(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】分光モジュール
(51)【国際特許分類】
G01J 3/26 20060101AFI20241216BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20241216BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20241216BHJP
G01J 3/51 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G01J3/26
G01J3/36
H01L31/02 D
G01J3/51
(21)【出願番号】P 2020000940
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-12-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100223376
【氏名又は名称】小林 紀史
(72)【発明者】
【氏名】村上 和雅
(72)【発明者】
【氏名】荻野 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 信介
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/145231(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3173992(JP,U)
【文献】特開2018-151605(JP,A)
【文献】特開平07-074343(JP,A)
【文献】特開2012-242117(JP,A)
【文献】特開2017-198714(JP,A)
【文献】特開昭61-195317(JP,A)
【文献】特開2012-242115(JP,A)
【文献】特開2005-091163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
H01L 31/0232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配列されたM個(Mは2以上の自然数)のビームスプリッタと、
前記M個のビームスプリッタに対して前記第1方向と交差する第2方向における一方の側に配置され、それぞれが前記M個のビームスプリッタのそれぞれと向かい合うM個のバンドパスフィルタと、
前記M個のバンドパスフィルタに対して前記第2方向における前記一方の側に配置され、それぞれが前記M個のバンドパスフィルタのそれぞれと向かい合うM個の受光領域を有する光検出器と、
前記M個のビームスプリッタ及び前記M個のバンドパスフィルタを支持する支持体と、を備え、
前記M個のビームスプリッタのうちのN個(Nは2以上且つM以下の自然数)のビームスプリッタのそれぞれは、板状を呈しており、0.5mm以下の厚さを有
し、
前記M個のバンドパスフィルタのうち前記第1方向において隣り合うバンドパスフィルタの間隔は、前記第2方向における前記M個のバンドパスフィルタのそれぞれの厚さよりも小さく、
前記第1方向における前記M個のバンドパスフィルタのそれぞれの幅は、前記第2方向における前記M個のバンドパスフィルタのそれぞれの前記厚さよりも大きい、分光モジュール。
【請求項2】
前記支持体は、N個の溝が形成された支持部を有し、
前記支持部には、前記N個の溝のそれぞれに前記N個のビームスプリッタのそれぞれが配置されていることで、それぞれが溝及びビームスプリッタからなるN個の組合せが設けられており、
前記N個の組合せのそれぞれにおいて、前記溝は、前記ビームスプリッタの厚さの2倍以上の幅を有する、請求項1に記載の分光モジュール。
【請求項3】
前記N個の組合せのそれぞれにおいて、前記溝は、それぞれに光通過開口が形成された1対の側面と、底面と、を有し、
前記N個の組合せのそれぞれにおいて、前記ビームスプリッタは、前記1対の側面のうち前記第2方向における前記一方の側に位置する側面、及び、前記底面に接触するように、前記溝に配置されている、請求項2に記載の分光モジュール。
【請求項4】
前記第1方向に沿って前記M個のビームスプリッタに入射する光を画定する光入射部を更に備え、
前記N個のビームスプリッタは、前記N個のビームスプリッタのそれぞれの中心が前記第1方向に平行なライン上に位置するように、前記支持体によって支持されており、
前記光入射部の光軸は、前記ラインに対して前記第2方向における前記一方の側に位置している、請求項1~3のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項5】
前記N個のビームスプリッタのそれぞれは、同一の厚さを有し、前記第1方向に沿って45°の入射角で光が入射するように配置されており、
前記N個のビームスプリッタの配列ピッチは、前記M個の受光領域のうち前記N個のビームスプリッタに対応するN個の受光領域の配列ピッチに、前記N個のビームスプリッタのそれぞれにおける光の屈折量を加えた値となっている、請求項1~4のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項6】
前記N個のビームスプリッタのそれぞれは、前記N個のビームスプリッタのそれぞれの厚さ方向から見た場合に長尺状を呈しており、
