(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2021135833
(22)【出願日】2021-08-23
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯 潔倫
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢二
(72)【発明者】
【氏名】小川 淳也
(72)【発明者】
【氏名】長沼 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 純也
(72)【発明者】
【氏名】利根 優太
(72)【発明者】
【氏名】石塚 真規
(72)【発明者】
【氏名】田中 唯之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】横井 友香
(72)【発明者】
【氏名】林 貴志
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】濱田 優
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-269087(JP,A)
【文献】特開2005-346170(JP,A)
【文献】米国特許第09273214(US,B1)
【文献】特開2006-350744(JP,A)
【文献】特開2003-157371(JP,A)
【文献】特開2006-309409(JP,A)
【文献】特開2002-259753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0043249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
易剥離層を含む第1の塗装膜を剥がして第1の車両を売却又は返却する第1のユーザに対し、インセンティブを提供する処理を実行する、制御部を備える、
情報処理装置であって、
前記第1のユーザへインセンティブを提供する処
理は、前記第1の車両から前記第1の塗装膜を剥がす工賃よりも前記インセンティブを小さく演算す
る処理を含み、
前記制御部は、
前記第1のユーザへインセンティブを提供する処理において、
前記第1の車両において前記第1の塗装膜が剥がされている状態に関する情報であって、前記第1の車両において前記第1の塗装膜の剥がし残し部分の面積に関する情報を含む情報である第1の情報を取得することと、
前記面積が大きいほど、前記インセンティブを小さく補正することと、
を更に実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長に関する情報を含み、
前記制御部は、前記経過時間長が長いほど、前記インセンティブを小さく補正する、
請求
項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜が剥がされている部分における剥がし跡の有無に関する情報を含み、
前記制御部は、前記剥がし跡が有る場合は無い場合に比べ、前記インセンティブを小さく補正する、
請求
項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜を剥がした方法に関する情報を含み、
前記制御部は、前記方法に応じて前記インセンティブを補正する、
請求
項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の情報は、前記第1の車両において前記第1の塗装膜が剥がされている部分のオリジナル塗装の劣化度合いに関する情報を含み、
前記制御部は、前記劣化度合いが大きいほど、前記インセンティブを小さく補正する、請求
項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、市場の需要を示す情報に基づいて、前記インセンティブを補正する、
請求
項1から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
易剥離層を含む第1の塗装膜を剥がして第1の車両を売却又は返却する第1のユーザに対し、インセンティブを提供する処理を、コンピュータが実行する、
情報処理方法であって、
前記第1のユーザへインセンティブを提供する処
理は、前記第1の車両から前記第1の塗装膜を剥がす工賃よりも前記インセンティブを小さく演算す
る処理を含み、
前記コンピュータが、
前記第1のユーザへインセンティブを提供する処理において、
前記第1の車両において前記第1の塗装膜が剥がされている状態に関する情報であって、前記第1の車両において前記第1の塗装膜の剥がし残し部分の面積に関する情報を含む情報である第1の情報を取得するステップと、
前記面積が大きいほど、前記インセンティブを小さく補正するステップと、
を更に実行する、
情報処理方法。
【請求項8】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長に関する情報を含み、
前記コンピュータが、前記経過時間長が長いほど、前記インセンティブを小さく補正する、
請求
項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜が剥がされている部分における剥がし跡の有無に関する情報を含み、
前記コンピュータが、前記剥がし跡が有る場合は無い場合に比べ、前記インセンティブを小さく補正する、
請求
項7又は8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜を剥がした方法に関する情報を含み、
前記コンピュータが、前記方法に応じて前記インセンティブを補正する、
請求
項7から9の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記第1の情報は、前記第1の車両において前記第1の塗装膜が剥がされている部分のオリジナル塗装の劣化度合いに関する情報を含み、
前記コンピュータが、前記劣化度合いが大きいほど、前記インセンティブを小さく補正する、
請求
項7から10の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記コンピュータは、市場の需要を示す情報に基づいて、前記インセンティブを補正する、
請求
項7から11の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
易剥離層を含む第1の塗装膜を剥がして第1の車両を売却又は返却する第1のユーザに
対し、インセンティブを提供する処理を、コンピュータに実行させるための、情報処理プログラムであって、
前記第1のユーザへインセンティブを提供する処
理は、前記第1の車両から前記第1の塗装膜を剥がす工賃よりも前記インセンティブを小さく演
算する処理を含み、
前記コンピュータに、
前記第1のユーザへインセンティブを提供する処理において、
前記第1の車両において前記第1の塗装膜が剥がされている状態に関する情報であって、前記第1の車両において前記第1の塗装膜の剥がし残し部分の面積に関する情報を含む情報である第1の情報を取得するステップと、
前記面積が大きいほど、前記インセンティブを小さく補正するステップと、
を更に実行させるための、
情報処理プログラム。
【請求項14】
前記第1の情報は、前記第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長に関する情報を含み、
前記コンピュータに、前記経過時間長が長いほど、前記インセンティブを小さく補正させる、
請求
項13に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の整備士でない者でも実施することができる所定の作業を、車両のユーザが行った場合に、報酬(金銭、物品、ポイントなど)をユーザに与える技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、車両の販売又は貸出しを行うサービスの効率を向上させる上で有効な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、情報処理装置として捉えることができる。その場合の情報処理装置は、例えば、
