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特許7613277情報処理装置、情報処理方法、及び、情報システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、情報システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20250107BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250107BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250107BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20250107BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250107BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20250107BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250107BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20250107BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250107BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20250107BHJP
【FI】
H02J7/02 B
H02J7/02 F
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/62
B60L58/12
B60L15/20 J
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
G16Y10/40
G16Y20/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021094563
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186380
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊洋
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-210130(JP,A)
【文献】特開2018-065432(JP,A)
【文献】特開2019-126942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0047862(US,A1)
【文献】特開2012-090480(JP,A)
【文献】特開2011-121396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H01M 10/42-10/48
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置に搭載される第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量を含む、前記第1のプログラムの更新に関する情報を取得することと、
前記第1のプログラムの更新に関する情報に基づいて、前記所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、
第1の時間の範囲内で少なくとも前記第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、
前記選択された充電方法による前記電池の少なくとも前記第1の充電量の充電計画と、少なくとも前記第1のプログラムの更新計画と、を含む第1の計画を作成することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の時間を前記所定の装置のスケジュール情報または前記所定の装置の利用者のスケジュール情報に基づいて取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、現在の前記電池の残量と、前記所定の装置の所定時間の稼働で消費する予定の前記電池の第1の消費電力量と、から前記第1の充電量を取得する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1のプログラムの更新が存在する場合に、将来において前記所定の装置が消費する電力量の予測に基づいて、普通充電および急速充電のいずれを実施するかを選択し、当該選択した充電方法によって充電中に前記第1のプログラムの更新を行う前記第1の計画を生成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、現在の前記電池の残量と、前記所定の装置の所定時間の稼働で消費する予定の前記電池の第1の消費電力量と、少なくとも前記第1のプログラムの更新で消費する予定の前記電池の第2の消費電力量と、から前記第1の充電量を取得する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の計画は、前記第1のプログラムの更新用データのダウンロードをさらに含み、
前記制御部は、
前記第1の消費電力量及び第2の消費電力量に加えて、さらに、前記第1のプログラムの更新用データのダウンロードで消費する予定の前記電池の第3の消費電力量を基に前記第1の充電量を取得する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の時間は、前記所定の装置の次の利用開始までの時間であり、
前記制御部は、
前記第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量に基づいて、前記第1のプログラムの更新に要する第2の時間を取得することをさらに実行し、
前記所定の装置の次の利用開始までの時間が少なくとも前記第2の時間以上となるように、前記第1の計画を作成する、
請求項から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量に基づいて、前記第1のプログラムの更新用データのダウンロードに要する第3の時間を取得することをさらに実行し、
前記所定の装置の利用開始までの時間が少なくとも前記第2の時間と前記第3の時間との合計以上となるように、前記第1の計画を作成する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記所定の装置は、自動走行可能な車両であり、
前記情報処理装置は、前記車両と通信するサーバであり、
前記制御部は、前記第1の計画を前記車両へ送信する、
請求項から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記所定の装置は、自動走行可能な車両であり、
前記情報処理装置は、前記車両に搭載されたコンピュータである、
請求項から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記所定の装置は、可搬型の端末であり、
前記情報処理装置は、前記端末と通信するサーバであり、
前記制御部は、前記第1の計画を前記端末へ送信する、
請求項から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが、
所定の装置に搭載される第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量を含む、前記第1のプログラムの更新に関する情報を取得することと、
前記第1のプログラムの更新に関する情報に基づいて、前記所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、
第1の時間の範囲内で少なくとも前記第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、
前記選択された充電方法による前記電池の少なくとも前記第1の充電量の充電計画と、少なくとも前記第1のプログラムの更新計画と、を含む第1の計画を作成することと、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータは、前記第1の時間を前記所定の装置のスケジュール情報または前記所定の装置の利用者のスケジュール情報に基づいて取得する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータは、現在の前記電池の残量と、前記所定の装置の所定時間の稼働で消費する予定の前記電池の第1の消費電力量と、から前記第1の充電量を取得する、
