IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-映像記録装置 図1
  • 特許-映像記録装置 図2
  • 特許-映像記録装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】映像記録装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20250109BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
H04N7/18 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021188873
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075765
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 大
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-149151(JP,A)
【文献】特開2018-005884(JP,A)
【文献】特開2017-195755(JP,A)
【文献】特開2007-011907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の振動が検知された場合に、前記車両の車内または前記車両の周辺の映像記録を開始する第1制御部と、
前記車両の振動が検知されてから所定時間以内に前記車両のドアの開閉信号を検知した場合に、前記映像記録を中止させる第2制御部と、
を含む映像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は映像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加速度センサからの出力信号を判定閾値と比較した結果に基づき撮影画像を記憶部に記憶させるドライブレコーダにおいて、車両の駐車状態を検出する信号の変化に基づいて判定閾値を変更することで、車両駐車前には検知できなかった小さな振動も検知できるようにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-128610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、車両の乗車時または降車時のドア閉めによる振動を車両の駐車状態における振動として検知してしまい、不必要な映像が継続記録されてしまうことで、本来は保存しておきたい映像が上書きされて消去されてしまう可能性が存在する。
【0005】
本開示は上記事実を考慮して成されたもので、不必要な映像が継続して記録されることを抑制できる映像記録装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る映像記録装置は、車両の振動が検知された場合に、前記車両の車内または前記車両の周辺の映像記録を開始する第1制御部と、前記車両の振動が検知されてから所定時間以内に前記車両のドアの開閉信号を検知した場合に、前記映像記録を中止させる第2制御部と、を含んでいる。
【0007】
第1の態様では、車両のドアの開閉信号が映像記録装置で検知されるよりも前に、車両のドア閉めによる振動が検知され、映像記録装置で映像記録が開始された場合にも、ドアの開閉信号が映像記録装置で検知された時点で映像記録が中止される。従って、第1の態様によれば、不必要な映像が継続して記録されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、不必要な映像が継続して記録されることを抑制することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車載システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】映像記録装置の機能ブロック図である。
図3】映像記録装置によって実行される駐車時処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る車載システム10が示されている。車載システム10は、CAN(Controller Area Network)などの規格に準拠したシステムバス12に、加速度センサユニット14、ドア開閉センサユニット20、映像記録装置30およびカーナビゲーション装置50が通信可能に接続されている。また、映像記録装置30にはカメラユニット26が接続されている。
【0011】
加速度センサユニット14は、自車両に加わる加速度を検知する加速度センサ16と、加速度センサ16による加速度の検知結果(加速度信号)を一定周期でシステムバス12を通じて映像記録装置30へ送信する通信部18と、を含んでいる。なお、加速度センサ16は、自車両の振動を検知する振動センサとしても機能する。
【0012】
