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特許7593003画像処理装置、画像提供システム、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像提供システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241126BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20241126BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H04N23/60 300
H04N5/77
H04N5/92 010
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020132926
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029582
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆裕
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010123(JP,A)
【文献】特開2020-095406(JP,A)
【文献】特開2014-007744(JP,A)
【文献】特開2013-161416(JP,A)
【文献】特開2017-005300(JP,A)
【文献】特開平10-304339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 5/77
H04N 5/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像をユーザ端末から受信する撮影画像受信手段と、
前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像を用い、前記撮影画像の車内の部分を前記フレーム画像の風景とする画像処理を行う画像処理手段と、
画像処理後の撮影画像をユーザ端末に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記動画は、前記動画の撮影時刻または前記撮影装置の位置履歴と紐づけて前記画像処理装置の記憶部に記憶され、
前記画像処理手段は、前記撮影画像の撮影時刻または撮影位置の情報を参照し、前記動画において当該撮影時刻または当該撮影位置に対応するフレーム画像を切り出し、前記画像処理に用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記撮影画像から人物画像を抽出し、前記人物画像を前記フレーム画像と合成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記動画を前記車両から受信する動画受信手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記動画は、前記車両の左側に備えられた撮影装置で前記車両の左側の風景を撮影したものと、前記車両の右側に備えられた撮影装置で前記車両の右側の風景を撮影したものを含み、
前記動画は、前記撮影装置の位置履歴と紐づけて前記画像処理装置の記憶部に記憶され、
前記画像処理手段は、前記撮影画像の撮影位置の情報を参照し、前記車両の左側の撮影装置の動画と、前記車両の右側の撮影装置の動画のうち、どちらの動画を画像処理に用いるかを選択することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像をユーザ端末から受信する撮影画像受信手段と、
前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像を用い、前記撮影画像の車内の部分を前記フレーム画像の風景とする画像処理を行う画像処理手段と、
画像処理後の撮影画像をユーザ端末に送信する送信手段と、
を有する画像処理装置と、
ユーザ端末と、
を含む画像提供システムであって、
前記ユーザ端末は、
運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像を前記画像処理装置に送信する撮影画像送信手段と、
前記撮影画像の車内の部分を、前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像の風景とした画像処理後の撮影画像を前記画像処理装置から受信する受信手段と、
を有することを特徴とする画像提供システム
【請求項7】
コンピュータを、
運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像をユーザ端末から受信する撮影画像受信手段と、
前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像を用い、前記撮影画像の車内の部分を前記フレーム画像の風景とする画像処理を行う画像処理手段と、
画像処理後の撮影画像をユーザ端末に送信する送信手段と、
