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特許7613344先行車選定装置、先行車選定方法及び先行車選定用コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】先行車選定装置、先行車選定方法及び先行車選定用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250107BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20250107BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G01C21/26 A
B60W30/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021187310
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074379
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2024-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】栗橋 翠
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-028743(JP,A)
【文献】国際公開第2021/060114(WO,A1)
【文献】特開2008-275500(JP,A)
【文献】特開2021-172239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G01C 21/26
B60W 30/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の追従対象として適した先行車を選定する先行車選定装置であって、
前記自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する第1走行距離推定部と、
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する追従距離推定部と、
前記追従可能距離に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択する先行車選択部と
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、前記自車両が該周辺車両を所定距離だけ追従したときの効果を表す効果指数を算出する効果指数算出部と、
前記自車両に関する情報に基づいて、該自車両の現在からの連続走行距離を推定する第2走行距離推定部と
を備え、
前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含み、
前記先行車選択部は前記追従可能距離及び前記効果指数に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択し、
前記追従距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離及び前記自車両の現在からの連続走行距離のうちの短い方の距離を前記追従可能距離に設定する、先行車選定装置。
【請求項2】
前記第1走行距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離として、該周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて該周辺車両の航続可能距離を算出する、請求項1に記載の先行車選定装置。
【請求項3】
自車両の追従対象として適した先行車を選定する先行車選定装置であって、
前記自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する第1走行距離推定部と、
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する追従距離推定部と、
前記追従可能距離に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択する先行車選択部と
を備え、
前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含み、
前記第1走行距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離として、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する、先行車選定装置。
【請求項4】
自車両の追従対象として適した先行車を選定する先行車選定装置であって、
前記自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する第1走行距離推定部と、
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する追従距離推定部と、
前記追従可能距離に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択する先行車選択部と
を備え、
前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含み、
前記第1走行距離推定部は、前記周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて該周辺車両の航続可能距離を算出し、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出し、該航続可能距離及び該運転可能距離のうちの短い方の距離を該周辺車両の現在からの連続走行距離に設定する、先行車選定装置。
【請求項5】
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、前記自車両が該周辺車両を所定距離だけ追従したときの効果を表す効果指数を算出する効果指数算出部を更に備え、
前記先行車選択部は前記追従可能距離及び前記効果指数に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択する、請求項3又は4に記載の先行車選定装置。
【請求項6】
前記自車両に関する情報に基づいて、該自車両の現在からの連続走行距離を推定する第2走行距離推定部を更に備え、
前記追従距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離及び前記自車両の現在からの連続走行距離のうちの短い方の距離を前記追従可能距離に設定する、請求項5に記載の先行車選定装置。
【請求項7】
前記第2走行距離推定部は、前記自車両の現在からの連続走行距離として、該自車両のSOC又は残燃料量に基づいて該自車両の航続可能距離を算出する、請求項6に記載の先行車選定装置。
【請求項8】
前記第2走行距離推定部は、前記自車両の現在からの連続走行距離として、該自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する、請求項6に記載の先行車選定装置。
【請求項9】
前記第2走行距離推定部は、前記自車両のSOC又は残燃料量に基づいて該自車両の航続可能距離を算出し、該自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出し、該航続可能距離及び該運転可能距離のうちの短い方の距離を該自車両の現在からの連続走行距離に設定する、請求項6に記載の先行車選定装置。
【請求項10】
コンピュータにより実行される先行車選定方法であって、
自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することと、
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定することと、
前記追従可能距離に基づいて、前記自車両の追従対象として適した先行車を前記複数の周辺車両の中から選択することと
を含み、