前記N個のビームスプリッタのそれぞれの長手方向に垂直な方向は、前記第1方向及び前記第2方向の両方向に垂直な方向である、請求項1~5のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項7】
前記N個のビームスプリッタのそれぞれは、同一の形状を呈している、請求項1~6のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
測定光を複数の波長帯域の光に分光して各波長帯域の光を検出する分光モジュールとして、複数のビームスプリッタ及び複数のバンドパスフィルタが筐体内に配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような分光モジュールでは、各ビームスプリッタが板状を呈していると、各ビームスプリッタにおいて屈折が生じ、入射光の光軸に対して透過光の光軸がバンドパスフィルタから離れる側にシフトする。そのため、後段に配置されたビームスプリッタほど、入射光の光軸がバンドパスフィルタから離れる側にシフトする。入射光の光軸がシフトする量は、バンドパスフィルタから離れる側には勿論、複数のビームスプリッタが並ぶ方向における後段側にも、ビームスプリッタの個数に応じて累積される。このことから、複数の波長帯域の光を検出するための複数の受光領域のうち、最前段に配置された受光領域以外の受光領域においては、当該受光領域に対応するビームスプリッタの前段に配置されたビームスプリッタの厚さに依存して、当該受光領域に至る光路の光路長が長くなる。受光領域に至る光路の光路長が長くなると、当該受光領域での受光量の低下及び当該光路での迷光の発生に繋がり、S/N比が低下し易くなる。このような現象は、より後段に配置された受光領域において顕著になる。
本発明は、S/N比の向上を図ることができる分光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の分光モジュールは、第1方向に沿って配列されたM個(Mは2以上の自然数)のビームスプリッタと、M個のビームスプリッタに対して第1方向と交差する第2方向における一方の側に配置され、それぞれがM個のビームスプリッタのそれぞれと向かい合うM個のバンドパスフィルタと、M個のバンドパスフィルタに対して第2方向における一方の側に配置され、それぞれがM個のバンドパスフィルタのそれぞれと向かい合うM個の受光領域を有する光検出器と、M個のビームスプリッタ及びM個のバンドパスフィルタを支持する支持体と、を備え、M個のビームスプリッタのうちのN個(Nは2以上且つM以下の自然数)のビームスプリッタのそれぞれは、板状を呈しており、1mm以下の厚さを有する。
【0006】
この分光モジュールでは、M個のビームスプリッタのうちのN個のビームスプリッタのそれぞれが、板状を呈しており、1mm以下の厚さを有している。これにより、N個のビームスプリッタのそれぞれにおいて、入射光の光軸に対して透過光の光軸がバンドパスフィルタから離れる側にシフトする量(光の屈折量)が小さくなる。したがって、N個のビームスプリッタの全体では、バンドパスフィルタから離れる側にも、N個のビームスプリッタが並ぶ方向における後段側にも、累積された光の屈折量の総和が十分に小さくなる。累積された光の屈折量の総和が小さくなることは、複数の受光領域のうち最前段に配置された受光領域以外の受光領域に至る光路の光路長が長くなることが抑制されることを意味する。これにより、当該受光領域での受光量の低減及び当該光路での迷光の発生を抑制することができる。よって、この分光モジュールによれば、S/N比の向上を図ることができる。
【0007】
本発明の分光モジュールでは、N個のビームスプリッタのそれぞれは、0.5mm以下の厚さを有してもよい。これによれば、複数の受光領域のうち最前段に配置された受光領域以外の受光領域に至る光路の光路長が長くなることが更に抑制されるため、モジュール全体のより一層のS/N比の向上を図ることができる。
【0008】
本発明の分光モジュールでは、支持体は、N個の溝が形成された支持部を有し、支持部には、N個の溝のそれぞれにN個のビームスプリッタのそれぞれが配置されていることで、それぞれが溝及びビームスプリッタからなるN個の組合せが設けられており、N個の組合せのそれぞれにおいて、溝は、ビームスプリッタの厚さの2倍以上の幅を有してもよい。これによれば、分光モジュールの製造時において、ビームスプリッタが配置される溝を容易に且つ精度良く形成することができるため、N個のビームスプリッタのそれぞれの位置精度を確保することができる。
【0009】
本発明の分光モジュールでは、N個の組合せのそれぞれにおいて、溝は、それぞれに光通過開口が形成された1対の側面と、底面と、を有し、N個の組合せのそれぞれにおいて、ビームスプリッタは、1対の側面のうち第2方向における一方の側に位置する側面、及び、底面に接触するように、溝に配置されていてもよい。これによれば、N個のビームスプリッタのそれぞれの位置精度を確保することに加え、N個のビームスプリッタのそれぞれを安定的に支持することができる。
【0010】
本発明の分光モジュールは、第1方向に沿ってM個のビームスプリッタに入射する光を画定する光入射部を更に備え、N個のビームスプリッタは、N個のビームスプリッタのそれぞれの中心が第1方向に平行なライン上に位置するように、支持体によって支持されており、光入射部の光軸は、ラインに対して第2方向における一方の側に位置していてもよい。これによれば、例えばN個のビームスプリッタのそれぞれが同一の形状を呈している場合に、N個のビームスプリッタのそれぞれの小型化を図りつつも、N個のビームスプリッタのそれぞれのクリアアパーチャを有効に利用することができる。