を有する画像処理装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが列車等の車内から車外を撮影した撮影画像の画像処理を行う画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、観光列車のブームが起きており、魅力的な乗車体験が乗客に提供されている。例えば列車内で趣向を凝らした料理が提供されたり、列車の内装が高級感あふれる仕様になっていたり、列車がラッピングされるなどして特別感のある外観になっていたりする。
【0003】
このような列車は、景観の豊かな路線を走行することが多く、乗客は路線中の見どころスポットでの写真撮影を列車内から行うことが多い。また撮影サービスの一環として、このような見どころスポットに近づくと、列車のスピードを落として撮影をし易くする場合もある。
【0004】
一方、特許文献1には、列車に設けた撮影装置で撮影した車外の風景の動画をユーザに視聴させるシステムも記載されており、これによりユーザは車窓からの眺めを疑似体験することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-304339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように列車内から車外の風景を撮影する場合の問題として、列車内から車外の風景を撮影しても、撮影画像において風景は列車の窓枠内にのみ写っており、撮影画像のその他の部分は車内の内装になるという点がある。
【0007】
そのため、美しい風景であってもその全体像を撮影画像に捉えることができず、このような問題を解消することで、列車等の乗客に魅力的な撮影サービスを提供できる可能性がある。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、列車等の乗客に魅力的な撮影サービスを提供できる画像処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するための第1の発明は、運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像をユーザ端末から受信する撮影画像受信手段と、前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像を用い、前記撮影画像の車内の部分を前記フレーム画像の風景とする画像処理を行う画像処理手段と、画像処理後の撮影画像をユーザ端末に送信する送信手段と、を有することを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
本発明では、上記のように、ユーザが車内から車外を撮影した撮影画像について、車両に備えた撮影装置で車外を撮影した動画中のフレーム画像を用い、車内の部分を車外の風景とする。これにより、ユーザの撮影した撮影画像が、あたかも車外で撮影したかのような、風景の全体像を捉えた画像となり、列車等の乗客に対し魅力的な撮影サービスを提供することができる。
【0011】
前記動画は、前記動画の撮影時刻または前記撮影装置の位置履歴と紐づけて前記画像処理装置の記憶部に記憶され、前記画像処理手段は、前記撮影画像の撮影時刻または撮影位置の情報を参照し、前記動画において当該撮影時刻または当該撮影位置に対応するフレーム画像を切り出し、前記画像処理に用いることが望ましい。
本発明では、画像処理を行うに際し、上記のように撮影画像の撮影時刻や撮影位置などのメタデータを参照し、動画からこれらの時刻や位置に対応するフレーム画像を切り出すことができる。
【0012】
前記画像処理手段は、前記撮影画像から人物画像を抽出し、前記人物画像を前記フレーム画像と合成することが望ましい。
これにより、ユーザは、撮影画像の車内の部分を車外の風景とし、且つ当該撮影画像中の人物が写った画像処理後の撮影画像を得ることができる。
【0013】
前記画像処理装置は、前記動画を前記車両から受信する動画受信手段を有することが望ましい。
本発明の画像処理装置は、車両に備えた撮影装置で撮影した動画を、車両の運行後等に車両から受信し、これを画像処理に用いることができる。
【0014】
前記動画は、前記車両の左側に備えられた撮影装置で前記車両の左側の風景を撮影したものと、前記車両の右側に備えられた撮影装置で前記車両の右側の風景を撮影したものを含み、前記動画は、前記撮影装置の位置履歴と紐づけて前記画像処理装置の記憶部に記憶され、前記画像処理手段は、前記撮影画像の撮影位置の情報を参照し、前記車両の左側の撮影装置の動画と、前記車両の右側の撮影装置の動画のうち、どちらの動画を画像処理に用いるかを選択することが望ましい。
これにより、ユーザが車両から左右どちらの風景を撮影していたかに応じて、これに適した動画を画像処理に用いることができる。
【0015】
