(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車載温調システム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/08 20060101AFI20250109BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20250109BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20250109BHJP
F01P 3/22 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60H1/08 611Z
B60H1/22 651Z
F01P3/20 H
F01P3/22 K
F01P3/20 T
F01P3/20 L
(21)【出願番号】P 2023150145
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2020041142の分割
【原出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】三好 悠司
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-043545(JP,A)
【文献】特開2001-146112(JP,A)
【文献】特開2007-182857(JP,A)
【文献】特開2014-020280(JP,A)
【文献】特開2017-048783(JP,A)
【文献】特開2017-210104(JP,A)
【文献】特許第7327221(JP,B2)
【文献】特許第7415683(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/130846(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0039878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
F01P 3/20
F01P 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体の熱を利用して車室内を暖房するのに用いられるヒータコアと、内燃機関の排熱を利用して前記熱媒体を加熱する第1加熱部と、前記内燃機関の排熱以外の熱を利用して前記熱媒体を加熱する第2加熱部と、前記ヒータコアと前記第2加熱部とを流路内に備える熱回路と、前記第1加熱部を前記熱回路に連通させる連通流路と、前記ヒータコア、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の間の熱媒体の流通状態を第1流通状態と第2流通状態との間で切り換える流通状態切換機構と、該流通状態切換機構を制御する制御装置とを備える、車載温調システムであって、
前記第1流通状態では、前記第1加熱部によって加熱された熱媒体の少なくとも一部が前記ヒータコアを流通しつつ前記熱回路を流通し、
前記第2流通状態では、前記第1加熱部によって加熱された熱媒体の少なくとも一部が前記ヒータコアを流通することなく前記熱回路を流通し、
前記流通状態切換機構は、前記第1流通状態、前記第2流通状態及び第3流通状態の間で前記熱媒体の流通状態を切り換え、
前記第3流通状態では前記第1加熱部からは前記熱回路に前記熱媒体が流入せず且つ前記熱回路内において前記第2加熱部によって加熱された熱媒体が前記ヒータコアを通って流れ、
前記連通流路は前記内燃機関の冷間始動の際に前記内燃機関の排熱を利用して前記第1加熱部によって加熱した前記熱媒体を前記熱回路に流そうとすると前記連通流路内に残っていた熱媒体が最初に前記ヒータコアに流入することによって暖房能力が低下するような長さを有し、
前記制御装置は、前記車室の暖房が要求されているときには、前記第3流通状態、前記第2流通状態及び前記第1流通状態の順に前記熱媒体の流通状態を切り換えるように前記流通状態切換機構を制御する、車載温調システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記車室の暖房が要求されているときには、前記第2流通状態及び前記第1流通状態の順に前記熱媒体の流通状態を切り換えるように前記流通状態切換機構を制御する、請求項1に記載の車載温調システム。
【請求項3】
前記流通状態が前記第3流通状態にあるときにおいて前記第2加熱部によって加熱された熱媒体が前記熱回路内を流れる方向と、前記流通状態が前記第2流通状態にあるときにおいて前記第1加熱部によって加熱された熱媒体が前記熱回路内を流れる方向とは逆向きである、請求項1又は2に記載の車載温調システム。
【請求項4】
前記第1加熱部から流出した熱媒体の少なくとも一部が前記熱回路を流通することなく前記第1加熱部に再び流入することができるように構成された機関熱回路を更に備え、
前記第3流通状態では前記第1加熱部によって加熱された熱媒体は前記機関熱回路内のみを循環する、請求項1~3のいずれか1項に記載の車載温調システム。
【請求項5】
前記車載温調システムは冷凍回路を更に備え、
前記第2加熱部は、前記冷凍回路のコンデンサの熱を利用して前記熱媒体を加熱する、請求項1~4のいずれか1項に記載の車載温調システム。
【請求項6】
前記熱回路は、前記第2加熱部に対して前記ヒータコアと並列に設けられたラジエータを備え、前記ヒータコア及び前記ラジエータを通って流れる前記熱媒体の流量を調整することができるように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の車載温調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載温調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車室内を暖房するために車両の熱回路に設けられたヒータコアを用いる車載温調システムが知られている。特に、斯かる車載温調システムにおいて、内燃機関の排熱と内燃機関とは別途設けられた冷凍回路のコンデンサにおいて放出される熱とによって、ヒータコアに流入する熱媒体を加熱することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の設計上、内燃機関とヒータコアとを離れて搭載することが必要な場合がある。この場合、内燃機関とヒータコアとの間の熱媒体用の配管は長い。したがって、内燃機関によって暖められた熱媒体をヒータコアに流そうとすると、配管内に残っていた冷たい熱媒体が最初にヒータコアに流入してしまう。この結果、このときのヒータコアによる暖房能力は低い。
【0005】
特に、冷凍回路のコンデンサにおいて放出される熱によってヒータコアに流入する熱媒体を加熱することができる場合、内燃機関によって熱媒体が暖められる前にコンデンサからヒータコアに高温の熱媒体を供給することができる。したがって、内燃機関によって暖められた熱媒体を利用する前にはヒータコアに高温の熱媒体が供給されて暖房が行われていたのにも関わらず、内燃機関から流れる熱媒体の利用を開始すると一時的にヒータコアに冷たい熱媒体が流入する。この結果、一時的に暖房能力が低下してしまう。
【0006】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、内燃機関とヒータコアとの間の熱媒体用の配管に残っていた熱媒体がヒータコアを流れることによってヒータコアによる暖房能力が低くなるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)熱媒体の熱を利用して車室内を暖房するのに用いられるヒータコアと、内燃機関の排熱を利用して前記熱媒体を加熱する第1加熱部と、前記内燃機関の排熱以外の熱を利用して前記熱媒体を加熱する第2加熱部と、前記ヒータコアと前記第2加熱部とを流路内に備える熱回路と、前記第1加熱部を前記熱回路に連通させる連通流路と、前記ヒータコア、前記第1加熱部及び前記第2加熱部の間の熱媒体の流通状態を第1流通状態と第2流通状態との間で切り換える流通状態切換機構と、該流通状態切換機構を制御する制御装置とを備える、車載温調システムであって、前記第1流通状態では、前記第1加熱部によって加熱された熱媒体の少なくとも一部が前記ヒータコアを流通しつつ前記熱回路の一部を流通し、前記第2流通状態では、前記第1加熱部によって加熱された熱媒体の少なくとも一部が前記ヒータコアを流通することなく前記熱回路の一部を流通し、前記熱回路は車両の前後方向において前記車室の第1の側に配置され、前記第1加熱部は、車両の前後方向において前記第1の側とは反対側の第2の側に配置される、車載温調システム。
(2)前記車室の第1の側は前記車室の後側であり、前記車室の第2の側は前記車室の前側である、上記(1)に記載の車載温調システム。
(3)前記制御装置は、前記車室の暖房が要求されているときには、前記第2流通状態及び前記第1流通状態の順に前記熱媒体の流通状態を切り換えるように前記流通状態切換機構を制御する、上記(1)又は(2)に記載の車載温調システム。
(4)
前記流通状態切換機構は、前記第1流通状態、前記第2流通状態及び第3流通状態の間で前記熱媒体の流通状態を切り換え、前記第3流通状態では前記第1加熱部からは前記熱回路に前記熱媒体が流入せず且つ前記熱回路内において前記第2加熱部によって加熱された熱媒体が前記ヒータコアを通って流れる、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の車載温調システム。
