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特許7615897運搬システム、運搬装置および運搬プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】運搬システム、運搬装置および運搬プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G05D1/43
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021094267
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186178
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 佳洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 佳代
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】松波 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆
(72)【発明者】
【氏名】梅 子洵
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-086196(JP,A)
【文献】特開平09-269828(JP,A)
【文献】特開2020-115309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の被けん引物と連結および切り離しが可能であり、かつ前記被けん引物をけん引しながら、予め定められた所定の領域内を走行することが可能に構成され、プロセッサを有する運搬装置を備え、
前記プロセッサは、
連結される前記被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択し、
選択した走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、
運搬システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記被けん引物の重量および大きさに基づいて、前記被けん引物の種類を特定する、
請求項1に記載の運搬システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記被けん引物の種類に加えて、前記被けん引物に積載された積載物の重量と、前記運搬装置のバッテリ残量とに基づいて、複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択する、
請求項1または請求項2に記載の運搬システム。
【請求項4】
ユーザが所持する端末を更に備え、
前記プロセッサは、
複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択した場合、その選択結果を前記端末に出力し、
前記端末から前記選択結果を承諾する旨の情報を取得した場合、前記選択結果に係る走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行い、
前記端末から前記選択結果とは異なる走行モードへの変更を指示する旨の情報を取得した場合、前記異なる走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の運搬システム。
【請求項5】
複数種類の被けん引物と連結および切り離しが可能であり、かつ前記被けん引物をけん引しながら、予め定められた所定の領域内を走行することが可能に構成され、プロセッサを備える運搬装置において、
前記プロセッサは、
連結される前記被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択し、
選択した走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、
運搬装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記被けん引物の重量および大きさに基づいて、前記被けん引物の種類を特定する、
請求項5に記載の運搬装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記被けん引物の種類に加えて、前記被けん引物に積載された積載物の重量と、前記運搬装置のバッテリ残量とに基づいて、複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択する、
請求項5または請求項6に記載の運搬装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択した場合、その選択結果をユーザが所持する端末に出力し、
前記端末から前記選択結果を承諾する旨の情報を取得した場合、前記選択結果に係る走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行い、
前記端末から前記選択結果とは異なる走行モードへの変更を指示する旨の情報を取得した場合、前記異なる走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の運搬装置。
【請求項9】
複数種類の被けん引物と連結および切り離しが可能であり、かつ前記被けん引物をけん引しながら、予め定められた所定の領域内を走行することが可能に構成され、プロセッサを備える運搬装置の運搬プログラムにおいて、
前記プロセッサに、
連結される前記被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択し、
選択した走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、
ことを実行させる運搬プログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、前記被けん引物の重量および大きさに基づいて、前記被けん引物の種類を特定する、
ことを実行させる請求項9に記載の運搬プログラム。
【請求項11】
前記プロセッサに、前記被けん引物の種類に加えて、前記被けん引物に積載された積載物の重量と、前記運搬装置のバッテリ残量とに基づいて、複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択する、
ことを実行させる請求項9または請求項10に記載の運搬プログラム。
【請求項12】
前記プロセッサに、
複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択した場合、その選択結果をユーザが所持する端末に出力し、