前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含み、
前記周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することは、前記周辺車両の現在からの連続走行距離として、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出することを含む、先行車選定方法。
【請求項11】
先行車選定用コンピュータプログラムであって、
自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することと、
前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定することと、
前記追従可能距離に基づいて、前記自車両の追従対象として適した先行車を前記複数の周辺車両の中から選択することと
をコンピュータに実行させ、
前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含み、
前記周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することは、前記周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて該周辺車両の航続可能距離を算出し、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出し、該航続可能距離及び該運転可能距離のうちの短い方の距離を該周辺車両の現在からの連続走行距離に設定することを含む、先行車選定用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車選定装置、先行車選定方法及び先行車選定用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に必要な燃料又は電力の量を低減するためには、走行時の空気抵抗を低減することが有効である。従来、走行時の空気抵抗を低減する手法として、車両を先行車に追従させる追従走行を行うことが知られている。追従走行では、先行車による風除け効果により、先行車の後方を走行する車両に作用する空気抵抗が低減される。
【0003】
斯かる追従走行の一例として、複数の車両が隊列を組んで走行する隊列走行が知られている。特許文献1に記載の隊列編成装置では、隊列を形成している車両群の走行計画を取得し、追従走行のために自車両が合流すべき車両群として、自車両と走行計画が類似する車両群を選択する。このことによって、追従走行の継続時間が長くなり、追従走行の効果が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-003675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、目的地及び休憩地点のような詳細な走行計画はプライバシー性の高い情報であり、車両の乗員が走行計画の提供に同意するとは限らない。また、走行計画の入力は車両の乗員にとって煩雑な作業である。このため、周辺車両の走行計画を取得する機会が限られ、周辺車両の中から追従対象として適切な先行車を選定できないおそれがある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、周辺車両の詳細な走行計画に頼ることなく、自車両の追従対象として適した先行車を選定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)自車両の追従対象として適した先行車を選定する先行車選定装置であって、前記自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する第1走行距離推定部と、前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する追従距離推定部と、前記追従可能距離に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択する先行車選択部とを備え、前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含む、先行車選定装置。
【0009】
(2)前記第1走行距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離として、該周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて該周辺車両の航続可能距離を算出する、上記(1)に記載の先行車選定装置。
【0010】
(3)前記第1走行距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離として、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する、上記(1)に記載の先行車選定装置。
【0011】
(4)前記第1走行距離推定部は、前記周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて該周辺車両の航続可能距離を算出し、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出し、該航続可能距離及び該運転可能距離のうちの短い方の距離を該周辺車両の現在からの連続走行距離に設定する、上記(1)に記載の先行車選定装置。
【0012】
(5)前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、前記自車両が該周辺車両を所定距離だけ追従したときの効果を表す効果指数を算出する効果指数算出部を更に備え、前記先行車選択部は前記追従可能距離及び前記効果指数に基づいて前記複数の周辺車両の中から前記先行車を選択する、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の先行車選定装置。
【0013】
(6)前記自車両に関する情報に基づいて、該自車両の現在からの連続走行距離を推定する第2走行距離推定部を更に備え、前記追従距離推定部は、前記周辺車両の現在からの連続走行距離及び前記自車両の現在からの連続走行距離のうちの短い方の距離を前記追従可能距離に設定する、上記(5)に記載の先行車選定装置。
【0014】
(7)前記第2走行距離推定部は、前記自車両の現在からの連続走行距離として、該自車両のSOC又は残燃料量に基づいて該自車両の航続可能距離を算出する、上記(6)に記載の先行車選定装置。
【0015】
(8)前記第2走行距離推定部は、前記自車両の現在からの連続走行距離として、該自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する、上記(6)に記載の先行車選定装置。
【0016】
(9)前記第2走行距離推定部は、前記自車両のSOC又は残燃料量に基づいて該自車両の航続可能距離を算出し、該自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて該自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出し、該航続可能距離及び該運転可能距離のうちの短い方の距離を該自車両の現在からの連続走行距離に設定する、上記(6)に記載の先行車選定装置。
【0017】
(10)コンピュータにより実行される先行車選定方法であって、自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することと、前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定することと、前記追従可能距離に基づいて、前記自車両の追従対象として適した先行車を前記複数の周辺車両の中から選択することとを含み、前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含む、先行車選定方法。
【0018】