第2の発明は、運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像をユーザ端末から受信する撮影画像受信手段と、前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像を用い、前記撮影画像の車内の部分を前記フレーム画像の風景とする画像処理を行う画像処理手段と、画像処理後の撮影画像をユーザ端末に送信する送信手段と、を有する画像処理装置と、ユーザ端末と、を含む画像提供システムであって、前記ユーザ端末は、運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像を前記画像処理装置に送信する撮影画像送信手段と、前記撮影画像の車内の部分を、前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像の風景とした画像処理後の撮影画像を前記画像処理装置から受信する受信手段と、を有することを特徴とする画像提供システムである。
【0016】
第3の発明は、コンピュータを、運行中の車両の車内から車外の風景を撮影した撮影画像をユーザ端末から受信する撮影画像受信手段と、前記車両に備えた撮影装置を用いて車外の風景を撮影した動画の、前記撮影画像で撮影された風景に対応するフレーム画像を用い、前記撮影画像の車内の部分を前記フレーム画像の風景とする画像処理を行う画像処理手段と、画像処理後の撮影画像をユーザ端末に送信する送信手段と、を有する画像処理装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、列車等の乗客に魅力的な撮影サービスを提供できる画像処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】画像提供システム1を示す図。
図2】画像処理装置3のハードウェア構成を示す図。
図3】ユーザ端末5のハードウェア構成を示す図。
図4】撮影装置7の配置を示す図。
図5】画像処理装置3とユーザ端末5の機能構成を示す図。
図6】動画データ200を示す図。
図7】動画204の撮影時刻205と位置履歴206を説明する図。
図8】画像提供方法を示すフローチャート。
図9】ユーザ端末5の表示部53に表示される画面を示す図。
図10】画像処理方法を示すフローチャート。
図11】画像処理方法について説明する図。
図12】画像処理方法について説明する図。
図13】撮影装置7とユーザの位置の差dを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
(1.画像提供システム1)
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置3を含む画像提供システム1を示す図である。画像提供システム1は、画像処理装置3とユーザ端末5、列車100(列車100内のコンピュータ8)とを無線等により通信可能に接続して構成される。画像提供システム1では、列車100の乗客であるユーザが列車100内から車外の風景を撮影した撮影画像を、ユーザ端末5から画像処理装置3に送信し、画像処理装置3にて当該撮影画像の画像処理を行ってユーザに提供する。
【0022】
図2は画像処理装置3のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置3は、制御部31、記憶部32、通信部33等をバス等で接続して構成されたコンピュータにより実現できる。ただしこれに限ることは無く、適宜様々な構成をとることができる。
【0023】
制御部31はCPU、ROM、RAMなどから構成される。CPUは、記憶部32、ROMなどの記憶媒体に格納された画像処理装置3の処理に係るプログラムをRAM上のワークエリアに呼び出して実行する。ROMは不揮発性メモリであり、ブートプログラムやBIOSなどのプログラム、データなどを恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部32、ROMなどからロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部31が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0024】
記憶部32はハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等であり、後述する処理に際し画像処理装置3が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OSなどが格納される。これらのプログラムやデータは、制御部31により必要に応じて読み出され実行される。
【0025】
通信部33はネットワークを介した通信を媒介する通信インタフェースであり、ユーザ端末5等との間で通信を行う。
【0026】
図1の説明に戻る。ユーザ端末5はユーザの所持するカメラ付きの端末であり、列車100の車外の風景を車内から撮影してその撮影画像を画像処理装置3に送信する。ユーザ端末5としては、例えばスマートフォンやタブレット端末等のカメラ付きの携帯端末などが用いられるが、通信機能付きのカメラなどを用いることも可能である。
【0027】
図3はユーザ端末5のハードウェア構成を示す図である。ユーザ端末5は、制御部51、記憶部52、表示部53、入力部54、通信部55、カメラ56等をバス等で接続して構成されたコンピュータにより実現できる。ただしこれに限ることは無く、適宜様々な構成をとることができる。
【0028】
