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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021100265
(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公開番号】P2022191814
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】太田 泰稔
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-83815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部を撮像する車載カメラの撮像画像を記録する記録装置であって、
近距離無線通信可能な車外の携帯情報端末からの近距離無線通信信号を検出する無線通信信号検出部と、
前記無線通信信号検出部が前記近距離無線通信信号を検出している場合に、前記車載カメラの撮像画像を記録し、前記無線通信信号検出部が前記近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間以上経過した場合、前記車載カメラの撮像画像を記録しない記録部と、
を備える、記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラの記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録装置に関する技術文献として、特開2009-083815号公報が知られている。この公報には、自車による交通事故発生前後における周辺の歩行者および他の車両の位置および動向を記録するためのドライブレコーダー装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-083815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の前方画像などの画像データを記録できる容量には限りがある。上述した従来のドライブレコーダー装置のように常時記録していると、画像データの記録容量が大きくなり過ぎると言う問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両の外部を撮像する車載カメラの撮像画像を記録する記録装置であって、近距離無線通信可能な車外の携帯情報端末からの近距離無線通信信号を検出する無線通信信号検出部と、無線通信信号検出部が近距離無線通信信号を検出している場合に、車載カメラの撮像画像を記録し、無線通信信号検出部が近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間以上経過した場合には、車載カメラの撮像画像を記録しない記録部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、車載カメラの撮像画像データの記録容量の増大を抑制し、効率的にデータ記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る車載カメラの記録装置を示すブロック図である。
図2】車外の近距離無線通信信号を検出した状況の一例を示す平面図である。
図3】(a)近距離無線通信信号の検出の有無の一例を示すタイミングチャートである。(b)撮像画像の記録のON/OFFの一例を示すタイミングチャートである。
図4】撮像画像の記録開始処理の一例を示すフローチャートである。
図5】撮像画像の記録終了処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、一実施形態に係る車載カメラの記録装置1を示すブロック図である。図1に示されるように、記録装置1は、車両Mに搭載されている。車両Mは乗用車であっても貨物車であってもよい。車両Mの車種は特に限定されない。図1に示す歩行者Pは、携帯情報端末Tを持ちながら車両Mの前方を歩く歩行者である。
【0010】
[記録装置の構成]
記録装置1は、一例として、車載カメラ2、近距離無線通信検出装置3、GNSS[Global Navigation Satellite System]装置4、表示装置5、車速センサ6、ジャイロセンサ7、地図データベース8、データ記録部9、及びマルチメディア処理装置10を有している。
【0011】
車載カメラ2は、車両Mの外部状況を撮像する撮像機器である。車載カメラ2は、例えば車両Mのフロントガラスの裏側に設けられ、車両Mの前方を撮像する。車載カメラ2は、複数台のカメラから構成されていてもよい。複数台のカメラは、車両Mの前方、後方、左右を撮像するように設けられていてもよい。車載カメラ2は、車両Mの外部状況に関する撮像画像をマルチメディア処理装置10に送信する。車載カメラ2は、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0012】
近距離無線通信検出装置3は、携帯情報端末Tからの近距離無線通信を検出する。携帯情報端末Tは例えばスマートフォンである。携帯情報端末Tは、車外にあればよく歩行者Pが持っている必要はない。携帯情報端末Tは、例えば他車両の運転者が所有している携帯情報端末であってもよい。携帯情報端末Tは、近距離無線通信を発信する携帯可能な情報端末であれば特に限定されない。
【0013】
近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)である。近距離無線通信は、Bluetoothに限定されない。近距離無線通信は、例えば50m以下通信範囲を持つ無線通信であってもよく、30m以下通信範囲を持つ無線通信であってもよく、20m以下通信範囲を持つ無線通信であってもよい。