前記端末から前記選択結果を承諾する旨の情報を取得した場合、前記選択結果に係る走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行い、
前記端末から前記選択結果とは異なる走行モードへの変更を指示する旨の情報を取得した場合、前記異なる走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、
ことを実行させる請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の運搬プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬システム、運搬装置および運搬プログラムに関する。
【0002】
特許文献1には、自律走行可能な移動体を用いて荷物をユーザに配送する配送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-152533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律走行可能な移動体が、重さやサイズ等の異なる被けん引物をけん引する場合においても、安定的に走行することができる技術が求められている。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、自律走行可能な移動体が、重さやサイズ等の異なる被けん引物をけん引する場合においても、安定的に走行することができる運搬システム、運搬装置および運搬プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運搬システムは、複数種類の被けん引物と連結および切り離しが可能であり、かつ前記被けん引物をけん引しながら走行することが可能に構成され、プロセッサを有する運搬装置を備え、前記プロセッサが、連結される前記被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択し、選択した走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う。
【0007】
本開示に係る運搬装置は、複数種類の被けん引物と連結および切り離しが可能であり、かつ前記被けん引物をけん引しながら走行することが可能に構成され、プロセッサを備える運搬装置において、前記プロセッサが、連結される前記被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択し、選択した走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う。
【0008】
本開示に係る運搬プログラムは、複数種類の被けん引物と連結および切り離しが可能であり、かつ前記被けん引物をけん引しながら走行することが可能に構成され、プロセッサを備える運搬装置の運搬プログラムにおいて、前記プロセッサに、連結される前記被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択し、選択した走行モードで前記被けん引物をけん引して走行するように前記運搬装置の走行制御を行う、ことを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、自律走行可能な移動体が、重さやサイズ等の異なる被けん引物をけん引する場合においても、安定的に走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る運搬システムの全体構成を示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係る運搬システムにおいて、駆動ユニットに台車が連結された状態を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る運搬システムの各構成要素の詳細を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る運搬システムが実行する運搬方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る運搬システム、運搬装置および運搬プログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
(運搬システム)
実施形態に係る運搬装置を含む運搬システムの構成について、図1図3を参照しながら説明する。運搬システム1は、自律走行可能な移動体を用いて、商品、製品、部品、ユーザの積載物を運搬するためのものである。この運搬システム1は、工場、市場、家庭等の幅広いシチュエーションで用いることができる。
【0013】
運搬システム1は、図1に示すように、駆動ユニット10と、端末30と、を有している。実施形態に係る運搬装置は、運搬システム1のうちの駆動ユニット10の機能によって実現される。また、駆動ユニット10および端末30は、いずれも通信機能を備えており、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。以下、運搬システム1の各構成要素について説明する。
【0014】
(駆動ユニット)
駆動ユニット10は、自律走行(自動走行)が可能な電動ユニットである。駆動ユニット10は、例えば端末30からの指示(運搬予約情報)に従って動作するが、端末30とは別に駆動ユニット10を制御するためのサーバ(センタサーバ)を設け、このサーバを通じて駆動ユニット10の動作を制御してもよい。
【0015】
駆動ユニット10は、複数種類の被けん引物と連結可能な連結アタッチメントを備えている。この連結アタッチメントの具体的構成は、複数種類の被けん引物と連結可能な構成であれば、特に限定されない。また、駆動ユニット10と連結可能な被けん引物は、駆動ユニット10とともに走行可能な車輪を備えていればよい。被けん引物としては、例えば台車、折り畳み式台車、かご台車、車輪付きラック、スーツケース等の、積載物を積載可能なものでもよく、あるいは積載物を積載不可能なものであってもよい。本実施形態では、図1および図2に示すような、被けん引物の一例として、積載物を積載可能な台車20を想定して説明を行う。
【0016】
台車20は、箱状に構成されており、内部の空間に積載物を積載することが可能に構成されている。また、台車20の内部の空間には、積載物を積載するためのラックが複数(例えば二つ)設置される。また、台車20には、例えば台車20に積載された積載物の重量を測定する重量センサや、当該重量センサの測定値を駆動ユニット10に送信するための通信機能が設けられていてもよい。駆動ユニット10は、図2に示すように、連結アタッチメントにより、台車20と自由に連結および切り離しを行うことが可能であり、かつ台車20をけん引しながら走行することが可能に構成されている。
【0017】
駆動ユニット10は、図3に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、カメラ14と、測位部15と、センサ群16と、バッテリ17と、を備えている。制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。
