(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】コンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20241126BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241126BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20241126BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/53 V
G01N33/53 D
G01N33/53 Y
G01N27/62 V
(21)【出願番号】P 2022535227
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 KR2020008322
(87)【国際公開番号】W WO2021167177
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019622
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0056180
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521533463
【氏名又は名称】イノベイション バイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】InnoBation Bio Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ビョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギョンヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェグァン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、サンミョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ボムギュ
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/049385(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/190379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
A61K 38/00 - 45/08
A61K 48/00 - 51/12
C12N 1/00 - 7/08
C12N 15/00 - 15/90
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体C7(Complement Component C7)を含み、がん細胞に対するPD-1(Programmed Cell Death Protein 1)免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測し、
血液から抽出されることを特徴と
し、且つ、
前記補体C7のタンパク質量は、定量分析を通じて測定することを特徴とする、
コンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項2】
前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、AZGP1(Zinc-Alpha-2-Glycoprotein)、補体C5(Complement Component C5)、IHKV4-1(Immunoglobulin Kappa Variable 4-1)、MAN1A(Mannosyl-Oligosaccharide 1,2-Alpha-Mannosidase 1A)、A2M(Alpha-2-Macroglobulin)、SPP1(Osteopontin)およびHYOU1(Hypoxia Up-Regulated Protein 1)からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーをさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項3】
前記補体C7のタンパク質量は、タンパク質質量分析、タンパク質チップ分析、免疫測定法、リガンドバインディングアッセイ、MALDI-TOF(Matrix Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定分析法、2次元電気泳動分析、液体クロマトグラフィー-質量分析(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry,LC-MS)、LC-MS/MS(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry)、ウェスタンブロットおよびELISA(Enzyme Linked Immunosorbentassay)からなる群から選択されるいずれか一つの方法で測定されることを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項4】
前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比して前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群における前記補体C7の量が減少することを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項5】
前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比して前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群における前記補体C7の量が増加することを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項6】
前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比して前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群における前記補体C7の量が減少することを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項7】
前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比して前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群における前記補体C7の量が増加することを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項8】
前記補体C7のタンパク質量に対するカットオフ値は、100~110μg/mLの範囲内であることを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項9】
前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いことを特徴とする
請求項8に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項10】
前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いことを特徴とする
請求項8に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項11】
前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いことを特徴とする
請求項8に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項12】
前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いことを特徴とする
請求項8に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項13】
前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)タンパク質をさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項14】
前記がん細胞は、前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤および前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に特異的に反応するがん腫に該当するがん細胞であることを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項15】
前記がん細胞は、肺がん、肝がん、胃がん、胃と胃食道接合部腺がん、皮膚黒色腫、頭頸部がん、骨がん、すい臓がん、皮膚がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、大腸がん、結腸がん、乳がん、子宮肉腫、ラッパ管がん腫、子宮内膜がん腫、子宮頸部がん腫、膣がん腫、外陰部がん腫、食道がん、喉頭がん、小腸がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性または急性白血病、幼年期の固形腫瘍、分化リンパ腫、膀胱がん、腎臓がん、腎細胞がん腫、腎臓骨盤がん腫、原発性中枢神経系リンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹部神経膠腫および脳下垂体腺腫からなる群から選択されるいずれか一つのがん腫に該当するがん細胞であることを特徴とする
請求項1に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【請求項16】
前記がん細胞は、肺がんまたは肝がんに該当するがん細胞であることを特徴とする
請求項15に記載のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットに関し、具体的には、PD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応予測のためのコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンパニオン診断(Companion Diagnosis)は、患者の特定薬物治療に対する反応性をあらかじめ予測するための診断技法である。がん細胞および正常細胞に対して全部作用して、副作用が大きい従来の大部分の抗がん剤の短所を克服するために、特定の標的タンパク質を選択的に攻撃する標的抗がん剤、抑制されていた人体の免疫体系を活性化させてがん細胞を死滅させる免疫抗がん剤などが開発された。
【0003】
しかしながら、標的抗がん剤は、同じ種類のがんであるとしても、特定の標的タンパク質を有するがん患者にのみ効果を示すので、このような標的タンパク質を有する患者を選別しなければ、治療効率が非常に低い。また、標的抗がん剤は、細胞死滅より細胞成長や増殖阻害に依存するので、長期間にわたって持続的な薬物投与による耐性発生の可能性が高い。したがって、抗がん剤の標的に対する分析を通じて薬物を投与する前に薬物に効果を示す患者群を選別することが必要である。
【0004】