【0011】
本発明の分光モジュールでは、N個のビームスプリッタのそれぞれは、同一の厚さを有し、第1方向に沿って45°の入射角で光が入射するように配置されており、N個のビームスプリッタの配列ピッチは、M個の受光領域のうちN個のビームスプリッタに対応するN個の受光領域の配列ピッチに、N個のビームスプリッタのそれぞれにおける光の屈折量を加えた値となっていてもよい。これによれば、N個のビームスプリッタのそれぞれによって反射された光をN個の受光領域のそれぞれに精度良く入射させることができる。
【0012】
本発明の分光モジュールでは、N個のビームスプリッタのそれぞれは、N個のビームスプリッタのそれぞれの厚さ方向から見た場合に長尺状を呈しており、N個のビームスプリッタのそれぞれの長手方向に垂直な方向は、第1方向及び第2方向の両方向に垂直な方向であってもよい。これによれば、第1方向及び第2方向の両方向に垂直な方向においてN個のビームスプリッタのそれぞれの小型化を図りつつ、N個のビームスプリッタのそれぞれのクリアアパーチャを有効に利用することができる。
【0013】
本発明の分光モジュールでは、N個のビームスプリッタのそれぞれは、同一の形状を呈していてもよい。これによれば、N個のビームスプリッタについて部品の共通化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、S/N比の向上を図ることができる分光モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態の分光モジュールの断面図である。
【
図2】
図1に示されるII-II線に沿っての断面図である。
【
図3】
図1に示される第1支持体の一部分の平面図である。
【
図4】
図1に示される第2支持体の一部分の断面図である。
【
図5】
図4に示されるV-V線に沿っての断面図である。
【
図6】
図4に示されるVI-VI線に沿っての断面図である。
【
図7】光入射部の光軸に対する複数のビームスプリッタの配置の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[分光モジュールの構成]
【0017】
図1及び
図2に示されるように、分光モジュール1は、筐体2と、複数のビームスプリッタ3と、複数のバンドパスフィルタ4と、第1支持体(支持体、支持部)5と、第2支持体(支持体)6と、光検出器7と、遮光部材8と、を備えている。複数のビームスプリッタ3は、X方向(第1方向)に沿って配列されている。複数のバンドパスフィルタ4は、複数のビームスプリッタ3に対してX方向に垂直なZ方向(第1方向と交差する第2方向)における一方の側に配置されている。光検出器7は、複数のバンドパスフィルタ4に対してZ方向における一方の側に配置されている。光検出器7は、複数の受光領域7aを有している。
【0018】
各ビームスプリッタ3は、例えばハーフミラーであり、X方向に沿って入射した光のうち一部の光をZ方向における一方の側に反射し、当該入射した光のうち一部の光以外の光をX方向における一方の側に透過させる。各バンドパスフィルタ4は、Z方向において各ビームスプリッタ3と向かい合っており、各ビームスプリッタ3からZ方向に沿って入射した光のうち所定の波長帯域の光をZ方向における一方の側に透過させる。各バンドパスフィルタ4は、互いに異なる波長帯域の光を透過させる。各受光領域7aは、Z方向において各バンドパスフィルタ4と向かい合っており、各バンドパスフィルタ4からZ方向に沿って入射した光を検出する。各受光領域7aは、互いに異なる光検出チャネルを構成している。分光モジュール1では、複数のビームスプリッタ3及び複数のバンドパスフィルタ4によって測定光Lが複数の波長帯域の光に分光され、光検出器7によって各波長帯域の光が検出される。
[筐体の構成]
【0019】
図1及び
図2に示されるように、筐体2は、複数のビームスプリッタ3、複数のバンドパスフィルタ4、第1支持体5、第2支持体6、光検出器7及び遮光部材8を収容している。筐体2は、本体部20を有している。本体部20は、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23及び第4壁部24によって構成されている。第1壁部21及び第2壁部22は、X方向において向かい合っている。第2壁部22は、第1壁部21に対してX方向における一方の側に位置している。第3壁部23は、第1壁部21及び第2壁部22に対してX方向及びZ方向の両方向に垂直なY方向における一方の側に位置している。第4壁部24は、第1壁部21、第2壁部22及び第3壁部23に対してZ方向における他方の側(一方の側とは反対側)に位置している。
【0020】
第1壁部21には、X方向に沿って筐体2内に測定光Lを入射させる第1光入射孔2aが形成されている。第3壁部23には、X方向及びZ方向の両方向に平行な内側表面2bが形成されている。内側表面2bには、第3壁部23に形成された複数の位置決め孔2cのそれぞれが開口している。第3壁部23は、第2支持体6と一体的に形成されている。本体部20及び第2支持体6は、第3壁部23の内側表面2bを底面91とする凹部9を構成している。すなわち、筐体2は、第3壁部23の内側表面2bを底面91とする凹部9を画定している。本体部20及び第2支持体6は、例えば、金属によって一体的に形成されている。
【0021】