(11)先行車選定用コンピュータプログラムであって、自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、該周辺車両に関する情報に基づいて、該周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することと、前記複数の周辺車両の各々について、該周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、前記自車両が該周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定することと、前記追従可能距離に基づいて、前記自車両の追従対象として適した先行車を前記複数の周辺車両の中から選択することとをコンピュータに実行させ、前記周辺車両に関する情報は、該周辺車両のSOC又は残燃料量と、該周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含む、先行車選定用コンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、周辺車両の詳細な走行計画に頼ることなく、自車両の追従対象として適した先行車を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る先行車選定装置を含む車両制御システムの概略的な構成図である。
図2図2は、複数の車両が自動車専用道路を走行している場面の一例を示す図である。
図3図3は、第一実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図4図4は、第一実施形態における先行車選定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5図5は、第一実施形態における追従可能距離推定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6図6は、第二実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図7図7は、第二実施形態における先行車選定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図8図8は、第二実施形態における効果指数算出処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図9図9は、周辺車両についての評価値を決定するためのテーブルの一例を示す図である。
図10図10は、第三実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図11図11は、第三実施形態における追従可能距離推定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図12図12は、本発明の第四実施形態に係る先行車選定装置を含むクライアントサーバシステムの概略的な構成図である。
図13図13は、サーバの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0022】
<第一実施形態>
以下、図1図5を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の第一実施形態に係る先行車選定装置を含む車両制御システム1の概略的な構成図である。車両制御システム1は、車両に搭載され、車両の各種制御を実行する。
【0024】
図1に示されるように、車両制御システム1は、周辺情報検出装置2、GNSS受信機3、地図データベース4、ナビゲーション装置5、車両状態検出装置6、アクチュエータ7、ヒューマンマシンインタフェース(HMI:Human Machine Interface)8、通信装置9及び電子制御ユニット((Electronic Control Unit(ECU))10を備える。周辺情報検出装置2、GNSS受信機3、地図データベース4、ナビゲーション装置5、車両状態検出装置6、アクチュエータ7、HMI8及び通信装置9は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワーク等を介してECU10に電気的に接続される。
【0025】
周辺情報検出装置2は、車両(自車両)の周囲のデータ(画像、点群データ等)を取得し、車両の周辺情報(例えば、周辺車両、車線等)を検出する。例えば、周辺情報検出装置2は、ミリ波レーダ、カメラ(例えばステレオカメラ)、ライダ(LIDAR:Laser Imaging Detection And Ranging))、若しくは超音波センサ(ソナー)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。周辺情報検出装置2の出力、すなわち周辺情報検出装置2によって検出された車両の周辺情報はECU10に送信される。
【0026】
GNSS受信機3は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両の現在位置(例えば車両の緯度及び経度)を検出する。具体的には、GNSS受信機3は、複数の測位衛星を捕捉し、測位衛星から発信された電波を受信する。そして、GNSS受信機3は、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づいて測位衛星までの距離を算出し、測位衛星までの距離及び測位衛星の位置(軌道情報)に基づいて車両の現在位置を検出する。GNSS受信機3の出力、すなわちGNSS受信機3によって検出された車両の現在位置はECU10に送信される。
【0027】
なお、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)は、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本のQZSS、中国のBeiDou、インドのIRNSS等の衛星測位システムの総称である。すなわち、GPS受信機はGNSS受信機3の一例である。
【0028】
地図データベース4は地図情報を記憶している。ECU10は地図データベース4から地図情報を取得する。なお、地図データベースが車両の外部(例えばサーバ等)に設けられ、ECU10は車両の外部から地図情報を取得してもよい。
【0029】
ナビゲーション装置5は、GNSS受信機3によって検出された車両の現在位置、地図データベース4の地図情報、車両の乗員(例えばドライバ)による入力等に基づいて、目的地までの車両の走行ルートを設定する。ナビゲーション装置5によって設定された走行ルートはECU10に送信される。
【0030】
車両状態検出装置6は車両の状態量を検出する。車両状態検出装置6は、例えば、車両の速度を検出する車速センサ、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ、車両のバッテリの状態量(電圧、温度、入出力電流等)を検出するバッテリセンサ等を含む。車両状態検出装置6の出力、すなわち車両状態検出装置6によって検出された車両の状態量はECU10に送信される。
【0031】
アクチュエータ7は車両を動作させる。例えば、アクチュエータ7は、車両の加速のための駆動装置(例えば内燃機関及び電動機の少なくとも一方)と、車両の制動(減速)のためのブレーキアクチュエータと、車両の操舵のためのステアリングモータとを含む。ECU10はアクチュエータ7を制御して車両の挙動を制御する。
【0032】
本実施形態では、車両制御システム1は、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)として機能し、アクチュエータ7を制御して所定の運転支援機能を作動させる。所定の運転支援機能は、例えば、先行車の有無に応じて車両の速度を自動的に制御するアダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)、車両が車線内に維持されるように車両の操舵を自動的に制御するレーンキーピングアシスト(LKA:Lane Keeping Assist)又はレーントレーシングアシスト(LTA:Lane Tracing Assist)等を含む。
【0033】