【0014】
GNSS装置4は、複数の測位衛星からの信号を受信することにより、車両Mの位置(例えば緯度及び経度)を測定する。GNSS装置4は、例えばGPS[Global Positioning System]装置である。GNSS装置4は、測定した車両Mの位置情報をマルチメディア処理装置10へ送信する。
【0015】
表示装置5は、例えばディスプレイ装置である。表示装置5は、車両Mのダッシュボード等に設けられ、ナビ情報などを表示する。表示装置5は、マルチメディア処理装置10からの制御信号に応じて各種の情報を表示する。
【0016】
車速センサ6は、車両Mの車速を検出する検出器である。車速センサ6は、例えば、車両Mの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)をマルチメディア処理装置10に送信する。
【0017】
ジャイロセンサ7は、車両Mの重心の鉛直軸周りのヨーレートを検出する検出器である。ジャイロセンサ7は、検出した車両Mのヨーレートをマルチメディア処理装置10に送信する。
【0018】
地図データベース8は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース8は、例えば車両Mに搭載されたHDD[Hard Disk Drive]などに形成されている。地図情報には、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報、及び構造物の位置情報などが含まれる。なお、地図データベース8は、車両Mと通信可能なサーバに形成されていてもよい。
【0019】
データ記録部9は、車載カメラ2の撮像画像を記録するデータベースである。データ記録部9は、例えば車両Mに搭載されたHDD[Hard Disk Drive]などに形成されている。データ記録部9は、車載カメラ2の撮像画像と車両Mの位置情報とを関連付けて記録する。なお、データ記録部9は、車両Mと通信可能なサーバに形成されていてもよい。
【0020】
マルチメディア処理装置10は、例えばカーナビゲーションシステムやオーディオ装置である。マルチメディア処理装置10は、CPU[Central Processing Unit]とROM[Read OnlyMemory]又はRAM[Random Access Memory]などの記憶部を有する電子制御ユニットである。
【0021】
次に、マルチメディア処理装置10の機能的構成について説明する。マルチメディア処理装置10は、車両位置情報取得部11、無線通信信号検出部12、及び記録部13を有している。
【0022】
車両位置情報取得部11は、GNSS装置4の測定結果から車両Mの位置情報を取得する。車両位置情報取得部11は、車速センサ6及びジャイロセンサ7の検出結果と地図データベース8の地図情報とを利用して、オドメトリにより車両Mの位置情報を取得してもよい。車両位置情報取得部11は、地図データベース8の地図情報に含まれた電柱等の固定障害物の位置情報及び車載カメラ2の撮像画像に含まれる物体の画像を利用して、SLAM[Simultaneous Localization and Mapping]技術により車両Mの位置情報を取得してもよい。車両位置情報取得部11は、その他、周知の手法により車両Mの位置情報を取得してもよい。
【0023】
無線通信信号検出部12は、近距離無線通信検出装置3を介して、近距離無線通信可能な車外の携帯情報端末Tからの近距離無線通信信号を検出する。図2は、車外の近距離無線通信信号を検出した状況の一例を示す平面図である。図2に、歩行者Pの有する携帯情報端末Tの近距離無線通信信号の送信範囲Dpと車両Mの近距離無線通信信号の受信範囲Dcとを示す。図2に示すように、無線通信信号検出部12は、歩行者Pの有する携帯情報端末Tの近距離無線通信信号の送信範囲Dpと車両Mの近距離無線通信信号の受信範囲Dcとが重複したタイミングで、車外の携帯情報端末Tからの近距離無線通信信号を検出する。
【0024】
なお、無線通信信号検出部12は、運転者や乗員が持っている車内の近距離無線通信可能な携帯情報端末について認識登録(ペアリングなど)を行うことで、車内の携帯情報端末を検出対象から除外してもよい。無線通信信号検出部12は、その他の手法で車内の携帯情報端末と車外の携帯情報端末を区別できる場合には、車内の携帯情報端末を検出対象から除外することで車外の携帯情報端末のみを検出してもよい。
【0025】
記録部13は、車載カメラ2の撮像画像をデータ記録部9に記録させる。記録部13は、車載カメラ2の撮像画像を記録する場合に、撮像画像と車両Mの位置情報とを関連付けて記録させる。記録部13は、無線通信信号検出部12が近距離無線通信信号を検出している場合に、車載カメラ2の撮像画像の記録をONにする。記録部13は、無線通信信号検出部12が近距離無線通信信号を検出していない場合には、車載カメラ2の撮像画像の記録をOFFにする。
【0026】
記録部13は、無線通信信号検出部12が近距離無線通信信号を検出した場合には、無線通信信号検出部12が近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間が経過したときに車載カメラ2の撮像画像の記録をOFFにしてもよい。
【0027】
具体的に、図3(a)は、近距離無線通信信号の検出の有無の一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は近距離無線通信信号検出の有無である。図3(a)では、近距離無線通信信号が3回検出されている。近距離無線通信信号の検出タイミングをそれぞれp1、p2、p3として示す。検出タイミングp1は1秒間、検出タイミングp2及びp3は2秒間の間、近距離無線通信信号が検出されている。検出タイミングp1の開始時間を基準とすると、検出タイミングp1の検出時間は0秒目から1秒目、検出タイミングp2の検出時間は4秒目から6秒目、検出タイミングp3の検出時間は10秒目から12秒目となる。
