(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】自動バレー駐車場管理システム、自動バレー駐車場管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/00 20060101AFI20250109BHJP
E04H 6/10 20060101ALI20250109BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20250109BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20250109BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20250109BHJP
【FI】
E04H6/00 A
E04H6/10 A
E04H6/42 Z
G08G1/14 A
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021134995
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】本田 大作
(72)【発明者】
【氏名】松林 宏弥
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田邊 怜
(72)【発明者】
【氏名】丸岩 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】小畠 康宏
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0070859(KR,A)
【文献】特開2021-056819(JP,A)
【文献】特開2019-160086(JP,A)
【文献】特開2019-028529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0248386(US,A1)
【文献】特表2020-500391(JP,A)
【文献】特開2019-044551(JP,A)
【文献】特開2022-148061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00,6/10,6/42
G08G 1/14-1/16
G06Q 50/10-50/163
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の
平面図上における予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサを具備しており、
周辺検知センサを備えた移動体を用い、該移動体は、該移動体の周辺検知センサが該インフラセンサによる検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能であり、
更に、インフラセンサの異常を検出する異常検出部と、
インフラセンサの異常が検出されたときには、該移動体を該検出可能位置に移動させて該周辺検知センサにより該インフラセンサによる検出範囲を検出させる代替検出実行部を具備する自動
バレー駐車場管理システム。
【請求項2】
該移動体が、該周辺検知センサを備えた自動運転車両である請求項1に記載の自動
バレー駐車場管理システム。
【請求項3】
該移動体が、該周辺検知センサを備えたドローンである請求項1に記載の自動
バレー駐車場管理システム。
【請求項4】
駐車場における車両の入出庫を管理する入出庫管理サーバを具備しており、該入出庫管理サーバの電子制御ユニットが、該異常検出部および該代替検出実行部を構成している請求項1に記載の自動
バレー駐車場管理システム。
【請求項5】
該異常検出部が、該インフラセンサに設けられている請求項1に記載の自動
バレー駐車場管理システム。
【請求項6】
駐車場の平面図上における予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサの異常を検出し、
周辺検知センサを備えた移動体を用い、該移動体は、該移動体の周辺検知センサが該インフラセンサによる検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能であり、
インフラセンサの異常が検出されたときには、該移動体を該検出可能位置に移動させて該周辺検知センサにより該インフラセンサによる検出範囲を検出させる自動バレー駐車場管理方法。
【請求項7】
駐車場の平面図上における予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサを具備しており、周辺検知センサを備えた移動体を用い、該移動体は、該移動体の周辺検知センサが該インフラセンサによる検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能である自動バレー駐車場管理システムを制御するためのプログラムであって、該インフラセンサの異常が検出されたときには、該移動体を該検出可能位置に移動させて該周辺検知センサにより該インフラセンサによる検出範囲を検出させるよう、コンピュータに機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動バレー駐車場管理システム、自動バレー駐車場管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両を対象とした自動駐車システムにおいて、駐車場の状態を検出可能なインフラセンサ、例えば、駐車場内を撮影可能なカメラが設置されており、カメラにより撮影された画像に基づいて、入出庫する車両の走行ルートを演算するようにした自動駐車システムが公知である(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この自動駐車システムでは、インフラセンサに異常が生じると入出庫する車両の走行ルートを演算するのが困難となり、自動駐車サービスを止めざるを得ないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題を解決するために、本発明によれば、駐車場の平面図上における予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサを具備しており、