(5)前記流通状態が前記第3流通状態にあるときにおいて前記第1加熱部によって加熱された熱媒外が前記熱回路内を流れる方向と、前記流通状態が前記第2流通状態にあるときにおいて前記第1加熱部によって加熱された熱媒体が前記熱回路内を流れる方向とは逆向きである、上記(4)に記載の車載温調システム。
(6)前記第1加熱部から流出した熱媒体の少なくとも一部が前記熱回路を流通することなく前記第1加熱部に再び流入することができるように構成された機関熱回路を更に備え、前記第3流通状態では前記第1加熱部によって加熱された熱媒体は前記機関熱回路内のみを循環する、上記(4)又は(5)に記載の車載温調システム。
(7)前記制御装置は、前記車室の暖房が要求されているときには、前記第3流通状態、前記第2流通状態及び前記第1流通状態の順に前記熱媒体の流通状態を切り換えるように前記流通状態切換機構を制御する、上記(4)~(6)のいずれか1つに記載の車載温調システム。
(8)前記車載温調システムは冷凍回路を更に備え、前記第2加熱部は、前記冷凍回路のコンデンサの熱を利用して前記熱媒体を加熱する、上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の車載温調システム。
(9)前記熱回路は、前記第2加熱部に対して前記ヒータコアと並列に設けられたラジエータを備え、前記ヒータコア及び前記ラジエータを通って流れる前記熱媒体の流量を調整することができるように構成される、上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の車載温調システム。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、内燃機関とヒータコアとの間の熱媒体用の配管に残っていた熱媒体がヒータコアを流れることによってヒータコアによる暖房能力が低くなることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一つの実施形態に係る車載温調システムを搭載する車両の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、一つ実施形態に係る車載温調システムを搭載する別の車両の構成を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、一つの実施形態に係る車載温調システムを概略的に示す構成図である。
【
図4】
図4は、車載温調システムを搭載した車両の空調用の空気通路を概略的に示す構成図である。
【
図5】
図5は、車室の冷房及び暖房のいずれもが要求されておらず且つバッテリ等の発熱機器の冷却が必要な場合の車載温調システムにおける熱媒体の流通状態(第1停止モード)を示している。
【
図6】
図6は、車室の冷房及び暖房のいずれもが要求されておらず且つ発熱機器の急速冷却が必要な場合の車載温調システムにおける熱媒体の流通状態(第2停止モード)を示している。
【
図7】
図7は、車室の冷房が要求されていて且つ発熱機器の冷却が必要な場合の車載温調システムにおける熱媒体の流通状態(第1冷房モード)を示している。
【
図8】
図8は、車室の冷房が要求されていて且つ発熱機器の急速冷却が必要な場合の車載温調システムおける熱媒体の流通状態(第2冷房モード)を示している。
【
図9】
図9は、車室の暖房が要求されていて内燃機関が運転されている場合の車載温調システムにおける熱媒体の流通状態(第1暖房モード)を示している。
【
図10】
図10は、車室の暖房が要求されていて且つ内燃機関が停止している場合の車載温調システムにおける熱媒体の流通状態(第4暖房モード)を示している。
【
図11】
図11は、内燃機関の冷間始動中における車載温調システムの熱媒体の流通状態(第3暖房モード)を示している。
【
図12】
図12は、内燃機関の冷間始動中における車載温調システムの熱媒体の流通状態(第2暖房モード)を示している。
【
図13】
図13は、車室の暖房が要求されている状態で内燃機関が冷間始動されたときの、各種パラメータの推移を示すタイムチャートである。
【
図14】
図14は、車載温調システムにおける熱媒体の流通状態を制御する制御ルーチンのフローチャートである。
【
図15】
図15は、
図14のステップS12において実行される暖房制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、異なる構成を有する高温回路4の例を示す、車載温調システムの概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0012】
<車両の構成>
図1は、一つの実施形態に係る車載温調システム1を搭載する車両100の構成を概略的に示す図である。
図1では、左側が車両100の前方、右側が車両100の後方をそれぞれ示している。
図1に示したように、車両100は、内燃機関110と、モータジェネレータ(MG)112と、動力分割機構116と、を備える。加えて、車両100は、MG112に電気的に接続されたパワーコントロールユニット(PCU)118と、PCU118に電気的に接続されたバッテリ120と、を備える。
【0013】
内燃機関110は、燃料を機関の内部で燃焼させて、燃焼ガスの熱エネルギを機械的エネルギに変換する原動機である。内燃機関110は動力分割機構116に接続され、内燃機関110の出力は車両100を駆動したりMG112にて発電を行ったりするのに用いられる。
【0014】
MG112は、電動機及び発電機として機能する。MG112は、動力分割機構116に接続され、車両100を駆動したり、車両100を制動する際に回生を行ったりするのに用いられる。なお、本実施形態では、車両100を駆動するモータとして、発電機能を有するMG112が用いられているが、発電機能を有さないモータが用いられてもよい。
【0015】
PCU118は、バッテリ120とMG112との間に接続されて、MG112へ供給される電力を制御する。PCU118は、モータを駆動するインバータ、電圧を制御する昇圧コンバータ、高電圧を降圧するDCDCコンバータ等の発熱部品を有する。バッテリ120は、PCU118及びMG112に接続されて、車両100を駆動するための電力をMG112に供給する。
【0016】
本実施形態では、内燃機関110、MG112及びPCU118は車両100の後方、すなわち車室よりも後方に配置される。一方、バッテリ120は、車両100の中央、すなわち車室の下方に配置される。
【0017】
なお、車両100は、内燃機関110及びMG(又はモータ)112を備える車両であれば如何なる態様の車両であってもよい。したがって、例えば、車両100は、内燃機関が発電のみに用いられてモータのみが車両100の駆動を行うように構成されていてもよい。
【0018】
内燃機関が発電のみに用いられてモータのみが車両100の駆動を行う具体的な構成としては、例えば、
図2に示した車両100が挙げられる。
図2に示したように、車両100は、内燃機関110と、二つのMG112a、112bと、二つのPCU118a、118bと、バッテリ120と、を備える。
【0019】
内燃機関110の駆動力によって第2MG112bが駆動されて、発電が行われる。第2MG112bによって発電された電力はバッテリ120に供給されて蓄電されるか、または第1MG112aに供給される。第1MG112aにはバッテリ120又は第2MG112bから電力が供給されて、車両100を駆動する。なお、第1MG112aは、回生によって発電する際に発電機として用いられ、第2MG112bは、内燃機関110を始動する際に電動機(モータ)として用いられる。
【0020】
<車載温調システムの構成>
図1~
図4を参照して、一つの実施形態に係る車載温調システム1の構成について説明する。
図3は、車載温調システム1を概略的に示す構成図である。車載温調システム1は、冷凍回路2、低温回路3、高温回路4及び制御装置6を備える。冷凍回路2、低温回路3及び高温回路4は、回路の外部との間で熱の授受を行う熱回路として機能する。
【0021】
<冷凍回路>
まず、冷凍回路2について説明する。冷凍回路2は、コンプレッサ21、コンデンサ22の冷媒配管22a、レシーバ23、第1膨張弁24、第2膨張弁25、エバポレータ26、チラー27の冷媒配管27a、第1電磁調整弁28及び第2電磁調整弁29を備える。冷凍回路2は、これら構成部品を通って冷媒が循環することで冷凍サイクルを実現するように構成される。冷媒には、例えば、ハイドロフルオロカーボン(例えば、HFC-134a)等、一般的に冷凍サイクルで冷媒として用いられる任意の物質が用いられる。
【0022】
冷凍回路2は、冷凍基本流路2aと、エバポレータ流路2bと、チラー流路2cとに分けられる。エバポレータ流路2bと、チラー流路2cとは互いに並列に設けられ、それぞれ冷凍基本流路2aに接続されている。
【0023】
冷凍基本流路2aには、冷媒の循環方向において、コンプレッサ21、コンデンサ22の冷媒配管22a及びレシーバ23がこの順番に設けられる。エバポレータ流路2bには、冷媒の循環方向において、第1電磁調整弁28、第1膨張弁24及びエバポレータ26がこの順番に設けられる。加えて、チラー流路2cには、第2電磁調整弁29、第2膨張弁25及びチラー27の冷媒配管27aがこの順番に設けられる。
【0024】
コンプレッサ21は、冷媒を圧縮する圧縮機として機能する。本実施形態では、コンプレッサ21は、電動式であり、コンプレッサ21への供給電力が調整されることによりその吐出容量が無段階に変化せしめられるように構成される。コンプレッサ21では、エバポレータ26又はチラー27から流出した低温・低圧であって主にガス状である冷媒が、断熱的に圧縮されることにより、高温・高圧であって主にガス状である冷媒に変化せしめられる。
【0025】
