(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法及び収容局装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/2575 20130101AFI20241127BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H04B10/2575 120
H04J14/02
(21)【出願番号】P 2022532168
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2020024950
(87)【国際公開番号】W WO2021260870
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 耕大
(72)【発明者】
【氏名】菅 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】白戸 裕史
(72)【発明者】
【氏名】北 直樹
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0149236(US,A1)
【文献】特開2004-350221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0379443(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0131999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/2575
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容局装置と基地局装置とを備え、
前記収容局装置は、
無線システムに応じた通信処理を行うことで無線信号の電気信号を生成する複数の信号処理部と、
前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成するE/O変換部と、
前記E/O変換部を制御することによって、複数の前記電気信号を多重した光信号を生成する信号処理制御部と、を備え、
前記基地局装置は、
光伝送路を介して、前記収容局装置で生成された前記光信号を受信し、受信された前記光信号を複数の電気信号に変換する電気信号生成部と、
前記電気信号生成部によって生成された電気信号に応じて前記無線信号を無線送信する複数のアンテナ装置と、
を備え、
前記収容局装置は、各信号処理部から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する設定情報記憶部をさらに備え、
前記信号処理制御部は、前記設定情報記憶部に記憶されている多重化に関する情報に基づいて複数の前記電気信号を多重化する、通信システム。
【請求項2】
収容局装置と基地局装置とを備え、
前記収容局装置は、
無線システムに応じた通信処理を行うことで無線信号の電気信号を生成する複数の信号処理部と、
前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成するE/O変換部と、
前記E/O変換部を制御することによって、複数の前記電気信号を多重した光信号を生成する信号処理制御部と、を備え、
前記基地局装置は、
光伝送路を介して、前記収容局装置で生成された前記光信号を受信し、受信された前記光信号を複数の電気信号に変換する電気信号生成部と、
前記電気信号生成部によって生成された電気信号に応じて前記無線信号を無線送信する複数のアンテナ装置と、
を備え、
前記信号処理制御部は、同一の周波数帯の無線信号を生成する複数の前記信号処理部から出力された複数の前記電気信号を、同一の前記アンテナ装置から無線送信されるように多重することで前記光信号を生成する、通信システム。
【請求項3】
前記信号処理制御部は、複数の前記信号処理部から出力された複数の前記電気信号を、それぞれ異なるサブキャリアに割り当てることで多重して前記光信号を生成する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記信号処理制御部は、複数の前記信号処理部から出力された複数の前記電気信号を、それぞれ異なる波長の光信号に割り当てることで多重して前記光信号を生成する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記信号処理制御部は、複数の前記信号処理部から出力された複数の前記電気信号を、それぞれ異なるサブキャリア及び波長の組合せに割り当てることで多重して前記光信号を生成する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記基地局装置の前記複数のアンテナ装置はアレーアンテナを用いて構成され、
前記信号処理部によって生成される電気信号の一部は前記アレーアンテナの位相制御の内容を示す制御信号を含み、
前記アレーアンテナは前記制御信号に含まれる位相制御の内容に応じて動作する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記基地局装置の前記複数のアンテナ装置はビームを形成するアンテナ装置を用いて構成される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
無線システムに応じた通信処理を行うことで複数の無線信号の電気信号を生成する信号処理ステップと、
前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成するE/O変換部を制御することによって、複数の前記電気信号を多重した光信号を生成し光伝送路に出力する信号処理制御ステップと、
前記光伝送路を介して前記光信号を受信し、受信された前記光信号を複数の電気信号に変換する電気信号生成ステップと、
前記電気信号生成ステップにおいて生成された電気信号に応じたアンテナ装置から各電気信号を無線送信する無線送信ステップと、
を有し、
前記信号処理制御ステップにおいて、各信号処理部から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する設定情報記憶部に記憶されている多重化に関する情報に基づいて複数の前記電気信号を多重化する、通信方法。
【請求項9】
無線システムに応じた通信処理を行うことで無線信号の電気信号を生成する複数の信号処理部と、
前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成し、光伝送路へ前記光信号を出力するE/O変換部と、
前記E/O変換部を制御することによって、複数の前記電気信号を多重した光信号を生成する信号処理制御部と、
各信号処理部から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する設定情報記憶部と、を備え、
前記信号処理制御部は、前記設定情報記憶部に記憶されている多重化に関する情報に基づいて複数の前記電気信号を多重化する、収容局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法及び収容局装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量無線伝送を実現するための技術として、ミリ波などの高周波数帯を利用した無線伝送技術が注目されている。しかし、高周波数帯の無線信号は伝播損失が大きい。そのため、無線基地局を高密度で設置する必要が生じてしまう。このような問題を解決するために、RoF(Radio over Fiber)が適用されている。RoFを適用することで、信号処理部を収容局内に集約することで、張出局の構成を簡易化し、経済的なセル形成が可能となっている。さらに、RoFを適用することで、技術や装置の更改を収容局側でまとめて行うことも可能となっている(非特許文献1参照)。
【0003】
また、従来は無線システム毎に無線基地局を設置する必要があった。しかし、RoFを適用することで、複数の無線システムを1つの無線基地局で統合することも検討されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】V. A. Thomas, M. El-Hajjar and L. Hanzo,”Performance Improvement and Cost Reduction Techniques for Radio Over Fiber Communications,” in IEEE Communications Surveys & Tutorials, vol. 17, no. 2, pp. 627-670, Secondquarter 2015.
