IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7613386車両制御装置、車両制御方法及びプログラム
<>
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法及びプログラム 図1
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法及びプログラム 図2
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法及びプログラム 図3
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法及びプログラム 図4
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法及びプログラム 図5
  • 特許-車両制御装置、車両制御方法及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/16 20200101AFI20250107BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250107BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20250107BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B60W50/16
G08G1/16 E
B60W30/16
B60K26/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022002488
(22)【出願日】2022-01-11
(65)【公開番号】P2023102115
(43)【公開日】2023-07-24
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 裕文
(72)【発明者】
【氏名】グエン ヴァン クイ フン
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-249891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0108754(US,A1)
【文献】特開2005-041360(JP,A)
【文献】特開2003-205760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/16
G08G 1/16
B60W 30/16
B60K 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、前記プロセッサは、
自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得し、
前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する車両制御装置であって、
前記プロセッサは、前記先行車両が車線境界線を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出すると共に、前記自車両と前記先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に前記アクセルペダルに反力を付加した付加状態とし、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が前記第2閾値より大きい場合、かつ、前記自車両に対する前記先行車両の車幅方向の相対移動距離が増加した場合に前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
先行車両を検知するセンサと、
アクセルペダルに反力を付加可能な反力付加機構と、
請求項1又は2に記載の車両制御装置と、
を有する車両。
【請求項4】
コンピュータにより、自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得し、
前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する車両制御方法であって、
前記先行車両が車線境界線を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出すると共に、前記自車両と前記先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に前記アクセルペダルに反力を付加した付加状態とし、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する車両制御方法。
【請求項5】
自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得し、
前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記先行車両が車線境界線を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出すると共に、前記自車両と前記先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に前記アクセルペダルに反力を付加した付加状態とし、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する処理を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両周囲のリスク度を算出し、算出されたリスク度が増加するほどアクセルペダルの反力を増加させる車両用運転操作補助装置が開示されている。この特許文献1に記載された車両用運転操作補助装置では、自車両が追従すべき先行車(先行車両)までの車間距離及び相対車速に基づいてリスク度が算出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-205760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置では、先行車両が右左折している状況などのように、自車両の運転者が加速したいシチュエーションにおいてアクセルペダルに反力が付加される可能性がある。このため、運転を妨げることなく運転支援を行うためには改善の余地がある。
【0005】
本発明は、運転を妨げることなく運転支援を行うことができる車両制御装置、車両制御方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る車両制御装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得し、前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する車両制御装置であって、前記プロセッサは、前記先行車両が車線境界線を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出すると共に、前記自車両と前記先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に前記アクセルペダルに反力を付加した付加状態とし、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する。
【0007】
請求項1に係る車両制御装置では、プロセッサによって自車両の前方を走行する先行車両の位置情報が取得される。また、プロセッサは、自車両と先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する。このように、自車両と先行車両と車幅方向の車間を考慮して反力付加機構を制御する。これにより、先行車両が右左折した直後などのように運転者が加速したいシチュエーションで不用意にアクセルペダルに反力が付加されるのを抑制することができる。なお、ここでいう「車幅方向の車間」とは、車幅方向の車間距離に限定されず、車間時間を広く含む概念である。