【0018】
制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムの実行を通じて、走行モード選択部111および走行制御部112として機能する。
【0019】
走行モード選択部111は、被けん引物を運搬する際の走行モードを選択する。駆動ユニット10は、様々な被けん引物と連結可能であり、これらの被けん引物をけん引することにより、様々な積載物(荷物)を運搬することが可能である。そこで、走行モード選択部111では、駆動ユニット10がけん引する被けん引物や、当該被けん引物に積載される積載物等に応じて、走行モードを選択する。この「走行モード」としては、低速で振動・衝撃を極力抑えて走行する低速走行モード、振動・衝撃を考慮せずに高速で走行する高速走行モード、運搬ルートの状況に応じて速度を変えながら走行する可変走行モード等が挙げられる。
【0020】
走行モード選択部111は、走行モードを選択する際に、まず端末30から運搬予約情報を取得する。この「運搬予約情報」は、端末30の運搬予約部311において作成される情報であり、例えば運搬予約者(ユーザ名またはユーザID)、運搬予約受付日時、運搬予約番号、積載物名、積載物の重量、積載物の大きさ、積載物の数量、運搬元、運搬先、運搬指定日時、被けん引物の種類、被けん引物の重量、被けん引物の大きさ等の情報が含まれる。なお、端末30から運搬予約情報を取得することは必須ではなく、被けん引物に積載された積載物に、運搬予約情報に相当する情報が紐付けられていればよい。
【0021】
続いて、走行モード選択部111は、駆動ユニット10に連結される被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モード(例えば低速走行モード、高速走行モード、可変走行モード)の中から、一つの走行モードを選択する。被けん引物の種類は、駆動ユニット10側に予め入力してもよく、あるいは端末30から取得した運搬予約情報を参照することにより把握してもよい。
【0022】
例えば駆動ユニット10に連結される被けん引物の重量や大きさが大きい場合、走行中の振動・衝撃による影響が大きいため、走行モード選択部111は、走行モードとして低速走行モードを選択する。また、駆動ユニット10に連結される被けん引物の重量や大きさが小さい場合、走行中の振動・衝撃による影響が小さいため、走行モード選択部111は、走行モードとして高速走行モードを選択する。このように、被けん引物の種類に基づいて走行モードを選択することにより、被けん引物およびその積載物に悪影響を与えることなく、運搬を行うことができる。
【0023】
ここで、走行モード選択部111は、被けん引物の種類に加えて、当該被けん引物に積載された積載物の重量と、駆動ユニット10のバッテリ残量とに基づいて、複数の走行モードの中から一つの走行モードを選択してもよい。積載物の重量は、例えば台車20に設けられた重量センサの測定値を取得する方法や、あるいは端末30から取得した運搬予約情報を参照することにより把握してもよい。
【0024】
例えば積載物の重量が大きい場合、走行中の振動・衝撃による影響が大きいため、走行モード選択部111は、走行モードとして低速走行モードを選択する。また、駆動ユニット10のバッテリ残量が少ない場合、運搬途中でバッテリ17が切れることを防ぐために、走行モード選択部111は、走行モードとして低速走行モードを選択する。このように、被けん引物の種類に加えて、当該被けん引物に積載された積載物の重量と、駆動ユニット10のバッテリ残量とに基づいて走行モードを選択することにより、被けん引物およびその積載物、ならびに駆動ユニット10の走行に悪影響を与えることなく、運搬を行うことができる。
【0025】
走行制御部112は、走行モード選択部111で選択した走行モードで被けん引物(例えば台車20)をけん引して走行するように、ネットワークNWを通じて、遠隔で駆動ユニット10の走行制御を行う。
【0026】
ここで、走行制御部112は、駆動ユニット10の走行制御を行う前に、走行モード選択部111における走行モードの選択結果を端末30に通知してもよい。この場合、走行制御部112は、走行モード選択部111で選択した走行モードの選択結果を、端末30に送信する。そして、走行制御部112は、端末30から、選択結果を承諾する旨の情報を取得した場合、選択結果に係る走行モードで被けん引物をけん引して走行するように、駆動ユニット10の走行制御を行う。
【0027】
一方、走行制御部112は、端末30から、選択結果とは異なる走行モードへの変更を指示する旨の情報を取得した場合、当該異なる走行モードで被けん引物をけん引して走行するように、駆動ユニット10の走行制御を行う。このように、走行モード選択部111における走行モードの選択結果を端末30に送信することにより、ユーザの意に即した走行モードが選択された否かを確認することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0028】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部12は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部12は、当該ネットワークNWに接続することにより、端末30との間で通信を行う。
【0029】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。
【0030】
記憶部13には、例えばカメラ14で撮影された画像、測位部15によって検出された駆動ユニット10の現在位置に関する情報(以下、「位置情報」という)、センサ群16によって検出されたセンサ情報、駆動ユニット10のバッテリ残量等の情報が、必要に応じて格納される。
【0031】
カメラ14は、駆動ユニット10の自律走行を実現するためのものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵する撮像装置によって構成される。このカメラ14は、例えば駆動ユニット10の所定の位置に複数設置される。
【0032】
測位部15は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、駆動ユニット10の位置情報を検出する。位置情報の検出方法は、GPS衛星を利用した方法に限定されず、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法等を利用してもよい。
【0033】
センサ群16は、駆動ユニット10の自律走行を実現するための複数のセンサであり、例えば3D-LiDAR、ミリ波センサ、赤外線センサ、加速度センサ、GPSセンサ、車速センサ等によって構成される。
【0034】
バッテリ17は、駆動ユニット10の動力源(モータ)に対して電力を供給するためのものである。