【0028】
図3(b)は、撮像画像の記録のON/OFFの一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は記録ON/OFFである。図3(b)に示すように、記録部13は、例えば近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間(ここでは5秒)以上経過した場合、車載カメラ2の撮像画像の記録をOFFにする。ここでは、記録部13は、0秒目に記録をONにして17秒目で記録をOFFにする。
【0029】
[記録装置の処理]
次に、本実施形態に係る記録装置1の処理について図面を参照して説明する。図4は、撮像画像の記録開始処理の一例を示すフローチャートである。撮像画像の記録開始処理は、例えば車両Mの走行中に実行される。
【0030】
図4に示すように、記録装置1は、S10として、無線通信信号検出部12により携帯情報端末からの近距離無線通信信号を検出したか否かを判定する。無線通信信号検出部12は、近距離無線通信検出装置3を介して、車外の携帯情報端末Tからの近距離無線通信信号を検出する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出したと判定された場合(S10:YES)、S11に移行する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出したと判定されなかった場合(S10:NO)、今回の処理を終了する。
【0031】
S11において、記録装置1は、記録部13により車載カメラ2の撮像画像の記録をONにする。記録部13は、車載カメラ2の撮像画像と車両Mの位置情報とを関連付けてデータ記録部9に対する記録を開始する。その後、記録装置1は今回の処理を終了する。
【0032】
図5は、撮像画像の記録終了処理の一例を示すフローチャートである。撮像画像の記録終了処理は、撮像画像の記録がONになっている場合に実行される。
【0033】
図5に示すように、記録装置1は、S20として、無線通信信号検出部12により携帯情報端末からの近距離無線通信信号を検出しないか否かを判定する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出しないと判定した場合(S20:YES)、S21に移行する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出しないと判定しなかった場合(S20:NO)、今回の処理を終了する。
【0034】
S21において、記録装置1は、記録部13により近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間経過したか否かを判定する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間経過したと判定された場合(S21:YES)、S22に移行する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間経過したと判定された場合(S21:YES)、S22に移行する。記録装置1は、近距離無線通信信号を検出しなくなってから一定時間経過したと判定されなかった場合(S21:NO)、今回の処理を終了する。
【0035】
S22において、記録装置1は、記録部13により車載カメラ2の撮像画像の記録をOFFにする。記録部13は、データ記録部9に対する車載カメラ2の撮像画像の記録を停止する。
【0036】
以上説明した本実施形態に係る記録装置1によれば、歩行者Pなどの車外の携帯情報端末Tからの近距離無線通信信号を検出した場合に車載カメラ2の撮像画像を記録し、近距離無線通信信号を検出しない場合には車載カメラ2の撮像画像を記録しないので、車載カメラ2の撮像画像データの記録容量の増大を抑制し、効率的にデータ記録を行うことができる。これにより、記録装置1では、周囲に何も映っていない走行シーンの情報を延々と記録することが無く、効果的に歩行者をとらえた情報記録が可能になる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0038】
例えば車両位置情報取得部11、無線通信信号検出部12、及び記録部13は、マルチメディア処理装置10が有する必要はない。車両位置情報取得部11、無線通信信号検出部12、及び記録部13のうち、一つ以上は車載のECU[Electronic Control Unit]が有していてもよく、全部の機能をECUが有していてもよい。或いは、GNSS装置4が車両位置情報取得部11の機能を有していてもよく、近距離無線通信検出装置3が無線通信信号検出部12の機能を有していてもよく、データ記録部9が記録部13の機能を有していてもよい。
【0039】
記録装置1は、装置間の直接通信(いわゆる、ピア・ツー・ピア通信)に限定されない。記録装置1は、サーバ経由による実施も可能である。例えば携帯通信のネットワークにおけるピコセルやフェムトセルなどの狭いセルを用いることで、サーバ経由による実施が考えられる。
【符号の説明】
【0040】
1…記録装置、2…車載カメラ、3…近距離無線通信検出装置、4…GNSS装置、5…表示装置、6…車速センサ、7…ジャイロセンサ、8…地図データベース、9…データ記録部、10…マルチメディア処理装置、11…車両位置情報取得部、12…無線通信信号検出部、13…記録部。
図1
図2
図3
図4
図5