【0009】
また、自車両と先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に反力付加機構によってアクセルペダルに反力が付加される。これにより、運転者に対して先行車両に近づいていることを喚起させることができる。また、付加状態で自車両と先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、反力付加機構によってアクセルペダルに付加する反力を小さくすることで、運転者が加速したい場合に運転を妨げずに済む。なお、ここでいう「アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように反力付加機構を制御する」とは、反力付加機構によって反力が付加された状態を解除する構成を含む概念である。
【0010】
請求項に係る車両制御装置は、請求項において、前記プロセッサは、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が前記第2閾値より大きい場合、かつ、前記自車両に対する前記先行車両の車幅方向の相対移動距離が増加した場合に前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する。
【0011】
請求項に係る車両制御装置では、自車両と先行車両との車幅方向の車間だけでなく、自車両に対する先行車両の車幅方向の相対移動距離を考慮してアクセルペダルに付加した反力を小さくすることで、快適性を維持しつつ、安全性を高めることができる。
【0014】
請求項に係る車両は、先行車両を検知するセンサと、アクセルペダルに反力を付加可能な反力付加機構と、請求項1又は2に記載の車両制御装置と、を有する。
【0015】
請求項に係る車両では、センサによって先行車両が検知され、反力付加機構によってアクセルペダルに反力が付加される。そして、車両制御装置は、センサで検知された情報に基づいて先行車両の位置情報を取得し、取得された先行車両の位置情報から、自車両と先行車両との前後方向及び車幅方向の車間に基づいて反力付加機構を制御する。これにより、先行車両が右左折した直後などのように運転者が加速したいシチュエーションで不用意にアクセルペダルに反力が付加されるのを抑制することができる。
【0016】
請求項に係る車両制御方法は、コンピュータにより、自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得し、前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する車両制御方法であって、前記先行車両が車線境界線を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出すると共に、前記自車両と前記先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に前記アクセルペダルに反力を付加した付加状態とし、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する。
【0017】
請求項に係るプログラムは、自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得し、前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間に基づいてアクセルペダルに反力を付加する反力付加機構を制御する、処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記先行車両が車線境界線を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出すると共に、前記自車両と前記先行車両との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合に前記アクセルペダルに反力を付加した付加状態とし、前記付加状態で前記自車両と前記先行車両との車幅方向の車間が第2閾値より大きくなるにつれて、前記アクセルペダルに付加した反力が小さくなるように前記反力付加機構を制御する処理を含むプログラム。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る車両制御装置、車両制御方法及びプログラムによれば、運転を妨げることなく運転支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る車両制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施形態における自車両と先行車両とが同一車線を走行している状態を示す概略図である。
図4図3の状態から先行車両が左折した状態を示す概略図である。
図5】実施形態における車両制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】変形例における自車両と先行車両とが同一車線でカーブを走行している状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態に係る車両制御装置12を含む車両10について、図面を参照して説明する。
【0021】
(車両10のハードウェア構成)
図1は、車両10のハードウェア構成を示すブロック図である。この図1に示されるように、車両10は、車両制御装置12を備えている。車両制御装置12は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、ストレージ26、通信I/F(通信インタフェース)28及び入出力I/F(入出力インタフェース)30を含んで構成されている。各構成は、バス32を介して相互に通信可能に接続されている。
【0022】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM22又はストレージ26からプログラムを読み出し、RAM24を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU20は、ROM22又はストレージ26に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0023】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM24は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する非一時的記録媒体である。ストレージ26は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。本実施形態では、ストレージ26には、車両制御処理を行うための車両制御プログラム及び各種データなどが格納されている。
【0024】
通信I/F28は、車両制御装置12がサーバ及び他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0025】
入出力I/F30には、前方センサ34及びアクセルペダル36が電気的に接続されている。前方センサ34は、車両前方の障害物を検知可能なセンサであり、例えば、カメラ、レーダ、ライダ(LIDAR;Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)などを含んで構成されている。特に本実形態では、自車両の前方を走行する先行車両を検知するために前方センサ34が用いられる。
【0026】