制御部51、記憶部52、通信部55は上述した制御部31、記憶部32、通信部33と略同様であり、記憶部52には後述する処理を実行するための本システム専用のアプリケーションプログラム(アプリ)が格納されている。また表示部53は液晶パネル等のディスプレイ装置を有し、ユーザ端末5に入力を行うための入力部54としてタッチパネルが設けられている。
【0029】
カメラ56は、光学レンズ、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子、A/D(Analog/Digital)変換部等から構成されるエリアカメラである。カメラ56は、光学レンズを介して入力された被写体像を撮像素子により光電変換し、アナログ画像信号を生成する。そして、A/D変換部によりアナログ画像信号をデジタル画像データに変換する。
【0030】
図1の説明に戻る。ユーザが乗車する列車100には、撮影装置7が設けられる。撮影装置7は、列車100の車外の風景を撮影するものである。図4に示すように、撮影装置7は列車100の左右に設けられ、それぞれ列車100の左右の風景を動画として撮影する。
【0031】
本実施形態では、撮影装置7として、動画を撮影するとともに、その撮影時刻と撮影装置7の位置を後述する撮影時刻205と位置履歴206(図6等参照)として継続的に記録するGPS機能付きドライブレコーダーなどの撮影装置が用いられる。撮影装置7は列車100内のコンピュータ8に接続される。コンピュータ8は前記の制御部31、記憶部32、通信部33と同様の制御部、記憶部、通信部等を有し、画像処理装置3との間で無線による通信を行う。
【0032】
図5は画像処理装置3とユーザ端末5の機能構成を示す図である。図5に示すように、画像処理装置3は、動画受信手段301、撮影画像受信手段302、画像処理手段303、送信手段304等を有し、ユーザ端末5は、撮影画像送信手段501、受信手段502等を有する。
【0033】
画像処理装置3の動画受信手段301は、画像処理装置3の制御部31が、列車100の撮影装置7によって車外の風景を撮影した動画等を通信部33を介して列車100から受信するものである。
【0034】
撮影画像受信手段302は、画像処理装置3の制御部31が、ユーザが列車100の車内から車外の風景を撮影した撮影画像を通信部33を介してユーザ端末5から受信するものである。
【0035】
画像処理手段303は、画像処理装置3の制御部31が、ユーザ端末5から受信した撮影画像の画像処理を行うものである。この画像処理の詳細については後述する。
【0036】
送信手段304は、画像処理装置3の制御部31が、画像処理後の撮影画像を通信部33を介してユーザ端末5に送信するものである。
【0037】
また画像処理装置3の記憶部32には、撮影装置7で撮影された、列車100の運行中の車外の風景の動画等を含む動画データ200が記憶され、画像処理手段303による画像処理に利用される。
【0038】
図6はこの動画データ200を示す図である。図6に示すように、動画データ200は、列車ID201、カメラ位置202、日付203、動画204、撮影時刻205、位置履歴206等を有する。
【0039】
列車ID201は、列車100を識別する識別情報であり、例えば車両名とその出発時刻などを用いるが、これに限らない。
【0040】
カメラ位置202は、撮影装置7の列車100内での位置を示す情報である。前記したように、本実施形態では撮影装置7が列車100の左右に設けられており、カメラ位置202は例えば「車両右」「車両左」などとする。
【0041】
日付203は列車100が運行した日付である。
【0042】
動画204は、各撮影装置7で車外の風景を撮影した動画ファイルである。
【0043】
撮影時刻205は動画204の撮影時刻であり、位置履歴206は、動画204の撮影中の撮影装置7の位置の変化(列車100の移動に伴う変化)を示す情報である。
【0044】
本実施形態では、上記の撮影時刻205と位置履歴206により、図7に示すように、動画204中のフレーム画像204aとその撮影時の時刻および撮影装置7の位置が対応付けられており、当該時刻あるいは位置を特定することで、当該時刻あるいは位置に対応するフレーム画像204aを動画204から切り出すことができる。
【0045】
図5の説明に戻る。ユーザ端末5の撮影画像送信手段501は、ユーザ端末5の制御部51が、運行中の列車100の車内から車外の風景を撮影した撮影画像を、通信部55を介して画像処理装置3に送信するものである。
【0046】
受信手段502は、ユーザ端末5の制御部51が、前記した画像処理後の撮影画像を、通信部55を介して画像処理装置3から受信するものである。
【0047】
(2.画像提供方法)
次に、図8等を参照して画像提供システム1で実施される画像提供方法について説明する。図8は画像提供方法について示すフローチャートであり、S1~S2、S4~S6は画像処理装置3の制御部31が画像処理装置3の各部を制御して実行する処理である。S3、S7はユーザ端末5の制御部51がユーザ端末5の各部を制御して実行する。
【0048】
本実施形態において、列車100は、運行の開始(始発駅からの出発)と同時に撮影装置7による車外の風景の撮影を開始し、運行の終了(終点駅への到着)とともに撮影を終了する。撮影装置7は、撮影した動画204を、その撮影時刻205や撮影装置7の位置履歴206等とともにコンピュータ8の記憶部等に記録する。
