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<図1>
  • 特許-カード収納箱 図1
  • 特許-カード収納箱 図2
  • 特許-カード収納箱 図3
  • 特許-カード収納箱 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】カード収納箱
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/14 20060101AFI20241217BHJP
   B65D 5/72 20060101ALI20241217BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20241217BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B42F7/14 B
B65D5/72 Z
B65D83/08 H
B42D15/00 341D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022037425
(22)【出願日】2022-03-10
(65)【公開番号】P2023132228
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】509015888
【氏名又は名称】奥村印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 秀生
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平6ー263175(JP,A)
【文献】特開2005-219752(JP,A)
【文献】特開2002ー240475(JP,A)
【文献】特開2007-302342(JP,A)
【文献】特表2003-512980(JP,A)
【文献】特開平10-305832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0108565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00-11/38
B42D 15/00
B42F 1/00-23/00
B65D 5/00-5/76
23/00-25/56
67/00-79/02
81/18-81/30
81/38-83/00
83/08-83/76
85/88
G09F 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを重ねて収納可能な直方体であり、上面の両側部に、対向する一対の側壁の上端から張り出し、且つ、前記一対の側壁に隣接する他対の側壁の上端間に亘る張出片を設け、これら張出片の先端縁の間に開口窓を形成し、前記張出片の先端縁の間において、前記他対の側壁の上端にそれぞれ切欠きを形成したことを特徴とするカード収納箱。
【請求項2】
前記張出片の先端縁は凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のカード収納箱。
【請求項3】
前記切欠きは凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカード収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、名刺等の多数のカード類を重ねて収納するカード収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なカード収納箱は、紙を折り曲げて直方体とし、少なくとも一つの側面を開閉可能な開口部としてある。
このようなカード収納箱は、内部に収納されたカードの表示内容を確認する際にも、カードを使用する際にも、開口部を開閉してカードを取り出さなければならなかった。
【0003】
特許文献1には、一実施例として、直方体の箱状であり、底片の対角の位置に差込口を形成した名刺入れ容器が開示されている。
この名刺入れ容器は、底片の外面に名刺の表面を外側に向けて重ね、名刺の対角位置にある角部を差込口に挿入して係止させることにより、内部に収納した名刺を取り出すことなく、名刺に表示された内容を確認することができる。
【0004】
また、特許文献1には、他の実施例として、蓋片の中央部に切取窓を形成した名刺入れ容器が記載されている。
この名刺入れ容器は、切取窓を通して内部に収納された名刺の表面を容易に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-182279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された一実施例のような名刺入れ容器は、底片の外面に手作業で名刺を取り付ける必要があり、当該取付作業は機械化できないためその点で手間や時間がかかることがあった。また、内部に収納した名刺とは異なる名刺を誤って底片の外面に取り付けてしまう虞もあった。さらに、使用する名刺を取り出すためには、取り出し用の開口部を開閉しなければならなかった。