HMI8は車両と車両の乗員(例えばドライバ)との間で情報の授受を行う。HMI8は、車両の乗員に情報を出力する出力部(例えば、ディスプレイ、スピーカ、振動ユニット等)と、車両の乗員によって情報が入力される入力部(例えば、タッチパネル、操作ボタン、操作スイッチ、マイクロフォン等)とを有する。ECU10の出力はHMI8を介して車両の乗員に通知され、車両の乗員からの入力はHMI8を介してECU10に送信される。HMI8は、入力装置、出力装置又は入出力装置の一例である。なお、車両の乗員の携帯端末(スマートフォン、タブレット端末等)が、有線又は無線によってECU10と通信可能に接続され、HMI8として機能してもよい。また、HMI8はナビゲーション装置5と一体であってもよい。
【0034】
通信装置9は、車両の外部と通信可能であり、車両と車両の外部との通信を可能とする。例えば、通信装置9は、キャリア網又はインターネット網のような通信ネットワークを介して車両と車両の外部との広域通信を可能とする広域通信機(例えばデータ通信モジュール(DCM:Data Communication Module))と、所定の周波数帯を用いて車両と周辺車両との車車間通信を可能とする車車間通信機とを含む。
【0035】
ECU10は車両の各種制御を実行する。図1に示されるように、ECU10は、通信インターフェース11、メモリ12及びプロセッサ13を備える。通信インターフェース11及びメモリ12は信号線を介してプロセッサ13に接続されている。なお、本実施形態では、一つのECU10が設けられているが、機能毎に複数のECUが設けられていてもよい。
【0036】
通信インターフェース11は、ECU10を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。ECU10は通信インターフェース11を介して他の車載機器に接続される。通信インターフェース11はECU10の通信部の一例である。
【0037】
メモリ12は、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ12は、プロセッサ13によって各種処理が実行されるときに使用されるコンピュータプログラム、データ等を記憶する。
【0038】
プロセッサ13は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。なお、プロセッサ13は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0039】
ところで、車両の走行に必要な燃料又は電力の量を低減するためには、走行時の空気抵抗を低減することが有効である。従来、走行時の空気抵抗を低減するための手法として、車両を先行車に追従させる追従走行を行うことが知られている。追従走行では、先行車による風除け効果により、先行車の後方を走行する車両に作用する空気抵抗が低減される。なお、複数の車両が隊列を組んで走行する隊列走行は追従走行の一例である。
【0040】
図2は、複数の車両が自動車専用道路を走行している場面の一例を示す図である。図2の例では、自車両20の周囲において5台の周辺車両30が走行している。斯かる状況では、複数の車両(5台の周辺車両30)が追従走行のための自車両の先行車候補となる。
【0041】
自車両が追従走行を行う場合、追従走行によって得られる効果ができるだけ大きくなるように先行車が選定されることが望ましい。そこで、本実施形態では、自車両に搭載されたECU10が、自車両の追従対象として適した先行車を選定する先行車選定装置として機能する。
【0042】
図3は、第一実施形態におけるECU10のプロセッサ13の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ13は、第1走行距離推定部15、追従距離推定部16及び先行車選択部17を有する。第1走行距離推定部15、追従距離推定部16及び先行車選択部17は、ECU10のメモリ12に記憶されたコンピュータプログラムをECU10のプロセッサ13が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、それぞれ、プロセッサ13に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0043】
第1走行距離推定部15は、自車両の周囲の複数の周辺車両の各々について、周辺車両に関する情報に基づいて、周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する。例えば、周辺車両に関する情報は、周辺車両のバッテリ充電率(SOC:State Of Charge)又は残燃料量と、周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含む。すなわち、第1走行距離推定部15は、周辺車両のSOC又は残燃料量と、周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方に基づいて、周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する。このことによって、休憩地点及び目的地を含む詳細な走行計画を周辺車両から取得することなく、周辺車両の現在からの連続走行距離を推定することができる。以下、周辺車両の現在からの連続走行距離の推定方法の具体例について説明する。
【0044】
目的地へ向かって走行している車両が走行車線から離脱する場面の一例として、電力不足のための車両への給電又は燃料不足のための車両への給油が挙げられる。すなわち、車両の航続可能距離がゼロになると、給電又は給油のために車両の連続走行が中断されて車両が停車する。また、基本的に、車両の航続可能距離は、車両のSOCが低いほど短くなり、車両の残燃料量が少ないほど短くなる。このため、第1走行距離推定部15は、周辺車両の現在からの連続走行距離を推定するために、周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて周辺車両の航続可能距離を算出する。なお、周辺車両の航続可能距離とは、周辺車両が給電及び給油を必要とすることなく走行可能な距離を意味する。
【0045】
また、目的地へ向かって走行している車両が走行車線から離脱する場面の別の例として、ドライバの疲労回復のための休憩が挙げられる。すなわち、車両のドライバの運転可能距離がゼロになると、休憩のために車両の連続走行が中断されて車両が停車する。また、基本的に、車両のドライバの運転可能距離は、車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離が長いほど短くなる。このため、第1走行距離推定部15は、周辺車両の現在からの連続走行距離を推定するために、周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する。
【0046】
そして、第1走行距離推定部15は周辺車両の航続可能距離と周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離とを比較することによって周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する。具体的には、第1走行距離推定部15は航続可能距離及び運転可能距離のうちの短い方の距離を周辺車両の現在からの連続走行距離に設定する。すなわち、給電又は給油が休憩よりも先に行われることが予想される場合には、航続可能距離が連続走行距離に設定され、休憩が給電又は給油よりも先に行われることが予想される場合には、運転可能距離が連続走行距離に設定される。
【0047】
追従距離推定部16は、複数の周辺車両の各々について、周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、自車両が周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する。本実施形態では、追従距離推定部16は周辺車両の現在からの連続走行距離を追従可能距離に設定する。
【0048】
先行車選択部17は追従可能距離に基づいて複数の周辺車両の中から先行車を選択する。具体的には、先行車選択部17は、追従可能距離が最も長い周辺車両を先行車として選択する。このことによって、追従走行の継続時間を長くすることができ、ひいては追従走行によって得られる効果を高めることができる。また、本実施形態では、休憩地点及び目的地を含む詳細な走行計画を周辺車両から取得することなく、自車両が周辺車両に追従する場合の追従可能距離が算出される。このため、周辺車両の詳細な走行計画に頼ることなく、自車両の追従対象として適した先行車を選定することができる。
