(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】座席管理方法、座席管理システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2021206805
(22)【出願日】2021-12-21
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰造
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 成
(72)【発明者】
【氏名】西川 裕己
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-157276(JP,A)
【文献】特開2004-295686(JP,A)
【文献】特開2013-200738(JP,A)
【文献】特開2010-231255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席管理システムが、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定工程と、
前記座席管理システムが、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得工程と、
前記判定工程において前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、
前記座席管理システムが、前記優先乗客に座席を割り当てる割当工程と、
前記座席管理システムが、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知工程と、
を含み、
前記通知工程では、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、
前記座席管理システムが、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点と
を比較
し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、
前記座席管理システムは、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないこと
を通知
する
ことを特徴とする座席管理方法。
【請求項2】
前記通知工程では、前記先客がいる場合、前記第2の時点が前記第1の時点より前であることを条件に、
前記座席管理システムは、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できること
を通知
することを特徴とする請求項1に記載の座席管理方法。
【請求項3】
前記通知工程では、前記先客がいる場合、前記第2の時点が前記第1の時点より前であることを条件に、
前記座席管理システムは、前記先客に対して通知
を行
わないことを特徴とする請求項1に記載の座席管理方法。
【請求項4】
前記割当工程では、
前記座席管理システムは、前記優先乗客に優先席
を割り当
てることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の座席管理方法。
【請求項5】
前記判定工程では、前記乗降場を撮像した画像に基づいて、
前記座席管理システムが、前記優先乗客がいるか否か
を判定
することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の座席管理方法。
【請求項6】
乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定手段と、
前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得手段と、
前記判定手段により前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当手段と、
前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知手段と、
を備え、
前記通知手段は、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知する
ことを特徴とする座席管理システム。
【請求項7】
コンピュータを、
乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定手段と、
前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得手段と、
前記判定手段により前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当手段と、
前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知手段であって、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知する通知手段と、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば公共交通機関として利用される車両の座席を管理する座席管理方法、座席管理システム及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の方法として、例えば、鉄道等の優先席を乗車券購入時に予約できるようにして、優先席が予約された場合に、予約された優先席を有する車両内で予約内容を表示する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、優先席を予約したい利用者は、優先席を必要としていることを証明する優先カード(例えばシルバーカード、身体障害者等であることを証明するカード)を、自治体等に予め発行してもらう必要がある。言い換えれば、優先カードを所持していなければ、優先席を必要としている人であっても、優先席を予約することはできない。