易剥離層を含む第1の塗装膜を剥がして第1の車両を売却又は返却する第1のユーザに対し、インセンティブを提供する処理を実行する、制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、前記第1のユーザへインセンティブを提供する処理において、前記第1の車両から前記第1の塗装膜を剥がす工賃よりも前記インセンティブを小さく演算するようにしてもよい。
【0006】
本開示は、情報処理方法として捉えることもできる。その場合の情報処理方法は、例えば、
易剥離層を含む第1の塗装膜を剥がして第1の車両を売却又は返却する第1のユーザに対し、インセンティブを提供する処理を、コンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記コンピュータが、前記第1のユーザへインセンティブを提供する処理において、前記第1の車両から前記第1の塗装膜を剥がす工賃よりも前記インセンティブを小さく演算するようにしてもよい。
【0007】
本開示は、上記した情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム、又は該情報処理プログラムを格納する非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の販売又は貸出しを行うサービスの効率を向上させる上で有効な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1の車両に施工される塗装膜の第1の構成例を示す図である。
【
図3】第1の車両に施工される塗装膜の第2の構成例を示す図である。
【
図4】中古車販売システムに含まれる管理サーバ装置及び店舗端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】実施形態における管理サーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施形態における係数Cf1を決定する方法を説明するための図である。
【
図7】実施形態における管理サーバ装置で実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図8】実施形態における管理サーバ装置で実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図9】変形例1における第1の補正係数Cfa1を決定する方法を説明するための図である。
【
図10】変形例2における第2の補正係数Cfa2を決定する方法を説明するための図である。
【
図11】変形例3における第3の補正係数Cfa3を決定する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
易剥離層を含む塗装膜(第1の塗装膜)を利用して、車両のボディに剥がせる塗装を施す技術が開発されている。第1の塗装膜は、車両の製造時等にボディに施工されたオリジナル塗装に上塗りされる形で施工される、剥離可能な塗装膜である。オリジナル塗装は、車両のボディを構成する鋼板等の表面に電着層(下塗り)を形成し、電着層の上に中塗り層、ベース層、及びクリア層(トップコート)等を積層することで形成される。オリジナル塗装は、剥離剤等の専用の溶液を用いて剥離する必要があるため、簡単に剥がすことは難しい。これに対し、第1の塗装膜は、例えば、オリジナル塗装の上に形成されるフィルム状の易剥離層と、易剥離層の上に形成される塗装膜(例えば、ベース層及びクリア層)と、を組み合わせたものであり、専用の溶剤を用いなくとも、力を加えることで容易に剥離することができる。なお、第1の塗装膜は、塗装膜自体が剥離可能なもの(易剥離性塗料)でもよい。
【0011】
上記したように、第1の塗装膜は容易に剥離することができるため、任意のタイミングでボディ色を変更することができる。例えば、車両を購入又はリースする際に、中古車市場等で人気の高い色のオリジナル塗装を選択した上で、オリジナル塗装とは異なる色の第1の塗装膜を施して車両を使用することが可能になる。車両を売却又は返却する際には、第1の塗装膜を剥離することで、ボディ色をオリジナル塗装の色に戻すことも可能になる。これにより、中古車市場等で人気の高い色とユーザの好みの色とが異なる場合等に、リセールバリューを確保しつつ、ユーザのニーズに応えることが可能になる。
【0012】
上記したような第1の塗装膜が施工された車両では、オリジナル塗装の塗装膜が保護されるため、第1の塗装膜が施工されない車両と比較して、リセールバリューを高めることができる。それにより、当該車両の次の買い手又は借り手を見つけやすくなるとともに、より高値で当該車両を売却又は貸出しすることが可能になる。ただし、当該車両を次の買い手に販売又は次の借り手に貸し出す際に、第1の塗装膜が剥がされていないと、第1の塗装膜を剥がすための手間がかかってしまう。これに対し、第1の塗装膜を剥がしてから当該車両を売却又は返却する意欲を、ユーザに喚起することができれば、ユーザから買い取った車両又はユーザから返却された車両を次の買い手に販売又は次の借り手に貸し出す際にかかる手間を、軽減することができる。
【0013】
そこで、本開示に係る情報処理装置では、制御部が、第1の塗装膜(易剥離層を含む塗装膜)を剥がして第1の車両を売却又は返却するユーザ(第1のユーザ)に対し、インセンティブを提供する処理を実行するようにした。これにより、第1のユーザは、第1の塗装膜を剥がしてから第1の車両を売却又は返却することの見返りとして、インセンティブ
の提供を受けることができる。
【0014】
ところで、第1の塗装膜を剥がして第1の車両を売却又は返却する場合、第1のユーザは、(1)第1の車両の売却先又は返却先である事業者(以下、「第1の事業者」と記す場合もある。)に依頼して剥がす方法、又は(2)第1の事業者以外の者(例えば、第1のユーザ等)が事前に剥がす方法等を選択することができる。
【0015】
第1のユーザが上記(1)の方法を選択した場合、第1の事業者に対し、第1の車両から第1の塗装膜を剥がす手間が課せられることになる。そのため、第1の事業者の手間を軽減するためには、上記(1)以外の方法を選択する意欲を、第1のユーザに喚起させる必要がある。
【0016】
これに対し、本開示に係る情報処理装置では、第1のユーザにインセンティブを提供する処理において、制御部が、第1の車両から第1の塗装膜を剥がす工賃よりもインセンティブを小さく演算するようにした。これにより、第1のユーザが上記(1)の方法を選択する場合には、インセンティブよりも大きな工賃を第1のユーザが負担する必要が生じる。すなわち、第1のユーザが上記(1)の方法を選択する場合には、インセンティブと工賃との差分を、第1のユーザが負担しなければならない。よって、第1のユーザが第1の車両を売却又は返却する場合に、上記(1)以外の方法を選択する意欲を第1のユーザに喚起することができる。その結果、第1の事業者の手間を、より確実に軽減することが可能になる。
【0017】
なお、「第1車両を売却」とは、第1のユーザが、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者へ第1の車両を売り渡すこと、又は新車販売サービスを提供する事業者へ第1の車両を下取りに出すこと、等をいう。「第1の車両を返却」とは、第1のユーザが、第1の車両のリースサービスを提供する事業者に第1の車両を返すことをいう。中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者、新車販売サービスを提供する事業者、及び第1の車両のリースサービスを提供する事業者は、上記した第1の事業者に相当する。
【0018】