請求項12または13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータは、
前記第1のプログラムの更新が存在する場合に、将来において前記所定の装置が消費する電力量の予測に基づいて、普通充電および急速充電のいずれを実施するかを選択し、当該選択した充電方法によって充電中に前記第1のプログラムの更新を行う前記第1の計画を生成する、
請求項12から14のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータは、現在の前記電池の残量と、前記所定の装置の所定時間の稼働で消費する予定の前記電池の第1の消費電力量と、少なくとも前記第1のプログラムの更新で消費する予定の前記電池の第2の消費電力量と、から前記第1の充電量を取得する、
請求項12から15のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記第1の計画は、前記第1のプログラムの更新用データのダウンロードをさらに含み、
前記コンピュータは、
前記第1の消費電力量及び第2の消費電力量に加えて、さらに、前記第1のプログラムの更新用データのダウンロードで消費する予定の前記電池の第3の消費電力量を基に前記第1の充電量を取得する、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記第1の時間は、前記所定の装置の次の利用開始までの時間であり、
前記コンピュータは、
前記第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量に基づいて、前記第1のプログラムの更新に要する第2の時間を取得することをさらに実行し、
前記所定の装置の次の利用開始までの時間が少なくとも前記第2の時間以上となるように、前記第1の計画を作成する、
請求項12から17のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記コンピュータは、
前記第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量に基づいて、前記第1のプログラムのダウンロードに要する第3の時間を取得することをさらに実行し、
前記所定の装置の利用開始までの時間が少なくとも前記第2の時間と前記第3の時間との合計以上となるように、前記第1の計画を作成する、
請求項18に記載の情報処理方法。
【請求項20】
所定の装置に搭載される第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量を含む、前記第1のプログラムの更新に関する情報を取得することと、
前記第1のプログラムの更新に関する情報に基づいて、前記所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、
第1の時間の範囲内で少なくとも前記第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、
前記選択された充電方法による前記電池の少なくとも前記第1の充電量の充電計画と、少なくとも前記第1のプログラムの更新計画と、を含む第1の計画を作成することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置と、
前記所定の装置と、
を有する情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、情報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、電気自動車等の移動体または携帯型の情報機器等、電池で稼働する様々な装置が利用されている。例えば、下記特許文献1では、複数の車両の各々の走行計画、及び、車両の電池使用量に影響を与える外的要因に基づいて、バッテリーを充電することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-120327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施の形態の課題は、電池によって稼働する装置の状況に応じた適切な充電方法を選択できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の実施形態は、情報処理装置によって例示される。本情報処理装置は、所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、第1の時間の範囲内で少なくとも前記第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、を実行する制御部、を備える。
また、本実施形態の他の側面は、このコンピュータが実行する情報処理方法によって例示される。本情報処理方法では、コンピュータが所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、第1の時間の範囲内で少なくとも前記第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、を実行する。
本実施形態のさらに他の側面は、情報システムによっても例示される。本情報システムは、所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、第1の時間の範囲内で少なくとも前記第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、を実行する制御部を備える情報処理装置と、前記所定の装置と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本情報処理装置によれば、電池によって稼働する装置の状況に応じた適切な充電方法を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の情報システムを例示する図である。
図2図2は、車両センタから管制センタに送信されるリリースNOTEの例である。
図3図3は、管制センタが各移動体に配信する運行スケジュールのデータ例である。
図4図4は、管制センタが保持する各移動体の状態情報を例示する図である。
図5図5は、情報システム内に設けられる充電設備とバッテリの充放電特性を例示する図である。
図6図6は、管制センタのコンピュータによる移動体の運行スケジュールの設定処理を例示する図である。
図7図7は、コンピュータプログラムの更新ありの次回運行スケジュールの立案処理の詳細を例示するフローチャートである。
図8図8は、コンピュータプログラムの更新なしの次回運行スケジュールの立案処理の詳細を例示するフローチャートである。
図9図9は、第2実施形態における更新ありの次回運行スケジュールの立案処理の詳細を例示するフローチャートである。
図10図10は、次回運行予定時刻の調整処理の詳細を例示する図である。
図11図11は、次回運行予定時刻の調整処理の詳細の変形を例示する図である。
図12図12は、第3実施形態の情報システムの構成を例示する図である。
図13図13は、コンピュータによる可搬型電子装置で実行されるコンピュータプログラムの更新の計画立案処理を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本実施形態の情報処理装置、情報処理方法、及び、情報システムを説明する。本情報処理装置は、所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することと、第1の時間の範囲内で少なくとも第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することと、を実行する制御部、を備える。
【0009】
ここで所定の装置は、電池で稼働する装置または機器等であれば、限定はない。電池は充電可能な二次電池、または、蓄電池と呼ばれるものである。電池はバッテリとも呼ばれる。上記電池に要求される第1の充電量は、第1の時間経過後に上記所定の装置が利用者に機能を提供するために必要な充電量をいう。例えば、第1の時間の範囲内での第1の充電量の充電よって、所定の装置の使用計画または利用者の行動予定等に影響を及ぼさない程度に機能を提供するための電力量が充電されることが望ましい。
【0010】
<第1実施形態>(システム構成)
図1は、第1実施形態の情報システム100を例示する図である。情報システム100は、移動体2と、車両センタ3のコンピュータと、管制センタ4のコンピュータとを有する。以下、車両センタ3のコンピュータ、及び、管制センタ4のコンピュータを単に車両センタ3、及び、管制センタ4とも呼ぶ。移動体2と、車両センタ3と、管制センタ4とはネットワークNで接続される。
【0011】
ネットワークNは、有線ネットワーク、及び、無線ネットワークを含む。有線ネットワークは、例えば、コアネットワーク、バックボーン等とも呼ばれ、光ファイバ網等で例示されるブロードバンドネットワークである。無線ネットワークは、例えば、Long Term Evolution(LTE)、第5世代移動通信システム(5G)、第6世代移動通信システム(