筐体2は、蓋部25と、シールドカバー26と、を更に有している。蓋部25は、凹部9の開口を塞ぐように本体部20及び第2支持体6に取り付けられている。シールドカバー26は、Z方向における一方の側から光検出器7を覆うように本体部20及び蓋部25に取り付けられている。
[ビームスプリッタ及び第1支持体の構成]
【0022】
図1及び
図2に示されるように、第1支持体5は、複数のビームスプリッタ3を支持している。各ビームスプリッタ3は、板状を呈しており、1mm以下の厚さを有している。各ビームスプリッタ3は、各ビームスプリッタ3の厚さ方向から見た場合に長尺状を呈しており、各ビームスプリッタ3の長手方向に垂直な方向は、Y方向に平行な方向である。各ビームスプリッタ3は、同一の形状を呈している。各ビームスプリッタ3は、例えば長方形板状を呈している。
【0023】
ビームスプリッタ3は、例えば、0.5~1mm程度のガラス層の表面上に、数Åの厚さを有する誘電体膜が複数層重なった数nmオーダーの誘電体多層膜が形成されることによって構成されている。誘電体多層膜内でも光の屈折が生じるが、ガラス層と誘電体多層膜との厚さの違いを考慮した場合、ビームスプリッタ3で発生する屈折のほとんどがガラス層で発生したものとなる。本実施形態では、ガラス層及び誘電体多層膜の合計の厚さをビームスプリッタ3の厚さとして定義するものとする。ビームスプリッタ3の材料は、例えば光学ガラス、プラスチック等の透光材料が用いられる。
【0024】
第1支持体5は、第1壁部51、第2壁部52、第3壁部53、第4壁部54及び第5壁部55によって構成されている。第1壁部51及び第2壁部52は、X方向において向かい合っている。第2壁部52は、第1壁部51に対してX方向における一方の側に位置している。第3壁部53及び第4壁部54は、Y方向において向かい合っている。第3壁部53は、第1壁部51及び第2壁部52に対してY方向における一方の側に位置している。第4壁部54は、第1壁部51及び第2壁部52に対してY方向における他方の側に位置している。第5壁部55は、第1壁部51、第2壁部52、第3壁部53及び第4壁部54に対してZ方向における他方の側に位置している。第1支持体5は、例えば、金属によって一体的に形成されている。
【0025】
第1壁部51には、X方向に沿って複数のビームスプリッタ3に測定光Lを入射させる第2光入射孔5aが形成されている。第3壁部53には、X方向及びZ方向の両方向に平行な外側表面5bが形成されている。外側表面5bには、複数の位置決めピン5cが設けられている。第1支持体5は、各位置決めピン5cが筐体2の各位置決め孔2cに嵌められることでX方向及びZ方向の両方向に平行な面内での(当該面に沿っての)第1支持体5の位置が規定された状態で、外側表面5bが筐体2の内側表面2bに接触するように第3壁部23に取り付けられている。
【0026】
第1支持体5は、外側表面5bが筐体2の内側表面2b(すなわち、凹部9の底面91)に接触した状態で、凹部9内に配置されている。凹部9の側面92は、複数の離間領域92aを含んでいる。各離間領域92aは、第1支持体5から離間している。本実施形態では、側面92は、本体部20の第1壁部21、第2壁部22及び第4壁部24のそれぞれの内側表面、並びに、第2支持体6における第4壁部24側の表面によって、構成されている。なお、側面92は、少なくとも1つの離間領域92aを含んでいればよい。また、離間領域92aは、側面92の全体であってもよい。
【0027】
第1支持体5には、複数の溝56が形成されている。各ビームスプリッタ3は、各溝56に配置されている。これにより、第1支持体5には、それぞれが溝56及びビームスプリッタ3からなる複数の組合せが設けられている。以下、当該複数の組合せのそれぞれを「対応する溝56及びビームスプリッタ3」という。
【0028】
図1及び
図3に示されるように、各溝56は、第5壁部55の外側表面に開口している。各溝56の延在方向は、Y方向に平行な方向である。各溝56の深さ方向は、Y方向に垂直な方向のうち、深い位置ほどX方向における一方の側に位置するように45°傾斜した方向である。各溝56は、1対の側面56a,56bと、底面56cと、を有している。1対の側面56a,56bは、各溝56の幅方向(延在方向及び深さ方向の両方向に垂直な方向)において向かい合っている。側面56aには光通過開口57aが形成されており、側面56bには光通過開口57bが形成されている。
【0029】
本実施形態では、各溝56は、延在方向における各溝56の両端部がそれぞれ第3壁部53及び第4壁部54に位置するように形成されている。光通過開口57aは、Y方向において向かい合う第3壁部53及び第4壁部54間の空間によって側面56aが切り欠かれることで側面56aに形成されており、光通過開口57bは、当該空間によって側面56bが切り欠かれることで側面56bに形成されている。また、底面56cは、Y方向において2つの領域に分離されている。
【0030】
対応する溝56及びビームスプリッタ3において、溝56は、ビームスプリッタ3の厚さの2倍以上の幅(すなわち、1対の側面56a,56b間の距離)を有している。一例として、ビームスプリッタ3の厚さは0.5mmであり、溝56の幅は2.5mm~3.0mmである。対応する溝56及びビームスプリッタ3において、ビームスプリッタ3は、1対の側面56a,56bのうちZ方向における一方の側に位置する側面56a、及び、底面56cに接触するように、溝56に配置されている。この状態で、ビームスプリッタ3は、例えば接着剤によって側面56a及び底面56cに固定されている。
【0031】