免疫抗がん剤は、免疫体系の特異性(specificity)、記憶能力(memory)、適応力(adaptiveness)を増強させることによって、抗がん効果を示す。すなわち人体の免疫システムを利用して正確にがん細胞のみを攻撃して、副作用が少なく、免疫システムの記憶能力と適応力を利用するので、免疫抗がん剤に効果がある患者は、持続的な抗がん効果を奏することができる。しかしながら、免疫抗がん剤も、同様に、同じ種類のがんであるとしても、特定患者によって抗がん効果の程度が異なるので、免疫抗がん剤を通した患者の治療反応性をあらかじめ予測するためのコンパニオン診断が必要である。
【0005】
特定薬物治療に効果を示す患者群を選別するために、コンパニオン診断用バイオマーカーが用いられるが、ここで、コンパニオン診断用バイオマーカーとは、患者の特定薬物治療に対する反応性をあらかじめ予測するための指標であり、タンパク質、DNA,RNA、代謝物質などを含んでもよい。すなわち、特定疾患やがんの場合、正常または病的な状態を区分できたり、治療反応を予測でき、客観的に測定できる標識子を意味する。
【0006】
一方、製薬会社の新薬開発費用の削減と標的抗がん剤に対する需要の増加に伴い、コンパニオン診断の世界市場は、2013~2019年間に毎年18%ずつ成長して、2019年にその規模が約58億ドルに達すると推定されている。
【0007】
例えば、多国籍製薬会社の一つであるRocheは、最初の乳がん標的抗がん剤である「Herceptin」とこれに対するコンパニオン診断キットである「Herceptest」を開発したGenentechを買収して、コンパニオン診断基盤の抗がん剤治療を始めることになった。
【0008】
コンパニオン診断キットは、DAKO、HercepTestのような免疫組織化学検査を通じて特定タンパク質の過発現を確認する方法、Ventana Medical Systems、INFORM HER-2/NEUのような特定遺伝子の遺伝子増幅をDNA probeを利用したFISHまたはCISH検査を通じて確認する方法、そして、Roche Diagnostics、cobas EGFR mutation testのようなq-PCRなど遺伝学的技法を利用してバイオマーカー遺伝子の突然変異の有無を検査して確認する方法などがある。
【0009】
一方、免疫抗がん剤には、受動免疫治療と能動免疫治療とに区分できるが、受動免疫治療には、免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor)、免疫細胞治療剤(immune cell therapy)、治療用抗体(therapeutic antibody)などがある。免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞阻害に関与する免疫チェックポイントタンパク質(immune checkpoint protein)の活性化を遮断してT細胞を活性化させてがん細胞を攻撃する薬剤であり、CTLA-4、PD-1、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤などがある。
【0010】
PD-1免疫チェックポイント阻害剤は、2世代免疫抗がん剤であり、メルク社が開発したペムブロリズマブ(Pembrolizumab、キイトルーダ(KEYTRUDA登録商標))と小野薬品工業とBMS社が開発したニボルマブ(Nivolumab、オプジーボ(OPDIVO登録商標))が2014年に米FDAで承認され、ジェネンテック/ロシュ社が開発したPD-L1免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブ(Atezolizumab、 テセントリク(Tecentriq登録商標))が2016年に米FDAで承認された。
【0011】
PD-1を媒介とするリンパ球陰性調節(PD-1とPD-L1およびPD-L2リガンド間の相互作用)を遮断するヒト型抗PD-1モノクローナル抗体またはヒト型抗PD-L1モノクローナル抗体で免疫力を増強させて、がん細胞を異物として認識してこれを除去する作用機序を有している。
【0012】
ペムブロリズマブは、悪性黒色腫(Malignant Melanoma)、非小細胞性肺がん(Non-Small Cell Lung Cancer)、頭頸部扁平上皮細胞がん(Head And Neck Squamous Cell Cancer)、古典的ホジキンリンパ腫(Hodgkin Lymphoma)、尿路上皮がん(Urothelial Carcinoma)、ミスマッチ修復欠損(Deficient Mismatch Repair,dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability-High,MSI-High)を示すすべての固形がん、そして、胃と胃食道接合部腺がん(Adenocarcinoma)の治療においてFDA承認を受け、ニボルマブは、多様な進行性がんに対する臨床研究において臨床的な利得を示して、最近、黒色腫、非小細胞肺がん、腎臓がんなどにおいて薬剤として承認を受けて広く使用されている。
【0013】
また、ペムブロリズマブが特定患者に免疫抗がん剤として抗がん効果を効率的に示すか否かを判断するために使用されるコンパニオン診断検査法で胃と胃食道接合部腺がん組織を採取して分析する「PD-L1 IHC 22C3 pharmDx test」がある。PD-L1 IHC 22C3 pharmDx testは、免疫組織化学染色(Immunohistochemistry,IHC)方法の一つであり、DAKO社のPD-L1 IHC 22C3 pharmDx製品を使用して生検がん細胞のPD-L1発現率を観察して、ペムブロリズマブの治療に適した患者群を選別するのに使用する検査法である。同様に、ニボルマブに関するコンパニオン診断検査法として「VENTANA PD-L1(SP263)Assay検査」、「PD-L1 IHC 28-8 pharmDx test」などがある。
【0014】
ただし、このような従来のコンパニオン診断検査は、患者の腫瘍の一部組織(405μm)を引き剥がして、PD-L1発現を測定するが、患者の組織サンプリングによってPD-L1発現程度が異なり、分析結果を得るのに3週以上の時間がかかるだけでなく、免疫抗がん剤に効果を示す患者群を選別する正確性が多少落ちるという問題点が存在する。
【0015】
これによって、本発明者らは、このようなコンパニオン診断検査の技術的限界を克服するために、組織における測定だけでなく、血液上のプロテオーム解析を通じてPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応予測のためのコンパニオン診断バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断キットを開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したような問題点を解決するために、本発明は、がん患者の組織を通したコンパニオン診断だけでなく、がん患者の血液内プロテオーム解析を通じてPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応予測のためのコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群とその効果を示さない非反応患者群を選別する正確度が高いPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応予測のためのコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットを提供することを他の目的とする。
【0018】
また、本発明は、より正確にPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に適した患者群を判別できるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットを提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記のような目的を達成するために、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、補体C7(Complement Component C7)を含み、がん細胞に対するPD-1(Programmed Cell Death Protein 1)免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測することを特徴とする。
【0020】
ここで、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、AZGP1(Zinc-Alpha-2-Glycoprotein)、補体C5(Complement Component C5)、IHKV4-1(Immunoglobulin Kappa Variable 4-1)、MAN1A(Mannosyl-Oligosaccharide 1,2-Alpha-Mannosidase 1A)、A2M(Alpha-2-Macroglobulin)、SPP1(Osteopontin)およびHYOU1(Hypoxia Up-Regulated Protein 1)からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーをさらに含んでもよい。
【0021】
ここで、前記補体C7のタンパク質量は、定量分析を通じて測定できる。
【0022】
ここで、前記補体C7のタンパク質量は、タンパク質質量分析、タンパク質チップ分析、免疫測定法、リガンドバインディングアッセイ、MALDI-TOF(Matrix Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定分析法、2次元電気泳動分析、液体クロマトグラフィー-質量分析(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry,LC-MS)、LC-MS/MS(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry)、ウェスタンブロットおよびELISA(Enzyme Linked Immunosorbentassay)からなる群から選択されるいずれか一つの方法で測定できる。
【0023】
ここで、前記補体C7は、前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比して前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の量が減少することができる。
【0024】
ここで、前記補体C7は、前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比して前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の量が増加することができる。
【0025】
ここで、前記補体C7は、前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比して前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の量が減少することができる。
【0026】
ここで、前記補体C7は、前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比して前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の量が増加することができる。
【0027】
ここで、前記補体C7のタンパク質量に対するカットオフ値は、100~110μg/mLの範囲内でありうる。