つまり、特許文献1に記載の技術では、優先席を必要としている人の利便性が十分ではないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優先席を必要としている人の利便性を向上することができる座席管理方法、座席管理システム及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る座席管理方法は、座席管理システムが、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定工程と、前記座席管理システムが、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得工程と、前記判定工程において前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記座席管理システムが、前記優先乗客に座席を割り当てる割当工程と、前記座席管理システムが、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知工程と、を含み、前記通知工程では、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記座席管理システムが、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記座席管理システムは、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知するというものである。
【0007】
本発明の一態様に係る座席管理システムは、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定手段と、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得手段と、前記判定手段により前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当手段と、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知手段と、を備え、前記通知手段は、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知するというものである。
【0008】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定手段と、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得手段と、前記判定手段により前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当手段と、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知手段であって、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知する通知手段と、として機能させるというものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る座席管理システムの構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るサーバの動作を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
座席管理方法に係る実施形態について
図1及び
図2を参照して説明する。以下の実施形態では、路線バスにおける座席管理方法を一例として挙げる。しかしながら、実施形態に係る座席管理方法は、路線バスに限らず、鉄道等にも適用可能である。
【0011】
図1において、座席管理システム1は、停留所10、サーバ20及びバス30を備える。停留所10及びバス30各々は、例えばインターネット等のネットワークを介して、サーバ20と通信可能である。
【0012】
停留所10は、通信部11、処理部12及びカメラ13を有する。カメラ13は、例えば停留所10の案内表示板や上屋(即ち、屋根構造体)等に配置されていてよい。カメラ13は、停留所10の周囲(特に、停留所10でバス待ちをしている人)を撮像する。
【0013】
処理部12は、カメラ13により撮像された画像を、通信部11を介してサーバ20に逐次送信する。このとき、処理部12は、カメラ13により撮像された画像の全てをサーバ20に送信してもよいし、該画像の一部だけをサーバ20に送信してもよい。
【0014】
バス30は、通信部31、処理部32、カメラ33、取得部34及び報知部35を有する。カメラ33は、バス30の車内を撮像できるように配置されている。処理部32は、カメラ33により撮像された画像を、通信部31を介してサーバ20に逐次送信する。このとき、処理部32は、カメラ33により撮像された画像の全てをサーバ20に送信してもよいし、該画像の一部だけをサーバ20に送信してもよい。
【0015】
報知部35は、後述するサーバ20から送信される割当情報に応じてバス30の車内に対して通知を行う。取得部34は、バス30の座席を利用している乗客の降車情報(例えば、降車停留所の名称や識別番号)を、その座席と紐づけて取得する。取得部34は、取得された降車情報を、通信部31を介してサーバ20に送信する。
【0016】
例えば、バス30の各座席にタッチパネルが設けられ、乗客がタッチパネルを用いて降車停留所を入力可能であってよい。この場合、取得部34は、タッチパネルを用いて入力された降車停留所を、タッチパネルが設けられている座席に座っている乗客の降車情報として取得してよい。バス30は、乗客が所持する携帯端末(例えばスマートホン等)と近距離通信可能であってよい。乗客は、座席を利用するときに携帯端末に降車停留所を入力するものとする。この場合、取得部34は、携帯端末に入力された降車停留所を、該携帯端末を所持している乗客の降車情報として取得してよい。尚、近距離通信の例として、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等が挙げられる。
【0017】
上述したタッチパネルは、バス30の優先席(車椅子席を含んでよい)にだけ設けられていてよい。或いは、上述したタッチパネルは、バス30の全ての座席に設けられていてよい。この場合、優先席を利用する乗客は、タッチパネルを用いた降車停留場の入力が必須であるのに対して、一般席を利用する乗客は、タッチパネルを用いた降車停留場の入力が任意であってよい。