周辺検知センサを備えた移動体を用い、移動体は、移動体の周辺検知センサがインフラセンサによる検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能であり、
更に、インフラセンサの異常を検出する異常検出部と、
インフラセンサの異常が検出されたときには、移動体を上述の検出可能位置に移動させて周辺検知センサによりインフラセンサによる検出範囲を検出させる代替検出実行部を具備する自動バレー駐車場管理システムが提供される。
更に、本発明によれば、駐車場の平面図上における予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサの異常を検出し、
周辺検知センサを備えた移動体を用い、移動体は、移動体の周辺検知センサがインフラセンサによる検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能であり、
インフラセンサの異常が検出されたときには、移動体を上述の検出可能位置に移動させて周辺検知センサによりインフラセンサによる検出範囲を検出させる自動バレー駐車場管理方法が提供される。
更に、本発明によれば、駐車場の平面図上における予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサを具備しており、周辺検知センサを備えた移動体を用い、移動体は、移動体の周辺検知センサがインフラセンサによる検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能である自動バレー駐車場管理システムを制御するためのプログラムであって、インフラセンサの異常が検出されたときには、移動体を上述の検出可能位置に移動させて周辺検知センサによりインフラセンサによる検出範囲を検出させるよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
自動バレー駐車サービスを継続して提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、自動駐車場の一例を図解的に表した平面図である。
【
図3】
図3は、駐車場管理サーバを図解的に示す図である。
【
図6】
図6は、異常検出を行うためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、異常対応処理の一実施例を実行するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、車両運転制御を行うためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、異常対応処理の別の実施例を実行するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、飛行制御を行うためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、異常対応処理の更に別の実施例を実行するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、車両運転制御を行うためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、自動駐車場の一部のみを図解的に表した平面図であり、
図2は、
図1に示される自動駐車場の側面図である。
図1および
図2を参照すると、1は駐車場、2は自動駐車場の建屋、3は多数の駐車スペース、4は乗降場、5は乗降場4に停止している自動運転車両、6,7,8は、駐車場1内の駐車スペース3内に駐車している自動運転車両を示している。この駐車場1では、乗降場4に到達した自動運転車両5を自動運転により空の駐車スペース3に入庫させると共に、駐車スペース3に駐車している自動運転車両6,7,8を自動運転により乗降場4に出庫させる自動駐車サービス、即ち、オートバレーパーキングサービスが実施されている。一方、
図1において、9は駐車管理施設に配置されて、入庫および出庫を管理するための入出庫管理サーバを示している。なお、この自動駐車場は、手動運転の車両も駐車可能である。
【0009】
この自動駐車サービスを利用するユーザが自車を駐車場1に駐車させるときには、例えば、自車が乗降場4に到達したときに、例えば、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して入出庫管理サーバ9に、自車を識別するための車両IDと共に入庫要求を送信する。入出庫管理サーバ9は、入庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく乗降場4から空の駐車スペース3に到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、入出庫管理サーバ9から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により乗降場4から空の駐車スペース3まで移動せしめられる。
【0010】
一方、ユーザが自車を駐車場1から出庫させるときも同様である。例えば、ユーザが乗降場4に到達すると、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して入出庫管理サーバ9に、自車を識別するための車両IDと共に出庫要求を送信する。入出庫管理サーバ9は、出庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく駐車中のスペース3から乗降場4に到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、入出庫管理サーバ9から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により駐車中のスペース3から乗降場4まで移動せしめられる。
【0011】
