(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】協業コミュニティ提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2023172164
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519327375
【氏名又は名称】株式会社テイラーワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】難波 弘匡
【審査官】前田 侑香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/192213(WO,A1)
【文献】特開2015-125483(JP,A)
【文献】特開2022-38653(JP,A)
【文献】特表2019-511795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録者を識別する個人識別情報を含む登録者情報と、前記登録者それぞれが有する専門分野の処理能力を示す個人評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された個人評価データベースと、
前記専門分野の複数の組み合わせにより解決される課題に取り組んだ前記登録者の集団を識別する集団識別情報を含む集団情報と、前記集団に所属した全ての前記登録者の個人識別情報と、前記集団の前記課題に対する解決能力を示す集団評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された集団評価データベースと、
前記課題が新たに発生したときに、前記課題を解決するために必要な専門分野を有する登録者の登録者情報及び個人評価情報を前記個人評価データベースから抽出し、前記課題を解決可能な集団の集団情報及び集団評価情報を前記集団評価データベースから抽出する抽出部と、
前記抽出部において抽出された前記登録者に、前記課題を解決する依頼先として選択された旨を、前記個人評価情報とともに報知し、前記抽出部において抽出された前記集団に属した前記登録者に、前記課題を解決する依頼先として選択された旨を、前記個人評価情報及び前記集団評価情報とともに報知する依頼先報知部と、
前記課題に取り組んだ前記集団の解決能力と、当該集団に所属した前記登録者の処理能力とをそれぞれ評価し、前記集団評価データベースと前記個人評価データベースとを更新する評価更新部と
を有する協業コミュニティ提供装置。
【請求項2】
前記個人評価情報による処理能力の大きさに応じた価値と、前記集団評価情報による解決能力の大きさに応じた価値とを、前記登録者に付与する価値付与部を有する請求項1に記載の協業コミュニティ提供装置。
【請求項3】
ソーシャルネットワーキングサービスを通じて他者との交流活動に用いた前記登録者の発信情報に、前記登録者の前記専門分野を推定するための検索用タグを付与する場合に、
トレーニングデータに基づいて言語の統計的な構造を学習し、学習結果を用いて新しい文章を生成する大規模言語モデルを、プロンプトの内容としての前記発信情報に応じさせることで前記検索用タグを生成させる検索用タグ付与部を有する請求項1に記載の協業コミュニティ提供装置。
【請求項4】
前記個人評価情報及び前記集団評価情報を、他者への移転が不可能な非代替性トークン化してブロックチェーン上に記録するトークン記録部を有する請求項1に記載の協業コミュニティ提供装置。
【請求項5】
ソーシャルネットワーキングサービスを通じて他者との交流活動に用いた前記登録者の発信情報に基づいて、前記登録者の人物定義と各種の課題への興味度合いを推測して前記登録者情報に含める場合に、
トレーニングデータに基づいて言語の統計的な構造を学習し、学習結果を用いて新しい文章を生成する大規模言語モデルを、プロンプトの内容としての前記発信情報に応じさせることで前記登録者の人物定義と各種の課題への興味度合いを生成させる登録者情報推定部を有する請求項1に記載の協業コミュニティ提供装置。
【請求項6】
前記登録者の集団により取り組まれた課題と、前記課題に取り組んだ前記集団の集団評価情報と、前記登録者の人物定義及び各種の課題への興味度合いとを教師データとして機械学習モデルを訓練し、前記機械学習モデルに新規の課題を入力したときに、前記集団評価情報の評価が最高値を示す前記登録者の集団を推定する集団推定部を有する請求項1に記載の協業コミュニティ提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、協業コミュニティ提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、部署指定受付処理手段31により、人事異動のための配属作業後にチェック対象部署の指定入力を受け付け、部署別適合度判定処理手段32により、個人特性テーブル64に記憶された各職員の個人特性データと、部署特性テーブル65に記憶されたチェック対象部署の部署特性データとを用いて、チェック対象部署に配属された各職員についてチェック対象部署への適合度を判定する処理を行い、チェック対象部署の部署特性と乖離している個人特性を持つと判定された職員について、部署別アラーム表示処理手段33により、画面上に特性不適合を示す部署別アラーム表示処理を行う技術が開示されている。
【0003】