アクセルペダル36は、運転席の下部に配置されており、運転者がアクセルペダル36を踏みこんだ踏み込み量に応じて車両10に推進力を発生させる。また、アクセルペダル36には反力付加機構37が設けられている。反力付加機構37は、アクセルペダル36に反力を付加可能な機構であり、例えば、アクセルペダル36に接続されたサーボモータを含んで構成されている。そして、反力付加機構37が作動することで、サーボモータから所定のトルクを発生させることでアクセルペダル36に任意の反力を付加することが可能となっている。
【0027】
また、サーボモータに組み込まれたストロークセンサによってアクセルペダル36の踏み込み量を検出可能となっており、アクセルペダル36の踏み込み量に応じて付加する反力を変化させてもよい。
【0028】
(車両制御装置12の機能構成)
車両制御装置12は、図1で示されたハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。車両制御装置12が実現する機能構成について図2を参照して説明する。
【0029】
図2に示されるように、車両制御装置12は、機能構成として、位置情報取得部40、前後方向車間算出部42、車幅方向車間算出部44及び反力制御部46を含んで構成されている。なお、各機能構成は、CPU20がROM22又はストレージ26に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0030】
位置情報取得部40は、自車両の前方を走行する先行車両の位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得部40は、前方センサ34によって検知された情報に基づいて先行車両の位置情報を取得する。
【0031】
図3には、自車両V1が走行している車線と同一の車線を先行車両V2が走行している状況が図示されている。この図3に示されるように、自車両V1の前部に設けられた前方センサ34の検知範囲ARに障害物として先行車両V2が走行している場合、位置情報取得部40によって先行車両V2の位置情報が取得される。なお、図3、4、6において、説明の便宜上、前方センサ34の大きさを誇張して描いている。また、図中の52は、センターラインを示しており、図中の54は、車線境界線を示している。
【0032】
図2に示されるように、前後方向車間算出部42は、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間を算出する。具体的には、前後方向車間算出部42は、位置情報取得部40の機能によって前方センサ34から取得された情報に基づいて、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間を算出する。一例として、図3では、自車両V1の前端から先行車両V2の後端までの距離L1が前後方向の車間として算出される。
【0033】
車幅方向車間算出部44は、自車両V1と先行車両V2との車両幅方向の車間を算出する。具体的には、車幅方向車間算出部44は、位置情報取得部40の機能によって前方センサ34から取得された情報に基づいて、自車両V1と先行車両V2との車両幅方向の車間を算出する。一例として、図3では、自車両V1の車幅に沿って延在された右基準線RLと左基準線LLとの間の領域の外側に存在する先行車両V2の車両幅方向の距離L2が車幅方向の車間として算出される。
【0034】
反力制御部46は、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1及び車幅方向の車間L2に基づいてアクセルペダル36に反力を付加する反力付加機構37を制御する。具体的には、反力制御部46は、前後方向車間算出部42の機能によって算出された自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1が、所定の第1閾値以上である場合、反力制御部46は、アクセルペダル36に反力を付加しない。
【0035】
また、反力制御部46は、前後方向車間算出部42の機能によって算出された自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1が、所定の第1閾値よりも小さくなった場合、原則としてアクセルペダル36に反力を付加する。本実施形態では一例として、反力制御部46は、先行車両V2が前方センサ34の検知範囲AR内に入った場合、アクセルペダル36に反力を付加する。また、反力制御部46は、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1が小さくなるほどアクセルペダル36に付加する反力が増加するように反力付加機構37を制御する。
【0036】
さらに、反力制御部46は、アクセルペダル36に反力を付加した付加状態において、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値より大きい場合には、アクセルペダル36に付加した反力が小さくなるように反力付加機構37を制御する。第2閾値は、自車両V1が加速を開始した場合でも先行車両V2と衝突しない程度の距離に設定されている。
【0037】
図4には、先行車両V2が左折を開始した状況が図示されている。この図4に示されるように、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1は、図3と同様の距離となっている。一方、前方センサ34の検知範囲AR内における自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L2は、図3よりも大きい距離となっており、第2閾値よりも大きい距離である。この場合には、反力制御部46は、アクセルペダル36に付加した反力が小さくなるように反力付加機構37を制御する。
【0038】
なお、反力制御部46は、アクセルペダル36に反力を付加した付加状態で、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が前記第2閾値より大きい場合、かつ、自車両V1に対する先行車両V2の車幅方向の相対移動距離が増加した場合にアクセルペダル36に付加した反力が小さくなるように反力付加機構37を制御してもよい。この場合、自車両V1と先行車両V2との車幅方向だけでアクセルペダル36に付加する反力を制御する場合と比較して、より安全性能を高めることができる。
【0039】
また、アクセルペダル36に付加した反力が小さくなるように反力付加機構37を制御する際には、種々の方法を採用し得る。例えば、反力制御部46は、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値より大きくなった場合に、反力付加機構37によって反力が付加された状態を解除してもよい。また、反力制御部46は、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値より大きくなった場合に、アクセルペダル36に付加した反力を徐々に小さくしてもよい。さらに、反力制御部46は、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値より大きくなった場合に、車幅方向の車間が大きくなるにつれて反力が小さくなるように反力付加機構37を制御してもよい。
【0040】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0041】
(車両制御処理)
図5は、本実施形態に係る車両制御装置12による車両制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、この車両制御処理は、CPU20がストレージ26からプログラムを読み出して、RAM24に展開することによって実行される。
【0042】
図5に示されるように、CPU20は、ステップS102で先行車両V2を検知したか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、前方センサ34によって先行車両V2が検知された場合、ステップS102が肯定判定されてステップS104の処理へ移行する。一方、前方センサ34によって先行車両V2が検知されなかった場合、車両制御処理を終了する。
