(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ワークスペース管理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250106BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021017657
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】安井 一貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 清人
(72)【発明者】
【氏名】湊 大空
(72)【発明者】
【氏名】今田 晴菜
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144683(JP,A)
【文献】国際公開第2006/126496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークスペースの各々について、当該ワークスペースが提供可能な設備に係る情報を少なくとも含む提供条件を表す情報を取得する第1の取得処理部と、
前記ワークスペースの利用を希望するユーザについて、当該ユーザの属性情報および利用用途を表す情報を少なくとも含む利用条件を表す情報を取得する第2の取得処理部と、
前記提供条件を表す情報に基づいて、前記複数のワークスペースの利用用途に
関し、集中した作業に適合する度合いを示す第1の集中スコアと、リラックスした作業に適合する度合いを示す第1のリラックススコアとからなる第1の特徴量をそれぞれ算出する第1の算出処理部と、
前記利用条件を表す情報に基づいて、前記ユーザの利用用途に
関し、前記ユーザが集中した作業を希望する度合いを示す第2の集中スコアと、前記ユーザがリラックスした作業を希望する度合いを示す第2のリラックススコアとからなる第2の特徴量を算出する第2の算出処理部と、
前記第2の集中スコアおよび第2のリラックススコアと前記第1の集中スコアおよび第1のリラックススコアとの間のそれぞれの差が、所定の範囲内に含まれるワークスペースを利用候補として選択する第1の選択処理部と、
選択された前記利用候補を表す推奨情報を生成し、生成された前記推奨情報を出力する出力処理部と
を備えるワークスペース管理装置。
【請求項2】
複数のワークスペースの各々について、当該ワークスペースが提供可能な設備に係る情報を少なくとも含む提供条件を表す情報を取得する第1の取得処理部と、
前記ワークスペースの利用を希望するユーザについて、当該ユーザの属性情報および利用用途を表す情報を少なくとも含む利用条件を表す情報を取得する第2の取得処理部と、
前記提供条件を表す情報に基づいて、前記複数のワークスペースの利用用途に係る第1の特徴量をそれぞれ算出する第1の算出処理部と、
前記利用条件を表す情報に基づいて、前記ユーザの利用用途に係る第2の特徴量を算出する第2の算出処理部と、
前記第2の特徴量を前記複数のワークスペースの前記第1の特徴量と比較し、その差が所定の範囲内に含まれるワークスペースを利用候補として選択する第1の選択処理部と、
選択された前記利用候補を表す推奨情報を生成し、生成された前記推奨情報を出力する出力処理部と、
前記ユーザの前記ワークスペースに対する利用履歴を表す情報を管理する利用履歴管理処理部と、
前記ユーザの情報端末から利用要求を受信した場合に、前記利用履歴を表す情報に基づいて前記ユーザの過去の利用状況が所定の判定条件を超えるか否かを判定し、前記過去の利用状況が前記判定条件を超えない場合に、前記第1の選択処理部により前記ワークスペースの前記利用候補の選択を行わせる判定処理部と、
前記過去の利用状況が前記判定条件を超える場合に、前記利用履歴を表す情報に基づいて前記ワークスペースの前記利用候補を選択する第2の選択処理部と
を備え、
前記第2の選択処理部は、
前記利用履歴を表す情報に基づいて前記ユーザが直近の所定期間内に
前記ワークスペースを利用したか否かを判定する処理部と、
前記直近の所定期間内に前記ワークスペースを利用していない場合に、前記利用履歴を表す情報に基づいて、前記ユーザが前記過去に利用した前記ワークスペースと、前記第1の特徴量が所定範囲内で類似するワークスペースを、前記利用候補として選択する処理部と、
前記直近の所定期間内に前記ワークスペースを利用している場合に、前記ユーザの前記第2の特徴量および前記利用履歴を表す情報に基づいて、前記ユーザの前記第2の特徴量および前記ユーザが前記過去に利用した前記ワークスペースの前記第1の特徴量のいずれとも、前記第1の特徴量の値が所定範囲内で類似しないワークスペースを、前記利用候補として選択する処理部と
を備える
ワークスペース管理装置。
【請求項3】
前記第2の取得処理部は、
前記ワークスペースの利用を希望する前記ユーザが使用する情報端末に、前記属性情報および利用用途に係る複数の候補を示すメニュー情報を記載したテンプレートデータを送信する処理部と、
前記テンプレートデータに記載された前記メニュー情報に示される前記複数の候補に対し前記ユーザが選択した選択情報を前記情報端末から受信する処理部と
を備える請求項1
又は2に記載のワークスペース管理装置。
【請求項4】
プロセッサを有するワークスペース管理装置が実行するワークスペース管理方法であって、
複数のワークスペースの各々について、当該ワークスペースが提供可能な設備に係る情報を少なくとも含む提供条件を表す情報を取得する過程と、
前記ワークスペースの利用を希望するユーザについて、当該ユーザの属性情報および利用用途を表す情報を少なくとも含む利用条件を表す情報を取得する過程と、
前記提供条件を表す情報に基づいて、前記複数のワークスペースの利用用途に
関し、集中した作業に適合する度合いを示す第1の集中スコアと、リラックスした作業に適合する度合いを示す第1のリラックススコアとからなる第1の特徴量をそれぞれ算出する過程と、
前記利用条件を表す情報に基づいて、前記ユーザの利用用途に
関し、前記ユーザが集中した作業を希望する度合いを示す第2の集中スコアと、前記ユーザがリラックスした作業を希望する度合いを示す第2のリラックススコアとからなる第2の特徴量を算出する過程と、
前記第2の集中スコアおよび第2のリラックススコアと前記第1の集中スコアおよび第1のリラックススコアとの間のそれぞれの差が、所定の範囲内に含まれる前記ワークスペースを利用候補として選択する過程と、
選択された前記利用候補を表す推奨情報を生成し、生成された前記推奨情報を出力する過程と、
を備えるワークスペース管理方法。
【請求項5】
プロセッサを有するワークスペース管理装置が実行するワークスペース管理方法であって、