コンデンサ22は、冷媒配管22aと冷却水配管22bとを備える。コンデンサ22は、冷媒から、後述する高温回路4の冷却水配管22bを流れる冷却水に熱を放出させて冷媒を凝縮させる熱交換器として機能する。見方を変えると、コンデンサ22は、内燃機関110の排熱以外の熱を利用して高温回路4の冷却水を加熱する第2加熱部として機能する。コンデンサ22の冷媒配管22aは、冷凍サイクルにおいて冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。また、コンデンサ22の冷媒配管22aでは、コンプレッサ21から流出した高温・高圧であって主にガス状である冷媒が、等圧的に冷却されることにより、高温・高圧の主に液状の冷媒に変化せしめられる。
【0026】
レシーバ23は、コンデンサ22の冷媒配管22aによって凝縮された冷媒を貯留する。また、コンデンサ22では必ずしも全ての冷媒を液化することができないため、レシーバ23は気液の分離を行うように構成される。レシーバ23からはガス状の冷媒が分離された液状の冷媒のみが流出する。
【0027】
第1膨張弁24及び第2膨張弁25は、冷媒を膨張させる膨張器として機能する。これら膨張弁24、25は、細径の通路を備えると共に、この細径の通路から冷媒を噴霧することで冷媒の圧力を急激に低下させる。第1膨張弁24は、レシーバ23から供給された液状の冷媒を、エバポレータ26内に霧状に噴霧する。同様に、第2膨張弁25は、レシーバ23から供給された液状の冷媒を、チラー27の冷媒配管27a内に霧状に噴霧する。これら膨張弁24、25では、レシーバ23から流出した高温・高圧の液状の冷媒が、減圧されて部分的に気化することにより、低温・低圧の霧状の冷媒に変化せしめられる。
【0028】
エバポレータ26は、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。具体的には、エバポレータ26は、エバポレータ26周りの空気から冷媒へ吸熱させ、冷媒を蒸発させる。したがって、エバポレータ26では、第1膨張弁24から流出した低温・低圧の霧状の冷媒が、蒸発することにより、低温・低圧のガス状の冷媒に変化せしめられる。この結果、エバポレータ26周りの空気は冷却せしめられ、車室内の冷房を行うことができる。
【0029】
チラー27は、冷媒配管27aと冷却水配管27bとを備える。チラー27は、後述する低温回路3の冷却水配管27bを流れる冷却水から冷媒へ吸熱させ、冷媒を蒸発させる熱交換器として機能する。チラー27の冷媒配管27aは、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。また、チラー27の冷媒配管27aでは、第2膨張弁25から流出した低温・低圧の霧状の冷媒が、蒸発することにより、低温・低圧のガス状の冷媒に変化せしめられる。この結果、低温回路3の冷却水は冷却せしめられる。
【0030】
第1電磁調整弁28及び第2電磁調整弁29は、冷凍回路2内における冷媒の流通態様を変更するように用いられる。第1電磁調整弁28の開度が大きくなるほどエバポレータ流路2bに流入する冷媒が多くなり、よってエバポレータ26に流入する冷媒が多くなる。また、第2電磁調整弁29の開度が大きくなるほどチラー流路2cに流入する冷媒が多くなり、よってチラー27に流入する冷媒が多くなる。なお、冷凍基本流路2aからエバポレータ流路2b及びチラー流路2cへ流入する流量を調整することができれば、これら電磁調整弁28、29の代わりに如何なる弁が設けられてもよい。
【0031】
なお、
図3に示したように、本実施形態では、冷凍回路2は車両100の前方、すなわち車両100の客室よりも前方に配置される。
【0032】
≪低温回路≫
次に、低温回路3について説明する。低温回路3は、第1ポンプ31、チラー27の冷却水配管27b、低温ラジエータ32、第1三方弁33及び第2三方弁34を備える。加えて、低温回路3は、バッテリ熱交換器35、PCU熱交換器36及びMG熱交換器37を備える。低温回路3では、これら構成部品を通って冷却水が循環する。なお、冷却水は第2熱媒体の一例であり、低温回路3内では、冷却水の代わりに任意の他の熱媒体が用いられてもよい。
【0033】
低温回路3は、低温基本流路3aと、低温ラジエータ流路3bと、発熱機器流路3cとに分けられる。低温ラジエータ流路3bと発熱機器流路3cとは互いに並列に設けられ、それぞれ低温基本流路3aに接続されている。
【0034】
低温基本流路3aには、冷却水の循環方向において、第1ポンプ31、チラー27の冷却水配管27b、バッテリ熱交換器35がこの順番に設けられる。また、低温基本流路3aにはバッテリ熱交換器35をバイパスするように設けられたバッテリバイパス流路3dが接続される。低温基本流路3aとバッテリバイパス流路3dとの接続部には第1三方弁が設けられる。
【0035】
また、低温ラジエータ流路3bには、低温ラジエータ32が設けられる。発熱機器流路3cには、冷却水の循環方向において、PCU熱交換器36及びMG熱交換器37がこの順番に設けられる。発熱機器流路3cには、MGやPCU以外の発熱機器と熱交換する熱交換器が設けられてもよい。低温基本流路3aと低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cとの間には第2三方弁34が設けられる。
【0036】
第1ポンプ31は、低温回路3内を循環する冷却水を圧送する。本実施形態では、第1ポンプ31は、電動式のウォータポンプであり、第1ポンプ31への供給電力が調整されることによりその吐出容量が無段階に変化せしめられるように構成される。
【0037】
低温ラジエータ32は、低温回路3内を循環する冷却水と車両100の外部の空気(外気)との間で熱交換を行う熱交換器である。低温ラジエータ32は、冷却水の温度が外気の温度よりも高いときには冷却水から外気への放熱を行い、冷却水の温度が外気の温度よりも低いときには外気から冷却水への吸熱を行うように構成される。
【0038】
第1三方弁33は、チラー27の冷却水配管27bから流出した冷却水がバッテリ熱交換器35とバッテリバイパス流路3dとの間で選択的に流通するように構成される。第2三方弁34は、低温基本流路3aから流出した冷却水が、低温ラジエータ流路3bと発熱機器流路3cとの間で選択的に流通するように構成される。
【0039】
なお、バッテリ熱交換器35及びバッテリバイパス流路3dに流入する冷却水の流量を適切に調整することができれば、第1三方弁33の代わりに、調整弁や開閉弁等の他の調整装置が用いられてもよい。同様に、低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cに流入する冷却水の流量を適切に調整することができれば、第2三方弁34の代わりに、調整弁や開閉弁等の他の調整装置が用いられてもよい。
【0040】
バッテリ熱交換器35は、車両100のバッテリ120と熱交換するように構成される。具体的には、バッテリ熱交換器35は、例えば、バッテリ120の周りに設けられた配管を備え、この配管を流れる冷却水とバッテリとの間で熱交換が行われるように構成される。
【0041】
PCU熱交換器36は、車両100のPCU118と熱交換するように構成される。具体的には、PCU熱交換器36は、PCU118の周りに設けられた配管を備え、この配管を流れる冷却水とPCUとの間で熱交換が行われるように構成される。また、MG熱交換器37は、車両100のMG112と熱交換するように構成される。具体的には、MG熱交換器37は、MG112の周りを流れるオイルと冷却水との間で熱交換が行われるように構成される。
【0042】
なお、
図3に示したように、本実施形態では、MG112及びPCU118が車両の後方に配置されているため、PCU熱交換器36及びMG熱交換器37は車両の後方、すなわち車両100の車室よりも後方に配置される。一方、チラー27、第1ポンプ31及び低温ラジエータ32や、第1三方弁33及び第2三方弁34は車両の前方、すなわち車室よりも前方に配置される。また、本実施形態では、バッテリ120が車室の下方に配置されているため、バッテリ熱交換器35は車両100の中央、すなわち車室の下方に配置される。なお、バッテリ120は車室の下方以外の場所に配置されてもよく、したがってバッテリ熱交換器35は車室の下方以外の場所に配置されてもよい。
【0043】
≪高温回路≫
次に、高温回路4について説明する。高温回路4は、第2ポンプ41、コンデンサ22の冷却水配管22b、高温ラジエータ42、ヒータコア43、第3三方弁44、第3電磁調整弁46、第4電磁調整弁47、及び機関冷却回路5を備える。高温回路4でもこれら構成部品を通って冷却水が循環する。なお、この冷却水は第1熱媒体の一例であり、高温回路4内では、冷却水の代わりに任意の他の熱媒体が用いられてもよい。
【0044】
また、高温回路4は、コンデンサ流路4aと、高温ラジエータ流路4bと、双方向流路4cと、機関流入流路4dと、機関流出流路4eとに分けられる。コンデンサ流路4aには、冷却水の循環方向において、第2ポンプ41、コンデンサ22の冷却水配管22b、第4電磁調整弁47及びヒータコア43がこの順番に設けられる。なお、コンデンサ流路4aには、冷却水の循環方向においてヒータコア43の上流側に、電気ヒータが設けられてもよい。高温ラジエータ流路4bには、冷却水の循環方向において、第3電磁調整弁46及び高温ラジエータ42がこの順番に設けられる。機関流入流路4dと機関流出流路4eとの間には機関冷却回路5が設けられる。
【0045】
