(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20250107BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F01N13/08 D
B60K13/04 C
(21)【出願番号】P 2021070667
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓一
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-054650(JP,A)
【文献】特開平07-071245(JP,A)
【文献】特開2002-234350(JP,A)
【文献】特開2006-283730(JP,A)
【文献】実開昭60-105819(JP,U)
【文献】実開昭60-195923(JP,U)
【文献】実開昭62-105321(JP,U)
【文献】実開平01-127922(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッド及びシリンダブロックを含むエンジン本体
の前記シリンダヘッドに過給機を介して接続された排気管を
、ブラケットを介して支持し、鉛直方向に沿った幅を有した帯状
であり、コ字状に形成され、前記シリンダブロックの底部よりも前記シリンダヘッドに近くに位置し、前記排気管に対して前記鉛直下方に重なる位置に設けられている支持部材であって、
前記排気管と交差するように延びた長手方向を有した延在部と、
前記延在部の前記長手方向での一端から前記排気管が延びた方向に沿って延び、前記エンジン本体の
前記シリンダブロックの側面に固定された第1被固定部と、
前記延在部の前記長手方向での他端から前記排気管が延びた方向に沿って延び、前記排気管に
前記ブラケットを介して固定された第2被固定部と、を備え、
前記幅は、前記長手方向での前記延在部の長さよりも短
く、
前記延在部には、当該延在部が延びた方向に沿ってリブ部が形成され、
前記リブ部は、コ字状の当該支持部材の内側に隆起し、当該支持部材の外側では溝状に窪んで形成され、前記第1被固定部及び前記第2被固定部にまでは延びておらず、
当該支持部材の上方縁及び下方縁は、それぞれ内側に湾曲されている、
支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一端がエンジン本体に固定され、他端が排気管に固定された支持部材が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耐振動性を向上させるために、支持部材の剛性を高くすることが考えられる。ここでエンジンの運転状態がアイドリングや低負荷走行中からトーイング等も含めた高負荷走行が繰り返されることにより、排気管の温度が大きく変動する。排気管はこのような温度変化に基づいて、主に排気管が延びている方向に熱伸縮する。しかしながら、支持部材は排気管ほど大きく温度変化はせずに、熱伸縮も小さい。従って、このような支持部材の剛性を高くすると、支持部材は排気管の熱伸縮を拘束しようとして、支持部材の一部に応力が集中して、耐久性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、耐振動性と耐久性が向上した支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含むエンジン本体の前記シリンダヘッドに過給機を介して接続された排気管を、ブラケットを介して支持し、鉛直方向に沿った幅を有した帯状であり、コ字状に形成され、前記シリンダブロックの底部よりも前記シリンダヘッドに近くに位置し、前記排気管に対して前記鉛直下方に重なる位置に設けられている支持部材であって、前記排気管と交差するように延びた長手方向を有した延在部と、前記延在部の前記長手方向での一端から前記排気管が延びた方向に沿って延び、前記エンジン本体の前記シリンダブロックの側面に固定された第1被固定部と、前記延在部の前記長手方向での他端から前記排気管が延びた方向に沿って延び、前記排気管に前記ブラケットを介して固定された第2被固定部と、を備え、前記幅は、前記長手方向での前記延在部の長さよりも短く、前記延在部には、当該延在部が延びた方向に沿ってリブ部が形成され、前記リブ部は、コ字状の当該支持部材の内側に隆起し、当該支持部材の外側では溝状に窪んで形成され、前記第1被固定部及び前記第2被固定部にまでは延びておらず、当該支持部材の上方縁及び下方縁は、それぞれ内側に湾曲されている、支持部材によって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐振動性と耐久性が向上した支持部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、エンジン本体に接続された排気管周辺の構造の説明図である。
【
図2】
図2は、エンジン本体に接続された排気管周辺の構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び
図2は、エンジン本体10に接続された排気管30周辺の構造の説明図である。
図1及び
図2には、互いに直交する+X方向、+Y方向、及び+Z方向を示している。+X方向及び+Y方向は、水平方向を示し、+Z方向は鉛直上方を示す。+X方向は、エンジン本体10の気筒の配列方向に相当する。エンジン本体10は、シリンダヘッド11及びシリンダフロック12を有している。過給機20は、シリンダヘッド11に接続されている。排気管30は、過給機20を介してシリンダヘッド11に接続されている。排気管30は、過給機20から-X方向に延びている。排気管30には、触媒コンバータ31と、触媒コンバータ31に隣接したブラケット32とが設けられている。
【0010】