複数のワークスペースの各々について、当該ワークスペースが提供可能な設備に係る情報を少なくとも含む提供条件を表す情報を取得する過程と、
前記ワークスペースの利用を希望するユーザについて、当該ユーザの属性情報および利用用途を表す情報を少なくとも含む利用条件を表す情報を取得する過程と、
前記提供条件を表す情報に基づいて、前記複数のワークスペースの利用用途に係る第1の特徴量をそれぞれ算出する過程と、
前記利用条件を表す情報に基づいて、前記ユーザの利用用途に係る第2の特徴量を算出する過程と、
前記第2の特徴量を前記複数のワークスペースの前記第1の特徴量と比較し、その差が所定の範囲内に含まれる前記ワークスペースを利用候補として選択する第1の選択過程と、
選択された前記利用候補を表す推奨情報を生成し、生成された前記推奨情報を出力する過程と、
前記ユーザの前記ワークスペースに対する利用履歴を表す情報を管理する過程と、
前記ユーザの情報端末から利用要求を受信した場合に、前記利用履歴を表す情報に基づいて前記ユーザの過去の利用状況が所定の判定条件を超えるか否かを判定し、前記過去の利用状況が前記判定条件を超えない場合に、前記第1の選択過程により前記ワークスペースの前記利用候補の選択を行わせる過程と、
前記過去の利用状況が前記判定条件を超える場合に、前記利用履歴を表す情報に基づいて前記ワークスペースの前記利用候補を選択する第2の選択過程と
を備え、
前記第2の選択過程は、
前記利用履歴を表す情報に基づいて前記ユーザが直近の所定期間内に
前記ワークスペースを利用したか否かを判定する過程と、
前記直近の所定期間内に前記ワークスペースを利用していない場合に、前記利用履歴を表す情報に基づいて、前記ユーザが前記過去に利用した前記ワークスペースと、前記第1の特徴量が所定範囲内で類似するワークスペースを、前記利用候補として選択する過程と、
前記直近の所定期間内に前記ワークスペースを利用している場合に、前記ユーザの前記第2の特徴量および前記利用履歴を表す情報に基づいて、前記ユーザの前記第2の特徴量および前記ユーザが前記過去に利用した前記ワークスペースの前記第1の特徴量のいずれとも、前記第1の特徴量の値が所定範囲内で類似しないワークスペースを、前記利用候補として選択する過程と
を備えるワークスペース管理方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のワークスペース管理装置が備える各処理部による処理を、前記ワークスペース管理装置が有するプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、例えばリモートワークを利用して業務を行うユーザに対しワークスペースに関する情報をレコメンドする機能を有するワークスペース管理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、場所にとらわれない働き方であるリモートワークは、災害やパンデミック時の事業継続手段となること、あるいは大規模な国際競技大会期間における交通混雑緩和になることなどから注目を集めており、オフィス外で働くユーザが増加している。ところが、ユーザがオフィスや自宅以外のコワーキングスペースやカフェ等のサードプレイスを利用しようとしても、適当なスペースを容易に確保し難いのが現状である。
【0003】
そこで、ワークスペースを提供する複数の施設や店舗の設備や立地等に関する情報、例えば電源の有無や、公衆無線LAN(Local Area Network)の利用の可否、空席状況、最寄り駅等をサーバ上で管理し、ユーザがスマートフォン等の携帯情報端末を使用して上記サーバにアクセスすることにより、利用可能なワークスペースを検索し予約等を行えるようにするサービスが提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
このようなサービスを利用することで、ユーザはオフィスや自宅外でのリモートワークは勿論のこと、外出時の隙間時間を活用して業務を行いたい場合にも、比較的容易にワークスペースを確保することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「Dropin」の実証実験を本格開始 ~ワークスペースとして今すぐ使える場所をスマートに検索・予約・決済~、[online]、2020年2月7日、NTTコミュニケーションズ株式会社、[2021年1月26日検索]、インターネット<URL: https://www.ntt.com/about-us/press-eleases/news/article/2020/0207.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来提案されているサービスでは、選択可能な施設や店舗が多種多様であることから、その設備および立地に関する情報だけではユーザが希望するワークスペースを十分に絞りきれない。このため、検索された複数のワークスペースの候補の中からユーザが一つ一つ確認して希望するワークスペースを選択しなければならず、選択に時間と手間が掛かる。
【0007】
また、ワークスペースの検索に際しユーザの利用用途までは考慮されないため、ユーザの真の利用用途にマッチしないワークスペースが選択されてしまうことがある。例えば、集中して作業しようとしているのか、或いは気分転換をしつつ比較的簡単な作業しようとしているのかにより、ユーザの利用用途は異なるにもかかわらず、利用用途にマッチしないワークスペースが選択されてしまうことがあり、マッチング精度に課題が残る。
【0008】
さらに、提供するワークスペースがユーザの利用用途にマッチしていないと、そのワークスペースの1回の利用時間が短くなったりその後のリピート率が低下する。このため、ワークスペースを提供する施設または店舗にとっては、ワークスペースの利用率が低く抑えられる傾向がある。
【0009】
さらに、ユーザの利用用途は常に一定ではなく、例えば時間経過に応じて変化する場合がある。しかし、従来提案されているサービスでは、このようなユーザの利用用途の時系列的変化については何ら考慮されていない。