6G)等で例示される携帯電話網を含む。
【0012】
移動体2は、例えば、車両である。車両は4輪でも、3輪でも、2輪でもよい。車両はエンジンで駆動されるものでもよいし、モータで駆動されるものでもよい。車両は自律走行可能または自動走行可能な自動運転システムを搭載した車両でもよい。
【0013】
図1のように、移動体2は、Data Communication Module(DCM)21と、Central Electrical Control Unit(Central ECU)22と、User Interface (UIF)装置23と、予防安全装置24と、Advanced Drive System(ADS)25と、音・映像・NA
VI装置26とを有する。
【0014】
DCM21は、ネットワークNにアクセスし、他の移動体、車両センタ3、または、管
制センタ4等と通信する。DCM21は、携帯通信網を介した無線通信が可能である。
【0015】
Central ECU22は、移動体2内の各機器を管理する。Central ECU22は、例えば、プロセッサとメモリを有する。プロセッサはメモリ上のコンピュータプログラムを実行し、Central ECU22としての処理を実行する。Central ECU22は、例えば、移動体2内の各機器に搭載されたECUで実行されるコンピュータプログラムを更新し、更新の進捗を管理する。また、Central ECU22は、コンピュータプログラムを更
新したときのエラーを検出し、エラー発生時の処理を実行する。Central ECU22と
DCM21の組み合わせは車両に搭載されたコンピュータの一例である。
【0016】
UIF装置23は、例えば、移動体2内の各機器に搭載されたECUで実行されるコンピュータプログラムを更新するときに、ユーザインターフェースを提供する。ユーザインターフェースは、リプログラミングHuman Machine Interface(リプロHMI)とも呼ばれ
る。UIF装置23も、Central ECU22と同様のECUを有する。Central ECU22、UIF装置23内のECU等は、共通ECU群と呼ぶことができる。
【0017】
予防安全装置24は、ECUを内蔵し、コンピュータプログラムの処理により衝突回避支援処理を実行する。予防安全装置24は、レーダ、及び、カメラ等のセンサからの信号を基に、例えば、衝突の回避のサポート、車線逸脱の報知、オートマチックハイビーム、レーダークルーズコントロール等を実行する。
【0018】
ADS25には、Spatial Information Service(SIS)27、及び、Advanced Drive Extension(ADX)28等が接続される。ADS25、SIS27、及び、ADX2
8は、それぞれECUを内蔵し、コンピュータプログラムの処理により高度で先進的な運転支援処理を実行する。ADS25は、例えば、Light Detection and Ranging(LiD
AR)からの検出信号により移動体2の周辺の車両または立体物等を検知し、移動体2自身の位置を推定し、運動制御を実行する。
【0019】
SIS27は、移動体2自身の姿勢、及び、地図上の位置等をADS25に提供する。すなわち、SIS27は、global navigation satellite system(GNSS)またはglobal positioning system(GPS)からの位置情報、ジャイロセンサからの6軸の加速度
信号、ナビゲーションシステムからの経路情報または地図情報等を取得する。SIS27は、取得した情報を基に移動体2自身の姿勢、及び、地図上の位置等を計算する。ADX28は、Artificial Intelligence(AI)システムを適用し、上記の様々なセンサ等から
の情報を認識し、処理し、処理結果をADS25に通知する。
【0020】
音・映像・NAVI装置26には、Rear Seat Entertainment(RSE)2Bが接続さ
れる。音・映像・NAVI装置26、及び、RSE2BはそれぞれECUを内蔵し、コンピュータプログラムの処理により、移動体2の利用者に音、映像、及び、地図情報等による様々な機能を提供する。
【0021】
図1のように、音・映像・NAVI装置26には、さらに、例えば、信号増幅用のAMP29、および操作部2Aが接続可能である。操作部2Aは、例えば、タッチディスプレイであり、利用者に情報を表示し、利用者からの操作を受け付ける。RSE2Bは、移動体2が後部座席を有する車両の場合に、車室内の後席で、独立してテレビジョン放送、及び、Digital Versatile Disc(DVD)映像などを後席に着座する利用者に提供する。
【0022】
以上の予防安全装置24、ADS25、及び、音・映像・NAVI装置26のECUと、これらに接続される各装置のECUは、個別ECU群と呼ぶことができる。Central ECU22は、個別ECU群に搭載されるコンピュータプログラムの更新の進捗と更新時の
エラーを管理する。
【0023】
車両センタ3は、移動体2を販売し、または、移動体2を保守する会社等の組織またはその会社等から委託を受けた会社等により運用される。車両センタ3は、これらの会社等が販売し、または、保守するすべての移動体に搭載されるECU等の部品を管理する。また、車両センタ3は、これらのECUそれぞれで実行されるコンピュータプログラムの種類とバージョンを管理する。車両センタ3は移動体2等にコンピュータプログラムを更新するための更新用データを配信する。更新用データは単に更新プログラムということもできる。
【0024】
管制センタ4は、それぞれの移動体2の運行、及び、保守等を管理する。管制センタ4は、例えば、フリートマネジメントサービス(FMS)を提供するFMS会社のコンピュータである。管制センタ4は、例えば、定期的に運行される移動体2の運行開始時刻、運行、運行終了時刻、及び、保守時間帯等の運行スケジュールを作成する。管制センタ4は、運行スケジュールを適時更新し、移動体2に配布し、移動体2の運行を管理する。また、管制センタ4は、非定期で利用されるサービス、例えば、ライドシェアサービスにおける移動体2の走行開始日時、走行終了日時、及び、保守日時を含むシェアリングでの利用スケジュールを管理する。また、管制センタ4は、レンタルで利用される移動体2の貸し出しスケジュールを管理する。以下、移動体2の運行、利用、及び、貸し出し等に関するスケジュールを総称して単に運行スケジュールと呼ぶ。さらに、移動体2が電動車の場合には、管制センタ4は、移動体2の充電の予定を運行スケジュールに組み込み、管理する。
【0025】
上記の通り、移動体2は、ECUを内蔵する様々な部品を搭載する。各部品内のECUで実行されるコンピュータプログラムは、改良または不具合対策に伴う更新を受ける。ところで、移動体2は安全性が要求される。そのため、移動体2に搭載されたECU用のコンピュータプログラムの更新は、移動体2が走行を停止した保守期間中に実行される。
【0026】
車両センタ3は、各ECUのコンピュータプログラムについての最新の更新内容と更新スケジュールをリリースNOTEの形式で、管制センタ4に通知する。管制センタ4は、リリースNOTEを受信すると、それぞれの移動体2の運行スケジュールに、各ECUのコンピュータプログラムの更新スケジュールを組み込む。すなわち、管制センタ4は、各移動体2が走行していない保守期間中に各ECUのコンピュータプログラムの更新が完了するように移動体2の運行スケジュールを計画する。管制センタ4は、確定した運行スケジュールを移動体2に通知し(図1の計画配信)、それぞれのECUのコンピュータプログラムの更新を実行させる。
【0027】
移動体2のDCM21は、ネットワークNを介して、車両センタ3、及び、管制センタ4と通信する。DCM21は、管制センタ4からコンピュータプログラムの更新計画を含む運行スケジュールを受信する(図1の計画配信)。Central ECU22は、DCM21と例えば、Ethernet(登録商標)によって例示される移動体内のネットワークで接続される。
【0028】
DCM21は、受信した運行スケジュールにしたがって、車両センタ3にアクセスし、コンピュータプログラムを更新するための更新用データを取得し、Central ECU22に転送する。Central ECU22は、移動体2が停止中の保守期間中に共通ECU群、及び、個別ECU群を含む各ECUのコンピュータプログラムを更新する。DCM21は、Central ECU22による各ECUの更新が完了すると、完了報告を管制センタ4に通知する。
【0029】
UIF装置23は、例えば、Controller Area Network(CAN(登録商標))で例示される移動体内のネットワークによってCentral ECU22と接続される。UIF装置23は、リプロHMIを介して、利用者の操作による確認の入力を受け付けてもよい。すなわち、Central ECU22は、UIF装置23でユーザにコンピュータプログラムの更新開始の確認を求め、確認が得られた後に、更新を開始してもよい。なお、UIF装置23自身も、Central ECU22から更新用データを取得し、UIF装置23のコンピュータプログラムを更新する。
