーブル37を介して映像合成部27にも出力する。
【0033】
映像合成部27は、第2カメラ22、第3カメラ23、第4カメラ24及び前方カメラ25により撮像された映像を用いて俯瞰映像を合成し、合成した俯瞰映像をモニタ26及び映像記録部28にそれぞれ出力する。
【0034】
図5は第2実施形態に係る映像記録装置に記録される映像を示すイメージ図である。
図5に示すように、映像記録部28に記録された1つの映像において、上部には前方カメラ25により撮像された前方映像34、下部には映像合成部27により合成された俯瞰映像35がそれぞれ配置されている。俯瞰映像35は、前方カメラ25により撮像された前方映像が用いられたため、俯瞰映像35中の前方映像に該当する部分には、前方映像34と同様にブーム7、アーム8及びバケット9の映像も含まれている。
【0035】
なお、俯瞰映像35には、フロント装置4の動き、すなわちブーム7、アーム8及びバケット9の動きの映像が含まれることが好ましい。このようにすれば、前方映像34に加えて俯瞰映像35を介してもフロント装置4の作業状況を確認できるので、異なる角度からフロント装置4の作業状況を確認することで、危険事象の発生状況をより正確に把握することができる。
【0036】
本実施形態の映像記録装置20Aによれば、上述の第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、俯瞰映像の合成に前方カメラ25により撮像された前方映像を流用することで、第1カメラ21を省くことが可能になるので、コストを削減する効果が期待できる。
【0037】
[第3実施形態]
映像合成部27により合成された俯瞰映像は、必ずしも建設機械1の全周囲の俯瞰映像である必要がなく、前方カメラ25により撮像された前方映像34を介して建設機械1の前方の状況を確認できるため、建設機械1の前方を除いた建設機械1の周囲の俯瞰映像であっても良い。
【0038】
従って、第3実施形態では、建設機械1の前方を撮像する第1カメラ21が取り付けられておらず、俯瞰映像を合成する際に、映像合成部27は、第2カメラ22、第3カメラ23及び第4カメラ24により撮像された映像のみを用いる。そして、合成した俯瞰映像は、例えば
図6に示すように、建設機械1の左側、後方及び右側を示すものであって、建設機械1の前方を示す部分が黒塗りされている。
【0039】
このようにすれば、前方カメラ25により撮像された前方映像34を介して建設機械1の前方の状況を確認し、俯瞰映像35を介して建設機械1の左右及び後方の状況を確認できるので、危険事象の発生状況を正確に把握することができる。
【0040】
なお、本発明の映像記録装置は、上述した実施形態のほか、様々な変形例も考えられる。以下、2つの代表例を説明する。
【0041】
[変形例1]
第1変形例では、第1実施形態で述べた前方カメラ25を無くし、第1カメラ21を用いてフロント装置4を含む建設機械1の前方を撮像する。そして、第1カメラ21により撮像された前方映像は、映像合成部27及び映像記録部28にそれぞれ出力される。すなわち、前方カメラ25により撮像された映像は、俯瞰映像35の合成に用いられるとともに、前方映像34にも用いられる。この場合、該第1カメラ21は、特許請求の範囲に記載の「前方カメラ」に相当することになる。
【0042】
このような変形例によれば、第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、カメラの数を減らすことができるので、コストを削減する効果が期待できる。
【0043】
[変形例2]
第2変形例では、第1実施形態で述べた前方カメラ25を運転室5の内部に取り付け、該前方カメラ25を用いて、フロント装置4及びクローラに加えて建設機械1のオペレータの手元も撮像できるようにする。従って、該前方カメラ25により撮像された前方映像には、フロント装置4の映像及び下部走行体2のクローラの映像のほかに、建設機械1のオペレータの手元の映像も更に含まれている。
【0044】
このような変形例によれば、第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、前方カメラ25により撮像された前方映像34を介してオペレータの操作状況も確認できるので、危険事象の発生状況をより一層正確に把握することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 建設機械
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント装置
20,20A 映像記録装置
21 第1カメラ
22 第2カメラ
23 第3カメラ
24 第4カメラ
25 前方カメラ
26 モニタ
27 映像合成部
28 映像記録部
29 通信部
30 ネットワーク
31,32 映像伝送ケーブル
33 車載ネットワーク