【0018】
乗客がバス30の優先席を利用するときだけ、携帯端末への降車停留所の入力が必須とされてよい。乗客がバス30の一般席を利用するときは、携帯端末への降車停留所の入力が任意であってよい。
【0019】
例えば優先席は、折り畳み式の座席であってよい。そして、優先席を利用する乗客が、降車停留所の名称を入力したときだけ、優先席が展開するように構成されていてよい。また、降車停留所を入力した(即ち、降車情報を提供した)乗客に対しては、何らかの特典が付与されてよい。
【0020】
サーバ20は、その内部に論理的に実現される論理ブロックとして又は物理的に実現される処理回路として、通信部21、判定部22、取得部23、割当部24、通知部25及び記憶部26を有する。記憶部26には、例えば運行情報、車両データベース等が格納されている。
【0021】
運行情報には、例えば、路線に係る情報(路線の運行計画、各停留所の名称及び識別番号、位置、時刻表、等)、運行中のバスに係る情報(各バスの種別、位置、遅延の有無、等)が含まれている。車両データベースには、例えば、バスに係る情報(定員、座席数、優先席数、スロープの有無、車椅子席の有無、等)が、バスの種別(ノンステップバス等)と紐づけられて含まれている。
【0022】
判定部22は、通信部21を介して停留所10から受信した画像(即ち、カメラ13により撮像された画像)に対して所定の画像処理を施すことにより、停留所10に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する。判定部22は、例えば、杖(白杖、松葉杖含む)を所持する乗客、マタニティマークやヘルプマークを提示している乗客(即ち、マタニティマークやヘルプマークを外部から認識できる態様で所持している乗客)、車椅子を利用している乗客、盲導犬を連れている乗客、を優先乗客であると認識してよい。尚、上記所定の画像処理には、例えばパターンマッチング処理等の画像認識に利用される既存の画像処理が適用されてよい。
【0023】
取得部23は、通信部21を介してバス30から受信した画像(即ち、カメラ33により撮像された画像)に基づいて、バス30に係る着席状況を取得する。尚、着席状況を取得する技術には、例えば、画像に基づく位置識別技術等の既存の技術を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。例えばバス30の各座席に着座センサが設けられてよい。バス30の処理部32は、各座席の着座センサの検出結果を示す情報を、通信部31を介してサーバ20に送信してもよい。取得部23は、上記画像に代えて又は加えて、バス30の各座席の着座センサの検出結果を示す情報から、バス30に係る着席状況を取得してもよい。
【0024】
割当部24は、判定部22により停留所10に優先乗客がいると判定された場合に、優先乗客に座席を割り当てる。具体的には、割当部24は、停留所10に優先乗客がいると判定された場合、運行情報を参照して、停留所10に近い将来に到着するバス(言い換えれば、優先乗客が乗車すると予測されるバス)を特定する。ここでは、該特定されたバスが、バス30であるとする。
【0025】
次に、割当部24は、取得部23により取得されたバス30に係る着席状況と、車両データベースに含まれるバス30に対応するバスに係る情報とを参照して、バス30に空席があるか否かを判定する。空席があると判定された場合、割当部24は、優先乗客に空席を割り当てる。例えば、優先席と一般席との両方に空席がある場合、割当部24は、優先乗客に空席となっている優先席を割り当ててよい。
【0026】
バス30に空席がないと判定された場合、割当部24は、バス30の座席のうち上述した降車情報が存在する座席を優先乗客に割り当てる。このとき、割当部24は、優先席を優先乗客に割り当ててもよいし、例えば降車情報を参照して、比較的早く降車する乗客が利用している座席を優先乗客に割り当ててもよい。尚、優先乗客が車椅子を利用している場合、割当部24は、優先席としての車椅子席を優先乗客に割り当てる。また、他の優先乗客に割り当てられている座席が存在する場合、割当部24は、該座席を、上記優先乗客に割り当てられる座席の候補から除外してよい。
【0027】
通知部25は、割当部24により割り当てられた座席を示す割当情報を、通信部21を介して該割り当てられた座席を有するバス(ここでは、バス30)に送信する。割当情報には、割り当てられた座席の他に、例えば優先乗客が乗車する停留所(ここでは、停留所10)等が含まれていてよい。
【0028】
上述したように、バス30の報知部35は、サーバ20から送信された割当情報に応じてバス30の車内に対して通知を行う。報知部35は、バス30の運転手に対して、例えば優先乗客がいること、介助の要不要、乗車する停留所、割り当てられた座席、等を通知する。例えば、優先乗客が、白杖や松葉杖を所持している場合、車椅子を利用している場合、盲導犬を連れている場合には、バス30の運転手に介助が必要であると通知されてよい。尚、「介助」は、優先乗客のバス30への乗車を直接手伝うことに限らず、例えばバス30の車内の乗客や、バス30の周辺の乗客や車両への声掛け等も含む概念である。
【0029】
また、報知部35は、割当情報により示される優先乗客に割り当てられた座席を利用している乗客(以降、適宜“先客”と称する)に対して、座席が利用できなくなることを通知してよい。例えば座席にタッチパネルが設けられている場合、報知部35は、タッチパネル(即ち、表示部)に座席が利用できなくなることを示す文字や画像を表示することにより、先客に通知を行ってよい。この場合、座席が利用できなくなる停留所(ここでは、停留所10)を示す情報が、タッチパネルに表示されてよい。
【0030】
例えば座席に緑のランプと赤のランプとが設けられている場合、報知部35は、緑のランプを消灯するとともに赤のランプを点灯することにより、座席が利用できなくなることを先客に通知してよい。尚、この場合、報知部35は、赤のランプを消灯するとともに緑のランプを点灯することにより、座席が利用できることを乗客に通知してよい。
【0031】
バス30が、先客が所持している携帯端末を通信可能である場合、報知部35は、座席が利用できなくなることを示す情報を、通信部31を介して携帯端末に送信することにより、先客に通知を行ってよい。この場合、座席が利用できなくなる停留所(ここでは、停留所10)を示す情報が、携帯端末に送信されてよい。