【0030】
予防安全装置24は、例えば、Controller Area Network with Flexible Data rate (
CAN-FD(CANは登録商標))で例示される移動体2内のネットワークによってCentral ECU22と接続される。予防安全装置24は、Central ECU22からコンピュ
ータプログラムの更新用データを受け、更新を実行する。そして、予防安全装置24は、更新に伴うステータスをCentral ECU22に報告する。
【0031】
ADS25と音・映像・NAVI装置26は、例えば、Ethernet(登録商標)で例示される移動体内のネットワークでCentral ECU22と接続される。ADS25と音・映像・NAVI装置26は、それぞれ、Central ECU22からコンピュータプログラムの更新用データを受ける。そして、ADS25と音・映像・NAVI装置26は、それぞれ、自身、及び、配下のECUのコンピュータプログラムの更新を実行する。ADS25と音・映像・NAVI装置26は、更新に伴うステータスをCentral ECU22に報告する。
【0032】
(データ例)
図2は、車両センタ3から管制センタ4に送信されるリリースNOTEの例である。図2の例では、リリースNOTEは、”キーワード:値”の形式で、キーワードに対する値が指定されている。また、図2の例では、”キーワード:値”の組が中括弧”{}”で閉じて、階層的に記述されている。
【0033】
すなわち、図2から、移動体2の種別(vehicle type)がE-palette G0であり、リリースされるシステムバージョン(System version)がV07-01であり、リリース日がddmmmyyyyであるコンピュータプログラムのリリースNOTEであることが分かる。ここで、シス
テムバージョンは、移動体2にインストールされるコンピュータプログラム群全体に付与されるバージョンである。また、このリリースNOTEには、ECUの種別(ECU type)ごとに、プログラムの種類、バージョン、更新用データのデータサイズ(データ量、Volume)等が記述さている。例えば、Central ECUのプログラムであるPC1のバージョンはV07-01-1であり、データサイズがV1 MBであることが分かる。
【0034】
なお、リリースNOTEが図2の形式に限定される訳ではない。例えば、リリースNOTEは、HyperText Markup Language(HTML)、または、Extensible Markup Language(XML)等の規定のフォーマットで記述されてもよい。また、リリースNOTEは、
複数の要素を含むレコードを配列した表形式で記述されてもよい。
【0035】
図3は、管制センタ4が各移動体に配信する運行スケジュール(図1の「計画配信」で配信されるもの)のデータ例である。運行スケジュールは、移動体2ごとに作成される。このため、図3の運行スケジュールは移動体2を識別するための移動体IDを含む。また、図3の例では、運行スケジュールは、日ごとに作成されるので、年月日を含む。さらに、図3の例では、運行スケジュールは、時間帯ごとの移動体2の運行、及び、保守等の予定が規定される。
【0036】
例えば、年月日DDMMMYYYYにおいて、0:00から9:00までの間は、移動体2の保守が実施される。保守は、移動体ID:E-PALETTE EV1のバッテリの充電と、コ
ンピュータプログラムの更新を含む。移動体ID:E-PALETTE EV1は、9:00から11
:00まで運行する。移動体ID:E-PALETTE EV1は、11:00から13:00までの
間、運行を停止し、保守状態となり、バッテリが充電される。移動体ID:E-PALETTE EV1は、13:00から23:00まで運行し、23時以降運行を停止し、保守状態となる
。なお、図3の例では、13:00から22:00までの間の保守の予定と運行の予定の詳細は省略されている。
【0037】
なお、図3は運行スケジュールの一例であり、管制センタ4が作成する運行スケジュールが図3に限定される訳ではない。例えば、図3では、時間帯が1時間ごとの細かさで定義されている。しかし、時間帯が分単位の細かさで定義されてもよい。また、運行スケジュールは1日ごとに作成されなくもよく、例えば、1週間単位で作成されてもよい。また、運行スケジュールは1ヶ月ごとに作成されてもよい。また、運行スケジュールは、平日(月~金)、土曜日、及び、休祝日ごとに作成されてもよい。
【0038】
図4は、管制センタ4が保持する各移動体2の状態情報を例示する図である。状態情報は、移動体2の現在のコンピュータプログラムの更新状態、及び、バッテリ状態等を記録する。状態情報は、管制センタ4の所定のデータベースに保存される。図4の例では、状態情報は、移動体IDと、最終更新日と、移動体2にインストールされたコンピュータプログラム群全体のシステムバージョンと、前回の運行完了日時と、バッテリ状態を有する。
【0039】
ここで、図3と同様、移動体IDは、移動体2をユニークに識別する識別情報である。最終更新日は、移動体2(図4では、移動体IDがE-PALETTE EV1のもの)が、最終的に
各部のECUのコンピュータプログラム群を更新した更新日である。コンピュータプログラム群のシステムバージョンは、図2での説明と同様、移動体2における更新後のコンピュータプログラム群全体のバージョンである。
【0040】
しかし、状態情報は、このような構成に限定される訳ではない。例えば、状態情報は、各部のECUごとに個別に、それぞれのプログラムの現在のバージョン(図2の各プログラムのバージョンVersion:V07-01-1等)を保持してもよい。管制センタ4は、移動体2から更新完了の報告を受信したときに、最終更新日時と、更新後のコンピュータプログラム群全体のシステムバージョンを状態情報に記録する。
【0041】
前回の運行完了日時は、移動体2(図4では、移動体IDがE-PALETTE EV1のもの)が
、前回の運行を完了し、管制センタに報告した日時である。バッテリ状態は、現在のバッテリの充電状態(State Of Charge(SOC))である。管制センタ4は、移動体2から
運行完了報告とともにバッテリの充電状態を取得し、状態情報の「バッテリ状態」に記録する。バッテリの充電状態(SOC)は、例えば、満充電時の電力量に対する残量の比率のパーセンテージ表示で示される。
【0042】
図5は、管制センタ4が保持する、バッテリの充放電特性を例示する図である。ただし、バッテリの充電特性は、情報システム100内に設けられる充電設備にも依存する。本実施形態では、移動体2に搭載されるバッテリは、図5の充放電特性を有するものとする。充放電特性は、実験的、または、経験的に蓄積できる。図5では、バッテリの充放電特性として、普通充電と急速充電とのそれぞれの充電速度、ダウンロード消費電力率、更新消費電力率、及び、運行消費電力率が含まれる。
【0043】
情報システム100内に設けられる充電設備には、普通充電可能な設備と、急速充電を可能な設備とがある。急速充電とは、普通充電よりも充電の速度が速い充電方法のことを示す。図5では、充電速度は、1時間当たりの充電量であり、充電量がSOCで示されて
いる(%/時間)。まず、普通充電を行う場合、移動体2に搭載したバッテリは、5%/時間の速度で電荷の充電が可能である。ここでは、5%/時間は、例えば、1時間当たり3~6kWhである。バッテリに電荷がない状態から5%/時間の充電速度でバッテリが充電されると、満充電までに20時間を要することを意味する。
【0044】
また、急速充電を行う場合、図5に例示するバッテリでは、50%/時間の速度で電荷の充電が可能である。ここでは、50%/時間の速度で充電される電力は、例えば、1時間当たり50kWh以上である。すなわち、図5に例示するバッテリでは、急速充電では、電荷がない状態から2時間でバッテリを満充電の状態にすることが可能である。
【0045】
また、ダウンロード消費電力率は、移動体2のDCM21がコンピュータプログラムの更新用データのダウンロードを実行する場合の、所定の単位のデータ量当たりの消費電力量をSOCで示したものである。図5に例示するバッテリのダウンロード消費電力率は、10%/10MBである。すなわち、10MBのデータをダウンロードするごとに、バッテリのSOCが10%低下する。
【0046】
また、更新消費電力率は、移動体2のDCM21、及び、Central ECU22以下のECU群がコンピュータプログラムの更新を実行する場合の、更新用データの所定の単位のデータ量当たりの消費電力量をSOCで示したものである。図5に例示するバッテリの更新消費電力率は、10%/10MBである。すなわち、10MBの更新用データで更新を実行するごとに、バッテリのSOCが10%低下する。
【0047】