【0010】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、一側面では、ユーザとワークスペースとのマッチング精度を高めると共にワークスペースの利用率の向上を図る技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためにこの発明の一態様は、複数のワークスペースの各々について、当該ワークスペースが提供可能な設備に係る情報を少なくとも含む提供条件を表す情報を取得すると共に、前記ワークスペースの利用を希望するユーザについて、当該ユーザの属性情報および利用用途を表す情報を少なくとも含む利用条件を表す情報を取得する。そして、取得された前記提供条件を表す情報に基づいて前記複数のワークスペースの利用用途に関し、集中した作業に適合する度合いを示す第1の集中スコアと、リラックスした作業に適合する度合いを示す第1のリラックススコアとからなる第1の特徴量を算出すると共に、取得された前記利用条件を表す情報に基づいて前記ユーザの利用用途に関し、前記ユーザが集中した作業を希望する度合いを示す第2の集中スコアと、前記ユーザがリラックスした作業を希望する度合いを示す第2のリラックススコアとからなる第2の特徴量を算出し、前記第2の集中スコアおよび第2のリラックススコアと前記第1の集中スコアおよび第1のリラックススコアとの間のそれぞれの差が、算出された前記第2の特徴量を前記複数の第1の特徴量と比較して、その差が所定の範囲内に含まれる前記ワークスペースを利用候補として選択し、選択された前記利用候補を表す推奨情報を出力するようにしたものである。
【0012】
この発明の一態様によれば、取得された複数のワークスペースの各提供条件およびユーザの利用条件からそれぞれワークスペースの利用用途に係る第1および第2の特徴量が算出され、これら第1の特徴量と第2の特徴量との差が所定範囲内に含まれるワークスペースが、利用候補となるワークスペースとして選択される。
【0013】
従って、多種多様な施設または店舗がワークスペースを提供している場合でも、その中からユーザの利用用途に対応するワークスペースを高いマッチング精度で選択することが可能となる。この結果、ユーザにとっては、ワークスペースの選択に要する手間と時間が軽減され、これによりワークスペースの選択に対する利便性が高まる。一方、ワークスペースを提供する施設または店舗にとっては、1回の利用継続時間が長くなると共にリピート率が高まり、これによりワークスペースの利用率の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
すなわちこの発明の一態様によれば、ユーザとワークスペースとのマッチング精度を高めると共にワークスペースの利用率の向上を図った技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係るワークスペース管理装置として機能するワークスペース管理サーバを含むシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した
図1に示したワークスペース管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した
図1に示したワークスペース管理サーバのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したワークスペース管理サーバの制御部が実行するワークスペース管理処理の処理手順と処理内容の前半部分を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図3に示したワークスペース管理サーバの制御部が実行するワークスペース管理処理の処理手順と処理内容の後半部分を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図3に示したワークスペース管理サーバからユーザ端末に送信されるテンプレートデータの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図3に示したワークスペース管理サーバからユーザ端末に送信されるワークスペース推奨情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0017】
[一実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係るワークスペース管理装置として機能するワークスペース管理サーバSVを含むシステムの構成を示す図である。
【0018】
図1において、このシステムのサービスエリアには、複数のワークスペースWS1~WSmが設置されている。ワークスペースWS1~WSmは、例えば貸しビルやホテル、図書館等の各種施設、または飲食店やカラオケ店等の各種店舗により提供される。各ワークスペースWS1~WSmの提供者は、それぞれ例えばパーソナルコンピュータ等の情報端末(以後提供者端末と呼称する)MT1~MTmを使用することで、ネットワークNWを介してワークスペース管理サーバSVとの間でデータ通信が可能となっている。
【0019】
一方、上記ワークスペースWS1~WSmの利用を希望する複数のユーザは、それぞれ例えばスマートフォンやタブレット型端末、パーソナルコンピュータ等の携帯情報端末(以後ユーザ端末と呼称する)UT1~UTnを使用することで、上記ネットワークNWを介して上記ワークスペース管理サーバSVとの間でデータ通信が可能になっている。
【0020】
上記提供者端末MT1~MTmおよびユーザ端末UT1~UTnはいずれもブラウザを備える。そして、ブラウザを使用することで、上記ワークスペース管理サーバSVとの間で、それぞれワークスペースWS1~WSmの管理に必要なデータ、およびワークスペースWS1~WSmの利用に必要なデータを送受信する。
【0021】
ネットワークNWは、例えばインターネットを中核とする広域網と、この広域網にアクセスするためのアクセス網とを備える。アクセス網としては、例えば、有線または無線を使用する公衆通信ネットワーク、有線または無線を使用するLAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)ネットワークが使用される。
【0022】
(2)ワークスペース管理サーバSV
図2および
図3は、それぞれワークスペース管理サーバSVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
ワークスペース管理サーバSVは、例えばWeb上またはクラウド上に配置されるサーバコンピュータからなり、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを使用した制御部1を備える。そして、この制御部1に対し、バス5を介して、プログラム記憶部2およびデータ記憶部3を有する記憶ユニットと、通信I/F4を接続したものとなっている。
【0024】
通信I/F4は、制御部1の制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、上記提供者端末MT1~MTmおよびユーザ端末UT1~UTnとの間で、それぞれデータの送受信を行う。
【0025】
プログラム記憶部2は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0026】