図1に示されるように、分光モジュール1では、第1光入射孔2a及び第2光入射孔5aによって光入射部10が構成されている。光入射部10は、X方向に沿って複数のビームスプリッタ3に入射する光を画定する。第2光入射孔5aは、X方向から見た場合に第1光入射孔2aを含んでいる。この場合には、第1光入射孔2aの中心線が光入射部10の光軸Aとなる。一例として、X方向から見た場合に、第1光入射孔2aは円形状を呈しており、第2光入射孔5aはZ方向を長手方向とする長円状を呈している。一例として、X方向から見た場合に、第1光入射孔2aは、第2光入射孔5aのうちZ方向における一方の側の部分と重なっている。これによれば、第1支持体5にビームスプリッタ3が配置された際に第2光入射孔5aを介してビームスプリッタ3の中心を確認することができる。
[バンドパスフィルタ及び第2支持体の構成]
【0032】
図4及び
図5に示されるように、第2支持体6は、複数のバンドパスフィルタ4を支持している。各バンドパスフィルタ4は、光透過基板41と、干渉膜42と、遮光膜43と、を有している。光透過基板41は、例えば長方形板状を呈している。干渉膜42は、光透過基板41の光入射面41aに設けられている。干渉膜42は、例えば誘電体多層膜である。遮光膜43は、光透過基板41の側面41bに設けられている。遮光膜43は、例えば黒色の塗装膜である。各バンドパスフィルタ4では、干渉膜42における光透過基板41とは反対側の表面がバンドパスフィルタ4の光入射面4aであり、光透過基板41における干渉膜42とは反対側の表面がバンドパスフィルタ4の光出射面4bであり、遮光膜43の外側表面がバンドパスフィルタ4の側面4cである。なお、
図1及び
図2では、構成の簡易化が図られた状態で各バンドパスフィルタ4が図示されている。
【0033】
第2支持体6は、支持部61を有している。支持部61には、Z方向における一方の側に開放されるように支持面61aが形成されている。支持面61aがZ方向における一方の側に開放されているとは、第2支持体6のみの状態でZ方向における一方の側から支持部61を見た場合に支持面61aが露出していること(すなわち、支持面61aが視認可能であること)を意味する。複数のバンドパスフィルタ4は、X方向に沿って配列されるように、支持面61aに配置されている。支持面61aは、Z方向に垂直な面であり、各バンドパスフィルタ4の光入射面4aのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が支持面61aに接触するように支持部61に形成されている。クリアアパーチャ40は、バンドパスフィルタ4の機能が保証された有効開口領域である。支持部61には、複数のビームスプリッタ3から複数のバンドパスフィルタ4に至る複数の光路(
図1に示される破線)が通る1つの光通過開口61bが形成されている。これにより、支持面61aは、Y方向において2つの領域に分離されている。
【0034】
第2支持体6は、規制部62を更に有している。規制部62は、支持部61に対してZ方向における一方の側に位置するように第2支持体6に設けられている。規制部62は、各バンドパスフィルタ4がZ方向に垂直な方向に移動することを規制している。規制部62は、各バンドパスフィルタ4の側面4cに接触するように設けられた複数の接触部分62a、及び各バンドパスフィルタ4の側面4cから離間するように設けられた複数の離間部分62bによって、構成されている。規制部62は、複数のバンドパスフィルタ4を完全に仕切っていない。つまり、複数のバンドパスフィルタ4は、Z方向に垂直な方向への移動が規制部62によって規制された状態で、空間を介して互いに離間している。
【0035】
図1及び
図2に示されるように、第2支持体6には、Z方向における一方の側に開口する凹部63が形成されている。凹部63の底面63aは、規制部62における支持部61とは反対側の表面である。Z方向における支持面61aと底面63aとの距離は、各バンドパスフィルタ4の厚さ(すなわち、Z方向における光入射面4aと光出射面4bとの距離)よりも小さい。これにより、各バンドパスフィルタ4における支持部61とは反対側の一部分は、底面63aから突出しており、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bは、底面63aよりもZ方向における一方の側に位置している(
図4参照)。底面63aには、複数の位置決めピン6aが設けられている。
[光検出器及び遮光部材の構成]
【0036】
図1及び
図2に示されるように、光検出器7は、配線基板71と、複数の光検出素子72と、コネクタ73と、を有している。複数の光検出素子72は、X方向に沿って配列されるように、配線基板71における複数のバンドパスフィルタ4側の表面71aに実装されている。各光検出素子72は、PDチップ等のディスクリート半導体素子であり、各受光領域7aを有している。コネクタ73は、配線基板71における表面71aとは反対側の表面71bに取り付けられている。コネクタ73は、各光検出素子72に対して電気信号等を入出力するためのポートである。コネクタ73は、シールドカバー26に形成された開口26aを介して筐体2の外側に延在している。光検出器7は、凹部63の開口を塞ぐように第2支持体6に取り付けられている。本実施形態では、配線基板71が凹部63の開口を塞ぐように第2支持体6に取り付けられており、複数の光検出素子72が凹部63内に位置している。
【0037】