また、運行消費電力率は、移動体2の運行時の、1時間当たりの消費電力量をSOCで示したものである。図5に例示されるバッテリの運行消費電力率は、50%/時間である。つまり、1時間の走行で、バッテリのSOCが50%低下する。すなわち、図5の例では、移動体2は、2時間の運行で満充電のバッテリの電力量を消費する。なお、図5のデータは一例であり、移動体2のバッテリ、及び、バッテリを充電する充電設備が図5の例に限定される訳ではない。以下の処理では、これらの充放電特性を用いて、バッテリの要求充電量、及び、充電時間等が計算される。
【0048】
また、管制センタ4は、図5に示されるバッテリの充放電特性の情報を、車両の種類、又は、バッテリの種類に応じて、保持していてもよい。また、バッテリの充放電特性の情報は、管制センタ4に保持されることに限定されず、例えば、各移動体2のCentral ECU22が移動体2に搭載されているバッテリについて、保持してもよい。この場合には、管制センタ4は、各移動体2に問い合わせることによって、移動体2に搭載されているバッテリの充放電特性の情報を取得するようにしてもよい。
【0049】
(処理フロー)
図6は、管制センタ4のコンピュータによる移動体2の運行スケジュールの設定処理を例示する。上述のように、管制センタ4のコンピュータを単に管制センタ4として、以下、図6の処理が説明される。以下の図7から図13等においても同様である。図6の処理は、例えば、移動体2の現在の運行が完了したときに実行される。なお、図6では、コンピュータプログラムの更新が実施される場合には、移動体2のバッテリの充電の間に、更新のための更新データのダウンロードと、移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの更新とが実行されることを前提としている。
【0050】
図6の処理では、管制センタ4は、移動体2から運行完了報告を受信する。運行完了報告には、移動体2のバッテリの充電状態が含まれる。そこで、管制センタ4は、移動体2のバッテリの充電状態を所定のデータベースの状態情報(図4参照)に記録する(S1)。なお、移動体2からの運行完了報告は、例えば、1日の運行計画のうち、最後の運行が
完了したときに受けてもよい。また、移動体2からの運行完了報告は、移動体2による運行が完了するごとに受けてもよい。管制センタ4は、移動体2による運行が完了するごとに運行完了報告を受ける場合には、運行完了報告受信ごとに図3に例示した運行スケジュールを修正してもよい。
【0051】
次に、管制センタ4は、当該移動体2において、コンピュータプログラムの更新実施の予定があるか否かを判定する。管制センタ4は、車両センタ3から届いた最新のリリースNOTEと、移動体2の状態情報(図4)を比較する。そして、移動体2のコンピュータプログラムのシステムバージョンが最新のリリースNOTEに規定されたシステムバージョンよりも古い場合に、管制センタ4は、コンピュータプログラムの更新実施の予定がありと判定する。コンピュータプログラムの更新実施の予定がありの場合、管制センタ4は、更新ありの次回運行スケジュールの立案処理を実行する(S3)。S3の詳細は図7に例示される。
【0052】
コンピュータプログラムの更新実施の予定がない場合、管制センタ4は、更新なしの次回運行スケジュールの立案処理を実行する(S4)。S4の詳細は図8に例示される。
【0053】
次に、管制センタ4は、運行スケジュールを移動体2に配信する(S5)。移動体2は、配信された運行スケジュールにしたがって運行される。なお、管制センタ4は、移動体2から、更新完了後に、更新完了報告を受信する。そして、管制センタ4は、更新後のバージョンと更新日時を移動体2ごとの状態情報に記録する。その後、図6に示される処理が終了する。
【0054】
図7は、管制センタ4のコンピュータによる移動体2におけるコンピュータプログラムの更新ありの次回運行スケジュールの立案処理(図6のS3)の詳細を例示するフローチャートである。この処理では、管制センタ4は、移動体2の各ECUで実行されるコンピュータプログラムを次回の運行時刻までに更新できる更新計画を立案する。
【0055】
まず、この処理では、管制センタ4は、リリースNOTEから更新用データのデータサイズ(図2のvolumeの値)を取得する(S31)。リリースNOTEは、第1のプログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータ量を含む第1のプログラムの更新に関する情報の一例である。ここで第1のプログラムは、今回の更新で書き換えられるプログラム群として例示される。したがって、管制センタ4は、第1のプログラムの更新に関する情報を取得することの一例としてS31の処理を実行すると言える。
【0056】
また、管制センタ4は、次回運行予定の情報を取得する(S32)。次回運行予定の情報は、次回運行開始の予定時刻、及び、次回運行時の目的地、走行経路、及び、走行予定時間等を含む。ここで、現在時点から次回運行開始の予定時刻までの時間は、第1の時間の一例である。
【0057】
移動体2が定期的に運行されるものである場合には、移動体2の次回運行予定の情報は、当該定期的な運行を管理する所定のデータベースから取得される。また、移動体2が非定期的に運行されるものである場合には、移動体2はシェアリングサービス、または、レンタル等での利用となる。そこで、移動体2の次回運行予定の情報は、シェアリングサービス、または、レンタル等での予約情報等から取得される。次回運行予定の情報は所定の装置としての移動体2のスケジュール情報の一例である。したがって、管制センタ4は、第1の時間を所定装置である移動体2のスケジュール情報に基づいて取得すると言える。
【0058】
次に、管制センタ4は、現在の電池の充電状態(SOC)を取得する。現在の電池の充電状態(SOC)は、電池の残量ということもできる。また、管制センタ4は、移動体2
おいて実行される各処理での消費電力量を計算する。そして、管制センタ4は、電池の残量と、各処理での消費電力量とから必要電力量を計算する。(S33)。各処理での消費電力量は、図7に示される処理では、ダウンロード消費電力量、更新消費電力量、及び、運行消費電力量を含む。
【0059】
ダウンロード消費電力量は、移動体2が車両センタ3からコンピュータプログラムの更新用データをダウンロードするときの消費電力量である。ダウンロード消費電力量は、更新用データのデータサイズを基に、図5に例示したダウンロード消費電力率から計算される。例えば、更新用データのデータサイズが20MBで、ダウンロード消費電力率が10%/10MBの場合、バッテリ満充電時の電力量の20%の電力量が消費される。ダウンロード消費電力量を第3の消費電力量ということにする。
【0060】
更新消費電力量は、移動体2の各ECUが更新対象のコンピュータプログラムを更新するときの消費電力量である。更新消費電力量は、更新用データのデータサイズを基に、図5に例示した更新消費電力率から計算される。例えば、更新用データのデータサイズが20MBで、更新消費電力率が10%/10MBの場合、バッテリ満充電時の電力量の20%の電力量が消費される。ここで、更新消費電力量を第2の消費電力量ということにする。
【0061】
運行消費電力量は、移動体2がスケジュールにしたがって運行するときの消費電力量である。例えば、運行時間が1時間で、運行消費電力率が50%/時間の場合、バッテリ満充電時の電力量の50%の電力量が消費される。運行消費電力量を第1の消費電力量ということにする。
【0062】
そして、管制センタ4は、移動体2の現在の充電状態(残量)と、各処理で消費される電力量とから、必要充電量を計算する。例えば、ダウンロード消費電力量が20%であり、更新消費電力量が20%であり、運行予定から想定される運行消費電力量が50%の場合、バッテリは、少なくとも満充電時の90%に達するまで充電することを要求される。したがって、例えば、現在のバッテリの充電状態が満充電に対する5%である場合には、必要充電量=90%-5%=85%と計算される。本実施形態では、必要充電量を第1の充電量という。
【0063】
以上から、管制センタ4は、所定の装置を稼働させる電池に要求される第1の充電量を取得することの一例としてS33の処理を実行すると言える。したがって、管制センタ4は、S33の処理において、運行時の第1の消費電力量、及び、更新実施時の第2の消費電力量に加えて、さらに、ダウンロード時の第3の消費電力量を基に第1の充電量を取得すると言える。なお、移動体2が更新用データのダウンロードを事前に実行する場合には、S33においてダウンロード消費電力量が含まれなくてもよい。この場合には、管制センタ4は、現在の電池の残量と、所定時間の稼働で消費する予定の電池の第1の消費電力量と、少なくとも第1のプログラムの更新で消費する予定の電池の第2の消費電力量と、から第1の充電量を取得することになる。なお、S33の処理は、現在の前記電池の残量と、移動体2の所定時間の稼働で消費する予定の電池の第1の消費電力量と、から第1の充電量を取得することの一例ともいえる。S33の計算において、少なくとも運行時の第1の消費電力量を基に電池に要求される第1の充電量が得られるからである。