データ記憶部3は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の一実施形態を実施するために必要な主たる記憶領域として、ワークスペース情報記憶部31と、ユーザ情報記憶部32と、利用履歴情報記憶部33と、利用候補情報記憶部34とを備えている。
【0027】
ワークスペース情報記憶部31は、ワークスペースWS1~WSmの識別情報(以後ワークスペースIDと称する)に対応付けて、当該ワークスペースの提供者端末MT1~MTmからそれぞれ送られる提供条件を表す情報と、当該提供条件を表す情報をもとに算出される、ワークスペースWS1~WSmの利用用途に係る特徴量を表す第1のスコアを記憶するために使用される。
【0028】
ユーザ情報記憶部32は、各ユーザまたは当該ユーザが使用するユーザ端末UT1~UTnの識別情報(以後ユーザIDと称する)に対応付けて、ユーザ端末UT1~UTnから送られる利用条件を表す情報と、当該利用条件を表す情報をもとに算出される、ユーザの利用用途に係る特徴量を表す第2のスコアを記憶するために使用される。
【0029】
利用履歴情報記憶部33は、各ユーザが利用したワークスペースWS1~WSmの利用履歴を表す情報を記憶するために使用される。利用履歴を表す情報は、例えば、ユーザが利用したワークスペースWS1~WSmのワークスペースIDと利用日時を表す情報を、ユーザIDに対応付けたものとして表される。
【0030】
利用候補情報記憶部34は、後述する制御部1によりユーザに対し選択されたワークスペースWS1~WSmの利用候補を表す情報を記憶するために使用される。利用候補を表す情報は、例えば、利用候補として選択されたワークスペースWS1~WSmのワークスペースIDと利用予定日時を表す情報を、利用要求元のユーザIDに対応付けたものとして表される。
【0031】
制御部1は、この発明の一実施形態に係る処理機能として、ワークスペース提供条件取得処理部11と、第1のスコア算出処理部12と、ユーザ利用条件取得処理部13と、第2のスコア算出処理部14と、利用履歴管理処理部15と、利用状況判定処理部16と、第1の選択処理部17と、第2の選択処理部18と、第3の選択処理部19と、推奨情報出力処理部20とを備えている。これらの処理部11~20は、何れもプログラム記憶部2に格納されたプログラムを制御部1のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0032】
ワークスペース提供条件取得処理部11は、ワークスペースWS1~WSmの提供者端末MT1~MTmから提供条件の登録要求が送られた場合に、要求元の提供者端末MT1~MTmに提供条件入力用のテンプレートデータを送信する。そして、このテンプレートデータに従い入力された提供条件を表す情報を提供者端末MT1~MTmから受信し、受信された提供条件を表す情報を要求元のワークスペースWS1~WSmのワークスペースIDと対応付けてワークスペース情報記憶部31に記憶させる処理を行う。
【0033】
第1のスコア算出処理部12は、上記ワークスペース提供条件取得処理部11により提供条件の登録処理が行われる毎に、上記ワークスペース情報記憶部31に記憶された上記提供条件を表す情報に基づいて、当該ワークスペースの利用用途に係る特徴量を表す第1のスコアを算出する。そして、算出された上記第1のスコアを、ワークスペースIDと対応付けて上記ワークスペース情報記憶部31に記憶させる処理を行う。第1のスコアの算出処理の一例については動作例において述べる。
【0034】
ユーザ利用条件取得処理部13は、ユーザ端末UT1~UTnから利用条件の登録要求が送られた場合に、要求元のユーザ端末UT1~UTnへ利用条件入力用のテンプレートデータを送信する。そして、このテンプレートデータに従い入力された利用条件を表す情報をユーザ端末UT1~UTnから受信し、受信された利用条件を表す情報を要求元のユーザIDと対応付けてユーザ情報記憶部32に記憶させる処理を行う。
【0035】
第2のスコア算出処理部14は、上記ユーザ利用条件取得処理部13により利用条件の登録処理が行われる毎に、上記ユーザ情報記憶部32に記憶された上記利用条件を表す情報に基づいて、当該ユーザの利用用途に係る特徴量を表す第2のスコアを算出する。そして、算出された上記第2のスコアを、ユーザIDと対応付けて上記ユーザ情報記憶部32に記憶させる処理を行う。第2のスコアの算出処理例についても動作例において述べる。
【0036】
利用履歴管理処理部15は、ユーザに提示したワークスペースWS1~WSmの利用候補に対し、ユーザ端末UT1~UTnから所望のワークスペースに対する利用予約の要求を受け付けた場合に、当該ワークスペースのワークスペースIDと利用日時を表す情報を、要求元のユーザのユーザIDと対応付けて利用履歴情報記憶部33に記憶させる処理を行う。
【0037】
利用状況判定処理部16は、ユーザ端末UT1~UTnからワークスペースWS1~WSmの利用要求が送られた場合に、要求元のユーザに係る過去の利用履歴情報を利用履歴情報記憶部33から読み出し、読み出された利用履歴情報に基づいて過去の利用状況を判定する処理を行う。利用状況の判定処理では、過去の利用回数または利用頻度がしきい値を超えるか否かと、直近の所定期間内、例えば本日中にワークスペースが利用されたか否かを判定する。
【0038】
第1の選択処理部17は、利用状況判定処理部16において過去の利用回数または利用頻度がしきい値を超えると判定された場合に、ユーザ情報記憶部32に記憶されている該当するユーザに係る第2のスコアを、ワークスペース情報記憶部31に記憶されている複数のワークスペースWS1~WSmに係る第1のスコアとそれぞれ比較する。そして、各スコアの差が所定範囲内となる類似度の高いワークスペースを利用候補として選択し、利用候補情報記憶部34に一旦保存する処理を行う。
【0039】
第2の選択処理部18は、上記利用状況判定処理部16において過去の利用回数または利用頻度がしきい値を超えると判定され、かつ直近の所定期間内の利用がないと判定された場合に、利用履歴情報記憶部33に記憶されている当該ユーザの利用履歴情報に基づいて、当該ユーザが過去に利用したワークスペースに係る第1のスコアとの差が所定範囲内で類似するワークスペースを次の利用候補として選択し、利用候補情報記憶部34に一旦保存する処理を行う。
【0040】
第3の選択処理部19は、上記利用状況判定処理部16において過去の利用回数または利用頻度がしきい値未満と判定され、かつ直近の所定期間内にワークスペースが利用されたと判定された場合に、当該ユーザに係る第2のスコアおよび当該ユーザが過去に利用したワークスペースに係る第1のスコアとの差が所定範囲を超える、つまり類似していないワークスペースを次の利用候補として選択し、利用候補情報記憶部34に一旦保存する処理を行う。