ドア開閉センサユニット20は、自車両のドアに対応して各々設けられ自車両のドアの開閉を検知するドア開閉センサ22と、ドア開閉センサ22によるドア開閉の検知結果(ドア開閉信号)を一定周期でシステムバス12を通じて映像記録装置30へ送信する通信部24と、を含んでいる。なお、本実施形態において、ドア開閉センサユニット20からのドア開閉信号の送信周期は、加速度センサユニット14からの加速度信号の送信周期よりも長くされている。
【0013】
カメラユニット26は、車載システム10が搭載された車両(以下、自車両という)の周辺または自車両の車内を映像として撮影可能な1台または複数台のカメラ28を含んでいる。カメラ28は、映像記録装置30の指示に応じて自車両の周辺または自車両の車内を映像として撮影する。またカメラユニット26は、カメラ28によって撮影された映像を映像記録装置30へ送信する。
【0014】
映像記録装置(ドライブレコーダ)30は、CPU(Central Processing Unit)32と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ34と、を含んでいる。また、映像記録装置30は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部36と、車載システム10のカーナビゲーション装置50などとの通信を司る通信部38と、を含んでいる。CPU32、メモリ34、記憶部36および通信部38は内部バス40を介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
記憶部36は、映像記録プログラム42が予め記憶されており、カメラ28によって撮影された映像を記録するための映像記録領域44が設けられている。なお、映像記録装置30は、映像記録装置30に対して着脱自在とされた不揮発性の記録媒体(例えば、マイクロUSB(Universal Serial Bus)カードなど)に、映像記録領域44が設けられる構成であってもよい。映像記録装置30は、映像記録プログラム42が記憶部36から読み出されてメモリ34に展開され、メモリ34に展開された映像記録プログラム42がCPU32によって実行されることで、図2に示す第1制御部46および第2制御部48として機能する。
【0016】
第1制御部46は、加速度センサユニット14の加速度センサ16によって自車両の振動が検知された場合に、カメラユニット26のカメラ28により自車両の車内または自車両の周辺の映像記録を開始させる。また、第2制御部48は、加速度センサユニット14の加速度センサ16によって自車両の振動が検知されてから所定時間以内に、ドア開閉センサユニット20からのドア開閉信号がドア開からドア閉へ変化したことを検知した場合に、カメラユニット26のカメラ28による映像記録を中止させる。
【0017】
カーナビゲーション装置50は、地図などの画像を表示可能な表示部52と、情報を入力可能な入力部54と、USBメモリなどを挿入可能なUSBスロット56と、を含んでいる。表示部52および入力部54は、例えば、映像記録装置30の映像記録領域44に記録された映像を検索したり、USBスロット56に挿入されたUSBメモリに映像を記録するなどの場合に、映像記録装置30のUI(User Interface)を実現するデバイスとして利用される。
【0018】
次に本実施形態の作用を説明する。映像記録装置30は、自車両のイグニッションスイッチがオンの場合、通常時処理を行う。この通常時処理において、映像記録装置30は、カメラユニット26のカメラ28によって映像を撮影させ、カメラ28により撮影された映像を上書き可の映像として映像記録領域44に記録させる。
【0019】
また、通常時処理において、映像記録装置30は、加速度センサユニット14の加速度センサ16から加速度信号を受信する度に、受信した加速度信号が表す加速度G(加速度センサ16によって検出された加速度G)が、予め設定した通常時の加速度閾値Gth1以上か否かを判定する。そして、加速度Gが通常時の加速度閾値Gth1以上と判定した場合には、カメラユニット26のカメラ28により所定時間撮影された映像を上書き不可の映像として映像記録領域44に記録させる。
【0020】
なお、通常時処理において、加速度Gが通常時の加速度閾値Gth1未満の期間における映像記録は省略することも可能である。
【0021】
続いて、自車両のイグニッションスイッチがオフされ、自車両が駐車中になったことをトリガとして、映像記録装置30によって実行される駐車時処理について、図3を参照して説明する。
【0022】
駐車時処理のステップ100において、第1制御部46は、加速度センサユニット14から加速度信号を受信するまで待機し、加速度センサユニット14から受信した加速度信号が表す加速度Gが、予め設定された加速度閾値Gth2以上か否かを判定する。なお、加速度閾値Gth2は、Gth2=Gth1でもよいし、Gth2<Gth1でもよい。ステップ100の判定が否定された場合はステップ102へ移行する。
【0023】
ステップ102において、第1制御部46は、自車両のイグニッションスイッチがオンされたか否か判定する。ステップ102の判定が否定された場合はステップ100に戻り、ステップ100またはステップ102の判定が肯定される迄、ステップ100、102を繰り返す。なお、自車両のイグニッションスイッチがオンされることで、ステップ102の判定が肯定された場合は駐車時処理を終了する。