本開示に係る情報処理装置において、制御部は、第1のユーザへインセンティブを提供する処理において、第1の車両において第1の塗装膜が剥がされている状態に関する第1の情報を取得することと、第1の情報に基づいて、第1のユーザに提供されるインセンティブを補正することと、を更に実行するようにしてもよい。この場合、第1の車両において第1の塗装膜が剥がされている状態に応じて、第1のユーザへ提供されるインセンティブを補正することが可能になる。例えば、第1の塗装膜が剥がされている状態が、第1の車両を次の買い手又は次の借り手に販売又は貸し出す際にかかる手間を軽減するのに適した状態からかけ離れているほど、第1のユーザへ提供されるインセンティブを小さくすることができる。その結果、第1の塗装を剥がした状態が、第1の車両を次の買い手又は次の借り手に販売又は貸し出す際にかかる手間を軽減するのに適した状態となるように、第1の塗装膜を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。
【0019】
ここで、上記した第1の情報は、第1の車両において第1の塗装膜の剥がし残し部分(第1の塗装膜が剥がされずに残っている部分)の面積に関する情報を含むようにしてもよい。その場合、制御部は、第1の塗装膜の剥がし残し部分の面積が大きいほど、インセンティブを小さく補正してもよい。これにより、第1の塗装膜の剥がし残し部分の面積がより小さくなるように、第1の塗装膜を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、第1の車両を次の買い手又は次の借り手に販売又は貸し出す際にかかる手間をより少なく抑えることが可能になる。
【0020】
また、第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長が長いほど、第1の塗装膜が剥がさ
れた部分におけるオリジナル塗装の見映え等が低下する可能性がある。そこで、上記した第1の情報は、第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長に関する情報を含むようにしてもよい。その場合、制御部は、第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長が長いほど、インセンティブを小さく補正してもよい。これにより、第1の塗装膜が剥がされてからの経過時間長が長くなる前に、第1の車両を売却又は返却する意欲を、第1のユーザに喚起することができる。言い換えると、第1の車両を売却又は返却する直前に第1の塗装膜を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、第1の塗装膜が剥がされた部分におけるオリジナル塗装の見映えが低下する前に、第1の車両が売却又は返却され易くなる。
【0021】
また、上記した第1の情報は、第1の塗装膜が剥がされている部分における剥がし跡の有無に関する情報を含むようにしてもよい。その場合、制御部は、第1の塗装膜が剥がされている部分に剥がし跡が有る場合は無い場合に比べ、インセンティブを小さく補正してもよい。これにより、剥がし跡が残らないように第1の塗装膜を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、第1の塗装膜の剥がし跡を取り除くための手間を軽減することができる。
【0022】
また、上記した第1の情報は、第1の塗装膜を剥がした方法に関する情報を含むようにしてもよい。その場合、制御部は、第1の塗装膜を剥がした方法に応じてインセンティブを補正してもよい。例えば、第1の車両の第1の塗装膜を剥がした方法が、高圧水流を第1の車両に吹き付けて第1の塗装膜を剥がす方法等のように、オリジナル塗装を傷つけ難く且つ剥がし跡が残り難い方法(以下、「第1の方法」と記す場合もある。)である場合は、第1の方法以外の方法(例えば、手作業によって第1の塗装膜を剥がす方法等)である場合に比べ、インセンティブが大きくなるように、制御部がインセンティブを補正してもよい。これにより、第1の方法で第1の塗装膜を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、第1の塗装膜を剥がす際に、オリジナル塗装を傷つけたり、又は剥がし跡を残したりする可能性を、より確実に小さくすることができる。
【0023】
また、上記した第1の情報は、第1の車両において第1の塗装膜が剥がされている部分のオリジナル塗装の劣化度合いに関する情報を含むようにしてもよい。その場合、制御部は、第1の塗装膜が剥がされている部分のオリジナル塗装の劣化度合いが大きいほど、インセンティブを小さく補正してもよい。これにより、第1の塗装膜が剥がされている部分のオリジナル塗装が劣化しないように第1の車両を取り扱う意欲、又は第1の塗装膜が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きくなる前に第1の車両を売却又は返却する意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、第1の車両のリセールバリューを高めることが可能になる。
【0024】
なお、制御部は、第1の情報のみならず、市場の需要を加味して、インセンティブを補正してもよい。ここでいう「市場」とは、中古車市場、又は車両のリース市場等である。また、「需要」とは、第1の車両の車種に対する需要でもよく、又は第1の車両に施工されているオリジナル塗装の色に対する需要でもよい。その場合、制御部は、市場の需要を示す情報に基づいて、インセンティブを補正してもよい。例えば、市場の需要が大きい場合は小さい場合に比べ、インセンティブが大きくなるように、制御部がインセンティブを補正してもよい。これは、市場の需要が大きいほど、オリジナル塗装の状態がよければ、より高値で販売又は貸し出すことが可能になるためである。
【0025】
<実施形態>
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成は、特に記載がない限り本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
本実施形態では、本開示に係る情報処理装置を、中古車の買取り及び販売サービスを提供するシステム(以下、「中古車販売システム」と記す場合もある。)に適用する例について述べる。なお、本開示に係る情報処理装置は、車両の貸出しサービス(リースサービス)を提供するシステムにも適用可能である。
【0027】
(システム概要)
図1は、本開示に係る情報処理装置を適用する中古車販売システムの概要を示す図である。本実施形態における中古車販売システムは、中古車の買取り及び販売業務を管理する管理サーバ装置100と、中古車の買取り及び販売業務を行う店舗(以下、「第1の店舗」と記す場合もある。)で使用される店舗端末200と、を含んで構成される。
図1に示す例では、店舗端末200が1つのみ図示されているが、管理サーバ装置100の管理下にある第1の店舗が複数ある場合は、その店舗数と同数の店舗端末200が含まれてもよい。
【0028】
管理サーバ装置100は、第1の店舗で行われる中古車の買取り及び販売業務を管理するサーバ装置であり、本開示に係る「情報処理装置」の一例である。管理サーバ装置100は、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者によって運営される。
【0029】
本実施形態の管理サーバ装置100は、上塗り塗装が剥がされている車両(第1の車両10)の買取り業務が第1の店舗で行われる場合に、第1の車両10の売手である第1のユーザへインセンティブを提供するための各種処理を行う。上塗り塗装とは、第1の車両10の製造時等にボディに施工されたオリジナル塗装に上塗りされる形で施工される、剥離可能な塗装膜であり、本開示に係る「第1の塗装膜」に相当する。上塗り塗装の詳細については、後述する。
【0030】
上塗り塗装が剥がされている第1の車両10の買取り業務が第1の店舗で行われるときに、管理サーバ装置100は、後述の店舗端末200から提供される第1の情報(第1の車両10において上塗り塗装が剥がされている状態に関する情報)に基づいてインセンティブを演算し、演算されたインセンティブを第1のユーザへ提供する依頼(以下、「提供依頼」と記す場合もある。)を店舗端末200に対して行う。
【0031】
店舗端末200は、第1の店舗の従業員が使用する端末である。本実施形態では、第1の車両10の買取り業務が行われるときに、店舗端末200が、第1の情報の入力を受け付け、受け付けた第1の情報を管理サーバ装置100へ提供する。第1の情報の入力は、第1の店舗の従業員により行われる。また、管理サーバ装置100からの提供依頼を受けた場合に、店舗端末200が、提供依頼を第1の店舗の従業員に提示する。斯様な提示を受けた従業員は、提供依頼に応じたインセンティブを第1のユーザへ提供するための手続きを行うことができる。