さて、自動駐車場には、通常、駐車場内における車両の駐車状況を検出したり、或いは、車両の走行ルートを設定するために、多数のインフラセンサが配置されている。
図1および
図2は自動駐車場内の一部の領域を示しており、
図1および
図2に示される例では、自動駐車場のこの一部の領域の状態を検出するために4個のインフラセンサS1,S2,S3、S4が設置されている場合を示している。インフラセンサS1,S2,S3、S4としては、カメラ、或いは、レーザセンサ等を用いることができるが、以下、インフラセンサS1,S2,S3、S4として、カメラを用いた場合を例にとって説明する。即ち、インフラセンサS1,S2,S3、S4により、駐車場1内を撮影している場合を例にとって説明する。
【0012】
さて、これらインフラセンサS2,S3、S4のうちのインフラセンサS1について説明すると、
図2に示されるように、インフラセンサS1は、車両6よりも高い位置に設置されている。また、
図1を参照すると、上方から見たときのインフラセンサS1の検出可能な角度範囲がΘ
1で示されており、
図1において帯状の斜線部分により囲まれた領域内が、上方から見たときのインフラセンサS1による検出範囲となる。なお、
図1では、他のインフラセンサS2,S3、S4の検出可能な角度範囲および他のインフラセンサS2,S3、S4の検出範囲についての図示を省略している。一方、各インフラセンサS1,S2,S3、S4により撮影された画像信号は入出庫管理サーバ9に送信される。
【0013】
図3は、
図1の入出庫管理サーバ9を示している。
図3に示されるように、この入出庫管理サーバ9内には電子制御ユニット10が設けられている。この電子制御ユニット10はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス11によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)12、ROMおよびRAMからなるメモリ13および入出力ポート14を具備する。
図3に示されるように、電子制御ユニット10には、各インフラセンサS1,S2,S3、S4により撮影された画像信号が入力される。また、電子制御ユニット10のメモリ13内には、駐車場1の地図データが記憶されている。
【0014】
さて、インフラセンサS1,S2,S3、S4は使用している間に故障する場合がありまた、故障しなくても、カメラのレンズが劣化やその他の理由により汚れ、カメラにより撮影された画像が不鮮明になる場合がある。このように。いずれかのインフラセンサS1,S2,S3、S4において、故障が生じたり、画像が不鮮明になったりする等の異常が生じると、車両が他車両や歩行者と接触することなく駐車中のスペース3から乗降場4に到達することのできる車両の走行ルートを設定することが困難となり、その結果、自動駐車サービスを止めざるを得なくなるという問題を生ずる。
【0015】
そこで本発明による実施例では、いずれかのインフラセンサS1,S2,S3、S4に異常が生じたときには、異常が生じたインフラセンサS1,S2,S3、S4の代替検出体を予め準備しておき、或いは、代替検出体として用いる検出体を予め決めておき、この代替検出体により、異常が生じたインフラセンサS1,S2,S3、S4に代わって、異常が生じたインフラセンサS1,S2,S3、S4の検出範囲を検出するようにしている。本発明による実施例では、このような代替検出体として、周辺検知センサを備えた移動体が用いられている。この場合、本発明による実施例では、移動体として、自動運転車両、或いは、ドローンが用いられている。
【0016】
図4Aは、移動体として用いられる自動運転車両20の一例を図解的に示している。
図4Aを参照すると、21は車両20の駆動輪に駆動力を与えるための車両駆動部、22は車両20を制動するための制動装置、23は車両20を操舵するための操舵装置、24は車両20内に搭載された電子制御ユニットを夫々示す。
図4Aに示されるように、電子制御ユニット24はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス25によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)26、ROMおよびRAMからなるメモリ27および入出力ポート28を具備する。
【0017】
一方、
図4Aに示されるように、車両20には、車両20が自動運転を行うのに必要な各種センサ30、即ち、車両20の状態を検出するセンサおよび車両20の周辺を検出する周辺検知センサが設置されている。この場合、車両20の状態を検出するセンサとしては、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが用いられており、車両20の周辺を検出する周辺検知センサとしては、車両20の前方、側方、後方を撮影する車載カメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。この場合、周辺検知センサの一つとして、異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラが設置されており、この異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラは、異常が生じたインフラセンサS1,S2,S3、S4の検出範囲を検出しうるように、例えば、車両20の屋根上の高い位置に設置されている。
【0018】
また、車両20には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および各種操作をおこなうための操作部34が設けられている。GNSS受信装置31は、複数の人工衛星から得られる情報に基づいて、車両20の現在位置(例えば車両20の緯度及び経度)を検出することができる。従って、このGNSS受信装置31により車両20の現在位置を取得することができる。このGNSS受信装置31として、例えば、GPS受信装置が用いられる。一方、地図データ記憶装置32には、車両20が自動運転を行うのに必要な地図データ等が記憶されている。これらの各種センサ30、GNSS受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および操作部34は、電子制御ユニット24に接続されている。また、車両20には、入出庫管理サーバ9と通信を行うための通信装置35が搭載されており、