【0028】
ここで、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いものでありうる。
【0029】
ここで、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いものでありうる。
【0030】
ここで、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いものでありうる。
【0031】
ここで、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いものでありうる。
【0032】
ここで、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、血液、血清、血漿および組織からなる群から選択されるいずれか一つから抽出されたものでありうる。
【0033】
ここで、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、血液から抽出されたものでありうる。
【0034】
ここで、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、組織から抽出されたものでありうる。
【0035】
ここで、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)タンパク質をさらに含んでもよい。
【0036】
ここで、前記がん細胞は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に特異的に反応するがん腫に該当するがん細胞でありうる。
【0037】
ここで、前記がん細胞は、肺がん、肝がん、胃がん、胃と胃食道接合部腺がん、皮膚黒色腫、頭頸部がん、骨がん、すい臓がん、皮膚がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、大腸がん、結腸がん、乳がん、子宮肉腫、ラッパ管がん腫、子宮内膜がん腫、子宮頸部がん腫、膣がん腫、外陰部がん腫、食道がん、喉頭がん、小腸がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性または急性白血病、幼年期の固形腫瘍、分化リンパ腫、膀胱がん、腎臓がん、腎細胞がん腫、腎臓骨盤がん腫、原発性中枢神経系リンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹部神経膠腫および脳下垂体腺腫からなる群から選択されるいずれか一つのがん腫に該当するがん細胞でありうる。
【0038】
ここで、前記がん細胞は、肺がんまたは肝がんに該当するがん細胞でありうる。
【0039】
ここで、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と同時にまたは順次に併用投与されるものでありうる。
【0040】
一方、本発明によるコンパニオン診断用キットは、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を含んでもよい。
【発明の効果】
【0041】
上述したような本発明のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットは、がん患者の組織を通したコンパニオン診断だけでなく、がん患者の血液内プロテオーム解析を通じてPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応を予測できる効果がある。
【0042】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と効果を示さない非反応患者群とを選別する正確度が高いという長所がある。
【0043】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットは、より正確にPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に適合した患者群を判別できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1a~
図1iは、順に補体C7、HRG、AZGP1、補体C5、IGKV4-1、MAN1A、A2M、SPP1およびHYOU1のコンパニオン診断用バイオマーカー9種に対して、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測したコンパニオン診断結果をグラフで示す図である。
図2aは、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通した肺がん患者10人に対するコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
図2bは、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通した肺がん患者11人に対するコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
図2cは、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通した肺がん患者全体21人に対するコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
図3は、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物においてバイオマーカーIGKV4-1をさらに含む場合のコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、補体C7(Complement Component C7)を含み、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本出願において使用する用語は、単に特定の例示を説明するために使用されるものである。これによって、例えば、単数の表現は、文脈上明白に単数でなければならない限り、複数の表現を含む。なお、本出願において使用される「含む」または「具備する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、段階、機能、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを明確に指すために使用されるものであり、他の特徴や段階、機能、構成要素またはこれらを組み合わせたものの存在を予備的に排除するために使用されるものではないことに留意しなければならない。
【0047】
一方、特に別途に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有するものと見なすべきである。したがって、本明細書において明確に定義しない限り、特定用語が過度に理想的または形式的な意味と解すべきものではない。
【0048】
本明細書において「コンパニオン診断(Companion Diagnosis)」とは、患者の特定薬物治療に対する反応性をあらかじめ予測するための診断技法を意味する。
【0049】
本明細書において「コンパニオン診断用バイオマーカー」とは、患者の特定薬物治療に対する反応性をあらかじめ予測するための指標であり、タンパク質、DNA、RNA、代謝物質などを含んでもよい。すなわち、特定疾患やがんの場合、正常または病的な状態を区分できたり、治療反応を予測でき、客観的に測定できる標識子を意味する。
【0050】
本明細書において「免疫チェックポイント阻害剤」とは、免疫関門阻害剤(Immune Checkpoint Inhibitor)と同義語であり、T細胞阻害に関与する免疫チェックポイントタンパク質(Immune Checkpoint Protein)の活性化を遮断してT細胞を活性化させてがん細胞を攻撃する薬剤であり、本明細書上では、PD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤について開示し、前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤または、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブまたはアテゾリズマブでありうるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
<コンパニオン診断用バイオマーカー組成物>
本発明者は、上で述べた課題を解決するために研究した結果、下記のような発明を考案するに至った。本明細書は、補体C7(Complement Component C7)を含み、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測することを特徴とする、コンパニオン診断用バイオマーカー組成物を開示する。
【0052】
体内免疫機能は、抗原認知と同時に、このような同時刺激(Co-Stimulatory)シグナルおよび同時阻害(Co-Inhibitory)シグナルの調節を通じて全体的なT細胞機能を調節する。したがって、免疫細胞は、がん細胞で起こる突然変異などの変化によって発現する腫瘍特異抗原を感知し、がん細胞を除去する。しかしながら、がん細胞は、免疫攻撃を回避するために、腫瘍微小環境を変化させて免疫機能を阻害したり、T細胞免疫寛容(Immunetolerance)または免疫編集(Immuno-Editing)などを通じて免疫回避(Immune Escape)をしようとする。このような回避戦略の一つとして免疫チェックポイントの機能を変化させてT細胞の機能を阻害するが、すなわち免疫関門は、がん細胞の破壊を妨害するタンパク質であり、がんは、阻害免疫チェックポイントを活性化させてT細胞の攻撃を回避する。
【0053】
このようなT細胞の免疫反応は、加速機(Accelerator)の役割をする同時刺激受容体、制動機の役割をする同時阻害受容体、およびそれぞれの受容体と結合するリガンド(Ligand)の相互作用が視空間的に非常に精巧に作動する。一方、T細胞のPD-1は、がん細胞のPD-L1/PD-L2を通じて末梢組織でT細胞機能を調節する。すなわち、がん細胞のPD-L1とT細胞のPD-1が結合すると、T細胞が機能を喪失し、死滅することになる。免疫チェックポイント阻害剤は、サイトカイン治療剤、抗がんワクチンなどのような従来の免疫治療剤とは異なって、がん細胞とT細胞の結合部位に結合して免疫回避シグナルを遮断することによって、免疫学的シナプスが形成されず、これによって、免疫回避の妨害を受けないT細胞ががん細胞を破壊する機序を有している。すなわち、PD-1抗体またはPD-L1抗体がPD-L1とPD-1の結合部位の間にあらかじめ結合すると、免疫回避シグナルが遮断され、免疫回避シグナルを受けなかったT細胞は、がん細胞を死滅する。
【0054】
本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、補体C7(Complement Component C7)を含み、前記C7は、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断用バイオマーカーとして用いられ得る。
【0055】
本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれた補体C7(Complement component C7)は、バイオマーカーとして人体の抗原-抗体免疫反応を調節する役割をし、細胞膜傷害複合体(Membrane Attack Complex,MAC)を形成して病原体を溶解させる。遺伝子オントロジー(Gene ontology)分類によれば、免疫反応および溶解に関与するタンパク質であり、該遺伝子情報は、GeneBank Accession No.,Uniprotなどから探すことができる。しかしながら、前記補体C7のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)の反応性予測に関する直接的な関連性はどこにも開示されていない。