【0032】
本実施形態におけるインセンティブは、第1の車両10の買取り価格の上乗せ、第1の店舗で中古車を購入する際の割引、又は金銭の支払い等であるが、これらに限定されるものではなく、第1のユーザにとってメリットのあるものであればよい。
【0033】
(上塗り塗装)
ここで、第1の車両10に施工される塗装について説明する。
図2は、第1の車両10に施工された塗装膜の概略構成を示す図である。
図2に示すように、第1の車両10のボディを構成する鋼板11の表面には、オリジナル塗装が施され、オリジナル塗装の上に上塗り塗装が施される。オリジナル塗装は、鋼板11の表面に形成される中塗り層20と、中塗り層20の上に形成されるベース層30と、ベース層30の上に形成されるクリア層
(トップコート)40と、を含む。なお、鋼板11には、電着層が下塗りされている。また、第1の車両10のボディを構成する部材が樹脂製のものである場合、オリジナル塗装の中塗り層20の代わりにプライマー層を形成すればよい。このように形成されるオリジナル塗装は、剥離剤等の専用の溶液を用いて剥離する必要があるため、簡単に剥がすことは難しい。
【0034】
次に、上塗り塗装は、オリジナル塗装の上(クリア層40の上)に形成される剥離層50を含む。剥離層50は、易剥離性塗料の層であって、力を加えることで容易に剥離できるという性質を持つ。なお、
図2に例示した剥離層50は、本開示に係る「易剥離層を含む塗装膜(第1の塗装膜)」に相当する。斯様な剥離層50は、例えば、噴霧法等を用いて、易剥離性塗料をオリジナル塗装の上に塗装することで形成される。易剥離性塗料は、例えば、キシレン、エチルベンゼン、酸化防止剤、メチルエチルケトン、シリカ反応物、酸化チタン(ナノ粒子)、及び有機溶剤等を含む塗料である。なお、剥離層50の上には、クリア層が形成されてもよい。
【0035】
なお、
図2に示す上塗り塗装は、塗料自体に剥離性を持たせたものであるが、上塗り塗装の構成は
図2の例に限定されず、易剥離性を有する塗装膜であればよい。例えば、
図3に示すように、オリジナル塗装のクリア層40の上に剥離層60を形成し、剥離層60の上にベース層70及びクリア層80を形成してもよい。
図3に示す剥離層60は、
図2中の剥離層50と同様の材料を用いて、無着色に形成される。その場合、剥離層60が本開示に係る「易剥離層」に相当し、剥離層60とベース層70とクリア層80とを含む上塗り塗装が本開示に係る「易剥離層を含む塗装膜(第1の塗装膜)」に相当する。
図3に示す上塗り塗装は、剥離層60に力を加えることで、簡単にオリジナル塗装から剥離させることができる。
【0036】
上記した上塗り塗装を用いることで、第1の車両10のボディ色を、オリジナル塗装の色とは異なる色へ変更することが容易になる。また、上塗り塗装を剥がすことで、第1の車両10のボディ色をオリジナル塗装の色に戻すことも容易である。よって、第1の車両10を購入する際に、中古車市場等で人気の高い色のオリジナル塗装を選択した上で、オリジナル塗装とは異なる色の上塗り塗装を施して第1の車両10を使用することが可能になる。そして、第1の車両10を中古車市場等で販売する際には、上塗り塗装を剥がすことで、中古車市場等で人気の高い色のオリジナル塗装に戻すことができるため、第1の車両10に買い手がつき易くなるとともに、高値で第1の車両10を販売することも可能になる。また、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者にとっては、上塗り塗装が剥がされている状態の車両をユーザから買い取ることで、上塗り塗装を剥がすための手間を減らすことができる。
【0037】
(システム構成)
図4は、本実施形態に係る中古車販売システムに含まれる管理サーバ装置100、及び店舗端末200のハードウェア構成例を示す図である。
【0038】
管理サーバ装置100は、第1の店舗を統括する事業所等に設置されるコンピュータである。管理サーバ装置100は、
図4に示すように、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、及び通信部104を有する。プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、及び通信部104は、互いにバスによって接続される。管理サーバ装置100のハードウェア構成は、
図4に示す例に限定されず、適宜構成要素の省略、置換、及び追加が行われてもよい。
【0039】
プロセッサ101は、様々な情報処理の演算を行うことで、管理サーバ装置100を制御する。斯様なプロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は
DSP(Digital Signal Processor)等により構成される。
【0040】
主記憶部102は、補助記憶部103に格納されているプログラムをロードするための記録領域として用いられたり、又はプロセッサ101の演算結果等を一時的に記憶するためのバッファとして用いられたりする記憶装置である。斯様な主記憶部102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリを含んで構成される。
【0041】
補助記憶部103は、例えば、プロセッサ101に実行させるためのプログラム、及びプロセッサ101がプログラムを実行する際に使用されるデータ等を格納する。斯様な補助記憶部103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はHDD(Hard Disk Drive)等を含んで構成される。補助記憶部103は、リムーバブルメディアを含んでもよい。リムーバブルメディアは、例えば、CD(Compact Disc)若しくはDVD(Digital Versatile Disc)等のようなディスク記録媒体でもよく、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリでもよい。補助記憶部103に格納されるプログラムには、OS(Operating System)に加え、インセンティブの提供に関連するアプリケーション・プログラムが含まれる。なお、補助記憶部103に格納されている情報の一部又は全部は、主記憶部102に格納されてもよい。
【0042】
通信部104は、管理サーバ装置100をネットワークN1に接続するための通信インタフェースである。通信部104は、例えば、LAN(Local Area Network)等の通信網を利用して、ネットワークN1に接続する。通信部104は、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を利用して、ネットワークN1に接続してもよい。通信部104は、ネットワークN1を通じて、他の機器(例えば、店舗端末200)と通信する。
【0043】
ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、又はその他の通信網である。なお、ネットワークN1は、携帯
電話等の電話通信網、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0044】
店舗端末200は、第1の店舗の従業員が使用するコンピュータである。店舗端末200は、第1の店舗に設置される据え置き型のコンピュータでもよく、又は従業員が持ち運び可能なタブレット型のコンピュータでもよい。店舗端末200は、
図4に示すように、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、入出力部204、及び通信部205を有する。プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、入出力部204、及び通信部205は、互いにバスにより接続される。店舗端末200のハードウェア構成は、
図4に示す例に限定されず、適宜構成要素の省略、置換、又は追加が行われてもよい。
【0045】