ステー40は、排気管30を支持するための金属製の部材であり、
図1に示すようにコ字状に形成されている。ステー40は、第1被固定部41、延在部43、及び第2被固定部45を含む。第1被固定部41は、ステー40の一端に位置し、排気管30に対向し、エンジン本体10のシリンダフロック12の側面にボルトBにより固定されている。延在部43は、排気管30よりも下方側で排気管30と交差するように延びている。第2被固定部45は、ステー40の他端に位置し、第1被固定部41とは反対側で排気管30に対向し、ボルトBによりブラケット32に固定されている。ステー40は支持部材の一例である。ステー40についてさらに詳細に説明する。
【0011】
図3は、ステー40の拡大斜視図である。
図3にも
図1及び
図2と同様に、+X方向、+Y方向、及び+Z方向を示しており、
図3はエンジン本体10に取り付けられた状態でのステー40を示している。ステー40は、+Z方向に沿った幅を有した帯状に形成されている。ステー40の上方縁401及び下方縁402は、それぞれ内側に湾曲されている。第1被固定部41には、2つのボルトB用の孔41hが設けられている。第2被固定部45には、ボルトB用の孔45hが設けられている。
【0012】
延在部43は、上述したように排気管30と交差するように延びた長手方向を有している。延在部43の長手方向は、±Y方向に沿っている。換言すれば、延在部43は、
図2に示すように、第1被固定部41側からは、斜め下方、即ち、-Z方向と+Y方向との間の方向に沿って延びており、第2被固定部45側からは、斜め上方、即ち、+Z方向と-Y方向との間の方向に沿って延びている。延在部43には、延在部43が延びた方向に沿ってリブ部43rが形成されている。リブ部43rは、コ字状のステー40の内側に隆起し、ステー40の外側では溝状に窪んで形成されている。リブ部43rは、第1被固定部41や第2被固定部45にまでは延びていない。延在部43の幅43wは、第1被固定部41側から第2被固定部45側にかけて、徐々に狭くなっている。
【0013】
第1被固定部41は、延在部43の長手方向の一端から、第1湾曲部42を介して-X方向に沿って延びている。第2被固定部45は、延在部43の長手方向の他端から、第2湾曲部44を介して-X方向に沿って延びている。即ち、第1被固定部41及び第2被固定部45は、延在部43の一端及び他端から-X方向に沿って延びている。このため、ステー40は全体でコ字状に形成され、
図1に示すように、コ字状のステー40の開口部が排気管30の排気ガスの下流方向を向くように配置されている。尚、
図2に示すように、第2被固定部45は、その外側面が斜め上方、詳細には+Z方向と+Y方向の間の方向を向いている。第2被固定部45の外側面にブラケット32が固定されるがこれに限定されず、第2被固定部45の内側面にブラケット32が固定される構成であってもよい。
【0014】
図1に示したように、ステー40に対向した排気管30の部位では、排気管30は-X方向に延びている。このため、ステー40近傍で排気管30は主に±X方向に沿って熱伸縮し、これに伴ってブラケット32も±X方向に位置がずれる。ここで上述したように第1被固定部41及び第2被固定部45は、延在部43の一端及び他端から-X方向に沿って延びている。このため第2被固定部45が第1被固定部41に対して相対的に±X方向に位置がずれるように、ステー40は撓むことが許容される。詳細には、第1被固定部41と延在部43との間の角度が拡大し、且つ延在部43と第2被固定部45の間の角度が減少して、第2被固定部45は第1被固定部41に対して+X方向に位置がずれる。また、第1被固定部41と延在部43との間の角度が減少し、且つ延在部43と第2被固定部45の間の角度が拡大して、第2被固定部45が第1被固定部41に対して-X方向に位置がすれる。このようにステー40が撓むことにより、排気管30の熱伸縮によるブラケット32の±X方向での位置ずれを吸収することができる。これによりステー40の一部に応力が集中することを回避でき、ステー40の耐久性が向上する。また、これに併せて、ステー40に固定されたブラケット32の耐久性も向上する。
【0015】
また、延在部43の長手方向の長さ43lは、
図1に示したように排気管30と交差する程度の長さに設定されている。例えば、延在部43の長さが短いと、第2被固定部45が第1被固定部41に対して±X方向の位置ずれが可能な量が小さくなり、上述したように、排気管30の熱伸縮によるブラケット32の±X方向での位置ずれを吸収することが困難となる。本実施例では延在部43の長手方向の長さが確保されているため、このようなステー40が撓むことが確保されている。
【0016】
延在部43の幅43wは、延在部43の長手方向の長さ43lよりも短く形成されている。このため延在部43では、±Z方向での剛性の方が、長手方向での剛性よりも高い。従って、±Z方向の振動であるエンジン本体10の駆動振動や、エンジン本体10が搭載された車両の悪路走行時での振動に対しても耐性が確保されている。即ち、ステー40の耐震性が向上している。
【0017】
また、延在部43には上述したようにリブ部43rが形成されている。これにより、延在部43を通過する+Z方向に平行な軸線を中心として湾曲することが抑制されている。また、上方縁401及び下方縁402は内側に湾曲しているため、ステー40全体の剛性も確保されている。
【0018】
また、ステー40はコ字状であるため、例えば排気管30が第1被固定部41と第2被固定部45との間の空間を通過するように延びていてもよい。即ち、狭いスペースにおいてもステー40の配置が容易である。
【0019】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0020】
10 エンジン本体
30 排気管
40 ステー
41 第1被固定部
43 延在部
45 第2被固定部