【文献】A. Chowdhury, H. Chien, Y. Hsueh and G. Chang, ”Advanced System Technologies and Field Demonstration for In-Building Optical-Wireless Network With Integrated Broadband Services,” in Journal of Lightwave Technology, vol. 27, no. 12, pp. 1920-1927, June15, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、任意の複数の無線システムを統合することはできないという問題があった。例えば非特許文献2に開示されている技術では、所定の無線システム(Wi-Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、MMW(Millimeter Wave))を統合することができるが、これらとは異なる新たな無線システムを統合することは困難である。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、高周波数帯の信号を光ファイバーで伝送する技術において、より柔軟に無線システムを統合して収容することを可能にする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、収容局装置と基地局装置とを備え、前記収容局装置は、無線システムに応じた通信処理を行うことで無線信号の電気信号を生成する複数の信号処理部と、前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成するE/O変換部と、前記E/O変換部を制御することによって、複数の前記電気信号を多重した光信号を生成する信号処理制御部と、を備え、前記基地局装置は、光伝送路を介して、前記収容局装置で生成された前記光信号を受信し、受信された前記光信号を複数の電気信号に変換する電気信号生成部と、前記電気信号生成部によって生成された電気信号に応じて前記無線信号を無線送信する複数のアンテナ装置と、を備える通信システム。
【0008】
本発明の一態様は、無線システムに応じた通信処理を行うことで複数の無線信号の電気信号を生成する信号処理ステップと、複数の前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成し光伝送路に出力するE/O変換ステップと、前記光伝送路を介して前記光信号を受信し、受信された前記光信号を複数の電気信号に変換する電気信号生成ステップと、前記電気信号生成ステップにおいて生成された電気信号に応じたアンテナ装置から各電気信号を無線送信する無線送信ステップと、を有する通信方法である。
【0009】
本発明の一態様は、無線システムに応じた通信処理を行うことで無線信号の電気信号を生成する複数の信号処理部と、前記電気信号を光信号に強度変調することで光信号を生成し、光伝送路へ前記光信号を出力するE/O変換部と、前記E/O変換部を制御することによって、複数の前記電気信号を多重した光信号を生成する信号処理制御部と、を備える収容局装置である。
【0010】
本発明の一態様は、光伝送路を介して請求項7に記載の収容局装置から光信号を受信し、受信された前記光信号を複数の電気信号に変換する電気信号生成部と、前記電気信号生成部によって生成された電気信号に応じて前記無線信号を無線送信する複数のアンテナ装置と、を備える基地局装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、高周波数帯の信号を光ファイバーで伝送する技術において、より柔軟に無線システムを統合して収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の通信システム100の基本構成のシステム構成例を示す図である。
【
図2】第1実施形態における収容局送信部11の機能構成例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における基地局送信部21の機能構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態における基地局受信部22の機能構成例を示す図である。
【
図5】第1実施形態における収容局受信部12の機能構成例を示す図である。
【
図6】第2実施形態における収容局送信部11aの機能構成例を示す図である。
【
図7】第2実施形態における基地局送信部21aの機能構成例を示す図である。
【
図8】第2実施形態における基地局受信部22aの機能構成例を示す図である。
【
図9】第2実施形態における収容局受信部12aの機能構成例を示す図である。
【
図10】第3実施形態における収容局送信部11bの機能構成例を示す図である。
【
図11】第3実施形態における基地局送信部21bの機能構成例を示す図である。
【
図12】第3実施形態における基地局受信部22bの機能構成例を示す図である。
【
図13】第3実施形態における収容局受信部12bの機能構成例を示す図である。
【
図14】第4実施形態における収容局送信部11cの機能構成例を示す図である。
【
図15】第4実施形態における基地局送信部21cの機能構成例を示す図である。
【
図16】第4実施形態におけるアンテナ装置213cの構成の具体例を示す図である。
【
図17】第5実施形態における収容局送信部11dの機能構成例を示す図である。
【
図18】第5実施形態におけるE/O変換部114dの構成の具体例を示す図である。
【
図19】第5実施形態における基地局送信部21dの機能構成例を示す図である。
【
図20】第5実施形態におけるアンテナ装置213dの構成の具体例を示す図である。
【
図21】第6実施形態における収容局送信部11eの機能構成例を示す図である。
【
図22】第6実施形態におけるE/O変換部114eの構成の具体例を示す図である。
【
図23】第6実施形態における基地局送信部21eの機能構成例を示す図である。
【
図24】アンテナ装置213eの一具体例を示す図である。
【
図25】ビーム形成回路2131の概略を示す図である。
【
図26】アンテナ装置213eの一具体例を示す図である。
【
図27】リフレクトアレー2132の概略を示す図である。
【
図28】アンテナ装置213eの一具体例を示す図である。
【
図29】トランスミットアレー2133の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(基本構成)
図1は、本発明の通信システム100の基本構成のシステム構成例を示す図である。通信システム100は、収容局装置1、基地局装置2、端末装置3及び光伝送路4を備える。光伝送路4は、例えば光ファイバーを用いて構成される。より具体的には、収容局装置1から端末装置3への下り方向の通信のみが生じる場合には、光伝送路4は1芯の光ファイバーを用いて構成されてもよい。下り方向の通信に加えてさらに、端末装置3から収容局装置1への上り方向の通信も生じる場合には、光伝送路4は、2芯又は複数芯の光ファイバーを用いて構成されてもよい。このような通信システム100は、例えばRoFを適用することで構成されてもよい。
【0015】
図1では、下り方向の通信を処理する装置として、収容局送信部11及び基地局送信部21が設けられる。
図1では、上り方向の通信を処理する装置として、収容局受信部12及び基地局受信部22が設けられる。
図1のように、下り方向の通信を処理する装置と、上り方向の通信を処理する装置とがそれぞれ別個のハードウェアとして設けられてもよいし、一部又は全部が共通のハードウェアとして設けられてもよい。以下の説明では、下り方向の通信を処理する装置と、上り方向の通信を処理する装置と、をそれぞれ独立して説明するが、このような構成に限定されるわけではない。例えばアンテナ装置や信号処理部が上り方向の通信と下り方向の通信とで共通して設けられてもよい。
【0016】
収容局装置1は、下り信号に関する処理を行う収容局送信部11を備える。収容局送信部11は、不図示の上位装置から端末装置3宛に送信された下り信号を受信する。収容局送信部11は、下り信号である無線信号で光信号を強度変調(E/O変換)する。収容局送信部11は、強度変調された光信号を、光伝送路4を介して基地局装置2に送信する。
【0017】
基地局装置2は、下り信号に関する処理を行う基地局送信部21を備える。基地局送信部21は、光伝送路4を介して光信号を受信すると、受信された光信号をO/E変換することで無線信号を生成する。基地局送信部21は、生成された無線信号(下り信号)をアンテナから無線送信する。端末装置3は、基地局装置2から無線送信された下り信号を受信する。
【0018】
以下、本発明の通信システム100に関して、3つの具体的な実施形態について説明する。第1実施形態では、収容局装置1と基地局装置2との間では、サブキャリア多重(SCM:Subcarrier Multiplexing)を用いて光通信が行われる。第2実施形態では、収容局装置1と基地局装置2との間では、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いて光通信が行われる。第3実施形態では、収容局装置1と基地局装置2との間では、サブキャリア多重及び波長多重を用いて光通信が行われる。
【0019】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態における収容局送信部11の機能構成例を示す図である。第1実施形態では、光伝送路4においてSCM(サブキャリア多重:Subcarrier Multiplexing)を用いた通信が行われる。収容局送信部11は、複数の信号処理部111(111_1~111_n:nは2以上の整数)、設定情報記憶部112、信号処理制御部113及びE/O変換部114を備える。
【0020】