ここで、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、及び通信部205は、管理サーバ装置100のプロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、及び通信部104と同様であるため、その説明が省略される。ただし、通信部205は、5G(5th-Generation)若しくはLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信サービスを
利用してネットワークN1へ接続するように構成されてもよい。
【0046】
入出力部204は、第1の店舗の従業員が行った入力操作を受け付ける一方で、従業員に対して情報を提示する。入出力部204は、例えば、キーボードとその制御回路、及び液晶ディスプレイとその制御回路等から構成される。なお、入出力部204は、キーボード及び液晶ディスプレイの代わりに、タッチパネルディスプレイを備えるようにしてもよい。
【0047】
上記したように構成される店舗端末200は、従業員とのインタラクションを実現する機能を有する。例えば、店舗端末200は、従業員による第1の情報の入力を受け付ける機能と、受け付けた第1の情報を管理サーバ装置100へ提供する機能と、管理サーバ装置100から受けた提供依頼を従業員に提示する機能と、を実現する。これらの機能は、店舗端末200で動作するブラウザ、又は補助記憶部203に格納されるアプリケーション・プログラムによって実現される。なお、店舗端末200で実現される機能の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路により実現されてもよい。
【0048】
(管理サーバ装置の機能構成)
ここで、管理サーバ装置100の機能構成について、
図5に基づいて説明する。本実施形態における管理サーバ装置100は、店舗端末200とのインタラクションを行うためのウェブサーバを実現可能に構成されてもよい。その場合、店舗端末200は、ブラウザを通じてウェブサーバにアクセスすることで、第1のユーザからの第1の車両10の買取り契約、管理サーバ装置100への第1の情報の提供、及び管理サーバ装置100からの提供依頼の受け取り等を行うことができる。なお、管理サーバ装置100は、ウェブサーバ以外の手段によって上記と同様のサービスを提供してもよい。例えば、店舗端末200にインストールされるアプリケーション・プログラムと所定のプロトコルとによって、店舗端末200とのインタラクションを実現する処理を、管理サーバ装置100が実行してもよい。
【0049】
上記した機能を実現する管理サーバ装置100は、
図5に示すように、その機能構成要素として、取得部F110と、演算部F120と、依頼部F130と、を有する。これら取得部F110、演算部F120、及び依頼部F130は、プロセッサ101が補助記憶部103に格納されているプログラムを実行することにより実現される。上記した機能構成要素を実現するプロセッサ101が、本開示に係る「制御部」に相当する。なお、取得部F110と演算部F120と依頼部F130との全部又は一部は、ASIC又はFPGA等のハードウェア回路により実現されてもよい。
【0050】
取得部F110は、前述のウェブサーバを実現するための機能構成要素の一つであり、店舗端末200とのインタラクションを行う。例えば、店舗端末200がブラウザを通じて所定のウェブページ(例えば、第1の車両10の買取り契約に必要な情報を入力するためのウェブページ、又は第1の車両10の買取り契約が完了したことを示す情報を入力するためのウェブページ等)にアクセスしたとき、取得部F110が、第1の情報の入力画面を、店舗端末200のブラウザに表示させる。第1の情報は、前述したように、第1の車両10において上塗り塗装が剥がされている状態に関する情報である。上記した入力画面において第1の情報が入力されると、入力された第1の情報が取得部F110によって取得される。取得部F110によって取得された第1の情報は、取得部F110から演算部F120へ渡される。
【0051】
演算部F120は、第1の情報に基づいて、第1のユーザに提供されるインセンティブを演算する。本実施形態の演算部F120は、第1の情報として、上塗り塗装の剥がし残し部分(上塗り塗装が剥がされずに残っている部分)の面積(以下、「第1の面積」と記す場合もある。)を用いる。その場合、演算部F120は、第1の面積が大きいほど、第1のユーザに提供されるインセンティブが小さくなる方法で、インセンティブを演算する。
【0052】
例えば、演算部F120は、先ず、
図6に示すような対応関係に基づいて、係数Cf1を決定する。係数Cf1は、
図6に示すように、1.0以下の正数であって、且つ第1の面積が大きいほど小さい値になるように設定される。
図6に示す例では、第1の面積が8
0cm
2以上である場合は、係数Cf1が「0」に設定される。また、第1の面積が80cm
2未満である場合は、第1の面積が小さくなるにつれて、係数Cf1が大きくなっていき、第1の面積が0cm
2のとき(上塗り塗装の剥がし残し部分がないとき)に最大の「1.0」となるように設定される。なお、
図6に示すような対応関係は、マップの形態で補助記憶部103に格納されていてもよく、又は計算モデルの形態で補助記憶部103に格納されていてもよい。また、
図6に示す第1の面積の数値と係数Cf1の値は、あくまで一例であって、
図6の例に限定されるものではない。
【0053】
上記したような方法により係数Cf1が決定されると、演算部F120は、インセンティブの基準値Icdefに係数Cf1を乗算することで、第1のユーザへ提供されるインセンティブを算出する。上記した基準値Icdefは、インセンティブの上限値であり、上塗り塗装が剥がされていない部分が無い場合に提供されるインセンティブの値(金額等)に相当する。本実施形態における基準値Icdefは、第1の車両10から上塗り塗装を剥がす作業を第1の店舗に依頼した場合に発生する工賃(以下、「第1の工賃」と記す場合もある。)よりも小さく設定される。第1の工賃は、車種毎に設定されていてもよく、又は上塗り塗装の施工面積に応じて設定されていてもよい。斯様な第1の工賃に関する情報は、例えば、管理サーバ装置100の主記憶部102又は補助記憶部103に予め格納されるようにしてもよい。その場合、演算部F120は、第1の車両10の車種又は上塗り塗装の施工面積を店舗端末200から取得する。演算部F120は、取得した車種又は施工面積を引数として、主記憶装置102又は補助記憶部103にアクセスすることで、第1の車両10から上塗り塗装を剥がす際に発生する第1の工賃を導出する。そして、演算部F120は、導出された第1の工賃から所定値を減算することで、基準値Icdefを導出してもよい。このように、基準値Icdefが第1の工賃より小さく設定されるのは、第1の車両10の売却先となる第1の店舗に上塗り塗装を剥がす作業を依頼するよりも、事前に上塗り塗装を剥がしてきた方が、第1のユーザにとって金銭的メリットがあることを、第1のユーザに知らしめるためである。
【0054】
上記した方法により算出されるインセンティブは、第1の面積が80cm2未満であれば、0より大きく且つ第1の工賃より小さい範囲内の値となる。すなわち、第1の面積が0cm2であれば、第1のユーザへ提供されるインセンティブは、第1の工賃より小さい基準値Icdefと同等になる。また、第1の面積が0cm2より大きく且つ80cm2より小さい場合は、第1のユーザへ提供されるインセンティブは、基準値Icdefより小さい値であって、第1の面積が大きいほど小さい値となる。また、第1の面積が80cm2以上である場合は、第1のユーザへ提供されるインセンティブは「0」になる(第1のユーザに対してインセンティブが提供されない)。演算部F120により算出されたインセンティブは、演算部F120から依頼部F130へ渡される。
【0055】
なお、インセンティブの演算方法は、上記した方法に限定されず、第1の車両10において上塗り塗装の剥がし残し部分の面積が大きいほど、インセンティブが小さくなる演算方法であれば、如何なる方法を用いてもよい。例えば、第1の車両10において上塗り塗装が施工されていた面積のうち、上塗り塗装が剥がされていない部分の面積が占める割合が大きいほど、インセンティブが小さくなる方法で、インセンティブが演算されてもよい。