特許文献1の技術によれば、組織を構成する各部署間で適切な人事異動を行うことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術では、各職員の個人特性と部署特性とのチェック対象部署への適合度の判定結果に基づいて管理者がチェック対象部署への配属を決定するという中央集権的な管理方法になっている。従って、各職員は、管理者からの報知により配属先への移動の決定を知り、自身の適性を意識しながら、配属先への移動の適否を検討や判断することができないため、モチベーションという点で改善の余地がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティが構築されることによって、自身が検討及び意思決定することができる協業コミュニティ提供装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、登録者に課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報や集団評価情報とともに報知することによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明は、登録者を識別する個人識別情報を含む登録者情報と、前記登録者それぞれが有する専門分野の処理能力を示す個人評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された個人評価データベースと、
前記専門分野の複数の組み合わせにより解決される課題に取り組んだ前記登録者の集団を識別する集団識別情報を含む集団情報と、前記集団に所属した全ての前記登録者の個人識別情報と、前記集団の前記課題に対する解決能力を示す集団評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された集団評価データベースと、
前記課題が新たに発生したときに、前記課題を解決するために必要な専門分野を有する登録者の登録者情報及び個人評価情報を前記個人評価データベースから抽出し、前記課題を解決可能な集団の集団情報及び集団評価情報を前記集団評価データベースから抽出する抽出部と、
前記抽出部において抽出された前記登録者に、前記課題を解決する依頼先として選択された旨を、前記個人評価情報とともに報知し、前記抽出部において抽出された前記集団に属した前記登録者に、前記課題を解決する依頼先として選択された旨を、前記個人評価情報及び前記集団評価情報とともに報知する依頼先報知部と、
前記課題に取り組んだ前記集団の解決能力と、当該集団に所属した前記登録者の処理能力とをそれぞれ評価し、前記集団評価データベースと前記個人評価データベースとを更新する評価更新部と
を有する協業コミュニティ提供装置である。
【0009】
上記の構成によれば、複数の登録者からなる集団が課題に取り組んだときの集団の解決能力が集団評価情報として評価され、集団に属する登録者個人の処理能力が個人評価情報として評価される。これらの集団評価情報及び個人評価情報が新たな課題を解決する依頼先を選定するために用いられ、依頼先として選定された旨が集団評価情報や個人評価情報とともに報知される。そして、報知を受けた登録者は、集団評価情報や個人評価情報を受け取ることにより適性を意識しながら、課題への参加を自主的に検討及び判断することができる。即ち、上記の構成によれば、中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティのプラットフォームが構築されることによって、登録者自身が課題に参加するか否かを検討及び意思決定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティが構築されることによって、登録者自身が課題に参加するか否かを検討及び意思決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の協業コミュニティ提供装置と各端末との情報の流れを示す説明図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の協業コミュニティ提供装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、検索用タグ付与部と各部との情報の流れを示す説明図である。
【
図4】
図4は、登録者情報推定部と各部との情報の流れを示す説明図である。
【
図5】
図5は、個人評価データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、集団評価データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、SNSデータベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
(協業コミュニティ提供装置1)
図1に示すように、協業コミュニティ提供装置1は、中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティのプラットフォームを構築し、登録者4に課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報や集団評価情報とともに報知するように構成されている。
【0013】
具体的な一例を示すと、登録者4を識別する個人識別情報を含む登録者情報と、登録者4それぞれが有する専門分野の処理能力を示す個人評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された個人評価データベース121と、専門分野の複数の組み合わせにより解決される課題に取り組んだ登録者4の集団を識別する集団識別情報を含む集団情報と、集団に所属した全ての登録者4の個人識別情報と、集団の課題に対する解決能力を示す集団評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された集団評価データベース122とを有している。
【0014】
ここで、「登録者4」は、協業コミュニティ提供装置1のサービスに登録した者であり、名前や専門分野(スキル)などの初期設定情報を登録することによって、登録者4固有の個人識別情報が付与される。集団に所属した場合は、集団識別番号と個人識別番号との組み合わせが付与される。従って、登録者4が複数の集団に所属した場合は、集団毎に集団識別情報が付与されるため、集団の所属数だけ集団識別番号と個人識別番号との組み合わせの識別番号を有することになる。登録者4は、企業に勤務している者の他、学生や主婦、無職、フリーランス、自営業者などを含む。また、協業コミュニティ提供装置1のサービスは、インターネットなどの情報通信網5を通じて提供されるため、国籍や居住地に関係なく、利用規約で制限を受ける場合を除き、誰でも登録及び利用することができる。