信号処理部111は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部111に割り当てられる無線システムの種別は、例えばWi-Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、MMW(Millimeter Wave))のいずれかであってもよいし、これらの具体例とは異なる種別であってもよい。例えば、信号処理部111に割り当てられる無線システムの種別は、LTE(Long Term Evolution)であってもよいし、LTE advancedであってもよいし、5Gであってもよいし、他の無線システムであってもよい。信号処理部111は、各無線システムの仕様にしたがって、上位装置から受信される信号に対して変調処理などの信号処理を行う。信号処理部111は、信号処理の結果として生成された電気信号(無線信号:RF信号:Radio Frequency signal)を信号処理制御部113に出力する。
【0021】
設定情報記憶部112は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部112は、各信号処理部111から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する。設定情報記憶部112は、例えば各信号処理部111から出力される信号を割り当てるサブキャリアを示す情報を記憶してもよい。サブキャリアを示す情報は、例えばサブキャリアの識別番号を示す値であってもよいし、サブキャリアの周波数帯を示す情報であってもよい。
【0022】
信号処理制御部113は、複数の信号処理部111から出力される電気信号を周波数分割多重(Frequency Division Multiplexing:FDM)で多重化して多重信号を生成する。各信号処理部111に適用されている無線システムで用いられる周波数が異なる場合、信号処理制御部113は、単に各電気信号を加算することで多重信号を生成することができる。信号処理制御部113は、生成された多重信号をE/O変換部114に出力する。
【0023】
E/O変換部114は、信号処理制御部113から出力される信号を強度変調して、SCMの光信号を生成する。E/O変換部114は、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0024】
図3は、第1実施形態における基地局送信部21の機能構成例を示す図である。第1実施形態における基地局送信部21は、SCMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。基地局送信部21は、電気信号生成部210及び複数のアンテナ装置213(213_1~213_m:mは2以上の整数)を備える。
【0025】
電気信号生成部210は、光伝送路4から光信号を受信し、受信された光信号を複数の電気信号に変換する。電気信号生成部210は、O/E変換部211及び分波部212を備える。
【0026】
O/E変換部211は、光伝送路4から受信される光信号を復調して電気信号を生成する。O/E変換部211は、生成された電気信号を分波部212に出力する。
【0027】
分波部212は、O/E変換部211から出力される電気信号を、複数のアンテナ装置213に対して分波する。分波部212は、例えばFDM多重されている各周波数の信号を、その周波数に応じて予め設定されているアンテナ装置213へ出力する。分波部212は、周波数とアンテナ装置213との対応関係を変更可能に構成されてもよい。
【0028】
アンテナ装置213は、例えばアレイアンテナを用いて構成されてもよい。アンテナ装置213は、分波部212から出力された電気信号を無線信号として空気中に放出する。
【0029】
図4は、第1実施形態における基地局受信部22の機能構成例を示す図である。第1実施形態における基地局受信部22は、SCMで多重化された光信号を光伝送路4へ送信する。基地局受信部22は、光信号生成部220及び複数のアンテナ装置221(221_1~221_m:mは2以上の整数)を備える。なお、基地局送信部21が備えるアンテナ装置213の数と基地局受信部22が備えるアンテナ装置221の数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0030】
アンテナ装置221は、例えばアレイアンテナを用いて構成されてもよい。アンテナ装置221には、対応可能な周波数帯域の制限がある。アンテナ装置221は、自装置が対応可能な無線信号を受信すると、受信された無線信号に応じた電気信号を出力する。例えば、アンテナ装置221は、端末装置3から送信された無線信号を受信し、無線信号に応じた電気信号を生成する。
【0031】
光信号生成部220は、複数のアンテナ装置221から出力された電気信号に基づいて、収容局装置1へ送信される光信号を生成する。光信号生成部220は、合波部222及びE/O変換部223を備える。
【0032】
合波部222は、複数のアンテナ装置221から出力された各電気信号を周波数分割多重(FDM)で多重化して多重信号を生成する。各アンテナ装置221が受信可能な周波数が異なる場合、合波部222は、単に各電気信号を加算することで多重信号を生成することができる。合波部222は、生成された多重信号をE/O変換部223に出力する。
【0033】
E/O変換部223は、合波部222から出力される信号を強度変調して、SCMの光信号を生成する。E/O変換部223は、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0034】
図5は、第1実施形態における収容局受信部12の機能構成例を示す図である。第1実施形態における収容局受信部12は、SCMで多重化された光信号を光伝送路から受信する。収容局受信部12は、O/E変換部121、設定情報記憶部122、信号処理制御部123及び複数の信号処理部124(124_1~124_n)を備える。なお、収容局送信部11が備える信号処理部111の数と収容局受信部12が備える信号処理部124の数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0035】
O/E変換部121は、光伝送路4から受信される光信号を復調して電気信号を生成する。O/E変換部121は、生成された電気信号を信号処理制御部123に出力する。
【0036】
設定情報記憶部122は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部122は、信号処理制御部123において受信される信号に多重化されている各周波数帯の電気信号と、複数の信号処理部124と、の対応関係を示す情報を記憶する。設定情報記憶部122は、例えば各信号処理部124に対して出力される信号と、その信号が割り当てられているサブキャリアと、の関係を示す情報を記憶してもよい。
【0037】
信号処理制御部123は、設定情報記憶部122に記憶されている情報に基づいて、O/E変換部121から出力される電気信号に多重されている各信号を、対応する信号処理部124に出力する。
【0038】
信号処理部124は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部124は、各無線システムの仕様にしたがって、信号処理制御部123から受信される信号に対して復調処理などの信号処理を行う。信号処理部124は、信号処理の結果として生成された電気信号を上位装置へ向けた伝送路に出力する。
【0039】
このように構成された第1実施形態では、高周波数帯の信号を光ファイバーで伝送する技術において、より柔軟に無線システムを統合して収容することが可能となる。具体的には以下の通りである。第1実施形態では、収容局送信部11において、無線システムに応じた信号処理部111が複数備えられる。各信号処理部111において生成された電気信号は、信号処理制御部123によってサブキャリア多重されて光伝送路4を介して基地局送信部21へ伝送される。そして、各無線システムに応じた電気信号が、各無線システムで使用される周波数に応じたアンテナ装置213から無線信号として送信される。そのため、従来技術(例えば非特許文献2に開示された技術)のように予め定められた所定の無線システムのみを収容できるのではなく、任意の様々な種別の無線システムを収容することが可能となる。上り信号においても同様である。
【0040】
また、第1実施形態では、設定情報記憶部112に記憶されている情報を書き換えることによって、新たな無線システムを収容したり、既に収容されている無線システムを解除したりすることができる。このように、第1実施形態では、収容される無線システムについての柔軟性が向上する。上り信号においても同様である。
【0041】
また、第1実施形態では、設定情報記憶部112に記憶されている情報を書き換えることによって、新たなアンテナ装置を基地局装置2に設置することもできる。このように、第1実施形態では、収容される無線システムについての柔軟性が向上する。上り信号においても同様である。
【0042】
(第1実施形態の変形例)
複数の無線システムにおいて使用される無線信号の周波数帯が同じである場合には、複数の無線システムが一つの共通のアンテナ装置213及びアンテナ装置221を用いるように構成されてもよい。この場合、共通のアンテナ装置を使用する複数の無線システムにおいて端末装置3と基地局装置2との間の無線通信は、例えば時分割多重(Time Division Multiplexing:TDM)で行われてもよい。なお、使用するアンテナ装置が異なる無線システムの信号は、上述したようにSCMで多重されてもよい。
【0043】
例えば時分割多重が適用される場合、同一のアンテナ装置を用いる複数の無線システムそれぞれに固有のタイムスロットが割り当てられる。収容局送信部11の信号処理制御部113は、各信号処理部111から出力される電気信号を、その信号処理部111の無線システムに割り当てられているタイムスロットに割り当てる。基地局送信部21は、光伝送路4から受信された各周波数帯の信号をアンテナ装置213から送信することで、無線区間における時分割多重が実現される。