高温ラジエータ流路4bの両端は、コンデンサ流路4aに連通する。具体的には、高温ラジエータ流路4bの上流側端部はコンデンサ22の冷却水配管22bと第4電磁調整弁47との間においてコンデンサ流路4aに連通する。一方、高温ラジエータ流路4bの下流側端部は第2ポンプ41よりも上流側においてコンデンサ流路4aに連通する。また、コンデンサ流路4aの両端はそれぞれ双方向流路4cの両端と連通する。したがって、ヒータコア43と高温ラジエータ42とは第2加熱部に対して並列に設けられている。
【0046】
機関流入流路4dは、コンデンサ流路4a及び双方向流路4cと機関冷却回路5とを連通させる。特に、機関流入流路4dは、コンデンサ流路4aの下流側端部と、機関熱交換器52の入口側の機関冷却回路5とを連通させる。
【0047】
機関流出流路4eも、コンデンサ流路4a及び双方向流路4cと機関冷却回路5とを連通させる。特に、機関流出流路4eは、コンデンサ流路4aの上流側端部と、機関熱交換器52の出口側の機関冷却回路5とを連通させる。
【0048】
また、コンデンサ流路4aと双方向流路4cと機関流入流路4dとの間には、第3三方弁44が設けられる。なお、第3三方弁44は、コンデンサ流路4aと双方向流路4cと機関流出流路4eとの間に設けられてもよい。
【0049】
見方を変えると、高温回路4は、ヒータコア43とコンデンサ22の冷却水配管22bとを備える基本回路(熱回路)と、基本回路に連通する連通流路を有すると考えることができる。このうち基本回路は、コンデンサ流路4a、高温ラジエータ流路4b及び双方向流路4cを有する。したがって、基本回路では、コンデンサ22の冷却水配管22bとヒータコア43又は高温ラジエータ42との間で冷却水が循環することができる。一方、連通流路は、機関流入流路4d及び機関流出流路4eを有する。したがって、連通流路は、機関冷却回路5(特に、機関熱交換器52)を基本回路に連通させる。
【0050】
第2ポンプ41は、高温回路4内を循環する冷却水を圧送する。本実施形態では、第2ポンプ41は、第1ポンプ31と同様な、電動式のウォータポンプである。また、高温ラジエータ42は、低温ラジエータ32と同様に、高温回路4内を循環する冷却水と外気との間で熱交換を行う熱交換器である。
【0051】
ヒータコア43は、高温回路4内の冷却水の熱を利用して車室内を暖房するのに用いられる。すなわち、ヒータコア43は、高温回路4内を循環する冷却水とヒータコア43周りの空気との間で熱交換を行ってヒータコア43周りの空気を暖め、その結果、車室内の暖房を行うように構成される。具体的には、ヒータコア43は、冷却水からヒータコア43周りの空気へ排熱するように構成される。したがって、ヒータコア43に高温の冷却水が流れると、冷却水の温度が低下すると共に、ヒータコア43周りの空気が暖められる。
【0052】
第3三方弁44は、コンデンサ流路4aと双方向流路4cとが連通した第1連通状態と、機関流入流路4dと双方向流路4cとが連通した第2連通状態と、コンデンサ流路4aと機関流入流路4dとが連通した第3連通状態との間で切換可能な連通態様制御装置として機能する。換言すると、第3三方弁44は、高温回路4における熱媒体の流通状態を切り換える流通状態切換機構として機能する。第3三方弁44が第1連通状態に設定されていると、高温回路4内の冷却水は基本回路内を循環するように流れる。一方、第3三方弁44が第2連通状態に設定されていると、機関冷却回路5内の冷却水が双方向流路4cを通って流れる。加えて、第3三方弁44が第3連通状態に設定されていると、機関冷却回路5内の冷却水がコンデンサ流路4aを通って流れる。なお、冷却水の流通態様を上述したように制御することができれば、第3三方弁44の代わりに、調整弁や開閉弁等の他の流通態様制御装置が用いられてもよい。
【0053】
第3電磁調整弁46及び第4電磁調整弁47は、高温回路4内における冷却水の流通態様を、特にコンデンサ22の冷却水配管22bから高温ラジエータ42及びヒータコア43への冷却水の流通態様を制御する流通態様制御装置として用いられる。換言すると、第3電磁調整弁46及び第4電磁調整弁47は、高温回路4における熱媒体の流通状態を切り換える流通状態切換機構として機能する。第3電磁調整弁46の開度が大きくなるほど高温ラジエータ流路4bに流入する冷却水が多くなり、よって高温ラジエータ42に流入する冷却水が多くなる。また、第4電磁調整弁47の開度が大きくなるほど、コンデンサ流路4aを通ってヒータコア43に流入する冷却水が多くなる。なお、本実施形態では、電磁調整弁46、47は、その開度を調整可能な弁として構成されているが、開いた状態と閉じた状態との間で切り換えられる開閉弁であってもよい。また、第3電磁調整弁46及び第4電磁調整弁47の代わりに、コンデンサ流路4aからの冷却水を高温ラジエータ流路4bのみ、双方向流路4cのみ及び/又はその両方に選択的に流入させることができる三方弁が設けられてもよい。したがって、コンデンサ流路4aから高温ラジエータ流路4b及び双方向流路4cへ流入する流量を調整することができれば、流通態様制御装置としてこれら電磁調整弁46、47の代わりに如何なる弁が設けられてもよい。
【0054】
なお、
図3に示したように、本実施形態では、機関冷却回路5は車両100の後方、すなわち車両100の車室よりも後方に配置される。一方、機関冷却回路5以外の高温回路4の構成要素(コンデンサ22、高温ラジエータ42、ヒータコア43等)は車両の前方、すなわち車室よりも前方に配置される。特に、高温回路4の基本回路は車両の前方に配置される。したがって、機関流入流路4d及び機関流出流路4eは、車室の前後の間で延びるように配置される。
【0055】
≪機関冷却回路≫
次に、機関冷却回路5について説明する。機関冷却回路5は、第3ポンプ51、機関熱交換器52、機関ラジエータ53及びサーモスタッド54を備える。機関冷却回路5では、これら構成部品を通って高温回路4と同じ冷却水が循環する。
【0056】
また、機関冷却回路5は、機関基本流路5aと、機関ラジエータ流路5bと、機関バイパス流路5cとに分けられる。機関ラジエータ流路5bと機関バイパス流路5cとは互いに並列に設けられ、それぞれ機関基本流路5aに接続されている。
【0057】
機関基本流路5aには、冷却水の循環方向において、第3ポンプ51、機関熱交換器52がこの順番に設けられる。機関ラジエータ流路5bには機関ラジエータ53が設けられる。また、機関バイパス流路5cには、機関流入流路4d及び機関流出流路4eが連通する。特に、機関流入流路4dは機関バイパス流路5cの下流側部分に連通する。その結果、機関流入流路4dは機関熱交換器52の入口近傍に連通する。一方、機関流出流路4eは機関バイパス流路5cの上流側部分に連通する。その結果、機関流入流路4eは機関熱交換器52の出口近傍に連通する。したがって、機関熱交換器52は、高温回路4に連通して高温回路4の冷却水が流通するように構成される。機関基本流路5aと機関ラジエータ流路5b及び機関バイパス流路5cとの間にはサーモスタッド54が設けられる。なお、
図3に示した例では、機関流出流路4eは機関バイパス流路5cに連通しているが、機関ラジエータ流路5bに連通してもよい。
【0058】
第3ポンプ51は、機関冷却回路5内を循環する冷却水を圧送する。本実施形態では、第3ポンプ51は、第1ポンプ31と同様な、電動式のウォータポンプである。また、機関ラジエータ53は、低温ラジエータ32と同様に、機関冷却回路5内を循環する冷却水と外気との間で熱交換を行う熱交換器である。
【0059】
機関熱交換器52は、内燃機関110の排熱を利用して冷却水を加熱するのに用いられる第1加熱部として機能する。すなわち、機関熱交換器52は、内燃機関110の熱を機関冷却回路5内の冷却水に排熱して、冷却水を加熱する。機関熱交換器52は、内燃機関110内での燃料の燃焼に伴って生じた熱を冷却水に排出させることにより、内燃機関110が過剰に昇温することを抑制する。機関熱交換器52は、例えば、内燃機関110のシリンダブロックやシリンダヘッド内に設けられた冷却水通路を有する。
【0060】
サーモスタッド54は、機関ラジエータ流路5bを通る冷却水の流れを遮断する閉弁状態と、機関ラジエータ流路5bを通って冷却水が流れることを許可する開弁状態との間で切り換えられる弁である。サーモスタッド54は、機関バイパス流路5cを通って循環する冷却水の温度が予め設定された温度以上であるときには、機関ラジエータ流路5bに冷却水が流れるように開かれる。一方、サーモスタッド54は、機関バイパス流路5cを通って循環する冷却水の温度が予め設定された温度未満であるときには、機関ラジエータ流路5bに冷却水が流れないように閉じられる。この結果、機関熱交換器52に流通する冷却水の温度がほぼ一定に保たれる。
【0061】
≪空気通路≫
図4は、車載温調システム1を搭載した車両100の空調用の空気通路7を概略的に示す構成図である。空気通路7では、図中に矢印で示した方向に空気が流れる。
図4に示した空気通路7は、車両100の外部又は車室の空気吸い込み口に接続されており、空気通路7には制御装置6による制御状態に応じて外気又は車室内の空気が流入する。また、
図4に示した空気通路7は、車室内へ空気を吹き出す複数の吹き出し口に接続されており、空気通路7からは制御装置6による制御状態に応じてこのうち任意の吹き出し口に空気が供給される。
【0062】
図4に示したように、本実施形態の空調用の空気通路7には、空気の流れ方向において、ブロワ71と、エバポレータ26と、エアミックスドア72と、ヒータコア43とがこの順番に設けられる。
【0063】
ブロワ71は、ブロワモータ71aとブロワファン71bとを備える。ブロワ71は、ブロワモータ71aによってブロワファン71bが駆動されると、外気又は車室内の空気が空気通路7に流入して、空気通路7を通って空気が流れるように構成される。車室の暖房や冷房が要求されている場合には、基本的にブロワファン71bが駆動される。
【0064】