【0015】
「個人識別情報」は、登録者4を識別するための個人情報である。初期設定情報の登録時に、本人が本名やニックネームなどを個人識別情報として入力しても良いし、協業コミュニティ提供装置1が自動で付与してもよい。本実施形態においては、P001やP002として自動で付与された場合を用いて説明する。「登録者情報」は、登録者名や連絡先、性別、生年月日、登録日などである。「専門分野」は、特定の知識、スキル、経験を持ち、専門的な知識や能力を発揮できる特定の領域や分野のことである。例えば、IT(Information Technology)分野であれば、プログラミングやデータ解析、コンテンツ制作、サイバーセキュリティなどが例示される。
【0016】
「個人評価情報」は、登録者4の専門知識や能力を客観的に評価する情報である。本実施形態においては、5段階評価で示しているが、これに限定されるものではない。個人評価情報は、専門分野の能力評価、実績や成果の評価、資格情報、協調性やリーダーシップなどの評価要素に基づいて求められる。尚、評価は、評価要素と評価の数値化をプロンプト情報とすることによって、
図2の自然言語生成システム2の大規模言語モデルにより行われることが好ましい。これにより、個人評価情報は、集団における能力や貢献度に応じて付与され、適切な役割や責任を割り当てるために利用することができる。また、個人評価情報は、個人の能力を表すポートフォリオとしてスキルや能力、業績などの指標として使用可能であり、就職活動や転職活動などの際に、自分の能力をアピールするために使用することもできる。
【0017】
「課題」は、専門分野の複数の組み合わせにより解決されるものであり、社会課題や技術課題、教育課題、健康課題、政治課題などが例示される。本実施形態においては、技術課題における具体例として、ゲーム作成やデータ解析、インタフェースデザイン、プロモーション、ゲームセキュリティをインターネット関係の課題として例示している。そして、例えば、ゲーム作成の課題においては、プログラミングとデザインとプロジェクトマネジメントとの専門分野の組み合わせ、即ち、3分野の専門知識を持った複数の者が解決のために必要であるとして例示している。また、データ解析の課題においては、データ解析とプログラミングとの専門分野の組み合わせ、即ち、2分野の専門知識を持った者が解決のために必要であるとして例示している。尚、課題には、難易度が付記されることが好ましい。登録者4が参加(応募)するか否かの判断基準にできるからである。
【0018】
「集団」は、特定の課題に対して異なる専門分野を持つ複数の登録者4が集まり、協力して解決策を見出すために結成された登録者4のグループやコミュニティのことである。尚、集団における各登録者4の専門知識やスキルが重複してもよい。例えば、データ解析を専門とする者が一つの集団に3人所属してもよい。また、集団は、中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティにより形成されるため、登録者4が自主的に集合したものである。このような登録者4の集団は、個々の登録者4が異なる専門分野やスキルを持っているため、それぞれが自身の専門知識や能力を活かして課題に取り組むことが可能になっている。これにより、集団は、異なるバックグラウンドやスキルを持つ複数の登録者4が協力及び連携し、情報やアイデアを共有しながら解決策を提案することによって、より効果的な解決策を導き出すことが可能になっている。また、登録者4が企業に所属している場合は、企業外でのスキルの向上機会を得ることができる。
【0019】
「集団識別情報」は、集団を識別するための情報である。集団の結成時に、集団に属する登録者4達が名称やニックネームなどを集団識別情報として設定しても良いし、協業コミュニティ提供装置1が自動で付与してもよい。本実施形態においては、G1やG2として自動で付与された場合を用いて説明している。「集団情報」は、集団識別情報を含む集団の全般的な情報である。集団情報には、集団の名前や集団の目的、集団の活動内容などの集団に関する情報が含まれる。例えば、集団の名前として「環境問題解決プロジェクト」、集団の目的として「地球温暖化を解決する」、集団の活動内容として「地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減、再生可能エネルギーの開発、環境教育の推進」が挙げられる。
【0020】
「集団評価情報」は、特定の課題に取り組んだ登録者4の集団が解決能力や成果を評価するための情報である。集団評価情報は、集団の目標や課題に対する評価基準、登録者4間の評価やフィードバックコメントなどの情報に基づいて求められている。具体的には、課題の完了度、成果の品質、知識・スキルの活用、チームワーク、協力などの評価要素が総合的に考慮される。これにより、集団評価情報は、課題に対する集団の貢献度を可視化し、集団がどのような種類の課題に対してどの程度の解決能力を有するかの指標とすることができる。尚、評価は、評価要素と評価の数値化をプロンプト情報とすることによって、
図2の自然言語生成システム2の大規模言語モデルにより行われることが好ましい。
【0021】
上記の個人評価データベース121及び集団評価データベース122は、記憶部12に格納されている。記憶部12は、制御部11に対してデータ通信可能に接続されている。制御部11は、課題が新たに発生したときに、課題を解決するために必要な専門分野を有する登録者4の登録者情報及び個人評価情報を個人評価データベース121から抽出し、課題を解決可能な集団の集団情報及び集団評価情報を集団評価データベース122から抽出する抽出部114と、抽出部114において抽出された登録者4に、課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報とともに報知し、抽出部114において抽出された集団に属した登録者4に、課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報及び集団評価情報とともに報知する依頼先報知部113と、課題に取り組んだ集団の解決能力と、当該集団に所属した登録者4の処理能力とをそれぞれ評価し、集団評価データベース122と個人評価データベース121とを更新する評価更新部112とを有している。