【0044】
基地局受信部22の合波部222は、各アンテナ装置221から出力される電気信号を、そのまま合波して多重する。無線区間において時分割多重されているため、合波部222は特に時分割多重のための処理を行う必要は無い。収容局受信部12の信号処理制御部123は、各タイムスロットに割り当てられている信号を、そのタイムスロットに応じた信号処理部124に出力する。このようなタイムスロットと無線システムとの対応関係を示す情報は、設定情報記憶部112及び設定情報記憶部122に記憶されている。
【0045】
このように構成されることにより、複数の無線システムにおいて共通のアンテナ装置を用いて無線通信を行うことが可能となる。そのため、基地局装置2におけるアンテナ装置のハードウェアを効率的に使用することが可能となり、より多くの無線システムを収容することが可能となる。
【0046】
(第1実施形態のハードウェア構成)
上述した複数の信号処理部111及び信号処理制御部113は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。なお、信号処理部111及び信号処理制御部113の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0047】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態における収容局送信部11aの機能構成例を示す図である。第2実施形態では、光伝送路4においてWDM(波長多重:Wavelength Division Multiplexing)を用いた通信が行われる。収容局送信部11aは、複数の信号処理部111(111_1~111_n:nは2以上の整数)、設定情報記憶部112a、信号処理制御部113a及びE/O変換部114を備える。
【0048】
信号処理部111は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部111の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0049】
設定情報記憶部112aは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部112aは、各信号処理部111から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する。設定情報記憶部112aは、例えば各信号処理部111から出力される信号を割り当てる波長を示す情報を記憶してもよい。波長を示す情報は、例えば波長の識別番号を示す値であってもよいし、波長の長さを示す情報であってもよい。
【0050】
信号処理制御部113aは、複数の信号処理部111から出力される電気信号をE/O変換部114に出力する。このとき、信号処理制御部113aは、各無線システムに応じた波長の光信号に対して強度変調されるように、各電気信号を出力する。
【0051】
E/O変換部114aは、複数の波長の光を発する。E/O変換部114aは、各波長の光に対して、それに応じた無線システムの電気信号を強度変調して、WDMの光信号を生成する。E/O変換部114aは、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0052】
図7は、第2実施形態における基地局送信部21aの機能構成例を示す図である。第2実施形態における基地局送信部21aは、WDMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。基地局送信部21aは、電気信号生成部210a及び複数のアンテナ装置213(213_1~213_m:mは2以上の整数)を備える。
【0053】
電気信号生成部210aは、光伝送路4から光信号を受信し、受信された光信号を複数の電気信号に変換する。電気信号生成部210aは、光分波部214及び複数のO/E変換部215(215_1~215_m)を備える。
【0054】
光分波部214は、光伝送路4から受信される光信号を、波長に応じて分波する。光分波部214は、分波された各波長の光信号を、その波長に応じたO/E変換部215に出力する。
【0055】
O/E変換部215は、光分波部214から出力された光信号を電気信号に変換する。O/E変換部215は、変換された電気信号を、自装置に応じたアンテナ装置213に出力する。
【0056】
アンテナ装置213は、例えばアレイアンテナを用いて構成されてもよい。アンテナ装置213は、O/E変換部215から出力された電気信号を無線信号として空気中に放出する。
【0057】
図8は、第2実施形態における基地局受信部22aの機能構成例を示す図である。第2実施形態における基地局受信部22aは、WDMで多重化された光信号を光伝送路4へ送信する。基地局受信部22aは、光信号生成部220a及び複数のアンテナ装置221(221_1~221_m:mは2以上の整数)を備える。なお、基地局送信部21aが備えるアンテナ装置213の数と基地局受信部22aが備えるアンテナ装置221の数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0058】
アンテナ装置221は、例えばアレイアンテナを用いて構成されてもよい。アンテナ装置221の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0059】
E/O変換部224は、自装置に応じたアンテナ装置221から出力される電気信号を、自装置に応じた波長の光信号に強度変調する。E/O変換部224は、生成された光信号を光合波部225に出力する。
【0060】
光信号生成部220aは、複数のアンテナ装置221から出力された電気信号に基づいて、収容局装置1へ送信される光信号を生成する。光信号生成部220aは、複数のE/O変換部224(224_1~224_m)及び光合波部225を備える。
【0061】
光合波部225は、E/O変換部224から出力された各波長の光信号を合波することによって、WDMの光信号を生成する。光合波部225は、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0062】
図9は、第2実施形態における収容局受信部12aの機能構成例を示す図である。第2実施形態における収容局受信部12aは、WDMで多重化された光信号を光伝送路から受信する。収容局受信部12aは、O/E変換部121a、設定情報記憶部122a、信号処理制御部123a及び複数の信号処理部124(124_1~124_n)を備える。なお、収容局送信部11aが備える信号処理部111の数と収容局受信部12aが備える信号処理部124の数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0063】
O/E変換部121aは、光伝送路4から受信される各波長の光信号を復調して、波長毎に異なる電気信号を生成する。O/E変換部121aは、生成された各電気信号を信号処理制御部123aに出力する。
【0064】
設定情報記憶部122aは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部122aは、光信号の波長と、複数の信号処理部124と、の対応関係を示す情報を記憶する。設定情報記憶部122aは、例えば各信号処理部124に対して出力される電気信号と、その電気信号が割り当てられている光波長と、の関係を示す情報を記憶してもよい。
【0065】
信号処理制御部123aは、設定情報記憶部122aに記憶されている情報に基づいて、O/E変換部121aから出力される各電気信号を各信号処理部124に出力する。すなわち、信号処理制御部123aは、O/E変換部121aにおいて受信されたWDM信号の各波長に対応した信号処理部124に対し、その波長の光信号から復調される電気信号を出力する。
【0066】
信号処理部124は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部124の構成は第2実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0067】
このように構成された第2実施形態では、高周波数帯の信号を光ファイバーで伝送する技術において、より柔軟に無線システムを統合して収容することが可能となる。具体的には以下の通りである。第2実施形態では、収容局送信部11aにおいて、無線システムに応じた信号処理部111が複数備えられる。各信号処理部111において生成された電気信号は、信号処理制御部123によって波長多重されて光伝送路4を介して基地局送信部21aへ伝送される。そして、各無線システムに応じた電気信号が、各無線システムで使用される周波数に応じたアンテナ装置213から無線信号として送信される。そのため、従来技術(例えば非特許文献2に開示された技術)のように予め定められた所定の無線システムのみを収容できるのではなく、任意の様々な種別の無線システムを収容することが可能となる。上り信号においても同様である。
【0068】
また、第2実施形態では、設定情報記憶部112aに記憶されている情報を書き換えることによって、新たな無線システムを収容したり、既に収容されている無線システムを解除したりすることができる。このように、第2実施形態では、収容される無線システムについての柔軟性が向上する。上り信号においても同様である。
【0069】
また、第2実施形態では、設定情報記憶部112aに記憶されている情報を書き換えることによって、新たなアンテナ装置を基地局装置2に設置することもできる。このように、第2実施形態では、収容される無線システムについての柔軟性が向上する。上り信号においても同様である。