【0049】
一方、ユーザは、列車100の運行中、ユーザ端末5を操作してアプリを起動し、列車ID201等を入力してメニュー画面(不図示)で撮影を行うことを選択する。すると、ユーザ端末5の制御部51はカメラ56を起動し、ユーザは車内の任意の位置から車外の風景をカメラ56によって撮影する。撮影画像は列車ID201等と紐づけてユーザ端末5の記憶部52に記録される。撮影画像は、その撮影時刻や撮影位置(撮影時のユーザ端末5の位置)などのメタデータとともに記録される。
【0050】
列車100の運行が終了すると、列車100(コンピュータ8)は、列車ID201、カメラ位置202、日付203、動画204、撮影時刻205、位置履歴206等の動画データ200を画像処理装置3に送信する。画像処理装置3はこれらの動画データ200を受信する(S1)と、記憶部32に記録する(S2)。
【0051】
一方、ユーザは、ユーザ端末5を操作してアプリを起動し、列車ID201等を入力してメニュー画面(不図示)で撮影画像の画像処理を行うことを選択する。本実施形態では、この時ユーザ端末5の表示部53に、図9(a)に示すように列車ID201と紐づけて記録された1または複数の撮影画像300が選択可能に表示される。ユーザは、この選択画面において画像処理を行う撮影画像300を選択する。なお、図9(a)の選択画面では複数の撮影画像300が選択可能になっており、選択された撮影画像300にはその選択順を示すマーク401が表示される。
【0052】
ユーザ端末5は、画像処理を行う撮影画像300が選択されると、選択された撮影画像300を画像処理装置3に送信する(S3)。撮影画像300は前記した撮影時刻や撮影位置などのメタデータとともに画像処理装置3に送信される。
【0053】
画像処理装置3は、撮影画像300を上記のメタデータとともに受信する(S4)と、撮影画像300の画像処理を行い(S5)、画像処理後の撮影画像をユーザ端末5に送信する(S6)。
【0054】
ユーザ端末5は、画像処理後の撮影画像を受信する(S7)と、図9(b)に示すように画像処理後の撮影画像300aを画像処理前の撮影画像300とともに表示部53に表示する。
【0055】
図9(b)からわかるように、本実施形態では、画像処理後の撮影画像300aが、画像処理前の撮影画像300の車内の部分a(図中斜線部で示す)を、窓枠内に写された車外の風景bに対応する風景としたものとなっている。これにより、画像処理後の撮影画像300aは、あたかも車外で撮影したような、風景の全体像を捉えた画像となっている。以下、この画像処理の手順について図10等を参照して説明する。
【0056】
(3.撮影画像300の画像処理)
図10は、図8のS5における画像処理の手順について示すフローチャートである。
【0057】
本実施形態では、列車100の撮影装置7で撮影した動画204中のフレーム画像204aを用いて上記の画像処理を行う。そこでS5では、まず画像処理に用いる動画204として、列車100の左右に備えた撮影装置7のうち、どちらの撮影装置7で撮影した動画204を用いるかを選択する(S51)。
【0058】
本実施形態では撮影画像300の撮影位置の情報を参照し、図11に示すように、撮影画像300の撮影位置Aと列車100の左右の撮影装置7の位置履歴206とを比較する。そして、撮影位置Aがどちらの撮影装置7の位置履歴206に近かったかにより、画像処理に用いる動画204を選択する。
【0059】
例えば、撮影画像300の撮影位置Aが、カメラ位置202が「車両左」の撮影装置7の位置履歴206により近い場合、撮影画像300の撮影位置が列車100内の左側であり、列車100の左側の風景を撮影していたものとする。従って、カメラ位置202が「車両左」の撮影装置7で撮影した動画204を画像処理に用いることとする。
【0060】
画像処理装置3は、次に、撮影画像300の画像処理に用いるフレーム画像204aを、上記選択した動画204から切り出す(S52)。
【0061】
本実施形態では、撮影画像300の撮影時刻の情報を参照し、図12(a)に示すように、動画204のなかから、撮影画像300の撮影時刻に対応する撮影時刻のフレーム画像204aを切り出す。例えば、撮影画像300の撮影時刻が11:00:00であった場合、動画204のなかから、撮影時刻が11:00:00であるフレーム画像204aを切り出す。
【0062】
次に、画像処理装置3は、図12(b)に示すように、撮影画像300から人物画像cを抽出し(S53)、その人物画像cを上記のフレーム画像204aと合成する(S54)。
【0063】
人物画像cの抽出については、AI(人工知能)を利用した既知の人物抽出技術を用いることができるが、これに限らない。またフレーム画像204aについては、その風景の画角を撮影画像300中の窓枠内の風景bの画角と合わせる、フレーム画像204aのサイズを撮影画像300のサイズと一致させるなどの画像編集を必要に応じて行い、人物画像cは、撮影画像300上の位置に対応するフレーム画像204a上の位置に配置する。
【0064】