【0022】
上記の構成によれば、複数の登録者4からなる集団が課題に取り組んだときの集団の解決能力が集団評価情報として評価され、集団に属する登録者4個人の処理能力が個人評価情報として評価される。これらの集団評価情報及び個人評価情報が新たな課題を解決する依頼先を選定するために用いられ、依頼先として選定された旨が集団評価情報や個人評価情報とともに報知される。そして、報知を受けた登録者4は、集団評価情報や個人評価情報を受け取ることにより適性を意識しながら、課題への参加を自主的に検討及び判断することができる。即ち、上記の構成によれば、中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティのプラットフォームが構築されることによって、登録者4自身が課題に参加するか否かを検討及び意思決定することができる。
【0023】
さらに、協業コミュニティ提供装置1は、コミュニティー部111を有している。コミュニティー部111は、登録者4や未登録の利用者が操作する利用者端末3からの情報を収集するようになっている。これにより、例えば、複数の登録者4が或る課題を解決するために集団を形成した場合において、これら集団の登録者4間における会話や資料などの情報が収集され、図示しないデータベースに記憶されることによって、課題への対処途中や解決後における集団の評価や登録者4個人の評価に役立てられるようになっている。
【0024】
図2に示すように、協業コミュニティ提供装置1は、個人評価情報による処理能力の大きさに応じた価値と、集団評価情報による解決能力の大きさに応じた価値とを、登録者4に付与する価値付与部117を有している。ここで、「価値」は、登録者4にとって利益になるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、価値は、金銭的価値、デジタル通貨のポイント、暗号資産であってもよいし、実物の商品やサービス、ギフトカードであってもよい。さらに、価値は、特定の地位や権限、アクセス権などの特権や特典、自身や自身のスキルを宣伝するプロモーションの機会、より高度なスキルや知識の習得機会、トレーニングや指導の機会が例示される。上記の構成によれば、個人評価情報による処理能力の大きさに応じた価値と、集団評価情報による解決能力の大きさに応じた価値とが登録者4に付与されることによって、登録者4のモチベーションを高めることができる。
【0025】
また、協業コミュニティ提供装置1は、個人評価情報及び集団評価情報を、他者への移転が不可能な非代替性トークン化してブロックチェーン7上に記録、即ち、オンチェーン化するトークン記録部118を有している。これにより、協業コミュニティ提供装置1は、トークン記録部118により個人評価情報及び集団評価情報が個人識別情報及び集団識別情報とともに、他者への移転が不可能な非代替性トークン化されてブロックチェーン7上に記録されるソウルバンドトークン(SBT)とされるため、個人評価情報及び集団評価情報を証明する際に、データベースだけに記憶されている場合よりも、高い信頼性で証明することができる。尚、ブロックチェーン7は、個人評価情報及び集団評価情報の他、集団や個人の活動履歴や検索用タグなどを記録してもよい。
【0026】
ここで、「非代替性トークン」は、ブロックチェーン7上で発行される特定の資産を表すデジタルトークンである。非代替性は、そのトークンが他のトークンと交換可能でないことを意味する。「ブロックチェーン7」は、分散型のデジタル台帳技術である。データがブロックと呼ばれる連続したデータ構造に分割され、それぞれのブロックがリンクされてチェーンを形成している。各ブロックには複数のトランザクションである個人評価情報及び集団評価情報が含まれ、それらのデータがブロックチェーン7上に記録されている。ブロックチェーン7は、分散型ネットワーク上で運営され、マイニングを行う参加者間での合意に基づいて新しいデータ(個人評価情報及び集団評価情報)の追加や変更が行われる。
【0027】
「ソウルバンドトークン(SBT:Soul Band Token)」は、個人評価情報や集団評価情報を非代替性トークンとしてブロックチェーン上に記録するために使用されるトークンのことである。ソウルバンドトークンは、個人や集団の評価情報をトークン化することで、情報の証明や保護を行うことを可能にしている。これにより、個人評価情報や集団評価情報は、ブロックチェーン上で永続的に記録され、改ざんや他者への移転が不可能になることから、信頼性とセキュリティ性が向上し、証明時において高い信頼が得られることになる。
【0028】
さらに、
図3に示すように、協業コミュニティ提供装置1は、検索用タグ付与部119を有している。検索用タグ付与部119は、SNSシステム8及び自然言語生成システム2に対してデータ通信可能にされており、自然言語生成システム2で生成された検索用タグをSNSデータベース123に格納するようになっている。検索用タグ付与部119は、検索用タグプロンプト形成部1191と、検索用タグ評価部1192とを有している。検索用タグプロンプト形成部1191は、個人評価データベース121及び集団評価データベース122から受け取った登録者情報や集団情報に基づいて、各登録者4の発したコメントなどの発信情報をSNSシステム8から収集し、この発信情報を自然言語生成システム2の大規模言語モデルのプロンプトとして適正な検索用タグを生成させるためのプロンプト情報に書き換える処理を実行する機能を有している。検索用タグ評価部1192は、自然言語生成システム2から受け取った検索用タグが適正であるか否かを判定し、適正でなければ、検索用タグプロンプト形成部1191においてプロンプト情報を再加工して自然言語生成システム2に送信させる一方、適正であれば、検索用タグを登録者4の識別情報に対応付けてSNSデータベース123に記憶させる機能を有している。