【0070】
(第2実施形態の変形例)
複数の無線システムにおいて使用される無線信号の周波数帯が同じである場合には、複数の無線システムが一つの共通のアンテナ装置213及びアンテナ装置221を用いるように構成されてもよい。この場合、共通のアンテナ装置を使用する複数の無線システムにおいて端末装置3と基地局装置2との間の無線通信は、例えば時分割多重で行われてもよい。なお、使用するアンテナ装置が異なる無線システムの信号は、上述したように波長多重で多重されてもよい。
【0071】
例えば時分割多重が適用される場合、同一のアンテナ装置を用いる複数の無線システムそれぞれに固有のタイムスロットが割り当てられる。収容局送信部11aの信号処理制御部113aは、各信号処理部111から出力される電気信号を、その信号処理部111の無線システムに割り当てられているタイムスロットに割り当てる。基地局送信部21aは、光伝送路4から受信された各周波数帯の信号をアンテナ装置213から送信することで、無線区間における時分割多重が実現される。
【0072】
基地局受信部22aの光合波部225は、各E/O変換部224から出力される光信号を、各E/O変換部224に応じた波長の光に強度変調して多重する。無線区間において時分割多重されているため、光合波部225は特に時分割多重のための処理を行う必要は無い。収容局受信部12aの信号処理制御部123aは、各タイムスロットに割り当てられている信号を、そのタイムスロットに応じた信号処理部124に出力する。このようなタイムスロットと無線システムとの対応関係を示す情報は、設定情報記憶部112a及び設定情報記憶部122aに記憶されている。
【0073】
このように構成されることにより、第2実施形態においても、複数の無線システムにおいて共通のアンテナ装置を用いて無線通信を行うことが可能となる。そのため、基地局装置2におけるアンテナ装置のハードウェアを効率的に使用することが可能となり、より多くの無線システムを収容することが可能となる。
【0074】
(第2実施形態のハードウェア構成)
上述した複数の信号処理部111a及び信号処理制御部113aは、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。なお、信号処理部111a及び信号処理制御部113aの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0075】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態における収容局送信部11bの機能構成例を示す図である。第3実施形態では、光伝送路4においてSCM及びWDMを用いた通信が行われる。収容局送信部11bは、複数の信号処理部111(111_1~111_n:nは2以上の整数)、設定情報記憶部112b、信号処理制御部113b及びE/O変換部114を備える。
【0076】
信号処理部111は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部111の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0077】
設定情報記憶部112bは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部112bは、各信号処理部111から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する。設定情報記憶部112bは、例えば各信号処理部111から出力される信号を割り当てるサブキャリア及び波長を示す情報を記憶してもよい。
【0078】
信号処理制御部113bは、複数の信号処理部111から出力される電気信号をE/O変換部114に出力する。このとき、信号処理制御部113bは、複数の信号処理部111から出力される電気信号を周波数分割多重で多重化して複数の多重信号を生成する。そして、信号処理制御部113bは、各多重信号を、各多重信号に含まれる信号の無線システムに応じた波長の光信号に対して強度変調されるように出力する。
【0079】
E/O変換部114bは、複数の波長の光を発する。E/O変換部114bは、各波長の光に対して、それに応じた無線システムが含まれる多重信号の電気信号を強度変調して、SCM信号がWDMされるような光信号を生成する。E/O変換部114bは、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0080】
図11は、第3実施形態における基地局送信部21bの機能構成例を示す図である。第3実施形態における基地局送信部21bは、SCM及びWDMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。基地局送信部21bは、電気信号生成部210b及び複数のアンテナ装置219(219_1_1~219_m_km:k1~kmは2以上の整数)を備える。
【0081】
電気信号生成部210bは、光伝送路4から光信号を受信し、受信された光信号を複数の電気信号に変換する。電気信号生成部210bは、光分波部216、複数のO/E変換部217(217_1~217_m)及び複数の分波部218(218_1~218_m)を備える。
【0082】
光分波部216は、光伝送路4から受信される光信号を、波長に応じて分波する。光分波部216は、分波された各波長の光信号を、その波長に応じたO/E変換部217に出力する。
【0083】
O/E変換部217は、光分波部216から出力された光信号を電気信号に変換する。O/E変換部217は、変換された電気信号を、自装置に応じた分波部218に出力する。
【0084】
分波部218は、O/E変換部217から出力される電気信号を、複数のアンテナ装置219に対して分波する。分波部218は、例えばFDM多重されている各周波数の信号を、その周波数に応じて予め設定されているアンテナ装置219へ出力する。分波部218は、周波数とアンテナ装置219との対応関係を変更可能に構成されてもよい。
【0085】
アンテナ装置219は、例えばアレイアンテナを用いて構成されてもよい。アンテナ装置219は、分波部218から出力された電気信号を無線信号として空気中に放出する。一つの分波部218に接続されるアンテナ装置の台数(k1,k2,・・・,km)は、それぞれ異なってもよいし同じであってもよい。
【0086】
図12は、第3実施形態における基地局受信部22bの機能構成例を示す図である。第3実施形態における基地局受信部22bは、SCM及びWDMで多重化された光信号を光伝送路4へ送信する。基地局受信部22bは、光信号生成部220b及び複数のアンテナ装置226(226_1~226_km:k1~kmは2以上の整数)を備える。なお、基地局送信部21bが備えるアンテナ装置219の数と基地局受信部22bが備えるアンテナ装置226の数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0087】
アンテナ装置226は、例えばアレイアンテナを用いて構成されてもよい。アンテナ装置226の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。なお、一つの合波部227に接続されるアンテナ装置の台数(k1,k2,・・・,km)は、それぞれ異なってもよいし同じであってもよい。
【0088】
光信号生成部220bは、複数のアンテナ装置226から出力された電気信号に基づいて、収容局装置1へ送信される光信号を生成する。光信号生成部220bは、複数の合波部227(227_1~227_m)、複数のE/O変換部228(228_1~228_m)及び光合波部229を備える。
【0089】
合波部227は、複数のアンテナ装置226から出力された各電気信号を周波数分割多重(FDM)で多重化して多重信号を生成する。各アンテナ装置226が受信可能な周波数が異なる場合、合波部227は、単に各電気信号を加算することで多重信号を生成することができる。合波部227は、生成された多重信号を、自装置に応じたE/O変換部228に出力する。
【0090】
E/O変換部228は、自装置に応じた合波部227から出力される電気信号を、自装置に応じた波長の光信号に強度変調する。E/O変換部228は、生成された光信号を光合波部229に出力する。
【0091】
光合波部229は、E/O変換部228から出力された各波長の光信号を合波することによって、SCM及びWDMの光信号を生成する。光合波部229は、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0092】
図13は、第3実施形態における収容局受信部12bの機能構成例を示す図である。第3実施形態における収容局受信部12bは、SCM及びWDMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。収容局受信部12bは、O/E変換部121b、設定情報記憶部122b、信号処理制御部123b及び複数の信号処理部124(124_1~124_n)を備える。なお、収容局送信部11bが備える信号処理部111の数と収容局受信部12bが備える信号処理部124の数とは、同数であってもよいし異なる数であってもよい。
【0093】
O/E変換部121bは、光伝送路4から受信される各波長の光信号を復調して、波長毎に異なる周波数分割多重の多重信号(電気信号)を生成する。O/E変換部121bは、生成された各電気信号を信号処理制御部123bに出力する。
【0094】
設定情報記憶部122bは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部122bは、光信号のサブキャリア及び光信号の波長と、複数の信号処理部124と、の対応関係を示す情報を記憶する。設定情報記憶部122bは、例えば各信号処理部124に対して出力される電気信号と、その電気信号が割り当てられているサブキャリア及び光波長と、の関係を示す情報を記憶してもよい。