エアミックスドア72は、空気通路7を通って流れる空気のうち、ヒータコア43を通って流れる空気の流量を調整する。エアミックスドア72は、空気通路7を流れる全ての空気がヒータコア43を流れる状態と、空気通路7を流れる全ての空気がヒータコア43を流れない状態と、その間の状態との間で調整できるように構成される。
【0065】
このように構成された空気通路7では、ブロワ71が駆動されているときに、エバポレータ26に冷媒が循環されている場合には、空気通路7を通って流れる空気が冷却される。また、ブロワ71が駆動されているときに、ヒータコア43に冷却水が循環されていて且つ空気がヒータコア43を流れるようにエアミックスドア72が制御されている場合には、空気通路7内を通って流れる空気が暖められる。
【0066】
また、
図1に示したように、車両100のフロントグリルの内側に、低温ラジエータ32、高温ラジエータ42及び機関ラジエータ53が配置される。したがって、車両100が走行しているときにはこれらラジエータ32、42、53には走行風が当たる。また、これらラジエータ32、42、53に隣接してファン76が設けられる。ファン76は駆動されるとラジエータ32、42に風が当たるように構成される。したがって、車両100が走行していないときでも、ファン76を駆動することにより、ラジエータ32、42、53に風を当てることができる。
【0067】
≪制御装置≫
図3を参照すると、制御装置6は、電子制御ユニット(ECU)61を備える。ECU61は、各種演算を行うプロセッサと、プログラムや各種情報を記憶するメモリと、各種アクチュエータや各種センサと接続されるインタフェースとを備える。
【0068】
また、制御装置6は、機関冷却回路5内の冷却水の温度、特に機関バイパス流路5cを通って流れる冷却水の温度を検出する第1水温センサ62を備える。加えて、制御装置6は、車両の前方における機関流入流路4dを流れる冷却水の温度、又は双方向流路4cを流通する冷却水の温度を検出する第2水温センサ63を備える。ECU61はこれらセンサに接続され、ECU61にはこれらセンサからの出力信号が入力される。
【0069】
加えて、制御装置6は、車両100の室内の温度を検出する室内温度センサ66と、車両100の室外の温度を検出する外気温度センサ67と、ユーザによって操作される操作パネル68とを備える。ECU61はこれらセンサ及び操作パネル68に接続され、ECU61にはこれらセンサ及び操作パネル68からの出力信号が入力される。
【0070】
ECU61は、センサ66、67及び操作パネル68からの出力信号に基づいて冷房要求や暖房要求の有無を判断する。例えば、ユーザが操作パネル68の暖房スイッチをONにしている場合には、ECU61は暖房が要求されていると判断する。また、ユーザが操作パネル68のオートスイッチをONにしている場合には、例えば、ユーザによって設定されている室内温度が室内温度センサ66によって検出された温度よりも低いときにECU61は暖房が要求されていると判断する。
【0071】
加えて、ECU61は、車載温調システム1の各種アクチュエータに接続されて、これらアクチュエータを制御する。具体的には、ECU61は、コンプレッサ21、電磁調整弁28、29、46、47、ポンプ31、41、51、三方弁33、34、44、ブロワモータ71a、エアミックスドア72及びファン76に接続されて、これらを制御する。したがって、ECU61は、冷凍回路2、低温回路3、高温回路4(機関冷却回路5を含む)における熱媒体(冷媒及び冷却水)の流通状態を切り換える流通状態切換機構を制御する制御装置として機能する。
【0072】
<車載温調システムの動作>
次に、
図5~
図10を参照して、車載温調システム1における代表的な熱媒体(冷媒及び冷却水)の流通状態について説明する。
図5~
図10では、冷媒や冷却水が流れている流路が実線で、冷媒や冷却水が流れていない流路が破線でそれぞれ示されている。また、図中の細い矢印は冷媒や冷却水が流れる方向を、図中の太い矢印は熱の移動方向をそれぞれ示している。
【0073】
図5は、車室の冷房及び暖房のいずれもが要求されておらず且つバッテリ等の発熱機器の冷却が必要な場合の車載温調システム1における熱媒体の流通状態を示している(第1停止モード)。
【0074】
図5に示したように、第1停止モードでは、コンプレッサ21及び第2ポンプ41の作動は停止される。したがって、冷凍回路2内では冷媒は循環せず、また、高温回路4内では冷却水は循環しない。一方、第1停止モードでは、第1ポンプ31が作動せしめられる。したがって、低温回路3内では冷却水が循環する。
【0075】
また、第1停止モードでは、第1三方弁33は冷却水がバッテリ熱交換器35に流通するように設定される。また、
図5に示した例では、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cの両方に流れるように設定される。なお、第1三方弁33は、第1停止モードにおいて、冷却水がバッテリ熱交換器35に流通しないように設定されてもよい。
【0076】
この結果、第1停止モードでは、バッテリ熱交換器35、PCU熱交換器36及びMG熱交換器37(以下、これらをまとめて「発熱機器の熱交換器」という)においてバッテリ、MG112及びPCU118(発熱機器)の熱が冷却水に移動される。このため、発熱機器が冷却されると共に、冷却水の温度が外気の温度以上に上昇する。その後、冷却水は低温ラジエータ32にて外気と熱交換することによって冷却され、再び発熱機器の熱交換器に流入する。したがって、第1停止モードでは、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に低温ラジエータ32にてその熱が放出される。
【0077】
なお、
図5に示した例では、このとき内燃機関110が作動している。このため第3ポンプ51が作動され且つ第3三方弁44が第1連通状態に設定されており、よって機関冷却回路5内で冷却水が循環する。機関冷却回路5内の冷却水の温度が高いと、サーモスタッド54が開いて機関ラジエータ53にも冷却水が循環する。また、内燃機関110が停止しているときには、第3ポンプ51の作動は停止され、よって機関冷却回路5内で冷却水は循環しない。
【0078】
図6は、車室の冷房及び暖房のいずれもが要求されておらず且つ発熱機器の急速冷却が必要な場合の車載温調システム1における熱媒体の流通状態を示している(第2停止モード)。また、
図6に示した例では、内燃機関110が作動している。
【0079】
図6に示したように、第2停止モードでは、コンプレッサ21、第1ポンプ31及び第2ポンプ41のいずれもが作動せしめられる。したがって、冷凍回路2、低温回路3及び高温回路4のいずれにおいても冷媒又は冷却水が循環する。
【0080】
また、第2停止モードでは、第1電磁調整弁28が閉じられ且つ第2電磁調整弁29が開かれる。したがって、エバポレータ26には冷媒は流通せず、チラー27に冷媒が流通する。加えて、第2停止モードでは、第1三方弁33は冷却水がバッテリ熱交換器35に流通するように設定される。また、
図6に示した例では、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cの両方に流れるように設定される。これによって、PCU熱交換器36やMG熱交換器37にも冷却水が流れるため、MG112やPCU118の冷却を行うことができる。さらに第2停止モードでは、第3電磁調整弁46が開かれ、第4電磁調整弁47が閉じられる。したがって、高温回路4内の冷却水は、コンデンサ22を通った後に高温ラジエータ流路4bに流入する。
【0081】
この結果、第2停止モードでは、チラー27にて低温回路3内の冷却水の熱が冷媒に移動されて、この冷却水が冷却される。その後、この低温の冷却水がバッテリ熱交換器35等の発熱機器の熱交換器に流れ、発熱機器が冷却される。一方、コンデンサ22にて冷媒の熱が高温回路4に移動されて、高温回路4内の冷却水が暖められる。その後、この高温の冷却水が高温ラジエータ42にて外気と熱交換することによって冷却され、再びコンデンサ22に流入する。したがって、第2停止モードでは、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に高温ラジエータ42にてその熱が放出される。
【0082】
図7は、車室の冷房が要求されていて且つ発熱機器の冷却が必要な場合の車載温調システム1における熱媒体の流通状態を示している(第1冷房モード)。また、
図7に示した例では、内燃機関110が作動している。
【0083】
図7に示したように、第1冷房モードでは、コンプレッサ21、第1ポンプ31及び第2ポンプ41のいずれもが作動せしめられる。また、第1冷房モードでは、第1電磁調整弁28が開かれ且つ第2電磁調整弁29が閉じられ、また、第3電磁調整弁46が開かれ且つ第4電磁調整弁47が閉じられる。また、
図7に示した例では、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cの両方に流れるように設定される。
【0084】
この結果、第1冷房モードでは、エバポレータ26にて周囲の空気の熱が冷媒に移動されて、周囲の空気が冷却される。一方、コンデンサ22にて冷媒の熱が高温回路4に移動されて、高温回路4内の冷却水が暖められる。その後、この高温の冷却水が高温ラジエータ42にて外気と熱交換することによって冷却され、再びコンデンサ22に流入する。したがって、第1冷房モードでは、エバポレータ26において周囲の空気から熱が吸収されると共に高温ラジエータ42にてその熱が放出される。
【0085】