【0029】
このように、検索用タグ付与部119は、SNSシステム8のソーシャルネットワーキングサービスを通じて他者との交流活動に用いた登録者4の発信情報に、登録者4の専門分野を推定するための検索用タグを付与する場合に、自然言語生成システム2にアクセスし、トレーニングデータに基づいて言語の統計的な構造を学習し、学習結果を用いて新しい文章を生成する大規模言語モデルを、プロンプトの内容としての発信情報に応じさせることで検索用タグを生成させるようになっている。
【0030】
ここで、「ソーシャルネットワーキングサービス:SNS」は、インターネットなどの情報通信網5上で利用者同士が交流し、情報やコンテンツを共有するためのプラットフォームである。一般的にはユーザーが個人的なプロフィールを作成し、友達やフォロワーとつながり、投稿やコメントなどの活動を通じて情報のやり取りや交流を行うことを可能にしている。代表的なソーシャルネットワーキングサービスとしては、Facebook(登録商標)やTwitter(登録商標)、Instagram(登録商標)などがある。
【0031】
「発信情報」は、登録者4が自分自身、自分の関心や活動に関する情報、コンテンツを投稿したり共有したりしたときの情報である。具体的には、プロフィール情報(自己紹介や経歴など)、投稿した文章や写真、共有したリンクや動画、コメントした内容などが発信情報に含まれる。このような発信情報を通じて、登録者の趣味、関心、専門分野、活動内容などが表れる場合がある.「検索用タグ」は、情報を分類及び組織化し、特定のキーワードやカテゴリで検索可能にするためのラベルやキーワードを意味する。検索用タグは、特定の技術分野に詳しい人を探したり、特定の話題に関連する投稿を検索したりする際に、関連する検索用タグを検索キーワードとして使用することができる。これにより、登録者4の発信情報に検索用タグを付与することで、登録者4の専門分野に関連する情報を見つけ易くすることができる。
【0032】
上記の構成によれば、登録者情報と専門分野とを新たに個人評価データベースに記憶させる場合に、専門分野を推定するための検索用タグを大規模言語モデルにより生成させて発信情報に付与することによって、専門分野を検索用タグにより推定する場合の客観性及び正確性を高めることができる。
【0033】
また、大規模言語モデルはトレーニングデータから言語の統計的な構造を学習し、その学習結果を使用して新しい文章を生成するものであることから、登録者4の発信情報に基づいて適切な検索用タグを自動的に生成することができる。これにより、手動で検索用タグを付与する手間が省かれ、効率的なタグ付けが可能となる。さらに、大規模言語モデルが大規模なトレーニングデータを使用して学習されるため、多様な表現や文脈を学習することができる。これにより、より正確で適切な検索用タグが生成される可能性が高まることから、検索用タグが登録者4の専門分野を推定するための有用なキーワードやカテゴリを反映する可能性が高いものになる。さらに、同じ専門分野に関連する発信情報に対しては、類似した検索用タグが付与される可能性が高まるため、一貫したタグ付けが可能となり、情報の整理や検索の効率が向上する。
【0034】
さらに、
図4に示すように、協業コミュニティ提供装置1は、登録者情報推定部116を有している。登録者情報推定部116は、SNSシステム8及び自然言語生成システム2に対してデータ通信可能にされており、自然言語生成システム2で生成された登録者4の人物定義や各種の課題への興味度合いの情報を個人評価データベース121に格納するようになっている。登録者情報推定部116は、人物推定プロンプト形成部1161と人物推定評価部1162とを有している。人物推定プロンプト形成部1161は、個人評価データベース121から受け取った登録者情報に基づいて、各登録者4の発したコメントなどの発信情報をSNSシステム8から収集し、この発信情報を自然言語生成システム2の大規模言語モデルのプロンプトとして適正な人物定義や興味度合いを生成させるためのプロンプト情報に書き換える処理を実行する機能を有している。人物推定評価部1162は、自然言語生成システム2から受け取った人物定義や興味度合いが適正であるか否かを判定し、適正でなければ、人物推定プロンプト形成部1161においてプロンプト情報を再加工して自然言語生成システム2に送信させる一方、適正であれば、人物定義や興味度合いを登録者4の識別情報に対応付けて個人評価データベース121に記憶させる機能を有している。
【0035】
このように、登録者情報推定部116は、SNSシステム8のソーシャルネットワーキングサービスを通じて他者との交流活動に用いた登録者4の発信情報に基づいて、登録者4の人物定義と各種の課題への興味度合いを推測して登録者情報に含める場合に、自然言語生成システム2にアクセスし、トレーニングデータに基づいて言語の統計的な構造を学習し、学習結果を用いて新しい文章を生成する大規模言語モデルを、プロンプトの内容としての発信情報に応じさせることで登録者4の人物定義と各種の課題への興味度合いを生成させるようになっている。
【0036】
ここで、「人物定義」は、登録者4の個々の特徴や性格、興味、関心、行動傾向など、その人の個人的な属性や特性を表す情報のことである。「各種課題への興味度合い」は、登録者4がどれだけ特定の課題やトピックに関心を持っているかを表す指標である。
【0037】