図3に示されるように、入出庫管理サーバ9内には、車両20と通信を行うための通信装置15が設けられている。
【0019】
図4Aに示される例では、車両駆動部21は、2次電池により駆動される電気モータ、或いは、燃料電池により駆動される電気モータより構成されており、駆動輪は、電子制御ユニット24の出力信号に従って、これらの電気モータにより駆動制御される。また、車両20の制動制御は、電子制御ユニット24の出力信号に従って制動装置22により行われ、車両20の操舵制御は、電子制御ユニット24の出力信号に従って操舵装置23により行われる。
【0020】
一方、
図4Bは、移動体として用いられるドローン40の一例を図解的に示している。
図4Bを参照すると、ドローン40は、入出庫管理サーバ9からの指令に基づいて飛行するための制御装置41を備えている。この制御装置41は、
図4Aに示される電子制御ユニット24、GNSS受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および通信装置35と夫々同様な電子制御ユニット、GNSS受信装置、地図データ記憶装置、ナビゲーション装置および通信装置を備えている。また、この制御装置41は、複数のプロペラを駆動するための駆動装置を備えており、更にこの制御装置41は、ドローン40が自動飛行するのに必要な各種センサ、即ち、ドローン40の状態を検出するセンサおよびドローン40の周辺を検出する周辺検知センサを備えている。
【0021】
ドローン40の状態を検出するセンサとしては、
図4Aに示される自動運転車両20と同様に、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが用いられており、ドローン40の周辺を検出する周辺検知センサとしては、ドローン40の周辺方向、上方、下方を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。この場合、周辺検知センサの一つとして、異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラが設置されており、この異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラは、異常が生じたインフラセンサS1,S2,S3、S4の検出範囲を検出しうるように、符号42で示されるように、ドローン40の下側面上に設置されている。
図1において破線で示されるように、移動体として用いられる自動運転車両20、或いは、移動体として用いられるドローン40は、駐車場1の外部の待機位置に配置されているか、或いは、駐車場1内の待機位置に配置されている。
【0022】
さて、インフラセンサS1,S2,S3、S4に異常が生じたか否かは、例えば、インフラセンサS1,S2,S3、S4の出力電流が、閾値よりも低下したか否かによって判別することができ、このようなインフラセンサS1,S2,S3、S4の異常検出は、各インフラセンサS1,S2,S3、S4に設けられている異常検出部、或いは、入出庫管理サーバ9内に設けられている異常検出部において行われる。各インフラセンサS1,S2,S3、S4に設けられている異常検出部において異常検出が行われた場合には、対応するインフラセンサS1,S2,S3、S4に異常が生じている旨が駐車管理サーバ9に通知される。このように本発明による実施例では、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常の発生は、駐車管理サーバ9にとって常時監視されている。
【0023】
次に、インフラセンサS1に異常が生じた場合を例にとって、本発明による自動駐車場管理の概要について説明する。インフラセンサS1に異常が生じると、インフラセンサS1による検出範囲、即ち、
図1において帯状の斜線部分により囲まれた範囲の検出が困難となる。そこで、この場合、移動体の周辺検知センサにより、例えば、自動運転車両20の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより、或いは、ドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより、インフラセンサS1による検出範囲を検出するために、自動運転車両20或いはドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラがインフラセンサS1による検出範囲を検出可能な位置まで、自動運転車両20或いは、ドローン40を移動させるようにしている。
【0024】
具体的な例で説明すると、インフラセンサS1に異常が生じた場合には、例えば、自動運転車両20が、
図1において符号20aで示される位置に移動せしめ
られる。なお、
図1には、移動してきた自動運転車両20aの異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより検出可能な角度範囲がΘsで示されている。従って、
図1から、移動してきた自動運転車両20aの異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより、インフラセンサS1による検出範囲を検出可能であることがわかる。一方、ドローン40が用いられている場合には、ドローン40は、インフラセンサS1の近傍まで飛行せしめられ、その後、インフラセンサS1の近傍においてホバリングせしめられる。この場合、ドローン40は、ドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより、インフラセンサS1による検出範囲を検出し続けることができるように、インフラセンサS1の近傍においてホバリングせしめられる。
【0025】
一方、
図1に示される自動運転車両6、7,8は、
図4Aに示される自動運転車両20と同様な機能を有しており、従って、移動体として、駐車場に駐車している自動運転車両6、7,8を利用することもできる。この場合には、自動運転車両6.7又は8が、
