(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】電池積層体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20250107BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20250107BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20250107BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250107BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20250107BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20250107BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20250107BHJP
H01M 50/11 20210101ALI20250107BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20250107BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/38 Z
H01M50/548 101
H01M50/562
H01M50/184 G
H01M50/11
H01M50/557
(21)【出願番号】P 2022042849
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 真世
(72)【発明者】
【氏名】早稲田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松山 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/009959(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/186449(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/132504(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181288(WO,A1)
【文献】特開2008-251225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M 4/00- 4/62
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極層、固体電解質層、及び正極層がこの順に積層されている発電要素が一つ又は複数個積層されており、
前記発電要素の側面に配置され、かつ前記負極層と電気的に接続されている負極端子、及び
前記発電要素の側面に配置され、かつ前記正極層と電気的に接続されている正極端子を有しており、
前記発電要素は硫黄を含有しており、
前記負極端子及び前記正極端子は、260℃~300℃の範囲に融点を有する金属の焼結体又は溶融結合体であ
り、
前記負極層は、負極活物質層を有しており、かつ負極集電体層を有しておらず、前記負極端子は前記負極活物質層と直接接することによって前記負極層と電気的に接続されており、
前記正極層は、正極活物質層を有しており、かつ正極集電体層を有しておらず、前記正極端子は前記正極活物質層と直接接することによって前記正極層と電気的に接続されている、
電池積層体。
【請求項2】
前記金属は、Sn合金である、請求項
1に記載の電池積層体。
【請求項3】
前記Sn合金は、SnとAu又はNiとの合金である、請求項
2に記載の電池積層体。
【請求項4】
外装体、前記負極端子、及び前記正極端子によって、発電要素が封止されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の電池積層体。
【請求項5】
前記硫黄は、硫化物固体電解質及び/又は硫黄系活物質に含有されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の電池積層体。
【請求項6】
前記負極端子及び前記正極端子は、電池積層体の積層方向の少なくとも一方の端面の一部分まで延在している、請求項1~
5のいずれか一項に記載の電池積層体。
【請求項7】
リチウムイオン二次電池である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の電池積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、正極層及び負極層が固体電解質層を介して交互に積層されてなる固体電池本体部;前記正極層及び前記負極層の各々と電気的に接続され、かつ前記固体電池本体部が有する2つの側面の各々に配置された端面電極;及び該端面電極と電気的に接続され、かつ前記固体電池本体部の下面側に配置された下面電極を含む、固体電池を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、発電要素が硫黄を含有している成分、例えば硫化物固体電解質及び/又は硫黄系活物質を含有している電池積層体であって、所定の構造を有する電池積層体の内部抵抗の増加を抑制することを検討した。