上記の構成によれば、大規模言語モデルがトレーニングデータに基づいて言語の統計的な構造を学習するため、登録者4の発信情報に基づいて個別の特性や傾向を抽出し、人物定義を生成することができる。例えば、投稿内容やコメントの傾向から、登録者4が積極的か消極的か論理的か保守的かなどの特性を推測することができる。また、大規模言語モデルが学習結果を用いて新しい文章を生成することができるため、発信情報に基づいて生成された文章は、登録者4の興味や関心に関連するトピックや課題を反映する可能性がある。これにより、登録者がどのような課題に興味を持っているかや、どの分野に関心を抱いているかを推測することができる。そして、このようにして得られた登録者4の人物定義と各種の課題への興味度合いは、大規模言語モデルが利用されることによって、人間が設定する場合よりも高い客観性及び正確性を有することになる。
【0038】
また、
図2に示すように、協業コミュニティ提供装置1は、登録者4の集団により取り組まれた課題と、課題に取り組んだ集団の集団評価情報と、登録者4の人物定義及び各種の課題への興味度合いとを教師データとして機械学習モデルを訓練し、機械学習モデルに新規の課題を入力したときに、集団評価情報の評価が最高値を示す登録者4の集団を推定する集団推定部115を有している。尚、集団推定部115は、集団評価情報の評価が全集団の上位数パーセント内である登録者4の集団を推定してもよい。
【0039】
具体的には、登録者4の集団により取り組まれた課題と、登録者4の人物定義及び各種の課題への興味度合いを含む複数の入力要素を教師データとして用意する。そして、教師データとして用意された入力要素と、この入力要素に対応する出力値である集団評価とを用いて学習を行うことによって、多層のニューラルネットワークを構築し、入力層に入力されたデータを隠れ層で処理し、最終的に出力層で集団評価を予測するように学習を進める。学習の際には、入力要素と集団評価とのデータセットを訓練データとテストデータとに分割し、訓練データを用いて予測や分類のためのモデルを学習させ、テストデータで性能評価を行うことにより学習精度を確認する。そして、学習済みの機械学習モデルを用いて、新たな登録者4の集団により取り組まれた課題や人物定義、各種の課題への興味度合いを入力として与えることで、集団評価の予測値を出力させるという処理により集団評価を求める。そして、様々な組み合わせの入力要素を用いて集団評価の予測値を求め、最高値や上位数パーセント内の予測値を示す集団と、この集団を構成する登録者4を特定する。
【0040】
上記の構成によれば、新たな課題に取り組む登録者4を選択する場合に、相当に高い能力を発揮する登録者の集団を機械学習により推定することができる。これにより、特定の課題に関心を持つ登録者4が参加している可能性の高い集団を形成することができるため、関連する課題に取り組む登録者4同士が集まり、より効果的な協業や情報共有が可能となる。また、機械学習モデルを使用することによって、教師データに基づいて特徴間の相関関係を学習することにより隠れた相関関係や特徴が抽出され、予想外の関連性や要因を考慮した集団を推定することが可能になる場合がある。さらに、機械学習モデルを使用することによって、大量のデータや複雑な特徴を処理するための手作業や主観的な判断が排除され、統計的なアプローチを通じて客観的に集団を推定することができる。
【0041】
上述のように、登録者4の集団により取り組まれた課題と、課題に取り組んだ集団の集団評価情報と、登録者4の人物定義及び各種の課題への興味度合いとを教師データとして機械学習モデルを訓練した場合、協業コミュニティ提供装置1は、上述の人物定義及び興味度合いに基づいて登録者4の発言傾向を模したアバター同士の会話を生成することが好ましい。当該会話の生成は、例えば、まず、登録者4が持つ情報、経験、取り組んでいる事例等の登録者4の特徴に基づいて特徴の一部又は全部が類似する2人若しくは3人以上の登録者4をマッチングさせた後に、上述の訓練が行われた機械学習モデルを用いて、上述の課題等によって例示される話題及び1の登録者4を特定する情報を入力として与えることで、きっかけとなる発言を生成する第1会話生成ステップを実行した後に、第1会話生成ステップ等により生成された発言をさらなる入力として与えることで入力として与えられた発言に対して当該発言に係る登録者4と異なる他の登録者4の発言傾向を模して応答する発言を生成する第2会話生成ステップを繰り返し実行するという処理により実現される。なお、第2会話生成ステップの繰り返しは、例えば、2つ乃至4つ等の所与の数の会話が生成されたタイミング、登録者4から会話生成中止の指示を受信したタイミング等まで行われる。また、会話生成に係る登録者4の数は、2人以上であれば特に限定されず、例えば、2人若しくは3人以上、あるいは、上述の集団に所属する登録者4の人数等でよい。
【0042】
本実施形態の協業コミュニティ提供装置1が提供する協業コミュニティは、他の登録者4の人物像がわからないために他の登録者4との連絡及び/又は協業に消極的な登録者4を含み得る。このような登録者4にマッチングされた他の登録者4と連絡を取り合うきっかけを与えることができれば、協業コミュニティがさらに活性化される。上記の構成によれば、協業コミュニティ提供装置1は、登録者4のプロフィールに基づくアバター同士における、特定の話題に関する会話(例えば、「AI商談」。)を自動的に生成し、登録者4に提供できる。そして、協業コミュニティ提供装置1は、その会話の内容を面白いと感じた登録者4たちに当該会話に係る他の登録者4とメッセージ、ウェブミーティング等を介して直接連絡を取り合い、協業するきっかけを与えることができる。また、当該会話が当該登録者4たちにない新たな着想を含む場合、当該会話の提供は、登録者4に新たな着想に基づく新規の協業を始めるきっかけを与え得る。よって、上述の会話生成により、協業コミュニティ提供装置1は、個々の登録者4自身が生成された会話に基づいて検討及び意思決定し、他の登録者4と連絡を取り合うことができる協業コミュニティを実現できる。
【0043】