【0056】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、前記補体C7のタンパク質量を測定する製剤をさらに含んでもよい。
【0057】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、AZGP1(Zinc-Alpha-2-Glycoprotein)、補体C5(Complement Component C5)、IHKV4-1(Immunoglobulin Kappa Variable 4-1)、MAN1A(Mannosyl-Oligosaccharide 1,2-Alpha-Mannosidase 1A)、A2M(Alpha-2-Macroglobulin)、SPP1(Osteopontin)およびHYOU1(Hypoxia Up-Regulated Protein 1)からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーをさらに含んでもよい。
【0058】
本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれたHRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、AZGP1(Zinc-Alpha-2-Glycoprotein)、補体C5(Complement Component C5)、IHKV4-1(Immunoglobulin Kappa Variable 4-1)、MAN1A(Mannosyl-Oligosaccharide 1,2-Alpha-Mannosidase 1A)、A2M(Alpha-2-Macroglobulin)、SPP1(Osteopontin)およびHYOU1(Hypoxia Up-Regulated Protein 1)は、バイオマーカーとして人体の抗原-抗体免疫反応を調節する役割をし、遺伝子オントロジー(Gene ontology)分類によれば、免疫反応および溶解に関与するタンパク質であり、該遺伝子情報は、GeneBank Accession No.,Uniprotなどから探すことができる。しかしながら、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1,MAN1A、A2MおよびHYOU1のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性予測に関する直接的な関連性は、どこにも開示されていない。
【0059】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量を測定する製剤をさらに含んでもよい。
【0060】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記補体C7のタンパク質量は、定量分析を通じて測定できる。また、前記補体C7のタンパク質量は、プロテオーム解析法を通じて定性分析、定量分析または定性分析と定量分析を共に行うこともできる。
【0061】
同様に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量は、定量分析を通じて測定できる。また、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量は、プロテオーム解析法を通じて定性分析、定量分析および定性分析と定量分析を共に行うこともできる。
【0062】
本明細書において「タンパク質量」とは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に特異的に反応するがん腫に該当するがん患者にPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を処理して、前記がん患者の血液内タンパク質の存在の有無と測定程度を確認する過程を意味する。前記タンパク質またはペプチド断片に特異的に結合する抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子(Nanoparticles)またはアプタマー(Aptamer)を利用してタンパク質の量を確認できるだけでなく、当該タンパク質またはペプチド断片に特異的な親和力(Affinity)を有するすべての検出手段を含んでもよい。より好ましくは、抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子(Nanoparticles)またはアプタマー(Aptamer)を利用せずにタンパク質量自体を測定できる。
【0063】
本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において、前記タンパク質量測定または比較分析方法としては、タンパク質質量分析、タンパク質チップ分析、免疫測定法、リガンドバインディングアッセイ、MALDI-TOF(Matrix Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定分析法、2次元電気泳動分析、液体クロマトグラフィー-質量分析(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry,LC-MS)、LC-MS/MS(Liquid Chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry)、ウェスタンブロットおよびELISA(Enzyme Linked Immunosorbentassay)からなる群から選択されるいずれか一つの方法で測定または比較分析することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0064】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記補体C7のタンパク質量を測定する製剤は、前記補体C7のタンパク質に特異的に結合する抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子およびアプタマーからなる群から選択されるいずれか一つ以上を含んでもよい。前記抗体は、抗原性部位に対して標識される特異的なタンパク質分子を意味するが、本発明の目的上、前記抗体は、前記補体C7のタンパク質に対して特異的に結合する抗体を言い、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および組換え抗体を全部含む。前記抗体を生成することは、当業界において広く公知となった技術を利用して容易に製造することができる。また、前記抗体は、2個の全長の軽鎖および2個の全長の重鎖を有する完全な形態だけでなく、前記抗体分子の機能的な断片を含む。前記抗体分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab,F(ab’)、F(ab’)2およびFvなどがある。
【0065】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量を測定する製剤は、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質に特異的に結合する抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子およびアプタマーからなる群から選択されるいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0066】
本明細書において「アプタマー(Aptamer)」とは、単一、二重らせんのDNA、RNA形態で特定ターゲットタンパク質との3次元結合を通じてタンパク質の相互作用を阻害する生高分子物質であり、多様な標的分子に結合する特徴を有する。通常、アプタマーは、規定された2次および3次構造、例えばステム-ループ構造に折りたたまれる15~50塩基長さの小さい核酸でありうる。アプタマーは、10-6、10-8、10-10、または10-12より少ないkdで標的高発現タンパク質または低発現タンパク質と結合することが好ましい。前記アプタマーは、非常に高度な特異性を有する高発現タンパク質または低発現タンパク質と結合することができ、前記アプタマーは、多数のリボヌクレオチド単位、デオキシリボヌクレオチド単位、または2つの類型のヌクレオチド残基の混合物からなり得る。また、前記アプタマーは、一つ以上の変形された塩基、糖またはホスフェート主鎖単位をさらに含んでもよい。
【0067】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれた補体C7は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の量が減少することを特徴とする。
【0068】
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれた補体C7は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の量が増加することを特徴とする。
【0069】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれた補体C7は、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の量が減少することを特徴とする。
【0070】
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれた補体C7は、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の量が増加することを特徴とする。
【0071】
本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において、前記補体C7のタンパク質量に対するカットオフ値は、90~120μg/mLの範囲内であることが好ましく、より具体的に、100~110μg/mLの範囲内であることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。前記カットオフ値は、測定するがん患者の数によってコンパニオン診断検査を行う実行者が任意に設定することができる。前記補体C7のタンパク質量に対するカットオフ値は、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を判断する基準になる値であり、より具体的に、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と効果を示さない非反応患者群とに分類する基準となる値を意味する。
【0072】
ここで、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いものでありうる。すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断を実施した結果、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いことを意味する。この場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群に分類することができる。
【0073】