【0035】
(端末)
端末30は、駆動ユニット10による荷物の運搬サービスを利用するユーザが所持するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ等によって実現される。
【0036】
端末30は、図3に示すように、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、操作・表示部34と、を備えている。制御部31、通信部32および記憶部33は、ハードウェアとしては制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。制御部31は、記憶部33に格納されたプログラムの実行を通じて、運搬予約部311および走行モード判定部312として機能する。
【0037】
運搬予約部311は、例えばユーザによる操作・表示部34の操作に基づいて、運搬予約情報を作成し、作成した運搬予約情報を駆動ユニット10に送信する。運搬予約部311は、例えば操作・表示部34に運搬予約画面を表示させ、当該運搬予約画面におけるユーザの入力内容に基づいて運搬予約情報を作成する。
【0038】
走行モード判定部312は、例えばユーザによる操作・表示部34の操作に基づいて、駆動ユニット10による走行モードの選択結果の是非を判定する。走行モード判定部312は、例えば操作・表示部34に、駆動ユニット10による走行モードの選択結果画面、承諾ボタンおよび不承諾ボタンを表示させる。そして、ユーザによって承諾ボタンが押された場合、駆動ユニット10による走行モードの選択結果に承諾した旨の情報を駆動ユニット10に送信する。一方、ユーザによって不承諾ボタンが押された場合、例えば操作・表示部34に走行モードの変更指示画面を表示させる。そして、ユーザの入力内容に基づいて、駆動ユニット10による走行モードの選択結果とは異なる走行モードへ変更する旨の指示を含む、走行モードの変更指示に関する情報を作成し、作成した情報を駆動ユニット10に送信する。
【0039】
通信部32は、ネットワークNWを介した無線通信により、駆動ユニット10との間で通信を行う。記憶部33には、例えば運搬予約部311が作成した運搬予約情報や、ユーザが荷物の運搬予約を行うためのアプリケーションソフト(運搬予約アプリ)等が、必要に応じて格納される。
【0040】
操作・表示部34は、例えばタッチパネルディスプレイ等により構成されており、ユーザの手指やペン等による操作を受け付ける入力機能と、制御部31の制御に基づいて各種情報を表示する表示機能と、を有している。操作・表示部34は、制御部31の制御に基づいて、例えば端末30にインストールされた運搬予約アプリの画面、駆動ユニット10による走行モードの選択結果画面、走行モードの変更指示画面等を表示する。
【0041】
(運搬方法)
実施形態に係る運搬システム1が実行する運搬方法の処理手順の一例について、図4を参照しながら説明する。なお、同図では、端末30から駆動ユニット10へと運搬予約情報が送信された後の、駆動ユニット10を主体とした処理について説明する。
【0042】
まず、走行モード選択部111は、駆動ユニット10に連結される被けん引物の種類を特定する(ステップS1)。続いて、走行モード選択部111は、例えば被けん引物の種類に基づいて、予め設定された複数の走行モードの中から、一つの走行モードを選択する(ステップS2)。
【0043】
続いて、走行制御部112は、ステップS2で選択した走行モードの選択結果を、ユーザが所持する端末30に通知する(ステップS3)。続いて、走行制御部112は、ユーザが走行モードの選択結果に承諾したか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4では、例えば端末30から選択結果を承諾する旨の情報を取得した場合に肯定判定を行い、当該情報を取得しなかった場合に否定判定を行う。
【0044】
ユーザが走行モードの選択結果に承諾したと判定した場合(ステップS4でYes)、走行制御部112は、ステップS2で選択した走行モードで駆動ユニット10の走行を開始させ(ステップS5)、本処理を終了する。一方、ユーザが走行モードの選択結果に承諾しなかったと判定した場合(ステップS4でNo)、走行制御部112は、ユーザが別の走行モードへの変更を指示したか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6では、例えば端末30から選択結果とは異なる走行モードへの変更を指示する旨の情報を取得した場合に肯定判定を行い、当該情報を取得しなかった場合に否定判定を行う。
【0045】
ユーザが別の走行モードへの変更を指示したと判定した場合(ステップS6でYes)、走行制御部112は、ユーザから指示された別の走行モードで駆動ユニット10の走行を開始させ(ステップS7)、本処理を終了する。一方、ユーザが別の走行モードへの変更を指示しなかったと判定した場合(ステップS6でNo)、走行制御部112は、本処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、実施形態に係る運搬システム、運搬装置および運搬プログラムによれば、自律走行可能な駆動ユニット10が、重さやサイズ等の異なる被けん引物をけん引する場合においても、安定的に走行することができる。
【0047】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0048】
また、実施形態に係る運搬システム、運搬装置および運搬プログラムでは、積載物の積載量に応じて、台車20のサイズを変更してもよい。この場合、台車20に積載される積載物の量に応じて、当該台車20を構成する部品を組み替えて、台車20の積載可能容量を変化させる。このように、荷物の積載量に応じて台車20のサイズを変更することにより、スペース効率を上げることができる。また、台車20の構成を簡易化および部品を共通化することにより、台車20のメンテナンス性を向上させることができる。
【0049】
また、実施形態に係る運搬システム、運搬装置および運搬プログラムでは、駆動ユニット10にカートリッジ式のFC(Fuel Cell)タンクを設けてもよい。このように、駆動ユニット10にFCタンクを設けることにより、当該FCタンクを入れ替えるだけで電力の供給が可能となり、充電の待ち時間を減らすことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 運搬システム
10 駆動ユニット
11 制御部
111 走行モード選択部
112 走行制御部
12 通信部
13 記憶部
14 カメラ
15 測位部
16 センサ群
17 バッテリ
20 台車
30 端末
31 制御部
311 運搬予約部
312 走行モード判定部
32 通信部
33 記憶部
34 操作・表示部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4