【0049】
以下、図4及び図5を参照して、上述した処理の制御フローについて詳細に説明する。図4は、第一実施形態における先行車選定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU10のプロセッサ13によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。
【0050】
最初に、ステップS101において、先行車選択部17は、追従走行の開始条件が成立しているか否かを判定する。追従走行の開始条件は、予め定められ、例えば自車両の乗員がHMI8を介してACCの作動を要求したときに成立する。なお、追従走行の開始条件は、自車両が所定値以上の速度で自動車専用道路を走行していること等であってもよい。ステップS101において追従走行の開始条件が成立していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。
【0051】
一方、ステップS101において追従走行の開始条件が成立していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS102に進む。ステップS102では、先行車選択部17は、車車間通信によって自車両と通信可能な周辺車両の数N、すなわち車車間通信の通信範囲に位置する周辺車両の数Nを特定し、N台の周辺車両のそれぞれに車両番号(1~N)を割り当てる。
【0052】
次いで、ステップS103において、先行車選択部17は車両番号iに1を加算することによって車両番号iを更新する。なお、自車両のイグニッションスイッチがオンにされたときの車両番号iの初期値はゼロである。
【0053】
次いで、ステップS104において、図5に示されるサブルーチンが実行される。図5は、第一実施形態における追従可能距離推定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0054】
最初に、ステップS201において、第1走行距離推定部15は、自車両と周辺車両との車車間通信を介して、周辺車両に関する情報を取得する。本実施形態では、周辺車両に関する情報として、周辺車両の位置、速度、SOC又は残燃料量、現在までの連続走行時間又は連続走行距離、所定期間における平均電費又は平均燃費等が周辺車両から自車両に送信される。連続走行時間又は連続走行距離の計測の始点は、イグニションスイッチがオンにされたとき、又は車両が所定時間(例えば5分~20分)以上停車してから発進したときである。
【0055】
次いで、ステップS202において、第1走行距離推定部15は周辺車両の航続可能距離を算出する。例えば、周辺車両が電力を動力源とする車両(例えば、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)等)である場合、第1走行距離推定部15は周辺車両のSOC及び所定期間における平均電費に基づいて周辺車両の航続可能距離を算出する。具体的には、第1走行距離推定部15は、SOCに相当する残電力量に平均電費を乗算することによって航続可能距離を算出する。一方、周辺車両が燃料を動力源とする車両(例えば、ガソリン車、ディーゼル車等)である場合、第1走行距離推定部15は周辺車両の残燃料量及び所定期間における平均燃費に基づいて周辺車両の航続可能距離を算出する。具体的には、第1走行距離推定部15は残燃料量に平均燃費を乗算することによって航続可能距離を算出する。なお、周辺車両から送信される平均電費又は平均燃費の代わりに、予め定められた値が用いられてもよい。
【0056】
次いで、ステップS203において、第1走行距離推定部15は周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する。例えば、第1走行距離推定部15は周辺車両の現在までの連続走行時間及び周辺車両の車速に基づいて周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する。具体的には、第1走行距離推定部15は、所定の上限連続走行時間(例えば4時間)から現在までの連続走行時間を減算した値に車速を乗算することによって現在からの運転可能距離を算出する。なお、上限連続走行時間の後半部分では休憩の可能性が高まるため、後半部分が重み付けされてもよい。この場合、例えば、上限連続走行時間が4(h)であり、重み付けが0.5であり、現在までの連続走行時間が1(h)である場合には、2(h)(2(h)+2(h)×0.5-1(h))に車速を乗算することによって現在からの運転可能距離が算出される。また、車車間通信を介して周辺車両におけるACCの設定車速が自車両に送信される場合、周辺車両の速度として、周辺車両におけるACCの設定車速が用いられてもよい。
【0057】
また、第1走行距離推定部15は周辺車両の現在までの連続走行距離に基づいて周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出してもよい。この場合、第1走行距離推定部15は所定の上限連続走行距離(例えば400~500km)から現在までの連続走行距離を減算することによって現在からの運転可能距離を算出する。
【0058】
次いで、ステップS204において、第1走行距離推定部15は周辺車両の航続可能距離と周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離とに基づいて周辺車両の現在からの連続走行距離を推定する。具体的には、第1走行距離推定部15は航続可能距離及び運転可能距離のうちの短い方の距離を現在からの連続走行距離に設定する。
【0059】
次いで、ステップS205において、追従距離推定部16は、周辺車両の現在からの連続走行距離に基づいて、自車両が周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する。具体的には、追従距離推定部16は周辺車両の現在からの連続走行距離を追従可能距離に設定する。
【0060】
ステップS205の後、図5のサブルーチンが終了し、本制御ルーチンは図4のステップS105に進む。ステップS105では、先行車選択部17は、車両番号iがN以上であるか否かを判定する。車両番号iがN未満であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS103に戻り、別の周辺車両についての追従可能距離を算出するためにステップS104が再び実行される。
【0061】
一方、ステップS105において車両番号iがN以上であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS106に進む。ステップS106では、先行車選択部17は追従可能距離に基づいてN台の周辺車両の中から先行車を選択する。具体的には、先行車選択部17は、N台の周辺車両のうち、追従可能距離が最も長い周辺車両を先行車として選択する。
【0062】
次いで、ステップS107において、先行車選択部17はHMI8を介して先行車を自車両の乗員(例えばドライバ)に通知する。例えば、図2に示されるように自車両20の周辺車両30がHMI8のディスプレイに表示される場合、先行車選択部17は、先行車として選択された周辺車両30を他の周辺車両30とは異なる表示態様(例えば、透明度、輝度、色(色相)、色の明度、色の彩度等)で表示する。
【0063】
なお、視覚的な通知に加えて又は視覚的な通知の代わりに、先行車選択部17は、先行車として選択された周辺車両の後方に移動するための車線変更のタイミングを音声及び振動の少なくとも一方によって自車両の乗員に通知してもよい。例えば、振動によって右側の車線への車線変更が促される場合、先行車選択部17は、HMI8の振動ユニットを用いて、車線変更のタイミングで自車両のステアリングホイールの右半分を振動させる。
【0064】
また、自車両が、車両の加速、操舵及び減速(制動)の全てが自動的に実行される自動運転車両である場合、先行車選択部17は、先行車として選択された周辺車両に自車両が追従するように自車両のアクチュエータ7を制御してもよい。すなわち、先行車選択部17は先行車への追従走行を自動的に開始してもよい。