【0064】
次に、管制センタ4は、必要充電量から普通充電と急速充電の所要時間を計算する(S34)。普通充電と急速充電の所要時間は、必要充電量を図5に例示した普通充電速度、及び、急速充電速度でそれぞれ除算すればよい。そして、管制センタ4は、普通充電で次回運行時刻に間に合うか否かを判定する(S35)。S35の判定で、普通充電によって次回運行時刻までに充電が完了すると判定された場合、管制センタ4は、普通充電かつ更
新実施の計画を立案し、運行スケジュールに組み込む(S36)。一方、S35の判定で、普通充電では、次回運行時刻までに充電を完了できない場合、管制センタ4は、急速充電で次回運行時刻に間に合うか否かを判定する(S37)。S37の判定で、急速充電によって次回運行時刻までに充電が完了すると判定された場合、管制センタ4は、急速充電かつ更新実施の計画を立案し、運行スケジュールに組み込む(S38)。
【0065】
一方、S37の判定で、急速充電によっても次回運行時刻までに充電が完了しないと判定された場合、管制センタ4は、更新なしの次回運行スケジュールの立案処理を実行する(S39)。更新なしの次回運行スケジュールの立案処理は、図8で例示される。次回運行時刻までの時間は、第1の時間の範囲の一例である。したがって、管制センタ4は、第1の時間の範囲内でS33の処理で計算した第1の充電量を充電可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することの一例としてS35、及び、S37の判定を実行すると言える。また、管制センタ4は、選択された充電方法による電池の少なくとも第1の充電量の充電と少なくとも第1のプログラム(今回の更新で書き換えられるプログラム群)の更新を含む第1の計画を作成することの一例として、S36、及び、S38の処理を実行すると言える。
【0066】
図8は、移動体2におけるコンピュータプログラムの更新なしの次回運行スケジュールの立案処理の詳細を例示するフローチャートである。すなわち、図8は、更新なしの次回運行スケジュールの立案処理(図6のS4、及び、図6のS39)の詳細である。図8のS42乃至S48の処理は、ダウンロード消費電力量、更新消費電力量が計算されない点を除外して、図7のS32乃至S38の処理と同様である。そこで、S42乃至S48の処理の詳細は省略する。なお、S43の処理では、管制センタ4は、移動体2の運行のための運行消費電力量を計算する。図7で述べた通り、移動体2の運行のための運行消費電力量は、所定の装置の所定時間の稼働で消費する予定の電池の第1の消費電力量の一例である。したがって、管制センタ4のコンピュータは、現在の電池の電荷状態である電池の残量と、移動体2の所定時間の稼働で消費する予定の電池の第1の消費電力量と、から第1の充電量を取得すると言える。
【0067】
そして、更新なしの次回運行スケジュールの立案処理において、普通充電によっても急速充電によっても次回運行時刻までに充電が完了しないと判定された場合(S47でNO)、管制センタ4は、オペレータに次回運行予定の調整を要求する(S49)。例えば、管制センタ4は、急速充電によって必要充電量の充電が完了する時刻を推定し、オペレータに推定された時刻を提示する。オペレータが承認を入力した場合に、管制センタ4は、必要充電量の充電が完了する時刻を新たな次回運行開始時刻に変更すればよい。
【0068】
(実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の管制センタ4を含む情報システム100は、移動体2の運行に必要な最低限の充電状態を取得する。そして、情報システム100は、次の運行開始時刻までに現在の充電状態から移動体2の運行に必要な最低限の充電状態まで充電することが可能な充電方法を複数の充電方法の中から選択することができる。したがって、本実施形態の情報システム100は、運行と充電を繰り返す移動体2の運行スケジュールを適切に設定できる。
【0069】
また、移動体2が定期的に運行されるものである場合には、情報システム100は、次の運行開始時刻を定期的な運行を管理する所定のデータベースから取得する。また、移動体2が非定期的に運行されるものである場合には、このコンピュータは、移動体2の次回運行予定の情報をシェアリングサービス、または、レンタル等での予約情報等から取得する。したがって、情報システム100は、移動体2が利用されるサービスに応じて適切に次の運行開始時刻を取得できる。
【0070】
また、情報システム100は、移動体2の現在の充電状態と、移動体の稼働による各処理で消費される電力量とから、必要充電量を計算する。したがって、情報システム100は、移動体2の必要電力量を精度よく計算できる。その場合に、情報システム100は、移動体2の運行と、移動体2内の各ECUのコンピュータプログラムの更新データのダウンロード、及び、コンピュータプログラムの更新による必要電力量を精度よく計算できる。
【0071】
そして、情報システム100は、必要電力量の充電に必要な充電時間を計算し、移動体2のバッテリの充電と移動体2内の各ECUのコンピュータプログラムの更新とを移動体2の次回運行開始時までに実行できる計画を設定することができる。
【0072】
また、次回運行予定時刻までに必要電力量までの充電が完了しない場合、情報システム100は、必要電力量までの充電が完了する時刻を推定し、オペレータの承認が得られた後に、次回運行開始時刻を充電が完了する時刻に変更する。したがって、情報システム100は、運行開始までの時間が少なくとも充電時間以上となるように計画を作成することができる。
【0073】
さらに本情報システムは、必要電力量にダウンロードのための電力量を含める。したがって、本情報システムは、コンピュータプログラムの更新に必要なデータのダウンロードを考慮して必要な電力量を計算できる。
【0074】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、必要充電量までの充電が急速充電で完了できない場合に、管制センタ4は、移動体2のコンピュータプログラムの更新なしで次回運行スケジュールを立案した。本実施形態では、急速充電で充電完了できない場合に、管制センタ4がコンピュータプログラムの更新を実施できる次回運行スケジュールを立案する処理を例示する。
【0075】
また、上記第1実施形態では、移動体2のバッテリの充電の間に、更新のための更新データのダウンロードと、移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの更新が完了されることを前提している。本実施形態では、移動体2のバッテリの充電の間に、更新のための更新データのダウンロードと、移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの更新とが実行完了できない場合に、これらが完了できる次回運行スケジュールを立案する処理を例示する。以上の点以外の第2の実施形態の情報システム100の構成、及び、作用は第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態の図1乃至図6は、第2実施形態にもそのまま適用される。
【0076】
図9は、第2実施形態における、更新ありの次回運行スケジュールの立案処理(図6のS3)の詳細を例示するフローチャートである。図9において、S31乃至S38の処理は、図7と同一であるのでその説明を省略する。
【0077】
図9において、S37の判定で、急速充電によっても次回運行予定時刻までに充電が完了しないと判定された場合、管制センタ4は、次回運行予定時刻の調整処理(S39A)を実行する。また、S36の普通充電かつ更新実施の計画を立案し、運行スケジュールに組み込む処理、及び、S38の急速充電かつ更新実施の計画を立案し、運行スケジュールに組み込む処理の後、管制センタ4はS3Aの判定に処理を進める。そして、管制センタ4は、充電の間に、移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの更新が可能であるか否かを判定する(S3A)。更新が可能であるか否かを判定では、更新用データのダウンロードとダウンロード後のコンピュータプログラムの更新が可能であるかの判定を含めてよい。なお、本実施形態では、更新のためのデータのダウンロードを含まない、コンピュ
ータプログラムの更新をコンピュータプログラムの書き換えと呼ぶことにする。
【0078】
なお、S3Aの判定の前に実行されるS34の処理では、管制センタ4は、プログラムが更新されるときに用いられる更新用データのデータサイズに基づいて、プログラムの書き換えに要する時間を取得する。本実施形態では、ダウンロードを含まない更新に要する時間を第2の時間と呼ぶ。また、S34の処理では、管制センタ4は、プログラムの更新用データのダウンロードに要する時間を取得する。本実施形態では、このダウンロードに要する時間を第3の時間と呼ぶ。