これにより、図9(b)で説明した画像処理後の撮影画像300aのように、撮影画像300の車内の部分aを、撮影画像300の風景bに対応するフレーム画像204aの風景とした撮影画像300aが得られる。なお、撮影画像300の車内の部分aのみを、上記フレーム画像204aの当該部分aに対応する範囲で置き換えてもよく、これによっても、撮影画像300の車内の部分aを、撮影画像300の風景bに対応するフレーム画像204aの風景とした画像処理後の撮影画像300aが得られる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、ユーザが車内から車外を撮影した撮影画像300について、列車100に備えた撮影装置7で車外を撮影した動画204中のフレーム画像204aを用い、車内の部分aを車外の風景とする。これにより、ユーザの撮影した撮影画像300が、あたかも車外で撮影したかのような、風景の全体像を捉えた撮影画像300aとなり、列車100の乗客に対し魅力的な撮影サービスを提供することができる。
【0066】
また本実施形態では、画像処理を行うに際し、前記のように撮影画像300の撮影時刻を参照し、動画204から当該撮影時刻に対応するフレーム画像204aを切り出すことができる。
【0067】
また本実施形態では、撮影画像300から人物画像cを抽出し、フレーム画像204aと合成するので、ユーザは、撮影画像300の車内の部分aを車外の風景とし、且つ当該撮影画像300中の人物が写った画像処理後の撮影画像300aを得ることができる。
【0068】
また本実施形態の画像処理装置3は、列車100に備えた撮影装置7で撮影した動画204を、列車100の運行後等に列車100から受信し、これを画像処理に用いることができる。
【0069】
また本実施形態では、撮影画像300の撮影位置の情報を用い、列車100の左右に取り付けた撮影装置7のそれぞれで列車100の左右の風景を撮影した動画204のうち、どちらの動画204を画像処理に用いるかを選択するので、ユーザが列車100から左右どちらの風景を撮影していたかに応じて、これに適した動画204を画像処理に用いることができる。
【0070】
しかしながら、本実施形態は以上の実施形態に限らない。例えば本実施形態では列車100の乗客に提供する撮影サービスの例を説明したが、本発明は、列車100に限らず、観光バスなど車両全般の乗客に対する撮影サービスとして適用することができる。
【0071】
また本実施形態ではフレーム画像204aの切り出しに撮影画像300の撮影時刻を用いているが、この場合、図13(a)に示すように、列車100内のユーザの位置と撮影装置7の位置の差dにより、ユーザ端末5と撮影装置7が同時刻に撮影した風景に微妙な差異が存在する。従って、撮影画像300の風景bとS52で切り出されるフレーム画像204aの風景にわずかな違いが生じる。
【0072】
このような違いが問題になる場合は、図13(b)に示すように、列車100の前後方向に複数の撮影装置7を設け、ユーザの位置に近い撮影装置7の動画204を用いることで、上記の差dを小さくすることも可能である。この場合、ユーザは、撮影画像300の画像処理を行うにあたり、ユーザの車内における位置情報(例えば座席位置など)をユーザ端末5に入力して画像処理装置3に送信し、画像処理装置3は、当該位置情報を参照し、ユーザの位置に近い撮影装置7の動画204を画像処理に用いる。
【0073】
また図13(a)のケースにおいても、撮影画像300の画像処理を行うにあたり、ユーザの車内における位置情報をユーザ端末5に入力して画像処理装置3に送信することで、画像処理装置3は、撮影画像300の撮影時刻から前記の差dに相当する時間(例えば、差dを列車100の速度で割った時間)だけずらした撮影時刻のフレーム画像204aを切り出し、画像処理に用いることができる。
【0074】
その他、画像認識技術を用いたフレーム画像204aの切り出しも可能で、例えば撮影画像300の撮影時刻を含む一定範囲の撮影時刻のフレーム画像204aを全て抜き出し、その中から撮影画像300中の風景bとの一致度が最も高いフレーム画像204aを画像処理に用いることもできる。
【0075】
さらに、フレーム画像204aの切り出し時に、撮影画像300の撮影位置を参照することも可能である。フレーム画像204aの切り出し方法は、撮影画像300の撮影時刻を参照した場合と同じであり、撮影画像300の撮影位置に対応する位置(撮影画像300の撮影位置に最も近い位置)で撮影されたフレーム画像204aを切り出せばよい。GPSの精度等にもよるが、この場合、ユーザ端末5と撮影装置7が同位置で撮影した風景に差はないため、前記のような違いはほとんど生じない。
【0076】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0077】
1:画像提供システム
3:画像処理装置
5:ユーザ端末
7:撮影装置
100:列車
200:動画データ
202:カメラ位置
203:日付
204:動画
204a:フレーム画像
205:撮影時刻
206:位置履歴
300、300a:撮影画像
301:動画受信手段
302:撮影画像受信手段
303:画像処理手段
304:送信手段
501:撮影画像送信手段
502:受信手段
図1
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