また、第1冷房モードでは、発熱機器の熱交換器において発熱機器の熱が冷却水に移動され、その後、冷却水は低温ラジエータ32にて外気と熱交換することによって冷却され、再びバッテリ熱交換器35に流入する。したがって、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に低温ラジエータ32にてその熱が放出される。
【0086】
図8は、車室の冷房が要求されていて且つ発熱機器の急速冷却が必要な場合の車載温調システム1における熱媒体の流通状態を示している(第2冷房モード)。
【0087】
図8に示したように、第2冷房モードでは、コンプレッサ21、第1ポンプ31及び第2ポンプ41のいずれもが作動せしめられる。また、第2冷房モードでは、第1電磁調整弁28及び第2電磁調整弁29がいずれも開かれ、よってエバポレータ26及びチラー27のいずれにも冷媒が流通する。このときの各電磁調整弁28、29の開度は、冷房強度やバッテリの温度等に応じて調整される。加えて、第2冷房モードでは、第1三方弁33は冷却水がバッテリ熱交換器35に流通するように設定される。また、
図8に示した例では、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cの両方に流れるように設定される。しかしながら、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3bのみに流れるように設定されてもよい。さらに第2冷房モードでは、第3電磁調整弁46が開かれ、第4電磁調整弁47が閉じられる。
【0088】
この結果、第2冷房モードでは、チラー27にて低温回路3内の冷却水の熱が冷媒に移動されて、この冷却水が冷却される。その後、この低温の冷却水が発熱機器の熱交換器に流れ、発熱機器が冷却される。また、第2冷房モードでは、エバポレータ26にて周囲の空気の熱が冷媒に移動されて、周囲の空気が冷却される。一方、コンデンサ22にて冷媒の熱が高温回路4に移動されて、高温回路4内の冷却水が暖められる。その後、この高温の冷却水が高温ラジエータ42にて外気と熱交換することによって冷却され、再びコンデンサ22に流入する。したがって、第2冷房モードでは、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収され且つエバポレータ26において周囲の空気から熱が吸収されると共に高温ラジエータ42にてその熱が放出される。
【0089】
図9は、車室の暖房が要求されていて内燃機関が暖機された状態で運転されている場合の車載温調システム1における熱媒体の流通状態(第1流通状態)を示している(第1暖房モード)。
【0090】
図9に示したように、第1暖房モードでは、コンプレッサ21は停止される。したがって、冷凍回路2内では冷媒は循環しない。また、
図9に示したように、第1ポンプ31、第2ポンプ41及び第3ポンプ51はいずれも作動せしめられる。したがって、低温回路3及び機関冷却回路5内では冷却水が循環する。
【0091】
また、第1暖房モードでは、第3三方弁44が第3連通状態に設定される。したがって、機関流出流路4eはコンデンサ流路4aに連通し、コンデンサ流路4aは機関流入流路4dに連通する。この結果、高温回路4内では、機関冷却回路5から流出した冷却水が、機関流出流路4eを通ってコンデンサ流路4aに流入し、その後、機関流入流路4dを通って機関冷却回路5に戻る。このため、第1暖房モードでは、機関熱交換器52において加熱された冷却水はヒータコア43を流通しつつ熱回路の一部を流通する。
【0092】
加えて、第1暖房モードでは、低温回路3内の冷却水が第1停止モードと同様に低温回路3内を循環する。したがって、第1暖房モードでは、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に低温ラジエータ32にてその熱が放出される。
【0093】
この結果、第1暖房モードでは、機関熱交換器52において内燃機関の熱により昇温された機関冷却回路5内の冷却水の一部がヒータコア43に流入する。ヒータコア43に流入した冷却水はヒータコア43にてその周りの空気と熱交換することによって冷却され、これに伴って周囲の空気が昇温される。したがって、第1暖房モードでは、機関熱交換器52にて内燃機関から熱が吸収され、ヒータコア43にてその熱が放出される。加えて、第1暖房モードでは、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に低温ラジエータ32にてその熱が放出される。
【0094】
なお、車室の暖房除湿が要求されていて内燃機関が暖機された状態で運転されているときには、第1暖房モードにおいて、コンプレッサ21が作動されると共に第1電磁調整弁28が開かれ且つ第2電磁調整弁29が閉じられる。したがって、冷凍回路2では冷媒が循環する。加えて、第2ポンプ41が作動されると共に第3電磁調整弁46が開かれる。したがって、高温ラジエータ42とコンデンサ22との間で冷却水が循環する。
【0095】
また、
図9に示した熱媒体の流通状態は、第1暖房モードにおける一つの例である。したがって、機関熱交換器52において加熱された冷却水の一部はヒータコア43を通って流れていれば、
図9に示した流通状態とは異なる流通状態であってもよい。例えば、第1暖房モードにおいて、低温回路3にて冷却水は循環していなくてもよいし、一部の発熱機器の熱交換器を流通していなくてもよい。また、冷凍回路2において冷媒が循環していてもよい。
【0096】
図10は、車室の暖房が要求されていて且つ内燃機関が停止している場合の車載温調システム1における熱媒体の流通状態(第4流通状態)を示している(第4暖房モード)。
【0097】
図10に示したように、第4暖房モードでは、コンプレッサ21、第1ポンプ31及び第2ポンプ41が作動せしめられる。また、第4暖房モードでは、第1電磁調整弁28が閉じられ且つ第2電磁調整弁29が開かれる。したがって、エバポレータ26には冷媒は流通せず、チラー27に冷媒が流通する。加えて、第4暖房モードでは、第1三方弁33は冷却水がバッテリ熱交換器35に流通するように設定される。また、
図10に示した例では、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cの両方に流れるように設定される。しかしながら、第2三方弁34は、冷却水が低温ラジエータ流路3bのみに流れるように設定されてもよい。さらに第4暖房モードでは、第3電磁調整弁46が閉じられ、第4電磁調整弁47が開かれ、第3三方弁44が第1連通状態に設定される。したがって、高温回路4内の冷却水は、コンデンサ22を通った後にヒータコア43及び双方向流路4cを流通し、再びコンデンサ22に戻される。また、内燃機関110は停止しており、よって第3ポンプ51も停止している。このため、冷却水は機関流入流路4dや機関流出流路4eを通って流れない。
【0098】
この結果、第4暖房モードでは、チラー27にて低温回路3内の冷却水の熱が冷媒に移動されて、この冷却水が冷却される。
図10に示したように発熱機器の熱交換器に冷却水が流通するように第1三方弁33及び第2三方弁34が設定されている場合には、この低温の冷却水が発熱機器の熱交換器及び低温ラジエータ32に流れ、発熱機器や外気から冷却水へ熱が吸収される。
【0099】
また、コンデンサ22にて冷媒の熱が高温回路4に移動されて、高温回路4内の冷却水が暖められる。その後、この高温の冷却水がヒータコア43にてその周りの空気と熱交換することによって冷却され、これに伴って周囲の空気が昇温される。したがって、第4暖房モードでは、低温ラジエータ32にて外気から熱が吸収され、且つ場合によっては発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に、ヒータコア43にてその熱が放出される。
【0100】
なお、
図10に示した熱媒体の流通状態は、第4暖房モードにおける一つの例である。したがって、コンデンサ22において加熱された冷却水がヒータコア43を通って流れていれば、
図10に示した流通状態とは異なる流通状態であってもよい。例えば、第4暖房モードにおいて、低温回路3にて冷却水は一部の発熱機器の熱交換器には流通しなくてもよい。また、車室の暖房除湿が要求されていて且つ内燃機関が停止しているときには、冷凍回路2において冷媒がエバポレータ26を通って流れてもよい。
【0101】
<内燃機関の冷間始動>
次に、内燃機関110の冷間始動中であって、車室の暖房が要求されているときの熱媒体の流通状態の制御について説明する。ここで、内燃機関110の冷間始動中とは、内燃機関110の温度が低い状態において内燃機関110の運転が開始されてから内燃機関110の温度が十分に高くなるまでの暖機中の期間中を意味する。具体的には、内燃機関110の冷間始動中とは、例えば、機関冷却回路5内を循環する冷却水の温度が暖機基準温度(例えば、90℃)に到達するまでの間の期間中を意味する。
【0102】
内燃機関110の冷間始動開始前においては、内燃機関110は停止している。そして、内燃機関110の冷間始動開始前から車室の暖房が要求されている場合には、内燃機関110の冷間始動開始前には車載温調システム1は第4暖房モード(
図10)にて作動せしめられる。一方、内燃機関110の冷間始動開始と同時に車室の暖房要求が開始された場合には、冷間始動開始前には車載温調システム1は第1停止モード(
図5)にて作動せしめられるか又は停止している。したがって、内燃機関110の冷間始動開始前には、少なくとも機関冷却回路5、機関流入流路4d及び機関流出流路4eでは冷却水は流れていない。
【0103】
本実施形態では、車室の暖房が要求されている状態で内燃機関110の冷間始動が開始されると、車載温調システム1の熱媒体の流通状態が第3流通状態(第3暖房モード)に設定される。