【0095】
信号処理制御部123bは、設定情報記憶部122bに記憶されている情報に基づいて、O/E変換部121bから出力される各電気信号を各信号処理部124に出力する。すなわち、信号処理制御部123bは、O/E変換部121bにおいて受信されたSCM/WDM信号のサブキャリア及び波長の組合せに対応した信号処理部124に対し、そのサブキャリア及び波長の光信号から復調される電気信号を出力する。
【0096】
信号処理部124は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部124の構成は第3実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0097】
このように構成された第3実施形態では、高周波数帯の信号を光ファイバーで伝送する技術において、より柔軟に無線システムを統合して収容することが可能となる。具体的には以下の通りである。第3実施形態では、収容局送信部11bにおいて、無線システムに応じた信号処理部111が複数備えられる。各信号処理部111において生成された電気信号は、信号処理制御部123bによってサブキャリア多重及び波長多重されて光伝送路4を介して基地局送信部21bへ伝送される。そして、各無線システムに応じた電気信号が、各無線システムで使用される周波数に応じたアンテナ装置219から無線信号として送信される。そのため、従来技術(例えば非特許文献2に開示された技術)のように予め定められた所定の無線システムのみを収容できるのではなく、任意の様々な種別の無線システムを収容することが可能となる。上り信号においても同様である。
【0098】
また、第3実施形態では、設定情報記憶部112bに記憶されている情報を書き換えることによって、新たな無線システムを収容したり、既に収容されている無線システムを解除したりすることができる。このように、第3実施形態では、収容される無線システムについての柔軟性が向上する。上り信号においても同様である。
【0099】
また、第3実施形態では、設定情報記憶部112bに記憶されている情報を書き換えることによって、新たなアンテナ装置を基地局装置2に設置することもできる。このように、第3実施形態では、収容される無線システムについての柔軟性が向上する。上り信号においても同様である。
【0100】
さらに、第3実施形態では、基地局装置2においてより多くのアンテナ装置を設け、より多くの無線システムを収容することが可能となる。そのため、新たに世の中に生まれた無線システムについても、柔軟に収容することが可能となる。
【0101】
(第3実施形態の変形例)
複数の無線システムにおいて使用される無線信号の周波数帯が同じである場合には、複数の無線システムが一つの共通のアンテナ装置219及びアンテナ装置226を用いるように構成されてもよい。この場合、共通のアンテナ装置を使用する複数の無線システムにおいて端末装置3と基地局装置2との間の無線通信は、例えば時分割多重で行われてもよい。なお、使用するアンテナ装置が異なる無線システムの信号は、上述したように波長多重で多重されてもよい。
【0102】
例えば時分割多重が適用される場合、同一のアンテナ装置を用いる複数の無線システムそれぞれに固有のタイムスロットが割り当てられる。収容局送信部11bの信号処理制御部113bは、各信号処理部111から出力される電気信号を、その信号処理部111の無線システムに割り当てられているタイムスロットに割り当てる。基地局送信部21bは、光伝送路4から受信された各周波数帯の信号をアンテナ装置213から送信することで、無線区間における時分割多重が実現される。
【0103】
基地局受信部22bの光合波部229は、各E/O変換部228から出力される光信号を、各E/O変換部228に応じてSCM及びWDMの光信号を生成する。無線区間において時分割多重されているため、光合波部229は特に時分割多重のための処理を行う必要は無い。収容局受信部12bの信号処理制御部123bは、各タイムスロットに割り当てられている信号を、そのタイムスロットに応じた信号処理部124に出力する。このようなタイムスロットと無線システムとの対応関係を示す情報は、設定情報記憶部112b及び設定情報記憶部122bに記憶されている。
【0104】
このように構成されることにより、第3実施形態においても、複数の無線システムにおいて共通のアンテナ装置を用いて無線通信を行うことが可能となる。そのため、基地局装置2におけるアンテナ装置のハードウェアを効率的に使用することが可能となり、より多くの無線システムを収容することが可能となる。
【0105】
(第3実施形態のハードウェア構成)
上述した複数の信号処理部111b及び信号処理制御部113bは、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。なお、信号処理部111b及び信号処理制御部113bの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0106】
上述した実施形態では、複数の無線システムが1つのアンテナ装置を共用する場合、TDM又はFDMで多重することができた。上述の構成(特にWDMの場合)を拡張し空間分割多重(Space Division Multiplexing:SDM)で多重することで、複数の無線システムで1つのアンテナ装置を共用することが可能となる。以下、このようなSDMを用いる実施形態の具体例として、第4実施形態~第7実施形態について説明する。
【0107】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態における収容局送信部11cの機能構成例を示す図である。第4実施形態では、基地局装置2において1つのアンテナが複数の無線システムで共用される。収容局送信部11cは、複数の信号処理部111(111_1~111_n:nは2以上の整数)、設定情報記憶部112c、信号処理制御部113c及びE/O変換部114cを備える。第4実施形態では、収容局装置1と基地局装置2との間の光伝送路4ではWDMで信号が多重伝送され、基地局装置2と端末装置3との間ではSDMで信号が多重伝送される。WDMにおいて、1つのアンテナを共有する無線システムの数と、生成される制御信号の数と、を加算した数以上の波長が用いられる。SDMにはアレーアンテナが用いられる。上述した制御信号は、アレーアンテナにおける各位相器の位相制御の内容を示す。
【0108】
信号処理部111は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部111の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0109】
設定情報記憶部112cは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部112cは、各信号処理部111から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する。設定情報記憶部112cは、例えば各信号処理部111から出力される信号を割り当てる波長を示す情報を記憶してもよい。
【0110】
信号処理制御部113cは、複数の信号処理部111から出力される電気信号をE/O変換部114cに出力する。また、信号処理制御部113cは、複数の信号処理部111から出力される電気信号のうち制御信号に相当する電気信号を、無線システムの数よりも少ない数(例えば1つ)にまとめる。信号処理制御部113cは、まとめられた信号(制御信号)をE/O変換部114cに出力する。そして、信号処理制御部113cは、各電気信号を、各電気信号の無線システムに応じた波長の光信号に対して強度変調されるように出力する。また、信号処理制御部113cは、制御信号に相当する電気信号を、無線システムに応じた波長とは異なる他の波長の光信号に対して強度変調されるように出力する。
【0111】
E/O変換部114cは、複数の波長の光を発する。E/O変換部114cは、各波長の光に対して、それに応じた無線システムの電気信号又は制御信号の電気信号を強度変調して、WDM信号(光信号)を生成する。E/O変換部114cは、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0112】
図15は、第4実施形態における基地局送信部21cの機能構成例を示す図である。第4実施形態における基地局送信部21cは、WDMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。基地局送信部21cは、電気信号生成部210c及び少なくとも1つのアンテナ装置213cを備える。
【0113】
電気信号生成部210cは、光伝送路4から光信号を受信し、受信された光信号を複数の電気信号に変換する。電気信号生成部210cは、光分波部214及び複数のO/E変換部215を備える。
【0114】
光分波部214は、光伝送路4から受信される光信号を、波長に応じて分波する。光分波部214は、分波された各波長の光信号を、その波長に応じたO/E変換部215に出力する。
【0115】
O/E変換部215は、光分波部214から出力された光信号を電気信号に変換する。O/E変換部215は、変換された電気信号を、自装置に応じたアンテナ装置213cに出力する。複数のO/E変換部215が、共通の1台のアンテナ装置213cに接続されている。なお、
図15ではアンテナ装置213cは1つだけ図示されているが、1つの基地局送信部21cが複数のアンテナ装置213cを備えてもよい。
【0116】
アンテナ装置213cは、アレーアンテナ216及び制御部217を備える。アレーアンテナ216には、複数のO/E変換部215が接続される。アンテナ装置213cは、O/E変換部215から出力された電気信号を無線信号として空気中に放出する。
【0117】