反対に、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いものでありうる。すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断を実施した結果、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性は高いことを意味する。この場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群に分類することができる。
【0074】
前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いものでありうる。すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん細胞に対するPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断を実施した結果、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いことを意味する。この場合、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群に分類することができる。
【0075】
反対に、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いものでありうる。すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん細胞に対するPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断を実施した結果、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いことを意味する。この場合、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群に分類することができる。これと関連して具体的な内容は、下記{実施例および評価}で詳細に説明する。
【0076】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれたHRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の量が減少することを特徴とする。
【0077】
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれたHRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の量が増加することを特徴とする。
【0078】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量に対するカットオフ値は、50~150 ug/mLの範囲内であることが好ましいが、これに限定されるものではない。前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量に対するカットオフ値は、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を判断する基準となる値であり、より具体的に、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と効果を示さない非反応患者群とに分類する基準となる値を意味する。
【0079】
ここで、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いものでありうる。すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断を実施した結果、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が低いことを意味する。この場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群に分類することができる。
【0080】
反対に、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いものでありうる。すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断を実施した結果、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーのタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記がん細胞に対する前記PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が高いことを意味する。この場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤および/またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群に分類することができる。
【0081】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、血液、血清、血漿および組織からなる群から選択されるいずれか一つから抽出されることを特徴とする。また、本発明の一効果として、本発明は、従来の組織を通したコンパニオン診断だけでなく、血液内プロテオーム解析を通じてPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測できるという点が、本発明の一特徴といえる。
【0082】
すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、血液から抽出されたことが好ましいが、これに限定されるものではない。より具体的に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、がん患者の血液を対象にプロテオーム解析を通じてコンパニオン診断を行うことによって、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応を予測できる効果がある。
【0083】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、上述したように、組織から抽出されたものでありうるが、この場合、前記補体C7のタンパク質発現レベルは、定量分析を通じて測定できる。一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記補体C7は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の発現レベルが減少することを特徴とする。
【0084】
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記補体C7は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の発現レベルが増加することを特徴とする。
【0085】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記補体C7は、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の発現レベルが減少することを特徴とする。
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記補体C7は、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の発現レベルが増加することを特徴とする。
【0086】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の発現レベルが減少することを特徴とする。
【0087】
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の発現レベルが増加することを特徴とする。
【0088】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーは、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群と対比してPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群においてタンパク質の発現レベルが減少することを特徴とする。
【0089】
反対に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーは、PD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と対比してPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群においてタンパク質の発現レベルが増加することを特徴とする。
【0090】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を組織から抽出する場合、前記コンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)タンパク質をさらに含んでもよい。これによって、前記PD-L1タンパク質の発現レベルの測定と共に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてがん患者のPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応を予測することができる。
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記がん細胞は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤に特異的に反応するがん腫に該当するがん細胞であることを特徴とする。すなわち、本発明は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通じて抗がん治療が可能な対象がん腫であれば、いずれでも関係なくコンパニオン診断を行うことができる。
【0091】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記がん細胞は、肺がん、肝がん、胃がん、胃と胃食道接合部腺がん、皮膚黒色腫、頭頸部がん、骨がん、すい臓がん、皮膚がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、大腸がん、結腸がん、乳がん、子宮肉腫、ラッパ管がん腫、子宮内膜がん腫、子宮頸部がん腫、膣がん腫、外陰部がん腫、食道がん、喉頭がん、小腸がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性または急性白血病、幼年期の固形腫瘍、分化リンパ腫、膀胱がん、腎臓がん、腎細胞がん腫、腎臓骨盤がん腫、原発性中枢神経系リンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹部神経膠腫および脳下垂体腺腫からなる群から選択されるいずれか一つのがん腫に該当するがん細胞であることを特徴とする。
【0092】
より具体的に、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において前記がん細胞は、肺がんまたは肝がんに該当するがん細胞であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0093】