【0065】
次いで、ステップS108において、先行車選択部17は車両番号iをゼロにリセットする。ステップS108の後、本制御ルーチンは終了する。
【0066】
なお、図5のステップS203が省略され、第1走行距離推定部15は、周辺車両の現在からの連続走行距離として、周辺車両のSOC又は残燃料量に基づいて周辺車両の航続可能距離を算出してもよい。また、図5のステップS202が省略され、第1走行距離推定部15は、周辺車両の現在からの連続走行距離として、周辺車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて周辺車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出してもよい。
【0067】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る車両制御システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両制御システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0068】
上述したように、追従走行の効果を高めるためには、追従可能距離が長い周辺車両を先行車として選択することが望ましい。しかしながら、追従可能距離が最も長い周辺車両が常に先行車として最適であるとは限らない。そこで、第二実施形態では、自車両が周辺車両を所定距離だけ追従したときの効果を表す効果指数が算出され、追従可能距離及び効果指数に基づいて複数の周辺車両の中から先行車が選択される。このことによって、自車両の追従対象としてより適した先行車を選定することができる。
【0069】
図6は、第二実施形態におけるECU10のプロセッサ13の機能ブロック図である。第二実施形態では、プロセッサ13は、第1走行距離推定部15、追従距離推定部16及び先行車選択部17に加えて、効果指数算出部18を有する。第1走行距離推定部15、追従距離推定部16、先行車選択部17及び効果指数算出部18は、ECU10のメモリ12に記憶されたコンピュータプログラムをECU10のプロセッサ13が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、それぞれ、プロセッサ13に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0070】
効果指数算出部18は、複数の周辺車両の各々について、周辺車両に関する情報に基づいて、自車両が周辺車両を所定距離だけ追従したときの効果を表す効果指数を算出する。そして、第二実施形態では、先行車選択部17は、追従距離推定部16によって推定された追従可能距離と、効果指数算出部18によって算出された効果指数とに基づいて複数の周辺車両の中から先行車を選択する。
【0071】
例えば、追従走行による空気抵抗の低減度が大きいほど、追従走行による燃費又は電費の改善効果が高くなる。また、自車両と周辺車両との相対速度が小さい場合には、相対速度が大きい場合と比べて、周辺車両への追従が容易となる。さらに、周辺車両の車速安定度が高いほど、追従走行時の自車両の加減速による電力又は燃料の浪費を低減することができる。このため、本実施形態では、効果指数算出部18は、周辺車両への追従走行による空気抵抗の低減度と、自車両と周辺車両との相対速度と、周辺車両の車速安定度とに基づいて効果指数を算出する。
【0072】
図7は、第二実施形態における先行車選定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU10のプロセッサ13によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。
【0073】
ステップS301~S304は、図4のステップS101~S104と同様に実行される。ステップS304の後、ステップS305において、図8に示されるサブルーチンが実行される。図8は、第二実施形態における効果指数算出処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0074】
最初に、ステップS401において、効果指数算出部18は、自車両と周辺車両との車車間通信を介して、周辺車両に関する情報を取得する。本実施形態では、周辺車両に関する情報として、周辺車両の位置、速度、車幅、車長、周辺車両におけるACCの作動状態(オン又はオフ)等が取得される。
【0075】
次いで、ステップS402において、効果指数算出部18は、周辺車両に関する情報に基づいて、自車両と周辺車両との相対速度を算出する。具体的には、効果指数算出部18は、車両状態検出装置6の車速センサによって検出された自車両の速度と周辺車両の速度との差として自車両と周辺車両との相対速度を算出する(相対速度=|自車両の速度-周辺車両の速度|)。なお、自車両の速度として、自車両の乗員(例えばドライバ)によって設定されたACCの設定車速が用いられてもよい。また、車車間通信を介して周辺車両におけるACCの設定車速が自車両に送信される場合、周辺車両の速度として、周辺車両におけるACCの設定車速が用いられてもよい。
【0076】
次いで、ステップS403において、効果指数算出部18は、周辺車両に関する情報に基づいて、周辺車両への追従走行による空気抵抗の低減度を算出する。例えば、効果指数算出部18は、周辺車両の車幅及び車長に基づいて周辺車両の前方投影面積の推定値を算出し、この推定値と周辺車両の速度とに基づいて空気抵抗の低減度を算出する。この場合、前方投影面積の推定値が大きいほど、空気抵抗の低減度が大きくされる。なお、車車間通信を介して周辺車両の用途種別情報(例えば、旅客運送事業用自動車、貨物運送事業用自動車等)及びサイズ種別情報(例えば、大型自動車、中型自動車、普通自動車等)が自車両に送信され、効果指数算出部18は用途種別情報及びサイズ種別情報に基づいて空気抵抗の低減度を算出してもよい。
【0077】
次いで、ステップS404において、効果指数算出部18は、周辺車両に関する情報に基づいて、周辺車両の車速安定度を算出する。例えば、効果指数算出部18は周辺車両におけるACCの作動状態に基づいて周辺車両の車速安定度を算出する。この場合、ACCの作動状態がオンである場合には、ACCの作動状態がオフである場合に比べて、周辺車両の車速安定度が高くされる。なお、効果指数算出部18は周辺車両の車速の履歴(例えば所定時間における車速の変化量)等に基づいて周辺車両の車速安定度を算出してもよい。
【0078】
次いで、ステップS405において、効果指数算出部18は、マップ又は計算式を用いて、相対速度、空気抵抗の低減度及び車速安定度に基づいて、i番目の周辺車両についての効果指数を算出する。このとき、相対速度が小さいほど効果指数が高くされ、空気抵抗の低減度が大きいほど効果指数が高くされ、車速安定度が高いほど効果指数が高くされる。例えば、効果指数はA~Eのランクに分類され、ランクがAである場合に効果指数が最も高くなり、ランクがEである場合に効果指数が最も低くなる。
【0079】
なお、効果指数算出部18は、先行車の選定に関する自車両の乗員の嗜好情報に基づいて、効果指数を補正してもよい。この場合、嗜好情報は、自車両の乗員によって予め登録され、ECU10のメモリ12等に記憶される。例えば、自車両の乗員は、嗜好情報として、バス又はトラックのような大型車両への追従を許容するか否か、追従走行のための自車両の車線変更を許容するか否か等をHMI8に入力する。この場合、大型車両への追従が許容されていない場合には、大型車両である周辺車両についての効果指数が低くなるように効果指数が補正される(例えば効果指数がゼロにされる)。また、追従走行のための自車両の車線変更が許容されていない場合には、自車両とは異なる車線を走行する周辺車両についての効果指数が低くなるように効果指数が補正される(例えば効果指数がゼロにされる)。
【0080】
ステップS405の後、図8のサブルーチンが終了し、本制御ルーチンは図7のS306に進む。ステップS306では、先行車選択部17は、車両番号iがN以上であるか否かを判定する。車両番号iがN未満であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS303に戻り、別の周辺車両についての追従可能距離及び効果指数を算出するためにステップS304及びS305が再び実行される。