図11は、車載温調システム1の熱媒体の第3流通状態を示している。
【0104】
図11に示したように、第3暖房モードでは、第3ポンプ51が作動されると共に、第3三方弁44が第1連通状態に設定される。したがって、機関冷却回路5内の冷却水は、機関流出流路4eへ流出せずに機関冷却回路5内で循環する。このため、機関熱交換器52から流出した冷却水は、ヒータコア43及び基本回路を通って流れることなく機関熱交換器52に再び流入する。
【0105】
このときには内燃機関110の温度が低く、よって機関冷却回路5内の冷却水の温度も低いため、サーモスタッド54は閉じている。したがって、機関ラジエータ流路5bには冷却水が循環せず、機関ラジエータ53に冷却水は流れない。したがって、機関冷却回路5では、機関基本流路5a及び機関バイパス流路5cを通って冷却水が循環する。この結果、機関熱交換器52を通って流れる機関冷却回路5内の冷却水の温度は徐々に上昇する。
【0106】
また、
図11に示したように、第3暖房モードでは、
図10に示した第4暖房モードと同様に、コンプレッサ21、第1ポンプ31及び第2ポンプ41が作動せしめられる。また、第3暖房モードでは、第4暖房モードと同様に、第1電磁調整弁28が閉じられ且つ第2電磁調整弁29が開かれ、第4三方弁45が第1連通状態に設定される。この結果、第3暖房モードでは、低温ラジエータ32にて外気から熱が吸収され、且つ場合によっては発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に、ヒータコア43にてその熱が放出される。
【0107】
機関熱交換器52を通って流れる機関冷却回路5内の冷却水の温度が上昇して、第1基準温度以上になると、車載温調システム1の熱媒体の流通状態が第2流通状態(第2暖房モード)に設定される。
図12は車載温調システム1の熱媒体の第2流通状態を示している。なお、第1基準温度は、例えば、その温度よりも低下すると排気エミッションの悪化が大きくなるような温度(例えば、40℃)よりも或る程度高い温度であり、具体的には例えば60℃である。
【0108】
なお、
図11に示した熱媒体の流通状態は、第3暖房モードにおける一つの例である。したがって、コンデンサ22において加熱された冷却水がヒータコア43を通って流れており且つ機関冷却回路5内で冷却水が循環していれば、
図11に示した流通状態とは異なる流通状態であってもよい。例えば、第3暖房モードにおいて、低温回路3にて冷却水は一部の発熱機器の熱交換器には流通しなくてもよい。また、車室の暖房除湿が要求されているときには、冷凍回路2において冷媒がエバポレータ26を通って流れてもよい。
【0109】
図12に示したように、第2暖房モードでは、第3ポンプ51が作動されると共に、第3三方弁44が第2連通状態に設定される。したがって、機関冷却回路5内の冷却水の一部は機関流出流路4eへ流出し、その後、双方向流路4c、機関流入流路4dを通って再び機関冷却回路5へ戻される。したがって、第2暖房モードでは、機関熱交換器52において加熱された冷却水の一部がヒータコア43を通らずに双方向流路4cを通って(すなわち、基本回路の一部を通って)流れる。第2暖房モードにおいて冷却水が双方向流路4cを通って流れる方向は、第3暖房モードにおいて冷却水が双方向流路4cを通って流れる方向とは逆向きである。
【0110】
このときには内燃機関110の温度はそれほど高くなく、機関冷却回路5内の冷却水の温度も暖機基準温度よりも低い。このため、サーモスタッド54は閉じており、機関ラジエータ流路5bには冷却水が循環しない。したがって、第2暖房モードにおいても、第3暖房モードと同様に、機関冷却回路5では、基本的に機関基本流路5a及び機関バイパス流路5cを通って冷却水が循環する。加えて、第2暖房モードでは、一部の冷却水が機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4dを通って循環する。この結果、機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4dを通って流れる冷却水の温度は徐々に上昇する。
【0111】
また、
図12に示したように、第2暖房モードでは、コンプレッサ21及び第2ポンプ41は停止され、第1ポンプ31は作動せしめられる。この結果、第2暖房モードでは、低温回路3内の冷却水が第1停止モードと同様に低温回路3内を循環する。したがって、第2暖房モードでは、発熱機器の熱交換器にて発熱機器から熱が吸収されると共に低温ラジエータ32にてその熱が放出される。
【0112】
その後、機関流入流路4dを通って流れる冷却水の温度が上昇して、第2基準温度以上になると、車載温調システム1の熱媒体の流通状態が
図9に示した第1流通状態(第1暖房モード)に設定される。ここで、内燃機関110の暖機が完了した後には、内燃機関110から熱が排出されるため、冷凍回路2を駆動させることによって発生する熱を利用するよりも、内燃機関110から排出された熱を利用して暖房を行うことが効率的である。このため、本実施形態では、機関熱交換器52を通って流れる冷却水の温度が第2基準温度以上になった後には、車載温調システム1が
図9に示した第1暖房モードにて作動せしめられる。なお、第2基準温度は、例えば、ヒータコア43にその温度の冷却水が流入しても暖房を継続することができるような温度であり、具体的には例えば60℃である。第2基準温度は、例えば、第1基準温度以上の温度に設定される。
【0113】
なお、
図12に示した熱媒体の流通状態は、第2暖房モードにおける一つの例である。したがって、機関冷却回路5内の冷却水の一部が機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4dを通って循環していれば、
図12に示した流通状態とは異なる流通状態であってもよい。例えば、第2暖房モードにおいて、低温回路3にて冷却水は一部の発熱機器の熱交換器には流通しなくてもよい。
【0114】
≪タイムチャート≫
図13は、車室の暖房が要求されている状態で内燃機関110が冷間始動されたときの、各種パラメータの推移を示すタイムチャートである。図中の機関水温は、機関冷却回路5内を循環する冷却水の温度を、ヒータ水温はヒータコア43を通って流れる冷却水の温度を、連通流路水温は機関流入流路4dを通って流れる冷却水の温度をそれぞれ示している。また、図中の機関からの流量は機関冷却回路5から機関流出流路4eを通って流出した冷却水の流量を、ヒータ流量はヒータコア43を通って流れる冷却水の流量をそれぞれ示している。
【0115】
図13に示した例では、時刻t1において内燃機関110の冷間始動が開始される前に、車載温調システム1が第4暖房モード(
図10)で作動している。したがって、時刻t1前においては、コンデンサ22とヒータコア43とを通って冷却水が循環している。また、ヒータコア43にはコンデンサ22において加熱された冷却水が流入するため、比較的高い温度の冷却水が流れている。
【0116】
図13に示した例では、時刻t1において、内燃機関110が冷間始動されると共に車載温調システム1における熱媒体の流通状態が第3暖房モード(
図11)に切り換えられる。この結果、機関冷却回路5内を循環する冷却水の温度が徐々に上昇していく。一方、ヒータコア43には引き続きコンデンサ22において加熱された冷却水が流入するため、比較的高い温度の冷却水が流れている。
【0117】
その後、時刻t2において機関冷却回路5内を循環する冷却水の温度が第1基準温度Tw1に到達すると、車載温調システム1における熱媒体の流通状態が第2暖房モード(
図12)に切り換えられる。したがって、時刻t2以降は、機関冷却回路5内の冷却水の一部が、機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4dを通って流れる。このため、機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4dを通って流れる冷却水の温度が徐々に上昇する。一方、機関冷却回路5には機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4d内で滞留していた冷却水が流入するため、機関冷却回路5内の冷却水の温度は一時的に低下する。しかしながら、機関流出流路4e、双方向流路4c及び機関流入流路4dを通って流れる冷却水の温度が徐々に上昇すると、機関冷却回路5内の冷却水の温度も低下した後に再び上昇する。一方、ヒータコア43には冷却水が流入しなくなるため、ヒータコア43内の冷却水の温度は僅かながら低下する。このとき、ヒータコア43内の冷却水の温度の低下を抑制するために、ブロワモータ71aを停止させてもよい。
【0118】
そして、時刻t3において機関流入流路4dを通って流れる冷却水の温度が第2基準温度Tw2に到達すると、車載温調システム1における熱媒体の流通状態が第1暖房モード(
図9)に切り換えられる。したがって、時刻t3以降は、機関冷却回路5内の高温の冷却水の一部が、コンデンサ22及びヒータコア43を通って流れる。したがって、ヒータコア43を通って流れる冷却水の温度は再び上昇し、最終的には比較的高い一定の温度に維持される。
【0119】
このように本実施形態に係る車載温調システム1によれば、車両の暖房が要求されている状態での内燃機関110が冷間始動中には、ヒータコア43内の冷却水の温度が常に比較的高い温度に維持される。
【0120】
≪フローチャート≫
図14は、車載温調システム1における熱媒体の流通状態を制御する制御ルーチンのフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定の時間間隔毎に実行される。
【0121】