一方、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と同時にまたは順次に併用投与されることを特徴とする。
【0094】
<コンパニオン診断用キット>
一方、本明細書は、補体C7(Complement Component C7)を含み、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤(PD-1 Checkpoint Inhibitor)およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1 Checkpoint Inhibitor)のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測することを特徴とするコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を含む、コンパニオン診断用キットをさらに開示する。本発明によるコンパニオン診断用キットにおいて、コンパニオン診断用バイオマーカー組成物に関する事項は、上述した<コンパニオン診断用バイオマーカー組成物>を準用する。
本発明によるコンパニオン診断用キットは、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を含んでもよい。
【0095】
本発明によるコンパニオン診断用キットは、ELISA(Enzyme Linked Immunosorbentassay)キット、タンパク質チップキット、ラピッド(Rapid)キットおよびMRM(Multiple Reaction Monitoring)キットからなる群から選択されるいずれか一つのキットであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。この際、ELISAキット、タンパク質チップキット、ラピッド(Rapid)キットおよびMRM(Multiple Reaction Monitoring)キットからなる群から選択されるいずれか一つのキットは、公知の方法によって行われるキットでありうる。
【0096】
また、本発明によるコンパニオン診断用キットは、分析方法に適した一種類またはそれ以上の他の構成成分組成物、溶液または装置をさらに含んでもよい。
【0097】
本発明によるコンパニオン診断用キットは、ELISAを行うために必要な必須要素を含むことを特徴とする診断キットでありうる。前記ELISAキットは、前記タンパク質またはペプチド断片に特異的に結合する抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子(Nanoparticles)またはアプタマー(Aptamer)を含んでもよい。前記抗体は、各補体のタンパク質に対する特異性および親和性が高く、他のタンパク質に対する交差反応性が殆どない抗体であり、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または組換え抗体でありうる。また、ELISAキットは、前記タンパク質またはペプチド断片に特異的に結合する相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子(Nanoparticles)、アプタマー(Aptamer)または対照群タンパク質に特異的な抗体を含んでもよい。その他、前記ELISAキットは、結合した抗体を検出できる試薬、例えば、標識された2次抗体、発色団(Chromophores)、酵素(例:抗体とコンジュゲート(Conjugate)なる酵素)およびその基質または前記抗体と結合できる他の物質などを含んでもよい。
【0098】
以下、添付の図面および実施例を参照して本明細書が請求するところについてより詳しく説明する。ただし、本明細書において提示している図面~実施例などは、通常の技術者によって多様な方式で変形されて色々な形態を有することができるところ、本明細書の記載事項は、本発明を特定の開示形態に限定されるものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての均等物ないし代替物を含んでいるみのと見なすべきである。また、添付の図面は、本発明を通常の技術者に、より正確に理解できるように助けるために提示されるものであり、実際より誇張されたり縮小されて図示されることができる。
【0099】
{実施例および評価}
実施例1.補体C7を含むコンパニオン診断用バイオマーカー9種の選定
データマイニング(Data Mining)を通じて本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物に含まれるバイオマーカー候補9種を選別し、前記選別されたバイオマーカー候補9種に対する有効性検証(Validation Stage)を行った。
【0100】
すでに肺がん患者のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が判別された血液サンプル10種(以下、「Training Set」という)を準備した。ここで、前記血液サンプル10種は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群(Responder)の血液サンプル8種とPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)の血液サンプル2種であった。また、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群(Responder)の血液サンプル8種は、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)の血液サンプル5種と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)の血液サンプル3種とに分類した。
【0101】
すでに肺がん患者のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が判別された血液サンプル10種に関する具体的な情報は、下記表1の通りである。ただし、下記表1で、PDは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群を意味し、PRは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群を意味し、SDは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群を意味する。また、下記表1で、Mは、男性(Male)を示し、Fは、女性(Female)を示す。
【0102】
【0103】
すでに肺がん患者のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が判別された血液サンプル10種に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するために、前記血液サンプル10種から血漿をそれぞれ抽出した後、前処理過程を経て、TMT10同重化合物(TMT10 Isobaric Compounds)を利用して前記血漿10種に対してタンパク質分析(Proteome Analysis)を行って、前記選別されたバイオマーカー候補9種に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。ただし、ここで、前記タンパク質分析は、定量分析を通じて前記バイオマーカー候補9種に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。
【0104】
この際、前記バイオマーカー候補9種別に測定されるタンパク質量のカットオフ値をそれぞれ100μg/mLに設定して、前記バイオマーカー候補9種のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記バイオマーカー候補9種のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記バイオマーカー候補9種のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実施例1」という)した。
【0105】
評価1.補体C7を含むコンパニオン診断用バイオマーカー組成物の有効性評価
図1a~
図1iは、順に補体C7、HRG、AZGP1、補体C5、IGKV4-1、MAN1A、A2M、SPP1およびHYOU1のコンパニオン診断用バイオマーカー9種に対して、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測したコンパニオン診断結果をグラフで示す図である。
【0106】
より具体的に、
図1aは、バイオマーカーC7、
図1bは、バイオマーカーHRG、
図1cは、バイオマーカーAZGP1、
図1dは、バイオマーカーC5、
図1eは、バイオマーカーIGKV4-1、
図1fは、バイオマーカーMAN1A、
図1gは、バイオマーカーA2M、
図1hは、バイオマーカーSPP1、
図1iは、バイオマーカーHYOU1に対してがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測したコンパニオン診断結果をグラフで示す図である。
【0107】
図1を参照すると、血液サンプル10種に対するタンパク質分析結果、数日が経過しても、バイオマーカーのタンパク質の測定量が一定であり、前記バイオマーカーのタンパク質量がカットオフ値以上の場合および前記バイオマーカーのタンパク質量がカットオフ値未満の場合に、一定の傾向性を示すバイオマーカーC7のコンパニオン診断結果が最も優れていることを確認できる。これによって、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物としてバイオマーカーC7を特定し、残りのバイオマーカーであるHRG、AZGP1、C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1は、C7と共に組み合わせて併用する場合に、本発明によるバイオマーカー組成物として優れたコンパニオン診断結果を示すものと推定することができる。
【0108】
実施例2.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通したコンパニオン診断検査
前記実施例1の結果によって肺がん患者の血液サンプル11種(以下、「 Validation Set」という)を準備して、前記血液サンプル11種から血漿をそれぞれ抽出した後、前処理過程を経て、TMT10同重化合物(TMT10 Isobaric Compounds)を利用して前記血漿11種に対してタンパク質分析(Proteome Analysis)を行って、前記補体C7に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。ただし、ここで、前記タンパク質分析は、定量分析を通じて前記補体C7に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。
【0109】
肺がん患者の血液サンプル11種に対する具体的な情報は、下記表2の通りである。ただし、下記表2で、PDは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群を意味し、PRは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群を意味し、SDは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群を意味する。また、下記表2で、Mは、男性(Male)を示し、Fは、女性(Female)を示す。