【0005】
本開示は、内部抵抗の増加を抑制することができる、電池積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者は、以下の手段により上記課題を達成することができることを見出した:
《態様1》
負極層、固体電解質層、及び正極層がこの順に積層されている発電要素が一つ又は複数個積層されており、
前記発電要素の側面に配置され、かつ前記負極層と電気的に接続されている負極端子、及び
前記発電要素の側面に配置され、かつ前記正極層と電気的に接続されている正極端子を有しており、
前記発電要素は硫黄を含有しており、
前記負極端子及び前記正極端子は、260℃~300℃の範囲に融点を有する金属の焼結体又は溶融結合体である、
電池積層体。
《態様2》
前記負極層は、負極集電体層及び負極活物質層が互いに積層された構造を有しており、前記負極端子は、前記負極集電体層と電気的に接続されており、かつ
前記正極層は、正極集電体層及び正極活物質層が互いに積層された構造を有しており、前記正極端子は、前記正極集電体層と電気的に接続されている、
態様1に記載の電池積層体。
《態様3》
前記金属は、Sn合金である、態様1又は2に記載の電池積層体。
《態様4》
前記Sn合金は、SnとAu又はNiとの合金である、態様3に記載の電池積層体。
《態様5》
外装体、前記負極端子、及び前記正極端子によって、発電要素が封止されている、態様1~4のいずれか一つに記載の電池積層体。
《態様6》
前記硫黄は、硫化物固体電解質及び/又は硫黄系活物質に含有されている、態様1~5のいずれか一つに記載の電池積層体。
《態様7》
前記負極端子及び前記正極端子は、電池積層体の積層方向少なくとも一方の端面の一部分まで延在している、態様1~6のいずれか一つに記載の電池積層体。
《態様8》
リチウムイオン二次電池である、態様1~7のいずれか一つに記載の電池積層体。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、内部抵抗の増加を抑制することができる、電池積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に従う電池積層体100の模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の第2の実施形態に従う電池積層体200の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0010】
本開示の電池積層体は、負極層、固体電解質層、及び正極層がこの順に積層されている発電要素が一つ又は複数個積層されており、発電要素の側面に配置され、かつ負極層と電気的に接続されている負極端子、及び発電要素の側面に配置され、かつ正極層と電気的に接続されている正極端子を有しており、発電要素は硫黄を含有しており、負極端子及び正極端子は、260℃~300℃の範囲に融点を有する金属の焼結体又は溶融結合体である、電池積層体である。
【0011】
電池積層体の構成として、負極層、固体電解質層、及び正極層がこの順に積層されている発電要素が一つ又は複数個積層されており、負極層と電気的に接続され、かつ発電要素の側面に配置されている負極端子、及び正極層と電気的に接続され、かつ発電要素の側面に配置されている正極端子を有している、構成が考えられる。
【0012】
このような構成を有する電池積層体は、基材、例えばプリント基板上に半田等で固定して使用することが想定され得る。
【0013】
ところで、発電要素に使用され得る、硫黄を含有する成分、例えば硫化物固体電解質及び/又は硫黄系活物質等は、水と化学反応する場合がある。したがって、発電要素が硫黄を含有している場合には、電池積層体には十分な密封性が求められる。
【0014】
電池積層体に十分な密封性を与える観点から、外部端子、即ち負極端子及び正極端子を焼結又は溶融結合によって形成することが考えられる。
【0015】
しかしながら、硫黄は、高温に加熱されると発電要素の他の成分や、外部端子等と化学反応し得る。
【0016】
そのため、外部端子に用いられる金属の燒結温度又は溶融温度が高い場合には、電池積層体の製造時に外部端子を焼結又は溶融結合によって形成する際に、発電要素が含有している硫黄と外部端子を形成する金属とが、及び/又は発電要素中の硫黄と他の成分とが化学反応することにより、製造される電池積層体の内部抵抗が低下し得る。
【0017】
この点に関して、本開示の電池積層体では、外部端子は、260℃~300℃の範囲に融点を有する金属の焼結体又は溶融結合体である。このような金属は、融点が260℃以上であるため、電池積層体のプリント基板等への接合に用いられる半田のリフロー工程における一般的な加熱温度よりも融点が大きい。したがって、電池積層体をプリント基板等に接合する際の外部端子の溶融を抑制することができる。外部端子の溶融は、場合によっては電池積層体の密封性を低下させる等の不具合をもたらし得る。
【0018】