遮光部材8は、複数のバンドパスフィルタ4と光検出器7との間に配置されている。遮光部材8は、弾性材料によって形成されており、圧縮された状態で第2支持体6の凹部63に配置されている。この状態で、複数のバンドパスフィルタ4は、第2支持体6の支持部61と遮光部材8とによって挟持されている。遮光部材8には、複数の光通過開口8aが形成されている。複数のバンドパスフィルタ4から複数の受光領域7aに至る複数の光路のそれぞれは、複数の光通過開口8aのそれぞれを通っている。つまり、複数のバンドパスフィルタ4から複数の受光領域7aに至る複数の光路は、遮光部材8によって互いに分離されている。本実施形態では、光検出器7の各光検出素子72が遮光部材8の各光通過開口8a内に位置している。各光通過開口8a内では、光検出素子72の端子と配線基板71の端子とがワイヤ74によって電気的に接続されており、ワイヤ74が樹脂部材75によって覆われている。
【0038】
図6に示されるように、各光通過開口8aは、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が遮光部材8に接触するように遮光部材8に形成されている。つまり、遮光部材8は、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が遮光部材8に接触するように構成されている。なお、
図6では、バンドパスフィルタ4が二点鎖線で図示されている。
【0039】
図2に示されるように、遮光部材8には、複数の位置決め孔8bが形成されている。配線基板71には、複数の位置決め孔7bが形成されている。各位置決め孔7bは、Z方向から見た場合に各位置決め孔8bと重なっている。遮光部材8は、第2支持体6の各位置決めピン6aが各位置決め孔8bに嵌められることでZ方向に垂直な方向における各光通過開口8aの位置が規定された状態で、凹部63に配置されている。光検出器7は、遮光部材8の各位置決め孔8bを貫通した各位置決めピン6aが各位置決め孔7bに嵌められることでZ方向に垂直な方向における各受光領域7aの位置が規定された状態で、第2支持体6に取り付けられている。
[複数のビームスプリッタの配置]
【0040】
図7に示されるように、複数のビームスプリッタ3は、各ビームスプリッタ3の中心3aがX方向に平行なラインα上に位置するように配置されている。ビームスプリッタ3の中心3aは、ビームスプリッタ3の厚さ方向から見た場合におけるビームスプリッタ3の中心(重心)である。各ビームスプリッタ3は、1mm以下の同一の厚さを有しており、X方向に沿って45°の入射角で光が入射するように配置されている。光入射部10の光軸Aは、各ビームスプリッタ3の中心3aを通るラインαに対してZ方向における一方の側に位置している。なお、
図7では、光入射部10が模式的に図示されている。
【0041】
各ビームスプリッタ3では、屈折が生じるため、入射光の光軸に対して透過光の光軸が光入射部10の光軸Aから離れる側にシフトする。分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3が同一の厚さを有しており且つX方向に沿って45°の入射角で光が入射するように各ビームスプリッタ3が配置されているため、各ビームスプリッタ3において光の屈折量が等しくなる。光の屈折量とは、ビームスプリッタ3において、入射光の光軸に対して透過光の光軸が光入射部10の光軸Aから離れる側にシフトする量を意味する。
【0042】
各ビームスプリッタ3における光の屈折量をΔZとし、ビームスプリッタ3の個数をMとすると、Z方向における「最前段のビームスプリッタ3における入射光の光軸」と「最後段のビームスプリッタ3における入射光の光軸」との距離は、ΔZ(M-1)となる。最前段のビームスプリッタ3とは、最も前段(光の進行方向における上流側)に配置されたビームスプリッタ3を意味し、最後段のビームスプリッタ3とは、最も後段(光の進行方向における下流側)に配置されたビームスプリッタ3を意味する。
【0043】
分光モジュール1では、Z方向における光軸Aとラインαとの距離がΔZ(M-1)/2となるように、光入射部10の光軸Aに対して複数のビームスプリッタ3が配置されている。これにより、中段(光の進行方向における中流側)に配置されたビームスプリッタ3において、入射光の光軸がビームスプリッタ3の中心3a又は中心3a付近を通ることになる。
【0044】
一例として、各ビームスプリッタ3の厚さが0.5mm、屈折率が1.5であり、ビームスプリッタ3への入射角が45°、ビームスプリッタ3の配置個数が10である場合には、光の屈折量ΔZの値は0.165mmとなる。したがって、Z方向における光軸Aとラインαとの距離は、ΔZ(M-1)/2=0.165×(10-1)/2=約0.74mmとなる。この場合には、最前段から5個目及び6個目のビームスプリッタ3のそれぞれにおいて、入射光の光軸が各ビームスプリッタ3の中心3a付近を通ることになる。光入射部10によって画定される測定光Lの直径(すなわち、最前段のビームスプリッタ3における入射光の直径)が4mmである場合には、長手方向における各ビームスプリッタ3の長さが10mmあれば、全てのビームスプリッタ3においてクリアアパーチャ内に入射光が収まることになる。
【0045】