【0110】
【0111】
この際、前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を100μg/mLに設定し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤通じた抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実施例2」という)した。
【0112】
評価2.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通したコンパニオン診断検査結果分析および評価
図2aは、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通した肺がん患者10人に対するコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
図2bは、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通した肺がん患者11人に対するコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
図2cは、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通した肺がん患者合計21人に対するコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
【0113】
より具体的に、
図2aは、前記実施例1のトレーニングセット(Training Set)においてバイオマーカーC7を通したコンパニオン診断検査結果を示す図であり、
図2bは、前記実施例2のバリデーションセット(Validation Set)において補体C7を通したコンパニオン診断検査結果を示す図であり、
図2cは、前記実施例1のTraining SetにおいてバイオマーカーC7を通したコンパニオン診断検査結果と前記実施例2のValidation Setにおいて補体C7を通したコンパニオン診断検査結果を合わせた最終結果を示す図である。
【0114】
図2を参照すると、前記実施例2の肺がん患者の血液サンプル11種に対しても本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通したコンパニオン診断検査結果、前記補体C7のタンパク質量によりカットオフ値を基準としてPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)およびPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)に正確に分類できることを確認できる。
【0115】
すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、補体C7を含むことによって、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断に優れた効果があるといえる。
【0116】
実施例3.バイオマーカーIGKV4-1をさらに含む本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通したコンパニオン診断検査
実施例1のすでに肺がん患者のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が判別された血液サンプル10種(以下、「Training Set」という)を準備した。前記血液サンプル10種に対する情報は、実施例1において上述した通りである。すでに肺がん患者のがん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性が判別された血液サンプル10種に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するために、前記血液サンプル10種から血漿をそれぞれ抽出した後、前処理過程を経て、TMT10同重化合物(TMT10 Isobaric Compounds)を利用して前記血漿10種に対してタンパク質分析(Proteome Analysis)を行って、バイオマーカーである補体C7とIGKV4-1(Immunoglobulin Kappa Variable 4-1)のタンパク質量をそれぞれ測定した。ただし、ここで、前記タンパク質分析は、定量分析を通じて前記バイオマーカー補体C7とIGKV4-1に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。
【0117】
この際、それぞれの血漿10種で測定された補体C7のタンパク質量を測定されたIGKV4-1のタンパク質量で割って、相対的な比率をそれぞれ求めた。前記相対的な比率によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)およびPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)に分類(以下、「実施例3」という)した。
【0118】
評価3.バイオマーカーIGKV4-1をさらに含む本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通したコンパニオン診断検査分析および評価
図3は、本発明の一実施例によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物においてバイオマーカーIGKV4-1をさらに含む場合のコンパニオン診断検査結果をグラフで示す図である。
【0119】
図3を参照すると、前記実施例3の肺がん患者の血液サンプル10種に対しても本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通したコンパニオン診断検査結果、前記補体C7のタンパク質量をIGKV4-1のタンパク質量で割って、相対的な比率によって一定の基準値によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)、PD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)およびPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)に正確に分類できることを確認できる。すなわち、実施例3による結果は、実施例1の前記表1に記載された血液サンプル10種に対する情報と一致するものである。
【0120】
すなわち、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物は、補体C7を含むことによって、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断に優れた効果があるだけでなく、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物にバイオマーカーIGKV4-1をさらに含む場合にも、がん細胞に対するPD-1免疫チェックポイント阻害剤またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予測するコンパニオン診断にさらに優れた効果があることを確認できる。
【0121】
このような結果は、前記補体C7にバイオマーカーIGKV4-1をさらに含む場合だけでなく、前記補体C7にHRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、AZGP1(Zinc-Alpha-2-Glycoprotein)、補体C5(Complement Component C5)、MAN1A(Mannosyl-Oligosaccharide 1,2-Alpha-Mannosidase 1A)、A2M(Alpha-2-Macroglobulin)、SPP1(Osteopontin)およびHYOU1(Hypoxia Up-Regulated Protein 1)からなる群から選択されるいずれか一つ以上のバイオマーカーをさらに含む場合にも、前記実施例3のような優れたコンパニオン診断結果を示すものと推定することができる。これは、HRG、AZGP1、補体C5、IHKV4-1、MAN1A、A2MおよびHYOU1は、バイオマーカーとして人体の抗原-抗体免疫反応を調節する役割をし、遺伝子オントロジー(Gene ontology)分類によれば、免疫反応および溶解に関与するタンパク質という共通点から類推することができる。
【0122】
実験例1.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において補体C7のタンパク質測定量に対するカットオフ値が100μg/mLである場合(PD-L1 pharmDx testと比較)
肺がん患者の血液サンプル27種を準備して、前記血液サンプル27種から血漿をそれぞれ抽出した後、前処理過程を経て、TMT10同重化合物(TMT10 Isobaric Compounds)を利用して前記血漿27種に対してタンパク質分析(Proteome Analysis)を行って、前記補体C7に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。ただし、ここで、前記タンパク質分析は、定量分析を通じて前記補体C7に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。
【0123】
この際、前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を100μg/mLに設定して、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実験例1」という)した。
【0124】
実験例2.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において補体C7のタンパク質測定量に対するカットオフ値が105μg/mLである場合(PD-L1 pharmDx testと比較)
前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を105μg/mLに設定した点を除いては、前記実験例1と同じ方法で実験して、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)に分類(以下、「実験例2」という)した。
【0125】
実験例3.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において補体C7のタンパク質測定量に対するカットオフ値が110μg/mLである場合(PD-L1 pharmDx testと比較)
前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を110μg/mLに設定した点を除いては、前記実験例1と同じ方法で実験して、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実験例3」という)した。
【0126】
比較実験例1.「PD-L1 pharmDx test」を通したコンパニオン診断検査
PD-L1 pharmDx test(以下、「pharmDx」という)は、ペムブロリズマブが特定患者に免疫抗がん剤として抗がん効果を効率的に示すか否かを判断するために使用されるコンパニオン診断検査法である。