【0081】
一方、ステップS306において車両番号iがN以上であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS307に進む。ステップS307では、先行車選択部17は追従可能距離及び効果指数に基づいてN台の周辺車両の中から先行車を選択する。例えば、先行車選択部17は、N台の周辺車両の各々について追従可能距離及び効果指数に基づいて評価値を決定し、N台の周辺車両のうち、評価値が最も高い周辺車両を先行車として選択する。
【0082】
評価値は、例えば、図9に示されるようなテーブル(表)を用いて決定される。図9は、周辺車両についての評価値を決定するためのテーブルの一例を示す図である。図9の例では、縦軸に追従可能距離の値が記載され、横軸に効果指数のランクが記載されている。図9に示されるように、評価値は、追従可能距離が長いほど高くされ、効果指数が高いほど高くされる。なお、効果指数が数値として算出され、マップ又は計算式を用いて、追従可能距離及び効果指数に基づいて評価値が決定されてもよい。
【0083】
次いで、図4のステップS107及びS108と同様に、ステップS308において先行車選択部17は先行車を自車両の乗員に通知し、ステップS309において先行車選択部17は車両番号iをゼロにリセットする。ステップS309の後、本制御ルーチンは終了する。
【0084】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る車両制御システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第二実施形態に係る車両制御システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第二実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0085】
第一実施形態及び第二実施形態では、自車両が周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定するために、周辺車両の現在からの連続走行距離が推定される。しかしながら、給電、給油、休憩等のために、周辺車両よりも先に自車両が停車する可能性がある。この場合、自車両の現在からの連続走行距離によって追従可能距離が制限される。そこで、第三実施形態では、周辺車両の現在からの連続走行距離及び自車両の現在からの連続走行距離に基づいて追従可能距離が推定される。このことによって、追従可能距離をより精度良く推定することができ、ひいては自車両の追従対象としてより適した先行車を選定することができる。
【0086】
図10は、第三実施形態におけるECU10のプロセッサ13の機能ブロック図である。第三実施形態では、プロセッサ13は、第1走行距離推定部15、追従距離推定部16、先行車選択部17及び効果指数算出部18に加えて、第2走行距離推定部19を有する。第1走行距離推定部15、追従距離推定部16、先行車選択部17、効果指数算出部18及び第2走行距離推定部19は、ECU10のメモリ12に記憶されたコンピュータプログラムをECU10のプロセッサ13が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、それぞれ、プロセッサ13に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0087】
第2走行距離推定部19は、自車両に関する情報に基づいて、自車両の現在からの連続走行距離を推定する。例えば、自車両に関する情報は、自車両のSOC又は残燃料量と、自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方を含む。すなわち、第2走行距離推定部19は、自車両のSOC又は残燃料量と、自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離との少なくとも一方に基づいて、自車両の現在からの連続走行距離を推定する。このことによって、休憩地点及び目的地を含む詳細な走行計画の入力を自車両の乗員に強いることなく、自車両の現在からの連続走行距離を推定することができる。
【0088】
自車両の現在からの連続走行距離は、周辺車両の現在からの連続走行距離と同様に以下のように推定される。すなわち、第2走行距離推定部19は、自車両の現在からの連続走行距離を推定するために、自車両のSOC又は残燃料量に基づいて自車両の航続可能距離を算出し、自車両の現在までの連続走行時間又は連続走行距離に基づいて自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する。そして、第2走行距離推定部19は自車両の航続可能距離と自車両のドライバの現在からの運転可能距離とを比較することによって自車両の現在からの連続走行距離を推定する。具体的には、第2走行距離推定部19は航続可能距離及び運転可能距離のうちの短い方の距離を自車両の現在からの連続走行距離に設定する。
【0089】
また、第三実施形態では、追従距離推定部16は、複数の周辺車両の各々について、周辺車両の現在からの連続走行距離及び自車両の現在からの連続走行距離に基づいて、自車両が周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する。具体的には、追従距離推定部16は、周辺車両の現在からの連続走行距離及び自車両の現在からの連続走行距離のうちの短い方の距離を追従可能距離に設定する。
【0090】
第三実施形態では、第二実施形態と同様に図7の制御ルーチンが実行され、ステップS304において、図5に示されるサブルーチンの代わりに、図11に示されるサブルーチンが実行される。図11は、第三実施形態における追従可能距離推定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0091】
最初に、ステップS501において、第2走行距離推定部19は自車両の航続可能距離を算出する。例えば、自車両が電力を動力源とする車両(例えば、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)等)である場合、第2走行距離推定部19は自車両のSOC及び所定期間における平均電費に基づいて自車両の航続可能距離を算出する。具体的には、第2走行距離推定部19は、SOCに相当する残電力量に平均電費を乗算することによって航続可能距離を算出する。自車両のSOCは、例えば、車両状態検出装置6のバッテリセンサによって検出されたバッテリの電圧及び温度又はバッテリの入出力電流に基づいて算出される。一方、自車両が燃料を動力源とする車両(例えば、ガソリン車、ディーゼル車等)である場合、第2走行距離推定部19は自車両の残燃料量及び所定期間における平均燃費に基づいて自車両の航続可能距離を算出する。具体的には、第2走行距離推定部19は残燃料量に平均燃費を乗算することによって航続可能距離を算出する。
【0092】
次いで、ステップS502において、第2走行距離推定部19は自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する。例えば、第2走行距離推定部19は自車両の現在までの連続走行時間及び自車両の車速に基づいて自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出する。具体的には、第2走行距離推定部19は、所定の上限連続走行時間(例えば4時間)から現在までの連続走行時間を減算した値に車速を乗算することによって現在からの運転可能距離を算出する。なお、上限連続走行時間の後半部分では休憩の可能性が高まるため、後半部分が重み付けされてもよい。また、自車両の速度として、ACCの設定車速が用いられてもよい。
【0093】
また、第2走行距離推定部19は自車両の現在までの連続走行距離に基づいて自車両のドライバの現在からの運転可能距離を算出してもよい。この場合、第2走行距離推定部19は所定の上限連続走行距離(例えば400~500km)から現在までの連続走行距離を減算することによって現在からの運転可能距離を算出する。