【0041】
推奨情報出力処理部20は、上記利用候補情報記憶部34に保存されたワークスペースの利用候補を表す情報をワークスペース情報記憶部31から読み出すと共に、ユーザの居住エリアを示す情報をユーザ情報記憶部32から読み出し、これらの情報を地図データ上に表示したワークスペース推奨情報を生成する。そして、生成された上記ワークスペース推奨情報を要求元のユーザ端末UT1~UTnへ送信する処理を行う。
【0042】
(動作例)
次に、以上のように構成されたワークスペース管理サーバSVの動作例を説明する。
図4および
図5は、ワークスペース管理サーバSVの制御部1によるワークスペース管理処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0043】
(1)ワークスペース情報の登録
(1-1)提供条件の登録
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、ワークスペース提供条件取得処理部11の制御の下、ステップS10においてワークスペースWS1~WSmの提供者端末MT1~MTmから送信される提供条件登録要求の受信を監視している。この状態で、例えば提供者端末MT1から送信される提供条件登録要求が受信されると、ワークスペース提供条件取得処理部11はステップS11において、ワークスペースWS1の提供条件を登録する処理を以下のように実行する。
【0044】
すなわち、ワークスペース提供条件取得処理部11は、先ずワークスペース情報記憶部31から提供条件入力用のテンプレートデータを読み出し、読み出された上記テンプレートデータを通信I/F4を介して要求元の提供者端末MT1へ送信する。
【0045】
テンプレートデータには、施設や店舗の名称、場所、連絡先および営業時間等の属性情報に加え、提供可能な設備情報の入力欄が予め用意されている。設備情報には、この例では、WiFi(登録商標)利用の可否、電源コンセント利用の可否、作業スペースの形態(オープン/個室)とその数、ワークスペースの種別(コワーキングスペース/カフェ)、フリードリンク利用の可否、フード注文の可否、混雑度合いが含まれるが、これに限るものではない。
【0046】
ワークスペース運用者が、提供者端末MT1において上記テンプレートデータに従い上記属性情報および設備情報を入力して送信操作を行うと、上記テンプレートデータに記載された各情報がワークスペース管理サーバSVに送信される。
【0047】
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、ワークスペース提供条件取得処理部112の制御の下、ステップS11において、上記各情報を通信I/F4を介して受信し、受信された各情報を要求元のワークスペースIDと対応付け、これを提供条件情報としてワークスペース情報記憶部31に記憶させる。他の各ワークスペースWS2~WSmの提供条件情報についても、同様に登録される。
【0048】
(1-2)第1のスコアの算出
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、ワークスペースWS1~WSmの提供条件情報が登録されると、続いて第1のスコア算出処理部12の制御の下、ステップS12において、上記ワークスペース情報記憶部31から上記提供条件情報を読み出す。そして、読み出された上記提供条件情報に基づいて、当該ワークスペースの利用用途に関する特徴量を表す第1のスコアを、例えば次のように算出する。
【0049】
すなわち、ユーザの利用用途は、集中すべき仕事(資料作成など)、軽い仕事(メールチェックなど)、気分転換(コーヒーを飲みながら読書など)など多種多様であるが、これらは「集中したいか」、「リラックスしたいか」という軸で評価することができる。そこで、この例では、ワークスペースWS1~WSmについて、集中作業に適したスペースを有するか、またはリラックスしたい場合に適したスペースを有するかという観点で、「集中スコア」および「リラックススコア」を定義し、これらのスコアを上記提供条件情報に含まれる設備情報をもとに算出する。
【0050】
先ず集中スコアSWxは、設備情報に含まれる複数のパラメータのうち、集中作業に影響を与える複数のパラメータの各々に対し0~1の範囲で予め設定されたスコアxを、集中に対する影響の度合いに応じて設定された係数wで重み付けして加算することで算出される。その計算式と、予め設定されるスコアxおよび係数wの一例を以下に示す。
【0051】
SWx=w1・x1 +w2・x2 +w3・x3 +w4・x4 +w5・x5
x1 :WiFi利用の可否(WiFiなしの場合0、良好なWiFiの場合1)
x2 :電源コンセント利用の可否(コンセントなしの場合0、全席にコンセントありの場合1)
x3 :作業スペースの形態(オープンスペースの場合0、個室の場合1、全席パーティション付きシートの場合0.5、これら席が混在する場合は、席の比率による重みつき平均)
x4 :ユーザーレビューの集計より求まるスコア
x5 :ワークスペースの種別(コワーキングスペースの場合1、カフェの場合0)
w1 :0.2
w2 :0.2
w3 :0.2
w4 :0.3
w5 :0.1
次にリラックススコアSWyは、設備情報に含まれる複数のパラメータのうち、リラックスする場合に影響を与える複数のパラメータの各々に対し0~1の範囲で予め設定されたスコアyを、リラックスに対する影響の度合いに応じて設定された係数wにより重み付けして加算することで算出される。その計算式と、予め設定されるスコアyおよび係数wの一例を以下に示す。
【0052】
SWy=w1・y1 +w2・y2 +w3・y3 +w4・y4 +w5・y5
y1 :フリードリンクの有無(ありの場合1、なしの場合0)
y2 :フード注文の可否(ありの場合1、なしの場合0)
y3 :混雑度合い
y4 :ユーザーレビューの集計より求まるスコア
y5 :ワークスペースの種別(コワーキングスペースの場合0、カフェの場合1)
w1 :0.2
w2 :0.1
w3 :0.2
w4 :0.4
w5 :0.1
なお、上記ユーザーレビュー集計より求まるスコアx4 ,y4 は、ワークスペースの運営者が登録するものではなく、ワークスペース管理サーバSVがユーザから寄せられるレビューをもとに算出して上記設備情報に追加する。また、上記各パラメータに対し設定されたスコアの値x,yは、あくまでも一例を示したものに過ぎず、任意に変更することが可能である。
【0053】
(2)ユーザの利用条件の登録
(2-1)利用条件の登録