前記実験例1の肺がん患者の組織サンプル27種を準備して、ダコ(DAKO)社のPD-L1 pharmDx製品を使用して生検組織サンプル内がん細胞を免疫組織化学染色法を利用してPD-L1(Programmed Cell Death Protein 1 Ligand)タンパク質を定性検査して、前記がん細胞内PD-L1タンパク質の発現率を観察した。PD-L1 pharmDx test後、染色されたスライドを光学顕微鏡を通じて観察して、腫瘍細胞の部分または全体細胞膜染色を示す有効腫瘍細胞の百分率である腫瘍比率スコア(Tumor Proportion Score,TPS)を計算して、TPS≧50%の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)に分類し、TPS 1~49%の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)に分類し、TPS<1%の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類(以下、「比較実験例1」という)した。
【0127】
評価4.実験例1~3と比較実験例1による結果分析および評価
以下は、上述した実験例1~3と比較実験例1によるコンパニオン診断検査結果を比較および評価したものである。
【0128】
下記表3は、前記実験例1~3と比較実験例1によるコンパニオン診断検査結果を示すものである。下記表3で、「結果」は、該当実験結果、該当患者群(PR、PR+SD、PD)に分類された患者の数を意味し、「実際」は、該当実験の有無と関係なく、実際該当患者群(PR、PR+SD、PD)に分類された患者の数を意味する。すなわち、「結果/実際」は、実際該当患者群に分類された患者の数に対して該当実験結果として該当患者群に分類された患者の数の比率を意味する。
【0129】
【0130】
前記表3を参照すると、PD-L1 pharmDx testに該当する比較実験例1の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とを判別する正確度が、実験例1~3に比べて相対的にさらに低いことを確認できる。
【0131】
一方、実験例1~3の場合、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてコンパニオン診断検査結果、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)を判別する正確度が、比較実験例1に比べて相対的に多少低い傾向があるが、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)とPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とを判別する正確度が、比較実験例1に比べて顕著に高い点を確認できる。
【0132】
したがって、実験例1~3の場合、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じて、コンパニオン診断検査結果が、PD-L1 pharmDx testに該当する比較実験例1よりさらに正確度が優れたコンパニオン診断検査であることを確認できる。
実験例4.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において補体C7のタンパク質測定量に対するカットオフ値が100μg/mLである場合(SP263と比較)
【0133】
肺がん患者の血液サンプル36種を準備して、前記血液サンプル36種から血漿をそれぞれ抽出した後、前処理過程を経て、TMT10同重化合物(TMT10 Isobaric Compounds)を利用して前記血漿36種に対してタンパク質分析(Proteome Analysis)を行って、前記補体C7に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。ただし、ここで、前記タンパク質分析は、定量分析を通じて前記補体C7に対するタンパク質量をそれぞれ測定した。
【0134】
この際、前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を100μg/mLに設定して、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実験例4」という)した。
実験例5.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において補体C7のタンパク質測定量に対するカットオフ値が105μg/mLである場合(SP263と比較)
【0135】
前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を105μg/mLに設定した点を除いては、前記実験例4と同じ方法で実験して、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実験例5」という)した。
【0136】
実験例6.本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物において補体C7のタンパク質測定量に対するカットオフ値が110μg/mLである場合(SP263と比較)
前記補体C7が測定されるタンパク質量のカットオフ値を110μg/mLに設定した点を除いては、前記実験例4と同じ方法で実験して、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値以上の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類し、前記補体C7のタンパク質量が前記カットオフ値未満の場合、前記補体C7のタンパク質測定量によってPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とに分類(以下、「実験例6」という)した。
【0137】
比較実験例2.「VENTANA PD-L1(SP263)Assay」を通したコンパニオン診断検査
VENTANA PD-L1(SP263)Assay(以下、「SP263」という)は、ニボルマブが特定患者に免疫抗がん剤として抗がん効果を効率的に示すか否かを判断するために使用されるコンパニオン診断検査法である。
【0138】
前記実験例1の肺がん患者の組織サンプル36種を準備して、ベンタナ(VENTANA)社のVENTANA PD-L1(SP263)Assay製品を使用して生検組織サンプル内がん細胞を免疫組織化学染色法を利用してPD-L1(Programmed Cell Death Protein 1 Ligand)タンパク質を定性検査して、前記がん細胞内PD-L1タンパク質の発現率を観察した。PD-L1 pharmDx test後、染色されたスライドを光学顕微鏡を通じて観察して、腫瘍細胞の部分または全体細胞膜染色を示す有効腫瘍細胞の百分率である腫瘍比率スコア(Tumor Proportion Score,TPS)を計算して、TPS≧10%の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)に分類し、TPS 1~9%の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)に分類し、TPS<1%の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)に分類(以下、「比較実験例2」という)した。
【0139】
評価5.実験例4~6と比較実験例2による結果分析および評価
以下は、上述した実験例4~6と比較実験例2によるコンパニオン診断検査結果を比較および評価したものである。
【0140】
下記表4は、前記実験例4~6と比較実験例2によるコンパニオン診断検査結果を示すものである。下記表4で、「結果」は、該当実験結果、該当患者群(PR、PR+SD、PD)に分類された患者の数を意味し、「実際」は、該当実験の有無と関係なく、実際該当患者群(PR、PR+SD、PD)に分類された患者の数を意味する。すなわち、「結果/実際」は、実際該当患者群に分類された患者の数に対して該当実験結果として該当患者群に分類された患者の数の比率を意味する。
【0141】
【0142】
前記表4を参照すると、VENTANA PD-L1(SP263)Assayに該当する比較実験例2の場合、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)と、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)とを判別する正確度が、実験例4~6に比べて相対的にさらに低いことを確認できる。それだけでなく、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)を判別する正確度が、また、実験例4~6に比べて相対的に低いことを確認できる。
【0143】
反対に、実験例4~6の場合、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じてコンパニオン診断検査結果、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に高い効果を示す反応患者群(Partial Response,PR)、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に低い効果を示す反応患者群(Stable Disease,SD)およびPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示さない非反応患者群(Non-Responder;Progressive Disease,PD)を判別する正確度が、比較実験例2に比べて相対的にさらに高いことを確認できる。
【0144】
したがって、実験例4~6の場合、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物を通じて、コンパニオン診断検査結果が、VENTANA PD-L1(SP263)Assayに該当する比較実験例2よりさらに正確度が優れたコンパニオン診断検査であることを確認できる。
【0145】
上述したような本発明のコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットは、がん患者の組織を通したコンパニオン診断だけでなく、がん患者の血液内プロテオーム解析を通じてPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤の治療反応を予測できる効果がある。
【0146】
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットは、PD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に効果を示す反応患者群と効果を示さない非反応患者群とを選別する正確度が高いという長所がある。
また、本発明によるコンパニオン診断用バイオマーカー組成物およびこれを含むコンパニオン診断用キットは、より正確にPD-1免疫チェックポイント阻害剤およびPD-L1免疫チェックポイント阻害剤のうちいずれか一つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を通した抗がん治療に適合した患者群を判別できる効果がある。
【0147】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正および変形が可能だろう。
【0148】
したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものでなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の請求範囲によって解すべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解すべきである。