【0056】
ここで、
図5に戻り、依頼部F130は、取得部F110と同様に、前述のウェブサーバを実現するための機能構成要素の一つであり、店舗端末200とのインタラクションを行う。例えば、依頼部F130は、提供依頼を、店舗端末200のブラウザに表示させる。その際の提供依頼には、例えば、演算部F120によって演算されたインセンティブと、当該インセンティブを第1のユーザへ提供することを第1の店舗の従業員に促すメッセージとが含まれる。斯様な提供依頼を見た従業員は、演算部F120によって演算された
インセンティブを第1のユーザに提供することが可能になる。
【0057】
なお、管理サーバ装置100の機能構成は、
図5に示した例に限定されず、適宜機能構成要素の省略、変更、又は追加が可能である。
【0058】
(処理の流れ)
本実施形態における管理サーバ装置100で実行される処理の流れについて
図7及び
図8に基づいて説明する。
図7は、店舗端末200がブラウザを通じて前述の所定のウェブページにアクセスしたときに実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
図8は、
図7中のステップS104で実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。なお、
図7及び
図8に示す処理の実行主体は、管理サーバ装置100のプロセッサ101であるが、ここでは管理サーバ装置100の機能構成要素を主体とした説明を行う。
【0059】
店舗端末200がブラウザを通じて前述の所定のウェブページにアクセスすると、
図7に示すように、取得部F110が、第1の情報の入力画面を、店舗端末200のブラウザに表示させる(ステップS101)。取得部F110は、ステップS101の処理を実行し終えると、ステップS102の処理を実行する。
【0060】
ステップS102では、取得部F110は、第1の情報の入力画面において、第1の情報の入力が完了したかを判定する。第1の情報の入力画面において第1の情報の入力が完了していない場合(ステップS102で否定判定)、取得部F110は、第1の情報の入力が完了するまで待機する。また、第1の情報の入力画面において第1の情報の入力が完了している場合(ステップS102で肯定判定)、取得部F110は、ステップS103の処理を実行する。
【0061】
ステップS103では、取得部F110は、第1の情報の入力画面で入力された第1の情報を取得する。取得部F110により取得された第1の情報は、取得部F110から演算部F120へ渡される。演算部F120は、第1の情報を受け取ったことをトリガにして、ステップS104の処理を実行する。
【0062】
ステップS104では、演算部F120は、取得部F110から受け取った第1の情報に基づいて、第1のユーザへ提供されるインセンティブを演算する。その際、演算部F120は、
図8のサブルーチンに従って、第1のユーザへ提供されるインセンティブを演算する。
【0063】
図8では、演算部F120が、取得部F110から受け取った第1の情報に基づいて、係数Cf1を決定する(ステップS1401)。例えば、演算部F120は、第1の情報と、前述の
図6に示した対応関係と、に基づいて、係数Cf1を決定する。演算部F120は、ステップS1401の処理を実行し終えると、ステップS1402の処理を実行する。
【0064】
ステップS1402では、演算部F120は、インセンティブの基準値Icdefに、ステップS1401で決定された係数Cf1を乗算することで、第1のユーザへ提供されるインセンティブを算出する。演算部F120がステップS1402の処理を実行し終えると、
図8のサブルーチンの実行が終了される。
【0065】
ここで
図7の処理ルーチンに戻り、演算部F120は、ステップS104(ステップS1401-S1402)で算出されたインセンティブを、依頼部F130へ渡す。依頼部F130は、演算部F120によって算出されたインセンティブを受け取ったことをトリガにして、ステップS105の処理を実行する。
【0066】
ステップS105では、依頼部F130は、提案依頼を、第1の店舗の従業員に提示する。具体的には、依頼部F130は、提案依頼を、店舗端末200のブラウザに表示させる。これにより、店舗端末200に表示された提案依頼を見た従業員が、管理サーバ装置100で演算されたインセンティブを、第1のユーザに提供することが可能になる。
【0067】
依頼部F130がステップS105の処理を実行し終えると、
図7の処理ルーチンの実行が終了される。
【0068】
(実施形態の効果)
以上述べた実施形態によれば、第1の面積が小さければ(例えば、80cm2未満)、第1の車両10を売却する第1のユーザへインセンティブが提供されることになる。ただし、第1のユーザへ提供されるインセンティブの上限値(基準値Icdef)は、第1の工賃よりも小さく演算される。そのため、第1のユーザが第1の車両10を第1の店舗へ売却するにあたり、上塗り塗装の剥離作業を第1のユーザが第1の店舗へ依頼することを抑制することもできる。つまり、上塗り塗装の剥離作業を第1の店舗に依頼する方法以外の方法で、第1の車両10から上塗り塗装を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第1の面積が大きくなるほど、第1のユーザへ提供されるインセンティブが小さくされるため、第1の面積がより一層小さくなるように第1の塗装膜を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することもできる。
【0070】
したがって、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、第1の車両10から上塗り塗装を剥がすための手間を減らすことができる。
【0071】
<変形例1>
前述の実施形態では、第1の情報として、第1の面積(第1の車両10における上塗り塗装の剥がし残し部分の面積)のみを用いる例について説明したが、第1の面積に加え、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長を用いるようにしてもよい。
【0072】
ここで、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が長くなるほど、上塗り塗装が剥がされた部分におけるオリジナル塗装の見映えが低下(例えば、傷み、又は色あせ等)する可能性がある。これに対し、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が長くなる前に、第1のユーザに第1の車両10を売却させることができれば、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、オリジナル塗装の見映えが低下する前に、第1のユーザから第1の車両10を買い取ることができる。
【0073】
そこで、本変形例では、第1の面積が大きいほど、且つ上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が長いほど、第1のユーザに提供されるインセンティブが小さくなる方法で、インセンティブが演算されるようにした。
【0074】
本変形例の演算部F120は、前述した実施形態と同様の方法で係数Cf1を決定することに加え、
図9に示すような対応関係に基づいて第1の補正係数Cfa1を決定する。第1の補正係数Cfa1は、
図9に示すように、1.0以下の正数であって、且つ上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が短いほど大きい値になるように設定される。例えば、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が5ヶ月以上である場合は、第1の補正係数Cfa1が「0」に設定される。また、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が5ヶ月未満である場合は、当該経過時間長が短くなるにつれて、第1の補正係数Cfa1が大きくなっていき、当該経過時間長が1ヶ月未満のときに最大の「1.0」となるように設