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、ユーザ利用条件取得処理部13の制御の下、ステップS13においてユーザ端末UT1~UTnから送信される利用条件の登録要求の受信を監視している。この状態で、例えばユーザ端末UT1から送信される利用条件の登録要求が受信されると、ユーザ利用条件取得処理部13はステップS14において、ユーザの利用条件情報を登録する処理を以下のように実行する。
【0054】
すなわち、ユーザ利用条件取得処理部13は、先ずユーザ情報記憶部32から利用条件入力用のテンプレートデータを読み出し、読み出された上記テンプレートデータを通信I/F4を介して要求元のユーザ端末UT1へ送信する。
【0055】
テンプレートデータには、例えば
図6(a),(b),(c)に示すように、職業の入力欄A1と、利用用途の入力欄A2と、勤務地および居住区の入力欄A3が予め用意されている。このうち、利用用途の入力欄A2には、「1人で集中作業」、「映像会議する」、「休憩・食事」、「雑務」の4種類の選択肢が用意され、ユーザが自身の利用用途として予定している選択肢を指定できるようになっている。
【0056】
ユーザが、自身のユーザ端末UT1において、上記テンプレートデータに従い各入力欄A1,A2,A3に各情報を選択入力したのち、設定完了ボタンB3を押下すると、上記テンプレートデータにおいて入力された各情報がワークスペース管理サーバSVに送信される。なお、
図6(a),(b)のB1,B2は頁送りボタンである。
【0057】
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、ユーザ利用条件取得処理部13の制御の下、ステップS14において、上記各情報を通信I/F4を介して受信し、受信された各情報を要求元のユーザIDと対応付け、これを利用条件情報としてユーザ情報記憶部32に記憶させる。他の各ユーザの利用条件情報についても、同様に登録される。
【0058】
(2-2)第2のスコアの算出
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、上記ユーザの利用条件情報が登録されると、続いて第2のスコア算出処理部14の制御の下、ステップS15において、上記ユーザ情報記憶部32から上記利用条件情報を読み出す。そして、読み出された上記利用条件情報に基づいて、当該ユーザの利用用途に関する特徴量を表す第2のスコアを、例えば次のように算出する。
【0059】
すなわち、この場合も上記第1のスコアの算出処理と同様に、ユーザの利用用途に関する特徴量を表す第2のスコアとして、「集中スコア」および「リラックススコア」を定義し、これらのスコアを上記ユーザの利用条件情報に含まれる職業の種類と利用用途の種類を表す情報に基づいて算出する。
【0060】
先ず集中スコアSUxは、上記職業の種類と利用用途の種類をパラメータとし、この職業の種類および利用用途の種類の各パラメータに対し、それぞれ0~1の範囲で集中の度合いを表すスコアS1x,S2xを予め設定する。そして、上記各スコアS1x,S2xの平均値を
SUx=(S1x+S2x)/2
により求め、得られた値を上記ユーザの集中スコアSUxとする。
【0061】
次にリラックススコアSUyについても、上記職業の種類および利用用途の種類を示すパラメータに対し、それぞれ0~1の範囲でリラックスの度合いを表すスコアS1y,S2yを予め設定する。そして、上記各スコアS1y,S2yの平均値を
SUy=(S1y+S2y)/2
により求め、得られた値を上記ユーザの集中スコアSUyとする。
【0062】
以下に、上記職業の種類に対し設定される集中スコアS1xおよびリラックススコアS1yと、利用用途の種類に対し設定される集中スコアS2xおよびリラックススコアS2yの一例を示す。
【0063】
(1) 職業の種類
エンジニア:S1x,S1y=(0.8,0.2)
営業:S1x,S1y=(0.5,0.5)
(2) 利用用途の種類
1人で集中作業:S2x,S2y=(1,0)
映像会議:S2x,S2y=(0.8,0.2)
休憩・食事:S2x,S2y=(0,1)
雑務:S2x,S2y=(0.3,0.7)
なお、利用用途の種類として「営業活動・アポイントメント」が用意されている場合には、例えばS2x,S2y=(0.5,0.5)のように設定される。利用用途の種類が他にも用意されている場合には、これらの他の種類に応じてそれぞれその特徴に応じた集中スコアおよびリラックススコアが設定される。
【0064】
(3)ユーザからの利用要求に対するレコメンド
(3-1)過去の利用状況の判定
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、上記ワークスペースの提供条件情報の登録要求およびユーザの利用条件情報の登録要求の受信をそれぞれ監視しながら、ステップS16において、ユーザ端末UT1~UTnから送信される利用要求の受信を監視する。そして、この状態で例えばユーザ端末UT1から利用要求が受信されると、ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、先ず利用状況判定処理部16の制御の下、当該ユーザの過去の利用履歴を以下のように判定する。
【0065】
すなわち、利用状況判定処理部16は、先ずステップS17により利用履歴情報記憶部33から該当するユーザに係る過去の利用履歴情報を読み出す。そして、読み出された上記過去の利用履歴情報に基づいて、過去の利用回数がしきい値を超えているか否かと、上記過去の利用回数がしきい値を超えている場合に直近の所定期間内、例えば本日中にワークスペースが利用されたか否かをそれぞれ判定する。なお、上記過去の利用回数の代わりに、過去の単位時間当たりの利用回数を表す利用頻度を用いてもよい。
【0066】
(3-2)第1の選択処理
上記利用状況判定処理部16により、過去の利用回数がしきい値を超えていないと判定されたとする。この場合、ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、当該ユーザによるワークスペースの利用が初めてか、利用されていてもその回数が少ないと判断し、ステップS18からステップS19に移行する。そして、第1の選択処理部17の制御の下で以下のようにワークスペースの選択処理を行う。
【0067】
すなわち、第1の選択処理部17は、ユーザ情報記憶部32から該当するユーザに係る第2のスコアを、ワークスペース情報記憶部31に記憶されている複数のワークスペースWS1~WSmに係る第1のスコアとそれぞれ比較する。そして、各スコアの差が所定範囲内となる類似度の高いワークスペースを利用候補として選択する。
【0068】