【0032】
ところで、優先乗客に割り当てられた座席を利用している乗客(即ち、先客)が、優先乗客がバス30に乗車する前にバス30を降車する(即ち、座席の利用を終了する)ことがある。この場合、座席が利用できなくなることが先客に通知されると、先客がわずらわしさを感じるおそれがある。
【0033】
そこで、サーバ20の通知部25は、割当情報を生成するときに、例えば、優先乗客がバス30に乗車する停留所10と、降車情報に基づく先客がバス30を降車する降車停留所とを比較する。降車停留所が、バス30が停留所10に到着した後に通る停留所である場合、通知部25は、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が必要であることを示す情報(例えばフラグ)を割当情報に含める。
【0034】
降車停留所が、バス30が停留所10に到着する前に通る停留所である場合、通知部25は、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が不要であることを示す情報(例えばフラグ)を割当情報に含めてよい。降車停留所が停留所10である場合、先客は、優先乗客が割り当てられた座席に到達する前に、該座席の利用を終了するので、通知部25は、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が不要であることを示す情報を割当情報に含めてよい。これらの場合、通知部25は、先客に座席を利用できることを通知してよいことを示す情報(例えばフラグ)を割当情報に含めてよい。
【0035】
つまり、通知部25は、優先乗客が割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、先客がその座席の利用を終了する第2の時点とを比較して、第2の時点が第1の時点より後である場合、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が必要であることを示す情報を割当情報に含める。
【0036】
バス30の報知部35は、割当情報に、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が必要であることを示す情報が含まれている場合、座席が利用できなくなることを先客に通知する。他方で、報知部35は、割当情報に、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が不要であることを示す情報が含まれている場合、座席が利用できなくなることを先客に通知しない。報知部35は、割当情報に、先客に座席を利用できることを通知してよいことを示す情報が含まれている場合、座席が利用できることを先客に通知する。
【0037】
例えば、バス30の座席に緑のランプと赤のランプとが設けられている場合、報知部35は、次のような動作を行ってよい。即ち、割当情報に、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が必要であることを示す情報が含まれている場合、バス30が、優先乗客が乗車する停留所10に到着するよりも所定時間だけ前に、先客が利用している座席の緑のランプを消灯するとともに赤のランプを点灯することにより、先客に対して座席が利用できなくなることを通知してよい。割当情報に、先客への座席が利用できなくなることを示す通知が不要であることを示す情報が含まれている場合、報知部35は、バス30が、先客が降車する停留所に到着した後に、先客が利用している座席の緑のランプを消灯するとともに赤のランプを点灯してよい(結果として、先客には座席が利用できなくなることは通知されない)。
【0038】
優先乗客が空席となっている座席に割り当てられた場合、報知部35は、割当情報に応じて該座席が利用できないことを該座席の周囲の乗客に通知する。例えば、バス30の座席にタッチパネルが設けられている場合、報知部35は、タッチパネルに座席が利用できないことを示す文字や画像を表示することにより、乗客に通知を行ってよい。例えば、バス30の座席に緑のランプと赤のランプとが設けられている場合、報知部35は、緑のランプを消灯するとともに赤のランプを点灯することにより、乗客に対して座席が利用できないことを通知してよい。
【0039】
次に、サーバ20の動作について
図2のフローチャートを参照して説明を加える。
図2において、取得部23は、バス30を含む複数のバス各々に係る着席状況を取得する(ステップS101)。尚、取得部23は、ステップS102以降の処理にかかわらず、着席状況を逐次取得してよい。ステップS101の処理と並行して又は相前後して、判定部22は、停留所10に優先乗客がいるか否かを判定する(ステップS102)。
【0040】
ステップS102の処理において、停留所10に優先乗客がいないと判定された場合(ステップS102:No)、
図2に示す動作は終了される。その後、ステップS101の処理が再度行われてよい。つまり、
図2に示す動作は繰り返し行われてよい。
【0041】
ステップS102の処理において、停留所10に優先乗客がいると判定された場合(ステップS102:Yes)、割当部24は、記憶部26の運行情報を参照して、停留所10の優先乗客が乗車すると予測されるバスを特定する(ステップS103)。ここでは、該特定されたバスが、バス30であるとする。
【0042】
次に、割当部24は、ステップS102の処理において取得されたバス30に係る着席状況と、記憶部26の車両データベースに含まれるバス30に対応するバスに係る情報とを参照して、バス30に空席があるか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104の処理において、空席があると判定された場合(ステップS104:Yes)、割当部24は、優先乗客に空席を割り当てる(ステップS105)。
【0043】
ステップS104の処理において、バス30に空席がないと判定された場合(ステップS104:No)、割当部24は、バス30の座席のうち上述した降車情報が存在する座席を優先乗客に割り当てる(ステップS106)。
【0044】