図16は、第4実施形態におけるアンテナ装置213cの構成の具体例を示す図である。アンテナ装置213cのアレーアンテナ216は、複数の等分配回路2161と、複数の位相器2162と、複数のアンテナ素子2163を備える。例えば、アンテナ装置213cに接続されるO/E変換部215の台数よりも1少ない数の等分配回路2161がアンテナ装置213cに設けられてもよい。この場合、各O/E変換部215に対して1つの等分配回路2161が接続され、残りの1つのO/E変換部215に対して制御部217が接続される。
【0118】
各等分配回路2161には、複数の位相器2162が接続される。各位相器2162は、制御部217によってその動作を制御される。各位相器2162は、それぞれに応じたアンテナ素子2163に接続される。アンテナ素子2163は、複数の位相器2162から出力される電気信号に応じた電磁波を空気中に放射する。
【0119】
例えば無線システムx1に対応したO/E変換部215_x1は、無線システムx1に対応した等分配回路2161に電気信号を出力する。等分配回路2161は、自身に接続されている複数の位相器2162に対して電気信号を分配する。各位相器2162は、制御部217の制御に応じて各電気信号に対し位相制御を行う。各位相器2162は、位相制御された電気信号をアンテナ素子2163に出力する。アレー状に配置された複数のアンテナ素子2163は、各位相器2162から出力された電気信号が加算された電気信号に応じた電磁波を放射する。
【0120】
制御部217は、O/E変換部215_0から出力される電気信号(制御信号)を取得する。制御部217は、制御信号に応じて各位相器2162に対する制御信号を出力する。各制御信号には、各位相器2162において行われる位相制御の内容を示す信号が含まれる。
【0121】
このように動作することによって、第4実施形態では空間分割多重(SDM)が実現される。
【0122】
(第5実施形態)
図17は、第5実施形態における収容局送信部11dの機能構成例を示す図である。第5実施形態では、基地局装置2において1つのアンテナが複数の無線システムで共用される。収容局送信部11dは、複数の信号処理部111(111_1~111_n:nは2以上の整数)、設定情報記憶部112d、信号処理制御部113d及びE/O変換部114dを備える。第5実施形態では、収容局装置1と基地局装置2との間の伝送路4ではWDMで信号が多重伝送され、基地局装置2と端末装置3との間ではSDMで信号が多重伝送される。WDMにおいて、1つのアンテナを共有する無線システムの数以上の波長が用いられる。SDMにはアレーアンテナが用いられる。
【0123】
信号処理部111は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部111の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0124】
設定情報記憶部112dは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部112dは、各信号処理部111から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する。設定情報記憶部112dは、例えば各信号処理部111から出力される信号を割り当てる波長を示す情報を記憶してもよい。
【0125】
信号処理制御部113dは、複数の信号処理部111から出力される電気信号をE/O変換部114dに出力する。また、信号処理制御部113dは、複数の信号処理部111から出力される電気信号のうち制御信号に相当する電気信号を、無線システムの数よりも少ない数(例えば1つ)にまとめる。本実施形態では、制御信号は1つの電気信号にまとめられる。信号処理制御部113dは、まとめられた信号(制御信号)をE/O変換部114dに出力する。信号処理制御部113dは、各電気信号を、各電気信号の無線システムに応じた波長の光信号に対して強度変調されるように出力する。
【0126】
E/O変換部114dは、複数の波長の光を発する。E/O変換部114dは、各波長の光に対して、それに応じた無線システムの電気信号を強度変調して、WDM信号(光信号)を生成する。E/O変換部114dは、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0127】
図18は、第5実施形態におけるE/O変換部114dの構成の具体例を示す図である。E/O変換部114dは、無線システムの数に応じた(例えば同数の)等分配回路1141と、複数の位相器1142と、E/O変換素子1144と、波長多重部1145と、を備える。
【0128】
信号処理制御部113dは、E/O変換部114dに対し、各無線システムの信号と、各無線システムの制御信号をまとめた信号と、を出力する。各無線システムの信号は、各無線システムに応じた等分配回路1141に入力される。制御信号は位相制御部1143に出力される。
【0129】
各等分配回路1141には、複数の位相器1142が接続される。各位相器1142は、制御部1143によってその動作を制御される。各位相器1142は、それぞれに応じたE/O変換素子1144に接続される。E/O変換素子1144は、複数の位相器1142から出力される電気信号に応じた光信号を出力する。
【0130】
例えば無線システムx1に対応した電気信号は、無線システムx1に対応した等分配回路1141_1に入力される。無線システムx1に対応した等分配回路1101は、自身に接続されている複数の位相器1142に対して電気信号を分配する。各位相器1142は、制御部1143の制御に応じて各電気信号に対し位相制御を行う。各位相器1142は、位相制御された電気信号をE/O変換素子1144に出力する。各E/O変換素子1144は、入力された電気信号を光信号に変換し、波長多重部1145に出力する。波長多重部1145は、各無線システムの信号から生成された光信号を波長多重することでWDMの多重信号を生成する。波長多重部1145は、光伝送路4へ多重信号を送出する。
【0131】
制御部1143は、信号処理制御部113dから出力される電気信号(制御信号)を取得する。制御部1143は、制御信号に応じて各位相器1142に対する制御信号を出力する。各制御信号には、各位相器1142において行われる位相制御の内容を示す信号が含まれる。
【0132】
図19は、第5実施形態における基地局送信部21dの機能構成例を示す図である。第5実施形態における基地局送信部21dは、WDMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。基地局送信部21dは、電気信号生成部210d及び少なくとも1つのアンテナ装置213dを備える。
【0133】
電気信号生成部210dは、光伝送路4から光信号を受信し、受信された光信号を複数の電気信号に変換する。電気信号生成部210dは、光分波部214及び複数のO/E変換部215を備える。
【0134】
光分波部214は、光伝送路4から受信される光信号を、波長に応じて分波する。光分波部214は、分波された各波長の光信号を、その波長に応じたO/E変換部215に出力する。
【0135】
O/E変換部215は、光分波部214から出力された光信号を電気信号に変換する。O/E変換部215は、変換された電気信号を、自装置に応じたアンテナ装置213dに出力する。複数のO/E変換部215が、共通の1台のアンテナ装置213dに接続されている。なお、
図19ではアンテナ装置213dは1つだけ図示されているが、1つの基地局送信部21dが複数のアンテナ装置213dを備えてもよい。
【0136】
アンテナ装置213dは、アレーアンテナを用いて構成される。アンテナ装置213dには、複数のO/E変換部215が接続される。アンテナ装置213dは、O/E変換部215から出力された電気信号を無線信号として空気中に放出する。
【0137】
図20は、第5実施形態におけるアンテナ装置213dの構成の具体例を示す図である。アンテナ装置213dは、上述したように、複数のアンテナ素子2163を備える。O/E変換部215から出力される電気信号は、収容局送信部11dにおいて既に位相制御がなされている。そのため、O/E変換部215から出力される電気信号が、アレーアンテナを構成する各アンテナ素子2163から放射されることにより、空間分割多重(SDM)が実現される。
【0138】
(第6実施形態)
図21は、第6実施形態における収容局送信部11eの機能構成例を示す図である。第6実施形態では、基地局装置2において1つのアンテナが複数の無線システムで共用される。収容局送信部11eは、複数の信号処理部111(111_1~111_n:nは2以上の整数)、設定情報記憶部112e、信号処理制御部113e及びE/O変換部114eを備える。第6実施形態では、収容局装置1と基地局装置2との間の伝送路4ではWDMで信号が多重伝送され、基地局装置2と端末装置3との間ではSDMで信号が多重伝送される。WDMにおいて、1つのアンテナを共有する無線システムの数以上の波長が用いられる。SDMにはビーム形成するアンテナ装置213eが用いられる。
【0139】
信号処理部111は、予め割り当てられた種別の無線システムに応じて動作する。信号処理部111の構成は第1実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0140】
設定情報記憶部112eは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部112eは、各信号処理部111から出力される電気信号の多重化に関する情報を記憶する。設定情報記憶部112eは、例えば各信号処理部111から出力される信号を割り当てる波長を示す情報を記憶してもよい。
【0141】