また、このような金属は、融点が300℃以下であるため、発電要素に使用され得る硫黄の反応温度よりも低い温度で溶融させて外部端子を成形できる。これにより、電池積層体の製造時において、発電要素の硫黄の反応による電池積層体の内部抵抗増加を抑制することができる。
【0019】
本開示の電池積層体は、例えば
図1に示すような構成を有していることができる。
【0020】
図1は、本開示の第1の実施形態に従う電池積層体100の模式図である。より具体的には、
図1は、本開示の第1の実施形態に従う電池積層体100の積層方向の断面図である。
【0021】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に従う電池積層体100は、負極層111、固体電解質層112、及び正極層113がこの順に積層されている発電要素110が複数個積層されており、負極層111と電気的に接続され、かつ発電要素110の側面に配置されている負極端子141、及び正極層113と電気的に接続され、かつ発電要素110の側面に配置されている正極端子142を有している。また、外装体130が電池積層体100の積層方向の両面及び外部端子の配置されていない側面(図示せず)に配置されており、それによって、外装体130、負極端子141、及び正極層113によって発電要素110が封止されている。
【0022】
また、負極活物質層と外装体130との間や、隣り合う発電要素110の固体電解質層間には、絶縁性の電極端部層120が配置されており、これによって負極層111と外装体130、負極層111と正極端子142との電気的接触及び/又は正極層113と負極端子141との電気的接触が抑制されている。
【0023】
ここで、発電要素110は、硫黄を含有しており、負極端子141及び正極端子142は、260℃~300℃の範囲に融点を有する金属の焼結体又は溶融結合体である。
【0024】
また、
図2に示すように、本開示の第2の実施形態に従う電池積層体200において、負極層211は、負極集電体層211a及び負極活物質層211bが互いに積層された構造を有しており、かつ負極端子241は、負極集電体層211aと電気的に接続されていることができる。同様に、正極層213は、正極集電体層213a及び正極活物質層213bが互いに積層された構造を有しており、かつ正極端子242は、正極集電体層213aと電気的に接続されていることができる。
【0025】
なお、本開示の電池積層体は、リチウムイオン二次電池であってよい。
【0026】
《発電要素》
本開示において、発電要素は、負極層、固体電解質層、及び正極層がこの順に積層されている。
【0027】
電池積層体は、発電要素が一つ又は複数個積層された構造、特に複数個の発電要素がモノポーラ構造で積層された構造を有する。ここで、電池積層体が発電要素を一つのみ有する場合には、電池積層体は、単電池の構成を有する。電池積層体が発電要素が複数個積層された構造を有する場合、電池積層体における各発電要素の積層方向は、発電要素における負極層、固体電解質層、及び正極層の積層方向と等しい。
【0028】
発電要素は、硫黄を含有している。ここで、硫黄は、例えば硫化物固体電解質及び/又は硫黄系活物質に含有されていることができる。硫黄は、負極層、固体電解質層、及び正極層のいずれに含まれていてもよい。
【0029】
硫化物固体電解質は、例えば硫化物系非晶質固体電解質、硫化物系結晶質固体電解質、又はアルジロダイト型固体電解質等であってよい。より具体的には、硫化物固体電解質としては、Li2S-P2S5系(Li7P3S11、Li3PS4、Li8P2S9等)、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2S5、LiI-LiBr-Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-GeS2(Li13GeP3S16、Li10GeP2S12等)、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li7-xPS6-xClx等;又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0030】
硫黄系活物質は、少なくともS元素を含有する活物質である。硫黄系活物質は、Li元素を含有していてもよく、含有していなくてもよい。硫黄系活物質としては、例えば、単体硫黄、硫化リチウム(Li2S)、多硫化リチウム(Li2Sx、2≦x≦8)が挙げられる。
【0031】
〈負極層〉
負極層は、例えば、負極集電体層及び負極活物質層が互いに積層された構造を有していることができ、この場合において、負極端子は負極集電体層と電気的に接続されていることができる。なお、負極層は負極集電体層を有していなくてもよく、この場合において、負極端子は負極活物質層と直接接することによって電気的に接続されていることができる。
【0032】
(負極活物質層)
負極活物質層は、負極活物質、並びに随意に固体電解質を含有している。その他、使用用途や使用目的等に合わせて、例えば、導電助剤又はバインダ等の、リチウムイオン電池の負極活物質層に用いられる添加剤を含有していてよい。
【0033】
負極活物質としては、例えばリチウムイオン等の金属イオンを吸蔵及び放出可能な材料であってよい。リチウムイオン等の金属イオンを吸蔵及び放出可能な材料としては、例えば、負極活物質は、合金系負極活物質又は炭素材料等であってよいが、これらに限定されない。