分光モジュール1では、複数のビームスプリッタ3の配列ピッチが、複数の受光領域7aの配列ピッチに、各ビームスプリッタ3における光の屈折量を加えた値となっている。複数のビームスプリッタ3の配列ピッチとは、複数のビームスプリッタ3がX方向に沿って等間隔で配列された場合における「隣り合うビームスプリッタ3の中心3a間の距離」を意味する。複数の受光領域7aの配列ピッチとは、複数の受光領域7aがX方向に沿って等間隔で配列された場合における「隣り合う受光領域7aの中心間の距離」を意味する。複数のビームスプリッタ3の配列ピッチをP1とし、複数の受光領域7aの配列ピッチP2とすると、P1=P2+ΔZとなる。したがって、ビームスプリッタ3の個数をMとすると、X方向における「最前段のビームスプリッタ3」と「最後段のビームスプリッタ3」との距離は、P1(M-1)=(P2+ΔZ)(M-1)=P2(M-1)+ΔZ(M-1)となる。このように、複数のビームスプリッタ3の配列ピッチは、複数の受光領域7aの配列ピッチだけでなく、各ビームスプリッタ3における光の屈折量の影響も累積的に受ける。
【0046】
以上のことから、「複数のビームスプリッタ3の全体において、バンドパスフィルタ4から離れる側にも、複数のビームスプリッタ3が並ぶ方向における後段側にも、累積された光の屈折量の総和を十分に小さくして、モジュール全体の小型化を図る」上では、各ビームスプリッタ3は、1mm以下の厚さを有していることが好ましく、0.5mm以下の厚さを有していることがより好ましい。ただし、ビームスプリッタ3の強度を確保する上では、各ビームスプリッタ3は、0.1mm以上の厚さを有していることが好ましい。
[作用及び効果]
【0047】
分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3が、板状を呈しており、1mm以下の厚さを有している。これにより、各ビームスプリッタ3において、入射光の光軸に対して透過光の光軸がバンドパスフィルタ4から離れる側にシフトする量(光の屈折量)が小さくなる。したがって、複数のビームスプリッタ3の全体では、バンドパスフィルタ4から離れる側にも、複数のビームスプリッタ3が並ぶ方向(X方向)における後段側にも、累積された光の屈折量の総和が十分に小さくなる。累積された光の屈折量の総和が小さくなることは、複数の受光領域7aのうち最前段に配置された受光領域7a以外の受光領域7aに至る光路の光路長が長くなることが抑制されることを意味する。これにより、当該受光領域7aでの受光量の低減及び当該光路での迷光の発生を抑制することができる。よって、この分光モジュール1によれば、S/N比の向上を図ることができる。具体的には、当該光路の光路長の長さを抑制し、後段の受光領域7aにおける受光量の低減を抑制することで、配線基板71の回路において電気信号の増幅率を抑制することができる。また、当該光路の光路長の長さを抑制することで、当該光路での光の乱反射、散乱等を抑制できるため、当該光路での迷光の発生を抑制することができる。また、分光モジュール1によれば、複数のビームスプリッタ3の全体で、バンドパスフィルタ4から離れる側にも、複数のビームスプリッタ3が並ぶ方向(X方向)における後段側にも、累積された光の屈折量の総和が十分に小さくなるため、モジュール全体の小型化を図ることができる。
【0048】
また、各ビームスプリッタ3が0.5mm以下の厚さを有している場合には、後段の受光領域7aに至る光路の光路長が長くなることが更に抑制されるため、、分光モジュール1全体のより一層のS/N比の向上を図ることができる。更に、分光モジュール1では、モジュール全体のより一層の小型化を図ることができる。
【0049】
また、分光モジュール1では、板状を呈する各ビームスプリッタ3が、第1支持体5に形成された各溝56に配置されており、対応する溝56及びビームスプリッタ3において、溝56が、ビームスプリッタ3の厚さの2倍以上の幅を有している。これにより、分光モジュール1の製造時において、ビームスプリッタ3が配置される溝56を容易に且つ精度良く形成することができるため、各ビームスプリッタ3の位置精度を確保することができる。例えば、エンドミルを用いて第1支持体5に溝56を形成する場合に、加工時にエンドミルの先端のブレが抑制されるため、第1支持体5に溝56を容易に且つ精度良く形成することができる。
【0050】
また、分光モジュール1では、対応する溝56及びビームスプリッタ3において、ビームスプリッタ3が、1対の側面56a,56bのうちZ方向における一方の側に位置する側面56a、及び底面56cに接触するように、溝56に配置されている。これにより、各ビームスプリッタ3の位置精度を確保することに加え、複数のビームスプリッタ3のそれぞれを安定的に支持することができる。
【0051】
また、分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3の中心3aがX方向に平行なラインα上に位置するように、複数のビームスプリッタ3が配置されており、X方向に沿って複数のビームスプリッタ3に入射する光を画定する光入射部10の光軸Aが、ラインαに対してZ方向における一方の側に位置している。これにより、同一の形状を呈している各ビームスプリッタ3の小型化を図りつつも、各ビームスプリッタ3のクリアアパーチャを有効に利用することができる。
【0052】
また、分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3が、同一の厚さを有し、X方向に沿って45°の入射角で光が入射するように配置されており、複数のビームスプリッタ3の配列ピッチが、複数の受光領域7aの配列ピッチに、各ビームスプリッタ3における光の屈折量を加えた値となっている。これにより、各ビームスプリッタ3によって反射された光を各受光領域7aに精度良く入射させることができる。また、分光モジュール1では、複数のビームスプリッタ3の配列ピッチであるP1は一定(P1=P2+ΔZ)である。これにより、X方向において隣り合う複数の受光領域7a間の配列ピッチを一定にすることができるため、製造の容易化を図ることができる。