【0079】
S3Aの判定で、充電の間に更新完了できないと判断される場合、管制センタ4は、次回運行予定時刻の調整処理(S39A)を実行する。S39Aの調整処理で作成される運行スケジュールについても、第1の計画と呼ぶことにする。したがって、管制センタ4は、所定の装置の一例である移動体2の利用開始までの時間が少なくとも第2の時間と第3の時間との合計以上となるように、第1の計画を作成すると言える。一方、S3Aの判定で、充電の間に更新完了できる場合、管制センタ4は、処理を終了する。
【0080】
図10は、次回運行予定時刻の調整処理(図9のS39A)の詳細を例示する図である。この処理では、管制センタ4は、急速充電の所要時間から充電完了時刻を推定する(S39A1)。また、管制センタ4は、更新の所要時間(第2の時間)と更新用データのダウンロードの所要時間(第3の時間)とから、ダウンロード、及び、更新の完了時刻を推定する(S39A2)。上述のように、更新の所要時間(第2の時間)と、更新用データのダウンロードの所要時間(第3の時間)は、すでに図9のS34の処理で計算されている。
【0081】
そして、管制センタ4は、充電完了時刻と、ダウンロード、及び、更新の完了時刻のうち遅い時刻を次回運行開始時刻とすることを表示装置においてオペレータに提示する(S39A3)。そして、管制センタ4は、オペレータからのOKの入力を待つ(S39A4)。S39A4でOKの入力があると、管制センタ4は、提示した時刻を次回運行開始時刻に設定し、移動体2の運行スケジュールを作成する(S39A4)。以上の通り、管制センタ4は、利用開始までの時間が少なくとも第2の時間と第3の時間との合計以上となるように、第1の計画を作成する処理の一例としてS39A1からS39A4の処理を実行する。その後、管制センタ4は、処理を終了する。
【0082】
一方、S39A4でOKの入力が得られない場合、管制センタ4は、オペレータによる運行スケジュール設定処理に進む(S39A6)。すなわち、管制センタ4は、オペレータに対して、移動体2の適切な運行スケジュールの設定を求める。オペレータによる運行スケジュールの設定後、管制センタ4は、処理を終了する。ここで、現時点から次回運行開始時刻までの時間は、第1の時間の一例である。
【0083】
図10では、管制センタ4は、充電完了時刻とダウンロード、及び、更新の完了時刻のうち遅い時刻を次回運行開始時刻とすることをオペレータに提示した。すなわち、図10では、更新データのダウンロード時間も含むコンピュータプログラムの更新が完了する時刻を考慮して、次回運行開始時刻が決定された。しかし、更新データのダウンロードは、コンピュータプログラムの書き換え前に事前実行することも可能である。そこで、管制センタ4は、更新データのダウンロード時間を考慮しないで、コンピュータプログラムの書き換えのみを含む更新が完了するように次回運行開始時刻が決定してもよい。
【0084】
図11は、次回運行予定時刻の調整処理(図9のS39A)の詳細の変形を例示する図である。なお、図11の処理が実行さえる前提として、図9のS3Aの判定においても、管制センタ4は、更新のためのデータのダウンロードの時間を考慮しないで、ダウンロー
ド後のコンピュータプログラムの書き換えが可能であるか否かを判定すればよい。この場合、管制センタ4は、更新のためのデータのダウンロードの時間を考慮しない。したがって、管制センタ4は、図9のS3Aの判定において第1のプログラムの書き換えに要する時間を第2の時間として取得するといえる。
【0085】
図11で、S39A1の処理は図10と同一であるので、その説明を省略する。次に、管制センタ4は、移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの書き換えの所要時間(第2の時間)から、更新(すなわち、コンピュータプログラムの書き換え)の完了時刻を推定する(S39B2)。そして、管制センタ4は、充電完了時刻と更新(書き換え)完了時刻のうち遅い時刻を次回運行開始時刻とすることをオペレータに提示する(S39B3)。図11のS39A4以降の処理は図10と同様であるので、その説明を省略する。S39A1からS39A6の処理は、所定の装置の一例である移動体2の利用開始までの時間が少なくとも第2の時間以上となるように、第1の計画を作成することの一例である。
【0086】
(第2実施形態の効果)
本実施形態によれば、情報システム100は、次回運行開始時刻までに、移動体2のバッテリの充電が完了するように、運行スケジュールを設定できる。また、図10の処理によれば、情報システム100は、更新にための更新データのダウンロードと移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの更新とが、次回運行開始時刻までに完了するように運行スケジュールを設定できる。また、図11の処理によれば、情報システムは、移動体2の各ECUのコンピュータプログラムの更新(書き換え)が次回運行開始時刻までに完了するように運行スケジュールを設定できる。
【0087】
<第3実施形態>
上記第1実施形態、及び、第2実施形態では、移動体2の各ECUで実行されるコンピュータプログラムの更新と、移動体2のバッテリの充電を含む運行スケジュールを立案する処理を例示した。ところで、上記第1実施形態、及び、第2実施形態の処理は、移動体2以外の装置、例えば、携帯電話、スマートフォン等で例示される可搬型電子装置にも適用可能である。そこで、本実施形態では、可搬型電子装置で実行されるコンピュータプログラムの更新と、この可搬型電子装置に搭載されたバッテリの充電を含む稼働計画を立案するための構成と処理が例示される。
【0088】
(構成例)
図12は、本実施形態の情報システム101の構成を例示する図である。情報システム101は、コンピュータ10と可搬型電子装置2Aとを有する。コンピュータ10はサーバともいう。また、可搬型電子装置2Aを無線通信可能な端末を含む。コンピュータ10はCPU11と、主記憶部12と、インターフェース(I/F)を通じて接続される外部機器を有し、コンピュータプログラムにより情報処理を実行する。CPU11は、プロセッサとも呼ばれる。CPU11は、単一のプロセッサに限定されず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、CPU11は、Graphics Processing Unit(GPU)、Digital Signal Processor(DSP)等を含むものであってもよい。また、CPU11は、Field Programmable Gate Array(FPGA)等のハードウェア回路と連携するものでもよい
。外部機器としては、外部記憶部13、表示部14、操作部15、及び、通信部16を例示できる。
【0089】
CPU11は、主記憶部12に実行可能に展開されたコンピュータプログラムを実行し、コンピュータ10の機能を提供する。主記憶部12は、CPU11が実行するコンピュータプログラム、CPU11が処理するデータ等を記憶する。主記憶部12は、Dynamic Random Access Memory(DRAM)、Static Random Access Memory(SRAM)、Read
Only Memory(ROM)等である。さらに、外部記憶部13は、例えば、主記憶部12を
補助する記憶領域として使用され、CPU11が実行するコンピュータプログラム、CPU11が処理するデータ等を記憶する。外部記憶部13は、ハードディスクドライブ、Solid State Disk(SSD)等である。さらに、コンピュータ10には、着脱可能記憶媒体の駆動装置を設けてもよい。着脱可能記憶媒体は、例えば、ブルーレイディスク、Digital Versatile Disk(DVD)、Compact Disc(CD)、フラッシュメモリカード等である。
【0090】
また、コンピュータ10は、表示部14、操作部15、通信部16を有する。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等である。操作部15は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等である。本実施形態では、ポインティングデバイスとしてマウスが例示される。通信部16は、ネットワーク上の他の装置とデータを授受する。例えば、通信部16は、ネットワークN2を介して、可搬型電子装置2Aと通信する。ネットワークN2は、例えば、LTE、5G、6G等の携帯電話網、無線Local Area Network(LAN)等である。なお、通信部16は、第1実施形態(図1)のネットワークNにもアクセス可能な通信インターフェースを有してもよい。
【0091】
可搬型電子装置2Aの構成は、コンピュータ10と同様である。ただし、可搬型電子装置2Aは、操作部として、ディスプレイ上にタッチセンサを重ねたタッチパネルを有する。なお、第1実施形態、第2実施形態で説明した車両センタ3のコンピュータ、及び、管制センタ4のコンピュータのハードウェア構成も、コンピュータ10と同様である。また、第1実施形態、第2実施形態で説明したECUは、図12のCPU11と主記憶部12とを組み合わせたものと同様である。したがって、第1実施形態から第3実施形態までを通じて、CPU11と主記憶部12は制御部の一例として例示されている。