ステップS106の処理の後、通知部25は、優先乗客がバス30に乗車する停留所10から、優先乗客が割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点を推定する。通知部25は、降車情報に基づく先客がバス30を降車する降車停留所から、先客がその座席の利用を終了する第2の時点を推定する。そして、通知部25は、第2の時点が第1の時点より後であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0045】
ステップS107の処理において、第2の時点が第1の時点より後であると判定された場合(ステップS107:Yes)、通知部25は、座席が利用できなくなることを示す通知を先客に行うことを決定する(ステップS108)。他方、ステップS107の処理において、第2の時点が第1の時点より前であると判定された場合(ステップS107:No)、通知部25は、座席が利用できなくなることを示す通知を行わないことを決定する、又は、座席が利用できることを示す通知を先客に行うことを決定する(ステップS109)。
【0046】
その後、通知部25は、割当部24により割り当てられた座席を示す割当情報を生成する(ステップS110)。ステップS108の処理の後に行われるステップS110の処理では、通知部25は、座席が利用できなくなることを示す通知が必要であることを示す情報を、割当情報に含める。ステップS109の処理の後に行われるステップS110の処理では、通知部25は、座席が利用できなくなることを示す通知が不要であることを示す情報、又は、座席を利用できることを通知してよいことを示す情報を、割当情報に含める。通知部25は、生成された割当情報を、通信部21を介してバス30に送信する(ステップS111)。
【0047】
(技術的効果)
座席管理システム1では、停留所10のカメラ13により撮像された画像から、停留所10に優先乗客の有無が判定される。停留所10に優先乗客がいると判定された場合、優先乗客に対して自動的に座席が割り当てられる。つまり、座席管理システム1では、優先乗客に該当する人が停留所10に行きさえすれば、座席が自動的に用意される。このため、座席管理システム1によれば、優先席を必要としている人(優先乗客に相当)の利便性を向上することができる。
【0048】
座席管理システム1では、画像から(即ち、外観から)優先乗客か否かが判定される。このため、座席管理システム1は、乗客の年齢を特定することが困難である(例えば、高齢の乗客を特定することが困難である)。例えば、高齢者が必ずしも優先席を必要としていない、バス30の座席数には限りがある、という事情がある。これらの事情に鑑みると、画像から優先乗客を特定する座席管理システム1は、優先席をより必要としている人(即ち、優先度のより高い人)を選択して、該選択された人に座席を割り当てることができると言える。
【0049】
座席管理システム1では、優先乗客が割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、先客がその座席の利用を終了する第2の時点とが比較される。そして、第2の時点が第1の時点より後である場合に、先客に座席が利用できなくなることが通知される。他方で、第2の時点が第1の時点より前である場合(言い換えれば、第1の時点が第2の時点より後である場合)、先客に座席が利用できなくなることは通知されない、又は、先客に座席が利用できることが通知される。
【0050】
このため、先客は、座席が利用できなくなることが通知されるまでは、座席を利用できると認識することができる。従って、先客は、座席が利用できなくなることが通知されるまで、安心して座席(特に優先席)を利用することができる。加えて、第2の時点が第1の時点より前である場合は、座席が利用できなくなることは先客には通知されない。このため、先客が通知に起因してわずらわしさを感じることを抑制することができる。
【0051】
<コンピュータプログラム>
コンピュータプログラムに係る実施形態について
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
【0052】
図3において、コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM52、HDD(Hard Disk Drive)53及びI/O(Inupt/Output)54を備えて構成されている。CPU51、RAM52、HDD53及びI/O54は、バス55により相互に接続されている。HDD53には、本実施形態に係るコンピュータプログラム531が予め格納されている。
【0053】
コンピュータプログラム531によるCPU51の処理について説明する。CPU51は、バス30を含む複数のバス各々に係る着席状況を取得する。また、CPU51は、停留所10に優先乗客がいるか否かを判定する。停留所10に優先乗客がいると判定された場合、CPU51は、運行情報を参照して、停留所10の優先乗客が乗車すると予測されるバスを特定する。ここでは、該特定されたバスが、バス30であるとする。
【0054】
次に、CPU51は、バス30に係る着席状況と、車両データベースに含まれるバス30に対応するバスに係る情報とを参照して、バス30に空席があるか否かを判定する。空席があると判定された場合、CPU51は、優先乗客に空席を割り当てる。バス30に空席がないと判定された場合、CPU51は、バス30の座席のうち上述した降車情報が存在する座席を優先乗客に割り当てる。
【0055】
CPU51は、優先乗客がバス30に乗車する停留所10から、優先乗客が割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点を推定する。CPU51は、降車情報に基づく先客がバス30を降車する降車停留所から、先客がその座席の利用を終了する第2の時点を推定する。そして、CPU51は、第2の時点が第1の時点より後であるか否かを判定する。
【0056】
第2の時点が第1の時点より後であると判定された場合、CPU51は、座席が利用できなくなることを示す通知を先客に行うことを決定する。他方、第2の時点が第1の時点より前であると判定された場合、CPU51は、座席が利用できなくなることを示す通知を行わないことを決定する、又は、座席が利用できることを示す通知を先客に行うことを決定する。