個人評価データベース121、集団評価データベース122及びSNSデータベース123は、記憶部12に記憶されている。記憶部12は、協業コミュニティ提供装置1に備えられた通信部13及びインターネットなどの情報通信網5を介して利用者端末3や依頼者端末6、ブロックチェーン7、自然言語生成システム2、SNSシステム8にデータ通信可能に接続されている。依頼者端末6は、課題を提供する依頼者が操作する端末である。依頼者としては、企業の経営者やプロジェクトマネージャー、スタートアップの創業者、個人の研究者や専門家などが例示される。尚、記憶部12は、協業コミュニティ提供装置1とは別に、情報通信網5に接続されたデータサーバであってもよい。また、記憶部12は、個人評価データベース121及び集団評価データベース122毎に設けられた複数のデータサーバで構成されていてもよい。利用者端末3及び依頼者端末6は、一般的な据置型の情報処理装置、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末装置が例示される。
【0044】
さらに、協業コミュニティ提供装置1は、入力受付部1112に接続された入力装置15と、表示制御部1111に接続された表示装置14とを有している。入力装置15は、キーボードやマウス、タッチパネル、音声入力装置などが例示される。表示装置14は、液晶表示装置などが例示される。これにより、協業コミュニティ提供装置1は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置により構成することが可能になっている。尚、協業コミュニティ提供装置1は、入力装置15及び表示装置14の少なくとも一つが欠如されていてもよい。この場合は、入力装置15及び表示装置14が図示しない外部端末に備えられるため、協業コミュニティ提供装置1を協業コミュニティ提供サーバとして使用することができる。また、協業コミュニティ提供装置1は、クラウドコンピューティングにより構成されていてもよい。この場合は、協業コミュニティ提供装置1がクラウド上で構築されることによって、登録者4の増加やデータ量の増加に柔軟に対応できると共に、複数のサーバーやデータセンターをクラウド環境で利用することができるため、障害が発生した場合でも、バックアップや冗長なリソースが自動的に切り替り、サービスの中断を最小限に抑えることができる。
【0045】
(データベース)
図5に示すように、個人評価データベース121は、個人識別情報項目と登録者名項目と専門分野(スキル)項目と個人評価項目と人物定義項目と興味分野項目とを対応付けて有している。個人識別情報項目は、各登録者4を一意に識別するための識別子であり、例えば、P001、P002などが該当する。登録者名項目は、登録者4の名前であり、例えば、山田太郎、田中花子などが該当する。専門分野(スキル)項目は、各登録者4の専門分野やスキルであり、例えば、プログラミング、デザイン、プロジェクトマネジメントなどが該当する。個人評価項目は、各登録者4の個人評価情報であり、例えば、4.5/5や4.2/5などのように評価値が入力される。人物定義項目は、各登録者4の人物定義や特性の情報であり、例えば、積極的、協力的、繊細、創造的などの特性が記載される。興味分野項目は、各登録者4の興味分野や関心事の情報であり、例えば、技術ニュース、ゲーム、アート、デザイン、経営戦略、チームマネジメントなどが該当する。
【0046】
これにより、個人評価データベース121は、登録者4ごとに個人情報、スキル、評価、定義、興味分野などの特性情報が蓄積されることによって、新たな課題が生じたときに、各登録者4の特性情報に基づいて適正な登録者4を選択することを可能にしている。
【0047】
図6に示すように、集団評価データベース122は、集団項目と課題項目とスキル項目と集団評価項目と個人識別情報項目とを対応付けて有している。集団項目は、各集団の識別子であり、例えば、G1、G2などが該当する。課題項目は、各集団が取り組む課題またはプロジェクトの名前であり、例えば、ゲーム作成、データ解析、インタフェースデザインなどが該当する。スキル項目は、各集団が必要とするスキルや専門知識であり、例えば、プログラミング、デザイン、プロジェクトマネジメントなどが該当する。集団評価項目は、各集団の解決能力の評価であり、例えば、4.5や4.2などのように評価される。個人識別情報項目は、各集団に所属する個人の識別情報であり、例えば、P001、P002、P003などが該当する。
【0048】
これにより、個人評価データベース121は、異なる集団ごとに課題や必要なスキル、解決能力の評価、所属する個人の情報などの情報が蓄積されることによって、各集団の目標やニーズに応じて適切なスキルセットや解決能力を持つ登録者4を特定することを可能にしている。尚、「募集中」と表示されている集団は、まだ集団のメンバーとなる登録者4が募集されており、個人識別情報が特定されていないことを示している。
【0049】
図7に示すように、SNSデータベース123は、個人識別情報項目と登録者名項目と検索用タグ項目とを対応付けて有している。SNSデータベース123は、検索用タグ付与部119により更新可能にされている。検索用タグ項目は、各個人に関連付けられた特定のタグやキーワードの情報であり、複数のタグがある場合はカンマで区切られている。例えば、開発、分析、グラフィック、UI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス)などが該当する。
【0050】
これにより、SNSデータベース123は、登録者4個人の特徴やスキルの把握、関連するプロジェクトや任務の割り当て、チーム構築などの目的で使用することを可能にしており、特定のタグ情報に基づいて登録者4を検索やフィルタリングすることで、適切な人材を見つけるための手がかりとして活用することが可能になっている。
【0051】
以上の各データベース121・122・123は、単独の記憶部12に記憶されていてもよいし、複数のデータサーバに分散して記憶されていてもよい。各データベース121・122・123が複数のデータサーバに分散して記憶された場合は、登録者4や集団が多くなった場合でも、情報の更新処理に要する負荷を軽減することができる。
【0052】
(協業コミュニティ提供プログラム)