【0092】
コンピュータ10は、第1実施形態、及び、第2実施形態の車両センタ3、及び、管制センタ4と同様の処理を実行する。すなわち、コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aのバッテリの充電、CPU11で実行されるコンピュータプログラムの更新、及び、利用者による可搬型電子装置2Aの利用を支援する。コンピュータ10は、例えば、可搬型電子装置2Aを通じて利用者に提供されるスケジュール管理データベースにアクセスし、利用者の行動予定を取得する。
【0093】
スケジュール管理データベースは、コンピュータ10の主記憶部12と外部記憶部13に保存されてもよい。可搬型電子装置2AがネットワークN2を介してコンピュータ10にアクセスし、スケジュール管理データベースの機能を利用者に提供すればよい。ただし、スケジュール管理データベースは、可搬型電子装置2Aに保存されてもよい。可搬型電子装置2Aに保存される場合には、コンピュータ10は、利用者の承認を得て、可搬型電子装置2Aからスケジュール管理データベースの情報を収集すればよい。
【0094】
なお、スケジュール管理データベースには、利用者が可搬型電子装置2Aを操作しない時間帯(更新候補の時間帯)が予め設定されていてもよい。更新候補の時間帯は、利用者が設定してもよい。また、可搬型電子装置2Aまたはコンピュータ10が利用者による過去の操作履歴を統計処理し、可搬型電子装置2Aが操作されない可能性の高い、曜日、時間帯等を選択してもよい。可搬型電子装置2Aまたはコンピュータ10は選択した曜日、時間帯等を可搬型電子装置2Aのディスプレイから利用者に提示し、予め、確認を求めてもよい。
【0095】
そして、コンピュータ10は、利用者が可搬型電子装置2Aを利用しない時間帯において、バッテリの充電、更新のための更新データのダウンロード、CPU11で実行されるコンピュータプログラムの更新を含む稼働スケジュールを立案する。立案された可搬型電
子装置2Aの稼働スケジュールは、可搬型電子装置2Aに配信される。可搬型電子装置2Aは、配信された稼働スケジュールにしたがって、バッテリの充電、更新のための更新データのダウンロード、及び、CPU11で実行されるコンピュータプログラムの更新を実行する。
【0096】
(処理例)
図13は、コンピュータ10による可搬型電子装置2Aで実行されるコンピュータプログラムの更新の計画立案処理を例示する図である。図13の処理は、例えば、可搬型電子装置2Aがコンピュータプログラムの更新を実施可能になったときに実行される。コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aにおいてコンピュータプログラムの更新が実施可能になったことを利用者のスケジュール管理データベースから判断してよい。ただし、コンピュータ10は、利用者の可搬型電子装置2Aに対する操作入力により、コンピュータプログラムの更新が実施可能になったことを判断してもよい。
【0097】
まず、この処理では、コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aで実行されるプログラムのリリースNOTEから更新用データのデータサイズを取得する(S131)。コンピュータ10が可搬型電子装置2Aを販売する組織、または、可搬型電子装置2Aによる通信等のサービスを提供する組織で運用されている場合、コンピュータ10はリリースNOTEを保持している。また、コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aを販売する組織等から、第1実施形態のネットワークN、第3実施形態のネットワークN2等を介してリリースNOTEを取得してもよい。
【0098】
次に、コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aおいて実行される各処理での消費電力量を計算する(S132)。各処理での消費電力量は、ダウンロード消費電力量、更新消費電力量、稼働消費電力量を含む。ダウンロード消費電力量、更新消費電力量は、第1実施形態、第2実施形態の場合と同様である。
【0099】
稼働消費電力量は、可搬型電子装置2Aがオン状態で稼働し、情報処理を実行するときの消費電力量である。稼働消費電力量は、過去の可搬型電子装置2Aの動作履歴から、統計的に計算してもよい。そして、コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aの現在の充電状態と、各処理で消費される電力量とから、必要充電量を計算する。
【0100】
次に、コンピュータ10は、必要充電量から普通充電と急速充電の所要時間を計算する(S133)。また、コンピュータ10は、利用者のスケジュール管理データベースから次に可搬型電子装置2Aを利用する使用予定の情報を取得する(S134)。使用予定の情報は、使用開始予定時刻、使用継続時間、及び、実行する処理の種類を含む。使用開始予定時刻までの時間は、次の利用開始までの時間であり、第1の時間の一例である。したがって、コンピュータ10は、所定の装置の一例である可搬型電子装置2Aの利用者のスケジュール情報に基づいて取得する処理の一例としてS133の処理を実行する。ただし、コンピュータ10は、利用者の可搬型電子装置2Aに対する操作入力により、使用予定の情報を取得してもよい。
【0101】
そして、コンピュータ10は、使用開始予定時刻と、普通充電と急速充電の所要時間とから、普通充電と急速充電のいずれが望ましいかを判断する(S135)。例えば、普通充電で使用開始予定時刻までに必要充電量の充電が可能な場合、コンピュータ10は、普通充電を選択する。一方、普通充電で使用開始予定時刻までに必要充電量の充電ができない場合、コンピュータ10は、急速充電を選択する。
【0102】
コンピュータ10は、急速充電を選択すると、急速充電かつ更新実施の充電計画を立案、計画と案内情報を可搬型電子装置2Aのディスプレイに提示する(S136)。また、
コンピュータ10は、普通充電を選択すると、普通充電かつ更新実施の充電計画を立案、計画と案内情報を可搬型電子装置2Aのディスプレイに提示する(S137)。S136、及び、S137のいずれかが可搬型電子装置2Aのディスプレイに提示されると、利用者は、ディスプレイでの提示にしたがって、可搬型電子装置2Aの充電とコンピュータプログラムの更新を実行すればよい。
【0103】
以上述べたように、本実施形態の情報システム101によれば、コンピュータ10は、可搬型電子装置2Aでコンピュータプログラムの更新と、可搬型電子装置2Aの必要充電量の充電を支援する。すなわち、コンピュータ10は、必要充電量の充電が使用開始予定時刻までに完了するように普通充電を実行できる。また、可搬型電子装置2Aの必要充電量の充電が使用開始予定時刻までに完了できない場合に、コンピュータ10は、利用者に急速充電を促し、コンピュータプログラムの更新中の必要充電量の充電を促進できる。
【0104】
<その他の変形例>
上記第1実施形態、及び、第2実施形態では、管制センタ4のコンピュータが移動体2の運行スケジュールの設定処理(図6乃至図11)を実行した。しかし、移動体2の車載装置であるcentral ECU22がこれらの処理を実行してもよい。その場合に、車両センタ3は、移動体2のDCM21を介してcentral ECU22にリリースNOTEを送信すればよい。
【0105】
上記第3実施形態では、コンピュータ10が、図13に例示した計画立案処理を実行した。しかし、可搬型電子装置2Aが、図13に例示した計画立案処理を実行し、利用者に提示してもよい。この場合、可搬型電子装置2Aは、リリースNOTEを管理する組織のコンピュータ、例えば、コンピュータ10等からリリースNOTEの配信と、コンピュータプログラムの更新用データの提供を受ければよい。
【0106】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0107】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0108】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0109】
2 移動体
2A 可搬型電子装置
3 車両センタ
4 管制センタ
10 コンピュータ
11 CPU
12 主記憶部
13 外部記憶部
14 表示部
15 操作部
16 通信部
21 DCM
22 Central ECU
23 UIF装置
24 予防安全装置
25 ADS
26 音・映像・NAVI装置
100、101 情報システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13