図1において符号20aで示される位置に移動せしめされる。また、この場合、或る自動運転車両が
図1において符号20aで示される場所に駐車している場合には、移動体として、この駐車中の自動運転車両を用いることもできる。なお、いずれの場合でも、自動運転車両6、7,8等を移動体として利用できるのは、自動運転車両6、7,8等の周辺検知センサにより、インフラセンサS1による検出範囲を検出可能な場合だけである。一方、本発明による実施例では、移動体として、駐車場に駐車している自動運転車両6、7,8等を利用した場合には、自動運転車両6,7,8等の所有者に報酬が与えられる。
【0026】
このように本発明による実施例では、
図5Aの機能構成図又は
図5Bの機能構成図に示されるように、駐車場1内の予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサS1,S2,S3、S4を具備しており、周辺検知センサを備えた移動体を用い、この移動体は、移動体の周辺検知センサがインフラセンサS1,S2,S3、S4による検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能であり、更に、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常を検出する異常検出部と、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常が検出されたときには、移動体を上述の検出可能位置に移動させて周辺検知センサによりインフラセンサS1,S2,S3、S4による検出範囲を検出させる代替検出実行部が設けられている。この場合、
図5Aに示される例では、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット10が、異常検出部および代替検出実行部を構成しており、
図5Bに示される例では、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット10が、代替検出実行部を構成している。
【0027】
また、本発明による実施例では、駐車場1内の予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサS1,S2,S3、S4の異常を検出し、周辺検知センサを備えた移動体を用い、この移動体は、移動体の周辺検知センサがインフラセンサS1,S2,S3、S4による検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能であり、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常が検出されたときには、移動体を上述の検出可能位置に移動させて周辺検知センサによりインフラセンサS1,S2,S3、S4による検出範囲を検出させる自動駐車場管理方法が提供される。
【0028】
更に、本発明による実施例では、駐車場1内の予め設定された範囲を検出するためのインフラセンサS1,S2,S3、S4を具備しており、周辺検知センサを備えた移動体を用い、この移動体は、移動体の周辺検知センサがインフラセンサS1,S2,S3、S4による検出範囲を検出可能な検出可能位置に移動可能である自動駐車場管理システムを制御するためのプログラムであって、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常が検出されたときには、移動体を上述の検出可能位置に移動させて周辺検知センサによりインフラセンサS1,S2,S3、S4による検出範囲を検出させるよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【0029】
図6は、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常を検出するための異常検出ルーチンを示している。この異常検出ルーチンは、
図5Aに示す例では、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット10内において繰り返し実行されており、
図5Bに示す例では、各インフラセンサS1,S2,S3、S40内において繰り返し実行されている。
図6を参照すると、初めに、ステップ50において、インフラセンサS1,S2,S3、S4の異常検出が行われる。次いで、ステップ51では、いずれかのインフラセンサS1,S2,S3、S4に異常が生じているか否かが判別され、いずれかのインフラセンサS1,S2,S3、S4に異常が生じていると判別されたときには、ステップ52に進んで、異常対応処理の実行指令が発せられる。
図5Bに示す例では、この異常対応処理の実行指令が発せられると、この異常対応処理の実行指令が入出庫管理サーバ9に通知される。
【0030】
本発明による実施例では、この異常対応処理の実行指令が発せられると、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット10内において、異常対応処理ルーチンが実行される。
図7および
図8は、移動体として自動運転車両20を用いたときの異常対応処理ルーチンを示しており、
図9および
図10は、移動体としてドローン40を用いたときの異常対応処理ルーチンを示しており、
図11および
図12は、移動体として駐車中の自動運転車両6,7,8を用いたときの異常対応処理ルーチンを示している。
【0031】
最初に、移動体として自動運転車両20を用いたときの異常対応処理ルーチンを示している
図7および
図8を参照すると、まず初めに、ステップ60において、
図6の異常検出ルーチンにおける異常検出結果に基づき、インフラセンサS1,S2,S3、S4のうちで、異常のあるインフラセンサが特定される。次いで、ステップ61では、異常のあるインフラセンサによる検出範囲が特定される。この場合、例えば、異常のあるインフラセンサがインフラセンサS1であったとすると、ステップ61では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、