なお、この場合、ユーザの第2のスコアとの差が所定範囲内に含まれるワークスペースが複数存在する場合には、これらをすべて利用候補として選択してもよいし、上記複数のワークスペースの中からスコア差が少ない順に一定数を利用候補として選択してもよく、さらにはスコア差が最も少ないワークスペースを一つだけ利用候補として選択するようにしてもよい。
【0069】
かくして、ワークスペースの利用が初めてか、または利用回数が少ないユーザに対しては、ユーザの利用用途の特徴に適合する設備を有するワークスペースが利用候補として選択される。
【0070】
(3-3)第2の選択処理
上記利用状況判定処理部16により、過去の利用回数がしきい値を超えると判定され、かつ直近の所定期間内、例えば本日においてはワークスペースを利用していないと判定されたとする。この場合、ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、当該ユーザは過去のワークスペースの利用回数は多いが、直近では利用していないと判断し、ステップS20からステップS21へ移行する。そして、第2の選択処理部18の制御の下、ステップS21においてワークスペースの利用候補を以下のように選択する。
【0071】
すなわち、第2の選択処理部18は、利用履歴情報記憶部33から当該ユーザに係る利用履歴情報を読み出す。そして、読み出された上記利用履歴情報に記録された過去に利用したワークスペースに係る第1のスコアとの差が所定範囲内で類似するワークスペースを次の利用候補として選択する。
【0072】
この場合、上記利用履歴情報に記録された過去に利用したワークスペースの一つまたは複数をそのまま選択してもよい。また、ワークスペース情報記憶部31に登録されているワークスペースのうち利用履歴に記録されていないワークスペースの中から、利用履歴に記録されているワークスペースとの間のスコア差が所定範囲内で類似するワークスペースを選択し、選択された当該ワークスペースを上記利用履歴のあるワークスペースに代えて、または加えて、上記利用候補としてもよい。その際の選択するワークスペースの数は任意に設定できる。
【0073】
かくして、過去のワークスペースの利用回数が多いが、直近では利用していないユーザに対しては、ユーザが利用し易いように過去に利用した履歴のあるワークスペースか、またはこれにスコアが近いワークスペースが利用候補として選択される。
【0074】
(3-4)第3の選択処理
上記利用状況判定処理部16により、過去の利用回数がしきい値を超えると判定され、かつ直近の所定期間内、例えば本日においてもワークスペースを利用していると判定されたとする。この場合、ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、当該ユーザは過去のワークスペースの利用回数が多く、かつ本日も利用していると判断し、ステップS20からステップS22へ移行する。そして、第3の選択処理部19の制御の下、ステップS22においてワークスペースの利用候補を以下のように選択する。
【0075】
すなわち、第3の選択処理部19は、ユーザ情報記憶部32から当該ユーザに係る第2のスコア情報を読み出すと共に、利用履歴情報記憶部33から当該ユーザに係る過去の利用履歴情報を読み出す。そして、当該ユーザに係る第2のスコアと、過去の利用履歴情報に記録されたワークスペースに係る第1のスコアのいずれともスコア差が所定範囲を超えている、つまり類似していないワークスペースを、ワークスペース情報記憶部31から検索し、検索されたワークスペースの中から利用候補を選択する。
【0076】
かくして、ワークスペースの利用頻度が高く、かつ本日も利用しているユーザに対しては、ユーザのこれまでの利用用途とは異なる利用用途に適したワークスペースが意図的に選択される。例えば、これまで集中して作業を行っていたユーザに対しては、気分転換を推奨するためリラックスに適したワークスペースが選択される。
【0077】
また、ユーザの利用用途の時系列上の変化が考慮されて、ワークスペースの新たな利用が促進されることになる。このため、ワークスペースを提供する施設や店舗にとっては、ワークスペースの利用率が高まる。
【0078】
上記第1、第2および第3の各選択処理部17,18,19は、選択された上記ワークスペースの利用候補に対応するワークスペースIDを、ステップS23において、利用要求元のユーザIDと対応付けて利用候補情報記憶部34に保存する。
【0079】
(4)ワークスペース推奨情報の出力
上記ワークスペースの利用候補の選択処理が終了するとワークスペース管理サーバSVの制御部1は、続いて推奨情報出力処理部20の制御の下、ステップS24において、選択された上記ワークスペースの利用候補をユーザに提示するためのワークスペース推奨情報を生成し、送信する処理を実行する。
【0080】
すなわち、推奨情報出力処理部20は、上記利用候補情報記憶部34からワークスペースの利用候補に対応するワークスペースIDおよびユーザIDを読み出す。そして、これらのIDをもとに、ワークスペース情報記憶部31およびユーザ情報記憶部32からそれぞれワークスペース属性情報およびユーザの居住区を表す情報を読み出す。
【0081】
続いて推奨情報出力処理部20は、上記ワークスペース属性情報に含まれる場所を示す位置情報と、ユーザの居住区を示す位置情報を、図示しない地図データベースから取得された地図データ上に表示したワークスペース推奨情報を生成する。なお、このとき地図データには、ワークスペースの名称、利用時間および連絡先を示す情報が併せて表示されてもよい。そして、生成された上記ワークスペース推奨情報を、通信I/F4から要求元のユーザ端末UT1に向け送信する。
【0082】
かくして、ユーザ端末UT1には、上記ワークスペース推奨情報が表示される。
図7は表示されるワークスペース推奨情報の一例を示すもので、この例では5件のワークスペースの利用候補WS1~WS5が、ユーザの居住区の位置を表す情報UT1と共に表示された場合を示している。
【0083】
なお、上記ワークスペース推奨情報を生成する際に、ユーザの居住区を表す情報の代わりに、ユーザ端末UT1から位置情報を取得してこの位置情報をもとにユーザの現在位置を上記地図データ上に表示するようにしてもよい。
【0084】
(5)利用予約の受付処理および利用履歴情報の更新
ワークスペース管理サーバSVの制御部1は、上記ワークスペース推奨情報の送信を終了すると、ステップS25によりユーザ端末UT1からの利用予約の登録要求の受信を監視する。そして、この状態でユーザが、表示されたワークスペースの複数の利用候補の中から希望するワークスペースを選択して予約操作を行うと、ユーザ端末UT1からワークスペース管理サーバSVへ利用予約の登録要求が送信される。
【0085】