他の実施例のような名刺入れ容器は、内部の名刺を確認するための切取窓を切り取るという煩雑な作業を行わなければならず、蓋片の中央部に形成された切取窓からは名刺を取り出すことができないので、蓋片を開閉して使用する名刺を取り出す必要があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、面倒な作業を行うことなく容易に内部に収納された名刺等のカードを相違なく確認することができ、使用時には蓋等を開閉することなく簡単にカードを取り出すことができるカード収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカード収納箱は、カードを重ねて収納可能な直方体であり、上面の両側部に、対向する一対の側壁の上端から張り出し、且つ、前記一対の側壁に隣接する他対の側壁の上端間に亘る張出片を設け、これら張出片の先端縁の間に開口窓を形成し、前記張出片の先端縁の間において、前記他対の側壁の上端にそれぞれ切欠きを形成してある。
【0009】
望ましくは、前記張出片の先端縁が凹状に湾曲している。
【0010】
望ましくは、前記切欠きが凹状に湾曲している。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカード収納箱は、上面両側部に一対の側壁から張り出して設けた張出片の間に、対向する他対の側壁間に亘る広い開口窓が形成されているので、開口部を通して内部に収納されたカードを確認することができる。加えて、従来のように箱の外面にカードを取り付けたり、蓋の一部を切り取って確認用の窓を形成するなどの面倒な作業が不要となり、誤ったカードを箱の外面に取り付けてしまうというミスの心配もない。
また、他対の側壁の上端に形成された切欠きを通してカードの側縁部に指を掛け、撓めながら開口窓から引き出すことにより、蓋を開閉することなく、適正な枚数のカードを簡単に取り出すことが可能である。
さらに、上面に開口窓が形成され、他対の側壁の上端部に開口窓と連続する切欠きが形成されているので、内部のカードの残量を一目で知ることができる。
【0012】
張出片の先端縁を凹状に湾曲させると、内部に収納されたカードを開口窓から取り出す際に、カードの角部が張出片に引っ掛かり難く、しかも、内部のカードを見やすくなり、開口窓を大きくしても、張出片の両側端と他対の側壁の上端との連結部分が長くなるため、カード収納箱自体の強度が高まるとともに、カードが開口窓から脱出するのを防ぐ。
【0013】
切欠きが凹状に湾曲していると、切欠きの面積が小さくて済み、他対の側壁の強度が低下するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態を示すカード収納箱の斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態を示すカード収納箱の展開図である。
図3】本発明の第二の実施形態を示すカード収納箱の斜視図である。
図4】本発明の第三の実施形態を示すカード収納箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0016】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
図1は、第一の実施形態を示すカード収納箱の斜視図であり、図2は、第一の実施形態を示すカード収納箱の展開図である。
【0017】
図1に示すように、カード収納箱1は、紙片を折り畳んで接着することにより、多数のカードAを重ねて収納可能な直方体の箱状としてある。
なお、以下の説明において、カード収納箱1の平面の長辺方向を幅方向、短辺方向を前後方向とする。
【0018】
カード収納箱1は、底片2と、底片2の幅方向両側の短辺から立ち上がって互いに対向する一対の側壁3,3と、底片2の前後の長辺から立ち上がって互いに対向する他対の側壁4,4と、一対の側壁3,3の上端からそれぞれ底片2と平行に幅方向内側へ張り出してカード収納箱1の上面を構成する張出片5,5とを備える。
【0019】
底片2の幅方向及び前後方向の寸法は、カードAの縦横の寸法よりも僅かに大きい。
側壁3,4の高さは、収納しようとするカードAの枚数によっても異なるが、収納されるカードAを重ねた高さよりもやや高く形成する。
一対の側壁3,3は開閉可能な蓋となっており、いずれか一方の側壁3を開けることにより、カード収納箱1の内部にカードAを収納することができる。
【0020】
張出片5,5の前後端はそれぞれ他対の側壁4,4の上端に連結され、張出片5,5は、一対の側壁3,3に隣接する他対の側壁4,4の上端間に亘って設けられる。
側壁4,4の上端の長さL1に対して、側壁4と張出片5との連結部分の長さL2は10%~20%程度であり、張出片5,5によって上面を構成しても、著しく強度が低下することはなく、内部のカードAが脱出することもない。
【0021】
張出片5,5の先端縁50,50は凹状に湾曲しており、これら先端縁50,50の間に開口窓6が形成される。
張出片5,5の前後端はそれぞれ他対の側壁4,4の上端に連結されるので、張出片5,5の先端縁50,50の間に設けられる開口窓6は、他対の側壁4,4の上端間に亘って広く形成されることになる。また、先端縁50,50は凹状に湾曲しているので、開口窓6は中央部分が幅広くなっており、開口窓6を通して内部を確認しやすい。また、後述するように、カードを取り出す際にも、先端縁50,50が湾曲していることにより、よりなめらかに取り出すことが可能となる。