図1に示されるような駐車場1の平面地図上におけるインフラセンサS1による検出範囲が特定される。次いで、ステップ62では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、自動運転車両20の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラによりインフラセンサS1による検出範囲を検出することのできる自動運転車両20の位置が移動目標地として設定される。
【0032】
次いで、ステップ63では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、自動運転車両20の待機位置から、設定された移動目的地までの走行ルートが設定される。次いで、ステップ64では、正常なインフラセンサS2,S3、S4の検出信号に基づき更新される駐車場1の平面地図上において、他車両や歩行者と接触することのない自動運転車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ65では、自動運転車両20の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ66では、設定された移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が入出庫管理サーバ9から自動運転車両20に送信される。
【0033】
入出庫管理サーバ9から自動運転車両20に自動運転実行指令が送信されると、自動運転車両20の自動運転制御が開始される。
図8は、この自動運転車両20の自動運転制御を行うための車両運転制御ルーチンを示しており、このルーチンは、車両20に搭載された電子制御ユニット24において繰り返し実行される。
【0034】
図8を参照すると、まず初めに、ステップ70では、入出庫管理サーバ9において設定された移動目的地が取得され、次いで、ステップ71では、入出庫管理サーバ9において設定された走行ルートが取得され、ステップ72では、入出庫管理サーバ9において設定された走行軌跡および走行速度が取得される。次いで、ステップ73では、設定された走行軌跡に沿い、自動運転車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等の周辺検知センサの検出結果に基づいて、他車両や歩行者と接触することのないように、自動運転車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ74では、自動運転車両20が移動目的地に到達したか否かが判別される。自動運転車両20が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ73に戻り、自動運転車両20の自動運転が続行される。一方、ステップ74において、自動運転車両20が移動目的地に到達したと判別されたときには、ステップ75に進んで、自動運転車両20の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより撮影された画像信号が入出庫管理サーバ9に送信され続ける。
【0035】
自動運転車両20の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより撮影された画像信号が入出庫管理サーバ9に送信されると、入出庫管理サーバ9では、自動運転車両20の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより撮影された画像信号と、正常なインフラセンサS2,S3、S4により撮影された画像信号に基づき、自動運転車両の入出庫サービスが行われる。
【0036】
次に、移動体としてドローン40を用いたときの異常対応処理ルーチンを示している
図9および
図10を参照すると、まず初めに、ステップ80において、
図6の異常検出ルーチンにおける異常検出結果に基づき、インフラセンサS1,S2,S3、S4のうちで、異常のあるインフラセンサが特定される。次いで、ステップ81では、異常のあるインフラセンサによる検出範囲が特定される。この場合、例えば、異常のあるインフラセンサがインフラセンサS1であったとすると、ステップ81では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、
図1に示されるような駐車場1の平面地図上におけるインフラセンサS1による検出範囲が特定される。次いで、ステップ82では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、ドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラによりインフラセンサS1による検出範囲を検出することのできるドローン40の位置が移動目標地として設定される。
【0037】
次いで、ステップ83では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、ドローン40の待機位置から、設定された移動目的地までの飛行ルートが設定される。次いで、ステップ84では、ドローン40の飛行実行指令が発せられ、次いで、ステップ85では、設定された移動目的地、走行ルートおよび飛行実行指令が入出庫管理サーバ9からドローン40に送信される。
【0038】
入出庫管理サーバ9からドローン40に飛行実行指令が送信されると、ドローン40の自動飛行制御が開始される。
図10は、このドローン40の自動飛行制御を行うための飛行制御ルーチンを示しており、このルーチンは、ドローン40に搭載された制御装置41の電子制御ユニットにおいて繰り返し実行される。
【0039】