定される。なお、
図9に示すような対応関係は、マップの形態で補助記憶部103に格納されていてもよく、又は計算モデルの形態で補助記憶部103に格納されていてもよい。また、
図9に示す時間長の数値と第1の補正係数Cfa1の値は、あくまで一例であって、
図9の例に限定されるものではない。
【0075】
上記したような方法により係数Cf1と第1の補正係数Cfa1とが決定されると、演算部F120は、インセンティブの基準値Icdefに、係数Cf1と第1の補正係数Cfa1とを乗算することで、第1のユーザへ提供されるインセンティブを算出する。斯様にして算出されるインセンティブは、第1の面積が大きいほど、且つ上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が長いほど、小さい値となる。
【0076】
本変形例によれば、第1の面積がより一層小さくなるように上塗り塗装を剥がす意欲、及び上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長が長くなる前に第1の車両10を売却する意欲(第1の車両10を売却する直前に上塗り塗装を剥がす意欲)を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、上塗り塗装を剥がす手間を減らしつつ、リセールバリューがより高い状態で第1の車両10を第1のユーザから買い取ることが可能になる。
【0077】
なお、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長は、第1の情報に含まれる情報であるため、第1の店舗において上記の経過時間長を判定する必要がある。上記の経過時間長の判定は、第1のユーザからの申告に基づいて行われてもよく、上塗り塗装を剥がす作業を行った業者からの申告に基づいて行われてもよく、又は第1の車両10に搭載されるカメラ(例えば、ドライブレコーダのカメラ等)により撮影された画像に基づいて行われてもよい。
【0078】
<変形例2>
前述の変形例1では、第1の情報として、第1の面積と、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長と、を用いる例について述べたが、第1の面積と、上塗り塗装が剥がされた部分における剥がし跡の有無に関する情報と、を用いるようにしてもよい。すなわち、前述の変形例1における、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長の代わりに、上塗り塗装が剥がされている部分における剥がし跡の有無に関する情報を用いるようにしてもよい。
【0079】
ここで、上塗り塗装が剥がされている部分に剥がし跡が残っていると、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、剥がし跡を取り除く作業を行う必要がある。これに対し、剥がし跡が残らないように上塗り塗装を剥がすことを、第1のユーザに促すことができれば、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者が剥がし跡を取り除くための手間を軽減することができる。
【0080】
そこで、本変形例では、第1の面積が大きいほど、第1のユーザに提供されるインセンティブが小さくなり、且つ上塗り塗装が剥がされている部分に剥がし跡が有る場合は無い場合に比べ、第1のユーザに提供されるインセンティブが小さくなる方法で、インセンティブが演算されるようにした。
【0081】
本変形例の演算部F120は、前述した実施形態と同様の方法で係数Cf1を決定することに加え、
図10に示すような対応関係に基づいて第2の補正係数Cfa2を決定する。第2の補正係数Cfa2は、
図10に示すように、1.0以下の正数であって、且つ上塗り塗装が剥がされている部分に剥がし跡が無い場合は有る場合に比べ、大きい値になるように設定される。なお、
図10に示す例では、上塗り塗装が剥がされている部分における剥がし跡の有無のみに応じて第2の補正係数Cfa2が設定されるが、剥がし跡の多少
も加味して、第2の補正係数Cfa2が設定されてもよい。すなわち、剥がし跡が有る場合に、剥がし跡が少ないほど、第2の補正係数Cfa2が大きい値になるようにしてもよい。
【0082】
上記したような方法により係数Cf1と第2の補正係数Cfa2とが決定されると、演算部F120は、インセンティブの基準値Icdefに、係数Cf1と第2の補正係数Cfa2とを乗算することで、第1のユーザへ提供されるインセンティブを算出する。斯様にして算出されるインセンティブは、第1の面積が大きいほど小さい値になり、且つ上塗り塗装が剥がされている部分に剥がし跡が有る場合は無い場合よりも小さい値となる。
【0083】
本変形例によれば、第1の面積がより一層小さくなるように上塗り塗装を剥がす意欲、及び剥がし跡が残らないように上塗り塗装を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、第1の車両10から上塗り塗装を剥がしたり、及び剥がし跡を取り除いたりするための手間を減らすことができる。
【0084】
<変形例3>
前述の変形例1では、第1の情報として、第1の面積と、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長と、を用いる例について述べたが、第1の面積と、上塗り塗装を剥がした方法に関する情報と、を用いるようにしてもよい。すなわち、前述の変形例1における、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長の代わりに、上塗り塗装を剥がした方法に関する情報を用いるようにしてもよい。
【0085】
ここで、高圧水流を上塗り塗装に吹き付ける方法等のように、オリジナル塗装を傷つけ難く且つ剥がし跡が残り難い方法(第1の方法)により、第1の車両10の上塗り塗装が剥がされた場合は、第1の方法以外の方法(例えば、手作業等)で第1の車両10の上塗り塗装が剥がされた場合に比べ、オリジナル塗装を傷つけ難く、且つ剥がし跡が残り難い。よって、第1の方法により上塗り塗装を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができれば、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、剥がし跡を取り除くための手間を減らすことができるとともに、リセールバリューが高い状態で第1の車両10を第1のユーザから買い取ることができる。
【0086】
そこで、第1の面積が大きいほど、第1のユーザに提供されるインセンティブが大きくなり、且つ第1の車両10の上塗り塗装を剥がした方法が第1の方法以外の方法である場合は第1の方法である場合に比べ、第1のユーザに提供されるインセンティブが小さくなるように、演算部F120が、インセンティブを演算してもよい。
【0087】
本変形例によれば、第1の面積がより一層小さくなるように上塗り塗装を剥がす意欲、及び第1の方法により上塗り塗装を剥がす意欲を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、剥がし跡を取り除くための手間を減らすことができるとともに、リセールバリューが高い状態で第1の車両10を第1のユーザから買い取ることができる。
【0088】
なお、第1の車両10の上塗り塗装を剥がす方法に関する情報は、第1の情報に含まれる情報であるため、第1の店舗において上記の方法を判定する必要がある。上記の方法の判定は、第1のユーザからの申告に基づいて行われてもよく、上塗り塗装を剥がす作業を行った業者からの申告に基づいて行われてもよく、又は第1の車両10に搭載されるカメラ(例えば、ドライブレコーダのカメラ等)により撮影された画像に基づいて行われてもよい。
【0089】
<変形例4>