【0024】
一方、加速度センサユニット14から受信した加速度信号が表す加速度Gが、自車両の駐車中に加速度閾値Gth2以上になった場合は、ステップ100の判定が肯定されてステップ104へ移行する。ステップ104において、第1制御部46は、カメラユニット26のカメラ28によって映像を撮影させると共に、カメラ28により撮影された映像を、例えば上書き不可の映像として映像記録領域44に記録することを開始させる。
【0025】
次のステップ106において、第2制御部48は、ドア開閉センサユニット20からドア開閉信号を受信するまで待機し、ドア開閉センサユニット20から受信したドア開閉信号により、ドア開からドア閉へ変化したことを検知したか否かを判定する。
【0026】
ドア開閉信号がドア開の状態からドア閉の状態へ変化した場合には、ステップ106の判定が肯定されてステップ108へ移行する。ステップ108において、第2制御部48は、ステップ104で映像記録を開始してから、ステップ106でドア開閉信号がドア閉状態へ変化したことを検知するまでの時間tが、予め設定された所定時間T1以下か否か判定する。なお、所定時間T1としては、例えば、ドア開閉センサユニット20からのドア開閉信号の送信周期に応じた時間、具体例としては900m秒程度の時間を設定することができる。
【0027】
時間tが所定時間T1以下である場合、ステップ100の判定が肯定された原因である加速度Gの変化は、自車両のドアが閉止されたことによるものであると判断できる。このため、ステップ108の判定が肯定された場合はステップ112へ移行し、ステップ112において、第2制御部48は、カメラ28による映像の撮影および映像記録領域44への映像記録を終了させる。これにより、自車両のドアが閉止されたことに伴う加速度Gの変化(振動)に起因して、不必要な映像が映像記録領域44へ継続して記録されることを抑制することができる。ステップ112の処理を終了するとステップ100に戻る。
【0028】
また、ステップ106の判定が否定された場合、或いはステップ108の判定が否定された場合、ステップ100の判定が肯定された原因である加速度Gの変化は、自車両のドアが閉止されたことによるものではないと判断できるので、ステップ110へ移行する。ステップ110において、第2制御部48は、ステップ104で映像記録を開始してからの経過時間が、予め設定された所定時間T2以上になったか否か判定する。なお、所定時間T2としては、例えば60秒程度の時間を設定することができる。
【0029】
ステップ110の判定が否定された場合はステップ106に戻り、ステップ110の判定が肯定される迄、ステップ106、110を繰り返す。この間、カメラ28による映像の撮影および映像記録領域44への映像の記録が継続される。
【0030】
また、ステップ104で映像記録を開始してからの経過時間が所定時間T2以上になると、ステップ110の判定が肯定されてステップ112へ移行する。そして、先にも述べたように、ステップ112において、第2制御部48は、カメラ28による映像の撮影および映像記録領域44への映像記録を終了させ、ステップ100に戻る。
【0031】
以上説明したように、本実施形態において、映像記録装置30は、第1制御部46が、車両の振動が検知された場合に、車両の車内または車両の周辺の映像記録を開始する。また第2制御部48が、車両の振動が検知されてから所定時間T1以内に車両のドアの開閉信号を検知した場合に、前記映像記録を中止させる。これにより、不必要な映像が継続して記録されることを抑制することができる。
【0032】
なお、上記では加速度センサ16によって検出された加速度が加速度閾値Gth2以上か否かを判定することで、車両の振動を検知する態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、車両の振動を検知するための専用の振動センサを設け、当該振動センサによって検知された振動を閾値と比較することで車両の振動の検知を行うようにしてもよい。
【0033】
また、図3に示す駐車時処理では、ステップ108の判定が肯定された場合に、映像記録を終了させるようにしていたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、ステップ108の判定が肯定された場合に、映像記録を終了させ、さらに、映像記録開始時点から今までに記録された映像を消去するようにしてもよい。これにより、映像記録領域44が不必要な映像で圧迫されることを抑制することができる。
【0034】
また、上記では映像記録プログラム42が記憶部36に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、映像記録プログラム42は、HDD、SSD、DVD等の非一時的記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 車載システム
16 加速度センサ
22 ドア開閉センサ
28 カメラ
30 映像記録装置
46 第1制御部
48 第2制御部
図1
図2
図3