図10を参照すると、まず初めに、ステップ90では、入出庫管理サーバ9において設定された移動目的地が取得され、次いで、ステップ91では、入出庫管理サーバ9において設定された飛行ルートが取得される。次いで、ステップ92では、設定された飛行ルートに沿い、ドローン40の周辺方向、上方、下方を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等の周辺検知センサの検出結果に基づいて、他車両や構造物と接触することのないように、ドローン40の飛行制御が行われる。次いで、ステップ93では、ドローン40が移動目的地に到達したか否かが判別される。ドローン40が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ92に戻り、ドローン40の自動飛行が続行される。一方、ステップ93において、ドローン40が移動目的地に到達したと判別されたときには、ステップ94に進んで、ドローン40を移動目的地に保持するホバリング制御が行われる。次いで、ステップ95では、ドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより撮影された画像信号が入出庫管理サーバ9に送信され続ける。
【0040】
ドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより撮影された画像信号が入出庫管理サーバ9に送信されると、入出庫管理サーバ9では、ドローン40の異常対応用周辺検知センサ、例えば、異常対応用カメラにより撮影された画像信号と、正常なインフラセンサS2,S3、S4により撮影された画像信号に基づき、自動運転車両の入出庫サービスが行われる。
【0041】
次に、移動体として駐車中の自動運転車両6,7,8を用いたときの異常対応処理ルーチンを示している
図11および
図12を参照すると、まず初めにステップ100において、
図6の異常検出ルーチンにおける異常検出結果に基づき、インフラセンサS1,S2,S3、S4のうちで、異常のあるインフラセンサが特定される。次いで、ステップ101では、異常のあるインフラセンサによる検出範囲が特定される。この場合、例えば、異常のあるインフラセンサがインフラセンサS1であったとすると、ステップ101では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、
図1に示されるような駐車場1の平面地図上におけるインフラセンサS1による検出範囲が特定される。次いで、ステップ102では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、自動運転車両の周辺検知センサによりインフラセンサS1による検出範囲を検出することのできる自動運転車両の位置が移動目標地として設定される。
【0042】
次いで、ステップ103では、駐車中の自動運転車両6,7,8の中で、自動運転車両6,7,8の周辺検知センサ、例えば、カメラによりインフラセンサS1による検出範囲を検出することのできる自動運転車両、即ち、インフラセンサS1による検出範囲の検出に利用することのできる自動運転車両が検索される。次いで、ステップ104では、駐車中の自動運転車両6,7,8の中で、インフラセンサS1による検出範囲の検出に利用することのできる自動運転車両の中で、周辺検知センサ、例えば、カメラによりインフラセンサS1による検出範囲を最も適切に撮影することのできる自動運転車両が利用すべき車両、即ち、利用車両として決定される。利用車両が決定されるとステップ105に進む。
【0043】
ステップ105では、メモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、利用車両の駐車位置から、設定された移動目的地までの走行ルートが設定される。次いで、ステップ106では、正常なインフラセンサS2,S3、S4の検出信号に基づき更新される駐車場1の平面地図上において、他車両や歩行者と接触することのない利用車両の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ107では、利用車両の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ108では、設定された移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が入出庫管理サーバ9から利用車両に送信される。
【0044】
入出庫管理サーバ9から利用車両に自動運転実行指令が送信されると、利用車両の自動運転制御が開始される。
図12は、この利用車両の自動運転制御を行うための車両運転制御ルーチンを示しており、このルーチンは、利用車両に搭載された電子制御ユニットにおいて繰り返し実行される。
【0045】
図12を参照すると、まず初めに、ステップ110では、入出庫管理サーバ9において設定された移動目的地が取得され、次いで、ステップ111では、入出庫管理サーバ9において設定された走行ルートが取得され、ステップ112では、入出庫管理サーバ9において設定された走行軌跡および走行速度が取得される。次いで、ステップ113では、設定された走行軌跡に沿い、利用車両の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等の周辺検知センサの検出結果に基づいて、他車両や歩行者と接触することのないように、利用車両の走行制御が行われる。次いで、ステップ114では、利用車両が移動目的地に到達したか否かが判別される。利用車両が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ113に戻り、利用車両の自動運転が続行される。一方、ステップ114において、利用車両が移動目的地に到達したと判別されたときには、ステップ115に進んで、利用車両の周辺検知センサ、例えば、カメラにより撮影された画像信号が入出庫管理サーバ9に送信され続ける。次いで、ステップ116では、利用車両の所有者に報酬が付与される。この報酬付与の形態としては、ポイントの付与、或いは、駐車料金の割引等、種々の形態が採用される。
【0046】
利用車両の周辺検知センサにより撮影された画像信号が入出庫管理サーバ9に送信されると、入出庫管理サーバ9では、利用車両の周辺検知センサにより撮影された画像信号と、正常なインフラセンサS2,S3、S4により撮影された画像信号に基づき、自動運転車両の入出庫サービスが行われる。
【符号の説明】
【0047】
1 駐車場
2 自動駐車場の建屋
3 駐車スペース
4 乗降場
5,6,7、8,20 自動運転車両
9 入出庫管理サーバ
S1,S2,S3、S4 インフラセンサ