これに対しワークスペース管理サーバSVの制御部1は、ステップS25により上記利用予約の登録要求を受信すると、ステップS26により当該登録要求に従いワークスペースの予約受付処理を実行する。予約受付処理では、予約内容を示す情報を利用対象となるワークスペースの提供者端末(例えばMT1)へ通知する処理が行われる。
【0086】
また、それと共にワークスペース管理サーバSVの制御部1は、利用履歴管理処理部15の制御の下、ステップS27において、上記利用予約の登録要求により指定された利用対象のワークスペースに対応するワークスペースIDと利用日時を表す情報を、利用するユーザのユーザIDと対応付けた状態で、利用履歴情報記憶部33に記憶させる。すなわち、利用履歴情報を更新する。
【0087】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態では、ワークスペース管理サーバSVにおいて、利用対象として登録される複数のワークスペースの提供条件情報をもとにそれぞれ利用用途の特徴を表す第1のスコアを算出すると共に、利用を希望するユーザの利用条件情報をもとに利用用途の特徴を表す第2のスコアを算出し、それぞれ記憶する。そして、ユーザ端末UT1~UTnから利用要求を受信した場合に、当該ユーザの利用履歴情報をもとに過去の利用状況を判定し、判定された過去の利用状況毎に、上記ユーザの第2のスコアとワークスペースの第1のスコアとを用いてユーザが希望する利用用途に適したワークスペースを選択し、ユーザに提示するようにしている。
【0088】
従って、多種多様な施設または店舗がワークスペースを提供している場合でも、その中からユーザの利用用途に適した設備等を持つワークスペースを高い精度で選択し提示することが可能となる。これにより、ユーザはワークスペースの選択に要する手間と時間を軽減して利便性の向上を図ることが可能となる。また、ワークスペースを提供する施設または店舗にとっては、1回の利用継続時間が長くなると共にリピート率が高まり、これによりワークスペースの利用率を高めることが可能となる。
【0089】
また一実施形態では、ユーザの過去の利用状況に応じて、第1、第2および第3の選択処理部17,18,19によりそれぞれ異なる選択処理を行っている。
先ず過去の利用回数がしきい値以下の場合には、第1の選択処理部17により、ユーザの第2のスコアが各ワークスペースの第1のスコアとそれぞれ比較されてその差が小さいワークスペースが利用候補として選択される。このため、ワークスペースの利用が初めてか、または利用回数が少ないユーザに対しても、ユーザの利用用途の特徴に適したワークスペースを利用候補として選択し提示することが可能となる。
【0090】
また、過去の利用回数がしきい値を超えると判定され、かつ直近の所定期間内、例えば本日中の利用がないと判定された場合には、第2の選択処理部18により、過去に利用されたワークスペースの第1のスコアとの差が所定範囲内で類似するワークスペースが次の利用候補として選択される。このため、過去のワークスペースの利用回数が多いが、直近ではワークスペースを利用していないユーザに対しては、ユーザが利用し易いように、過去に利用した履歴のあるワークスペースか、またはそれにスコアが近いワークスペースを利用候補として選択し提示することが可能となる。
【0091】
一方、過去の利用回数がしきい値を超えると判定され、かつ直近の所定期間内、例えば本日もワークスペースを利用していると判定された場合には、第3の選択処理部19により、ユーザの第2のスコアおよび過去に利用されたワークスペースの第1のスコアのいずれともスコア差が所定範囲を超える、つまり類似していないワークスペースが利用候補として選択され提示される。
【0092】
このため、ワークスペースの利用頻度が高く、かつ直近においても利用しているユーザに対しては、ユーザに対しこれまでの利用用途とは異なる利用用途に適したワークスペースを選択し提示することが可能となる。その結果、例えばこれまで集中して作業を行っていたユーザに対しては、気分転換を推奨するためリラックスに適したワークスペースを選択し提示すると云った、ユーザの直近の利用状況まで考慮したレコメンドを行うことができる。また、ワークスペースを提供する施設や店舗にとっては、ユーザの利用用途の時系列上の変化が考慮されて新たな利用が促進されることになり、これによりワークスペースの利用率をさらに高めることができる。
【0093】
さらに一実施形態では、ワークスペースの提供条件情報およびユーザの利用条件情報を取得する際にそれぞれテンプレートデータを提供し、このテンプレートデータに従い選択入力された情報を取得するようにしている。このため、ユーザおよび各ワークスペースの提供者から、必要十分でかつバラツキの少ない利用条件情報および提供条件情報を取得することが可能となり、これにより利用用途に関する第1および第2のスコアの算出精度を高く維持することが可能なる。
【0094】
[その他の実施形態]
前記一実施形態では、第1のスコアおよび第2のスコアをいずれもワークスペース管理サーバSVにおいて算出する場合を例にとって説明した。しかし、上記第1のスコアおよび第2のスコアをそれぞれユーザ端末UTおよび提供者端末MTにおいて算出し、ユーザ端末UTおよび提供者端末MTが算出されたそれぞれのスコアをワークスペース管理サーバSVへ送信するようにしてもよい。
【0095】
その他、ワークスペース管理装置の機能構成や処理手順および処理内容、提供条件情報および利用条件情報に含まれる情報の種類、第1および第2のスコアの算出方法、ワークスペースの利用候補の選択処理手順と処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、授受変形して実施可能である。
【0096】
以上、この発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。この発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、この発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0097】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0098】
SV…ワークスペース管理サーバ
UT1~UTn…ユーザ端末
NW…ネットワーク
1…制御部
2…プログラム記憶部
3…データ記憶部
4…通信I/F
5…バス
11…ワークスペース提供条件取得処理部
12…第1のスコア算出処理部
13…ユーザ利用条件取得処理部
14…第2のスコア算出処理部
15…利用履歴管理処理部
16…利用状況判定処理部
17…第1の選択処理部
18…第2の選択処理部
19…第3の選択処理部
20…推奨情報出力処理部
31…ワークスペース情報記憶部
32…ユーザ情報記憶部
33…利用履歴情報記憶部
34…利用候補情報記憶部