【0034】
合金系負極活物質としては、特に限定されず、例えば、Si合金系負極活物質、又はSn合金系負極活物質等が挙げられる。Si合金系負極活物質には、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素炭化物、ケイ素窒化物、又はこれらの固溶体等がある。また、Si合金系負極活物質には、ケイ素以外の元素、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Ti等を含むことができる。Sn合金系負極活物質には、スズ、スズ酸化物、スズ窒化物、又はこれらの固溶体等がある。また、Sn合金系負極活物質には、スズ以外の元素、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Ti、Si等を含むことができる。これらの中で、Si合金系負極活物質が好ましい。
【0035】
炭素材料としては、特に限定されず、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、又はグラファイト等が挙げられる。
【0036】
固体電解質としては、特に限定されず、全固体電池の固体電解質として利用可能な材料を用いることができる。より具体的には、固体電解質としては、例えば硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質、並びにポリマー電解質を挙げることができる。
【0037】
硫化物固体電解質の例として、硫化物系非晶質固体電解質、硫化物系結晶質固体電解質、又はアルジロダイト型固体電解質等が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な硫化物固体電解質の例として、Li2S-P2S5系(Li7P3S11、Li3PS4、Li8P2S9等)、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2S5、LiI-LiBr-Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-GeS2(Li13GeP3S16、Li10GeP2S12等)、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li7-xPS6-xClx等;又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0038】
酸化物固体電解質の例として、Li7La3Zr2O12、Li7-xLa3Zr1-xNbxO12、Li7-3xLa3Zr2AlxO12、Li3xLa2/3-xTiO3、Li1+xAlxTi2-x(PO4)3、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、Li3PO4、又はLi3+xPO4-xNx(LiPON)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び窒化物固体電解質は、ガラスであっても良く、ガラスセラミックスであっても良く、結晶材料であっても良い。ガラスは、原料組成物(例えばLi2S及びP2S5の混合物)を非晶質処理することにより得ることができる。非晶質処理としては、例えば、メカニカルミリングが挙げられる。メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであっても良く、湿式メカニカルミリングであっても良いが、後者が好ましい。容器等の壁面に原料組成物が固着することを防止できるからである。また、ガラスセラミックスは、ガラスを熱処理することにより得ることができる。また、結晶材料は、例えば、原料組成物に対して固相反応処理することにより得ることができる。
【0040】
ポリマー電解質としては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)、及びポリプロピレンオキシド(PPO)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ブタジエンゴム(BR)若しくはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の材料、又はこれらの組合せであってよいが、これらに限定されない。
【0042】
導電助材としては、公知のものを用いることができ、例えば、炭素材料、及び金属粒子等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラックやファーネスブラック等のカーボンブラック、気相法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができ、中でも、電子伝導性の観点から、VGCF、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。金属粒子としては、ニッケル、銅、鉄、及びステンレス鋼等の粒子が挙げられる。
【0043】
(負極集電体層)