【0094】
次いで、ステップS503において、第2走行距離推定部19は自車両の航続可能距離と自車両のドライバの現在からの運転可能距離とに基づいて自車両の現在からの連続走行距離を推定する。具体的には、第2走行距離推定部19は航続可能距離及び運転可能距離のうちの短い方の距離を現在からの連続走行距離に設定する。
【0095】
次いで、ステップS504~S507は図5のステップS201~S204と同様に実行される。ステップS507の後、ステップS508において、追従距離推定部16は、周辺車両の現在からの連続走行距離及び自車両の現在からの連続走行距離に基づいて、自車両が周辺車両に追従する場合の追従可能距離を推定する。具体的には、追従距離推定部16は、周辺車両の現在からの連続走行距離及び自車両の現在からの連続走行距離のうちの短い方の距離を追従可能距離に設定する。ステップS508の後、図11のサブルーチンが終了し、第二実施形態に関して上述したように図7のステップS306~S309が実行される。
【0096】
<第四実施形態>
第四実施形態に係る車両制御システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両制御システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第四実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0097】
図12は、本発明の第四実施形態に係る先行車選定装置を含むクライアントサーバシステム100の概略的な構成図である。クライアントサーバシステム100はサーバ40及び複数の車両50を備える。サーバ40はキャリア網又はインターネット網のような通信ネットワーク60と無線基地局70とを介して複数の車両50の各々と通信可能である。すなわち、サーバ40は広域通信を介して複数の車両50の各々と通信可能である。
【0098】
図13は、サーバ40の構成を概略的に示す図である。サーバ40は、通信インターフェース41、ストレージ装置42、メモリ43及びプロセッサ44を備える。通信インターフェース41、ストレージ装置42及びメモリ43は、信号線を介してプロセッサ44に接続されている。なお、サーバ40は、キーボード及びマウスのような入力装置、ディスプレイのような出力装置等を更に備えていてもよい。また、サーバ40は複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0099】
通信インターフェース41は、サーバ40を通信ネットワーク60に接続するためのインターフェース回路を有する。サーバ40は通信ネットワーク60を介してサーバ40の外部(例えば複数の車両50)と通信する。通信インターフェース41はサーバ40の通信部の一例である。
【0100】
ストレージ装置42は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)又は光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。ストレージ装置42は、各種データを記憶し、例えば、地図情報、複数の車両50の情報(識別情報、位置情報等)、プロセッサ44が各種処理を実行するためのコンピュータプログラム等を記憶する。ストレージ装置42はサーバ40の記憶部の一例である。
【0101】
メモリ43は不揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)を有する。メモリ43は、例えばプロセッサ44によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を一時的に記憶する。メモリ43はサーバ40の記憶部の別の一例である。
【0102】
プロセッサ44は、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ44は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットのような他の演算回路を更に有していてもよい。
【0103】
第四実施形態では、サーバ40がECU10の代わりに先行車選定装置として機能し、サーバ40のプロセッサ44が、第1走行距離推定部15、追従距離推定部16及び先行車選択部17を有する。この場合、第1走行距離推定部15、追従距離推定部16及び先行車選択部17は、サーバ40のストレージ装置42に記憶されたコンピュータプログラムをサーバ40のプロセッサ44が実行することによって実現される機能モジュールである。
【0104】
したがって、第四実施形態では、図4の先行車選定処理の制御ルーチンがサーバ40のプロセッサ44によって実行される。最初に、ステップS101において、先行車選択部17は、複数の車両50のうちのいずれかの車両50において、追従走行の開始条件が成立しているか否かを判定する。この判定が肯定された場合、以下の処理ステップにおいて、追従走行の開始条件を満たした車両50が自車両として認識される。
【0105】
ステップS102では、先行車選択部17は、自車両を含む複数の車両50の位置情報に基づいて、自車両の周囲(例えば自車両の前方及び後方の所定範囲)に位置する周辺車両の数Nを特定し、N台の周辺車両のそれぞれに車両番号(1~N)を割り当てる。
【0106】
次いで、ステップS103において、先行車選択部17は車両番号iに1を加算する。なお、車両番号iの初期値はゼロである。
【0107】
次いで、ステップS304において、図5に示されるサブルーチンが実行される。
【0108】
最初に、ステップS201において、第1走行距離推定部15は、サーバ40と周辺車両との広域通信を介して、周辺車両に関する情報を取得する。本実施形態では、周辺車両に関する情報として、周辺車両の位置、速度、SOC又は残燃料量、現在までの連続走行時間又は連続走行距離、所定期間における平均電費又は平均燃費等が周辺車両からサーバ40に送信される。ステップS201の後、ステップS202~S205は第一実施形態と同様に実行される。
【0109】
ステップS205の後、図5のサブルーチンが終了し、本制御ルーチンは図4のステップS105に進む。ステップS105及びS106は第一実施形態と同様に実行される。ステップS106の後、ステップS107において、先行車選択部17は先行車を自車両の乗員に通知する。具体的には、先行車選択部17は、先行車に関する情報(例えば先行車の位置情報等)を自車両に送信する。この結果、自車両のECU10はHMI8を介して先行車を自車両の乗員に通知する。すなわち、先行車選択部17は自車両のECU10を介して先行車を自車両の乗員に通知する。
【0110】
次いで、ステップS108において先行車選択部17は車両番号iをゼロにリセットし、ステップS108の後、本制御ルーチンは終了する。
【0111】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、車両制御システム1が設けられる車両は、運転支援機能を有しない手動運転車両であってもよい。
【0112】
また、ECU10のプロセッサ13又はサーバ40のプロセッサ44が有する各部の機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムは、コンピュータによって読取り可能な記録媒体に記憶された形で提供されてもよい。コンピュータによって読取り可能な記録媒体は、例えば、磁気記録媒体、光記録媒体、又は半導体メモリである。
【0113】
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。第二実施形態又は第三実施形態と第四実施形態とが組み合わされる場合には、第二実施形態又は第三実施形態においてECU10によって実行される処理がサーバ40によって実行される。
【符号の説明】
【0114】
10 電子制御ユニット(ECU)
13 プロセッサ
15 第1走行距離推定部
16 追従距離推定部
17 先行車選択部
20 自車両
30 周辺車両
40 サーバ
44 プロセッサ
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