まず、ステップS11では、ECU61は暖房が要求されているか否かを判定する。ステップS11において暖房が要求されていると判定された場合には、制御ルーチンはステップS12へと進む。ステップS12では、
図15に示した暖房制御が実行される。
【0122】
一方、ステップS11において暖房が要求されていないと判定された場合には、制御ルーチンはステップS13へと進む。ステップS13では、ECU61は冷房が要求されているか否かを判定する。ステップS13において冷房が要求されていると判定された場合には制御ルーチンはステップS14へと進む。ステップS14では、冷房制御が実行される。冷房制御においては、例えば、発熱機器の急速冷却が必要であるか否かに応じて、車載温調システム1における熱媒体の流通状態が第1冷房モード及び第2冷房モードのいずれかに設定される。
【0123】
ステップS13において冷房が要求されていないと判定された場合には、制御ルーチンはステップS15へと進む。ステップS15では、停止制御が実行される。停止制御においては、例えば、発熱機器の急速冷却が必要であるか否かに応じて、車載温調システム1における熱媒体の流通状態が第1停止モード及び第2停止モードのいずれかに設定される。
【0124】
図15は、
図14のステップS12において実行される暖房制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図15の制御ルーチンは、
図14の制御ルーチンがステップS12に到達する毎に実行される。
【0125】
まず、ステップS21において、ECU61は内燃機関110が運転中であるか否かを判定する。内燃機関110が運転中であるか否かは、例えば、内燃機関110の回転速度を示すセンサ等の出力に基づいて判定される。ステップS21において内燃機関110の運転中ではないと判定された場合には、制御ルーチンはステップS22へと進む。ステップS22では、ECU61は、車載温調システム1における熱媒体の流通状態を第4暖房モード(
図10)に設定する。
【0126】
一方、ステップS21において内燃機関110の運転中であると判定された場合には、制御ルーチンはステップS23へと進む。ステップS23において、ECU61は、第1水温センサ62によって検出された機関冷却回路5内の冷却水の温度Tweが第1基準温度Tw1未満であるか否かを判定する。ステップS23において、機関冷却回路5内の冷却水の温度Tweが第1基準温度Tw1未満であると判定された場合には、制御ルーチンはステップS24へと進む。ステップS24では、ECU61は、車載温調システム1における熱媒体の流通状態を第3暖房モード(
図11)に設定する。
【0127】
一方、ステップS23において機関冷却回路5内の冷却水の温度Tweが第1基準温度Tw1以上であると判定された場合には、制御ルーチンはステップS25へと進む。ステップS25では、ECU61は、第2水温センサ63によって検出された機関流入流路4d内の冷却水の温度Twpが第2基準温度Tw2未満であるか否かを判定する。
【0128】
ステップS25において、機関流入流路4d内の冷却水の温度Twpが第2基準温度Tw2未満であると判定された場合には、制御ルーチンはステップS26へと進む。ステップS26では、ECU61は、車載温調システム1における熱媒体の流通状態を第2暖房モード(
図12)に設定する。
【0129】
一方、ステップS25において機関流入流路4d内の冷却水の温度Twpが第2基準温度Tw2以上であると判定された場合には、制御ルーチンはステップS27へと進む。ステップS27では、ECU61は、車載温調システム1における熱媒体の流通状態を第1暖房モード(
図9)に設定する。
【0130】
なお、上記実施形態では、高温回路4内の冷却水の流通状態の切り換えを機関冷却回路5内の冷却水の温度及び機関流入流路4d内の冷却水の温度に基づいて行っている。しかしながら、内燃機関の冷間始動中に、冷却水の流通状態が第3暖房モード、第2暖房モード及び第1暖房モードの順に切り換えられれば、流通状態の切り換えは他の条件に基づいて行われてもよい。したがって、例えば、流通状態を前回切り換えてからの経過時間等に基づいて流通状態の切り換えが行われてもよい。この場合、例えば、流通状態を第3暖房モードから第2暖房モードに切り換えてからの経過時間が予め定められた一定時間に達すると、流通状態が第2暖房モードから第1暖房モードに切り換えられることになる。
【0131】
<効果>
ところで、本実施形態の車載温調システム1では、機関流入流路4d及び機関流出流路4eが車室の前後に延びている。また、内燃機関110の冷間始動の際には、最初は機関冷却回路5内で冷却水を循環させて、機関冷却回路5内の冷却水の温度を或る程度の温度まで上昇させる。したがって、機関冷却回路5内の冷却水の温度が或る程度高くなっても、機関流入流路4d及び機関流出流路4eの冷却水の温度は低いままの状態が生じ得る。
【0132】
このような状態で機関冷却回路5からヒータコア43に冷却水を流すと、ヒータコア43には機関流入流路4d及び機関流出流路4eに滞留していた低温の冷却水が流入することになる。したがって、例えば、事前に冷凍回路2のコンデンサ22を利用してヒータコア43に流入する冷却水の温度を高めていたような場合には、一時的にヒータコア43を流れる冷却水の温度が低下してしまう。その結果、ヒータコア43による暖房能力が一時的に低下する。
【0133】
これに対して、本実施形態に係る車載温調システム1では、熱媒体の流通状態が第2暖房モード(
図12)に設定された後に第1暖房モード(
図9)に設定される。すなわち、機関冷却回路5内の冷却水は、コンデンサ流路4aを通って流れる前(すなわち、ヒータコア43を通って流れる前)に、車両の前方に位置する基本回路の一部を構成する双方向流路4cを通って流れる。この結果、機関流入流路4d及び機関流出流路4e内の冷却水が十分に暖められてから、機関冷却回路5内の冷却水がヒータコア43に流入することになる。このため、本実施形態に係る車載温調システム1によれば、車室の暖房が要求されている状態での内燃機関110が冷間始動中には、
図13に示したようにヒータコア43内の冷却水の温度が常に比較的高い温度に維持される。したがって、一時的にヒータコア43を流れる冷却水の温度が低下してしまうことが抑制される。
【0134】
<変形例>
なお、上記では、車室の暖房が要求されている状態で内燃機関110が冷間始動されたときを例にとって説明している。しかしながら、内燃機関110の暖機が完了した後に初めて車室の暖房が要求された場合にも、機関流入流路4d及び機関流出流路4e内の冷却水の温度は低いままの状態が生じ得る。したがって、このような場合にも、上述したようにして熱媒体の流通状態が第2暖房モード、第1暖房モードの順に設定されてもよい。したがって、これらをまとめると、機関流入流路4d及び機関流出流路4eの冷却水の温度が暖房に必要な温度よりも低い状態で車室の暖房が要求された場合に、熱媒体の流通状態が第2暖房モード、第1暖房モードの順に設定される。
【0135】
また、上記実施形態では、機関熱交換器52及び機関冷却回路5が車両100の後方に配置され、コンデンサ22及びヒータコア43を備える基本回路が車両の前方に配置されている。しかしながら、機関熱交換器52及び機関冷却回路5が車両100の前方に配置され、コンデンサ22、ヒータコア43及びバイパス流路4fが車両の後方に配置されてもよい。したがって、機関熱交換器52が車両100の前後方向において車室の第1の側に配置され、コンデンサ22及びヒータコア43を備える基本回路が車両100の前後方向において第1の側とは反対側の第2の側に配置される。
【0136】
また、上記実施形態では、内燃機関110の排熱以外の熱を利用して高温回路4の冷却水を加熱する第2加熱部としてコンデンサ22が設けられている。しかしながら、第2加熱部として、コンデンサ22以外の加熱手段が設けられてもよい。具体的には、第2加熱部は、例えば、電気ヒータであってもよい。
【0137】
加えて、高温回路4は、上記実施形態における構成と異なる構成を有していてもよい。ただし、その場合であっても、高温回路4は、ヒータコア43とコンデンサ22の冷却水配管22bとを流路内に備える熱回路と、機関熱交換器52をこの熱回路に連通させる連通流路と、第1流通状態と第2流通状態との間で熱媒体の流通状態を切り換える流通状態切換機構とを備え、制御装置は流通状態切換機構を制御することができる必要がある。そして、第1流通状態では、機関熱交換器52によって加熱された熱媒体の少なくとも一部がヒータコア43を流通しつつ熱回路の一部を流通し、第2流通状態では、機関熱交換器52によって加熱された熱媒体の少なくとも一部がヒータコア43を流通することなく熱回路の一部を流通する。
【0138】
図16は、上記実施形態とは異なる構成を有する高温回路4の例を示している。
図16に示した例では、双方向流路4cの一方の端部は、コンデンサ流路4aではなく、高温ラジエータ流路4bに連通する。そして、高温ラジエータ流路4bの一方の端部がコンデンサ流路4a及び機関流出流路4eと連通する。加えて、
図16に示した例では、機関流出流路4eとコンデンサ流路4aとに連通するバイパス流路4fが設けられる。バイパス流路4fは、第4電磁調整弁47とヒータコア43との間においてコンデンサ流路4aに連通する。バイパス流路4fには、バイパス流路4fを流通する冷却水の流量を制御する第5電磁調整弁48が設けられる。
【0139】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0140】
1 車載温調システム
2 冷凍回路
3 低温回路
4 高温回路
5 機関冷却回路
6 制御装置
7 空気通路
22 コンデンサ
43 ヒータコア
52 機関熱交換器