信号処理制御部113eは、複数の信号処理部111から出力される電気信号をE/O変換部114eに出力する。また、信号処理制御部113eは、複数の信号処理部111から出力される電気信号のうち制御信号に相当する電気信号を、無線システムの数よりも少ない数(例えば1つ)にまとめる。本実施形態では、制御信号は1つの電気信号にまとめられる。信号処理制御部113eは、まとめられた信号(制御信号)をE/O変換部114eに出力する。信号処理制御部113eは、各電気信号を、各電気信号の無線システムに応じた波長の光信号に対して強度変調されるように出力する。
【0142】
E/O変換部114eは、複数の波長の光を発する。E/O変換部114eは、各波長の光に対して、それに応じた無線システムの電気信号を強度変調して、WDM信号(光信号)を生成する。E/O変換部114eは、生成された光信号を光伝送路4に出力する。
【0143】
図22は、第6実施形態におけるE/O変換部114eの構成の具体例を示す図である。E/O変換部114eは、無線システムの数に応じた(例えば同数の)E/O変換素子1144と、波長多重部1145と、波長制御部1146と、を備える。
【0144】
信号処理制御部113eは、E/O変換部114eに対し、各無線システムの信号と、各無線システムの制御信号をまとめた信号と、を出力する。各無線システムの信号は、各無線システムに応じたE/O変換素子1144に入力される。制御信号は波長制御部1146に出力される。
【0145】
各E/O変換素子1144には、波長多重部1145が接続される。各E/O変換素子1144は、波長制御部1146によって、出力する光信号の波長を制御される。各E/O変換素子1144は、各無線システムに応じた波長の光信号に対し、各無線システムの電気信号を強度変調する。各E/O変換素子1144は、このようにして生成された光信号を波長多重部1145に出力する。
【0146】
波長多重部1145は、各無線システムの信号から生成された光信号を波長多重することでWDMの多重信号を生成する。波長多重部1145は、光伝送路4へ多重信号を送出する。
【0147】
波長制御部1146は、信号処理制御部113eから出力される電気信号(制御信号)を取得する。波長制御部1146は、制御信号に応じて各E/O変換素子1144に対する制御信号を出力する。各制御信号には、各E/O変換素子1144において出力される光信号の波長を示す信号が含まれる。
【0148】
図23は、第6実施形態における基地局送信部21eの機能構成例を示す図である。第6実施形態における基地局送信部21eは、WDMで多重化された光信号を光伝送路4から受信する。基地局送信部21eは、電気信号生成部210e及び少なくとも1つのアンテナ装置213eを備える。
【0149】
電気信号生成部210eは、光伝送路4から光信号を受信し、受信された光信号を複数の電気信号に変換する。電気信号生成部210eは、光分波部214及び複数のO/E変換部215を備える。
【0150】
光分波部214は、光伝送路4から受信される光信号を、波長に応じて分波する。光分波部214は、分波された各波長の光信号を、その波長に応じたO/E変換部215に出力する。
【0151】
O/E変換部215は、光分波部214から出力された光信号を電気信号に変換する。O/E変換部215は、変換された電気信号をアンテナ装置213eに出力する。複数のO/E変換部215が、共通の1台のアンテナ装置213eに接続されている。なお、
図23ではアンテナ装置213eは1つだけ図示されているが、1つの基地局送信部21eが複数のアンテナ装置213eを備えてもよい。
【0152】
アンテナ装置213eは、ビーム形成可能な機器を用いて構成される。以下、アンテナ装置213eの具体例として3つの機器(ビーム形成回路、リフレクトアレー、トランスミットアレー)について説明する。
【0153】
(ビーム形成回路:Beamforming Network)
図24は、アンテナ装置213eの一具体例を示す図である。
図24において、アンテナ装置213eはビーム形成回路2131を用いて構成される。
図25は、ビーム形成回路2131の概略を示す図である。ビーム形成回路2131は、入力ポートに信号が入力されると、出力ポートから位相差のついた信号を出力する。そのため、ビーム形成回路2131を用いることによって、入力ポートに応じた方向のビームを形成することができる。このようなビーム形成回路の具体例として、バトラーマトリクス、ブラスマトリクス、ノーランマトリクス、ロットマンレンズ等がある。以下の参考文献にもビーム形成回路について記載がある。
【0154】
参考文献:Luo, Q., Gao, S. S., Liu, W., & Gu, C. (2019). Low-cost Smart Antennas. Wiley. p. 253-265
【0155】
図25に示される例では、ビーム形成回路2131は、y1個の入力ポートと、y2個の出力ポートと、を有する。ビーム形成回路2131は、1つの入力ポートに無線信号が入力されると、y2個の出力ポートから、振幅が同じであって且つ位相が線形に傾くような無線信号を出力する。また、出力される位相の傾きは、信号が入力される入力ポート毎に異なる。そのため、ビーム形成回路2131は、入力ポートに応じた方向にビームを形成することができる。入出力の可逆性をもち、入力ポートiに対応するビームの方向から無線信号が到来すると、入力ポートiのみから無線信号が出力される。このような特性を利用することで、上り信号についても処理が可能である。
図24に示されるように、各O/E変換部215は、ビーム形成回路2131の特定の入力ポートに接続されている。そのため、O/E変換部215から無線システムに応じた信号がビーム形成回路2131に入力されると、信号が入力された入力ポートに応じたビームが形成されてアンテナ素子2163から出力される。
【0156】
(リフレクトアレー:Reflect array)
図26は、アンテナ装置213eの一具体例を示す図である。
図26において、アンテナ装置213eはリフレクトアレー2132を用いて構成される。
図27は、リフレクトアレー2132の概略を示す図である。リフレクトアレー2132は、フィードから無線信号を放射すると、無線信号に位相差を付けてフィードの位置に応じた方向に反射する。そのため、リフレクトアレー2132を用いることによって、フィードに応じた方向へのビームを形成することができる。
【0157】
図27に示される例では、リフレクトアレー2132はy個のフィードを有する。ある一つのフィードから無線信号が放射されると、リフレクトアレーで反射する際に位相が線形に傾くことで特定の方向にビームが形成される。フィードによって位相の傾きが異なる。そのため、フィードから放射された無線信号は、放射元のフィードに応じてそれぞれ異なる方向にビーム形成される。入出力の可逆性をもち、フィードiに対応するビームの方向から無線信号が到来すると、リフレクトアレーで反射された無線信号はフィードiのみに収束する。このような特性を利用することで、上り信号についても処理が可能である。
【0158】
図26に示されるように、各O/E変換部215は、リフレクトアレー2132の特定のフィードに接続されている。そのため、O/E変換部215から無線システムに応じた信号がリフレクトアレー2132に入力されると、信号が入力されたフィードに応じたビームが形成されて出力される。
【0159】
(トランスミットアレー:Transmit array)
図28は、アンテナ装置213eの一具体例を示す図である。
図28において、アンテナ装置213eはトランスミットアレー2133を用いて構成される。
図29は、トランスミットアレー2133の概略を示す図である。トランスミットアレー2133は、フィードから無線信号を放射すると、無線信号に位相差を付けてフィードの位置に応じた方向に透過する。そのため、トランスミットアレー2133を用いることによって、フィードに応じた方向へのビームを形成することができる。
【0160】
図29に示される例では、トランスミットアレー2133はy個のフィードを有する。ある一つのフィードから無線信号が放射されると、トランスミットアレーを通過する際に位相が線形に傾くことで特定の方向にビームが形成される。フィードによって位相の傾きが異なる。そのため、フィードから放射された無線信号は、放射元のフィードに応じてそれぞれ異なる方向にビーム形成される。入出力の可逆性をもち、フィードiに対応するビームの方向から無線信号が到来すると、トランスミットアレーを通過した無線信号はフィードiのみに収束する。このような特性を利用することで、上り信号についても処理が可能である。
【0161】
図28に示されるように、各O/E変換部215は、トランスミットアレー2133の特定のフィードに接続されている。そのため、O/E変換部215から無線システムに応じた信号がトランスミットアレー2133に入力されると、信号が入力されたフィードに応じたビームが形成されて出力される。
【0162】
上述したように、アンテナ装置213eではO/E変換部215毎に(無線システム毎に)異なるビームが形成される。そのため、O/E変換部215から出力される電気信号がアンテナ装置213eから放射されることにより、空間分割多重(SDM)が実現される。
【0163】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、RoF等の光通信に適用可能である。
【符号の説明】
【0165】
100…通信システム、1…収容局装置、2…基地局装置、11…収容局送信部、111…信号処理部、112…設定情報記憶部、113信号処理制御部、114…E/O変換部、12…収容局受信部、121…O/E変換部、122…設定情報記憶部、123…信号処理制御部、124…信号処理部、21…基地局送信部、211…O/E変換部、212…分波部、213…アンテナ装置、216…光分波部、217…O/E変換部、218…分波部、219…アンテナ装置、22…基地局受信部、221…アンテナ装置、222…合波部、223…E/O変換部、224…E/O変換部、225…光合波部、226…アンテナ装置、227…合波部、228…E/O変換部、229…光合波部、3…端末装置、4…光伝送路