【0022】
張出片5,5の先端縁50,50の間において、他対の側壁4,4の上端にそれぞれ切欠き40,40が形成される。
切欠き40,40は凹状に湾曲しており、切欠き40,40の両端は張出片5,5の先端縁50,50の端部に連続している。
側壁4,4の高さH1に対して、切欠き40,40の最も深い位置から側壁4,4の上端までの高さH2は50%以下、望ましくは15%程度とする。これにより、カードの取り出しやすさとカード入れの箱の強度を両立させることができる。
【0023】
カード収納箱1は、一枚の紙片を折り曲げ、一部を接着して形成する。
紙片は、図2に示すように、長方形の底片2の一方の長辺に折り曲げ線O1を介して接着片20が連設され、底片2の他方の長辺に折り曲げ線O2を介して一方の側壁4の下端が連設される。
一方の側壁4の両側端には、それぞれ折り曲げ線O3,O3を介して内蓋片41,41が連設される。
【0024】
一方の側壁4の上端において、切欠き40を挟んだ両側には、折り曲げ線O4,O4を介して張出片5,5の前端が連設される。
張出片5,5の先端縁50,50と対向する側端には、それぞれ折り曲げ線O5,O5を介して一対の側壁3,3の上端が連設され、一対の側壁3,3の下端にはそれぞれ折り曲げ線O6,O6を介して差込片30,30が連設される。折り曲げ線O6,O6の両端部は、差込片30,30を屈曲しやすいようにスリット31となっている。
【0025】
張出片5,5の後端には、他方の側壁4の上端において切欠き40を挟んだ両側部が折り曲げ線O7,O7を介して連設される。
他方の側壁4の両側端には、折り曲げ線O8,O8を介して内蓋片41,41が連設される。
各内蓋片41の前後方向の寸法は、側壁3の前後方向の寸法の1/2よりやや短い。
【0026】
カード収納箱1を形成するには、まず、紙片を折り曲げ線O1,O2,O4,O7に沿って山折りすることにより、接着片20、底片2、一方の側壁4、張出片5,5及び他方の側壁4を筒状とし、接着片20を他方の側壁4の内面に接着する。これにより、両側端面が開口した筒体となる。
【0027】
次いで、折り曲げ線O3,O3に沿って山折りすることにより、一方の側壁4の両側に設けた内蓋片41,41を後方に折り曲げ、折り曲げ線O8,O8に沿って山折りして、他方の側壁4の両側に設けた内蓋片41,41を前方に折り曲げる。
次に、折り曲げ線O5,O5に沿い山折りして、一対の側壁3を下方に折り曲げて内蓋片41,41の外側に被せ、さらに、折り曲げ線O5,O5に沿って山折りすることにより内側に折り曲げた差込片30,30を、内蓋片41の下端と底片2の内面との間に差し込んで、カード収納箱1の両側に設けた開口部を閉鎖する。
【0028】
一方の側壁3及びその内側に重なる内蓋片41,41を開いて開放した開口部から、カード収納箱1の内部に重ねたカードAの表面を上に向けて収納することができる。
すると、カード収納箱1の上面に形成された開口窓6を通して、内部のカードAの表示内容や、カードAの残量を確認することができる。
また、他対の側壁4,4の上端に形成されたそれぞれの切欠き40,40から人差し指と親指の腹を臨ませて、カードAの端部を両側からつまみ上げ、カードAを撓ませながら開口窓6を通してカード収納箱1の外部に取り出すことができる。このとき、張出片5と先端縁50が凹状に湾曲していることによって、カードをよりなめらかに取り出すことが可能となる。
【0029】
[第二の実施形態]
図3は、本発明の第二の実施形態を示す。
第二の実施形態では、他対の側壁4,4の上端の中央部に、それぞれ半円形の切欠き40’,40’が形成されている。このような切欠き40’,40’は小さいので、カード収納箱1自体の強度低下を抑制することができる。
その他の構造及び使用方法は、第一の実施形態と同様である。
【0030】
[第三の実施形態]
図4は、本発明の第三の実施形態を示す。
第三の実施形態において、張出片5,5の先端縁50’,50’は、両端部が直線状で中央部が凹状に湾曲している。
その他の構造及び使用方法は、第一の実施形態と変わるところは無い。
【0031】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0032】
上記実施形態では、一対の側壁をいずれも開閉可能な蓋としてあるが、いずれか一方のみを開閉可能とし、他方は閉鎖状態を維持するものとしてもよい。
【0033】
上記実施形態では、カードとして名刺を例として説明したが、カードは名刺に限られるものではなく、トランプ等の他のカードであってもよい。また、カードの材質についても、紙製に限らず、プラスチック製や金属製など、他の材質で形成されたカードであってもよい。
【0034】
上記実施形態では、カード収納箱は紙製であるが、木質材や合成樹脂等を素材とすることもできる。
【0035】
上記実施形態では、張出片の先端縁が湾曲しているが、全長に亘って直線状としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
A カード
1 カード収納箱
2 底片
20 接着片
3,3 一対の側壁
30 差込片
31 スリット
4,4 他対の側壁
40,40’ 切欠き
41 内蓋片
5 張出片
50,50’ 先端縁
6 開口窓
図1
図2
図3
図4