図2の制御部11における各部111~119は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていてもよい。これらの各部111~119は、少なくとも制御部11の一部を構成している。各部111~119がソフトウェアにより構成されている場合は、制御部11であるコンピュータに、分散型自治組織からなる協業コミュニティを複数の登録者4に提供する協業コミュニティ提供プログラムを実行させるようになっている。
【0053】
具体的に説明すると、登録者4を識別する個人識別情報を含む登録者情報と、登録者4それぞれが有する専門分野の処理能力を示す個人評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された個人評価データベース121と、専門分野の複数の組み合わせにより解決される課題に取り組んだ登録者4の集団を識別する集団識別情報を含む集団情報と、集団に所属した全ての登録者4の個人識別情報と、集団の課題に対する解決能力を示す集団評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された集団評価データベース122と、を備えた協業コミュニティ提供装置1の協業コミュニティ提供プログラムは、制御部11であるコンピュータに、課題が新たに発生したときに、課題を解決するために必要な専門分野を有する登録者4の登録者情報及び個人評価情報を個人評価データベース121から抽出し、課題を解決可能な集団の集団情報及び集団評価情報を集団評価データベース122から抽出する抽出処理ステップと、抽出処理ステップにおいて抽出された登録者4に、課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報とともに報知し、抽出処理ステップにおいて抽出された集団に属した登録者4に、課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報及び集団評価情報とともに報知する依頼先報知処理ステップと、課題に取り組んだ集団の解決能力と、当該集団に所属した登録者4の処理能力とをそれぞれ評価し、集団評価データベース122と個人評価データベース121とを更新する評価更新処理ステップと実行させる。
【0054】
また、協業コミュニティ提供プログラムは、コミュニティー部111、集団推定部115、登録者情報推定部116、価値付与部117、トークン記録部118及び検索用タグ付与部119の各機能を実現する各処理ステップの内の何れか1以上を制御部11であるコンピュータに実行させてもよい。
【0055】
上記の協業コミュニティ提供プログラムによれば、プログラムをパーソナルコンピュータやタブレット端末などの情報処理装置にインストールするだけの作業で、情報処理装置を協業コミュニティ提供装置1として機能させることができる。尚、協業コミュニティ提供プログラムは、CDROMやUSBメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で配布されてもよいし、インターネットなどの双方向やテレビ放送などの一方向の通信網や通信回線を介して配付されてもよい。
【0056】
(協業コミュニティ提供方法)
協業コミュニティ提供プログラムにおける一部や全部の処理ステップがハードウェアにより構成されていてもよい。即ち、協業コミュニティ提供装置1は、協業コミュニティ提供方法を実行可能に構成されていればよい。具体的に説明すると、協業コミュニティ提供方法は、登録者4を識別する個人識別情報を含む登録者情報と、登録者4それぞれが有する専門分野の処理能力を示す個人評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された個人評価データベース121と、専門分野の複数の組み合わせにより解決される課題に取り組んだ登録者4の集団を識別する集団識別情報を含む集団情報と、集団に所属した全ての登録者4の個人識別情報と、集団の課題に対する解決能力を示す集団評価情報とが対応付けて更新可能に記憶された集団評価データベース122と、を備えた協業コミュニティ提供装置1において実行されるものであり、抽出処理ステップと依頼先報知処理ステップと評価更新処理ステップと備えてもよい。
【0057】
また、協業コミュニティ提供方法は、コミュニティー部111、集団推定部115、登録者情報推定部116、価値付与部117、トークン記録部118及び検索用タグ付与部119の各機能を実現する各処理ステップの内の何れか1以上を備えてもよい。
【0058】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 協業コミュニティ提供装置
11 制御部
111 コミュニティー部
112 評価更新部
113 依頼先報知部
114 抽出部
115 集団推定部
116 登録者情報推定部
117 価値付与部
118 トークン記録部
119 検索用タグ付与部
12 記憶部
121 個人評価データベース
122 集団評価データベース
123 SNSデータベース
13 通信部
14 表示装置
15 入力装置
2 自然言語生成システム
3 利用者端末
4 登録者
5 情報通信網
6 依頼者端末
7 ブロックチェーン
8 SNSシステム
【要約】
【課題】中央集権的な管理者や中央機関を必要としない分散型自治組織からなる協業コミュニティを提供する。
【解決手段】本発明の協業コミュニティ提供装置1は、課題を解決するために必要な専門分野を有する登録者4の登録者情報及び個人評価情報を個人評価データベース121から抽出し、課題を解決可能な集団の集団情報及び集団評価情報を集団評価データベース122から抽出する抽出部114と、抽出部114において抽出された登録者4に、課題を解決する依頼先として選択された旨を、個人評価情報とともに報知する依頼先報知部113と、課題に取り組んだ集団の解決能力と、集団に所属した登録者4の処理能力とをそれぞれ評価し、集団評価データベース122と個人評価データベース121とを更新する評価更新部112とを有している。
【選択図】
図1