【0053】
また、分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3の厚さ方向から見た場合に各ビームスプリッタ3が長尺状を呈しており、各ビームスプリッタ3の長手方向に垂直な方向がY方向(X方向及びZ方向の両方向に垂直な方向)である。これにより、Y方向において各ビームスプリッタ3の小型化を図りつつ、各ビームスプリッタ3のクリアアパーチャを有効に利用することができる。また、Y方向において、各ビームスプリッタ3が小型化されることにより、筐体2の小型化も図ることができる。
【0054】
また、分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3が同一の形状を呈している。これにより、複数のビームスプリッタ3について部品の共通化を図ることができる。
[変形例]
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、第1方向(X方向)に沿って複数のビームスプリッタ3が配列されており、複数のビームスプリッタ3に対して第2方向(Z方向)における一方の側に複数のバンドパスフィルタ4等が配置されていた。つまり、上記実施形態では、第2方向(Z方向)が第1方向(X方向)に垂直な方向であったが、第2方向は第1方向と交差する方向であればよい。また、上記実施形態において「接触するように」との意味には、或る部材と或る部材とが接触していることに限定されず、或る部材と或る部材との間に接着剤等の膜が配置されていることも含まれる。
【0056】
また、筐体2は、少なくとも複数のビームスプリッタ3及び複数のバンドパスフィルタ4を収容するものであればよい。また、第1支持体5、第2支持体6及び光検出器7の少なくとも1つの一部分によって、筐体2の一部分が構成されていてもよい。また、第1支持体5及び第2支持体6は、一体的に形成されていてもよい。また、各バンドパスフィルタ4の光入射面4aは、遮光部材8が配置される凹部63の底面63aよりもZ方向における一方の側に位置していたが、底面63aと同じ位置に位置していてもよい。
【0057】
また、各ビームスプリッタ3は、互いに異なる波長帯域の光を反射し且つ反射する波長帯域の光以外の光を透過させるダイクロイックミラーであってもよい。また、各ビームスプリッタ3は、各ビームスプリッタ3の厚さ方向から見た場合に長尺状を呈していれば、具体的形状として、多角形、楕円形状等を呈していてもよい。また、複数のバンドパスフィルタ4は、例えば1つの基材に少なくとも2つの誘電体多層膜が形成されることで構成されていてもよい。つまり、それぞれがバンドパスフィルタ4として機能する複数の部分が存在すればよく、当該複数の部分のそれぞれが配置された基材が互いに分割されている必要はない。また、光検出器7は、1つの半導体基板に複数の受光領域7aが形成されたPDアレイ等であってもよい。また、光検出器7は、光電子増倍管であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、筐体2が、規定部として複数の位置決め孔2cを有していたが、第2支持体6及び筐体2の少なくとも一方が、X方向及びZ方向の両方向に平行な面内での第1支持体5の位置を規定する規定部を有していればよい。第2支持体6及び筐体2が有する規定部としては、例えば、凹部9内に配置された第1支持体5に接触するように凹部9の側面92に設けられた接触領域がある。また、第1支持体5は、第1係合部を有し、筐体2は、規定部として、第1係合部と係合した第2係合部を有していてもよい。その場合、第1係合部及び第2係合部の一方は、複数の位置決め孔であり、第1係合部及び第2係合部の他方は、それぞれが複数の位置決め孔のそれぞれに嵌められた位置決めピンであってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第2支持体6が位置決めピン6aを有しており、遮光部材8が位置決め孔8bを有していたが、第2支持体6は、第1係合部を有し、遮光部材8は、第1係合部と係合した第2係合部を有していてもよい。その場合、第1係合部及び第2係合部の一方は、複数の位置決め孔であり、第1係合部及び第2係合部の他方は、それぞれが複数の位置決め孔0それぞれに嵌められた位置決めピンであってもよい。
【0060】
また、ビームスプリッタ3が、板状を呈しており、1mm以下の厚さ(より好ましくは0.5mm以下の厚さ)を有している場合には、全てのビームスプリッタ3の個数をM個(Mは2以上の自然数)とすると、M個のビームスプリッタ3のうちのN個(Nは2以上且つM以下の自然数)のビームスプリッタ3のそれぞれが、板状を呈しており、1mm以下の厚さ(より好ましくは0.5mm以下の厚さ)を有していればよい。なお、全てのビームスプリッタ3が、板状を呈しており、1mm以下の厚さ(より好ましくは0.5mm以下の厚さ)を有していてもよい(M=Nの場合)。
【符号の説明】
【0061】
1…分光モジュール、3…ビームスプリッタ、3a…中心、4…バンドパスフィルタ、5…第1支持体(支持体、支持部)、6…第2支持体(支持体)、7…光検出器、7a…受光領域、10…光入射部、56…溝、56a,56b…側面、56c…底面、57a,57b…光通過開口、A…光軸、α…ライン。