【0043】
CPU20は、ステップS104で自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1を算出する。また、CPU20は、ステップS106で自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2を算出する。
【0044】
CPU20は、ステップS108で前後方向の車間が第1閾値よりも小さいか否かについて判定する。CPU20は、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1が第1閾値よりも小さい場合は、ステップS110の処理へ移行する。また、CPU20は、前後方向の車間L1が第1閾値以上の場合、アクセルペダル36に反力を付加せず車両制御処理を終了する。
【0045】
CPU20は、ステップS110でアクセルペダル36に反力を付加する。具体的には、CPU20は、反力制御部46の機能によって反力付加機構37を作動させることで、アクセルペダル36に所定の反力を付加する。
【0046】
CPU20は、ステップS112で車幅方向の車間L2が第2閾値よりも大きいか否かについて判定する。CPU20は、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値よりも大きい場合は、ステップS114の処理へ移行する。また、CPU20は、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値以下である場合は、ステップS104の処理へ戻り、車間の算出を行う。
【0047】
CPU20は、ステップS114でアクセルペダル36に付加されている反力を小さくする。具体的には、CPU20は、反力制御部46の機能によって反力付加機構37を制御することで、アクセルペダル36に付加された反力を小さくする。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両制御装置12では、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1に基づいて反力付加機構37を制御するだけではなく、自車両V1と先行車両V2と車幅方向の車間L2を考慮して反力付加機構37を制御する。すなわち、自車両V1が先行車両V2に接触するリスクに基づいて反力付加機構37を制御する。これにより、先行車両V2が右左折した直後などのように運転者が加速したいシチュエーションで不用意にアクセルペダル36に反力が付加されるのを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間L1が第1閾値より小さい場合に反力付加機構37によってアクセルペダル36に反力が付加される。これにより、運転者に対して先行車両V2に近づいていることを喚起させることができる。
【0050】
一方、反力が付加された付加状態で自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間L2が第2閾値より大きい場合には、反力付加機構37によってアクセルペダル36に付加する反力を小さくすることで、運転者が加速したい場合に運転を妨げずに済む。
【0051】
なお、上記実施形態では、図3に示されるように、自車両V1の前端から先行車両V2の後端までの距離L1を前後方向の車間として算出し、右基準線RLと左基準線LLとの間の領域内に存在する先行車両V2の車両幅方向の距離L2を車幅方向の車間として算出したが、これに限定されず、他の方法で車間を算出してもよい。
【0052】
一例として、前方センサ34又は別のカメラなどによって車線の位置情報を取得し、先行車両V2の位置情報と車線の位置情報とに基づいて、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間を算出してもよい。この方法について、図6を用いて説明する。
【0053】
(変形例)
図6は、自車両V1と先行車両V2とが同一車線でカーブを走行している状態を示す概略図である。この図6に示されるように、前後方向車間算出部42は、自車両V1の前端から先行車両V2の後端までの距離L1を前後方向の車間として算出する。一方、車幅方向車間算出部44は、先行車両V2が車線境界線54を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出する。
【0054】
本変形例によれば、同一車線でカーブを走行している状態で、右基準線RLと左基準線LLとの間の領域から先行車両V2が外れる場合であっても、先行車両V2が車線境界線54を跨いだ距離を車幅方向の車間として算出することで、車幅方向の車間が第2閾値以下と判定され、アクセルペダル36に付加した反力が小さくなるのを抑制することができる。そして、先行車両V2が車線境界線54を跨いで隣の車線へ移動した場合にアクセルペダル36に付加した反力が小さくなるため、自車両V1が加速可能であることを精度良く判断することができる
【0055】
以上、実施形態及び変形例に係る車両制御装置12について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施形態の反力付加機構37は、サーボモータから所定のトルクを発生させることでアクセルペダル36に任意の反力を付加する構成としたが、他の機構によってアクセルペダル36に反力を付加してもよい。例えば、シリンダ及び油圧などを利用した機構によってアクセルペダル36に反力を付加してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間が第1閾値より小さい場合にアクセルペダル36に反力を付加し、自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間が第2閾値より大きい場合にアクセルペダル36に付加した反力が小さくなるように反力付加機構37を制御したが、これに限定されない。例えば、自車両V1と先行車両V2との前後方向の車間が第1閾値より小さく、かつ自車両V1と先行車両V2との車幅方向の車間が第2閾値以下の場合にのみアクセルペダル36に反力を付加する構成としてもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態では、図3に示されるように、自車両V1の車幅に沿って延在された右基準線RLと左基準線LLとの間の領域の外側に存在する先行車両V2の車両幅方向の距離L2を車幅方向の車間として算出したが、これに限定されず、他の方法で車幅方向の車間を算出してもよい。例えば、右基準線RLと左基準線LLとの間の領域内に先行車両V2が存在する場合は、車幅方向の車間を0として算出し、先行車両V2の全体が当該領域の外側に移動した状態から車幅方向の車間を計測してもよい。この場合、先行車両V2が左基準線LLよりも左側へ1m移動した場合、車幅方向の車間が1mであると算出される。
【0058】
さらにまた、上記実施形態でCPU20がプログラムを読み込んで実行した処理を、CPU20以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0059】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明したが、これに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態で説明した処理の流れは一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 車両
12 車両制御装置
20 CPU(プロセッサ)
34 前方センサ(センサ)
36 アクセルペダル
37 反力付加機構
V1 自車両
V2 先行車両

図1
図2
図3
図4
図5
図6