前述の変形例1では、第1の情報として、第1の面積と、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長と、を用いる例について述べたが、第1の面積と、上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いと、を用いるようにしてもよい。すなわち、前述の変形例1における、上塗り塗装が剥がされてからの経過時間長の代わりに、上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いを用いるようにしてもよい。
【0090】
ここで、上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きくなると、第1の車両10のリセールバリューが低くなる可能性がある。これに対し、上塗り塗装を剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きくなる前に第1の車両10を売却すること、あるいは上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きくならないように第1の車両10を取り扱うことを、第1のユーザに促すことができれば、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが小さい状態で、第1の車両10を買い取ることができる。
【0091】
そこで、本変形例では、第1の面積が大きいほど、且つ上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きいほど、第1のユーザに提供されるインセンティブが小さくなる方法で、インセンティブが演算されるようにした。
【0092】
本変形例の演算部F120は、前述した実施形態と同様の方法で係数Cf1を決定することに加え、
図11に示すような対応関係に基づいて第3の補正係数Cfa3を決定する。第3の補正係数Cfa3は、
図11に示すように、1.0以下の正数であって、且つ上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが小さいほど大きい値になるように設定される。なお、
図11に示す劣化度合いのレベル分けと第3の補正係数Cfa3の数値は、あくまで一例であって、
図11の例に限定されるものではない。
【0093】
上記したような方法により係数Cf1と第3の補正係数Cfa3とが決定されると、演算部F120は、インセンティブの基準値Icdefに、係数Cf1と第3の補正係数Cfa3とを乗算することで、第1のユーザへ提供されるインセンティブを算出する。斯様にして算出されるインセンティブは、第1の面積が大きいほど、且つ上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きいほど、小さい値となる。
【0094】
本変形例によれば、第1の面積がより一層小さくなるように上塗り塗装を剥がす意欲、及び上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装が劣化しないように第1の車両10を取り扱う意欲(若しくは、上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いが大きくなる前に第1の車両10を売却する意欲)を、第1のユーザに喚起することができる。その結果、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、第1の車両10から上塗り塗装を剥がすための手間を減らすことができるとともに、リセールバリューがより高い状態で第1の車両10を第1のユーザから買い取ることが可能になる。
【0095】
なお、上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いは、第1の情報に含まれる情報であるため、第1の店舗において上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いを判定する必要がある。上塗り塗装が剥がされている部分におけるオリジナル塗装の劣化度合いの判定は、第1の店舗の従業員による目視等で行われてもよいが、専用の機器を用いて行われてもよい。例えば、ディープラーニング手法を用いた画像処理により塗装の劣化度合いを判定する機器、又は塗装膜の反射率を光学的に検出することで塗装の劣化度合いを判定する機器等を用いて、オリジナル塗装の劣
化度合いが判定されてもよい。
【0096】
<変形例5>
前述した実施形態及び変形例1-4では、第1の情報に基づいて、第1のユーザへ提供されるインセンティブを演算する例について述べたが、第1の情報に加え、中古車市場の需要も考慮して、第1のユーザへ提供されるインセンティブが決定されてもよい。
【0097】
中古車市場においては、需要の大きい車種の車両、又は需要の大きいボディ色の車両ほど、高値で取り引きされる傾向がある。そこで、第1の情報に基づいて演算されたインセンティブを、中古車市場の需要を示す情報に基づいて補正するようにしてもよい。例えば、第1の車両10の車種に対する需要が大きいほど、およびまたは第1の車両10のオリジナル塗装の色に対する需要が大きいほど、第1のユーザへ提供されるインセンティブが大きくされてもよい。なお、中古車市場の需要を示す情報としては、例えば、第1の車両10と同車種の車両が直近の所定期間内に販売された台数、又は中古車検索サイトで検索された回数等でもよい。また、中古車市場の需要を示す情報は、第1の車両10のオリジナル塗装と同じ車体色の車両が直近の所定期間に販売された台数、又は中古車検索サイトで検索された回数等でもよい。
【0098】
本変形例によれば、第1の車両10に対する需要が大きい場合に、上塗り塗装の状態が良好な状態に維持されるように第1の車両10を取り扱う意欲を、第1のユーザに喚起することができる。これにより、中古車の買取り及び販売サービスを提供する事業者は、リセールバリューがより高い状態で第1の車両10を第1のユーザから買い取ることが可能になる。
【0099】
<その他>
上記した実施形態及び変形例1-5はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。例えば、管理サーバ装置100で行われる処理の一部又は全部が他の装置(例えば、店舗端末200)で行われてもよい。
【0100】
また、本開示において説明した処理及び手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。例えば、実施形態と変形例1-5は、可能な限り組み合わせて実施することができる。さらに、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成で実現するかは柔軟に変更可能である。
【0101】
また、本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラム(情報処理プログラム)をコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよく、又はネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、データ及びプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体である。斯様な記録媒体としては、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、又はHDD等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、又はブルーレイディスク等)等の任意のタイプのディスクを例示することができる。また、記録媒体は、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、又はSSD(Solid State Drive)等の媒体でもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 車両
11 鋼板
20 中塗り層
30 ベース層
40 クリア層
50 剥離層
60 剥離層
70 ベース層
80 クリア層
100 管理サーバ装置
101 プロセッサ
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 通信部
F110 取得部
F120 演算部
F130 依頼部
200 店舗端末