負極集電体層に用いられる材料は、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、又はカーボン等であってよいが、これらに限定されない。なかでも、負極集電体層の材料は、銅であることが好ましい。
【0044】
負極集電体層の形状は、特に限定されず、例えば、箔状、板状、又はメッシュ状の電子伝導性のある材料や電子伝導性のある材料粉末とバインダで形成した層形状の材料を挙げることができる。これらの中で、箔状の電子伝導性のある材料が好ましい。
【0045】
〈固体電解質層〉
固体電解質層は、固体電解質及び随意にバインダを含有していることができる。
【0046】
固体電解質及びバインダは、上記の「(負極活物質層)」に関して記載したものを適宜採用することができる。
【0047】
〈正極層〉
正極層は、例えば、正極集電体層及び正極活物質層が互いに積層された構造を有していることができ、この場合において、正極端子は正極集電体層と電気的に接続されていることができる。なお、正極層は正極集電体層を有していなくてもよく、この場合において、正極端子は正極活物質層と直接接することによって電気的に接続されていることができる。
【0048】
(正極活物質層)
正極活物質層は、正極活物質、及び随意に固体電解質を含有している。その他、使用用途や使用目的等に合わせて、例えば、導電助剤又はバインダ等の、リチウムイオン電池の正極活物質層に用いられる添加剤を含有していてよい。
【0049】
正極活物質は、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、Li1+xMn2-x-yMyO4(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、及びZnから選ばれる1種以上の金属元素)で表される組成の異種元素置換Li-Mnスピネル等であってよいが、これらに限定されない。
【0050】
また、このような正極活物質は、例えば硫黄系活物質であってもよい。ここで、硫黄系活物質は、少なくともS元素を含有する活物質である。硫黄系活物質は、Li元素を含有していてもよく、含有していなくてもよい。硫黄系活物質としては、例えば、単体硫黄、硫化リチウム(Li2S)、多硫化リチウム(Li2Sx、2≦x≦8)が挙げられる。
【0051】
固体電解質、導電助剤、及びバインダは、上記の「(負極活物質層)」に関して記載したものを適宜採用することができる。
【0052】
(正極集電体層)
正極集電体層に用いられる材料は、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、又はカーボン等であってよいが、これらに限定されない。なかでも、正極集電体層の材料は、アルミニウムであることが好ましい。
【0053】
正極集電体層の形状は、特に限定されず、例えば、箔状、板状、又はメッシュ状の電子伝導性のある材料や等を挙げることができる。電子伝導性のある材料粉末とバインダで形成した層形状の材料を挙げることができる。これらの中で、箔状の電子伝導性のある材料が好ましい。
【0054】
《負極端子及び正極端子》
本開示の電池積層体は、負極層と電気的に接続され、かつ発電要素の側面に配置されている負極端子、及び正極層と電気的に接続され、かつ発電要素の側面に配置されている正極端子を有している。
【0055】
負極端子及び正極端子は、260℃~300℃の範囲に融点を有する金属の焼結体又は溶融結合体である。
【0056】
負極端子及び正極端子に用いることができる金属は、260℃~300℃の範囲に融点を有する任意の金属又は金属合金を採用することができる。このような金属は、例えば例えばPb又はSn合金等を挙げることができる。Sn合金としては、例えばSnとAu又はNiとの合金等を挙げることができる。
【0057】
負極端子及び正極端子に用いることができる金属の融点は、260℃以上、265℃以上、270℃以上、又は275℃以上であってよく、300℃以下、295℃以下、290℃以下、285℃以下、又は280℃以下であってよい。
【0058】
負極端子及び正極端子は、電池積層体の積層方向少なくとも一方の端面の一部分まで延在していることができる。電池積層体がこのような構成を有している場合、負極端子及び正極端子が延在している端面とプリント基板とを、例えば半田で固定することによって、プリント基板上の回路と電池積層体とを電気的に接続することができる。
【0059】
より具体的には、
図1に示すように、負極端子141及び正極端子142は、電池積層体100の積層方向の端面(
図1において電池積層体100の上側及び下側)の一部分まで延在していることができる。
【0060】
《外装体》
本開示の電池積層体において、外装体、負極端子、及び正極端子によって、発電要素が封止されていることが好ましい。
【0061】
ここで、外装体は、発電要素を封止することができる任意の材料、例えば樹脂又はセラミクス等であってよい。
【符号の説明】
【0062】
100及び200 電池積層体
110及び210 発電要素
111及び211 負極層
112及び212 固体電解質層
113及び213 正極層
120及び220 電極端部層
130及び230 外装体
141及び241 負極端子
142及び242 正極端子
211a 負極集電体層
211b 負極活物質層
213a 正極集電体層
213b 正極活物質層