【0057】
その後、CPU51は、優先乗客に割り当てられた座席を示す割当情報を生成する。このとき、第2の時点が第1の時点より後であると判定された場合、CPU51は、座席が利用できなくなることを示す通知が必要であることを示す情報を、割当情報に含める。第2の時点が第1の時点より前であると判定された場合、CPU51は、座席が利用できなくなることを示す通知が不要であることを示す情報、又は、座席を利用できることを通知してよいことを示す情報を、割当情報に含める。CPU51は、生成された割当情報を、バス30に送信する。
【0058】
尚、運行情報及び車両データベースは、HDD53に格納されていてよい。つまり、HDD53により、サーバ20の記憶部26が実現されてよい。
【0059】
尚、コンピュータ50が、例えば、コンピュータプログラム531を格納するCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、等の記録媒体から、コンピュータプログラム531を読み込むことにより、HDD53にコンピュータプログラム531が格納されてよい。或いは、コンピュータ50が、例えばインターネット等のネットワークを介して、コンピュータプログラム531をダウンロードすることにより、HDD53にコンピュータプログラム531が格納されてよい。
【0060】
コンピュータプログラム531によれば、上述した座席管理方法と同様に、優先席を必要としている人の利便性を向上することができる。また、先客は、座席が利用できなくなることが通知されるまで、安心して座席(特に優先席)を利用することができる。加えて、先客が通知に起因してわずらわしさを感じることを抑制することができる。コンピュータプログラム531によれば、上述した実施形態におけるサーバ20を比較的容易に実現することができる。
【0061】
以上に説明した実施形態から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0062】
発明の一態様に係る座席管理方法は、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定工程と、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得工程と、前記判定工程において前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当工程と、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知工程と、を含み、前記通知工程では、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とが比較され、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことが通知されるというものである。上述の実施形態においては「停留所10」が「乗降場」の一例に相当し、「バス30」が「車両」の一例に相当する。
【0063】
前記通知工程では、前記先客がいる場合、前記第2の時点が前記第1の時点より前であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できることが通知されてよい。
【0064】
或いは、前記通知工程では、前記先客がいる場合、前記第2の時点が前記第1の時点より前であることを条件に、前記先客に対して通知が行われなくてよい。
【0065】
前記割当工程では、前記優先乗客に優先席が割り当てられてよい。
【0066】
前記判定工程では、前記乗降場を撮像した画像に基づいて、前記優先乗客がいるか否かが判定されてよい。
【0067】
発明の一態様に係る座席管理装置は、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定手段と、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得手段と、前記判定手段により前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当手段と、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知手段と、を備え、前記通知手段は、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知するというものである。
【0068】
上述の実施形態においては「サーバ20」が「座席管理装置」の一例に相当し、「判定部22」が「判定手段」の一例に相当し、「取得部23」が「取得手段」の一例に相当し、「割当部24」が「割当手段」の一例に相当し、「通知部25」が「通知手段」の一例に相当する。
【0069】
発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、乗降場に、座席を必要としている乗客である優先乗客がいるか否かを判定する判定手段と、前記乗降場に到着する車両に係る着席状況を取得する取得手段と、前記判定手段により前記優先乗客がいると判定された場合に、前記取得された着席状況に基づいて、前記優先乗客に座席を割り当てる割当手段と、前記車両の車内に対して前記割り当てられた座席に係る通知を行う通知手段であって、前記割り当てられた座席に着席している乗客である先客がいる場合、前記優先乗客が前記割り当てられた座席の利用を開始する第1の時点と、前記先客が前記割り当てられた座席の利用を終了する第2の時点とを比較し、前記第2の時点が前記第1の時点より後であることを条件に、前記先客に対して前記割り当てられた座席を利用できないことを通知する通知手段と、として機能させるというものである。
【0070】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う座席管理方法、座席管理システム及びコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
1…座席管理システム、10…停留所、11、21、31…通信部、12、32…処理部、13、33…カメラ、20…サーバ、22…判定部、23、34…取得部、24…割当部、25…通知部、26…記憶部、30…バス、35…報知部